説明

生物学的サンプルを試験するためのシステムおよび方法

【課題】サンプル、好ましくは生物学的サンプルを試験するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】本発明のシステムは、サンプル中の分子を検出するための装置、および結果に基づく当該装置のコントロールを提供しアッセイに基づく判断を行うための当該装置と通信するプロセッサーを含む。例えば、マススペクトロメーターを用いる診断アッセイのようなアッセイを指令および実行する、ソフトウェアを含むシステムが提供される。システムの出力は、マススペクトルまたは他の未処理データ型ではなく、遺伝子型のような診断結果である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2001年4月20日出願の、米国特許出願番号No.09/839,629、発明の名称「SYSTEM AND METHOD FOR TESTING A BIOLOGICAL SAMPLE」、David Opalsky, Ping Yip and Kishorchandra Bhaktaの優先権の利益を請求する。許許されるなら、当該発明の内容はすべて本願明細書に含められる。
【0002】
マススペクトロメトリーに基づく方法、製品および生物学的サンプルのようなサンプルを試験するためのシステムを提供する。1つの実施例では、プロセッサーを有するシステムを用い、開示した試験方法を行なう。
【背景技術】
【0003】
マススペクトロメーターのような装置をルーチンで使用し、生物学的サンプルの成分の同定をアシストする。特に、MALDI−TOF(マトリックス支援イオン化―飛行時間型(matrix-assisted desorption ionization time-of-flight))マススペクトロメーターは、遺伝子型決定または単一ヌクレオチド多形の同定のような生物学的決定に有用であることが証明された。
【0004】
MALDI TOFマススペクトロメーターは、生物学的サンプル上の標的スポットにエネルギービームを方向付けることにより、一般的に操作する。当該エネルギービームは、当該標的スポットで、測定モジュールに向かって発射される崩壊性コンポーネント物質により、生物学的物質を崩壊する。より軽いコンポーネント物質は、より重いコンポーネント物質より前に測定モジュールに到達する。当該測定モジュールは、当該コンポーネント物質を捕捉し、感知されるコンポーネント物質の質量を示すデータセットを生ずる。典型的に、当該データセットは、質量数を示すX軸および量数を示すY軸の二次元スペクトルとして生じる。
【0005】
しばしばデータスペクトルとして示される当該データは、典型的に、指数的に崩壊するベースライン上に位置するピークを有する。各ピークは、理想的には、生物学的サンプルのコンポーネントの存在を示す。不運なことに、化学的および機構的限界により、データスペクトルにはノイズが多くなり、そのため、生物学的コンポーネントの正確な決定は困難となる。確かに、データスペクトルを正確に読み、解釈するには、熟練したオペレーターを必要とする。最もトレーニングを積んだ人間のオペレーターの努力ですら、不正確さと誤差に悩まされる。データスペクトルから得られた結果は、しばしば疾病診断に用いられることから、過誤は惨事となり得る。そのため、オペレーターは、結果が確実であるときにのみ、決定をするように訓練される。そのようなやり方では、大多数の試験が判定を生じないことになり、その場合、オペレーターは正確にデータ結果を同定することはできない。
【0006】
従って、マススペクトロメーターによる使用は、オペレーターが、データスペクトルに対し非常にルーズな標準を適用するならば、容認できない大多数の不正確なコールの危険性がある。他には、マススペクトロメーターの使用は、信頼してコールを生ずることができないためオペレーターが大多数の試験を破棄するならば、非常に非効率なものとなる。
【0007】
コールを生ずるオペレーターを補助するため、マススペクトロメーターは、一定レベルのデータフィルタリングを提供し得る。典型的に、当該データフィルタリングは、セットのノイズの大きさを減衰し、それにより、有効ピークをより顕著にあらわにする。そのフィルタリング技術は、実際には、重要な有効ピークをマスクし得、それにより、不正確な分析を生じ得る。
【0008】
バイオテクノロジーの最近の傾向は、マススペクトロメーターのような装置およびそのオペレーターの能力を酷使している。例えば、マススペクトロメーターは、現在、単一ヌクレオチド多形性(single nucleotide polymorphism)(SNP)の同定に使用されている。SNPは、オペレーターが容易にミスするデータスペクトル上の僅かなピークのみを生じ得るか、またはバックグラウンドノイズ少なくする(bury)。更にマススペクトロメーターは、複数の遺伝子反応が単一サンプル中で生じ得る場合の複合化にも使用し得る。その方法では、生じるピークは、より小さく、同定がより困難であり、そして間違った読み取りのより多い組み合わせとなり得る。その悪化したデータスペクトルを用いると、有効ピークが特定の遺伝学的コンポーネントに存在するかどうかの信頼のある決定をすることがオペレーターには、より困難となる。
【0009】
加えて、マススペクトロメーターデータ収集工程は、サンプルに関し不必要に長くなり得る。これは、例えば、出力が十分なデータを受け取ったことを示すまでサンプルからスペクトル出力を繰り返し得るために「ラスター」技術を使用するときに、生じ得る。不正確なスペクトルデータ分析は、十分な出力を非認識とし、付加データを収集し続ける不必要なラスタリングを生ずる。
【0010】
試験がより複雑となり、そしてハイスループット出力の要求が高まっているため、当該マススペクトロメーターは、オペレーターにとってインタープリトするのが困難なデータスペクトルを提供し得る。最良の条件下でさえ、当該オペレーターは、コールが作成されない場合に同定し得るか、または曖昧さが認められるために良好な取得データを破棄し得る。従って、より効率的で正確な、生物学的サンプルを含むサンプルを同定するための方法およびシステムを提供する必要がある。そのため、本願明細書の目的の中にあっては、その必要性のある方法、製品およびシステムを提供することが本願明細書の目的である。
【発明の開示】
【0011】
マススペクトロメーター出力のような装置出力の、効率的で正確な生物学的同定を示す試験システムおよび方法を提供する。データの究極な生物学的優位性において用いるアッセイに基づく判断を本願明細書で提供するシステムおよび方法は、データ取得ルーチンおよび装置へフィードバックし、複合アッセイを含む生物学的アッセイのパフォーマンスを改善する。複合フォーマットでは、各アッセイは、個別の結果を生ずる個々の試験として処理される。本願明細書のシステムでは、および本願明細書により提供される方法により、生物学的結果が、リアルタイムに、およびマススペクトロメトリーコントロールシステムのような試験装置のユーザーインターフェース上に示される。本願明細書の当該方法およびシステムは、ハイスピードでハイスループットの試験を提供するように設計され、必要のあるデータのみを取得し、それにより、時間のかかる、むやみに取得した不必要なデータを排除する。
【0012】
特に、アッセイの結果、一般的にはリアルタイム(RT)の結果を得そして表示するシステムおよび当該システムを実行する方法を提供する。当該システムおよび方法は、多数のサンプル、典型的には少なくとも約96、384、1534およびより多数のサンプルを試験するハイスループットフォーマットが理想である。当該サンプルは、生物学的サンプルであり得、多数の試験が行なわれる同一サンプル、および1つまたは複数の試験または任意のそれらの試験の組み合わせが行なわれる多数の異なる源由来のサンプルを含み得る。当該システムは、データ取得のためのマススペクトロメーター、NMR、スペクトロメーター、ガスクロマトグラフ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、またはそれらの組み合わせのような装置およびプロセッサーを含む。当該工程は、当該装置の操作および行なうアッセイを目的とし、それにより、データ収集(データ取得)のためのソフトウェア(ルーチン)、および収集データを評価するデータプロセッシングルーチンを含む。当該システムを用いる方法を提供する。本願明細書で提供するシステムおよび方法では、アッセイ、およびアッセイ、すなわちデータ収集ルーチンおよびデータプロセッシングルーチンにより行なわれる試験の結果は、リアルタイムの結果がデータ取得目的で使用されるように、統合される。
【0013】
マススペクトロメトリーもまた提供する。これらのシステムは、生物学に基づく結果を使用し、マススペクトロメーターでのデータ取得をコントロールし、それにより、優位に、コール効率が改善され、装置出力が増大する。典型的なシステムには、遺伝子型決定結果のような結果を保存するデータベースに対するストリームライン化インターフェースを有する高度に最適化されたバージョンのコーリングアルゴリズムを含む。当該最適化の部分として、データ取得コンポーネントとスペクトル分析の生物学的コーリングコンポーネントとの間のダイアログをコントロールする、十分に定義されたプログラミングインターフェースが開発された。当該インターフェースは、コーリングアルゴリズムを修飾し得るフレキシブルでありモジューラーである。データ取得コンポーネントと生物学的コーリングコンポーネントとの間のダイアログをコントロールするインターフェースが提供される。
【0014】
本願明細書が提供する技術を用いるとコーリング効率性が50%を超えて改善され得ることが観察された。当該改善は、アッセイの量および複合化のレベルに依存することがわかった。
【0015】
データ取得および分析のためのシステムを提供する。当該システムは、コンピューターに指令されたデータ収集ルーチン、およびコンピュータに指令されたデータプロセッシングルーチンを含む。当該データ収集およびデータプロセシングルーチンは、試験がサンプルについて行なわれ、その統合化ソフトウェアを含む装置からの出力が診断であるように統合される。そのため、例えば、本願明細書で提供する、当該ソフトウェア、システムおよび方法は、マススペクトロメーターを、遺伝子型および対立遺伝子頻度のような生物学的結果、特にリアルタイムな生物学的な結果を表示するシステムであるディテクターに転用する。
【0016】
生物学的サンプルのようなサンプルを試験する方法を提供する。これらの方法は、プロセッサー、および生物学的サンプルのようなサンプルからデータを取得するように設定されている装置を含む試験システムを使用する。試験方法の実施では、当該装置は、サンプルからデータを取得し、プロセッサーは取得データを、所定データ基準と比較する。取得データをデータ基準に比較させることに応答して、当該装置が調整され得、他のデータセットが取得される。試験システムの1つの開示実施例では、マススペクトロメーターは、生物学的サンプルからデータを取得する。当該取得データは、事前に決定されたスペクトル基準と比較する。当該比較に応答して、マススペクトロメーターは、生物学的サンプルを再度サンプリング(resample)するよう指令され得るか、または他のサンプルへ移るよう指令され得る。
【0017】
有利には、生物学的サンプルのようなサンプルを試験するための開示の方法およびシステムは、マススペクトロメーター、ガスクロマトグラフ、電気泳動装置、NMR装置および他の装置およびそれらの組み合わせのような装置の自動化したコントロールを提供し、マススペクトルのような装置出力のリードアウト以外の試験の結果のリードアウトを指令し得る。より特に、試験方法は、最小の手動の介入による、サンプルの高度に正確な決定を提供する。従って、サンプルは、同定され得、診断試験は、高程度の精度、スピードおよび正確性で実施され得る。
【0018】
ソフトウェアおよびそのソフトウェアを含むコンピューター−読み取り可能媒体を提供する。そのソフトウェア、およびサンプル中の分子のマススペクトル分析のようなサンプルのプロセッシングを指令する当該ソフトウェアを用いる装置を含むプロセッサーおよび診断システムを提供する。本発明で提供されるソフトウェアは、マススペクトロメーターのような装置を、遺伝子型および/または対立遺伝子頻度のような生物学的結果、特にリアルタイムな生物学的結果を示すディテクターに転用する。生物学的結果を示すマススペクトロメーターのような装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
A.定義
他に定義しない限り、本願明細書で使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により通常理解される意味と同じ意味を有する。全ての特許、特許出願、発行された出願および刊行物、Genbank配列、Web siteおよび本願明細書の全開示を通して言及する他の発行物は、他に特記しなければ、それら全て引用により本願明細書に加える。本願明細書で用語の定義が複数ある場合には、このセクションの意味が優先される。引用が、URLまたは他のアイデンティファイアーもしくはアドレスにより構成される場合、そのアイデンティファイアーは変わり得、そしてインターネット上の特定の情報は移り変わり得るが、同等の情報がインターネットを検索することにより見つけることができる。それらを見れば、そのような情報の利用可能性および公然頒布性は明らかである。
【0020】
発行された特許および公開された国際出願では、米国特許番号5,807,522、6,110,426、6,024,925、6,133,436、5,900,481、6,043,031、5,605,798、5,691,141、5,547,835、5,872,003、5,851,765、5,622,824、6,074,823、6,022,688、6,111,251、5,777,324、5,928,906、6,225,450、6,146,854、6,207,370、米国特許出願番号09/663,968、国際出願番号WO99/12040、WO97/42348、WO98/20020、WO98/20019、WO99/57318、WO00/56446、WO00/60361およびWO02/25567が、引用により組み込まれ、そして本願明細書で提供される方法およびシステムを用いる使用に適用され得る方法を記載する。これらの特許および刊行物は、種々のマススペクトロメトリー分析法、マススペクトロメトリー分析に使用するトおよびマトリクス、およびピンツールおよび他の分散システムを含む関連方法および装置を記載する。本願明細書で提供する方法、製品およびシステムは、これら特許および特許出願に記載および使用される方法および製品ならびに分子の検出およびコンピューターに指令されたアッセイのための装置を用いる他の方法による使用に適用させ得ることを目的としており、特に、ハイスループットフォーマットでの使用に適当である。他の目的の使用には、データ取得のための装置を有し、そしてデータタイピング分析を用いる任意の方法およびアッセイを含む。
【0021】
本明細書中で用いる、アッセイに基づく判断とは、アッセイの更なるサンプリングまたは試験に関する決定が、装置からのマススペクトルまたはクロマトグラフのような装置(および関連のソフトウェア)によるデータ取得の特異的結果以外の、最終的な結果、生物学的重要性(すなわち、遺伝子型のような生物学的結果)に基づく方法をいう。
【0022】
本明細書中で用いる、アッセイ結果は、例えば、サンプル中の分子のマススペクトルのような、特定プロトコールからの出力をいう。
【0023】
本明細書中で用いる、最終的な結果は、サンプリングにより行われる遺伝子型または他の診断のような実際の決定である。
【0024】
本明細書中で用いる、プログラミングインターフェースは、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)のようなコミュニケーションをプログラミングするためのスペシフィケーション、およびプログラムと装置のようなデバイスとの間をデータ交換および通信し得るコミュニケーションプロトコルをいう。これらは、例えば、Microsoft Windows(登録商標)オペレーティングシステムのための、およびTCP/IPコミュニケーションのための、APIを含む。
【0025】
本明細書中で用いる、データおよび/または結果に関して「良好」とは、当業者が当該データまたは結果を使用し結論に到達するか、またはそのデータまたは結果を破棄しないことを意味する。データまたは結果が良好であるかどうかは、特定データおよび/または結果の機能であり、そのデータおよび/または結果ならびに関連技術を熟知する当業者には明らかとなる。
【0026】
本明細書中で用いる、コールとは、遺伝子型または診断もしくは対立形質(allotype)のようなデータ結果の同定をいう。
【0027】
本明細書中で用いる、アッセイデザインとは、プロトコルを行い、遺伝子型決定を含む診断試験のようなアッセイを行う指示をいう。
【0028】
本明細書中で用いる、リアル−タイム(RT)コントロールとは、自動的に、データ取得装置からマススペクトロメーターのようなデータを受け取り、そのデータを処理し、マススペクトロメーターのような装置にコマンド指令を提供する、RTワークステーションの能力をいう。
【0029】
本明細書中で用いる、データ収集ルーチンとは、ソフトウェアで具体化し得、マススペクトロメーターのような装置によりデータ取得をコントロールするプロセスをいい、プロセス、典型的には、データの収集で当該装置に指令し、マススペクトロメーターからの質量データのような出力データが定性分析に適当かどうか決定する自動化コンピューターコントロールプロセスをいう。例えば、データ収集ルーチンは、ノイズ対シグナル比を評価し得る。
【0030】
本明細書中で用いる、データプロセッシングルーチンとは、ソフトウェアで具体化し得、取得データの生物学的重要性を決定する、プロセス(すなわち、アッセイの最終的な結果)をいう。例えば、データプロセッシングルーチンは、取得したデータに基づく遺伝子型決定をし得る。本願明細書のシステムおよび方法では、当該データプロセッシングルーチンはまた、決定した結果に基づき、装置および/またはデータ収集ルーチンをコントロールする。データプロセッシングルーチンおよびデータ収集ルーチンは統合され、装置によりデータ取得を操作するようフィードバックを提供し、そして本願明細書で提供するアッセイに基づく判断の方法を提供する。
【0031】
本明細書中で用いる、「サンプル」とは、検出すべき分子のような物質を含む組成物をいう。典型的な例では、サンプルは「生物学的サンプル」である(すなわち、生きている源(例えば、人間、動物、植物、細菌、真菌、原生生物、ウイルス)から得られる任意の物質)。生物学的サンプルは、固体物質(例えば、組織、細胞ペレットおよび生検)および体液(例えば、尿、血液、唾液、羊水および口内洗液(頬の細胞を含む))を含む任意の型であり得る。固体物質は、典型的に流体と混合される。特に、本願明細書では、サンプルとは、マススペクトロメトリー分析に使用されるマトリクスおよび核酸のような生物学的物質の混合物をいう。
【0032】
本明細書中で用いる、「生物学的サンプル」とは、生きている源から得られ得る物質をいう。そのサンプルは、生体分子および生体高分子を含む。当該分子は、増幅、クローニングおよびサブクローニング、および評価前の単離プロセスによるように、処理され得る。
【0033】
本明細書中で用いる、分子は、チップのような固体支持体上またはその中のウェルまたは他の凹部(indentation)上またはその中に結合または含有されている任意の分子または化合物をいう。典型的に、その分子は、ペプチド、タンパク質、小有機体、オリゴヌクレオチドまたはペプチド、有機体、核酸および他の高分子の単量体単位のような、高分子または成分またはそれらの前駆体である。単量体単位とは、生ずる化合物を構成する構成物のひとつをいう。そのため、単量体単位は、小有機体分子が合成されるヌクレオチド、アミノ酸、およびファルマコフォア(pharmacophores)を含む。
【0034】
本明細書中で用いる、高分子とは、数百から数百万までの分子量を有する任意の分子をいう。高分子は、ペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、核酸および生体により一般的に合成される他の分子を含むが、組み換え分子生物学的手法により合成的にまたはその手法を用いることにより調製され得る。
【0035】
本明細書中で用いる、バイオポリマーは、以下に限らないが、核酸、タンパク質、ポリサッカライド、脂質および他の高分子を含む。核酸は、DNA、RNAおよびその断片を含む。核酸は、ゲノムDNA、RNA、ミトコンドリア核酸、クロロプラスト核酸および個々の遺伝的物質を有する他のオルガネラから単離または誘導され得るか、または合成的に調製され得る。そのため、用語「バイオポリマー」は、結合により連結する2またはそれより多い単量体サブユニットまたはその誘導体からなる高分子群または1つの高分子を含む生体分子を意味するのに使用される。バイオポリマーは、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、炭水化物もしくは脂質またはそれらの誘導体または組合せであり得、例えばペプチド核酸部分またはグリコプロテインを各々含む核酸分子であり得る。バイオポリマーに触れて記載した本願明細書の方法およびシステムは、例えば医薬の有機合成または無機合成のようなアッセイおよび他の任意の反応または固体支持体上またはナノリッターまたはより小体積のウェル中で行うアッセイのような他の合成方式およびアッセイでの使用に適合させ得る。
【0036】
本明細書中で用いる、標識は、分光器、光化学、生物化学、免疫化学、電気科学、光学または化学的な手段により検出可能な核酸に結合またはその中に組み込まれ得る任意の組成物または成分を含む。典型的な標識は、以下に限らないが、標識ストレプトアビジンコンジュゲートで染色するためのビオチン、磁性ビーズ(例えば、Dynabeads TM)、蛍光色素(例えば、6-FAM、HEX、TET、TAMRA、ROX、JOE、5-FAM、R110、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、フィコエリトリン、リサミン(lissamine)、フィコエリトリン(Perkin Elmer Cetus)、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、FluorX(Amersham)、放射標識、酵素(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAで使用する他のもの)、ならびにコロイドコールドまたは彩色ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスおよび他の支持体)ビーズ、フルオロホア、ラジオアイソトープまたは化学ルミネセンス成分のような比色標識を含む。
【0037】
本明細書中で用いる、生物学的粒子とは、ウイルス性ベクターまたはパッケージ化核酸を有するもしくは有しないウイルス性キャプシドのようなウイルス、カプセル化ヌクレオチド酸を有するかまたは有しないファージベクターまたはファージキャプシドを含むファージ、真核および原核細胞またはそのフラグメントを含む単一細胞、リポソームまたはミセル剤または他のパッキング粒子、ならびに他のそのような生物学的物質をいう。本願明細書の目的の場合、生物学的粒子は、高分子は一般的には合成されないが、細胞およびウイルスから誘導されるため、典型的には高分子が考慮されない分子を含む。
【0038】
本明細書中で用いる、用語「核酸」とは、デオキシリボ核酸(DNA)、およびリボ核酸(RNA)、ならびにペプチド核酸(PNA)、ホスホロチオエートDNAおよび他のそのような類似体および誘導体またはそれらの組合せのようなRNAまたはDNAの何れかの類似体または誘導体のような一本鎖および/または二本鎖ポリヌクレオチドをいう。そのため、本明細書中で用いる、核酸は、タンパク質核酸(PNA)およびその混合物を含むDNA、RNAおよびその類似体を含む。蛍光または放射標識のような検出可能標識で所望により標識されたプローブまたはプライマーに言及するとき、一本鎖分子が予想される。その分子は、典型的には、それらがライブラリーをプローブするかプライミングするために統計学的に特有であるか、低コピー数(ライブラリー中、典型的に5または6未満、一般的に3コピー未満)であるような長さとなる。一般的に、プローブまたはプライマーは、目的のポリヌクレオチドに相補的かまたは同一の選択配列からの少なくとも14、16または30連続ヌクレオチドを含む。プローブおよびプライマーは、10、14、16、20、30、50、100またはより長い核酸塩基であり得る。
【0039】
本明細書中で用いる、用語「ポリヌクレオチド」とは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、および例えばヌクレオチド類似体を含むDNAまたはRNA誘導体を含む少なくとも2つが連結したヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体、またはホスホジエステル結合以外の「バックボーン」結合、例えばホスホトリエステル結合、ホスホラミデイト結合、ホスホロチオエート結合、チオエステル結合またはペプチド結合(ペプチド核酸)を含むオリゴマーまたはポリマーをいう。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、本願明細書では、「ポリヌクレオチド」と本質的に同義的に使用するが、それらは、当分野では、オリゴヌクレオチド、例えば、PCRプライマーが、一般的に、約50から100ヌクレオチドまでの長さよりも短いと認識される。
【0040】
ポリヌクレオチドに含まれるヌクレオチド類似体は、例えば、ポリヌクレオチドの質量判別し得る質量修飾ヌクレオチド;ポリヌクレオチドを検出し得る蛍光、放射活性、ルミネセンスまたは化学ルミネセンス標識のような検出可能標識を含むヌクレオチド;または固体支持体に対するポリヌクレオチドの固定化を促進するビオチンまたはチオール基のような反応基を含むヌクレオチドであり得る。ポリヌクレオチドはまた、選択的に、例えば、化学的、酵素学的または光分解的(photolytically)に切断可能な1つまたはそれより多いバックボーン結合を含み得る。例えば、ポリヌクレオチドは、1つまたはそれより多いデオキシリボヌクレオチド、更には1つまたはそれより多いリボヌクレオチド、更にはリボヌクレオチド配列で塩基加水分解により切断可能な1つまたはそれより多いデオキシリボヌクレオチドを含み得る。ポリヌクレオチドはまた、例えば、ペプチド核酸結合により連結するヌクレオチドおよびホスホジエステル結合、または他のそのような結合もしくは連結により連結する3’末端の少なくとも1つのヌクレオチドを含み得、そしてポリメラーゼにより伸張し得るキメラオリゴヌクレオチドプライマーの切断に対し比較的強い1つまたはそれより多い結合を含み得る。ペプチド核酸配列は、既知の方法を用い調製され得る(例えば、Weiler et al., Nucleic acids Res. 25: 2792-2799 (1997)参照)。
【0041】
ポリヌクレオチドは、より大きな核酸分子の部分、例えば多形性領域を含み得る遺伝子の部分、またはクロモソームの遺伝子外領域(extragenic region)の部分、例えば、ショートタンデムリピート(STR)配座、変わり得る数のタンデムリピート(VNTR)配座、マイクロサテライト配座またはミニサテライト配座のようなヌクレオチドリピートの領域の部分であり得る。ポリヌクレオチドはまた、一本鎖または例えば、DNA−RNAハイブリッドを含む二本鎖であり得るか、または三本鎖または四本鎖であり得る。ポリヌクレオチドが二本鎖DNAである場合、それは、A、B、LまたはZ配置となり得、単一ポリヌクレオチドは、その配置の組合せを含み得る。
【0042】
本明細書中で用いる、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、天然または修飾単量体または連結の直鎖状オリゴマーを含み、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオチド、それらのα−アノマー型であって、Watson-Crick型塩基対、塩基スタッキング、Hoogsteenまたは逆Hoogsteen型塩基対のようなモノマー対モノマー相互作用の通常のパターンの方法により標的遺伝子に特異的に結合し得る当該アノマー型を含む。単量体は、典型的に、ホスホジエステル結合またはその類似体により連結し、オリゴヌクレオチドを形成する。オリゴヌクレオチドが"ATGCCTG"のように文字の配列で示されるときはいつでも、ヌクレオチドは、5’−>3’向き、左から右向きであること理解される。
【0043】
典型的にハイブリダイゼーションのためのオリゴヌクレオチドは、4つの天然ヌクレオチドを含むが、しかし、それらはまた、非天然ヌクレオチド類似体、誘導化型または擬似体(mimetics)を含み得る。ホスホジエステル連結の類似は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホランジリデート(phosphorandilidate)、ホスホラアミデートを含む。擬似体の特定の例は、タンパク質核酸である(例えば、Egholm et al., (1993) Nature 365: 566参照;または米国特許番号5,539,083参照)。
【0044】
本明細書中で用いる、用語「ポリペプチド」は、少なくとも2つのアミノ酸またはアミノ酸誘導体を意味し、修飾ペプチド結合であり得るペプチド結合により連結する質量修飾アミノ酸およびアミノ酸類似体を含む。ポリペプチドは、例えば、コーディングフレーム以外のリーディングフレーム中の位置、またはイントロン配列、3’または5’の非翻訳配列、プロモーターのような調節配列中の位置によって、天然では翻訳されない少なくともコーディング配列の一部またはヌクレオチド配列の一部を含み得る、ポリヌクレオチドから翻訳され得る。ポリペプチドはまた、化学的合成され得、翻訳または化学的合成の次の化学的または酵素学的方法により修飾され得る。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本願明細書では本質的には同義的に用いられるが、当業者ならば、ペプチドは、一般的に、約50から100までのアミノ酸残基よりも少ないアミノ酸残基を含み、タンパク質は、しばしば、天然の源から得られ得、例えば、翻訳後修飾含み得ると認識する。ポリペプチドは、例えば、細胞中またはインビトロ反応中で行われ得る、例えば、リン酸化(ホスホプロテイン)、グリコシル化(グリコプロテイン、プロテオグリカン)により、翻訳後的に修飾され得る。
【0045】
本明細書中で用いる、用語「コンジュゲートした」とは、化学的相互作用の特長による、典型的な安定結合をいい、イオン性および/または共有結合を含む。コンジュゲーション手段の中では、ビオチンに対するストレプトアビジンまたはアビジン相互作用;疎水性相互作用;磁性相互作用(例えば、Dynal, Inc. Great Neck, NYおよびOslo Norwayにより販売されているストレプトアビジン被覆化磁性ビーズであるDYNABEADSのような機能性磁性ビーズを用いる);2つの極性表面間またはオリゴ/ポリエチレングリコール間の「ウェッティング」結合(association)のような極性相互作用;アミド結合、ジスルフィド結合、チオエーテル結合のような共有結合または架橋試薬を介する形態;および酸不安定性または光切断可能リンカーを介するものがある。
【0046】
本明細書中で用いる、組成物とは、任意の混合物をいう。それは、溶液、懸濁液、液体、粉体、ペースト、水性、非水性またはそれら任意の組合せであり得る。
【0047】
本明細書中で用いる、組合せとは、2またはそれより多いアイテム間での任意の結合をいう。当該組合せは、2組成物または2収集物のような2またはそれより多い個別のアイテムであり得、2またはそれより多いアイテムの単一の混合物または任意のそれらのバリエーションであり得る。
【0048】
本明細書中で用いる、流体とは、流れ得る任意の組成物をいう。そのため、流体は、半固体、ペースト、溶液、水性混合物、ゲル、ローション、クリーム、および他のそのような組成物の型の組成物を含む。
【0049】
本明細書中で用いる、用語「固体支持体」は、表面を有する非気体性、非液体性物質を意味する。そのため、固体支持体は、例えばガラス、シリコン、金属、プラスチックまたは混合物から構成される平坦な表面であり得るか、またはシリカゲル、制御化ポアガラス、磁性またはセルロースビーズのようなビーズ型であり得るか、またはコンビナトリアル合成または分析に適するピンのアレイを含むピンであり得る。
【0050】
本明細書中で用いる、収集は、2つ、一般的には3つ、またはそれより多いエレメントを含む。
【0051】
本明細書中で用いる、アレイとは、3つまたはそれより多いメンバーを含む細胞および核酸分子のようなエレメントの収集をいう;アレイは、固相または液相であり得る。アドレス可能なアレイまたは収集は、収集の各メンバーが、固相支持体上の位置によるか、または色、蛍光、電子シグナル(すなわち、RF、マイクロ波または目的の分子の相互作用を実質的に変化させない他の周波数(frequency))、バーコードまたは他の記号(symbology)、化学的または他のそのような標識のような同定可能または検出可能標識の特徴により典型的に同定可能であるものである。ここで、一般的に、アレイのメンバーは、固相の表面上の同定可能な位置に別々に固定化されるか、またはミクロスフェアまたは他の粒子支持体に付着させるような、同定可能標識に直接的にまたは間接的に結合(link)するか、または他には会合(associate)し、溶液中に懸濁されるか、表面上に広げられる。当該収集は、化学的、電子的、色彩的、蛍光的または他のタグのような他の別々のアイデンティファイアーが含まれるならば、液相中にあり得る。
【0052】
本明細書中で用いる、サブストレート(また、マトリクス支持体、マトリクス、不溶性支持体、支持体または固体支持体ともいう)とは、目的の分子、典型的には、生物学的分子、有機分子または生体特異的リガンドが結合するかまたは接触する、任意の固体または半固体または不溶性支持体をいう。サブストレートまたは支持体とは、化学合成、アッセイおよび他のそのプロセスのための固体支持体のように、直接または適当な誘導化の後に使用される、任意の不溶性物質またはマトリクスをいう。本願明細書で予想されるサブストレートは、例えば、シリコンサブストレートまたはアンチリガンドおよびリガンドおよび他の分子の連結を目的とする表面上で所望により誘導化されるシリコン化サブストレートを含む。他のサブストレートは、細胞が接着するものである。
【0053】
その物質は、化学的および生物学的分子合成および分析のための親和性マトリクスまたは支持体として使用される任意の物質であり、以下に限らないが、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロン、ガラス、デキストラン、キチン、砂(sand)、軽石、アガロース、ポリサッカライド、デンドライマー、バッキーボール(buckyball)、ポリアクリルアミド、シリコン、ラバー、および固相合成、親和性分離および精製、ハイブリダイゼーション反応、イムノアッセイおよびそのような適用で支持体として使用する他の物質といったものである。
【0054】
そのため、サブストレート、支持体またはマトリクスとは、目的の分子、典型的には生物学的分子、高分子、有機分子または生体特異的リガンドまたは細胞が連結または接触される任意の固体または半固体または不溶性支持体をいう。典型的に、マトリクスは、強固または半‐強固の表面を有するサブストレート物質である。多くの実施態様では、少なくとも1つのサブストレートの表面は、実質的に平坦であるか、またはウェルであるが、幾つかの実施態様では、例えば、ウェル、高くした領域、エッチングしたトレンチ、または他のそのようなトポロジーを有する異なるポリマーのための合成領域を物理的に分離することが望ましいかもしれない。マトリクス物質は、化学的および生物学的分子合成および分析のための親和性マトリクスまたは支持体として使用される任意の物質であり、以下に限らないが、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロン、ガラス、デキストラン、キチン、砂(sand)、軽石、ポリテトラフルオロエチレン、アガロース、ポリサッカライド、デンドライマー、バッキーボール(buckyball)、ポリアクリルアミド、Kieselguhr-ポリアクリルアミド、非共有結合混合物、ポリスチレン−ポリアクリルアミド共有結合混合物、ポリスチレン−PEG(ポリエチレングリコール)混合物、シリコン、ラバー、および固相合成、親和性分離および精製、ハイブリダイゼーション反応、イムノアッセイおよび他のそのような適用で支持体として使用する他の物質といったものを含む。
【0055】
本願明細書のサブストレート、支持体またはマトリクスは、粒子であり得るか、またはマイクロタイターディッシュまたはウェル、ガラススライド、シリコンチップ、ニトロセルロースシート、ナイロンメッシュまたは他のそのような物質のような連続表面型であり得る。粒子であるとき、典型的には、微粒子(particle)は、少なくとも5−10mmの範囲またはそれよりも小さい範囲の大きさを有する。本願明細書で「ビーズ」として集合的に言及するその微粒子は、しばしば球状であるが、必ずしもその必要はない。しかし、そのような記載は、ランダムな形、ニードル、ファイバー、および伸びた形を含む任意の形となり得るマトリクスのジオメトリーを限定するものではない。液相中で使用され得るおおよそ球形の「ビーズ」、特にミクロスフェアもまた予期される。「ビーズ」は、更なる成分が本願明細書の方法および分析に邪魔とならない限り、磁石を用いる分離のため、磁性または常磁性粒子(Dyna beads(Dynal, Oslo, Norway)のような更なる部分を含み得る。細胞の収集の場合、当該サブストレートは、それがアドレス可能(すなわち、同定可能)であるように、そして当該細胞が連結され、吸収され、吸着され、または他にはそこに保持されるように、選択される。
【0056】
本明細書中で用いる、マトリクスまたは支持体微粒子とは、別々の微粒子の型であるマトリクス物質をいう。当該微粒子は、任意の形および大きさを有するが、典型的には、少なくとも100mmまたはそれ未満、50mmまたはそれ未満、10mmまたはそれ未満、1mmまたはそれ未満、100μmまたはそれ未満、50μmまたはそれ未満の大きさであり、典型的には、100mmまたはそれ未満、50mmまたはそれ未満、10mmまたはそれ未満、および1mmまたはそれ未満、100μmまたはそれ未満である大きさを有し、立方ミクロン(μ)のオーダーであり得る。その微粒子は、集合的に「ビーズ」と呼ぶ。
【0057】
本明細書中で用いる、高密度アレイとは、1536もしくはそれより多い数または任意の複数の96または他の選択ベース、支持体あたりの位置(典型的には、おおよそ96ウェルマイクロタイタープレートの大きさである)を含む384またはそれより多い数を含むアレイをいう。それぞれのそのアレイは、典型的には、必要ではないけれども、96ウェルマイクロタイタープレートの大きさとなるように標準化される。10、100、200、300、400、500、10(指揮中、nは、0から10まで、およびそれ以上の任意の数である)のような他の数の位置であると理解される。96は、単に例示的な数である。同種であるアドレス可能収集物である場合(すなわち、固体支持体に添付されず)、多くのメンバーが一般的にはよりよい。その収集物は、化学的、電子的に標識され得る(ラジオ周波数、マイクロ波または選択アッセイまたは生物学的相互作用を実質的に邪魔しない他の検出可能電磁性周波数)。
【0058】
本明細書中で用いる、結合層とは、分子が結合するチップデバイスの表面をいう。チップは、シリコンセミコンダクターデバイスであり得、それは、分子への結合に適当であり、当該デバイスがさらされる任意の反応に対し不活性となるように少なくとも表面の一部が被覆されている。分子は、表面に直接的または間接的の何れかで連結し、連結は、共有結合、イオン性相互作用または任意の他の相互作用を介する吸収または吸着により行われ得る。必要ならば、結合層は、分子を連結するための誘導化によるように適用される。
【0059】
本明細書中で用いる、ゲノムチップおよびマイクロアレイとも呼ばれる遺伝子チップとは、高密度オリゴヌクレオチドに基づくアレイをいう。そのチップとは、典型的には、全ゲノムをモニタリングするためにデザインしたオリゴヌクレオチドのアレイをいうが、そのサブセットをモニターするようにデザインされ得る。遺伝子チップは、ハイブリダイゼーション前の、一本鎖または少なくとも部分的もしくは完全に一本鎖であるアレイ化ポリヌクレオチド鎖(DNAもしくはRNAのオリゴヌクレオチドまたは核酸類似体またはそれらの組合せ)を含む。オリゴヌクレオチドは、ある群中の特定ポリヌクレオチドに特異的におよび一般的に唯一、ハイブリダイズするようにデザインされ、それにより、ハイブリッドの形成の特徴により、ある群中のポリヌクレオチドの存在を同定し得る。遺伝子チップは、商業的に利用可能であるか、または調製され得る。典型的にマイクロアレイは、Affymetrix GeneChip(登録商標)アレイを含む。そのアレイは、ガラス、ナイロンまたは他の適当なサブストレートにおけるハイスピードのロボットにより典型的に作製され、アレイ中(またはアレイ上)の位置により定義される(特定できる位置)既知物質の複数のプローブ(オリゴヌクレオチド)を含む。当該オリゴヌクレオチドは使用され、相補性結合を決定し、それにより、標的核酸分子を含むサンプルにおけるパラレル遺伝子発現および遺伝子発見を提供する。そのため、本明細書中で用いる、遺伝子チップとは、マイクロタイタープレートまたは他の固体支持体の表面のようなアドレス可能な位置「アドレス」と結合する複数のオリゴヌクレオチドを含む、アドレス可能アレイ、典型的に二次元アレイをいう。
【0060】
本明細書中で用いる、複数の遺伝子は、少なくとも2、5、10、25、50、100、250、500、1000、2,500、5,000、10,000、100,000、1,000,000またはそれより多い遺伝子を含む。複数の遺伝子は、生物の完全または部分的ゲノムまたはそれらの複数さえも含む。当該生物型の選択は、遺伝子調節領域が選択されるものの中からゲノムを決定する。遺伝子スクリーニングのための典型的な生物は、ヒトおよびマウスのような齧歯動物を含む哺乳類、昆虫、酵母、細菌、寄生体、および植物を含む。
【0061】
本明細書中で用いる用語“標的部位”とは、マトリクス物質、サンプルを有するマトリクス物質、およびサンプルのような物質が沈積および維持され得る固体支持体上の特定の遺伝子座を意味する。固体支持体は1つ以上の標的部位を含み得、これらは無作為に、または規則正しいアレイもしくは他のパターンで配置され得る。MALDI分析のようなマススペクトロメトリー分析に使用するとき、標的部位または沈積物質で生ずる部位は、脱着するサブストレート上でフォーカスされるレーザースポットの大きさと同じかまたはそれよりも小さくなり得る。そのため、標的部位は、例えば、ウェルまたはピット、ピンまたはビーズ、または固体支持体の表面上に位置する物理的バリア、またはそれらの組み合わせであり得、以下に限らないが、ウェル中のチップおよびチップ群上のビーズといったものである。標的部位は、支持体上に物理的に配置され得、支持体の表面上にエッチングされ得、遺伝子座の周りでエッチングした後に残る“タワー”であり得、または相対的な親水性、疎水性、もしくはその中もしくはその上で液体を維持する任意の他の表面化学であり得る。固体支持体は単一の標的部位を有し得るか、または同一もしくは異なり得る多数の標的部位を含み得、固体支持体が1つより多くの標的部位を含む場合には、標的部位は任意のパターン、例えば各標的部位の位置が規定されているアレイを含むパターンで配置され得る。
【0062】
本明細書中で用いる、用語“液体分配システム”とは、予め決定されている量の液体を標的部位へと移すことができるデバイスを意味する。分配される液体の量、および液体分配システムが標的部位へ液体を分配する速度。
【0063】
本明細書中で用いる、用語“液体”は、均一であってもよいし、不均一でもよい、固体ではなく気体でもない物質を意味し、この中には1つ以上の固体物質または気体物質を溶解もしくは懸濁して含み得る。
【0064】
本明細書中で用いる用語“反応混合物”とは、化学的、物理的または生物学的変化がもたらされる任意の溶液をいう。一般的に、分子に対し変化がもたらされるが、細胞に対する変化も意図される。反応混合物は溶媒を含み得、これは、部分的には、もたらされる変化のためおよび変化がもたらされるサブストレートの適当な条件を提供する。また、反応混合物は緩衝液、塩および金属補酵素を含む種々の試薬を含み得、反応物、例えば酵素、ヌクレオシドトリホスフェート、アミノ酸に特異的な試薬を含み得る。便宜上、本明細書において一般的に反応の“要素”に言及するときは、該要素は、例えば、生体高分子またはその産物を含む反応混合物中に存在する細胞または分子であり得る。
【0065】
本明細書中で用いる、サブマイクロリッター体積とは、ナノリッターまたはそれより少ない量で通常測定される体積をいい、例えば、例えば、約500ナノリッターまたはそれ未満、または50ナノリッターまたはそれ未満または10ナノリッターまたはそれ未満を含むか、またはピコリッター、例えば約500ピコリッターまたはそれ未満または約50ピコリッターまたはそれ未満で測定され得る。通常の考察では、用語“サブマイクロリッター”は、本明細書では、約1マイクロリッター未満の反応体積をいうために使用するが、本明細書に開示のシステムおよび方法がピコ体積のようなサブナノリッター反応体積に同様に適用可能であることは当業者に自明である。
【0066】
本明細書中で用いる、ナノリッター体積とは、一般的に、約1ナノリッターから約100未満までの体積、一般的に約50または10ナノリッターをいう。
【0067】
本明細書中で用いる、支持体に関する、要素は、要素または接触角(contact angle)(要素の当該接触角は周囲表面未満である)の相対的“湿潤性”により他のものより低い疎水性として定義される。当該接触角は、液体が送達されるときの表面張力を破壊する角である。親水性サブストレートは、より疎水性の物質よりも相対的により低い接触角を必要とする。ここで、接触角とは、表面間または表面の間の相対的疎水性をいう。ここで、支持体における位置は、周囲領域に対し相対的な疎水性/親水性により定義され得る。
【0068】
本明細書中で用いる、ハイスループットスクリーニング(HTS)とは、目的の構造を同定するための目的のタンパク質をコードする核酸を含む試験タンパク質または細胞のサンプルのような多数のサンプル、または種々のタンパク質またはそれらを含む細胞と相互作用する同定試験化合物を試験するプロセスをいう。HTS操作は、自動化に変えることができ、サンプル調製、アッセイ手順およびその後に大量のデータをプロセッシングするように典型的にコンピューターで処理する。
【0069】
本明細書中で用いる、記号は、バーコードまたはサブストレートに刻み込まれているか、スタンプされているかまたはインプリントされている他の記号のようなコードを意味する。その記号は、ユーザーに知られているかまたはユーザーにより設計された、任意のコードである。一般に、記号は、ユーザーに同定可能であるか、またはコンピューターまたはメモリー中に保存される情報と結びつき、そして情報の同定と結びついている。
【0070】
本明細書中で用いる、表現型とは、自然のまたは他の遺伝子型(遺伝子の配列)の明示をいう。
【0071】
本明細書中で用いる、アミノ酸および保護基の略語および他の略語は、通常の慣例に基づき、適当ならば、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature((1972) Biochem. 11: 942-944参照)に基づく。
【0072】
本明細書中で用いる、アミノ酸(本明細書に見られる種々のアミノ酸配列で生ずる)は、既知の、三文字または一文字表記により明らかとする。ヌクレオチド(種々の核酸フラグメントで生ずる)は、当分野で慣例的に使用する標準の一文字表記で表す。
【0073】
本明細書で式により表される任意のアミノ酸残基配列は、アミノ末端からカルボキシル末端への通常の方向として、左から右への方向を有する。加えて、フレーズ“アミノ酸残基”は、相当物の表(Table of Correspondence)に列挙したアミノ酸および37 C.F.R. §§1.821-1.822(引用により本願明細書に組み込まれる)で述べたような修飾および異常アミノ酸を含む。更に、アミノ酸残基配列の開始または終わりにあるダッシュは、1つまたはそれより多いアミノ酸残基の更なる配列に、またはNHのようなアミノ末端基もしくはCOOHのようなカルボキシル末端基に結合するペプチドを示す。
【0074】
本明細書中で用いる、増幅とは、バイオポリマー、特に核酸の量を増加するための手段をいう。選択する5’および3’プライマーに基づき、増幅はまた、分析するゲノムの領域を制限および定義する役割をする。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびリガーゼ鎖反応のような他の増幅プロトコール、例えばQβレプリカーゼにより触媒される自己触媒複製のようなRNA複製の使用を含む、当業者に既知の任意の手段により行い得る。増幅は、多形性の頻度が決定されるとき定量的に行われる。
【0075】
B.システムおよび方法
マススペクトロメーター、NMR装置、ガスクロマトグラフ、それらの組合せおよび生物学的サンプルのようなサンプルからデータを取得する他のそういった装置のようなデータ取得装置を含むシステム、およびアッセイに基づく判断決定のためのプロセッサーを提供する。プロセッサーは、コンピューターに基づくコーリングコンポーネントによるような統合されているデータ収集およびデータ分析のためのプログラム(ルーチン)を含み、それによって、当該装置は、試験サンプルからのリアルタイム(RT)診断または他のデータ型結果を提供し得る。当該データ収集ルーチンは、データ収集のための装置をコントロールし、当該データ分析プロセスは、データ収集プロセスをコントロールし、例えば、更なるサンプリングの必要性を決定する。データ分析の結果をその装置およびコントロールにフィードバックし(統合し)、よりサンプリングまたは試験の必要性を評価する。
【0076】
商業的なMALDIマススペクトロメーターは、一連のサンプルにおいて、自動測定を行う。自動化のためのソフトウェアパッケージは、スペクトルの質の判断に使用される統合化アルゴリズムを含む。そのアルゴリズムは、特定質量範囲内の、ノイズに対するシグナル比、ピークレゾリューション、および/またはシグナル強度のようなパラメーターを評価する。取得スペクトルが質が低いと決定されるならば、装置パラメーターは調整され、および/または当該ステージは、スペクトルの再取得のためにサンプルの他のセクションへ移動(“ラスター”)され得る。評価および再取得のサイクルは、優位な質のスペクトルが得られるまでか、または所定数の取得試行(acquisition attempt)が行われるまでかの何れかまで繰り返す。次いで、そのスペクトルは、セーブされ、そして当該システムは次のサンプルに移動する。
【0077】
これらのシステムでは、統合された判断アルゴリズムは、行われるアッセイまたはスペクトル中に含まれる生物学的情報に独立するスペクトルの質に基づき決定する。自動化ラン(run)の間、各サンプルのスペクトルを保存する。次いで、特別の目的のアルゴリズムを、サンプル遺伝子型を自動的に決定するように用いる。例えば、SPECTROTYPERマススペクトロメトリーシステム(Sequenom, Inc., San Diego, CA; また米国出願公開番号US-2002-0009394-A1として開示されている4/5/99付け米国出願番号09/285,481;国際PCT出願番号WO02/25567参照)は、他の決定の間、そのサンプルのアッセイ定義に依存するそれぞれのサンプルにおける1つまたはそれより多い遺伝子型を決定し、一般的に最もよいものから最も悪いものまでのそれぞれの質および/または保存的、適度の、アグレッシブで、低い可能性または悪いスペクトルを評価する。
【0078】
上記システムでは、自動化データ収集ルーチンおよび自動化データプロセッシングルーチンの組合せ、二種類のセットの基準をスペクトルの判断の基準に用いる;1つのセットの基準を用い、データ取得プロセスをコントロールし、別のセットを用い、取得スペクトルの生物学的優位性を決定する。しかし、そのツーステップを用い、取得および分析ルーチンは、ミスしたコールおよび不必要な長さの取得時間を生じ得る。これは、“明らかな”取得を定義するスペクトルの特徴は、例えば、正確な遺伝子型決定に必要な同じ特徴を必要としないためである。例えば、不完全伸張が原因となる大きなプライマーピークの存在は、事前に定義したマスウインドウでノイズに対するシグナルの基準に関し許容されるスペクトルとし得るが、生じたスペクトルは、明白な遺伝子型を決定し得るに十分な質となり得ない。遺伝子型決定が高い質であるスペクトルは、データ収集アルゴリズムによる繰り返しサンプリングの要因となるノイズに対するシグナルの比を有することも可能である。この場合、不必要なデータは、スループットでの相当する減少により収集される。異なる基準をデータ収集およびデータ分析に使用するとき、収集される何れかのデータは適当な生物学的結果を与えないか、または追加のデータはより低いスループットを生ずるように収集されることもまた可能である。更に、2つの判断法の間のミスマッチは、サンプルからのスペクトルが大いに複数のサンプルに関し、より複雑となるため、より通常となる。
【0079】
本明細書の方法およびシステムは、データ分析およびデータ収集のアルゴリズムの統合を提供し、遺伝子決定のようなより早く、より正確なMALDI分析を生ずる。本明細書で提供する例示的なシステム(SpectroTyper(商標)システムのようなシステムの修飾である)は、遺伝子型決定結果のような分析結果を保存するデータベースに対するストリームライン化インターフェースを有する高度に最適化されたバージョンのコーリングアルゴリズムを含む。最適化の部分として、スペクトル分析のデータ取得コンポーネントと生物学的コーリングコンポーネントとの間のダイアログをコントロールする十分定義されたプログラミングインターフェースを提供する。当該インターフェースは、フレキシブルであり、コーリングアルゴリズムを修飾し得るモジューラーである。
【0080】
本明細書で提供するシステムおよび方法を用い、遺伝子型のような生物学的結果は、データ取得決定をガイドするが、マススペクトルのような装置出力をガイドしない。本明細書のシステムは、最終的生物学的結果を考慮するが、装置の出力は考慮せず、結果が十分に良好か否かを決定する。当該システムは、当該装置を指令し、更なるデータを得る。幾つかの実施態様では、システムは、繰り返しができないならば、特定のアッセイでの更なるプロセッシングステップを排除し得る。装置の結果を必要としないアッセイの結果を表示し、リアルタイムで表示し得る。
【0081】
本明細書で提供するような装置は、遺伝子型のような診断または対立遺伝子頻度を含む、マススペクトルまたはスペクトルのような指令装置出力、望ましい結果を表示しない(またはそれのみを表示しない)。ここで、例えば、遺伝子型または診断または対立遺伝子頻度のような診断試験の、示された生物学的結果を含むマススペクトロメーターを提供する。
【0082】
本明細書で提供する方法およびシステムは、1つのサンプルおよび複数のサンプル分析での複数の反応の分析を含む複数分析を可能とする。それらはまた、複数のマーカーの分析および同定を必要とする診断試験をリアルタイム分析および出力し得る。本明細書の当該プロセスは、それぞれのアッセイを考慮し得、複数反応におけるそれぞれのアッセイを評価し得、それぞれのアッセイの結果を決定し得る。例えば、嚢胞性繊維症(CF)と結合する約20のマーカーが存在する。20のマーカー全てを分析するCFの臨床試験の場合、1つの複数反応では、20すべてを行うことはできない。複数のサンプルが必要となり得る。本明細書で提供される方法およびシステムは、これを行い得、必要ならば他のサンプルで得られた結果と組み合わされる。当該アルゴリズムを用い、本願明細書で提供するシステムおよび方法は、複数のサンプルの結果であるとして得られた幾つかのサンプルの結果である。ここで、本明細書で提供される方法およびシステムは、関連の生物学的手段を有する装置のような複数の関連装置に接続する。最終的出力は、複数のサンプルの試験の結果から得られ得る遺伝子型のような診断である。当該出力の場合、1つのマススペクトルが存在するか、その複数が存在するかは問題とはならない。
【0083】
リアルタイムでの生物学に基づくシグナルプロセッシングをランするシステムの可能性ある問題は、スループットである。生物学に基づくアルゴリズムでは、ランする時間が重要となり得る。本明細書で提供されるハードウェアおよびソフトウェアは、これらの問題を解決し、生物学に基づく装置コントロールおよびハイスループット分析を可能とする。
【0084】
本明細書に記載するアッセイに基づく判断および機械コントロールを、広範囲のアッセイおよび核酸含有サンプルを用いる384および96ポジションチップのような多くの高密度アレイをランするように使用し、1534またはそれより高い(これらに限らない)のような高密度フォーマットに使用し得る。コーリング効率の改善は、0%から50%を超える範囲で観察される。改善の程度は、アッセイの質および複合化のレベルに依存する。
【0085】
例えば、典型的な実験は、8つの異なるDNAグループ(384反応)で行いそして384−スポットチップに置かれる48アッセイ、4重の試験(例えば、実施例9および10参照)を含んでいた。同じチップを3つのスペクトロメーター装置で連続的に測定した。最初のランは、データ分析アプリケーションソフトウェアなしで行った。“標準的”な設定装置は、固定化質量範囲でのレゾリューションおよびノイズに対するシグナルの比に基づくラスタリングを制御するためにファジーロジックを使用する。そのため、生物学的結果(例えば、遺伝子型)は、当該装置のコントロールには使用しない。次の2つのランは、上記および本明細書で提供のようなデータ分析生物学的結果コントロールを用い行った。当該データ結果は、以下の実施例3(表1)に示す。データの質は、サンプルを連続的なレーザーショットにより消耗するため、連続的データランから減少すると予測され、そのため、コール効率は減少する。表1の結果(実施例3参照)は、データ取得をコントロールする本明細書で提供する方法およびシステムによる、アッセイに基づく判断を用いることにより、コール効率は改善されたことを示す。特に、全体のコール効率は、アッセイに基づく判断を用いる第一のデータランにおいて、“標準的”設定では、77%から90.9%まで改善した。
【0086】
解説したように、本明細書で提供するアッセイに基づく判断は、すべてのアッセイが許容される結果を提供するまで、サンプルあたりのショット制限まで、異なるラスター位置からショットを加えた。そのため、アッセイに基づく判断は、スペクトル出力での大きなプライマーピークにより、または目的のアッセイ以外のアッセイから生ずる大きなピークにより、誤ることはない。スペクトル出力では、例えば、質量6261および質量6574でのピークを図9と図10とで比較し得る(実施例3参照)。これらのピークは、サンプル中の1つのアッセイのCおよびA対立遺伝子を示すことが知られる。図10のスペクトルから、当該アッセイはCAと呼ばれ、本明細書で提供されるアッセイに基づく判断を用いるシステムは保存スコアでCAコールが形成されることが明らかである。図9のスペクトルを見ると、どのコールであるかあまり明らかではない。質量6261のピークが特にノイズであると見ることもできる。その場合、サンプルの異なるセクションからのより多くのショットの平均化の助けとなるが、“標準的”な設定判断は、スペクトルが優位に判断され、当該システムは更なるデータを取得することなく次のサンプルに移るように、スペクトル中のノイズに対するシグナルの良好な比により、誤ることとなる。本明細書で提供するようなアッセイに基づく判断およびデータプロセッシングの利点は、複数アッセイで有利に理解される。
【0087】
C.典型的な実施態様の説明
1.試験システム
今、図1、生物学的サンプルを試験するための典型的な試験システム10のダイアグラム表示を参照する。一般的に、試験システム10は、データベースサーバー13により維持されるデータベースからのアッセイデザインパラメーターを収集する一連のコントローラーを含み、マススペクトロメーター14からの生物学的サンプルを示すデータの獲得およびプロセッシングを指令する、リアルタイム(RT)ワークステーション12を含む。次いで、プロセスしたデータまたは遺伝子型決定結果をデータベースサーバー13のディレクトリー中へダウンロードする。一般的に開示する試験システム10により、典型的なそれぞれのコンポーネントは以下の通りである。試験システム10は、例えば、1つまたはそれより多いコントローラーを含む、ストレージおよびコンピューターコンポーネントを有するコンピューターシステムであり得るRTワークステーション12を有する。1つの実施態様では、RTワークステーションは、データベースサーバー13からのアッセイデザインスペシフィケーションを取得するアッセイコントローラー30(プレートエディターとしてもいう)を含み、イメージシステムを用いチップにおいてレーザーを自動的に整列させるデータ取得コントローラー31を含み、マススペクトロメーターでアッセイサブストレートのモーター移動をコントールし、そしてマススペクトロメーターからの直接のデータシグナルを取得し、そしてデータシグナルを受け取ることおよび更なるデータ取得のために指令を与えることによりコントローラー31と通信するリアルタイムデータ分析コントローラー32を含む。更なるデータ取得は、従前に得られたデータの質に依存し得る。更に、以下に記載するように、データの質は、スペクトル結果についての決定を行い得るか否かのようなアッセイ結果に関し評価し得る。データは、すべてのサンプルからの結果をコンパイルするまで、RTワークステーション12のローカルハードドライブに保存され得る。コンパイルしたデータは、データベースサーバー13のディレクトリー中に保存される。RTワークステーション12は、視覚的に試験結果と通信するためおよびステータス情報のためのディスプレイ16を含み得る。
【0088】
ある実施態様では、RTワークステーション12は、パラレルまたはシリアルインターフェースのような既知のコミュニケーションスタンダードを用いるマススペクトロメーターと通信するIBM互換性パーソナルコンピューターシステムのようなコンピューターである。ワークステーションおよびコントローラーが他に具現化することが評価され得る。例えば、RTワークステーション12は、マススペクトロメーター14または他のシステムコンポーネントに統合され得るか、またはワークステーション12およびコントローラー30、31、32はマススペクトロメーターから離れた位置に置かれ得る。そのような方法では、ワイドエリアネットワークまたはローカルエリアネットワークのようなネットワークトポグラフィーは、マススペクトロメーター14とRTワークステーション12との間でコミュニケーションパスを提供する。RTワークステーション12は、スタンドアローンコンピューターデバイスであるが、1つまたはそれより多いコントローラー30、31、32が、例えば、マイクロプロセッサーまたはプログラム化プロセスを形成し得る他のプログラム可能回路デバイスであり得る。更に、ワークステーション12、1つまたはそれより多いコントローラー30、31、32およびデータベースサーバー13が、単一のデバイスに統合され得るか、または別の、独立して操作するデバイスであり得ることが評価され得る。
【0089】
マススペクトロメーター14は、MALDI飛行時間型(TOF)装置であり得、それは、当業者に既知である(例えば、9/19/00付け出願および発明の名称“SNP Detection Method”である同時係属米国特許出願番号09/663,968、および4/5/99付け出願および発明の名称“Automated Process Line”である米国特許出願番号09/285,481、および米国特許出願公開番号US-2002-0009394-A1として発行されている)。当該マススペクトロメーター14は、ワークステーションコントローラー12と通信するインターフェースで設定されている。当該インターフェースは、接続の容易化のため、既知のデータコミュニケーションスタンダードに適合するようにデザインされ得る。単一のインターフェースは、マススペクトロメーター14からデータを受け取り、マススペクトロメータ14に指令を送る、両方を行うコントローラー12に可能とするけれども、2つまたはそれより多い別のインターフェースを使用し得る。典型的な試験システム10は、MALDI TOFマススペクトロメーターを組み込むが、他の型の分析装置およびマススペクトロメーターを使用し得ることが評価され得る。
【0090】
試験システム10は、ダイレクトアクセスストレージデバイスに保存されるデータベース18、データベース19、データベース20、データベース21およびデータベース22のような1つまたはそれより多いデータベースを有するデータベースサーバー13を提供し得る。そのデータベースは、アッセイデザイン、遺伝子型プロファイル、対立形質プロファイル、マススペクトルおよびそのような他のデータまたは指令のセットを保存し得る。他の型のデータストレージが使用し得ることが評価され得る。構造化したデータベースは、データを保存しおよび収集する通常のフォーマットを提供する。典型的な実施態様では、データベース18のようなデータベースの1つは、アッセイデザイン情報を保存し、データベース19は遺伝子型決定プロファイルを保存し、データベース20は、対立形質プロファイルを保存し、データベース21は、サンプル同定情報を保存し、一方、他のデータベース22は、後の分析の試験結果を保存する。多かれ少なかれ(fewer or more)データベースはアッセイおよび試験情報の保存に使用され得ることが理解され得る。望ましいならば、データベースは、ワークステーション12とデータベースサーバー13の間に分布し得る。データーベースサーバー13はまた、コントローラー23およびコントローラー24のような1つまたはそれより多いコントローラーを含み得る。典型的な実施態様では、コントローラー23は、アッセイサブストレートまたはチップ上の各サンプルのデータ取得をモニターする。一旦、データをアッセイ中の全てのサンプルから受け取ると、データモニタリングコントローラー23は、すべてまたは一部のアッセイ情報をダウンロードし、試験結果データベース22中のディレクトリー中に情報を保存する。コントローラー24は、結果データベース22中のディレクトリー中にデータをインポートする。
【0091】
RTワークステーション12は、アッセイデザインデータベース18からアッセイデザイン情報を抽出し、そしてマススペクトロメーター14へ特定の指令を与えるためのフォーマットにアッセイデザイン情報を変換する優位なプロセッシング能力を有する。例えば、コントローラーは、データベース18にアクセスでき、特定のアッセイデザインを要求することができる。特定のアッセイは、数百、または更に数千のサンプルをそれぞれのプレート上に有するマイクロタイタープレートを提供するようセットアップし得る。当該試験は、特定のオーダーで試験され、従前の試験の結果に基づくサンプル(オーダーは調整され得る)、または幾つかのサンプルは、更にアッセイから排除され得る必要があり得る。RTワークステーションは、アッセイデザイン情報を受け取り、マススペクトロメーター14のコマンドにアッセイデザイン情報を変換する。アッセイの開始において、RTワークステーション12は、アッセイデザインと一致のマススペクトロメーター14に開始コマンドを送る。
【0092】
データベースからのアッセイデザインの抽出およびマススペクトロメーターコマンドの作成は、時間がかかり、プロセッサーに集中する操作であり得る。マススペクトロメーターのよりリアルタイムなコントロールを妨害しない抽出プロセスには特に望ましくない。したがって、RTワークステーション12は、データベース抽出プロセスおよびデーターベース保存機能を、バックグラウンドタスクとして、あるいはそのようなタスクがマススペクトロメーター14のよりリアルタイムなコントロールを本質的に邪魔しないときに、実行するように設計され得る。RTワークステーション12は、オペレーターによる情報のマニュアルインプットにより、またはバーコードまたは他の記号を読む光学的リーダーまたは他のそのようなリーダーのような自動スキャンニングシステム(バーコード情報のような記号は、プレートまたはチップを同定する)により、アッセイプレートまたはチップ上の生物学的サンプルの物理マップを定義する。
【0093】
マススペクトロメター14は、分析のための生物学的サンプルを受け取り、リアルタイムワークステーション12からの指令の下、試験したサンプルと結合する遺伝子型のような情報を示す電子的データシグナルを生ずる。当該装置は、マニュアルで、またはディフォルトモードの何れかで特定のデータ取得パラメーターを提供するとき、開始される。取得パラメーターは、スポットあたり多数のレーザーショット、サンプルあたりの最大数のラスター相互作用、および電圧、遅延時間、キャリブレーション定数および当業者に既知の他のパラメーターを含み得る。マススペクトロメーターは、試験アッセイパラメーターにより開始し、生物学的サンプルを示すデータを取得する。より特に、マススペクトロメーターにより取得したデータは、典型的には、電子データスペクトルの型である。電子データスペクトルは、RTワークステーションにより収集され得る。
【0094】
RTワークステーション12が、イメージングシステムを用いるアッセイ表面またはチップ上にマススペクトロメーターレーザーの自動アライメントを指令し、そしてサンプルからサンプルへ、複数アッセイ表面またはチップがマルチコンポーネント支持体中に保持されるときにはアッセイ表面からアッセイ表面へ、レーザーの移動をコントロールするときに、生物学的サンプルは分析される。
【0095】
遺伝子型決定情報のような生物学的情報は、RTワークステーション12によりマススペクトロメーター14から直接取得する。シグナルは、RTワークステーション12によりマスデータスペクトルに変換され得、この場合、遺伝子型が決定される。遺伝子型のようなサンプル情報をコールすることができないならば、RTワークステーション12は、状態を認識し、マススペクトロメーター14に調整を指令する。例えば、取得スペクトルが、許容されない、ノイズに対する低いシグナルの比を有するならば、ワークステーションコントローラー12は、同じサンプルを再び試験するようにマススペクトロメーターに指令し得るが、サンプル上の異なるスポットにビームを向けるようにマススペクトロメーター14を調整するかまたは他のパワーセッティングまたは測定フィルターを選択し得る。他の例では、コントローラー12は、集合結果中の標準偏差が望ましい程度の確実性に到達するまで、同じサンプル由来の一連のデータセットをとるようにマススペクトロメーター14に指令し得る。同じサンプルを複数回試験するが、各試験はサンプル上の特定スポットからとると理解すべきである。
【0096】
本明細書で提供する方法およびシステムにより示すように、試験標準は、行うアッセイの結果を更に含む。本明細書で提供するシステムは、生物学に基づく決定結果(サンプルの遺伝子型についての結論のような)を使用し、試験機構の操作をコントロールし、繰り返し試験(ラスタリング)が必要かどうか決定する。
【0097】
データ取得コンポーネントおよびデータ分析コンポーネントを有する典型的な実施態様のモジューラーデザイン(図1)は、非常に理想的なフレキシビリティーを提供する。それぞれのコンポーネントは、特定目的の操作を開発し、生物学的アッセイをコールするためにコントロールする操作で修飾され得る。そのため、当該コンポーネント操作は、異なるアッセイ型に適するように修飾し得る。当業者は、広く種々のコンポーネントインターフェース設定を、分析ソフトウェアアプリケーションコンポーネント間での通信を促進するように使用し得ることを、理解する。
【0098】
2.RTワークステーション
図7は、図1のRTワークステーションを示す。コンポーネント206、208、および210は、図1のRTワークステーション12の一部である;コンポーネント204および202は、図1のマススペクトロメーター14を作製する。図7は、本明細書で提供の典型的な試験システム200のブロックダイアグラムである。図7のRTステーションおよび以下で考察する図2および4によるプロセッシングを用いる図1のシステムは、効率のよい装置オペレーションを提供する。図7に示すRTステーションの実施態様では、マススペクトロメーターワークステーション204によりコントロールされるマススペクトロメーター装置202は、本明細書の記載により操作するコンピューター分析ワークステーション206と通信する。典型的な装置は、Bruker Daltonik GmbH of Bremen, Germanyから利用可能な“Biflex”マススペクトロメーターのようなMALDI飛行時間型装置を含む。装置をコントロールするワークステーション204は、例えば、Sun Microsystems, Inc. of Santa Clara, California, USAから利用可能な、Sunワークステーションを含み得る。
【0099】
ワークステーション206は、ディジタイザー(digitizer)208およびフレームグラバー(frame grabber)210を装備したパーソナルコンピューター(PC)として設定し得る。当該フレームグラバーは、上記の機構視覚化システムの一部である装置のサンプル視覚化カメラ(説明せず)からのビデオイメージデータを受け取る。当該フレームグラバーは、National Instruments Corporation of Austin, Texas, USAのモデルIMAQ PXI−1411を含み得る。当該ディジタイザー208はアナログデータを受け取り、それをでデジタル表示に変換する。当該ディジタイザーは、例えば、Signatec, Inc. of Corona, California, USAのモデル“PDA500”500−MHz、8ビットディジタイザーを含み得る。
【0100】
システム200では、装置202と装置ワークステーション204との間で通常に繰り返される4シグナルが、変わりに、装置とコンピューター分析ワークステーション206との間で繰り返される。4つのシグナルは、当該装置のMCPディテクターの出力、当該
装置のレーザーおよび高電圧電子のトリガーコントロール、データ取得を引き起こしに使用する光ダイオードディテクターの出力、およびサンプル視覚化カメラからのビデオシグナル中に含まれるか、またはそれらによるものである。ビデオシグナルは、イメージビューアディスプレイ136(図6)を提供する。MCPディテクターの出力は、ゲイン−ファイブアンプリファイア(gain-five amplifier)および90MHzのカットオフ周波数を有する受動ローパスフィルターを通過する。アンプリファイアは、例えば、Stanford Research Systems SR445アンプリファイア(Stanford Research Systems, Inc. of Sunnyvale, California, USA)を含み得、ローパスフィルターは、例えば、Mini Circuits BLP-90フィルター(Mini-Circuits, Inc. of Brooklyn, New York, USA)を含み得る。
【0101】
装置ワークステーション204およびコンピューター分析ワークステーション206は、例えば、TCP/IPプロトコルのようなネットワーク接続プロトコルを用い互いに通信し得る。当該通信は、プレートまたはチップのサンプルからサンプルへ、装置202のサンプルハンドリングステージを移動し、そして異なるラスター位置に対する装置のレーザーの真下のそれぞれ個々のサンプルの位置付けに関しステージを移動するコンピューター分析ワークステーション206により使用される。
【0102】
そのため、コンピューター分析ワークステーション206は、リアルタイムでの出力による、スペクトル出力の取得、出力のプロセッシング、および装置202のコントロールの能力を有する。遺伝子型のような生物学に基づく結果に関する装置出力は、サンプルがラスターするかどうかの決定に使用される(同じサンプルからの複数のデータ取得)。ワークステーション206は、行う決定をコントロールするセットアップオペレーティングパラメーターの数をユーザーが特定し得るソフトウェアアプリケーションを実行する。当該ソフトウェアアプリケーションをワークステーション206に、プログラムメモリー中にインストールする(示さず)。当該インストールは、例えば、磁性媒体(フロッピー(登録商標)ディスク)または光学媒体(CDディスクまたはDVDデータディスクのような)により行い得、ネットワークコミュニケーションダウンロードにより行い得る。これは、アプリケーションソフトウェアに対する修飾により容易に修飾されるワークステーションの操作を可能とする。
【0103】
例えば、典型的な実施態様では、分析ワークステーション206は、当該装置により一連のサンプルをランするようにセットアップされ、ここで、各サンプルでは、所定セット数の装置アクチベーション(レーザーショット)が行われ、出力は、当該装置により作成されるスペクトルを生ずるよう平均化される。サンプルあたりのショット数は、サンプルランのユーザーにより特定され得る。ワークステーションは、ショット結果を収集し、それらの平均化し、次いで、そのサンプルを定義または特定化した各アッセイを独立して判断する。サンプルの判断の結果(アッセイスコア)が“適度な”ランキング未満であるならば、次いで、ワークステーション206は、当のアッセイの装置からの更なるデータ収集(ラスタリング)の要因となる。
【0104】
ワークステーション206により順序づけられるサンプルからの任意の更なるデータを同時に平均化し、当該データを装置202から収集した最初のデータに加える。アッセイの結果を、前のように決定し、アッセイスコアが、新規データの添加により改善されるならば、次いで、新規合計データ収集を維持する。データ収集および判断のサイクルは、セット数のショットまたは試行(attempt)が、所定制限数を超えるまでか、または“適度な”ランキングを達成するかまたはより良いスコアがサンプル中の各アッセイで達成されるまで、続く。システム200の操作は、図4でより詳細に記載する。
【0105】
3.典型的な試験プロセス
今、図2を参照すると、生物学的サンプルを試験する方法が示されている。試験の典型的な方法は、ブロック21での生物学的関係の存在を予測するスペクトル基準を事前に決定する。その基準は、以下に限らないが、対立遺伝子比、マーカー、シグナル強度、遺伝子型コーリング法および会合(association)を含む。所定スペクトル基準は、ランするアッセイに依存して変化する。例えば、スペクトル基準は、最小の対立遺伝子比を確実に超えるようにセットし得る。これに関し、当該スペクトル基準は、取得データを拒絶するようにセットし得、ここで、対立遺伝子比は、5%未満のような限界を下回る。他の例では、特定マーカーの存在が、取得データを有効とするため必要となり得る。他の例では、スペクトル基準は、有効性として取得データを受ける前にピークがノイズに対するシグナルの比(figure)を超えることを必要とする。更に、統計学的な方法を、特定ピークが統計学的に優位かどうかを決定するため、取得データまたは取得データのセットに適用し得る。その統計学的方法を用い、生物学的サンプルの組成物をコーリングする正確さを劇的に増大し得る(例えば、以下参照、9/19/00付け出願および発明の名称“SNP Detection Method”である同時係属米国特許出願番号09/663,968、および4/5/99付け出願および発明の名称“Automated Process Line”である米国特許出願番号09/285,481、およびスペクトルデータを取得する統計学的方法の適用を例示する米国特許出願公開番号US-2002-0009394-A1として発行されている)。当該スペクトル基準は、本明細書の開示と適合する多くの方法で定義され得ることが評価され得る。
【0106】
事前に定義したスペクトル基準により、ブロック22は、アッセイデザインが定義され、次いで当該装置のコントロールにおける使用のためのデータベース中に保存され得ることを示す。典型的なアッセイは、以下に限らないが、SNP検出/同定アッセイ、診断アッセイ、生体分子検出/同定アッセイおよび他のアッセイ、特に、生体分子またはバイオポリマーの検出および/または同定を含むアッセイを含む。典型的な実施態様では、装置は、MALDI TOFマススペクトロメーターである。他のマススペクトロメーターを含む他の装置が置換され得ることが評価され得る。定義されたアッセイデザインは、装置の最初のセッティングの作成に使用され、次いで更にアッセイ試験間に装置への指令に使用される。
【0107】
次いで、生物学的サンプルを、特定アッセイのステップおよびプロトコールにより定義および必要とされるような装置における試験のためのブロック23に位置づける。当該サンプルは、マイクロタイタープレートのような支持体(ホルダー)に位置づけ得る。以下に限らないが試験管またはチップを含む他の型の支持体がマイクロタイタープレートに置き換え得ることが評価され得る。単一の支持体での1つのアッセイのための全てのサンプルをおくことが通常であるけれども、単一のアッセイ用のサンプルは複数支持体上に置くことができる。
【0108】
当該支持体は、ブロック24に示すような装置中に位置する。当該支持体は、手動で位置づけられるか、ロボットコントロールの下、位置づけられ得る。当該支持体がロボット的にコントロールされるならば、次いで、アッセイデザインから抽出される情報は、当該支持体中の適当な支持体におくよう当該ロボットコントロールに指令するために使用され得る。手動で位置づけるならば、視覚的なディスプレイは、適当な支持体を同定しおよび確かめる人間のオペレーターをアシストするのに使用され得る。
【0109】
ブロック25−28は、当該装置のリアルタイムコントロールを示し、更に以下に記載する。このリアルタイムコントロールは、当該装置の自動化および効率的な操作を可能とし、既知システムでは利用できない試験結果に正確さおよび繰り返し可能性を提供する。
【0110】
ブロック25では、当該装置は、生物学的サンプルからのデータセットを取得する。典型的な実施態様では、取得データは、取得データスペクトルの型である。上記の'968 Applicationに記載の典型的なシステムでは、当該データセットは、各ピークの高さの最初の発見、次いでノイズプロファイルの外挿、および各ピークのノイズの発見、次に、ノイズに対するシグナルの比(s/n比)の算出、および残りのエラーの発見、およびノイズに対するシグナルの比の算出および調整、および可能性あるプロファイルの開発、およびピークの可能性の決定、および対立遺伝子ペナルティーの決定、対立遺伝子ペナルティーによるピークの可能性の調整、および遺伝子型の可能性の算出、および遺伝子型可能性の比の試験によって、作成される。
【0111】
取得データは、ブロック26で評価される。典型的な実施態様では、取得データは、従前に定義されたスペクトル基準に対し比較される。上記のような、この比較は、例えば、ピーク強度、ピーク位置、マーカー、s/n比、対立遺伝子比、または統計学的算出の比較であり得る。更に、当該比較は、例えば、特にマーカーの位置づけを最初に必要とし、次いでノイズに対する適当なシグナルの比の存在を試験する、多次元であり得る。比較ステップ26は、例えば、当該グループの標準偏差を算出する複数の取得データセットからのデータを使用し得ることが評価され得る。従って、当該比較により、当該結果が新しい取得データから得られるかどうか決定するデータセットのグループ中の標準偏差を比較する。
【0112】
当該比較の応答として、ワークステーションコントローラーはブロック27の装置を調整する。例えば、ノイズに対するシグナルの比が、最初のデータセットで低すぎるならば、当該装置は、当該同一サンプルであるが、サンプル上の異なるスポットで試験するように調整され得る。新規標的スポットへ移動することにより、新規データは、同じサンプル用に取得され得る。これをラスターという。新規スポットの試験において、異なるまたはより良い分析結果が見られ得ることも十分可能である。そのため、第二スポットでのリーディングを行うと、単一スポットの試験のみが可能でないとき、サンプルでの分析コールを可能とし得る。更に、各サンプル上の更なるスポットを試験することにより、単一試験スポットのみを信頼するよりも低いエラー率である集合結果の算出が可能となり得る。当該装置の取得データおよびコントロールの評価を自動化することにより、全てのアッセイ試験を、必須レベルの精度および許容性を提供するように操作し得る。従って、最大数のサンプルを、特定アッセイとして正確にコールされ得るが、また、時間およびシステムリソースは、必要以上のスポットを試験することにより浪費されることはない。
【0113】
特に、更なるサンプルをコントロールする試験基準としてアッセイ結果または結論を使用し、サンプル試験は、不必要な試験サイクル(ラスタリング)を減少させ、試験結果の信頼性を増加することにより試験システムの効率およびスループットが増加することがわかる。
【0114】
当該装置を調整し、次のデータセットを取得するようにセットした後、当該方法は、次のデータセットを取得するブロック25に戻る。上記のように、次のデータセットは、同じサンプル用となり得るか、またその装置は、次のサンプルに調整され得る。試験を完了した後、プロセッシングはブロック28に移動する。
【0115】
ブロック28は、取得データの結果を、目的の生物学的関係の存在を決定するように分析することを示す。例えば、当該アッセイは、特定の単一のヌクレオチド多形(SNP)を位置づける試行をし得るか、または対立遺伝子の決定をし得るか、または遺伝子型決定をし得る。探索する特定生物学的関連性に関係なく、当該探索の連続的成功は、更なるデータ取得を目的とする図2の試験方法により使用され得る。例えば、複数のサンプルアッセイで、生物学的関連を最初のサンプルのみの後に制御するならば、次いで当該方法は、アッセイにおけるサンプルの残りの試験をスキップし、移動するように指令し得る。他の例では、特定アッセイのための複数サンプルを試験した後、当該結果がまだ不明瞭であるならば、ブロック28は、その不明瞭さが、特定サンプルの結果の明瞭性を増加することにより、除かれ得るかどうかを決定するために使用し得る。もしそうならば、当該試験は、ワークステーションにより、自動的に、更なるデータ取得をし、アッセイをサルベージする試行をするよう指令され得る。その自動化および判断力のあるプロセスなしでは、当該アッセイは拒絶される。従って、図2の試験方法は、既知試験方法よりも、高レベルのコール、および高レベルのコール明瞭性を提供する。
【0116】
今、図3を参照すると、生物学的サンプルを試験する他の方法が示されている。図3の試験方法40は、一般的に、イニシャライゼーションループ41、コントロールループ42、および結果ループ43を有する。当該コントロールループ42は、データセットの取得、スペクトル基準を事前に決定するデータセットの比較、および取得データの評価に応答する装置の調整の要因となる。この点、当該コントロールループは、全試験システムをタイムリーに操作するに十分に効率的に操作しなければならない。そのため、特定のセットアップおよびストレージ機能を、バックグラウンドループ41および43にオフロード(off-load)した。多かれ少なかれ機能性は、コントロールループ42で必要とされる異なる応答時間に適応させるバックグラウンド41、43におかれ得ることが評価され得る。
【0117】
イニシャライゼーションループ41は、ブロック44中のアッセイデザインおよびプレート情報の保存を許容するバックグラウンドループである。典型的に、アッセイデザインおよびプレート情報は、データベース型で保存される。典型的にアッセイデザインおよびプレート情報のデータベースは、複数試験システムにより使用され得、遠隔的にアクセス可能である。その方法では、遠隔リサーチャーは、単一のデータベースでのアッセイを定義し得、その新しい定義のアッセイは、複数試験システムで操作され得る。
【0118】
アッセイ情報を抽出およびコントロール情報へ変換することは、時間のかかるプロセスであるため、当該抽出プロセスは、ブロック45中で行う。もちろん、典型的なコンピューターワークステーションのコンピューターパワーは増大するため、コントロールループ42の一部を構成する抽出プロセスが作成することが望ましいことも、評価され得る。抽出ステップは、一般的に、バックグラウンドステップであるため、当該抽出プロセスは、次のアッセイで行われ得、その一方、当該コントロールループ42は、実際に、アッセイを行う。そのため、コントロールループがアッセイを終了するとき、ブロック45から抽出した情報は、ブロック51へ送られ、次のアッセイのためにコントロールループ42を開始し得る。
【0119】
ブロック45からの情報をブロック51で受け取り、ここで、当該情報は、当該装置の開始に使用する。典型的な実施態様では、当該装置は、MALDI TOFマススペクトロメーターである。当該開始コマンドは、試験するための最初のサンプルの同定、適当なパワーセッティング、およびデータの望ましいフィルタリングを含み得る。
【0120】
サンプルをブロック52の試験のために選択し、データをブロック53の試験サンプルから取得する。取得データは、取得データの標的特性を決定するように優位にプロセスされ得る。例えば、ノイズに対するシグナルの比が、試験の質の重要な指標であるならば、ノイズに対するシグナルの比は、取得データとして算出され得る。より特に、取得データは、所定スペクトル基準との比較を促進するようにプロセスされる。
【0121】
前に考察したように、事前に定義したスペクトル基準は、良好なデータの分析特性を定義する。ブロック54では、取得データは、事前に定義したスペクトル基準と比較され、更に、生物学的情報を抽出するようにブロック54でプロセスされる。取得データが良好、ブロック54では“YES”という結論であるならば、当該データは、フォーマットされ、ブロック58で示される。しかし、取得データが良好ではない、ブロック54では“NO”という結論ならば、次いで、ブロック55は、最大数のスポットがこのサンプルでショットされるかどうかを調べる(ask)。ボックス55は、最大数のラスターについてチェックされる。例えば、典型的なマススペクトロメーターは、任意の所定のサンプル上で最大、約15から20ショットとなり得る。当該試験の信頼性を評価するため、サンプルおよび当該装置に依存して、20のようなセーフの数、または他の数に最大値をセットすることが、価値があり得る。当該サンプルは、ラスターの最大数を超えるならば、更にプロセスされない(ブロック55では“YES”という結論)。それぞれのラスター位置で、20のレーザーショットが測定され、そのレーザー位置からのスペクトルを得るように平均化される。そのため、10スポット未満がショットされるならば、ブロック55では“NO”という結論、次いで、当該装置は、ブロック56で新規スポットに調整され、データは、ブロック53中の新規スポット上で取得される。ブロック54では、新規取得データは、スペクトル基準と比較される。他に、ブロック54は、集合データが良好かどうか決定するために複数試験スポットからの集合データを使用し得る。
【0122】
一旦、サンプルは、良好または不適当なアッセイ結果を提供するように判断されるか、または最大ショットが超えるならば、次いでブロック59は、アッセイ中によりサンプルが存在するかどうか調べる(ask)。そうならば、ブロック59では“YES”という結論、次いで当該装置は、次のサンプルをショットするブロック61で調整される。すべてのサンプルを試験するならば、ブロック59では“NO”という結論、次いでコントロールループ42はリセットされ、次のアッセイループがブロック51で開始される。
【0123】
コントロールループ42が完了すると、次いで、当該アッセイの結果はバックグランド結果ループ43を通過する。結果ループ43は、ブロック63中のデータで更なるポストプロセッシングされ得、それは、当該結果の手動の再調査を含み得る。次いで、当該データおよび結果はブロック65中に保存され得る。典型的に、当該データおよび結果は、離れた位置からアクセス可能なデータベースに保存され、そのため、遠隔リサーチャーまたは他の試験オペレーターは、当該結果を再調査し得る。当該ループは、全てのアッセイ結果に関し繰り返す。
【0124】
今、図4を参照すると、他の試験方法70が説明されている。試験方法70によって、アッセイデザイナーは、ブロック71中で各生物学的サンプルの最小標準を確立し得る。より特に、当該試験方法70は、各サンプルの結果の信頼を増大することを目的としている。上記のように、典型的なマススペクトロメーターは、単一生物学的サンプルの複数スポットからのデータセットとし得る。試験方法70によって、当該試験は各サンプルの信頼性を劇的に増大し得、その一方、取得しなければならない試験サンプルの数を減少する。
【0125】
試験方法70では、生物学的サンプルは、ブロック72で選択され、データセットは、ブロック73で取得される。ブロック74では、取得データは、当該サンプルのデータ基準セットに対して評価される。例えば、当該データ基準は、フロア値を超えるノイズに対するシグナルの比を予想し得る。この点に関し、特定のサンプルのために取得した各データセットは、当該データ基準に比較される。他に、同じサンプル中の複数ショットから収集したデータを比較に用い得る。例えば、当該データ基準は、同じサンプルでのスポット間での標準偏差は特定の値を超えないことが必須である。そのため、比較ステップは、信頼性がサンプルのコールで優位に高いかどうか決定する単一サンプル中の全てのスポットに関し標準偏差を決定することを含み得る。比較ステップは、個々のデータセットまたはデータセットの集合の何れかで、広範囲の分析およびアルゴリズム計算を必要とし得ることが評価され得る。
【0126】
重要なことに、試験方法70は、データ取得の数を最小とする方法でデータ基準をセッティングすることが可能である。例えば、当該データ基準は、単一データセットが、集合データセットに対する、ひとつのレベルを満足するか、またはひとつの低い方のレベルを満足するするノイズに対するシグナル比を有するとき、サンプルを受入れるようにすることができる。そのため、単一の強力なリーディングは優位に強固となり得、複数ショットは、そのサンプルでは必要とはならない。類似の方法で、当該比較は、2つの連続ショット間での標準偏差が5%未満であるならばサンプルデータを受け取り、または当該標準偏差が3ショットでは7%未満であるかまたは4またはそれより多いショットでは10%未満であるならば当該データを受け取るように、セットされ得る。そのフレキシブルなデータ基準により、アッセイデザイナーは、最小のデータリーディングでの高程度の信頼性をセット可能となる。従って、試験システム70は、既知システムと比較すると高程度の効率および信頼性で操作する。
【0127】
上記のように、試験方法はまた、アッセイ試験結果または他の生物学に基づく基準に依存してデータ基準のセッティングを可能とする。この環境では、当該比較は、アッセイの結果が、特定の遺伝子型が例えば高い可能性(試験および遺伝子型および他の変異型に依存して、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより大きい)を有することを示すならば、サンプルを受け取り、そして当該遺伝子型がまだ不確定であるならばデータの取得を続けるようにセットされ得る。
【0128】
一旦、データ基準を満足すると、ブロック75では“YES”という結論、当該結果は、データベースのようなブロック76中に保存され、当該装置は、ブロック77中の次のサンプルに移動するように調整される。従って、新規サンプルは、ブロック72中で選択される。
【0129】
当該データ基準をまだ満足していないならば、ブロック75では“NO”という結論、次いで、ブロック78は、サンプル上に任意の残りのスポットがあるかどうか調査する。非ショットスポットが存在するならば、ブロック78では“NO”という結論、当該装置は、新規スポットからデータを取得するようにブロック79中で調整され得、そして当該データは、ブロック73中の新規スポットで同じサンプルから取得される。当該データ基準を満足していないならば、ブロック75では“NO”、そして非ショットスポットがないならば、ブロック78では“YES”という結論、次いでその特定のサンプルは拒絶され、そして試験はブロック72で新しいサンプルへ移る。
【0130】
今、図5を参照すると、診断試験方法100が例示されている。診断試験法は、存在する特定の生物学的関係を証明するサンプルのセット間の関係を発見することを目的とする。例えば、特定の臨床診断は、個体からの複数のサンプルを見ることができ、その後、当該個体が、嚢胞性繊維症のような特定の疾患の危険性を同定することができ、ここでは、複数マーカーの同定が、行うべき診断に必要である。本明細書で提供する診断試験は、マススペクトロメトリーに基づくシステムを用いるような、高レベルの確実性および高レベルの効率性の臨床診断を許容する。
【0131】
診断試験方法100は、ブロック101でアッセイデザインおよび関連基準を受け取る。当該関連基準は、値および確実性の範囲を定義し、ここで関連が同定され得る。典型的な実施態様では、関連は、特定の個体が特定の疾患にかかる可能性または危険性である。その評価の正確性は、重大な結果を有するため、その同定は、最も信頼のある条件下でのみ行われることが、重要である。従って、既知のシステムは、個体の健康に関して強烈な告知をするに十分な信頼性を確立する(build)、過剰(redundancy and over)の試験を必要とする。
【0132】
ブロック102では、サンプルのセットは、その関連を試験するため同定する。試験すべき、幾つか、更には何万ものサンプルが存在し得るため、サンプルの当該セットが複数支持体上に存在し得る。そのため、試験方法100は、必要に応じて異なる支持体にデリバーしロードするようオペレーターまたはロボットに指示すると説明される。
【0133】
特定のサンプルがブロック103中のセットから選択され、データは、ブロック104のサンプルから取得される。当該取得データは、ブロック105中の関連基準に対し評価される。典型的な実施態様では、試験システム10(図1)は、従前に考察された試験法70の態様を組み込み、各サンプルの結果が確固たるものとなる信頼性を増大する。単一の生物学的サンプルをオーバーサンプリング(ラスタリング)する従来考察した方法は、単一サンプルからのデータにおいて信頼性が劇的に増大し得る。
【0134】
ブロック106では、取得データは評価され、目的の関連性を支持するかどうか決定する。データが目的の関連性を支持しないならば、“NO”という結論、次いで、当該関連性は、ブロック111中のセット中には存在せず、試験は、ブロック110中のサンプルの次のセットに移動することが報告されている。サンプル結果における高程度の信頼性のため、試験方法100の場合に全サンプルを拒絶し、次のセットに移動することが可能である。従って、試験方法100は効率よく操作され得る。
【0135】
ブロック106が、データが関連性を支持することを発見するならば、“YES”という結論、次いで、ブロック107は、取得した当該データが、事前に定義した基準と一致する関連性の存在を相当に決定的に証明するかどうかを調べる。十分なデータが収集され、関連性が証明されるならば、ブロック107では“YES”という結論、次いで、ブロック112は、関連性が存在し、当該試験は、次のセットのサンプルへ移動することをリポートする。そのため、試験方法100は、効率的な操作を可能とする診断をコールするため多くのデータ取得を必要とするのみである。
【0136】
ブロック107は、収集データが生物学的関連性を証明しないことを発見するならば、“NO”という結論、次いで、ブロック108は、サンプルセット中で試験するより任意のサンプルが存在するかどうか調べる(ask)。よりサンプルが存在しないならば、ブロック108では“NO”という結論、次いで、ブロック113は、当該関連性が証明されず、当該試験がブロック110で次のサンプルセットに移動することをリポートする。試験すべきサンプルがより存在するならば、ブロック108では“YES”、次いで、当該装置は、ブロック109中で次のサンプルに調整され、データは、ブロック104中の新規サンプルから取得される。
【0137】
図6は、試験システムのための例示的なユーザーディスプレイ130を示す。当該ユーザーディスプレイ130は、例えば、ワークステーション12のようなIBM互換性コンピューターシステムに接続したコンピューターモニター上に表され得、ディスプレイ16は図1に示されている。典型的な実施態様では、ユーザーディスプレイ130は、本明細書で提供されるアプリケーションプログラムのようなディスプレイプログラムに適合し、ワークステーション12にインストールされたMicrosoft(登録商標) Windows(登録商標)を用い表される。
【0138】
ユーザーディスプレイ130は、最も最近に取得したデータセットのデータスペクトルを示すためのスペクトルウインドウ132を有する。スペクトルウインドウ132により、オペレーターは、装置により収集されたデータを、ほぼリアルタイムで見ることができる。複数のスポットが特定サンプルへショットされるならば、それぞれ連続データスペクトルは、異なる色で表され得、そのため、スポット間の変化が容易に認識される。
【0139】
ユーザーディスプレイはまた、支持体表示ウインドウまたはフレーム134を有する。図6の支持体表示は、マイクロタイタープレート中の各サンプルウェルを示す。例えば、ウェル表示は、物理的マイクロタイタープレート支持体中のウェルを示す。それぞれのウェルを試験するため、ウェル表示は、サンプルが許容されるかまたは拒絶されるかに基づいて異なる色を生ずる(turn)。結果ディスプレイ138は、アッセイデータを示し、結果クオリティーディスプレイ140は、データセットのランデータを示す。従って、試験が進むと、オペレーターは特定の全体的な問題を認識し得る。例えば、特定カラム中の全てのウェルが失敗するならば、次いで、その特定カラムを満たすために使用するシリンジによる問題を生じ得る。
【0140】
結果ディスプレイ138中に提供される情報は、相当するウェルのためのアッセイプロファイルを同定するアッセイ同定数と共に、サンプルプレートまたはチップのそれぞれのウェルのウェル番号を含む情報のカラムを含み得る。当該情報はまた、例えば、遺伝子型決定アッセイ、遺伝子型結果カラムおよびステータスカラム中に含まれ得る。当該ステータスカラムは、遺伝子型結果のような結果を適用可能ならば作成する信頼性の程度を示すようにデザインし得る。当該ステータスは、典型的に、遺伝子型コールで高いレベルでの信頼性を意味する“保存的な”表示で示されるか、または遺伝子型コールで低いレベルでの信頼性を意味する“アグレッシブな”表示で示される。他のステータスインディケーターは、中程度のレベルの信頼性、またはシステムセットアップパラメーターにより特定されるレベル内では遺伝子型コールを作成することが不十分であるデータを示し得る。
【0141】
ユーザーインターフェース130もまた、試験したサンプルのライブイメージを示すサンプルビュー136を有する。この観点に関し、オペレーターは、特定サンプル内で使用されるスポットを視覚的に認識可能である。また、オペレーターは、特定ウェル中におくサンプルが少なすぎるといった、特定の全体的な問題を認識することもできる。
【0142】
4.データ取得および/または分析の修飾のためのアッセイに基づく判断のフィードバック
アッセイに基づく判断は、ハイスループットフォーマットおよび特に複数のアッセイフォーマットで多くの利点を提供する。本明細書に開示の観点では、当業者は、多様なそのような利点を想像し得る。追跡した実行計測は、試験での個々のアッセイが許容されるパフォーマンスを与えるかどうかである。与えないならば、残りのランでは当該基準を使用しない。当該基準は、例えば、許容され得る遺伝子型決定、または対立遺伝子頻度決定、または診断結果の支持を含む。他のクリテリウムは、診断結論を支持するアッセイのグループで成功となり得る。例えば、5つのアッセイが、結論を支持する必要があり、失敗と決定されたならば、他の4つは良好であってもランし得ない。
【0143】
例として、ラン中に複数回行われる特定アッセイのパフォーマンスは、プロセッサーに対するヒューリスティックガイドとして使用され得る。アッセイまたはアッセイのセットが特定サンプルで失敗するならば、当該失敗は、アッセイに伴うかまたはそのサンプルのプロセッシングに伴う問題を示し得るか、当該問題は、サンプルセット中のすべてのサンプルに広がり得る。その問題がセット中のすべてのサンプルに存在するならば、その失敗したアッセイは、サンプル測定の成功または失敗を評価するのに使用する基準のセットの成功または失敗の決定から除かれ得る。ここで、セット中の1より多いサンプルに共通のアッセイを用いるサンプルのセットを測定するとき、失敗したアッセイは除かれ得る。結果として、システムのスループットスピードは、更なるデータが特定アッセイのために収集されるかどうか決定するアッセイパフォーマンス歴(performance history)を使用することにより改善される。
【0144】
図8は、本明細書で提供するアッセイに基づき判断する方法(例えば、図4およびその説明参照;また実施例参照)の他の実施態様を解説するフローチャートである。図8に記載の実施態様では、アッセイ結論に基づくパフォーマンス歴は評価され、データ取得を修飾するように使用する。
【0145】
ブロック225では、当該システムは、基準を調整するアッセイパフォーマンス歴を使用する。サンプルのセットにおいてランするすべてのアッセイのパフォーマンスにおける統計を維持することにより、当該システムは、これを行う。アッセイは、サンプルの連続に許容され得る決定(例えば、遺伝子型決定ではない)を提供することに失敗したならば、当該システムは、当該基準からのアッセイがサンプルにおける測定がより必要かどうかの決定に使用されることを除く。複数回のアッセイが、当該基準からの除去がユーザー入力を介し、ワークステーションアプリケーションプログラムのプログラミングユーザーインターフェースを介し、調整され得る前に、失敗し得る。その数は、事前に決定され、行うアッセイ、サンプルおよび必要とされる他のパラメーターの機能である。失敗したアッセイの結果は、算出され、そして結果データベース中に保存され続けることに注意すべきである。典型的な実施態様では、アッセイが、良好な結果を与え始めるならば、当該アッセイは、更なるデータ取得が必要であり、データ取得をコントロールするかどうか決定するのに使用される基準のセットに戻される。この方法では、アッセイパフォーマンス歴の使用は、試験システムの効率を改善する。
【0146】
ブロック225での評価基準選択により、当該システムは、当該装置から収集したデータがブロック226で基準を満足するかどうか決定する。当該基準を満足するならば、ブロック226では“YES”という結論、次いでブロック227では、当該取得データが記録され、アッセイパフォーマンスレコードを含む。成功結果を提供するアッセイは、“パスした”としてパフォーマンス歴に記録される。取得データおよびパフォーマンス歴記録は、ブロック231での結果データベース中に記録される。ブロック232では、当該装置は、新規サンプルの取得データ用に調整される。
【0147】
サンプルからでは評価基準を満足しないならば、ブロック226では“NO”という結論、次いで、ブロック228では、当該システムは、データセットの最大数が当該サンプルから取得されるかどうか決定するためチェックする。最大数は、すべてのアッセイで成功する結論を得る試行において単一のデータサンプルにおいて行うラスター試行の数に制限される。最大数のデータセットに到達するならば、ブロック228では“YES”という結論、次いで、当該システムは、“失敗した”として失敗したアッセイを記録し、ブロック233で“パスした”として任意のパスしたアッセイを記録する。次いで、当該システムは、ブロック231でのデータベース中の取得データおよびパフォーマンス歴を記録し、次いでブロック232でのデータ用の装置を調整する。最大数のデータセットに到達しないならば、ブロック228では“NO”という結論、次いで、ブロック229では、当該システムは、当該サンプルから更なるデータを取得するように当該装置を調整する(すなわち、当該システムはサンプルをラスターする)。
【0148】
そのため、図8は、5アッセイが384サンプルでランされるような複数の反応において、当該システムは、失敗反応を同定し得る、ある実施態様を示す。当該システムは、最初の位置を出発し、そして同じ反応が、所定数の位置の後に失敗するならば、残りのサンプル全てのその反応をラスタリングすることを止めるようにデザインされ得る。そのため、そのシステムは、反応が失敗することを知り、それを基準からはずすことができる。これは、残りのサンプルのプロセッシングをスピードアップする。例えば、5つの反応のうち4つは、十分にランするが、5番目はランせず、当該システムは、一旦失敗を検出すると、全てのサンプルでの考慮(consideration)から5番目を除き得る。
【0149】
以下の実施例は、解説目的のみで含まれ、本発明の範囲を制限する目的ではない。
【0150】
以下の実施例および上記詳細な説明は、マススペクトロメトリーを使用する方法およびシステムの適用(および従来システムとの比較)を示す。マススペクトロメーターおよびマススペクトロメトリーは、本明細書で提供するようなアッセイに基づくシステムおよび方法に用い得る装置および出力方法の例示である。特定装置において試験するためのマイクロタイタープレートのような媒体は、特定装置に適用され得、分子および分子を含むサンプルを維持または保持するための支持体を含む。ハイスループットフォーマットの場合、その支持体は、一般的にアドレス可能であり、位置的にアドレス可能な標的(フラット)位置またはウェルのようなアドレス可能な位置を含む。
【実施例】
【0151】
実施例1
データ取得コンポーネント(データ収集ルーチン)および生物学的コーリングコンポーネント(データプロセッシングルーチン)が本明細書に提供されるように統合されていない従来プロセスでのステップを開示する比較例(例えば、国際PCT出願番号WO00/60361およびWO02/25567参照):
【0152】
A.第一に、当該データを得る:
1.チップのような支持体を、または1つまたはそれより多いサンプルを有する標的を、マススペクトロメーターのようなデータ取得装置中に置き、
2.ユーザーからウェルリストのような位置リストを得;これは、使用する支持体またはアッセイのセットに関連し、それは、ちょうど、ランするウェルのような位置のリストである。位置(すなわち、ウェル)のリストは、キャリブラント(calibrant)位置(ウェル)を含む;それらは、ランされる他の位置との相違として区別されず、未処理データは、他の位置から得られるデータがセーブされる方法と同じ方法でセーブされる。
3.ユーザーは、スクリーン上のマークにおける1つまたはそれより多い位置をセンタリングすることによりジオメトリーを手動で調整する。
4.データを収集する。
a.次の位置へ行く(このループを介する最初の回の最初の位置);
b.未処理マススペクトルを測定する;
c.固定化質量範囲内に任意のピークが存在するかどうかわかるマススペクトルを調べる;
d.ピークが存在するならば、ファイル中の未処理スペクトルをセーブし、ステップaへ行く;
e.ピークがなければ、サンプル上の新規スポットへラスターし、ステップbへ戻る;
【0153】
上記ループは、各サンプルにおける最初の“良好の”ラスターをセーブする。ここで、“良好”は、単一の基準を用い(生物学には基づかず)、当該マススペクトルは、固定化質量範囲ウインドウ中のどこかでノイズに対し良好なシグナルを有するピークを有することを意味する。このデータ収集ループがマススペクトロメーターでランした後、システムは、未処理マススペクトルファイルを満たしたディレクトリーを有する;算出された生物学的結果は存在しない。
【0154】
B.次いで、生物学的結果を別々に算出する(遺伝子型、対立遺伝子頻度など)
1.未処理マススペクトルファイルをマススペクトロメーターからデータプロセッシング用に設定したワークステーションにコピーする;
2.各サンプルのためのアッセイのリストをデータベースから得る。各サンプルで1つまたはそれより多いアッセイが存在し得る。サンプルに割り当てる1つより多いアッセイが存在するならば、これは、複数として言及する;
3.今度は、アッセイ結果を算出する;
a.キャリブレーションウェルから測定し、質量範囲をキャリブレートする未処理ファイルを最初に得る
b.各スペクトルファイルで、以下のことを行う:
i.このスペクトルのアッセイ情報を得、そしてこのスペクトルにより表されるそれぞれのアッセイの結果を算出する
ii.データベース中にアッセイ結果を保存する。この方法のハイスループットアッセイを行うとき、使用するアッセイ情報は存在せず、その一方、マススペクトロメーターのようなデータ取得装置をランする。生物学に基づく結果は、算出され、示されず、またその結果は、マススペクトロメーターのようなデータ取得装置をコントロールするように使用されず、その一方、それは、ランされる。マススペクトロメーターのようなデータ取得装置をコントロールする生物学に基づく結果を使用し、データの質の改善が観察される。
【0155】
他の相違は、本明細書で提供される当該方法をランし、システムを使用するとき(例えば、実施例2および3参照)、当該システムは、サンプルにおいて測定される複数のアッセイがあるかどうか“知り”、そして、それは、各アッセイを独立して処理し、そのため、ウェル中の各アッセイの異なるスペクトルで終わることが可能である。これは、例えば、最初のアッセイが、最初のラスターで高い質(保存される)で測定されるが、他のアッセイが、高い質の結果を得るようラスターする必要があるならば、起こり得る。最初のアッセイは、このアッセイの未処理データとしてデータベース中にセーブされる最初のラスターから生じるスペクトルを有する。このサンプルの他のアッセイは、高い質の結果を与えるその後のラスターの組合せである異なるスペクトルを有する。
【0156】
データ取得および生物学的コーリングが統合されないとき、サンプルあたり1つのみのスペクトルが生じるが、これは、データを収集するとき測定すべき複数アッセイが存在することをシステムがわからないためである。
【0157】
実施例2
実施例1に記載の方法およびシステムとは対照的に、以下は、図4で示すようなRTオペレーションのための例示的試験プロセスである(また、他の実施態様については、図8参照)。
1.チップのような支持体を、または1つまたはそれより多いサンプルを有する標的を、マススペクトロメーター中に置き、
2.ランを開始し、
3.データベースからサンプルのリストを得、そして
4.当該データベースから各サンプルのアッセイのリストを得る。それぞれのサンプルの1つまたはそれより多いアッセイが存在し得る。サンプルに割り当てる1つより多いアッセイが存在するならば、これは複数という。
5.サンプルのセット(1つまたはそれより多い)に移動するようマススペクトロメーターに指令し、サンプル視覚化システム、フレームグラバー、およびイメージプロセッシングシステムを使用し、理想的な標的グリッドからの位置オフセットを決定する。理想的な位置からのこのオフセットを用い、標的および機械的ステージ中のジオメトリー許容を補正する。マススペクトロメーターが新しいサンプルへ移動するよう指令されるときはいつでも、このオフセットは、当該標的がレーザーでラインナップされるサンプルで正確に位置づけられるように新規サンプルの位置に含まれる。
6.マススペクトロメーターに、1つまたはそれより多いキャリブレーションサンプルに移動するように指令する。当該システムの質量スケールを補正するためにキャリブレーションデータを使用する。
7.今度は、当該サンプルの測定を開始する
A.リスト中の次のサンプルへ移動する(これを介する最初の回では、最初のサンプルである)
B.今度は、満足のいく結果が、このサンプルのアッセイのリストにおけるそれぞれのアッセイで到達するまで、それぞれ以下のステップを行う
i.当該サンプルを測定する
ii.このサンプルのアッセイのリスト中の各アッセイを評価し、生物学に基づく結果を算出する。この結果は、遺伝子型、対立遺伝子頻度などである。
iii.当該リスト中の任意のアッセイが満足のいかない結果を与えるならば、同じサンプルにおける新しいスポットに移動し(この小さい移動は、ラスタリングと呼ぶ)、サンプルを再び測定する。
iv.新しいデータおよび前のデータをとり、2つのスペクトルを同時に加える。今度は、従前の結果が再び満足を与えるものでない各アッセイを評価する。これらのアッセイの結果が新規データにより改善されるならば、次いで従前に測定の合計である新規データを維持する。注意:この時点では、我々は、当該サンプルにおける1つまたはそれより多い測定の結果を有する。我々は、多くの方法での測定のこのセットを見ることができる。最新の実施態様では、これらの測定は、合計により改善されるならば、合計される。当該測定はまた、個々に見られ得、最良のものが取り上げられ得る。
v.我々は、このサンプルでの最大数のラスター位置を測定しないならば、次いで、ステップiii.に戻る。当該最大数のラスター位置は、ユーザーインターフェースのパラメーターである。
vi.失敗したまたは失敗していない全てのアッセイの結果をセーブする。
vii.機械のコントロールに使用する同じユーザーインターフェースの結果を表示する。その結果は、生物学的アッセイまたは行われるアッセイに関して示される。
C.次のサンプルを得るためステップAに戻り、全てのサンプルをプロセスするまで続ける。
【0158】
実施例3
Bruker Biflex装置は、本明細書で提供するようなリアルタイム遺伝子型コーリング能を含むように修飾した。当該修飾は、Signatec PDA500 500 MHz 8-ビットディジタイザーおよびNational Instruments IMAQ-PCI 1411フレームグラバーを装備したPCワークステーションの追加を含む。4つのシグナルがBiflexから絶たれ、PCワークステーションへ送られた(route)。これらのシグナルは、MCPディテクターの出力、レーザーおよび高電圧のトリガー、当該データ取得をトリガーするのに使用する光ダイオードディテクターの出力、およびサンプル視覚化カメラからのビデオシグナルである。Biflex中のディテクターの出力は、5つのプレ-アンプリファイアーのゲイン(Stanford Research Systems SR445)および90MHzのカットオフ頻度を有する受動ローパスフィルター(Mini Circuits BLP-90)を通過した。加えて、PCワークステーションとBiflex(Sunワークステーション)でのコントローリングコンピューターとの間にはTCP/IP接続が存在した。
【0159】
Sunワークステーションのソフトウェアは、サンプルからサンプルへのステージの移動およびサンプル内のラスター位置を相違させるTCP/IPインターフェース上のコマンドを受けるよう修飾した。当該ワークステーションは、マススペクトロメーター(レーザーおよび高電圧パルシング)をトリガーし、スペクトルを取得するソフトウェアを装備した。当該ソフトウェアはまた、ステージ位置をコントロールする。
【0160】
当該システム中に組み込まれたソフトウェアは、マススペクトロメーターをコントロールし、スペクトルを取得し、リアルタイムでこれらのスペクトルをプロセスすることができる。生物学に基づく結果を用い、ラスターするか否かの決定に使用する。当該ソフトウェアは、以下のアルゴリズムを使用する。パラメーターにより決定されるショットのセット数は、スペクトルを作成するように平均化される。そのサンプルを定義する各アッセイを独立して判断する。アッセイのスコアが適度未満であれば、次いで当該システムは、そのアッセイのため、さらなるデータを収集する。他のセットのショットは平均化され、このデータ収集の結果は、最初に加えられる。再び、各アッセイの結果が決定され、そのアッセイのスコアが新規ショットを加えることにより改善されるならば、新しい合計が維持される。当該プロセスは、試行のセット数が終了するかまたは適度またはより良好なスコアがサンプル中の各アッセイで到達されるまで、続けられる。ウェル中の各アッセイは、異なるスペクトルで終了することが可能である。
【0161】
典型的な実験では、48の新規非確立(これは、これらのアッセイのそれぞれの最初のランであった)の4−プレックス(plexes)は、8種のDNA(384反応)で行われ、384チップ上にスポットされた。同じ384チップは、3種のBiflex装置上で連続的に測定された。最初のランは、標準Biflex Autoxecuteソフトウェアを用い行った。Biflexで利用可能な標準取得は、固定化質量範囲でのレゾリューションおよびノイズに対するシグナルの比に基いてラスタリングを制御するためにファジーロジックを使用する。次の2つのランは、本明細書で提供のように装備したBiflex装置で行った。通常、データの質は、サンプルが、サンプルを連続的なレーザーショットにより消耗するため、連続的ランで減少する。その結果を表1、図9および図10)に示す。図9は、取得したスペクトルおよび本明細書で提供するアッセイに基づくラスタリングコントロールのないデータ取得からのデータ結果を示すダイアグラムである。図10は、取得したスペクトルおよび本明細書で提供する生物学的依存性ラスタリングコントロールを用いるデータ取得からのデータ結果を示すダイアグラムである。
【0162】
図9は、本明細書に記載するアッセイに基づく判断の利点なしにデータがプロセスされる“標準”設定装置システムを使用する4つのアッセイからの結果を含むスペクトルを示す。当該システムは、2つの保存コールおよび2つのアグレッシブコールを作成し、このスペクトル出力を使用し、次のサンプルに移動するため十分な質の少なくとも1つのピークを発見した。対照的に、本明細書で提供されるアッセイに基づくプロセッシングを用いることから、当該データは、望ましい4つの高い質の遺伝子型決定結果の提供に十分でないことが示された。結果として、更なるデータ取得は、図10に示すように4つの保存コールを生じた。
【0163】
特に、図9は、その標準判断アルゴリズムを使用するBiflexにより取得されるスペクトルを示す。このスペクトルは、4つのアッセイの結果を含む。この場合、当該データは、2つの保存コールおよび2つのアグレッシブコールを生じた。見られるように、スペクトルは複雑であり、単一の判断は、このスペクトルをセーブし移動する十分な質の少なくとも1つのピークで見られるBrukerにより用いられる。図10は、アッセイに基づく判断を用い取得したスペクトルを示す。このケースでは、当該データは、4つの保存コールを生じた。図10は、当該取得をコントロールするリアルタイム遺伝子型決定を用い取得したスペクトルを示す。48の新規非確立(これは、これらのアッセイのそれぞれの最初のランであった)の4−プレックス(plexes)は、8種のDNA(384反応)で行われ、384チップ上にスポットされた。同じ384チップは、3種のBiflex装置上で連続的に測定された。最初のランは、標準Biflex Autoxecuteソフトウェアを用い行った。標準取得は、固定化質量範囲でのレゾリューションおよびノイズに対するシグナルの比に基いてラスタリングを制御するためにファジーロジックを使用する。次の2つのランは、修飾したBiflex装置で行った。その修飾は、上記実験セクションで記載の通りであった。通常、データの質は、サンプルを連続的なレーザーショットにより消耗するため、連続的ランで減少する。結果を表に示す。
表1
【表1】

表において、“良好な”コールは、保存コール+適度なコールのトータルとして定義される。
【0164】
表3の結果は、コール効率は、データ取得をコントロールする本明細書で提供される方法およびシステムによるアッセイに基づく判断を用いることにより改善されたことを示す。特に、全体的コール効率は、アッセイに基づく判断を使用する最初のデータランで、“標準”設定の77%から90.9%にまで改善された。
【0165】
その修飾は、当業者に明らかであるため、本発明は、添付の請求の範囲の範囲によってのみ制限されることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】図1は、本願明細書で提供される試験システムのブロックダイアグラムである。
【図2】図2は、本願明細書で提供される試験工程のフローチャートである。
【図3】図3は、試験装置の自動化コントロールを図示する、本願明細書で提供される試験工程のフローチャートである。
【図4】図4は、本願明細書で提供されるアッセイに基づく判断工程を図示する本願明細書で提供される試験工程のフローチャートである。
【図5】図5は、生物学的関係の存在を確立するための、複数サンプルからの取得データを図示する試験プロセスのフローチャートである。
【図6】図6は、試験システムの結果を表示するコンピューターディスプレイの図である。
【図7】図7は、本願明細書で提供される典型的な試験システムのブロックダイアグラムであり、その装置は、マススペクトロメーターである(マススペクトロメーターは典型例のみであり、任意のそのようなデータ取得装置が取って代わり得る)。
【図8】図8は、パフォーマンス歴(performance history)が評価され、スループットスピードが増大する本願明細書で提供するアッセイに基づく判断工程の他の実施態様を図示するフローチャートである。
【図9】図9は、取得した典型的なマススペクトルおよび生物学的依存性ラスタリングコントロール(アッセイに基づく判断)のない従来方法を用いるデータ取得のデータ結果を示すダイアグラムである。
【図10】図10は、取得したマススペクトルおよび本願明細書で提供するような生物学的依存性ラスタリングコントロール(アッセイに基づく判断)を用いるデータ取得のデータ結果を示すダイアグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的アッセイおよびアッセイに基づく判断を行なうためのシステムであって、
サンプル中の分子を検出するための装置、および
当該装置の、結果に基づくコントロールを提供しアッセイに基づく判断を行うための、当該装置と通信するプロセッサー
を含む、当該システム。
【請求項2】
当該装置は、生物学的サンプルから生物学的データを取得するように、そして当該サンプルで行なったアッセイから得られたリアルタイム結果を表示するように、設定され、
当該プロセッサーは、
コンピューターに指令されたデータ収集ルーチン、および
コンピューターに指令されたデータプロセッシングルーチン
を含み、ここで、当該データ収集およびデータプロセッシングルーチンは、アッセイに基づく判断を行なうように統合されている、
請求項1のシステム。
【請求項3】
当該プロセッサーは、コンピューターに基づくコーリングコンポーネントにより統合されているデータ収集およびデータ分析のためのプログラムを含み、それにより当該装置がリアルタイム(RT)結果を提供し得る、請求項1のシステム。
【請求項4】
統合が、データ結果を同定し、生物学的結果に応答して更なるデータ取得に関し決定する、コーリングコンポーネントにより行なわれる、請求項2のシステム。
【請求項5】
当該プロセッサーは、データ取得装置とコーリングコンポーネントとの間のダイアログをコントロールするプログラミングインターフェースを含む、請求項3のシステム。
【請求項6】
当該プロセッサーは、生物学的サンプルを示すデータを取得するよう装置に指令し、データスペクトル基準を確立し、取得データを使用してデータパラメーターを作成し、当該データパラメーターを当該データスペクトル基準と比較し、データ比較に応答して装置を調整し、そして当該生物学的アッセイのための他のデータを取得するよう装置に指令し、ここで、事前に決定したデータ基準は、生物学的サンプルに関する生物学的アッセイに関係する、請求項1のシステム。
【請求項7】
当該プロセッサーは、アッセイデザインを受け取り、そして当該アッセイデザインに従い繰り返しデータを取得する、請求項1のシステム。
【請求項8】
当該プロセッサーと通信するデータベースを含み、ここで当該データベースは、アッセイ情報を保存する、請求項1のシステム。
【請求項9】
当該プロセッサーはさらに、当該データベースからのアッセイ情報の一部を受け取り、当該受け取った一部のアッセイ情報を当該装置を調整するように使用する、請求項8のシステム。
【請求項10】
当該装置が、マススペクトロメーターとして設定される、請求項1のシステム。
【請求項11】
当該プロセッサーは、当該装置に接続したコンピューターデバイスとして設定される、請求項1のシステム。
【請求項12】
当該プロセッサーが、当該取得データの特徴として標準偏差を示すデータパラメーターを生ずることにより、データパラメーターを生ずる、請求項1のシステム。
【請求項13】
当該プロセッサーが、統計学的可能性を示すデータパラメーターを生ずることによりデータパラメーターを生ずる、請求項1のシステム。
【請求項14】
当該プロセッサーが、対立遺伝子の可能性を示すデータパラメーターを生ずることによりデータパラメーターを生ずる、請求項1のシステム。
【請求項15】
当該アッセイ結果が診断である、請求項1のシステム。
【請求項16】
当該アッセイ結果が遺伝子型である、請求項1のシステム。
【請求項17】
当該アッセイ結果が診断である、請求項2のシステム。
【請求項18】
当該アッセイ結果が遺伝子型である、請求項2のシステム。
【請求項19】
生物学的サンプルを試験するためのシステムであって、
生物学的データを生物学的サンプルから取得するように設定した装置、
当該装置に通信するプロセッサーであって、
生物学的サンプルを示すデータを取得するように当該装置に指令すること、
当該取得データを評価し、結果を得ること、
当該データの評価に応答して装置を自動的に調整すること、および
当該生物学的サンプルを示す他のデータを取得するように当該装置に指令すること、
を含むステップを行なう当該プロセッサー
を含む当該システム。
【請求項20】
当該装置がマススペクトロメーターである、請求項19のシステム。
【請求項21】
当該プロセッサーが、
スペクトル基準を確立すること、および
当該スペクトル基準を使用し取得データを評価すること、
を含む操作を更に行なう、請求項20のシステム。
【請求項22】
生物学的サンプルのセットを使用する診断アッセイを行なうためのシステムであって、
生物学的サンプルから生物学的データを取得するように設定した装置、
当該装置に通信するプロセッサーであって、
当該セット中の1つの生物学的サンプルを示すデータを取得するように当該装置に指令すること、
当該取得データを評価すること、
当該取得データが診断結果を支持するかどうかを決定すること、および
当該決定ステップに応答して当該セット中の次の1つの生物学的サンプルを示すデータを取得するように当該装置に指令すること、
を含むステップを行なう当該プロセッサー、
を含む当該システム。
【請求項23】
当該装置がマススペクトロメーターである、請求項21のシステム。
【請求項24】
生物学的サンプルのセットを使用する診断アッセイを行なうシステムであって、
当該セット中の連続性生物学的サンプルから生物学的データを取得するように設定された装置と通信し、そして各連続性生物学的サンプルを示すデータを取得するよう当該装置をコントロールし、当該装置が、セットからの取得データの評価に応答して調整されるべきかどうか決定し、当該決定に応答して生物学的サンプルを示す他のデータを取得するように当該装置に指令する、ワークステーション、および
生物学的サンプルからの取得データを保存するデータベース
を含む当該システム。
【請求項25】
当該装置がマススペクトロメーターである、請求項24のシステム。
【請求項26】
当該ワークステーションが、当該取得データを評価し、当該取得データが診断結果を支持するかどうか決定し、そして当該決定に応答して、当該セット中の次の1つの生物学的サンプルを示すデータを取得するように当該装置に指令する、請求項24のシステム。
【請求項27】
当該ワークステーションが、従前に取得したデータが診断状態を支持しているならば、または最大データ取得数を上回っているならば、次のサンプルの他のデータを取得するように当該装置に指令し、そうでなければ当該同一サンプルの他のデータを取得するように当該装置に指令する、請求項26のシステム。
【請求項28】
当該データベースがデータベースサーバーにより維持される、請求項24のシステム。
【請求項29】
当該ワークステーションが、当該データベースサーバーからアッセイデザインスペシフィケーションを取得するアッセイコントローラーを含む、請求項24のシステム。
【請求項30】
当該ワークステーションが、1つの生物学的サンプル上に当該装置のレーザーを自動的に整列させ、そして当該装置から生物学的データを受け取るように当該装置中の当該サンプルの移動をコントロールする、データ取得コントローラーを含む、請求項24のシステム。
【請求項31】
当該ワークステーションが、データ取得コントローラーからデータシグナルを受け取り、そして当該データシグナルに応答して生物学的サンプルを示す他のデータを取得するよう当該装置に指令する決定を行なう、データ分析コントローラーを含む、請求項30のシステム。
【請求項32】
当該ワークステーションが当該装置と統合的に構成されている、請求項24のシステム。
【請求項33】
当該ワークステーションが、生物学的結果に関して取得データを評価する、請求項24のシステム。
【請求項34】
当該生物学的結果がサンプルの遺伝子型の決定である、請求項33のシステム。
【請求項35】
生物学的サンプルのセットを使用する診断アッセイを行なう方法であって、
当該セット中の1つの生物学的サンプルを示すデータを取得するように当該装置に指令すること、
当該取得データを評価すること、
当該取得データが診断結果を支持するかどうか決定すること、および
当該決定に応答して、当該セット中の次の1つの生物学的サンプルを示すデータを取得するように当該装置に指令すること、
を含む当該方法。
【請求項36】
データスペクトル基準を確立すること、
当該取得データを用いデータパラメーターを作成すること、
当該データパラメーターを当該スペクトル基準と比較すること、および
当該データの評価に応答して当該装置を調整すること、
を更に含む、請求項35の方法。
【請求項37】
当該データパラメーターの作成には、当該取得データの特徴として標準偏差を示すデータパラメーターを作成することが含まれる、請求項36の方法。
【請求項38】
当該データパラメーターの作成には、統計学的可能性を示すデータパラメーターを作成することが含まれる、請求項36の方法。
【請求項39】
当該データパラメーターの作成には、対立遺伝子の可能性を示すデータパラメーターを作成することが含まれる、請求項36の方法。
【請求項40】
アッセイデザインを受け取ること更に含む、請求項36の方法。
【請求項41】
データベースサーバー中に当該セットの当該生物学的サンプルからの当該取得データを保存することを更に含む、請求項36の方法。
【請求項42】
当該データベースからのアッセイ情報の一部を受け取ること、および
当該受け取った一部のアッセイ情報を当該装置の操作を調整するように使用すること、
を更に含む請求項41の方法。
【請求項43】
当該装置がマススペクトロメーターである、請求項36の方法。
【請求項44】
多重型のアッセイのパフォーマンス歴が評価され、そして
当該アッセイのプロセッシングがパフォーマンス歴に応答して調整される、
請求項36の方法。
【請求項45】
当該アッセイが所定数のサンプルで失敗するならば、考慮から除外される、請求項44の方法。
【請求項46】
当該アッセイが所定数のサンプルで失敗するならば、残りサンプルでは行なわれるが、当該残りサンプルではラスターされない、請求項44の方法。
【請求項47】
アッセイプロセッシングが、所定数のサンプルの生物学的結果を提供する当該アッセイの失敗に応答して調整される、請求項44の方法。
【請求項48】
当該アッセイが所定数のサンプルで失敗するならば、考慮から除外される、請求項47の方法。
【請求項49】
当該アッセイが所定数のサンプルで失敗するならば、残りサンプルでは行なわれるが、当該残りサンプルではラスターされない、請求項48の方法。
【請求項50】
アッセイに基づく判断を用いる生物学的アッセイを行なう方法であって、
a)1つまたは複数のサンプルを含む固体支持体を請求項1のシステムの装置に導入し、そして当該支持体上でサンプルのアッセイを行うこと、
b)各サンプルで、
i)各サンプルでアッセイを行なうことにより当該サンプルを測定し、そして生物学に基づく結果を算出すること、
ii)アッセイが結果を全く出さないならば、同じサンプルの新規スポットへ移動し、そして当該サンプルを再度測定すること、
iii)新しいデータと先のデータを比較すること、これらのアッセイの結果が新しいデータにより改善されるならば、当該新しいデータを維持すること、
iv)当該サンプルでの、ラスター位置の所定数の最大数が測定されていないならば、ステップii)のプロセスを繰り返すこと、
v)失敗した、または失敗していない全てのアッセイの結果をセーブすること、
vi)ユーザーインターフェースで生物学的結果を表示すること、
c)余分のサンプルでステップa)を繰り返し、そして全てのサンプルが処理されるまで継続すること、
を含む当該方法。
【請求項51】
ステップa)の前に、
i)支持体上に1つまたはそれより多いサンプルを有する当該支持体が当該装置に導入され、
ii)サンプルのリストおよびアッセイのリストが当該データベースから得られ、そして
iii)当該装置が較正される、
請求項50の方法。
【請求項52】
当該装置がマススペクトロメーターである、請求項50の方法。
【請求項53】
生物学的結果が、疾患または病状の進行の危険性の決定である、請求項50の方法。
【請求項54】
生物学的結果が診断である、請求項41の方法。
【請求項55】
生物学的結果が遺伝子型である、請求項41の方法。
【請求項56】
生物学的結果が対立遺伝子の頻度である、請求項41の方法。
【請求項57】
結果に基づくコントロールのための結果が、疾患または病状の進行の危険性の決定である、請求項1のシステム。
【請求項58】
結果に基づくコントロールのための結果が診断である、請求項1のシステム。
【請求項59】
結果に基づくコントロールのための結果が遺伝子型である、請求項1のシステム。
【請求項60】
結果に基づくコントロールのための結果が対立遺伝子の頻度である、請求項1のシステム。
【請求項61】
結果が、疾患または病状の進行の危険性の決定である、請求項19のシステム。
【請求項62】
結果が診断である、請求項1のシステム。
【請求項63】
結果が遺伝子型である、請求項1のシステム。
【請求項64】
結果が対立遺伝子の頻度である、請求項1のシステム。
【請求項65】
アッセイの診断結果を表示するマススペクトロメトリーシステムであって、
診断結果が生物学的結果であり、そして
表示が、測定に関してリアルタイムに生ずる、
当該システム。
【請求項66】
当該表示が、遺伝子型、対立遺伝子の頻度、疾患もしくは病状の進行の危険性の決定または診断である、請求項65のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−225618(P2007−225618A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98271(P2007−98271)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【分割の表示】特願2002−584237(P2002−584237)の分割
【原出願日】平成14年4月22日(2002.4.22)
【出願人】(500092402)シークエノム・インコーポレーテツド (4)
【Fターム(参考)】