説明

生物学的材料を分離するためのアントラキノン染料リガンドを含む吸着剤

生物学的材料の分離方法であって、式(式中、Bは、−NR1−又は−O−からなる群からの1、2又は3員で中断されてもよく、かつ非置換又はヒドロキシル、スルホ、スルファト、シアノ若しくはカルボキシルで置換されたC2〜C12アルキレン基であり、R1は、水素又はC1〜C4アルキルであるか、あるいはBは、非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルで置換された、C5〜C9シクロアルキレン基、C1〜C4アルキレン−C5〜C9シクロアルキレン基若しくはC1〜C4アルキレン−C5〜C9シクロアルキレン−C1〜C4アルキレン基、又は非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルカノイルアミノ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルで置換された、フェニレン基、C1〜C4アルキレン−フェニレン基若しくはC1〜C4アルキレン−フェニレン−C1〜C4アルキレン基であり、Vは、式で示される非繊維反応性置換基又は繊維反応性置換基であり、ここでR2は、水素又は非置換若しくは置換されたC1〜C4アルキル又は基であり、R3は、水素、ヒドロキシ、スルホ、スルファト、カルボキシ、シアノ、ハロゲン、C1〜C4アルコキシカルボニル、C1〜C4−アルカノイルオキシ、カルバモイル又は−SO2−Y基であり、R4は、水素又はC1〜C4アルキルであり、alk及びalk1は各々、互いに独立して、直鎖状又は分岐状のC1〜C6アルキレンであり、アリーレンは、非置換又はスルホ、カルボキシ、ヒドロキシ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ若しくはハロゲンで置換された、フェニレン又はナフチレン基であり、Yは、ビニル又は−CH2−CH2−U基であり、かつUは、脱離基であり、Y1は、−CH(Hal)−CH2(Hal)又は−C(Hal)=CH2基であり、ここでHalは、塩素又は臭素であり、Wは、−SO2−NR4−、−CONR4−又は−NR4CO−基であり、ここでR4は、上記に定義したとおりであり、Qは、−O−又は−NR4−基であり、ここでR4は、上記に定義したとおりであり、そしてnは、数0又は1であり、Xは、ハロゲンであり、そしてk及びmは各々、互いに独立して、数0又は1であり、かつk+mの合計は、1又は2である)で示される化合物と、上記式(1)で示される化合物の反応性基と反応して、共有結合を形成可能な基を有する基質との反応生成物を含む吸着剤が使用される(ただし、Qが、スルホ又はカルボキシである式で示される化合物を含む吸着剤は除外される)方法は、染料リガンドアフィニティークロマトグラフィーにおいてスクリーニングに使用できる様々な染料リガンド構造を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントラキノン染料リガンドを含む吸着剤を使用した、生物学的材料の分離及び精製方法、吸着剤の製造方法、並びに吸着剤に関するものである。
【0002】
反応性染料は、確立した製品であり、繊維産業において、例えば綿又はビスコース等のセルロース繊維の着色に広く使用されている。このような反応性染料の分子は、連結された2個の単位から構成されると考えることができ、その各々は、異なる機能を有する。単位の一方は、発色団であり、その機能は、繊維に所望の色及び他の着色特性を付与することである。単位の他方は、繊維反応性基であり、これは、確立された適用条件下で、セルロースと化学的に反応して、染料分子を繊維に対して共有結合させ、洗濯工程に高い耐性を有する染色材料を生成する。
【0003】
反応性染料は、当初、セルロース繊維材料の染色及び印刷で直面した所定の問題を解決するために開発されたが、ここ数年、それらが繊維染色分野以外に利用される特性を所有することが見出された。
【0004】
例えば、米国特許第4,016,149号及び米国特許第4,546,161号より、これらの染料を、同様の技術により、炭水化物基質、例えばアガロース、デキストロース、デキストラン等に由来するポリマー及びコポリマーに結合し得ることが公知である。これら炭水化物基質と、所定の商業的に入手可能な反応性染料との反応生成物は、所定のタンパク性材料のクロマトグラフィーによる分離又は精製のための吸着剤として、アフィニティークロマトグラフィーにて使用されている。タンパク質又は酵素分離のためのリガンドとして使用されている、商業的な繊維染料には、モノクロロトリアゾン部分を含む、所定の青色アントラキノン染料、例えばC.I. Reactive Blue 2(チバクロンブルー(Cibacron Blue)3GA)、C.I. Reactive Blue 5及びC.I. Reactive Blue 49がある。
【0005】
アフィニティークロマトグラフィーは、吸着剤の固定相上のリガンドに対するタンパク質又は酵素の親和性の差異に基づき、例えばWO 2004052870に記載されているように、生物医薬品及び診断のような高性能用途において非常に重要であることが益々証明されている。相互作用の性質は、水素結合、静電気力、好適な形状から生じるスタッキング、又はリガンド−標的関係を促進する任意の他の局面であり得る。リガンド−標的相互作用は、付随する他の分子を混合物から除去し得る一方、リガンド−標的複合体を無傷で維持するように、即ち、リガンドに親和性を有するタンパク質が、マトリクスに結合する一方、親和性を有さない他の分子は押し流されるように、十分に強力である必要がある。結合したタンパク質は、例えば、P. D. G. Dean, W.S. Johnson and F.A. Middle (Ed),Affinity Chromatography: A Practical Approach, 1982に記載されているように、変動するpH、イオン強度及び緩衝液の条件下で、選択的に溶出され得る。タンパク質混合物は、振とう又は吸着剤を伴うカラムを通過させることによって、分離に付され得る。
【0006】
アフィニティークロマトグラフィーは、血漿画分からタンパク質を細かくかつ急速に捕捉することから、血液分画に有利であることが見出されている。アフィニティークロマトグラフィーは、古典的なエタノール分画及び/又はイオン交換クロマトグラフィーにより予め精製された血漿画分に適用される。アフィニティークロマトグラフィーは、例えばT.Burnouf 及び M.Radosevich, J. Biochem. Biophys. Methods, 2001, 49, 575より公知の第VIII因子、IX因子、フォンウィルブランド因子、タンパク質C及びアンチトロンビンIIIの濃縮物のような、様々な血漿製品の工業生産に使用されている。
【0007】
チバクロンブルー3GAは、その様々なタンパク質及び酵素との相互作用に関して、深く研究されている。例えば、S.Subramanian, CRC Critical Rev. Biochem., 1984, 16, 169に記載されているように、染料は、NAD部分を模倣し、それゆえこの部位を認識するタンパク質及び酵素と相互作用することが観察されている。例えばM. Allary, J. Saint-Blancard, E. Boschetti and P. Girot, Bioseparation, 1991 , 2, 167より公知であるように、アルブミンは、固定化チバクロンブルー3GAを用いて、大規模で首尾良く精製されている。例えば、E.Gianazza and P.Arnaud, Biochem. J., 1982, 201, 129に記載されているように、pH勾配によるチバクロンブルー3GA固定化架橋アガロースビーズを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより、27種の血漿タンパク質の分画が実施されている。ブルーセファロース(アガロース上に固定化されたチバクロンブルー3GA)上でのセリンプロテアーゼの精製も報告されていている。例えば、C. Koch, L. Borg, K. Skjodt 及び G. Hoven, J. Chromatogr. B., 1998, 718, 41より、セリンプロテアーゼとブルーセファロースとの相互作用は、酵素の活性部位に関与することが知られている。
【0008】
例えば、C.R. Lowe, A.R. Lowe and G. Gupta, J. Biochem. Biophys. Methods、 2001 , 49, 561に記載されているように、ファージ技術、及びコンピュータによる人工的リガンドの設計のようなバイオテクノロジーの進歩は、タンパク質精製におけるアフィニティークロマトグラフィーの適用に、更なる発展をもたらした。従来から使用されているヘパリン、ゼラチン、タンパク質A及びタンパク質Cのようなバイオリガンドに加えて、様々なオーダーメードの合成リガンドが提供され、血漿タンパク質の生産性を向上させている。
【0009】
人工リガンド技術を工業的タンパク質精製に適用することは、それ以上促進されておらず、主にチバクロンブルー3GAの使用に限定されている。アフィニティークロマトグラフィーの原理は分子認識の現象に基づくため、リガンドの構造的変化は、タンパク質−染料相互作用の安定化又は不安定化のいずれかにて重要な役割を果たす。例えばN. Lindner, R. Jeffcoat, C. Lowe, J. Chromatogr. 1989, 473, 227及びY.D. Clonis, N. E. Labrou, V. Kotsira, C. Mazitsos, S. Melissis, G. Gogolas, J. Chromatogr. A, 2000, 891, 33を参照されたい。例えばN. E. Labrou, E. Eliopoulos, Y.D. Clonis, Biochem J., 1996, 315, 695に記載されているように、三元複合体内での二次相互作用も、特定のタンパク質に対する親和性を示す意味深い効果を有し得る。
【0010】
したがって、容易に合成できる染料リガンド吸着剤を提供して、様々な分離又は精製上の問題を解決し、かつ信頼できるタンパク質精製の方法の範囲を広げる必要がある。
【0011】
本発明は、吸着剤を使用した生物学的材料の分離方法に関し、該方法は、
式:
【0012】
【化17】

【0013】
(式中、
Bは、−NR1−又は−O−からなる群からの1、2又は3員で中断されてもよく、かつ非置換又はヒドロキシル、スルホ、スルファト、シアノ若しくはカルボキシルで置換されたC2〜C12アルキレン基であり、
1は、水素又はC1〜C4アルキルであるか、あるいは
Bは、非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルで置換された、C5〜C9シクロアルキレン基、C1〜C4アルキレン−C5〜C9シクロアルキレン基若しくはC1〜C4アルキレン−C5〜C9シクロアルキレン−C1〜C4アルキレン基、又は非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルカノイルアミノ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルで置換された、フェニレン基、C1〜C4アルキレン−フェニレン基若しくはC1〜C4アルキレン−フェニレン−C1〜C4アルキレン基であり、
Vは、式:
【0014】
【化18】

【0015】
で示される非繊維反応性置換基又は繊維反応性置換基であり、
ここで
2は、水素又は非置換若しくは置換されたC1〜C4アルキル又は
下記:
【0016】
【化19】

【0017】
基であり、
3は、水素、ヒドロキシ、スルホ、スルファト、カルボキシ、シアノ、ハロゲン、C1〜C4アルコキシカルボニル、C1〜C4−アルカノイルオキシ、カルバモイル又は−SO2−Y基であり、
4は、水素又はC1〜C4アルキルであり、
alk及びalk1は各々、互いに独立して、直鎖状又は分岐状のC1〜C6アルキレンであり、
アリーレンは、非置換又はスルホ、カルボキシ、ヒドロキシ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ若しくはハロゲンで置換された、フェニレン又はナフチレン基であり、
Yは、ビニル又は−CH2−CH2−U基であり、かつUは、脱離基であり、
1は、−CH(Hal)−CH2(Hal)又は−C(Hal)=CH2基であり、ここでHalは、塩素又は臭素であり、
Wは、−SO2−NR4−、−CONR4−又は−NR4CO−基であり、ここでR4は、上記に定義したとおりであり、
Qは、−O−又は−NR4−基であり、ここでR4は、上記に定義したとおりであり、そして
nは、数0又は1であり、
Xは、ハロゲンであり、そして
k及びmは各々、互いに独立して、数0又は1であり、かつk+mの合計は、1又は2である)
で示される化合物と、上記式(1)で示される化合物の反応性基と反応して共有結合を形成可能な基を有する基質との反応生成物を含むが、
ただし、
式:
【0018】
【化20】

【0019】
(式中、
Qは、スルホ又はカルボキシである)
で示される化合物を含む吸着剤は除外される。
【0020】
B基のC1〜C4アルキルとして、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル又はイソブチル、好ましくはメチル又はエチル、とくにメチルが考慮される。
【0021】
B基のC1〜C4アルコキシとして、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ及びイソブトキシ、好ましくはメトキシ又はエトキシ、特にメトキシが考慮される。
【0022】
B基のハロゲンとして、例えば、フッ素、塩素及び臭素、好ましくは塩素又は臭素、特に塩素が考慮される。
【0023】
B基のC2〜C4アルカノイルアミノとして、例えば、アセチルアミノ又はプロピオニルアミノ、好ましくはアセチルアミノが考慮される。
【0024】
1は、水素又はメチルが好ましい。
【0025】
アルキレン基Bは、1、2又は3員の−O−で中断されてもよく、かつ非置換又はヒドロキシル若しくはスルファトで置換されたC2〜C6アルキレン基が好ましい。非置換基、特に、
式:
【0026】
【化21】

【0027】
で示される基が好ましい。式−(CH23−及び−CH2−C(CH32−CH2−基が、特に興味深い。
【0028】
好ましいシクロアルキレン含有基Bは、特に非置換又はC1〜C4アルキルで置換された、対応するシクロヘキシレン含有基である。非置換又はC1〜C4アルキル置換された、シクロヘキシレン基又はメチレン−シクロヘキシレン基、特に非置換又はC1〜C4アルキルで置換されたメチレン−シクロヘキシレン基が、本明細書において好ましい。
【0029】
好ましいフェニレン含有基Bは、非置換又はC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン若しくはスルホで置換された、対応する基である。非置換又はC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン若しくはスルホで置換された、フェニレン又はメチレン−フェニレン−メチレンが、特に好ましい。特に好ましい基は、
式:
【0030】
【化22】

【0031】
で示される基である。
【0032】
Bは、1、2又は3員の−O−で中断されてもよく、かつ非置換若しくはヒドロキシル若しくはスルファトで置換されたC2〜C6アルキレン基、又は非置換若しくはC1〜C4アルキルで置換された、シクロヘキシレン基若しくはメチレン−シクロヘキシレン基、又は非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン若しくはスルホで置換された、フェニレン若しくはメチレン−フェニレン−メチレン基が好ましい。
【0033】
Bは、C2〜C6アルキレン基、非置換若しくはC1〜C4アルキルで置換されたメチレン−シクロヘキシレン基、又は非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン若しくはスルホで置換された、フェニレン若しくはメチレン−フェニレン−メチレン基が、特に好ましい。
【0034】
Bは、
下記:
【0035】
【化23】

【0036】
が、特に好ましい。
【0037】
2及びR4のC1〜C4アルキルとして、各々、互いに独立して、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル及びイソブチル、好ましくはメチル及びエチル、特にメチルが考慮される。言及したR2基は、非置換であるか、又は例えばハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルコキシカルボニル、カルボキシ、スルファモイル、スルホ若しくはスルファトで置換され、好ましくはヒドロキシ、スルホ、スルファト、カルボキシ又はシアノで置換される。非置換基が好ましい。
【0038】
Yが、−CH2−CH2−U基のとき、脱離基Uは、例えば、−Cl、−Br、−F、−OSO3H、−SSO3H、−OCO−CH3、OPO32、−OCO−C65、OSO2−C1〜C4アルキル又は−OSO2−N(C1〜C4アルキル)2であり得る。Uは、式−Cl、−OSO3H、−SSO3H、−OCO−CH3、−OCO−C65又は−OPO32基が好ましく、特に−Cl又は−OSO3H基、また特に−OSO3H基が好ましい。
【0039】
Yは、ビニル、β−クロロエチル、β−スルファトエチル、β−チオスルファトエチル、β−アセトキシエチル、β−フェノキシエチル又はβ−ホスファトエチルが好ましく、特にβ−クロロエチル、β−スルファトエチル又はビニルが好ましく、また特にβ−スルファトエチル又はビニルが好ましく、極めて特にビニルが好ましい。
【0040】
Halは、臭素が好ましい。
【0041】
alk及びalk1は、各々、互いに独立して、例えば、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレン又はそれらの分岐異性体である。alk及びalk1は、各々、互いに独立して、C1〜C4アルキレン基、特にエチレン又はプロピレン基が好ましい。
【0042】
アリーレンの好ましい意味は、非置換又はスルホ、メチル若しくはメトキシで置換された、1,3−又は1,4−フェニレン基であり、特に非置換1,3−又は1,4−フェニレン基である。
【0043】
2は、水素、C1〜C4アルキル又は
式:
【0044】
【化24】

【0045】
で示される基が好ましく、
ここで、R3、Y及びalkは、各々の場合において、上記に定義したとおりであり、上記に示す好ましい意味を有する。R2は、特に水素、メチル又はエチルであり、極めて特に水素である。
【0046】
3は、水素が好ましい。
【0047】
4は、水素、メチル又はエチルが好ましく、特に水素が好ましい。
【0048】
変数Qは、−NH−又は−O−が好ましく、特に−O−が好ましい。
【0049】
Wは、式−CONH−又は−NHCO−で示される基が好ましく、特に式−CONH−で示される基が好ましい。
【0050】
変数nは、数0が好ましい。
【0051】
好ましい式(2a)〜式(2f)の繊維反応性置換基Vは、R2及びR3が、各々、水素、R4が、水素、メチル又はエチル、Qが、−NH−又は−O−基、Wが、−CONH−基、alk及びalk1が、各々、互いに独立して、エチレン又はプロピレン、アリーレンが、非置換又はメチル、メトキシ若しくはスルホで置換されたフェニレン、Yが、ビニル、β−クロロエチル又はβ−スルファトエチル、特にビニル又はβ−スルファトエチル、極めて特にビニル、Y1が、−CHBr−CH2Br又は−CBr=CH2、そしてnが、数0である基であり;これらの置換基の中でも、式(2c)及び(2d)で示される基が特に好ましい。
【0052】
Vが、繊維反応性置換基の意味を有する場合、Vは、
式:
【0053】
【化25】

【0054】
特に(2c’)で示される基であることが、極めて特に好ましく、ここでYは、上記に定義したとおりであり、上記に示した好ましい意味を有する。
【0055】
式(2c’)の基において、窒素原子は、水素の代わりに、メチル又はエチルで置換されてもよい。
【0056】
Vが非繊維反応性置換基の場合、これは例えば、ヒドロキシ;C1〜C4アルコキシ;非置換又はヒドロキシ、カルボキシ若しくはスルホで置換されたC1〜C4アルキルチオ;アミノ;C1〜C8アルキルでモノ又はジ置換されたアミノ(ここでアルキルは、非置換又は例えば、スルホ、スルファト、ヒドロキシ、カルボキシ若しくはフェニル、特にスルホ若しくはヒドロキシで更に置換され、かつ非中断又は−O−基で中断されている);非置換又はC1〜C4アルキルで置換されたシクロヘキシルアミノ;モルホリノ;N−C1〜C4アルキル−N−フェニルアミノ又はフェニルアミノ若しくはナフチルアミノ(ここでフェニル若しくはナフチルは非置換又は例えば、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、カルボキシ、スルホ若しくはハロゲンで置換されている)であり得る。
【0057】
適切な非繊維反応性置換基Vの例は、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、β−ヒドロキシエチルアミノ、2−(β−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ、N,N−ジ−β−ヒドロキシエチルアミノ、β−スルホエチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、モルホリノ、o−、m−又はp−クロロフェニルアミノ、o−、m−又はp−メチルフェニルアミノ、o−、m−又はp−メトキシフェニルアミノ、o−、m−又はp−スルホフェニルアミノ、ジスルホフェニルアミノ、o−カルボキシフェニルアミノ、1−又は2−ナフチルアミノ、1−スルホ−2−ナフチルアミノ、4,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノ、N−エチル−N−フェニルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、メトキシ、エトキシ、n−又はイソ−プロポキシ及びヒドロキシである。
【0058】
非繊維反応性基として、ヒドロキシ;C1〜C4アルコキシ;非置換若しくはヒドロキシ、カルボキシ若しくはスルホで置換されたC1〜C4アルキルチオ;アミノ;N−モノ−若しくはN,N−ジ−C1〜C4アルキルアミノ(ここでアルキル部分は、非置換若しくはヒドロキシ、スルファト若しくはスルホで置換され、かつ非中断若しくは−O−基で中断されている);モルホリノ;フェニルアミノ若しくはN−C1〜C4アルキル−N−フェニルアミノ(ここで各フェニル環は、非置換若しくはスルホ、カルボキシ、塩素、アセチルアミノ、メチル若しくはメトキシで置換され、またアルキルは、非置換若しくはヒドロキシ、スルホ若しくはスルファトで置換されている);又は非置換若しくは1〜3個のスルホ基で置換されたナフチルアミノを意味するVが好ましい。
【0059】
非繊維反応性基として、アミノ;アルキル部分が非置換若しくはヒドロキシ、スルファト若しくはスルホで置換され、かつ非中断若しくは−O−基で中断された、N−モノ−若しくはN,N−ジ−C1〜C4アルキルアミノ;モルホリノ:フェニル環が非置換若しくはスルホ、カルボキシ、塩素、アセチルアミノ、メチル若しくはメトキシで置換された、フェニルアミノ若しくはN−C1〜C4アルキル−N−フェニルアミノ;又は非置換若しくは1〜3個のスルホ基で置換されたナフチルアミノに対応するVが特に好ましい。
【0060】
特に重要な非繊維反応性基Vは、β−ヒドロキシエチルアミノ、2−(β−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ、N,N−ジ−β−ヒドロキシエチルアミノ、β−スルホエチルアミノ、モルホリノ、2−、3−若しくは4−スルホフェニルアミノ、1−スルホナフト−2−イル−アミノ又は3,7−ジスルホナフト−2−イル−アミノである。
【0061】
kは、数0が好ましい。
【0062】
mは、数1が好ましい。
【0063】
Xは、例えば、フッ素、塩素又は臭素であり、好ましくはフッ素又は塩素であり、特に塩素が好ましい。
【0064】
本発明の好ましい実施態様において、式(1)の化合物は、
式:
【0065】
【化26】

【0066】
(式中、
Bは、C2〜C6アルキレン基、非置換若しくはC1〜C4アルキルで置換されたメチレン−シクロヘキシレン基、又は非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン若しくはスルホで置換された、フェニレン若しくはメチレン−フェニレン−メチレン基であり、
Vは、アミノ、非置換又はアルキル部分においてヒドロキシ、スルファト若しくはスルホで置換され、かつ非中断又は−O−基で中断された、N−モノ−若しくはN,N−ジ−C1〜C4アルキルアミノ、モルホリノ、非置換若しくはフェニル環においてスルホ、カルボキシ、塩素、アセチルアミノ、メチル若しくはメトキシで置換された、フェニルアミノ若しくはN−C1〜C4アルキル−N−フェニルアミノ、又は非置換若しくは1〜3個のスルホ基で置換されたナフチルアミノであるか、あるいは
Vは、上記に定義した式(2c’)又は(2d’)基である)で示される化合物に対応する。
【0067】
本発明の特に好ましい実施態様において、式(1)の化合物は、
Bが
下記:
【0068】
【化27】

【0069】
基である、上記の式(1a)で示される化合物に対応する。
【0070】
Vは、β−ヒドロキシエチルアミノ、2−(β−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ、N,N−ジ−β−ヒドロキシエチルアミノ、β−スルホエチルアミノ、モルホリノ、2−、3−若しくは4−スルホフェニルアミノ、1−スルホナフト−2−イル−アミノ又は3,7−ジスルホナフト−2−イル−アミノに対応するか、あるいは
Vは、上記に定義した式(2c’)若しくは(2d’)基である。
【0071】
式(1)の化合物の構造的変更は、特定の分離又は精製上の問題を解決し得る。
【0072】
本発明に従って適用される吸着剤の調製に使用される基質又はマトリクスは、実質的に水不溶性であり得る。上記基質の例として、例えばポリアクリルアミド又はヒドロキシアルキルメタクリレート等のアクリルポリマー、及びこれら材料のコポリマー、ジルコニア、チタニア若しくはアルミナ等の金属酸化物、シリカ又は多孔質ガラスが挙げられるが、好ましい水不溶性固体担体は、式(1)の化合物が反応性基を介して結合され得る、複数の水酸基を有するポリマー基質である。特に適切な基質は、炭水化物及び修飾炭水化物である。適切な炭水化物基質の例は、アガロース、架橋アガロース、デキストロース、デキストラン及びそれらの修飾体であり、例えば「セファロース(sepharose)」及び「セファデックス(sephadex)」ゲル(「セファロース」及び「セファデックス」はGE Healthcareの商標である)として入手可能であり、GB 1,540,165に記載されている。他のポリマー基質は、ポリアミドである。特に好ましい基質は、アガロース及び架橋アガロースである。
【0073】
本発明に従って適用される吸着剤は、標準的な方法により、例えば、式(1)の化合物を、例えばアルカリ金属水酸化物又は炭酸塩、例えば水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム等の酸結合剤の存在下、上記式(1)の化合物の反応性基と反応して共有結合を形成可能な基を有する基質、例えば炭水化物基質と反応させることにより調製され、ここで変数は、上記に示したように定義され、かつ好ましい変数は、上記に定義されている。
【0074】
このような吸着剤、及びそれらを含有するクロマトグラフィーカラムの製造方法は、例えば、米国特許第4,016,149号及び米国特許第4,546,161号に詳細に記述されている。これらの文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0075】
既に示したように、基質又はマトリクス、例えばアガロース、架橋アガロース、デキストロース又はデキストランは、様々な長さのスペーサーを、該スペーサーに対して式(1)の化合物を共有結合させる前に導入することによって、更に修飾され得る。スペーサーは、染料リガンドに対するアクセスを改善することから、染料リガンドと精製するべきタンパク性材料との相互作用を増大させ、それにより吸着剤の選択性及び効率を向上させ得る。
【0076】
スペーサーの導入は、アルカリ金属水酸化物又は炭酸塩、例えば水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム等の酸結合剤の存在下、基質をエピクロルヒドリンで処理し、続いて例えば20〜80℃、好ましくは20〜50℃の適切な温度下で、ポリアミンで処理することにより実施される。
【0077】
スペーサーの導入に適切なポリアミン化合物は、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミン及び非環式ポリアミンからなる群より選択され得る。典型的な例は、ポリビニルアミン、ポリビニルイミン、1,2−エチレンジアミン、ヒドラジン、ヒドラジン−2−ビス−(3−アミノプロピル)−アミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N−メチル−ビス−(3−アミノプロピル)−アミン、テトラエチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、1−アミノエチル−1,2−エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、フェニレンジアミン、トルイレンジアミン、2,4,6−トリアミノトルエン−三塩酸塩、1,3,6−トリアミノナフタレン、イソホロンジアミン、キシレンジアミン、水素化キシレンジアミン、4,4’−ジ−ジアミノフェニルメタン、水素化4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及びこれらポリアミンモノマーの誘導体を含む。
脂肪族及び/又は非環式ポリアミンが好ましい。特に、脂肪族及び/又は非環式ジアミンが好ましい。特に、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン及び1,8−ジアミノオクタンを挙げることができる。ポリアミンは、個別に又は少なくとも2種のポリアミンの混合物として使用され得る。
【0078】
生物学的材料は、本発明の方法で使用する式(1)の化合物に特異的に結合する、任意の材料、例えばペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、核酸、ステロイド、脂質、ホルモンであり得る。しかしながら、一般に、生物学的物質又は関連物質は、酵素、タンパク質又はポリペプチド、例えばアルブミン、ペプチダーゼ、ホスファターゼ、グリセロキナーゼ、ヘキソキナーゼ又はウロキナーゼ等のキナーゼ、制限エンドヌクレアーゼ又はリボヌクレアーゼ等のヌクレアーゼ、グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、肝臓アルコールデヒドロゲナーゼ又はグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ等のデヒドロゲナーゼ、シンセターゼ、DNA又はRNA結合タンパク質及び受容体であろう。
【0079】
固体担体に結合した式(1)の化合物を含む吸着剤は、クロマトグラフィー分離目的のためのカラム形態、又は膜分離フォーマットでの分離の実施を可能にする膜形態であり得る。
【0080】
本発明による分離又は精製方法は、式(1)の化合物を含む吸着剤の存在下、適切なpH及びイオン強度の水性環境内で、生物学的材料を処理、例えば振とうし、例えば濾過により吸着剤を分離し、pH及びイオン強度を適切に変更して、結合したタンパク質を吸着剤から溶出することによっても実施し得る。
【0081】
本発明による分離又は精製方法は:
(a)生物学的材料を含有する混合物を、クロマトグラフィーカラム上に保持された式(1)の化合物を含む吸着剤と接触させる接触相、
(b)内部に洗浄溶液を通過させて、式(1)の化合物を含む吸着剤から未結合種を除去する洗浄相、及び
(c)式(1)の化合物を含む吸着剤に溶出溶液を通過させて、拘束された所望の生物学的材料をカラムから回収する溶出相、を含むアフィニティークロマトグラフィーにより実施されることが有利である。
【0082】
結合材料、洗浄溶液及び溶出溶液を注意深く選択することにより、生物学的材料の複雑な混合物の一ステップ精製を達成し得る。
【0083】
本発明の別の実施態様によれば、上記に定義した式(1)の化合物と、前記式(1)の化合物の反応性基と反応して共有結合を形成可能な基を有する基質との付加化合物を含む吸着剤を提供し、ここで変数は、上記に示したように定義され、かつ好ましい変数は、上記に定義されている。
【0084】
本発明による吸着剤は、非常に純粋な材料であり、いかなる染料浸出挙動がなく、またマトリクス上に様々なレベルの染料リガンド濃度を含む。更に、本発明による吸着剤は、化学的及び熱的に安定であり、高い選択性を有し、染料リガンドアフィニティークロマトグラフィーにおけるスクリーニングに使用できる、多様な染料リガンド構造を提供する。
【0085】
スクリーニングに使用できる染料構造の幅は、染料リガンドアフィニティークロマトグラフィーにおける相当の進歩である。また、これら構造変更体との相互作用は、タンパク質の活性部位に関与し得(T.Burnouf, H. Goubran, M. Radosevich, J. Chromatogr. B, 1998, 715, 65)、あるいは相互作用は、タンパク質の他の箇所で起こり得る(B.M.Hayden and P.C.Engel, Eur. J. Biochem., 2001 , 268, 1173)。そのような吸着剤の組み合わせによる両方の結合モードの可能性は、興味あるほぼ全タンパク質のタンパク質精製プロトコールの開発において、それらを価値ある資源とする。
【0086】
本発明に使用される染料リガンドの一部は、新規である。したがって、本発明は、
式:
【0087】
【化28】

【0088】
(式中、
1は、β−ヒドロキシエチルアミノ、2−(β−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ又はモルホリノであり、
2及びV3は各々、互いに独立して、β−ヒドロキシエチルアミノ、2−(β−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ、N,N−ジ−β−ヒドロキシエチルアミノ又はモルホリノであり、そして
qは、数0、1、2又は3であり、好ましくは0又は3である)で示される化合物にも関する。
【0089】
式:
【0090】
【化29】







【0091】
で示される化合物が好ましい。
【0092】
染料リガンドは、当該技術分野にて周知の手順と同様に調製し得る。
【0093】
以下の実施例は、本発明を解説する役割を有する。温度は、摂氏で表す。別に示さない限り、部は重量部であり、百分率は重量百分率である。重量部は、キログラム対リットルの比において、容積部に関連する。
【0094】
染料リガンドの調製
実施例1:
(a)塩化シアヌル20.17部を、水100部及び氷100部中に分散する。2−アミノベンゼンスルホン酸19.26部を、水酸化ナトリウムと共に水70部に中性にて溶解する。このように得られた中性溶液を、上記の塩化シアヌル分散液に一度に加え、水酸化ナトリウム水溶液(30%)を用いてpH値を3にて1時間保持する。次に、水酸化ナトリウム水溶液(30%)を滴加して、pH値を段階的に6迄上昇させ、数時間保持する。温度を0〜5℃で数時間保つ。
【0095】
(b)
式:
【0096】
【化30】

【0097】
に対応する遊離酸形態の化合物40.35部を、水200部に溶解し、ステップ(a)により得られた溶液に一度に加える。水酸化ナトリウム水溶液(30%)を加えてpH値を直ちに8.4〜8.6に上昇させ、温度を20℃に上昇させる。これらの条件を数時間維持する。反応混合物を中和し、透析により無機塩を除外し、蒸発により濃縮する。生成物を乾燥し、
式:
【0098】
【化31】

【0099】
に対応する遊離酸形態の化合物94.3gを収集する。
【0100】
実施例2:
(a)塩化シアヌル19.36部を、水50部及び氷60部中に分散する。
式:
【0101】
【化32】

【0102】
に対応する遊離酸形態の化合物48.95部を、水酸化ナトリウムと共に水350部に中性にて溶解する。このように得られた中性溶液を、上記の塩化シアヌル分散液に20分間以内で加える一方、水酸化ナトリウム水溶液(30%)を滴加してpH値を5に保持する。反応混合物をpH6に保ち、温度を0〜2℃で数時間保持する。
【0103】
(b)ステップ(a)により得られた溶液に、モルホリン9.58部を加える。水酸化ナトリウム水溶液(30%)を加えてpH値を直ちに9まで上昇させ、温度を60℃に上昇させる。これらの条件を数時間維持する。反応混合物を中和し、透析により無機塩を除外し、蒸発により濃縮する。生成物を乾燥し、
式:
【0104】
【化33】

【0105】
に対応する遊離酸形態の化合物93.1gを回収する。
【0106】
実施例3:
(a)塩化シアヌル12.9部を、水50部及び氷50部中に分散する。
式:
【0107】
【化34】

【0108】
に対応する遊離酸形態の化合物38.42部を、水酸化ナトリウムと共に水365部に中性にて溶解する。このように得られた中性溶液を、上記の塩化シアヌル分散液に10分間以内で加える一方、水酸化ナトリウム水溶液(30%)を滴加してpH値を5に保持する。反応混合物をpH5で保持し、温度を0℃で数時間保持する。
【0109】
(b)ステップ(a)により得られた溶液に、エタノールアミン4.70部を加える。ソーダ水溶液(20%)を加えてpH値を直ちに9に上昇させ、温度を50℃に上昇させる。これらの条件を数時間維持する。
【0110】
(c)反応混合物1750部に、塩化ナトリウム35部を加える。30分後、懸濁液を濾過し、乾燥する。
式:
【0111】
【化35】

【0112】
に対応する遊離酸形態の化合物44部を回収する。
【0113】
実施例4:
(a)塩化シアヌル19.36部を、水50部及び氷60部中に分散する。
式:
【0114】
【化36】

【0115】
に対応する遊離酸形態の化合物48.95部を、水酸化ナトリウムと共に水500部に中性にて溶解する。このように得られた中性溶液を、上記の塩化シアヌル分散液に45分間以内で加える一方、水酸化ナトリウム水溶液(30%)を滴加してpH値を5に保持する。反応混合物をpH5で保持し、温度を0℃にて数時間保持する。
【0116】
(b)ステップ(a)により得られた溶液に、エタノールアミン6.72部を加える。ソーダ水溶液(20%)を加えてpH値を直ちに8.5に上昇させ、温度を40℃に上昇させる。これらの条件を数時間維持する。
【0117】
(c)反応混合物2000部に、塩化ナトリウム150部を加える。30分後、懸濁液を濾過し、乾燥する。
式:
【0118】
【化37】

【0119】
に対応する遊離酸形態の化合物88部を回収する。
【0120】
実施例5:
(a)塩化シアヌル7.75部を、水30部及び氷40部中に分散する。
式:
【0121】
【化38】

【0122】
に対応する遊離酸形態の化合物19.58部を、水酸化ナトリウムと共に水200部に中性にて溶解する。このように得られた中性溶液を、上記の塩化シアヌル分散液に45分間以内で加える一方、水酸化ナトリウム水溶液(30%)を滴加してpH値を5に保持する。反応混合物をpH5で保持し、温度を0℃にて数時間保持する。
【0123】
(b)予めソーダ水溶液(20%)と共にpH5にて溶解した、
式:
【0124】
【化39】

【0125】
に対応する遊離酸形態の化合物13.61部を、ステップ(a)により得られた溶液に加える。ソーダ水溶液(20%)を加えてpH値を直ちに7に上昇させ、温度を20℃に上昇させる。これらの条件を一晩維持する。生成物を乾燥する。
【0126】
(c)(b)により得られた乾燥生成物96.8部を、塩化ナトリウム溶液(5%)350部でスラリー化する。次に、塩化ナトリウム17.5部を2回、及びアセトン100部を2回に分けて加える。懸濁液を30分間撹拌し、濾過し、乾燥する。
式:
【0127】
【化40】

【0128】
に対応する遊離酸形態の化合物76.56部を回収する。
【0129】
実施例6〜25:
実施例1〜5に記載した方法と類似した方法で、
式:
【0130】
【化41】









【0131】
で示される染料リガンドを得ることができる。
【0132】
吸着剤の調製
実施例26(直接固定化による吸着剤合成のための一般的プロトコール):
アガロースゲル(6%架橋[CL]、3g)を水(70ml)で洗浄し、染料リガンド(30〜60μmol)の水(3〜9ml)溶液に加える。混合物を5分間振とうし、220g/lの塩化ナトリウム溶液(0.6ml)を加える。更に30分間振とうした後、上記懸濁液に炭酸ナトリウム(1.5g)をゆっくり加え、180rpmにて60℃で2〜16時間穏やかに振とうする。混合物を冷まし、濾過し、固体を、水(300ml)、1M塩化ナトリウム水溶液(150ml)、1:1 v/v DMSO−水(30ml)、1M塩化ナトリウム水溶液(150ml)、各々pH3、pH9の緩衝液(90ml)及び水(300ml)で連続的に洗浄する。水分を除去した吸着剤を、20%v/vメタノール中にて4℃で保管する。
【0133】
差分解析(濾液中の未反応染料)又はゲル解析を用いて、以下の手順に従って、染料リガンド密度を計算した。
【0134】
吸着剤(0.1g、濾過時の湿潤重量)を6M HCl(25ml)中に40℃で1時間分解し、既知量の染料リガンドを含む標準溶液を用いて、HCl分解物の吸光度(λmaxでの)から、吸着剤のリガンド密度を概算する。
【0135】
ある場合に、NaOHを炭酸ナトリウムの代わりに塩基として使用し、時間も変更する。
【0136】
結果を、表1に示す。
【0137】
【表1】

【0138】
実施例27(直接固定化による吸着剤合成のためのプロトコール):
アガロースゲル(6%架橋、3g)を水(70ml)で洗浄し、
式:
【0139】
【化42】

【0140】
で示される染料リガンド(0.0465g、60μmol)の水(3ml)溶液に加える。混合物を5分間振とうし、220g/lの塩化ナトリウム溶液(0.6ml)を加える。更に30分間振とうした後、上記懸濁液に炭酸ナトリウム(1.5g)をゆっくり加え、180rpmにて60℃で2時間穏やかに振とうする。混合物を冷まし、濾過し、固体を、水(300ml)、1M塩化ナトリウム水溶液(150ml)、1:1 v/v DMSO−水(30ml)、1M塩化ナトリウム水溶液(150ml)、各々pH3、pH9の緩衝液(90ml)及び水(300ml)で連続的に洗浄する。水分を除去した吸着剤を、20%v/vメタノール中にて4℃で保管する。
【0141】
吸着剤(0.1g、濾過時の湿潤重量)を6M HCl(25ml)中に40℃で1時間分解し、8.0μmol/gの水分を除去したゲルとしてのHCl分解物の吸光度(λmaxでの)から、吸着剤のリガンド密度を概算する。
【0142】
実施例27は、例示を目的としたものである。式(201)の染料リガンドは、本発明による一般式(1)の範囲から除外される。
【0143】
実施例28(スペーサーによる吸着剤合成のための一般的プロトコール):
アガロースゲル(6%架橋、14g)を水(300ml)で洗浄し、直ちに適切なRB又はコニカルフラスコ内で水(56ml)中に懸濁する。エピクロルヒドリン(6.72〜25.2mmol)を加えた後、等量のNaOH(6.72〜25.2mmol)を加え、反応塊を150rpmにて27℃で3時間振とうする。次に、懸濁液を濾過し、水(850ml)で徹底的に洗浄し、水分を除去して、エポキシ活性化アガロースを得る。
【0144】
エポキシ活性化アガロース(13g)を1,6−ジアミノアルカン(6.24〜9.36mmol)の水(52ml)溶液に加える。反応混合物を27℃又は45℃で4時間振とうし、濾過する。得られたアミノ官能基化ゲルを水(750ml)で徹底的に洗浄し、水分を除去する。
【0145】
アミノ官能基化アガロース(4g)を染料リガンド(80μmol)の水(16ml)溶液中に懸濁させ、混合物を150rpmにて27℃で16時間振とうする。懸濁液を濾過し、過剰の染料リガンドを水(250ml)、1M NaCl(100〜200ml)、1:1 v/v DMSO−水(60〜80ml)、1M NaCl(100〜200ml)及び最後に水(250ml)で洗浄除去する。水分を除去した吸着剤を20%v/vメタノール中にて4℃で保管する。
【0146】
差分解析(濾液中の未反応染料)又はゲル解析を用いて、以下の手順に従って、染料リガンド密度を計算した。
【0147】
吸着剤(0.1g、濾過時の湿潤重量)を6M HCl(25ml)中に40℃で1時間分解し、既知量の染料リガンドを含む標準溶液を用いて、HCl分解物の吸光度(λmaxでの)から、吸着剤のリガンド密度を概算する。
【0148】
結果を、表2及び表3に示す。
【0149】
【表2】

【0150】
【表3】

【0151】
実施例29(スペーサーによる吸着剤合成のためのプロトコール):
アガロースゲル(6%架橋、14g)を水(300ml)で洗浄し、直ちに100ml RBフラスコ内で水(56ml)中に懸濁する。エピクロルヒドリン(0.6216g、6.72mmol)を加えた後、NaOH(0.268g、6.72mmol)を加え、反応混合物を150rpmにて27℃で3時間振とうする。次に、懸濁液を濾過し、水(850ml)で徹底的に洗浄し、排水して、エポキシ活性化アガロースを得る。
【0152】
エポキシ活性化アガロース(13g)を1,6−ジアミノヘキサン(0.7612g、6.56mmol)の水(52ml)溶液に加える。反応混合物を27℃で4時間振とうし、濾過する。得られたアミノ官能基化ゲルを水(750ml)で徹底的に洗浄し、水分を除去する。
【0153】
アミノ官能基化アガロース(4g)を式(106)の染料リガンド(0.0537g、81.1μmol)の水(16ml)溶液中に懸濁させ、反応混合物を150rpmにて27℃で16時間振とうする。反応混合物を濾過し、過剰の染料リガンドを水(250ml)、1M NaCl(100ml)、1:1 v/v DMSO−水(60ml)、1M NaCl(100ml)及び最後に水(250ml)で洗浄除去する。水分を除去した吸着剤を20%v/vメタノール中にて4℃で保管する。
【0154】
吸着剤(0.1g、濾過時の湿潤重量)を、6M HCl(25ml)中で40℃にて1時間分解し、3.0μmol/gの水分を除去したゲルとしてのHCl分解物の吸光度(λmaxでの)から、吸着剤のリガンド密度を概算する。
【0155】
生物学的材料の精製:
吸着剤のタンパク質精製における有効性を測定する試験は、主として2クラスの酵素を用いて行う。代表的なオキシドレダクターゼ及びヒドロラーゼクラスの酵素を使用して、吸着剤の有効性を評価する。これらタンパク質の例は、ラッカーゼ、NADP−グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(NADP−GDH)(S.Noor and N.S.Punekar, Microbiology, 2005, 151 , 1409)、アルギナーゼ及びトリプシンを含んでいた。トリプシンを除き、他の全酵素は、真菌を起源とする。
【0156】
全吸着剤のスクリーニングは、バッチ結合及び溶出モードで実施する。構造的多様性を有する吸着剤は選択的であり、試験する異なるタンパク質間を明確に区別する。例えば、一組の平衡条件下で、NADP−GDHは、BS−212及びBS−213に対して選択的に結合される。これらの一つを精製の大規模化に使用し得る。しかしながら、このNADP−GDHは、広範に使用されているトリアゾン染料チバクロンブルー3GAに結合しない(S.Subramanian, CRC Critical Rev. Biochem., 1984, 16, 169)。
【0157】
【表4】

【0158】
【表5】

【0159】
【表6】

【0160】
実施例30:
一般的手順(Aspergillus terreus NADP−グルタミン酸デヒドロゲナーゼ):
真菌を最小培地(窒素源として硝酸塩を含む)上で、対数増殖中期(mid log phase)まで増殖させ、濾過して菌糸体を回収する。これら細胞からの粗NADP−GDH抽出物を、pH7.5の抽出緩衝液(100mMホスフェート、1mM PMSF、1mM EDTA、4mM 2−メルカプトエタノール)中で調製する。30〜70%硫酸アンモニウム画分をG−25マトリクス上で脱塩し、アッセイに使用する。活性を340nmにおいてNADPHの連続的酸化により監視する。活性1単位(U)は、1ml標準アッセイにおいて、1分毎に酸化されたNADPH 1μmolとして定義する。全結合試験において、NADP−GDHサンプル約100mUを、アフィニティー樹脂上に適用する。
【0161】
マイクロフュージチューブ(Microfuge tube)バッチモード:1.5mlエッペンドルフ管内で、吸着剤(0.3ml、充填容積)をpH7.5のクロマトグラフィー緩衝液(20mMホスフェート、1mM EDTA、4mM 2−メルカプトエタノール)で平衡化する。このマトリクス上に粗NADP−GDHサンプル(約100μl中〜100mU)を適用し、氷上で15分間インキュベートする。未結合画分を、遠心分離(1000rpmで2分間)により上清として回収する。マトリクスを、同じ緩衝液0.5mlで2回洗浄する。結合したタンパク質を、遠心分離により、同じ緩衝液中の、最初に0.3M KCl、後に0.5M KClを用いて2回溶出(毎回0.4ml)する。全インキュベーションをインキュベーション時間10分で、また全操作を冷却マイクロフュージで実施する。
【0162】
吸着剤は、試験した3つの酵素活性に関して、異なる結合/溶出パターンを示す。これらは、異なる結合により異なるタンパク質を区別できる親和性の範囲を提供する。
【0163】
実施例31:
一般的手順(Aspergillus nigerラッカーゼ):
粗ラッカーゼタンパク質を、20mMリン酸緩衝液中の分生子形成(conidiating)A.niger菌糸体から単離する。30〜80%硫酸アンモニウム画分をG−25マトリクス上で脱塩し、アッセイに使用する。活性を436nmにおいてABTSの連続的酸化により監視する。活性1単位(U)は、1ml標準アッセイにおいて、1分毎に酸化されたABTS 1μmolとして定義する。全結合試験において、ラッカーゼサンプル約5mUをアフィニティー樹脂上に適用する。
【0164】
(a)マイクロスピンカラムモード:アフィニティー樹脂(0.25ml、充填容積)をマイクロスピンカラム内で20mMリン酸緩衝液(pH7.0)を用いて平衡化する。このマトリクス上に粗ラッカーゼサンプル(約100μl中〜5mU)を適用し、氷上で15分間インキュベートする。未結合画分を、遠心分離(1000rpmで2分間)により回収する。マトリクスを更にリン酸緩衝液0.3mlで洗浄する。結合したタンパク質を、遠心分離により、同じ緩衝液中の0.6M KCl用いて2回溶出(毎回0.3ml)する。
【0165】
(b)マイクロフュージチューブバッチモード:吸着剤(0.3ml、充填容積)を1.5mlエッペンドルフ管内で20mMリン酸緩衝液(pH7.0)を用いて平衡化する。このマトリクス上に粗ラッカーゼサンプル(約100μl中〜5mU)を適用し、氷上で15分間インキュベートする。未結合画分を、遠心分離(2分間で1000rpm)により上清として回収する。マトリクスをリン酸緩衝液0.5mlで2回洗浄する。結合したタンパク質を、遠心分離により、同じ緩衝液中の0.6M KClを用いて2回(毎回0.4ml)溶出する。全インキュベーションをインキュベーション時間10分で、また全操作を冷却マイクロフュージで実施する。
【0166】
実施例32:
一般的手順(Aspergillus niger アルギナーゼ):
真菌を最小培地(単独窒素源としてアルギニンを含む)上で、対数増殖中期まで増殖させ、濾過して菌糸体を回収する。これら細胞からの粗アルギナーゼ抽出物を、pH7.5の抽出緩衝液(200mMイミダゾールHCl、1mM PMSF、12mM MnSO4、2mM 2−メルカプトエタノール)中で調製する。酵素をDEAEカラム上で濃縮して、活性画分をプールし、70%硫酸アンモニウムに加えて、酵素活性を引き起こす。このペレットを、pH7.5の緩衝液(25mM Hepes−NaOH、1.2mM MnSO4、2mM 2−メルカプトエタノール、20%グリセロール)に溶解する。このサンプルを、pH7.5の緩衝液(25mMイミダゾールHCl、1.2mM MnSO4、2mM 2−メルカプトエタノール)中で希釈して、アッセイに使用する。活性をArchibald法により、尿素の見積もりに関して監視する(478nmにて)。標準アッセイにおいて、活性1単位(U)は、1分毎に形成された尿素1μmolとして定義する。全結合試験において、アルギナーゼサンプル約300mUをアフィニティー樹脂上に適用する。
【0167】
マイクロフュージチューブバッチモード:1.5mlエッペンドルフ管内で、吸着剤(0.3ml、充填容積)をpH7.5のクロマトグラフィー緩衝液(25mMイミダゾールHCl、1.2mM MnSO4、2mM 2−メルカプトエタノール)で平衡化する。このマトリクス上に粗アルギナーゼサンプル(約100μl中〜300mU)を適用し、氷上で15分間インキュベートする。未結合画分を、遠心分離(2分間で1000rpm)により上清として回収する。マトリクスを、同じ緩衝液0.5mlで2回洗浄する。結合したタンパク質を、遠心分離により、同じ緩衝液中の0.5M KClを用いて2回溶出(毎回0.4ml)する。全インキュベーションをインキュベーション時間10分で、また全操作を冷却マイクロフュージで実施する。
【0168】
実施例33:
BS−212吸着剤を使用したNADP−GDH(A.terreus)の精製:
真菌を最小培地(窒素源として硝酸塩を含む)上で、対数増殖中期まで増殖させ、濾過して菌糸体を回収する。これらの細胞からの粗NADP−GDH抽出物を、pH7.5の抽出緩衝液A(100mMホスフェート、1mM PMSF、1mM EDTA及び4mM 2−メルカプトエタノール)中で調製する。30〜70%硫酸アンモニウム画分を、1mM EDTA及び4mM 2−メルカプトエタノールを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)(緩衝液B)で平衡化したG−25マトリクス(ベッド容積20ml)上で脱塩する。この脱塩タンパク質を流速10ml/時間で20ml BS−212カラム上に負荷する。カラムを緩衝液B100mlにより流速12ml/時間で洗浄する。
【0169】
緩衝液B中の0〜0.3M KCl(20ml+20ml)の直線勾配を用いて、結合したタンパク質を溶出する。溶出のために、流速18ml/時間を保持し、画分(各1.5ml)を回収する。以前に述べたように、NADP−GDH活性は、340nmにおける吸収の変化を追跡して測定する。反応容積1.0mlで実施された還元的アミノ化アッセイは、pH8.0の100mM トリスHCl、10mM NHCl、10mM 2−オキソグルタル酸及び0.1mM NADPHを含んでいた。
【0170】
結果:負荷した10単位のNADP−GDH活性のうち、未結合で、又は洗浄画分中で回収されたものは存在しなかった。殆どの活性が結合し、上記のKCl勾配を用いて溶出できた(9.5単位)。この溶出プロファイルを、図1に示す。この単一ステップで達成された吸着剤を使用した精製は、負荷したサンプル及びピーク画分の天然PAGEにより監視した。図2に、このゲルの写真を示す。BS−212吸着剤は、Aspergillus NADP−GDHタンパク質(図2の矢印で示す)を実質的に濃縮することができた。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】KCl勾配を用いた、BS−212カラムからのA. terreus NADP−GDHの溶出プロファイルである。
【図2】A. terreus NADP−GDHの天然PAGE(7.5%)である:レーン1−脱塩した硫酸アンモニウム(30〜70%)画分;レーン2−BS−212カラムからのピークタンパク質画分(図1)(矢印は、NADP−GDHタンパク質の位置を示す)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的材料の分離方法であって、
式:
【化1】


(式中、
Bは、−NR1−又は−O−からなる群からの1、2又は3員で中断されてもよく、かつ非置換又はヒドロキシル、スルホ、スルファト、シアノ若しくはカルボキシルで置換されたC2〜C12アルキレン基であり、
1は、水素又はC1〜C4アルキルであるか、あるいは
Bは、非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルで置換された、C5〜C9シクロアルキレン基、C1〜C4アルキレン−C5〜C9シクロアルキレン基若しくはC1〜C4アルキレン−C5〜C9シクロアルキレン−C1〜C4アルキレン基、又は非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルカノイルアミノ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルで置換された、フェニレン基、C1〜C4アルキレン−フェニレン基若しくはC1〜C4アルキレン−フェニレン−C1〜C4アルキレン基であり、
Vは、
式:
【化2】


で示される非繊維反応性置換基又は繊維反応性置換基であり、
ここで
2は、水素又は非置換若しくは置換されたC1〜C4アルキル又は
式:
【化3】


基であり、
3は、水素、ヒドロキシ、スルホ、スルファト、カルボキシ、シアノ、ハロゲン、C1〜C4アルコキシカルボニル、C1〜C4−アルカノイルオキシ、カルバモイル又は−SO2−Y基であり、
4は、水素又はC1〜C4アルキルであり、
alk及びalk1は各々、互いに独立して、直鎖状又は分岐状のC1〜C6アルキレンであり、
アリーレンは、非置換又はスルホ、カルボキシ、ヒドロキシ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ若しくはハロゲンで置換された、フェニレン又はナフチレン基であり、
Yは、ビニル又は−CH2−CH2−U基であり、かつUは、脱離基であり、
1は、−CH(Hal)−CH2(Hal)又は−C(Hal)=CH2基であり、ここでHalは、塩素又は臭素であり、
Wは、−SO2−NR4−、−CONR4−又は−NR4CO−基であり、ここでR4は、上記に定義したとおりであり、
Qは、−O−又は−NR4−基であり、ここでR4は、上記に定義したとおりであり、そして
nは、数0又は1であり、
Xは、ハロゲンであり、そして
k及びmは各々、互いに独立して、数0又は1であり、かつk+mの合計は、1又は2である)
で示される化合物と、上記式(1)で示される化合物の反応性基と反応して共有結合を形成可能な基を有する基質との反応生成物を含む吸着剤が使用されるが、
ただし、
式:
【化4】


(式中、
Qは、スルホ又はカルボキシである)
で示される化合物を含む吸着剤は除外される、方法。
【請求項2】
式(1)で示される化合物が、
式:
【化5】


(式中、
Bは、C2〜C6アルキレン基、非置換若しくはC1〜C4アルキルで置換されたメチレン−シクロヘキシレン基、又は非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン若しくはスルホで置換された、フェニレン若しくはメチレン−フェニレン−メチレン基であり、
Vは、アミノ、非置換又はアルキル部分においてヒドロキシ、スルファト若しくはスルホで置換され、かつ非中断又は−O−基で中断された、N−モノ−若しくはN,N−ジ−C1〜C4アルキルアミノ、モルホリノ、非置換若しくはフェニル環においてスルホ、カルボキシ、塩素、アセチルアミノ、メチル若しくはメトキシで置換された、フェニルアミノ若しくはN−C1〜C4アルキル−N−フェニルアミノ、又は非置換若しくは1〜3個のスルホ基で置換されたナフチルアミノであるか、あるいは
Vは、
式:
【化6】


で示される基である)
で示される化合物に対応する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
Bが、
下記:
【化7】


基であり、
Vが、β−ヒドロキシエチルアミノ、2−(β−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ、N,N−ジ−β−ヒドロキシエチルアミノ、β−スルホエチルアミノ、モルホリノ、2−、3−若しくは4−スルホフェニルアミノ、1−スルホナフタ−2−イル−アミノ若しくは3,7−ジスルホナフタ−2−イル−アミノに対応するか、あるいは
Vは、請求項2に定義した式(2c’)若しくは(2d’)基である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
基質が、炭水化物又は修飾炭水化物、好ましくはアガロース、架橋アガロース、デキストロース、デキストラン又はそれらの修飾体である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
生物学的材料を分離するための吸着剤であって、
式:
【化8】


(式中、
Bは、−NR1−又は−O−からなる群からの1、2又は3員で中断されてもよく、かつ非置換又はヒドロキシル、スルホ、スルファト、シアノ若しくはカルボキシルで置換されたC2〜C12アルキレン基であり、
1は、水素又はC1〜C4アルキルであるか、あるいは
Bは、非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルで置換された、C5〜C9シクロアルキレン基、C1〜C4アルキレン−C5〜C9シクロアルキレン基若しくはC1〜C4アルキレン−C5〜C9シクロアルキレン−C1〜C4アルキレン基であるか、又は非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルカノイルアミノ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルで置換された、フェニレン基、C1〜C4アルキレン−フェニレン基若しくはC1〜C4アルキレン−フェニレン−C1〜C4アルキレン基であり、
Vは、
式:
【化9】


で示される非繊維反応性置換基又は繊維反応性置換基であり、
ここで
2は、水素又は非置換若しくは置換されたC1〜C4アルキル又は
下記:
【化10】


基であり、
3は、水素、ヒドロキシ、スルホ、スルファト、カルボキシ、シアノ、ハロゲン、C1〜C4アルコキシカルボニル、C1〜C4−アルカノイルオキシ、カルバモイル又は−SO2−Y基であり、
4は、水素又はC1〜C4アルキルであり、
alk及びalk1は各々、互いに独立して、直鎖状又は分岐状のC1〜C6アルキレンであり、
アリーレンは、非置換又はスルホ、カルボキシ、ヒドロキシ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ若しくはハロゲンで置換された、フェニレン又はナフチレン基であり、
Yは、ビニル又は−CH2−CH2−U基であり、かつUは、脱離基であり、
1は、−CH(Hal)−CH2(Hal)又は−C(Hal)=CH2基であり、ここでHalは、塩素又は臭素であり、
Wは、−SO2−NR4−、−CONR4−又は−NR4CO−基であり、ここでR4は、上記に定義したとおりであり、
Qは、−O−又は−NR4−基であり、ここでR4は、上記に定義したとおりであり、そして
nは、数0又は1であり、
Xは、ハロゲンであり、そして
k及びmは各々、互いに独立して、数0又は1であり、かつk+mの合計は、1又は2である)
で示される化合物と、
上記式(1)で示される化合物の反応性基と反応して共有結合を形成可能な基を有する基質との反応生成物を含むが、
ただし、
式:
【化11】


(式中、
Qは、スルホ又はカルボキシである)
で示される化合物を含む吸着剤は除外される、吸着剤。
【請求項6】
請求項5記載の吸着剤の製造方法であって、
式:
【化12】


〔式中、
Bは、−NR1−又は−O−からなる群からの1、2又は3員で中断されてもよく、かつ非置換又はヒドロキシル、スルホ、スルファト、シアノ若しくはカルボキシルで置換されたC2〜C12アルキレン基であり、
1は、水素又はC1〜C4アルキルであるか、あるいは
Bは、非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルで置換された、C5〜C9シクロアルキレン基、C1〜C4アルキレン−C5〜C9シクロアルキレン基若しくはC1〜C4アルキレン−C5〜C9シクロアルキレン−C1〜C4アルキレン基、又は非置換若しくはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルカノイルアミノ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルで置換された、フェニレン基、C1〜C4アルキレン−フェニレン基若しくはC1〜C4アルキレン−フェニレン−C1〜C4アルキレン基であり、
Vは、
式:
【化13】


で示される非繊維反応性置換基又は繊維反応性置換基であり、
ここで
2は、水素又は非置換若しくは置換されたC1〜C4アルキル又は
下記:
【化14】


基であり、
3は、水素、ヒドロキシ、スルホ、スルファト、カルボキシ、シアノ、ハロゲン、C1〜C4アルコキシカルボニル、C1〜C4−アルカノイルオキシ、カルバモイル又は−SO2−Y基であり、
4は、水素又はC1〜C4アルキルであり、
alk及びalk1は各々、互いに独立して、直鎖状又は分岐状のC1〜C6アルキレンであり、
アリーレンは、非置換又はスルホ、カルボキシ、ヒドロキシ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ若しくはハロゲンで置換された、フェニレン又はナフチレン基であり、
Yは、ビニル又は−CH2−CH2−U基であり、かつUは、脱離基であり、
1は、−CH(Hal)−CH2(Hal)又は−C(Hal)=CH2基であり、ここでHalは、塩素又は臭素であり、
Wは、−SO2−NR4−、−CONR4−又は−NR4CO−基であり、ここでR4は、上記に定義したとおりであり、
Qは、−O−又は−NR4−基であり、ここでR4は、上記に定義したとおりであり、そして
nは、数0又は1であり、
Xは、ハロゲンであり、そして
k及びmは各々、互いに独立して、数0又は1であり、かつk+mの合計は、1又は2であるが、
ただし、
式:
【化15】


(式中、
Qは、スルホ又はカルボキシである)
で示される化合物は除く〕で示される化合物と、前記式(1)で示される化合物の反応性基と反応して共有結合を形成可能な基を有する基質とを、酸結合剤の存在下で反応させることを含む、方法。
【請求項7】
式:
【化16】


(式中、
1は、β−ヒドロキシエチルアミノ、2−(β−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ又はモルホリノであり、
2及びV3は各々、互いに独立して、β−ヒドロキシエチルアミノ、2−(β−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ、N,N−ジ−β−ヒドロキシエチルアミノ又はモルホリノであり、
qは、数0、1、2又は3である)
で示される化合物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−539280(P2008−539280A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504742(P2008−504742)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061121
【国際公開番号】WO2006/108760
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】