説明

生物用通路要素付ブロック構造体およびこれを用いた生物の移動が容易な人工斜面形成法

【課題】 生物の登坂能力に見合う勾配と生物の体格に見合う空間および分岐点を持つ多数の通路を急傾斜の人工斜面に構築するための要素をブロック構造体に持たせる。
【解決手段】 前面8に突起A2a、突起B2b、突起C2cおよび突起D2dを持ち、前面8と背面9の間の内部に貫通孔A3a、貫通孔B3b、貫通孔C3cおよび貫通孔D3dを持ち、且つ突起の上面と貫通孔を空間的に接続する穴A4a、穴B4b、穴C4c、穴D4dを持つブロック構造体1であって、突起と貫通孔の配置が交差すること、突起と貫通孔の交差部に穴を持つこと、ブロック構造体を千鳥または並列に配置するときに互いのブロック構造体の突起が連続すること、同様にブロック構造体の貫通孔が連続すること、突起と貫通孔の勾配が斜面傾斜角7ではなくブロック構造体の高さHと長さBで決まることを特徴とする生物用通路要素付ブロック構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック構造体を用いて形成される盛土、切土、河川、湖沼、調整池の急傾斜の人工斜面において、人工斜面の角度に関わることなく人工斜面の上端と下端の間の双方向の生物の移動が容易な人工斜面形成法およびこれに用いるブロック構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のブロック構造体を用いて形成される人工斜面においては、傾斜角60°〜90°の斜面における上端と下端の間の双方向の生物の移動を容易とする人工斜面形成法およびそれに用いるブロック構造体は無い。
【0003】
よって、自然環境の生態系保全などで生物の移動を考慮する必要がある場合は斜面傾斜角45°未満の人工斜面とすることが一般的であるが、敷地が限られる場合は勾配が緩やかな人工斜面とすることができず、生物の移動が困難な急傾斜の人工斜面が形成される。このような人工斜面は自然環境の生態系を保全する上で好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
斜面の角度によらずに人工斜面を生物が移動するためには、生物の登坂能力に見合う勾配と生物の体格に見合う空間および分岐点を持つ多数の通路を人工斜面に構築する必要がある。
【0005】
本発明では、生物の登坂能力に見合う勾配と生物の体格に見合う空間および分岐点を持つ多数の通路を構築するための生物用通路要素付ブロック構造体を提供し、それを用いることにより斜面傾斜角に関わらずに生物が容易に移動できる生物用通路を構築できる人工斜面形成法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するブロック構造体は、前面の突起と前面と背面の間の内部の貫通孔および突起の上面と貫通孔を空間的に接続する穴を持つことを特徴とする。突起の上面と貫通孔は生物の登坂能力に見合う勾配と生物の体格に見合う空間を持つ通路の一部となり穴は突起の上面と貫通孔で構成する通路の分岐点となる。突起と貫通孔の勾配すなわち通路の勾配はブロック構造体の高さHと長さLで決まる。
【0007】
本発明のブロック構造体を人工斜面の構築で多用される千鳥配置で並べたときに、互いのブロック構造体の突起は連続しなければならない。また、実用性からブロック構造体の製造コストを低減するためにはブロック構造体の種類を最少としなければならない。後で詳細に説明する突起の軸線の配置はこの二つの条件を同時に満足する。また、突起の断面形状は対象とする生物の体格に合わせる必要があるが、本発明は対象とする生物を限定するものではないので、大まかに突起の断面形状を示す。
【0008】
同様に、本発明のブロック構造体を人工斜面の構築で多用される千鳥配置で並べたときに、互いのブロック構造体の貫通孔は連続しなければならない。また、実用性からブロック構造体の製造コストを低減するためにはブロック構造体の種類を最少としなければならない。後で詳細に説明する貫通孔の軸線の配置はこの二つの条件を同時に満足する。また、貫通孔の断面形状は対象とする生物の体格に合わせる必要があるが、本発明は対象とする生物を限定するものではないので、大まかに貫通孔の断面形状を示す。
【0009】
本発明のブロック構造体において、突起の配置と貫通孔の配置を交差させ、その交差部に突起の上面と貫通孔を空間的に接続する穴を設置することにより、生物にとって経路の選択が可能な分岐点を効率よく作ることができる。この分岐点は生物が天敵から逃れる重要な手段の一つとなる。穴の形状は対象とする生物の体格に合わせる必要があるが、本発明は対象とする生物を限定するものでないので、大まかに穴の形状を示した。
【0010】
ところで、突起と貫通孔および穴を同時に持つブロック構造体は構造が複雑となるため、製造コストが高くなる欠点がある。製造コストを低減するためには構造を簡素化することが有効である。
【0011】
貫通孔と穴を省略し、通路を作る要素を突起に限定すると、ブロック構造体の構造が簡単になる。よって、前面に突起のみを持つブロック構造体はコスト面で有用である。
【0012】
また、突起と穴を省略すると共に貫通孔を前面に露出させ、通路を作る要素を前面に露出した貫通孔に限定すると、ブロック構造体の構造が簡単になる。よって、前面に露出した貫通孔のみを持つブロック構造体はコスト面で有用である。
【0013】
本発明の生物が容易に移動できる人工斜面形成法は、ブロック構造体を用いて、連続した突起からなる多数の通路、または連続した突起と連続した貫通孔および突起の上面と貫通孔を空間的に接続する穴からなる多数の通路、または連続すると共に前面に露出させた貫通孔からなる多数の通路を構築するところに特徴がある。よって、そこで用いるブロック構造体は、本発明の生物用通路要素付ブロック構造体に限らず、連続した突起と連続した貫通孔およびそれらを空間的に接続する穴となる要素を持つものであれば他のブロック構造体でも良い。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように本発明の生物が容易に移動できる人工斜面形成法によれば、連続した突起からなる多数の通路、または連続した突起と連続した貫通孔および突起の上面と貫通孔を空間的に接続する穴からなる多数の通路、または連続すると共に前面に露出させた貫通孔からなる多数の通路を人工斜面に構築することにより、急傾斜の人工斜面においても人工斜面の上端と下端の間の双方向の生物の移動が容易な人工斜面を形成できる。さらに、本発明の生物用通路要素付ブロック構造体によれば、連続した突起、連続した突起と連続した貫通孔およびそれらを空間的に接続する穴、連続すると共に前面に露出した貫通孔を、効率良く人工斜面に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0016】
図1は前面8、背面9、左側面10、右側面11、上面12および底面13を持つブロック構造体1の外観斜視図である。前面8は人工斜面の表面となり、背面9は斜面の裏込め土・裏込め石・裏込めコンクリートなどと接する。前面8と背面9の外形は高さHと長さLの長方形とし、高さHは0.4m〜2m、長さLは0.4m〜4mとする。前面8と背面9は平行で、それらの間隔Tは0.2m〜1.0mとする。底面13の一辺に沿う水平基準線5と背面9と左側面10に共通な辺に沿う斜面基準線6の成す角度すなわち斜面傾斜角7は45°〜90°とする。間隔Tは人工斜面の総高により決まり、高さHと長さLは人工斜面の総面積または対象とする生物の種類によって決まる寸法である。本発明では人工斜面の総高、人工斜面の総面積および対象とする生物の種類は限定しない。
【0017】
本発明はブロック構造体1の前面8の構造と前面8と背面9の挟まれた内部の構造に関係するものである。すなわち、曲面8に設置する4個の突起A2a、突起B2b、突起C2cおよび突起D2d、前面8に設置する4個の穴A4a、穴B4b、穴C4cおよび穴D4d、および前面8と背面9に挟まれる内部に設置する4個の貫通孔A3a、貫通孔B3b、貫通孔C3c、貫通孔D3dが本発明の対象である。ただし、突起と貫通孔および穴の数はそれぞれ4個に限らない。
【0018】
図1の突起A2aは左側面10から上面12へ通じる。突起B2bは左側面10から穴C4cと穴A4aを経由して上面12へ通じる。突起C2cは底面13から穴D4dと穴B4bを経由して右側面11へ通じる。突起D2dは底面13から右側面11へ通じる。これらの4つの突起A2a、突起B2b、突起C2cおよび突起D2dは、人工斜面に通路を作る要素となる。
【0019】
図1の貫通孔A3aは上面12から右側面11へ通じる。貫通孔B3bは上面12から穴A4aと穴B4bを経由して右側面11へ通じる。貫通孔C3cは左側面10から穴C4cと穴D4dを経由して底面13へ通じる。貫通孔D3dは左側面10から底面13へ通じる。これらの4つの貫通孔A3a、貫通孔B3b、貫通孔C3c、貫通孔D3dは、人工斜面に通路を作る要素となる。
【0020】
図2は図1に示したブロック構造体1を背面側から見た外観斜視図である。貫通孔A3aと貫通孔B3bはそれぞれ上面12から右側面11へ通じ、貫通孔C3cと貫通孔D3dはそれぞれ左側面10から底面13へ通じる。なお、図が煩雑になるのを避けるため、図1で示した前面8側の突起C2c、突起D2d、穴A4a、穴B4b、穴C4cおよび穴D4dは省略して描いている。
【0021】
図3は、図1に示した前面8を正面とするブロック構造体の正面図であり、突起と貫通孔および穴の位置関係を説明する図である。貫通孔A3aは突起B2bと突起C2cと交差し、貫通孔B3bと貫通孔C3cは突起A2a、突起B2b、突起C2cおよび突起D2dとそれぞれ交差し、貫通孔D3dは突起B2bおよび突起C2cと交差する。
【0022】
穴A4aは突起B2bと貫通孔B3bの交差部に有り、穴B4bは突起C2cと貫通孔B3bの交差部に有り、穴C4cは突起B2bと貫通孔C3cの交差部に有り、穴D4dは突起C2cと貫通孔C3cの交差部に有り、それぞれ突起の上面と貫通孔を空間的に接続する。
【0023】
図4は図3のE−E断面図で、穴が突起の上面と貫通孔を空間的に接続する様子を説明する図である。穴A4aは突起B2bの上面14bと貫通孔B3bを空間的に接続する。穴D4dは突起C2cの上面14cと貫通孔C3cを空間的に接続する。図では示さないが、穴B4bは突起C2cの上面と貫通孔B3bを空間的に接続し、穴C4cは突起B2bの上面と貫通孔C3cを空間的に接続する。よって、生物は突起の上面から穴を通って貫通孔へあるいはその逆方向に移動できる。つまり穴は突起と貫通孔で構成する通路の分岐要素となる。
【0024】
図5は前面8における突起の配置図である。前面8の外形である長方形の各辺の長さを1:2:1に分割する点を図5に示すように時計回りにPA15a、PB15b、PC15c、PD15d、PE15e、PF15f、PG15g、PH15hとする。突起A2aの軸線16aはPA15aとPH15hを通り、突起B2bの軸線16bはPB15bとPG15gを通り、突起C2cの軸線16cはPC15cとPF15fを通り、突起D2dの軸線16dはPD15dとPE15eを通る。これらの軸線は直線とは限らず、曲線でも良い。軸線を直線とする場合は、軸線は対角線A17に平行となり、通路となる突起の勾配はブロック構造体の高さHと長さLにより決まり、斜面傾斜角7とは無関係である。
【0025】
また、図5の配置において左右を逆にした突起の軸線の配置も本発明の範囲である。
【0026】
なお、突起の数は4個に限るものではない。突起の数を8個とするときは、軸線が各辺の長さを1:2:2:2:1に分割する点を通ると共に対角線A17と平行になるように軸線の配置を決める。
【0027】
図6はブロック構造体の貫通孔の配置図である。貫通孔の軸線を図1の背面9へ投影して説明する。背面9の外形である長方形の各辺の長さを1:2:1に分割する点を図6に示すように反時計回りにQA18a、QB18b、QC18c、QD18d、QE18e、QF18f、QG18g、QH18hとする。貫通孔A3aの軸線19aはQA18aとQH18hを通り、貫通孔B3bの軸線19bはQB18bとQG18gを通り、貫通孔C3cの軸線19cはQC18cとQF18fを通り、貫通孔D3dの軸線19dはQD18dとQE18eを通る。これらの軸線は直線とは限らず曲線でも良い。軸線を直線とする場合は、軸線は対角線B20に平行となり、通路となる貫通孔の勾配はブロック構造体の高さHと長さLにより決まり、斜面傾斜角7とは無関係である。
【0028】
また、図6の配置において左右を逆にした貫通孔の軸線の配置も本発明の範囲である。
【0029】
なお、貫通孔の数は4個に限るものではない。貫通孔の数を8個とするときは、軸線が各辺の長さを1:2:2:2:1に分割する点を通ると共に対角線B20と平行になるように軸線の配置を決める。
【0030】
突起の断面形状について説明する。突起A2a、突起B2b、突起C2cおよび突起D2dの断面形状は等しいとする。よって、図3の断面F−Fすなわち突起B2bの断面を具体的に説明する。図7は図3のF−F断面図である。突起の断面形状は突起幅21a、突起厚21b、傾斜角A21c、傾斜角B21dで表される台形とする。台形には長方形と正方形を含む。突起幅21aは0.1m〜0.6mの範囲で通路の対象となる生物の体格により決定する。突起厚21bはブロック構造体の前面における厚みを示し、突起幅21aに応じて0.1m〜0.3mの範囲で設定する。傾斜角A21cは突起B2bの上面と前面8のなす角、傾斜角B21dは突起B2bの下面と前面8のなす角であり、斜面傾斜角7に応じてそれぞれ90°〜120°の範囲で設定する。中心線22は突起厚21bを二等分し、ブロック構造体の前面8に垂直とする。中心線22と前面8の交点を基準点23とする。図5に示したブロック構造体の前面8における配置の基準となる突起B2bの軸線16bは図中の基準点23を通る。他の突起の軸線も同様に各々の基準点を通る。
【0031】
貫通孔の断面形状について説明する。貫通孔A3a、貫通孔B3b、貫通孔C3cおよび貫通孔D3dの断面形状は等しいとする。よって、図3の断面G−Gすなわち貫通孔B3bの断面形状を具体的に説明する。図8は図3のG−G断面図である。貫通孔の断面形状は孔幅24aと孔高24bの長方形、多角形または楕円形とする。長方形には正方形を含み、楕円形には円形を含む。孔幅24aと孔高24bは0.05m〜0.3mの範囲で通路の対象となる生物の体格により決める。孔の位置は前面からの取付深さ24cで設定する。取付深さ24cは0.05m〜0.5mの範囲で設定する。孔幅24aの中心線25aと孔高24bの中心線25bの交点を基準点26とすると、貫通孔B3bの軸線は基準点26を通る。他の貫通孔の軸線も同様に各々の基準点を通る。
【0032】
貫通孔をブロック構造体の前面に露出させるには、図8の取付深さ24cを0.0mとする。これにより、突起と穴を省略し、前面に露出した貫通孔のみを持つブロック構造体を簡単に作ることができる。
【0033】
図9は穴の位置と形状を説明する図である。図3の穴A4aを具体的に説明する。ブロック構造体の前面8における穴A4aの形状は貫通孔B3bの軸線19bと平行な穴長27aと、軸線19bに直角な穴幅A27bと穴幅B27c、穴半径27d、および突起B2bの上面14bで区切られる図中のごとき形状とする。穴長27aは0.05m〜0.5mの範囲で、穴幅A27bと穴幅B27cはそれぞれ0.05m〜0.3mの範囲で、穴半径27dは0.05m〜0.3mの範囲で、通路の対象とする生物の種類と体格により決める。ただし、穴の数は4個に限るものではない。それぞれの穴の形状は等しいとは限らない。生物の体格を満足する範囲内であれば、意匠を考慮してそれぞれの穴の形状を変えても良い。
【作用】
【0034】
図10は図1〜図9で説明した17個のブロック構造体1と、2個の半割ブロック構造体30を千鳥に配置する人工斜面の正面図である。この千鳥配置では半割ブロック構造体30を使用するが、これは突起と貫通孔の連続性を高めるものである。しかし、反割ブロック構造体30は特殊なものではなく、図1〜図9で説明したブロック構造体1を基に簡単に決定できる。すなわち、図3において、穴A4aと穴D4dを省略すると、図の左半分あるいは右半分が反割ブロック構造体30の突起と貫通孔および穴の配置となる。よって、反割ブロック構造体30はブロック構造体1から作り出される。
【0035】
図10において、突起と貫通孔は他の隣り合うブロック構造体の突起と貫通孔とそれぞれ接続し、複数の幾何学的に連続した突起と複数の幾何学的に連続した貫通孔を構成する。例えば連続した突起28は斜面の上端から下端に達し、連続した貫通孔29は斜面の上端から下端に達する。そのような多数の連続した突起と連続した貫通孔が構築される。よって連続した突起の上面と連続した貫通孔は斜面の上端と下端を結ぶ通路となる。
【0036】
また、突起と貫通孔が交差する箇所の穴はブロック構造体の突起と貫通孔を接続し、且つ突起と貫通孔が交差しているので、穴を分岐点として、連続した突起は多数の連続した貫通孔と接続され、連続した貫通孔は多数の連続した突起と接続される。
【0037】
図11は18個のブロック構造体1を並列に配置する人工斜面の一例である。連続した突起31は斜面の上端から下端に達し、連続した貫通孔32は斜面の上端から下端に達する。この様に並列配置においても突起と貫通孔の連続性は保たれる。これは本発明のブロック構造体の特徴のひとつである。
【0038】
以上より、本発明のブロック構造体を用いて人工斜面を形成すると、人工斜面に構築された連続した突起の上面と連続した貫通孔および交差部の穴を通路として利用することにより、生物は斜面の角度に関わらずに人工面の上端と下端の間の双方向に移動ができる。
【実施例】
【0039】
土木工事で多用される前面面積1mのコンクリート製ブロック構造体を想定し、対象生物をネズミ・イタチとし、斜面傾斜角を90°とする本発明のブロック構造体の実施例を以下に示す。
【0040】
ブロック構造体の高さH×長さL×厚さTはH0.8m×L1.25m×T0.5mとする。突起の突起幅×突起厚は0.15m×0.1mとする。突起の上面と下面の傾斜角Aと傾斜角Bは90°とする。貫通孔は孔幅×孔高が0.1m×0.1mの正方形とする。貫通孔の取付深さは前面から0.1mとする。孔の形状は孔長0.075m、穴幅A0.075m、穴幅B0.075m、穴半径0.075mとする。この時の突起と貫通孔の勾配は約32.6°となり、ネズミとイタチは斜面傾斜角90°に関わらずに突起と貫通孔を通路として利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は人工斜面を形成するためのブロック構造体を製造・販売する産業分野およびブロック構造体を用いて人工斜面を施工する産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】 生物用通路要素付ブロック構造体の前面側外観斜視図
【図2】 生物用通路要素付ブロック構造体の背面側外観斜視図
【図3】 生物用通路機能付ブロック構造体の正面図
【図4】 図3のE−E断面図
【図5】 突起の軸線の配置図
【図6】 貫通孔の軸線の配置図
【図7】 図3のF−F断面図
【図8】 図3のG−G断面図
【図9】 図3の穴A4aの詳細図
【図10】 生物用通路要素付ブロック構造体を千鳥に配置して形成する人工斜面の正面図
【図11】 生物用通路要素付ブロック構造体を並列に配置して形成する人工斜面の正面図
【符号の説明】
【0043】
1 生物用通路要素付ブロック構造体
2a 突起A
2b 突起B
2c 突起C
2d 突起D
3a 貫通孔A
3b 貫通孔B
3c 貫通孔C
3d 貫通孔D
4a 穴A
4b 穴B
4c 穴C
4d 穴D
28、31 連続した突起
29、32 連続した貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工斜面を形成するブロック構造体であって、人工斜面に構築する生物用通路の要素となる前面の突起、内部の貫通孔、および突起の上面と貫通孔を空間的に接続する穴を持つことを特徴とする生物用通路要素付ブロック構造体。
【請求項2】
複数のブロック構造体を千鳥または並列に配置する時、互いのブロック構造体の突起を幾何学的に連続させる突起の軸線の配置、およびその連続した突起の上面を利用して生物が移動できる突起の断面形状を持つことを特徴とする請求項1記載の生物用通路要素付ブロック構造体。
【請求項3】
複数のブロック構造体を千鳥または並列に配置する時、互いのブロック構造体の貫通孔を幾何学的に連続させる貫通孔の軸線の配置、およびその連続した貫通孔を利用して生物が移動できる貫通孔の断面形状を持つことを特徴とする請求項1記載の生物用通路要素付ブロック構造体。
【請求項4】
ブロック構造体を前面から背面の方向に見たときに請求項2記載の突起の軸線と請求項3記載の貫通孔の軸線を交差させること、突起の上面と貫通孔を空間的に接続する穴を突起と貫通孔の軸線が交差する箇所に設置すること、および突起上面から貫通孔へまたはその逆方向に生物が移動できる穴の形状とすることを特徴とする請求項1記載の生物用通路要素付ブロック構造体。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載するブロック構造体において、貫通孔と穴を省略することにより、通路要素を突起に限定することを特徴とする生物用通路要素付ブロック構造体。
【請求項6】
請求項1または請求項3に記載するブロック構造体において、突起と穴を省略すると共に貫通孔を前面に露出させることにより、通路要素を前面に露出させた貫通孔に限定することを特徴とする生物用通路要素付ブロック構造体。
【請求項7】
生物用通路要素付ブロック構造体、例えば請求項1〜請求項6に記載する生物用通路要素付ブロック構造体を用いて、連続した突起で構成する多数の通路、または連続した突起と連続した貫通孔およびそれらを空間的に接続する穴で構成する多数の通路、または連続すると共に前面に露出させた貫通孔で構成する多数の通路を人工斜面に構築することにより、人工斜面の上端と下端の間の双方向の生物の移動が容易な人工斜面を形成することを特徴とする人工斜面形成法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−57299(P2008−57299A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261441(P2006−261441)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年3月4日 土木学会西部支部発行の「平成17年度 土木学会西部支部研究発表会講演概要集」に発表
【出願人】(594158150)学校法人君が淵学園 (12)
【出願人】(506325227)
【Fターム(参考)】