説明

生理学情報を表示するためのシステム及び方法

【課題】ディジタル式ビューワやディスプレイを通じて生理学情報を提供するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】患者監視システムにおいて情報を表示する方法200を提供する。方法200は、ディジタル式アノテーションとしてユーザ入力を受け取るステップ202と、ディジタル式アノテーションを患者監視データの少なくとも一部として維持するステップ204と、患者監視システムにより表示された情報と同時にディジタル式アノテーションを表示するステップ206と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的には患者監視システムに関し、またより詳細には胎児監視データを表示する胎児監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
個体の生理学的特徴をリアルタイムで監視するためには、生理学情報を表示させる従来のシステムが用いられることがある。例えばこうしたシステムは、胎児心拍陣痛計、心電計、脳波計、筋電計、電気眼振計及びポリグラフ(すなわち、うそ発見器)において用いられることがある。同様のシステムはまた、地震活動の表示のために用いられることがある。こうしたシステムは典型的には、あるパターンの視覚的インジケータ(例えば、格子線)を有するロール状のチャート紙と、このチャート紙に沿ってトレースを作成する書き込みシステムと、書き込みシステムに接続されたセンサと、を含む。このセンサは例えば、身体の所定の箇所において個体に取り付けられることがある。紙が所定の速度で繰り出されるに連れて、書き込みシステムはセンサを介して取得した検出信号を表したトレースを紙の上に作成する。この視覚的インジケータ、所定の速度及びトレースは、ユーザがその情報を迅速に吟味し解析できるように決められた標準に従わせることがある。
【0003】
しかし幾つかのケースでは、システムがかなりの量の紙を生成しこれをユーザが吟味することを必要とすることがある。例えば、臨床医は妊娠中の状態を解析するために概ね1メートルの胎児心拍陣痛図の紙の吟味を必要となることがある。この大量の紙は、高価でありかつ処置が困難となることがある。
【0004】
さらに、胎児心拍陣痛図を表示したチャート紙にユーザがアノテーション付与するのは厄介である。ユーザは、チャート紙上にペンを用いて注記を書くことには慣れている。さらに、ユーザが興味を示すアノテーションを見出すために胎児心拍陣痛図を表示させた大きな紙を検索することは、人手によるものであり時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、紙での取り出しではなくディジタル式のビューワまたはディスプレイを通じて情報を提供することが望ましい。さらに、こうしたディジタル式ビューワに表示された情報を記録、解析及び検索するための簡単なアノテーション法を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では上述の短所、欠点及び問題に対して、明細書の以下を読みかつ理解することによって了解されるようにして対処している。
【0007】
一実施形態では、患者監視システムにおいて情報を表示する方法を提供する。本方法は、ディジタル式アノテーションとしてユーザ入力を受け取るステップと、ディジタル式アノテーションを患者監視データの少なくとも一部として維持するステップと、患者監視システムにより表示された情報と同時にディジタル式アノテーションを表示するステップと、を含む。
【0008】
別の実施形態では、患者監視システムにおいて情報を検索する方法を提供する。本方法は、ユーザ構成ダイアログを始動させるステップと、検索に利用可能な少なくとも1つのアノテーションを含むアノテーションタイプの一覧を表示するステップと、検索用に選択したアノテーションを表したユーザ入力を受け取るステップと、選択アノテーションについて患者監視データを検索するステップと、患者監視データ内で選択アノテーションを発見した時点で1つまたは複数の選択アノテーションを表示するステップと、を含む。
【0009】
さらに別の実施形態では、生理学情報を表示するためのシステムを提供する。本システムは、個体の生理学情報を表示するように構成された観察可能なチャート部分を有するユーザインタフェースと、生理学信号を時間の関数として取得するように構成された波形モジュールであって、仮想グラフ上の生理学信号に基づいて波形をプロットするように構成された波形モジュールと、を備える。さらに、ユーザインタフェースは、ユーザにより入力されたディジタル式アノテーションを受け取り、チャート部分内に波形及びディジタル式アノテーションを表示すると共に該波形及びディジタル式アノテーションを患者監視データの一部としてセーブするように構成されている。
【0010】
本明細書では、様々な趣旨によるシステム及び方法について記載している。この要約に記載した態様及び利点以外に、添付の図面を参照しかつ以下の詳細な説明を読むことによって別の態様及び利点も明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態の形で記載した生理学情報を表示するためのシステムのブロック図である。
【図2】一実施形態の形で記載した患者監視システムにおいて情報を表示する方法を表した流れ図である。
【図3】一実施形態の形で記載した患者監視システムにおいて情報を検索する方法を表した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成すると共に、実施可能な特定の実施形態を一例として図示している添付の図面を参照することにする。これらの実施形態は、当業者が実施形態を実施できるように十分に詳細に記載しており、さらにこれら実施形態の趣旨を逸脱することなく、別の実施形態を利用し得ること並びに論理的、機械的、電気的その他の変更を実施し得ることを理解すべきである。したがって以下の詳細な説明は限定の意味と取るべきではない。
【0013】
本明細書に記載した実施形態は、様々な産業分野で用いられるストリップ紙チャートと同様の仮想ストリップチャート(VSC)を作成することがある。例えば本明細書に記載した実施形態は、仮想胎児心拍陣痛図、仮想心電図、仮想脳波図、仮想ポリグラフ、仮想筋電図、仮想電気眼振図、仮想地震図を作成することがある。VSCは、データベース内にセーブされるまたは保存されることがある。本明細書で用いる場合、本明細書に記載したシステム、方法及びユーザインタフェースのユーザには、医師や臨床医、看護師、患者、研究者または別の組織が含まれる。ユーザは波形情報をその生成に連れて吟味することがあり、あるいはユーザは波形情報の履歴を吟味することがある。
【0014】
本明細書で使用する場合、単数形で「a」や「an」の語を前に付けて記載した要素やステップは、これに関する複数の要素またはステップも排除していない(こうした排除を明示的に記載している場合を除く)と理解すべきである。さらに、「一実施形態」に関する言及は、記載した特徴を同じく組み込んでいる追加的な実施形態の存在を排除すると理解されるように意図したものではない。さらに特に否定の記載を明示的にしていない限り、ある具体的な特性を有するある1つの構成要素または複数の構成要素を「備えた(comprise)」、「有する(have)」または「含む(include)」実施形態は、当該の特性を有しない追加的なこうした構成要素も含むことがある。さらに、ある要素がある要因またはパラメータに基づくように記載している場合、この「に基づく(based on)」という表現は、その要因またはパラメータが単独の要因やパラメータであると解釈すべきでなく、その要素は他の要因やパラメータにも基づく可能性を含むことができる。
【0015】
本明細書で用いる場合、「波形信号」及び「生理学信号」という用語はそれぞれ、単一のタイプの信号を含むことも、複数のタイプの信号を含むこともある。例えば生理学信号は、第1のタイプに関連する生理学信号(例えば、胎児心拍数信号)と、第2のタイプに関連する生理学信号(例えば、子宮内圧力信号)と、を含むことがある。複数のタイプの波形信号を異なる波形として図示している場合、この異なる波形は所定の方式で同期させることがある。例えば、この異なる生理学信号は、ユーザが第1のタイプの生理学信号に関連付けされる事象や条件を第2のタイプの生理学信号に関連付けされる事象や条件と相関できるように同じ時間軸に沿ってプロットされることがある。
【0016】
ある種の実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読むことによってさらに十分な理解が得られよう。これらの図面が様々な実施形態の機能ブロックからなる図を表している場合も、必ずしもこれらの機能ブロックがハードウェア回路間で分割されることを意味するものではない。例えば、1つまたは複数の機能ブロック(例えば、モジュール、プロセッサまたはメモリ)を単一のハードウェア(例えば、汎用の信号プロセッサ、ランダムアクセスメモリ、ハードディスク、その他)の形で実現させることがある。同様にそのプログラムは、スタンドアロンのプログラムとすること、オペレーティングシステム内のサブルーチンとして組み込まれること、インストールしたソフトウェアパッケージの形で機能させること、コンピュータサーバーからリモートで動作するソフトウェア表面パッケージとすること、その他とすることができる。こうした様々な実施形態は図面に示した配置や手段に限定されるものではないことを理解すべきである。
【0017】
一実施形態では、生理学情報を表示するためのシステムを提供する。本システムは、個体の生理学情報を表示するように構成された観察可能なチャート部分を有するユーザインタフェースと、生理学信号を時間の関数として取得するように構成された波形モジュールであって、仮想グラフ上の生理学信号に基づいて波形をプロットするように構成された波形モジュールと、を備える。さらにこのユーザインタフェースは、ユーザが入力したディジタル式アノテーションを受け取り、チャート部分内に波形及びディジタル式アノテーションを表示すると共に該波形及びディジタル式アノテーションを患者監視データの一部としてセーブするように構成されている。図1に関連してこれについてさらに説明することにする。
【0018】
図1は、波形情報(またさらに具体的には、生理学情報)を表示するための例示的なシステム100のブロック図である。システム100は、ユーザインタフェース104と通信可能に結合させたコンピュータ処理デバイスまたはシステム102を含む。ユーザインタフェース104は、システム100に対してユーザへの情報の表示、また幾つかの実施形態ではユーザに対してユーザ入力または選択の提供を可能にさせる機器(例えば、ユーザディスプレイ)、ハードウェア及びソフトウェア(あるいは、これらを組み合わせたもの)を含むことがある。例えばユーザインタフェース104は、ディスプレイ106(例えば、モニタ、画面、タッチ画面、その他など)と、入力デバイス108(例えば、キーボード、コンピュータマウス、タッチ画面、その他など)と、を含むことがある。幾つかの実施形態では、入力デバイス108を構成するデバイスをディスプレイ106(例えば、タッチ画面)を構成するデバイスとさせることもある。ディスプレイ106は、観察可能なチャート部分105を含むような観察可能領域を表示するように構成されることがある(これについては以下で詳細に説明することにする)。ユーザインタフェース104はさらに、ユーザに問合せを出し、システム100のユーザからのユーザ入力を受け付けるまたは受け取るように構成されることがある。
【0019】
システム100は、1つの構成要素(例えば、ラップトップコンピュータ)内に一体化されることがあり、あるいは幾つかの構成要素(互いの近くに配置させることも近くに配置させないこともあり得る)とすることもある。代替的実施形態ではそのコンピュータ処理システム102は、個体(例えば、患者)などから計測値を検出するように構成されたセンサ110と通信可能に結合させると共に、この計測値を波形信号としてシステム100に伝達することがある。具体的な実施形態では、その計測値は生理学的計測値である。センサ110は、心拍数、体温、血圧、呼吸数、電気活動または子宮内圧力などの様々な生理学的計測値を検出するように構成されることがある。
【0020】
コンピュータ処理システム102は、サーバーシステム、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、あるいはタブレットコンピュータやスマートフォンなどのパーソナルデバイスを含むことや、これらの一部とすることがある。しかし上に挙げたのは単に例であって、コンピュータ処理システム102は別のタイプのシステムやデバイスとすることもある。図示した実施形態では、コンピュータ処理システム102は、コントローラ、プロセッサあるいは別の論理ベースのデバイスを備え得る処理モジュール114を含む。処理モジュール114は、本明細書に記載したような方法を実行するためのモジュールを有すること、あるいはこれらと通信可能に結合させることがある。こうしたモジュールには、波形モジュール121、解析モジュール122及び表示モジュール123を含むことがある。上記のものに加えて、処理モジュール114に関して図示していない幾つかの別のモジュールやサブモジュールが存在することがある。モジュール121〜123の各々は、例えばインターネットやその他の通信ネットワークを介してメモリまたはデータベース130と通信可能に結合させることがある。データベース130がモジュール121〜123によって共有されるように図示しているが、各モジュール121〜123は単独のメモリまたはデータベースを有することもある。
【0021】
波形モジュール121は波形信号を取得するように構成されることがある。例えば、センサ110によって検出された計測値は波形モジュール121に送られることがある。任意選択ではその波形モジュール121は、波形信号がさらなる操作や解析のためにシステム100内の別のモジュールによって認識されるように波形信号を変換または変更することがある。例えば波形モジュール121は、その波形信号を子宮内圧力信号または胎児心拍数信号と特定すると共に、この生理学信号が別のモジュールによって子宮内圧力または胎児心拍数に対応すると認識されるように該信号を変換または変更することがある。別の実施形態ではそのシステム100は、センサ110を介して取得された計測値がある種の計測値に関係すると見なせるように構成されることがある。さらに別の実施形態ではユーザは、あるセンサ110を介して取得した信号がある種の計測値と関係することをシステム100に対して指示することがある。さらに幾つかのケースでは、波形モジュール121はデータベースあるいは別のシステムまたはデバイスから波形信号を受け取ることがある。例えばその計測値が患者からリアルタイムで直接検出されないことがある。これに代えて、フォローアップ解析または研究のために計測値が保存され波形モジュール121に送られることがある。
【0022】
表示モジュール123は、波形モジュール121と連携して動作することがある。幾つかの実施形態ではその表示モジュール123は、波形121を含むことがある。表示モジュール123は、波形信号の表示のために使用し得る様々なパラメータを保存することがある。幾つかの実施形態ではその表示モジュール123は、生理学情報を表示するための決められた標準により用いられる様々なパラメータを保存することがある。例えば、胎児心拍陣痛図に関する米国標準は、垂直軸に沿って30〜240拍動/分(bpm)の間の信号レンジを有する。米国スケール調整は30bpm/cmであり、また記録速度は1、2及び3cm/minとすることがある。他方で、胎児心拍陣痛図の国際標準は垂直軸に沿って50〜210bpmの間の信号レンジを有する。国際スケール調整は20bpm/cmであり、また記録速度は同じく1、2、及び3cm/minとすることがある。
【0023】
解析モジュール122は、波形信号を解析し任意の関心対象事象を特定するように構成されている。幾つかの実施形態ではその解析モジュール122は、波形信号を用いてプロット波形を作成する前に波形信号を自動的に解析することがある。別の実施形態ではその解析モジュール122は、波形モジュール121により作成されたプロット波形を解析することがある。例えば、システム100が子宮内圧力や胎児心拍数に関係する生理学的計測値をセンサ110から受け取ると、解析モジュール122は所定のパターンの発生の有無を判定するために直接波形信号を解析することも、プロット波形を解析することもある。解析モジュール122は、関心対象事象の特定のために1つまたは複数のアルゴリズムを用いることがある。関心対象事象が特定された場合、解析モジュール122は幾つかの方式で警告を発するあるいはユーザに通知することがある。
【0024】
データベース130は、システム100やその他のリモート配置システムの構成要素やモジュールによってインターネットやその他の通信ネットワークを通じて取り出し可能なデータを保存することがある。データベース130は、モジュール121〜123の機能の達成のためにモジュール121〜123が必要とするデータを保存することが可能である。例えばデータベース130は、センサ110から取得した波形信号を保存することが可能である。
【0025】
モジュール121〜123(及び、処理モジュール114)は、1つまたは複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、あるいは有形で非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体上に保存された命令に基づいて動作する別の論理ベースのデバイスを含む。例えばモジュール121〜123は、実配線の命令またはソフトウェアアプリケーションに基づいて動作する1つまたは複数のプロセッサ内で具現化されることがある。データベース130は、電気的消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、単純な読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、FLASHメモリ、ハードドライブ、または別のタイプのコンピュータメモリとすること、あるいはこれらを含むことが可能である。
【0026】
この生理学信号は、動物や人間とし得る個体(例えば、患者)に関係することがある。例えばその生理学信号は、子宮内圧力や胎児心拍数に関係することがある。幾つかの実施形態ではその生理学信号は、センサを通じて患者から直接リアルタイムで取得されている。別の実施形態ではその生理学信号は、ローカルやリモートのデータベース130を通じて取得されることがある。
【0027】
波形モジュール121は、センサ110を通じてあるいはローカルやリモートのデータベース130を通じて生理学信号を収集し、引き続いてその生理学信号内の変数を用いて波形をプロットすることがある。この波形は、視覚的ストリップチャート(VSC)内に表示される。この波形は、互いに直交する方向に延びる時間次元または時間軸と信号次元または信号軸とを有する。この波形はユーザの波形解析を容易にする視覚的キューのパターンあるいはインジケータを有することがある。
【0028】
ユーザは、ユーザインタフェース104を通じてユーザ入力を打ち込みVSCの履歴を要求することがある。ユーザは、VSCの履歴を呼び出すために要求時間期間(例えば、記録の開始から、最後の10分間など)を打ち込むことがあり、あるいはユーザインタフェース104がタッチ画面を含むような実施形態ではユーザは、時間次元に沿った方向に指をスライドさせてVSCをスクロールすることがある。VSCの履歴が呼び出されると、波形モジュール121はプロットした波形を提供することがある。幾つかの実施形態では、ユーザがVSCの履歴を吟味しているときに、システム100は生理学信号の取得を続けることがある。
【0029】
本明細書に記載した実施形態は、その波形上に重ね合されたユーザ作成のアノテーションまたはシステム作成の通知を含むように構成されたVSCを含むことがある。このアノテーションや通知は、生理学情報の解析及び/または表示を容易にすることがある。さらにこのアノテーションや通知は、波形と一緒に保存されまた呼び出されることがある。このアノテーションは、ユーザ入力に基づいて作成されることがある。例えばユーザは、長い時間期間にわたる波形の平均的な動きまたはトレンドの決定を容易にするためにVSCにアノテーションを追加することがある。ユーザは次いで、波形の履歴を吟味し、その生理学信号が長い時間期間にわたってどのように変化したかを決定することがある。
【0030】
したがって図2に示した一実施形態では、患者監視システムにおいて情報を表示する方法200を提供する。方法200は、ディジタル式アノテーションとしてユーザ入力を受け取るステップ202と、ディジタル式アノテーションを患者監視データの少なくとも一部として維持するステップ204と、患者監視システムにより表示された情報と同時にディジタル式アノテーションを表示するステップ206と、を含む。
【0031】
このアノテーションは、網掛け(または、色付け)した帯域またはゾーンを備えることがある。このアノテーションは、例えば波形を配置させる箇所を指示するために臨床医によって提供されることがある。例えば臨床医は、VSCを吟味した後で、胎児心拍数の「安全」レンジが概ね90〜120bpmにわたると判定することがある。波形(すなわち、胎児心拍数)がこのレンジの外に出ると、システムは臨床医やその他のユーザに通知するための警報を生成することがある。したがってこのアノテーションは、警報限界値によって規定されることがある。波形が上側警報限界(120bpm)を超えるか下側警報限界(90bpm)を下回ると、システムのユーザは通知を受けることがある。例えばシステムは、病室内または離れた別の部屋(例えば、看護師ステーション)で聞き取れる可聴可能ノイズを発生させることがあり、あるいはシステムはユーザに対してポケットベル通知や何らかの電子式の通知をすることがある。
【0032】
ディジタル式アノテーションは、記述メモ、患者監視システムが表示している画像、事前定義のアノテーション、あるいは別のソースからコピーした記述メモ及び/または情報を含むことがある。
【0033】
このアノテーションは空き領域内に配置させることがある。このアノテーションは、システムのユーザによって提供されたテキストを含むことがある。このテキストは、ユーザ(例えば、引き続きVSCを吟味する人など)にある事象が記載の時刻に発生したことを知らせるために用いられることがある。例えばこのアノテーションは、「患者体位の変化」または「与えられた薬剤」について述べられたテキストとすることがある。このテキストは、波形が変化した原因あるいは患者がある事象に何らかの反応をしたか否かを説明する情報を提供することがある。この機能によってユーザは、事象が特定された時点において知見に関するアノテーションを作成することができる。さらに、こうして入力されたアノテーションは、患者監視データと一緒に保存することが可能である。
【0034】
システム100は、その波形がユーザ選択のアノテーションの上側警報限界を超えたと判定する(例えば、解析モジュール122による)ことがある。システム100は、解析モジュール122を用いて波形を解析し、事象が懸念すべきものか否かを判定する。アノテーションは波形と一緒に保存されることがある。このためにユーザは、VSCの履歴を吟味しているときに、ユーザが作成したアノテーション及びシステムが提供した任意の通知に加えて波形を吟味することも可能である。
【0035】
概況報告書は、定期的にあるいはユーザが要求したときに作成されることがある。概況報告書は、表示されることや自動的にプリントされること、あるいはシステムのユーザに対して(例えば、テキストやeメールを通じて)電子的に送られることがある。概況報告書は、概況報告書が作成された時点の患者の健康状態を概括する情報を有するセルから成る横列と縦列を含むことがある。一実施形態では、ユーザが入力したアノテーションは、システム100が作成した概況報告書内に含まれることがある。
【0036】
例示的な一実施形態に従った電子式胎児監視装置の視覚的ストリップチャート上にアノテーションを作成する方法について説明する。この視覚的ストリップチャートは、ユーザ入力を受け取ることが可能であると共に、起動させたときに胎児監視データにアノテーション付与するための様々な方法を始動させる。ユーザに対しては、データが読み取られるに連れてそのデータに対して動的にアノテーション付与する機会が与えられる。VSCが起動されるとユーザは、胎児監視データに対するアノテーション付与を、仮想キーボードを用いることや事前定義のアノテーションを用いること、あるいはユーザが知見を報告書に整理できる場所である報告用タブを入力することによって行うことが可能である。
【0037】
仮想キーボードタブを用いる場合、ユーザは仮想キーボード上でのタイプによって自身の知見を入力する。事前定義のアノテーションタブを用いる場合、ユーザは自身の知見の解釈を作成するために既成の文断片の組から選択を行う。ユーザはさらに、後で用いるためにシステム内にセーブ可能な自身の事前定義のアノテーションを作成しておくことが可能である。
【0038】
報告入力タブを用いるとユーザは、陣痛、リスク、ベースライン速度、加速、減速、ばらつき、評価及び行動計画に関する情報を特定することが可能である。この情報を書式内に入力した後に、セッションの終了時にユーザに表示させる概況報告書内にそのデータが埋め込まれる。
【0039】
図3に示したような別の実施形態では、患者監視システムにおいて情報を検索する方法300を提供する。方法300は、ユーザ構成ダイアログを始動させるステップ302と、検索に利用可能な少なくとも1つのアノテーションを含むアノテーションタイプの一覧を表示するステップ304と、検索用に選択したアノテーションを表したユーザ入力を受け取るステップ306と、選択アノテーションについて患者監視データを検索するステップ308と、患者監視データ内で選択アノテーションを発見した時点で1つまたは複数の選択アノテーションを表示するステップ310と、を含む。
【0040】
任意選択では方法300は、プロットした波形の履歴を取り出すためのユーザ入力を受け取るステップを含むことがある。例えばユーザは、その過去20分間の記録波形信号を吟味したい旨をシステム100に伝えることがある。このユーザ入力を受け取ると、プロットした波形が取り出されることがある。このプロット波形は、選択した時点から動き始めることがある。幾つかの実施形態ではユーザは、履歴内をユーザがあちらこちらにスクロールできるようなタッチ画面を用いることがある。例えばシステムはユーザに対して、記録速度と比べてより速い速度で生理学信号履歴の吟味を可能とさせることがある。
【0041】
さらに任意選択で方法300は、ユーザ作成のアノテーションを波形上に提供させるユーザ入力を受け取るステップを含むことがある。このアノテーションは、アノテーションをプロット波形と一緒に取り出せるようにしてシステムによって保存されることがある。方法300はさらに、関心対象事象がシステム100によって特定されたことをユーザに通知するステップを含むことがある。例えばシステム100は、関心対象事象に関連付けされた所定のパターンを特定することがある。システム100は次いで、関心対象事象の可能性がある事象の発生をユーザに通知することがある。方法300はさらに、上述のようなユーザ作成のアノテーションを含む生理学信号の概況報告書を作成するステップを含むことがある。
【0042】
例示的な一実施形態では方法300は、ユーザに対して胎児監視ストリップ上でマークが付けられた特定のアノテーションの観察を可能とさせている。ユーザがある検索基準を指定すると、システムは当該タイプのアノテーションを見つけ出すと共に、ユーザに対して1つまたは複数の選択アノテーションの観察を可能にさせる。ユーザは、コントロールキーを押下することによってある選択アノテーションから別のアノテーションに移ることが可能である。
【0043】
ユーザがユーザ構成ダイアログを始動させると、アノテーションタブによってユーザが検索可能な事象の一覧が供給される。ユーザは、それに関してユーザが検索を希望するアノテーションを選択する。ユーザが選択を行うと、胎児監視データを表示したVSCは、ある選択済みアノテーションから胎児監視データ上で見い出される別の選択済みアノテーションに移動する。制御子のデフォルト設定に戻るためあるいは検索基準を終了/変更するためには、ユーザは構成ダイアログに戻りアノテーションボタンを選択解除する。
【0044】
この効用によってユーザは、VSC上に表示中の胎児監視データ内によりロバストなデータを入力することが可能となる。ユーザが検索を希望するアノテーションのタイプに関する判定が容易であること並びにこのタイプのアノテーションを発見する能力は利点の1つである。
【0045】
様々な実施形態の少なくとも1つの技術的効果は、ユーザにより吟味及び解析し得る仮想方式で生理学情報がユーザ入力のアノテーションと一緒に表示されることを含む。別の技術的効果には、ユーザが生理学情報を迅速に吟味及び解析できるようにストリップ紙チャートの定められた表示標準と同様にして生理学情報が表示されることを含む。別の技術的効果には、生理学信号が取得された時間の少なくとも一部分について吟味するためにユーザが生理学信号をアノテーションと一緒に取り出しすなわち呼び戻しできるように生理学信号の履歴を記録したアノテーションと一緒に保存することを含む。
【0046】
本発明によってユーザは、入力、吟味、解析及びアーカイブが容易な最新のコンピュータ対話法を用いてアノテーションを付与することが可能となる。使用が容易であるためそのワークフローが大幅に促進されると共に、より正確な監視を可能にさせるようなより高効率でより包括的なワークフローを提供できる。本明細書に記載した方法200及び300によってユーザは、VSCからより多くのデータを容易に推定することが可能となる。
【0047】
この記載では、本主題(最適の形態を含む)を開示するため並びに当業者による本主題の製作及び使用を可能とさせるために例を使用している。本主題の特許性のある範囲は本特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、本特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、本特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、本特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。
【符号の説明】
【0048】
100 波形情報表示システム
102 コンピュータ処理デバイスまたはシステム
104 ユーザインタフェース
105 観察可能なチャート部分
106 ディスプレイ
108 入力デバイス
110 センサ
114 処理モジュール
121 波形モジュール
122 解析モジュール
123 表示モジュール
130 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者監視システム(100)において情報を表示する方法であって、
ディジタル式アノテーションとしてユーザ入力を受け取るステップと、
ディジタル式アノテーションを患者監視データの少なくとも一部として維持するステップと、
患者監視システム(100)により表示された情報と同時にディジタル式アノテーションを表示するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ディジタル式アノテーションは記述メモを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ディジタル式アノテーションは患者監視システム(100)が表示している画像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ディジタル式アノテーションは事前定義のアノテーションを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ディジタル式アノテーションは記述メモと別のソースからコピーした情報との両方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
患者監視システム(100)が表示している患者監視データの目下の画像をセーブするステップと、ディジタル式アノテーションを患者監視データと関連付けさせながらセーブするステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
追加のユーザ入力からの情報を追加のディジタル式アノテーションとして受け取るステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
患者監視システム(100)において情報を検索する方法であって、
ユーザ構成ダイアログを始動させるステップと、
検索に利用可能な少なくとも1つのアノテーションを含むアノテーションタイプの一覧を表示するステップと、
検索のための選択アノテーションを表したユーザ入力を受け取るステップと、
選択アノテーションについて患者監視データを検索するステップと、
患者監視データ内で選択アノテーションを発見した時点で1つまたは複数の選択アノテーションを表示するステップと、
を含む方法。
【請求項9】
生理学情報を表示するためのシステム(100)であって、
個体の生理学情報を表示するように構成された観察可能なチャート部分を有するユーザインタフェースと、
生理学信号を時間の関数として取得すると共に該生理学信号に基づいて波形をプロットするように構成された波形モジュール(121)と、を備えており、
該ユーザインタフェースはユーザが入力したディジタル式アノテーションを受け取り、チャート部分内に波形及びディジタル式アノテーションを表示すると共に該波形及びディジタル式アノテーションを患者監視データの一部としてセーブするように構成されている、システム(100)。
【請求項10】
前記波形モジュール(121)は、プロットした波形の履歴を保存するように構成されており、前記ユーザインタフェースはプロットした波形の履歴を取り出しかつプロットした波形の履歴をチャート部分内に表示させるためのユーザ入力を受け取るように構成されている、請求項9に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記波形モジュール(121)はプロットした波形の履歴をユーザが入力したディジタル式アノテーションと一緒に保存するように構成されており、前記ユーザインタフェースはプロットした波形の履歴をディジタル式アノテーションと一緒に取り出しかつプロットした波形の履歴をディジタル式アノテーションと一緒にチャート部分内に表示させるためのユーザ入力を受け取るように構成されている、請求項9に記載のシステム(100)。
【請求項12】
さらに、波形モジュール(121)と通信可能に結合されている、個体からの生理学信号を検出するように構成されたセンサ(110)を備える請求項9に記載のシステム(100)。
【請求項13】
さらに、関心対象事象を表す波形の所定のパターンを特定するように構成された解析モジュール(122)を備えると共に、該解析モジュール(122)は該関心対象事象の出現に関してユーザに通知するように構成されている、請求項9に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記ユーザが入力したディジタル式アノテーションとプロットした波形とが互いに固定した関係を有する、請求項9に記載のシステム(100)。
【請求項15】
前記生理学信号は、胎児の心拍数及び子宮内圧力を含む、請求項9に記載のシステム(100)。
【請求項16】
前記生理学信号は、心拍数、体温、血圧、呼吸数、電気活動、または子宮内圧力に関係する、請求項9に記載のシステム(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−59621(P2013−59621A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194634(P2012−194634)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】