説明

生理学的データおよび生物測定学的識別を提供するセンサーおよびシステム

生理学的属性を測定するための非侵襲性センサーを生物測定学的識別方法と組み合わせて用いるデバイスおよび方法。デバイスおよび方法の一つの実施形態は、そこに酸素濃度計および指紋センサーの両方を組み込んだセンサーを含む。センサーは、酸素濃度計回路、ならびにECG、心拍数、NIBP(非侵襲性血圧)、および温度のような他の生理学的回路構成要素に加えて、指紋識別回路を含むコントローラーに接続され得る。ディスプレイは識別情報と共に測定された血中酸素飽和レベルの表示を提供し得る。ディスプレイは、患者の酸素飽和度および指紋識別の監視を提供するように遠隔に、例えば、中央ステーションにおいて、配置され得る。指紋識別回路は、コントローラーまたは遠隔のメモリー記憶装置またはこの両方のメモリーに存在し得る患者の指紋を獲得するために、個別に起動させられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、非侵襲性の生理学的測定を実行するためのセンサー、装置、および方法に関する。より具体的には、本開示は、指紋読取器を有するパルス酸素濃度計および使用のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
非侵襲性酸素飽和度センサーが公知である。パルス酸素濃度計は、特定の血管状態を示す血液の多い組織における酸素飽和レベルの非侵襲性の監視を含む。パルス酸素測定法は通常、動脈血液におけるヘモグロビンの血中酸素飽和度、組織に供給される個別の脈拍の量、および患者の各々の心拍に対応する血液脈拍数を、これらには限定されずに含む、様々な血液流れ特性を測定するために用いられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(本発明の簡潔な概要)
本発明は、生理学的属性を測定するための非侵襲性センサーを生物測定学的識別方法と組み合わせるデバイスおよび方法に関する。患者の正確な識別を提供するために、本発明のデバイスおよび方法の一つの実施形態は、酸素濃度計および指紋センサーの両方を組み込んだ携帯型のセンサーを含む。センサーは、酸素濃度計回路、ならびにECG、脈拍または心拍数、NIBP(非侵襲性血圧)、および温度のような他の生理学的回路構成要素に加えて、指紋識別回路を含むコントローラーに接続され得る。ディスプレイは、識別確認と共に測定された患者血液の血中酸素飽和レベルの表示を提供し得る。ディスプレイは、患者の酸素飽和度および指紋識別の監視を提供するように遠隔に、例えば、中央ステーションにおいて、配置され得る。指紋識別回路は、コントローラーまたは遠隔のメモリー記憶装置またはこの両方のメモリーに記録され得る患者の指紋を獲得するために、個別に起動させられ得る。
【0004】
コントローラーは、コントローラーが遠隔の保管設備、例えば患者記録保管庫に接続されることを可能にする通信ポートを含み得る。患者の指紋画像は、患者を識別し遠隔のコンピューターのメモリーに保存されてもい得る患者記録および他の測定されている生理学的データと合致させるために、獲得され得、遠隔のコンピューターのデータ記憶装置に保存され得る。センサーと遠隔のコントローラーとの接続は、従来のケーブルまたはブルートゥースのような近距離無線通信プロトコルの方法によってなされ得る。結果として、センサーは物理的にコントローラーに接続される必要はない。コントローラーの一部分はセンサーハウジング内に提供され得る。一つの実施形態において、コントローラーおよびディスプレイは、携帯型の手指に装着されるセンサー内に提供される。
【0005】
本発明の一つの実施形態は、例えば酸素飽和レベルを決定するための生理学的測定回路、および患者を識別するための生物測定学的識別回路を提供し、それにより測定された生理学的データは患者と関連付けられ、または合致させられ得る。
【0006】
本発明の特徴および技術的利点が、本発明の以下の詳細な説明がより良く理解され得るように上記で少々広く概略的に述べられてきた。本発明の追加の特徴および利点が、本発明の特許請求の対象を形成する本明細書において後述され得る。開示された概念および特定の実施形態が、本発明の同じ目的を実行するために他の構造を修正または設計する基礎として容易に利用され得ることを当業者によって理解されるべきである。そのような均等な構造が、添付の特許請求の範囲内に明記される本発明の精神および範囲から逸脱するものでないこともまた当業者によって理解されるべきである。本発明の特性と考えられる新規の特徴は、その体系および操作方法の両方に関して、さらなる対象および利点と共に、添付の図に関連して考察されるときの以下の説明からより良く理解される。しかしながら、各々の図はただ例示および説明の目的のために提供されており、本発明の限定の定義として意図されていないことは明白に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明のより完全な理解のために、添付の図と組み合わせてなされる以下の説明に対して参照がここでなされる。
【図1A】図1Aは、一つの実例となる実施形態によるパルス酸素濃度計の透視図である。
【図1B】図1Bは、一つの実施形態によるパルス酸素濃度計の部分的分解組立図である。
【図2】図2は、一つの実例となる実施形態によるパルス酸素濃度計の分解組立図である。
【図3】図3は、本発明によるパルス酸素濃度計の別の実施形態の透視図である。
【図4】図4は、本発明の例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本発明の詳細な説明)
図1は、一つの実例となる実施形態によるパルス酸素濃度計100の透視図である。図1Bはパルス酸素濃度計100の部分的分解組立図である。この議論の目的のために図1Aおよび図1Bは共に議論される。一つの実施形態において、パルス酸素濃度計100は公知の酸素測定技術を利用して患者の酸素飽和度を測定する。パルス酸素濃度計センサーの一つの形式は、本明細書中で参考として援用されるIsaacsonらに発行された米国特許第5,800,349号に開示されている。しかしながら、他の実施形態において、パルス酸素濃度計100は、一酸化炭素レベル、ECG波、脈拍または心拍数、および温度を検出および/または捕捉する可能性を含み得る。パルス酸素濃度計に関して本発明の議論が続行される一方で、当業者は様々なデバイスが患者の生理学的値を収集するために用いられ得ることを理解するであろう。
【0009】
パルス酸素濃度計100は、患者または介護者または両者の指紋画像を獲得するための指紋読取器270を含む。指紋読取器270およびその操作は本明細書においてより詳細に後述される。一つの実施形態において、パルス酸素濃度計100の機能は、獲得された指紋画像によって制御されまたは制限される。例えば、医療記録の保存または点検のための医療記録へのアクセスは、参照画像による指紋画像の確認を要求し得る。
【0010】
パルス酸素濃度計100の局面は、上部部分110および下部部分150を有するハウジングを含む。この実施形態において、パルス酸素濃度計は身体の(手指または足指のような)指骨の一部分にアクセスすることにより血中の酸素付加レベルを測定するように構成される。しかしながら、身体の他の部分も用いられ得る。上部部分110および下部部分150は、一つの実施形態において、手指がパルス酸素濃度計に挿入されているときに手指に比較的一定の圧力が加えられるように共にヒンジ接合される。しかしながら、他の実施形態においては、パルス酸素濃度計ハウジングは平坦でヒンジ接合されなくあり得る。上部部分110はディスプレイ120を含む。ディスプレイ120は検出された血中の酸素レベルに関連する情報を表示するように構成される。ディスプレイ120は、一つの実施形態において、情報を表示するために発光ダイオード(LED)を用いる。しかしながら、LCDのような他の形式のディスプレイも用いられ得る。ディスプレイ120は、一つの実施形態において、検出された酸素飽和度範囲(%SpO)および検出された脈拍数(1分当たりの脈拍)の視覚的示度を提供する。これらは、ディスプレイ120上においてそれぞれライン124およびライン128に表示される。しかしながら、他の情報もディスプレイ120に表示され得る。別の実施形態において、ディスプレイ120は検出された血圧情報を提供し得る。
【0011】
下部部分150は、一つの実施形態において、曲線部分155および一対のスプリングアーム160を含む。曲線部分155は手指の最下部部分を受け入れるように形作られている。一つの実施形態において、曲線部分155は手指の厚みの範囲を収容し得るように形作られている。通常の手指の厚みは、例えば、8mmから26mmの範囲に及び得る。これは小児の(子供の)手指から平均的な大人の手指までに対応する。しかしながら、パルス酸素濃度計100のニーズに基づいて、曲線部分に対して他のサイズおよび形状が用いられ得る。
【0012】
スプリングアーム160は、十分な圧力が手指に加えられて、フォト体積変動記録プロセスに対して許容可能な示度を生成するために、上部部分および下部部分を共に保持するように提供される。しかしながら、代替の実施形態において、単一のスプリングアームまたは上部部分110と下部部分150とを共に偏向させる他の方法が用いられ得る。一つの実施形態において、スプリングアームは金属から作られる。しかしながら、他の材料もスプリングアームに対して用いられ得る。スプリングアーム160は、パルス酸素濃度計100が手指を受け入れるためにヒンジで動くかまたは開くことを可能にするように配列される。スプリングアームは、パルス酸素濃度計100が使用されないときには閉位置にとどまる傾向があるように閉位置の方向に偏向させられる。
【0013】
図2は、一つの実例となる実施形態によるパルス酸素濃度計100の分解組立図である。上部部分110および下部部分150の両方は複数の部分に分割される。上部部分110は、上部覆い210、センサー帯220、下部覆い230、および回路基板240を有して表示される。しかしながら、他の部品も存在し得る。上部覆い210は単に上部部分110の外側の覆いである。上部覆いはディスプレイ120を含み得る。デザインに基づいて上部覆いは様々な形状を取り得るが、通常はパルス酸素濃度計の容易な使用を促進するように形作られている。下部覆い230は、上部部分110の下側を形成する。下部覆い230は、一部の実施形態において、手指の形状に対応するように曲げられている。この曲率はLEDが手指により接近することを可能にするようにアシストし、より快適な検査を可能にする。しかしながら、他の実施形態においては、下部覆いは平坦であり得る。下部覆い230は、センサー帯220上のLEDの位置に対応する切り抜きまたは開口231を含む。一部の実施形態においては、開口231は、LED221を存在し得るゴミまたは他の汚染物から保護するために透明なカバーを含み得る。下部覆い230はまた、スプリングアーム160が上部部分110と連動することを可能にする開口232も含む。
【0014】
センサー帯220は、一つの実施形態において、酸素測定プロセスの間に用いられるLED221を含む。しかしながら、他の照明部品も用いられ得る。一つの実施形態において、LED221は2つのLEDを含み、一つのLEDは波長660nmを有する赤色の光を放射し、第2のLEDは波長910nmを有する赤外の光を放射する。しかしながら、赤色および赤外の光を生成する他の波長も用いられ得る。パルス酸素濃度計が血中のCOレベルを検出し得る代替の実施形態においては、追加のLEDが存在する。これらの追加のLEDは、異なる波長で作動し、従って血中の酸素付加を検出することに用いられるLEDとは異なる色の光を放射する。センサー帯220はまた、信号を回路基板240へ/から伝達する電線または他の電気接続をも含む。一部の実施形態において、帯220はまた、LED221と共にかまたはその代わりに、フォト体積変動記録プロセスを実行するために必要なフォトダイオードをも含み得る。
【0015】
回路基板240は、一つの実施形態において、フォトダイオード281および指紋読取器270からの受信信号を処理する小さな基板である。回路基板240は、例えばフォト体積変動記録プロセスを利用する受信信号を処理するためのプロセッサー242を含み得る。プロセッサー242は、受信信号を分析する能力のある任意のプロセッサーであり得る。プロセッサー242は受信信号を分析し、ディスプレイ部品120に送信される出力を生成する。この出力は電気接続224を介してセンサー帯220に送信され得る。一つの実施形態において、回路基板はデータ保管デバイス244を含む。データ保管デバイス244は、フラッシュメモリーまたはディスク駆動装置のような任意の形式のデータ保管デバイスであり得る。一部の実施形態において、データ保管デバイス244は取り外し可能な保管メディアであり得る。データ保管デバイス244が取り外し可能であるとき、回路基板240はメディアを受け入れまたはメディアと連絡するインターフェイスを含み得る。
【0016】
データ保管デバイス244は実例としてデータ記憶装置245を含む。データ記憶装置245は、パルス酸素濃度計測定に関するデータを保存する。この情報はデータ表として保存され得る。しかしながら、他のデータ保存方法もまた用いられ得る。データ表は、例えば、シーケンシャル照会言語(SQL)または拡張マークアップ言語(XML)のような任意の方法を用いて保存され得る。一部の実施形態において、回路基板はまたデータ出力デバイス246への接続をも含む。このデータ出力デバイスは、データ記憶装置内のデータの外部計算デバイスへの伝達を可能にする。データ出力デバイス246は上部部分110の上かまたは下部部分150の上かに配置され得る。さらに、データ出力デバイスは、パルス酸素濃度計100からの情報の、USB、ファイヤワイヤ、ブルートゥース、IRなどの外部計算デバイスへの伝達を可能にする任意のデバイスであり得る。このデータはさらに、指紋読取器270を用いることによって権限のないアクセスから保護され得る。
【0017】
下部部分150は、上部覆い250、下部覆い260、指紋読取器270、およびセンサー帯280を有して表示される。上部覆い250は、手指の静止領域251および開口256を含む。手指の静止領域251は、手指の最下部部分を受け入れるように形作られている。開口256は、手指の静止領域251の一部分に配置される。開口の位置は好ましくは、検査中に手指の先端が開口を越えて少し延びる位置である。開口256は、手指の先端の大部分がフォトダイオードに暴露されるようにサイズ決めされる。また、フォトダイオードをゴミから保護するために透明なカバーが提供され得る。一部の実施形態において、開口256は、フォトダイオード221によって受光されるLEDを収容するようにサイズ決めされる。上部覆い250には、スプリングアーム160が下部部分150と連動することを可能にする開口252も含まれる。
【0018】
下部覆い260は、一つの実施形態において、パルス酸素濃度計100に電力を供給することに用いられる電力供給源261のためのハウジングを提供する。一つの実施形態において、電力供給源は2本のAA電池である。しかしながら、他の形式の電力供給源も用いられ得る。一つの実施形態において、指紋読取器270もまた下部覆い260に含まれる。しかしながら、指紋読取器は代わりに他の領域に配置され得る。
【0019】
センサー帯280は、フォトダイオード281、および電気接続282を含む。フォトダイオード281は、上部部分110内のセンサー帯220の上に配置されるLED221からの光信号を受信するように配列される。一つの実施形態において、フォトダイオード281は、手指を通過してきた赤色および赤外の両方の光を受ける。この受光された光はフォトダイオード281に信号を生成させる。この信号は、フォト体積変動記録プロセスを起こすために電気接続282に沿って回路基板240にまで通過させられる。電気接続282は、電線または表面にエッチングされた通路のような任意の電気接続であり得る。代替の実施形態において、LEDはまた、帯280上に単独にかまたはフォトダイオード281と連結して存在し得る。
【0020】
指紋読取器270は、一つの実施形態において、パルス酸素濃度計100の下部部分150の外側に配置される。しかしながら、他の実施形態においては、指紋読取器270は上部部分110の外側に配置され得るか、または上部部分か下部部分かの側面に配置され得る。指紋読取器は、パルス酸素測定プロセスと連結して、またはパルス酸素測定プロセスから分離されて作動する。指紋読取器270の位置に基づいて、パルス酸素濃度計のいくつかの部品がそれらのそれぞれの構成を変化させ得る。指紋読取器270は、指紋画像を獲得する複数のアプローチのうちの1つを用い得る。
【0021】
指紋読取器270は、一つの実施形態において、指紋を検出し分析するための光学システムである。この実施形態において、読取器は指紋の画像を捕捉するためのデバイス、および指紋を照明するためのデバイスを含む。一つの実施形態において、画像デバイスは電荷結合素子(CCD)カメラである。CCDカメラは感光ダイオードまたはフォトサイトの配列を含む。指紋を照明するために、一つの実施形態において、デバイスは指紋の隆線と谷線を強調するLED配列を用いる。
【0022】
別の実施形態において、指紋読取器270は静電容量センサーである。指紋画像を生成するために光を用いる代わりに、静電容量センサーは指紋の隆線と谷線の画像を生成するためにキャパシターおよび電流を用いる。静電容量センサーは複数のセルを含む。各々のセルは、絶縁層で覆われた2つの導体プレートを含む。
【0023】
別の実施形態において、指紋読取器270は表面圧力センサーである。この実施形態において、表面圧力センサーは指紋画像を生成するためにピエゾ電気表面配列を用いる。指紋の表面隆線は表面配列に接触し、画像を生成するために用いられる。表面圧力センサーは概して他の形式の指紋センサーよりも大きな検知領域を有するが、より低い画質を有する傾向がある。
【0024】
さらに別の実施形態において、指紋読取器270は電界センサーである。電界センサーは、指紋読取器に表面層の下の指紋を画像化することを可能にする。これは読取器に、患者の手指の状態にかかわらず、より良い結果(または画像)を獲得することを可能にする。電界センサーは、アンテナ配列、少なくとも一つの半導体、およびアンダーピクセルアンプを含む。半導体は、手指を通して小電流を印加することによって電界を生成する。この生成された電界は指紋の表皮層を模倣する。すなわち、電界は皮膚表面下の層を表わす。この電界はアンテナ配列によって読み込まれ、皮膚表面下に生成された線形電界を検出する。この情報は指紋画像を生成するためにアンダーピクセルアンプによって処理される。
【0025】
酸素濃度計100の他の実施形態において、指紋読取器270は電気光学センサー、RF場センサー、触覚MEMSセンサー、温度センサー、超音波センサー、スイープ型センサーを組み込み得る。
【0026】
図3は、下部部分360の上部覆い350の上側表面に配置された指紋読取器270を有するパルス酸素濃度計300の別の実施形態を示す。そのような実施形態300において、ユーザーが手指を酸素濃度計300内に挿入すると、スイープ型の指紋読取器270が指紋を捕捉する。
【0027】
図4は、本発明の例示的な実施形態の操作のフローチャート400である。ステップ401において、患者の身体部分が酸素濃度計100のハウジング内に挿入される。酸素測定プロセスはステップ402において、患者の酸素測定データを決定するために発光器および光検出器を用いて実行される。指紋データはステップ403において指紋読取器270を用いて獲得される。ステップ404において、ステップ403からの取得された指紋データとあらかじめ保存された指紋データとの間で比較が行われる。合致が決定される場合には、さらなる処理または転送のために酸素測定データはステップ405に公開され得る。ステップ404において非合致が決定される場合には、ステップ406はステップ401に戻る前に指紋データがその後の使用のために保存されることを可能にする。ステップ403で取得された指紋データは患者または介護者または両者に関係し得る。
【0028】
指紋読取器270としてどの形式の指紋読取器が用いられるかにかかわらず、結果は関連付けられる指紋の生成画像である。一般的に言えば、患者または介護者は1本の手指を指紋読取器270の上に、指紋読取器の上方に、または指紋読取器を通して置く。システムの構成に基づいて、実際の画像生成は指紋読取器270かまたはプロセッサー242かにおいて起こり得る。一つの実施形態において、この画像はプロセッサー242に提供される。しかしながら、他の実施形態においては、指紋読取器270は画像を生成するためにプロセッサー242が必要とするデータを単に提供するだけである。
【0029】
一つの実施形態において、プロセッサー242は、指紋画像を受信し、画像を用いて少なくとも一つの操作を実行する。パルス酸素濃度計100の構成に基づいて特定の操作が実行される。一つの実施形態において、生成された画像は、関連する酸素付加レベルおよび脈拍数と共にデータ記憶装置に保存される。これは指紋が所定の患者データセットに関連付けられることを可能にする。他の実施形態において、今度は読み取りが行われた日時のような追加の情報がデータ記憶装置に保存され得る。この保存された情報は次に中央のデータベースにダウウンロードされ得、適切な患者記録に追加され得る。このように、看護婦または他の医療従事者は、即座に結果を書き留める必要もなく同一のデバイスを用いて複数の患者をサンプリングできる。さらに患者の指紋をデータに関連付けることは、誤った情報が患者に関連付けられるリスクを減少させる。
【0030】
指紋読取器270は遠隔のコンピューターに接続され得、患者の指紋を検知するために用いられ得、遠隔のコンピューター内において事前に患者識別が確立される。このような患者識別の事前の確立によって、患者の生理学的データが酸素濃度計100によって収集されると、収集されプロセッサー242によって処理されたデータは、患者から遠隔の場所での保存および分析のために容易に遠隔のコンピューターに送られ患者と照合され得る。
【0031】
指紋の識別において、指紋読取器270またはプロセッサー242は、一つの実施形態において、詳細ベースのマッチングを用いる。しかしながら、他の実施形態においては、包括的なパターンマッチングが用いられ得る。
【0032】
別の実施形態において、指紋画像は以前の入力を求めてデータ記憶装置245を検索することに用いられ得る。指紋データ記憶装置245のすべてまたは一部は前記酸素濃度計100から遠隔に配置され得る。検出された指紋画像とデータ記憶装置内に見つけられた保存指紋画像との間で合致が得られる場合、プロセッサーは関連付けられた酸素付加レベルおよび脈拍数を比較し得る。比較の結果が許容幅(例えば5%)を外れる場合、パルス酸素濃度計は問題の可能性のあるそれらの結果を警告する、ユーザーへの表示を生成し得る。さらに別の実施形態において、指紋はフォト体積変動記録プロセスの管理者を結果と関連付け、このように品質保証の形態を提供する。
【0033】
別の実施形態において、指紋読取器270はデータ記憶装置245内のデータを保護するために用いられる。現代の医療業務においては、患者のセキュリティおよびプライバシーは最大の関心事であり、紛失または盗用される事件においてパルス酸素濃度計100内の情報を守ることが必要である。この保護に関する実施形態において、指紋読取器270は、データ記憶装置からデータを持ち去ろうとする人間がそれを行う権限を持っていることを証明するために用いられる。データ記憶装置内のデータがデータ出力デバイス246を介してダウンロードされることを可能にする前に、ユーザーは自分の指紋を提供するように求められる。指紋は指紋読取器270で読み取られ、権限のあるユーザーのリストと比較される。好ましくは、この権限のあるユーザーのリストはデータ記憶装置245内に保存される。しかしながら、このリストは遠隔のコンピューターデバイス上のような他の場所に配置され得る。指紋とリストとの間に合致がある場合には、次にデータが取り出され得る。合致がない場合には、次に酸素濃度計100はデータが取り出されることを許可しない。
【0034】
本発明およびその利点が細部にわたって説明されてきたが、様々な変化、置換、および変更が添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく本明細書中でなされ得ることが理解されるべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書に説明されたプロセス、機械、製造、材料構成、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図されてはいない。当業者は本発明の開示から容易に理解されるように、現存するまたは後に開発される、本明細書で説明される対応の実施形態と実質的に同一の機能を実行しまたは実質的に同一の結果を達成するプロセス、機械、製造、材料構成、手段、方法、またはステップが本発明に従って 利用され得る。それゆえに、添付の特許請求の範囲はその範囲内にそのようなプロセス、機械、製造、材料構成、手段、方法、またはステップを含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内部部分に配置される発光器および光検出器であって、該光検出器は患者の一部分を通過した後の該発光器からの光を受け取る、発光器および光検出器と、
指紋読取器であって、その少なくとも一部分は該ハウジング上に配置されており、該読取器は患者または介護者の指紋データを提供する、指紋読取器と、
該受け取られた光に基づいて患者の酸素測定データを決定し、該指紋データに関する条件を満足するときに該データを公開するためのプロセッサーと
を備える、センサーシステム。
【請求項2】
前記プロセッサーは、血中酸素飽和度の計算および指紋画像比較を実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサーと通信で接続されているデータ保管デバイスをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
データを前記データ保管デバイスから遠隔の場所に送信するように構成される通信デバイスをさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ハウジング上の、酸素飽和レベルを表示するように構成されるディスプレイ部品をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記指紋読取器は、光学センサー、静電容量センサー、電界センサー、電気光学センサー、RF場センサー、触覚MEMSセンサー、温度センサー、超音波センサー、スイープ型センサー、および表面圧力センサーから成る群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記デバイスは、血流中の一酸化炭素を検出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサーは、前記患者と保存指紋データとの間に合致が検出されると、前記酸素測定データを公開する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサーは、前記介護者と保存指紋データとの間に合致が検出されると、前記酸素測定データを公開する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
患者の身体部分の一部分において酸素測定プロセスを実行することであって、発光器から光を放射すること、および該身体部分の一部分を通過した光を検出することを含み、該プロセスは酸素測定データを生成する、ことと、
指紋画像を獲得することと、
該指紋画像が保存指紋画像に合致するかどうかを決定することと、
該患者の酸素測定データ記録を提供するために該酸素測定データを該保存指紋画像に関連付けて保存することと
を含む、センサーシステム方法。
【請求項11】
酸素測定データを以前に保存された前記患者のデータと比較することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸素測定データと前記以前に保存されたデータとの差が所定の閾値を越える場合に、警告を生成することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記保存された結果および前記画像を遠隔の計算デバイスに転送することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
第2の指紋の画像を獲得すること、および該第2の指紋の画像を承認された指紋のリストと比較することと、
該比較が該リスト内での合致を確認する場合にのみ該酸素測定データを転送することと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の患者または該患者の介護者の指紋データを獲得すること、および該指紋データを該複数の患者の記録に保存することと、
該複数の患者のうちの1人の酸素測定データを、プロセッサーによって制御される発光器および光検出器を用いて決定することと、
該複数の患者のうちの該1人または該複数の患者のうちの該1人の介護者の指紋データを獲得することと、
該獲得された指紋データを該記録に保存された指紋データと比較することと、
該比較に基づいて、該獲得された指紋データについて動作を実行することと
を含む、センサーシステム方法。
【請求項16】
前記動作を実行することは、前記患者の酸素測定データを保存することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記動作を実行することは、前記保存された酸素測定データを以前に保存されたデータと比較することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記動作を実行することは、前記比較することが所定の閾値を越える差を生じさせるときに前記患者または介護者に警告することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記比較することは、前記患者から離れた遠隔の場所において、前記指紋データが該遠隔の場所に送信された後に実行されることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記指紋データおよび酸素測定データは、前記患者の近傍のハウジングから無線で送信される、請求項19に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−535594(P2010−535594A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520312(P2010−520312)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/072510
【国際公開番号】WO2009/021130
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(509128683)ノーニン メディカル, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】