説明

生理用タンポン

【課題】経血等の体液の吸収性を高めるとともに吸収体の膣壁への張り付きを防止する。
【解決手段】被覆材11は、吸収体12に接する内側面11Aと、使用時に膣壁に接する外側面11Bとを有する。被覆材11は、水に対する親和性が低い疎水性繊維101と、水に対する親和性が高い親水性繊維102とを含む。外側面11Bにおける疎水性繊維101の存在比率は、親水性繊維102の存在比率よりも多い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性繊維を有する吸収体と、前記吸収体を覆う被覆材とを有する生理用タンポンに関する。
【背景技術】
【0002】
生理用タンポンは、液体を吸収することのできる吸収体と、吸収体を覆う被覆材とを備え、使用者の膣内に挿入され、経血等の体液を吸収する。
【0003】
このような生理用タンポンとしては、吸収性繊維を有する吸収層と、疎水性を有する液透過性の透液層とを有し、吸収層が透液層によって覆われることにより吸収体を形成する生理用タンポンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−8964号公報( 第3頁[0019]など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の生理用タンポンには、次のような問題があった。すなわち、膣壁に接触する吸収体の表面(透液層)が疎水性を有すると、経血などの体液と吸収体との馴染みが良くない。そのため、体液が吸収体の表面を流れ易くなり、経血漏れや装着の不快感を生じることがあった。
【0006】
体液の吸収体への吸収性を高めるには、吸収体の表面を親水性にすればよい。しかし、吸収体の表面を親水性にした場合、吸収体が膣壁表面に存在する体液を吸収するため、吸収体の表面が膣壁に張り付く現象が起こり易い。そのため、挿入時又は使用後の引き抜き時の摩擦抵抗が高くなり、使用者に不快感を生じさせる。
【0007】
そこで、本発明は、経血などの体液の吸収性を高めるとともに、膣壁への張り付きを防止することができる生理用タンポンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有する。すなわち、本発明の特徴は、吸収性繊維を有する吸収体と、前記吸収体を覆う被覆材とを有する生理用タンポンであって、前記被覆材は、前記吸収体に接する内側面と、使用時に膣壁に接する外側面とを有し、前記被覆材は、水に対する親和性が高い親水性繊維と、水に対する親和性が低い疎水性繊維とを含み、前記外側面における前記疎水性繊維の存在比率は、前記親水性繊維の存在比率よりも多く、前記内側面は、前記親水性繊維から形成されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、経血などの体液の吸収性を高めるとともに、膣壁への張り付きを防止することができる生理用タンポンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る生理用タンポンの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る吸収体本体の斜視図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る吸収性本体を展開した平面図である。
【図4】図4は、図3に示すA−A’線における断面図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態に係る生理用タンポンの被覆材と吸収体の拡大図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る生理用タンポンの被覆材と吸収体の拡大図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態に係る生理用タンポンの被覆材と吸収体の拡大図である。
【図8】図8は、本発明の第4実施形態に係る生理用タンポンの被覆材と吸収体の拡大図である。
【図9】図9は、本発明の第5実施形態に係る生理用タンポンの被覆材と吸収体の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る生理用タンポンの実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0012】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、生理用タンポン1の斜視図である。生理用タンポン1は、吸収性本体10と、吸収性本体10が収納されるアプリケータ20とを有する。
【0014】
アプリケータ20は、吸収性本体10を排出可能に装填する外筒21と、吸収性本体10を押圧する押圧体22とを備える。
【0015】
外筒21は、使用者の膣内に挿入される外筒先端部23と、外筒先端部23の反対側に位置する外筒後端部24とを有する。外筒先端部23には、吸収性本体10が排出される開口部分25が形成される。
【0016】
押圧体22は、吸収性本体10を外筒21の外部に向けて押圧する押圧先端部26と、押圧先端部26の反対側に位置する押圧後端部27とを有する。
【0017】
押圧体22は、押圧先端部26と押圧後端部27とを連通する連通孔28を有する。連通孔28には、吸収性本体10に連結されたコード13(後述する)が通される。
【0018】
押圧後端部27は、外筒先端部23側へ向けて押圧されると、押圧先端部26は、外筒21内を摺動することにより吸収性本体10を外筒21の外部に向けて押圧する。開口部分25は、吸収性本体10によって押し広げられる。これにより、吸収性本体10は、開口部分25から外筒21の外部に排出される。
【0019】
図2は、吸収性本体10の斜視図である。図3は、吸収性本体10を展開した平面図である。吸収性本体10は、シート形状を有する。吸収性本体10は、圧縮された状態で外筒21の内部に収納される。
【0020】
吸収性本体10は、所定位置に連結部14を有する。本実施形態では、所定位置は、吸収性本体10の中央部分である。コード13は、連結部14において、糸15で吸収性本体10に縫い付けられる。
【0021】
図4は、図3におけるA−A’断面を示す断面図である。吸収性本体10は、吸収性繊維を有する吸収体12と、吸収体12を覆う被覆材11とを有する。被覆材11は、連結部14において重複しており、被覆材11、吸収体12、及びコード13は、連結部14において糸15で縫い合わされている。
【0022】
図5は、図4の断面図における領域Tの拡大図である。図5に示すように、被覆材11は、吸収体12に接する内側面11Aと、使用時に膣壁に接する外側面11Bとを有する。被覆材11は、水に対する親和性が低い疎水性繊維101と、水に対する親和性が高い親水性繊維102とを含む。
【0023】
外側面11Bにおける疎水性繊維101の存在比率は、親水性繊維102の存在比率よりも多い。外側面11Bにおける親水性繊維102の配合比率は、被覆材11の全量に対して10〜50%であることが好ましい。
【0024】
外側面11Bにおける親水性繊維102の配合比率が10%以下であると、外側面11Bと水との親和性が低くなる。そのため、吸収性本体10に付着した経血が外側面11Bから内側面11Aへ移行するよりも先に、吸収性本体10の外側面11Bを伝ってしまい、膣口から漏れやすくなる。
【0025】
また、外側面11Bにおける親水性繊維102の配合比率が50%以上であると、外側面11Bと水との親和性が高くなる。この場合、外側面11Bが膣壁にある少量の経血を吸引することにより、外側面11Bが膣壁に貼り付いてしまい、抜き取り時に使用者に痛みや違和感を生じさせてしまう。
【0026】
被覆材11としては、スパンボンド、ポイントボンド、エアスルー等、不織布の一般的な製法で作製された不織布を使用することができる。より好ましくは、本実施形態では、被覆材11は、疎水性繊維101と親水性繊維102とが水流絡合法により形成されたスパンレース不織布である。スパンレース不織布は、水流により繊維を交絡させるため、疎水性繊維101からなる繊維層と親水性繊維102からなる繊維層との間に完全な境界ができない。これにより、外側面11Bから内側面11Aに向けて体液が速やかに移行できる。また、スパンレース不織布は、原綿の油剤の残留がないことも利点である。
【0027】
疎水性繊維101としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリルなどの合成繊維、及びこれらの混合物などが好ましい。また、吸収性本体10は、外筒21に圧縮して収納される際、高温・高圧になるため、融点が130℃以上、不織布の破断強度(JISL1096)が12mN/25mmであることが好ましい。
【0028】
親水性繊維102としては、レーヨン(従来のノーマルレーヨン及び異型レーヨンも含む)、コットン、粉砕木材パルプ、羊毛、絹、化学的に変性、修飾、又は架橋されたセルロースファイバー、合成繊維、ティッシュ、ピートモス等吸収材として一般的に使用される繊維が使用できる。また、これらの繊維を混合して使用してもよい。親水性繊維102は、後述する吸収体12と同じ素材であることが好ましい。親水性繊維102と吸収体12とを同一素材にすると、親水性繊維102と吸収体12との繊維間の馴染みがよく、経血等の体液を吸収体12に導きやすくすることができる。
【0029】
疎水性繊維101及び親水性繊維102の繊維径は、1.7〜3.3デニールが好ましい。繊維径が3.3デニール以上であると、繊維1本の剛性が高くなり、使用者にとって肌触りが悪くなる。また、繊維径が1.7デニール以下だと、安定した太さで生産することが難しくなる。
【0030】
内側面11Aは、親水性繊維102から形成される。親水性繊維102の単位面積当りの重量(坪量という)は、疎水性繊維101の単位面積当りの重量以上である。
【0031】
被覆材11の外側面11Bを形成する疎水性繊維101の坪量は、8〜20g/mである。また、内側面11Aを形成する親水性繊維102の坪量は、8〜40g/mであることが好ましい。8g/m以下の場合、繊維が少なすぎて原綿の開繊時に安定した量でウェブを作製することが難しくなる。
【0032】
疎水性繊維101の坪量が20g/mを超えると、吸収性本体10に付着した経血が外側面11Bから内側面11Aへ移行するよりも先に、吸収性本体10の外側面11Bを伝ってしまい、膣口から漏れやすくなる。
【0033】
また、親水性繊維102の坪量が40g/mを超えると、被覆材11の剛性が高くなり過ぎるために、吸収性本体10が膣内に挿入された際、吸収性本体10の形状が圧縮された状態から使用状態に回復する動作が妨げられる。
【0034】
吸収体12は、レーヨン(従来のノーマルレーヨン及び異型レーヨンも含む)、コットン、粉砕木材パルプ、羊毛、絹、化学的に変性、修飾、又は架橋されたセルロースファイバー、合成繊維、ティッシュ、ピートモス等吸収材として一般的に使用される繊維が使用できる。また、これらの繊維を混合して使用してもよい。吸収体12には、吸収性ポリマー、吸収性を有するゲル材料等が混合されていてもよい。吸収体12の坪量は、100〜1200g/mであることが好ましい。
【0035】
コード13は、レーヨン、コットン、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる単糸又はこれらを撚り合わせた複合糸によって構成される。コード13は、経血や体液による汚れを防止するため、パラフィン等で撥水加工されていると好ましい。
【0036】
吸収性本体10は、圧縮された状態で外筒21に収納される。吸収性本体10を外筒21に収納可能なサイズに成型する工程では、吸収性本体10は、長手方向に複数の凸部を持った金型で概円筒形に圧縮成型される。若しくは、吸収性本体10は、搬送方向(MD方向)及び交差方向(CD方向)からそれぞれプレスされることより規定寸法に圧縮成型される。
【0037】
圧縮された後の吸収性本体10の長さ方向の寸法は、30〜60mmであることが好ましい。圧縮された後の吸収性本体10の長さ方向の寸法が30mm以下であると、吸収性本体10の膣壁に接する面積が少なすぎるため、経血を十分に吸収することができない。圧縮された後の吸収性本体10の長さ方向の寸法が60mmを超えると、吸収性本体10が経血等を吸収した際に、膣口付近まで膨張するため、使用者に違和感を生じさせる。
【0038】
ここで、圧縮成型後の吸収性本体10の長さ方向の寸法が30mm〜60mmである場合、コード13の長さは、150mm〜250mmの範囲内であることが好ましい。コード13の長さが150mm以下だと、使用者が吸収性本体10を抜き取る際に探し難くなる。また、250mmを超えると、吸収性本体10を抜き取った後、抜き取られた吸収性本体10が衣服や便器に接触し、衣服や便器を汚すおそれがある。
【0039】
以上説明したように、本発明の第1実施形態にかかる生理用タンポン1では、被覆材11は、水に対する親和性が低い疎水性繊維101と、水に対する親和性が高い親水性繊維102とを含む。外側面11Bにおける疎水性繊維101の存在比率は、親水性繊維102の存在比率よりも多い。
【0040】
これにより、外側面11Bにおいて、疎水性繊維101を伝った経血などの体液は、外側面11Bを形成する親水性繊維102に浸透する。外側面11Bを形成する親水性繊維102に浸透した体液は、内側面11Aを形成する親水性繊維102に浸透する。すなわち、内側面11Aを形成する親水性繊維102が吸収体12としても機能する。従って、生理用タンポン1の吸収性を向上させることができる。
【0041】
一度、内側面11Aを形成する親水性繊維102に浸透した体液は、外側面11Bを形成する疎水性繊維101によって阻害されるため、外側面11Bの表面(膣壁側)には戻りにくい。内側面11Aを形成する親水性繊維102に浸透した体液は、内側面11Aに接する吸収体12に吸収される。従って、体液の吸収性を高めることができる。
【0042】
本実施形態では、外側面11Bにおいて疎水性繊維101の存在比率が多いため、被覆材11の表面は、疎水性繊維の性質に類似する。これにより、吸収性本体10の膣壁への張り付きを防止することができる。
【0043】
本実施形態において、親水性繊維102の坪量は、疎水性繊維101の坪量よりも多い。すなわち、親水性繊維102からなる繊維層は、疎水性繊維101からなる繊維層よりも厚い。親水性繊維102の量が多いため、被覆材11自体が体液を吸収できるととともに、吸収体12との馴染みも良い。
【0044】
本実施形態において、被覆材11は、疎水性繊維101と親水性繊維102とが水流絡合法により形成されたスパンレース不織布である。すなわち、被覆材11の厚み方向に主に外側面11Bを形成する疎水性繊維101と、内側面11Aを形成する親水性繊維102とが絡合されているため、外側面11Bから内側面11Aに向かう流路が形成される。そのため、体液が外側面11Bから内側面11Aに浸透し易くなる。
【0045】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、吸収体を覆う被覆材の構成が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態との相違点について説明する。図6は、図5と同様、吸収体と、吸収体を覆う被覆材とを部分的に拡大して示す拡大図である。第2実施形態では、被覆材11に代わって被覆材31が用いられる。
【0046】
被覆材31は、吸収体12に接する内側面31Aと、使用時に膣壁に接する外側面31Bとを有する。被覆材31は、水に対する親和性が低い疎水性繊維101と、水に対する親和性が高い親水性繊維102とを含む。外側面31Bにおける疎水性繊維101の存在比率は、親水性繊維102の存在比率よりも多い。内側面31Aは、親水性繊維102から形成される。図6に示すように、被覆材31には、外側面31B及び内側面31Aを貫通する貫通孔32が形成される。
【0047】
第2実施形態として示す被覆材31によれば、体液が被覆材31に形成された貫通孔32を伝って吸収体12に移行し易くなる。これにより、吸収性が向上する。
【0048】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、吸収体を覆う被覆材の構成が第1実施形態、第2実施形態と異なる。以下では、第1実施形態、第2実施形態との相違点について説明する。図7は、図5と同様、吸収体と、吸収体を覆う被覆材とを部分的に拡大して示す拡大図である。第3実施形態では、被覆材11に代わって被覆材41が用いられる。
【0049】
被覆材41は、吸収体12に接する内側面41Aと、使用時に膣壁に接する外側面41Bとを有する。被覆材41は、水に対する親和性が低い疎水性繊維101と、水に対する親和性が高い親水性繊維102とを含む。外側面41Bにおける疎水性繊維101の存在比率は、親水性繊維102の存在比率よりも多い。内側面41Aは、親水性繊維102から形成される。
【0050】
被覆材41は、厚みが部分的に異なる。具体的には、図7に示すように、被覆材41の一部は、厚みL1であり、被覆材41の他の部分は、厚みL2である。ここで、L1>L2である。なお、層厚の異なる部分を形成する方法としては、被覆材41を製造する段階で厚みを異ならせる方法がある。製造段階において、層厚の薄い部分に対応する箇所に凸部が配置されたパターンプレートを使用し、パターンプレート内に原料である資材を堆積させる。
【0051】
第3実施形態として示す被覆材41によれば、体液が被覆材41の厚い部分L1から薄い部分L2へ入り込みやすくなる。これにより、吸収性が向上する。
【0052】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、吸収体を覆う被覆材の構成が第1乃至第3実施形態と異なる。以下では、第1乃至第3実施形態との相違点について説明する。図8は、図5と同様、吸収体と、吸収体を覆う被覆材とを部分的に拡大して示す拡大図である。第4実施形態では、被覆材11に代わって被覆材51が用いられる。
【0053】
被覆材51は、第3実施形態で説明した、異なる厚さを有する被覆材41において、被覆材41の厚みL2(他よりも薄い)の部分に貫通孔が形成される。
【0054】
具体的に、被覆材51は、吸収体12に接する内側面51Aと、使用時に膣壁に接する外側面51Bとを有する。被覆材51は、水に対する親和性が低い疎水性繊維101と、水に対する親和性が高い親水性繊維102とを含む。外側面51Bにおける疎水性繊維101の存在比率は、親水性繊維102の存在比率よりも多い。内側面51Aは、親水性繊維102から形成される。
【0055】
被覆材51は、厚みが部分的に異なる。具体的には、図8に示すように、被覆材51の一部は、厚みL1であり、被覆材51の他の部分は、厚みL2である。ここで、L1>L2である。被覆材51の厚みL2の部分には、貫通孔52が形成される。
【0056】
第4実施形態として示す被覆材51によれば、体液が被覆材51の厚い部分L1から薄い部分L2へ入り込みやすくなる。また、体液が被覆材51に形成された貫通孔52を伝って吸収体12に移行し易くなる。これにより、吸収性が向上する。
【0057】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態では、吸収体を覆う被覆材の構成が第1乃至第4実施形態と異なる。以下では、第1乃至第4実施形態との相違点について説明する。図9は、図5と同様、吸収体と、吸収体を覆う被覆材とを部分的に拡大して示す拡大図である。第5実施形態では、被覆材11に代わって被覆材61が用いられる。被覆材61は、繊維密度が相対的に高い部分と低い部分とを有する。
【0058】
具体的に、被覆材61は、吸収体12に接する内側面61Aと、使用時に膣壁に接する外側面61Bとを有する。被覆材61は、水に対する親和性が低い疎水性繊維101と、水に対する親和性が高い親水性繊維102とを含む。外側面61Bにおける疎水性繊維101の存在比率は、親水性繊維102の存在比率よりも多い。内側面61Aは、親水性繊維102から形成される。
【0059】
図9に示すように、被覆材61における領域S1は、繊維密度が相対的に高い部分であることを示す。また、領域S2は、繊維密度が相対的に低い部分であることを示す。
【0060】
第5実施形態として示す被覆材61によれば、体液が被覆材61の繊維密度が低い部分から高い部分へ浸透しやすくなる。これにより、吸収性が向上する。第5実施形態では、被覆材61の繊維密度が高い部分に貫通孔を設けても良い。なお、層厚の異なる部分を形成する方法としては、エンボス加工、又はスパンレース法において、部分的に水圧を変更する方法などが挙げられる。
【0061】
(その他の実施形態)
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0062】
上述した実施形態では、コード13は、連結部14において、吸収性本体10に縫い付けられると説明した。しかし、被覆材11と吸収体12とを縫い合わせるために使用する糸の端部が吸収性本体10の外に延ばされ、撚り合わされてコード13が形成されていてもよい。この場合には、コード13は、被覆材11と吸収体12とを一体化させるだけでなく、使用後の吸収性本体10を膣口から引き抜くためコードを兼ねているため、縫い糸の切れや、縫い目の不具合などのトラブルによりコードが外れるような事態が起こらないという利点がある。
【0063】
本実施形態では、コード13は、中央部分に連結されると説明したが、コード13は、吸収性本体10の端部に連結されていてもよい。
【0064】
親水性繊維102としては、水との親和性の低い繊維に対して、適切な処理を施して親水性を付与した繊維であってもよい。
【0065】
被覆材の好ましい実施形態としてスパンレース不織布を記載した。しかし、スパンレース不織布に限定されない。例えば、2枚の不織布を積層して一体化させたものでもよい。例えば、疎水性繊維と親水性繊維を混合させたスパンボンド不織布を外側面に、レーヨンに熱融着繊維を混合させた不織布を内側面に配置し、熱エンボス加工を行うことにより一体化させた不織布を用いることができる。このような不織布では、外側面のスパンボンド不織布が膣壁への貼り付きを防止しつつ、レーヨンに熱融着繊維を混合させた不織布が吸収体への液移行性を高めることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…生理用タンポン、 10…吸収性本体、 11…被覆材、 11A…内側面、 11B…外側面、 12…吸収体、 13…紐、 14…連結部、 20…アプリケータ、 21…外筒、 22…押圧体、 23…外筒先端部、 24…外筒後端部、 25…開口部分、 26…押圧先端部、 27…押圧後端部、 28…連通孔、 31…被覆材、 31A…内側面、 31B…外側面、 32…貫通孔、 41…被覆材、 41A…内側面、 41B…外側面、 51…被覆材、 51A…内側面、 51B…外側面、 52…貫通孔、 61…被覆材、 61A…内側面、 61B…外側面、 101…疎水性繊維、 102…親水性繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性繊維を有する吸収体と、前記吸収体を覆う被覆材とを有する生理用タンポンであって、
前記被覆材は、
前記吸収体に接する内側面と、
使用時に膣壁に接する外側面とを有し、
前記被覆材は、水に対する親和性が高い親水性繊維と、水に対する親和性が低い疎水性繊維とを含み、
前記外側面における前記疎水性繊維の存在比率は、前記親水性繊維の存在比率よりも多く、
前記内側面は、前記親水性繊維から形成される
生理用タンポン。
【請求項2】
前記親水性繊維の単位面積当りの重量は、前記疎水性繊維の単位面積当りの重量以上である請求項1に記載の生理用タンポン。
【請求項3】
前記被覆材は、前記親水性繊維と前記疎水性繊維とが水流絡合法により形成されたスパンレース不織布である請求項1に記載の生理用タンポン。
【請求項4】
前記被覆材は、前記被覆材の厚み方向の厚みが部分的に異なる請求項1に記載の生理用タンポン。
【請求項5】
前記被覆材は、繊維密度が相対的に高い部分と低い部分とを有する請求項1に記載の生理用タンポン。
【請求項6】
前記被覆材には、前記外側面及び前記内側面を貫通する貫通孔が形成される請求項1に記載の生理用タンポン。
【請求項7】
前記吸収体と前記被覆材とは、糸で縫い合わされる請求項1に記載の生理用タンポン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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