説明

生産管理装置、生産管理システム、生産管理装置の制御方法、制御プログラム、および、記録媒体

【課題】生産装置の状態を適正に判定することにより、消費資源の無駄を正しく判別することを可能にする。
【解決手段】本発明に係る生産管理装置1は、資源(電力など)を消費することにより生産環境の物理量(温度など)を変化させて生産を行う生産装置の状態を監視する生産管理装置1において、上記生産装置が上記資源を消費することにより変化させた生産環境の物理量を環境変化物理量として取得し、取得した環境変化物理量に応じて、上記生産装置の状態を判定する状態判定部30を備えていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産装置を監視して生産装置の状態を判定する生産管理装置、生産管理システム、生産管理装置の制御方法、制御プログラム、および、記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生産装置(設備)の稼動状態を監視して、生産装置の異常を検知したり、生産装置あるいは生産ライン全体の無駄を抽出したりする生産管理が行われている。
【0003】
こうした生産管理技術により、異常を察知して事故を未然に防いだり、不良品の排出を抑えたり、無駄を排除して生産効率を高めたりすることができる。このように生産管理技術は、生産ラインを運用する者にとって、安全性および生産性を向上させる上で欠く事ができない重要な要素であり、これまでに様々な工夫がなされてきた。
【0004】
例えば、特許文献1には、工作機械の電力使用量を監視することにより、工作機械の稼動状態(停止状態、運転状態など)を判定したり、工作機械の異常を検知したりする方法が開示されている。
【0005】
また近年、地球環境の保全と経済性の観点から、生産装置の消費資源(電力などのエネルギー)を把握して、資源消費の無駄を抽出することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−304207号公報(2002年10月18日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の技術では、使用電力量に基づいて生産装置における稼動または非稼動の状態の判定する構成である。また、従来、生産装置に投入されるワーク(作業対象物)や、それに対して発生する作業を検知して、生産装置の生産または非生産の状態を判定することも行われている。
【0008】
しかしながら、これらの状態判定結果を利用しても、無駄を抽出する観点で消費資源の位置付けを正しく判別できないという問題がある。
【0009】
無駄を抽出する観点での消費資源の位置付けとは、その資源の「消費」が、物の生産に貢献したか否かという観点で、資源消費を判別することである。例えば、その資源の消費が生産に貢献した(物を生産する上で必要な、必然的な消費である)場合には、その資源消費は無駄ではないと判断し、その資源の消費が生産に貢献しなかった(正常な生産に影響を与えない、不必要な消費である、逆に損害を与える)場合には、その資源消費は無駄であると判断されなければならない。
【0010】
より具体的には、稼動(生産)状態であっても、実際にワークが投入されていないことも考えられるし、不良品を生産していることも考えられる。このような場合、生産時の消費であっても、無駄を抽出する観点では、「この資源消費は無駄である」と判断されなければならない。反対に、非稼動(非生産)状態であっても、生産装置が正常に物を生産できる状態を維持するために資源を消費しなければならないこともある。このような場合、非生産時の消費であっても、無駄を抽出する観点では、「この資源消費は必要である(無駄ではない)」と判断されなければならない。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産装置の稼動/非稼動に(あるいは、稼動/非稼動のみに)頼ることなく、生産装置の状態を適正に判定することにより、消費資源の無駄を正しく判別することを可能にする生産管理装置、生産管理システム、生産管理装置の制御方法、制御プログラム、および、記録媒体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る生産管理装置は、上記課題を解決するために、資源を消費することにより生産環境の物理量を変化させて生産を行う生産装置の状態を監視する生産管理装置において、上記生産装置が上記資源を消費することにより変化させた生産環境の物理量を環境変化物理量として取得する環境変化物理量取得手段と、上記環境変化物理量取得手段が取得した環境変化物理量に応じて、上記生産装置の状態を判定する状態判定手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、生産装置において消費資源と引き換えに獲得される環境変化物理量を監視し、上記環境変化物理量取得手段によって取得された上記環境変化物理量に応じて、状態判定手段が、生産装置の状態を判定する。
【0014】
これにより、生産装置が作業対象物に対して、実際に生産行動を実施しているか否かではなく、消費された資源と引き換えに得られる環境変化物理量に拠って生産装置の状態を判定することができる。
【0015】
上述のような状態判定によれば、生産装置の稼動/非稼動に拠る状態判定よりも、消費資源の無駄抽出の観点から生産装置の状態を適正に判定することできる。
【0016】
生産装置の状態を適正に判定できれば、生産装置が消費した資源が無駄であったか否かを適正に判別することができる。
【0017】
以上のとおり、本発明の生産管理装置によれば、生産装置の稼動/非稼動に(あるいは、稼動/非稼動のみに)頼ることなく、生産装置の状態を適正に判定することにより、消費資源の無駄を正しく判別することが可能になるという効果を奏する。
【0018】
上記状態判定手段は、上記生産装置が資源の消費を開始してから、該生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達するまでの期間における、該生産装置の状態を、正常な生産行動のために必要な状態を意味する立ち上げ状態であると判定することができる。
【0019】
上記構成によれば、生産装置が生産行動を実際に開始する前の段階(つまり、物を生産していない非生産の状態)ではあるが、環境変化物理量を生産適正範囲に到達させるまでの過程は、正常な生産のために必要な準備段階であると位置付けて、これを、単なる無駄な非生産の状態とは区別して、必要な「立ち上げ」状態と位置付けることができる。
【0020】
これにより、稼動/非稼動、あるいは、生産/非生産の観点では、無駄と判断される虞のある消費資源を、必要な消費資源であったと正しく判別することが可能となる。
【0021】
上記生産管理装置は、上記生産装置が消費する資源の物理量を消費物理量として取得する消費物理量取得手段と、上記状態判定手段が判定した状態に応じて、上記生産装置が該状態であった期間に消費した上記資源の消費物理量が、無駄に消費されたものか否かを判別する資源判別手段とを備えていることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、上記状態判定手段が、無駄を抽出するという観点で判定した生産装置の状態に応じて、資源判別手段は、その状態のときに消費された資源の無駄を判別する。
【0023】
具体的には、生産装置が生産に貢献する活動を行っている状態のときに消費した資源を、必要な消費、反対に、生産に貢献しない状態のときに消費した資源を無駄な消費と判別することができる。さらに、消費物理量取得手段は、消費された資源の消費物理量を取得しているので、生産装置が、資源を、どの状態のときに、どのくらいの量を無駄に(あるいは必要に)消費したのかを、本発明の生産管理装置が明らかにすることができる。
【0024】
さらに、生産管理装置の上記状態判定手段が、上記生産装置が資源の消費を開始してから、該生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達するまでの期間における、該生産装置の状態を、正常な生産行動のために必要な状態を意味する立ち上げ状態であると判定した場合に、上記資源判別手段は、上記生産装置が立ち上げ状態である期間に消費した上記資源の消費物理量を、無駄に消費されたものではないと判別することができる。
【0025】
これにより、稼動/非稼動、あるいは、生産/非生産の観点では、無駄と判断される虞のある消費資源を、必要な消費資源であったと正しく判別することが可能となる。
【0026】
本発明の生産管理装置は、上記生産装置が、生産環境の物理量を変化させて作業対象物に対して生産行動を実施しているか否かを検知する検知部を備え、上記状態判定手段は、上記生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達してから、上記検知部が上記生産行動の実施を検知するまでの期間における、該生産装置の状態を、生産行動を実施できるにもかかわらず生産を行っていない不要な状態を意味する待機状態であると判定してもよい。
【0027】
上記構成によれば、環境変化物理量に加えて、さらに、検知部によって検知された生産/非生産の情報を考慮することにより、「正常な生産行動を実施できるにもかかわらず生産を行っていない」という待機状態を識別することが可能となる。
【0028】
上記待機状態が識別されることにより、このときに消費された資源の無駄を判別することができる。
【0029】
本発明の生産管理装置は、上記生産装置が消費する資源の物理量を消費物理量として取得する消費物理量取得手段と、上記状態判定手段が判定した状態に応じて、上記生産装置が該状態であった期間に消費した上記資源の消費物理量が、無駄に消費されたものか否かを判別する資源判別手段とを備え、上記状態判定手段が、上記生産装置の状態を、上記待機状態であると判定した場合に、上記資源判別手段は、上記生産装置が待機状態である期間に消費した上記資源の消費物理量を、無駄に消費されたものであると判別することができる。
【0030】
上記構成によれば、環境変化物理量に加えて、さらに、検知部によって検知された生産/非生産の情報を考慮することにより、「正常な生産行動を実施できるにもかかわらず生産を行っていない」という待機状態を識別することが可能となる。
【0031】
そして、上記待機状態が識別されることにより、このときに消費された資源を、無駄な消費であると判別することができるとともに、その無駄に消費された消費物理量を明らかにすることができる。
【0032】
上記生産管理装置の上記状態判定手段は、上記生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達している期間であって、上記検知部が上記生産行動の実施を検知している期間における、該生産装置の状態を、生産を行っている必要な状態を意味する生産状態であると判定してもよい。
【0033】
上記構成によれば、正常に生産活動を行っている、すなわち、生産の直接的に貢献している生産装置の状態を「生産状態」として識別することができる。この生産状態に基づいて消費資源の無駄を正しく判別することが可能となる。
【0034】
上記状態判定手段が判定した状態に応じて、上記生産装置が該状態であった期間に消費した上記資源の消費物理量が、無駄に消費されたものか否かを判別する資源判別手段を備え、上記状態判定手段は、上記生産装置が資源の消費を開始してから、該生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達するまでの期間における、該生産装置の状態を、正常な生産行動のために必要な状態を意味する立ち上げ状態であると判定し、上記資源判別手段は、上記生産装置が立ち上げ状態である期間に消費した上記資源の消費物理量を、間接的に生産に貢献したことを意味する間接生産消費量、上記生産装置が待機状態である期間に消費した上記資源の消費物理量を、生産に貢献しなかったことを意味する非生産消費量、および、上記生産装置が生産状態である期間に消費した上記資源の消費物理量を、直接的に生産に貢献したことを意味する直接生産消費量と判別してもよい。
【0035】
上記構成によれば、上記状態判定手段は、環境変化物理量を考慮することによって、第1に、上記生産装置が資源の消費を開始してから、該生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達するまでの期間における、該生産装置の状態を、正常な生産行動のために必要な準備段階を意味する「立ち上げ状態」として識別することができる。第2に、上記環境変化物理量に加えて、さらに、検知部によって検知された生産/非生産の情報を考慮することにより、正常な生産行動を実施できるにもかかわらず生産を行っていないということを意味する「待機状態」を識別することができる。第3に、上記生産装置が獲得する上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達している期間であって、上記検知部が上記生産行動の実施を検知している期間の生産装置の状態を、生産に直接的に貢献しているとして「生産状態」として識別することができる。
【0036】
続いて、上記資源判別手段は、上記状態判定手段が判定した状態に応じて、上記生産装置が該状態であった期間に消費した上記資源の消費物理量が、無駄に消費されたものか否かを判別する。
【0037】
具体的には、上記生産装置が「立ち上げ状態」である期間に消費した上記資源の消費物理量を、間接的に生産に貢献したことを意味する「間接生産消費量」、上記生産装置が「待機状態」である期間に消費した上記資源の消費物理量を、生産に貢献しなかったことを意味する「非生産消費量」、および、上記生産装置が「生産状態」である期間に消費した上記資源の消費物理量を、直接的に生産に貢献したことを意味する「直接生産消費量」と判別することができる。
【0038】
これにより、どのくらいの量の資源が、どのように消費されたのかを明らかにすることができる。どのように消費されたのかを明らかにすることとは、具体的には、その資源の消費が無駄であったか否かを判別することである。あるいは、その資源の消費が、直接的に生産に貢献したか(必要な消費であるか)、間接的に生産に貢献したか(必要な消費であるか)、または、生産に貢献しなかったか(無駄な消費であるか)を判別することであってもよい。
【0039】
上記生産装置は、環境変化物理量の適正範囲がそれぞれ異なる複数の機構を有し、上記環境変化物理量取得手段は、複数の機構から、それぞれの環境変化物理量を取得し、上記状態判定手段は、上記環境変化物理量取得手段がそれぞれの機構から取得した複数の環境変化物理量の組合せに応じて、上記生産装置の状態を判定してもよい。
【0040】
生産装置が複数の機構を有する場合、それぞれの機構によって状態がばらつく。具体的には、すべての機構が生産適正範囲に到達していなければ正常な生産が成り立たないが、すべての機構が同時に生産適正範囲に到達するとは限らない。つまり、一方の機構では、環境変化物理量が生産適正範囲に到達していても、他方の機構では生産適正範囲に到達しているということが起こり得る。
【0041】
上記構成によれば、上記状態判定手段は、それぞれの機構から環境変化物理量を取得して、それぞれの機構の環境変化物理量を組合せて、総合して生産装置の状態を判定する。
【0042】
したがって、生産装置が複数の機構を有する場合でも、生産装置の稼動/非稼動に(あるいは、稼動/非稼動のみに)頼ることなく、生産装置の状態を適正に判定することにより、消費資源の無駄を正しく判別することが可能になる。
【0043】
上記状態判定手段は、上記環境変化物理量取得手段が取得した環境変化物理量に基づいて求めた、所定期間の環境変化物理量の変化率が所定閾値よりも大きい場合に、当該期間における、上記生産装置の状態を、正常な生産行動のために必要な状態を意味する立ち上げ状態であると判定してもよい。
【0044】
生産装置の環境変化物理量は、立ち上がり時に、稼動前の物理量から生産適正範囲に到達するまでの間の比較的短い期間に大きな変化があり、その後、環境変化物理量は、生産適正範囲に到達してからは、その生産適正範囲を維持するために長期間安定するのが一般的である。
【0045】
そこで、上記構成により、比較的短い期間の大きな物理量の変化を認識して、当該期間を立ち上げ状態と判定することができる。
【0046】
上記環境変化物理量取得手段は、生産装置が変化させる環境変化物理量として、温度情報を取得してもよい。
【0047】
上記構成によれば、上記生産装置が、資源を消費することにより、常温と比較して高温、あるいは、低温の環境を獲得して物の生産を行う機構を有する場合に、該生産装置の状態を適正に判定することにより、消費資源の無駄を正しく判別することが可能になる。
【0048】
より具体的には、例えば、生産装置が、電力を消費して高温、あるいは、低温の環境を獲得して生産を行う装置である場合、生産装置において稼動中の機構の温度情報に基づいて、生産装置の状態を判定することができる。さらに、そのように判定された状態に応じて、生産装置が消費した電力の無駄を判別することが可能となる。
【0049】
本発明の生産管理装置を含んで構成される、以下のような生産管理システムも本発明の範疇に入る。すなわち、本発明の生産管理システムは、上記課題を解決するために、資源を消費することにより生産環境の物理量を変化させて生産を行う生産装置と、上記生産装置の状態を監視する生産管理装置と、上記生産装置が上記資源を消費することにより変化させる物理量を環境変化物理量として計測する環境変化物理量計測部とを含み、上記生産管理装置は、上記環境変化物理量計測部が取得した環境変化物理量に応じて、上記生産装置の状態を判定することを特徴としている。さらに、上記生産管理システムは、上記生産装置が消費する資源の物理量を消費物理量として計測する消費物理量計測部を含み、上記生産管理装置は、判定した上記生産装置の状態に応じて、上記生産装置が該状態であった期間に消費した上記資源の消費物理量が、無駄に消費されたものか否かを判別してもよい。上記生産管理システムは、さらに、上記生産装置が、生産環境の物理量を変化させて作業対象物に対して生産行動を実施しているか否かを検知する検知部を含み、上記生産管理装置は、上記環境変化物理量計測部が取得した環境変化物理量と、上記検知部が検知した上記生産装置の生産行動の有無とに応じて、上記生産装置の状態を判定してもよい。
【0050】
本発明の生産管理装置の制御方法は、上記課題を解決するために、資源を消費することにより生産環境の物理量を変化させて生産を行う生産装置の状態を監視する生産管理装置の制御方法であって、上記生産装置が上記資源を消費することにより変化させた生産環境の物理量を環境変化物理量として取得する環境変化物理量取得ステップと、上記環境変化物理量取得ステップにて取得した環境変化物理量に応じて、上記生産装置の状態を判定する状態判定ステップとを含むことを特徴としている。
【0051】
なお、上記生産管理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記生産管理装置をコンピュータにて実現させる生産管理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0052】
本発明に係る生産管理装置は、上記課題を解決するために、資源を消費することにより生産環境の物理量を変化させて生産を行う生産装置の状態を監視する生産管理装置において、上記生産装置が上記資源を消費することにより変化させた生産環境の物理量を環境変化物理量として取得する環境変化物理量取得手段と、上記環境変化物理量取得手段が取得した環境変化物理量に応じて、上記生産装置の状態を判定する状態判定手段とを備えていることを特徴としている。
【0053】
本発明の生産管理システムは、上記課題を解決するために、資源を消費することにより生産環境の物理量を変化させて生産を行う生産装置と、上記生産装置の状態を監視する生産管理装置と、上記生産装置が上記資源を消費することにより変化させる物理量を環境変化物理量として計測する環境変化物理量計測部とを含み、上記生産管理装置は、上記環境変化物理量計測部が取得した環境変化物理量に応じて、上記生産装置の状態を判定することを特徴としている。
【0054】
本発明の生産管理装置の制御方法は、上記課題を解決するために、資源を消費することにより生産環境の物理量を変化させて生産を行う生産装置の状態を監視する生産管理装置の制御方法であって、上記生産装置が上記資源を消費することにより変化させた生産環境の物理量を環境変化物理量として取得する環境変化物理量取得ステップと、上記環境変化物理量取得ステップにて取得した環境変化物理量に応じて、上記生産装置の状態を判定する状態判定ステップとを含むことを特徴としている。
【0055】
したがって、生産装置の稼動/非稼動に(あるいは、稼動/非稼動のみに)頼ることなく、生産装置の状態を適正に判定することにより、消費資源の無駄を正しく判別することを可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態における生産管理装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における生産管理システムの概要を示す図である。
【図3】生産管理装置の条件記憶部に記憶されている状態判定条件の一例を示す図である。
【図4】生産管理装置の条件記憶部に記憶されている電力判別条件の一例を示す図である。
【図5】生産管理装置の状態判定部が実行する状態判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】生産管理装置の電力判別部が実行する電力判別処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】生産管理装置の電力判別部が実行する他の例の電力判別処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】生産管理装置の結果グラフ生成部によって生成された結果グラフの一例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態における生産管理システムの概要を示す図である。
【図10】(a)および(b)は、他の実施形態における生産管理装置の条件記憶部に記憶されている状態判定条件の一例を示す図である。
【図11】生産管理装置の条件記憶部に記憶されている電力判別条件の一例を示す図である。
【図12A】他の実施形態における生産管理装置の状態判定部が実行する状態判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図12B】他の実施形態における生産管理装置の状態判定部が実行する状態判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図12C】他の実施形態における生産管理装置の状態判定部が実行する状態判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】他の実施形態における生産管理装置の電力判別部が実行する電力判別処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】他の実施形態における生産管理装置の結果グラフ生成部によって生成された結果グラフの一例を示す図である。
【図15】監視する温度のゆらぎと、温度適正範囲を特定するための閾値(管理温度)との関係を示すグラフである。
【図16】本発明の変形例において、生産管理装置の条件記憶部に記憶される状態判定条件の一例を示す図である。
【図17】本発明の変形例において、生産管理装置の条件記憶部に記憶される電力判別条件の一例を示す図である。
【図18】本発明の変形例において、生産管理装置の状態判定部が実行する状態判定処理および電力判別部が実行する電力判別処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】本発明の変形例における生産管理システムの概要を示す図である。
【図20】本発明の変形例において、生産管理装置の条件記憶部に記憶される状態判定条件の一例を示す図である。
【図21】本発明の変形例において、生産管理装置の条件記憶部に記憶される電力判別条件の一例を示す図である。
【図22】本発明の変形例における生産管理システムの概要を示す図である。
【図23】本発明の変形例において、生産管理装置の条件記憶部に記憶される状態判定条件の一例を示す図である。
【図24】本発明の変形例において、生産管理装置の条件記憶部に記憶される電力判別条件の一例を示す図である。
【図25】本発明の変形例において、生産管理装置の結果グラフ生成部によって生成された結果グラフの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
≪実施形態1≫
本発明の実施形態について、図1〜8に基づいて説明すると以下の通りである。
【0058】
以下で説明する実施形態では、一例として、生産装置としての乾燥炉が、電力(資源、消費物理量)を消費して製品の生産を行う場合の、消費電力の無駄を正しく判別するための生産管理装置、および、それらが属する生産管理システムについて説明する。
【0059】
なお、以降の各図において、各構成要素に付された符号に関し、同じ符号は、同じ構成要素を示している。したがって、各実施形態の説明において、既に説明した構成要素についての重複する説明は省略する。
【0060】
〔生産管理システムの概要〕
図2は、本発明の一実施形態における生産管理システム100の概要を示す図である。図2に示すとおり、生産管理システム100は、生産管理装置1、電力計2、生産制御装置3、パルスカウンタ4、電源5、および、生産装置としての乾燥炉6を含む。
【0061】
乾燥炉6は、炉内の被乾燥物を乾燥させることにより、物を生産する生産設備である。
本実施形態では、乾燥炉6は、耐熱材および断熱材で構成された乾燥層9内に、電気ヒータ8を備え、乾燥層9内を高温にして被乾燥物に含有される水分を除去するが、これは乾燥炉6の構成の一例であって、本発明の生産装置の構成を限定するものではない。図示しないが、乾燥層9は、吸気口および排気口と、ファンとを備え、炉内の温度を下げることなく(一定に保ちながら)、乾燥層9に充満する多湿の空気を効率よく排出することが可能である。乾燥層9内には、電気ヒータ8に代えて、熱風や温風を送る熱風式ヒータが設けられてもよい。
【0062】
乾燥炉6は、ローラコンベア13と接続されており、被乾燥物であるワーク14(14a〜14e)は、ローラコンベア13によって運搬される。ワーク14は、投入口10から乾燥層9内へと投入されて、一定時間をかけて乾燥層9内を通過し、排出口11から、先入れ先出し方式にて順次排出される。
【0063】
図2に示す例では、2重線矢印に示すとおり、ワーク14は、左から右へと一定時間かけて運搬される。ワーク14aは投入前のワークを、ワーク14bは、乾燥層9内に投入中のワークを、ワーク14c、dは乾燥中、すなわち、生産中のワークを、ワーク14eは排出後のワークを、それぞれ示している。このように、一定の温度に保たれた乾燥層9内を、一定時間かけて通過させることにより、ワーク14を傷めることなく、ワーク14の含有水分を除去することができる。排出後のワーク14eは、次の生産工程に搬送されたり、完成製品として梱包されたりする。
【0064】
乾燥層9内には、温度計7が設けられており、炉内の温度(環境変化物理量)を監視することができる構成である。温度計7は、検知した層内温度情報を示すアナログ信号、または、デジタル信号を、乾燥炉6を制御する生産制御装置3に供給する。生産制御装置3は、アナログ入力器を備えていてもよく、層内温度情報d2がアナログ信号である場合には、アナログ入力器がこれをA/D変換し、生産制御装置3が、層内温度情報d2のデータを生産管理装置1に供給してもよい。あるいは、生産管理装置1がアナログ入力器を備え、温度計7から直接層内温度情報d2を取得してもよい。温度計7から供給される層内温度情報d2がデジタル信号である場合には、温度計7から直接または生産制御装置3を介して層内温度情報d2のデータが生産管理装置1に供給される。
【0065】
電源5は、乾燥炉6に必要電力を供給するものである。本実施形態では、乾燥炉6は、電力を、乾燥層9内を高温に維持するための熱量に変える。つまり、乾燥炉6は「電力」という消費資源を消費して、「温度」という生産環境を変化させる。生産環境の変化量(ここでは、温度の変化量)は、「環境変化物理量」と表現し得る。乾燥炉6は、消費資源を消費して、環境変化物理量を獲得して生産を行う生産装置であると言える。
【0066】
電力計2は、乾燥炉6が消費する電力量を計測するものである。例えば、所定の間隔(1秒、10秒、1分、・・・など)で、乾燥炉6の消費電力を計測する。電力計2は、取得した消費電力のデータ(消費電力d1)を生産管理装置1に供給する。
【0067】
生産制御装置3は、乾燥炉6を制御するものである。乾燥炉6は、例えば、数値制御工作機械(NC;Numeral Controlマシン)である。生産制御装置3は、目的の温度を示す数値を指示信号として乾燥炉6に送信することにより、乾燥炉6が乾燥層9内を目的の温度で維持するように制御することが可能である。また、生産制御装置3は、温度計7から取得した層内温度情報d2を生産管理装置1に供給する。
【0068】
パルスカウンタ4は、乾燥炉6の動作を監視するセンサ12と通信し、センサ12が出力する生産パルス信号d3を取得して、生産管理装置1に供給するものである。
【0069】
センサ12は、例えば光電センサであって、入力端子を介して有線で、あるいは、無線でパルスカウンタ4と接続する。センサ12は、例えば、投入口10に設けられ、ローラコンベア13上を流れるワーク14が、投入口10が通過中である場合に、これを検知してON信号として出力する。この場合、OFF信号からON信号への切り換わり時点からON信号からOFF信号への切り換わり時点までの1パルスを、1個のワークの投入として認識することができる。パルスカウンタ4は、生産パルス信号d3からワーク14が通過したことを示すパルスをカウントし、単位時間あたりのワーク投入数を算出して、生産管理装置1に伝達してもよい。あるいは、パルスカウンタ4は、生産管理装置1に内蔵され、生産管理装置1が、センサ12から生産パルス信号d3を直接取得する構成でもよい。
【0070】
なお、電力計2およびパルスカウンタ4は、これらの機能を兼ね備える1台の装置で実現されてもよい。
【0071】
また、センサ12およびパルスカウンタ4の構成は上述の例に限定されない。乾燥炉6の動作を監視するための公知のあらゆる技術を適宜採用することが可能である。例えば、ワーク14にICタグが埋め込まれており、投入口10に設けられたタグリーダが、ワーク14が投入口10を通過するときに読み取る構成とすることができる。この場合、ICタグを読み取った時点をパルスとして認識可能な生産パルス信号d3が、タグリーダからパルスカウンタ4へ供給されれば、ワーク14の通過個数をカウントすることが可能である。あるいは、ワーク14に添付されたバーコードを読み取る構成でも通過個数をカウントすることができる。
【0072】
なお、生産管理装置1と、電力計2、生産制御装置3およびパルスカウンタ4とは、有線または無線通信手段を介して互いに通信可能に接続されている。
【0073】
本発明の生産管理装置1は、環境変化物理量(層内温度情報d2)を考慮することにより、消費資源(電力)の無駄を抽出するという観点で、乾燥炉6の動作状態を判定することが可能である。生産管理装置1のこの処理(機能)を、以下では、状態判定処理(機能)と称する。さらに、本発明の生産管理装置1は、層内温度情報d2に加えて、パルスカウンタ4から供給された生産パルス信号d3を用いることにより、乾燥炉6の状態判定処理を、より正確に実施することができる。
【0074】
また、生産管理装置1は、上述の電力計2から供給された消費物理量(消費電力d1)を、状態判定処理の結果にしたがって、仕分けすることが可能である。つまり、生産装置(乾燥炉6)の消費電力(資源)を、無駄であるか否かという観点で仕分けすることが可能である。生産管理装置1のこの処理(機能)を、以下では、電力判別処理(機能)と称する。
【0075】
これより、状態判定機能および電力判別機能を備える生産管理装置1の構成について詳細に説明する。
【0076】
〔生産管理装置の構成〕
図1は、本発明の一実施形態における生産管理装置1の要部構成を示すブロック図である。図1に示すとおり、本実施形態における生産管理装置1は、制御部20、記憶部21、通信部22、および、表示部23を備える構成となっている。なお、図示しないが、生産管理装置1は、ユーザが生産管理装置1に指示信号を入力するための操作部が備えられていてもよい。操作部は、例えば、キーボード、マウス、ボタン(十字キー、決定キー、文字入力キーなど)、タッチパネル、タッチセンサ、タッチペンなどの適宜の入力装置で構成される。
【0077】
通信部22は、外部の装置と通信を行うものである。通信部22は、例えば、構内LANを介して、構内の生産管理システム100の各装置(電力計2、生産制御装置3、パルスカウンタ4)とデータの送受信を行う。あるいは、生産管理装置1は、電力計2、生産制御装置3およびパルスカウンタ4のそれぞれと、1対1の関係で、有線または無線によって接続されていてもかまわない。この場合、通信部22は、電力計2、生産制御装置3およびパルスカウンタ4のそれぞれを識別し、どの装置と通信しているのかを把握できる構成となっている。
【0078】
表示部23は、生産管理装置1が、外部から取得したデータを分析して得た分析結果を表示するものである。例えば、生産管理装置1が状態判定処理を行った結果や、電力判別処理を行った結果をグラフなどにプロットして表示することが想定される。表示部23は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)などの適宜の表示装置で構成される。
【0079】
記憶部21は、制御部20が実行する(1)制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)制御部20が、生産管理装置1が有する各種機能を実行するためのアプリケーションプログラム、および、(4)該アプリケーションプログラムを実行するときに読み出す各種データを記憶するものである。特に、記憶部21は、生産管理装置1が実行する状態判定機能および電力判別機能を実行する際に読み出す各種プログラム、データを記憶する。具体的には、記憶部21には、電力量記憶部40、温度情報記憶部41、生産パルス記憶部42、条件記憶部43が含まれる。図示しないが、生産管理装置1が状態判定処理、または、電力判別処理を実行した結果得られた結果グラフを記憶する結果記憶部が含まれていてもよい。
【0080】
また、生産管理装置1は、図示しない一時記憶部を備えている。一時記憶部は、生産管理装置1が実行する各種処理の過程で、演算に使用するデータおよび演算結果等を一時的に記憶するいわゆるワーキングメモリであり、RAMなどで構成される。
【0081】
制御部20は、生産管理装置1が備える各部を統括制御するものであり、機能ブロックとして、少なくとも、状態判定部30、電力判別部31および結果グラフ生成部32を備えている。さらに、制御部20は、データ処理部33を記憶してもよい。
【0082】
上述した制御部20の各機能ブロックは、CPU(central processing unit)が、ROM(read only memory)、NVRAM(non-Volatile random access memory)等で実現された記憶装置(記憶部21)に記憶されているプログラムを不図示の一時記憶部(RAM(random access memory)等)に読み出して実行することで実現できる。
【0083】
電力量記憶部40は、通信部22が電力計2から取得した消費電力d1を記憶するものである。電力計2は、所定時間間隔で、乾燥炉6の消費電力量を測定する。そこで、電力量記憶部40においては、乾燥炉6の消費電力量は、その電力が消費されたときの時刻の情報とともに、時間の経過に沿って、単位時間あたりの消費電力量が蓄積されている。
【0084】
また、電力計2が計測したのとは、異なる時間間隔で消費電力量を記憶しておいてもよい。例えば、電力計2が1秒間隔で計測した消費電力を、1分間隔で累積して1分ごとの消費電力量を記憶しておいてもよい。
【0085】
温度情報記憶部41は、通信部22が温度計7(生産制御装置3)から取得した層内温度情報d2を記憶するものである。温度情報記憶部41においては、温度計7が検知した時刻の情報とともに、検知された温度がリアルタイムで蓄積されてもよい。あるいは、リアルタイムで蓄積された温度を一定の時間間隔で区切って区間ごとに算出した温度の平均値が蓄積されてもよい。あるいは、温度計7によって一定の時間間隔で検知された温度が蓄積されてもよい。
【0086】
生産パルス記憶部42は、通信部22がパルスカウンタ4から取得した生産パルス信号d3を記憶するものである。生産パルス記憶部42には、センサ12が出力した検知信号がそのまま時間の経過とともに蓄積されてもよい。あるいは、パルスカウンタ4が生産パルス信号d3を分析した結果(例えば、単位時間あたりの「投入ワーク数」など)が蓄積されてもよい。なお、センサ12が出力した生産パルス信号d3がそのまま生産パルス記憶部42に記憶されて、生産管理装置1においてパルスの分析(カウント)が行われてもよい。
【0087】
条件記憶部43は、生産管理装置1が、状態判定処理または電力判別処理を実行するための、判定(判別)条件を記憶するものである。生産管理装置1は、条件記憶部43に記憶されている条件を参照することにより、乾燥炉6の状態を判定したり、電力の仕分けを行ったりすることが可能である。
【0088】
状態判定部30は、生産管理装置1の状態判定処理を実行するものである。本実施形態では、具体的には、温度情報記憶部41に記憶されている層内温度情報d2に基づいて、電力の無駄を抽出するという観点で、乾燥炉6の動作状態を判定するものである。また、本実施形態では、状態判定部30は、層内温度情報d2に加えて、生産パルス記憶部42に記憶されている生産パルス信号d3を参照することにより、乾燥炉6の状態を判定してもよい。より詳細には、状態判定部30は、条件記憶部43に記憶されている判定条件にしたがって、乾燥炉6の層内の温度と、単位時間あたりのワーク投入数とに基づいて、乾燥炉6の状態を判定する。
【0089】
電力判別部31は、生産管理装置1の電力判別処理を実行するものである。本実施形態では、具体的には、電力量記憶部40に蓄積された単位時間あたりの乾燥炉6の消費電力が、無駄に消費された電力か否かを判別する。電力判別部31は、状態判定部30によって判定された、その時々の乾燥炉6の状態に応じて、その時々に乾燥炉6が消費した電力が無駄であったか否かを判別することができる。ここで、無駄でない(必要な)消費電力とは、乾燥炉6がワーク14に対する生産活動に貢献する動作を行っている状態のときに、乾燥炉6によって消費された電力を指す。無駄な消費電力とは、乾燥炉6が生産活動に貢献する動作を行っていない状態のときに、乾燥炉6によって消費された電力を指す。
【0090】
電力判別部31は、条件記憶部43に記憶されている判別条件にしたがって、状態判定部30が判定した乾燥炉6の状態に基づいて、乾燥炉6による消費電力を、無駄か否かという観点で判別する。
【0091】
結果グラフ生成部32は、状態判定部30による状態判定処理の結果、または、電力判別部31による電力判別処理の結果、もしくは、その両方を表す結果グラフを生成するものである。結果グラフ生成部32によって生成された結果グラフは、表示部23に出力される。
【0092】
表示部23に表示された状態判定処理の結果グラフを確認することにより、ユーザは、どの時間帯に乾燥炉6がどのような状態にあったかを容易に確認することができる。さらに、ユーザは、電力判別処理の結果グラフを確認することにより、どの時間帯にどれだけの電力が消費されたのかを確認するとともに、その消費電力が無駄であったか否かを容易に仕分けることが可能となる。
【0093】
データ処理部33は、生産管理装置1の外部から取得された各種データ(消費電力d1、層内温度情報d2、生産パルス信号d3など)、あるいは、記憶部21の各記憶部に記憶されている各種データを処理するものである。
【0094】
上述したとおり、データ処理部33は、電力計2が計測したのとは、異なる時間間隔で消費電力量を累積して記憶してもよい。また、データ処理部33は、温度計7が検知した温度情報から、一定の時間間隔ごとに温度平均値を算出したり、一定の時間間隔で温度情報を抽出したりしてもよい。さらに、データ処理部33は、パルスカウンタ4によってカウントされたパルス数に基づいて、単位時間あたりの投入ワーク数を算出したりしてもよい。あるいは、データ処理部33自身が生産パルス信号d3を分析して、パルス数をカウントしたりしてもよい。
【0095】
このようなデータ処理は、図示しない操作部から入力されたユーザ指示にしたがって実行されてもよいし、予め記憶されているアプリケーションプログラムにしたがって実行されてもよい。
【0096】
〔状態判定条件〕
図3は、条件記憶部43に記憶されている状態判定条件の一例を示す図である。
【0097】
図3に示すとおり、本実施形態では、状態判定条件は、以下のようなデータ構造を有する。すなわち、所定時間帯における乾燥炉6の乾燥層9内の温度の条件と、同じ時間帯のワーク投入数の条件との組合せのそれぞれに対して、想定される乾燥炉6の状態が対応付けて記憶されている。なお、図3に示す状態判定条件のデータ構造は一例であって、本発明における状態判定条件のデータ構造をこれに限定する意図はない。
【0098】
図3に示す例では、生産管理システム100において、ワーク14を生産するための、乾燥層9内の適正温度は、180〜200℃と予め定まっている。
【0099】
これにより、状態判定部30は、図3に示す状態判定条件にしたがって、乾燥炉6の層内の温度と、単位時間あたりのワーク投入数とに基づいて、乾燥炉6の状態を判定することができる。
【0100】
より具体的には、状態判定部30は、所定の時間帯(例えば、9:00〜9:10)に計測された層内温度情報d2を、温度情報記憶部41から取得する。そして、状態判定部30は、同じ時間帯におけるワーク投入数を生産パルス記憶部42から取得する。
【0101】
ここで、例えば、取得した温度情報が、170℃(180℃未満)であって、ワーク投入数が0個(個/分)である場合、状態判定部30は、図3に示す状態判定条件にしたがって、9:00〜9:10の時間帯の乾燥炉6を「0:立ち上げ」の状態であると判定する。
【0102】
「立ち上げ」の状態とは、乾燥炉6(の電気ヒータ8)が稼動してから、乾燥層9内の温度が常温から生産適正温度(180℃)に到達するまでの間の状態を指している。この間の乾燥炉6の状態は、稼動はしているが、まだ生産適正温度に到達していないためワークが投入できない状態である。しかしながら、乾燥炉6を生産適正温度(180℃)に到達させるために必要な状態である。
【0103】
一方、取得した温度情報が生産適正温度(180〜200℃)であって、ワーク投入数が0個(個/分)である場合、状態判定部30は、上記時間帯の乾燥炉6を「1:正常待機」の状態であると判定する。この間の乾燥炉6は、乾燥層9が生産適正温度に到達しているので、生産活動を行うことできるにもかかわらず、ワークが投入されていない(生産していない)状態である。乾燥炉6が生産可能な状態であるにも拘わらず、非生産であるという状態は、生産効率の観点からも、電力の無駄という観点からも少ない方が好ましい。
【0104】
あるいは、取得した温度情報が生産適正温度であって、ワーク投入数が0個より多い場合、状態判定部30は、上記時間帯の乾燥炉6を「4:正常生産」の状態であると判定する。この間、乾燥炉6は、乾燥層9を生産適正温度に維持して、正常にワーク14を生産している状態になる。
【0105】
反対に、乾燥層9の下限値180℃を下回る温度、または、上限値200℃を超える温度でワーク14が生産された場合には、乾燥炉6は「3:異常生産」または「5:異常生産」の状態であると判定される。状態判定部30によってこのように判定されたときの乾燥炉6が生産したワーク14は、不良品として廃棄されることになる。したがって、異常生産の状態は、生産効率の観点からも、電力(およびその他資源)の無駄という観点からもかぎりなくゼロに近いことが好ましい。
【0106】
なお、ワーク投入数が0の時に、乾燥層9の温度が上限値200℃を超えるとき、状態判定部30は、乾燥炉6が「2:異常待機」の状態であると判定する。この間の乾燥炉6は、ワーク14が投入されていないので、不良品を発生させていないが、生産適正温度以上に乾燥層9内の温度が高くなっており、必要以上に資源(電力)を消費している状態であると考えられる。
【0107】
このようにして、状態判定部30は、一定時間区分ごとに、温度情報とワーク投入数とを取得して、乾燥炉6の状態判定処理を実行する。状態判定部30は、温度情報とワーク投入数とに基づいて判定した状態判定処理の結果(状態「0」〜「5」のいずれか)を、電力判別部31に出力する。
【0108】
〔電力判別条件〕
図4は、条件記憶部43に記憶されている電力判別条件の一例を示す図である。
【0109】
図4に示すとおり、本実施形態では、電力判別条件は、以下のようなデータ構造を有する。すなわち、乾燥炉6において想定される(状態判定部30によって判定される)状態のそれぞれに対して、その状態の時に消費される電力が無駄であるか否かを示すフラグが対応付けて記憶されている。また、状態のそれぞれに対して、その状態の時に消費される電力の位置付けを示すラベルが対応付けて記憶されている。さらに、必要な消費ではないと分類されている項目(図4に示す例では、状態「1」、「2」、「3」および「5」)に対して、その無駄がどの程度の無駄であるのかを示す指標(無駄レベル)が対応付けて記憶されていてもよい。なお、図4に示す電力判別条件のデータ構造は一例であって、本発明における電力判別条件のデータ構造をこれに限定する意図はない。
【0110】
これにより、電力判別部31は、図4に示す電力判別条件にしたがって、状態判定部30によって判定された乾燥炉6の状態に基づいて、乾燥炉6における消費電力の無駄を判別することができる。
【0111】
より具体的には、必要消費のフラグは、「○」が必要な電力(無駄でない)を表し、したがって、空欄が無駄な電力を表している。電力判別部31は、乾燥炉6が「0:立ち上げ」状態のときに消費された電力を、無駄でないと判別する。
【0112】
乾燥炉6の「0:立ち上げ」の状態は、上述したとおり、乾燥炉6を生産適正温度(180℃)に到達させるために必要な状態(工程)である。上記の電力判別条件にしたがうことによって、電力判別部31は、乾燥炉6が非生産の状態であっても、立ち上げ時の状態の電力を無駄でないと判別することができる。
【0113】
乾燥炉6の「4:正常生産」の状態は、直接的に生産に貢献しているので、電力判別部31は、この状態のときの消費電力を無駄でないと判別することができる。
【0114】
そして、これ以外の状態のときに消費された電力だけを無駄と判別することができる。
【0115】
電力判別ラベルは、乾燥炉6によって消費された電力を、無駄を抽出するという観点からさらに細分化して仕分けるために付与される。
【0116】
「0:立ち上げ」の状態は、上述したとおり、生産に直接的に貢献はしていないが、生産する上で必要な工程である。この状態のときに消費された電力は、間接的に生産に貢献したという位置付けで「間接生産電力」と判別される。
【0117】
「4:正常生産」の状態は、生産適正温度(180〜200℃)にて生産を行い、正常にワーク14を排出した状態である。この状態のときに消費された電力は、直接的に生産に貢献したという位置付けで「直接生産電力」と判別される。
【0118】
「1:正常待機」および「2:異常待機」の状態は、生産適正温度(180℃)以上に到達しているにもかかわらず、生産を行っていない状態である。この状態のときに消費された電力は、直接的にも間接的にも生産に貢献せず、無駄に消費されたという位置付けで「非生産電力」と判別される。
【0119】
「3:異常生産」および「5:異常生産」の状態は、生産適正温度(180〜200℃)以外のときに生産を行ってしまったために、不良品を排出した状態である。この状態のときに消費された電力は、生産に貢献しなかったばかりか、不良品を排出するという損失に加担したという位置付けで「異常消費電力」と判別される。
【0120】
さらに、状態「1」、「3」よりも、状態「2」、「5」の状態のときの方が、乾燥層9内の温度が200℃を超えて、余分に電力を消費していると考えられる。そして、不良品を排出した状態「3」、「5」の方が、状態「1」、「2」よりも損失が大きいと考えられる。
【0121】
よって、「1:正常待機」の状態の消費電力の無駄レベルを「Lv1」と設定し、「2:異常待機」の無駄レベルを、「1:正常待機」よりも高い「Lv2」と設定してもよい。また、「3:異常生産」の無駄レベルを、「1」、「2」よりも高い「Lv3」と設定してもよいし、「5:異常生産」の無駄レベルを、最も高い「Lv4」と設定してもよい。
【0122】
このようにして、電力判別部31は、一定時間区分ごとに、判定された乾燥炉6の状態に基づいて、消費電力の位置付けを判別する。電力判別部31は、電力判別処理の結果(無駄か否かのフラグ、上述のいずれかのラベル、あるいは、無駄レベルなど)を、結果グラフ生成部32に出力する。
【0123】
〔状態判定処理フロー〕
図5は、状態判定部30が実行する状態判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0124】
まず、状態判定部30は、生産パルス信号d3(あるいは、ワーク投入数)を生産パルス記憶部42から、層内温度情報d2(以下、温度情報)を温度情報記憶部41から取得する(S101およびS102)。ここで取得されたワーク投入数および温度情報のデータは、ある日の9:00〜15:00の間のワーク投入数および温度情報のそれぞれの推移を示すデータであるとする。
【0125】
そして、本実施形態では、状態判定部30は、9:00〜15:00の時間帯を、一定時間間隔(例えば、10分ごと)に区切り、区切った区間ごとに、そのときの乾燥炉6の状態判定を実施する。状態判定部30は、図3に示す状態判定条件にしたがって、判定を以下のとおり実施する。
【0126】
まず、状態判定部30は、取得した区間(例えば、9:00〜9:10)の温度情報が、適正下限値(例えば、180℃)を下回るか否かを判定する(S103)。
【0127】
乾燥層9内の温度が適正下限値を下回る場合(S103においてYES)、状態判定部30は、次に、同じ区間(時間帯)のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S104)。ワーク投入数が0個より多い場合、すなわち、その時間帯にワークが投入されていた場合(S104においてYES)、状態判定部30は、当該時間帯(9:00〜9:10)の乾燥炉6の状態を、「3:異常生産」と判定する(S105)。反対に、ワーク投入数が0個の場合、すなわち、その時間帯にワークが投入されていなかった場合(S104においてNO)、状態判定部30は、上記時間帯の乾燥炉6の状態を、「0:立ち上げ」と判定する(S106)。
【0128】
一方、乾燥層9内の温度が適正下限値以上である場合(S103においてNO)、次に、状態判定部30は、上記区間の温度情報が、生産適正範囲内(180〜200℃)であるか否かを判定する(S107)。
【0129】
乾燥層9内の温度が適正範囲内である場合(S107においてYES)、状態判定部30は、上記区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S108)。ワークが投入されていた場合(S108においてYES)、状態判定部30は、上記区間(9:00〜9:10)の乾燥炉6の状態を、「4:正常生産」と判定する(S109)。反対に、その時間帯にワークが投入されていなかった場合(S108においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「1:正常待機」と判定する(S110)。
【0130】
一方、乾燥層9内の温度が適正範囲内でない場合、すなわち、炉内温度が適正上限値(200℃)を超える場合(S107においてNO)、状態判定部30は、上記区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S111)。ワークが投入されていた場合(S111においてYES)、状態判定部30は、上記区間(9:00〜9:10)の乾燥炉6の状態を、「5:異常生産」と判定する(S112)。反対に、その時間帯にワークが投入されていなかった場合(S111においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「2:異常待機」と判定する(S113)。
【0131】
上記区間について「0」〜「5」のいずれかの状態が判定された後、状態判定が未処理の区間が残っていれば(S114においてNO)、次の区間(例えば、9:10〜9:20)の温度情報とワーク投入数とを取得し、S103〜S113の処理を繰り返す。
【0132】
全区間(9:00〜15:00)について、状態判定が実行されると(S114においてYES)、状態判定部30は、全区間についての状態判定処理の結果を電力判別部31に出力して、状態判定処理を終了する。
【0133】
〔電力判別処理フロー〕
図6は、電力判別部31が実行する電力判別処理の流れを示すフローチャートである。
【0134】
まず、電力判別部31は、状態判定部30が出力した全区間についての状態判定処理の結果を区間ごとに取得する(S201)。そして、電力判別部31は、消費電力d1を電力量記憶部40から取得する(S202)。ここで、状態判定部30による状態判定が10分の区間ごとに行われた場合、これに対応するように、消費電力量を、10分ごとの累積で取得することが好ましい。
【0135】
図6に示す例では、電力判別部31は、図4に示す電力判別条件のうち、必要消費のフラグにしたがって、消費電力の無駄を判別する。
【0136】
電力判別部31は、取得した区間の乾燥炉6の状態が、「0:立ち上げ」または「4:正常生産」である場合(S203においてYES)、電力判別条件にしたがって、その区間の消費電力は必要な消費電力(無駄ではない)と判別する(S204)。一方、取得した区間の乾燥炉6の状態が、「1」〜「3」、または、「5」である場合(S203においてNO)、その区間の消費電力は無駄な消費電力であると判別する(S205)。
【0137】
上記区間について電力判別が行われた後、電力判別が未処理の区間が残っていれば(S206においてNO)、次の区間(例えば、9:10〜9:20)の状態判定処理の結果を取得して、S203〜S205の処理を繰り返す。
【0138】
全区間(9:00〜15:00)について、電力判別が実行されると(S206においてYES)、電力判別部31は、全区間についての電力判別処理の結果を結果グラフ生成部32に出力する。電力判別部31が出力した電力判別処理の結果に基づいて、結果グラフ生成部32が結果グラフを生成し、表示部23に表示して(S207)、電力判別処理が終了する。
【0139】
〔電力判別処理フロー〕
図7は、電力判別部31が実行する他の電力判別処理の流れを示すフローチャートである。
【0140】
図6と同様、まず、電力判別部31は、状態判定部30から、全区間についての状態判定処理の結果を区間ごとに取得し(S301)、電力量記憶部40から、全区間について消費電力量を区間ごとに取得する(S302)。
【0141】
図7に示す例では、電力判別部31は、図4に示す電力判別条件のうち、電力判別のラベルにしたがって、消費電力の位置付けを判別する。
【0142】
電力判別部31は、取得した区間の乾燥炉6の状態が、「0:立ち上げ」である場合(S303においてYES)、電力判別条件にしたがって、その区間の消費電力を、「間接生産電力」と判別する(S304)。そして、乾燥炉6の状態が、「4:正常生産」である場合(S303においてNO、S305においてYES)、電力判別部31は、その区間の消費電力を、「直接生産電力」と判別する(S306)。そして、乾燥炉6の状態が、「1:正常待機」または「2:異常待機」である場合(S303においてNO、S305においてNO、S307においてYES)、電力判別部31は、その区間の消費電力を、「非生産電力」と判別する(S308)。そして、乾燥炉6の状態が、「3:異常生産」または「5:異常生産」である場合(S303においてNO、S305においてNO、S307においてNO)、電力判別部31は、その区間の消費電力を、「異常消費電力」と判別する(S309)。
【0143】
上記区間について電力判別が行われた後、電力判別が未処理の区間が残っていれば(S310においてNO)、次の区間(例えば、9:10〜9:20)の状態判定処理の結果を取得して、S303〜S309の処理を繰り返す。
【0144】
全区間(9:00〜15:00)について、電力判別が実行されると(S310においてYES)、電力判別部31は、全区間についての電力判別処理の結果を結果グラフ生成部32に出力する。電力判別部31が出力した電力判別処理の結果に基づいて、結果グラフ生成部32が結果グラフを生成し、表示部23に表示して(S311)、電力判別処理が終了する。
【0145】
上述の電力判別処理によれば、乾燥炉6の状態に応じて、消費電力の無駄を判別するという観点で、消費電力を正しく判別することができるとともに、その電力判別処理の結果をユーザに分かり易く提示することが可能となる。
【0146】
〔結果グラフ〕
図8は、結果グラフ生成部32によって生成された結果グラフの一例を示す図である。この結果グラフは、結果グラフ生成部32から出力され、表示部23に表示される。
【0147】
図8に示す例では、これに限定されないが、上下に2つの2次元グラフが表示されている。上のグラフは、参考情報としての、生産パルス信号d3に基づくワーク投入数の推移を表すグラフである。下のグラフは、乾燥炉6の消費電力量の推移および消費電力の判別結果を表すグラフ(棒グラフ)である。下のグラフには、乾燥層9内の温度の推移を示すグラフ(折れ線グラフ)をプロットしてもよい。
【0148】
横軸は上下のグラフともに共通で時刻を表している。時刻の表示間隔は、全グラフで共通とすることが好ましい。これにより、時刻の経過と、経過に沿ったすべての値の推移を一目で確認することができ、ユーザにとって利便性が向上する。
【0149】
上のグラフにおいて、縦軸は、1分あたりの投入されたワークの個数を表している。このグラフによれば、ワーク投入数が0個より多くなっている時間帯(10:00〜10:30、10:50〜12:00、12:50〜13:40、13:50〜14:20)が、乾燥炉6が生産活動をしている時間帯となる。
【0150】
下のグラフにおいて、縦軸は、乾燥層9内の温度(℃)、および、消費電力量(kWh/分)を表している。
【0151】
棒グラフにおいて、1本の棒が、10分間の累積消費電力量を表している。例えば、9:00〜9:10に対応する棒が色分けされていることによって、ユーザは、この時間帯に消費された約1.8kWh/分の消費電力は、「間接生産電力」とラベリングされたものと理解できる。さらに、状態判定処理の結果もプロットしてもよい。そうすれば、ユーザは、9:00〜9:10の時間帯において、乾燥炉6の状態は「0:立ち上げ」であったと理解することができる。
【0152】
またある別の区間(10:10〜10:20)では、ワークが投入されているにもかかわらず、乾燥層9内の温度が適正温度に達していない。この区間の棒グラフには、「異常消費電力」を示す色分けが施される。
【0153】
このように、結果グラフを表示部23にすることによって、ユーザは、全区間(9:00〜15:00)における乾燥炉6の状態と、乾燥炉6の消費電力の判別結果を一目で確認することができる。
【0154】
≪実施形態2≫
本発明の他の実施形態について、図9〜14に基づいて説明すると以下の通りである。
【0155】
本実施形態では、乾燥炉6が、生産適正温度の異なる複数の乾燥層9を有している。以下では、上記の場合に対応した、生産管理装置1の状態判定機能、および、電力判別機能について説明する。
【0156】
〔生産管理システムの概要〕
図9は、本発明の一実施形態における生産管理システム200の概要を示す図である。本実施形態における生産管理システム200が、実施形態1の生産管理システム100(図2)と異なる点は、乾燥炉6が、生産適正温度の異なる複数の乾燥層9aと、乾燥層9bとを備えている点である。
【0157】
これに伴って、温度計も、乾燥層9ごとに設けられている。温度計7aは、乾燥層9aの温度を計測し、計測結果のデータとしての第1層内温度情報d2aを生産制御装置3に対して出力する。温度計7bは、乾燥層9bの温度を計測し、第2層内温度情報d2bを生産制御装置3に対して出力する。
【0158】
本実施形態では、一例として、乾燥層9aの生産適正温度は、180〜200℃、乾燥層9bの生産適正温度は、120〜130℃であると予め定められているものとする。
【0159】
〔状態判定条件〕
図10の(a)および(b)は、本実施形態の条件記憶部43に記憶されている状態判定条件の一例を示す図である。
【0160】
図10の(b)に示すとおり、本実施形態では、状態判定条件は、以下のようなデータ構造を有する。すなわち、ワーク投入数の条件と、乾燥層9a内の第1の温度の条件と、乾燥層9b内の第2の温度の条件との組合せのそれぞれに対して、想定される乾燥炉6の状態が対応付けて記憶されている。なお、図10に示す状態判定条件のデータ構造は一例であって、本発明における状態判定条件のデータ構造をこれに限定する意図はない。
【0161】
図10の(b)の状態判定条件にしたがえば、例えば、ある区間において、ワーク投入数が0個で、乾燥層9aの温度が170℃、乾燥層9bの温度が125℃であれば、乾燥層9aが適正温度になるのを、乾燥層9bが待つという状態となるので、状態判定部30は、このような乾燥炉6全体の状態を「01:立ち上げ待ち」と判定することができる。
【0162】
つまり、状態判定部30は、ワークが投入されていない間で、かつ、どちらか一方の乾燥層9だけが適正温度に達していない状態を「立ち上げ待ち」と判定する構成であり、そのように条件が設定されている。また、状態判定部30は、両方の乾燥層9が適正温度以上であれば、「ワーク待ち」と判定する構成であり、そのように条件が設定されている。
【0163】
一方、状態判定部30は、ワークが投入されている間は、どちらか一方でも生産適正温度の外れていたら「異常生産」と判定する構成であり、そのように条件が設定されている。また、状態判定部30は、両方の乾燥層9が適正温度内である場合にだけ「正常生産」と判定する構成であり、そのように条件が設定されている。
【0164】
なお、本実施形態における生産管理装置1の構成は、以下のようにも表現される。
【0165】
すなわち、状態判定部30は、各層単体の状態を判定し、それらの状態の組合せによって、乾燥炉6全体の状態を判定する構成である。
【0166】
状態判定部30は、図10の(a)に示す状態判定条件を参照して、実施形態1と同様にして、まず、各層単体の状態判定を行う。そして、状態判定部30は、2つの層の状態の組合せに基づいて、該組合せに対応する乾燥炉6全体の状態を判定することができる。
【0167】
例えば、実施形態1と同様の手順で、状態判定部30が、1つ目の乾燥層9aの状態を「0:立ち上げ」、2つ目の乾燥層9bの状態を「1:正常待機」と判定したとする。この場合、「0」と「1」とを組み合わせて、乾燥炉6全体の状態を「01:立ち上げ待ち」と判定する。
【0168】
〔電力判別条件〕
図11は、本実施形態の条件記憶部43に記憶されている電力判別条件の一例を示す図である。
【0169】
図11に示すとおり、本実施形態では、電力判別条件は、以下のようなデータ構造を有する。すなわち、乾燥炉6において想定される(状態判定部30によって判定される)状態のそれぞれに対して、その状態の時に消費される電力が無駄であるか否かを示すフラグ(必要消費フラグ)が対応付けて記憶されている。また、状態のそれぞれに対して、その状態の時に消費される電力の位置付けを示すラベル(電力判別ラベル)が対応付けて記憶されている。図示しないが、さらに、必要な消費ではないと分類されている項目(図11の状態「00」と「44」以外)に対して、無駄レベルが対応付けて記憶されていてもよい。なお、図11に示す電力判別条件のデータ構造は一例であって、本発明における電力判別条件のデータ構造をこれに限定する意図はない。
【0170】
これにより、電力判別部31は、図11に示す電力判別条件にしたがって、状態判定部30によって判定された乾燥炉6の状態に基づいて、複数の乾燥層を有する乾燥炉6における消費電力の無駄をより詳細に判別することができる。具体的には以下のとおりである。
【0171】
すべての乾燥層9が適正温度を下回る場合、乾燥炉6は「00:立ち上げ」の状態である。これは、すべての乾燥層9が適正温度に達するまでに必要な工程である。そこで、電力判別部31は、この状態のときに消費された電力を「間接生産電力」と判別する。
【0172】
いずれかの乾燥層9が適正温度に達している一方、別のいずれかの乾燥層9が立ち上げ中である場合、適正温度に達している方の乾燥層9は、立ち上げ中の乾燥層9の準備が完了するまで生産を待たなければならない。このような状態は、「立ち上げ待ち」(状態「01、02、10、20」)と判定される。このときに消費された電力は、一部は、立ち上げのための「間接生産電力」であり、一部は、待機中の「非生産電力」である。そこで、電力判別部31は、この状態のときに消費された電力を「半非生産電力」と判別する。
【0173】
すべての乾燥層9が適正温度以上である場合、各層の立ち上げ期間は完了していると考えられる。立ち上げが完了したのであれば、速やかにワークが投入され生産が開始されるべきである。この状態で、ワークが投入されず生産活動が行われていない状態は、「ワーク待ち」と判定される。電力判別部31は、この状態のときに消費された電力を「非生産電力」と判別する。
【0174】
乾燥層9のいずれか1つでも適正温度範囲外の乾燥層9があれば、正常に生産できず、不良品を排出するおそれがある。この間にワークが投入されている場合は、乾燥炉6の状態は「異常生産」と判定される。そこで、電力判別部31は、この状態のときに消費された電力を「異常消費電力」と判別する。
【0175】
すべての乾燥層9が適正温度範囲内のときにワークが投入されてはじめて正常生産が行われる。この場合、乾燥炉6の状態は「正常生産」と判定される。そこで、電力判別部31は、この状態のときに消費された電力を「直接生産電力」と判別する。
【0176】
〔状態判定処理フロー〕
図12A〜Cは、本実施形態の状態判定部30が実行する状態判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0177】
図12Aに示すとおり、まず、状態判定部30は、生産パルス信号d3(あるいは、ワーク投入数)を生産パルス記憶部42から取得する(S401)。そして、乾燥層9aの第1層内温度情報d2a(以下、温度情報1)、および、乾燥層9bの第2層内温度情報d2b(以下、温度情報2)を温度情報記憶部41から取得する(S402)。ワーク投入数と温度情報とを取得する順番は、入れ替わってもよい。
【0178】
本実施形態では、状態判定部30は、9:00〜10:30の時間帯を、5分ごとに区切り、区切った区間ごとに、そのときの乾燥炉6の状態を判定する。状態判定部30は、図10(a)および(b)に示す状態判定条件にしたがって、判定を以下のように実施する。
【0179】
まず、状態判定部30は、取得した区間の温度情報1が、適正下限値(180℃など)を下回るか否かを判定する(S403)。
【0180】
乾燥層9a内の温度情報1が適正下限値を下回る場合(S403においてYES)、状態判定部30は、次に、同じ区間の温度情報2が、適正下限値(120℃など)を下回るか否かを判定する(S404)。
【0181】
乾燥層9b内の温度情報2が適正下限値を下回る場合(S404においてYES)、状態判定部30は、次に、同じ区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S405)。上記区間(時間帯)にワークが投入されていた(ワーク投入数>0の)場合(S405においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「33:異常生産」と判定する(S406)。反対に、上記区間にワークが投入されていなかった(ワーク投入数=0の)場合(S405においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「00:立ち上げ」と判定する(S407)。
【0182】
一方、乾燥層9b内の温度が適正下限値以上である場合(S404においてNO)、次に、状態判定部30は、上記区間の温度情報2が、生産適正範囲内(120〜130℃)であるか否かを判定する(S408)。
【0183】
乾燥層9b内の温度が適正範囲内である場合(S408においてYES)、状態判定部30は、上記区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S409)。ワークが投入されていた場合(S409においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「34:異常生産」と判定する(S410)。反対に、上記区間にワークが投入されていなかった場合(S409においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「01:立ち上げ待ち」と判定する(S411)。
【0184】
一方、乾燥層9b内の温度が適正範囲内でない場合、すなわち、炉内温度が適正上限値(130℃)を超える場合(S408においてNO)、状態判定部30は、上記区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S412)。ワークが投入されていた場合(S412においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「35:異常生産」と判定する(S413)。反対に、その区間にワークが投入されていなかった場合(S412においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「02:立ち上げ待ち」と判定する(S414)。
【0185】
以上のS404〜S414は、乾燥層9aの温度情報1が下限値を下回る場合の処理の流れである。ここで、S403において、温度情報1が適正下限値以上である場合(S403においてNO)、次に、状態判定部30は、図12Bに示すとおり、温度情報1が適正範囲内(180〜200℃)であるか否かを判定する(S415)。
【0186】
温度情報1が適正範囲内である場合(S415においてYES)、次に、状態判定部30は、乾燥層9bの温度情報2が、適正下限値(120℃)を下回るか否かを判定する(S416)。
【0187】
乾燥層9b内の温度が適正下限値を下回る場合(S416においてYES)、状態判定部30は、次に、同じ区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S417)。その区間にワークが投入されていた(ワーク投入数>0の)場合(S417においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「43:異常生産」と判定する(S418)。反対に、上記区間にワークが投入されていなかった(ワーク投入数=0の)場合(S417においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「10:立ち上げ待ち」と判定する(S419)。
【0188】
一方、乾燥層9b内の温度が適正下限値以上である場合(S416においてNO)、次に、状態判定部30は、上記区間の温度情報2が、生産適正範囲内(120〜130℃)であるか否かを判定する(S420)。
【0189】
乾燥層9b内の温度が適正範囲内である場合(S420においてYES)、状態判定部30は、上記区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S421)。ワークが投入されていた場合(S421においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「44:正常生産」と判定する(S422)。反対に、上記区間にワークが投入されていなかった場合(S421においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「11:ワーク待ち」と判定する(S423)。
【0190】
一方、乾燥層9b内の温度が適正範囲内でない場合、すなわち、炉内温度が適正上限値(130℃)を超える場合(S420においてNO)、状態判定部30は、上記区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S424)。ワークが投入されていた場合(S424においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「45:異常生産」と判定する(S425)。反対に、その区間にワークが投入されていなかった場合(S424においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「12:ワーク待ち」と判定する(S426)。
【0191】
以上のS416〜S426は、乾燥層9aの温度情報1が適正範囲内である場合の処理の流れである。ここで、S415において、温度情報1が適正範囲内でない場合、すなわち、炉内温度が適正上限値(200℃)を超える場合(S415においてNO)、次に、状態判定部30は、図12Cに示すとおり、乾燥層9bの温度情報2が、適正下限値(120℃)を下回るか否かを判定する(S427)。
【0192】
乾燥層9b内の温度情報2が適正下限値を下回る場合(S427においてYES)、状態判定部30は、次に、同じ区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S428)。その区間にワークが投入されていた(ワーク投入数>0の)場合(S428においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「53:異常生産」と判定する(S429)。反対に、上記区間にワークが投入されていなかった(ワーク投入数=0の)場合(S428においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「20:立ち上げ待ち」と判定する(S430)。
【0193】
一方、乾燥層9b内の温度が適正下限値以上である場合(S427においてNO)、次に、状態判定部30は、上記区間の温度情報2が、生産適正範囲内(120〜130℃)であるか否かを判定する(S431)。
【0194】
乾燥層9b内の温度情報2が適正範囲内である場合(S431においてYES)、状態判定部30は、上記区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S432)。ワークが投入されていた場合(S432においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「54:異常生産」と判定する(S433)。反対に、上記区間にワークが投入されていなかった場合(S432においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「21:ワーク待ち」と判定する(S434)。
【0195】
一方、乾燥層9b内の温度情報2が適正範囲内でない場合、すなわち、炉内温度が適正上限値(130℃)を超える場合(S431においてNO)、状態判定部30は、上記区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S435)。ワークが投入されていた場合(S435においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「55:異常生産」と判定する(S436)。反対に、その区間にワークが投入されていなかった場合(S435においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「22:ワーク待ち」と判定する(S437)。
【0196】
以上のS427〜S437は、乾燥層9aの温度情報1が適正上限値を超える場合の処理の流れである。
【0197】
上述のようにして、1つの区間についての乾燥炉6の状態が、図10(b)に示す18通りのうちのいずれかに決定された後、状態判定が未処理の区間が残っていれば(図12AのS438においてNO)、状態判定部30は、次の区間について、S403〜S437の処理を繰り返す。
【0198】
一方、全ての区間について状態判定を完了させた場合は(S438においてYES)、状態判定部30は、全区間についての状態判定の結果を電力判別部31に出力して、状態判定処理を終了する。
【0199】
〔電力判別処理フロー〕
図13は、本実施形態の電力判別部31が実行する電力判別処理の流れを示すフローチャートである。
【0200】
図7と同様、まず、電力判別部31は、状態判定部30から、全区間についての状態判定処理の結果を区間ごとに取得し(S501)、電力量記憶部40から、全区間について消費電力量を区間ごとに取得する(S502)。
【0201】
電力判別部31は、取得した区間(例えば、9:00〜9:05)の乾燥炉6の状態が、「00:立ち上げ」である場合(S503においてYES)、図11に示す電力判別条件にしたがって、その区間の消費電力を、「間接生産電力」と判別する(S504)。あるいは、乾燥炉6の状態が、「44:正常生産」である場合(S503においてNO、S505においてYES)、電力判別部31は、その区間の消費電力を、「直接生産電力」と判別する(S506)。あるいは、上記区間の乾燥炉6の状態が、「立ち上げ待ち」の状態である場合(S503においてNO、S505においてNO、S507においてYES)、電力判別部31は、その区間の消費電力を、「半非生産電力」と判別する(S508)。あるいは、上記区間の乾燥炉6の状態が、「ワーク待ち」の状態である場合(S503においてNO、S505においてNO、S507においてNO、S509においてYES)、電力判別部31は、その区間の消費電力を、「非生産電力」と判別する(S510)。あるいは、上記区間の乾燥炉6の状態が、「異常生産」の状態である場合(S503においてNO、S505においてNO、S507においてNO、S509においてNO)、電力判別部31は、その区間の消費電力を、「異常消費電力」と判別する(S511)。
【0202】
上記区間について電力判別が行われた後、電力判別が未処理の区間が残っていれば(S512においてNO)、次の区間(例えば、9:05〜9:10)の状態判定処理の結果を取得して、S503〜S511の処理を繰り返す。
【0203】
全区間(例えば、9:00〜10:30)について、電力判別が実行されると(S512においてYES)、電力判別部31は、全区間についての電力判別処理の結果を結果グラフ生成部32に出力する。電力判別部31が出力した電力判別処理の結果に基づいて、結果グラフ生成部32が結果グラフを生成し、表示部23に表示して(S513)、電力判別処理が終了する。
【0204】
上述の電力判別処理によれば、乾燥炉6の状態に応じて、消費電力の無駄を判別するという観点で、消費電力を正しく判別することができるとともに、その電力判別処理の結果をユーザに分かり易く提示することが可能となる。さらに、本実施形態にかかる電力判別処理によれば、乾燥炉6に適正温度が異なる複数の乾燥層9がある場合、あるいは、乾燥炉6などの監視対象の生産装置が複数ある場合でも、これらの消費電力の無駄を判別することが可能となる。
【0205】
〔結果グラフ〕
図14は、本実施形態の結果グラフ生成部32によって生成された結果グラフの一例を示す図である。
【0206】
図8と同様に、上段の2次元グラフは、時刻とワーク投入数の推移とを表すグラフである。下段の2次元グラフ(棒グラフ)は、時刻と乾燥炉6の消費電力量の推移とを表すグラフである。さらに、棒グラフは、消費電力の判別結果を表すグラフ(棒グラフ)でもある。また、下段の2次元グラフには、乾燥層9aおよび乾燥層9b内のそれぞれの温度の推移を示すグラフ(折れ線グラフ)をプロットしてもよい。
【0207】
図14に示す結果グラフにおいて、図8のそれと異なる点は、適正温度の異なる複数の乾燥層9ごとに、温度の推移を示す折れ線グラフがプロットされている点である。下段のグラフのうち細い線は、乾燥層9aの温度、太い線は、乾燥層9bの温度を表す。
【0208】
図14に示す結果グラフによれば、使用電力量を表す5分間隔のビンごとに、電力判別ラベルごとに、棒が色分けされて表示されている。これにより、表示部23からこの結果グラフを確認することにより、ユーザは、一目で、使用電力の無駄を確認することができる。
【0209】
例えば、電源が投入されてから、各乾燥層9が適正温度に達しない間(9:00〜9:20の時間帯)は、乾燥炉6は「立ち上げ」状態であり、このときに消費された電力は、「間接生産電力」であることが分かる。
【0210】
また、乾燥層9bが適正温度に達してから、乾燥層9aが適正温度に達するまでの間(9:20〜9:35の時間帯)は、乾燥層9bが、乾燥層9aの立ち上がりを待つという「立ち上げ待ち」状態である。この間、乾燥層9bのために消費された電力は無駄になる。よって、「半非生産電力」は、少なければ少ないほどよい。すなわち、9:20〜9:35の時間帯は、短ければ短いほどよい。図14の結果グラフをみれば、ユーザは、15分早く乾燥層9aを立ち上げることで、この「立ち上げ待ち」状態の期間を短く(あるいはゼロに)することができると即時に判断することが可能である。このように、結果グラフ生成部32が生成する結果グラフは、ユーザに対して、現行の生産管理システムの問題点、改善点を分かりやすく提示することに大きく貢献する。
【0211】
〔変形例〕
図15は、監視する温度のゆらぎと、温度適正範囲を特定するための閾値(管理温度)との関係を示すグラフである。
【0212】
例えば、上述の各実施形態において、温度計7(温度計7a、b)で計測される温度が極端に短い間隔(例えば、数秒、0.数秒など)で大きく変化する場合、短い期間に、炉内の温度が、閾値を超えたか否かが目まぐるしく変化してしまう。このように、極端に短い間隔に併せて、状態判定処理と電力判別処理とを行うと、生産管理装置1の処理負荷が増大し、結果を導出するための処理効率が著しく低下するという問題がある。また、特定の時点を間引きしてピックアップし状態判定処理と電力判別処理とを行うと、その時点は、周囲の時点と比べてたまたま温度が低すぎた(高すぎた)可能性もあり、正しい結果を導出できないという問題がある。
【0213】
例えば、特に、炉内の温度が閾値(管理温度)付近で、推移する期間(T1〜T5)は、
T1〜T2、T2〜T3、T3〜T4、T4〜T5という極端に短い期間で、交互に、乾燥炉6の状況が変化するため、処理効率や処理の正確性に問題が発生するおそれがある。
【0214】
そこで、生産管理装置1のデータ処理部33は、比較的長めの一定の期間ごとにその区間の温度平均値を求め、それらをプロットした点を通る折れ線(あるいは、図15に示すように近似曲線(グレー太線))を導出して、これを、温度情報記憶部41に記憶してもよい。
【0215】
これにより、状態判定部30の処理が簡素化され、状態判定部30は、状態判定処理を低負荷で効率よく実施することが可能となる。
【0216】
〔変形例2〕
上述の各実施形態では、状態判定部30は、層内温度情報d2から得られる情報として、層内の温度のみを考慮して、状態判定処理を実施する構成であった。しかし、本発明の状態判定部30の構成は、これに限定されない。
【0217】
層内温度情報d2を統計処理して得られる他の情報を考慮して、状態判定処理を実施する構成であってもよい。
【0218】
例えば、上述の生産管理システム100(200)において、乾燥炉6の乾燥層9が立ち上げの状態にあるときには、層内の温度が短期間で急激に上昇する傾向がある。この傾向を考慮して状態判定条件を定めれば、状態判定部30は、温度上昇率に応じて、乾燥炉6が立ち上げ状態か否かを判断することができる。
【0219】
(状態判定条件)
図16は、本変形例において、生産管理装置1の条件記憶部43に記憶される状態判定条件の一例を示す図である。図16に示す例では、乾燥炉6は、1層である場合を想定しているが、乾燥炉6が複数層を有する場合に本変形例を適用してもよい。
【0220】
図16に示すとおり、状態判定条件は、以下のようなデータ構造を有していてもよい。すなわち、(1)所定時間帯における乾燥層9内の温度の条件と、(2)ワーク投入数の条件と、さらに、(3)直前の時間帯の温度と比較して、上記所定時間帯の温度上昇幅の条件との組合せのそれぞれに対して、想定される乾燥炉6の状態が対応付けて記憶されている。
【0221】
なお、状態判定部30は、温度上昇が2.0℃以上ある条件下では、(1)の温度の条件を参照せずに、(2)ワーク投入数の条件との組合せだけで、乾燥炉6の状態を判定できる構成でもよい。したがって、図16に示す例では、状態判定条件は、(2)ワーク投入数の条件と、(3)温度上昇の条件との組合せを、「状態」に対応付けておく構造となっている。
【0222】
具体的には、温度上昇が2.0℃以上ある条件下では、ワークが投入されていない条件には、「ア:立ち上げ」の状態が関連付けて記憶されている。反対に、ワークが投入されている条件では、生産中に急激な温度上昇が発生するのは異常であるとして「イ:異常生産」の状態が関連付けて記憶されている。
【0223】
図16に示すとおり、温度上昇が2.0℃未満で、層内温度が安定している条件下では、ワークが投入されているか否か、および、層内温度が適正範囲内か否かに応じて、「ウ:正常待機」、「エ:異常待機」、「オ:正常生産」、「カ:異常生産」の状態がそれぞれ関連付けて記憶されている。
【0224】
上述の状態判定条件に従えば、状態判定部30は、温度上昇と、生産パルスと、温度とに基づいて、生産パルスのみに依らずに、乾燥炉6の状態を正しく判定することが可能となる。
【0225】
(電力判別条件)
図17は、本変形例において、生産管理装置1の条件記憶部43に記憶される電力判別条件の一例を示す図である。
【0226】
図17に示すとおり、電力判別条件は、状態判定部30が図17に示す状態判定条件にしたがって判定する「状態」のそれぞれに対応付けて、必要消費フラグ、および、電力判別ラベルが記憶されているデータ構造となっている。
【0227】
なお、図示していないが、図4に示す例と同様に、さらに、無駄レベルが対応付けて記憶されていてもよい。
【0228】
これにより、電力判別部31は、図17に示す電力判別条件にしたがって、状態判定部30によって判定された乾燥炉6の状態に基づいて、乾燥炉6における消費電力の無駄を判別することができる。
【0229】
(状態判定および電力判別処理フロー)
図18は、状態判定部30が実行する状態判定処理および電力判別部31が実行する電力判別処理の流れを示すフローチャートである。
【0230】
まず、状態判定部30は、生産パルス信号d3(あるいは、ワーク投入数)を生産パルス記憶部42から、層内温度情報d2(以下、温度情報)を温度情報記憶部41から取得する(S601およびS602)。
【0231】
そして、状態判定部30および電力判別部31は、取得した情報の全体の時間帯を、一定時間間隔(例えば、5分、10分など)に区切り、区切った区間ごとに、そのときの乾燥炉6の状態判定および電力判別を実施する。状態判定部30は、図16に示す状態判定条件にしたがって、また、電力判別部31は、図17に示す電力判別条件にしたがって、判定および判別を以下のとおり実施する。
【0232】
まず、状態判定部30は、取得した区間の直前の区間の温度情報(これが初回の場合には、例えば、0℃あるいはその設備の常温)と、取得した区間の温度情報とを比較する(S603)。
【0233】
そして、温度上昇幅ΔTが2.0℃以上であるか否かを判定する(S604)。
【0234】
乾燥層9内の温度上昇が2.0℃以上である場合(S604においてYES)、状態判定部30は、次に、取得した区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S605)。上記区間にワークが投入されていた(ワーク投入数>0の)場合(S605においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「イ:異常生産」と判定する(S606)。そして、電力判別部31は、S606で判定された状態判定の結果に基づいて、上記区間の乾燥炉6の消費電力を「異常消費電力」と判別する(S607)。反対に、ワークが投入されていなかった(ワーク投入数=0の)場合(S605においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「ア:立ち上げ」と判定する(S608)。そして、電力判別部31は、S608で判定された結果に基づいて、上記区間の消費電力を「間接生産電力」と判別する(S609)。
【0235】
一方、乾燥層9内の温度上昇幅ΔTが2.0℃未満である場合(S604においてNO)、次に、状態判定部30は、上記区間の温度情報が、生産適正範囲内(180〜200℃)であるか否かを判定する(S610)。
【0236】
乾燥層9内の温度が適正範囲内である場合(S610においてYES)、状態判定部30は、上記区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S611)。ワークが投入されていた場合(S611においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「オ:正常生産」と判定する(S612)。そして、電力判別部31は、S612での状態判定の結果に基づいて、上記区間の消費電力を「直接生産電力」と判別する(S613)。反対に、上記区間にワークが投入されていなかった場合(S611においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「ウ:正常待機」と判定する(S614)。そして、電力判別部31は、S614での状態判定の結果に基づいて、上記区間の消費電力を「非生産電力」と判別する(S615)。
【0237】
一方、乾燥層9内の温度が適正範囲内でない場合、すなわち、炉内温度が適正下限値(180℃)を下回るか、あるいは、適正上限値(200℃)を超える場合(S610においてNO)、状態判定部30は、上記区間のワーク投入数が、0個か0個より多いかを判定する(S616)。ワークが投入されていた場合(S6116においてYES)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「カ:異常生産」と判定する(S617)。そして、電力判別部31は、S617での状態判定の結果に基づいて、上記区間の消費電力を「異常消費電力」と判別する(S618)。反対に、上記区間にワークが投入されていなかった場合(S616においてNO)、状態判定部30は、上記区間の乾燥炉6の状態を、「エ:異常待機」と判定する(S619)。そして、電力判別部31は、S619での状態判定の結果に基づいて、上記区間の消費電力を「非生産電力」と判別する(S620)。
【0238】
上記区間について「ア」〜「カ」のいずれかの状態と判定され、また、電力判別が行われた後、状態判定および電力判定が未処理の区間が残っていれば(S621においてNO)、次の区間の温度情報とワーク投入数とを取得し、S603〜S620の処理を繰り返す。
【0239】
全区間について、状態判定が実行されると(S621においてYES)、状態判定部30は、全区間についての状態判定処理の結果を、電力判別部31は、全区間についての電力判別処理の結果を結果グラフ生成部32に出力する。結果グラフ生成部32は、状態判定処理の結果および電力判別処理の結果に基づいて、結果グラフを生成し、表示部23に表示する(S622)。これにより、状態判定処理および電力判別処理が終了する。
【0240】
以上の方法によれば、生産管理装置1は、1つの層内温度情報d2から、「温度」に加えて、その温度の情報を統計処理することによって得られた「温度の上昇幅」という2つのパラメータを抽出して、乾燥炉6の状態判定を行うことが可能となる。
【0241】
〔変形例3〕
上述の各実施形態では、センサ12が乾燥炉6に投入されるワーク数を監視することにより取得した生産パルスに基づいて、状態判定部30が乾燥炉6の生産/非生産を判定し、この生産/非生産の情報を参考にして、状態判定処理を実施する構成であった。しかし、本発明の状態判定部30の構成は、これに限定されない。
【0242】
センサ12に、ワーク投入数以外の別の動きを監視させて、上述とは別の方法で生産/非生産を判定してもよい。
【0243】
(生産管理システムの概要)
図19は、本発明の他の実施形態における生産管理システム300の概要を示す図である。
【0244】
図19に示すとおり、乾燥炉6は、投入口および排出口を兼ねた扉で構成された投入口10を有している。生産管理システム300においては、ワーク14は、投入口10から出し入れされる(投入前ワーク14a、排出後ワーク14eなど)。この出し入れは、機械によって自動で行われてもよいし、人手によって行われてもよい。
【0245】
そして、乾燥炉6は、ワーク14の生産のために稼動するときのみ扉(投入口10)が閉められる構成である。つまり、ワーク14の排出および投入が完了して、生産対象のワーク14b〜dが乾燥層9内に配置されると、投入口10が閉められて、はじめて電気ヒータ8が稼動する。乾燥が完了してワーク14を取り出すときは、電気ヒータ8が非稼動となり、それから、投入口10が開かれる。すなわち、投入口10が閉まっているときは乾燥炉6は生産中、投入口10が開いているときは非生産中と考えることができる。
【0246】
そこで、例えば、本変形例では、センサ12を、ワーク14を出し入れするための扉(投入口10)の開閉を検知するセンサとして構成することができる。
【0247】
そして、センサ12は、扉が閉まっている状態を検知して、この状態を閉信号(例えば、ON信号)、そして、扉が開いている状態をOFF信号で表した生産パルス信号d3をパルスカウンタ4に出力する。
【0248】
パルスカウンタ4は、センサ12から取得したON/OFF信号(生産パルス信号d3)と時刻情報とを関連付けて生産管理装置1に供給する。なお、生産管理装置1がパルスカウンタ4の機能を備えている場合には、生産管理装置1がセンサ12から直接生産パルス信号d3を取得してもよい。
【0249】
(状態判定条件)
図20は、本変形例において、生産管理装置1の条件記憶部43に記憶される状態判定条件の一例を示す図である。
【0250】
図20に示すとおり、状態判定条件は、(1)所定時間帯における乾燥炉6の扉の開閉の条件と、(2)所定時間帯における乾燥層9内の温度の条件との組合せのそれぞれに対して、想定される乾燥炉6の状態が対応付けて記憶されている。
【0251】
なお、扉が開いている条件下では、上述のとおり、ワークの出し入れ待ち(非生産)の状態であることが確定している。そのため、扉が開いている条件下では、温度の条件を参照せずとも、一意に、乾燥炉6の状態を「待機」と判定できる構成でもよい。したがって、図20に示す例では、状態判定条件は、「扉:開」の条件に対しては、「キ:待機」の状態に対応付けておく構造となっている。
【0252】
そして、扉が閉まっている条件下では、乾燥炉6の乾燥層9内にはワーク14が投入されており、電気ヒータ8が稼動している状態であることが確定している。そこで、状態判定条件は、「扉:閉」の条件と、「温度情報が適正下限値を下回る」という条件との組合せに対しては、「ク:立ち上げ」の状態を対応付けておく構造となっている。また、「温度情報が適正範囲内」という条件との組合せに対しては、「ケ:正常生産」の状態を対応付けておく構造となっている。また、「適正上限値を超える」という条件との組合せに対しては、「コ:異常生産」を対応付けておく構造となっている。
【0253】
(電力判別条件)
図21は、本変形例において、生産管理装置1の条件記憶部43に記憶される電力判別条件の一例を示す図である。
【0254】
図21に示すとおり、電力判別条件は、状態判定部30が図20に示す状態判定条件にしたがって判定する「状態」のそれぞれに対応付けて、必要消費フラグ、および、電力判別ラベルが記憶されているデータ構造となっている。
【0255】
なお、図示していないが、図4に示す例と同様に、さらに、無駄レベルが対応付けて記憶されていてもよい。
【0256】
これにより、電力判別部31は、図21に示す電力判別条件にしたがって、状態判定部30によって判定された乾燥炉6の状態に基づいて、乾燥炉6における消費電力の無駄を判別することができる。
【0257】
具体的には、電力判別部31は、「キ:待機」の状態の乾燥炉6によって消費された電力を、「非生産電力」と判別し、「ク:立ち上げ」の状態の乾燥炉6によって消費された電力を、「間接生産電力」と判別し、「ケ:正常生産」の状態の乾燥炉6によって消費された電力を、「直接生産電力」と判別し、「コ:異常生産」の状態の乾燥炉6によって消費された電力を、「異常消費電力」と判別する。
【0258】
〔変形例4〕
上述の各実施形態では、乾燥炉6の乾燥層9内に温度計7を設けて、乾燥層9内の温度情報をに応じて、状態判定部30が乾燥炉6の状態を判定する構成であった。しかし、状態判定部30の構成は、これに限定されない。
【0259】
本発明の生産管理装置1は、乾燥炉6に限らずあらゆる生産装置の資源の消費を監視して無駄を抽出することが可能である。つまり、生産装置が、消費資源(電力、ガス、水道、ガソリンなど)を消費したことにより、環境変化物理量(温度、気圧、蒸気圧、圧力、湿度、酸素飽和度、その他特定物質の密度などの生産環境)を変化させて、物を生産するという性質のものであれば、本発明の生産管理装置1は、上記生産装置の環境変化物理量を監視して資源の消費の無駄を判別することができる。
【0260】
本発明の他の例として、本変形例では、一定の蒸気圧(と高温)によってワーク(食料品、医療器具など)の殺菌や滅菌を行う殺菌滅菌装置を監視する生産管理装置1の例について説明する。
【0261】
(生産管理システムの概要)
図22は、本発明の他の実施形態における生産管理システム400の概要を示す図である。
【0262】
図22に示すとおり、生産管理システム400は、生産装置として、乾燥炉6の代わりに殺菌滅菌装置6aを含む構成である。
【0263】
殺菌滅菌装置6aは、ワークに付着する雑菌などを滅菌あるいは殺菌するための生産装置である。殺菌滅菌装置6aは、圧力計7cと、電気ヒータ8cと、殺菌滅菌槽9cと、操作ボタン部16とを備える構成である。
【0264】
殺菌滅菌槽9cは、高温の水蒸気を充満させる空間を提供するものであり、耐熱および断熱材で構成される。殺菌滅菌槽9cは、水蒸気を通過させる耐熱性の仕切り15を有し、仕切り15の下部空間に水を張り、仕切り15の上部空間へと高温の水蒸気を送り込むようになっている。仕切り15の上部空間には、ワーク14が配置され、上部空間に充満する高温の水蒸気によって滅菌(あるいは殺菌)作業が施される。なお、ここでは図示しないが、上部空間に薬剤等を散布するためのスプリンクラーが殺菌滅菌槽9c内に設けられていてもよい。
【0265】
電気ヒータ8cは、殺菌滅菌槽9cの下部空間に張られた水を高温で温めて蒸発させるものである。
【0266】
圧力計7cは、殺菌滅菌槽9c内部の圧力(蒸気圧)を計測するものである。圧力計7cが計測した、蒸気圧情報d2cは、生産制御装置3に出力され、生産制御装置3から生産管理装置1に供給される。なお、本変形例では、滅菌作業中における殺菌滅菌槽9c内の適正蒸気圧範囲は、Xl〜Xu(kPa)と定められているものとする。蒸気圧情報d2cは、圧力計7cから直接生産管理装置1に供給されてもよい。
【0267】
操作ボタン部16は、殺菌滅菌装置6aを操作するための複数のボタンで構成される。操作ボタン部16は、少なくとも、滅菌(殺菌)作業の開始を指示するための開始ボタン16aが含まれている。
【0268】
生産の流れは以下のとおりである。まず、ワーク14を殺菌滅菌槽9c内に配置するまえに、殺菌滅菌装置6aの電気ヒータ8cを稼動させて、殺菌滅菌槽9c内を所定の蒸気圧(および温度)まで到達させる。そして、殺菌滅菌槽9cが適正蒸気圧に達すると、ワーク14が待機位置から殺菌滅菌槽9c内に自動で配置される。ここまでの状態を「立ち上げ」と捉えることができる。
【0269】
続いて、滅菌作業が可能な条件が整ったことを確認して、作業者が、開始ボタン16aを押下する。これにより、「生産」が開始される。つまり、開始ボタン16aが押下されると、生産制御装置3は、時間の計測を開始し、圧力計7cを監視し、電気ヒータ8cを制御して、殺菌滅菌槽9c内を予め定められた蒸気圧で維持し、これを、所定の時間継続させる。この状態を、殺菌滅菌装置6aにおける滅菌作業中、すなわち、「生産」と捉えることができる。
【0270】
また、所定の時間が経過すると、生産制御装置3は、殺菌滅菌装置6aを制御して、電気ヒータ8cを非稼動にし、生産完了のワーク14の排出(ワーク14cからワーク14dへ)と、待機中のワーク14bの殺菌滅菌槽9c内への配置とを実施する。この間、作業者は、投入前のワーク14aを、殺菌滅菌装置6a内の待機場所に投入する作業を行ってもよい。
【0271】
このように、人手または機械によって、ワーク14の投入または排出の作業が行われている状態を、滅菌準備中、すなわち、「非生産」と捉えることができる。
【0272】
なお、操作ボタン部16は、さらに、滅菌作業中でも殺菌滅菌装置6aを緊急停止させることができるように緊急停止ボタン16bを備えていてもよい。
【0273】
操作ボタン部16は、パルスカウンタ4と接続されており、作業者のボタン操作による各ボタンの押下状況を生産パルス信号d3としてパルスカウンタ4に出力する。本変形例では、操作ボタン部16は、開始ボタン16aが押下されて所定時間滅菌作業が継続している間をON信号、所定時間が経過してワーク14の投入、排出が行われている間または緊急停止している間をOFF信号として表す生産パルス信号d3をパルスカウンタ4に対して出力する。
【0274】
(状態判定条件)
図23は、本変形例において、生産管理装置1の条件記憶部43に記憶される状態判定条件の一例を示す図である。
【0275】
図23に示すとおり、状態判定条件は、(1)所定時間帯において殺菌滅菌装置6aが滅菌作業中か否かの条件と、(2)所定時間帯における殺菌滅菌槽9c内の蒸気圧の条件との組合せのそれぞれに対して、想定される殺菌滅菌装置6aの状態が対応付けて記憶されている。
【0276】
なお、滅菌作業中の条件下では、殺菌滅菌槽9c内は蒸気圧が適正範囲内であることが確定している。殺菌滅菌槽9c内が適正範囲内でなければ開始ボタン16aは押せない構成となっており、滅菌作業期間は比較的短い時間帯であるので、一度、蒸気圧が適正範囲内で安定したら、短期間で蒸気圧が大幅にゆらぐことはないからである。そのため、滅菌作業中(ON信号)の条件下では、圧力情報の条件を参照せずとも、一意に、殺菌滅菌装置6aの状態を正常生産と判定できる構成でもよい。したがって、図23に示す例では、状態判定条件は、「信号:ON(滅菌作業中)」の条件に対しては、「セ:正常生産」の状態に対応付けておく構造となっている。
【0277】
そして、滅菌準備中(OFF信号)の条件下では、立ち上げ、ワーク14の投入などが実施されている。そこで、状態判定条件は、「信号:OFF(滅菌準備中)」の条件と、「圧力情報が適正下限値を下回る」という条件との組合せに対しては、「サ:立ち上げ」の状態を対応付けておく構造となっている。また、「圧力情報が適正範囲内」という条件との組合せに対しては、「シ:正常待機」の状態を対応付けておく構造となっている。また、「適正上限値を超える」という条件との組合せに対しては、「ス:異常待機」を対応付けておく構造となっている。
【0278】
(電力判別条件)
図24は、本変形例において、生産管理装置1の条件記憶部43に記憶される電力判別条件の一例を示す図である。
【0279】
図24に示すとおり、電力判別条件は、状態判定部30が図23に示す状態判定条件にしたがって判定する「状態」のそれぞれに対応付けて、必要消費フラグ、および、電力判別ラベルが記憶されているデータ構造となっている。
【0280】
なお、図示していないが、図4に示す例と同様に、さらに、無駄レベルが対応付けて記憶されていてもよい。
【0281】
これにより、電力判別部31は、図23に示す電力判別条件にしたがって、状態判定部30によって判定された殺菌滅菌装置6aの状態に基づいて、殺菌滅菌装置6aにおける消費電力の無駄を判別することができる。
【0282】
具体的には、電力判別部31は、「サ:立ち上げ」の状態の殺菌滅菌装置6aによって消費された電力を、「間接生産電力」と判別し、「シ:正常待機」の状態の殺菌滅菌装置6aによって消費された電力を、「非生産電力」と判別し、「ス:異常待機」の状態の殺菌滅菌装置6aによって消費された電力を、「非生産電力」と判別し、「セ:正常生産」の状態の殺菌滅菌装置6aによって消費された電力を、「直接生産電力」と判別する。
【0283】
(結果グラフ)
図25は、結果グラフ生成部32によって生成された結果グラフの一例を示す図である。
【0284】
図25に示すとおり、一例として、結果グラフ生成部32は、表示部23に対して2つの2次元グラフを出力することができる。上段、下段の2つのグラフの横軸は、時刻の経過を表しており、時刻も尺度も共通である。
【0285】
上段の2次元グラフは、滅菌作業の発生とその発生時間帯とを表すグラフである。信号がONの時間帯が、滅菌作業中(生産)を表し、OFFの時間帯が滅菌準備中(非生産)を表している。
【0286】
下段の2次元グラフ(棒グラフ)は、時刻と殺菌滅菌装置6aの消費電力量の推移とを表すグラフである。さらに、棒グラフは、消費電力の判別結果を表すグラフ(棒グラフ)でもある。また、下段の2次元グラフには、殺菌滅菌槽9c内の蒸気圧の推移を示すグラフ(折れ線グラフあるいは近似曲線のグラフ)をプロットしてもよい。
【0287】
生産管理システム400では、滅菌作業を実施する前に、まず、殺菌滅菌槽9cの立ち上げ(蒸気圧を適正範囲に到達させる)ことを行う。この「立ち上げ」の状態は、生産パルスがOFFであって、蒸気圧が適正下限値Xlを下回る区間にみられる。この区間に消費された電力の棒グラフは、「間接生産電力」のラベル(色づけ)が付与されている。続いて、殺菌滅菌装置6a内で待機させていたワーク14を、殺菌滅菌槽9cの適切な位置へ配置するなどの滅菌準備を実施しなければならない。この「待機」の状態は、生産パルスがOFFであって、蒸気圧が適正下限値Xl以上の区間に見られる。この区間に消費された電力の棒グラフは、「非生産電力」のラベル(色づけ)が付与されている。ここで、ワーク14の配置が完了し、作業者が開始ボタン16aを押下すると、殺菌滅菌装置6aは、滅菌作業を開始する。この区間に消費された電力の棒グラフは、「直接生産電力」のラベル(色づけ)が付与されている。所定の時間が経過すると、滅菌作業が終了し、殺菌滅菌槽9cからワーク14が取り出される。本実施形態では、このワーク取り出しのための殺菌滅菌槽9cの開放時間帯に、一時的に蒸気圧が下限値より下まで低下する環境となっている。このため、ワークの取り出しが完了すると、次のワークを投入する前に、滅菌作業のための立ち上げが再び開始される。以上の生産サイクルを繰り返す。
【0288】
図25に示す結果グラフによれば、使用電力量を表す棒グラフに、電力判別ラベルと対応する色分けが施されて表示される。これにより、表示部23からこの結果グラフを確認することにより、ユーザは、一目で、使用電力の無駄を確認することができる。
【0289】
また、結果グラフを用いれば、以下のような分析を行って、無駄の削減を実施することが可能である。例えば、「立ち上げ」および「正常生産」の時間帯は、ばらつきがなく常に一定である。これは、誰がどのように行っても、大抵これくらいの時間は必要であるというように理解できる。一方、「待機(滅菌準備中)」の期間には、ばらつきがある。そして、この待機の時間(具体的には、前のワークが取り出されてから、次のワークの滅菌作業の準備が整うまでの時間)が長くなればなるほど、電力の無駄が発生することが分かる。
【0290】
よって、この生産管理システム400において、もっとも効果的に電力の無駄を削減するためには、「待機(滅菌準備中)」の期間に注目して、作業内容を見直し、改善を行えばよいことが容易に理解される。
【0291】
このように、結果グラフ生成部32が生成する結果グラフは、ユーザに対して、現行の生産管理システムの問題点、改善点を分かりやすく提示することに大きく貢献する。
【0292】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0293】
最後に、生産管理装置1の各ブロック、特に、状態判定部30、電力判別部31、結果グラフ生成部32、および、データ処理部33は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0294】
すなわち、生産管理装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである生産管理装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記生産管理装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0295】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0296】
また、生産管理装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0297】
本発明は、資源を消費して生産を行う生産装置が稼動して変化させる環境変化物理量を計測し、当該生産装置が消費する消費物理量の無駄を判別するのに用いられる。具体的には、例えば、本発明の生産管理装置は、生産装置としての乾燥炉、殺菌滅菌装置、洗浄機、コンプレッサ、冷却装置、あるいは、他の数値制御工作機械(NC;Numeral Controlマシン)などが稼動して、環境変化物理量として、温度、気圧、蒸気圧、圧力、湿度、酸素飽和度、その他特定物質の密度などの物理量を変化させる場合にその物理量(変化量)計測し、当該生産装置が消費する消費物理量(電力、水道、ガス、ガソリンなどの物理量)の消費の無駄を判別することができる。
【符号の説明】
【0298】
1 生産管理装置
2 電力計(消費物理量取得手段/消費物理量計測部)
3 生産制御装置(環境変化物理量取得手段)
4 パルスカウンタ
5 電源
6 乾燥炉(生産装置)
6a 殺菌滅菌装置(生産装置)
7 温度計(環境変化物理量取得手段/環境変化物理量計測部)
7a 温度計(環境変化物理量取得手段/環境変化物理量計測部)
7b 温度計(環境変化物理量取得手段/環境変化物理量計測部)
7c 圧力計(環境変化物理量取得手段/環境変化物理量計測部)
8 電気ヒータ
8c 電気ヒータ
9 乾燥層
9a 乾燥層
9b 乾燥層
9c 殺菌滅菌槽
10 投入口
11 排出口
12 センサ(検知部)
13 ローラコンベア
14a〜e ワーク(作業対象物)
15 仕切り
16 操作ボタン部
16a 開始ボタン
16b 緊急停止ボタン
20 制御部
21 記憶部
22 通信部
23 表示部
30 状態判定部(環境変化物理量取得手段/消費物理量取得手段/状態判定手段)
31 電力判別部(資源判別手段)
32 結果グラフ生成部
33 データ処理部
40 電力量記憶部
41 温度情報記憶部
42 生産パルス記憶部
43 条件記憶部
100 生産管理システム
200 生産管理システム
300 生産管理システム
400 生産管理システム
d1 消費電力
d2 層内温度情報
d2a 第1層内温度情報
d2b 第2層内温度情報
d2c 蒸気圧情報
d3 生産パルス信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資源を消費することにより生産環境の物理量を変化させて生産を行う生産装置の状態を監視する生産管理装置において、
上記生産装置が上記資源を消費することにより変化させた生産環境の物理量を環境変化物理量として取得する環境変化物理量取得手段と、
上記環境変化物理量取得手段が取得した環境変化物理量に応じて、上記生産装置の状態を判定する状態判定手段とを備えていることを特徴とする生産管理装置。
【請求項2】
上記状態判定手段は、
上記生産装置が資源の消費を開始してから、該生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達するまでの期間における、該生産装置の状態を、正常な生産行動のために必要な状態を意味する立ち上げ状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載の生産管理装置。
【請求項3】
上記生産装置が消費する資源の物理量を消費物理量として取得する消費物理量取得手段と、
上記状態判定手段が判定した状態に応じて、上記生産装置が該状態であった期間に消費した上記資源の消費物理量が、無駄に消費されたものか否かを判別する資源判別手段とを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の生産管理装置。
【請求項4】
上記状態判定手段が、
上記生産装置が資源の消費を開始してから、該生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達するまでの期間における、該生産装置の状態を、正常な生産行動のために必要な状態を意味する立ち上げ状態であると判定した場合に、
上記資源判別手段は、
上記生産装置が立ち上げ状態である期間に消費した上記資源の消費物理量を、無駄に消費されたものではないと判別することを特徴とする請求項3に記載の生産管理装置。
【請求項5】
上記生産装置が、生産環境の物理量を変化させて作業対象物に対して生産行動を実施しているか否かを検知する検知部を備え、
上記状態判定手段は、
上記生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達してから、上記検知部が上記生産行動の実施を検知するまでの期間における、該生産装置の状態を、生産行動を実施できるにもかかわらず生産を行っていない不要な状態を意味する待機状態であると判定することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の生産管理装置。
【請求項6】
上記生産装置が消費する資源の物理量を消費物理量として取得する消費物理量取得手段と、
上記状態判定手段が判定した状態に応じて、上記生産装置が該状態であった期間に消費した上記資源の消費物理量が、無駄に消費されたものか否かを判別する資源判別手段とを備え、
上記状態判定手段が、上記生産装置の状態を、上記待機状態であると判定した場合に、
上記資源判別手段は、
上記生産装置が待機状態である期間に消費した上記資源の消費物理量を、無駄に消費されたものであると判別することを特徴とする請求項5に記載の生産管理装置。
【請求項7】
上記状態判定手段は、
上記生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達している期間であって、上記検知部が上記生産行動の実施を検知している期間における、該生産装置の状態を、生産を行っている必要な状態を意味する生産状態であると判定することを特徴とする請求項5に記載の生産管理装置。
【請求項8】
上記状態判定手段が判定した状態に応じて、上記生産装置が該状態であった期間に消費した上記資源の消費物理量が、無駄に消費されたものか否かを判別する資源判別手段を備え、
上記状態判定手段は、
上記生産装置が資源の消費を開始してから、該生産装置が変化させる上記環境変化物理量が生産適正範囲に到達するまでの期間における、該生産装置の状態を、正常な生産行動のために必要な状態を意味する立ち上げ状態であると判定し、
上記資源判別手段は、
上記生産装置が立ち上げ状態である期間に消費した上記資源の消費物理量を、間接的に生産に貢献したことを意味する間接生産消費量、
上記生産装置が待機状態である期間に消費した上記資源の消費物理量を、生産に貢献しなかったことを意味する非生産消費量、および、
上記生産装置が生産状態である期間に消費した上記資源の消費物理量を、直接的に生産に貢献したことを意味する直接生産消費量と判別することを特徴とする請求項7に記載の生産管理装置。
【請求項9】
上記生産装置は、環境変化物理量の適正範囲がそれぞれ異なる複数の機構を有し、
上記環境変化物理量取得手段は、複数の機構から、それぞれの環境変化物理量を取得し、
上記状態判定手段は、
上記環境変化物理量取得手段がそれぞれの機構から取得した複数の環境変化物理量の組合せに応じて、上記生産装置の状態を判定することを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の生産管理装置。
【請求項10】
上記状態判定手段は、
上記環境変化物理量取得手段が取得した環境変化物理量に基づいて求めた、所定期間の環境変化物理量の変化率が所定閾値よりも大きい場合に、当該期間における、上記生産装置の状態を、正常な生産行動のために必要な状態を意味する立ち上げ状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載の生産管理装置。
【請求項11】
上記環境変化物理量取得手段は、
生産装置が変化させる環境変化物理量として、温度情報を取得することを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の生産管理装置。
【請求項12】
資源を消費することにより生産環境の物理量を変化させて生産を行う生産装置と、
上記生産装置の状態を監視する生産管理装置と、
上記生産装置が上記資源を消費することにより変化させる物理量を環境変化物理量として計測する環境変化物理量計測部とを含み、
上記生産管理装置は、
上記環境変化物理量計測部が取得した環境変化物理量に応じて、上記生産装置の状態を判定することを特徴とする生産管理システム。
【請求項13】
さらに、
上記生産装置が消費する資源の物理量を消費物理量として計測する消費物理量計測部を含み、
上記生産管理装置は、
判定した上記生産装置の状態に応じて、上記生産装置が該状態であった期間に消費した上記資源の消費物理量が、無駄に消費されたものか否かを判別することを特徴とする請求項12に記載の生産管理システム。
【請求項14】
さらに、
上記生産装置が、生産環境の物理量を変化させて作業対象物に対して生産行動を実施しているか否かを検知する検知部を含み、
上記生産管理装置は、
上記環境変化物理量計測部が取得した環境変化物理量と、上記検知部が検知した上記生産装置の生産行動の有無とに応じて、上記生産装置の状態を判定することを特徴とする請求項12または13に記載の生産管理システム。
【請求項15】
資源を消費することにより生産環境の物理量を変化させて生産を行う生産装置の状態を監視する生産管理装置の制御方法であって、
上記生産装置が上記資源を消費することにより変化させた生産環境の物理量を環境変化物理量として取得する環境変化物理量取得ステップと、
上記環境変化物理量取得ステップにて取得した環境変化物理量に応じて、上記生産装置の状態を判定する状態判定ステップとを含むことを特徴とする生産管理装置の制御方法。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1から11までのいずれか1項に記載の生産管理装置の各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−118614(P2012−118614A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265505(P2010−265505)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】