説明

生産計画作成システム及び生産計画作成プログラム

【課題】大量の工程情報の負荷山積み・山崩しの計算を高速化させることのできる生産計画作成システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の生産計画作成システム1は、利用者により入力された各工程の作業開始日、作業終了日、使用設備、工数を含む工程情報31Dを記憶する工程情報記憶部31と、設定された生産計画期間を所定の時間幅を有する単位期間に分割し、工程情報記憶部31に記憶される各工程情報31Dの工数を単位期間ごとに分割した期間別工程情報32Dを作成する期間別工程情報作成部22と、各単位期間に属する期間別工程情報32Dを集合させた期間別工程情報集合体33Gを記憶する期間別工程情報集合体記憶部33と、各単位期間の期間別工程情報集合体33Gに属する期間別工程情報32Dのうち、所定の設備を使用する期間別工程情報32Dの工数を合計する合計工数算出部24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産計画作成システム及びこれを実行するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の工程を経て生産される製品の長期的な生産計画を作成するにあたっては、一般的に、生産計画期間を所定の期間(以下、これを「単位期間」とよぶ)に分割し、使用設備ごとに各単位期間の負荷を調整する方法(負荷山積み、負荷山崩し)が用いられる。従来、この方法を用いた生産計画作成システムが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
このような生産計画作成システムは、管理者によって入力された各工程の工程情報を演算装置のデータベースに蓄積する。ここで、各工程の工程情報とは、具体的には各工程の作業開始日、作業終了日、使用する設備、工数等をひとまとまりとしたデータである。そして、このデータベースから、各単位期間に属する工程情報を抽出し、各工程情報の工数を合計(山積み)することにより、各単位期間の負荷を算出する。算出された負荷が予め設定された設備能力を超える場合には、工程の割付けを変更することにより(すなわち山崩しを行うことにより)各単位期間の負荷を調整し、負荷の平準化を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−141435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えばガスタービン等の大型機器を製造する場合、1台の機器の製造に要する工程数は数千工程にも及ぶ。したがって、このような大型機器を年間に数十台製造する場合、1年間の工程数は数十万〜数百万工程となり、上述した生産計画装置のデータベースに蓄積される工程情報も膨大な数となる。このため、上記のように各単位期間の負荷山積み・山崩しを行う際には、その都度、データベースに蓄積された大量の工程情報から該当する工程情報を抽出して処理しなければならず、データ処理に時間が掛かり、作業効率が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大量の工程情報の負荷山積み・山崩しの計算を高速化させることのできる生産計画作成システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る生産計画作成システムは、複数の工程を経て生産される製品の生産計画を作成するシステムであり、利用者により入力された各工程の作業開始日、作業終了日、使用設備、工数を含む工程情報を記憶する工程情報記憶部と、設定された生産計画期間を所定の時間幅を有する単位期間に分割し、前記工程情報記憶部に記憶される各工程情報の工数を前記単位期間ごとに分割した期間別工程情報を作成する期間別工程情報作成部と、各単位期間に属する前記期間別工程情報を集合させた期間別工程情報集合体を記憶する期間別工程情報集合体記憶部と、各単位期間の期間別工程情報集合体に属する期間別工程情報のうち、所定の設備を使用する期間別工程情報の工数を合計する合計工数算出部と、を有することを特徴とする。
【0008】
この生産計画作成システムでは、所定の設備におけるある単位期間の工程の負荷の山崩し及び山積みを行う際に、期間別工程情報集合体記憶部から当該単位期間の期間別工程情報集合体のみを読み出し、読み出した期間別工程情報集合体に記憶された期間別工程情報を処理する。このため、従来のように、工程情報のデータベースに蓄積されたすべての工程情報から該当する工程情報を抽出して処理する場合と比べて、処理するデータ量を少なくすることができる。その結果、負荷の山積み・山崩しの計算を高速化することができ、生産計画を作成する際の作業効率を向上させることができる。
【0009】
次の本発明に係る生産計画作成システムは、前記工程情報記憶部に新たな工程情報が追加された場合に、前記期間別工程情報作成部が、追加された工程情報の工数を単位期間ごとに分割した期間別工程情報を作成し、作成した新たな期間別工程情報を、前記期間別工程情報集合体記憶部において該当する単位期間の期間別工程情報集合体に追加することを特徴とする。
【0010】
この生産計画作成システムでは、利用者によって工程情報が追加された場合に、当該工程情報を分割して期間別工程情報を作成し、この期間別工程情報を該当する単位期間の期間別情報集合体に追加する。このため、追加後に山積みの再計算を行う際には、追加された期間別工程情報が含まれる期間別工程情報集合体のデータのみを処理すればよいため、山積みの再計算を高速に処理することが可能となる。
【0011】
次の本発明に係る生産計画作成システムは、前記工程情報記憶部に記憶された工程情報の作業開始日及び作業終了日が変更された場合に、前記期間別工程情報作成部が、変更された工程情報の工数を単位期間ごとに分割した期間別工程情報を作成し、前記期間別工程情報集合体記憶部から変更前の期間別工程情報を削除するとともに、変更後の期間別工程情報を、前記期間別工程情報集合体記憶部において該当する単位期間の期間別工程情報集合体に追加することを特徴とする。
【0012】
この生産計画作成システムは、工程情報記憶部に記憶された工程情報が利用者によって変更された場合に、当該工程情報を分割して期間別工程情報を作成し、期間別工程情報集合体記憶部から変更前の期間別工程情報を削除するとともに、変更後の期間別工程情報を該当する単位期間の期間別情報集合体に追加する。このため、変更後に山積みの再計算を行う際には、変更後の期間別工程情報が含まれる期間別工程情報集合体のデータのみを処理すればよいため、山積みの再計算を高速に処理することが可能となる。
【0013】
次の本発明に係る生産計画作成システムは、前記合計工数算出手段で求めた各単位期間の合計工数に基づき負荷山積グラフを作成するグラフ作成部と、前記負荷山積グラフを表示部に表示させる画面表示処理部をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
この生産計画作成システムによれば、工程情報の変更や追加を行った場合に、短時間で表示画面に負荷山積グラフを表示させることができる。
【0015】
また、本発明に係る生産計画作成プログラムは、コンピュータに請求項1から4のいずれか一つの生産計画作成システムを実行させることを特徴とする。
【0016】
この生産計画作成プログラムによれば、上記の生産計画作成システムを、コンピュータを用いて実現させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る生産計画作成システム及び生産計画作成プログラムでは、ある単位期間の工程の負荷の山崩し及び山積みを行う際に、期間別工程情報集合体記憶部から当該単位期間の期間別工程情報集合体のみを読み出し、読み出した期間別工程情報集合体に記憶された期間別工程情報を処理する。このため、従来のように、工程情報のデータベースに蓄積されたすべての工程情報から該当する工程情報を抽出して処理する場合と比べて、処理するデータ量を少なくすることができる。その結果、負荷の山積み・山崩しの計算を高速化することができ、生産計画を作成する際の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本実施の形態に係る生産計画作成システムのブロック図である。
【図2】図2は、工程情報、旬別工程情報、旬別工程情報集合体の説明図である。
【図3】図3は、図2に示したデータから作成したガントチャート、工数表、負荷山積表である。
【図4】図4は、工程情報、旬別工程情報、旬別工程情報集合体の説明図である。
【図5】図5は、図4に示したデータから作成したガントチャート、工数表、負荷山積表である。
【図6】図6は、本実施の形態に係る生産計画作成システムの制御部が実行する処理手順の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施の形態に係る生産計画作成システムの制御部が実行する処理手順の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施の形態に係る生産計画作成システムの制御部が実行する処理手順の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、本実施の形態に係る生産計画作成システムの表示画面の一例を示す図である。
【図10】図10は、本実施の形態に係る生産計画作成システムの表示画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る生産計画作成システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的同一のものが含まれる。
【0020】
図1は、本実施の形態の生産計画作成システム1の構成を示したブロック図である。生産計画作成システム1は、多数の工程を経て生産される製品の長期的な生産計画の作成に適したシステムである。以下では、ガスタービンや蒸気タービン等のタービンの製造設備に適用した例について説明する。
【0021】
タービン1台の製造に要する工程数は約5000工程であり、例えば1年間に30台製造する場合、1年間の総工程数は15万工程に及ぶ。また、タービン1台の製造で使用する設備は、通常約40種類である。本実施の形態の生産計画作成システム1では、生産計画期間を所定の時間幅を有する期間(単位期間)に分割し、使用設備ごとに各単位期間の負荷を調整(負荷山積み、負荷山崩し)する方法を適用する。以下では、単位期間を「旬」とする。すなわち、1ヶ月を上旬(1日〜10日)、中旬(11日〜20日)、下旬(21日〜30日)の3つの期間に分割し、各使用設備における各旬の負荷を求める場合について説明する。
【0022】
ここで、「負荷」とは、ある旬における特定の設備(もしくは設備グループ)で処理しようと計画している作業時間の合計であり、本実施の形態では各工程の工数を負荷としている。また、「山積み」とは、複数の工程を単位期間に割り当て、各単位期間に割り当てられた工程の工数(負荷)を積み上げることを意味している。また、「山崩し」とは、作業がある期間に集中するのを避けるため、単位期間ごとの工数(負荷)が設備能力を超過している場合に他の単位期間に工程を移すことにより、設備能力内に納まるようにすることを意味する。
【0023】
図1に例示される生産計画作成システム1は、演算装置10、入力部11及び表示部12とから構成されている。演算装置10は、具体的にはパーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置であり、制御部20及び記憶部30を有している。
【0024】
制御部20は、処理プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する処理プログラム等が予め記録されたROM(Read Only Memory)と、各処理の演算パラメータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを用いて実現されるものである。制御部20は、利用者により入力された各工程の作業開始日、作業終了日、使用設備、工数を含む工程情報を作成する工程情報作成部21、設定された生産計画期間を「旬」に分割し、各工程情報の工数を旬ごとに分割した旬別工程情報を作成する旬別工程情報作成部(期間別工程情報作成部)22、旬別工程情報にインデックス番号を付与するインデックス番号付与部23、及び、合計工数算出部24、グラフ作成部25、画面表示処理部26とを有している。
【0025】
記憶部30は、ハードディスク等の記録媒体を用いて実現されるものであり、制御部20によって記憶指示されたデータを記憶し、制御部20によって読み出し指示されたデータを制御部20に送信する。記憶部30は、工程情報作成部21が作成した工程情報31Dを格納する領域である工程情報データベース(工程情報記憶部)31と、旬別工程情報作成部22が作成した旬別工程情報32Dを格納する領域である旬別工程情報データベース32と、各旬に属する旬別工程情報を集合させた旬別工程情報集合体33Gを格納する領域である旬別工程情報集合体データベース(旬別工程情報集合体記憶部)33とを有している。
【0026】
入力部11は、マウスなどのポインティングデバイスやキーボードなどのデバイスから構成され、利用者による入力操作により制御部20に各種情報を入力するものである。表示部12は、液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイから構成されるものであり、画面表示処理部26によって処理された画像を表示する。ここで、表示部12に表示される画像とは、例えば利用者が入力部11を用いて各種情報を入力するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI:Graphical User Interface)や、負荷山積グラフ・ガントチャート等のグラフ類である。
【0027】
以下、制御部20における各部の処理について詳しく説明する。工程情報作成部21は、入力部11から入力されたデータに基づいて各工程の工程情報31Dを作成し、各工程情報31Dに工程番号(1・・,n,・・)を付して工程情報データベース31に格納する。図2の(a)表は、工程情報データベース31に格納される工程情報31Dの一例を表したものである。なお、上述したように、タービン1台の製造に要する工程数は約5000工程であり、1年間の総工程数は約10万工程を超えると予想されるが、図2の(a)表では説明の便宜上、工程番号1から6までの6個の工程情報31D〜31Dのみを示している。(a)表に示すように、工程情報31Dは、工程番号、工程の作業開始日、作業終了日、使用設備、工数をひとまとまりとしたデータである。作業開始日、作業終了日、使用設備、工数は利用者によって入力部11から入力されたデータである。たとえば、工程番号1の工程情報31Dは、作業期間が2009年6月1日から2009年6月7日までの7日間であり、使用設備はA、工数は70時間である。
【0028】
図1に戻り、旬別工程情報作成部22は、設定された生産計画期間(例えば3年間)における各月を旬(上旬、中旬、下旬)に分割し、上述した工程情報データベース31から工程情報31Dを読み出し、読み出した工程情報31Dの工数を各旬に分割した旬別工程情報32Dを作成する。
【0029】
インデックス番号付与部23は、旬別工程情報作成部22で作成した旬別工程情報32Dに工程番号とは別個のインデックス番号を付与し、インデックス番号を付与した旬別工程情報32Dを旬別工程情報データベース32に格納する。この処理と並行して、インデックス番号付与部23は、旬別工程情報32Dのインデックス番号を、旬別工程情報集合体データベース33において該当する旬の旬別工程情報集合体33Gに格納する。
【0030】
以下、図2を用いて旬別工程情報作成部22及びインデックス付与部23の処理について具体的に説明する。図2の(b)表は、(a)表に示した工程番号1〜6の工程情報31D〜31Dの工数を旬に分割して得られた旬別工程情報32D〜32Dを示した表である。また、図2の(c)表は、(b)表の旬別工程情報32Dにおいて、各旬に属する旬別工程情報32Dのインデックス番号を集合させた旬別工程情報集合体33Gを示した表である。
【0031】
たとえば、(a)表の工程番号2の工程情報31Dは、作業期間が2009年6月8日〜2009年6月15日であり、6月上旬と中旬とに跨っている。このように工程情報の作業期間が2つ以上の旬に跨っている場合、旬別工程情報作成部22は、工程情報31Dの工数64時間を6月上旬と6月中旬とに分割する処理を行う。分割は各旬に対して工数を比例配分する。すなわち、工数64時間を6月8日〜6月15日の8日間で行うので、1日当たりの工数は8時間(64時間/8日)となる。よって、6月上旬(6月8〜10日)の工数は、8時間×3日=24時間となり、6月中旬(6月11日〜15日)の工数は、8時間×5日=40時間となる。上記処理を行うことにより、旬別工程情報作成部22は、工程番号2、作業期間6月上旬、使用設備B、工数24をひとまとまりとした旬別工程情報32Dと、工程番号2、作業期間6月中旬、使用設備B、工数40をひとまとまりとした旬別工程情報32Dとを作成する。
【0032】
インデックス番号付与部23は、6月上旬の旬別工程情報32Dと6月中旬の旬別工程情報32Dにそれぞれインデックス番号2,3を付与し、これらを旬別工程情報データベース32に格納する。(a)表の工程No.3の工程情報31D、工程No.6の工程情報Dも上記と同様の手順で処理される。
【0033】
(b)表に示すように、旬別工程情報32Dは、インデックス番号、工程番号、作業が行われる旬、使用設備、工数をひとまとまりとしたデータである。なお、なお、旬別工程情報32Dは、作業開始日及び終了日の情報も有しているが、(b)表では作業開始日及び終了日が省略され、旬情報(6月上旬、中旬・・)のみが示されている。例えばインデックス番号2の旬別工程情報32Dは、作業開始日:2009年6月8日、作業終了日:2009年6月10日という情報を有しているが、(b)表では省略している。
【0034】
一方、(a)表の工程番号1の工程情報31Dは、作業期間が2009年6月1日〜2009年6月7日の6月上旬のみであり、2つ以上の旬に跨らない。したがって、旬別工程情報作成部22は、工程情報31Dの工数を分割する処理を行わず、工程番号1、作業期間6月上旬、使用設備A、工数70をひとまとまりとした旬別工程情報32Dを作成する。
【0035】
インデックス番号付与部23は、旬別工程情報32Dにインデックス番号1を付与し、これを旬別工程情報データベース32に格納する。(a)表の工程No.4の工程情報31D、工程No.5の工程情報Dも上記と同様の手順で処理される。
【0036】
上記の処理と並行して、インデックス番号付与部23は、上記のインデックス番号と旬情報を、旬別工程情報集合体データベース33において対応する旬の旬別工程情報集合体33Gに格納する。たとえば、旬別工程情報32D,32D,32Dはいずれも作業期間が2009年6月上旬であるから、インデックス番号付与部23は、インデックス番号1,2,6と旬情報(6月上旬)を、6月上旬の旬別工程情報集合体33Gに格納する。同様に、旬別工程情報32D,32D,32D,32Dはいずれも作業期間が2009年6月中旬であるから、インデックス番号3,4,7,8と旬情報(6月中旬)を、6月中旬の旬別工程情報集合体33Gに格納する。同様に、旬別工程情報32D,32Dはいずれも作業期間が2009年6月下旬であるから、インデックス番号5,9と旬情報(6月下旬)を、6月下旬の旬別工程情報集合体33Gに格納する。
【0037】
図1に戻り、合計工数算出部24は、旬別工程情報集合体データベース33から旬別工程情報集合体33Gを読み出し、この旬別工程情報集合体33Gに属するインデックス番号のうち、所定の設備に該当する工数を合計することにより、当該設備において各旬に割り当てられた工数の合計(負荷)を算出する。
【0038】
ここで、図2を用いて合計工数算出部24の処理について具体的に説明する。たとえば設備Aの6月上旬の合計工数を算出する場合、合計工数算出部24は、図1に示した旬別工程情報集合体データベース33から6月上旬の旬別工程情報集合体33Gを読み出す。次いで、旬別工程情報集合体33Gに格納されたインデックス番号1,2,6に該当する使用設備及び工数を、図1に示した旬別工程情報データベース32に照会する。そして、旬別工程情報データベース32から設備Aに該当するインデックス番号1,6の工数70,28をそれぞれ受け取り、工数70と28を合計し、合計工数98を得る。
【0039】
図1に戻り、グラフ作成部25は、合計工数算出部24によって算出された各使用設備の各旬の合計工数をグラフ化処理することにより、ガントチャートや負荷山積グラフ等を作成する。図3の(d),(e),(f)は、グラフ作成部25が作成するグラフ及び表の一例を示したものである。図3の(d)は図2の(a)表に示した工程番号1〜6の工程情報31D〜31Dのガントチャートである。また、図3の(e)は、図2の(b)表に示したインデックス番号1〜9の工程情報32D〜32Dに基づいて作成した工数表である。また、図3の(f)は、図2の(c)表の旬別工程情報33G〜33Gに基づいて作成した設備A,B,Cの工数山積表である。
【0040】
次に、図2〜図5を用いて、利用者によって工程情報が変更された場合の制御部20の処理を説明する。以下では、図2の(a)表に示す工程番号5の工程の作業開始日6月11日、作業終了日6月15日が、図4の(a)表に示すように作業開始日6月10日、作業終了日6月14日に変更された場合について説明する。図4の(a)表に示すように、変更された工程番号5の工程は、作業期間が2009年6月10日〜2009年6月14日であり、6月上旬と中旬とに跨っている。したがって、旬別工程情報作成部22は、工程情報31Dの工数40時間を6月上旬と6月中旬とに分割する処理を行う。上述した方法により6月上旬(6月10日)の工数は、8時間×1日=8時間となり、6月中旬(6月11日〜14日)の工数は、8時間×4日=32時間となる。旬別工程情報作成部22は、工程番号5、作業期間6月上旬、使用設備B、工数8をひとまとまりとした旬別工程情報32D10と、工程番号5、作業期間6月中旬、使用設備B、工数32をひとまとまりとした旬別工程情報32D11とを作成する。
【0041】
インデックス番号付与部23は、旬別工程情報32D10と旬別工程情報32D11にそれぞれインデックス番号10,11を付与し、図4の(b)表に示すように、これらを旬別工程情報データベース32に格納する。この処理に伴い、インデックス番号付与部23は、変更前の旬別工程情報32D(図2の(b)表を参照)を旬別工程情報データベース32から削除する。
【0042】
上記の処理と並行して、インデックス番号付与部23は、図4の(c)表に示すように、インデックス番号10及び旬情報(6月上旬)を、旬別工程情報集合体データベース33の6月上旬の旬別工程情報集合体33Gに格納し、インデックス番号11及び旬情報(6月上旬)を、旬別工程情報集合体データベース33の6月中旬の旬別工程情報集合体33Gに格納する。この処理に伴い、インデックス番号付与部23は、インデックス番号7(図2の(c)表を参照)を旬別工程情報集合体データベース33から削除する。
【0043】
合計工数算出部24は、使用設備Bの6月上旬及び6月中旬の合計工数を再計算する。すなわち、旬別工程情報集合体データベース33から6月上旬の旬別工程情報集合体33G及び6月中旬の旬別工程情報集合体33Gを読み出し、旬別工程情報集合体33Gに格納されたインデックス番号1,2,6,10に該当する使用設備と工数を、旬別工程情報データベース32に照会する。そして、旬別工程情報データベース32から設備Bに該当するインデックス番号2,10の工数24,8をそれぞれ受け取り、工数24と8を合計し、合計工数32を得る。同様に、旬別工程情報集合体33Gに格納されたインデックス番号3,4,11,8に該当する使用設備と工数を、旬別工程情報データベース32に照会し、旬別工程情報データベース32から設備Bに該当するインデックス番号3,11の工数40,32をそれぞれ受け取り、合計工数72を得る。
【0044】
グラフ作成部25は、合計工数算出部24によって再計算された使用設備Bの6月上旬及び6月中旬の合計工数をグラフ化処理することにより、図5の(d),(e),(f)に示すようにガントチャート、工数表、負荷山積グラフをそれぞれ更新する。なお、変更された部分を分かりやすくするために、図5の(d)では変更部分を太枠で示し、(e),(f)では変更された数字を丸で囲って示している。
【0045】
タービン等の大型機器を製造する場合、1台の機器の製造に要する工程数は数千工程にも及ぶため、年間の工程数は数十万〜数百万工程となることが予想される。従来のシステムでは、膨大な数の工程情報31Dを工程情報データベース31のみで管理していた。このため、上述した作業期間の変更など、負荷の調整を行う際には、工程情報データベース31に蓄積された数十万の工程情報31Dから該当する工程情報を抽出して処理しなければならず、データ処理に時間が掛かり、作業効率が悪いという問題があった。これに対して本実施の形態の生産計画作成システム1では、作業期間の変更などの負荷の調整を行う際には、旬別工程情報集合体データベース33から調整の対象となる旬の旬別工程情報集合体33Gのみを読み出し、読み出した旬別工程情報集合体33Gに記憶された旬別工程情報32Dを処理すればよい。したがって、従来に比して処理するデータ量を少なくすることができる。その結果、負荷の山積み・山崩しの計算を高速化することができ、生産計画を作成する際の作業効率を向上させることができる。
【0046】
次に、図6〜図8のフローチャートを用いて、上述した制御部20が実行する処理手順の流れについて説明する。まず、図6を参照しながら、利用者によって入力された情報から工程情報を作成し、負荷山積グラフを作成する手順について説明する。
【0047】
利用者によって工程に関する情報が入力されると、制御部20は、工程情報作成部21を通じて、入力された情報に基づき工程情報31Dを作成し、工程情報データベース31に格納する(ステップS11)。次いで、制御部20は、旬別工程情報作成部22を通じて、工程情報データベース31に格納された工程情報31Dを読み出し、当該工程情報31Dの作業期間が複数の旬に跨るか否かを判定する(ステップS12)。作業期間が複数の旬に跨る場合には(ステップS12:Yes)、当該工程情報31Dを各旬に分割し、各旬の旬別工程情報32Dを作成する(ステップS13)。次いで制御部20は、インデックス番号付与部23を通じて、各旬の旬別工程情報32Dにインデックス番号を付与し、これらを旬別工程情報データベース32に格納するとともに、当該インデックス番号を旬別工程情報集合体データベース33において該当する旬別工程情報集合体に追加する(ステップS15)。一方、ステップS12において、工程情報31Dの作業期間が複数の旬に跨らない場合には(ステップS12:No)、作業期間を分割せず、工程情報31Dをそのまま旬別工程情報32Dとし(ステップS14)、この旬別工程情報32Dにインデックス番号を付与して旬別工程情報データベース32に格納するとともに、当該インデックス番号を旬別工程情報集合体データベース33において該当する旬別工程情報集合体33Gに追加する(ステップS15)。次いで制御部20は、つづいて処理する工程情報31Dがあるか否かを判断する。処理する工程情報31Dがない場合、すなわち、すべての工程情報31Dの旬別工程情報32Dの作成が完了した場合(ステップS16:Yes)、制御部20は、合計工数算出部24を通じて各旬別工程情報集合体33Gを読み出す。そして、各旬別工程情報集合体33Gに格納されたインデックス番号に該当する使用設備と工数を、旬別工程情報データベース32に照会することにより、各使用設備の各旬の合計工数を算出する(ステップS17)。次いで、制御部20は、グラフ作成部25を通じて、ステップS17で算出した合計工数に基づき、各使用設備の負荷山積グラフを作成する(ステップS18)。作成した負荷山積グラフは、利用者の要求に応じて表示部12への表示、または、プリンタ等の出力手段(図示せず)に印字出力することができる。
【0048】
次に、図7は、図6に示した手順を行った後、新たに工程が追加された場合に制御部20が実行する処理手順の流れを示すフローチャートである。以下、図7を参照しながら工程が追加された場合の処理について説明する。
【0049】
利用者によって追加する工程に関する情報が入力されると、制御部20は、工程情報作成部21を通じて、入力された情報に基づき追加の工程情報31Dを作成し、工程情報データベース31に格納する(ステップS21)。次いで、制御部20は、旬別工程情報作成部22を通じて、追加した工程情報31Dの作業期間が複数の旬に跨るか否かを判定する(ステップS22)。作業期間が複数の旬に跨る場合には(ステップS22:Yes)、当該工程情報31Dを各旬に分割し、各旬の旬別工程情報32Dを作成する(ステップS23)。次いで制御部20は、インデックス番号付与部23を通じて、各旬の旬別工程情報32Dにインデックス番号を付与し、これらを旬別工程情報データベース32に格納するとともに、当該インデックス番号を旬別工程情報集合体データベース33において該当する旬別工程情報集合体に追加する(ステップS25)。一方、ステップS22において、追加した工程情報31Dの作業期間が複数の旬に跨らない場合には(ステップS22:No)、作業期間を分割せず、工程情報31Dをそのまま旬別工程情報32Dとし(ステップS24)、この旬別工程情報32Dにインデックス番号を付与して旬別工程情報データベース32に格納するとともに、当該インデックス番号を旬別工程情報集合体データベース33において該当する旬別工程情報集合体に追加する(ステップS25)。次いで制御部20は、つづいて処理する工程情報31Dがあるか否かを判断する。処理する工程情報31Dがない場合、すなわち、追加されたすべての工程情報31Dの旬別工程情報32Dの作成が完了した場合(ステップS26:Yes)、制御部20は、合計工数算出部24を通じて、追加された旬別工程情報32Dが属する旬別工程情報集合体33Gを読みだす。そして、当該旬別工程情報集合体33Gに格納されたインデックス番号に該当する使用設備と工数を、旬別工程情報データベース32に照会することにより、当該旬の各使用設備の合計工数を再計算する(ステップS27)。次いで、制御部20は、グラフ作成部25を通じて、ステップS27で算出した合計工数に基き、負荷山積グラフを更新する(ステップS28)。
【0050】
次に、図8は、工程情報データベース31に蓄積された工程情報の内容が変更された場合に制御部20が実行する処理手順の流れを示すフローチャートである。以下、図8を参照しながら工程情報が変更された場合の処理について説明する。
【0051】
利用者によって工程情報データベース31のある工程情報が読み出され、工程開始日と工程終了日を変更する旨の入力がなされると、制御部20は、工程情報作成部21を通じて当該工程情報31Dの工程開始日と工程終了日を変更し、当該工程情報31Dの内容を更新する(ステップS31)。次いで、制御部20は、旬別工程情報作成部22を通じて、工程情報データベース31から変更済みの工程情報31Dを読み出し、当該工程情報31Dの作業期間が複数の旬に跨るか否かを判定する(ステップS32)。作業期間が複数の旬に跨る場合には(ステップS32:Yes)、当該工程情報31Dを各旬に分割して各旬の旬別工程情報32Dを作成する(ステップS33)、次いで制御部20は、インデックス番号付与部23を通じて、作成した各旬の旬別工程情報32Dにインデックス番号を付与し、これらを旬別工程情報データベース32に格納するとともに、当該インデックス番号を旬別工程情報集合体データベース33において該当する旬別工程情報集合体に追加する(ステップS35)。そして、変更前の旬別工程情報32D及びインデックス番号を、旬別工程情報データベース32及び旬別工程情報集合体データベース33から削除する(ステップS36)。一方、ステップS32において、作業期間が複数の旬に跨らない場合には(ステップS32:No)、作業期間を分割せず、当該工程情報31Dをそのまま旬別工程情報32Dとする(ステップS34)。次いで制御部20は、つづいて処理する工程情報31Dがあるか否かを判断する。処理する工程情報31Dがない場合、すなわち、変更されたすべての工程情報31Dの旬別工程情報32Dの作成が完了した場合(ステップS37:Yes)、制御部20は、合計工数算出部24を通じて、変更された旬別工程情報32Dが属する旬別工程情報集合体33Gを読みだす。そして、当該旬別工程情報集合体33Gに格納されたインデックス番号に該当する使用設備と工数を、旬別工程情報データベース32に照会することにより、当該旬の各使用設備の合計工数を再計算する(ステップS38)。次いで、制御部20は、グラフ作成部25を通じて、ステップS38で算出した合計工数に基き、負荷山積グラフを更新する(ステップS39)。
【0052】
次に、図9及び図10を用いて、制御部20の画面表示処理部26によって表示部20に表示される表示画面の一例について説明する。図9に示される表示画面40は、利用者が工程情報の入力・追加・変更等の編集や閲覧を行うための工程計画編集・閲覧用画面の一例である。
【0053】
表示画面40において、画面上部はガントチャート41の表示領域であり、画面中央部は工数表42の表示領域であり、画面下部は負荷山積グラフ43の表示領域となっている。ガントチャート41、工数表42、負荷山積グラフ43は、図9に示すように同じ時間軸で並べて表示されている。このようにガントチャートと負荷山積グラフを同じ時間軸で並べて表示することにより、利用者は、工場内の能力を超えている設備や時期を容易に把握することができる。さらに、負荷山積グラフ43の表示領域には、設備ごとの負荷山積グラフ43(図9では設備A,Bの2つの負荷山積グラフ)が同じ時間軸で並べて表示されている。このように設備ごとの負荷山積グラフ43を同じ時間軸で並べて表示することにより、利用者が設備変更の検討を行いやすくなる。
【0054】
表示画面40は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の機能を有したものであり、利用者がマウスなどのポインティングデバイスやキーボードなどのデバイスを操作することにより、これらの入力デバイスから電気信号が制御部20の画面表示処理部26に送信され、表示画面40に表示されているデータの変更を行なうことができるように構成されている。
【0055】
以下、利用者が表示画面40のデータを編集する手順と、それに伴う制御部20の処理の一例について説明する。図9に示すように、表示画面40の設備Bの負荷山積グラフ43において、2009年6月中旬の負荷(合計工数)は生産能力線44を大幅に超えている。一方、設備Bの負荷山積グラフ43において、2009年6月上旬の負荷は生産能力線44を大幅に下回っており空きがある状態である。このため、利用者は、ガントチャート41の工程番号12の作業期間を変更する計画を立てる。変更前の工程番号12の工程情報は、作業期間が2009年6月中旬、工数が100時間である。以下、6月中旬の工数100時間のうちの50時間を6月上旬に変更する場合について説明する。
【0056】
利用者は、マウスを用いて表示画面40上のカーソル(図示せず)をガントチャート41の工程番号12の棒45上に移動させ、この状態で棒45を6月上旬の欄の所定の位置までドラッグアンドドロップする。
【0057】
この利用者によるマウスの操作は、制御部20に電気信号として送信される。制御部20は、マウスからの電気信号を受信すると、画面表示処理部26を通じて、表示画面40のガントチャート41の棒45を、破線46の位置に変更する。また、制御部20は、図8の工程情報変更処理(ステップS32〜S39)を行い、画面表示処理部26を通じて、表示画面40の負荷山積グラフ43を更新する。すなわち、表示画面40では、設備Bの負荷山積グラフ43における6月中旬の棒47から工数50時間分が山崩し(削除)され、6月上旬の棒48に、破線49で示すように工数50時間分が山積み(加算)されることになる。また、工数表42において工程番号12の2009年6月中旬の工数が100から50に変更されるとともに、2009年6月上旬の工数が0から50に変更されることになる。
【0058】
このように、本実施の形態の生産計画作成システム1では、利用者がガントチャート41の棒をドラッグして作業期間をずらすと、それに対応して負荷山積グラフ43の山崩し及び山積みが自動的に行われるように構成されている。上述したように、作業期間の変更に伴う山崩し及び山積みのデータ処理は、作業期間の変更対象となる旬別工程情報集合体33Gを読み出し、読み出した旬別工程情報集合体33Gに格納された旬別工程情報32Dのみを処理する。このため、従来のシステムのように、工程情報データベース31に蓄積された大量の工程情報31Dから該当する工程情報を抽出して処理する場合と比べて、山崩し・山積みの処理速度を高速化することができる。その結果、作業期間変更後の山積グラフ43を従来に比して短時間で表示画面40に表示することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態の生産計画作成システム1では、上記のような作業期間の変更に加えて、使用設備を変更した場合にも、それに伴い山積グラフ43の設備変更を自動的に行うことができる。図9に示すように、表示画面40の設備Aの負荷山積グラフ43において、2009年7月中旬の負荷(合計工数)は生産能力線44を大幅に超えている。一方、設備Bの負荷山積グラフ43において2009年7月中旬の負荷は生産能力線44を大幅に下回っており空きがある状態である。このため、利用者は、ガントチャート41の工程番号14の設備をAからBに変更する計画を立てる。
【0060】
図示は省略するが、表示画面40において、ガントチャート41及び工数表42の各工程の設備欄はメニューアイコンとして構成されており、利用者が各工程の設備欄をマウスでクリックすることにより設備一覧をプルダウンさせて、設備一覧から所望の設備を選択することができるようになっている。表示画面40において、工程番号14の使用設備をAからBに変更する場合には、利用者がガントチャート41の工程番号14の使用設備欄51をマウスでクリックし、表示された設備一覧から設備Bを選択することにより、使用設備欄51の表示が設備Bに変更される。これに伴い、図9に示すように、設備Aの負荷山積グラフ43の7月中旬の棒53から工程番号14の工数50時間分が削除され、設備Bの負荷山積グラフ43の7月中旬の棒54に、破線55で示すように工数50時間分が加算される。また、工数表42において工程番号14の使用設備欄52がAからBに変更される。
【0061】
このように、本実施の形態の生産計画作成システム1では、利用者がガントチャート41の各工程の使用設備欄をクリックして設備を変更した場合にも、それに対応して負荷山積グラフ43の設備変更が自動的に行われるように構成されており、設備変更後の山積グラフ43を従来に比して短時間で表示画面40に表示することが可能となる。
【0062】
また、図10に示される表示画面60は、複数の事業所のガントチャート及び負荷山積グラフを一つの画面に表示したものである。表示画面60において、画面上部は複数の事業所のガントチャート61が並列して表示される領域であり、画面下部は複数の事業所の負荷山積グラフ63が並列して表示される領域となっている。図9で示した表示画面40と同様に、ガントチャート61と負荷山積グラフ63は同じ時間軸で並べて表示されている。なお、ガントチャート61の棒内部の数字は工数を表している。
【0063】
以下、利用者が表示画面60のデータを編集する手順と、それに伴う制御部20の処理の一例について説明する。図10に示すように、D事業所の設備Aの負荷山積グラフ63において、2009年7月上旬の負荷(合計工数)は生産能力線64を大幅に超えている。一方、E事業所の設備Aの負荷山積グラフ63において、2009年7月上旬の負荷は生産能力線64を大幅に下回っており空きがある状態である。このため、利用者は、D事業所の工程番号1の作業を、E事業所の7月上旬の工程に振り替える計画を立てる。
【0064】
利用者は、マウスを用いて表示画面60上のカーソル(図示せず)をD事業所のガントチャート61における工程番号1の棒65上に移動させ、この状態で棒65をE事業所の工程番号1の7月中旬の欄までドラッグアンドドロップする。
【0065】
この利用者によるマウスの操作は、制御部20に電気信号として送信され、図9で説明した処理と同様の処理がなされることにより、D事業所のガントチャート61の棒65が、E事業所のガントチャート61の破線66の位置に変更される。これに伴い、D事業所の負荷山積グラフ63における7月上旬の棒67から工数100時間分が山崩し(削除)され、E事業所の負荷山積グラフ63の7月上旬の棒68に、破線69で示すように工数100時間分が山積み(加算)される。
【0066】
このように、複数の製造場所のガントチャートと負荷山積グラフを同じ時間軸で並べて表示することにより、利用者は、複数の製造場所の工程情報を一目で把握することができ、生産拠点をまたいだ工程の進捗・負荷調整を行うことが可能となる。
【0067】
上記実施の形態に係る生産計画作成システム1は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態に係る生産計画作成システム1は、利用者により入力された各工程の作業開始日、作業終了日、使用設備、工数を含む工程情報31Dを記憶する工程情報データベース31と、設定された生産計画期間を所定の時間幅を有する単位期間(旬)に分割し、工程情報データベース31に記憶される各工程情報31Dの工数を旬ごとに分割した旬別工程情報32Dを作成する旬別工程情報作成部22と、各旬に属する旬別工程情報32Dを集合させた旬別工程情報集合体33Gを記憶する旬別工程情報集合体データベース33とを備えて構成してある。従来のシステムでは、ある使用設備における工程の負荷の山崩し及び山積み(工程の作業開始日及び作業終了日の変更)を行う際に、膨大な数の工程情報が蓄積された工程情報データベース31から該当する工程情報31Dを抽出し、処理していたため、山積みの再計算に時間を要していた。これに対して本実施の形態の生産計画作成システム1では、旬別工程情報集合体データベース33から山崩し及び山積みの対象となる旬の旬別工程情報集合体33Gのみを読み出し、読み出した旬別工程情報集合体33Gに記憶された旬別工程情報32Dを処理すればよく、従来に比して処理するデータ量を少なくすることができる。その結果、負荷の山積み・山崩しの計算を高速化することができ、生産計画を作成する際の作業効率を向上させることができる。
【0069】
なお、上記実施の形態では、旬別工程情報集合体33の記憶領域(メモリ)を小さくするために、旬別工程情報32Dにインデックス番号を付与し、旬別工程情報集合体33Gにはインデックス番号と旬情報のみを記憶させる構成とした。そして、使用設備ごとの各旬の工数を求める際には、旬別工程情報データベース32にアクセスして、旬別工程情報集合体33Gに記憶されたインデックス番号に対応する使用設備と工数の情報を得るようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、旬別工程情報集合体33Gに旬別工程情報32Dを格納する構成としてもよい。この場合、旬別工程情報集合体33Gの記憶領域を大きくする必要があるが、インデックス番号の付与処理は不要となる。
【0070】
また、上記実施の形態では、旬別工程情報32Dを格納する旬別工程情報データベース32と、旬別工程情報集合体33Gを格納する旬別工程情報集合体データベース33の両方を設けた構成としたが、旬別工程情報データベース32を省略した構成としてもよい。この場合、工程情報データベース31の工程情報31Dから旬別工程情報32Dを作成した後、旬別工程情報32Dを直接、該当する旬の旬別工程情報集合体33Gに格納する。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明に係る生産計画作成システム及び生産計画作成プログラムは、タービンなどの大型機器のように、多数の工程を経て生産される製品の長期的な生産計画の作成に有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 生産計画作成システム
10 演算装置
11 入力部
12 表示部
20 制御部
21 工程情報作成部
22 旬別工程情報作成部(期間別工程情報作成部)
23 インデックス番号付与部
24 合計工数算出部
25 グラフ作成部
26 画面表示処理部
30 記憶部
31 工程情報データベース(工程情報記憶部)
31D 工程情報
32 旬別工程情報データベース
32D 旬別工程情報
33 旬別工程情報集合体データベース(期間別工程情報集合体データベース)
33G 旬別工程情報集合体
40,60 表示画面
41,61 ガントチャート
42 工数表
43,63 負荷山積グラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程を経て生産される製品の生産計画を作成するシステムであって、
利用者により入力された各工程の作業開始日、作業終了日、使用設備、工数を含む工程情報を記憶する工程情報記憶部と、
設定された生産計画期間を所定の時間幅を有する単位期間に分割し、前記工程情報記憶部に記憶される各工程情報の工数を前記単位期間ごとに分割した期間別工程情報を作成する期間別工程情報作成部と、
各単位期間に属する前記期間別工程情報を集合させた期間別工程情報集合体を記憶する期間別工程情報集合体記憶部と、
各単位期間の期間別工程情報集合体に属する期間別工程情報のうち、所定の設備を使用する期間別工程情報の工数を合計する合計工数算出部と、
を有することを特徴とする生産計画作成システム。
【請求項2】
前記工程情報記憶部に新たな工程情報が追加された場合に、
前記期間別工程情報作成部は、
追加された工程情報の工数を単位期間ごとに分割した期間別工程情報を作成し、
作成した新たな期間別工程情報を、前記期間別工程情報集合体記憶部において該当する単位期間の期間別工程情報集合体に追加することを特徴とする請求項1に記載の生産計画作成システム。
【請求項3】
前記工程情報記憶部に記憶された工程情報の作業開始日及び作業終了日が変更された場合に、
前記期間別工程情報作成部は、
変更された工程情報の工数を単位期間ごとに分割した期間別工程情報を作成し、
前記期間別工程情報集合体記憶部から変更前の期間別工程情報を削除するとともに、変更後の期間別工程情報を、前記期間別工程情報集合体記憶部において該当する単位期間の期間別工程情報集合体に追加することを特徴とする請求項1に記載の生産計画作成システム。
【請求項4】
前記合計工数算出手段で求めた各単位期間の合計工数に基づき負荷山積グラフを作成するグラフ作成部と、
前記負荷山積グラフを表示部に表示させる画面表示処理部をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の生産計画作成システム。
【請求項5】
コンピュータに請求項1から4のいずれか一つに記載の生産計画作成システムを実行させることを特徴とする生産計画作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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