説明

用紙パッケージ

【課題】用紙パッケージの使用時に、蓋部の先端に形成された差込部を、パッケージ材の表面に形成された切込部に挿入し易くすると共に、内部の用紙を変質させることがない用紙パッケージを提供すること。
【解決手段】用紙パッケージ9の使用時には、蓋部44を裏側に折り返す。そして、蓋部44の蓋先端部443の差込部444を底部40の第三スリット45の開口部451から第三スリット45に差し込み、蓋部44を底部40に固定する。この状態の用紙パッケージ9を印刷装置の用紙収容部に収納する。第三スリット45には開口部451が形成されているので、容易に差込部444を第三スリット45に差し込むことができる。また、開口部451は、用紙パッケージ9の内部から舌部により塞がれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙パッケージに関し、詳細には、重ねられた状態の用紙の外側をパッケージ材で保護するとともに、該パッケージ材とともに印刷装置にセット可能な用紙パッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、箱形状のパッケージ材の中に、積層された状態の用紙を収納した印刷装置用の用紙パッケージが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この用紙パッケージでは、当該用紙を印刷に使用するときには、パッケージ材の蓋部を開封して、反対側に折り返し、当該蓋部の先端に形成された差込部を、パッケージ材の表面に形成された切込部に挿入して蓋部を固定する。この状態で、用紙パッケージは、用紙を一部分露出した状態になっており、パッケージ材とともに印刷装置にセットして使用される。この用紙パッケージでは、複数枚の用紙をパッケージ単位でまとめて取り扱うことができるため使い勝手が向上されるとともに、内部の用紙を覆って保護できるため、特に光や熱に弱い感熱紙を用紙として採用する場合に有用であった。
【特許文献1】特開2003−285939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の用紙パッケージでは、用紙パッケージの使用時に、蓋部の先端に形成された差込部を、パッケージ材の表面に形成された切込部に挿入しにくいという問題点があった。また、蓋部の先端に形成された差込部をパッケージ材の表面に形成された切込部に差し込み易くするために、切込部を大きな開口部にすると、用紙パッケージの内部に収納した用紙に当該開口部から光等が当たり変質を招くという問題点もあった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、用紙パッケージの使用時に、蓋部の先端に形成された差込部を、パッケージ材の表面に形成された切込部に挿入し易くすると共に、内部の用紙を変質させることがない用紙パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の用紙パッケージでは、印刷装置に被印刷媒体である用紙を供給するために、前記印刷装置に装着される用紙パッケージであって、積層された用紙と、前記積層された用紙の外側を覆うパッケージ材とを備え、前記パッケージ材は、少なくとも、前記積層された用紙の積層方向の一側の面の一部を覆う矩形の第一部分と、当該第一部分の一端部から折り曲げ可能に延設され、前記第一部分とともに前記用紙の前記積層方向の一側の面の一部を覆う矩形の第二部分と、当該第二部分において前記第一部分との接続部と反対側の端部から折り曲げ可能に延設され、前記積層された用紙の側面を覆う矩形の第三部分と、前記第三部分において前記第二部分との接続部と反対側の端部から折り曲げ可能に延設された第四部分と、前記第一部分と対向し、前記積層された用紙の積層方向の前記一側の面と反対側の他側の面を覆う矩形の第五部分と、当該第五部分の一端部から延設された矩形の第六部分と、前記第六部分において前記第五部分との接続部と反対側の端部から折り曲げ可能に延設された第七部分と、前記第四部分において前記第三部分との接続部と反対側の端部に形成され、当該第四部分よりも幅を狭く形成された差込部と、前記第一部分に形成され、用紙パッケージを使用する場合に、前記第二部分乃至第四部分を折り返して、前記差込部が差し込まれる切込部とを備え、当該切込部には、前記差込部を当該切込部に差し込み易くするための開口である開口部が形成され、前記用紙パッケージの組立状態において、前記第七部分により前記開口部が前記用紙パッケージの内側から塞がれていることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明の用紙パッケージでは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記切込部は、前記差込部の差し込み方向に、円弧の頂点を向けた円弧状に切り込まれて形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明の用紙パッケージでは、請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記切込部の円弧状の切り込みの頂点側を切り欠いて前記開口部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明の用紙パッケージでは、用紙パッケージを使用する場合に、第二部分乃至第四部分を折り返して、差込部が差し込まれる切込部を第一部分に形成している。そして、当該切込部には、差込部を切込部に差し込み易くするための開口である開口部が形成されているので、差込部を容易に、切込部に差し込むことができる。また、用紙パッケージの組立状態において、第七部分により開口部が前記用紙パッケージの内側から塞がれているので、開口部から内部の用紙に光が当たり、埃が進入して用紙が変質することがない。
【0009】
また、請求項2に係る発明の用紙パッケージでは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、切込部は、差込部の差し込み方向に、円弧の頂点を向けた円弧状に切り込まれて形成されているので、差込部を当該円弧の頂点から容易に差し込むことができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明の用紙パッケージでは、請求項2に記載の発明の効果に加えて、切込部の円弧状の切り込みの頂点側を切り欠いて開口部が形成されているので、切込部の形成と同時に開口部を切欠くことができる。従って、開口部は、パッケージ材の打ち抜き加工時に同時に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態である用紙パッケージ9が装着される印刷装置1の構造を、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、印刷装置1の斜視図であり、図2は、図1に示すI−I線における矢視方向断面図である。また、図3は、用紙収容部6に用紙パッケージ9をセットした状態を示した図であり、図4は、用紙分離部11および印刷機構部14の詳細を示した拡大断面図である。図1に示すように、印刷装置1は平面視、長方形状(A6サイズよりやや大きい程度の大きさ)で、厚みが略2cm程度の平板状の直方体形状を有する。また、印刷装置1の本体ケース2は、平面視、長方形のフレーム3と、当該フレーム3の下面を覆う、平面視、長方形状の下カバー4と、当該フレーム3の上面の一部を覆う上カバー5と、平面視、長方形の蓋体10等から構成されている。
【0012】
図2及び図3に示すように、印刷装置1の一端部側(図2及び図3に於ける上側)の内部に、印刷機構部14が配置され、その上面は、平面視、長方形の上カバー5に覆われている。印刷機構部14は、サーマルヘッド15、プラテンローラ16、ペーパーガイド17から構成されている。また、上カバー5で覆われた箇所を除いたフレーム3の上面の残りの部分には、用紙収容部6が形成されている。当該用紙収容部6の上方は蓋体10にて覆われ、図2に示すように、この蓋体10は開閉自在となっている。
【0013】
また、この用紙収容部6には、図3に示すように、例えば、A6やA7サイズのカットシート状の感熱紙である用紙7をパッケージ材8の内部に複数枚収納した用紙パッケージ9が収容可能である。さらに、本体ケース2側には図示しないロック機構が設けられており、用紙収容部6に用紙パッケージ9をセットした状態で、図3に示すように蓋体10を閉じてロックできる。
【0014】
また、図4に示すように、用紙収容部6の印刷機構部14に近い側の端部には、ピックアップローラ12と分離ブロック13とからなる用紙分離部11が設けられている。また、蓋体10の用紙収容部6側を向く内面には、押圧板18が回動自在に支持されている。この押圧板18と蓋体10との間にはコイル状の付勢バネ19が介在され、押圧板18に対し、下方向(ピックアップローラ12の方向)への付勢力を常時作用させている。
【0015】
尚、用紙パッケージ9は、印字面を下側へ向けながら積層された状態で内部に収納されている用紙7のうち、最も下側に位置する用紙7の下面をパッケージ材8から一部露出させた状態で、用紙収容部6に装着される。そして、前記蓋体10を閉じてロックした際には、付勢バネ19により下方へ付勢される押圧板18が、パッケージ材8を介して、用紙7の露出した部分をピックアップローラ12側へ押し付け、該用紙7の下面を該ピックアップローラ12に接触させる。
【0016】
また、図4に示すように、ピックアップローラ12に近接かつ対向するように分離ブロック13が設けられているが、この分離ブロック13は、ピックアップローラ12の用紙送り出し方向に対して傾斜した分離案内面131を備えている。この構成の用紙分離部11では、ピックアップローラ12が回転駆動することにより、該ピックアップローラ12に接触する最下層の用紙7に摩擦搬送力が加えられる。そして、分離ブロック13の分離案内面131の分離作用とあいまって、最下層に位置する一枚の用紙7のみが分離されて送り出される。
【0017】
次に、印刷機構部14について説明する。図4に示すように、ピックアップローラ12に対して、分離ブロック13を挟んだ反対側にはプラテンローラ16が図示外のモータにより回転可能に設けられ、その外周面に近接してペーパーガイド17が配置されている。ペーパーガイド17は、円柱状のプラテンローラ16の外周面に沿うように形成された、断面が横向き略「U」字状となる凹湾曲状の摺接面171を有する。ペーパーガイド17と本体ケース2との間には押圧コイルバネ20が設けられており、摺接面171をプラテンローラ16の外周面に向けて付勢する。
【0018】
また、この構成の印刷装置1においては、前述の用紙分離部11で分離された用紙7は、ピックアップローラ12により搬送されて、分離ブロック13の下端と、用紙の向きをプラテンローラ16側へ向けるためのガイド板21の間を通過する。そして、用紙7はこのガイド板21により案内され、プラテンローラ16の下面側から、該プラテンローラ16とペーパーガイド17との間に送られる。さらに用紙7は、プラテンローラ16の外周面とペーパーガイド17の摺接面171との間をプラテンローラ16の回転駆動により横向きU字状に反転されながら搬送され、印字面を上側に向けながらプラテンローラ16の上面側に至る。
【0019】
図4に示すように、プラテンローラ16の上面側に位置するサーマルヘッド15は、印字部たる発熱体部151を有している。該サーマルヘッド15は回動軸152まわりに回動可能に設けられて、発熱体部151がプラテンローラ16の上面に接離可能に構成されている。尚、このようにサーマルヘッド15を回動自在に構成したのは、プラテンローラ16とペーパーガイド17との間で用紙7が詰まった場合における詰まった用紙7の紙除去作業において、サーマルヘッド15が作業の邪魔にならないようにするためである。
【0020】
また、図4に示すように、サーマルヘッド15には捩りコイルバネタイプのスプリング22の一端が係止されて、該サーマルヘッド15の発熱体部151がプラテンローラ16上面に近接する方向の付勢力を常時加えている。この構成で、前述のように印字面を上側に向けながらプラテンローラ16により送られてくる用紙7の印字面にサーマルヘッド15の発熱体部151が接触し、この接触する箇所において用紙7に印字がなされる。
【0021】
サーマルヘッド15はラインヘッド型であり、搬送されてくる感熱型の用紙7に対し、該用紙7の搬送方向に直交する方向に延びるライン毎に、任意の文字や画像を印刷することができる。一本のラインにつき印刷する際の印刷幅は、印刷対象の用紙7の幅に略等しく設定されている。このようにサーマルヘッド15を印刷ヘッドとして用いるのは、被記録媒体として感熱紙を用いることで、インクやインクリボンなどの消耗品が不要とできるほか、インクの供給のための機構などを省略でき、印刷装置1をコンパクトに構成できるからである。感熱紙としては、サーマルヘッド15の加熱により発色する発色層を有する感熱発色タイプのものや、加熱により穿孔される穿孔層を基材層上に積層した感熱穿孔タイプのもの等、種々のものを使用可能である。
【0022】
また、前記分離ブロック13には、プラテンローラ16の用紙送り出し方向に対して傾斜した排紙ガイド面132が形成されている。この構成において、サーマルヘッド15の発熱体部151により印字がなされた後の用紙7は、この排紙ガイド面132により案内されて、図1に示すように、本体ケース2の上カバー5と前記蓋体10とがなす隙間から、蓋体10の上側へ排紙される。
【0023】
次に、印刷装置1にセットされる本発明の第一の実施の形態である用紙パッケージ9について、図5乃至図14を参照して詳細に説明する。図5は、用紙パッケージ9の斜視図であり、図6は、蓋部44を裏側に折り返した状態の用紙パッケージ9の斜視図であり、図7は、用紙パッケージ9の底面図である。また、図8は、パッケージ材8の外側から見た展開図であり、図9は、パッケージ材8の内側から見た展開状態の斜視図であり、図10は、用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。また、図11は、用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図であり、図12は、用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。また、図13は、用紙パッケージ9に用紙7を挿入する工程を示す斜視図であり、図14は、用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【0024】
図5に示すように、用紙パッケージ9は、板状のパッケージ材8を折り曲げて直方体形状の薄型の箱形に形成されている。この用紙パッケージ9内には、用紙(被記録媒体)7が複数枚積層されて収納されている。用紙7は、例えば、A6〜A7サイズ程度の小サイズのカットシート状の感熱紙である。使用者は、図5に示す箱形の状態で販売されている用紙パッケージ9を購入し、まず図6及び図7に示すように、蓋部44を開けて裏側に折り返して、内部の用紙7を露出させ、後述する底部40の第三スリット45の開口部451に蓋部44の差込部444を差し込んで蓋部44を固定する。その状態の用紙パッケージ9を印刷装置1の用紙収容部6にセットして使用する。なお、以下の説明において、用紙パッケージ9を用紙収容部6にセットした際、印刷機構部14側に配置される側の端部を前端部、その反対側の端部を後端部、その他の対向する2つの端部を側端部という。また、用紙パッケージ9の前端部と後端部とを結ぶ線の方向を前後方向といい、前後方向と直交する両側端部を結ぶ線の方向を左右方向という。
【0025】
次に、図8及び図9を参照して、パッケージ材8の構造を説明する。図8は、パッケージ材8の外側から見た展開図である。図9は、パッケージ材8の内側から見た展開状態の斜視図である。図8及び図9に示すように、パッケージ材8は、平板状の厚紙材を打ち抜いて形成されており、その中央部に、積層された用紙7の積層方向一側の面を覆う底部40が設けられている。そして、底部40の一対の側端部の一方から矩形の側壁部41が延設され、他方の側端部から矩形の側壁部42が延設されている。この側壁部41,42及び後述する側壁部55の高さ(短手方向の幅)は、全て同じであり、用紙パッケージ9内に収納される用紙7の積層高よりも高い。尚、底部40が、「第一部分」に相当する。
【0026】
また、図8及び図9に示すように、底部40の前端側には、蓋部44が延設されている。蓋部44は、矩形の蓋基部441と、蓋側壁部442と、蓋先端部443と、差込部444とを備えている。矩形の蓋側壁部442は、蓋基部441から延設され、前記側壁部41及び42の高さと同じ高さ(短手方向の幅)を有する。蓋先端部443は、蓋側壁部442から延設され、当該蓋側壁部442より左右方向で幅が細い。差込部444は、蓋先端部443から延設され、蓋先端部443よりも左右方向で幅が細くその先端に一対の傾斜辺を備えている。尚、底部40と蓋基部441とを合わせた形が用紙7とほぼ同じ形状である。尚、蓋基部441が「第二部分」に相当し、蓋側壁部442は「第三部分」に相当し、蓋先端部443が「第四部分」に相当し、差込部444が「差込部」に相当する。
【0027】
また、図8及び図9に示すように、底部40の側壁部41には、組み立て後に、底部40に対向して用紙7を覆う矩形の第一外装部50が延設されている。この第一外装部50の後端部から矩形の側壁部55が延設されている。また、側壁部55には、用紙パッケージ9の組み立て時に、用紙7の下端部を受けるための矩形の舌部70が延設されている。尚、第一外装部50が「第五部分」に相当し、側壁部55が、「第六部分」に相当し、舌部70が、「第7部分」に相当する。また、図8及び図9で、二点鎖線で示されているのは折り目加工が施されている部分であって、当該折り目で厚紙材を折り曲げ易くして組立て時の便宜を図っている。
【0028】
さらに、第一外装部50には、前記蓋部44の差込部444が差し込まれる切り込みである第一スリット51と、後述する第二外装部60の差込部61が差し込まれる切り込みである第二スリット52とが形成されている。また、第一外装部50の蓋基部441に対向する側端部には、四角形の切り欠きである切欠部53が設けられている。この切欠部53を利用して、印刷装置1は、用紙7の有無を検出する。即ち、用紙パッケージ9は、図6及び図7に示す状態で、印刷装置1の用紙収容部6に装着されるが、印刷装置1には、切欠部53に対向する位置に反射型光学センサ80(図3及び図4参照)が設けられている。従って、用紙パッケージ9に用紙7が有るうちは、用紙7からの光の反射を反射型光学センサが検出し、用紙7が無くなると、反射型光学センサは、蓋体10の押圧板18を構成する合成樹脂からの反射光を検出することになる。従って、蓋体10の押圧板18を構成する合成樹脂の色合いを光の反射率の低いものにしておけば、用紙の有無を容易に検出できる。
【0029】
尚、図8に示すように、パッケージ材8の表側(外側)の底部40の側端部には、用紙パッケージ9に収納されている用紙7の種類やサイズを示すセンサマーク46が3つ印刷されている。このセンサマーク46は、印刷装置1に設けられている反射型光学センサ(反射型光学センサ80とは異なる図示外のセンサ)により読み取られるものである。例えば、センサマーク46が有ると「1」無いと「0」とすると、3個のセンサマーク46により8種類の用紙7を識別することができる。
【0030】
また、図8及び図9に示すように、底部40には、折り返された蓋部44の差込部444が差し込まれる第三スリット45が設けられている。この第三スリット45は、蓋部44に頂部を向けた円弧状に切り込まれ、更に、第三スリット45の頂上部から蓋部44に向けて、所定長さの直線に切り込みが形成されている。また、第三スリット45には、当該第三スリット45が成す円弧に対する弦で囲まれた三日月型に切り欠かれた開口部451が形成されている。この開口部451は、蓋部44の差込部444が第三スリット45に挿入しやすくするためのものである。開口部451、第三スリット45、第一スリット51及び第二スリット52は、パッケージ材8の打ち抜き加工時に同時に形成される。尚、舌部70は、用紙パッケージ9の組み立て時において、開口部451を塞ぐことができる長さに、延設されている。また、この第三スリット45が、「切込部」に相当し、開口部451が「開口部」に相当する。
【0031】
さらに、側壁部41と第一外装部50との間には、所定の長さで切り込まれた切込部54が設けられている。切込部54は、用紙パッケージ9が用紙収容部6に装着され、押圧板18により第一外装部50が押圧された場合に、第一外装部50の撓みを容易にする。
【0032】
さらに、図8及び図9に示すように、底部40の側端部から延設された側壁部42には、組み立て後に、底部40に対向して用紙7を覆う第一外装部50を固定するための第二外装部60が延設されている。この第二外装部60は、第一外装部50に比較して、左右方向で狭い幅となっており、その側端部に差込部61が形成されている。用紙パッケージ9の組み立て時に、この差込部61は、第一外装部50の第二スリット52に挿入され、第一外装部50を固定する。
【0033】
次に、図10乃至図14を参照して、用紙パッケージ9を製造する工程を以下に説明する。まず、図10に示すように、パッケージ材8の側壁部55を上方へ折曲げ、さらに、舌部70を第一外装部50に対向するように、側壁部55から垂直に内側に折り曲げる。次に、図11に示すように、側壁部41を上方へ折曲げ、さらに、折り曲げた舌部70の上に底部40を重ねるように、底部40を側壁部41から垂直に内側に折り曲げる。
【0034】
次いで、図12に示すように、側壁部42を下方へ折り曲げた後、第一外装部50の外側に重ねて第二外装部60を折り曲げ、第二外装部60の差込部61を第一外装部50の第二スリット52に差し込む。そして、この状態のパッケージ材8に、図13に示すように、積層された用紙7を挿入する。尚、用紙7は、舌部70の折り曲げ前に、パッケージ材8の第一外装部50に先に載置して、その後、折り曲げ加工をしても良い。
【0035】
最後に、図14に示すように、蓋部44を同様にして第一外装部50の外側に重なるように折り曲げ、蓋部44の差込部444を第一外装部50の第一スリット51に差し込んで、用紙パッケージ9が完成する。この状態で、用紙パッケージ9は販売されることになる。
【0036】
次に、図6、図14、図15、図16、図17及び図18を参照して、用紙パッケージ9の使用方法を説明する。図15は、用紙パッケージ9の使用時の開封動作を示す斜視図であり、図16は、用紙パッケージ9の使用時の開封動作を示す斜視図である。また、図17は、用紙パッケージ9の使用時の開封動作を示す斜視図であり、図18は、用紙パッケージ9の印刷装置1への装着動作を示す側断面図である。
【0037】
まず、用紙パッケージ9の使用時には、図14に示す状態になっている用紙パッケージ9の蓋部44を、図15に示すように、起こし、次いで、図16に示すように、II−II線で蓋部44を裏側に折り返す。そして、図17に示すように、蓋部44の蓋先端部443の差込部444を底部40の第三スリット45の開口部451から第三スリット45に差し込み、図6に示すように、蓋部44を底部40に固定する。この状態の用紙パッケージ9を図18に示すように、印刷装置1の用紙収容部6に収納する。そして、蓋体10を閉じると、押圧板18により、用紙パッケージ9の第一外装部50が押圧され、積層された用紙7の最下層部のものが、ピックアップローラ12に押圧される。
【0038】
このときに、用紙パッケージ9の第一外装部50に設けられた切欠部53に、印刷装置1に設けられた反射型光学センサ80が対向する(図3及び図4参照)。従って、用紙パッケージ9内に用紙7が存在する場合には、反射型光学センサ80は、用紙7からの反射光を検出し、用紙7が存在しなくなると、蓋体10の押圧板18を構成する合成樹脂からの反射光を検出する。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態の用紙パッケージ9では、底部40の第三スリット45には、開口部451が形成されているので、用紙パッケージ9の使用時に、蓋部44の蓋先端部443に形成された差込部444を、容易に第三スリット45に差し込むことができる。また、用紙パッケージ9の組み立て時には、第三スリット45の開口部451は、内側から舌部70により塞がれているので、内部の用紙7が光や埃等により変質することがない。
【0040】
尚、本発明は、上記実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。例えば、図19に示す第一変形例のように、第三スリット45をパッケージ材8の前後方向と直交する方向に切り込み、その両端部を蓋部44側に湾曲する。更に、第三スリット45の中央部から蓋部44方向(第三スリット45と直交する方向)に切込部453を所定長さ入れ、当該切込部453の基部に開口部451を形成しても良い。
【0041】
また、図20に示す第二変形例のように、円弧状に形成された第三スリット45の頂上部の蓋部44側の部分に開口部451を形成しても良い。尚、開口部451は、必ずしも円弧状に切り欠かれている必要はなく、三角形状等の形状でも良い。また、開口部451の位置は、用紙パッケージ9の前後方向において、第三スリット45の何れ側に形成しても良い。
【0042】
さらに、舌部70は、必ずしも矩形でなくても良く、開口部451を内側から塞ぐことができる形状であれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】印刷装置1の斜視図ある。
【図2】図1に示すI−I線における矢視方向断面図である。
【図3】用紙収容部6に用紙パッケージ9をセットした状態を示した図である。
【図4】用紙分離部11および印刷機構部14の詳細を示した拡大断面図である。
【図5】用紙パッケージ9の斜視図ある。
【図6】蓋部44を裏側に折り返した状態の用紙パッケージ9の斜視図である。
【図7】用紙パッケージ9の底面図である。
【図8】パッケージ材8の外側から見た展開図である。
【図9】パッケージ材8の内側から見た展開状態の斜視図である。
【図10】用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【図11】用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【図12】用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【図13】用紙パッケージ9に用紙7を挿入する工程を示す斜視図である。
【図14】用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【図15】用紙パッケージ9の使用時の開封動作を示す斜視図である。
【図16】用紙パッケージ9の使用時の開封動作を示す斜視図である。
【図17】用紙パッケージ9の使用時の開封動作を示す斜視図である。
【図18】用紙パッケージ9の印刷装置1への装着動作を示す側断面図である。
【図19】パッケージ材8の第一変形例の外側から見た展開図である。
【図20】パッケージ材8の第二変形例の外側から見た展開図である。
【符号の説明】
【0044】
1 印刷装置
2 本体ケース
3 フレーム
4 下カバー
5 上カバー
6 用紙収容部
7 用紙
8 パッケージ材
9 用紙パッケージ
10 蓋体
11 用紙分離部
14 印刷機構部
40 底部
41 側壁部
42 側壁部
44 蓋部
45 第三スリット
50 第一外装部
51 第一スリット
52 第二スリット
54 切込部
55 側壁部
60 第二外装部
61 差込部
70 舌部
441 蓋基部
442 蓋側壁部
443 蓋先端部
444 差込部
451 開口部
453 切込部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置に被印刷媒体である用紙を供給するために、前記印刷装置に装着される用紙パッケージであって、
積層された用紙と、
前記積層された用紙の外側を覆うパッケージ材とを備え、
前記パッケージ材は、少なくとも、
前記積層された用紙の積層方向の一側の面の一部を覆う矩形の第一部分と、
当該第一部分の一端部から折り曲げ可能に延設され、前記第一部分とともに前記用紙の前記積層方向の一側の面の一部を覆う矩形の第二部分と、
当該第二部分において前記第一部分との接続部と反対側の端部から折り曲げ可能に延設され、前記積層された用紙の側面を覆う矩形の第三部分と、
前記第三部分において前記第二部分との接続部と反対側の端部から折り曲げ可能に延設された第四部分と、
前記第一部分と対向し、前記積層された用紙の積層方向の前記一側の面と反対側の他側の面を覆う矩形の第五部分と、
当該第五部分の一端部から延設された矩形の第六部分と、
前記第六部分において前記第五部分との接続部と反対側の端部から折り曲げ可能に延設された第七部分と、
前記第四部分において前記第三部分との接続部と反対側の端部に形成され、当該第四部分よりも幅を狭く形成された差込部と、
前記第一部分に形成され、用紙パッケージを使用する場合に、前記第二部分乃至第四部分を折り返して、前記差込部が差し込まれる切込部とを備え、
当該切込部には、前記差込部を当該切込部に差し込み易くするための開口である開口部が形成され、
前記用紙パッケージの組立状態において、前記第七部分により前記開口部が前記用紙パッケージの内側から塞がれていることを特徴とする用紙パッケージ。
【請求項2】
前記切込部は、前記差込部の差し込み方向に、円弧の頂点を向けた円弧状に切り込まれて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の用紙パッケージ。
【請求項3】
前記切込部の円弧状の切り込みの頂点側を切り欠いて前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の用紙パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−57168(P2009−57168A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226615(P2007−226615)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】