説明

用紙搬送装置、用紙後処理装置、および画像形成システム

【課題】簡単な構成で用紙と搬送ガイドによる摩擦音を低減する。
【解決手段】上流側搬送ローラー3と下流側搬送ローラー6との間に配置され、外側搬送ガイド板50aおよび内側搬送ガイド板検知手段62で構成され、湾曲形成される用紙搬送経路を備える用紙搬送装置において、搬送される用紙と外側搬送ガイド板との距離を検知する外側搬送ガイド板検知手段61と、用紙と内側搬送ガイド板との距離を検知する内側搬送ガイド板検知手段62と、外側搬送ガイド板と用紙との距離があらかじめ定めた一定値以下であるとき上流側搬送ローラー3の速度を減じ、その後、内側搬送ガイド板と用紙との距離が、あらかじめ定めた一定値以下となったとき上流側搬送ローラー3の速度を増し、用紙が下流側搬送ローラーに到達するまで、用紙が自重で前記外側搬送ガイドに接触して移動するよう制御するローラー制御手段130と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙搬送装置、用紙後処理装置、および画像形成システムに係り、特に湾曲した用紙搬送路を備えた用紙搬送装置、この用紙搬送装置を備えた用紙後処理装置およびこの用紙後処理装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成システムとして、用紙に画像形成を行う画像形成装置と、画像形成装置から出力された用紙に穿孔処理、ステイプル処理、折処理などを行う用紙後処理装置と、を備えたものがある。
【0003】
このような、画像形成システムに使用される用紙後処理装置では、搬入された用紙を搬送する用紙搬送装置を備え、用紙を各処理部に搬送している。特許文献1に記載の用紙搬送装置は、搬入された用紙を指示された処理を行う装置に向け用紙を振り分けるものであり、例えば、搬入された用紙をソート処理するソート経路と、用紙をそのまま排出するプルーフ経路とに振り分けるソート搬送経路部を備えている。
【0004】
図5は従来の用紙搬送装置で用紙をソート経路に搬送する状態を示す断面図、図6は図5に示した用紙搬送装置で用紙をプルーフ経路に搬送している状態を示す断面図である。用紙搬送装置であるソート搬送経路部60には、分岐爪4が配置され、用紙をプルーフ経路と、ソート経路とに振り分ける。ソート搬送経路部60には、入口ガイド板1、上流側内側搬送ローラー3a、上流側外側搬送ローラー3b、ソート経路を構成する外側搬送ガイド板50a、内側搬送ガイド板50b、下流側内側搬送ローラー6a、下流側外側搬送ローラー6bを備える。
【0005】
入口ガイド板1で案内され、上流側内側搬送ローラー3a、上流側外側搬送ローラー3bで搬送された用紙は、分岐爪4でソート経路又はプルーフ経路に振り分けられる。なお、図5および図6中符号71は、上流側内側搬送ローラー3a、上流側外側搬送ローラー3bの上流に用紙があることを検知する用紙位置検知センサーを、符号72は、下流側内側搬送ローラー6a、下流側外側搬送ローラー6bの下流に用紙があることを検知する用紙位置検知センサーを示している。
【0006】
図5に示すように、用紙P1をソート経路側に搬送するときには、分岐爪4はソート経路側に通路を形成し、用紙P1は、矢印Psに沿って搬送される。また、図6に示すように、用紙P2をプルーフ経路側に搬送するときは、分岐爪4は回動して用紙をそのまま排出する湾曲したプルーフ経路を形成し、用紙P2は搬送方向Pvに沿って搬送される。
【0007】
しかしこのような用紙搬送装置にあっては、図7に示すように、用紙の搬送時に用紙P3が自重でたわみ、外側搬送ガイド板50aに接触しながら搬送されることがある。また、外側搬送ガイド板50aで用紙を張る方向で搬送すると、上流側内側搬送ローラー3a、上流側外側搬送ローラー3bと下流側内側搬送ローラー6a、下流側外側搬送ローラー6bによる張力で、用紙が用紙搬送経路最短になるような力が働くため、用紙P3には、図7中の右上方向に力(矢印D)が加わり、図7中に示した用紙P4のように内側搬送ガイド板50bと接触して動くことになり、同様に摩擦音が大きくなる。
【0008】
このような音を低減するため、特許文献2には、記録用紙と搬送ガイドとの接触による摩擦音を低減し、画像形成装置全体の稼働音を小さくするため、以下のものが記載されている。図8は特許文献2に係る用紙搬送装置を示す断面図、図9は図8に示した用紙搬送装置の不具合を示す断面図である。
【0009】
特許文献2に係る用紙搬送装置では、図8および図9に示すように、前記用紙搬送方向上流側の外側搬送ガイド84b近傍で、かつ搬送経路81、82、83、84中の用紙P80の進行方向である、空気吹き付け方向となる位置に、空気吹き付け装置86を配置し、前記外側搬送ガイド84bに沿って前記搬送経路81、82、83、84の上流側から下流側へと発生された空気流で用紙P80と外側搬送ガイド84b内面との間に空気層を形成するものである。特許文献2に係る用紙搬送値は、空気層を記録シートと外側搬送ガイド内面との間に形成し、記録シートが両搬送ガイドに接触せずに搬送できるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし特許文献2に記載の用紙搬送装置にあっては、用紙がたわんだとき、図9に示すように、用紙P81が外側搬送ガイド84bと接触するだけではなく、用紙のコシおよび自重により、シートP82のように内側搬送ガイド84aと接触することがあり、用紙の摩擦音を低減することができないという問題がある。
【0011】
そこで本発明は、簡単な構成で用紙と搬送ガイドによる摩擦音を低減することができる用紙搬送装置、用紙後処理装置、および画像形成システム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決する請求項1の発明は、上流側搬送ローラーと下流側搬送ローラーとの間に配置され、外側搬送ガイド板および内側搬送ガイド板で構成され、湾曲形成される用紙搬送経路を備える用紙搬送装置において、前記用紙搬送路を搬送される用紙と前記外側搬送ガイド板との距離を検知する第1の検知手段と、前記用紙と前記内側搬送ガイド板との距離を検知する第2の検知手段と、前記外側搬送ガイド板と用紙との距離があらかじめ定めた一定値以下であるとき前記上流側搬送ローラーの速度を減じ、その後、前記内側搬送ガイド板と用紙との距離が、あらかじめ定めた一定値以下となったとき前記上流側搬送ローラーの速度を増し、前記用紙が下流側搬送ローラーに到達するまで、前記用紙が自重で前記外側搬送ガイドに接触して移動するよう制御するローラー制御手段と、を備えることを特徴とする用紙搬送装置である。
【0013】
同じく請求項2の発明は、請求項1に記載の用紙搬送装置において、前記第1検知手段および前記第2検知手段が、測距センサーであることを特徴とする。
【0014】
同じく請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の用紙搬送装置において、前記第2検知手段が、用紙搬送の最短経路上に配置されることを特徴とする。
【0015】
同じく請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の用紙搬送装置において、前記第1の検知手段および前記第2の検知手段への電力が、前記下流側搬送ローラーに配置した用紙検知手段で用紙を検知した後に供給されることを特徴とする。
【0016】
同じく請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の用紙搬送装置において、前記搬送経路には、搬送経路を分岐する分岐爪を備え、前記第1検知手段が、前記分岐爪に配置されていることを特徴とする。
【0017】
同じく請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の用紙搬送装置において、前記第1検知手段および第2検知手段への電力が、前記上流側搬送ローラーに用紙が到達したとき遮断されることを特徴とする。
【0018】
同じく請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の用紙搬送装置において、前記第1検知手段および前記第2検知手段の少なくとも一方の検知手段が、前記内側搬送ガイド板および前記外側搬送ガイド板の幅方向の中心配置されていることを特徴とする。
【0019】
同じく請求項8の発明は、搬入された用紙に後処理を行う後処理手段と、請求項1から請求項7のいずれかに記載の用紙搬送装置とを備えることを特徴とする用紙後処理装置である。
【0020】
同じく請求項9の発明は、用紙に画像形成を行う画像形成部を備える画像形成装置と、請求項8に記載の用紙後処理装置とを備えることを特徴とする画像形成システムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ローラー制御手段が搬送ローラーの回転を制御して、用紙をガイド板と接触しないようにたわませるようにするので、用紙と搬送ガイドとが接触することに起因する異音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1に係る画像形成システムの概略構成および用紙後処理装置の構成を示す断面図である。
【図2】同じく用紙後処理装置における用紙搬送装置を示す断面図である。
【図3】同じく用紙後処理装置における用紙搬送装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施例7に係る用紙搬送装置のセンサー配置箇所を示す模式図である。
【図5】従来の用紙搬送装置で用紙をソート経路に搬送する状態を示す断面図である。
【図6】図5に示した用紙搬送装置で用紙をプルーフ経路に搬送している状態を示す断面図である。
【図7】図5に示した用紙搬送装置の不具合を示す断面図である。
【図8】従来の用紙搬送装置を示す断面図である。
【図9】図8に示した用紙搬送装置の不具合を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態に係る用紙搬送装置は、上流側搬送ローラーと下流側搬送ローラーとの間に配置され、外側搬送ガイド板および内側搬送ガイド板で構成され湾曲形成される用紙搬送経路を備える用紙搬送装置において、前記用紙搬送路を搬送される用紙と前記外側搬送ガイド板との距離を検知する第1の検知手段と、前記用紙と前記内側搬送ガイド板との距離を検知する第2の検知手段と、前記外側搬送ガイド板と用紙との距離があらかじめ定めた一定値以下であるとき前記上流側搬送ローラーの速度を減じ、その後、前記内側搬送ガイド板と用紙との距離が、一定値以下となったとき前記上流側搬送ローラーの速度を増し、前記用紙が下流側搬送ローラーに到達するまで、前記用紙が自重で前記外側搬送ガイドに接触して移動するよう制御するローラー制御手段と、を備えるものである。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例(以下では単に実施例と記載する)に係る用紙搬送装置、用紙後処理装置、および画像形成システムについて説明する。以下、いくつかの例について説明するが、本発明はこれらに限定されず、かつ本発明の真の趣旨および範囲から逸脱せずに、数多くの改良、変更、変形、置換をなすことおよび応用例を想到することが当業者には可能であろう。
【0025】
<実施例1>
以下実施例1に係る用紙搬送装置、用紙後処理装置、および画像形成システムについて説明する。図1は実施例1に係る画像形成システムの概略構成および用紙後処理装置の構成を示す断面図である。実施例1に係る画像形成システム100は、用紙に画像形成を行う電子写真方式の画像形成装置を構成する複写機110と、画像形成装置から出力された用紙に、穿孔処理、ステイプル処理、折処理などを行う用紙後処理装置120とを備えて構成される。なお、画像形成装置としてはインクジェット方式の画像形成装置等他の画像形成装置であってもよい。
【0026】
複写機110から排出された用紙は、入口ガイド板1に案内され、用紙後処理装置120に搬入され、用紙後処理装置120内の搬送ローラー2、3によって用紙後処理装置120内部に搬入される。用紙後処理装置120に搬入された用紙は、分岐爪4、5によって、プルーフ搬送経路A、ソート搬送経路B、およびステイプル搬送経路Cに分岐される。
【0027】
プルーフ搬送経路Aに搬入された用紙は、下流側搬送ローラー6、排紙ローラー7によってプルーフトレイ8に排出される。また、ソート搬送経路Bに搬入された用紙は、搬送ローラー9、排紙ローラー10によって積載トレイ11に排出される。さらに、ステイプル搬送経路Cに搬入された用紙は、搬送ローラー12、13、14、ステイプル排紙ローラー15によってステイプルトレイ30に排出され、叩きころ16により基準フェンス17に落下させた後、ジョガーフェンス18により整合される。そして、端とじ処理が行われる場合、ステイプラー19により所定の位置にとじ処理され、放出爪、および排紙ローラー10によって積載トレイ11に放出される。
【0028】
また、中とじ処理が行われる場合、ジョガーフェンス18により用紙が整合された後、中とじステイプラー20により用紙中央にとじ処理され、放出ローラー21、搬送ローラー22により紙折部の紙折ストッパ23に搬送され、紙折ブレード24、紙折ローラー25により中折りされ、排紙ローラー26によって中とじトレイに放出される。
【0029】
次に実施例1に係る用紙搬送装置について説明する。図2は実施例1に係る用紙後処理装置における用紙搬送装置を示す断面図である。実施例1に係る用紙後処理装置120は、用紙搬送装置140として、ステイプル搬送経路Cに上流側搬送ローラー3(上流側内側搬送ローラー3aおよび上流側外側搬送ローラー3b)と下流側搬送ローラー6(下流側内側搬送ローラー6aおよび下流側外側搬送ローラー6b)との間に配置され、外側搬送ガイド板50aおよび内側搬送ガイド板50bで構成され、湾曲形成される用紙搬送経路を備えている。
【0030】
実施例1では、用紙搬送装置140は、用紙搬送路を搬送される用紙と外側搬送ガイド板50aとの距離を検知する第1の検知手段としての外側搬送ガイド板検知手段61と、用紙と内側搬送ガイド板50bとの距離を検知する第2の検知手段としての内側搬送ガイド板検知手段62とを備える。
【0031】
また、実施例1では、外側搬送ガイド板検知手段61と用紙との距離があらかじめ定めた一定値以下であるとき上流側搬送ローラー3の速度を減速し、その後、内側搬送ガイド板検知手段62と用紙との距離が一定値以下となったとき上流側搬送ローラー3の速度を増速し、用紙が下流側搬送ローラー6に到達するまで、用紙が自重で前記外側搬送ガイドに接触して移動するよう制御するローラー制御手段130を備える。このローラー制御手段130は、外側搬送ガイド板検知手段61と、内側搬送ガイド板検知手段62との検知状態に基づいて上流側搬送ローラー3および下流側搬送ローラー6の駆動を制御する。また、ローラー制御手段130は、用紙位置検知センサー71および用紙位置検知センサー72に接続され、それぞれのセンサー71、72からも用紙検出の信号を受け制御を行う。
【0032】
ここで、ローラー制御手段130は、CPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピューターとして構成され、CPUでROMに格納されたプログラムを実行して、外側搬送ガイド板検知手段61、内側搬送ガイド板検知手段62、用紙位置検知センサー71、用紙位置検知センサー72の出力に基づいて、上流側搬送ローラー3および下流側搬送ローラー6の駆動制御を行う。すなわち、ローラー制御手段130は、外側搬送ガイド板検知手段61および内側搬送ガイド板検知手段62の検出値と、ROMに格納されたそれぞれの検知手段に対応して設定された一定値と、比較して、上流側搬送ローラー3および下流側搬送ローラー6の速度を制御する。このローラー制御手段130は、用紙後処理装置120の全体制御を行う制御装置がその機能を兼ねることができる。
【0033】
実施例1に係る用紙搬送装置140において、ローラー制御手段130は、外側搬送ガイド板50aおよび内側搬送ガイド板50bと用紙との距離を検知し、用紙が外側搬送ガイド板50aに近い場合は、用紙がたわんでいると判断し、上流側搬送ローラー3の速度を減速して用紙を張る方向に制御する。また、ローラー制御手段130は、用紙が内側搬送ガイド板50bに近い場合は、用紙が張っていると判断し、上流側搬送ローラー3の速度を増速し、用紙をたわませる方向に制御して用紙とガイド板の接触を減らす。このような制御により、用紙と搬送ガイドによる摩擦音を低減することができる。
【0034】
ここで、外側搬送ガイド板検知手段61および内側搬送ガイド板検知手段62は、用紙の先端もしくは、後端を検知する通常の検知装置とは異なり、それぞれのガイド板50a、50bに用紙が接触するもしくは、ガイド板に用紙の接触を予知できるように、用紙の搬送ガイド板からの距離が、外側(内側)搬送ガイドから、内側(外側)搬送ガイドの搬送方向に対する垂直方向の長さに対して、例えば1/4以内になった場合にON状態となるものとする。
【0035】
また、ローラー制御手段130は、下流側搬送ローラー6に用紙があることを、用紙位置検知センサー72で検出し、上流側搬送ローラー3に用紙があることを、用紙位置検知センサー71で検出して制御を行う。
【0036】
次に実施例1に係る用紙搬送装置140の動作について説明する。図3は実施例1に係る用紙後処理装置における用紙搬送装置の動作を示すフローチャートである。まず、用紙P11が上流側搬送ローラー3まで搬送された状態(スタート:ステップS1)から、用紙P11は、搬送方向Pvに用紙P11の自重でたわんで、外側搬送ガイド板50aと接触しながら搬送される。
【0037】
この際、上流側搬送ローラー3まで搬送された用紙P11が上流側搬送ローラー3まで搬送されているかどうかが用紙位置検知センサー71により検出される(ステップS2)。ついで、上流側搬送ローラー3まで搬送された用紙P11が下流側搬送ローラー6まで搬送されると、外側搬送ガイド板50a経路上に配置した外側搬送ガイド板検知手段61がON状態になるが、用紙位置検知センサー72がOFF状態のため、ローラー制御手段130は、外側搬送ガイド板検知手段61をトリガーにした制御は実施されない。
【0038】
用紙P11が、上流側搬送ローラー3から下流側搬送ローラー6まで搬送されると、用紙位置検知センサー72がON状態となり、外側搬送ガイド板検知手段61の状態が判定される(ステップS3)。外側搬送ガイド板検知手段61がON状態となっていると、ローラー制御手段130は、用紙P11が自重により外側搬送ガイド板50aに接触していると判定し、上流側搬送ローラー3を減速する(ステップS7)。これにより、用紙P11に張力が付与され、用紙P11の自重による外側搬送ガイド板との摩擦が低減される。
【0039】
外側搬送ガイド板検知手段61がOFF状態となるまで、上流側搬送ローラー3が減速され、外側搬送ガイド板検知手段61がOFF状態となったら、内側搬送ガイド板検知手段62の状態が判定される(ステップS4)。内側搬送ガイド板センサーがON状態であるとき、用紙P12は張力により内側搬送ガイド板50bに接触し、用紙P12と外側搬送ガイド板50aが接触していることが分かるので、ローラー制御手段130は、上流側搬送ローラー3を加速する(ステップS8)。これにより、用紙P12の張力を解除され、用紙はその自重により内側搬送ガイド板50bから離れ、内側搬送ガイド板50bとの摩擦力が低減される。
【0040】
内側搬送ガイド板検知手段62がOFF状態となるまで、上流側搬送ローラー3を増速したままにし(ステップS8)、内側搬送ガイド板検知手段62がOFF状態となったら、用紙位置検知センサー71の状態が判定される(ステップS5)。そして、用紙位置検知センサー71がOFF状態になり、用紙の搬送が終了するまで、上記動作を繰り返し、用紙位置検知センサー71がOFF状態になった時点で、上流側搬送ローラー3を停止させる(ステップS6)。これにより用紙搬送装置140による用紙の搬送は終了する。
【0041】
実施例1に係る用紙搬送装置140によれば、リアルタイムで用紙の挙動を測定することにより、外側搬送ガイド板50aおよび内側搬送ガイド板50bと用紙の接触を防止でき、用紙と搬送ガイド表面における摩擦音を低減することができる。
【0042】
<実施例2>
次に実施例2に係る用紙搬送装置について説明する。実施例1に係る用紙搬送装置では、外側搬送ガイド板検知手段61と、内側搬送ガイド板検知手段62とを個別に設けていた。実施例2に係る用紙搬送装置は、これらを1台の測距センサーで実現する。この測距センサーは、用紙のガイド板50a、50bからの距離を測定するものである。実施例2に係る用紙搬送装置によれば、部品点数を削減でき、簡単な構成で摩擦音を低減することができる。
【0043】
<実施例3>
次に実施例3に係る用紙搬送装置について説明する。実施例3に係る用紙搬送装置は、内側搬送ガイド板検知手段62を用紙搬送最短経路上に配置したものである。用紙の搬送速度が上流側よりも下流側が速い場合、用紙は引っ張られ、このように引っ張られた用紙は、用紙搬送最短経路を通過する。実施例3に係る用紙搬送装置によれば、用紙搬送最短経路上に内側搬送ガイド板検知手段62を配置しているので、内側搬送ガイド板50bの全域にわたって検知を行う高性能センサーを使用することなく、内側搬送ガイド板50bの狭いセンシング領域だけを検知する安価なセンサーで足り、低コストで摩擦音を低減することができる。
【0044】
<実施例4>
次に実施例4に係る用紙搬送装置について説明する。実施例4に係る用紙搬送装置において、ローラー制御手段130は、用紙位置検知センサー72で用紙を検出するまで、外側搬送ガイド板検知手段61と、内側搬送ガイド板検知手段62への電力供給を遮断し、用紙位置検知センサー72で用紙を検出した後、外側搬送ガイド板検知手段61と、内側搬送ガイド板検知手段62への電力供給を開始する制御を行う。実施例4に係る用紙搬送装置によれば、両検知手段61、62への電力供給を制限するので、消費エネルギーの低減を図ることができる。

【0045】
<実施例5>
次に実施例5に係る用紙搬送装置について説明する。用紙搬送装置において、搬送経路を分岐するため分岐爪4配置している(図1参照)。実施例5に係る用紙搬送装置は、外側搬送ガイド板検知手段61を分岐爪4上に配置したものである。
【0046】
用紙の搬送経路を分岐する際、用紙に張力が掛かっていないと、用紙は必ず分岐爪4と接触しながら搬送される。実施例5に係る用紙搬送装置では、分岐爪4上に用紙との距離を検知する検知手段を配置するか、分岐爪4の背面に用紙との距離を検知する測距センサーを配置する。このため、実施例5に係る用紙搬送装置では、外側搬送ガイド板検知手段61の配置箇所を外側搬送ガイド板50aの検知箇所を分岐爪4だけに配置すればよく、低コストで摩擦音の低減を実現することができる。
【0047】
<実施例6>
次に実施例6に係る用紙搬送装置について説明する。実施例6に係る用紙搬送装置140は、ローラー制御手段130が用紙位置検知センサー71で用紙がないことを検知したとき、外側搬送ガイド板検知手段61および内側搬送ガイド板検知手段62への電力供給を遮断するものである。実施例6に係る用紙搬送装置によれば、両検知手段61、62への電力供給を制限するので、消費エネルギーの低減を図ることができる。
【0048】
<実施例7>
次に実施例7に係る用紙搬送装置について説明する。実施例7に係る用紙搬送装置は、内側搬送ガイド板検知手段62を、前記内側搬送ガイド板50bの幅方向の中心配置したものである。図4は実施例7に係る用紙後処理装置における内側搬送ガイド板検知手段の配置状態を示す模式図である。実施例7に係る用紙搬送装置では、内側搬送ガイド板50bは、幅寸法W1である、図中、符号W2は内側搬送ガイド板50bの中心までの距離をまた、符号P13vは用紙の搬送方向を示している。
【0049】
実施例7に係る用紙搬送装置において、内側搬送ガイド板検知手段62を内側搬送ガイド板50bの幅方向の中央位置に設けている。実施例7によれば、用紙搬送装置が用紙を搬送路の中央部を搬送すれば、用紙サイズにかかわらず、用紙は内側搬送ガイド板検知手段62の設置箇所を用紙が通過することになる。このため、1台の内側搬送ガイド板検知手段62ですべてのサイズの用紙を検知できる。なお、外側搬送ガイド板検知手段61も外側搬送ガイド板50aの幅方向の中央に配置することができる。
【0050】
実施例7に係る用紙搬送装置によれば、検知手段を搬送ガイド板の幅方向に複数設ける必要がなく、低コストで摩擦音を低減することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 入口ガイド板
2 搬送ローラー
3 上流側搬送ローラー
3a 上流側内側搬送ローラー
3b 上流側外側搬送ローラー
4,5 分岐爪
6 下流側搬送ローラー
6a 下流側内側搬送ローラー
6b 下流側外側搬送ローラー
7 排紙ローラー
8 プルーフトレイ
9 搬送ローラー
10 排紙ローラー
11 積載トレイ
12、13、14 搬送ローラー
15 ステイプル排紙ローラー
16 叩きころ
17 基準フェンス
18 ジョガーフェンス
19 ステイプラー
20 ステイプラー
21 放出ローラー
22 搬送ローラー
23 紙折ストッパ
24 紙折ブレード
25 紙折ローラー
26 排紙ローラー
27 中とじトレイ
30 ステイプルトレイ
50a 外側搬送ガイド板
50b 内側搬送ガイド板
60 ソート搬送経路部
61 外側搬送ガイド板検知手段(第1の検出手段)
62 内側搬送ガイド板検知手段(第2の検出手段)
71 用紙位置検知センサー
72 用紙位置検知センサー
A プルーフ搬送経路
B ソート搬送経路
C ステイプル搬送経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2006−137581号公報
【特許文献2】特開2008−303031号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側搬送ローラーと下流側搬送ローラーとの間に配置され、外側搬送ガイド板および内側搬送ガイド板で構成され、湾曲形成される用紙搬送経路を備える用紙搬送装置において、
前記用紙搬送路を搬送される用紙と前記外側搬送ガイド板との距離を検知する第1の検知手段と、
前記用紙と前記内側搬送ガイド板との距離を検知する第2の検知手段と、
前記外側搬送ガイド板と用紙との距離があらかじめ定めた一定値以下であるとき前記上流側搬送ローラーの速度を減じ、その後、前記内側搬送ガイド板と用紙との距離が、あらかじめ定めた一定値以下となったとき前記上流側搬送ローラーの速度を増し、前記用紙が下流側搬送ローラーに到達するまで、前記用紙が自重で前記外側搬送ガイドに接触して移動するよう制御するローラー制御手段と、
を備えることを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記第1検知手段および前記第2検知手段が、測距センサーであることを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記第2検知手段が、用紙搬送の最短経路上に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記第1の検知手段および前記第2の検知手段への電力が、前記下流側搬送ローラーに配置した用紙検知手段で用紙を検知した後に供給されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記搬送経路には、搬送経路を分岐する分岐爪を備え、
前記第1検知手段が、前記分岐爪に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記第1検知手段および第2検知手段への電力が、前記上流側搬送ローラーに用紙が到達したとき遮断されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
前記第1検知手段および前記第2検知手段の少なくとも一方の検知手段が、前記内側搬送ガイド板および前記外側搬送ガイド板の幅方向の中心配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項8】
搬入された用紙に後処理を行う後処理手段と、請求項1から請求項7のいずれかに記載の用紙搬送装置とを備えることを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項9】
用紙に画像形成を行う画像形成部を備える画像形成装置と、請求項8に記載の用紙後処理装置とを備えることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−176850(P2012−176850A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41839(P2011−41839)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】