説明

用紙積載装置、用紙後処理装置及び画像形成装置

【課題】用紙トレイ上に用紙を適切に積載収容することができる用紙積載装置、並びに、その用紙積載装置を備えた用紙後処理装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙を積載収容する用紙トレイと、装置本体内から用紙トレイに用紙を搬送する搬送ローラ対と、用紙トレイ上の用紙を上方から押える押え位置と前記押さえ位置から搬送ローラ対に向かって退避した退避位置との間で移動可能な用紙押え手段とを備えた用紙積載装置において、搬送ローラ対により搬送された用紙の後端を用紙トレイに向かって押圧可能な経路を通って、用紙押え手段が前記退避位置から前記押え位置に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙をトレイ上に積載収納する用紙積載装置、及び、その用紙積載装置を備えた用紙後処理装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙積載装置において排紙ローラ対により排紙トレイ上に搬送された用紙上へ順次用紙が排紙される場合、搬送中の用紙が既に排紙の終了した排紙トレイ上の用紙を擦りながら押して移動させ、用紙を排紙トレイ上から押し出すことがある。
【0003】
特許文献1に記載の用紙積載装置には、排紙トレイ上の用紙の後端付近を上方から押える後端押え部材が設けられている。排紙トレイ上に排紙された用紙を後端押え部材により押えることで、排紙ローラ対により搬送中の用紙が既に排紙の終了した排紙トレイ上の用紙を排紙トレイ上から押し出すことを抑制することができる。また、排紙ローラ対により搬送中の用紙がある程度、排紙トレイ上に排紙されたら後端押え部材を排紙トレイ上の用紙を押える押え位置から排紙ローラ対に向かって退避させる。これにより、排紙ローラ対により搬送中の用紙の後端部分を後端押え部材に邪魔されることなく、排紙トレイ上の既に排紙の終了した用紙上に載置させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、排紙ローラ対により搬送された用紙が既に排紙トレイ上に積載されている用紙と擦れることで、既に排紙が終了した排紙トレイ上の用紙を排紙トレイ上から押し出すこと以外にも次のような問題が生じ得る。すなわち、排紙ローラ対により搬送された用紙の先端が既に排紙トレイ上に積載されている用紙と擦れることでブレーキがかかり、用紙後端が排紙トレイに到達する前に用紙の搬送が停止して、排紙トレイ上に用紙を適切に収容できなくなる。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、用紙トレイ上に用紙を適切に収容することができる用紙積載装置、並びに、その用紙積載装置を備えた用紙後処理装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、用紙を積載収容する用紙トレイと、前記用紙トレイに用紙を搬送する搬送ローラ対と、前記用紙トレイ上の用紙を上方から押える用紙押え手段とを備えた用紙積載装置において、前記用紙押え手段は前記用紙トレイ上の用紙を上方から押える押え位置と該押さえ位置から前記搬送ローラ対に向かって退避した退避位置との間で移動可能であり、前記搬送ローラ対により搬送された用紙の後端を前記用紙トレイに向かって押圧可能な経路を通って、前記用紙押え手段が前記退避位置から前記押え位置に移動することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の用紙積載装置において、上記搬送ローラ対が形成するニップ位置を通るローラ軸方向に延びた仮想直線と交差する位置を通って、上記用紙押え手段が前記退避位置から前記押え位置に移動することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の用紙積載装置において、上記用紙押え手段は上記搬送ローラ対により搬送された用紙の先端が上記用紙トレイ上に到達した後に上記押え位置から上記退避位置に移動することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の用紙積載装置において、上記用紙押え手段は、装置本体に対して回転可能に第一支持部によって軸支された第一部材と、前記第一部材に対して回転可能に第二支持部によって前記第一部材に軸支された第二部材とからなり、前記第二部材によって上記用紙トレイ上の用紙を押えるものであり、前記用紙押え手段は上記排紙ローラ対により搬送されている用紙の下面と前記第二部材とが接しながら上記押え位置から上記退避位置に移動することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の用紙積載装置において、上記用紙押え手段は、用紙の下面と前記第二部材とが接しているときに、用紙により押圧されて前記第二部材が上記第二支持部を中心に回転する方向とは逆方向に前記第二部材を付勢する弾性部材を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の用紙積載装置において、上記第二部材は用紙との間での摩擦係数が低摩擦係数となる低摩擦係数材料と高摩擦係数となる高摩擦係数材料とからなり、上記用紙トレイに積載される前の用紙に対しては前記低摩擦係数材料が接し、前記用紙トレイに積載された後の用紙に対しては前記高摩擦係数材料が接する構成であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、画像形成装置から搬送された用紙に対して後処理を行う後処理手段と、前記後処理手段により後処理が施された用紙を積載収容する用紙積載手段とを備えた用紙後処理装置において、前記用紙積載手段として請求項1、2、3、4、5または6の用紙積載装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、用紙に画像を形成する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体により画像が形成された用紙に後処理を行う用紙後処理手段とを備えた画像形成装置において、前記用紙後処理手段として、請求項7の用紙後処理装置を用いたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、用紙押え手段を退避位置から押え位置に移動させることで、搬送ローラ対により搬送された用紙の後端を用紙押え手段が用紙トレイに向かって押圧し、用紙を用紙トレイに送り込むことができる。よって、用紙の後端が用紙トレイに到達する前に用紙の搬送が停止して、用紙トレイ上に用紙を適切に収容できなくなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によれば、用紙トレイ上に用紙を適切に収容することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】用紙後処理装置の概略構成図。
【図3】用紙後処理装置の拡大斜視図。
【図4】ストレート排紙モード時の用紙の動きや後端押え部材の動作の一例を示した図。
【図5】ストレート排紙モード時の用紙の動きや後端押え部材の動作の一例を示した図。
【図6】ストレート排紙モード時の用紙の動きや後端押え部材の動作の一例を示した図。
【図7】ストレート排紙モード時の用紙の動きや後端押え部材の動作の一例を示した図。
【図8】図5における後端押え部材近傍の拡大図。
【図9】図6における後端押え部材近傍の拡大図。
【図10】図7における後端押え部材近傍の拡大図。
【図11】従来技術の後端押え部材の移動経路を示した図。
【図12】本発明の後端押え部材の移動経路を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を画像形成装置に設けられた用紙後処理装置の用紙積載装置に適用した場合の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成を示す構成図である。この画像形成装置100の中央部には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(Bk)の各色のトナー像を形成するための画像ステーション65Y,65C,65M,65Bkを備えている。以下、各符号の添字Y,C,M,Bkは、それぞれイエロー、シアン、マゼンダ、ブラック用の部材であることを示す。各画像ステーション65Y,65C,65M,65Bkは、ドラム状の感光体20Y,20C,20M,20Bkにレーザ光を照射可能な潜像形成手段としての光学ユニット8を備えている。画像ステーション65の上方には、一次転写ローラ62Y,62C,62M,62Bkや中間転写ベルト61を備えた転写手段たる中間転写ユニット60を備えている。また、中間転写ベルト61に転写されたトナー画像を用紙Sに定着する定着手段たる定着ユニット76を備えている。また、中間転写ユニット60の上方には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のトナーを収容するトナーボトル9Y,9C,9M,9Bkが装填されており、画像形成装置上部には原稿の画像データを読み取るスキャナ16が設けられている。そのスキャナ16の下方には入口ローラ対2により排紙された用紙Sに対して所望の後処理を行う用紙後処理装置200が設けられている。
【0011】
各画像ステーション65Y,65C,65M,65Bkの構造は同一であるので、Bk色の画像ステーション65Bkについて説明する。画像ステーション65Bkは、潜像担持体たる感光体20Bk、感光体20Bkを所定の電位に帯電させる帯電手段たる帯電装置30Bk、感光体20Bkに形成された潜像を現像する現像手段たる現像装置50Bk、感光体20Bk上の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置40Bkを備えている。現像装置50Bkは、開口部を有する現像剤収容部としての現像ケース内に、感光体20Bk表面に近接対向するように配置された現像ローラ51Bkを備える。クリーニング装置40Bkには、感光体20Bkと当接するクリーニングブラシを備えている。また、画像ステーション65Bkは、必要に応じて、クリーニング装置40Bkを通過した感光体20Bkの表面を除電する除電手段を設けてもよい。また、クリーニング装置40Bkで除去したトナーを現像装置50Bkへ戻すリサイクル手段を設けてもよい。
【0012】
画像ステーション65Bkは、感光体20Bk、帯電装置30Bk、現像装置50Bk、クリーニング装置40Bkを一体に支持し、装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジとして構成されている。これによって、ユーザーはカートリッジ形態で感光体20Bk、現像装置50Bk、帯電装置30Bk、クリーニング装置40Bkを一括して交換することができる。
【0013】
転写手段たる中間転写ユニット60は、図1に示すように、複数のローラに張架される中間転写ベルト61、感光体20Y,20C,20M,20Bkに形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に転写する一次転写ローラ62Y,62C,62M,62Bkを備えている。また、中間転写ユニット60は、中間転写ベルト61上に転写されたトナー像を被転写体たる用紙Sに転写する二次転写ローラ66、用紙S上に転写されなかった中間転写ベルト61上の転写残トナーをクリーニングするベルトクリーニング装置63を備えている。
【0014】
給紙カセット81内の用紙Sは、給紙カセット81の近傍に配設された給紙ローラ83によって、中間転写ベルト61と二次転写ローラ66との間の二次転写部へ搬送される。給紙ローラ83と二次転写ローラ66の間の転写紙搬送経路には、給紙された用紙Sの二次転写部への送り出しタイミングを図るレジストローラ対67が配置されている。
【0015】
定着手段たる定着ユニット76は、用紙S上に転写されたトナー像に熱と圧を加えることで定着を行う。定着ユニット76における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。そして、定着を終えた用紙Sを入口ローラ対2により用紙後処理装置200に排出する。定着ユニット76は、加圧ローラ76aと内部に発熱源を備えた定着ローラ76bとを備え、加圧ローラ76aが定着ローラ76bに当接して、定着ニップを形成している。
【0016】
次に、上記構成の画像形成装置100において、カラー画像を得る画像形成工程(画像形成方法)について説明する。画像形成工程は、各感光体20Y,20C,20M,20Bk表面を所定電位に帯電する帯電工程、帯電した各感光体20Y,20C,20M,20Bk表面に画像データに基づいて露光し、各感光体20Y,20C,20M,20Bk表面に潜像を形成する潜像形成工程を有している。また、各現像装置50Y,50C,50M,50Bkの現像ローラ51Y,51C,51M,51Bkから、各感光体20Y,20C,20M,20Bk上の潜像にトナーを供給して可視像化する現像工程を有している。そして、各感光体表面の可視像を用紙Sに転写する転写工程、用紙S上の可視像を転写紙上に定着させる定着工程とを有している。以下、具体的に説明する。
【0017】
まず、スキャナ16で読み取られた原稿、ファクシミリなどの受信データ、またはコンピュータから送信されるカラー画像情報は、各色に色分解され、各色の版のデータが形成され、光学ユニット8に送られる。各画像ステーション65Y,65C,65M,65Bkにおいて、感光体20Y,20C,20M,20Bkが帯電装置30Y,30C,30M,30Bkによって一様に帯電される。その後、光学ユニット8により、画像情報に基づきレーザ光が走査露光されて感光体20Y,20C,20M,20Bk表面に潜像が形成される。感光体20Y,20C,20M,20Bk上の潜像は、現像装置50Y,50C,50M,50Bkの現像ローラ51Y,51C,51M,51Bkに担持された各色のトナーによって現像されてトナー像として可視像化される。感光体20Y,20C,20M,20Bk上のトナー像は、各一次転写ローラ62Y,62C,62M,62Bkの作用によって反時計回りに回転駆動される中間転写ベルト61上に順次重ねて転写される。このときの各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト61上の同じ位置に重ねて転写されるように、中間転写ベルト61の移動方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。一次転写終了後の感光体20Y,20C,20M,20Bkは、クリーニング装置40Y,40C,40M,40Bkによってその表面がクリーニングされ、次の画像形成に備えられる。
【0018】
一方、給紙カセット81内の用紙Sは、給紙カセット81の近傍に配設された給紙ローラ83によって搬送され、レジストローラ対67によって所定のタイミングで二次転写部に搬送される。そして、二次転写部において、中間転写ベルト61上に形成されたトナー画像が用紙Sに転写される。トナー画像が転写された用紙Sは、定着ユニット76を通過することで画像定着が行われ、入口ローラ対2によって用紙後処理装置200に排出される。用紙後処理装置200に排出された用紙Sは、ユーザーに選択された排紙モードにしたがい所望の後処理を行うなどした後に排紙トレイ6へ排出される。
【0019】
感光体20Y,20C,20M,20Bkと同様に、中間転写ベルト61上に残った転写残のトナーは、中間転写ベルト61に接触するベルトクリーニング装置63によってクリーニングされる。また、トナーボトル9Y,9C,9M,9Bkに充填されているトナーは、必要性に応じて図示しない搬送経路によって各現像装置50Y,50C,50M,50Bkに所定量補給される。
【0020】
次に、ユーザーに選択された排紙モードにしたがって用紙後処理装置200により用紙Sに対して行われる後処理について説明する。図2は用紙後処理装置200の概略構成図であり、図3は用紙後処理装置200の下排紙ローラ5bや後端押え部材90の近傍の拡大斜視図である。
【0021】
<スティプル排紙モード>
用紙Sは、ガイド板1から入ってきて入口ローラ対2、スティプル排紙ローラ対3の順で搬送され用紙Sがスティプルトレイ15に落下した後、軸4aを中心に支持部材10aが図中反時計回り方向に回転してスティプルトレイ15上の用紙Sの上面に叩きコロ10を接触させる。そして、叩きコロ10と後端戻しコロ11とを図中反時計回りに回転させて用紙Sを後端基準フェンス12側に送り込み、用紙Sの後端を後端基準フェンス12に突き当てることによって用紙Sの縦揃えを行う。また、スティプルトレイ15の上方で用紙幅方向両側には1対のジョガーフェンス13が設けられており、用紙Sの幅よりも大きな間隔を開けて待機する待機位置から用紙幅方向で互いが近づくようにジョガーフェンス13を移動させて、スティプルトレイ15上にスタックされた用紙Sの横揃えを行う。
【0022】
連続印刷の最終紙まで同様の動作を繰返し、最終紙がスティプルトレイ15上にスタックされたらスティプラ14によりスティプルトレイ15上の用紙束に対して綴じ処理を行う。このように綴じ処理を行った後、軸4aを中心に排紙開閉ガイド板4を図中反時計回り方向に回転させて上排紙ローラ5aを下排紙ローラ5bに当接させて上排紙ローラ5aと下排紙ローラ5bとからなる排紙ローラ対5により用紙束を挾持して、排紙ローラ対5を回転させて用紙束を排紙トレイ6に排紙する。排紙トレイ6は排紙トレイ可動部7を回転可能に支持しており、排紙トレイ可動部7は積載枚数により用紙Sの後端側が上下動する。排紙ローラ対5により用紙束が排紙トレイ6に排紙される際には、排紙トレイ可動部7がいったん下がり、用紙束が排紙ローラ対5を抜けるときに排紙の邪魔にならない位置に退避していた後端押え部材90により用紙束の後端が押えられ、用紙束の後端が後端押え部材90に押えられた状態で排紙トレイ可動部7が上がってくる。
【0023】
<ストレート排紙モード>
用紙Sは、ガイド板1から入ってきて入口ローラ対2、スティプル排紙ローラ対3の順で搬送され、軸4aを中心に排紙開閉ガイド板4を図中反時計回り方向に回転させて上排紙ローラ5aを下排紙ローラ5bに当接させて上排紙ローラ5aと下排紙ローラ5bとからなる排紙ローラ対5により挾持搬送されて排紙トレイ6に排紙される。また、排紙トレイ6に用紙Sが排紙される際に、数枚ごとに排紙トレイ可動部7がいったん下がり、用紙Sの後端が排紙ローラ対5を抜けるときには排紙の邪魔にならない位置に退避していた後端押え部材90により押えられ、用紙Sの後端が後端押え部材90により押えられた状態で排紙トレイ可動部7が上がってくる。後端押え部材90は1枚ごとに動作する。図示はしていないが、後端押え部材90は排紙トレイ6上に排紙された用紙Sの紙面高さを検知している。なお、用紙Sの仕分けを行う場合、スティプル排紙ローラ対3は上下方向(スティプル排紙ローラ対3による用紙Sの搬送方向に対して直交した方向)に所定の量だけ移動可能である。
【0024】
図4、図5、図6、図7はストレート排紙モード時の用紙Sの動きや後端押え部材90の動作の一例を示した図である。また、図8は図5における後端押え部材90近傍の拡大図、図9は図6における後端押え部材90近傍の拡大図、図10は図7における後端押え部材90近傍の拡大図である。
【0025】
図4で示すように、用紙先端が排紙ローラ対5を抜ける時、後端押え部材90は図8に示した用紙押え位置aにて待機している。
【0026】
続いて図5で示すように、用紙先端が排紙トレイ6上に到達するとともに用紙後端があらかじめ設定した位置(例えば、スティプル排紙ローラ対3のニップを抜けた直後の位置)にくると、後端押え部材90は図示しないソレノイド等からなる駆動部により後端押え部材90は、第一後端押え支点92を中心に図中時計回り方向へ回転して図8で示す位置aから位置bを通り位置cへ移動する。
【0027】
用紙後端位置は、入口ローラ対2の下流に設けた図示しない反射型センサによって用紙先端を検出後、パルスをカウントし始め、用紙Sが搬送され用紙後端がスティプル排紙ローラ対3のニップを抜けたカウントになったときに、用紙後端がスティプル排紙ローラ対3のニップを抜けた直後の位置に達したとして検出する。そして、用紙後端がスティプル排紙ローラ対3のニップを抜けたカウントになったときに、駆動部により後端押え部材90を移動させる制御を行う。なお、前記カウントは用紙長さに応じて予め設定しておく。
【0028】
なお、前記あらかじめ設定した位置としては、用紙Sの押し出しが無いことを評価などで確認できている場合は、スティプル排紙ローラ対3を抜ける以前でも、後端押え部材90を位置aから位置cに向かって移動させても良い。
【0029】
用紙排出時に、排紙トレイ6上の用紙Sを後端押え部材90によって押えていないと、すでに排紙トレイ6上に積載されている用紙Sを、これから排紙トレイ6上に排紙される用紙Sが押し出してしまい排紙トレイ6上の用紙Sの積載状態が乱れる虞がある。そのため、可能な限り排紙トレイ6上の用紙Sを後端押え部材90によって押え続けたほうが積載状態の乱れを抑えることができる。よって、後端押え部材90による排紙トレイ6上の用紙Sの押え解除は、用紙Sが排紙トレイ6上に排紙された直後が望ましく、本実施形態では、用紙先端が排紙トレイ6に到達するとともに用紙後端があらかじめ設定した位置に達してから後端押え部材90による用紙Sの押え解除を行う。この場合、排紙ローラ対5によって排紙される用紙Sの邪魔にならないように後端抑え部材90を位置aから位置cに向かって移動させる必要がある。
【0030】
本実施形態の後端押え部材90が位置aから位置cに向かって回転する過程では、図8に示すように位置bで用紙Sに当接した後端押え部材90の後端押え上部部材94が、用紙Sにならって第二後端押え支点93を中心に図中反時計回り方向へ回転移動を行い位置cへ至る。これにより、排紙ローラ対5によって排紙トレイ6上に排紙される用紙Sの邪魔にならないように後端押え部材90を位置aから位置cに向かって回転移動させることができる。
【0031】
このように後端押え上部部材94は用紙主体の位置に回転移動が可能なため、次紙との間隔が狭くても用紙搬送の邪魔になることがなく高生産性を可能としている。
【0032】
また、位置aから用紙後端を押し出せる位置である位置dに後端押え部材90を移動させる場合に、位置bや位置cで用紙Sの下面と接触しながら後端押え部材90が移動する。このとき、後端押え上部部材94は用紙Sから下方に押されて第二後端押え支点93を中心に図中反時計回り方向に回転する。これにより、用紙Sと後端押え上部部材94との間で生じる当接圧が小さくなり、後端押え上部部材94が用紙Sに与えるダメージを低減させることができる。また、後端押え上部部材94が用紙Sと当接した状態で移動するときに用紙Sに負荷を与えないようにするため、後端押え上部部材94は用紙Sとの間での摩擦係数が低摩擦係数となる低摩擦係数材料、例えばPOM(ポリアセタール樹脂)等を使用することが望ましい。
【0033】
その後、図6に示すように用紙後端が後端押え部材90の下流側へ搬送されると、図9に示すように後端押え部材90に設けられた弾性部材であるトーションスプリング96により後端押え上部部材94が位置cから図中時計回り方向に回転移動して、後端押え下部部材91の規制部97に当接し回転が規制されて停止し位置dに至る。
【0034】
なお、後端押え部材90は用紙Sからの押圧力により回転を繰り返すため、後端押え部材90の弾性変形だけでは耐用性が限られてしまう。そのため、本実施形態のように弾性部材であるトーションスプリング96を別途設けることで後端押え部材90の耐用性を図ることができる。
【0035】
そして、図7で示すように用紙Sが排紙ローラ対5によって排紙トレイ6に排出され排紙トレイ6上に積載されると、所定の時間経過の後、軸4aを中心に排紙開閉ガイド板4を図中時計回り方向に回転させて排紙ローラ対5の各ローラを離間させ、図示しないソレノイド等からなる駆動部により、後端押え部材90を図10で示すように第一後端押え支点92を中心に図中反時計回り方向に回転移動させて位置dから位置aに移動させる。これにより、後端押え上部部材94の先端部分に設けられた押え部95と排紙トレイ可動部7とにより排紙トレイ6上に積載された用紙Sが挟持され、良好な積載状態が維持される。
【0036】
また、後端押え部材90は、排紙ローラ対5により搬送された用紙Sの後端を排紙トレイ6に向かって押圧可能な経路を通って、位置dから位置aに移動する。これにより、排紙ローラ対5により搬送された用紙Sの後端が排紙トレイ6に到達する前に用紙Sの搬送が停止した場合に、後端押え部材90を位置dから位置aに移動させることで、排紙ローラ対5により搬送された用紙Sの後端を押圧し排紙トレイ6上に用紙Sを送り込むことができる。よって、排紙ローラ対5により搬送された用紙Sの後端が排紙トレイ6に到達する前に用紙Sの搬送が停止して、排紙トレイ6上に用紙Sを適切に積載収容できなくなることを抑制できる。また、後端押え部材90とは別個に用紙後端を押圧する押圧手段を専用で設けるよりも部品点数を減らすことができ、その分、コスト削減や省スペース化を図ることができる。
【0037】
なお、後端押え部材90の押え部95には、用紙Sとの間での摩擦係数が後端押え上部部材94に用いる低摩擦係数材料よりも高い高摩擦係数となる高摩擦係数材料、例えばEPDMゴム(エチレンプロピレンゴム)等を使用することが望ましい。
【0038】
連続印刷などで排紙トレイ6上に先に排紙された用紙Sがある場合、用紙Sが排紙トレイ6にある程度排紙されるまで後端押え部材90を用紙押え位置である位置aから移動させないことにより、次の用紙Sが排紙トレイ6に排紙され先の用紙Sの表面に接触しつつ搬送された際、その先の用紙Sが排紙トレイ6上で用紙搬送方向へ動かないように後端押え部材90の押え部95によって押え込むことができる。
【0039】
図11は従来技術の後端押え部材90´の回転軌道を示した図であり、図12は本発明の後端押え部材90の回転軌道を示した図であり、従来技術と本発明とを比較して説明する。
【0040】
排紙ローラ対5により挾持搬送されている用紙Sの後端が排紙ローラ対5のニップ部を抜けると、用紙Sは排紙ローラ対5から搬送力をうけなくなって用紙Sの後端が排紙ローラ対5のニップを抜けた位置あたりで排紙ローラ対5のローラに乗り上げたまま停止することがある。ここに、次の用紙Sが搬送されてくるとその用紙Sが先に排出された用紙Sを折り曲げたり、次の用紙Sが先に排出された用紙Sを排紙トレイ6から押し出して用紙Sのスタッキング状態を悪くしたり、先に排出された用紙Sの下側に次の用紙Sが潜り込んで用紙Sの順序が狂ったりするといった問題が生じる。また、用紙後端が排紙ローラ対5のニップ部(排紙口ニップ部)から抜けずに残ってしまった場合でも、同様の問題が生じる。
【0041】
用紙後端が排紙ローラ対5のニップ部(排紙口ニップ部)から抜けずに残ってしまった場合、図11に示した従来技術の後端押え部材90’では回転軌道がニップ部下方すなわち用紙下方にあるため、後端押え部材90’により用紙後端を押し出すことはできない。一方、図12に示した本発明の後端押え部材90の場合では、後端押え部材90の回転軌道がニップ部と交差する位置を通るので、後端押え部材90によりニップ部に残った用紙後端を押し出すことができる。これにより、次の用紙Sが排紙トレイ6上に積載済みの用紙Sを押し出したり、積載済みの用紙Sの下にもぐり込んだりする等の不具合を未然に防ぐことが可能となっている。
【0042】
以上、本実施形態によれば、用紙Sを積載収容する用紙トレイである排紙トレイ6と、排紙トレイ6に用紙Sを搬送する搬送ローラ対である排紙ローラ対5と、排紙トレイ6上の用紙Sを上方から押える用紙押え手段である後端押え部材90とを備えた用紙積載装置において、後端押え部材90は排紙トレイ6上の用紙Sを上方から押える押え位置である上記位置aと位置aから搬送ローラ対5に向かって退避した退避位置である上記位置dとの間で移動可能であり、排紙ローラ対5により搬送された用紙Sの後端を排紙トレイ6に向かって押圧可能な経路を通って、後端押え部材90が前記退避位置である位置dから前記押え位置である位置aに移動する。これにより、後端押え部材90を前記退避位置である位置dから前記押え位置である位置aに移動させて、排紙ローラ対5により搬送された用紙Sの後端を押圧し排紙トレイ6上に用紙Sを送り込むことができる。よって、排紙ローラ対5により搬送された用紙Sの後端が排紙トレイ6に到達する前に用紙Sの搬送が停止して、排紙トレイ6上に用紙Sを適切に積載収容できなくなることを抑制できる。また、後端押え部材90とは別個に用紙後端を押圧する押圧手段を専用で設けるよりも部品点数を減らすことができ、その分、コスト削減や省スペース化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、排紙ローラ対5が形成するニップ位置を通るローラ軸方向に延びた仮想直線と交差する位置を通って、後端押え部材90が前記退避位置から前記押え位置に移動することで、排紙ローラ対5のニップ位置に残った用紙Sの後端を後端押え部材90により排紙トレイ6に向かって押し出すことができる。
また、本実施形態によれば、後端押え部材90は排紙ローラ対5により搬送された用紙Sの先端が排紙トレイ6上に到達した後に前記押え位置である位置aから前記退避位置である位置dに移動することで、既に排紙トレイ6上に排紙された先の用紙Sの表面に次の用紙Sが接触しつつ搬送された際に、前記先の用紙Sが排紙トレイ6上で用紙搬送方向へ動かないように後端押え部材90によって押え込むことができる。
また、本実施形態によれば、後端押え部材90は、装置本体に対して回転可能に第一支持部である第一後端押え支点92によって軸支された第一部材である後端押え下部部材91と、後端押え下部部材91に対して回転可能に第二支持部である第二後端押え支点93によって後端押え下部部材91に軸支された第二部材である後端押え上部部材94とからなり、後端押え上部部材94によって排紙トレイ6上の用紙Sを押えるものであり、後端押え部材90は排紙ローラ対5により搬送されている用紙Sの下面と後端押え上部部材94とが接しながら前記押え位置である位置aから前記退避位置である位置dに移動する。これにより、後端押え上部部材94は用紙Sから下方に押されて第二後端押え支点93を中心に下方に向かって回転する。よって、用紙Sと後端押え上部部材94との間で生じる当接圧が小さくなり、後端押え上部部材94が用紙Sに与えるダメージを低減させることができる。
また、本実施形態によれば、後端押え部材90は、用紙Sの下面と後端押え上部部材94とが接しているときに、用紙Sにより押圧されて後端押え上部部材94が第二後端押え支点93を中心に回転する方向とは逆方向に後端押え上部部材94を付勢する弾性部材であるトーションスプリング96を有する。後端押え部材90は用紙Sからの押圧力により回転を繰り返すため、後端押え部材90の弾性変形だけでは耐用性が限られてしまう。そのため、弾性部材であるトーションスプリング96を別途設けることで後端押え部材90の耐用性を図ることができる。
また、本実施形態によれば、後端押え上部部材94は低摩擦係数材料と高摩擦係数材料とからなり、排紙トレイ6に積載される前の用紙Sに対してはPOM等の低摩擦係数材料が接し、排紙トレイ6に積載された後の用紙Sに対してはEPDMゴム等の高摩擦係数材料が接する構成である。これにより、用紙Sが後端押え上部部材94の低摩擦係数材料と接した状態で移動するときに用紙Sに負荷を与えるのを抑制でき、排紙トレイ6上に積載された後の用紙Sを後端押え上部部材94の高摩擦係数材料によって用紙搬送方向へ動かないように押え込むことができる。
また、本実施形態によれば、画像形成装置100から搬送された用紙Sに対して後処理を行う後処理手段であるスティプラ14と、スティプラ14により後処理が施された用紙Sを積載収容する用紙積載手段とを備えた用紙後処理装置200において、前記用紙積載手段として本発明の用紙積載装置を用いることで、コスト削減や省スペース化を図りつつ、後処理が施された用紙Sを排紙トレイ6上に適切に排紙することができる。
また、本実施形態によれば、用紙Sに画像を形成する画像形成装置本体と、画像形成装置本体により画像が形成された用紙Sに後処理を行う用紙後処理手段とを備えた画像形成装置100において、前記用紙後処理手段として、本発明の用紙積載装置を備えた用紙後処理装置200を用いることで、コスト削減や省スペース化を図りつつ、画像が形成された用紙Sに後処理を施して排紙トレイ6上に適切に排紙することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ガイド板
2 入口ローラ対
3 スティプル排紙ローラ対
4 排紙開閉ガイド板
4a 軸
5 排紙ローラ対
5a 上排紙ローラ
5b 下排紙ローラ
6 排紙トレイ
7 排紙トレイ可動部
8 光学ユニット
9 トナーボトル
10 叩きコロ
10a 支持部材
11 後端戻しコロ
12 後端基準フェンス
13 ジョガーフェンス
14 スティプラ
15 スティプルトレイ
16 スキャナ
20 感光体
30 帯電装置
40 クリーニング装置
50 現像装置
51 現像ローラ
60 中間転写ユニット
61 中間転写ベルト
62 一次転写ローラ
63 ベルトクリーニング装置
65 画像ステーション
66 二次転写ローラ
67 レジストローラ対
76 定着ユニット
76a 加圧ローラ
76b 定着ローラ
81 給紙カセット
83 給紙ローラ
90 後端押え部材
91 後端押え下部部材
92 第一後端押え支点
93 第二後端押え支点
94 後端押え上部部材
95 押え部
96 トーションスプリング
97 規制部
100 画像形成装置
200 用紙後処理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開平10−250897号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を積載収容する用紙トレイと、
前記用紙トレイに用紙を搬送する搬送ローラ対と、
前記用紙トレイ上の用紙を上方から押える用紙押え手段とを備えた用紙積載装置において、
前記用紙押え手段は前記用紙トレイ上の用紙を上方から押える押え位置と該押さえ位置から前記搬送ローラ対に向かって退避した退避位置との間で移動可能であり、
前記搬送ローラ対により搬送された用紙の後端を前記用紙トレイに向かって押圧可能な経路を通って、前記用紙押え手段が前記退避位置から前記押え位置に移動することを特徴とする用紙積載装置。
【請求項2】
請求項1の用紙積載装置において、
上記搬送ローラ対が形成するニップ位置を通るローラ軸方向に延びた仮想直線と交差する位置を通って、上記用紙押え手段が前記退避位置から前記押え位置に移動することを特徴とする用紙積載装置。
【請求項3】
請求項1または2の用紙積載装置において、
上記用紙押え手段は上記搬送ローラ対により搬送された用紙の先端が上記用紙トレイ上に到達した後に上記押え位置から上記退避位置に移動することを特徴とする用紙積載装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の用紙積載装置において、
上記用紙押え手段は、装置本体に対して回転可能に第一支持部によって軸支された第一部材と、前記第一部材に対して回転可能に第二支持部によって前記第一部材に軸支された第二部材とからなり、前記第二部材によって上記用紙トレイ上の用紙を押えるものであり、
前記用紙押え手段は上記排紙ローラ対により搬送されている用紙の下面と前記第二部材とが接しながら上記押え位置から上記退避位置に移動することを特徴とする用紙積載装置。
【請求項5】
請求項4の用紙積載装置において、
上記用紙押え手段は、用紙の下面と前記第二部材とが接しているときに、用紙により押圧されて前記第二部材が上記第二支持部を中心に回転する方向とは逆方向に前記第二部材を付勢する弾性部材を有することを特徴とする用紙積載装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の用紙積載装置において、
上記第二部材は用紙との間での摩擦係数が低摩擦係数となる低摩擦係数材料と高摩擦係数となる高摩擦係数材料とからなり、上記用紙トレイに積載される前の用紙に対しては前記低摩擦係数材料が接し、前記用紙トレイに積載された後の用紙に対しては前記高摩擦係数材料が接する構成であることを特徴とする用紙積載装置。
【請求項7】
画像形成装置から搬送された用紙に対して後処理を行う後処理手段と、
前記後処理手段により後処理が施された用紙を積載収容する用紙積載手段とを備えた用紙後処理装置において、
前記用紙積載手段として請求項1、2、3、4、5または6の用紙積載装置を用いたことを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項8】
用紙に画像を形成する画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体により画像が形成された用紙に後処理を行う用紙後処理手段とを備えた画像形成装置において、
前記用紙後処理手段として、請求項7の用紙後処理装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−20863(P2012−20863A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161545(P2010−161545)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】