説明

男性用パンツ

【課題】 股間の膨らみを目立たないようにした男性用パンツを提供すること。
【解決手段】 前身頃3A及び後身頃3Bとその前後両身頃3A,3Bをつなぐ股布3Cとからなる男性用パンツ3において、前身頃3Aに陰茎を露出するための開口部4が形成され、その開口部4から露出された陰茎を押さえるための押さえ帯3Dの一端部が前身頃3Aの開口部4よりも上側に止着されると共に、該押さえ帯3Dの他端部が股布3C上を通り後身頃3Bに面ファスナーFによって係脱可能に係止され、睾丸をサポートするための左右一対のサポート帯3Eを有し、該各サポート帯3Eの一端部が前身頃3Aに止着されると共に、その各サポート帯3Eの他端部が股布3Cの側方を通り後身頃3Bに面ファスナーFによって係脱可能に係止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば女装などの身体に密着するような服装を着るときに使用する男性用パンツに関し、特に、服装のうえから股間の膨らみが目立たないようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図8の説明図に示すように、例えば女装を趣味とする男性が身体Mに密着するような服装1を着るときには、女性用のパンティ2を穿くことが多いが、そのパンティ2が一般的に伸び縮み自在で股間の陰茎Ma及び睾丸Mbを支えているだけであるから、これだけでは服装1のうえから股間の膨らみが目立ちやすく、この種の趣味を持つ男性の悩みの一つになっている。
【0003】
そこで、例えば強い収縮力を備えたゴム糸を編み込んだパンティ2を穿いて、そのゴム糸の強い収縮力で陰茎Ma及び睾丸Mbを押さえることにより、股間の膨らみを目立たないようにすることが考えられる。なお、関連する技術として特許文献1に記載したものがある。
【特許文献1】登録実用新案第3035541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のパンティ2では、編み込んだゴム糸の収縮力が強いため、パンティ2を穿くのに一苦労すると共に、そのパンティ2により腹部が押圧されて息苦しくなったりすることがあり、更に、パンティ2を脱ぐのにも一苦労するものであって、特に迅速に脱ぐ必要がある排尿時や用便時に手間取るおそれがあり、使い勝手が悪い。また、ゴムを編み込んだ特殊なものであるから、高価なものになる。
【0005】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、股間の膨らみを目立たないようにした使い勝手のよい男性用パンツを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための構成を実施の形態に対応する図面に基づいて説明すると、請求項1に記載の発明は、前身頃3A及び後身頃3Bとその前後両身頃3A,3Bをつなぐ股布3Cとからなる男性用パンツ3において、前記前身頃3Aに陰茎Maを露出するための開口部4が形成され、その開口部4から露出された陰茎Maを押さえるための押さえ帯3Dの一端部が前身頃3Aの開口部4よりも上側に止着されると共に、該押さえ帯3Dの他端部が股布3C上を通り後身頃3Bに面ファスナーFによって係脱可能に係止されている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、睾丸Mbをサポートするための左右一対のサポート帯3Eを有し、該各サポート帯3Eの一端部が前身頃3Aに止着されると共に、その各サポート帯3Eの他端部が股布3Cの側方を通り後身頃3Bに面ファスナーFによって係脱可能に係止されている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記後身頃3Bの両側縁上端から側方に延びる左右一対の延長帯3Fが設けられ、該各延長帯3Fが前身頃3Aの上端縁に面ファスナーFによって係脱可能に係止されている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、パンツ3を穿いて前身頃3Aの開口部4から陰茎Maを露出させ、押さえ帯3Dの他端部を後身頃3Bに面ファスナーFによって係止するだけで、その押さえ帯3Dにより陰茎Maが押さえられるので、例えば女装を趣味とする男性が身体Mに密着するような服装1を着るときでも、その服装1のうえから股間の膨らみが目立つことがなく、この種の趣味を持つ男性の悩みを解消することができる。
【0010】
また、前身頃3A、後身頃3B及び股布3Cからなるパンツ3を綿などの一般的に安価な生地で作ることにより、製作費を安くすることができる。
【0011】
更に、排尿時には、押さえ帯3Dを前方に引っ張るだけで、面ファスナーFによる係止が解除されて陰茎Maが露出されるから、排尿動作を迅速容易に行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、左右一対のサポート帯3Eの他端部を後身頃3Bに面ファスナーFによって係止するだけで、その各サポート帯3Eによりパンツ3からはみ出た睾丸Mbがサポートされるので、その睾丸Mbの位置を心地よく安定させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、パンツ3を穿く際には、後身頃3Bの両延長帯3Fと前身頃3Aとの間の面ファスナーFによる係止を解除したり緩めた状態で行うことにより、そのパンツ3を容易に穿くことができ、また、腹回りに合わせて両延長帯3Fを前身頃3Aの上端部に面ファスナーFにより係止するだけで、前身頃3A及び後身頃3Bを身体Mに心地よくフィットさせることができると共に、その穿いたパンツ3により腹部が圧迫されることもないので、穿き心地が良く、しかも、両延長帯3Fを引っ張って面ファスナーFによる係止を解除するだけで、パンツ3を迅速容易に脱ぐことができ、特に迅速に脱ぐ必要がある用便時に手間取ることがなく、使い勝手が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図7は本発明の実施の一形態である男性用パンツを示すものであって、図1は同穿いた状態の正面図、図2は同状態の側面図、図3は同斜視図、図4は同正面側展開図、図5は同裏面側展開図、図6は同押さえ帯の縦断面図、図7は同サポート帯の縦断面図である。
【0015】
図1〜図5に示すように、男性用パンツ3は、柔軟性に優れ伸縮性が小さい例えば綿など生地で縫製されており、ビキニ型の前身頃3A及び後身頃3Bとその前後両身頃3A,3Bをつなぐ股布3Cとからなり、前身頃3Aのほぼ中央に四角形(または円形など)の開口部4が形成され、その開口部4から露出された陰茎Maを押さえるための押さえ帯3Dが設けられ、睾丸Mbをサポートするための左右一対のサポート帯3Eを有し、後身頃3Bに左右一対の延長帯3Fが設けられている。
【0016】
前記押さえ帯3Dは、縦長帯状であって、柔軟性に優れ伸縮性が小さく厚みがある程度あって捩れないようにした例えば帆布などの生地で縫製されており、該押さえ帯3Dの一端部が前身頃3Aの開口部4よりも上側に縫製糸6により止着され、その押さえ帯3Dの他端部が股布3C上を通り後身頃3Bまで延びている。
【0017】
前記各サポート帯3Eは、一端部から中央部までが幅広で他端部が幅狭の略縦長円弧状に形成されており、柔軟性に優れ伸縮性が小さい例えば綿などの生地(パンツ3と同一素材)で縫製され、該各サポート帯3Eの一端部が前身頃3Aの両側縁に縫製糸6により止着されている。
【0018】
前記各延長帯3Fは、横長帯状であって、柔軟性に優れ伸縮性が小さい例えば綿などの生地(パンツ3と同一素材)で縫製されており、後身頃3Bの両側縁上端に縫製糸6により一体的に接続され(または後身頃3Bの両端縁上端に一体形成され)て側方に延ばされている。
【0019】
図3〜図7に示すように、マジックテープ(登録商標)と称する複数の面ファスナーFが用いられており、該各面ファスナーFの互いに係脱可能に係合する2枚のファスナーシートFa,Fbのうち、その一方のファスナーシートFaが前身頃3Aの上端縁及び後身頃3Bの下端縁に止着され、その他方のファスナーシートFbが押さえ帯3Dの他端部及び各サポート帯3Eの他端部と各延長帯3Fとに止着されている。
【0020】
男性用パンツ3を穿くときの手順を説明すると、両延長帯3Fと前身頃3Aとの間の面ファスナーFによる係止を解除したり緩めた状態でパンツ3を穿き、陰茎Maを開口部4に挿入して露出させる。続いて、両延長帯3Fを前方に引っ張ってその両延長帯3Fを前身頃3Aの上端縁に面ファスナーFにより係止することにより、腹回りに合わせて前身頃3A及び後身頃3Bを身体Mに密着させる。続いて、押さえ帯3Dを陰茎Maにあてがった状態で股の間から後方に引っ張って後身頃3Bに面ファスナーFによって係止し(図6参照)、その押さえ帯3Dで陰茎Maを押さえる。その後、各サポート帯3Eの中央部を睾丸Mbにあてがった状態で股の間から後方に引っ張って後身頃3Bに面ファスナーFによって係止し(図7参照)、その各サポート帯3Eでパンツ3からはみ出た睾丸Mbをサポートする。その後、図8に示す従来例と同じように、パンティ2を必要に応じて穿き、服装1を着る。
【0021】
上記構成によれば、図6に示すように、パンツ3を穿いて前身頃3Aの開口部4から陰茎Maを露出させ、押さえ帯3Dの他端部を後身頃3Bに面ファスナーFによって係止するだけで、その押さえ帯3Dにより陰茎Maが押さえられるので(図2参照)、例えば女装を趣味とする男性が身体Mに密着するような服装1を着るときでも、その服装1のうえから股間の膨らみが目立つことがなく、この種の趣味を持つ男性の悩みを解消することができる。
【0022】
図3に示すように、前身頃3A、後身頃3B及び股布3Cからなるパンツ3を綿などの一般的に安価な生地で作ることにより、製作費を安くすることができる。
【0023】
更に、排尿時には、押さえ帯3Dを前方に引っ張るだけで、面ファスナーFによる係止が解除されて陰茎Maが露出されるから、排尿動作を迅速容易に行うことができる。
【0024】
図7に示すように、左右一対のサポート帯3Eの他端部を後身頃3Bに面ファスナーFによって係止するだけで、その各サポート帯3Eによりパンツ3からはみ出た睾丸Mbがサポートされるので(図1参照)、その睾丸Mbの位置を心地よく安定させることができる。
【0025】
図1及び図2に示すように、パンツ3を穿く際には、後身頃3Bの両延長帯3Fと前身頃3Aとの間の面ファスナーFによる係止を解除したり緩めた状態で行うことにより、そのパンツ3を容易に穿くことができ、また、腹回りに合わせて両延長帯3Fを前身頃3Aの上端部に面ファスナーFにより係止するだけで、前身頃3A及び後身頃3Bを身体Mに心地よくフィットさせることができると共に、その穿いたパンツ3により腹部が圧迫されることもないので、穿き心地が良く、しかも、両延長帯3Fを引っ張って面ファスナーFによる係止を解除するだけで、パンツ3を迅速容易に脱ぐことができ、特に迅速に脱ぐ必要がある用便時に手間取ることがなく、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の一形態である男性用パンツを穿いた状態の正面図である。
【図2】同状態の側面図である。
【図3】同斜視図である。
【図4】同正面側展開図である。
【図5】同裏面側展開図である。
【図6】同押さえ帯の縦断面図である。
【図7】同サポート帯の縦断面図である。
【図8】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
3 男性用パンツ
3A 前身頃
3B 後身頃
3C 股布
3D 押さえ帯
3E サポート帯
3F 延長帯
4 開口部
F 面ファスナー
Ma 陰茎
Mb 睾丸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃及び後身頃とその前後両身頃をつなぐ股布とからなる男性用パンツにおいて、前記前身頃に陰茎を露出するための開口部が形成され、その開口部から露出された陰茎を押さえるための押さえ帯の一端部が前身頃の開口部よりも上側に止着されると共に、該押さえ帯の他端部が股布上を通り後身頃に面ファスナーによって係脱可能に係止されてなる男性用パンツ。
【請求項2】
睾丸をサポートするための左右一対のサポート帯を有し、該各サポート帯の一端部が前身頃に止着されると共に、その各サポート帯の他端部が股布の側方を通り後身頃に面ファスナーによって係脱可能に係止されてなる請求項1に記載の男性用パンツ。
【請求項3】
前記後身頃の両側縁上端から側方に延びる左右一対の延長帯が設けられ、該各延長帯が前身頃の上端縁に面ファスナーによって係脱可能に係止されてなる請求項1または2に記載の男性用パンツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−1578(P2010−1578A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160148(P2008−160148)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(508185546)
【Fターム(参考)】