説明

画像データのグループ分け処理方法,フォトブックの作製方法及びコンピュータプログラム

【課題】画像データの保有者等の満足感を向上させ得る画像データのグループ分け手法を提供する。
【解決手段】入力部から入力され記憶部に記憶された複数の画像データを複数のグループにグループ分けする画像データのグループ分け処理方法において、画像解析によって夫々の画像データの画像評価値を設定するステップと、前記画像データの生成日時データに基づいて、画像データ間の前記生成日時データの時間差がグループ化判別用の設定時間差より短いもの同士を一つのグループにまとめるステップと、一つのグループに属する画像データの前記画像評価値によってそのグループの評価値を決定するステップと、前記グループの評価値と判別用評価値との大小比較によって、そのグループを他のグループと合体するかあるいは単独のグループとして維持するかを決定するステップとを含むステップが演算部により実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力部から入力され記憶部に記憶された複数の画像データを、所定の関係を有すると推定される複数のグループにグループ分けする画像データのグループ分け処理方法、及び、それによってグループ分けした画像データでフォトブックを作製するフォトブックの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる画像データのグループ分けは、各種の用途において、多数の画像データを取り扱う際の取り扱いの便宜を図るものであり、例えば、下記特許文献1に記載のように、デジタルカメラの撮影画像を撮影シーン毎に分類する用途の他、下記特許文献2に記載のようなフォトアルバム(フォトブック)を作製する際の画像のレイアウトのための基礎情報としても利用され得る。
【0003】
画像のグループ分けの具体的手法としては、下記特許文献1では、画像の撮影日時情報や撮影位置情報に基づいてグループ分けすると共に、同じイベントについての撮影画像と推定されるグループを結合して1グループに再編成する手法をとっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−265874号公報
【特許文献2】特開2007−049387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成では、撮影画像を撮影シーンに応じてグループ分けする形になるので、関連性の深い画像を1つのグループに集めることができる。
しかしながら、単に撮影シーンが共通する画像を集めてグループを構成するだけでは、必ずしも画像データの保有者等が満足するグループ分けとはならない場合もあった。
すなわち、グループ分けで生成した各グループがどれくらいの価値を有するかという観点を欠いているため、例えば、グループ分けの結果をフォトブックの作製に応用する場合に、フォトブックにおけるページのボリュームやページの配分において、それほど高い価値を認められないグループに多くのページが配分される可能性がある等、目的によっては適切なグループ分けとはならない場合もあった。
本発明は、かかる実状を鑑みてなされたものであって、その目的は、画像データの保有者等の満足感を向上させ得る画像データのグループ分け手法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の第1の発明は、入力部から入力され記憶部に記憶された複数の画像データを複数のグループにグループ分けする画像データのグループ分け処理方法において、画像解析によって夫々の画像データの画像評価値を設定するステップと、前記画像データの生成日時データに基づいて、画像データ間の前記生成日時データの時間差がグループ化判別用の設定時間差より短いもの同士を一つのグループにまとめるステップと、一つのグループに属する画像データの前記画像評価値によってそのグループの評価値を決定するステップと、前記グループの評価値と判別用評価値との大小比較によって、そのグループを他のグループと合体するかあるいは単独のグループとして維持するかを決定するステップとを含むステップが演算部により実行される。
【0007】
すなわち、比較的短い時間間隔で生成された画像データはある程度関連性の深いものであるとの推定のもとに、画像データの生成日時データによる画像データのグループ分けを行い、画像データ夫々について設定される画像評価値によってグループの評価値を求め、そのグループの評価値でグループ分けを再編成する。
あるグループの評価値が判別用の評価値よりも小さいときには、そのグループを他のグループと合体させる。
画像データの集合を一つのグループとして取り扱うということは、そのグループとしてのまとまりに一定の価値が存在することが期待されている。
このグループとしての価値の存在を担保するために、画像解析によって客観的に各画像データの画像評価値を設定すると共に、各グループに属する画像データの画像評価値を利用してグループの評価値を求め、そのグループの評価値と判別用の評価値とを大小比較して、そのグループの価値が低いものと特定された場合には、独立したグループとして存在する意義が認められないものとして他のグループに合体させるのである。
尚、画像データの画像解析による画像評価値の特定手法は、数多くの手法が提案されており、それらを適宜に選択して使用できる。
【0008】
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、各グループ内において類似画像を特定するステップと、類似画像として特定された一群の画像データの中から前記画像評価値によってそのグループに残す画像データを特定すると共に、他の画像データをグループから除外するステップとを更に含む。
【0009】
すなわち、一つのグループ内において類似画像の画像データが並存していると、そのグループが冗長化してしまい、グループの価値が低下する。
そこで、一つのグループ内において類似画像を抽出し、類似画像が存在する場合には、前記画像評価値を利用して相対的に存在価値の高い画像データをグループ内に残すと共に、類似する他の画像データをグループから除外して、グループの価値を高める。
【0010】
又、本出願の第3の発明は、上記第2の発明の構成に加えて、前記類似画像の特定を、比較対象となる画像データの色合いの類似度合いによって行う。
すなわち、画像データの色合いの類似度合いが大きいとき、それらの画像は同一シーンの撮影画像である可能性が高く、類似画像として特定することができる。
【0011】
又、本出願の第4の発明は、上記第2の発明の構成に加えて、前記類似画像の特定を、比較対象となる画像データ間の生成日時データの時間差に基づいて行う。
すなわち、比較対象となる画像データ間の生成日時データの時間差が非常に近いとき、それらの画像データはいわゆる連写による撮影画像であると推定でき、類似画像として特定することができる。
【0012】
又、本出願の第5の発明は、フォトブックの作製方法として、上記第1〜第4のいずれかの画像データのグループ分け処理方法によって複数の画像データを複数のグループにグループ分けするステップと、一つ又は複数の画像を各ページに配置した複数のページで構成するフォトブックにおいて、前記グループ単位で、前記グループに属する画像データの配置に使用する使用ページ数を割り当てるステップとを含むステップが演算部に実行される。
【0013】
すなわち、上記の画像データのグループ分け処理方法を、いわゆるフォトブックの作製に利用する。
フォトブックには、1ページに単一の画像を配置する場合もあるが、互いに関連のある複数の画像を1ページに配置する場合が多い。
このような場合に、複数の画像データをグループ分けし、そのグループを主体にしてフォトブックにおけるページの割り振りをするのが便利である。
このグループは、上述のグループ分け処理によって、より高い価値を有するように処理されており、その結果として、フォトブックの価値をより高くすることができる。
【0014】
又、本出願の第6の発明は、上記第5の発明の構成に加えて、前記フォトブックにおける画像データの配置ページ総数が予め設定され、前記画像データの生成日時データに基づくグループ分けを、グループ分け後のグループ数が、前記配置ページ総数に応じた許容最大グループ数以下となるように、前記グループ化判別用の設定時間差を逐次に変化させて繰り返す。
【0015】
すなわち、フォトブックの作製においては、作製費用面等の種々の事情から、フォトブックの総ページ数を指定される場合が少なくない。
各ページに配置する画像データの振り分けはグループを基本に行うので、グループの数が、画像データの画像を配置できる総ページ数から決まる許容最大グループ数より多いと、グループ単位でのページの割り当てができなくなる。
そこで、生成日時データによるグループ分けを、グループ分けの判別指標である「グループ化判別用の設定時間差」を逐次に変化させて繰り返し、グループ数が適正数となるようにする。
【0016】
又、本出願の第7の発明は、上記第5又は第6の発明の構成に加えて、前記グループ単位での前記使用ページ数の割り当てを、前記グループの評価値に基づいて行う。
すなわち、グループの評価値を利用して、価値の高いグループほど、より多くのページ数を割り当てるようにする。
【0017】
本出願の第8の発明は、上記第1〜第4のいずれかの画像データのグループ分け処理方法、又は、上記第5〜第7のいずれかのフォトブックの作製方法に記載の前記各ステップの処理をコンピュータにて実行させるコンピュータプログラムとして構成する。
すなわち、上述の画像データのグループ分け処理方法、あるいは、フォトブックの作製方法は、コンピュータ処理させるのが合理的である。
【発明の効果】
【0018】
上記第1の発明によれば、相対的に価値が低く、独立したグループとして存在する意義が認められないものは他のグループに合体させるので、各グループの存在意義をより確かなものとすることができ、画像データの保有者等の満足感を向上させ得る画像データのグループ分け手法を提供できるものとなった。
【0019】
又、上記第2の発明によれば、グループの価値を低下させる虞の強い、類似画像データをグループから除外することで、画像データの保有者等の満足感を一層向上させることができる。
又、上記第3の発明によれば、画像データの色合いの類似度合いが大きいときに類似画像として特定するので、的確に類似画像を特定できる。
又、上記第4の発明によれば、比較対象となる画像データ間の生成日時データの時間差が非常に近いときに、連写画像であると推定し、類似画像として特定するので、的確に類似画像を特定できる。
【0020】
又、上記第5の発明によれば、相互に一定の関係を有するものと期待できる画像データ同士でグループ分けして、そのグループを主体にしてフォトブックにおけるページの割り振りをするので、フォトブックにおける画像データの割り振り作業を簡単化することができる。
しかも、このグループは、上述のグループ分け処理によって、より高い価値を有するように処理されており、その結果として、フォトブックの価値をより高くすることができる。
【0021】
又、上記第6の発明によれば、生成日時データによるグループ分けの際に、グループ分けの判別指標である「グループ化判別用の設定時間差」を逐次に変化させて、グループ数が適正数となるようにするので、フォトブックの総ページ数が指定されている場合においても、的確なグループ分けが可能となる。
又、上記第7の発明によれば、グループの評価値を利用して、価値の高いグループほど、より多くのページ数を割り当てるようにするので、フォトブックを見る者に対してより高い満足感を提供できる。
又、上記第8の発明によれば、画像データのグループ分け、あるいは、フォトブックの作製をコンピュータ処理にて簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態にかかるプリントシステムの全体構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態にかかるフォトブックにおける画像の配置例を示す図
【図3】本発明の実施の形態にかかるフローチャート
【図4】本発明の実施の形態にかかるフローチャート
【図5】本発明の実施の形態にかかるフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の画像データのグループ分け処理方法は、複数の画像データを、所定の関係を有すると推定される複数のグループにグループ分けするものであり、そのグループ分けを、複数の画像データの画像をフォトブックに各ページに割り振る際の単位として利用している。
フォトブックFB(「フォトアルバム」と称される場合もある)は、見開いた状態を示す図2のように、写真撮影画像等の画像データを各ページに配置して1冊の本の形式にまとめたものである。
【0024】
フォトブックFBは、コンピュータ上の仮想的なものでなく、記録紙に画像をプリントして実際の本として構成する場合には、図1に例示するようなプリントシステムPSを使用して作製される。
図1に例示するプリントシステムPSは、インクジェット式のプリンタ1と、プリント注文受付端末2とで構成されており、更に、図示を省略する製本装置も備えて、製本まで自動化することも可能である。
【0025】
プリンタ1は、フォトブックFBの製本作業を容易に行えるようにするために、1枚の記録紙12の両面にプリントできる機能を有しているものであり、プリントヘッド11による画像形成位置を、1枚の記録紙12が表裏を切り換えて搬送されるようにする記録紙搬送系PTを備えている。
記録紙搬送系PTは、所定のサイズに切断された記録紙12をプリントヘッド11による画像形成位置に向けて給送する給送ローラ13や、プリントヘッド11の画像形成位置において記録紙12を搬送駆動するプリント用搬送ローラ14の他、多数の搬送ローラ15が備えられ、図示を省略するモータ等の駆動手段にて回転駆動されている。
【0026】
記録紙搬送系PTの搬送経路は、プリントヘッド11にて画像形成後にU字状にターンし、搬送経路の終端近くに位置する経路切換えユニット16にて、記録紙12がそのまま排出される状態と、両面プリントのための帰還経路17へ送られる状態とに切り換えられる。
経路切換えユニット16は、図1に実線で示す姿勢と、2点鎖線で示す姿勢とに遥動駆動され、記録紙12を排出するときは、実線で示す姿勢のままで記録紙12を搬送して排出し、帰還経路17へ送るときは、記録紙12を保持した状態で、実線で示す姿勢から2点鎖線で示す姿勢に変化して、スイッチバックする状態で記録紙12の表裏を切り換えて帰還経路17へ送る。
【0027】
プリント注文受付端末2は、プリントショップ等の店頭に設置されて、基本的には顧客が自身で操作をすることを予定している。
プリント注文受付端末2には、画像データを記録した各種の記録媒体を読み取る画像データ入力部21と、モニタ22と、モニタ22の画面上に備えらるタッチパネル式の入力操作受付部23と、プリント注文受付端末2全体の動作を制御する制御部24とが備えられている。制御部24は実質的にパーソナルコンピュータで構成され、画像データ入力部21,モニタ22及び入力操作受付部23は、それの周辺機器として接続されている。
【0028】
本発明の画像データのグループ分け処理方法及びフォトブックの作製方法は、それらの方法を実施するコンピュータプログラムとして、制御部24の記憶装置に記憶保持され、制御部24にて実行される。
以下、本発明の画像データのグループ分け処理方法及びフォトブックの作製方法を実施するコンピュータプログラムの具体的な処理内容について、演算部である制御部24が実行する図3乃至図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0029】
本実施の形態では、本発明の画像データのグループ分け処理方法及びフォトブックの作製方法を、フォトブックFBの作製する際に各画像データの画像をフォトブックFBの各ページにどのように配置するかをコンピュータ処理にて決定する処理の一部を構成するものとして実装している。
この処理が、図3のフローチャートにおいて「レイアウト処理」として示すものである。
【0030】
図3の「レイアウト処理」では、相互に関連性を有するものと推定される画像同士をグループ化して、複数の(多数の)画像データを複数のグループにグループ分けし、フォトブックFBの各ページに同じグループの画像データの画像がまとまった状態で配置されるようにする処理である。
本実施の形態では、フォトブックを見開いた状態の左右のページ(見開きページ)を基本単位として、その基本単位の見開きページに複数のグループの画像が混在することがないように画像データ(厳密には、画像データの画像)をレイアウトする。
【0031】
図3の「レイアウト処理」は、顧客が多数の画像の画像データを記録した記録媒体をプリント注文受付端末2の画像データ入力部21にセットして、各画像データのファイルを順次にプリント注文受付端末2に読み取らせて入力され、制御部24のメモリ(記憶部)に記憶された後、入力操作受付部23から、フォトブックFBの作製指示と、そのフォトブックFBにおける画像のレイアウトを自動で行う旨の指示入力とを行うに伴って実行が開始される。
【0032】
制御部24は、図3の処理を開始すると、先ず各画像データの画像評価値を設定する(STEP#1)。
この「画像評価値」は、夫々の画像データの画像解析を行って、各種の判定条件によって画像の良し悪しを判定し、画像の良さとして数値化したものであり、画像を評価するための種々の手法が知られている。本実施の形態でも、画像評価値の導出自体は公知の手法を用いている。
【0033】
全ての画像データについて画像評価値を求めると、次に、図4のフローチャートに具体的な処理を示す「一次グループ化処理」を実行する(STEP#2)。
図4の「一次グループ化処理」は、画像データの生成日時データに基づいて画像データのグループ分けを行うもので、処理対象の画像データの性質上、ほとんどの場合、「生成日時データ」は「撮影日時データ」を意味する。
本実施の形態では、フォトブックFBにおける画像データ(厳密には、画像データの画像)の配置ページ総数が予め設定されている場合を例示して、その場合のグループ分けを説明する。
上述のように、フォトブックFBの見開きページ(見開き状態の左右2ページ)には複数のグループの画像が混在せず、単一のグループ内の画像データを配置するレイアウトとするので、見開きページのページ数(すなわち、画像データの配置ページ総数の1/2)が許容最大グループ数となる。
【0034】
図4の「一次グループ分け処理」では、先ず、全ての画像データを生成日時データで時系列に並べて、隣合う画像データ間の生成日時の時間差を求め、その時間差の平均値を「グループ化判別用の設定時間差」(図4では「判別用時間差」と略記)の初期値とする(STEP#31)。
【0035】
次に、生成日時データで時系列に並べた画像データを時系列に辿って、画像データ間の生成日時データの時間差が、相互に上記「グループ化判別用の設定時間差」より短いもの同士を1つのグループにグループ化する(STEP#32)。
生成日時データの時間差が短い画像同士は、例えば、旅行先の同じ場所で撮影される等した可能性が高く、相互に関連性の有するものと推定されるので、先ず、この「グループ化判別用の設定時間差」を基準としてグループ分けを行う。
【0036】
STEP#32のグループ分けの結果生成したグループの数が、フォトブックFBのページ数に応じて設定される前記許容最大グループ数以下か否かを確認する(STEP#33)。
尚、上記のように、「グループ分け」との関係では、見開きページを単位として考えるので、以下において、フォトブックFBのページ数として、見開き状態の左右2ページを「1ページ」としてページ数を表現する場合がある。
【0037】
STEP#32でグループ分けしたグループ数が、上記の許容最大グループ数(本実施の形態では、見開きページ数と同一であり、画像を配置する総ページ数の1/2に相当)より多い場合は(STEP#33)、その時点の「グループ化判別用の設定時間差」にSTEP#31で求めた「グループ化判別用の設定時間差」の初期値を加算して、新たに「グループ化判別用の設定時間差」とし(STEP#34)、STEP#32のグループ分けをやり直す。
「グループ化判別用の設定時間差」が大となるので、1つのグループに属する画像データ数が大となり、グループ数が減少するのであるが、それでも上記の許容最大グループ数よりグループ数が多い場合には、更に、「グループ化判別用の設定時間差」に「グループ化判別用の設定時間差」の初期値を加算して(STEP#34)、STEP#32のグループ分けをやり直し、「グループ化用の設定時間差」を逐次に変化させて、生成したグループの数が上記の許容最大グループ数以下になるまで、生成日時データに基づくグループ分けを繰り返す。
【0038】
このようにして、画像データの生成日時データによる一次グループ化が完了すると、二次グループ化として、上記の画像評価値を利用して一次グループ化によって生成したグループの再編成を行う。
具体的な処理として、一つのグループに属する画像データの画像評価値に基づいて各グループの評価値を算出する(図3のSTEP#3)。本実施の形態では、グループの評価値は、単純に、そのグループに属する画像データの画像評価値の総和をとる。
【0039】
このようにしてグループの評価値を求めた後、各グループ毎に、そのグループの評価値が判別用評価値より大きいか否かを確認する(STEP#4)。この判別用評価値は、本実施の形態では、見開きページの1ページ分に配置できる画像数等との関係で、経験的に設定されている値である。この判別用評価値と前記グループの評価値との大小比較によって、そのグループを他のグループと合体するかあるいは単独のグループとして維持するかを決定する。
【0040】
グループの評価値が判別用評価値より大きい場合には、何もせずそのグループをそのまま維持させる。
一方、グループの評価値が判別用評価値以下である場合には、結合先のグループを特定して(STEP#5)、その結合先のグループと結合させ(STEP#6)、グループの総数を減じる。
結合先のグループは、画像データの生成日時データによる時系列の並びで隣合うグループである。隣合うグループのうち先行するグループあるいは後続のグループのいずれであるかは、先行あるいは後続のいずれかに予め決めておいても良いし、先行あるいは後続のグループのうちの画像数の少ない方のグループを結合先と特定しても良く、更には、先行あるいは後続のグループのうちのグループの評価値の小さい方のグループを結合先と特定するようにしても良い。又、先行のグループと後続のグループとのうち、生成日時データで時間的に近い方のグループを結合先のグループとしても良い。
上記の処理を各グループ毎に繰り返すことで(STEP#7)、グループ分け処理が完了する。
【0041】
画像データのグループ分け処理が完了すると、フォトブックFBの各ページに類似画像が並んで配置されることのないように、図5に示す「類似画像除去処理」を実行して各グループから類似画像を除去する(STEP#8)。
図5の「類似画像除去処理」では、画像データの色合いの類似度合いと生成日時データの時間差とによって類似画像を推定する。
先ず、1つのグループ内で、そのグループに属する画像データの色合いの類似度を算出する(STEP#41)。
【0042】
具体的な処理としては、グループ内において生成日時データによる時系列の並びで隣合う画像データについて、画像データにおけるRGB成分夫々のヒストグラムを作成し、比較する画像データ間でのRGB成分夫々についてヒストグラムを共通部分の量を一致度として求める。そして、その一致度のRGBでの平均値を類似度として求める。
【0043】
この類似度を、多数の画像の解析によって決定した類似判別値と比較して、類似判別値より大きい値のものを類似画像として特定する(STEP#42)。
次に、類似画像として特定された一群の画像データの中から前記画像評価値によってそのグループに残す画像データを特定する共に、他の画像データをグループから除外する(STEP#43)。より具体的には、生成日時データによる時系列の並びで連続する複数の類似画像の中から、上記の画像評価値の最も高い画像データをそのグループに残し、残りの画像データをそのグループから削除する。
【0044】
次に、そのグループ内で画像データの生成日時データによって類似画像を推定する。
これは、画像データの生成日時データの時間差が短いとき、それらの画像データがいわゆる連写によって撮影された画像であると推定できるからであり、それらの連写画像は、通常、ほとんど同一の画像になっている場合が多い。
先ず、グループ内の画像データを生成日時データによって時系列に並べて、各画像データ間の生成日時データの時間差を求める(STEP#44)。
【0045】
求めた時間差が「時間差判別値」より短いか否かを判別し、上記「時間差判別値」より短い時間差で一連に並ぶ複数の画像データを類似画像と推定する(STEP#45)。この「時間差判別値」は、上記の連写画像と識別するための時間差であり、数秒程度の短い時間に設定されている。
画像データの生成日時データから類似画像を特定すると、類似画像として特定された一群の画像データの中から前記画像評価値によってそのグループに残す画像データを特定する共に、他の画像データをグループから除外する(STEP#46)。より具体的には、生成日時データによる時系列の並びで連続する複数の類似画像の中から、上記の画像評価値の最も高い画像データをそのグループに残し、残りの画像データをそのグループから削除する。
以上の処理操作を、全てのグループについて繰り返す(STEP#47)。
【0046】
各グループ内での類似画像の除去処理が終了すると、グループ単位で、各グループに属する画像データの配置に使用する使用ページ数を割り当てる。尚、ここでのページ配分は、上述のように、見開きの左右のページを合わせて「1ページ」としている。
各グループへのページ配分は、STEP#3で求めたものと同等の各グループの評価値を利用するが、グループの再編成や類似画像の除去を行っているので、最新のグループ分けにおいて、各グループの評価値を算出する(STEP#9)。
最新の各グループの評価値を求めると、各グループへのページ配分を、グループの評価値が高いほど配分ページ数が多くなるように、比例配分によって各グループへのページ配分を決定する(STEP#10)。
【0047】
次に、各グループ毎に、配分されたページへの画像の割当を行い(STEP#11)、その画像の割当が全てのグループについて完了すると(STEP#12)、フォトブックFBの各ページへの画像データの割当が全て完了する。
制御部24は、以上の処理が完了すると、上述のように決定したテンプレートと画像データとを合成してプリンタ1のプリント制御装置18へ送り、プリント処理させる。
【0048】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、少なくとも見開き1ページ(見開きの左右両ページ)内は、同一グループの画像データの画像を配置する場合を例示しているが、見開きの左右のページ夫々において、1つのグループが配置されるようにしても良い。
【0049】
(2)上記実施の形態では、フォトブックFBを、記録紙12に画像をプリントして実際の本として構成する場合を例示しているが、図2に例示するようなフォトブックFBの態様でモニタ画面上に表示させる仮想的なフォトブックFB、換言するとデータファイルとしてのフォトブックFBを作製する場合にも本発明を適用できる。
【0050】
(3)上記実施の形態では、本発明の画像データのグループ分け処理方法及びフォトブックの作製方法をコンピュータプログラムとして、プリント注文受付端末2の制御部24に実装する場合を例示しているが、上記コンピュータプログラムを一般に配布して、各家庭に設置されたパーソナルコンピュータにて図3に示す処理を実行させ、それによって決定した画像データのフォトブックへのレイアウト指示情報と実際の画像データとをプリントショップ等へ持ち込み、フォトブックFBとしてプリント処理させるような運用も可能である。
【符号の説明】
【0051】
FB フォトブック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部から入力され記憶部に記憶された複数の画像データを複数のグループにグループ分けする画像データのグループ分け処理方法であって、
画像解析によって夫々の画像データの画像評価値を設定するステップと、
前記画像データの生成日時データに基づいて、画像データ間の前記生成日時データの時間差がグループ化判別用の設定時間差より短いもの同士を一つのグループにまとめるステップと、
一つのグループに属する画像データの前記画像評価値によってそのグループの評価値を決定するステップと、
前記グループの評価値と判別用評価値との大小比較によって、そのグループを他のグループと合体するかあるいは単独のグループとして維持するかを決定するステップとを含むステップが演算部により実行されるグループ分け処理方法。
【請求項2】
各グループ内において類似画像を特定するステップと、
類似画像として特定された一群の画像データの中から前記画像評価値によってそのグループに残す画像データを特定すると共に、他の画像データをグループから除外するステップとを更に含む請求項1記載の画像データのグループ分け処理方法。
【請求項3】
前記類似画像の特定を、比較対象となる画像データの色合いの類似度合いによって行う請求項2記載の画像データのグループ分け処理方法。
【請求項4】
前記類似画像の特定を、比較対象となる画像データ間の生成日時データの時間差に基づいて行う請求項2記載の画像データのグループ分け処理方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像データのグループ分け処理方法によって複数の画像データを複数のグループにグループ分けするステップと、
一つ又は複数の画像を各ページに配置した複数のページで構成するフォトブックにおいて、前記グループ単位で、前記グループに属する画像データの配置に使用する使用ページ数を割り当てるステップとを含むステップが演算部により実行されるフォトブックの作製方法。
【請求項6】
前記フォトブックにおける画像データの配置ページ総数が予め設定され、
前記画像データの生成日時データに基づくグループ分けを、グループ分け後のグループ数が、前記配置ページ総数に応じた許容最大グループ数以下となるように、前記グループ化判別用の設定時間差を逐次に変化させて繰り返す請求項5記載のフォトブックの作製方法。
【請求項7】
前記グループ単位での前記使用ページ数の割り当てを、前記グループの評価値に基づいて行うように構成されている請求項5又は6記載のフォトブックの作製方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像データのグループ分け処理方法、又は、請求項5〜7のいずれか1項に記載のフォトブックの作製方法に記載の前記各ステップの処理をコンピュータにて実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−188392(P2011−188392A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53960(P2010−53960)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(311001347)NKワークス株式会社 (96)
【Fターム(参考)】