説明

画像パターンの作成方法、作成装置、およびコンピュータプログラム

【課題】実際の立体物の表面に描かれたテクスチャから同じ形状特徴を有する立体物への転写によって同じテクスチャを得るための、正確な画像パターンを作成すること。
【解決手段】立体物と同じ形状特徴および同じスケールを有する第1の立体物に基準パターンを適用するステップ、第1の立体物についての3次元情報およびテクスチャ情報を取得するステップ、第1の立体物と同じ形状特徴を有し表面にテクスチャが描かれた第2の立体物についての3次元情報およびテクスチャ情報を取得するステップと、基準パターンと第1の立体物についてのテクスチャ情報との間の対応点の変換を行う画像変換情報を取得するステップ、第1の立体物についての3次元情報と第2の立体物についての3次元情報との間の変換を行う3次元座標変換情報を取得するステップ、それらを用いて第2の立体物についてのテクスチャ情報を、基準パターンと同じ2次元座標系を持つ平面上に投影して画像パターンを生成するステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体物の表面に適用するための画像パターンの作成方法、作成装置、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面にテクスチャまたは絵柄などを付した立体物を製造するために、種々の方法が用いられている。
【0003】
例えば、フィルム成型では、画像パターンが描かれたフィルムを加熱軟化させ、これを真空または圧空によりプレス成型を行って立体形状を作る。
【0004】
また、フィルムインサート成型では、フィルムの形を整えた後で樹脂成型用の型内に挿入し、樹脂成型品の表面に画像パターンを形成する。
【0005】
また、インモールド成型では、画像パターンが描かれたフィルムを成型用の型内に挟み込み、型内に樹脂を注入して成形を行うと同時にその表面に画像パターンを転写する。
【0006】
これらの方法では、成型時に金型の表面に沿ってフィルムが押し付けられるが、金型の形状によってはフィルムが局所的に伸びるので、フィルムに描かれた画像パターンが歪んだ状態で立体物の表面に転写されることとなる。
【0007】
したがって、転写時の変形を予め考慮してフィルムの画像パターンを作成しておく必要がある。この転写パターンの変形量は、型の形状や転写時に加えられる圧力、熱などの条件の組み合わせによって非常に複雑になる。よって、パターンを変形させては実際に転写を行い、意図通りになっていない部分に修正を加えた転写パターンを再度作る。転写パターンの完成までにはこのような作業を何度も繰り返す必要があるため、多大な労力が必要である。
【0008】
これに対して、3次元CADを用いてフィルム上の画像パターンを生成する方法が提案されている(特許文献1)。これによると、格子パターンを用いて実際にインモールド成型を行い、成形物の表面に転写された格子パターンを撮影する。三次元CAD上で、撮影された格子パターンの上に歪みのない絵柄を重ね合わせ、格子パターンと絵柄との対応をとることによって、正規の格子パターンの上にその絵柄を写像する。写像された絵柄をフィルム上の画像パターンとして用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平2−242481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1の方法による場合には、撮影された格子パターンと絵柄とをその位置や向きを正確に一致させることが困難であり、作成された画像パターンを用いて転写した場合に正確な画像を得られないことがある。
【0011】
すなわち、引用文献1の方法では、成形物の表面を撮影して得た画像(格子パターン)と3次元CAD上に描かれた画像(絵柄)との対応は、撮影した位置や向きと3次元CADで生成した絵柄の転写結果を表示する位置や向きとが互いに同一であることがその前提となっている。しかし、撮影によって得られる2次元画像の情報だけでは、それらの位置や向きを正確に一致させることは極めて困難である。
【0012】
また、3次元CAD上での設計データと実際に樹脂成型された立体物とは、樹脂の収縮や引けなどの影響のためにほとんど場合に一致せず、微妙なずれが生じることが避けられない。したがって、位置や向きを合わせるためにはこのような形状差異も考慮する必要があるので、位置や向きを一致させることは実際には不可能である。
【0013】
また、特許文献1の方法は、対象となる画像パターンとして、3次元CADで作成した画像(絵柄)を用いることを前提としており、実物に描かれた画像(テクスチャ)を対象として用いることはできない。
【0014】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、実際の立体物の表面に描かれたテクスチャ(画像)から同じ形状特徴を有する立体物への転写によって同じテクスチャを得るための、正確な画像パターンを作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る方法は、立体物の表面に適用するための画像パターンの作成方法であって、前記立体物と同じ形状特徴および同じスケールを有する第1の立体物に基準パターンを適用するステップと、前記基準パターンを適用した第1の立体物についての3次元情報およびテクスチャ情報を取得するステップと、前記第1の立体物と同じ形状特徴を有し表面にテクスチャが描かれた第2の立体物についての3次元情報およびテクスチャ情報を取得するステップと、前記基準パターンと前記第1の立体物についてのテクスチャ情報との間の対応点の変換を行うための画像変換情報を取得するステップと、前記第1の立体物についての3次元情報と第2の立体物についての3次元情報との間の変換を行うための3次元座標変換情報を取得するステップと、前記画像変換情報および前記3次元座標変換情報を用いて、前記第2の立体物についてのテクスチャ情報を、前記基準パターンと同じ2次元座標系を持つ平面上に投影して画像パターンを生成するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、実際の立体物の表面に描かれたテクスチャから同じ形状特徴を有する立体物への転写によって同じテクスチャを得るための、正確な画像パターンを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の画像パターン作成装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】処理部の構成の例を示すブロック図である。
【図3】インモールド成型の流れを示すフローチャートである。
【図4】インモールド成型における金型の状態を示す図である。
【図5】フィルムに形成された画像パターンの例を示す図である。
【図6】形状の異なる2種類の金型とそれぞれによる成形品を示す図である。
【図7】目的とするテクスチャとそのための補正された画像パターンの例を示す図である。
【図8】本実施形態の画像パターンの作成方法の流れを示すフローチャートである。
【図9】本実施形態の画像パターンの作成方法の流れを示す図である。
【図10】本実施形態の画像パターンの作成方法の流れを示す図である。
【図11】基準パターンの格子点の例を示す図である。
【図12】第1の立体物のテクスチャの格子点の例を示す図である。
【図13】画像変換情報の例を示す図である。
【図14】画像パターンを生成する処理の例を説明する図である。
【図15】画像パターンと成形品のテクスチャとの例を示す図である。
【図16】目的とするテクスチャとそのための補正された画像パターンの他の例を示す図である。
【図17】フィルムの伸び量を測定する方法の例を示す図である。
【図18】フィルムの伸びによる色の薄れの様子を模式的に示す図である。
【図19】立体物の表面を構成するポリゴンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態では、実際の立体物(第2の立体物RB)の表面に描かれたテクスチャ(画像、図案、模様、絵柄、意匠などを含む)から同じ形状特徴を有する立体物(立体物RR)への転写によって同じテクスチャを得るための、正確な画像パターンを作成する方法、装置などについて説明する。
【0019】
本実施形態によって作成された画像パターンは、インモールド成型時などの転写によるテクスチャの変形が考慮されている。
【0020】
また、基準パターンの格子点間の3次元的な距離から転写のためのフィルムの伸び量を求めることにより、フィルム上に形成する画像パターンの画像の濃度を事前に調整することができる。これにより、伸びにより色が薄くなること(濃度の低下)が補正され、正しい色が再現される。
【0021】
本実施形態によると、デザイナーなどが立体物の表面にテクスチャをデザインして作成したモックアップ(原型、模型)をモデルにして、そのレプリカ(複製物)を量産することができる。モックアップが第2の立体物RBであり、レプリカが量産される立体物RRである。つまり、第2の立体物RBと同じテクスチャを有した立体物RRを多数製作することできる。
【0022】
ここで、第1の立体物RAは、量産される立体物RRと同じ形状特徴を有し、画像パターンGPの生成のためのデータ、つまり後述する画像変換情報(trans2D3D)および3次元座標変換情報(trans3D)を取得するために作成される。
【0023】
第1の立体物RAの作成に用いる金型は、第2の立体物RBを立体モデルとして製作することが可能であり、また、第2の立体物RBの金型の製作のためのCADデータに基づいて製作することも可能である。
【0024】
第1の立体物RAのスケール(サイズ)を、量産される立体物RRと同じにすることで、樹脂の収縮や引けなどが同等となり、また同じ金型を用いることも可能となり、成形時の条件を互いに合わせることができるので、画像パターンGPの精度を向上させることができる。
【0025】
また、モックアップとレプリカとは、同じスケール(サイズ)であってもよいし、スケールが異なっていてもよい。つまり、例えば、モックアップを量産品よりも小さいモデルとして作成してもよい。
【0026】
すなわち、本実施形態においては、図1、図2、図8〜図14に示すように、立体物RRの表面に適用するための画像パターンGPの作成方法は、立体物RRと同じ形状特徴および同じスケールを有する第1の立体物RAに基準パターンPKを適用するステップと、基準パターンPKを適用した第1の立体物RAについての3次元情報DRAおよびテクスチャ情報TRAを取得するステップと、第1の立体物RAと同じ形状特徴を有し表面にテクスチャが描かれた第2の立体物RBについての3次元情報DRBおよびテクスチャ情報TRBを取得するステップと、基準パターンPKと第1の立体物RAについてのテクスチャ情報TRAとの間の対応点の変換を行うための画像変換情報(trans2D3D)を取得するステップと、第1の立体物RAについての3次元情報DRAと第2の立体物RBについての3次元情報DRBとの間の変換を行うための3次元座標変換情報(trans3D)を取得するステップと、画像変換情報(trans2D3D)および3次元座標変換情報(trans3D)を用いて、第2の立体物RBについてのテクスチャ情報TRBを、基準パターンPKと同じ2次元座標系を持つ平面HM上に投影して画像パターンGPを生成するステップと、を有する。
【0027】
第1の立体物RAと第2の立体物RBとはスケールが異なってもよい。その場合に、例えば、第1の立体物RAと第2の立体物RBとについて対応点として指定されたそれぞれ少なくとも3つの点に基づいて3次元座標変換情報(trans3D)を取得するとともに、第1の立体物RAについて指定された少なくとも3つの点の互いの距離と第2の立体物RBについて指定された少なくとも3つの点の互いの距離とに基づいて、第1の立体物RAと第2の立体物RBとのスケールの相違を変換する情報を、3次元座標変換情報(trans3D)の中に含ませることができる。
【0028】
また、基準パターンPKと第1の立体物RAについてのテクスチャ情報TRAとに基づいて、基準パターンPKを第1の立体物RAに適用したときの各部の伸び量を取得するステップを有し、第2の立体物RBについてのテクスチャ情報TRBを投影して得られた画像パターンGPに対し、伸び量に応じて濃度を増大させるようにしてもよい。
【0029】
立体物の表面に適用するための画像パターンの作成装置は、立体物と同じ形状特徴を有し表面に基準パターンが適用された第1の立体物および第1の立体物と同じ形状特徴を有し表面にテクスチャが描かれた第2の立体物についての3次元情報およびテクスチャ情報を取得する計測装置(3次元測定機13)と、基準パターンと第1の立体物についてのテクスチャ情報との間の対応点の変換を行うための画像変換情報を取得する画像変換手段(画像変換部33)と、第1の立体物についての3次元情報と第2の立体物についての3次元情報との間の変換を行うための3次元座標変換情報を取得する3次元座標変換手段(3次元座標変換部36)と、画像変換情報および3次元座標変換情報を用いて、第2の立体物についてのテクスチャ情報を、基準パターンと同じ2次元座標系を持つ平面上に投影して画像パターンを生成するパターン生成手段(パターン生成部37)と、を有する。
【0030】
また、基準パターンと第1の立体物についてのテクスチャ情報とに基づいて、基準パターンを第1の立体物に適用したときの各部の伸び量を取得する伸び量取得手段(伸び量取得部34)と、第2の立体物についてのテクスチャ情報を投影して得られた画像パターンに対し、伸び量に応じて濃度を増大させる濃度調整手段(濃度調整部35)と、を有していてもよい。
【0031】
また、本実施形態において、画像パターンGPまたは基準パターンPKなどの立体物Rの表面への「適用」は、インモールド成型時などの「転写」による例が示されているが、他の方法によってもよい。例えば、成形された立体物Rの表面への「印刷」または「投影」などを行う場合であってもよい。
【0032】
図1には本実施形態の画像パターン作成装置1の概略の構成が示されている。
【0033】
図1において、画像パターン作成装置1は、処理部10、表示部11、キーボード12aおよびマウス12bなどの入力部12、および3次元測定機13などからなる。
【0034】
処理部10は、CPU、ROM、RAM、その他の周辺回路素子、および種々のハードウエア回路などから構成される。ROMまたはRAMには、種々のコンピュータプログラムが格納され、それがCPUによって実行される。本実施形態において、画像パターン作成装置1の機能は、そのためのコンピュータプログラムをCPUが実行することにより実現される。そのようなコンピュータプログラムは、インターネットNWTを介してダウンロードすることが可能であり、また図示しない記録媒体からデバイス駆動装置を用いてインストールすることも可能である。
【0035】
処理部10は、3次元測定機13を制御し、3次元測定機13による測定動作の指令を出力し、3次元測定機13から出力される3次元情報DRおよびテクスチャ情報TRを保存し、またそれらに対して種々の演算や補正を行う。
【0036】
なお、図には示していないが、処理部10には作成された画像パターンGPを出力するためのインタフェ−ス、例えば、LAN、フレキシブルディスクドライブ、CDドライブ、USBなどが備えられている。
【0037】
表示部11は、液晶ディスプレイ(LCD)などであり、入力部12から入力された入力データ、3次元測定機13で測定された測定結果、処理部10で処理された種々の処理結果などが表示される。
【0038】
入力部12は、ユーザが種々のデータや指令を入力するために用いられる。例えば、基準パターンと第1の立体物についてのテクスチャ情報との間の対応点、および、第1の立体物と第2の立体物とについて対応点をユーザが指示して入力するために用いられる。
【0039】
3次元測定機13は、非接触で対象となる物体(立体物)Rの表面形状とテクスチャを計測することが可能である。立体物Rを3次元測定機13で計測することによって、立体物Rについての3次元形状を示す3次元情報DR、および表面のテクスチャの状態を示すテクスチャ情報TRが取得される。
【0040】
3次元情報DRは、立体物Rの表面上の各点の3次元座標を示す情報である。テクスチャ情報TRは、立体物Rの表面のテクスチャを示す2次元情報であり、色情報、濃度情報を含んでいる。なお、テクスチャ情報TRは、例えば、3次元情報DRであるポリゴンまたは3次元情報DRから得られる複数のそれぞれのポリゴンについての色情報として存在することが可能である。
【0041】
3次元情報DRとテクスチャ情報TRとの関係については、後の図19において詳しく説明する。
【0042】
なお、3次元測定機13において、3次元情報DRとテクスチャ情報TRとを必ずしも同時に測定する必要はなく、それらを別々のタイミングで測定してもよい。また、3次元情報DRとテクスチャ情報TRとをそれぞれ別個の測定機を用いて測定し、得られたデータを後で結合することでもよい。
【0043】
このような3次元測定機13は、例えば、光切断法などによって立体物の表面をスキャンし、三角測量の原理で各点の3次元座標を得るものであってもよいが、公知の種々の形式のものを用いることが可能である。また、非接触方式でなく接触方式の3次元測定機を用いることも可能である。
【0044】
なお、図1には、立体物Rとして、表面に基準パターンが転写された第1の立体物RA、表面にテクスチャが描かれた第2の立体物RBが示されている。これらを3次元測定機13で測定することにより、第1の立体物RAについては3次元情報DRAおよびテクスチャ情報TRAが、第2の立体物RBについては3次元情報DRBおよびテクスチャ情報TRBが、それぞれ取得される。
【0045】
なお、第1の立体物RAについての3次元情報DRAおよびテクスチャ情報TRAを「Data−A」、第2の立体物RBについての3次元情報DRBおよびテクスチャ情報TRBを「Data−B」と、それぞれ記載することがある。Data−Aでは、3次元情報DRAとテクスチャ情報TRAとが関連付けられており、Data−Bでは、3次元情報DRBとテクスチャ情報TRBとが関連付けられている。
【0046】
図2には処理部10に実現される機能の構成の例が示されている。
【0047】
図2において、処理部10には、基準パターン保存部31、測定データ保存部32、画像変換部33、伸び量取得部34、濃度調整部35、3次元座標変換部36、パターン生成部37、および出力部38などが設けられる。
【0048】
基準パターン保存部31は、予め作成されたまたは準備された1つまたは複数の基準パターンPKを格納する。基準パターンPKは、立体物Rの表面の点とフィルム上の点とを対応付けるためのものである。基準パターンPKとして、例えば、縦横に枡目が配列された格子パターン、ドットがマトリックス状に配列されたドットパターンなど、対応点を特定するための要素が2次元平面上に均等に配置されたパターンを好適に用いることができる。基準パターンPKは、処理部10において作成してもよく、また外部から入力したものでもよい。
【0049】
基準パターンPKには、当該基準パターンPKにおける各点、例えば枡目またはドットなどの座標位置(2次元座標位置)を特定するための情報も含まれており、それらは処理部10において認識することが可能である。また、基準パターンPKのスケール(倍率)を処理部10において可変して用いることも可能である。
【0050】
基準パターン保存部31に格納された基準パターンPKの中からその1つが選択され、選択された基準パターンPKが転写用のフィルム上に画像形成されることとなる。また、基準パターンPKと同じスケールの座標系を有する2次元の平面HMが、画像パターンGPを投影するために用いられる。
【0051】
測定データ保存部32は、3次元測定機13から出力された3次元情報DRおよびテクスチャ情報TRを格納する。それらの複数のデータを格納することが可能である。
【0052】
画像変換部33は、基準パターンPKと第1の立体物RAについてのテクスチャ情報TRAとの間の対応点の変換を行うための画像変換情報(trans2D3D)を取得する。
【0053】
つまり、画像変換部33は、基準パターンPKとテクスチャ情報TRAとについて、互いの同一部分を求めてそれらの対応関係を示すデータである画像変換情報(trans2D3D)を出力する。
【0054】
なお、基準パターンPKとテクスチャ情報TRとの対応点の指定方法については、例えばユーザがマウス12bなどを用いて手動で指定して入力する。また、SAD、SSD、POCなどの公知技術を用いることも可能である。
【0055】
伸び量取得部34は、基準パターンPKとテクスチャ情報TRAとに基づいて、基準パターンPKを第1の立体物RAに適用したときの各部の伸び量NRを取得する。
【0056】
濃度調整部35は、第2の立体物RBについてのテクスチャ情報TRBを投影して得られる画像パターンに対し、伸び量NRに応じて濃度を増大させる処理を行うように制御する。
【0057】
3次元座標変換部36は、第1の立体物RAについての3次元情報DRAと第2の立体物RBについての3次元情報DRBとの間の変換を行うための3次元座標変換情報(trans3D)を取得する。
【0058】
つまり、3次元座標変換部36は、3次元情報DRAと3次元情報DRBとに対して、それぞれの3次元形状特徴を用い、同一形状部分が重複するようにして、互いの位置座標情報を変換するためのデータである3次元座標変換情報(trans3D)を出力する。
【0059】
なお、第1の立体物RAと第2の立体物RBとは同じ形状特徴を有するので、基本的には対応点を3点指定することにより、3次元座標変換情報(trans3D)が得られる。3次元座標変換情報(trans3D)は、例えば、4行4列の行列演算式として示すことが可能である。
【0060】
なお、3次元情報DRAと3次元情報DRBとの対応点の指定方法については、例えばユーザが手動で指定して入力する。また、クリックレジ、マーカレジ、IPC(Iterative Closest Point)などの公知技術を用いることが可能であり、また物で座標系が決まっている場合はデータムなどを用いることも可能である。
【0061】
パターン生成部37は、画像変換情報(trans2D3D)および3次元座標変換情報(trans3D)を用いて、第2の立体物RBについてのテクスチャ情報TRBを、基準パターンPKと同じ2次元座標系を持つ平面上に投影して画像パターンGPを生成する。
【0062】
つまり、パターン生成部37は、画像変換情報(trans2D3D)および3次元座標変換情報(trans3D)を用いることで、3次元測定機13で測定された第2の立体物RBの3次元情報DRBとテクスチャ情報TRBに対し、基準パターンPKが形成された第1の立体物RA上の各点の位置と同じ位置にあるデザイン意匠(テクスチャGXB)を特定し、特定されたデザイン意匠を基準パターンPKと同じ配置の平面上に投影する。これによって、補正された画像パターンGPを生成する。
【0063】
なお、上に述べたように、デザイン意匠を投影する際に、または投影した後に、濃度調整を行う。濃度調整については後で詳しく説明する。また、画像パターンGPの生成方法についても、後で詳しく説明する。
【0064】
次に、本実施形態において適用されるインモールド成型について説明する。なお、フィルム成型またはフィルムインサート成型などにおいても適用可能である。
【0065】
図3にはインモールド成型の流れがフローチャートによって示されており、図4にはインモールド成型における金型の状態が示されている。
【0066】
図3および図4において、まず、金型21a,21bを開き、フィルム(ロールフィルム)22を送り出して転写するデザイン意匠のある部分の位置を合わせる〔図3の#101、図4(A)〕。
【0067】
次に、金型21a,21bを閉じると同時に、フィルム22を固定する〔図3の#102、図4(B)〕。
【0068】
その状態で、金型21bの注入孔21cから溶融した樹脂YJを注入する〔図3の#103、図4(C)〕。注入された樹脂YJは、金型21a,21b内の隙間に流れ込み、設計された形状に成形される。これと同時に、フィルム22の表面のデザイン意匠(画像パターンGPX)が、流れ込んだ樹脂YJの熱と圧力とによってフィルム22から離反し、成形された樹脂YJの表面に転写される。
【0069】
そして、最後に金型21a,21bを開き、成形された樹脂YJを取り出す〔図3の#104、図4(D)〕。
【0070】
次に、インモールド成型時に転写するパターンが樹脂表面で変形してしまう様子を説明する。
【0071】
図5にはフィルムに形成された画像パターンGPXの例が、図6には形状の異なる2種類の金型とそれぞれによる成形品(立体物)が示されている。
【0072】
図5において、フィルム22には、転写されるべき画像パターンGPXが形成されている。画像パターンGPXは、複数本の平行な直線からなる。
【0073】
図6(A)に示す金型21Aは、型内の表面形状が滑らかであって曲率が一定てある。図6(B)に示す金型21Bは、型内の表面形状が急激に変化する角の部分があって曲率が大きく変化する。
【0074】
図5に示す画像パターンGPXと図6(A)に示す金型21Aとを用いてインモールド成型を行うと、図6(C)に示す成形品RXAが得られる。図5に示す画像パターンGPXと図6(B)に示す金型21Bとを用いてインモールド成型を行うと、図6(D)に示す成形品RXBが得られる。
【0075】
つまり、溶融した樹脂が金型21A,21B内に注入されることにより、フィルム22は金型の型内の表面に押し付けられる。図6(A)に示す金型21Aのように、型内の表面の曲率が一定な場合には、フィルム22の全体に均一に熱や圧力が加わるため、フィルム22に偏った伸びは発生しない。その結果、画像パターンGPXが変形することなく転写され、テクスチャGXJAが形成される。
【0076】
これに対して、図6(B)に示す金型21Bのように、型内の表面に複雑な曲率の変化がある場合には、注入される樹脂が充填される際に熱や圧力が不均一に加わることとなる。そのため、フィルム22が部分的に伸張してしまい、画像パターンGPXも変形した状態で転写されてしまう。その結果、図6(D)に示すように、画像パターンGPXの線が伸びて細くなり、線の太さにムラのあるテクスチャGXJBが形成される。
【0077】
したがって、インモールド成型時に画像パターンGPが変形する部分が分かっていれば、フィルム22上に形成しておく画像パターンGPをその逆に変形しておくことで、目的のテクスチャを形成することができる。
【0078】
図7(A)には、目的とするテクスチャGXC1が示されている。図6(B)に示す金型21Bを用いてインモールド成型を行う際には、金型の角の部分が伸びて線が細くなるので、図7(B)に示すように、該当する部分の線幅を太くした画像パターンGPXC1を用いればよい。
【0079】
図7の例は非常に単純形状であるので、画像パターンGPの補正を比較的容易に行うことが可能であるが、実際の成型品の場合は形状変化が複雑であることから、補正する位置とその量の調整が難しい。そのため、正確に補正された画像パターンGPを得るには、従来においては何度も画像パターンGPの補正と試作を繰り返す必要があったのである。
【0080】
さて、次に、本実施形態における画像パターンGPの作成方法について、詳しく説明する。
【0081】
図8には、本実施形態の画像パターンの作成方法の流れがフローチャートによって示されており、図9および図10には画像パターンの作成方法の流れが図によって模式的に示されている。
【0082】
図8〜図10において、まず、基準パターンPKを準備する〔図8の#111、図9(A)〕。ここでは、基準パターンPKとして格子パターンPKKが用いられる。基準パターンPKは、フィルム22上に、画像パターンGPXKとして形成される〔図8の#112、図9(B)〕。
【0083】
画像パターンGPXKが形成されたフィルム22を用いてインモールド成型を行う。樹脂成形された第1の立体物RAは、フィルム22の画像パターンGPXKが転写されることにより、その表面にテクスチャGXKが付加されている〔図8の#113、図9(C)〕。
【0084】
3次元測定機13によって第1の立体物RAを測定し、第1の立体物RAについての3次元情報DRAおよびテクスチャ情報TRAを取得する〔図8の#114、図9(D)〕。
【0085】
なお、テクスチャ情報TRAおよび3次元情報DRAを得るために、第1の立体物RAの全周囲についてのデータが得られるよう複数回に渡って測定を行う。異なる方向から測定して得た測定データを統合することにより、第1の立体物RAの全表面のテクスチャ情報TRおよび3次元情報DRを取得する。
【0086】
なお、テクスチャ情報TRAについては、第1の立体物RAの表面の一部のみにテクスチャGXKが付加されている場合には、その部分のみについて測定を行ってもよい。
【0087】
一方、量産のモデルとなる第2の立体物RBを作成しておく(図8の#115)。第2の立体物RBには、その表面に、テクスチャGXBが形成されている。
【0088】
第2の立体物RBについて、第1の立体物RAの場合と同様に3次元測定機13を用いて測定し、3次元情報DRBおよびテクスチャ情報TRBを取得する〔図8の#116、図10(E)〕。
【0089】
第1の立体物RAについての3次元情報DRAと第2の立体物RBについての3次元情報DRBとの間の変換を行うための3次元座標変換情報(trans3D)を取得する〔図8の#117、図10(F)〕。
【0090】
なお、例えば、3次元情報DRAと3次元情報DRBとの対応点として指定されたそれぞれ3つの点に基づいてそれらの位置を合わせると同時に、それらの形状の一致しない部分を検出する形状の検査を行うことも可能である。その場合に、両者の形状が大きく異なる場合には、警告などのメッセージを表示することにより、ユーザがその後の処理を中断するか否かの判断を行えるようにしてもよい。
【0091】
また、第1の立体物RAと第2の立体物RBとのスケールが異なっている場合には、例えば、3次元情報DRAまたは3次元情報DRBをそれに応じたスケールで拡大または縮小し、同じサイズにした後で対応点を指定するようにしてもよい。
【0092】
基準パターンPKと第1の立体物RAについてのテクスチャ情報TRAとの間の対応点の変換を行うための画像変換情報(trans2D3D)を取得する〔図8の#118、図10(G)〕。なお、画像変換情報(trans2D3D)の取得に際しては、テクスチャ情報TRAのみでなく、3次元情報DRAも用いられる。
【0093】
そして、画像変換情報(trans2D3D)および3次元座標変換情報(trans3D)を用いて、第2の立体物RBについてのテクスチャ情報TRBを、基準パターンPKと同じ2次元座標系を持つ平面HM上に投影することにより、画像パターンGPを生成する〔図8の#119、図10(H)〕。
【0094】
つまり、テクスチャ情報TRBを平面HM上に投影する際に、画像変換情報(trans2D3D)および3次元座標変換情報(trans3D)によって投影位置が変換され、これによってテクスチャGXBに対応して補正された画像パターンGPが得られる。
【0095】
なお、図10(G)において、テクスチャGXKの全体が表示されるように第1の立体物RAを上方から見た状態が示されている。しかし、テクスチャGXKの全体が同時に表示されない場合には、第1の立体物RAつまり3次元情報DRAを回転させることにより必要なテクスチャGXKの部分を表示させればよい。
【0096】
すなわち、第1の立体物RAの形状が複雑である場合には、一方向からのみではテクスチャGXKが影になって見えないことがある。Data−Bでは、同一部分の3次元情報DRAとテクスチャGXKAとが互いに関連付けられているので、表示が必要なテクスチャGXKの部分が正面にくるように3次元情報DRの姿勢を変更すればよい。
【0097】
次に、画像変換情報(trans2D3D)の作成方法の例について説明する。ここでは、ユーザが手動で対応付けを行う場合について説明する。
【0098】
対応点として、ここでは格子パターンPKKの交点部分(格子点)のみとする。図11に示す基準パターンPKの格子点(p11,p12,p13,…)に対応して、図12に示す第1の立体物RAのテクスチャGXKの格子点をユーザが目視してマウス12bなどで指示する。これにより、処理部10は、対応を指示された部分の3次元座標(P11,P12,P13,…)を順次求めていく。
【0099】
このとき、第1の立体物RAが、例えば図12(A)のように横から見た状態で表示されていると、格子点P32、P33などが背後に隠れて見えない。その場合に、第1の立体物RAを回転させて図12(B)のように上から見た状態で表示することにより、隠れていた格子点P32、P33が見える状態となる。
【0100】
なお、Data−Aは、3次元情報DRAとテクスチャ情報TRAとが関連付けて保持されているので、表面のテクスチャGXKの格子点を指示することにより、該当部分の3次元座標が求められる。
【0101】
この作業を繰り返すことで、図13に示すような対応テーブルTTが生成される。
【0102】
図13において、対応テーブルTTは、基準パターンPK上の点pと、第1の立体物RAの3次元情報DRにおける点Pとの対応を示している。対応テーブルTTは、画像変換情報(trans2D3D)の例である。
【0103】
なお、基準パターンPKの格子点と格子点との間にもテクスチャGXKは存在するが、それらの点については、双一次補間またはキュービックコンボリューションなどの内挿法によって求めることが可能である。
【0104】
次に、パターン生成部37において画像パターンGPを生成する処理の例について詳しく説明する。
【0105】
図14において、基準パターンPK上に指定された1点に対する、第1の立体物RAのData−A上の表面への転写位置である3次元位置を、画像変換情報(trans2D3D)を用いて求める(#201)。
【0106】
ステップ#201で求めたData−A上の3次元位置に対応する、第2の立体物RBのData−B上の3次元位置を、3次元座標変換情報(trans3D)を用いて求める(#202)。
【0107】
ステップ#202で求めたData−B上の3次元位置のテクスチャ情報TRBを、基準パターンPKと同じ2次元座標系を持つ平面HM上に投影する(#203)。
【0108】
これらステップ#201〜203を、フィルム22上において画像形成が可能な分解能の細かさで繰り返すことにより、フィルム22上に形成すべき画像パターンGPが生成される。
【0109】
このように、基準パターンPKを転写した第1の立体物RA、および実際に作成された第2の立体物RBを用いて画像変換情報(trans2D3D)および3次元座標変換情報(trans3D)を取得し、画像変換情報(trans2D3D)および3次元座標変換情報(trans3D)を用いて画像パターンGPを形成するので、正確な画像パターンGPを作成することができる。
【0110】
特に、実際に基準パターンPKを転写した第1の立体物RA、および実際にモデルとして作成された第2の立体物RBを用いているので、画像パターンGPによって、実際の立体物(第2の立体物RB)の表面に描かれたテクスチャGXBから同じ形状特徴を有する立体物(立体物RR)への転写で同じ正確なテクスチャ(テクスチャGXB)を得ることができる。
【0111】
また、画像パターンGPは、金型などの熱による膨張、樹脂の収縮や引けなどの影響をも含めて補正されているので、画像パターンGPを用いることにより第2の立体物RBの正確なレプリカ(立体物RR)を量産することができる。
【0112】
次に、濃度調整部35における濃度調整処理について詳しく説明する。
【0113】
図6(B)(D)に示したように、金型の角の部分などでテクスチャGXの濃度が変化してしまう。
【0114】
つまり、図15(A)に示す画像パターンGPX2を用いてインモールド成型を行うと、図15(B)に示す成形品RXCが得られる。この場合にも、金型の表面に曲率変化のきつい部分があると、樹脂注入時に熱と圧力によってフィルム22が局所的に伸び、その部分に塗布されている画像パターンGPX2も引き伸ばされてしまう。
【0115】
そうすると、図15(A)に示すようにある程度の面積を持つ画像パターンGPX2を転写する場合に、画像パターンGPX2の引き伸ばされた部分の濃度が薄くなってしまうこととなる。
【0116】
インモールド成型を行う場合に、画像パターンGPの変形する部分が予め分かっていれば、フィルム22上に形成しておく画像パターンGPを予め逆の方に変形しておけばよい。
【0117】
したがって、例えば、図15(B)に示す立体物RRにおいて図16(A)に示す均一な濃度(色)のテクスチャGXD1を得るためには、図16(B)に示すように伸びる部分の濃度を高くした画像パターンGPXD1を用いればよい。
【0118】
その場合に、どの部分の濃度をどの程度変化させておけばよいかが、既知の画像パターンの変形から予測することができる。
【0119】
例えば、既知の画像パターンとして図17(A)に示す格子パターンGPK2を用いた場合に、インモールド成型によって例えば図17(B)に示す成形品RXD2が得られる。
【0120】
格子パターンGPK2においては、格子間の距離が全てLであるが、成形品RXD2のテクスチャGXD2は、一部において格子間の横方向の距離が大きくなってL1に変化している。つまり、成形品RXD2の曲率の大きくなった部分でフィルム22が伸びて、その部分の距離L1が、L1>Lとなっている。
【0121】
そうすると、フィルム22が伸びた部分の面積Sが他の部分よりも大きくなり、それだけ色が薄くなる。
【0122】
図18には、フィルム22の伸びによる色の薄れの様子が模式的に示されている。
【0123】
図18(A)に示すフィルム22には、格子間の距離Lの範囲内に、所定量の塗装成分TSが一様に付着している。フィルム22を用いてインモールド成型が行われた成形品RXD2のテクスチャGXD2では、図18(B)に示すように、フィルム22が伸びて距離がL1となった範囲内に、フィルム22と同じ量の塗装成分TSが拡がって付着している。そのため、テクスチャGXD2のその部分の濃度が低下し、色が薄くなる。
【0124】
このように、フィルム22上の塗装成分TSの間隔が転写によって拡がると色が薄くなる。したがって、転写によるフィルム22の伸縮に応じて、成形品RXD2上で表現したい色の濃さを実現するだけの量の塗装成分TSを、フィルム22上に予め塗布しておけばよい。
【0125】
なお、図17および図18に示す例では、横方向への伸びのみについて示したが、縦方向への伸びについても含めて考えればよい。
【0126】
したがって、伸びた部分の面積をS1とし、伸びなかった部分の面積をSとすると、伸びた部分は、面積が(S1/S)倍になったことになる。
【0127】
したがって、フィルム22上に形成する画像パターンGPに対し、伸びる部分の濃度を伸びない部分の濃度よりも、
α=a(S1/S)
で示される倍率だけ濃くしておけばよい。ここで、aは係数である。
【0128】
なお、成形品RXD2のテクスチャGXD2における格子間の距離L1は、3次元測定機13で計測可能である。例えば、成形品RXD2の表面に沿った3次元空間上での曲線の長さを求めればよい。
【0129】
また、図17および図18に示す例では、格子パターンGPK2の格子間隔Lが成形品RXD2の表面の曲部に対して過度に大きい場合を示したが、格子間隔Lを適度に狭くすることによって細かい間隔でフィルム22の伸びを検出することができる。
【0130】
次に、3次元情報DRとテクスチャ情報TRとの関係について説明する。
【0131】
図19(B)(C)には、図19(A)に示す第1の立体物RAについて、格子パターンによるテクスチャGXKの格子点P42の近辺において、第1の立体物RAの表面を構成するポリゴンPGが示されている。
【0132】
図19(B)(C)に示されるように、第1の立体物RAの表面は、それぞれ3つの点Q1、Q2、Q3で規定されるポリゴンPGの集合によって構成される。各点Q1、Q2、Q3は、それぞれ、3次元測定機13によって取得された3次元座標(X,Y,Z)を持っている。
【0133】
また、各点Q1、Q2、Q3は、それぞれ、3次元測定機13によって取得された色情報(R,G,B)を持っている。1つの点Qの色情報(R,G,B)として、例えば、その点Qを含む1つまたは複数のポリゴンPGの色情報またはその平均値などを用いることが可能である。
【0134】
したがって、この例では、各ポリゴンPGを構成する各点Qの3次元座標(X,Y,Z)の集合を3次元情報DRAとすることができ、各点Qの色情報(R,G,B)の集合をテクスチャ情報TRAとすることができる。
【0135】
また、各ポリゴンPGまたは複数のポリゴンPGの3次元座標の集合を3次元情報DRAとすることができ、同じく各ポリゴンPGまたは複数のポリゴンPGの色情報の集合をテクスチャ情報TRAとすることができる。この場合には、ポリゴンPGを構成する点の3次元座標(X,Y,Z)および色情報(R,G,B)に基づき、その平均などを用いて、ポリゴンPGの3次元座標および色情報を演算により求めることができる。
【0136】
上に述べた実施形態において、立体物RR、第1の立体物RA、および第2の立体物RBの形状およびテクスチャGXKなどは、上に述べた以外の種々のものとすることができる。
【0137】
また、3次元情報DR、テクスチャ情報TR、3次元座標変換情報(trans3D)、画像変換情報(trans2D3D)の内容、形式などについても、上に述べた以外の種々のものとすることができる。
【0138】
その他、フィルム22、画像変換部33、伸び量取得部34、濃度調整部35、3次元座標変換部36、パターン生成部37、処理部10、表示部11、入力部12、3次元測定機13、または画像パターン作成装置1の各部または全体の構成、構造、回路、処理内容、処理順序、形状、個数、配置などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0139】
1 画像パターン作成装置
10 処理部
11 表示部
12 入力部
13 3次元測定機(計測装置)
22 フィルム
33 画像変換部(画像変換手段)
34 伸び量取得部(伸び量取得手段)
35 濃度調整部(濃度調整手段)
36 3次元座標変換部(3次元座標変換手段)
37 パターン生成部(パターン生成手段)
38 出力部
R、RR 立体物
RA 第1の立体物
RB 第2の立体物
RX 成形品(立体物)
GP 画像パターン
PK 基準パターン
PKK 格子パターン(基準パターン)
GX、GXK テクスチャ
TR テクスチャ情報
DR 3次元情報
trans2D3D 画像変換情報
trans3D 3次元座標変換情報
HM 平面
NR 伸び量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体物の表面に適用するための画像パターンの作成方法であって、
前記立体物と同じ形状特徴および同じスケールを有する第1の立体物に基準パターンを適用するステップと、
前記基準パターンを適用した第1の立体物についての3次元情報およびテクスチャ情報を取得するステップと、
前記第1の立体物と同じ形状特徴を有し表面にテクスチャが描かれた第2の立体物についての3次元情報およびテクスチャ情報を取得するステップと、
前記基準パターンと前記第1の立体物についてのテクスチャ情報との間の対応点の変換を行うための画像変換情報を取得するステップと、
前記第1の立体物についての3次元情報と第2の立体物についての3次元情報との間の変換を行うための3次元座標変換情報を取得するステップと、
前記画像変換情報および前記3次元座標変換情報を用いて、前記第2の立体物についてのテクスチャ情報を、前記基準パターンと同じ2次元座標系を持つ平面上に投影して画像パターンを生成するステップと、
を有することを特徴とする立体物の表面に適用するための画像パターンの作成方法。
【請求項2】
前記第1の立体物と前記第2の立体物とはスケールが異なる、
請求項1記載の画像パターンの作成方法。
【請求項3】
前記第1の立体物と前記第2の立体物とについて対応点として指定されたそれぞれ少なくとも3つの点に基づいて前記3次元座標変換情報を取得するとともに、
前記第1の立体物について指定された少なくとも3つの点の互いの距離と前記第2の立体物について指定された少なくとも3つの点の互いの距離とに基づいて、前記第1の立体物と前記第2の立体物とのスケールの相違を変換する情報を、前記3次元座標変換情報の中に含ませる、
請求項2記載の画像パターンの作成方法。
【請求項4】
前記基準パターンと前記第1の立体物についてのテクスチャ情報とに基づいて、前記基準パターンを前記第1の立体物に適用したときの各部の伸び量を取得するステップを有し、
前記第2の立体物についてのテクスチャ情報を投影して得られる画像パターンに対し、前記伸び量に応じて濃度を増大させる、
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像パターンの作成方法。
【請求項5】
立体物の表面に適用するための画像パターンの作成装置であって、
前記立体物と同じ形状特徴を有し表面に基準パターンが適用された第1の立体物および前記第1の立体物と同じ形状特徴を有し表面にテクスチャが描かれた第2の立体物についての3次元情報およびテクスチャ情報を取得する計測装置と、
前記基準パターンと前記第1の立体物についてのテクスチャ情報との間の対応点の変換を行うための画像変換情報を取得する画像変換手段と、
前記第1の立体物についての3次元情報と第2の立体物についての3次元情報との間の変換を行うための3次元座標変換情報を取得する3次元座標変換手段と、
前記画像変換情報および前記3次元座標変換情報を用いて、前記第2の立体物についてのテクスチャ情報を、前記基準パターンと同じ2次元座標系を持つ平面上に投影して画像パターンを生成するパターン生成手段と、
を有することを特徴とする画像パターンの作成装置。
【請求項6】
前記基準パターンと前記第1の立体物についてのテクスチャ情報とに基づいて、前記基準パターンを前記第1の立体物に適用したときの各部の伸び量を取得する伸び量取得手段と、
前記第2の立体物についてのテクスチャ情報を投影して得られる画像パターンに対し、前記伸び量に応じて濃度を増大させる濃度調整手段と、
を有する請求項5記載の画像パターンの作成装置。
【請求項7】
立体物の表面に適用するための画像パターンの作成装置において実行されるコンピュータプログラムであって、
前記作成装置において実行されたときに、
基準パターンと、前記立体物と同じ形状特徴を有し表面に前記基準パターンが適用された第1の立体物についてのテクスチャ情報との間の対応点の変換を行うための画像変換情報を取得する画像変換手段と、
前記第1の立体物についての3次元情報と、前記第1の立体物と同じ形状特徴を有し表面にテクスチャが描かれた第2の立体物についての3次元情報との間の変換を行うための3次元座標変換情報を取得する3次元座標変換手段と、
前記画像変換情報および前記3次元座標変換情報を用いて、前記第2の立体物についてのテクスチャ情報を、前記基準パターンと同じ2次元座標系を持つ平面上に投影して画像パターンを生成するパターン生成手段と、
を前記作成装置に実現することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記作成装置において実行されたときに、
さらに、前記基準パターンと前記第1の立体物についてのテクスチャ情報とに基づいて、前記基準パターンを前記第1の立体物に適用したときの各部の伸び量を取得する伸び量取得手段と、
前記第2の立体物についてのテクスチャ情報を投影して得られる画像パターンに対し、前記伸び量に応じて濃度を増大させる濃度調整手段と、
を前記作成装置に実現する請求項7記載のコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−89089(P2012−89089A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237783(P2010−237783)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(303050160)コニカミノルタセンシング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】