説明

画像入出力装置、マスク制御装置およびマスク制御方法

【課題】表示機能と撮像機能とを有する入出力パネルから得られる撮像画像に対する後処理の負担を軽減することを可能とする画像入出力装置およびマスク制御装置を提供する。
【解決手段】表示機能と撮像機能とを有する入出力パネル10の撮像機能を実行する際に、撮像画像(撮像データDout1)の一部分(マスクデータDmのうちのマスク対象外部分71)以外をマスクするようにする。また、この入出力パネルの各画素ごとに、撮像機能による撮像予定画像のうちの一部分以外をマスクするようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出力パネルを備えた画像入出力装置、ならびにこれに適用されるマスク制御装置およびマスク制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物体の撮像機能を備えた撮像装置として、様々な技術が提案されている。例えば、本出願人は特許文献1において、画像を表示する表示機能と、物体を撮像(検出)する撮像機能(検出機能)とを有する表示部を備えた表示装置を提案している。
【0003】
【特許文献1】特開2004−127272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記表示装置を撮像装置として利用すれば、撮像画像を得ることが可能となる。しかしながら、上記特許文献1では、取り込んだ画像のすべてを後段の処理部へ送るようになっていた。
【0005】
したがって、後段の装置において全ての画像領域のデータを処理しなければならず、処理が重くなってしまっていた。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、表示機能と撮像機能とを有する入出力パネルから得られる撮像画像に対する後処理の負担を軽減することを可能とする画像入出力装置、マスク制御装置およびマスク制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像入出力装置は、画像を表示する画像表示機能と、この表示機能により表示された画像からの光を利用して物体を撮像する撮像機能とを有する入出力パネルと、この入出力パネルの撮像機能を実行する際に、撮像画像または撮像予定画像のうちの一部分以外をマスクするマスク制御手段とを備えたものである。
【0008】
ここで、「マスク」とは、その部分を覆う、無効にする、無視する、またはなかったものとして処理対象としない、といったことを意味する。また、「撮像画像」とは、現に撮像された(取り込まれた)画面全体画像のことを意味する一方、「撮像予定画像」とは、何らの措置を講じなければ撮像されるはずであろう画面全体画像のことを意味する。
【0009】
また、本発明の画像入力装置では、上記マスク制御手段が、画像データの内容に基づいて上記マスク情報を生成するようにしてもよく、さらに、上記マスク情報を、入出力パネルに表示される画像の輝度、色相および色明度のうちの少なくとも1つに基づいて生成するようにしてもよい。なお、「輝度」とは、例えば赤、緑、青などの各色成分を総合した明るさのことを意味し、「色相」とは、例えば赤、緑、青などで表される色感覚の属性、およびそれを尺度化したものを意味し、「色明度」とは、例えば赤、緑、青などの各色ごとの明るさを意味する。
【0010】
本発明のマスク制御装置は、画像を表示する画像表示機能と、この表示機能により表示された画像からの光を利用して物体を撮像する撮像機能とを有する入出力パネルを備えた画像入出力装置に適用されるものであって、上記入出力パネルの撮像機能を実行する際に、撮像画像または撮像予定画像のうちの一部分以外をマスクするマスク制御手段を備えたものである。
【0011】
本発明のマスク制御方法は、画像を表示する画像表示機能と、この表示機能により表示された画像からの光を利用して物体を撮像する撮像機能とを有する入出力パネルを用いたものであって、上記入出力パネルの撮像機能を実行する際に、撮像画像または撮像予定画像のうちの一部分以外をマスクするようにしたものである。
【0012】
本発明の画像入出力装置、マスク制御装置およびマスク制御方法では、表示機能とこの表示機能により表示された表示画像からの光を利用して物体を撮像する撮像機能とを有する入出力パネルにより、物体が撮像される。また、この入出力パネルの撮像機能を実行する際に、撮像画像または撮像予定画像のうちの一部分以外がマスクされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像入出力装置、マスク制御装置またはマスク制御方法によれば、表示機能と撮像機能とを有する入出力パネルの撮像機能を実行する際に、撮像画像または撮像予定画像のうちの一部分以外をマスクするようにしたので、表示機能と撮像機能とを有する入出力パネル入出力パネルから得られる撮像画像に対する後処理の負担を軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像入出力装置(画像入出力装置1)の構成を表すものである。
【0016】
この画像入出力装置1は、入出力パネル10と、表示信号保持制御部22と、表示信号ドライバ23と、表示側スキャナ24と、撮像信号選択スキャナ31と、撮像信号レシーバ32と、マスク制御部5とを備えており、画像データに基づく画像を入出力パネル10に表示すると共に、表示画像からの光を利用して入出力パネル10に接触または近接する物体(後述する撮像対象物体15A,15B)を撮像し、撮像して得られた撮像画像の補正を行うものである。
【0017】
入出力パネル10は、複数の画素11が全面に渡ってマトリクス状に配置された、例えば有機または無機のEL(ElectroLuminescence)ディスプレイやLCD(Liquid Crystal Display)からなり、後述するように線順次動作をしながら所定の図形や文字などの画像を表示するものである。また、各画素11は、例えば1つの表示撮像素子を含む表示撮像セルCWRから構成され、後述するように各画素が表示機能と撮像機能とを併有するようになっている。
【0018】
ここで、図2〜図4を参照して、入出力パネル10の構成の詳細について説明する。
【0019】
図2は、入出力パネル10の平面構成の一例を表すものであり、水平ライン方向にm個、垂直ライン方向にn個、合計で(m×n)個からなる画素11がマトリクス状に配置されているものとする。この入出力パネル10は、合計で(m×n)個からなる画素11および各画素に含まれる表示撮像セルCWR11〜CWRmnと、その画素11の数に応じて接続された、m本のデータ供給線DW(DW1〜DWm)およびデータ読出線DR(DR1〜DRm)、ならびにn本の表示用ゲート線G(G1〜Gn)および切換線S(S1〜Sn)とを有している。
【0020】
データ供給線DWは表示信号ドライバ23に接続され、データ読出線DRは撮像信号レシーバ32に接続され、表示用ゲート線Gは表示側スキャナ24に接続され、切換線Sは撮像信号選択スキャナ31に接続されている。また、各表示撮像セルCWRに対してそれぞれ1本ずつのデータ供給線DW、データ読出線DR、表示用ゲート線Gおよび切換線Sが接続されている。また、例えば1垂直ラインの表示撮像セルCWR11,CWR12,…,CWR1nに対しては、1本ずつのデータ供給線DW1およびデータ読出線DR1が共通に接続され、例えば1水平ラインの表示撮像セルCWR11,CWR21,…,CWRm1に対しては、1本ずつの表示用ゲート線Gおよび切換線Sが共通に接続されている。なお、図中の矢印Yは、表示用ゲート線Gおよび切換線Sのスキャン方向を示している。
【0021】
図3は、入出力パネル10における表示撮像セルCWRの配置構成の一例を断面図で模式的に表したものであり、図2におけるA−A部分の矢視断面に対応するものである。
【0022】
この入出力パネル10は、1対の透明基板12A,12Bと、これらの透明基板12A,12Bの間に配置され、隔壁13によって互いに分離された複数の表示撮像セルCWR(CW21,CW22,CW23,CW24,CW25,…)とを有している。また、各表示撮像セルCWRは、表示撮像素子ELとして例えば有機EL素子を含んでおり、表示光LWを出射するようになっている。なお、一般的な有機EL表示部におけるその他の層については図示せず、説明を省略している。
【0023】
図4は、入出力パネル10における表示撮像セルCWRの回路構成を表すものである。
【0024】
この表示撮像セルCWRは、1つの表示撮像素子ELと、キャパシタCと、抵抗Rと、表示用ゲート線Gから供給される選択信号に応じてデータ供給線DWとキャパシタCの一端との間を選択的に導通させるスイッチSW1と、切換線Sから供給される切換信号に応じてキャパシタの他端と表示撮像素子ELの一端との間を選択的に導通させるスイッチSW2と、同じく切換線Sから供給される切換信号に応じて表示撮像素子ELの一端とデータ読出線DRとの間を選択的に導通させるスイッチSW3とを有し、表示撮像素子ELの他端は接地されている。なお、抵抗Rの一端はデータ読出線DRに接続され、抵抗Rの他端は接地、または負バイアス点(図示せず)に接続されるようになっている。
【0025】
ここで、具体的に表示動作時および撮像動作時における各構成要素の動作を説明する。まず、表示動作および撮像動作は、以下のような表示撮像素子ELの性質を利用して行う。つまり、本実施の形態において表示撮像素子ELとして構成する、例えば有機EL素子やLED素子などは、順方向バイアス電圧を印加すると発光動作をするが、逆方向バイアス電圧を印加すると、受光して電流を発生する性質を有する。
【0026】
したがって、表示動作時には、表示用ゲート線Gから供給される選択信号および切換線Sから供給される切換信号に従って、スイッチSW1,SW2をオン状態とすると共に、スイッチSW3をオフ状態とすることで、表示撮像素子ELには順方向バイアス電圧が印加される。そして表示信号に応じた輝度の発光となるよう、データ供給線DWからI1の経路にてキャパシタCが充電され、充電された電荷に基づいてI2の経路にて表示撮像素子ELに電流が流れることで、表示動作がなされる。
【0027】
一方、撮像動作時には、切換線Sから供給される切換信号に従って、スイッチSW2,SW3をオフ状態とすると共に、スイッチSW2をオン状態とすることで、表示撮像素子ELに逆方向バイアス電圧が印加される。そして表示撮像素子ELにおいて、受光した光量に応じた電流がI3の経路にてデータ読出線DRへ供給されることで、撮像動作がなされる。
【0028】
なお、表示動作および撮像動作のいずれの動作も行っていない時には、スイッチSW1〜SW3はいずれもオフ状態となっており、データ供給線DWおよびデータ読出線DRはそれぞれ、表示撮像素子ELとは切断されるようになっている。また、データ読出線DRに接続されている抵抗Rは、I3の経路でデータ読出線DRに供給される電流に基づいてその両端に電位差を生じさせ、これを撮像信号として出力するためのものである。
【0029】
表示信号保持制御部22は、画像入出力装置1の外部(例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit))から供給される表示信号(表示画像データDin1)を、1画面ごと(1フレームの表示ごと)に、例えばSRAM(Static Random Access Memory)などから構成されるフレームメモリに格納して保持するものである。この表示信号保持制御部22はまた、表示信号ドライバ23、表示側スキャナ24および撮像信号選択スキャナ31が連動して動作するように制御する役割も果たしている。具体的には、表示側スキャナ24に対しては表示タイミング制御信号41を、撮像信号選択スキャナ31に対しては撮像タイミング制御信号42を、表示信号ドライバ23に対しては、制御信号、およびフレームメモリに保持されている1画面分の表示信号に基づく1水平ライン分の表示信号を、それぞれ出力するようになっている。
【0030】
表示側スキャナ24は、表示信号保持制御部22から出力される表示タイミング制御信号41に応じて、表示駆動対象の表示撮像セルCWRを選択するものである。また、表示信号ドライバ23は、表示信号保持制御部22から出力される1水平ライン分の表示信号に応じて、表示駆動対象の表示撮像セルCWRへ表示データを供給するものである。
【0031】
撮像信号選択スキャナ31は、表示信号保持制御部22から出力される撮像タイミング制御信号42に応じて、撮像駆動対象の表示撮像セルCWRを選択するものである。なお、この撮像信号選択スキャナ31は、撮像信号レシーバ32に対して撮像ブロック制御信号43を出力し、これら撮像動作に寄与する部分の動作を制御する役割も果たしている。
【0032】
撮像信号レシーバ32は、撮像信号選択スキャナ31から出力される撮像ブロック制御信号43に応じて、各表示撮像セルCWRから出力された1水平ライン分の撮像信号を取得するものである。
【0033】
ここで、図5および図6を参照して、このような構成の画像入出力装置1において、接触あるいは近接した物体を撮像する動作について説明する。
【0034】
図5は、図1の画像入出力装置1において撮像対象物体を撮像する処理の一例を断面図で表したものであり、図3に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0035】
入出力パネル10上に、例えば指などの撮像対象物体15Aを接触あるいは近接させると、表示撮像セルCWR(ここでは、表示撮像セルCWR23)からの表示光LW1が、この撮像対象物体15Aで反射する。ここで、表示撮像素子ELでは、表示動作と撮像動作を時分割で行う必要があり、ある表示撮像素子で表示光を発光させながらその表示撮像素子で反射光を受光することができない。そこで、ある水平ラインの表示撮像素子から出射した表示光を、逆方向バイアス電圧が印加された他の水平ラインの表示撮像素子が受光することにより、撮像対象物体15Aの撮像が可能になる。例えば、図5に示したように、表示撮像セルCWR23から位置が近い水平ライン上の表示撮像セル、例えばCWR24やCWR25などには反射光LR1が入射するが、この表示撮像セルCWR23から位置が遠い水平ライン上の表示撮像セルには、反射光が入射しない。したがって、ある撮像対象物体15Aから位置が近い表示撮像セルCWRのみから撮像信号が得られるので、この画像入出力装置1では、表示駆動されている水平ライン上の表示撮像セルCWRから発せられて撮像対象物体15Aで反射された光が、その水平ラインに隣接する水平ライン上の表示撮像セルCWRによって受光されるように、タイミング駆動がなされるようになっている。このようにすれば、撮像対象物体15A近傍の表示撮像セルCWRからは撮像信号が出力される一方、それ以外の領域からは撮像信号が出力されないので、撮像対象物体15Aが入出力パネル10上のどの領域に位置するのかが検知され、撮像動作が可能となる。
【0036】
また、図6に示したように、このような表示駆動と撮像駆動とを各水平ラインについて順次行う(線順次駆動)ことにより、入出力パネル10全体で画像を表示しながら、撮像対象物体15Aを撮像することが可能となる。なお、図6において、符号P2,P3,P8,P9はそれぞれ、スキャン中のラインの位置を表しており、符号61,61A,61Bは表示領域を、符号63は撮像領域を表している。
【0037】
図1の説明に戻り、マスク制御部5は、撮像信号レシーバ32から出力される撮像信号(撮像データDout1)のうちの一部分以外をマスクする(マスク処理を行う)ものであり、実際のこのマスク処理を行うマスク処理部51を有している。
【0038】
このマスク処理部51は、画像入出力装置1の外部から表示画像データDin1とは別個に、上記マスク処理の対象から外されるマスク対象外部分を示すマスクデータDm(マスク情報)を入力すると共に、このマスクデータDmを用いて撮像データDout1のマスク処理を行い、マスク済撮像データDout2を画像入出力装置1の外部(例えば、図示しない後段の画像処理装置)へ出力するものである。また、この外部から入力されるマスクデータDmの内容は、あらかじめ入出力パネル10で表示されている表示画像データDin1と関連づけられるようになっている。なお、このマスク処理の詳細については、後述する。
【0039】
次に、図7および図8を参照して、本実施の形態のマスク制御部5(具体的には、マスク処理部51)によるマスク処理について説明する。ここで、図7は、本実施の形態に係るマスク処理を流れ図で表したものであり、図8は、このマスク処理の態様を表したものである。
【0040】
ここでは、例えば図8(A)に示したような状況、すなわち、この画像入出力装置1の入出力パネル10上に表示画像データDin1に基づく表示画像が表示されている場合において、その表示画像のうちの「3」というボタンの部分に、ユーザの指先(撮像対象物体15B)が置かれている状況のもとで説明する。
【0041】
まず、マスク処理部51は、あらかじめこの入出力パネル10で表示されている表示画像データDin1とその内容、具体的にはマスク処理の対象から外されるマスク対象外部分が関連づけられているマスクデータDm(例えば、図8(B)参照)を、画像入出力装置1の外部から入力する(図7のステップS101)。
【0042】
次に、マスク処理部51は、入出力パネル10で表示されている表示画像データDin1に基づいてこの入出力パネル10の撮像機能により撮像された撮像データDout1を、撮像信号レシーバ32から入力する(ステップS102)。
【0043】
次に、マスク処理部51は、この撮像データDout1のうち、図8(B)に示したマスクデータDmのマスク対象外部分71以外をマスクする(ステップS103)。すると、上記のようにこのマスク対象外部分は、あらかじめ入出力パネル10で表示されている表示画像データDin1と関連付けられていることから、マスク処理後の撮像データ(マスク済撮像データDout2)による画像(マスク済撮像画像72)は、例えば図8(C)に示したようになる。すなわち、撮像画像のうちのマスク対象外部分71だけが有効となる(図8(C)の符号72Aで示した部分)一方、それ以外の部分はマスクされ、無効データとなっている。また、図8(A)に示したように、入出力パネル10の表示画面上において、撮像対象物体15B(この場合、ユーザの指先)が「3」というボタンの部分に位置していることから、この撮像対象物体15Bの部分が撮像されている。このようにして撮像データDout1のマスク処理がなされ、マスク処理後の撮像データ(マスク済撮像データDout2)が、画像入出力装置1の外部(例えば、図示しない後段の画像処理装置)へ出力される(ステップS104)。
【0044】
そして最後に、マスク処理部51は、このようなマスク処理を終了するか否かを、例えばユーザによる制御などにより判断する(ステップS105)。まだマスク処理を終了しないと判断した場合には(ステップS105:N)、ステップS102へと戻り、ステップS102〜S104の処理を繰り返すことになる。一方、マスク処理を終了すると判断した場合には(ステップS105:Y)、全体のマスク処理が終了となる。
【0045】
以上のように、本実施の形態では、表示機能と撮像機能とを有する入出力パネル10の撮像機能を実行する際に、撮像画像(撮像データDout1)の一部分、すなわちマスクデータDmのうちのマスク対象外部分71以外をマスクするようにしたので、表示機能と撮像機能とを有する入出力パネルから得られる撮像の際の画像に対して、適切なマスク制御を行うことが可能となる。よって、撮像データDout1に対してマスク処理を施し、マスク済撮像データDout2として出力することができるので、例えば後段に画像処理装置を接続するような場合には、供給する撮像データのデータ量を、マスク対象外部分71だけのデータ量に削減することができ、後段における処理負担を軽減させることが可能となる。
【0046】
また、このマスクデータDmのうちのマスク対象外部分71が、あらかじめ入出力パネル10で表示されている表示画像データDin1と関連付けられているので、この表示画像データDin1による表示画像に応じてマスク処理を行うことができる。
【0047】
さらに、このマスクデータDmを、画像入出力装置1の外部から取得するようにしたので、後述するようにマスクデータDmを画像入出力装置1内で作成している第2の実施の形態と比べて、マスク処理の負担を軽減することができる。
【0048】
次に、本実施の形態の変形例について、いくつか説明する。なお、説明の簡潔化を図るため、以下、第1の実施の形態と同様の部位については、同じ符号を付して説明する。
【0049】
[変形例1]
上記第1の実施の形態においては、画像入出力装置1が、表示画像データDin1とマスクデータDmとをそれぞれ別個に外部から入力する場合について説明したが、本変形例では、これら表示画像データDin1とマスクデータDmとを一体として入力する場合について説明する。
【0050】
図9は、本変形例に係る画像入出力装置1の全体構成を表すものである。この画像入出力装置1は、図1に示した第1の実施の形態に係る画像入出力装置1において、表示信号保持制御部22の入力側に、データ入力部52を設けたものである。
【0051】
このデータ入力部52は、画像入出力装置1の外部から、表示画像データDin1とマスクデータDmとが一体となった入力データDinを入力すると共に、この入力データDinを表示画像データDin1とマスクデータDmとに分離し、それぞれ表示信号保持制御部22またはマスク処理部51へ出力するものである。
【0052】
ここで、この入力データDinの入力転送速度は、例えば第1の実施の形態で説明した表示画像データDin1の入力転送速度の2倍となっている。したがって、入力データDinが、表示画像データDin1とマスクデータDmとの両データを含むためにそのデータ量が例えば2倍となっている場合でも、結果として、第1の実施の形態の場合と同等の転送時間で入力データDinを入力することができるようになっている。
【0053】
以上のように本変形例では、データ入力部52が表示画像データDin1とマスクデータDmとが一体となった入力データDinを、例えば第1の実施の形態の場合の2倍の転送速度で入力するようにすると共に、この入力データDinを表示画像データDin1とマスクデータDmとに分離して、それぞれ表示信号保持制御部22またはマスク処理部51へ出力するようにしたので、この画像入出力装置1と外部とのデータ配線数を削減することができ、上記第1の実施の形態における効果に加え、装置構成をより簡素化することが可能となる。
【0054】
[変形例2]
上記第1の実施の形態においては、マスク処理を行うマスク制御部5を、画像入出力装置1内に設けた場合について説明したが、本変形例では、このマスク制御部5を、画像入出力装置1とは別個に(画像入出力装置1の外部に)設けた場合について説明する。
【0055】
図10は、本変形例に係る画像入出力装置1の全体構成を表すものである。この画像入出力装置1は、図1に示した第1の実施の形態に係る画像入出力装置1において、マスク制御部5を、画像入出力装置1とは別個に設けるようにしたものである。
【0056】
具体的には、本実施の形態のマスク制御部5は、画像入出力装置1(具体的には、撮像信号レシーバ32)から撮像データDout1を入力すると共に、画像入出力装置1およびマスク制御部5の外部から、マスクデータDmを入力するようになっている。なお、この場合のマスク制御部5が、本発明における「マスク制御装置」の一具体例に対応する。
【0057】
以上のように本変形例では、マスク制御部5を、画像入出力装置1とは別個に設けるようにしたので、第1の実施の形態で説明したマスク制御部5内蔵の画像入出力装置1を新たに開発することなく(ユーザにとっては新たに購入することなく)、従来の入出力パネルに対しても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0058】
[変形例3]
上記変形例2では、マスク制御部5を画像入出力装置1とは別個に設けるようにした場合で説明したが、本変形例では、この場合のマスク制御部5内に、上記変形例1で説明したデータ入力部52を設けるようにした場合について説明する。
【0059】
図11は、本変形例に係る画像入出力装置1の全体構成を表すものである。この画像入出力装置1は、図1に示した第1の実施の形態に係る画像入出力装置1において、マスク制御部5を画像入出力装置1とは別個に設けるようにすると共に、このマスク制御部5内において、マスク処理部51の入力側にデータ入力部52を設けるようにしたものである。
【0060】
具体的には、マスク制御部5内のデータ処理部52は、画像入出力装置1およびマスク制御部5の外部から前述の入力データDinを入力すると共に、この入力データDinを表示画像データDin1とマスクデータDmとに分離して、それぞれ画像入出力装置1内の表示信号保持制御部22またはマスク制御部5内のマスク処理部51へ出力するようになっている。
【0061】
以上のように本変形例では、マスク制御部5を画像入出力装置1とは別個に設けるようにすると共に、このマスク制御部5内において、マスク処理部51の入力側にデータ入力部52を設けるようにしたので、第1の実施の形態における効果に加え、上記変形例1および変形例2両者の効果をさらに得ることが可能となる。
【0062】
[変形例4]
上記第1の実施の形態および変形例1〜3においては、入出力パネル10の撮像機能により撮像された撮像データDout1に対して、マスク制御部5がマスク処理を行う場合について説明したが、本変形例では、この入出力パネルで撮像機能を実行する際の撮像予定画像に対して、マスク処理を行うようにした場合について説明する。
【0063】
図12は、本変形例に係る画像入出力装置1の全体構成を表すものである。この画像入出力装置1は、入出力パネル10の代わりに、各画素ごとにこれまで説明したようなマスク処理を行うことが可能なマスク機能付画素11Aを有するマスク機能付入出力パネル10Aを備えている。なお、このマスク機能付き入出力パネル10Aは、各画素ごとにマスク処理を行うことができるように構成されていることの他は、入出力パネル10と同様の構成となっている。
【0064】
このマスク機能付き入出力パネル10Aでは、画像入出力装置1の外部から、各マスク機能付画素11AごとにマスクデータDmを入力すると共に、その撮像機能を実行する際の撮像予定画像に対して、マスク制御部5と同様のマスク処理を行うようになっている。具体的には、そのマスク機能付画素11Aがマスク対象外部分71である場合には、その画素における撮像予定画像のデータをそのまま撮像画像として出力する一方、そのマスク機能付画素11Aがマスク対象外部分71ではない場合、すなわちマスク対象となる部分である場合には、その画素における撮像予定画像のデータを無効化(例えば、データを協定的に「0」にする)して出力するようになっている。
【0065】
以上のように本変形例では、各画素ごとにマスク処理を行うことが可能なマスク機能付画素11Aを有するマスク機能付入出力パネル10Aを設けると共に、各マスク機能付画素11Aごとに、撮像機能を実行する際の撮像予定画像のマスク処理を行うようにしたので、マスク機能付入出力パネル10Aから出力される撮像画像データの時点で、すでにマスク済撮像データとすることができる。
【0066】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0067】
上記第1の実施の形態およびその変形例においては、マスク処理を行うためのマスクデータDmを、画像入出力装置1の外部から入力する場合について説明したが、本変形例では、このマスクデータDmを、画像入出力装置1内で生成するようにした場合について説明する。
【0068】
図13は、本実施の形態に係る画像入出力装置1の全体構成を表すものである。この画像入出力装置1は、図1に示した第1の実施の形態に係る画像入出力装置1において、マスク制御部5内に、マスク生成部53を設けるようにしたものである。
【0069】
マスク生成部53は、画像入出力装置1の外部から入力される表示画像データDin1の内容に基づいてマスクデータDmを生成し、このマスクデータDmをマスク処理部51へ出力するものである。具体的には、マスク生成部53は、入出力パネル10に表示されている画像の輝度、色相および色明度のうちの少なくとも1つに基づいて、マスクデータDmを生成するようになっている。なお、輝度とは、例えば赤、緑、青などの各色成分を総合した明るさのことを意味し、色相とは、例えば赤、緑、青などで表される色感覚の属性、およびそれを尺度化したものを意味し、色明度とは、例えば赤、緑、青などの各色ごとの明るさを意味する。
【0070】
例えば、表示画像データDin1に基づいて、入出力パネル10に、図14に示したような画像が表示されている場合について説明する。
【0071】
このとき、例えばこの画像の輝度に基づいてマスクデータをDmを作成した場合、作成されたマスクデータDmは、例えば図15に示したようになる。
【0072】
一方、例えばこの画像の色相(白色)に基づいてマスクデータをDmを作成した場合、作成されたマスクデータDmは、例えば図16(A)に示したようになる。また、この画像の色相(桃色)に基づいてマスクデータをDmを作成した場合、作成されたマスクデータDmは、例えば図16(B)に示したようになる。
【0073】
このようにして、マスク生成部53では、画像入出力装置1の外部から入力される表示画像データDin1の内容に基づいて、表示画像の輝度や色相、色明度などの様々な指標に応じて、随時マスクデータDmが作成されるようになっている。
【0074】
以上のように、本実施の形態では、マスク生成部53が、画像入出力装置1の外部から入力される表示画像データDin1の内容に基づいてマスクデータを作成するようにしたので、例えば表示画像データDin1の内容が逐一変化するような場合であっても対応することができ、第1の実施の形態における効果に加え、マスク対象外部分71のようなマスクデータDmの内容を、常にこの表示画像データDin1と関連付けたものとすることが可能となる。
【0075】
また、表示画像の輝度や色相、色明度などの様々な指標に応じてマスクデータDmを作成するようにしたので、マスク処理済撮像データDout2の用途などに応じて、1つの表示画像から様々なマスクデータDmを作成することができる。
【0076】
さらに、画像入出力装置1内でマスクデータDmを作成するようにしたので、画像入出力装置1と外部とのデータ配線数を削減することができ、第1の実施の形態における効果に加え、装置構成をより簡素化することが可能となる。
【0077】
以上、第1および第2の実施の形態およびその変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0078】
例えば、上記実施の形態等で説明した構成を、それぞれ組み合わせるようにしてもよい。また、上記実施の形態等では、表示機能と撮像機能とを併有する表示撮像素子ELによって入出力パネル10を構成した場合で説明したが、表示機能を有する表示素子(例えば、液晶素子やLED(Light Emitting Diode)など)と、撮像機能を有する素子(例えば、フォトダイオードやCCD(Charge Coupled Device)など)とを別々に設けて入出力パネルを構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像入出力装置の全体構成を表すブロック図である。
【図2】図1に示した入出力パネルの構成を表す平面図である。
【図3】入出力パネルにおける表示撮像セルの配置構成の一例を模式的に表す断面図である。
【図4】図1に示した表示撮像セルの構成を表す回路図である。
【図5】図1に示した画像入出力装置において撮像対象物体を撮像する処理の一例を表す模式断面図である。
【図6】入出力パネルにおける線順次表示動作および線順次撮像動作の一例を表す模式図である。
【図7】第1の実施の形態に係るマスク制御部による補正処理を表す流れ図である。
【図8】第1の実施の形態に係るマスク処理を説明するための模式図である。
【図9】第1の実施の形態の変形例1に係る画像入出力装置の全体構成を表すブロック図である。
【図10】第1の実施の形態の変形例2に係る画像入出力装置およびマスク制御装置の全体構成を表すブロック図である。
【図11】第1の実施の形態の変形例3に係る画像入出力装置およびマスク制御装置の全体構成を表すブロック図である。
【図12】第1の実施の形態の変形例4に係る画像入出力装置の全体構成を表すブロック図である。
【図13】第2の実施の形態に係る画像入出力装置の全体構成を表すブロック図である。
【図14】第2の実施の形態に係るマスク処理を説明するための模式図である。
【図15】第2の実施の形態に係るマスク処理を説明するための模式図である。
【図16】第2の実施の形態に係るマスク処理を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0080】
1…画像入出力装置、10,10A…入出力パネル、11…画素、12A,12B…透明基板、13…隔壁、15A,15B…撮像対象物体、22…表示信号保持制御部、23…表示信号ドライバ、24…表示側スキャナ、31…撮像信号選択スキャナ、32…撮像信号レシーバ、41…表示タイミング制御信号、42…撮像タイミング制御信号、43…撮像ブロック制御信号、5…マスク制御部、51…マスク処理部、52…データ入力部、53…マスク生成部、61,61A,61B…表示領域、63…撮像領域、71…マスク対象外部分、72…マスク済撮像画像、CWR…表示撮像セル、DW…データ供給線、DR…データ読出線、G…表示用ゲート線、S…切換線、LW,LW1〜W4…表示光、LR1〜LR4…反射光、EL…表示撮像素子、C…キャパシタ、R…抵抗、SW1,SW2,SW3…スイッチ、I1…表示信号電流路、I2…撮像信号電流路、Y…スキャン方向、P2,P3,P8,P9…スキャン中の水平ラインの位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示機能と、この表示機能により表示された画像からの光を利用して物体を撮像する撮像機能とを有する入出力パネルと、
前記入出力パネルの撮像機能を実行する際に、撮像画像または撮像予定画像のうちの一部分以外をマスクするマスク制御手段と
を備えたことを特徴とする画像入出力装置。
【請求項2】
前記マスク制御手段によるマスク処理の対象から外されるマスク対象外部分は、前記入出力パネルに表示される画像の画像データと関連したものである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像入出力装置。
【請求項3】
前記マスク制御手段は、前記マスク対象外部分を示すマスク情報を外部から取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像入出力装置。
【請求項4】
前記マスク制御手段は、前記画像データとは別個に入力される前記マスク情報を取得する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像入出力装置。
【請求項5】
前記マスク制御手段は、前記画像データと一体に入力される前記マスク情報を分離して取得する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像入出力装置。
【請求項6】
前記マスク制御手段は、前記画像データの内容に基づいて前記マスク情報を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像入出力装置。
【請求項7】
前記マスク制御手段は、前記マスク情報を、前記入出力パネルに表示される画像の輝度、色相および色明度のうちの少なくとも1つに基づいて生成する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像入出力装置。
【請求項8】
前記マスク制御手段は、前記入出力パネルの各画素ごとに、前記撮像予定画像のうちの一部分以外をマスクする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像入出力装置。
【請求項9】
画像を表示する画像表示機能と、この表示機能により表示された画像からの光を利用して物体を撮像する撮像機能とを有する入出力パネルを備えた画像入出力装置に適用されるマスク制御装置であって、
前記入出力パネルの撮像機能を実行する際に、撮像画像または撮像予定画像のうちの一部分以外をマスクするマスク制御手段を備えた
ことを特徴とするマスク制御装置。
【請求項10】
画像を表示する画像表示機能と、この表示機能により表示された画像からの光を利用して物体を撮像する撮像機能とを有する入出力パネルを用いたマスク制御方法であって、
前記入出力パネルの撮像機能を実行する際に、撮像画像または撮像予定画像のうちの一部分以外をマスクする
ことを特徴とするマスク制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−102727(P2007−102727A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295571(P2005−295571)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】