説明

画像処理システム及び方法

【課題】医用画像を適切に保存することができる画像処理システム及び方法を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る画像処理システムは、表示部と、表示制御部と、保存部とを備える。前記表示部は、所定の視差数の視差画像群を表示することで立体視可能な3次元画像を表示し、複数の同一画像を前記視差画像群に置き換えて表示することで2次元画像を表示する。前記表示制御部は、3次元の情報を有する医用画像データから生成された視差画像群を前記表示部に表示するとともに、前記表示部に表示中の視差画像群に対応する2次元画像であって診断に用いられる2次元画像を前記表示部に表示する。前記保存部は、画像の保存指示を受け付けた場合に、前記表示部に表示された2次元画像の画像データを記憶部に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体視用メガネ等の専用機器を用いて、2つの視点から撮影された2視差画像を立体視可能なモニタが実用化されている。また、近年、レンチキュラーレンズ等の光線制御子を用いて、複数の視点から撮影された多視差画像(例えば、9視差画像)を裸眼にて立体視可能なモニタが実用化されている。
【0003】
一方、X線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置等の医用画像診断装置では、3次元の情報を有する医用画像データを生成可能な装置が実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−86414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、医用画像を適切に保存することができる画像処理システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る画像処理システムは、表示部と、表示制御部と、保存部とを備える。前記表示部は、所定の視差数の視差画像群を表示することで立体視可能な3次元画像を表示し、複数の同一画像を前記視差画像群に置き換えて表示することで2次元画像を表示する。前記表示制御部は、3次元の情報を有する医用画像データから生成された視差画像群を前記表示部に表示するとともに、前記表示部に表示中の視差画像群に対応する2次元画像であって診断に用いられる2次元画像を前記表示部に表示する。前記保存部は、画像の保存指示を受け付けた場合に、前記表示部に表示された2次元画像の画像データを記憶部に保存する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例を説明するための図である。
【図2】図2は、9視差画像により立体表示を行う立体表示モニタの一例を説明するための図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置の構成例を説明するための図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係るボリュームレンダリング処理の一例を説明するための図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る表示例を説明するための図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係る表示例を説明するための図である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係る制御部の構成例を説明するための図である。
【図8】図8は、第1の実施形態に係る表示処理を説明するための図である。
【図9】図9は、第1の実施形態に係る保存処理を説明するための図である。
【図10】図10は、第2の実施形態に係る表示例を説明するための図である。
【図11】図11は、第2の実施形態に係る表示例を説明するための図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る制御部の構成例を説明するための図である。
【図13】図13は、第2の実施形態に係る表示処理を説明するための図である。
【図14】図14は、第2の実施形態に係る保存処理を説明するための図である。
【図15】図15は、その他の実施形態に係る制御部の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、画像処理システム及び方法の実施形態を詳細に説明する。ここで、以下の実施形態で用いる用語について説明すると、「視差画像群」とは、3次元の情報を有する医用画像データ(以下、ボリュームデータ)に対して、所定の視差角ずつ視点位置を移動させてボリュームレンダリング処理を行うことで生成された画像群のことである。すなわち、「視差画像群」は、「視点位置」が異なる複数の「視差画像」から構成される。また、「視差角」とは、「視差画像群」を生成するために設定された各視点位置のうち、隣接する視点位置とボリュームデータによって表される空間内の所定位置(例えば、空間の中心)とにより定まる角度のことである。また、「視差数」とは、立体視可能なモニタにて立体視されるために必要となる「視差画像」の数のことである。また、以下で記載する「9視差画像」とは、9つの「視差画像」から構成される「視差画像群」のことである。また、以下で記載する「2視差画像」とは、2つの「視差画像」から構成される「視差画像群」のことである。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例を説明するための図である。
【0010】
図1に示すように、第1の実施形態に係る画像処理システム1は、医用画像診断装置110と、画像保管装置120と、ワークステーション130と、端末装置140とを有する。図1に例示する各装置は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)2により、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、画像処理システム1にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。以下、各装置を順に説明する。
【0011】
医用画像診断装置110は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT−CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置、又はこれらの装置群等である。また、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、ボリュームデータを生成可能である。
【0012】
また、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、生成したボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行い、視差画像群を生成する。また、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、表示部として、立体視可能なモニタ(以下、立体表示モニタ)を有する。医用画像診断装置110は、視差画像群を生成し、生成した視差画像群を立体表示モニタに表示する。
【0013】
また、医用画像診断装置110は、生成した医用画像データを画像保管装置120に送信する。なお、医用画像診断装置110は、医用画像データを画像保管装置120に送信する際に、付帯情報として、例えば、患者を識別する患者ID、検査を識別する検査ID、医用画像診断装置110を識別する装置ID、医用画像診断装置110による1回の撮影を識別するシリーズID等を送信する。
【0014】
画像保管装置120は、医用画像データを保管するデータベースである。具体的には、第1の実施形態に係る画像保管装置120は、医用画像診断装置110から送信された医用画像データを記憶部に格納し、これを保管する。なお、第1の実施形態は、大容量の画像を保管可能なワークステーション130を用いることで、図1に例示するワークステーション130と画像保管装置120とが統合される場合であっても良い。すなわち、第1の実施形態は、ワークステーション130そのものに医用画像データを記憶させる場合であってもよい。
【0015】
なお、第1の実施形態において、画像保管装置120に保管された医用画像データは、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等と対応付けて保管される。このため、ワークステーション130や端末装置140は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を用いた検索を行うことで、必要な医用画像データを画像保管装置120から取得する。
【0016】
ワークステーション130は、医用画像データに対して画像処理を行う画像処理装置である。端末装置140は、病院内に勤務する医師や検査技師に医用画像を閲覧させるための装置である。例えば、端末装置140は、病院内に勤務する医師や検査技師により操作されるPC(Personal Computer)やタブレット式PC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等である。
【0017】
ここで、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110が有する立体表示モニタについて説明する。立体表示モニタとしては、立体視用メガネ等の専用機器を用いることで、2視差画像(両眼視差画像とも称する)を立体視可能とするものがある。例えば、シャッター方式により立体表示を行う立体表示モニタであり、モニタを観察する観察者が装着する立体視用メガネとしてシャッターメガネが用いられる。かかる立体表示モニタは、モニタにて2視差画像を交互に出射する。例えば、左目用の画像と右目用の画像を、120Hzにて交互に出射する。モニタには、赤外線出射部が設置され、赤外線出射部は、画像が切り替わるタイミングに合わせて赤外線の出射を制御する。
【0018】
また、赤外線出射部から出射された赤外線は、シャッターメガネの赤外線受光部により受光される。シャッターメガネの左右それぞれの枠には、シャッターが取り付けられており、シャッターメガネは、赤外線受光部が赤外線を受光したタイミングに合わせて左右のシャッターそれぞれの透過状態及び遮光状態を交互に切り替える。
【0019】
更に、近年実用化された立体表示モニタとしては、レンチキュラーレンズ等の光線制御子を用いることで、例えば、9視差画像等の多視差画像を観察者が裸眼にて立体視可能とするものがある。かかる立体表示モニタは、両眼視差による立体視を可能とし、更に、観察者の視点移動に合わせて観察される映像も変化する運動視差による立体視も可能とする。
【0020】
図2は、9視差画像により立体表示を行う立体表示モニタの一例を説明するための図である。図2に示す立体表示モニタには、液晶パネル等の平面状の表示面200の前面に、光線制御子が配置される。例えば、図2に示す立体表示モニタには、光線制御子として、光学開口が垂直方向に延びる垂直レンチキュラーシート201が表示面200の前面に貼り付けられている。なお、図2に示す一例では、垂直レンチキュラーシート201の凸部が前面となるように貼り付けられているが、垂直レンチキュラーシート201の凸部が表示面200に対向するように貼り付けられる場合であっても良い。
【0021】
表示面200には、図2に示すように、縦横比が3:1であり、縦方向にサブ画素である赤(R)、緑(G)、青(B)の3つが配置された画素202がマトリクス状に配置される。図2に示す立体表示モニタは、9つの画像により構成される9視差画像を、所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換したうえで、表示面200に出力する。すなわち、図2に示す立体表示モニタは、9視差画像にて同一位置にある9つの画素それぞれを、9列の画素202に割り振って出力させる。9列の画素202は、視点位置の異なる9つの画像を同時に表示する単位画素群203となる。
【0022】
表示面200において単位画素群203として同時に出力された9視差画像は、例えば、LED(Light Emitting Diode)バックライトにより平行光として放射され、更に、垂直レンチキュラーシート201により、多方向に放射される。9視差画像の各画素の光が多方向に放射されることにより、観察者の右目及び左目に入射する光は、観察者の位置(視点の位置)に連動して変化する。すなわち、観察者の見る角度により、右目に入射する視差画像と左目に入射する視差画像とは、視差角が異なる。これにより、観察者は、例えば、図2に示す9つの位置それぞれにおいて、撮影対象を立体的に視認できる。また、観察者は、例えば、図2に示す「5」の位置において、撮影対象に対して正対した状態で立体的に視認できるとともに、図2に示す「5」以外それぞれの位置において、撮影対象の向きを変化させた状態で立体的に視認できる。なお、図2に示す立体表示モニタは、あくまでも一例である。9視差画像を表示する立体表示モニタは、図2に示すように、「RRR・・・、GGG・・・、BBB・・・」の横ストライプ液晶である場合であっても良いし、「RGBRGB・・・」の縦ストライプ液晶である場合であっても良い。また、図2に示す立体表示モニタは、図2に示すように、レンチキュラーシートが垂直となる縦レンズ方式である場合であっても良いし、レンチキュラーシートが斜めとなる斜めレンズ方式である場合であっても良い。
【0023】
ここまで、第1の実施形態に係る画像処理システム1の構成例について簡単に説明した。なお、上述した画像処理システム1は、PACSが導入されている場合にその適用が限られるものではない。例えば、画像処理システム1は、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムが導入されている場合にも、同様に適用される。この場合、画像保管装置120は、電子カルテを保管するデータベースである。また、例えば、画像処理システム1は、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)が導入されている場合にも、同様に適用される。また、画像処理システム1は、上述した構成例に限られるものではない。各装置が有する機能やその分担は、運用の形態に応じて適宜変更されてよい。
【0024】
次に、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110の構成例について図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110の構成例を説明するための図である。
【0025】
第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、図3に示すように、架台部110aと、計算機システム部110bとを備える。架台部110aは、撮影に用いられる各部を有し、例えば、医用画像診断装置110がMRI装置の場合、架台部110aは、静磁場磁石、傾斜磁場コイル、寝台等を有する。
【0026】
一方、計算機システム部110bは、画像処理等に適した高性能なコンピュータであり、図3に示すように、入力部111と、表示部112と、通信部113と、記憶部114と、制御部115と、レンダリング処理部116とを有する。なお、以下では、計算機システム部110bが画像処理等に適した高性能なコンピュータである場合を用いて説明するが、これに限定されるものではなく、任意の情報処理装置であって良い。例えば、任意のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0027】
入力部111は、マウス、キーボード、トラックボール等であり、医用画像診断装置110に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。具体的には、第1の実施形態に係る入力部111は、撮影計画の入力や、撮影指示の入力、レンダリング処理に関する条件(以下、レンダリング条件)の入力などを受け付ける。
【0028】
表示部112は、立体表示モニタとしての液晶パネル等であり、各種情報を表示する。具体的には、第1の実施形態に係る表示部112は、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、表示画像としての視差画像群等を表示する。通信部113は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。
【0029】
記憶部114は、ハードディスク、半導体メモリ素子等であり、各種情報を記憶する。具体的には、第1の実施形態に係る記憶部114は、撮影によって収集された撮影データを記憶する。また、第1の実施形態に係る記憶部114は、撮影データから生成されたボリュームデータや、レンダリング処理中のボリュームデータ、レンダリング処理により生成された視差画像群等を記憶する。
【0030】
制御部115は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路であり、医用画像診断装置110の全体制御を行う。
【0031】
例えば、第1の実施形態に係る制御部115は、表示部112に対するGUIの表示や視差画像群の表示を制御する。また、例えば、制御部115は、架台部110aが有する各部を制御することで行われる撮影や、画像保管装置120との間で通信部113を介して行われる医用画像データの送受信を制御する。また、例えば、制御部115は、レンダリング処理部116によるレンダリング処理を制御する。また、例えば、制御部115は、各種データの記憶部114からの読み込みや、記憶部114への格納を制御する。
【0032】
レンダリング処理部116は、制御部115による制御の下、記憶部114から読み込んだボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行い、視差画像群を生成する。具体的には、第1の実施形態に係るレンダリング処理部116は、記憶部114からボリュームデータを読み込み、このボリュームデータに対して、まず前処理を行う。次に、レンダリング処理部116は、前処理後のボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行い、視差画像群を生成する。続いて、レンダリング処理部116は、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出された2次元画像を生成し、これを視差画像群それぞれに対して重畳することで、出力用の2次元画像を生成する。そして、レンダリング処理部116は、生成した視差画像群や出力用の2次元画像を記憶部114に格納する。なお、第1の実施形態において、レンダリング処理とは、ボリュームデータに対して行う画像処理全体のことであり、ボリュームレンダリング処理とは、レンダリング処理の内、3次元の情報を反映した2次元画像を生成する処理のことである。
【0033】
ここで、レンダリング処理部116によるボリュームレンダリング処理は、レンダリング条件に従って行われることになる。例えば、レンダリング条件は、「平行投影法」又は「透視投影法」である。また、例えば、レンダリング条件は、「基準の視点位置及び視差角」である。また、例えば、レンダリング条件は、「視点位置の平行移動」、「視点位置の回転移動」、「視差画像群の拡大」、「視差画像群の縮小」である。また、例えば、レンダリング条件は、「着色される色彩」、「透過度」、「質感」、「仮想光源の位置」、「仮想光源の種類」である。このようなレンダリング条件は、入力部111を介して操作者から受け付ける場合や、初期設定される場合が考えられる。いずれの場合も、レンダリング処理部116は、制御部115からレンダリング条件を受け付け、このレンダリング条件に従って、ボリュームデータに対するボリュームレンダリング処理を行う。
【0034】
図4は、第1の実施形態に係るボリュームレンダリング処理の一例を説明するための図である。例えば、レンダリング処理部116が、図4の「9視差画像生成方式(1)」に示すように、レンダリング条件として、平行投影法を受け付け、更に、基準の視点位置(5)と視差角「1度」とを受け付けたとする。かかる場合、レンダリング処理部116は、視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)〜(9)に平行移動して、平行投影法により視差角(視線方向間の角度)が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、平行投影法を行う場合、レンダリング処理部116は、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定する。
【0035】
或いは、レンダリング処理部116が、図4の「9視差画像生成方式(2)」に示すように、レンダリング条件として、透視投影法を受け付け、更に、基準の視点位置(5)と視差角「1度」とを受け付けたとする。かかる場合、レンダリング処理部116は、ボリュームデータの中心(重心)を中心に視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)〜(9)に回転移動して、透視投影法により視差角が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、透視投影法を行う場合、レンダリング処理部116は、視線方向を中心に光を3次元的に放射状に照射する点光源や面光源を各視点にて設定する。また、透視投影法を行う場合、レンダリング条件によっては、視点(1)〜(9)は、平行移動される場合であってもよい。
【0036】
なお、レンダリング処理部116は、表示されるボリュームレンダリング画像の縦方向に対しては、視線方向を中心に光を2次元的に放射状に照射し、表示されるボリュームレンダリング画像の横方向に対しては、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定することで、平行投影法と透視投影法とを併用したボリュームレンダリング処理を行ってもよい。
【0037】
このようにして生成された9つの視差画像が、視差画像群である。第1の実施形態において、9つの視差画像は、例えば制御部115により所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換され、立体表示モニタとしての表示部112に出力される。すると、計算機システム部110bの操作者は、立体表示モニタに表示された立体視可能な医用画像を確認しながら、視差画像群生成のための操作を行うことができる。
【0038】
なお、図4の例では、レンダリング条件として、投影方法、基準の視点位置及び視差角を受け付けた場合を説明したが、レンダリング条件として、他の条件を受け付けた場合も同様に、レンダリング処理部116は、それぞれのレンダリング条件を反映しつつ、視差画像群を生成する。
【0039】
また、レンダリング処理部116は、ボリュームレンダリングだけでなく、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行ってボリュームデータからMPR画像を再構成する機能も有する。なお、レンダリング処理部116は、「Curved MPR」を行う機能や、「Intensity Projection」を行う機能も有する。
【0040】
さて、これまで、医用画像診断装置110が、立体表示モニタに表示するための視差画像群を生成する点を説明してきた。視差画像群が立体表示モニタに表示され、画像診断に用いられた場合、直感的な診断が可能となり、非常に有用である。しかしながら、視差画像群の画像データは、一般にその容量が大きい。このため、例えば遠隔診断等の目的で画像データをネットワーク経由で送信しなければならない場合には、この容量の大きさが問題となり得る。また、画像診断を行う先のモニタの仕様や読影者の視差が異なれば、同じ品質で画像診断を行うことは困難である。
【0041】
そこで、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、立体表示モニタに視差画像群を表示するとともに、この視差画像群に対応する2次元画像も併せて表示し、画像の保存指示を受け付けた場合には、この2次元画像の画像データを記憶部に保存する。例えば、第1読影者は、立体表示モニタに表示された3次元画像を閲覧し、対象物を回転させたり拡大・縮小させたりしながら、診断に必要な3次元画像が表示されたところで、この3次元画像に対応する2次元画像も併せて閲覧する。そして、第1読影者は、この2次元画像を保存するか否かを判断した上で、画像の保存指示を行う。すると、この保存指示が行われた際に表示されていた2次元画像の画像データが記憶部に保存される。この2次元画像の画像データは、視差画像群に比較してその容量が小さい。また、この2次元画像の画像データは、第1読影者によってその表示が確認されたものであるので、他の装置にて第2読影者以降の読影者の閲覧に提供され、画像診断に用いられたとしても、品質の点における懸念がない。
【0042】
なお、上述したように、医用画像診断装置110が有する立体表示モニタは、所定の視差数の視差画像群を表示することで3次元画像を表示することができるが、複数の同一画像を視差画像群に置き換えて表示することで2次元画像を表示することもできる。例えば、第1の実施形態に係る立体表示モニタは、図2に示すように、9視差画像にて同一位置にある9つの画素それぞれを9列の画素202に割り振って出力させることで、3次元画像を表示することができるが、9つの画素のうちの1つの画素を9列の画素202全てに割り振って出力させることで、2次元画像を表示することもできる。
【0043】
また、上述したように、アンダーレイとしての視差画像群それぞれに、オーバーレイとしての各種情報が重畳されることで、出力用の2次元画像群が生成されることになるが、以下において、「3次元画像」又は「視差画像群」と記載する場合には、各種情報が重畳される前の視差画像群を示す場合と、各種情報が重畳された後の出力用の2次元画像群を示す場合とが含まれる。同様に、「2次元画像」又は「同一画像群」と記載する場合には、各種情報が重畳される前の同一画像群を示す場合と、各種情報が重畳された後の出力用の2次元画像群を示す場合とがある。各種情報の重畳は運用の形態に応じて任意に変更することができるので、以下においては説明を省略する。
【0044】
図5及び図6は、第1の実施形態に係る表示例を説明するための図である。図5及び図6に示すように、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、立体表示モニタの表示領域aに、ボリュームデータから生成された3次元画像を表示するとともに、表示領域bに、この3次元画像を擬似的に2次元表現した擬似3次元画像を表示する。この擬似3次元画像は、3次元の情報を反映した2次元画像であり、例えば、視差画像群の内のひとつの視差画像や、ボリュームデータから新たなレンダリング条件で新たに生成されたボリュームレンダリング画像等である。なお、図6においては、3次元画像が、立体視可能な3次元画像であり、擬似3次元画像が、立体視可能でない2次元画像であることを概念的に示した。また、図5及び図6において、表示領域aと表示領域bとは、横に並んで表示される同程度の大きさの表示領域であるが、これに限られるものではなく、例えば、縦に並んで表示される表示領域や、大きさの異なる表示領域等、その配置や大きさ等は任意である。
【0045】
そして、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、画像の保存指示を受け付けた場合に、立体表示モニタに表示された擬似3次元画像の画像データを記憶部114に保存する。例えば、医用画像診断装置110は、図5及び図6に示す『保存』ボタンの押下操作を受け付けると、擬似3次元画像の画像データを記憶部114に保存する。
【0046】
かかる表示・保存処理は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110において、入力部111、表示部112、記憶部114、制御部115、及びレンダリング処理部116が協働することによって実現される。図7は、第1の実施形態に係る制御部115の構成例を説明するための図である。図7に示すように、第1の実施形態に係る制御部115は、表示制御部115aと、画像データ保存部115bとを有する。
【0047】
表示制御部115aは、ボリュームデータから生成された3次元画像を表示部112に表示するとともに、表示部112に表示中の3次元画像に対応し、診断に用いられる擬似3次元画像を表示部112に表示する。
【0048】
例えば、表示制御部115aは、医用画像診断装置110の操作者から入力部111を介して表示指示を受け付けると、記憶部114を参照し、該当するボリュームデータを読み込む。次に、表示制御部115aは、レンダリング処理部116を制御することで、読み込んだボリュームデータに対する種々のレンダリング処理を行い、視差画像群を生成する。そして、表示制御部115aは、生成した視差画像群を表示部112に表示する。こうして、表示制御部115aは、ボリュームデータから生成された3次元画像を表示部112に表示する。
【0049】
また、例えば、表示制御部115aは、生成した視差画像群からひとつの視差画像を選択し、選択した視差画像を表示部112に表示する。ここで、表示制御部115aは、選択したひとつの視差画像による同一画像群を、視差画像群に置き換えて表示する。例えば、表示制御部115aは、9視差画像の内の中央の視差画像(5番目の視差画像)を選択し、選択した5番目の視差画像を表示部112に表示する。こうして、表示制御部115aは、擬似3次元画像を表示部112に表示する。なお、第1の実施形態においては、3次元画像の表示中、常に擬似3次元画像を表示する例を説明するが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、3次元画像の表示中、指示を受け付けた場合に(例えば『保存イメージ表示』ボタンの押下操作を受け付けた場合など)、擬似3次元画像を表示してもよい。
【0050】
また、例えば、表示制御部115aは、3次元画像に描出された対象物の回転操作、拡大・縮小操作等を、医用画像診断装置110の操作者から入力部111を介して受け付けると、再び、これらの操作に従った新たなレンダリング条件に従ってレンダリング処理部116を制御することで、視差画像群を新たに生成する。そして、表示制御部115aは、新たに生成した視差画像群を表示部112に表示するとともに、生成した視差画像群からひとつの視差画像を選択し、選択した視差画像を表示部112に表示する。こうして、表示制御部115aは、3次元画像及び擬似3次元画像を更新する。
【0051】
画像データ保存部115bは、画像の保存指示を受け付けた場合に、表示部112に表示された擬似3次元画像の画像データを記憶部114に保存する。例えば、医用画像診断装置110の操作者から入力部111を介して保存ボタンの押下操作を受け付けると、表示部112に表示されたひとつの視差画像の画像データ(同一画像群のうちのひとつの画像データ)を、記憶部114に保存する。
【0052】
ここで、上述したように、擬似3次元画像が立体表示モニタに表示される場合、ひとつの視差画像による同一画像群が、視差画像群に置き換えられて表示される。すなわち、1つの画素が、視差数分の複数の画素(例えば9画素)全てに割り振って出力される。このため、擬似3次元画像の解像度は、視差の数だけ低下するとも考えられる。そこで、第1の実施形態に係る画像データ保存部115bは、高解像度で保存することを指示する操作(例えば『高解像度で保存』ボタンの押下など)を受け付けた場合には、高解像度の擬似3次元画像を再生成し、再生成した擬似3次元画像の画像データを記憶部114に保存する。
【0053】
例えば、画像データ保存部115bは、9視差画像の内の中央の視差画像(5番目の視差画像)の視点位置、9倍の解像度等を新たなレンダリング条件としてレンダリング処理部116を制御することで、9倍の解像度を有する擬似3次元画像を再生成する。そして、画像データ保存部115bは、再生成した擬似3次元画像の画像データを記憶部114に保存する。
【0054】
続いて、図8は、第1の実施形態に係る表示処理を説明するための図であり、図9は、第1の実施形態に係る保存処理を説明するための図である。図8に示すように、まず、表示制御部115aは、表示部112の表示領域aに、ボリュームデータから生成された3次元画像を表示するとともに、表示領域bに、この3次元画像を擬似的に2次元表現した擬似3次元画像を表示する(ステップS101)。
【0055】
次に、表示制御部115aは、表示領域aに表示された3次元画像上で、3次元画像に描出された対象物の回転操作、拡大・縮小操作等を受け付けたか否かを判定する(ステップS102)。受け付けた場合(ステップS102肯定)、表示制御部115aは、これらの操作に従った新たなレンダリング条件に従って視差画像群を新たに生成し、3次元画像及び擬似3次元画像を更新する(ステップS103)。
【0056】
一方、画像データ保存部115bは、図9に示すように、保存ボタンの押下を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。受け付けた場合(ステップS201肯定)、画像データ保存部115bは、高解像度で保存することを指示する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS202)。
【0057】
受け付けていない場合(ステップS202否定)、画像データ保存部115bは、表示部112に表示された擬似3次元画像の画像データを、記憶部114に保存する(ステップS203)。例えば、画像データ保存部115bは、9視差画像の内の中央の視差画像(5番目の視差画像)の画像データを、記憶部114に保存する。
【0058】
受け付けた場合(ステップS202肯定)、画像データ保存部115bは、高解像度の擬似3次元画像を再生成し(ステップS204)、再生成した擬似3次元画像の画像データを記憶部114に保存する(ステップS205)。例えば、画像データ保存部115bは、9視差画像の内の中央の視差画像(5番目の視差画像)の視点位置、9倍の解像度等を新たなレンダリング条件として9倍の解像度を有する擬似3次元画像を再生成し、再生成した擬似3次元画像の画像データを記憶部114に保存する。
【0059】
上述したように、第1の実施形態によれば、立体表示モニタに3次元画像を表示するとともに、この3次元画像に対応する擬似3次元画像も併せて表示し、画像の保存指示を受け付けた場合には、この擬似3次元画像の画像データを記憶部に保存する。この擬似3次元画像の画像データは、ひとつの視差画像の画像データであるので、視差画像群に比較してその容量が小さい。また、第1読影者によってその表示が確認されたものであるので、他の装置にて第2読影者以降の読影者の閲覧に提供され、画像診断に用いられたとしても、品質の点における懸念がない。このようなことから、第1の実施形態によれば、医用画像を適切に保存することができる。
【0060】
また、第1の実施形態によれば、必要に応じて高解像度の擬似3次元画像を保存するので、モニタの仕様に適した形式で医用画像を保存することが可能になる。すなわち、高解像度の擬似3次元画像の画像データが保存された場合は、必ずしもその容量が小さくならない場合があるが、例えば、画像診断において、容量が問題とならず、モニタの仕様の違いが問題となる場合などには、第2読影者以降の読影者は、より高解像度の医用画像を閲覧することが可能になり、有効である。
【0061】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態においては、擬似3次元画像として、9視差画像の内の中央の視差画像を表示し、この画像データを保存する例を説明した。すなわち、第1の実施形態においては、視差画像群の内のどの視差画像の画像データを表示し、保存するかを予め設定する手法を用いた。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、表示制御部115aは、医用画像診断装置110の操作者の視点位置を検出し、検出した視点位置に応じた擬似3D画像を表示領域bに表示してもよい。この場合、画像データ保存部115bは、視点位置に応じた擬似3D画像の画像データを保存することになる。
【0062】
なお、この視点位置の検出は、公知の技術を用いて行うことができる。例えば、第1の実施形態において、表示部112は、モーショントラッキング装置を備える。モーショントラッキング装置は、カメラを有し、モータを駆動させることでカメラの撮影範囲を変えながら撮影を行う。また、モーショントラッキング装置は、カメラによって撮影された画像に対して顔認識のパターンマッチングを行い、操作者の顔が描出された画像を特定する。そして、モーショントラッキング装置は、特定した画像が撮影された際の表示部112の表示面に対するカメラの向きに基づいて、視点位置を検出する。
【0063】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態に係る医用画像診断装置110は、3次元画像上で関心領域の指定を受け付けると、診断に用いられる2次元画像として関心領域の断面画像を併せて表示する。また、医用画像診断装置110は、画像の保存指示を受け付けた場合には、この断面画像の画像データ、及び、関心領域の指定位置が示された擬似3次元画像の画像データを保存する。
【0064】
図10及び図11は、第2の実施形態に係る表示例を説明するための図である。図10及び図11に示すように、第2の実施形態に係る医用画像診断装置110は、立体表示モニタの表示領域aに、ボリュームデータから生成された3次元画像を表示し、この3次元画像上で、関心領域の指定を受け付ける。また、医用画像診断装置110は、表示領域c及び表示領域dに、関心領域の断面画像を表示する。例えば、医用画像診断装置110は、タグ1の指定を受け付けると、表示領域cに、タグ1に対応する断面画像を表示し、タグ2の指定を受け付けると、表示領域dに、タグ2に対応する断面画像を表示する。なお、図11においては、3次元画像が、立体視可能な3次元画像であり、断面画像が、立体視可能でない2次元画像であることを概念的に示した。また、図10及び図11において、表示領域aと表示領域cと表示領域dとは、横に並んで表示される同程度の大きさの表示領域であるが、これに限られるものではなく、例えば、縦に並んで表示される表示領域や、大きさの異なる表示領域等、その配置や大きさ等は任意である。
【0065】
そして、第2の実施形態に係る医用画像診断装置110は、画像の保存指示を受け付けた場合に、立体表示モニタに表示された断面画像の画像データと、擬似3次元画像上にタグが付されたタグ付き擬似3次元画像の画像データとを、記憶部114に保存する。すなわち、表示領域aに表示された3次元画像については、その画像データを保存するのではなく、3次元画像を擬似的に2次元表現した擬似3次元画像の画像データを保存する。また、この擬似3次元画像の画像データを保存する際に、タグの情報も併せて保存する。
【0066】
図12は、第2の実施形態に係る制御部115の構成例を説明するための図である。図12に示すように、第2の実施形態に係る制御部115は、表示制御部115aと、画像データ保存部115bと、タグ付け操作受付部115cとを有する。
【0067】
タグ付け操作受付部115cは、表示部112に表示中の3次元画像上で関心領域の指定(以下、タグ付け操作)を受け付け、受け付けた関心領域を示す座標を、表示制御部115aに送る。なお、表示部112に表示された3次元空間とボリュームデータ空間とでは座標系が異なると考えられる。このため、タグ付け操作受付部115cは、タグ付け操作を受け付けると、所定の座標変換式を用いて、ボリュームデータ空間における関心領域の指定に変換する。例えば、座標変換式は、3次元画像の大きさ、視差角、視点位置等を要素とする関数によって表現される。あるいは、タグ付け操作受付部115cは、3次元空間の座標とボリュームデータ空間の座標とが対応付けられたテーブルである座標テーブルを有し、3次元空間の座標を用いて座標テーブルを検索することで、ボリュームデータ空間の座標を特定してもよい。
【0068】
表示制御部115aは、ボリュームデータから生成された3次元画像を表示部112に表示するとともに、ボリュームデータから関心領域の断面画像を生成し、生成した断面画像を表示部112に表示する。例えば、表示制御部115aは、タグ付け操作受付部115cから関心領域の座標を受け取ると、この関心領域の座標に従ってレンダリング処理部116を制御することで、ボリュームデータに対する種々のレンダリング処理を行い、関心領域の断面画像(MPR画像など)を生成する。そして、表示制御部115aは、生成した断面画像を表示部112に表示する。なお、表示制御部115aは、生成したひとつの断面画像による同一画像群を、視差画像群に置き換えて表示する。
【0069】
画像データ保存部115bは、画像の保存指示を受け付けた場合に、表示部112に表示された断面画像の画像データ(同一画像群のうちのひとつの画像データ)と、タグ付き3次元擬似画像の画像データとを記憶部114に保存する。
【0070】
例えば、医用画像診断装置110の操作者から入力部111を介して保存ボタンの押下操作を受け付けると、画像データ保存部115bは、タグ付き擬似3次元画像の画像データをボリュームデータから生成する。この場合、画像データ保存部115bは、ボリュームデータ空間の座標系に変換されたタグ情報を用いてボリュームレンダリング処理を行うことで、タグ付き擬似3次元画像の画像データを生成する。そして、画像データ保存部115bは、表示部112に表示された2つの断面画像の画像データと、このタグ付き擬似3次元画像の画像データとを、記憶部114に保存する。
【0071】
なお、第1の実施形態と同様、第2の実施形態に係る画像データ保存部115bも、高解像度で保存することを指示する操作を受け付けた場合には、高解像度の断面画像やタグ付き擬似3次元画像を再生成し、再生成した断面画像タグ付き擬似3次元画像の画像データを記憶部114に保存する。
【0072】
続いて、図13は、第2の実施形態に係る表示処理を説明するための図であり、図14は、第2の実施形態に係る保存処理を説明するための図である。図13に示すように、まず、表示制御部115aは、表示部112の表示領域aに、ボリュームデータから生成された3次元画像を表示する(ステップS301)。
【0073】
次に、タグ付け操作受付部115cが、表示領域aに表示された3次元画像上で、タグ付け操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS302)。受け付けた場合(ステップS302肯定)、タグ付け操作受付部115cは、関心領域を示す座標を、3次元空間の座標からボリュームデータ空間の座標に変換し(ステップS303)、変換後の座標を表示制御部115aに送る。
【0074】
すると、表示制御部115aは、この関心領域の座標に従ってレンダリング処理部116を制御することで、ボリュームデータに対する種々のレンダリング処理を行い、関心領域の断面画像を生成する(ステップS304)。そして、表示制御部115aは、生成した断面画像を表示領域cや表示領域dに表示する(ステップS305)。
【0075】
一方、画像データ保存部115bは、図14に示すように、保存ボタンの押下を受け付けたか否かを判定する(ステップS401)。受け付けた場合(ステップS401肯定)、画像データ保存部115bは、高解像度で保存することを指示する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS402)。
【0076】
受け付けていない場合(ステップS402否定)、画像データ保存部115bは、表示部112に表示された断面画像の画像データと、タグ付き擬似3次元画像の画像データとを、記憶部114に保存する(ステップS403)。
【0077】
受け付けた場合(ステップS402肯定)、画像データ保存部115bは、高解像度の断面画像やタグ付き3次元画像を再生成し(ステップS404)、再生成した断面画像やタグ付き3次元画像の画像データを記憶部114に保存する(ステップS405)。
【0078】
上述したように、第2の実施形態によれば、診断に必要ないくつかの断面画像、及び、診断対象の外形情報に、断面画像がどの位置の断面であるかを示すタグの情報が付された画像が保存されるので、断面画像と診断対象との対応関係も明らかとなり、医用画像を適切に保存することができる。
【0079】
(その他の実施形態)
その他の実施形態をいくつか説明する。
【0080】
上述の第1の実施形態及び第2の実施形態においては、医用画像診断装置110が、3次元画像及び診断に必要な2次元画像を表示し、これを閲覧した操作者(例えば第1読影者)による操作の下、医用画像診断装置110が、診断に必要な2次元画像の画像データ等を保存する例を説明した。
【0081】
ここで、第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれにおいても、2次元画像の画像データ等以外の画像データを保存してはならないという意味ではない。例えば、環境に応じて適切な医用画像データが選択されて閲覧されるように、医用画像診断装置110は、様々な形式で保存された医用画像データを画像保管装置120に送信してもよい。例えば、医用画像診断装置110は、2次元画像の画像データ等を画像保管装置120に送信するだけでなく、3次元画像の画像データ(視差画像群)も画像保管装置120に送信してもよい。この場合、例えば遠隔医療のように画像データの容量が問題となり得る場合には、2次元画像の画像データ等を用いればよいし、立体表示モニタを有するワークステーション130や端末装置140がある場合には、これらの装置は、3次元画像の画像データを取得して立体表示モニタに表示すればよい。
【0082】
また、第1の実施形態や第2の実施形態においては、医用画像診断装置110にて表示・保存処理が行われる例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、医用画像診断装置110から画像保管装置120に対してボリュームデータが送信され、画像保管装置120にボリュームデータが保管され、他の装置、例えばワークステーション130や端末装置140が、上述した表示・保存処理を行ってもよい。すなわち、どの装置にて表示・保存処理が行われるか等は、運用の形態に応じて任意に変更することが可能である。
【0083】
(印刷)
上述の第1の実施形態及び第2の実施形態においては、診断に用いられる2次元画像の画像データを記憶部に記憶する例を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではなく、2次元画像を印刷してもよい。この場合、例えば、操作者は、立体表示モニタに表示された3次元画像を閲覧しながら、この3次元画像に対応する2次元画像も併せて閲覧し、診断に必要な2次元画像が表示されたところで、画像の印刷指示を行う。この場合、操作者は、印刷イメージを確認した上で、画像の印刷指示を行うことができる。
【0084】
図15は、その他の実施形態に係る制御部215の構成例を説明するための図である。医用画像診断装置210は、医用画像診断装置110と同様の構成を有する。また、図15に示すように、医用画像診断装置210の制御部215は、表示制御部115aと同様の機能を有する表示制御部215aの他に、出力制御部215bを備える。この出力制御部215bは、画像の出力指示を受け付けた場合に、表示部212に表示された2次元画像を所定の出力装置300に出力する。例えば、出力制御部215bは、画像の印刷指示を入力部211を介して受け付けた場合に、表示部212に表示された擬似3次元画像を、医用画像診断装置210が備えるプリンタ、又は医用画像診断装置210に外付けされたプリンタに、印刷する。あるいは、例えば、出力制御部215bは、表示部212に表示された断面画像、及びタグ付き擬似3次元画像をプリンタに印刷する。
【0085】
(2視差、6視差など)
また、上述の実施形態においては、9視差画像の場合を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、2視差、6視差など、任意の視差数を用いることができる。
【0086】
(その他)
なお、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0087】
また、上述の実施形態で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0088】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の画像処理システム及び方法によれば、医用画像を適切に保存することができる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
110 医用画像診断装置
115 制御部
115a 表示制御部
115b 画像データ保存部
115c タグ付け操作受付部
120 医用画像保管装置
130 ワークステーション
140 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の視差数の視差画像群を表示することで立体視可能な3次元画像を表示し、複数の同一画像を前記視差画像群に置き換えて表示することで2次元画像を表示する表示部と、
3次元の情報を有する医用画像データから生成された視差画像群を前記表示部に表示するとともに、前記表示部に表示中の視差画像群に対応する2次元画像であって診断に用いられる2次元画像を前記表示部に表示する表示制御部と、
画像の保存指示を受け付けた場合に、前記表示部に表示された2次元画像の画像データを記憶部に保存する保存部と
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記表示部に表示中の視差画像群上で関心領域の指定を受け付ける受付部を更に備え、
前記表示制御部は、前記医用画像データから前記関心領域の断面画像を生成し、診断に用いられる前記2次元画像として、前記断面画像を前記表示部に表示し、
前記保存部は、画像の保存指示を受け付けた場合に、前記断面画像の画像データと、前記視差画像群を擬似的に2次元表現した2次元画像上に前記関心領域の指定位置が示された2次元画像の画像データとを前記記憶部に保存することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記保存部は、前記表示部に表示された2次元画像の画像データを記憶部に保存する場合に、前記医用画像データから高解像度の2次元画像を再生成し、再生成した高解像度の2次元画像の画像データを記憶部に保存することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
所定の視差数の視差画像群を表示することで立体視可能な3次元画像を表示し、複数の同一画像を前記視差画像群に置き換えて表示することで2次元画像を表示する表示部と、
3次元の情報を有する医用画像データから生成された視差画像群を前記表示部に表示するとともに、前記表示部に表示中の視差画像群に対応する2次元画像であって診断に用いられる2次元画像を前記表示部に表示する表示制御部と、
画像の出力指示を受け付けた場合に、前記表示部に表示された2次元画像を所定の出力装置に出力する出力制御部と
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項5】
画像処理システムで実行される画像処理方法であって、
前記画像処理システムは、所定の視差数の視差画像群を表示することで立体視可能な3次元画像を表示し、複数の同一画像を前記視差画像群に置き換えて表示することで2次元画像を表示する表示部を備え、
3次元の情報を有する医用画像データから生成された視差画像群を前記表示部に表示するとともに、前記表示部に表示中の視差画像群に対応する2次元画像であって診断に用いられる2次元画像を前記表示部に表示する表示制御工程と、
画像の保存指示を受け付けた場合に、前記表示部に表示された2次元画像の画像データを記憶部に保存する保存工程と
を含んだことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−243210(P2012−243210A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114878(P2011−114878)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】