説明

画像処理システム

【課題】 画像処理部に対する電源の供給を止めることなく、カメラ部の電源が切れるようにした電源供給型カメラリンク方式による画像処理システムを提供すること。
【解決手段】 #1カメラ部1と#2カメラ部2が夫々ケーブル4、5により画像処理装置3に接続され、画像処理装置3の電源回路からケーブル4、5を介して#1カメラ部1と#2カメラ部2に電源が供給されるようにした電源供給型カメラリンク方式による画像処理システムにおいて、画像処理装置3に、#1カメラ電源供給停止スイッチ11と#2カメラ電源供給停止スイッチ12、それに全カメラ電源供給停止スイッチ13を設け、これらスイッチの操作により、#1カメラ部1と#2カメラ部2に対する電源の供給が任意にオフできるようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンカメラの画像信号をケーブルで信号処理部に伝送する画像処理システムに係り、特にモニタ用に好適な画像伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば物品製造ラインのモニタなど、各種のモニタ装置としてテレビジョンカメラで撮像した画像によりモニタするシステムが広く用いられているが、この場合、テレビジョンカメラで撮像した画像をリアルタイムで別体の信号処理部に伝送して処理するのが一般的である。そして、この場合、カメラ部と信号処理部の間をケーブルで接続し、有線伝送方式により信号の伝送を行うのが、これも一般的である。
【0003】
ところで、この場合、カメラ部の動作には電力が必要であり、このため外部から電力の供給を要するが、このとき、電力の供給に専用のケーブルを用いたのでは、カメラ部に接続されるケーブルの本数が多くなって好ましくない。
そこで、或る従来技術によれば、カメラ部と信号処理部を接続している信号伝送用のケーブルを電力供給にも共用し、信号処理部からカメラ部に電力が供給されるようにした信号伝送方法について開示している(例えば特許文献1を参照。)。
【0004】
この従来技術で採用されている技法は、いわゆる電源供給型カメラリンク方式と呼ばれているものであるが、ここで、図3は、この電源供給型カメラリンク方式を#1と#2の2台のカメラ部1、2に対して1台の画像処理装置3を設け、それぞれをケーブル4、5により接続したシステムに適用した場合の1例で、この場合、画像処理装置3が上記した画像処理部に相当する。
このときケーブル4、5は、ケーブルコネクタ6、7、8、9により、カメラ部1、2と画像処理装置3の夫々に機械的に結合され、これにより電気的な接続が与えられるようになっている。
【0005】
そこで、これらのケーブル4、5を介して、各カメラ部1、2から画像信号などのデータが画像処理装置3に伝送され、画像処理装置3からは制御信号やクロック信号などの各種のデータが各カメラ部1、2に伝送されることになるが、このとき各ケーブル4、5には、データ伝送用のラインだけではなく、それに加えて電源ラインも含まれていて、この電源ラインを介して、画像処理装置3の電源回路からカメラ部1、2に電力が供給されるようになっている。
このため画像処理装置3には、システムの主電源となる電源部10が接続されていて、この電源部10から画像処理装置3に、例えばDC12Vなど、所定の定格の電力が供給されるのであるが、このとき画像処理装置3には、上記したように、各カメラ部に電力を供給するための電源回路が備えられていて、これから各々のケーブル4、5の電源ラインを介してカメラ部1、2に電源電力が供給されるようになっており、これが電源供給型カメラリンク方式と呼ばれる所以である。
【0006】
ところで、この従来技術では、例えばカメラ部1、2の設置位置の変更などに際して、カメラ部1、2の電源をオフにする必要が生じた場合、画像処理装置3の電源をオフにしている。これは、電源供給型カメラリンク方式の場合、各ケーブル4、5は、何れも活栓装抜が禁止されているので、ケーブルコネクタ6〜9を外してカメラ部1、2に対する電力の供給を止めることができないからである。
そして、このことは、画像処理装置3がフレームグラバーボードなどの場合も同じで、従来技術では、フレームグラバーボードの電源を切ることにより対応している。
【特許文献1】特開2004−304787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術は、電源供給型カメラリンク方式を適用した画像処理システムの使い勝手の向上に課題があった。
上記したように、従来技術では、カメラ部の電源を切るためには、画像処理装置の電源を切る必要があり、このため、カメラ部が複数ある場合、或る1台のカメラ部の電源を切ると、全てのカメラ部による画像のモニタが停止されてしまうことになり、従って、使い勝手の向上に課題が残ってしまうのである。
本発明の目的は、画像処理部に対する電源の供給を止めることなく、カメラ部の電源が切れるようにした電源供給型カメラリンク方式による画像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、画像処理部に各々が1本のケーブルで接続された少なくとも1台のカメラ部を備え、前記カメラ部から前記画像処理部への信号の伝送と、前記画像処理部から前記カメラ部に対する電力の供給を、前記ケーブルを共用して行う方式の画像処理システムにおいて、前記画像処理部にスイッチ手段を設け、前記スイッチ手段の操作により、前記カメラ部に対する電力の供給と停止が行えるようにして達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カメラ部の電源を切るのに画像処理部に対する電源の供給を止める必要がなくなるので、複数のカメラ部の中で、1台のカメラ部の電源をオフしだだけで全てのカメラ部による画像モニタが不能になってしまうという事態の発生を抑えることができる。
また、本発明によれば、モニタ用に複数のテレビジョンカメラを備えたシステムにおいて、活栓装抜を行うことなく、各々のテレビジョンカメラについて個別に、或いは一括して電源供給の停止が得られるので、装置取扱いの効率化が図れ、画像処理部に対する電源供給の多彩化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像処理システムについて、図示の実施の形態により詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施の形態で、この場合、まず、#1カメラ部1と#2カメラ部2が夫々ケーブル4、5により画像処理装置3に接続され、これにより、いわゆる電源供給型カメラリンク方式による画像処理システムを構成し、このとき各ケーブル4、5は、カメラ部1、2と画像処理装置3の夫々に、ケーブルコネクタ6〜9により結合されていて、この結果、#1カメラ部1と#2カメラ部2の夫々に、画像処理装置3内の電源回路からケーブル4、5を介して電力が供給され、システムが動作するようになっている点は、図3により説明した従来技術の場合と同じである。
【0011】
しかして、この図1の実施形態が、図3の従来技術と異なっているのは、#1カメラ電源供給停止スイッチ11と#2カメラ電源供給停止スイッチ12、それに全カメラ電源供給停止スイッチ13が画像処理装置3に設けられている点にある。
そこで、以下、これらスイッチと、それらを有することによる動作の違いに重点をおいて説明する。
【0012】
まず、#1カメラ電源供給停止スイッチ11は、図2に示すように、全カメラ電源供給停止スイッチ13の固定接点13aとケーブル4の電力ラインの間に接続され、これらの間の電路をオンオフする働きをする。このとき、全カメラ電源供給停止スイッチ13の可動接点13cは、図示のように、画像処理装置3内の電源回路ラインに接続されており、従って、この#1カメラ電源供給停止スイッチ11をオフにすれば、#1カメラ部1に対する電源電力の供給だけを止めることができる。
次に、#2カメラ電源供給停止スイッチ12は、同じく図2に示すように、全カメラ電源供給停止スイッチ13の固定接点13aとケーブル5の電力ラインの間に接続され、これらの間の電路をオンオフする働きをする。従って、この#2カメラ電源供給停止スイッチ12をオフにすれば、#2カメラ部2に対する電源電力の供給だけを止めることができる。
【0013】
そして、全カメラ電源供給停止スイッチ13は、これも同じく図2に示すように、画像処理装置3の電源回路ラインと#1カメラ電源供給停止スイッチ11及び#2カメラ電源供給停止スイッチ12の双方の可動接点11c、12cの間に接続され、これらの間の電路をオンオフする働きをする。従って、この全カメラ電源供給停止スイッチ13をオフにすれば、#1カメラ部1と#2カメラ部2の双方に対する電源電力の供給を同時に止めることができる。
なお、これらのスイッチ11、12、13としては、例えばトグルスイッチやスライドスイッチなど、オンポジションとオフポジションを任意にとることができるスイッチが用いられ、このとき、必要に応じてオンオフ状態を表示するパイロットランプ機能が備えられたものを用いるようにしても良い。
【0014】
そこで、いま、システムが動作中、何らかの理由、例えば設置位置の変更などの理由により、#1カメラ部1の電源をオフにする必要が生じたときには、#1カメラ電源供給停止スイッチ11を操作し、それをオフにしてやれば良い。
この場合、画像処理装置3に対する電源電力の供給が停止されることはなく、しかもケーブル4、5も接続されたままであるから、他のカメラ部、つまり#2カメラ部2に対する電源電力の供給はそのまま継続され、従って、#2カメラ部2によるモニタ動作には何の影響も及ばず、勿論、電源供給型カメラリンク方式におけるケーブルの装抜禁止に抵触する虞れもない。
【0015】
このことは、#2カメラ部2についても同じであり、#2カメラ部2の電源をオフする必要が生じたときには、#2カメラ電源供給停止スイッチ12を操作し、それをオフにしてやれば良く、このときも画像処理装置3に対する電源電力の供給をオフにする必要はなく、ケーブル4、5もそのままなので、他のカメラ部である#1カメラ部1によるモニタ動作には何の影響も及ばず、ケーブルの装抜禁止にも抵触することはない。
【0016】
しかも、この実施形態では、更に全カメラ電源供給停止スイッチ13が設けられているので、必要なときには、全カメラ部(この場合は#1カメラ部1と#2カメラ部2の2台であるが)についても同時に電源をオフにすることができるので、多彩にわたるシステム運用にも対応することができ、この場合も画像処理装置3に対する電源電力の供給がオフされることはなく、ケーブルの装抜禁止に抵触することもない。
【0017】
ところで、以上の実施形態では、カメラ部が2台、つまり#1カメラ部1と#2カメラ部2の2台の場合について説明したが、本発明はカメラ部の台数に制限はなく、少なくとも1台のカメラ部があれば、3台以上のカメラを備えているシステムでも適用が可能なことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による画像処理システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明による画像処理システムの一実施の形態におけるスイッチ回路の一例を示す回路図である。
【図3】従来技術による画像処理システムの一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0019】
1:#1カメラ部
2:#2カメラ部
3:画像処理装置
4:ケーブル(#1カメラ部用)
5:ケーブル(#2カメラ部用)
6〜9:ケーブルコネクタ(活栓)
10:電源部
11:#1カメラ電源供給停止スイッチ
12:#2カメラ電源供給停止スイッチ
13:全カメラ電源供給停止スイッチ
11c:可動接点(#1カメラ電源供給停止スイッチ11の可動接点)
12c:可動接点(#2カメラ電源供給停止スイッチ12の可動接点)
13a:固定接点(全カメラ電源供給停止スイッチ13の固定接点)
13c:可動接点(全カメラ電源供給停止スイッチ13の可動接点)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理部に各々が1本のケーブルで接続された少なくとも1台のカメラ部を備え、前記カメラ部から前記画像処理部への信号の伝送と、前記画像処理部から前記カメラ部に対する電力の供給を、前記ケーブルを共用して行う方式の画像処理システムにおいて、
前記画像処理部にスイッチ手段を設け、
前記スイッチ手段の操作により、前記カメラ部に対する電力の供給と停止が行えるように構成したことを特徴とする画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−60504(P2009−60504A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227699(P2007−227699)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】