説明

画像処理システム

【課題】撮像対象の全ての部分が焦点の合った状態で撮像されている平面画像を得る。
【解決手段】画像処理システム1は、撮像装置2と画像処理装置4とを備え、撮像対象9と撮像装置2との相対位置を検出するためのエンコーダ61とともに用いられる。撮像装置2は、エリアセンサの一部をラインセンサとして用いてライン画像を生成して撮像画像とする機能を有する。画像処理装置4において、撮像指示部414は、撮像タイミング生成部413で生成された各撮像タイミングで撮像対象9を撮像するように撮像装置2に指示する。画像取込部42は、各撮像タイミングごとに撮像装置2から取り込んだ各撮像画像を撮像順に結合して平面画像を生成する。撮像タイミング生成部413は、各撮像タイミングを生成する際に、平面画像において各ライン画像が連続して結合するように、エンコーダ61の出力を用いて、連続する2つの撮像タイミングの間隔を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象が撮像されている撮像画像に対して画像処理を行う画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像対象が撮像されている撮像画像に対して画像処理を行う画像処理システムは種々開発されている。従来の画像処理システムは、エリアセンサを有する撮像装置が撮像対象を撮像し、撮像対象の撮像によって得られる2次元画像に対して画像処理を行い、画像処理結果を得ている。
【0003】
ところが、上記画像処理システムでは、撮像対象が撮像されている撮像画像が2次元画像であるため、撮像対象に曲面部が含まれる場合、撮像装置が曲面部の全ての部分に対して焦点を合わせることが困難であった。このため、上記画像処理システムでは、焦点の合わない部分を含む2次元画像に対して画像処理を行うことになり、精度の高い画像処理結果を得ることが難しいという問題があった。
【0004】
上記問題を解決するシステムとして、特許文献1には、円柱状の撮像対象の側面をラインセンサカメラが撮像して、撮像対象の側面の展開図を取得するシステムが開示されている。特許文献1のシステムは、上記展開図を用いて、撮像対象の側面上の傷および文字を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−235043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、ラインセンサカメラの撮像と撮像対象の回転速度とが連携していないため、例えば撮像対象に回転むらがある場合、撮像対象が撮像されている平面画像(展開図)において、撮像対象の各部分が均一に撮像されていない場合があった。つまり、撮像対象の回転が遅いときに撮像された部分は広くなり、撮像対象の回転が速いときに撮像された部分は狭くなっていた。このため、特許文献1のシステムでは、撮像対象の全ての部分が均一に撮像されている平面画像を得ることができず、精度の高い画像処理を行うことができないという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みて為され、本発明の目的は、撮像対象の全ての部分が焦点の合った状態で均一に撮像されている平面画像を得ることができる画像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理システムは、撮像対象を撮像する撮像装置と、前記撮像装置の撮像によって得られる撮像画像に対して画像処理を行う画像処理装置とを備え、前記撮像対象と前記撮像装置との相対位置を検出するためのエンコーダとともに用いられる画像処理システムであって、前記撮像装置は、エリアセンサの一部をラインセンサとして用いてライン画像を生成して前記撮像画像とする機能を有し、前記画像処理装置は、前記撮像装置に前記撮像対象を撮像させる複数の撮像タイミングを生成する撮像タイミング生成部と、前記撮像タイミング生成部で生成された各撮像タイミングで前記撮像対象を撮像するように前記撮像装置に指示する撮像指示部と、各撮像タイミングごとに前記撮像装置で撮像された前記撮像画像を前記撮像装置から取り込む画像取込部と、前記画像取込部が取り込んだ各撮像画像を撮像順に結合して平面画像を生成する画像生成部とを有し、前記撮像タイミング生成部は、前記平面画像において各ライン画像が連続して結合するように、連続する2つの撮像タイミングの間隔を、前記相対位置の変化が大きくなるほど狭く設定することを特徴とする。
【0009】
この画像処理システムにおいて、前記撮像対象は回転されるものであって、前記エンコーダは、前記相対位置として、前記撮像対象の回転位置を検出し、前記撮像装置は、前記撮像対象の回転軸に沿った面を撮像することが好ましい。
【0010】
この画像処理システムにおいて、前記撮像対象は回転されるものであって、前記エンコーダは、前記相対位置として、前記撮像対象の回転位置を検出し、前記撮像装置は、前記撮像対象の回転軸に沿った面を前記エリアセンサで撮像するエリアモードと、前記撮像対象の回転軸に沿った面を前記ラインセンサで撮像するラインモードとを選択可能に有することが好ましい。
【0011】
この画像処理システムにおいて、前記撮像対象の回転軸に沿った面は、前記撮像対象の回転位置によって平面部または曲面部を含み、前記撮像指示部は、前記撮像装置と前記撮像対象の前記平面部とが対向する場合に前記撮像対象の前記平面部を前記エリアセンサで撮像するように前記撮像装置に指示する一方、前記ラインセンサの撮像領域に前記撮像対象の前記曲面部が含まれる場合に前記撮像対象の前記曲面部を前記ラインセンサで撮像するように前記撮像装置に指示することが好ましい。
【0012】
この画像処理システムにおいて、前記撮像対象の回転軸方向から当該撮像対象を撮像する補助撮像装置を備え、前記画像処理装置は、前記撮像タイミング生成部で各撮像タイミングが生成される前に前記補助撮像装置の撮像によって得られる画像を用いて前記撮像対象の回転位置を検出する検出部を有し、前記撮像対象は、前記検出部で検出された前記回転位置から予め決められた基準位置に回転されるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮像対象と撮像装置との相対位置の変化が大きくなるほど狭くなるように、連続する2つの撮像タイミングの間隔を設定し、各撮像タイミングで撮像対象を焦点の合った状態で撮像し、各撮像タイミングで得られる複数のライン画像を結合して平面画像を生成することによって、撮像対象の全ての部分が焦点の合った状態で均一に撮像されている平面画像を得ることができる。これにより、本発明では、上記平面画像に対して精度の高い画像処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係る画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同上に係る画像処理システムの概略図である。
【図3】同上に係る画像処理システムにおいて、(a)は複数のライン画像を結合した平面画像を示す図、(b)は1つのライン画像のみを示す図である。
【図4】実施形態2における撮像装置および撮像対象であって、(a)は撮像装置が撮像対象の平面部を撮像する場合を示す図、(b)は撮像装置が撮像対象の曲面部を撮像する場合を示す図である。
【図5】実施形態3に係る画像処理システムの概略図である。
【図6】同上に係る画像処理システムの動作を説明する図である。
【図7】同上に係る画像処理システムにおいて、(a)は補助撮像装置の撮像によって得られる2次元画像を示す図、(b)は撮像対象の平面部が撮像されている2次元画像を示す図、(c)は撮像対象の曲面部が撮像されている複数のライン画像を結合した平面画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
実施形態1に係る画像処理システムは、撮像対象が撮像されている撮像画像に対して画像処理を行うシステムである。図2に示すように、本実施形態の画像処理システム1は、撮像機能を有する撮像装置2および補助撮像装置3と、画像処理機能を有する画像処理装置4と、表示機能を有する表示装置5とを備え、エンコーダ61を有する回転機構6とともに用いられる。
【0016】
回転機構6は、モータなどによって台座62を回転させる機構である。台座62には、撮像対象9が載置される。
【0017】
エンコーダ61は、ロータリエンコーダであり、台座62の回転位置を検出するために用いられるZ相・A相・B相の各パルス信号を画像処理装置4に出力する。
【0018】
本実施形態の撮像対象9は、円柱状に形成された物体である。つまり、撮像対象9の側面91は曲面である。撮像対象9は、回転機構6の台座62に載置され、台座62とともに回転する。
【0019】
撮像装置2は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(ComplementaryMetal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いたエリアセンサカメラであり、撮像対象9の回転軸に沿った側面91を撮像する。撮像装置2は、通常のエリアセンサカメラとしてエリアセンサで撮像対象9を撮像して撮像画像として2次元画像を生成するエリアモードと、エリアセンサの一部をラインセンサ(リニアセンサ)として用いてライン画像81(図3参照)を生成して撮像画像とするラインモードとを選択可能に有している。ラインセンサの方向は、撮像対象9の回転軸方向(図2の上下方向)である。これにより、ラインセンサの撮像領域は、撮像対象9の回転軸方向を長手方向とする細長い領域となる。撮像対象9が撮像された撮像画像の画像データは、撮像装置2から画像処理装置4に出力される。
【0020】
補助撮像装置3は、例えばCCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサなどを用いたエリアセンサカメラであり、撮像対象9の回転軸方向から撮像対象9の上面92を撮像して2次元画像を生成する。補助撮像装置3の撮像方向は、撮像装置2の撮像方向と直交する。撮像対象9が撮像されている撮像画像(2次元画像)の画像データは、補助撮像装置3から画像処理装置4に出力される。
【0021】
画像処理装置4は、図1に示すように、管理部41と、画像取込部42と、表示制御部43と、画像処理部44と、制御部45とを備え、撮像装置2および補助撮像装置3の各撮像によって得られる撮像画像に対して画像処理を行う。画像処理装置4には、表示装置5とエンコーダ61と外部装置7とが接続されている。図示していないが、管理部41と画像取込部42と表示制御部43と画像処理部44と制御部45とは、1つの筐体に収納されている。
【0022】
外部装置7は、例えばプログラマブルコントローラ(PLC)などの上位コントローラであり、撮像装置2に撮像指示を与えるためのトリガ信号を画像処理装置4に出力する。
【0023】
管理部41は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)またはマイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit)などを主構成要素とし、位置情報取得部411とカウンタ412と撮像タイミング生成部413と撮像指示部414との各機能を実行する。
【0024】
位置情報取得部411は、エンコーダ61のパルス出力を用いて、台座62の回転位置を検出する。上述したように撮像対象9が台座62とともに回転するので、エンコーダ61のパルス出力を用いて台座62の回転位置を検出することによって、撮像対象9の回転位置を検出することができる。つまり、撮像装置2と撮像対象9との相対位置を検出することができる。
【0025】
カウンタ412は、エンコーダ61のパルス出力に応じてカウントしていく。
【0026】
撮像タイミング生成部413は、撮像装置2に撮像対象9を撮像させる複数の撮像タイミングを生成する。具体的には、撮像タイミング生成部413は、位置情報取得部411で取得された撮像対象9の回転位置とカウンタ412の出力値であるカウント値とを用いて、後述の平面画像において各ライン画像81が連続して結合するように、連続する2つの撮像タイミングの間隔を設定する。このとき、撮像タイミング生成部413は、時間による撮像対象9の回転位置の変化が大きくなるほど狭くなるように、連続する2つの撮像タイミングの間隔を設定する。
【0027】
撮像指示部414は、撮像タイミング生成部413で生成された各撮像タイミングで撮像対象9を撮像するように画像取込部42を介して撮像装置2に指示する。
【0028】
画像取込部42は、例えばFPGAまたはマイクロプロセッサなどを主構成要素とし、各撮像タイミングごとに撮像装置2から撮像画像の画像データを取り込む。また、画像取込部42は、撮像画像の画像データを補助撮像装置3から取り込む。
【0029】
また、画像取込部42は、撮像装置2からライン画像81を取り込んだ場合、図3(a)に示すように各ライン画像81を撮像順(撮像タイミング順)に結合して平面画像を生成する。画像取込部42は本発明の画像生成部に相当する。なお、図3(b)に示すように1つのライン画像81のみを単独で用いられることもある。
【0030】
図1に示す表示制御部43は、例えば表示用のFPGAまたはマイクロプロセッサなどを主構成要素とし、画像取込部42から画像データを取得し、取得した画像データを表示装置5に適した形式に変更して表示装置5に出力する。
【0031】
画像処理部44は、画像処理用のDSP(Digital Signal Processor)を主構成要素とし、プログラムに従って動作することによって、画像取込部42から取得した画像データを用いて画像処理を行う。
【0032】
制御部45は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を主構成要素とし、プログラムに従って動作することによって、画像処理装置4の各部を制御する。また、外部装置7からトリガ信号が入力される。
【0033】
表示装置5は、例えば液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイなどであり、表示制御部43の指示に従って、表示制御部43から画像データを取得し、取得した画像データを要素とする画像を表示する。
【0034】
次に、本実施形態に係る画像処理システム1の動作について説明する。まず、外部装置7から画像処理装置4の制御部45にトリガ信号が入力されると、制御部45は、補助撮像装置3から2次元画像を取り込むように画像取込部42に撮像指示を与えるともに、撮像装置2からライン画像81を取り込むために管理部41に撮像指示を与える。
【0035】
その後、管理部41は、回転機構6のエンコーダ61からパルス出力を取得し、各撮像タイミングで撮像装置2に撮像指示を与えるように画像取込部42に撮像指示を与える。画像取込部42は、制御部45の撮像指示に従って、補助撮像装置3に撮像指示を与えるとともに、管理部41の指示に従って、各撮像タイミングで撮像装置2に撮像指示を与える。
【0036】
撮像装置2は、画像取込部42からの撮像指示に従って、ラインセンサを用いて撮像対象9を撮像してライン画像81を生成する。その後、撮像装置2は、ライン画像81を撮像画像として画像取込部42に出力する。補助撮像装置3は、画像取込部42からの撮像指示に従って、撮像対象9を撮像して2次元画像を生成する。その後、補助撮像装置3は、2次元画像を撮像画像として画像取込部42に出力する。
【0037】
画像取込部42は、撮像装置2の撮像によって得られた各ライン画像81の画像データを撮像順に結合して平面画像を生成する。上記平面画像を生成した後、画像取込部42は、上記平面画像の画像データを表示制御部43および画像処理部44に出力する。一方、補助撮像装置3の撮像によって得られた2次元画像については、画像取込部42は、上記2次元画像の画像データをそのまま表示制御部43および画像処理部44に出力する。画像処理部44は、画像取込部42から出力された画像データを用いて画像処理を行う。画像処理を行った後、画像処理部44は、画像処理結果を制御部45に出力する。制御部45は、画像処理部44からの画像処理結果を外部装置7に出力する。表示制御部43は、画像取込部42から取得した画像データを表示装置5に適した形式に変更して表示装置5に出力する。表示装置5は、表示制御部43から取得した画像データを要素とする画像を表示する。
【0038】
次に、本実施形態の画像処理システム1の使用例について説明する。本実施形態の画像処理システム1は外観検査システムとして用いることができる。この場合、撮像対象9が検査対象となる。画像処理システム1は、撮像対象9の側面91および上面92を撮像し、撮像画像に対して画像処理を行うことによって、撮像対象9に存在する凹凸欠陥や傷欠陥を検出することができる。
【0039】
以上、本実施形態の画像処理システム1によれば、撮像対象9と撮像装置2との相対位置の変化が大きくなるほど狭くなるように、連続する2つの撮像タイミングの間隔を設定し、各撮像タイミングで撮像対象9を焦点の合った状態で撮像し、各撮像タイミングで得られる複数のライン画像81,81,……を結合して平面画像を生成することによって、撮像対象9の全ての部分が焦点の合った状態で均一に撮像されている平面画像を得ることができる。撮像対象9の側面91をエリアセンサカメラで撮像したときの2次元画像とは異なり、本実施形態において複数のライン画像81,81,……を結合した平面画像には焦点の合っていない部分(ぼやけた部分)は存在しない。これにより、本実施形態の画像処理システム1では、上記平面画像に対して精度の高い画像処理を行うことができる。
【0040】
なお、図示していないが、管理部41と画像取込部42と表示制御部43と画像処理部44と制御部45のそれぞれには、各種データを記憶するための記憶部が設けられている。以下の実施形態2,3においても同様である。
【0041】
また、管理部41と表示制御部43は、それぞれ別個のFPGAまたはマイクロプロセッサを主構成要素としてもよいし、1つのFPGAまたはマイクロプロセッサで構成されてもよい。以下の実施形態2,3においても同様である。
【0042】
さらに、本実施形態の撮像装置2においてエリアモードは必ずしも必要ではなく、撮像装置2がエリアモードを有していない場合であっても、画像処理システム1は、各撮像タイミングで得られる複数のライン画像81,81,……を結合して平面画像を生成することによって、撮像対象9の全ての部分が焦点の合った状態で均一に撮像されている平面画像を得ることができるという効果を奏する。
【0043】
(実施形態2)
実施形態2に係る画像処理システム1は、図4に示すように側面91に平面部911と曲面部912とを含む撮像対象9aを撮像する点で、実施形態1に係る画像処理システム1と相違する。以下、本実施形態の画像処理システム1について図1および図4を用いて説明する。なお、実施形態1の画像処理システム1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
図4に示すように、本実施形態の撮像対象9aは、いわゆるDカットの付いた柱状の物体である。撮像対象9aの回転軸に沿った側面91は、平面部911と曲面部912とを含んでいる。
【0045】
本実施形態の撮像指示部414(図1参照)は、図4(a)に示すように撮像対象9aの平面部911と撮像装置2とが対向する場合にエリアモードを選択して撮像対象9aの平面部911を撮像するように撮像装置2に指示する。一方、図4(b)に示すようにラインセンサの撮像領域に撮像対象9aの曲面部912が含まれる場合、撮像指示部414は、ラインモードを選択して撮像対象9aの曲面部912を撮像するように撮像装置2に指示する。
【0046】
撮像装置2は、撮像指示部414の指示に従って、撮像対象9aの平面部911をエリアセンサで撮像し、撮像画像として2次元画像を生成する一方、撮像対象9aの曲面部912についてはラインセンサで撮像し、撮像画像としてライン画像81を生成する。
【0047】
以上、本実施形態の画像処理システム1によれば、撮像対象9aに平面部911と曲面部912とが混在する場合であっても、曲面部912を撮像する場合に各撮像タイミングのライン画像81を順に結合することによって、曲面部912の全ての部分において焦点の合った平面画像を生成することができる。
【0048】
なお、本実施形態の画像処理システム1は、実施形態1の画像処理システム1と同様に、外観検査システムとして用いることができる。
【0049】
(実施形態3)
実施形態3に係る画像処理システム1は、図5に示すように撮像対象9aの回転軸方向から撮像対象9aが撮像されている撮像画像を用いて撮像対象9aの形状および回転位置を認識できる点で、実施形態2に係る画像処理システム1と相違する。以下、本実施形態の画像処理システム1について図1および図5〜7を用いて説明する。なお、実施形態2の画像処理システム1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態の画像処理部44(図1参照)は、撮像タイミング生成部413(図1参照)で各撮像タイミングが生成される前に、補助撮像装置3の撮像によって得られる撮像画像に対して画像処理を行い、撮像対象9aの平面部911の回転位置を検出する。画像処理部44の検出結果は、制御部45を介して外部装置7に出力される。本実施形態の画像処理部44は本発明の検出部に相当する。
【0051】
本実施形態の外部装置7は、画像処理部44の検出結果から、撮像対象9aの平面部911が撮像装置2と対向するように台座62を回転させる(図6(b)参照)。その結果、撮像対象9aは、画像処理部44で検出された回転位置から予め決められた基準位置に平面部911が移動するように回転する。
【0052】
本実施形態の撮像指示部414(図1参照)は、上記のように撮像対象9aの平面部911が撮像装置2と対向すると、エリアモードを選択して撮像対象9aの平面部911を撮像するように撮像装置2に指示する。また、撮像指示部414は、上記のように撮像装置2に指示した後、エンコーダ61のパルス出力で同期を取りながら、各撮像タイミングでラインモードを選択して撮像対象9aの曲面部912を撮像するように撮像装置2に指示する。
【0053】
次に、本実施形態に係る画像処理システム1の動作について説明する。まず、補助撮像装置3が撮像対象9aの上面92を撮像する。図7(a)は、上面92が撮像されている2次元画像83を示す。画像処理装置4は、2次元画像83に対して画像処理を行い、撮像対象9aの平面部911の回転位置を検出する(図6(a)参照)。平面部911の回転位置の情報は、制御部45から外部装置7に出力される。外部装置7は、平面部911の回転位置の情報を取得すると、撮像対象9aの平面部911と撮像装置2とを対向させるように台座62を回転させる(図6(b)参照)。撮像装置2は、エリアモードで撮像対象9aの平面部911を撮像する。図7(b)は、平面部911が撮像されている2次元画像82を示す。その後、画像処理装置4は、2次元画像82を撮像画像として取得して画像処理を行う。
【0054】
その後、外部装置7は、台座62を反時計回り(図6(c)(d)の矢印方向)に回転させていく。平面部911と曲面部912との境界部分になったとき、撮像装置2は、エリアモードからラインモードにモードを切り替えて、撮像対象9aの曲面部912の撮像を開始する(図6(c)参照)。撮像装置2は、エンコーダ61のパルス出力に同期した撮像タイミングごとに、ラインセンサを用いて曲面部912を撮像していく。その後、他方の平面部911と曲面部912との境界部分になったとき(図6(d)参照)、撮像装置2は、ラインモードからエリアモードにモードを切り替える。図7(c)は、曲面部912が撮像されている複数のライン画像81を結合した平面画像を示す。
【0055】
なお、本実施形態の画像処理システム1を外観検査システムに用いる場合、図7(a)〜(c)の撮像画像81〜83に対して画像処理を行うことによって、撮像対象9aの表面に存在する欠陥を検出することができる。
【0056】
以上、本実施形態の画像処理システム1によれば、補助撮像装置3の撮像によって撮像対象9aの形状を容易に認識することができる。
【0057】
また、本実施形態の画像処理システム1では、撮像対象9aの上面92、側面91の平面部911および曲面部912について焦点を合わせて撮像することができる。これにより、画像処理システム1を外観検査システムに用いる場合、撮像対象9aの表面について外観検査を行うことができ、検査の精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像処理システム
2 撮像装置
3 補助撮像装置
4 画像処理装置
413 撮像タイミング生成部
414 撮像指示部
42 画像取込部(画像生成部)
44 画像処理部(検出部)
61 エンコーダ
9,9a 撮像対象
91 側面
911 平面部
912 曲面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象を撮像する撮像装置と、前記撮像装置の撮像によって得られる撮像画像に対して画像処理を行う画像処理装置とを備え、前記撮像対象と前記撮像装置との相対位置を検出するためのエンコーダとともに用いられる画像処理システムであって、
前記撮像装置は、エリアセンサの一部をラインセンサとして用いてライン画像を生成して前記撮像画像とする機能を有し、
前記画像処理装置は、
前記撮像装置に前記撮像対象を撮像させる複数の撮像タイミングを生成する撮像タイミング生成部と、
前記撮像タイミング生成部で生成された各撮像タイミングで前記撮像対象を撮像するように前記撮像装置に指示する撮像指示部と、
各撮像タイミングごとに前記撮像装置で撮像された前記撮像画像を前記撮像装置から取り込む画像取込部と、
前記画像取込部が取り込んだ各撮像画像を撮像順に結合して平面画像を生成する画像生成部とを有し、
前記撮像タイミング生成部は、前記平面画像において各ライン画像が連続して結合するように、連続する2つの撮像タイミングの間隔を、前記相対位置の変化が大きくなるほど狭く設定する
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記撮像対象は回転されるものであって、
前記エンコーダは、前記相対位置として、前記撮像対象の回転位置を検出し、
前記撮像装置は、前記撮像対象の回転軸に沿った面を撮像する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記撮像対象は回転されるものであって、
前記エンコーダは、前記相対位置として、前記撮像対象の回転位置を検出し、
前記撮像装置は、前記撮像対象の回転軸に沿った面を前記エリアセンサで撮像するエリアモードと、前記撮像対象の回転軸に沿った面を前記ラインセンサで撮像するラインモードとを選択可能に有する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記撮像対象の回転軸に沿った面は、前記撮像対象の回転位置によって平面部または曲面部を含み、
前記撮像指示部は、前記撮像装置と前記撮像対象の前記平面部とが対向する場合に前記撮像対象の前記平面部を前記エリアセンサで撮像するように前記撮像装置に指示する一方、前記ラインセンサの撮像領域に前記撮像対象の前記曲面部が含まれる場合に前記撮像対象の前記曲面部を前記ラインセンサで撮像するように前記撮像装置に指示する
ことを特徴とする請求項2記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記撮像対象の回転軸方向から当該撮像対象を撮像する補助撮像装置を備え、
前記画像処理装置は、前記撮像タイミング生成部で各撮像タイミングが生成される前に前記補助撮像装置の撮像によって得られる画像を用いて前記撮像対象の回転位置を検出する検出部を有し、
前記撮像対象は、前記検出部で検出された前記回転位置から予め決められた基準位置に回転されるものである
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−259099(P2011−259099A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130338(P2010−130338)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】