説明

画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理装置及び画像処理システム

【課題】優れた美観の3次元画像表示を実現できる画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理装置及び画像処理システムを提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、処理部10の投影マッピング処理部21が背景オブジェクトに対して複数方向からテクスチャ画像の投影マッピングを行う。画像処理装置1は、環境マップ画像取得処理部22が二次記憶部12から取得した環境マップ画像データ34に基づいて環境マッピング処理部23が環境マッピング処理を行うことにより、ブレンド処理部24が行うブレンド処理に必要なブレンド係数を取得する。得られたブレンド係数に応じて、ブレンド処理部24が複数のテクスチャ画像のブレンド処理を行う。環境マッピング処理部23は、光源からの光線ベクトルが背景オブジェクトの表面で反射した反射ベクトルを算出し、反射ベクトルに対応する画素値をブレンド係数として環境マップ画像から取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元コンピュータグラフィックスに関する画像処理を行う画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理装置及び画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元コンピュータグラフィックス(以下、3DCGという)は、例えばコンピュータゲーム、映画及びCAD(Computer Aided Design)システム等に広く利用されている。近年の3DCGでは、複数の多角形面(ポリゴン)の組み合わせで表現された立体オブジェクトに対して、予め用意された画像(テクスチャ)を表面に張り付けることにより立体オブジェクトの表面質感を向上させる画像処理が行われる。この画像処理は、テクスチャマッピングと呼ばれている。
【0003】
特許文献1には、テクスチャマッピングとしてUVマッピングを行う画像処理装置が記載されている。特許文献1の画像処理装置は、参照アドレス生成部がシェーダからUV座標を受け取ってテクスチャを参照するための参照アドレスに変換し、参照アドレスに基づいてテクスチャメモリに格納されたテクスチャマップを参照する。画像処理装置は、参照した値を補間部へ供給し、補間部がテクスチャマッピング処理を行って、ピクセルのUV座標値に対応したカラー値を生成してシェーダへ供給する。また特許文献1の画像処理装置は、参照アドレスに基づいて命令マップを参照し、参照した命令を実行するための制御信号をシェーダへ与えることによって、ピクセル毎に異なる命令をシェーダに実行させることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−146721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テクスチャマッピングの一手法として広く利用されているUVマッピングは、テクスチャの貼り付け対象である立体オブジェクトの3次元座標とテクスチャ画像の2次元座標(UV座標)とを対応付けることで貼り付けを行うものである。この対応付けは立体オブジェクトが変形しても維持されるため、立体オブジェクトを変形させた場合に貼り付けられたテクスチャに歪みが生じる。例えば立体モデルを構成する一のポリゴンのサイズが一方向へ拡大された場合、このポリゴンに貼り付けられていたテクスチャはポリゴンの拡大方向に引き伸ばされ、歪んだ画像となる。
【0006】
また、テクスチャマッピングの他の手法として、投影マッピング、ラップマッピング、ソリッドテクスチャマッピング、バンプマッピング、環境マッピング、変位マッピング及び透明度マッピング等の種々のアルゴリズムが利用されている。
【0007】
本発明の目的とするところは、優れた美観の3次元画像表示を可能とするテクスチャマッピング処理を実現する画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理装置及び画像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理方法は、複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける画像処理方法であって、複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得ステップと、該環境マップ画像取得ステップにて取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に張り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピングステップと、前記立体オブジェクトに対して複数のテクスチャ画像を貼り付ける貼付ステップと、前記マッピングステップにて取得した合成係数に応じて、前記立体オブジェクト表面に張り付けられた複数のテクスチャ画像を合成する合成ステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像処理方法は、前記貼付ステップにおける複数のテクスチャ画像の貼り付けは、異なる複数の投影方向での投影マッピングにより行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像処理方法は、複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける画像処理方法であって、前記立体オブジェクトに対して所定方向からテクスチャ画像を投影マッピングする所定方向投影マッピングステップと、複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得ステップと、該環境マップ画像取得ステップにて取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に張り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピングステップと、前記立体オブジェクトに対して、投影マッピング済みのテクスチャ画像の投影方向とは異なる方向から、テクスチャ画像を投影マッピングする異方向投影マッピングステップと、前記マッピングステップにて取得した合成係数に応じて、前記投影マッピング済みのテクスチャ画像及び前記異なる方向から投影マッピングしたテクスチャ画像を合成する合成ステップとを含み、前記マッピングステップ、前記異方向投影マッピングステップ及び前記合成ステップを反復して行い、前記立体オブジェクトに対して複数方向からテクスチャ画像を貼り付けることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る画像処理方法は、前記環境マップ画像には、前記合成係数としてアルファ値が設定されており、前記合成ステップでは、複数のテクスチャ画像の各画素値をアルファブレンドにより合成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る画像処理方法は、前記環境マッピング処理では、光源から前記立体オブジェクト表面への光線ベクトルに対する反射ベクトルを算出し、算出した反射ベクトルに対応する前記環境マップ画像の画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を前記環境マップ画像から取得することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る画像処理方法は、前記立体オブジェクトが、移動体及び背景を含む仮想空間の前記背景を構成する立体オブジェクトであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る画像処理プログラムは、コンピュータに、複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付けさせる画像処理プログラムであって、コンピュータを、複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、前記立体オブジェクトに対して複数のテクスチャ画像を貼り付ける貼付手段と、前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられた複数のテクスチャ画像を合成する合成手段として動作させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る画像処理プログラムは、コンピュータに、複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付けさせる画像処理プログラムであって、コンピュータを、前記立体オブジェクトに対して所定方向からテクスチャ画像を投影マッピングする所定方向投影マッピング手段と、複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、前記立体オブジェクトに対して、投影マッピング済みのテクスチャ画像の投影方向とは異なる方向から、テクスチャ画像を投影マッピングする異方向投影マッピング手段と、前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記投影マッピング済みのテクスチャ画像及び前記異なる方向から投影マッピングしたテクスチャ画像を合成する合成手段として動作させ、コンピュータに、前記マッピング手段による合成係数の取得、前記異方向投影マッピング手段によるテクスチャ画像の投影マッピング、及び、前記合成手段によるテクスチャ画像の合成を反復して行わせ、前記立体オブジェクトに対する複数方向からのテクスチャ画像の貼り付けを実行させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る画像処理装置は、複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける処理を行う画像処理装置であって、複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、前記立体オブジェクトに対して複数のテクスチャ画像を貼り付ける貼付手段と、前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられた複数のテクスチャ画像を合成する合成手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置は、複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける処理を行う画像処理装置であって、前記立体オブジェクトに対して所定方向からテクスチャ画像を投影マッピングする所定方向投影マッピング手段と、複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、前記立体オブジェクトに対して、投影マッピング済みのテクスチャ画像の投影方向とは異なる方向から、テクスチャ画像を投影マッピングする異方向投影マッピング手段と、前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記投影マッピング済みのテクスチャ画像及び前記異なる方向から投影マッピングしたテクスチャ画像を合成する合成手段と、前記マッピング手段による合成係数の取得、前記異方向投影マッピング手段によるテクスチャ画像の投影マッピング、及び、前記合成手段によるテクスチャ画像の合成を反復して行い、前記立体オブジェクトに対して複数方向からテクスチャ画像を貼り付けるテクスチャマッピング手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る画像処理システムは、複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける処理を行う画像処理システムであって、複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、前記立体オブジェクトに対して複数のテクスチャ画像を貼り付ける貼付手段と、前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられた複数のテクスチャ画像を合成する合成手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る画像処理システムは、複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける処理を行う画像処理システムであって、前記立体オブジェクトに対して所定方向からテクスチャ画像を投影マッピングする所定方向投影マッピング手段と、複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、前記立体オブジェクトに対して、投影マッピング済みのテクスチャ画像の投影方向とは異なる方向から、テクスチャ画像を投影マッピングする異方向投影マッピング手段と、前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記投影マッピング済みのテクスチャ画像及び前記異なる方向から投影マッピングしたテクスチャ画像を合成する合成手段と、前記マッピング手段による合成係数の取得、前記異方向投影マッピング手段によるテクスチャ画像の投影マッピング、及び、前記合成手段によるテクスチャ画像の合成を反復して行い、前記立体オブジェクトに対して複数方向からテクスチャ画像を貼り付けるテクスチャマッピング手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、環境マップ画像に周囲の風景などの画像データを設定するのではなく、複数のテクスチャ画像を合成(ブレンド)する場合に必要な合成係数(ブレンド係数)を環境マップ画像の各画素に設定しておく。この環境マップ画像を用いて環境マッピング処理を行うことにより、立体オブジェクト表面での反射方向に対応したブレンド係数が取得でき、このブレンド係数を用いて複数のテクスチャ画像をブレンドすることができる。
【0021】
また本発明においては、立体オブジェクトに対して複数のテクスチャ画像を投影マッピングする。投影マッピングは、立体オブジェクトが存在する座標系上にテクスチャ画像を配し、このテクスチャ画像を立体オブジェクトへ向けて投影することにより、テクスチャ画像の貼り付けを行う手法である。このため投影マッピングでは、立体オブジェクトの形状が変化した場合であっても、貼り付けられるテクスチャ画像に歪みが生じることはない。
【0022】
一般的に環境マッピング処理では、光源からの光線、視点(カメラ)からの視線、又は、光線及び視線を合成したベクトル等が立体オブジェクト表面で反射した反射ベクトルを算出し、この反射ベクトルに対応する環境マップ画像の画素を特定し、特定した画素の画素値を環境マップ画像から取得する。本発明では、光源からの光線に基づく環境マッピング処理を行って環境マップ画像からブレンド係数を取得する。これは、視点はその位置が変化する可能性があり、視点が移動すると環境マッピング処理によって取得されるブレンド係数が変化し、ブレンド処理の結果が変化するためである。これに対して光源はその位置が変化する可能性は低く、視点が移動してもブレンド処理の結果が変化することはない。
【0023】
また本発明においては、環境マップ画像の画素値にブレンド係数としてアルファ値を設定しておく。この環境マップ画像を用いて環境マッピング処理を行うことにより、立体オブジェクト表面の法線方向に対応したアルファ値が取得し、複数のテクスチャ画像をアルファブレンドすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明による場合は、環境マッピング処理に基づきブレンド係数を取得して複数のテクスチャ画像のブレンド処理を行うことによって、ブレンド処理を容易に実現できる。また立体オブジェクトに対して異なる複数の方向からテクスチャ画像を投影マッピングすることによって、立体オブジェクトの形状が変化した場合であっても、貼り付けられるテクスチャ画像には歪みが生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理装置が表示装置に表示させる3次元画像の一例を示す模式図である。
【図3】画像処理装置が行う投影マッピング処理を説明するための模式図である。
【図4】画像処理装置が行う環境マッピング処理を説明するための模式図である。
【図5】環境マップ画像の一例を示す模式図である。
【図6】画像処理装置が行うテクスチャマッピング処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】変形例に係る画像処理システムの一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図において1は、画像処理装置であり、例えば据置型のゲーム機器として実現されるものである。画像処理装置1は、液晶ディスプレイ又はPDP(Plasma Display Panel)等の表示装置5に映像信号用のケーブルを介して接続され、デジタル又はアナログの画像信号を出力する。表示装置5は、画像処理装置1から与えられた画像信号に基づいて3次元画像を含む種々の画像処理を行う。
【0027】
画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置を用いて構成される処理部10を備えている。処理部10は、二次記憶部12に予め記憶されたゲームプログラム(図示は省略する)を一次記憶部11に読み出して実行することにより、ゲーム機器として機能するための各種の演算処理(例えば、ユーザの操作部14に対する操作を判定する処理及び操作内容に応じて表示装置5に表示する画像を更新する処理等)を行う。また本実施の形態の画像処理装置1は3DCGの画像処理機能を備えており、処理部10は、二次記憶部12に予め記憶された画像処理プログラム31を実行することにより、3DCGに関する画像処理を行い、処理済みの画像を画像出力部13から出力することによって表示装置5での画像表示を行う。
【0028】
画像処理装置1の一次記憶部11は、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(DynamicRandom Access Memory)等のメモリ素子を用いて構成されている。一次記憶部11は、処理部10が行う処理に必要な各種のプログラム及びデータが二次記憶部12から読みだされて記憶されると共に、処理部10の演算処理に伴って生成される各種のデータが一時的に記憶される。
【0029】
画像処理装置1の二次記憶部12は、ハードディスク又はフラッシュメモリ等の(一次記憶部11と比較して)大容量の不揮発性記憶装置を用いて構成されている。二次記憶部12は、通信部15が外部のサーバ装置(図示は省略する)などからダウンロードしたプログラム及びデータ、並びに、ディスクドライブ16が記録媒体9から読み出したプログラム及びデータ等が予め記憶(インストール)されている。
【0030】
画像処理装置1の画像出力部13は、処理部10にて画像処理された画像のデータを、処理部10の指示に従って一次記憶部11から読み出し、読み出した画像データを所定形式の画像信号に変換して表示装置5へ出力する。また画像処理装置1の操作部14は、画像処理装置1の装置本体に設けられたスイッチの他に、有線又は無線で接続されたゲームのコントローラを含み、ユーザによる操作を受け付けて処理部10へ通知する。
【0031】
画像処理装置1の通信部15は、有線若しくは無線のLAN(Local Area Network)、又は、公衆の携帯電話回線網等を介して、外部の装置との間でデータの送受信を行う。画像処理装置1が通信機能を備えることによって、ユーザは、外部のサーバ装置からゲームプログラム(画像処理プログラム31及び種々のデータを含む)をダウンロードして二次記憶部12に記憶することができる。またユーザは、通信部15による通信機能を利用して、遠隔地の他のユーザと同一のゲームを協力して又は対戦して遊ぶことができる。
【0032】
画像処理装置1のディスクドライブ16は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)又はブルーレイディスク等の光ディスク型の記録媒体9が着脱可能に構成されている。ディスクドライブ16は、装着された記録媒体9に記録されたゲームプログラム(画像処理プログラム31及び種々のデータを含む)を読み出して二次記憶部12に記憶する。なおディスクドライブ16に記録されたゲームプログラムを予め二次記憶部12に記憶しておくのではなく、処理部10がディスクドライブ16に装着された記録媒体9から直接的にゲームプログラムを一次記憶部11へ読み出して実行してもよい。
【0033】
上述のように画像処理装置1は、処理部10にて画像処理プログラム31を実行することによって、3DCGに関する種々の画像処理を行う。図1のブロック図には、3DCGのテクスチャマッピング処理に関する4つのブロックを処理部10内に記載してある。これら4つのブロックは、処理部10が画像処理プログラムを実行することによって実現されるソフトウェア的な機能ブロックである。また二次記憶部12には、テクスチャマッピング処理に用いるデータとして、立体オブジェクトデータ32、テクスチャ画像データ33及び環境マップ画像データ34の3種のデータを記載してある。これらのデータは、ゲームプログラムと共に記録媒体9などから二次記憶部12へインストールされる。
【0034】
次に、本実施の形態に係る画像処理装置1が行うテクスチャマッピング処理について説明する。図2は、画像処理装置1が表示装置5に表示させる3次元画像の一例を示す模式図である。図示の例は、岩などの背景オブジェクト102が多数配された背景に対して、ユーザが操作部14を利用して操作する(移動させる)ことが可能なキャラクターオブジェクト101が配置された3次元の仮想空間である。画像処理装置1は、この3次元の仮想空間を特定の視点から視認した2次元画像を処理部10にて生成し、画像出力部13から画像信号として出力することで、表示装置5に画像を表示させる。
【0035】
3次元仮想空間に配置されるキャラクターオブジェクト101及び背景オブジェクト102等の立体オブジェクトは、多数のポリゴンの組み合わせで表現されるものであり、立体オブジェクトの表面(ポリゴンの表面)にはテクスチャ画像が貼り付けられている。画像処理装置1は、立体オブジェクトに係る情報(例えば、ポリゴンの頂点座標など)を、立体オブジェクトデータ32として二次記憶部12に記憶している。また画像処理装置1は、立体オブジェクトに貼り付けるテクスチャ画像の情報を、テクスチャ画像データ33として二次記憶部12に記憶している。
【0036】
画像処理装置1の処理部10は、キャラクターオブジェクト101の表面にテクスチャ画像を貼り付ける処理を、例えばUVマッピングのアルゴリズムにて行う(ただし、別のアルゴリズムで行ってもよい)。UVマッピングは、キャラクターオブジェクト101の3次元座標(XYZ)と、テクスチャ画像の2次元座標(UV)との対応付けを行うことによって、テクスチャ画像の所定範囲を立体オブジェクトの所定ポリゴンに貼り付けるアルゴリズムである。
【0037】
また、処理部10は、背景オブジェクト102に対するテクスチャ画像の貼り付けを、投影マッピングのアルゴリズムにて行う。図3は、画像処理装置1が行う投影マッピング処理を説明するための模式図である。投影マッピングは、2次元のテクスチャ画像を立体オブジェクトの表面に平行投影して貼り付けるアルゴリズムであり、従来は3次元座標におけるX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向のいずれか1つの座標軸に対して平行に投影が行われる。これに対して本実施の形態に係る画像処理装置1の処理部10は、背景オブジェクト102に対して、3次元座標におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3方向からそれぞれテクスチャ画像を投影マッピングする処理を投影マッピング処理部21にて行う。
【0038】
例えば処理部10の投影マッピング処理部21は、まずXY平面に平行に配したテクスチャ画像105zを、Z軸方向へ背景オブジェクト102に対して投影マッピングする。次いで投影マッピング処理部21は、YZ平面に平行に配したテクスチャ画像105xを、X軸方向へ背景オブジェクト102に対して投影マッピングする。更に投影マッピング処理部21は、ZX平面に平行に配したテクスチャ画像105yを、Y軸方向へ背景オブジェクト102に対して投影マッピングする。なお、複数のテクスチャ画像105x〜105zは、同じ画像であってもよく、異なる画像であってもよい。
【0039】
このように複数のテクスチャ画像を1つの背景オブジェクト102へ投影マッピングした場合、背景オブジェクト102の表面において複数のテクスチャ画像が重なって投影される箇所が存在する。そこで処理部10は、テクスチャ画像が重なる箇所について、複数のテクスチャ画像をブレンドする処理をブレンド処理部24にて行う。本実施の形態において処理部10のブレンド処理部24は、ブレンド処理としてアルファブレンドのアルゴリズムを用いる(ただしアルファブレンドは一例であり、ブレンド処理部24が他のアルゴリズムによるブレンド処理を行う構成であってもよい)。
【0040】
アルファブレンドは、透過率を表す係数(アルファ値)に基づいて2つの画像を合成するアルゴリズムであり、下記の(1)式による演算を画像の各画素について行う。なお(1)式において、aを第1画像の画素値とし、bを第2画像の画素値とし、cを合成後の画像の画素値とし、αをアルファ値とする。ただし、0≦α≦1である。
c=a×(1−α)+b×α …(1)
【0041】
例えば処理部10のブレンド処理部24は、テクスチャ画像105zが貼り付けられた背景オブジェクト102に対して投影マッピング処理部21がテクスチャ画像105xを投影マッピングする際に、テクスチャ画像105zを第1画像とし、テクスチャ画像105xを第2画像として(1)式に基づくアルファブレンド処理を行う。次いでブレンド処理部24は、投影マッピング処理部21が背景オブジェクト102に対して更にテクスチャ画像105yを投影マッピングする際に、ブレンドされたテクスチャ画像105z及び105xを第1画像とし、テクスチャ画像105yを第2画像としてアルファブレンド処理を行う。
【0042】
ブレンド処理部24は、ブレンド処理を行うためにアルファ値を取得する。本実施の形態に係る画像処理装置1の処理部10は、背景オブジェクト102を構成する各ポリゴンの法線ベクトルに応じたアルファ値にてブレンド処理部24がアルファブレンドを行う。このため処理部10は、二次記憶部12に記憶された環境マップ画像データ34を環境マップ画像取得処理部22にて取得し、環境マップ画像データ34を用いて環境マッピング処理部23が環境マッピング処理を行うことによって、各ポリゴンの法線ベクトルに応じたアルファ値を取得している。
【0043】
図4は、画像処理装置1が行う環境マッピング処理を説明するための模式図である。一般的に環境マッピングは、物体に対する周囲環境の映り込みを表現する場合などに利用される画像処理のアルゴリズムである。映り込みを表現するための環境マッピングでは、物体の周囲環境を環境マップ画像として予め用意しておき、物体を囲む仮想の球体又は立方体等の内面に環境マップ画像を貼り付ける。次いで光線ベクトル又は視線ベクトル等と物体との交点での反射ベクトルを算出し、反射ベクトルと仮想の球体又は立方体等との交点を特定し、交点での環境マップ画像の画素値を物体表面に反映させることで映り込みを表現する。
【0044】
本実施の形態に係る画像処理装置1が二次記憶部12に環境マップ画像データ34として記憶する環境マップ画像205は、周囲環境の画像ではなく、各画素にアルファ値が設定されたものである。処理部10の環境マッピング処理部23は、光源201からの光線ベクトル202と、背景オブジェクト102との交点を算出する。環境マッピング処理部23は、算出した交点におけるポリゴンの法線ベクトル203に基づいて、光線ベクトル202の反射ベクトル204を算出する。次いで環境マッピング処理部23は、反射ベクトル204と環境マップ画像205との交点の画素を特定し、特定した画素の画素値(アルファ値)を取得する。
【0045】
環境マッピング処理部23は、背景オブジェクト102表面の各点(貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する点)にて反射ベクトル204と環境マップ画像205との交点のアルファ値を取得し、ブレンド処理部24へ与える。ブレンド処理部24は、環境マッピング処理部23から与えられたアルファ値に応じて、背景オブジェクト102表面の各点にて、上記(1)式に基づくテクスチャ画像のアルファブレンドを行う。このときブレンド処理部24は、既に貼り付けられた(ブレンド処理された)一又は複数のテクスチャ画像を上記(1)式の第1画像とし、新たに貼り付けるテクスチャ画像を第2画像としてブレンド処理を行えばよい。
【0046】
環境マッピング処理に用いる環境マップ画像205は、ゲームの設計者又はデザイナ等が予め作成したものである。図5は、環境マップ画像205の一例を示す模式図であり、上段に環境マップ画像205の全体図を示し、下段に一部拡大図を示す。環境マップ画像205は、各画素に例えば0〜255の256階調の画素値を設定することができ、各画素の画素値を255で除算した値がアルファ値となる。図5においては、環境マップ画像205を256階調のグレースケールの画像として示してある。
【0047】
図5に一例として示す環境マップ画像205は、左右両端の所定幅部分が黒色であり、且つ、中央の所定幅部分が白色であり、左右の黒色から中央の白色へ、横方向へ徐々に明度が高くなるようグラデーションが施された画像である。(ただし図5においては、黒色から白色へ明度を段階的に変化させた画像を示してあるが、明度を連続的に変化させる画像であってよい。)
【0048】
また環境マップ画像205の横方向への色の変化は、縦方向に関して均一である必要はなく、図5下段に示すように、各色の画素の配置にバラツキを持たせてもよい。このバラツキは、例えば設計者又はデザイナ等の判断に基づくものであってよく、また例えば乱数などに基づいて自動生成するのであってよい。環境マップ画像205の色の変化にバラツキを持たせることによって、反射ベクトル204に対するアルファ値にバラツキを持たせることができる。これによりブレンド処理部24はテクスチャ画像のブレンド処理にバラツキを持たせることができ、背景オブジェクト102表面に貼り付けられる模様などにノイズ表現を含ませることができる。
【0049】
図6は、画像処理装置1が行うテクスチャマッピング処理の手順を示すフローチャートであり、処理部10が画像処理プログラム31を実行することによって行われる処理である。まず、画像処理装置1の処理部10は、テクスチャマッピング処理に必要なデータを二次記憶部12から読みだす処理を行う。詳しくは、処理部10は、背景オブジェクト102に関するデータが含まれる立体オブジェクトデータ32を二次記憶部12から読み出して取得する(ステップS1)。また処理部10は、背景オブジェクト102に貼り付ける複数のテクスチャ画像105x〜105zが含まれるテクスチャ画像データ33を二次記憶部12から読み出して取得する(ステップS2)。また処理部10は、ブレンド係数としてアルファ値が設定された環境マップ画像205を含む環境マップ画像データ34を二次記憶部12から読み出して取得する(ステップS3)。
【0050】
次いで処理部10は、変数n=1の設定を行う(ステップS4)。なお変数nは、投影マッピング処理部21による投影マッピングの方向を区別するための変数であり、1≦n≦Nである。例えば図3において、変数n=1の場合をZ軸方向からの投影マッピングに対応させ、変数n=2の場合をX軸方向からの投影マッピングに対応させ、変数n=3の場合をY軸方向からの投影マッピングに対応させることができる。また定数Nは、投影マッピングを行う方向の数であり、図3の例においてN=3である。また変数nは、処理部10内のレジスタ又は一次記憶部11等の記憶領域に確保される。
【0051】
次いで処理部10は、テクスチャマッピングの対象である背景オブジェクト102に対して、第n方向から第nテクスチャ画像を投影マッピングする処理を投影マッピング処理部21にて行う(ステップS5)。なお第nテクスチャ画像は、背景オブジェクト102に対して第n方向から投影マッピングを行うために用意された画像である。ただし処理部10は、投影マッピング処理部21にて全N方向から投影マッピング処理を行う場合に、N個のテクスチャ画像を必要とするわけではない。例えば第iテクスチャ画像と、第i+1テクスチャ画像とが同一のテクスチャ画像であってもよい。
【0052】
その後、処理部10は、変数nの値に1を加算する(ステップS6)。処理部10は、背景オブジェクト102を構成するポリゴンの表面における1つの点(ピクセル)を処理対象の点として決定する(ステップS7)。次いで処理部10は、ステップS3にて読み出した環境マップ画像105を基に、環境マッピング処理部23にて環境マッピング処理を行う。これにより処理部10は、背景オブジェクト102の処理対象点に対する光源201からの光線ベクトル202の反射ベクトル204に対応する環境マップ画像205の画素に設定されたブレンド係数(アルファ値)を取得する(ステップS8)。
【0053】
次いで処理部10は、投影マッピング処理部にて第nテクスチャ画像を第n方向から背景オブジェクト102に投影マッピングする。更に処理部10は、ステップS8にて取得したブレンド係数に応じて、ブレンド処理部24にて以前のテクスチャ画像(第1テクスチャ画像〜第n−1テクスチャ画像をブレンドした画像)の画素値と、投影マッピングした第nテクスチャ画像の画素値とのブレンド(アルファブレンド)を行う(ステップS9)。
【0054】
ブレンド処理の終了後、処理部10は、背景オブジェクト102の全ての点について、第n方向に関するテクスチャマッピング処理を終了したか否かを判定する(ステップS10)。全ての点についてテクスチャマッピング処理を終了していない場合(S10:NO)、処理部10は、ステップS7へ処理を戻し、ステップS7〜S9の処理を繰り返し行う。
【0055】
また全ての点についてテクスチャマッピング処理を終了した場合(S10:YES)、処理部10は、変数n=Nが成立するか否か(即ち、全方向についてテクスチャマッピング処理を終了したか否か)を判定する(ステップS11)。変数n≠Nの場合(S11:NO)、処理部10は、ステップS6へ処理を戻し、ステップS6〜S10の処理を繰り返し行う。変数n=Nが成立する場合(S11:YES)、処理部10は、テクスチャマッピング処理を終了する。
【0056】
以上の構成の画像処理装置1は、処理部10の投影マッピング処理部21が背景オブジェクト102に対して複数方向からテクスチャ画像の投影マッピングを行う。画像処理装置1は、テクスチャマッピングとして投影マッピングを行う構成とすることにより、例えばゲーム内のイベントなどによって背景オブジェクト102の形状が変化した場合であっても、貼り付けられる画像に歪みを生じさせることはない。また画像処理装置1は、複数方向から投影マッピングを行う構成とすることにより、背景オブジェクト102の表面に対して抜けなくテクスチャ画像を貼り付けることができる。
【0057】
また、画像処理装置1は、環境マップ画像取得処理部22が二次記憶部12から取得した環境マップ画像データ34に基づいて環境マッピング処理部23が環境マッピング処理を行うことによって、ブレンド処理部24が行うブレンド処理に必要なブレンド係数を取得する。画像処理装置1は、環境マッピング処理によってブレンド係数を取得する構成とすることにより、背景オブジェクト102表面の法線ベクトルに応じたブレンド係数を取得することができる。また、画像処理装置1は環境マップ画像の各画素の画素値を変更することでブレンド処理の処理結果を変更することが可能な構成であるため、プログラマなどが画像処理プログラム31を変更することなく、デザイナなどが環境マップ画像を変更して容易にブレンド処理の処理結果を変更することができる。
【0058】
また画像処理装置1は、環境マッピング処理部23が光源201からの光線ベクトル202が背景オブジェクト102の表面で反射した反射ベクトル204を算出し、反射ベクトル204に対応する環境マップ画像205の画素を特定し、特定した画素に設定されたブレンド係数(アルファ値)を取得する構成である。これは、視点から視線ベクトルに基づいて環境マッピング処理を行った場合、ゲーム中に視点は移動する可能性があり、視点が移動すると環境マッピング処理の結果が変化してブレンド処理の結果が変化するためである。ただしゲーム中に視点が移動しない場合、環境マッピング処理部23が視線ベクトルに基づく環境マッピング処理を行う構成としてもよい。また環境マッピング処理部23は、3次元の仮想空間に不動点を設定し、この不動点から背景オブジェクト102へのベクトルに基づいて環境マッピング処理を行う構成であってもよい。
【0059】
なお本実施の形態においては、画像処理装置1が画像出力部13から表示装置5へ画像信号を出力することにより、表示装置5に画像を表示する構成としたが、これに限るものではない。画像処理装置1は、液晶パネル又はPDP等の表示部を搭載し、この表示部に画像を表示する構成であってよい。また画像処理装置1は据置型のゲーム機器としたが、これに限るものではない。画像処理装置1は、携帯型のゲーム機器であってもよく、ゲームプログラムを実行可能な汎用のコンピュータであってもよい。また画像処理装置1は、ゲーム機器以外の装置であってよく、例えば携帯電話器又はスマートフォン等であってよく、また例えばCAD又はシミュレータ等の3DCGを表示する装置であってよい。
【0060】
また画像処理装置1の処理部10の投影マッピング処理部21〜ブレンド処理部24は、画像処理プログラム31を処理部10が実行することによってソフトウェア的に実現されるものとしたが、これに限るものではない。画像処理装置1の投影マッピング処理部21〜ブレンド処理部24の一部又は全部がハードウェア的に実現されるものであってもよい。また画像処理装置1は、処理部10がゲーム判定などの処理と画像処理とを行う構成としたが、これに限るものではない。画像処理装置1は、画像処理を行うGPU(Graphics Processing Unit)などの画像処理部を処理部10とは別に備える構成であってよく、この場合には投影マッピング処理部21〜ブレンド処理部24は画像処理部内に設けられる。
【0061】
また画像処理装置1の投影マッピング処理部21は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3方向から投影マッピング処理を行う構成としたが、これに限るものではない。投影マッピング処理部21は、2方向又は4方向以上から投影マッピング処理を行う構成であってよい。また画像処理装置1は、複数方向から投影マッピング処理したテクスチャ画像を、環境マッピング処理にて取得したブレンド係数に基づいてブレンド処理する上述の画像処理を、3次元の仮想空間における背景オブジェクト102に対して行う構成としたが、これに限るものではない。画像処理装置1は、上述の画像処理を、キャラクターオブジェクト101などその他のオブジェクトに対して行う構成であってもよい。また図5に示した環境マップ画像205は一例であってこれに限るものではない。環境マップ画像205は、背景オブジェクト102の形状、テクスチャ画像の種別、ゲーム内容等の種々の要因に適するように、ゲームのデザイナなどが適宜に作成することができる。
【0062】
上述の実施の形態に係る画像処理装置1は、背景オブジェクト102に対するテクスチャマッピング処理の全てを自らが行う構成であるが、これに限るものではない。テクスチャマッピング処理に必要な投影マッピング処理、環境マッピング処理及びブレンド処理等の画像処理を複数の装置で分散して行う構成としてもよい。以下の変形例では、テクスチャマッピング処理を複数の画像処理装置で分散して行う画像処理システムについて説明する。
【0063】
(変形例)
図7は、変形例に係る画像処理システムの一構成例を示すブロック図である。変形例に係る画像処理システムは、第1の画像処理装置1a及び第2の画像処理装置1bを含んで構成されている。第1の画像処理装置1aは、図1に示した画像処理装置1と略同じ構成であるが、処理部10内に環境マップ画像取得処理部22及び環境マッピング処理部23が設けられない。第1の画像処理装置1aの処理部10には、投影マッピング処理部21及びブレンド処理部24が設けられる。
【0064】
第2の画像処理装置1bもまた、図1に示した画像処理装置1と略同じ構成であるが、操作部14及びディスクドライブ16を備えない構成であってよい。第2の画像処理装置1bは、処理部10内に環境マップ画像取得処理部22及び環境マッピング処理部23が設けられ、投影マッピング処理部21及びブレンド処理部24は設けられない。第1の画像処理装置1a及び第2の画像処理装置1bは、それぞれの通信部15が通信線又はLAN(Local Area Network)等を介して接続され、相互にデータの送受信を行うことができる。
【0065】
背景オブジェクト102に対するテクスチャマッピングを行う場合、第1の画像処理装置1aは、投影マッピング処理部21及びブレンド処理部24にて、複数方向からのテクスチャ画像の投影マッピング及び複数のテクスチャ画像のブレンド処理を行う。また第2の画像処理装置1bは、環境マップ画像取得処理部22及び環境マッピング処理部23にて、環境マッピング処理を行うことによりブレンド係数(アルファ値)を取得する処理を行う。第2の画像処理装置1bは、環境マッピング処理により取得したアルファ値を、通信部15を介して第1の画像処理装置1aへ送信する。第1の画像処理装置1aは、第2の画像処理装置1bからアルファ値を受信し、受信したアルファ値を用いてブレンド処理部24によるブレンド処理を行う。
【0066】
なお画像処理プログラム31、立体オブジェクトデータ32、テクスチャ画像データ33及び環境マップ画像データ34等の情報は、第1の画像処理装置1aの二次記憶部12又は第2の画像処理装置1bの二次記憶部12のいずれに記憶されていてもよい。例えばこれらの情報を第1の画像処理装置1aの二次記憶部12に全て記憶しておく場合、第1の画像処理装置1aが通信部15にて必要な情報を第2の画像処理装置1bへ送信する。
【0067】
以上のように、テクスチャマッピングに係る処理を複数の画像処理装置1a、1bが分散して行う構成とすることにより、例えば投影マッピング処理と環境マッピング処理とを並列して行うことができ、テクスチャマッピングの処理時間を短縮することができる。なお、図7に示した画像処理システムは、第1の画像処理装置1aが投影マッピング処理及びブレンド処理を行い、第2の画像処理装置1bが環境マッピング処理を行う構成であるが、これに限るものではない。例えば第1の画像処理装置1aがブレンド処理を行い、第2の画像処理装置1bが投影マッピング処理及び環境マッピング処理を行うなど、その他の構成であってもよい。また3つの画像処理装置を含む画像処理システムとしてもよく、この場合には投影マッピング処理、環境マッピング処理及びブレンド処理をそれぞれ異なる画像処理装置が行う構成とすることができる。
【符号の説明】
【0068】
1、1a、1b 画像処理装置
5 表示装置
9 記録媒体
10 処理部(テクスチャマッピング手段)
11 一次記憶部
12 二次記憶部
15 通信部
21 投影マッピング処理部(所定方向投影マッピング手段、異方向投影マッピング手段)
22 環境マップ画像取得処理部(環境マップ画像取得手段)
23 環境マッピング処理部(マッピング手段)
24 ブレンド処理部(合成手段)
31 画像処理プログラム
32 立体オブジェクトデータ
33 テクスチャ画像データ
34 環境マップ画像データ
101 キャラクターオブジェクト
102 背景オブジェクト
105x〜105z テクスチャ画像
201 光源
202 光線ベクトル
203 法線ベクトル
204 反射ベクトル
205 環境マップ画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける画像処理方法であって、
複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得ステップと、
該環境マップ画像取得ステップにて取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に張り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピングステップと、
前記立体オブジェクトに対して複数のテクスチャ画像を貼り付ける貼付ステップと、
前記マッピングステップにて取得した合成係数に応じて、前記立体オブジェクト表面に張り付けられた複数のテクスチャ画像を合成する合成ステップと
を含むこと
を特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記貼付ステップにおける複数のテクスチャ画像の貼り付けは、異なる複数の投影方向での投影マッピングにより行うこと
を特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける画像処理方法であって、
前記立体オブジェクトに対して所定方向からテクスチャ画像を投影マッピングする所定方向投影マッピングステップと、
複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得ステップと、
該環境マップ画像取得ステップにて取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に張り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピングステップと、
前記立体オブジェクトに対して、投影マッピング済みのテクスチャ画像の投影方向とは異なる方向から、テクスチャ画像を投影マッピングする異方向投影マッピングステップと、
前記マッピングステップにて取得した合成係数に応じて、前記投影マッピング済みのテクスチャ画像及び前記異なる方向から投影マッピングしたテクスチャ画像を合成する合成ステップと
を含み、
前記マッピングステップ、前記異方向投影マッピングステップ及び前記合成ステップを反復して行い、前記立体オブジェクトに対して複数方向からテクスチャ画像を貼り付けること
を特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
前記環境マップ画像には、前記合成係数としてアルファ値が設定されており、
前記合成ステップでは、複数のテクスチャ画像の各画素値をアルファブレンドにより合成すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記環境マッピング処理では、光源から前記立体オブジェクト表面への光線ベクトルに対する反射ベクトルを算出し、算出した反射ベクトルに対応する前記環境マップ画像の画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を前記環境マップ画像から取得すること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記立体オブジェクトは、移動体及び背景を含む仮想空間の前記背景を構成する立体オブジェクトであること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付けさせる画像処理プログラムであって、
コンピュータを、
複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、
該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、
前記立体オブジェクトに対して複数のテクスチャ画像を貼り付ける貼付手段と、
前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられた複数のテクスチャ画像を合成する合成手段
として動作させること
を特徴とする画像処理プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付けさせる画像処理プログラムであって、
コンピュータを、
前記立体オブジェクトに対して所定方向からテクスチャ画像を投影マッピングする所定方向投影マッピング手段と、
複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、
該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、
前記立体オブジェクトに対して、投影マッピング済みのテクスチャ画像の投影方向とは異なる方向から、テクスチャ画像を投影マッピングする異方向投影マッピング手段と、
前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記投影マッピング済みのテクスチャ画像及び前記異なる方向から投影マッピングしたテクスチャ画像を合成する合成手段
として動作させ、
コンピュータに、前記マッピング手段による合成係数の取得、前記異方向投影マッピング手段によるテクスチャ画像の投影マッピング、及び、前記合成手段によるテクスチャ画像の合成を反復して行わせ、前記立体オブジェクトに対する複数方向からのテクスチャ画像の貼り付けを実行させること
を特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける処理を行う画像処理装置であって、
複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、
該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、
前記立体オブジェクトに対して複数のテクスチャ画像を貼り付ける貼付手段と、
前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられた複数のテクスチャ画像を合成する合成手段と
を備えること
を特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける処理を行う画像処理装置であって、
前記立体オブジェクトに対して所定方向からテクスチャ画像を投影マッピングする所定方向投影マッピング手段と、
複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、
該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、
前記立体オブジェクトに対して、投影マッピング済みのテクスチャ画像の投影方向とは異なる方向から、テクスチャ画像を投影マッピングする異方向投影マッピング手段と、
前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記投影マッピング済みのテクスチャ画像及び前記異なる方向から投影マッピングしたテクスチャ画像を合成する合成手段と、
前記マッピング手段による合成係数の取得、前記異方向投影マッピング手段によるテクスチャ画像の投影マッピング、及び、前記合成手段によるテクスチャ画像の合成を反復して行い、前記立体オブジェクトに対して複数方向からテクスチャ画像を貼り付けるテクスチャマッピング手段と
を備えること
を特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける処理を行う画像処理システムであって、
複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、
該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、
前記立体オブジェクトに対して複数のテクスチャ画像を貼り付ける貼付手段と、
前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられた複数のテクスチャ画像を合成する合成手段と
を備えること
を特徴とする画像処理システム。
【請求項12】
複数面で構成された立体オブジェクトにテクスチャ画像を貼り付ける処理を行う画像処理システムであって、
前記立体オブジェクトに対して所定方向からテクスチャ画像を投影マッピングする所定方向投影マッピング手段と、
複数の画素で構成されており、各画素に複数のテクスチャ画像の合成に用いる合成係数が設定された環境マップ画像を取得する環境マップ画像取得手段と、
該環境マップ画像取得手段が取得した環境マップ画像を用いた前記立体オブジェクトに対する環境マッピング処理に基づき、前記立体オブジェクト表面に貼り付けられるテクスチャ画像の各画素に対応する前記環境マップ画像における画素を特定し、特定した画素に設定された合成係数を取得するマッピング手段と、
前記立体オブジェクトに対して、投影マッピング済みのテクスチャ画像の投影方向とは異なる方向から、テクスチャ画像を投影マッピングする異方向投影マッピング手段と、
前記マッピング手段が取得した合成係数に応じて、前記投影マッピング済みのテクスチャ画像及び前記異なる方向から投影マッピングしたテクスチャ画像を合成する合成手段と、
前記マッピング手段による合成係数の取得、前記異方向投影マッピング手段によるテクスチャ画像の投影マッピング、及び、前記合成手段によるテクスチャ画像の合成を反復して行い、前記立体オブジェクトに対して複数方向からテクスチャ画像を貼り付けるテクスチャマッピング手段と
を備えること
を特徴とする画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−84155(P2013−84155A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224305(P2011−224305)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】