説明

画像処理方法、画像処理装置、プログラムおよび記録媒体

【課題】 タイヤの種類およびタイヤ表面の状態に依存することなく、照明むらのある画像の濃度補正を行うことができる画像処理方法、画像処理装置、プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】 制御部12は、最小自乗法を用いて濃度関数を算出するための連立方程式によって、近似放物線の2次関数を算出する。2次関数の2次係数aが閾値よりも大きいときは、除外範囲の画素の濃度を、非除外範囲の画素の平均濃度に置換して、新たに濃度関数を算出する。算出された濃度関数が示す最小値の濃度に基づく底上定数を、取込画像および濃度関数に加算する。底上定数が加算された取込画像の濃度と、底上定数が加算された濃度関数が示す濃度との濃度比が除外濃度比範囲の画素の濃度を、非除外濃度比範囲の画素の平均濃度に置換して、濃度関数を再算出する。再算出された濃度関数が示す濃度によって取込画像を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の濃度補正を行う画像処理方法、画像処理装置、プログラムおよび記録媒体に関し、より詳細には、タイヤの種類およびタイヤ表面の状態の影響で発生する照明の輝度むらを補正することができる画像処理方法、画像処理装置、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用タイヤおよびゴム製品等に代表される工業製品を対象とする画像処理装置、たとえば工業製品の検査を行う検査装置は、検査対象物をカメラなどの撮影装置によって撮影し、撮影した画像に基づいて検査を行う。検査装置は、画像処理を用いた検査の安定化を図るために、照明を用いる。すなわち、検査装置は、検査対象物に照明光を照射し、照明光が照射された検査対象物を撮影装置によって撮影し、撮影した画像に基づいて検査を行う。
【0003】
ところが、検査対象物に照明光を照射するとき、タイヤの種類、たとえばタイヤの径、幅、もしくは扁平率の違いによる種類、およびタイヤ表面の状態の違いに起因して、照明による輝度むら(以下照明による輝度むらのことを単に「照明むら」という)が生じる。照明むらが生じている検査対象物を撮影した画像に基づいて検査を行うと、検査結果にばらつきが生じ、安定した検査を行うことができない。
【0004】
照明むらが生じている画像の濃度を補正する従来の技術として、大きく2つの技術がある。第1の従来の技術は、基準となるテンプレートを用いた照明むらの情報を登録しておき、検査時に撮影した画像の濃度を、登録しておいた照明むらの情報を用いて補正するものである。
【0005】
第1の従来の技術としては、たとえば特許文献1に記載される画像処理装置、および特許文献2に記載される物体の外観検査方法がある。特許文献1に記載される画像処理装置は、被検査物と表面が均質で無彩色の校正版とをCCD(Charge Coupled Device)カメラで撮像し、撮像した校正版の画像を複数の領域に分割し、分割した領域内の画素の輝度を推論する。推論した輝度と、輝度の最大値である輝度目標値との比率をシェーディング補正値として、撮像した被検査物の画像の輝度を補正する。
【0006】
特許文献2に記載される物体の外観検査方法では、画像認識上周期性を有するパターンを持つ物体の外観検査において、取り込んだ画像情報によって与えられるパターンの中から、基準パターンと合同するパターンを除去し、除去後にパターンが残存していると、残存したパターンの部分を異常部分と判定する。
【0007】
第2の従来の技術は、照明むらは一定条件下で発生すると想定して、検査時に撮影した画像を補正するものである。第2の従来の技術としては、たとえば平均濃度による濃度補正および最小自乗法による濃度補正がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−319042号公報
【特許文献2】特開平8−54220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、第1の従来の技術は、ゴム成型品であるタイヤの検査に適用した場合、タイヤの種類、たとえばタイヤの径、幅および扁平率が同じも、タイヤ表面は、樹脂成型品および金属成型品に比べ、個体差が大きいので、基準テンプレートによる濃度補正では、検査結果のばらつきをなくす程度まで、照明むらを補正することは難しい。
【0010】
また、第2の従来の技術は、検査時に取込み画像ごとに補正する方法が有力であるが、平均濃度による単純な正規化による濃度補正では、照明むらの勾配に追従することは難しい。平均濃度による濃度補正に代わる方法として、最小自乗法による濃度補正が有力である。最小自乗法による濃度補正を単純にタイヤ検査に適用する場合、照明およびタイヤの種類による大きな濃度変化に対しては、ほぼ安定した検査を行うことができるが、タイヤ表面の状態、たとえば検査対象となる欠陥の有無および欠陥の存在位置が、最小自乗法による補正曲線に大きな影響を与え、検査結果がばらつくため、画像処理による検査の安定性に課題が残る。
【0011】
本発明の目的は、タイヤの種類およびタイヤ表面の状態に依存することなく、照明むらのある画像の濃度補正を行うことができる画像処理方法、画像処理装置、プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、画像処理を行う画像処理装置で実行される画像処理方法であって、
画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が予め定める濃度範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する第1の算出工程と、
第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値に応じた底上げ濃度を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する第2の算出工程と、
第2の算出工程で補正された底上げ画素の濃度を第2の算出工程で算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する濃度補正工程とを含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0013】
また本発明は、前記第1の算出工程は、
各ラインの画素の濃度から、最小自乗法を用いて濃度関数を算出するための予め定める連立方程式に基づいて第1の濃度関数を算出する第1の濃度関数算出工程と、
第1の濃度関数算出工程で算出された第1の濃度関数の2次項の係数が予め定める基準値よりも大きいか否かを判定する判定工程と、
判定工程で前記2次項の係数が予め定める基準値よりも大きいと判定されたとき、画素の濃度が予め定める濃度範囲外である画素の濃度を、予め定める濃度範囲内の濃度の画素の平均濃度に置換する置換工程と、
置換手工程で置換された画素の濃度から前記予め定める連立方程式に基づいて第2の濃度関数を算出する第2の濃度関数算出工程とを含み、
判定工程で前記2次項の係数が予め定める基準値未満であると判定されたとき、第1の濃度関数算出工程で算出された第1の濃度関数を濃度関数とし、判定工程で前記2次項の係数が予め定める基準値よりも大きいと判定されたとき、第2の濃度関数算出工程で算出された第2の濃度関数を濃度関数とすることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記第2の算出工程は、
前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値に応じた予め定める底上げ濃度を、各画素の濃度および濃度関数に加算する加算工程と、
加算工程で予め定める底上げ濃度が加算された底上げ画素の濃度と、加算工程で予め定める底上げ濃度が加算された底上げ濃度関数が示す濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲外である底上げ画素の濃度を、予め定める濃度比範囲内の底上げ画素の濃度の平均濃度に置換する第2の置換工程と、
第2の置換工程で置換された画素の濃度から前記予め定める連立方程式に基づいて新たに濃度関数を算出する第3の濃度関数算出工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記濃度補正工程では、ラインごとに、前記底上げ画素の濃度に予め定める基準濃度を乗算し、乗算した値を前記濃度関数が示す濃度で除算することによって補正することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記予め定める底上げ濃度は、前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値が予め定める底上げ閾値以上であるとき、濃度「0」であり、前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値が予め定める底上げ閾値未満であるとき、予め定める底上げ閾値から前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値を減算した濃度であることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記予め定める濃度範囲は、前記平均濃度から前記平均濃度に予め定める平均除外率を乗算した値を減算した濃度を下限とし、前記平均濃度に前記平均濃度に予め定める平均除外率を乗算した値を加算した濃度を上限とする範囲であることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記予め定める濃度比範囲は、予め定める濃度比から予め定める除外率を減算した値を下限とし、予め定める濃度比に予め定める除外率を加算した値を下限とする範囲であることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が予め定める濃度範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する第1の算出手段と、
第1の算出手段によって算出された濃度関数の最小値に応じた予め定める底上げ濃度を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する第2の算出手段と、
第2の算出手段によって補正された底上げ画素の濃度を第2の算出手段によって算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する濃度補正手段とを含むことを特徴とする画像処理装置である。
【0020】
また本発明は、コンピュータを、
画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が予め定める濃度範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する第1の算出手段と、
第1の算出手段によって算出された濃度関数の最小値に応じた予め定める底上げ濃度を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する第2の算出手段と、
第2の算出手段によって補正された底上げ画素の濃度を第2の算出手段によって算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する濃度補正手段として機能させるためのプログラムである。
また本発明は、前記プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像処理を行う画像処理装置で画像処理を実行するにあたって、第1の算出工程では、画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が予め定める濃度範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する。第2の算出工程では、第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値に応じた底上げ濃度を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する。そして、濃度補正工程では、第2の算出工程で補正された底上げ画素の濃度を第2の算出工程で算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する。
【0022】
したがって、被検査物、たとえばタイヤの径、幅および扁平率、ならびにタイヤの表面の状態に依存することなく、照明むらのある被検査物の画像の濃度補正を行うことができ、FA(Factory Automation)分野において、タイヤに代表されるゴム、金属、および樹脂から成る成型品の表面検査を画像処理で安定的に実現することができる。
【0023】
また本発明によれば、前記第1の算出工程は、第1の濃度関数算出工程、判定工程、置換工程および第2の濃度関数算出工程を含む。第1の濃度関数算出工程では、各ラインの画素の濃度から、最小自乗法を用いて濃度関数を算出するための予め定める連立方程式に基づいて第1の濃度関数を算出する。判定工程では、第1の濃度関数算出工程で算出された第1の濃度関数の2次項の係数が予め定める基準値よりも大きいか否かを判定する。置換工程では、判定工程で前記2次係数が予め定める基準値よりも大きいと判定されたとき、画素の濃度が予め定める濃度範囲外である画素の濃度を、予め定める濃度範囲内の濃度の画素の平均濃度に置換する。第2の濃度関数算出工程では、置換工程で置換された画素の濃度から前記予め定める連立方程式に基づいて第2の濃度関数を算出する。そして、前記第1の算出工程では、判定工程で前記2次項の係数が予め定める基準値未満であると判定されたとき、第1の濃度関数算出工程で算出された第1の濃度関数を濃度関数とし、判定工程で前記2次項の係数が予め定める基準値よりも大きいと判定されたとき、第2の濃度関数算出工程で算出された第2の濃度関数を濃度関数とする。
【0024】
欠陥等の異物があると、濃度関数の2次項の係数が予め定める基準値よりも大きくなることがある。すなわち、濃度関数の2次項の係数が予め定める基準値よりも大きくなるような異物がある部分の濃度を、その部分以外の部分の画素の平均濃度で置換して濃度関数を再計算するので、そのような異物を除外した濃度関数を算出することができる。
【0025】
また本発明によれば、前記第2の算工程は、加算工程、第2の置換工程および第3の濃度関数算出工程を含む。加算工程では、前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値に応じた予め定める底上げ濃度を、各画素の濃度および濃度関数に加算する。第2の置換工程では、加算工程で予め定める底上げ濃度が加算された底上げ画素の濃度と、加算工程で予め定める底上げ濃度が加算された底上げ濃度関数が示す濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲外である底上げ画素の濃度を、予め定める濃度比範囲内の底上げ画素の濃度の平均濃度に置換する。そして、第3の濃度関数算出工程では、第2の置換工程で置換された画素の濃度から前記予め定める連立方程式に基づいて新たに濃度関数を算出する。
【0026】
すなわち、濃度関数の最小値が小さいときに底上定数を加算するので、暗い画像を明るく補正することができる。また、欠陥等の異物があると、濃度比が所定の濃度比よりも大きくかけ離れることがある。濃度比が所定の濃度比よりも大きくかけ離れるような異物がある部分の濃度を、その部分以外の部分の画素の平均濃度で置換して濃度関数を再計算するので、そのような異物を除外した濃度関数を算出することができる。
【0027】
また本発明によれば、前記濃度補正工程では、ラインごとに、前記底上げ画素の濃度に予め定める基準濃度を乗算し、乗算した値を前記濃度関数が示す濃度で除算することによって補正するので、予め定める基準濃度を中心として、照明むらを除去した濃度に補正することができる。
【0028】
また本発明によれば、前記予め定める底上げ濃度は、前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値が予め定める底上げ閾値以上であるとき、濃度「0」であり、前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値が予め定める底上げ閾値未満であるとき、予め定める底上げ閾値から前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値を減算した濃度であるので、濃度関数の最小値が予め定める底上げ閾値未満である極端に暗い画像のみを明るくすることができる。
【0029】
また本発明によれば、前記予め定める濃度範囲は、前記平均濃度から前記平均濃度に予め定める平均除外率を乗算した値を減算した濃度を下限とし、前記平均濃度に前記平均濃度に予め定める平均除外率を乗算した値を加算した濃度を上限とする範囲であるので、濃度が平均濃度から極端に離れた画素の影響を低減した濃度関数を算出することができる。
【0030】
また本発明によれば、前記予め定める濃度比範囲は、予め定める濃度比から予め定める除外率を減算した値を下限とし、予め定める濃度比に予め定める除外率を加算した値を下限とする範囲であるので、濃度比が所定の濃度比からよりも大きくかけ離れた画素の影響を低減した濃度関数を算出することができる。
【0031】
また本発明によれば、第1の算出手段は、画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が予め定める濃度範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する。第2の算出手段は、第1の算出手段によって算出された濃度関数の最小値に応じた予め定める底上げ濃度を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する。そして、濃度補正手段は、第2の算出手段によって補正された底上げ画素の濃度を第2の算出手段によって算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する。
【0032】
したがって、被検査物、たとえばタイヤの径、幅および扁平率、ならびにタイヤの表面の状態に依存することなく、照明むらのある被検査物の画像の濃度補正を行うことができ、FA(Factory Automation)分野において、タイヤに代表されるゴム、金属、および樹脂から成る成型品の表面検査を画像処理で安定的に実現することができる。
【0033】
また本発明によれば、プログラムによって、コンピュータを、画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が予め定める濃度範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する第1の算出手段と、第1の算出手段によって算出された濃度関数の最小値に応じた予め定める底上げ濃度を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する第2の算出手段と、第2の算出手段によって補正された底上げ画素の濃度を第2の算出手段によって算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する濃度補正手段として機能させることができる。
【0034】
また本発明によれば、前記プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体として提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態である画像処理装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】入力部11の撮影装置によって撮影された画像の一例である第1取込画像20を示す図である。
【図3】濃度補正された画像の一例である第1補正画像30を示す図である。
【図4】入力部11の撮影装置によって撮影された画像の他の例である第2取込画像40を示す図である。
【図5】濃度補正された画像の他の例である第2補正画像50を示す図である。
【図6】制御部12が実行する濃度補正処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】制御部12が実行する初回近似放物線算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】制御部12が実行する近似放物線再算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明の一実施形態である画像処理装置1の構成を示すブロック図である。画像処理装置1は、たとえばゴム、金属もしくは樹脂からなる成型品の表面検査を、画像処理を用いて検査する検査装置であり、以下、タイヤを検査する検査装置である画像処理装置1を例に説明する。本発明に係る画像処理方法は、たとえば画像処理装置1で実行される。
【0037】
画像処理装置1は、入力部11、制御部12、記憶部13および出力部14を含んで構成される。入力部11は、たとえばマウスおよびキーボードなどの入力装置、ならびに照明部および撮影部からなる撮影装置を含んで構成される。入力装置は、たとえば検査の開始および終了を指示する情報、および検査の条件などの情報を入力する装置であり、入力部11は、入力装置によって入力された情報を制御部12に送る。
【0038】
撮影装置は、タイヤの内側をライトなどの照明部によって照明し、照明光が照射されているタイヤ表面をカメラなどの撮影部によって撮影する。撮影装置は、タイヤの内側を1度に撮影することができないので、タイヤの内側の表面の位置を移動して順次撮影する。入力部11は、撮影装置によって撮影したタイヤの内側の表面の画像を制御部12に送る。
【0039】
制御部12は、たとえば中央処理装置(Central Processing Unit;略称CPU)によって構成され、記憶部13に記憶されるプログラムを実行することによって、入力部11および出力部14を制御し、本発明に係る濃度補正処理を行う後述する複数の機能を実現する。記憶部13は、たとえば半導体メモリあるいはハードディスク装置などによって構成される読み書き可能な記憶装置であり、制御部12で実行されるプログラムおよび制御部12で用いられる情報を記憶する。
【0040】
出力部14は、情報を出力するディスプレイなどの表示装置あるいはプリンタなどの印刷装置によって構成され、制御部12から受け取る情報を出力する。あるいは、着脱可能な記録媒体への情報の読み書きが可能な記録再生装置、他の画像処理装置と情報の送受信を行う通信装置などを、入力装置兼出力装置とすることも可能である。制御部12は、濃度補正処理を行った後、濃度補正後の画像に基づいて欠陥の有無を判定し、判定結果に基づく検査結果を出力部14に出力する。
【0041】
制御部12は、濃度補正処理を第1〜第3ステップの3つのステップで処理する。制御部12は、第1ステップで、初回の近似放物線の算出を行い、第2ステップで、近似放物線の再算出を行い、第3ステップで、濃度補正を行う。
【0042】
撮影装置から受け取る画像(以下「取込画像」という)は、ラインごとに配列された画素から構成され、記憶部13に記憶される。本実施形態では、照明光をタイヤの回転方向に照射するので、ラインは、照明による輝度むら(以下「照明むら」ともいう)が生じやすいタイヤの回転方向のラインである。近似放物線は、各ラインの画素の位置を変数として、各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数であり、照明むらの濃度を近似する関数である。本実施形態では、以下、濃度関数として近似放物線の2次関数を用いて説明するが、近似放物線の2次関数に限定されるものではなく、濃度関数は、2次関数で表わされる2次曲線の関数であればよい。
【0043】
制御部12は、記憶部13に記憶されるプログラムを実行することによって、第1,第2の算出手段および濃度補正手段などの機能を実現する。第1ステップは、第1の算出手段によって実行され、第2ステップは、第2の算出手段によって実行され、第3ステップは、濃度補正手段によって実行される。
【0044】
第1ステップでは、制御部12は、初回の近似放物線の算出を行う。具体的には、先ず、第1手順で、制御部12は、最小自乗法を用いて濃度関数を算出するための連立方程式、たとえば式(1)によって、近似放物線の2次関数を算出する。すなわち、各ラインの画素の位置xを変数として、各画素の濃度yを近似放物線で表わす2次関数y=ax+bx+cを算出する。画素の位置xは、たとえばラインの左端の位置を「0」とし、右方向に「1」ずつ増加する整数で表わされる。
aΣx+bΣx+cΣx=Σxy,
aΣx+bΣx+cΣx =Σxy,
aΣx+bΣx +nc =Σy …(1)
【0045】
ここで、a〜cは、係数であり、nは、1つのラインの画素数であり、Σは、1つのラインの全画素についての和である。式(1)は、予め定める連立方程式である。
【0046】
次に、第2手順で、制御部12は、算出した2次関数の2次項の係数(以下「2次係数」という)aを求める。第3手順で、制御部12は、求めた2次係数aが予め定める基準値、たとえば閾値「0.0002」よりも大きいか否かを判定する。2次係数aが予め定める基準値よりも大きいということは、近似放物線のカーブが大きいということであり、制御部12は、欠陥等の異物が存在する可能性が高いと判断する。2次係数aが予め定める基準値以下のときは、第1手順で算出した近似放物線の2次関数を濃度関数として、第2ステップを実行する。
【0047】
第4手順で、制御部12は、画素の濃度を平均した平均濃度を求め、求めた平均濃度および予め定める平均除外率に基づいて、非除外範囲を計算する。予め定める濃度範囲である非除外範囲は、平均濃度から平均濃度に予め定める平均除外率を乗算した値を減算した濃度を下限とし、平均濃度に平均濃度に予め定める平均除外率を乗算した値を加算した濃度を上限とする範囲である。予め定める平均除外率は、たとえば50%であり、記憶部13に設定されて記憶されている。
【0048】
第5手順で、制御部12は、除外範囲に含まれる画素を選別する。除外範囲は、非除外範囲を除く残余の範囲である。具体的には、制御部12は、除外範囲に属するか非除外範囲に属するかを画素ごとに選別する。第6手順で、制御部12は、非除外範囲に属すると選別された画素の濃度を平均して第1の範囲内平均濃度を算出する。第7手順で、制御部12は、除外範囲に含まれる画素の濃度を第1の範囲内平均濃度に置換する。第8手順で、制御部12は、置換された後のラインの各画素の濃度に基づいて、式(1)によって、新たに近似放物線の2次関数を算出し、算出した近似放物線の2次関数を濃度関数として、第2ステップを実行する。
【0049】
第2ステップでは、制御部12は、近似放物線の再算出を行う。具体的には、先ず、第1手順で、制御部12は、第1ステップで算出された濃度関数、つまり近似放物線の2次関数が示す濃度のうち最小値の濃度を求める。
【0050】
次に、第2手順で、制御部12は、近似放物線の2次関数が示す最小値の濃度と、予め定める底上げ閾値とに基づいて底上定数を算出する。予め定める底上げ閾値は、たとえば濃度「20」であり記憶部13に予め設定されて記憶されている。予め定める底上げ濃度である底上定数は、最小値の濃度が予め定める底上げ閾値以上であるとき、「0」であり、最小値の濃度が予め定める底上げ閾値未満であるとき、最小値の濃度から予め定める底上げ閾値を減算した値である。
【0051】
第3手順で、制御部12は、取込画像および近似放物線の2次関数に、底上定数を加算する。以下、底上定数が加算された取込画像を底上げ取込画像といい、底上定数が加算された近似放物線の2次関数を底上げ濃度関数という。底上げ取込画像の画素は、底上げ画素である。第4手順で、制御部12は、底上げ取込画像の画素の濃度と、底上げ濃度関数が示す濃度との濃度比に基づいて、非除外濃度比範囲を計算する。そして、制御部12は、非除外濃度比範囲に属するか除外濃度比範囲に属するかを、画素ごとに選別する。除外濃度比範囲は、非除外濃度比範囲を除く残余の範囲である。
【0052】
濃度比は、底上げ取込画像の画素の濃度を、底上げ濃度関数が示す濃度で除算した値である。予め定める濃度比範囲である非除外濃度比範囲は、濃度比「1」から予め定める除外率を減算した値を下限とし、濃度比「1」に予め定める除外率を加算した値を下限とする範囲である。予め定める除外率は、たとえば「0.5」であり、百分率で表わせば、「50%」であり、記憶部13に予め設定されて記憶されている。濃度比「1」は、予め定める濃度比である。
【0053】
第5手順で、制御部12は、非除外濃度比範囲に属するとして選別された画素の濃度を平均して第2の範囲内平均濃度を算出する。第6手順で、制御部12は、除外濃度比範囲に含まれる画素の濃度を第2の範囲内平均濃度に置換する。第7手順で、制御部12は、置換された後のラインの各画素の濃度に基づいて、式(1)によって、新たに近似放物線の2次関数を算出し、算出した近似放物線の2次関数を濃度関数として、第3ステップを実行する。
【0054】
第2ステップの第1〜7手順を実行することによって、濃度比が大きくかけ離れた欠陥等の異物を除いた近似放物線の2次関数を濃度関数として求めることができる。第2ステップの第1〜7手順は、少なくとも1回実行されるが、繰り返し回数を記憶部13に記憶しておいて、第2ステップの第7手順で求めた濃度関数に基づいて、記憶部13に記憶されている回数分、第2ステップの第1〜7手順を繰り返すようにしてもよい。
【0055】
第3ステップでは、制御部12は、式(2)によって、補正後の濃度である補正濃度を各画素について算出する。
補正濃度=(底上げ取込画像の画素の濃度)×(指定基準濃度)
÷(底上げ濃度関数が示す濃度) …(2)
【0056】
予め定める基準濃度である指定基準濃度は、たとえば濃度「150」であり、記憶部13に予め設定されて記憶されている。式(2)で算出した補正濃度の小数点以下は、四捨五入する。また、式(2)によって算出された値が、濃度「255」を超えるときは、補正濃度は、「255」とする。制御部12は、第1〜第3ステップの処理を、ラインごとに、すべてのラインについて行う。
【0057】
このように、画像処理装置1は、最小自乗法を用いて求めた近似放物線に基づいて、欠陥部などの特異点を除いて、照明むらを除去する濃度補正を行うので、被検査物、たとえばタイヤの径、幅および扁平率、ならびにタイヤの表面の状態に依存することなく、照明むらのある被検査物の画像の濃度補正を行うことができる。したがって、FA(Factory Automation)分野において、タイヤに代表されるゴム、金属、および樹脂から成る成型品の表面検査を画像処理で安定的に実現することができる。
【0058】
図2は、入力部11の撮影装置によって撮影された画像の一例である第1取込画像20を示す図である。図3は、濃度補正された画像の一例である第1補正画像30を示す図である。第1取込画像20は、タイヤ内側の表面を撮影装置によって撮影した画像であり、第1補正画像30は、制御部12による濃度補正処理によって第1取込画像20を濃度補正した画像である。
【0059】
第1取込画像20には、ブラダーグルーブ22が示されている。ブラダーグルーブ22は、加硫時にタイヤに形成された複数の溝であり、第1取込画像20では、右上から左下方向への溝として示されている。照明光は、左側から照射されているので、第1取込画像20は、右側の部分が左側の部分よりも暗い画像となっている。
【0060】
ラインは、第1取込画像20および第1補正画像30の横方向である。図2に示される領域21のうちの1つのラインの濃度が、図3の波形25として示されている。図3に示した領域31は、図2に示した領域21に対応する領域であり、波形25と同じラインの補正後の画像の濃度が、波形35として図3に示されている。波形25および波形35の横方向が画素の位置を示し、縦方向が濃度を示している。
【0061】
波形25は、左側の部分が右側の部分よりも濃度、つまり輝度が高く、全体として右肩さがりの傾向を示している。波形35は、底上げが行われているので、全体として明るくなっており、かつ、右肩さがりの傾向がなくなり、右側の部分でも、ブラダーグルーブの溝による濃淡がより明確になっている。
【0062】
図4は、入力部11の撮影装置によって撮影された画像の他の例である第2取込画像40を示す図である。図5は、濃度補正された画像の他の例である第2補正画像50を示す図である。第2取込画像40は、タイヤ内側の表面を撮影装置によって撮影した画像であり、第2補正画像50は、制御部12による濃度補正処理によって第2取込画像40を濃度補正した画像である。
【0063】
第2取込画像40には、ブラダーグルーブ42の他に、成形切手43が示されている。成形切手43は、タイヤの成型工程で成型を行った成型者を特定するためのシールである。照明光は、左側から照射されているので、右側の部分が左側の部分よりも暗い画像となっている。図4に示される領域41のうちの1つのラインの濃度が、図5の波形45として示されている。図5に示した領域51は、図4に示した領域41に対応する領域であり、波形45と同じラインの濃度が、波形55として図5に示されている。
【0064】
波形45は、図3に示した波形25と同様に、全体として右肩さがりの傾向を示している。また、成形切手43の部分が周りよりも明るく、濃淡の変化も激しい。波形55は、図3に示した波形35と同様に、底上げされているので全体として明るくなっており、かつ、右肩下がりの傾向はなくなっている。また、成形切手53の部分は、式(2)の演算結果が濃度「255」を超えるので、補正濃度は、「255」とされている。
【0065】
図6は、制御部12が実行する濃度補正処理の処理手順を示すフローチャートである。入力部11の入力装置から検査の開始を指示する情報が入力され、制御部12が入力部11の撮影装置から取込画像を受け取ると、ステップA1に移る。
【0066】
第1の算出工程であるステップA1では、制御部12は、初回の近似放物線の算出を行う。具体的には、制御部12は、図7の説明で詳述する初回近似放物線算出処理を実行する。初回近似放物線算出処理は、上述した第1のステップでの処理である。第2の算出工程であるステップA2では、制御部12は、近似放物線の再算出を行う。具体的には、制御部12は、図8の説明で詳述する近似放物線再算出処理を実行する。近似放物線再算出処理は、上述した第2のステップでの処理である。濃度補正工程であるステップA3では、制御部12は、上述した第3のステップでの処理によって、濃度補正を行い、濃度補正処理を終了する。
【0067】
図7は、制御部12が実行する初回近似放物線算出処理の処理手順を示すフローチャートである。図6に示したステップA1が実行されると、ステップB1に移る。
【0068】
ステップB1では、制御部12は、ラインごとの全画素を対象にして近似放物線を求める。具体的には、制御部12は、式(1)によって、近似放物線の2次関数y=ax+bx+cを算出する。ステップB2では、制御部12は、算出した2次関数y=ax+bx+cの2次係数aを求める。つまり、算出した2次関数y=ax+bx+cから2次係数aを抽出する。
【0069】
ステップB3では、制御部12は、2次係数aが閾値よりも大きいか否かを判定する。2次係数aが閾値よりも大きいときは、ステップB4に進み、2次係数aが閾値以下のときは、ステップB1で求めた近似放物線の2次関数を濃度関数として、初回近似放物線算出処理を終了する。
【0070】
ステップB4では、制御部12は、全対象画素の平均濃度から除外範囲の閾値を求める。全対象画素とは、ラインごとの全画素のことである。具体的には、各ラインの画素の濃度を平均した平均濃度を求め、求めた平均濃度および予め定める平均除外率に基づいて、先ず、非除外範囲を計算する。非除外範囲は、平均濃度から平均濃度に予め定める平均除外率を乗算した値を減算した濃度を下限とし、平均濃度に平均濃度に予め定める平均除外率を乗算した値を加算した濃度を上限とする範囲である。したがって、除外範囲は、濃度が下限未満、および上限よりも大きい範囲であり、除外範囲の閾値とは、この上限および下限のことである。
【0071】
ステップB5では、制御部12は、全対象画素を対象に除外有無を選別する。除外有無を選別するとは、ラインごとの全画素を対象に、画素が除外範囲に属するか非除外範囲に属するかを選別することである。ステップB6では、制御部12は、除外無画素の平均濃度を求める。除外無画素とは、非除外範囲に属すると選別された画素のことである。
【0072】
ステップB7では、制御部12は、除外有画素を第1の範囲内平均濃度で置換する。除外有画素とは、除外範囲に属すると選別された画素である。ステップB8では、制御部12は、置換された後のラインの各画素の濃度に基づいて、式(1)によって、新たに近似放物線の2次関数を算出し、算出した近似放物線の2次関数を濃度関数として、初回近似放物線算出処理を終了する。制御部12は、ステップB1〜B7の処理を、ラインごとに、すべてのラインについて実行する。
【0073】
第1の算出工程は、第1の濃度関数算出工程、判定工程、置換工程および第2の濃度関数算出工程とを含む。ステップB1は、第1の濃度関数算出工程であり、ステップB2,B3は、判定工程であり、ステップB4〜B7は、置換工程であり、ステップB8は、第2の濃度関数算出工程である。ステップB1で算出された濃度関数は、第1の濃度関数であり、ステップB8で算出された濃度関数は、第2の濃度関数である。
【0074】
図8は、制御部12が実行する近似放物線再算出処理の処理手順を示すフローチャートである。図6に示したステップA2が実行されると、ステップC1に移る。
【0075】
ステップC1では、制御部12は、求めた近似放物線の最小値を求める。すなわち、図7に示した初回近似放物線算出処理で算出された濃度関数、つまり近似放物線の2次関数が示す濃度のうち最小値の濃度を求める。
【0076】
ステップC2では、制御部12は、最小値から底上定数を求める。具体的には、近似放物線の2次関数が示す最小値の濃度と、予め定める底上げ閾値とに基づいて底上定数を算出する。底上定数は、最小値の濃度が予め定める底上げ閾値以上であるとき、「0」であり、最小値の濃度が予め定める底上げ閾値未満であるとき、予め定める底上げ閾値から最小値の濃度を減算した値である。ステップC3では、制御部12は、底上定数によって取込画像および近似放物線の濃度を補正する。具体的には、取込画像に底上定数を加算して底上げ取込画像とし、近似放物線の2次関数に底上定数を加算して底上げ濃度関数とする。
【0077】
ステップC4では、制御部12は、底上補正後の取込画像濃度と底上補正後の近似放物線の濃度との比率を比較することによって、除外有無を決める。底上補正後の取込画像濃度は、底上げ取込画像の濃度であり、底上補正後の近似放物線の濃度は、底上げ近似放物線の2次関数が示す濃度である。したがって、比率は、底上げ取込画像の濃度と底上げ近似放物線の2次関数が示す濃度との濃度比のことである。制御部12は、先ず、濃度比に基づいて、非除外濃度比範囲を計算する。非除外濃度比範囲は、濃度比「1」から予め定める除外率を減算した値を下限とし、濃度比「1」に予め定める除外率を加算した値を下限とする範囲である。除外濃度比範囲は、濃度比が下限未満、および上限よりも大きい範囲である。除外有無を決めるとは、ラインごとの全画素を対象に、画素が非除外濃度比範囲に属するか除外濃度比範囲に属するかを選別することである。
【0078】
ステップC5では、制御部12は、非除外濃度比範囲内の濃度の平均を求める。具体的には、非除外濃度比範囲に属すると選別された画素の濃度を平均し、第2の範囲内平均濃度とする。ステップC6では、制御部12は、除外対象濃度を第2の範囲内平均濃度で置換する。除外対象濃度とは、除外濃度比範囲に属すると選別された画素の濃度のことである。
【0079】
ステップC7では、制御部12は、置換された後のラインの各画素の濃度に基づいて、式(1)によって、近似放物線の2次関数を再計算つまり再算出し、算出した近似放物線の2次関数を濃度関数とする。ステップC8では、制御部12は、再計算回数終了したか否かを判定する。記憶部13に記憶される回数分ステップC1〜C7を繰り返したときは、再計算回数終了したと判定し、初回近似放物線算出処理を終了する。記憶部13に記憶される回数分ステップC1〜C7を繰り返していないときは、再計算回数終了していないと判定し、ステップC1に戻る。
【0080】
第2の算出工程は、加算工程、第2の置換工程および第3の濃度関数算出工程とを含む。ステップC1〜C3は、加算工程であり、ステップC4〜C6は、第2の置換工程であり、ステップC7は、第3の濃度関数算出工程である。
【0081】
上述した実施形態では、制御部11が記憶部13に記憶されるプログラムを実行することによって、入力部11および出力部14を制御するとともに、上述した機能を実現するが、上述した機能を実現するためのプログラムは、記憶部13に記憶されることに限定されるものではなく、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体は、たとえば図示しない外部記憶装置としてプログラム読取装置を画像処理装置1に設け、そこに記録媒体を挿入することによって読取り可能な記録媒体であってもよいし、あるいは他の装置の記憶装置であってもよい。
【0082】
いずれの記録媒体であっても、記憶されているプログラムがコンピュータからアクセスされて実行される構成であればよい。あるいはいずれの記録媒体であっても、プログラムが読み出され、読み出されたプログラムが、記憶装置のプログラム記憶エリアに記憶されて、そのプログラムが実行される構成であってもよい。
【0083】
画像処理装置1と分離可能に構成される記録媒体は、たとえば磁気テープ/カセットテープなどのテープ系の記録媒体、フレキシブルディスク/ハードディスクなどの磁気ディスクもしくはCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)/MO(Magneto Optical disk)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disk)/CD−R(Compact Disk Recordable)/ブルーレイディスクなどの光ディスクのディスク系の記録媒体、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系の記録媒体、またはマスクROM/EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)/EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)/フラッシュROMなどの半導体メモリを含む固定的にプログラムを担持する記録媒体であってもよい。
【0084】
また、画像処理装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、たとえば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、VAN(Value Added Network)、CATV(Community Antenna Television)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、または衛星通信網など通信ネットワークが利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、たとえば、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)あるいはリモートコントロールで用いられる赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(High
Data Rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網などの無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0085】
このように、画像処理を行う画像処理装置1で画像処理を実行するにあたって、図6に示したステップA1では、画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が非除外範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する。図6に示したステップA2では、図6に示したステップA1で算出された濃度関数の最小値に応じた底上定数を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が非除外濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する。そして、図6に示したステップA3では、図6に示したステップA2で補正された底上げ画素の濃度を、図6に示したステップA2で算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する。
【0086】
したがって、被検査物、たとえばタイヤの径、幅および扁平率、ならびにタイヤの表面の状態に依存することなく、照明むらのある被検査物の画像の濃度補正を行うことができ、FA(Factory Automation)分野において、タイヤに代表されるゴム、金属、および樹脂から成る成型品の表面検査を画像処理で安定的に実現することができる。
【0087】
さらに、図7に示したステップB1では、各ラインの画素の濃度から、最小自乗法を用いて濃度関数を算出するための予め定める連立方程式、たとえば式(1)に基づいて、第1の濃度関数を算出する。図7に示したステップB2,B3では、図7に示したステップB1で算出された第1の濃度関数の2次項の係数が予め定める基準値、たとえば閾値「0.0002」よりも大きいか否かを判定する。図7に示したステップB4〜B7では、図7に示したステップB2,B3で前記2次項の係数が予め定める基準値よりも大きいと判定されたとき、画素の濃度が非除外範囲外である画素の濃度を、非除外範囲内の濃度の画素の平均濃度に置換する。図7に示したステップB8では、図7に示したステップB4〜B7で置換された画素の濃度から、式(1)に基づいて第2の濃度関数を算出する。そして、図7に示したステップB2,B3で前記2次項の係数が予め定める基準値未満であると判定されたとき、図7に示したステップB1で算出された第1の濃度関数を濃度関数とし、図7に示したステップB2,B3で前記2次項の係数が予め定める基準値よりも大きいと判定されたとき、図7に示したステップB8で算出された第2の濃度関数を濃度関数とする。
【0088】
欠陥等の異物があると、濃度関数の2次係数が予め定める基準値よりも大きくなることがある。すなわち、濃度関数の2次係数が予め定める基準値よりも大きくなるような異物がある部分の濃度を、その部分以外の部分の画素の平均濃度で置換して濃度関数を再計算するので、そのような異物を除外した濃度関数を算出することができる。
【0089】
さらに、図8に示したステップC1〜C3では、図6に示したステップA1で算出された濃度関数の最小値に応じた底上定数を、各画素の濃度および濃度関数に加算する。図8に示したステップC4〜C6では、図8に示したステップC1〜C3で底上定数が加算された底上げ画素の濃度と、図8に示したステップC1〜C3で底上定数が加算された底上げ濃度関数が示す濃度との濃度比が、非除外濃度比範囲外である底上げ画素の濃度を、非除外濃度比範囲内の底上げ画素の濃度の平均濃度に置換する。そして、図8に示したステップC7では、図8に示したステップC4〜C6で置換された画素の濃度から、式(1)に基づいて新たに濃度関数を算出する。
【0090】
すなわち、濃度関数の最小値が小さいときに底上定数を加算するので、暗い画像を明るく補正することができる。また、欠陥等の異物があると、濃度比が所定の濃度比よりも大きくかけ離れることがある。濃度比が所定の濃度比よりも大きくかけ離れるような異物がある部分の濃度を、その部分以外の部分の画素の平均濃度で置換して濃度関数を再計算するので、そのような異物を除外した濃度関数を算出することができる。
【0091】
さらに、図6に示したステップA3では、ラインごとに、前記底上げ画素の濃度に指定基準濃度を乗算し、乗算した値を前記濃度関数が示す濃度で除算することによって補正するので、指定基準濃度を中心として、照明むらを除去した濃度に補正することができる。
【0092】
さらに、底上定数は、図6に示したステップA1で算出された濃度関数の最小値が予め定める底上げ閾値、たとえば濃度「20」以上であるとき、濃度「0」であり、図6に示したステップA1で算出された濃度関数の最小値が予め定める底上げ閾値、たとえば濃度「20」未満であるとき、予め定める底上げ閾値、たとえば濃度「20」から、図6に示したステップA1で算出された濃度関数の最小値を減算した濃度であるので、濃度関数の最小値が予め定める底上げ閾値、たとえば濃度「20」未満である極端に暗い画像のみを明るくすることができる。
【0093】
さらに、非除外範囲は、前記平均濃度から前記平均濃度に予め定める平均除外率、たとえば50%を乗算した値を減算した濃度を下限とし、前記平均濃度に前記平均濃度に予め定める平均除外率、たとえば50%を乗算した値を加算した濃度を上限とする範囲であるので、濃度が平均濃度から極端に離れた画素の影響を低減した濃度関数を算出することができる。
【0094】
さらに、非除外濃度比範囲は、予め定める濃度比、たとえば濃度比「1」から予め定める除外率、たとえば「0・5」を減算した値を下限とし、予め定める濃度比、たとえば濃度比「1」に予め定める除外率、たとえば「0.5」を加算した値を下限とする範囲であるので、濃度比が所定の濃度比からよりも大きくかけ離れた画素の影響を低減した濃度関数を算出することができる。
【0095】
さらに、制御部12が実現する第1の算出手段は、画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が非除外範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する。制御部12が実現する第2の算出手段は、第1の算出手段によって算出された濃度関数の最小値に応じた底上定数を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が非除外濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する。そして、制御部12が実現する濃度補正手段は、第2の算出手段によって補正された底上げ画素の濃度を第2の算出手段によって算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する。
【0096】
したがって、被検査物、たとえばタイヤの径、幅および扁平率、ならびにタイヤの表面の状態に依存することなく、照明むらのある被検査物の画像の濃度補正を行うことができ、FA(Factory Automation)分野において、タイヤに代表されるゴム、金属、および樹脂から成る成型品の表面検査を画像処理で安定的に実現することができる。
【0097】
さらに、プログラムによって、コンピュータを、画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が予め定める濃度範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する第1の算出手段と、第1の算出手段によって算出された濃度関数の最小値に応じた予め定める底上げ濃度を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する第2の算出手段と、第2の算出手段によって補正された底上げ画素の濃度を第2の算出手段によって算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する濃度補正手段として機能させることができる。
【0098】
さらに、前記プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体として提供することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 画像処理装置
11 入力部
12 制御部
13 記憶部
14 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理を行う画像処理装置で実行される画像処理方法であって、
画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が予め定める濃度範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する第1の算出工程と、
第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値に応じた底上げ濃度を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する第2の算出工程と、
第2の算出工程で補正された底上げ画素の濃度を第2の算出工程で算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する濃度補正工程とを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記第1の算出工程は、
各ラインの画素の濃度から、最小自乗法を用いて濃度関数を算出するための予め定める連立方程式に基づいて第1の濃度関数を算出する第1の濃度関数算出工程と、
第1の濃度関数算出工程で算出された第1の濃度関数の2次項の係数が予め定める基準値よりも大きいか否かを判定する判定工程と、
判定工程で前記2次項の係数が予め定める基準値よりも大きいと判定されたとき、画素の濃度が予め定める濃度範囲外である画素の濃度を、予め定める濃度範囲内の濃度の画素の平均濃度に置換する置換工程と、
置換手工程で置換された画素の濃度から前記予め定める連立方程式に基づいて第2の濃度関数を算出する第2の濃度関数算出工程とを含み、
判定工程で前記2次項の係数が予め定める基準値未満であると判定されたとき、第1の濃度関数算出工程で算出された第1の濃度関数を濃度関数とし、判定工程で前記2次項の係数が予め定める基準値よりも大きいと判定されたとき、第2の濃度関数算出工程で算出された第2の濃度関数を濃度関数とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記第2の算出工程は、
前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値に応じた予め定める底上げ濃度を、各画素の濃度および濃度関数に加算する加算工程と、
加算工程で予め定める底上げ濃度が加算された底上げ画素の濃度と、加算工程で予め定める底上げ濃度が加算された底上げ濃度関数が示す濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲外である底上げ画素の濃度を、予め定める濃度比範囲内の底上げ画素の濃度の平均濃度に置換する第2の置換工程と、
第2の置換工程で置換された画素の濃度から前記予め定める連立方程式に基づいて新たに濃度関数を算出する第3の濃度関数算出工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記濃度補正工程では、ラインごとに、前記底上げ画素の濃度に予め定める基準濃度を乗算し、乗算した値を前記濃度関数が示す濃度で除算することによって補正することを特徴とする請求項3に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記予め定める底上げ濃度は、前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値が予め定める底上げ閾値以上であるとき、濃度「0」であり、前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値が予め定める底上げ閾値未満であるとき、予め定める底上げ閾値から前記第1の算出工程で算出された濃度関数の最小値を減算した濃度であることを特徴とする請求項3または4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記予め定める濃度範囲は、前記平均濃度から前記平均濃度に予め定める平均除外率を乗算した値を減算した濃度を下限とし、前記平均濃度に前記平均濃度に予め定める平均除外率を乗算した値を加算した濃度を上限とする範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記予め定める濃度比範囲は、予め定める濃度比から予め定める除外率を減算した値を下限とし、予め定める濃度比に予め定める除外率を加算した値を下限とする範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項8】
画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が予め定める濃度範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する第1の算出手段と、
第1の算出手段によって算出された濃度関数の最小値に応じた予め定める底上げ濃度を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する第2の算出手段と、
第2の算出手段によって補正された底上げ画素の濃度を第2の算出手段によって算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する濃度補正手段とを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
画像を構成する、ラインごとに配列される各画素の濃度が予め定める濃度範囲に入るように補正し、補正した濃度に基づいて最小自乗法を用いて、各ラインの画素の位置を変数として各画素の濃度を2次関数で表わす濃度関数をラインごとに算出する第1の算出手段と、
第1の算出手段によって算出された濃度関数の最小値に応じた予め定める底上げ濃度を各画素の濃度および濃度関数に加算し、底上げ濃度を加算した後の画素である底上げ画素の濃度と底上げ濃度を加算した後の濃度関数である底上げ濃度関数で表わされる濃度との濃度比が予め定める濃度比範囲に入るように、各底上げ画素の濃度を補正し、補正した底上げ画素の濃度に基づいて最小自乗法を用いて、新たに濃度関数をラインごとに算出する第2の算出手段と、
第2の算出手段によって補正された底上げ画素の濃度を第2の算出手段によって算出された新たな濃度関数が示す濃度に基づいてラインごとに補正する濃度補正手段として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−113418(P2011−113418A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270834(P2009−270834)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】