画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラム
【課題】注目動物体の運動の様子をみやすく表示する。
【解決手段】複数の入力画像から成る入力画像列の画像データに基づき、動物体又は特定種類の物体が存在する画像領域を検出し、検出結果から各入力画像に切り出し領域を設定する。所定のサンプリング間隔で複数の入力画像から複数の対象入力画像を抽出し、各対象入力画像から切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する。複数の対象入力画像から抽出された複数の切り出し画像を水平又は垂直方向に並べて結合することにより出力合成画像(500)を生成し、表示画面上に表示する。
【解決手段】複数の入力画像から成る入力画像列の画像データに基づき、動物体又は特定種類の物体が存在する画像領域を検出し、検出結果から各入力画像に切り出し領域を設定する。所定のサンプリング間隔で複数の入力画像から複数の対象入力画像を抽出し、各対象入力画像から切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する。複数の対象入力画像から抽出された複数の切り出し画像を水平又は垂直方向に並べて結合することにより出力合成画像(500)を生成し、表示画面上に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。また、本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図25に示すような動画像900の各フレームから運動している対象物体を切り出し、切り出した対象物体の画像を背景画像に順番に重ね書きすることによリ、図26に示すような画像を作成する方法が提案されている。このような画像は、ストロボ画像(strobe light image)とも呼ばれ、スポーツのフォームチェック用途などにも利用される。図26では、対象物体としての人物がゴルフクラブをスイングする様子がストロボ画像として示されている。図26及び後述の図27において、斜線部分はストロボ画像等を表示する表示装置の筐体部分を表している。
【0003】
また、図27に示す如く、表示画面を複数の表示領域に分割し、動画像を形成する複数のフレームを複数の分割表示領域を用いてマルチ表示する方法も提案されている(例えば下記特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4460688号公報
【特許文献2】特許第3535736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対象物体がゴルフクラブをスイングする人物である場合など、動画像上において対象物体の位置が殆ど変化しない場合においては、図26に示す如く、異なる時刻の対象物体がストロボ画像上で重なり合うため、対象物体の運動の様子を確認しづらくなる。
【0006】
図27に示すようなマルチ表示方法によれば、このような対象物体の重なりは発生しなくなるが、個々の対象物体の表示サイズが小さくなるため、結果、図27の方法によっても対象物体の運動の様子を確認しづらくなる。
【0007】
そこで本発明は、注目物体の運動の様子確認の容易化に寄与する画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、複数の入力画像から成る入力画像列の画像データに基づいて各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定部と、前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理部と、抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
複数の切り出し画像が並べて結合されるように画像合成部を形成しておけば、切り出し領域に収められるべき注目物体の位置が入力画像列上で殆ど変化しない場合においても、異なる時刻の注目物体が合成結果画像上で重なり合わない。結果、例えば、図26に示すようなストロボ画像よりも、注目物体の運動の様子を確認し易くなることが期待される。加えて、入力画像同士をそのまま結合するのではなく、切り出し画像を結合するようにすれば、合成結果画像上において注目物体が比較的大きく映し出される。結果、図27に示すような方法よりも、注目物体の運動の様子を確認し易くなることが期待される。
【0010】
即ち例えば、前記画像合成部は、前記複数の切り出し画像を結合する際、前記複数の切り出し画像が互いに重なり合わないように前記複数の切り出し画像を並べるとよい。
【0011】
また例えば、前記複数の対象入力画像は第1及び第2の対象入力画像を含み、前記第1の対象入力画像上における前記切り出し領域と前記第2の対象入力画像上における前記切り出し領域とは互いに重なり合い、前記画像合成部は、前記複数の切り出し画像を結合する際、前記第1の対象入力画像に基づく切り出し画像と前記第2の対象入力画像に基づく切り出し画像とが互いに重なり合わないように前記複数の切り出し画像を並べるとよい。
【0012】
また具体的は例えば、前記領域設定部は、前記入力画像列の画像データに基づいて動物体又は特定種類の物体が存在する画像領域を検出し、検出した画像領域に基づいて前記切り出し領域を設定してもよい。
【0013】
また具体的は例えば、前記複数の切り出し画像を並べて結合することにより合成結果画像が生成され、前記画像合成部は、前記合成結果画像に対して定められたアスペクト比又は画像サイズに基づき、前記複数の切り出し画像の並べ方を決定してもよい。
【0014】
また例えば、記入力画像列として互いに異なる複数の入力画像列が当該画像処理装置に与えられ、前記領域設定部は、前記入力画像列ごとに前記切り出し領域を設定し、前記切り出し処理部は、前記入力画像列ごとに前記切り出し画像を抽出し、前記画像合成部は、前記入力画像列ごとに前記結合を行うことで得られる前記複数の入力画像列に対する複数の合成結果画像を、更に所定方向に並べて結合してもよい。
【0015】
これにより例えば、第1入力画像列における注目物体と第2入力画像列における注目物体との間で運動の様子を詳細に比較するといったことが可能となる。
【0016】
本発明に係る撮像装置は、撮像素子を用いた順次撮影の結果から複数の入力画像から成る入力画像列を取得する撮像装置において、当該撮像装置の動きの検出結果に基づき、前記動きに基づく前記入力画像間における被写体のぶれを低減するぶれ補正部と、前記動きの検出結果に基づき、各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定部と、前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理部と、抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成部と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
複数の切り出し画像が並べて結合されるように画像合成部を形成しておけば、切り出し領域に収められるべき注目物体の位置が入力画像列上で殆ど変化しない場合においても、異なる時刻の注目物体が合成結果画像上で重なり合わない。結果、例えば、図26に示すようなストロボ画像よりも、注目物体の運動の様子を確認し易くなることが期待される。加えて、入力画像同士をそのまま結合するのではなく、切り出し画像を結合するようにすれば、合成結果画像上において注目物体が比較的大きく映し出される。結果、図27に示すような方法よりも、注目物体の運動の様子を確認し易くなることが期待される。
【0018】
具体的は例えば、前記撮像素子上に結像する全体像の内、ぶれ補正用領域内の画像が前記入力画像に相当し、前記ぶれ補正部は、前記動きの検出結果に基づき各入力画像に対する前記ぶれ補正用領域の位置を設定することにより前記ぶれを低減し、前記領域設定部は、前記複数の対象入力画像に対する複数のぶれ補正用領域の重なり領域を前記動きの検出結果に基づいて検出し、前記重なり領域から前記切り出し領域を設定しても良い。
【0019】
このような構成によれば、重なり領域に撮影者の注目物体が収められる可能性が高くなり、結果、切り出し領域内に注目物体が収まることが期待される。
【0020】
本発明に係る画像処理方法は、複数の入力画像から成る入力画像列の画像データに基づいて各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定ステップと、前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理ステップと、抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成ステップと、を実行することを特徴とする。
【0021】
そして、上記の領域設定ステップ、切り出し処理ステップ及び画像合成ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを形成すると良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、注目物体の運動の様子確認の容易化に寄与する画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及びプログラムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撮像装置の全体ブロック図である。
【図2】二次元の画像空間と二次元画像との関係を示す図である。
【図3】図1の撮像装置に設けられる画像処理部の内部ブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る撮像装置の動作フローチャートである。
【図5】入力画像列の構成を示す図である。
【図6】合成開始フレーム及び合成終了フレーム選択時における表示画面の様子を示す図である。
【図7】合成開始フレーム、合成終了フレーム及び合成対象期間の意義を説明するための図である。
【図8】入力画像列から複数の対象入力画像が抽出される様子を示した図である。
【図9】切り出し領域の設定処理のフローチャートである。
【図10】背景画像生成処理を説明するための図である。
【図11】背景画像と各対象入力画像に基づき各対象入力画像から動物体領域が検出される様子を示した図である。
【図12】検出された動物体領域の利用方法を説明するための図である。
【図13】切り出し領域の設定処理の変形フローチャートである。
【図14】各対象入力画像に切り出し領域が設定される様子を示した図(a)と、2枚の対象入力画像における2つの切り出し領域が互いに重なり合う様子を示した図(b)である。
【図15】本発明の第1実施形態に係る出力合成画像の例を示す図である。
【図16】合成枚数を増大させる方法の処理イメージ図である。
【図17】合成枚数を増大させる他の方法の処理イメージ図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係り、出力合成画像の生成処理の流れを示す図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係るスクロール表示を説明するための図である。
【図20】スクロール表示を成すために生成された複数のスクロール用画像により、動画像が形成される様子を示した図である。
【図21】本発明の第3実施形態に係る電子式手ぶれ補正を説明するための図である。
【図22】電子式手ぶれ補正に関与する部位のブロック図である。
【図23】電子式手ぶれ補正と連動した切り出し領域の設定方法を説明するための図である。
【図24】図23(a)〜(c)の対象入力画像に対応する切り出し領域を表す図である。
【図25】従来技術に係り、動画像の例を示す図である。
【図26】従来のストロボ画像が表示される様子を示す図である。
【図27】従来のマルチ表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。
【0025】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置1の全体ブロック図である。撮像装置1は、符号11〜28によって参照される各部位を有する。撮像装置1は、デジタルビデオカメラであり、動画像及び静止画像を撮影可能となっていると共に動画像撮影中に静止画像を撮影することも可能となっている。撮像装置1内の各部位は、バス24又は25を介して、各部位間の信号(データ)のやり取りを行う。尚、表示部27及び/又はスピーカ28は、撮像装置1の外部装置(不図示)に設けられたものであってもよい。
【0026】
撮像部11は、撮像素子(イメージセンサ)33の他、図示されない光学系、絞り及びドライバを備える。撮像素子33は、水平及び垂直方向に複数の受光画素が配列されることによって形成される。撮像素子33は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等からなる固体撮像素子である。撮像素子33の各受光画素は、光学系及び絞りを介して入射した被写体の光学像を光電変換し、該光電変換によって得られた電気信号をAFE12(Analog Front End)に出力する。光学系を構成する各レンズは、被写体の光学像を撮像素子33上に結像させる。
【0027】
AFE12は、撮像素子33(各受光画素)から出力されるアナログ信号を増幅し、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換してから映像信号処理部13に出力する。AFE12における信号増幅の増幅度はCPU(Central Processing Unit)23によって制御される。映像信号処理部13は、AFE12の出力信号によって表される画像に対して必要な画像処理を施し、画像処理後の画像についての映像信号を生成する。マイク14は、撮像装置1の周辺音をアナログの音声信号に変換し、音声信号処理部15は、このアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換する。
【0028】
圧縮処理部16は、映像信号処理部13からの映像信号及び音声信号処理部15からの音声信号を、所定の圧縮方式を用いて圧縮する。内部メモリ17は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などから成り、各種のデータを一時的に保存する。記録媒体としての外部メモリ18は、半導体メモリや磁気ディスクなどの不揮発性メモリであり、圧縮処理部16による圧縮後の映像信号及び音声信号を互いに関連付けた状態で記録する。
【0029】
伸張処理部19は、外部メモリ18から読み出された圧縮された映像信号及び音声信号を伸張する。伸張処理部19による伸張後の映像信号又は映像信号処理部13からの映像信号は、表示処理部20を介して、液晶ディスプレイ等から成る表示部27に送られて画像として表示される。また、伸張処理部19による伸張後の音声信号は、音声出力回路21を介してスピーカ28に送られて音として出力される。
【0030】
TG(タイミングジェネレータ)22は、撮像装置1全体における各動作のタイミングを制御するためのタイミング制御信号を生成し、生成したタイミング制御信号を撮像装置1内の各部に与える。タイミング制御信号は、垂直同期信号Vsyncと水平同期信号Hsyncを含む。CPU23は、撮像装置1内の各部位の動作を統括的に制御する。操作部26は、動画像の撮影及び記録の開始/終了を指示するための録画ボタン26a、静止画像の撮影及び記録を指示するためのシャッタボタン26b及び操作キー26c等を有し、ユーザによる各種操作を受け付ける。操作部26に対する操作内容はCPU23に伝達される。
【0031】
撮像装置1の動作モードには、画像(静止画像又は動画像)の撮影及び記録が可能な撮影モードと、外部メモリ18に記録された画像(静止画像又は動画像)を表示部27に再生表示する再生モードと、が含まれる。操作キー26cに対する操作に応じて、各モード間の遷移は実施される。
【0032】
撮影モードでは、次々と被写体の撮影が行われ、被写体の撮影画像が順次取得される。画像を表すデジタルの映像信号を画像データとも呼ぶ。
【0033】
尚、画像データの圧縮及び伸張は、本発明の本質とは関係ないため、以下の説明では、画像データの圧縮及び伸張の存在を無視する(即ち例えば、圧縮された画像データを記録することを、単に、画像データを記録すると表現する)。また、本明細書では、或る画像の画像データのことを単に画像と言うこともある。また、本明細書において、単に表示又は表示画面といった場合、それは、表示部27における表示又は表示画面を指す。
【0034】
図2に、二次元の画像空間XYを示す。画像空間XYは、X軸及びY軸を座標軸として有する、空間領域(spatial domain)上の二次元座標系である。任意の二次元画像300は、画像空間XY上に配置された画像であると考えることができる。X軸及びY軸は、夫々、二次元画像300の水平方向及び垂直方向に沿った軸である。二次元画像300は、水平方向及び垂直方向の夫々に複数の画素がマトリクス状に配列されて形成されており、二次元画像300上の何れかの画素である画素301の位置を(x,y)にて表す。本明細書では、画素の位置を、単に画素位置とも言う。x及びyは、夫々、画素301のX軸及びY軸方向の座標値である。二次元座標系XYにおいて、或る画素の位置が右側に1画素分ずれると該画素のX軸方向における座標値は1だけ増大し、或る画素の位置が下側に1画素分ずれると該画素のY軸方向における座標値は1だけ増大する。従って、画素301の位置が(x,y)である場合、画素301の右側、左側、下側及び上側に隣接する画素の位置は、夫々、(x+1,y)、(x−1,y)、(x,y+1)及び(x,y―1)にて表される。
【0035】
撮像装置1には、時系列上に並ぶ複数の入力画像を合成する画像合成機能が設けられている。図3に、画像合成機能を担う画像処理部(画像処理装置)50の内部ブロック図を示す。画像処理部50を、図1の映像信号処理部13に含めておくことができる。或いは、映像信号処理部13及びCPU23によって画像処理部50が形成されていても良い。画像処理部50は、符号51〜53によって参照される各部位を備える。
【0036】
画像処理部50には、入力画像列の画像データが与えられる。入力画像列に代表される画像列とは、時系列上に並ぶ複数の画像の集まりを指す。従って、入力画像列は、時系列上に並ぶ複数の入力画像から成る。画像列は、動画像とも読み替えられる。例えば、入力画像列は、時系列上に並ぶ複数の入力画像を複数のフレームとして持つ動画像である。入力画像は、例えば、AFE12の出力信号そのものにて表現される撮影画像、又は、AFE12の出力信号そのものにて表現される撮影画像に対し所定の画像処理(デモザイキング処理、ノイズ低減処理など)を施して得られる画像である。外部メモリ18に記録された任意の画像列を入力画像列として外部メモリ18から読み出して画像処理部50に与えることができる。例えば、被写体がゴルフクラブや野球のバットをスイングする様子を撮像装置1にて動画像として撮影して外部メモリ18に記録した後、記録された動画像を入力画像列として画像処理部50に与えることができる。尚、入力画像列は、外部メモリ18以外の任意の部位から与えられても良い。例えば、撮像装置1の外部機器(不図示)から通信を介して画像処理部50に入力画像列が与えられても良い。
【0037】
領域設定部51は、入力画像列の画像データに基づいて、入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定し、切り出し領域の位置及び大きさを表す切り出し領域情報を生成及び出力する。切り出し領域情報によって表される切り出し領域の位置は、例えば、切り出し領域の中心位置又は重心位置である。切り出し領域情報によって表される切り出し領域の大きさは、例えば、水平及び垂直方向における切り出し領域の大きさである。切り出し領域が矩形以外の領域である場合、切り出し領域情報に、切り出し領域の形状をも特定できる情報が含められる。
【0038】
切り出し処理部52は、切り出し領域情報に基づき、入力画像から切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する(換言すれば、入力画像から切り出し領域内の画像を切り出し画像として切り出す)。切り出し画像は入力画像の一部である。切り出し領域情報に基づき入力画像から切り出し画像を生成する処理を、以下、切り出し処理と呼ぶ。切り出し処理は複数の入力画像に対して実行され、これによって複数の切り出し画像が得られる。複数の入力画像と同様、複数の切り出し画像も時系列上に並んでいるため、複数の切り出し画像を切り出し画像列と呼ぶこともできる。
【0039】
画像合成部53は、複数の切り出し画像を合成し、合成によって得られた画像を出力合成画像として出力する。出力合成画像を表示部27の表示画面上に表示することができ、出力合成画像の画像データを外部メモリ18に記録することもできる。
【0040】
画像合成機能を再生モードにて実現することができる。画像合成機能を実現するときの再生モードは、複数の合成モードに細分化される。ユーザが複数の合成モードの何れかを選択する指示を撮像装置1に与えることで、選択された合成モードにおける動作が実行される。ユーザは、操作部26を介して任意の指示を撮像装置1に与えることができる。所謂タッチパネルが操作部26に含まれていても良い。複数の合成モードに、マルチウィンドウ合成モードとも呼ぶことができる第1合成モードを含めることができる。第1実施形態では、以下、第1合成モードにおける撮像装置1の動作を説明する。
【0041】
図4は、第1合成モードにおける撮像装置1の動作フローチャートである。第1合成モードでは、ステップS11〜S18の処理が順次実行される。ステップS11において、ユーザによる入力画像列の選択が行われる。外部メモリ18に記録されている動画像の中からユーザは所望の動画像を選択することができ、選択された動画像が入力画像列として画像処理部50に供給される。尚、入力画像列としての動画像の選択を行った後に、複数の合成モードの中から第1合成モードを選択する操作が成されても良い。
【0042】
今、画像処理部50に供給された入力画像列が図5に示す入力画像列320であるとする。入力画像列320を形成するi番目のフレーム、即ち、入力画像列320を形成するi番目の入力画像を記号F[i]によって表す。入力画像列320は、入力画像F[1]、F[2]、F[3]、・・・、F[n]、F[n+1]、・・・、F[n+m]、・・・を含んで形成される。i、n及びmは自然数である。時刻tiは入力画像F[i]の撮影時刻であり、時刻ti+1は時刻tiよりも後の時刻である。従って、入力画像F[i+1]は、入力画像F[i]よりも後に撮影された画像である。時刻ti及びti+1間の時間差Δtは、入力画像列320としての動画像のフレーム周期に相当する。図5からは明らかではないが、入力画像列320は、被写体がゴルフクラブをスイングする様子を撮影した動画像であるとする。
【0043】
ステップS12において、ユーザは操作部26を用いて合成開始フレームを選択する。合成開始フレームの選択の際、例えば、図6(a)に示す如く、操作部26に対するユーザ操作に従い、入力画像列320を形成する入力画像の何れかであって且つユーザが希望する入力画像を表示部27に表示するようし、ユーザの決定操作が成された時点の表示画像を合成開始フレームとして選択すると良い。図6(a)において、斜線部分は表示部27の筐体部分を表している(後述の図6(b)についても同様)。
【0044】
続くステップS13において、ユーザは操作部26を用いて合成終了フレームを選択する。合成終了フレームの選択の際、例えば、図6(b)に示す如く、操作部26に対するユーザ操作に従い、入力画像列320を形成する入力画像の何れかであって且つユーザが希望する入力画像を表示部27に表示するようし、ユーザの決定操作が成された時点の表示画像を合成終了フレームとして選択すると良い。
【0045】
合成開始フレーム及び合成終了フレームは、入力画像列320を形成する何れかの入力画像であって、合成終了フレームとしての入力画像は、合成開始フレームよりも後に撮影された入力画像である。今、図7に示す如く、入力画像F[n]及びF[n+m]が夫々合成開始フレーム及び合成終了フレームとして選択されたものとする。合成開始フレームの撮影時刻である時刻tnから合成終了フレームの撮影時刻である時刻tn+mまでの期間を、合成対象期間と呼ぶ。例えば、合成開始フレームに対応する時刻tnは、被写体がゴルフクラブのスイングを開始する直前であり(図6(a)参照)、合成終了フレームに対応する時刻tn+mは、被写体がゴルフクラブのスイングを終了した直後である(図6(b)参照)。時刻tn及び時刻tn+mも合成対象期間に含まれていると考える。従って、合成対象期間に属する入力画像は、入力画像F[n]〜F[n+m]である。
【0046】
合成開始フレーム及び合成終了フレームの選択後、ステップS14において、ユーザは、操作部26を用いて合成条件を指定することができる。例えば、出力合成画像を得るために合成される画像の枚数(以下、合成枚数CNUMと呼ぶ)などを指定することができる。合成条件は予め設定されていても良く、この場合、ステップS14における指定を割愛しても良い。合成条件の意義については後述の説明からより明らかとなる。ステップS14の処理を、ステップS12及びS13の処理よりも前に実行しても構わない。
【0047】
合成対象期間に属する入力画像F[n]〜F[n+m]が全て出力合成画像の形成に寄与するとは限らない。入力画像F[n]〜F[n+m]の内、出力合成画像の形成に寄与する入力画像を、特に対象入力画像と呼ぶ。対象入力画像は複数存在し、1番目の対象入力画像は入力画像F[n]である。ユーザは、ステップS14において、合成条件の一種であるサンプリング間隔を指定することができる。但し、サンプリング間隔は予め設定されていても良い。サンプリング間隔は、時間的に隣接する2枚の対象入力画像間の撮影時刻間隔である。例えば、サンプリング間隔が(Δt×i)である場合(図5も参照)、入力画像F[n]を基準としてサンプリング間隔(Δt×i)にて入力画像F[n]〜F[n+m]から対象入力画像がサンプリングされる(iは整数)。より具体的には例えば、m=8であって且つサンプリング間隔が(Δt×2)である場合、図8に示す如く、入力画像F[n]、F[n+2]、F[n+4]、F[n+6]及びF[n+8]が対象入力画像として抽出される。mの値はステップS12及びS13の処理によって定まるため、サンプリング間隔が定まれば自動的に合成枚数CNUMが定まる。
【0048】
mの値と合成枚数CNUMが定められた後、定められたmの値と合成枚数CNUMに基づいてサンプリング間隔及び対象入力画像が設定されても良い。例えば、m=8且つCNUM=5と定められたならば、サンプリング間隔がΔt×(m/(CNUM−1))、即ち(Δt×2)に設定され、結果、入力画像F[n]、F[n+2]、F[n+4]、F[n+6]及びF[n+8]が対象入力画像として抽出される。
【0049】
ステップS12〜S14の処理の後、ステップS15〜S17の処理が順次実行される。即ち、ステップS15において領域設定部51により切り出し領域の設定処理が実行され、ステップS16において切り出し処理部52により切り出し処理が実行され、ステップS17において画像合成部53により合成処理が実行されることで出力合成画像が生成される(図3も参照)。ステップ17にて生成された出力合成画像はステップS18において表示部27の表示画面上に表示される。出力合成画像の画像データを外部メモリ18に記録することもできる。ステップS15〜S17における処理内容を詳細に説明する。
【0050】
[S15:切り出し領域の設定]
ステップS15における切り出し領域の設定処理を説明する。図9は、切り出し領域の設定処理のフローチャートである。領域設定部51がステップS21〜S23の処理を順次実行することで切り出し領域を設定することができる。
【0051】
まずステップS21において、領域設定部51は、背景画像の抽出又は生成を行う。入力画像列320を形成する入力画像の内、合成対象期間に属さない入力画像を背景候補画像と捉え、複数の背景候補画像の内の何れかを背景画像として抽出することができる。複数の背景候補画像には、入力画像F[1]〜F[n−1]が含まれ、更に入力画像F[n+m+1]、F[n+m+2]、・・・が含まれうる。領域設定部51は、入力画像列320の画像データに基づき複数の背景候補画像の中から背景画像を選択することができる。ユーザが複数の背景候補画像の中から背景画像を手動で選択するようにしても良い。
【0052】
動物体領域が存在しない入力画像を背景画像として選択することが望ましい。複数の入力画像から成る動画像上において動いている物体を動物体と呼び、動物体の画像データが存在している画像領域を動物体領域と呼ぶ。
【0053】
例えば、動き検出処理を実行できるように領域設定部51を形成しておく。動き検出処理では、時間的に隣接する2枚の入力画像の画像データに基づき当該2枚の入力画像間のオプティカルフローを導出する。周知の如く、2枚の入力画像間のオプティカルフローは、当該2枚の入力画像間における物体の動きベクトルの束である。2枚の入力画像間における或る物体の動きベクトルは、2枚の入力画像間における該物体の動きの向き及び大きさを表している。
動物体領域に対応する動きベクトルの大きさは、動物体領域以外の領域のそれよりも大きい。従って、複数の入力画像に対するオプティカルフローから、複数の入力画像上に動物体が存在しているか否かを推定できる。故に例えば、入力画像F[1]〜F[n−1]に対して動き検出処理を実行して、入力画像F[1]及びF[2]間のオプティカルフロー、入力画像F[2]及びF[3]間のオプティカルフロー、・・・、及び入力画像F[n−2]及びF[n−1]間のオプティカルフローを導出し、導出したオプティカルフローに基づき、動物体が存在していないと推定される入力画像を入力画像F[1]〜F[n−1]から抽出すると良い。抽出した入力画像(動物体が存在していないと推定される入力画像)を背景画像として選択することができる。
【0054】
また例えば、複数の入力画像を用いた背景画像生成処理によって背景画像を生成するようにしても良い。背景画像生成処理の方法を、図10(a)及び(b)を参照して説明する。図10(a)には、背景画像の生成元となる複数の入力画像G[1]〜G[5]が示されている。画像330は、入力画像G[1]〜G[5]から生成される背景画像である。図10(a)の各入力画像において、斜線領域は動物体領域を表している。入力画像G[1]〜G[5]は、入力画像列320を形成する入力画像の中から抽出された5枚の入力画像である。m=4の場合、複数の入力画像G[1]〜G[5]は、例えば入力画像F[n]〜F[n+m]である(図7参照)。或いは例えば、m>4の場合、複数の入力画像G[1]〜G[5]は、入力画像F[n]〜F[n+m]の内の何れか5枚の入力画像である。更に或いは例えば、入力画像G[1]〜G[5]の中に、入力画像F[1]〜F[n−1]の何れか、又は、入力画像F[n+m+1]、F[n+m+2]・・・の何れかが含まれていても良い。更に或いは例えば、合成対象期間に属さない入力画像のみを用いて入力画像G[1]〜G[5]を形成しても良い。
【0055】
背景画像生成処理では、画素位置ごとに背景画素抽出処理を行う。画素位置(x,y)に対する背景画素抽出処理を説明する。背景画素抽出処理において、領域設定部51は、まず、入力画像G[1]を基準画像に設定すると共に入力画像G[2]〜G[5]の夫々を非基準画像に設定した上で、非基準画像ごとに差分演算を行う。ここにおける差分演算とは、基準画像の画素位置(x,y)における画素信号と、非基準画像の画素位置(x,y)における画素信号との差分の絶対値を、差分要素値として求める演算を指す。画素信号とは、画素の持つ信号を指し、画素信号の値を画素値とも言う。差分演算における画素信号として、例えば輝度信号を用いることができる。
【0056】
入力画像G[1]が基準画像であるとき、非基準画像ごとの差分演算によって、
入力画像G[1]の画素位置(x,y)における画素信号及び入力画像G[2]の画素位置(x,y)における画素信号に基づく差分要素値VAL[1,2]と、
入力画像G[1]の画素位置(x,y)における画素信号及び入力画像G[3]の画素位置(x,y)における画素信号に基づく差分要素値VAL[1,3]と、
入力画像G[1]の画素位置(x,y)における画素信号及び入力画像G[4]の画素位置(x,y)における画素信号に基づく差分要素値VAL[1,4]と、
入力画像G[1]の画素位置(x,y)における画素信号及び入力画像G[5]の画素位置(x,y)における画素信号に基づく差分要素値VAL[1,5]と、が求められる。
【0057】
領域設定部51は、基準画像に設定される入力画像を、入力画像G[1]から入力画像G[2]、G[3]、G[4]及びG[5]へと順次切り替えながら、非基準画像ごとの差分演算を行う(基準画像以外の入力画像は非基準画像に設定される)。これにより、入力画像G[i]の画素位置(x,y)における画素信号及び入力画像G[j]の画素位置(x,y)における画素信号に基づく差分要素値VAL[i,j]が、1≦i≦5且つ1≦j≦5を満たす変数i及びjの全ての組み合わせに対して求まる(但し、i及びjは互いに異なる整数)。
【0058】
領域設定部51は、入力画像G[i]を基準画像に設定した状態で求められた4つの差分要素値VAL[i,j]の合計を、差分積算値SUM[i]として求める。差分積算値SUM[i]の導出は入力画像G[1]〜G[5]の夫々に対して成される。故に、画素位置(x,y)に対して、5つの差分積算値SUM[1]〜SUM[5]が求められる。領域設定部51は、差分積算値SUM[1]〜SUM[5]の内の最小値を特定し、その最小値に対応する入力画像の画素位置(x,y)における画素及び画素信号を、背景画像330の画素位置(x,y)における画素及び画素信号に設定する。即ち例えば、差分積算値SUM[1]〜SUM[5]の内、差分積算値SUM[4]が最小である場合、差分積算値SUM[4]に対応する入力画像G[4]の画素位置(x,y)における画素及び画素信号を、背景画像330の画素位置(x,y)における画素及び画素信号に設定する。
【0059】
図10(a)に示す例の動物体領域は、入力画像G[1]及びG[2]においては画素位置(x,y)に位置し、入力画像G[3]〜G[5]においては画素位置(x,y)に位置していない。従って、差分積算値SUM[1]及びSUM[2]は比較的大きな値を取る一方で、差分積算値SUM[3]〜SUM[5]は比較的小さな値を取る。従って、動物体領域内の画素とは異なる画素(即ち、背景の画素)が、背景画像330の画素として採用されることになる。
【0060】
上述したように、背景画像生成処理では、画素位置ごとに背景画素抽出処理が行われる。従って、上述と同様の処理が、画素位置(x,y)以外の画素位置に対しても順次行われ、最終的に背景画像330の全画素位置における画素信号が決定される(即ち、背景画像330の生成が完了する)。尚、上述の説明の動作によれば、差分要素値VAL[i,j]と差分要素値VAL[j,i]とが個別に算出されるが、それらの値は同じであるため、実際には一方のみを算出すれば足る。また、図10(a)及び(b)に示す例では、5枚の入力画像から背景画像を生成しているが、2枚以上の任意の枚数の入力画像から背景画像を生成することができる。
【0061】
ステップS22(図9参照)において、図3の領域設定部51は、背景画像及び各対象入力画像の画像データに基づき動物体領域を検出する。図11において、画像340は背景画像の例であり、画像341〜343は対象入力画像の例である。説明の具体化のため、背景画像が画像340であって且つ入力画像F[n]〜F[n+m]から抽出された複数の対象入力画像が画像341〜343であることを想定して、動物体領域の検出方法及び後述のステップS23の処理内容を説明する。
【0062】
領域設定部51は、対象入力画像ごとに、背景画像及び対象入力画像間の差分画像を生成すると共に生成した差分画像を二値化することにより二値化差分画像を生成する。図11において、画像351は背景画像340及び対象入力画像341に基づく二値化差分画像であり、画像352は背景画像340及び対象入力画像342に基づく二値化差分画像であり、画像353は背景画像340及び対象入力画像343に基づく二値化差分画像である。第1及び第2画像間の差分画像とは、第1及び第2画像間における画素信号の差分を画素信号として有する画像である。例えば、第1及び第2画像間の差分画像における画素位置(x,y)の画素値は、第1画像における画素位置(x,y)の輝度値と、第2画像における画素位置(x,y)の輝度値との差の絶対値である。背景画像340及び対象入力画像341間の差分画像において、所定の閾値以上の画素値を有する画素に対し“1”の画素値を与える一方、その閾値未満の画素値を有する画素に対し“0”の画素値を与えることで、“1”又は“0”の画素値のみを有する二値化差分画像351が得られる。二値化差分画像352及び353についても同様である。図11を含む二値化差分画像を示した図において、“1”の画素値を有する画像領域(即ち差分の大きい画像領域)を白で表し、“0”の画素値を有する画像領域(即ち差分の小さい画像領域)を黒で表している。二値化差分画像351において、“1”の画素値を有する画像領域が動物体領域361として検出される。同様に、二値化差分画像352において、“1”の画素値を有する画像領域が動物体領域362として検出され、二値化差分画像353において、“1”の画素値を有する画像領域が動物体領域363として検出される。二値化差分画像において、白領域が動物体領域に相当する(後述の図12(a)等においても同様)。
【0063】
図11では、動物体領域361〜363が二値化差分画像351〜353上に示されているが、動物体領域361〜363は、夫々、対象入力画像341〜343上の動物体領域である、と考えることができる。図11において、点361C、362C、363Cは、夫々、対象入力画像341上における動物体領域361の中心位置又は重心位置、対象入力画像342上における動物体領域362の中心位置又は重心位置、対象入力画像343上における動物体領域363の中心位置又は重心位置を表している。
【0064】
その後、ステップS23(図9参照)において、図3の領域設定部51は、ステップS22で検出した動物体領域に基づき切り出し領域を設定する。図12(a)〜(e)を参照して、動物体領域361〜363から切り出し領域を設定する方法を説明する。
【0065】
図12(a)に示す如く、領域設定部51は、動物体領域361〜363の論理和領域である領域(白領域)401を求めることができる。図12(a)において、画像400は、画像351〜353の論理和演算によって得られる二値化画像である。即ち、二値化画像400の画素位置(x,y)における画素値は、画像351の画素位置(x,y)における画素値と、画像352の画素位置(x,y)における画素値と、画像353の画素位置(x,y)における画素値との論理和である。二値化画像400において、“1”の画素値を有する画像領域が領域401である。
【0066】
図12(b)に示す如く、領域設定部51は、動物体領域361〜363の内、最大の大きさを有する動物体領域を領域(白領域)411として求めることができる。図12(b)における二値化画像410は、領域411が動物体領域361であるとき画像351であり、領域411が動物体領域362であるとき画像352であり、領域411が動物体領域363であるとき画像353である。
【0067】
図12(c)に示す如く、領域設定部51は、動物体領域361〜363の内、任意の1領域を領域(白領域)421として設定することができる。図12(c)における二値化画像420は、領域421が動物体領域361であるとき画像351であり、領域421が動物体領域362であるとき画像352であり、領域421が動物体領域363であるとき画像353である。
【0068】
図12(d)に示す如く、領域設定部51は、何れかの動物体領域に外接する矩形領域を領域(白領域)431として設定することができる。図12(a)の領域401に外接する矩形領域を領域431として設定しても良い。即ち、領域431は、領域401、411又は421を内包することのできる最小の矩形画像領域である。図12(d)の画像430は、領域431内において“1”の画素値のみを有し、それ以外の画像領域においては“0”の画素値のみを有する二値化画像である。
【0069】
図12(e)の領域(白領域)441は、矩形領域431を所定比率で拡大又は縮小した画像領域である。或いは、領域401、411又は421を所定比率で拡大又は縮小した画像領域が領域441であっても良い。領域441の生成時における拡大又は縮小を、水平及び垂直方向の夫々において成すことができる。図12(e)の画像440は、領域441内において“1”の画素値のみを有し、それ以外の画像領域においては“0”の画素値のみを有する二値化画像である。
【0070】
ステップS23(図9参照)において、領域設定部51は、領域401、411、421、431又は441を切り出し領域として設定することができる。
【0071】
図9のステップS21〜S23による方法では、切り出し領域の設定時に背景画像が利用されるが、背景画像を用いることなく切り出し領域を設定することも可能である。即ち例えば、入力画像列320の画像データに基づき動き検出処理によって入力画像F[i]及びF[i+1]間のオプティカルフローを導出する。導出されるべきオプティカルフローには、合成対象期間中の入力画像に基づくオプティカルフローが少なくとも含まれ、必要に応じて合成対象期間外の入力画像に基づくオプティカルフロー(例えば、入力画像F[n−2]及びF[n−1]間のオプティカルフロー)も導出する。そして、導出したオプティカルフローに基づいて入力画像F[n]〜F[n+m]の夫々から動物体領域を検出すれば良い。オプティカルフローに基づく動物体及び動物体領域の検出方法は公知である。動物体領域の検出後の動作は、上述した通りである。
【0072】
或いは例えば、図9のステップS21〜S23の処理の代わりに、図13のステップS31及びS32の処理を実行することで切り出し領域を設定しても良い。図13は、切り出し領域の設定処理の変形フローチャートに相当する。
【0073】
ステップS31において、領域設定部51は、対象入力画像の画像データに基づき対象入力画像から特定種類の物体が存在する画像領域を特定物体領域(特定被写体領域)として検出する。特定物体領域の検出を対象入力画像ごとに成すことができる。特定種類の物体とは、予め登録された種類の物体であり、例えば、任意の人物又は登録人物である。特定種類の物体が登録人物である場合、対象入力画像の画像データに基づく顔認証処理によって特定物体領域の検出が可能である。顔認証処理では、対象入力画像上に人物の顔が存在する場合、その顔が登録人物の顔であるのか否かを峻別することができる。特定物体領域の検出方法として、公知の検出方法を含む任意の検出方法を利用することができる。例えば、対象入力画像から人物の顔を検出する顔検出処理、顔検出処理の結果を利用しつつ人物全体の画像データが存在する画像領域を他の画像領域と区別する領域分割処理を用いれば、特定物体領域を検出可能である。
【0074】
ステップS32において、領域設定部51は、ステップS31で検出した特定物体領域に基づき切り出し領域を設定する。特定物体領域に基づく切り出し領域の設定方法は、上述した動物体領域に基づく切り出し領域の設定方法と同様である。即ち例えば、入力画像F[n]〜F[n+m]から抽出された複数の対象入力画像が図11の画像341〜343である場合において、対象入力画像341〜343から領域361〜363が特定物体領域として検出されたならば、領域設定部51は、図12(a)等に示される領域401、411、421、431又は441を切り出し領域として設定することができる。
【0075】
尚、合成モード利用時に注目される特定種類の物体は動物体であることが通常であるため、特定物体領域を動物体領域として捉えることも可能である。以下では、説明の便宜上、特定物体領域も動物体領域の一種であると捉えると共に対象入力画像341〜343から検出された特定物体領域は夫々動物体領域361〜363と一致しているものとする。また、以下では、特に記述なき限り、切り出し領域が矩形領域であるものとする。
【0076】
[S16:切り出し処理]
図4のステップS16における切り出し処理を説明する。切り出し処理では、上述の如くして求められた切り出し領域を夫々の対象入力画像に設定し、各対象入力画像から切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する。
【0077】
対象入力画像上における切り出し領域の位置、大きさ及び形状は、原則として、全対象入力画像において共通である。但し、対象入力画像上における切り出し領域の位置は、異なる対象入力画像間で互いに異なっていても良い。対象入力画像上における切り出し領域の位置とは、対象入力画像上における切り出し領域の中心位置又は重心位置を指す。切り出し領域の大きさとは、水平及び垂直方向における切り出し領域の大きさである。
【0078】
入力画像F[n]〜F[n+m]から抽出された複数の対象入力画像に図11の画像341〜343が含まれていると共に対象入力画像341が合成開始フレームであることを想定し、ステップS16の切り出し処理をより具体的に説明する。この想定下において、切り出し処理部52は、図14(a)に示す如く、対象入力画像341、342及び343に夫々切り出し領域471、472及び473を設定し、切り出し領域471内の画像、切り出し領域472内の画像及び切り出し領域473内の画像を、3枚の切り出し画像として抽出する。切り出し領域471〜473は同じ切り出し領域であるので、対象入力画341上における切り出し領域471の大きさ及び形状と、対象入力画342上における切り出し領域472の大きさ及び形状と、対象入力画343上における切り出し領域473の大きさ及び形状は、同じである。
【0079】
図14(a)において、点471C、472C、473Cは、夫々、対象入力画像341上における切り出し領域471の中心位置又は重心位置、対象入力画像342上における切り出し領域472の中心位置又は重心位置、対象入力画像343上における切り出し領域473の中心位置又は重心位置を表している。位置471Cは、対象入力画像341上における動物体領域361の中心位置又は重心位置、即ち、図11の位置361Cと一致する。そして、基本的には、位置472C及び473Cは、位置471Cと同じとされる。従って、図14(b)に示す如く、対象入力画341上の画素位置(x,y)と対象入力画342上の画素位置(x,y)とが重なり合うように対象入力画341及び342を共通の画像区間XYに配置したとき、切り出し領域471及び472は完全に互いに重なり合う。切り出し領域471及び473についても同様である。
【0080】
但し、図14(a)の位置472C及び473Cを、夫々、図11の位置362C及び363Cと一致させるようにしても良い。この場合、位置471C、472C及び473Cは互いに異なりうる。
【0081】
[S17:合成処理]
図4のステップS17における合成処理を説明する。合成処理では、複数の切り出し画像が互いに重なり合わないように複数の切り出し画像を水平又は垂直方向に並べて結合し、この結合によって得られた画像を出力合成画像として生成する。水平方向(即ち、図2のX軸方向)に並べられる切り出し画像の枚数及び垂直方向(即ち、図2のY軸方向)に並べられる切り出し画像の枚数を、夫々、HNUM及びVNUMにて表す。切り出し画像の枚数と一致する上述の合成枚数CNUMは、HNUMとVNUMの積である。
【0082】
図15(a)の画像500は、CNUM=10、HNUM=5且つVNUM=2であるときの出力合成画像の例である。図15(b)には、出力合成画像500の具体例が示されている。出力合成画像500が生成される場合、第1〜第10の対象入力画像から第1〜第10の切り出し画像が生成される。第iの切り出し画像は第iの対象入力画像から抽出される。第(i+1)の対象入力画像の撮影時刻は、第iの対象入力画像のそれよりも遅い。出力合成画像500において、画像領域500[1]〜500[5]は、この順番で左から右に向かって連続的に配置され、画像領域500[6]〜500[10]も、この順番で左から右に向かって連続的に配置される(左右の定義については図2参照)。i=1、2、3、4又は5において、画像領域500[i]と500[i+5]は垂直方向に互いに隣接している。i及びjが互いに異なる整数である場合、画像領域500[i]及び500[j]は互いに重なり合わない。出力合成画像500の画像領域500[1]〜500[10]には、夫々、第1〜第10の切り出し画像が配置される。従って、出力合成画像500は、第1〜第10の切り出し画像を水平又は垂直方向に並べて結合した合成結果画像である。
【0083】
図15(a)に示すような、出力合成画像上における切り出し画像の並べ方は一例であり、図3の画像合成部53は、切り出し画像の並べ方を、合成枚数CNUMや出力合成画像のアスペクト比又は画像サイズ等に応じて決定することができる。撮像装置1において、出力合成画像のアスペクト比又は画像サイズを予め設定しておくことができる。
【0084】
出力合成画像のアスペクト比に応じて切り出し画像の並べ方を決定する方法(即ち出力合成画像のアスペクト比を固定した状態で切り出し画像の並べ方を決定する方法)を説明する。出力合成画像のアスペクト比とは、出力合成画像の水平方向における画素数と出力合成画像の垂直方向における画素数との比を指す。今、出力合成画像のアスペクト比が4:3であるとする。即ち、出力合成画像の水平方向における画素数は、出力合成画像の垂直方向における画素数の4/3倍であるとする。また、図4のステップS15にて設定された切り出し領域の水平及び垂直方向における画素数を夫々HCUTSIZE及びVCUTSIZEにて表す。そうすると、画像合成部53は、下記(1)に従って枚数HNUM及びVNUMを求めることができる。
(HNUM×HCUTSIZE):(VNUM×VCUTSIZE)=4:3 ・・・(1)
【0085】
例えば、(HCUTSIZE,VCUTSIZE)=(128:240)であるとき、式(1)からHNUM:VNUM=5:2となる。この場合において、仮にCNUM=HNUM×VNUM=10ならばHNUM=5且つVNUM=2となって図15(a)の出力合成画像500が生成され、仮にCNUM=HNUM×VNUM=40ならばHNUM=10且つVNUM=4となって、切り出し画像を水平方向に10枚ずつ且つ垂直方向に4枚ずつ並べた出力合成画像が生成される。出力合成画像のアスペクト比に応じて切り出し画像の並べ方を決定する場合、出力合成画像の画像サイズは様々に変化しうる。
【0086】
出力合成画像の画像サイズに応じて切り出し画像の並べ方を決定する方法(即ち出力合成画像の画像サイズを固定した状態で切り出し画像の並べ方を決定する方法)を説明する。出力合成画像の画像サイズは、出力合成画像の水平方向における画素数HOSIZE及び出力合成画像の垂直方向における画素数VOSIZEによって表現される。画像合成部53は、下記(2)及び(3)に従って枚数HNUM及びVNUMを求めることができる。
HNUM=HOSIZE/HCUTSIZE ・・・(2)
VNUM=VOSIZE/VCUTSIZE ・・・(3)
【0087】
例えば、CNUM=HNUM×VNUM=10、(HOSIZE,VOSIZE)=(640,480)且つ(HCUTSIZE,VCUTSIZE)=(128,240)である場合、HOSIZE/HCUTSIZE=640/128=5、VOSIZE/VCUTSIZE=480/240=2より、HNUM=5且つVNUM=2となって図15(a)の出力合成画像500が生成される。
【0088】
仮に式(2)及び(3)の右辺が整数以外の実数になる場合には、式(2)の右辺を四捨五入して得た整数値HINT及び式(3)の右辺を四捨五入して得た整数値VINTを夫々HNUM及びVNUMに代入し、“HINT=HOSIZE/HCUTSIZE”且つ“VINT=VOSIZE/VCUTSIZE”が満たされるように、切り出し領域を再設定するようにしても良い(即ち、一旦設定した切り出し領域を拡大又は縮小するようにしても良い)。例えば、CNUM=HNUM×VNUM=10、(HOSIZE,VOSIZE)=(640,480)であって、且つ、一旦設定された切り出し領域について(HCUTSIZE,VCUTSIZE)=(130,235)が満たされる場合、式(2)及び(3)の右辺は、夫々、約4.92及び約2.04となる。この場合、HINT=5をHNUMに代入すると共にVINT=2をVNUMに代入し、“HINT=HOSIZE/HCUTSIZE”且つ“VINT=VOSIZE/VCUTSIZE”が満たされるように、切り出し領域を再設定する。この結果、再設定された切り出し領域の水平及び垂直方向における画素数は夫々128及び240となる。切り出し領域の再設定が成された場合、再設定された切り出し領域を用いて切り出し画像が生成されて出力合成画像が生成される。
【0089】
尚、図4のフローチャートでは、ステップS15及びS16にて切り出し領域の設定処理及び切り出し処理を実行した後に、ステップS17において切り出し画像の並べ方の決定処理を含む合成処理を実行しているが、切り出し領域が再設定されうることを考慮し、切り出し画像の並べ方の決定処理を成した後に実際の切り出し処理を実行するようにしても良い。また、HNUM及びVNUMの値は合成条件の一種であり、HNUM及びVNUMの値をユーザの指定に従って設定しても良い(図4のステップS14参照)。
【0090】
[合成枚数の増減]
ユーザは、自身が一旦指定した合成枚数CNUM又は撮像装置1側で自動的に設定した合成枚数CNUMの変更を指示することができる。ユーザは、合成枚数CNUMの変更指示を、任意のタイミングで成すことができる。例えば、CNUM=10の状態の出力合成画像が生成及び表示された後に、ユーザが、CNUM=20の状態の出力合成画像の生成及び表示を希望する場合、ユーザは操作部26に対する所定操作によって合成枚数CNUMを10から20に増大させることができる。逆に、ユーザは、合成枚数CNUMの減少を指示することもできる。
【0091】
合成枚数CNUMの第1増減方法を説明する。図16は、合成枚数CNUMの増大が指示された場合における第1増減方法の処理イメージ図である。図7に示す如く合成対象期間が時刻tnから時刻tn+mまでの期間である場合においてユーザにより合成枚数CNUMの増大指示が成されたとき、第1増減方法に係る画像処理部50は、合成対象期間を時刻tnから時刻tn+mまでの期間に維持したまま増大指示前のサンプリング間隔を基準にしてサンプリング間隔を減少させ、これによって対象入力画像の枚数(即ち合成枚数CNUM)を増大させる。逆に、図7に示す如く合成対象期間が時刻tnから時刻tn+mまでの期間である場合においてユーザにより合成枚数CNUMの減少指示が成されたとき、第1増減方法に係る画像処理部50は、合成対象期間を時刻tnから時刻tn+mまでの期間に維持したまま減少指示前のサンプリング間隔を基準にしてサンプリング間隔を増大させ、これによって対象入力画像の枚数(即ち合成枚数CNUM)を減少させる。ユーザによって指定された増大指示後又は減少指示後の合成枚数CNUMに基づき、増大指示後又は減少指示後のサンプリング間隔の具体的数値は決定される。
【0092】
合成枚数CNUMの第2増減方法を説明する。図17は、合成枚数CNUMの増大が指示された場合における第2増減方法の処理イメージ図である。図7に示す如く合成対象期間が時刻tnから時刻tn+mまでの期間である場合においてユーザにより合成枚数CNUMの増大指示が成されたとき、第2増減方法に係る画像処理部50は、合成対象期間の開始時刻を時刻tnよりも早い時刻に修正する若しくは合成対象期間の終了時刻を時刻tn+mよりも遅い時刻に修正する又はそれらの双方の修正を行うことで合成対象期間を増大させ、これによって対象入力画像の枚数(即ち合成枚数CNUM)を増大させる。逆に、図7に示す如く合成対象期間が時刻tnから時刻tn+mまでの期間である場合においてユーザにより合成枚数CNUMの減少指示が成されたとき、第2増減方法に係る画像処理部50は、合成対象期間の開始時刻を時刻tnよりも遅い時刻に修正する若しくは合成対象期間の終了時刻を時刻tn+mよりも早い時刻に修正する又はそれらの双方の修正を行うことで合成対象期間を減少させ、これによって対象入力画像の枚数(即ち合成枚数CNUM)を減少させる。ユーザによって指定された増大指示後又は減少指示後の合成枚数CNUMに基づき、合成対象期間の開始時刻及び終了時刻の修正量は決定される。
【0093】
第2増減方法では、サンプリング間隔は変更されない。但し、第1及び第2増減方法を組み合わせることも可能である。即ち例えば、ユーザにより合成枚数CNUMの増大指示が成されたとき、第1増減方法に係るサンプリング間隔の減少と第2増減方法に係る合成対象期間の増大とを同時に実行するようにしても良いし、ユーザにより合成枚数CNUMの減少指示が成されたとき、第1増減方法に係るサンプリング間隔の増大と第2増減方法に係る合成対象期間の減少とを同時に実行するようにしても良い。
【0094】
上述の如く、本実施形態では、動物体についての切り出し画像を水平又は垂直方向に並べて結合することで出力合成画像を生成している。このため、動物体がゴルフクラブをスイングする人物である場合など、動画像上において動物体の位置が殆ど変化しない場合においても、異なる時刻の動物体が出力合成画像上で重なり合わない。結果、図26に示すようなストロボ画像よりも、動物体の運動の様子を確認し易くなる。加えて、動画像を形成するフレームそのものではなく、動物体部分の切り出し画像を用いて出力合成画像を生成しているため、出力合成画像上において動物体が比較的大きく映し出される。結果、図27に示すような方法よりも、動物体の運動の様子を確認し易くなる。
【0095】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2及び後述の第3実施形態は、第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2及び第3実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾なき限り、第1実施形態の記載が第2及び第3実施形態にも適用される。第1実施形態で述べた複数の合成モードに、シンクロ合成モードとも呼ぶことができる第2合成モードを含めることができる。第2実施形態では、以下、第2合成モードにおける撮像装置1の動作を説明する。
【0096】
第2合成モードでは、出力合成画像の生成に複数の入力画像列が利用される。ここでは、説明の具体化のため、2つの入力画像列を利用する方法を説明する。図18は、第2合成モードにおいて出力合成画像が生成されるときの処理の流れを示している。ユーザは、外部メモリ18に記録されている動画像の中から任意の2つの動画像を選択することができ、選択された2つの動画像が第1及び第2の入力画像列551及び552として画像処理部50に供給される。通常、入力画像列551及び552は互いに異なる。
【0097】
画像処理部50において、入力画像列551及び552に対し個別に図4のステップS12〜S17の処理が実行される。入力画像列551に対するステップS12〜S17の処理内容は第1実施形態で述べたものと同様であり、入力画像列552に対するステップS12〜S17の処理内容も第1実施形態で述べたものと同様である。入力画像列551に対するステップ12〜S17の処理により生成される出力合成画像を中間合成画像(合成結果画像)561と呼び、入力画像列552に対するステップ12〜S17の処理により生成される出力合成画像を中間合成画像(合成結果画像)562と呼ぶ。
【0098】
中間合成画像561及び562の夫々において、HNUM(水平方向に並べられる切り出し画像の枚数)は2以上とされ、VNUM(垂直方向に並べられる切り出し画像の枚数)は1とされる。即ち、中間合成画像561は、入力画像列551に基づく複数の切り出し画像を水平方向に並べて結合することにより生成され、中間合成画像562は、入力画像列552に基づく複数の切り出し画像を水平方向に並べて結合することにより生成される。基本的に、サンプリング間隔及び合成枚数CNUMは、入力画像列551及び552間で同じとされるが、それらを入力画像列551及び552間で異ならせることも可能である。図18に示す例では、中間合成画像561及び562の夫々において、HNUM=10且つVNUM=1に設定されている。尚、各入力画像に設定される切り出し領域の大きさを、入力画像列551及び552間で同じにしておくことが望ましい。切り出し領域の大きさが入力画像列551及び552間で異なる場合には、切り出し領域内の画像データから切り出し画像を生成する際に解像度変換を実行することにより、入力画像列551に基づく切り出し画像の画像サイズと入力画像列552に基づく切り出し画像の画像サイズとを一致させることもできる。
【0099】
図3の画像合成部53は、中間合成画像(合成結果画像)561及び562を垂直方向に並べて結合することにより、最終的な出力合成画像570を生成する。出力合成画像570の全体画像領域を水平方向に沿って2分割することにより第1及び第2画像領域が設定され、出力合成画像570の第1及び第2画像領域に夫々中間合成画像561及び562が配置される。尚、中間合成画像561及び562を生成することなく、入力画像列551及び552に基づく複数の切り出し画像から出力合成画像570を直接生成するようにしても良い。
【0100】
出力合成画像570を表示部27の表示画面上に表示することができ、これによって表示画面の鑑賞者は、入力画像列551上の動物体の運動の様子と入力画像列552上の動物体の運動の様子とを容易に比較することが可能となる。例えば、前者及び後者の動物体間のゴルフスイングフォームを詳細に比較することが可能となる。
【0101】
出力合成画像570を表示する際、必要に応じて解像度変換などを利用し、出力合成画像570の全体を一度に表示させることも可能であるが、以下のようなスクロール表示を成すこともできる。例えば、図1の表示処理部20がスクロール表示の実行を担う。スクロール表示では、図19に示す如く、出力合成画像570内に抽出枠580を設定し、出力合成画像570から抽出枠580内の画像をスクロール用画像として抽出する。水平方向において抽出枠580は出力合成画像570よりも小さいため、スクロール用画像は出力合成画像570の一部である。垂直方向における抽出枠580の大きさを出力合成画像570のそれと同じにしておくことができる。
【0102】
抽出枠580の左端を出力合成画像570の左端に一致させた状態を起点として、抽出枠580の右端が出力合成画像570の右端と一致するまで、抽出枠580の位置を一定間隔で順次移動させ、移動の度にスクロール用画像を抽出する。スクロール表示では、これによって得られる複数のスクロール用画像を時系列順に並べて動画像585として表示部27に表示させる(図20参照)。切り出し画像の枚数にも依存するが、出力合成画像570の全体を一度に表示しようとすると、動物体の表示サイズが小さくなりすぎることがある。上述のようなスクロール表示を利用すれば、切り出し画像の枚数が多くても、動物体の表示サイズが小さくなりすぎることが回避される。また、時系列上に並べられた複数のスクロール用画像を動画像585として外部メモリ18に記録することも可能である。
【0103】
尚、上述の例では、入力画像列551に基づく中間合成画像と入力画像列552に基づく中間合成画像を垂直方向に並べて結合しているが、入力画像列551に基づく中間合成画像と入力画像列552に基づく中間合成画像を水平方向に並べて結合しても良い。この場合、入力画像列551に基づく複数の切り出し画像を垂直方向に並べて結合することにより得た中間合成画像と、入力画像列552に基づく複数の切り出し画像を垂直方向に並べて結合することにより得た中間合成画像とを水平方向に並べて結合し、この結合によって最終的な出力合成画像を得ると良い。
【0104】
また、3以上の入力画像列を用いて出力合成画像を得ても良い。即ち、3以上の入力画像列を画像処理部50に供給し、入力画像列ごとに得た中間合成画像を水平又は垂直方向に並べて結合することで最終的な出力合成画像を得ても良い。
【0105】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。上述の第1又は第2実施形態における入力画像を撮影によって得る際、いわゆる光学式手ぶれ補正又は電子式手ぶれ補正を撮像装置1において実行しても良い。第3実施形態では、入力画像を撮影によって得る際、電子式手ぶれ補正が撮像装置1において実行されることを想定し、電子式手ぶれ補正と連動した切り出し領域の設定方法を説明する。
【0106】
まず、図21(a)及び(b)を参照して、撮像装置1において実行される電子式手ぶれ補正について説明する。図21(a)等において、符号600が付された実線矩形枠内の領域は撮像素子33の有効画素領域を表している。尚、領域600は、撮像素子33の有効画素領域における各画素信号が配列された、内部メモリ17上のメモリ空間であると考えても良い。以下では、領域600が撮像素子33の有効画素領域であると考える。
【0107】
有効画素領域600には、有効画素領域600よりも小さな矩形の抽出枠601が設定され、抽出枠601内に属する各画素信号を読み出すことで入力画像が生成される。即ち、抽出枠601内の画像が入力画像である。以下の説明において、抽出枠601の位置及び移動とは、有効画素領域600上における抽出枠601の中心位置及び移動を指す。
【0108】
図22には、撮像装置1に設けておくことのできる装置動き検出部61及びぶれ補正部62が示されている。装置動き検出部61は、公知の方法によって、撮像素子33の出力信号から撮像装置1の動きを検出する。或いは、撮像装置1の筐体の角加速度又は加速度を検出するセンサを用いて撮像装置1の動きを検出しても良い。撮像装置1の動きは、例えば、撮像装置1の筐体を保持する人間の手のぶれによって生じる。撮像装置1の動きは、撮像素子33の動きでもある。
【0109】
時刻tn及びtn+1間において撮像装置1が動くと実空間上において注目被写体が静止していても、注目被写体は撮像素子33及び有効画素領域600上において移動する。即ち、撮像素子33及び有効画素領域600上における注目被写体の位置は、時刻tn及びtn+1間において移動する。この場合において仮に抽出枠601の位置が固定されていたならば、入力画像F[n+1]上における注目被写体の位置が入力画像F[n]上における注目被写体の位置から変化し、入力画像F[n]及びF[n+1]から成る入力画像列上で注目被写体が移動したように見える。このような移動、即ち、撮像装置1の動きによって生じる、入力画像間における注目被写体の位置変化を、フレーム間ぶれと呼ぶ。
【0110】
装置動き検出部61による撮像装置1の動きの検出結果を、装置動き検出結果とも呼ぶ。図22のぶれ補正部62は、装置動き検出結果に基づきフレーム間ぶれを低減する。フレーム間ぶれの低減には、フレーム間ぶれの完全なる消失も含まれる。撮像装置1の動きの検出によって、撮像装置1の動きの向き及び大きさを表す装置動きベクトルが求められる。ぶれ補正部62は、装置動きベクトルに基づき、フレーム間ぶれが低減するように抽出枠601を移動させる。図21(b)におけるベクトル605は、時刻tn及びtn+1間における装置動きベクトルの逆ベクトルであり、入力画像F[n]及びF[n+1]についてのフレーム間ぶれを低減するべく、抽出枠601がベクトル605に従って移動せしめられる。
【0111】
抽出枠601内の領域をぶれ補正用領域と呼ぶこともできる。撮像素子33の有効画素領域600上に結像する全体像(全体の光学像)の内、抽出枠601内の画像(即ち、ぶれ補正用領域内の画像)が入力画像に相当する。ぶれ補正部62は、装置動きベクトルに基づいて入力画像F[n]及びF[n+1]を得る際の抽出枠601の位置を設定することにより、入力画像F[n]及びF[n+1]についてのフレーム間ぶれを低減する。他の入力画像間についてのフレーム間ぶれも同様である。
【0112】
上述のようなフレーム間ぶれの低減が成された上で入力画像列320(図5)が生成されたことを想定し、図3の画像処理部50の動作を説明する。入力画像列320のフレーム間ぶれを低減するために利用された、入力画像列320の撮影期間中における装置動き検出結果を、入力画像列320の画像データに関連付けて外部メモリ18に記録しておくと良い。例えば、入力画像列320の画像データを画像ファイルに格納した上で外部メモリ18に記録する際、その画像ファイルのヘッダ領域に、入力画像列320の撮影期間中における装置動き検出結果を格納しておくと良い。
【0113】
図3の領域設定部51は、外部メモリ18から読み出した装置動き検出結果に基づき、切り出し領域を設定することができる。今、図23(a)〜(d)及び図24を参照しつつ、入力画像F[n]〜F[n+m]から抽出された複数の対象入力画像が画像621〜623であることを想定して、切り出し領域の設定方法を説明する。図23(a)〜(c)において、斜線で満たされた矩形領域631、632及び633は、夫々、対象入力画像621、622及び623の画像データを取得する際に設定された抽出枠601内の領域(ぶれ補正用領域)である。図23(d)の斜線領域640は、有効画素領域600において矩形領域631〜633が互いに重なり合う重なり領域を表している。領域設定部51は、外部メモリ18から読み出した装置動き検出結果に基づき、有効画素領域600上における矩形領域631、632及び633の位置関係を認識することができると共に重なり領域640の位置及び大きさを検出することもできる。
【0114】
領域設定部51は、矩形領域631、632及び633内における重なり領域640の位置に、夫々、入力画像621、622及び623内の切り出し領域を設定する。即ち、図24に示す如く、入力画像621上における重なり領域(斜線領域)640を入力画像621上における切り出し領域に設定し、入力画像622上における重なり領域(斜線領域)640を入力画像622上における切り出し領域に設定し、入力画像623上における重なり領域(斜線領域)640を入力画像623上における切り出し領域に設定する。切り出し処理部52は、入力画像621における切り出し領域内の画像を入力画像621に基づく切り出し画像として抽出し、入力画像622における切り出し領域内の画像を入力画像622に基づく切り出し画像として抽出し、入力画像623における切り出し領域内の画像を入力画像623に基づく切り出し画像として抽出する。これによって得られた複数の切り出し画像から出力合成画像を生成する方法は、第1又は第2実施形態で述べたものと同様である。
【0115】
撮影者は、切り出し画像内に収められるべき注目動物体に注意を払いながら撮影方向の調整などを行うため、手ぶれ等によって撮影範囲が変動したとしても、少なくとも注目動物体は撮影範囲内に収め続けられることが通常であり、結果、各対象入力画像の重なり領域640には注目動物体の画像データが存在している可能性が高い。そこで、第3実施形態では、重なり領域640を切り出し領域に設定し、各対象入力画像の切り出し領域から得た切り出し画像を水平又は垂直方向に並べて結合することで出力合成画像を生成している。このため、第1実施形態と同様の効果が得られる。即ち、異なる時刻の動物体が出力合成画像上で重なり合わないため、図26に示すようなストロボ画像よりも、動物体の運動の様子を確認し易くなる。加えて、出力合成画像上において動物体が比較的大きく映し出されるため、動画像の各フレームをそのままマルチ表示する図27の方法よりも、動物体の運動の様子を確認し易くなる。
【0116】
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
【0117】
[注釈1]
第1及び第2実施形態に係る第1及び第2合成モード以外の合成モードを実現できるように画像処理部50を形成しておいても良い。
【0118】
[注釈2]
図3の画像処理部50は撮像装置1以外の電子機器(不図示)に設けられていても良く、その電子機器上において第1又は第2実施形態にて説明した各動作を実現させても良い。電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機である。尚、撮像装置1も、電子機器の一種である。
【0119】
[注釈3]
図1の撮像装置1及び上記電子機器を、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。ソフトウェアを用いて撮像装置1及び電子機器を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すことになる。特に、画像処理部50にて実現される機能の全部又は一部をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能の全部又は一部を実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 撮像装置
33 撮像素子
51 領域設定部
52 切り出し処理部
53 画像合成部
61 装置動き検出部
62 ぶれ補正部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。また、本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図25に示すような動画像900の各フレームから運動している対象物体を切り出し、切り出した対象物体の画像を背景画像に順番に重ね書きすることによリ、図26に示すような画像を作成する方法が提案されている。このような画像は、ストロボ画像(strobe light image)とも呼ばれ、スポーツのフォームチェック用途などにも利用される。図26では、対象物体としての人物がゴルフクラブをスイングする様子がストロボ画像として示されている。図26及び後述の図27において、斜線部分はストロボ画像等を表示する表示装置の筐体部分を表している。
【0003】
また、図27に示す如く、表示画面を複数の表示領域に分割し、動画像を形成する複数のフレームを複数の分割表示領域を用いてマルチ表示する方法も提案されている(例えば下記特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4460688号公報
【特許文献2】特許第3535736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対象物体がゴルフクラブをスイングする人物である場合など、動画像上において対象物体の位置が殆ど変化しない場合においては、図26に示す如く、異なる時刻の対象物体がストロボ画像上で重なり合うため、対象物体の運動の様子を確認しづらくなる。
【0006】
図27に示すようなマルチ表示方法によれば、このような対象物体の重なりは発生しなくなるが、個々の対象物体の表示サイズが小さくなるため、結果、図27の方法によっても対象物体の運動の様子を確認しづらくなる。
【0007】
そこで本発明は、注目物体の運動の様子確認の容易化に寄与する画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、複数の入力画像から成る入力画像列の画像データに基づいて各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定部と、前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理部と、抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
複数の切り出し画像が並べて結合されるように画像合成部を形成しておけば、切り出し領域に収められるべき注目物体の位置が入力画像列上で殆ど変化しない場合においても、異なる時刻の注目物体が合成結果画像上で重なり合わない。結果、例えば、図26に示すようなストロボ画像よりも、注目物体の運動の様子を確認し易くなることが期待される。加えて、入力画像同士をそのまま結合するのではなく、切り出し画像を結合するようにすれば、合成結果画像上において注目物体が比較的大きく映し出される。結果、図27に示すような方法よりも、注目物体の運動の様子を確認し易くなることが期待される。
【0010】
即ち例えば、前記画像合成部は、前記複数の切り出し画像を結合する際、前記複数の切り出し画像が互いに重なり合わないように前記複数の切り出し画像を並べるとよい。
【0011】
また例えば、前記複数の対象入力画像は第1及び第2の対象入力画像を含み、前記第1の対象入力画像上における前記切り出し領域と前記第2の対象入力画像上における前記切り出し領域とは互いに重なり合い、前記画像合成部は、前記複数の切り出し画像を結合する際、前記第1の対象入力画像に基づく切り出し画像と前記第2の対象入力画像に基づく切り出し画像とが互いに重なり合わないように前記複数の切り出し画像を並べるとよい。
【0012】
また具体的は例えば、前記領域設定部は、前記入力画像列の画像データに基づいて動物体又は特定種類の物体が存在する画像領域を検出し、検出した画像領域に基づいて前記切り出し領域を設定してもよい。
【0013】
また具体的は例えば、前記複数の切り出し画像を並べて結合することにより合成結果画像が生成され、前記画像合成部は、前記合成結果画像に対して定められたアスペクト比又は画像サイズに基づき、前記複数の切り出し画像の並べ方を決定してもよい。
【0014】
また例えば、記入力画像列として互いに異なる複数の入力画像列が当該画像処理装置に与えられ、前記領域設定部は、前記入力画像列ごとに前記切り出し領域を設定し、前記切り出し処理部は、前記入力画像列ごとに前記切り出し画像を抽出し、前記画像合成部は、前記入力画像列ごとに前記結合を行うことで得られる前記複数の入力画像列に対する複数の合成結果画像を、更に所定方向に並べて結合してもよい。
【0015】
これにより例えば、第1入力画像列における注目物体と第2入力画像列における注目物体との間で運動の様子を詳細に比較するといったことが可能となる。
【0016】
本発明に係る撮像装置は、撮像素子を用いた順次撮影の結果から複数の入力画像から成る入力画像列を取得する撮像装置において、当該撮像装置の動きの検出結果に基づき、前記動きに基づく前記入力画像間における被写体のぶれを低減するぶれ補正部と、前記動きの検出結果に基づき、各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定部と、前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理部と、抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成部と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
複数の切り出し画像が並べて結合されるように画像合成部を形成しておけば、切り出し領域に収められるべき注目物体の位置が入力画像列上で殆ど変化しない場合においても、異なる時刻の注目物体が合成結果画像上で重なり合わない。結果、例えば、図26に示すようなストロボ画像よりも、注目物体の運動の様子を確認し易くなることが期待される。加えて、入力画像同士をそのまま結合するのではなく、切り出し画像を結合するようにすれば、合成結果画像上において注目物体が比較的大きく映し出される。結果、図27に示すような方法よりも、注目物体の運動の様子を確認し易くなることが期待される。
【0018】
具体的は例えば、前記撮像素子上に結像する全体像の内、ぶれ補正用領域内の画像が前記入力画像に相当し、前記ぶれ補正部は、前記動きの検出結果に基づき各入力画像に対する前記ぶれ補正用領域の位置を設定することにより前記ぶれを低減し、前記領域設定部は、前記複数の対象入力画像に対する複数のぶれ補正用領域の重なり領域を前記動きの検出結果に基づいて検出し、前記重なり領域から前記切り出し領域を設定しても良い。
【0019】
このような構成によれば、重なり領域に撮影者の注目物体が収められる可能性が高くなり、結果、切り出し領域内に注目物体が収まることが期待される。
【0020】
本発明に係る画像処理方法は、複数の入力画像から成る入力画像列の画像データに基づいて各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定ステップと、前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理ステップと、抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成ステップと、を実行することを特徴とする。
【0021】
そして、上記の領域設定ステップ、切り出し処理ステップ及び画像合成ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを形成すると良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、注目物体の運動の様子確認の容易化に寄与する画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及びプログラムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撮像装置の全体ブロック図である。
【図2】二次元の画像空間と二次元画像との関係を示す図である。
【図3】図1の撮像装置に設けられる画像処理部の内部ブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る撮像装置の動作フローチャートである。
【図5】入力画像列の構成を示す図である。
【図6】合成開始フレーム及び合成終了フレーム選択時における表示画面の様子を示す図である。
【図7】合成開始フレーム、合成終了フレーム及び合成対象期間の意義を説明するための図である。
【図8】入力画像列から複数の対象入力画像が抽出される様子を示した図である。
【図9】切り出し領域の設定処理のフローチャートである。
【図10】背景画像生成処理を説明するための図である。
【図11】背景画像と各対象入力画像に基づき各対象入力画像から動物体領域が検出される様子を示した図である。
【図12】検出された動物体領域の利用方法を説明するための図である。
【図13】切り出し領域の設定処理の変形フローチャートである。
【図14】各対象入力画像に切り出し領域が設定される様子を示した図(a)と、2枚の対象入力画像における2つの切り出し領域が互いに重なり合う様子を示した図(b)である。
【図15】本発明の第1実施形態に係る出力合成画像の例を示す図である。
【図16】合成枚数を増大させる方法の処理イメージ図である。
【図17】合成枚数を増大させる他の方法の処理イメージ図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係り、出力合成画像の生成処理の流れを示す図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係るスクロール表示を説明するための図である。
【図20】スクロール表示を成すために生成された複数のスクロール用画像により、動画像が形成される様子を示した図である。
【図21】本発明の第3実施形態に係る電子式手ぶれ補正を説明するための図である。
【図22】電子式手ぶれ補正に関与する部位のブロック図である。
【図23】電子式手ぶれ補正と連動した切り出し領域の設定方法を説明するための図である。
【図24】図23(a)〜(c)の対象入力画像に対応する切り出し領域を表す図である。
【図25】従来技術に係り、動画像の例を示す図である。
【図26】従来のストロボ画像が表示される様子を示す図である。
【図27】従来のマルチ表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。
【0025】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置1の全体ブロック図である。撮像装置1は、符号11〜28によって参照される各部位を有する。撮像装置1は、デジタルビデオカメラであり、動画像及び静止画像を撮影可能となっていると共に動画像撮影中に静止画像を撮影することも可能となっている。撮像装置1内の各部位は、バス24又は25を介して、各部位間の信号(データ)のやり取りを行う。尚、表示部27及び/又はスピーカ28は、撮像装置1の外部装置(不図示)に設けられたものであってもよい。
【0026】
撮像部11は、撮像素子(イメージセンサ)33の他、図示されない光学系、絞り及びドライバを備える。撮像素子33は、水平及び垂直方向に複数の受光画素が配列されることによって形成される。撮像素子33は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等からなる固体撮像素子である。撮像素子33の各受光画素は、光学系及び絞りを介して入射した被写体の光学像を光電変換し、該光電変換によって得られた電気信号をAFE12(Analog Front End)に出力する。光学系を構成する各レンズは、被写体の光学像を撮像素子33上に結像させる。
【0027】
AFE12は、撮像素子33(各受光画素)から出力されるアナログ信号を増幅し、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換してから映像信号処理部13に出力する。AFE12における信号増幅の増幅度はCPU(Central Processing Unit)23によって制御される。映像信号処理部13は、AFE12の出力信号によって表される画像に対して必要な画像処理を施し、画像処理後の画像についての映像信号を生成する。マイク14は、撮像装置1の周辺音をアナログの音声信号に変換し、音声信号処理部15は、このアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換する。
【0028】
圧縮処理部16は、映像信号処理部13からの映像信号及び音声信号処理部15からの音声信号を、所定の圧縮方式を用いて圧縮する。内部メモリ17は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などから成り、各種のデータを一時的に保存する。記録媒体としての外部メモリ18は、半導体メモリや磁気ディスクなどの不揮発性メモリであり、圧縮処理部16による圧縮後の映像信号及び音声信号を互いに関連付けた状態で記録する。
【0029】
伸張処理部19は、外部メモリ18から読み出された圧縮された映像信号及び音声信号を伸張する。伸張処理部19による伸張後の映像信号又は映像信号処理部13からの映像信号は、表示処理部20を介して、液晶ディスプレイ等から成る表示部27に送られて画像として表示される。また、伸張処理部19による伸張後の音声信号は、音声出力回路21を介してスピーカ28に送られて音として出力される。
【0030】
TG(タイミングジェネレータ)22は、撮像装置1全体における各動作のタイミングを制御するためのタイミング制御信号を生成し、生成したタイミング制御信号を撮像装置1内の各部に与える。タイミング制御信号は、垂直同期信号Vsyncと水平同期信号Hsyncを含む。CPU23は、撮像装置1内の各部位の動作を統括的に制御する。操作部26は、動画像の撮影及び記録の開始/終了を指示するための録画ボタン26a、静止画像の撮影及び記録を指示するためのシャッタボタン26b及び操作キー26c等を有し、ユーザによる各種操作を受け付ける。操作部26に対する操作内容はCPU23に伝達される。
【0031】
撮像装置1の動作モードには、画像(静止画像又は動画像)の撮影及び記録が可能な撮影モードと、外部メモリ18に記録された画像(静止画像又は動画像)を表示部27に再生表示する再生モードと、が含まれる。操作キー26cに対する操作に応じて、各モード間の遷移は実施される。
【0032】
撮影モードでは、次々と被写体の撮影が行われ、被写体の撮影画像が順次取得される。画像を表すデジタルの映像信号を画像データとも呼ぶ。
【0033】
尚、画像データの圧縮及び伸張は、本発明の本質とは関係ないため、以下の説明では、画像データの圧縮及び伸張の存在を無視する(即ち例えば、圧縮された画像データを記録することを、単に、画像データを記録すると表現する)。また、本明細書では、或る画像の画像データのことを単に画像と言うこともある。また、本明細書において、単に表示又は表示画面といった場合、それは、表示部27における表示又は表示画面を指す。
【0034】
図2に、二次元の画像空間XYを示す。画像空間XYは、X軸及びY軸を座標軸として有する、空間領域(spatial domain)上の二次元座標系である。任意の二次元画像300は、画像空間XY上に配置された画像であると考えることができる。X軸及びY軸は、夫々、二次元画像300の水平方向及び垂直方向に沿った軸である。二次元画像300は、水平方向及び垂直方向の夫々に複数の画素がマトリクス状に配列されて形成されており、二次元画像300上の何れかの画素である画素301の位置を(x,y)にて表す。本明細書では、画素の位置を、単に画素位置とも言う。x及びyは、夫々、画素301のX軸及びY軸方向の座標値である。二次元座標系XYにおいて、或る画素の位置が右側に1画素分ずれると該画素のX軸方向における座標値は1だけ増大し、或る画素の位置が下側に1画素分ずれると該画素のY軸方向における座標値は1だけ増大する。従って、画素301の位置が(x,y)である場合、画素301の右側、左側、下側及び上側に隣接する画素の位置は、夫々、(x+1,y)、(x−1,y)、(x,y+1)及び(x,y―1)にて表される。
【0035】
撮像装置1には、時系列上に並ぶ複数の入力画像を合成する画像合成機能が設けられている。図3に、画像合成機能を担う画像処理部(画像処理装置)50の内部ブロック図を示す。画像処理部50を、図1の映像信号処理部13に含めておくことができる。或いは、映像信号処理部13及びCPU23によって画像処理部50が形成されていても良い。画像処理部50は、符号51〜53によって参照される各部位を備える。
【0036】
画像処理部50には、入力画像列の画像データが与えられる。入力画像列に代表される画像列とは、時系列上に並ぶ複数の画像の集まりを指す。従って、入力画像列は、時系列上に並ぶ複数の入力画像から成る。画像列は、動画像とも読み替えられる。例えば、入力画像列は、時系列上に並ぶ複数の入力画像を複数のフレームとして持つ動画像である。入力画像は、例えば、AFE12の出力信号そのものにて表現される撮影画像、又は、AFE12の出力信号そのものにて表現される撮影画像に対し所定の画像処理(デモザイキング処理、ノイズ低減処理など)を施して得られる画像である。外部メモリ18に記録された任意の画像列を入力画像列として外部メモリ18から読み出して画像処理部50に与えることができる。例えば、被写体がゴルフクラブや野球のバットをスイングする様子を撮像装置1にて動画像として撮影して外部メモリ18に記録した後、記録された動画像を入力画像列として画像処理部50に与えることができる。尚、入力画像列は、外部メモリ18以外の任意の部位から与えられても良い。例えば、撮像装置1の外部機器(不図示)から通信を介して画像処理部50に入力画像列が与えられても良い。
【0037】
領域設定部51は、入力画像列の画像データに基づいて、入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定し、切り出し領域の位置及び大きさを表す切り出し領域情報を生成及び出力する。切り出し領域情報によって表される切り出し領域の位置は、例えば、切り出し領域の中心位置又は重心位置である。切り出し領域情報によって表される切り出し領域の大きさは、例えば、水平及び垂直方向における切り出し領域の大きさである。切り出し領域が矩形以外の領域である場合、切り出し領域情報に、切り出し領域の形状をも特定できる情報が含められる。
【0038】
切り出し処理部52は、切り出し領域情報に基づき、入力画像から切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する(換言すれば、入力画像から切り出し領域内の画像を切り出し画像として切り出す)。切り出し画像は入力画像の一部である。切り出し領域情報に基づき入力画像から切り出し画像を生成する処理を、以下、切り出し処理と呼ぶ。切り出し処理は複数の入力画像に対して実行され、これによって複数の切り出し画像が得られる。複数の入力画像と同様、複数の切り出し画像も時系列上に並んでいるため、複数の切り出し画像を切り出し画像列と呼ぶこともできる。
【0039】
画像合成部53は、複数の切り出し画像を合成し、合成によって得られた画像を出力合成画像として出力する。出力合成画像を表示部27の表示画面上に表示することができ、出力合成画像の画像データを外部メモリ18に記録することもできる。
【0040】
画像合成機能を再生モードにて実現することができる。画像合成機能を実現するときの再生モードは、複数の合成モードに細分化される。ユーザが複数の合成モードの何れかを選択する指示を撮像装置1に与えることで、選択された合成モードにおける動作が実行される。ユーザは、操作部26を介して任意の指示を撮像装置1に与えることができる。所謂タッチパネルが操作部26に含まれていても良い。複数の合成モードに、マルチウィンドウ合成モードとも呼ぶことができる第1合成モードを含めることができる。第1実施形態では、以下、第1合成モードにおける撮像装置1の動作を説明する。
【0041】
図4は、第1合成モードにおける撮像装置1の動作フローチャートである。第1合成モードでは、ステップS11〜S18の処理が順次実行される。ステップS11において、ユーザによる入力画像列の選択が行われる。外部メモリ18に記録されている動画像の中からユーザは所望の動画像を選択することができ、選択された動画像が入力画像列として画像処理部50に供給される。尚、入力画像列としての動画像の選択を行った後に、複数の合成モードの中から第1合成モードを選択する操作が成されても良い。
【0042】
今、画像処理部50に供給された入力画像列が図5に示す入力画像列320であるとする。入力画像列320を形成するi番目のフレーム、即ち、入力画像列320を形成するi番目の入力画像を記号F[i]によって表す。入力画像列320は、入力画像F[1]、F[2]、F[3]、・・・、F[n]、F[n+1]、・・・、F[n+m]、・・・を含んで形成される。i、n及びmは自然数である。時刻tiは入力画像F[i]の撮影時刻であり、時刻ti+1は時刻tiよりも後の時刻である。従って、入力画像F[i+1]は、入力画像F[i]よりも後に撮影された画像である。時刻ti及びti+1間の時間差Δtは、入力画像列320としての動画像のフレーム周期に相当する。図5からは明らかではないが、入力画像列320は、被写体がゴルフクラブをスイングする様子を撮影した動画像であるとする。
【0043】
ステップS12において、ユーザは操作部26を用いて合成開始フレームを選択する。合成開始フレームの選択の際、例えば、図6(a)に示す如く、操作部26に対するユーザ操作に従い、入力画像列320を形成する入力画像の何れかであって且つユーザが希望する入力画像を表示部27に表示するようし、ユーザの決定操作が成された時点の表示画像を合成開始フレームとして選択すると良い。図6(a)において、斜線部分は表示部27の筐体部分を表している(後述の図6(b)についても同様)。
【0044】
続くステップS13において、ユーザは操作部26を用いて合成終了フレームを選択する。合成終了フレームの選択の際、例えば、図6(b)に示す如く、操作部26に対するユーザ操作に従い、入力画像列320を形成する入力画像の何れかであって且つユーザが希望する入力画像を表示部27に表示するようし、ユーザの決定操作が成された時点の表示画像を合成終了フレームとして選択すると良い。
【0045】
合成開始フレーム及び合成終了フレームは、入力画像列320を形成する何れかの入力画像であって、合成終了フレームとしての入力画像は、合成開始フレームよりも後に撮影された入力画像である。今、図7に示す如く、入力画像F[n]及びF[n+m]が夫々合成開始フレーム及び合成終了フレームとして選択されたものとする。合成開始フレームの撮影時刻である時刻tnから合成終了フレームの撮影時刻である時刻tn+mまでの期間を、合成対象期間と呼ぶ。例えば、合成開始フレームに対応する時刻tnは、被写体がゴルフクラブのスイングを開始する直前であり(図6(a)参照)、合成終了フレームに対応する時刻tn+mは、被写体がゴルフクラブのスイングを終了した直後である(図6(b)参照)。時刻tn及び時刻tn+mも合成対象期間に含まれていると考える。従って、合成対象期間に属する入力画像は、入力画像F[n]〜F[n+m]である。
【0046】
合成開始フレーム及び合成終了フレームの選択後、ステップS14において、ユーザは、操作部26を用いて合成条件を指定することができる。例えば、出力合成画像を得るために合成される画像の枚数(以下、合成枚数CNUMと呼ぶ)などを指定することができる。合成条件は予め設定されていても良く、この場合、ステップS14における指定を割愛しても良い。合成条件の意義については後述の説明からより明らかとなる。ステップS14の処理を、ステップS12及びS13の処理よりも前に実行しても構わない。
【0047】
合成対象期間に属する入力画像F[n]〜F[n+m]が全て出力合成画像の形成に寄与するとは限らない。入力画像F[n]〜F[n+m]の内、出力合成画像の形成に寄与する入力画像を、特に対象入力画像と呼ぶ。対象入力画像は複数存在し、1番目の対象入力画像は入力画像F[n]である。ユーザは、ステップS14において、合成条件の一種であるサンプリング間隔を指定することができる。但し、サンプリング間隔は予め設定されていても良い。サンプリング間隔は、時間的に隣接する2枚の対象入力画像間の撮影時刻間隔である。例えば、サンプリング間隔が(Δt×i)である場合(図5も参照)、入力画像F[n]を基準としてサンプリング間隔(Δt×i)にて入力画像F[n]〜F[n+m]から対象入力画像がサンプリングされる(iは整数)。より具体的には例えば、m=8であって且つサンプリング間隔が(Δt×2)である場合、図8に示す如く、入力画像F[n]、F[n+2]、F[n+4]、F[n+6]及びF[n+8]が対象入力画像として抽出される。mの値はステップS12及びS13の処理によって定まるため、サンプリング間隔が定まれば自動的に合成枚数CNUMが定まる。
【0048】
mの値と合成枚数CNUMが定められた後、定められたmの値と合成枚数CNUMに基づいてサンプリング間隔及び対象入力画像が設定されても良い。例えば、m=8且つCNUM=5と定められたならば、サンプリング間隔がΔt×(m/(CNUM−1))、即ち(Δt×2)に設定され、結果、入力画像F[n]、F[n+2]、F[n+4]、F[n+6]及びF[n+8]が対象入力画像として抽出される。
【0049】
ステップS12〜S14の処理の後、ステップS15〜S17の処理が順次実行される。即ち、ステップS15において領域設定部51により切り出し領域の設定処理が実行され、ステップS16において切り出し処理部52により切り出し処理が実行され、ステップS17において画像合成部53により合成処理が実行されることで出力合成画像が生成される(図3も参照)。ステップ17にて生成された出力合成画像はステップS18において表示部27の表示画面上に表示される。出力合成画像の画像データを外部メモリ18に記録することもできる。ステップS15〜S17における処理内容を詳細に説明する。
【0050】
[S15:切り出し領域の設定]
ステップS15における切り出し領域の設定処理を説明する。図9は、切り出し領域の設定処理のフローチャートである。領域設定部51がステップS21〜S23の処理を順次実行することで切り出し領域を設定することができる。
【0051】
まずステップS21において、領域設定部51は、背景画像の抽出又は生成を行う。入力画像列320を形成する入力画像の内、合成対象期間に属さない入力画像を背景候補画像と捉え、複数の背景候補画像の内の何れかを背景画像として抽出することができる。複数の背景候補画像には、入力画像F[1]〜F[n−1]が含まれ、更に入力画像F[n+m+1]、F[n+m+2]、・・・が含まれうる。領域設定部51は、入力画像列320の画像データに基づき複数の背景候補画像の中から背景画像を選択することができる。ユーザが複数の背景候補画像の中から背景画像を手動で選択するようにしても良い。
【0052】
動物体領域が存在しない入力画像を背景画像として選択することが望ましい。複数の入力画像から成る動画像上において動いている物体を動物体と呼び、動物体の画像データが存在している画像領域を動物体領域と呼ぶ。
【0053】
例えば、動き検出処理を実行できるように領域設定部51を形成しておく。動き検出処理では、時間的に隣接する2枚の入力画像の画像データに基づき当該2枚の入力画像間のオプティカルフローを導出する。周知の如く、2枚の入力画像間のオプティカルフローは、当該2枚の入力画像間における物体の動きベクトルの束である。2枚の入力画像間における或る物体の動きベクトルは、2枚の入力画像間における該物体の動きの向き及び大きさを表している。
動物体領域に対応する動きベクトルの大きさは、動物体領域以外の領域のそれよりも大きい。従って、複数の入力画像に対するオプティカルフローから、複数の入力画像上に動物体が存在しているか否かを推定できる。故に例えば、入力画像F[1]〜F[n−1]に対して動き検出処理を実行して、入力画像F[1]及びF[2]間のオプティカルフロー、入力画像F[2]及びF[3]間のオプティカルフロー、・・・、及び入力画像F[n−2]及びF[n−1]間のオプティカルフローを導出し、導出したオプティカルフローに基づき、動物体が存在していないと推定される入力画像を入力画像F[1]〜F[n−1]から抽出すると良い。抽出した入力画像(動物体が存在していないと推定される入力画像)を背景画像として選択することができる。
【0054】
また例えば、複数の入力画像を用いた背景画像生成処理によって背景画像を生成するようにしても良い。背景画像生成処理の方法を、図10(a)及び(b)を参照して説明する。図10(a)には、背景画像の生成元となる複数の入力画像G[1]〜G[5]が示されている。画像330は、入力画像G[1]〜G[5]から生成される背景画像である。図10(a)の各入力画像において、斜線領域は動物体領域を表している。入力画像G[1]〜G[5]は、入力画像列320を形成する入力画像の中から抽出された5枚の入力画像である。m=4の場合、複数の入力画像G[1]〜G[5]は、例えば入力画像F[n]〜F[n+m]である(図7参照)。或いは例えば、m>4の場合、複数の入力画像G[1]〜G[5]は、入力画像F[n]〜F[n+m]の内の何れか5枚の入力画像である。更に或いは例えば、入力画像G[1]〜G[5]の中に、入力画像F[1]〜F[n−1]の何れか、又は、入力画像F[n+m+1]、F[n+m+2]・・・の何れかが含まれていても良い。更に或いは例えば、合成対象期間に属さない入力画像のみを用いて入力画像G[1]〜G[5]を形成しても良い。
【0055】
背景画像生成処理では、画素位置ごとに背景画素抽出処理を行う。画素位置(x,y)に対する背景画素抽出処理を説明する。背景画素抽出処理において、領域設定部51は、まず、入力画像G[1]を基準画像に設定すると共に入力画像G[2]〜G[5]の夫々を非基準画像に設定した上で、非基準画像ごとに差分演算を行う。ここにおける差分演算とは、基準画像の画素位置(x,y)における画素信号と、非基準画像の画素位置(x,y)における画素信号との差分の絶対値を、差分要素値として求める演算を指す。画素信号とは、画素の持つ信号を指し、画素信号の値を画素値とも言う。差分演算における画素信号として、例えば輝度信号を用いることができる。
【0056】
入力画像G[1]が基準画像であるとき、非基準画像ごとの差分演算によって、
入力画像G[1]の画素位置(x,y)における画素信号及び入力画像G[2]の画素位置(x,y)における画素信号に基づく差分要素値VAL[1,2]と、
入力画像G[1]の画素位置(x,y)における画素信号及び入力画像G[3]の画素位置(x,y)における画素信号に基づく差分要素値VAL[1,3]と、
入力画像G[1]の画素位置(x,y)における画素信号及び入力画像G[4]の画素位置(x,y)における画素信号に基づく差分要素値VAL[1,4]と、
入力画像G[1]の画素位置(x,y)における画素信号及び入力画像G[5]の画素位置(x,y)における画素信号に基づく差分要素値VAL[1,5]と、が求められる。
【0057】
領域設定部51は、基準画像に設定される入力画像を、入力画像G[1]から入力画像G[2]、G[3]、G[4]及びG[5]へと順次切り替えながら、非基準画像ごとの差分演算を行う(基準画像以外の入力画像は非基準画像に設定される)。これにより、入力画像G[i]の画素位置(x,y)における画素信号及び入力画像G[j]の画素位置(x,y)における画素信号に基づく差分要素値VAL[i,j]が、1≦i≦5且つ1≦j≦5を満たす変数i及びjの全ての組み合わせに対して求まる(但し、i及びjは互いに異なる整数)。
【0058】
領域設定部51は、入力画像G[i]を基準画像に設定した状態で求められた4つの差分要素値VAL[i,j]の合計を、差分積算値SUM[i]として求める。差分積算値SUM[i]の導出は入力画像G[1]〜G[5]の夫々に対して成される。故に、画素位置(x,y)に対して、5つの差分積算値SUM[1]〜SUM[5]が求められる。領域設定部51は、差分積算値SUM[1]〜SUM[5]の内の最小値を特定し、その最小値に対応する入力画像の画素位置(x,y)における画素及び画素信号を、背景画像330の画素位置(x,y)における画素及び画素信号に設定する。即ち例えば、差分積算値SUM[1]〜SUM[5]の内、差分積算値SUM[4]が最小である場合、差分積算値SUM[4]に対応する入力画像G[4]の画素位置(x,y)における画素及び画素信号を、背景画像330の画素位置(x,y)における画素及び画素信号に設定する。
【0059】
図10(a)に示す例の動物体領域は、入力画像G[1]及びG[2]においては画素位置(x,y)に位置し、入力画像G[3]〜G[5]においては画素位置(x,y)に位置していない。従って、差分積算値SUM[1]及びSUM[2]は比較的大きな値を取る一方で、差分積算値SUM[3]〜SUM[5]は比較的小さな値を取る。従って、動物体領域内の画素とは異なる画素(即ち、背景の画素)が、背景画像330の画素として採用されることになる。
【0060】
上述したように、背景画像生成処理では、画素位置ごとに背景画素抽出処理が行われる。従って、上述と同様の処理が、画素位置(x,y)以外の画素位置に対しても順次行われ、最終的に背景画像330の全画素位置における画素信号が決定される(即ち、背景画像330の生成が完了する)。尚、上述の説明の動作によれば、差分要素値VAL[i,j]と差分要素値VAL[j,i]とが個別に算出されるが、それらの値は同じであるため、実際には一方のみを算出すれば足る。また、図10(a)及び(b)に示す例では、5枚の入力画像から背景画像を生成しているが、2枚以上の任意の枚数の入力画像から背景画像を生成することができる。
【0061】
ステップS22(図9参照)において、図3の領域設定部51は、背景画像及び各対象入力画像の画像データに基づき動物体領域を検出する。図11において、画像340は背景画像の例であり、画像341〜343は対象入力画像の例である。説明の具体化のため、背景画像が画像340であって且つ入力画像F[n]〜F[n+m]から抽出された複数の対象入力画像が画像341〜343であることを想定して、動物体領域の検出方法及び後述のステップS23の処理内容を説明する。
【0062】
領域設定部51は、対象入力画像ごとに、背景画像及び対象入力画像間の差分画像を生成すると共に生成した差分画像を二値化することにより二値化差分画像を生成する。図11において、画像351は背景画像340及び対象入力画像341に基づく二値化差分画像であり、画像352は背景画像340及び対象入力画像342に基づく二値化差分画像であり、画像353は背景画像340及び対象入力画像343に基づく二値化差分画像である。第1及び第2画像間の差分画像とは、第1及び第2画像間における画素信号の差分を画素信号として有する画像である。例えば、第1及び第2画像間の差分画像における画素位置(x,y)の画素値は、第1画像における画素位置(x,y)の輝度値と、第2画像における画素位置(x,y)の輝度値との差の絶対値である。背景画像340及び対象入力画像341間の差分画像において、所定の閾値以上の画素値を有する画素に対し“1”の画素値を与える一方、その閾値未満の画素値を有する画素に対し“0”の画素値を与えることで、“1”又は“0”の画素値のみを有する二値化差分画像351が得られる。二値化差分画像352及び353についても同様である。図11を含む二値化差分画像を示した図において、“1”の画素値を有する画像領域(即ち差分の大きい画像領域)を白で表し、“0”の画素値を有する画像領域(即ち差分の小さい画像領域)を黒で表している。二値化差分画像351において、“1”の画素値を有する画像領域が動物体領域361として検出される。同様に、二値化差分画像352において、“1”の画素値を有する画像領域が動物体領域362として検出され、二値化差分画像353において、“1”の画素値を有する画像領域が動物体領域363として検出される。二値化差分画像において、白領域が動物体領域に相当する(後述の図12(a)等においても同様)。
【0063】
図11では、動物体領域361〜363が二値化差分画像351〜353上に示されているが、動物体領域361〜363は、夫々、対象入力画像341〜343上の動物体領域である、と考えることができる。図11において、点361C、362C、363Cは、夫々、対象入力画像341上における動物体領域361の中心位置又は重心位置、対象入力画像342上における動物体領域362の中心位置又は重心位置、対象入力画像343上における動物体領域363の中心位置又は重心位置を表している。
【0064】
その後、ステップS23(図9参照)において、図3の領域設定部51は、ステップS22で検出した動物体領域に基づき切り出し領域を設定する。図12(a)〜(e)を参照して、動物体領域361〜363から切り出し領域を設定する方法を説明する。
【0065】
図12(a)に示す如く、領域設定部51は、動物体領域361〜363の論理和領域である領域(白領域)401を求めることができる。図12(a)において、画像400は、画像351〜353の論理和演算によって得られる二値化画像である。即ち、二値化画像400の画素位置(x,y)における画素値は、画像351の画素位置(x,y)における画素値と、画像352の画素位置(x,y)における画素値と、画像353の画素位置(x,y)における画素値との論理和である。二値化画像400において、“1”の画素値を有する画像領域が領域401である。
【0066】
図12(b)に示す如く、領域設定部51は、動物体領域361〜363の内、最大の大きさを有する動物体領域を領域(白領域)411として求めることができる。図12(b)における二値化画像410は、領域411が動物体領域361であるとき画像351であり、領域411が動物体領域362であるとき画像352であり、領域411が動物体領域363であるとき画像353である。
【0067】
図12(c)に示す如く、領域設定部51は、動物体領域361〜363の内、任意の1領域を領域(白領域)421として設定することができる。図12(c)における二値化画像420は、領域421が動物体領域361であるとき画像351であり、領域421が動物体領域362であるとき画像352であり、領域421が動物体領域363であるとき画像353である。
【0068】
図12(d)に示す如く、領域設定部51は、何れかの動物体領域に外接する矩形領域を領域(白領域)431として設定することができる。図12(a)の領域401に外接する矩形領域を領域431として設定しても良い。即ち、領域431は、領域401、411又は421を内包することのできる最小の矩形画像領域である。図12(d)の画像430は、領域431内において“1”の画素値のみを有し、それ以外の画像領域においては“0”の画素値のみを有する二値化画像である。
【0069】
図12(e)の領域(白領域)441は、矩形領域431を所定比率で拡大又は縮小した画像領域である。或いは、領域401、411又は421を所定比率で拡大又は縮小した画像領域が領域441であっても良い。領域441の生成時における拡大又は縮小を、水平及び垂直方向の夫々において成すことができる。図12(e)の画像440は、領域441内において“1”の画素値のみを有し、それ以外の画像領域においては“0”の画素値のみを有する二値化画像である。
【0070】
ステップS23(図9参照)において、領域設定部51は、領域401、411、421、431又は441を切り出し領域として設定することができる。
【0071】
図9のステップS21〜S23による方法では、切り出し領域の設定時に背景画像が利用されるが、背景画像を用いることなく切り出し領域を設定することも可能である。即ち例えば、入力画像列320の画像データに基づき動き検出処理によって入力画像F[i]及びF[i+1]間のオプティカルフローを導出する。導出されるべきオプティカルフローには、合成対象期間中の入力画像に基づくオプティカルフローが少なくとも含まれ、必要に応じて合成対象期間外の入力画像に基づくオプティカルフロー(例えば、入力画像F[n−2]及びF[n−1]間のオプティカルフロー)も導出する。そして、導出したオプティカルフローに基づいて入力画像F[n]〜F[n+m]の夫々から動物体領域を検出すれば良い。オプティカルフローに基づく動物体及び動物体領域の検出方法は公知である。動物体領域の検出後の動作は、上述した通りである。
【0072】
或いは例えば、図9のステップS21〜S23の処理の代わりに、図13のステップS31及びS32の処理を実行することで切り出し領域を設定しても良い。図13は、切り出し領域の設定処理の変形フローチャートに相当する。
【0073】
ステップS31において、領域設定部51は、対象入力画像の画像データに基づき対象入力画像から特定種類の物体が存在する画像領域を特定物体領域(特定被写体領域)として検出する。特定物体領域の検出を対象入力画像ごとに成すことができる。特定種類の物体とは、予め登録された種類の物体であり、例えば、任意の人物又は登録人物である。特定種類の物体が登録人物である場合、対象入力画像の画像データに基づく顔認証処理によって特定物体領域の検出が可能である。顔認証処理では、対象入力画像上に人物の顔が存在する場合、その顔が登録人物の顔であるのか否かを峻別することができる。特定物体領域の検出方法として、公知の検出方法を含む任意の検出方法を利用することができる。例えば、対象入力画像から人物の顔を検出する顔検出処理、顔検出処理の結果を利用しつつ人物全体の画像データが存在する画像領域を他の画像領域と区別する領域分割処理を用いれば、特定物体領域を検出可能である。
【0074】
ステップS32において、領域設定部51は、ステップS31で検出した特定物体領域に基づき切り出し領域を設定する。特定物体領域に基づく切り出し領域の設定方法は、上述した動物体領域に基づく切り出し領域の設定方法と同様である。即ち例えば、入力画像F[n]〜F[n+m]から抽出された複数の対象入力画像が図11の画像341〜343である場合において、対象入力画像341〜343から領域361〜363が特定物体領域として検出されたならば、領域設定部51は、図12(a)等に示される領域401、411、421、431又は441を切り出し領域として設定することができる。
【0075】
尚、合成モード利用時に注目される特定種類の物体は動物体であることが通常であるため、特定物体領域を動物体領域として捉えることも可能である。以下では、説明の便宜上、特定物体領域も動物体領域の一種であると捉えると共に対象入力画像341〜343から検出された特定物体領域は夫々動物体領域361〜363と一致しているものとする。また、以下では、特に記述なき限り、切り出し領域が矩形領域であるものとする。
【0076】
[S16:切り出し処理]
図4のステップS16における切り出し処理を説明する。切り出し処理では、上述の如くして求められた切り出し領域を夫々の対象入力画像に設定し、各対象入力画像から切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する。
【0077】
対象入力画像上における切り出し領域の位置、大きさ及び形状は、原則として、全対象入力画像において共通である。但し、対象入力画像上における切り出し領域の位置は、異なる対象入力画像間で互いに異なっていても良い。対象入力画像上における切り出し領域の位置とは、対象入力画像上における切り出し領域の中心位置又は重心位置を指す。切り出し領域の大きさとは、水平及び垂直方向における切り出し領域の大きさである。
【0078】
入力画像F[n]〜F[n+m]から抽出された複数の対象入力画像に図11の画像341〜343が含まれていると共に対象入力画像341が合成開始フレームであることを想定し、ステップS16の切り出し処理をより具体的に説明する。この想定下において、切り出し処理部52は、図14(a)に示す如く、対象入力画像341、342及び343に夫々切り出し領域471、472及び473を設定し、切り出し領域471内の画像、切り出し領域472内の画像及び切り出し領域473内の画像を、3枚の切り出し画像として抽出する。切り出し領域471〜473は同じ切り出し領域であるので、対象入力画341上における切り出し領域471の大きさ及び形状と、対象入力画342上における切り出し領域472の大きさ及び形状と、対象入力画343上における切り出し領域473の大きさ及び形状は、同じである。
【0079】
図14(a)において、点471C、472C、473Cは、夫々、対象入力画像341上における切り出し領域471の中心位置又は重心位置、対象入力画像342上における切り出し領域472の中心位置又は重心位置、対象入力画像343上における切り出し領域473の中心位置又は重心位置を表している。位置471Cは、対象入力画像341上における動物体領域361の中心位置又は重心位置、即ち、図11の位置361Cと一致する。そして、基本的には、位置472C及び473Cは、位置471Cと同じとされる。従って、図14(b)に示す如く、対象入力画341上の画素位置(x,y)と対象入力画342上の画素位置(x,y)とが重なり合うように対象入力画341及び342を共通の画像区間XYに配置したとき、切り出し領域471及び472は完全に互いに重なり合う。切り出し領域471及び473についても同様である。
【0080】
但し、図14(a)の位置472C及び473Cを、夫々、図11の位置362C及び363Cと一致させるようにしても良い。この場合、位置471C、472C及び473Cは互いに異なりうる。
【0081】
[S17:合成処理]
図4のステップS17における合成処理を説明する。合成処理では、複数の切り出し画像が互いに重なり合わないように複数の切り出し画像を水平又は垂直方向に並べて結合し、この結合によって得られた画像を出力合成画像として生成する。水平方向(即ち、図2のX軸方向)に並べられる切り出し画像の枚数及び垂直方向(即ち、図2のY軸方向)に並べられる切り出し画像の枚数を、夫々、HNUM及びVNUMにて表す。切り出し画像の枚数と一致する上述の合成枚数CNUMは、HNUMとVNUMの積である。
【0082】
図15(a)の画像500は、CNUM=10、HNUM=5且つVNUM=2であるときの出力合成画像の例である。図15(b)には、出力合成画像500の具体例が示されている。出力合成画像500が生成される場合、第1〜第10の対象入力画像から第1〜第10の切り出し画像が生成される。第iの切り出し画像は第iの対象入力画像から抽出される。第(i+1)の対象入力画像の撮影時刻は、第iの対象入力画像のそれよりも遅い。出力合成画像500において、画像領域500[1]〜500[5]は、この順番で左から右に向かって連続的に配置され、画像領域500[6]〜500[10]も、この順番で左から右に向かって連続的に配置される(左右の定義については図2参照)。i=1、2、3、4又は5において、画像領域500[i]と500[i+5]は垂直方向に互いに隣接している。i及びjが互いに異なる整数である場合、画像領域500[i]及び500[j]は互いに重なり合わない。出力合成画像500の画像領域500[1]〜500[10]には、夫々、第1〜第10の切り出し画像が配置される。従って、出力合成画像500は、第1〜第10の切り出し画像を水平又は垂直方向に並べて結合した合成結果画像である。
【0083】
図15(a)に示すような、出力合成画像上における切り出し画像の並べ方は一例であり、図3の画像合成部53は、切り出し画像の並べ方を、合成枚数CNUMや出力合成画像のアスペクト比又は画像サイズ等に応じて決定することができる。撮像装置1において、出力合成画像のアスペクト比又は画像サイズを予め設定しておくことができる。
【0084】
出力合成画像のアスペクト比に応じて切り出し画像の並べ方を決定する方法(即ち出力合成画像のアスペクト比を固定した状態で切り出し画像の並べ方を決定する方法)を説明する。出力合成画像のアスペクト比とは、出力合成画像の水平方向における画素数と出力合成画像の垂直方向における画素数との比を指す。今、出力合成画像のアスペクト比が4:3であるとする。即ち、出力合成画像の水平方向における画素数は、出力合成画像の垂直方向における画素数の4/3倍であるとする。また、図4のステップS15にて設定された切り出し領域の水平及び垂直方向における画素数を夫々HCUTSIZE及びVCUTSIZEにて表す。そうすると、画像合成部53は、下記(1)に従って枚数HNUM及びVNUMを求めることができる。
(HNUM×HCUTSIZE):(VNUM×VCUTSIZE)=4:3 ・・・(1)
【0085】
例えば、(HCUTSIZE,VCUTSIZE)=(128:240)であるとき、式(1)からHNUM:VNUM=5:2となる。この場合において、仮にCNUM=HNUM×VNUM=10ならばHNUM=5且つVNUM=2となって図15(a)の出力合成画像500が生成され、仮にCNUM=HNUM×VNUM=40ならばHNUM=10且つVNUM=4となって、切り出し画像を水平方向に10枚ずつ且つ垂直方向に4枚ずつ並べた出力合成画像が生成される。出力合成画像のアスペクト比に応じて切り出し画像の並べ方を決定する場合、出力合成画像の画像サイズは様々に変化しうる。
【0086】
出力合成画像の画像サイズに応じて切り出し画像の並べ方を決定する方法(即ち出力合成画像の画像サイズを固定した状態で切り出し画像の並べ方を決定する方法)を説明する。出力合成画像の画像サイズは、出力合成画像の水平方向における画素数HOSIZE及び出力合成画像の垂直方向における画素数VOSIZEによって表現される。画像合成部53は、下記(2)及び(3)に従って枚数HNUM及びVNUMを求めることができる。
HNUM=HOSIZE/HCUTSIZE ・・・(2)
VNUM=VOSIZE/VCUTSIZE ・・・(3)
【0087】
例えば、CNUM=HNUM×VNUM=10、(HOSIZE,VOSIZE)=(640,480)且つ(HCUTSIZE,VCUTSIZE)=(128,240)である場合、HOSIZE/HCUTSIZE=640/128=5、VOSIZE/VCUTSIZE=480/240=2より、HNUM=5且つVNUM=2となって図15(a)の出力合成画像500が生成される。
【0088】
仮に式(2)及び(3)の右辺が整数以外の実数になる場合には、式(2)の右辺を四捨五入して得た整数値HINT及び式(3)の右辺を四捨五入して得た整数値VINTを夫々HNUM及びVNUMに代入し、“HINT=HOSIZE/HCUTSIZE”且つ“VINT=VOSIZE/VCUTSIZE”が満たされるように、切り出し領域を再設定するようにしても良い(即ち、一旦設定した切り出し領域を拡大又は縮小するようにしても良い)。例えば、CNUM=HNUM×VNUM=10、(HOSIZE,VOSIZE)=(640,480)であって、且つ、一旦設定された切り出し領域について(HCUTSIZE,VCUTSIZE)=(130,235)が満たされる場合、式(2)及び(3)の右辺は、夫々、約4.92及び約2.04となる。この場合、HINT=5をHNUMに代入すると共にVINT=2をVNUMに代入し、“HINT=HOSIZE/HCUTSIZE”且つ“VINT=VOSIZE/VCUTSIZE”が満たされるように、切り出し領域を再設定する。この結果、再設定された切り出し領域の水平及び垂直方向における画素数は夫々128及び240となる。切り出し領域の再設定が成された場合、再設定された切り出し領域を用いて切り出し画像が生成されて出力合成画像が生成される。
【0089】
尚、図4のフローチャートでは、ステップS15及びS16にて切り出し領域の設定処理及び切り出し処理を実行した後に、ステップS17において切り出し画像の並べ方の決定処理を含む合成処理を実行しているが、切り出し領域が再設定されうることを考慮し、切り出し画像の並べ方の決定処理を成した後に実際の切り出し処理を実行するようにしても良い。また、HNUM及びVNUMの値は合成条件の一種であり、HNUM及びVNUMの値をユーザの指定に従って設定しても良い(図4のステップS14参照)。
【0090】
[合成枚数の増減]
ユーザは、自身が一旦指定した合成枚数CNUM又は撮像装置1側で自動的に設定した合成枚数CNUMの変更を指示することができる。ユーザは、合成枚数CNUMの変更指示を、任意のタイミングで成すことができる。例えば、CNUM=10の状態の出力合成画像が生成及び表示された後に、ユーザが、CNUM=20の状態の出力合成画像の生成及び表示を希望する場合、ユーザは操作部26に対する所定操作によって合成枚数CNUMを10から20に増大させることができる。逆に、ユーザは、合成枚数CNUMの減少を指示することもできる。
【0091】
合成枚数CNUMの第1増減方法を説明する。図16は、合成枚数CNUMの増大が指示された場合における第1増減方法の処理イメージ図である。図7に示す如く合成対象期間が時刻tnから時刻tn+mまでの期間である場合においてユーザにより合成枚数CNUMの増大指示が成されたとき、第1増減方法に係る画像処理部50は、合成対象期間を時刻tnから時刻tn+mまでの期間に維持したまま増大指示前のサンプリング間隔を基準にしてサンプリング間隔を減少させ、これによって対象入力画像の枚数(即ち合成枚数CNUM)を増大させる。逆に、図7に示す如く合成対象期間が時刻tnから時刻tn+mまでの期間である場合においてユーザにより合成枚数CNUMの減少指示が成されたとき、第1増減方法に係る画像処理部50は、合成対象期間を時刻tnから時刻tn+mまでの期間に維持したまま減少指示前のサンプリング間隔を基準にしてサンプリング間隔を増大させ、これによって対象入力画像の枚数(即ち合成枚数CNUM)を減少させる。ユーザによって指定された増大指示後又は減少指示後の合成枚数CNUMに基づき、増大指示後又は減少指示後のサンプリング間隔の具体的数値は決定される。
【0092】
合成枚数CNUMの第2増減方法を説明する。図17は、合成枚数CNUMの増大が指示された場合における第2増減方法の処理イメージ図である。図7に示す如く合成対象期間が時刻tnから時刻tn+mまでの期間である場合においてユーザにより合成枚数CNUMの増大指示が成されたとき、第2増減方法に係る画像処理部50は、合成対象期間の開始時刻を時刻tnよりも早い時刻に修正する若しくは合成対象期間の終了時刻を時刻tn+mよりも遅い時刻に修正する又はそれらの双方の修正を行うことで合成対象期間を増大させ、これによって対象入力画像の枚数(即ち合成枚数CNUM)を増大させる。逆に、図7に示す如く合成対象期間が時刻tnから時刻tn+mまでの期間である場合においてユーザにより合成枚数CNUMの減少指示が成されたとき、第2増減方法に係る画像処理部50は、合成対象期間の開始時刻を時刻tnよりも遅い時刻に修正する若しくは合成対象期間の終了時刻を時刻tn+mよりも早い時刻に修正する又はそれらの双方の修正を行うことで合成対象期間を減少させ、これによって対象入力画像の枚数(即ち合成枚数CNUM)を減少させる。ユーザによって指定された増大指示後又は減少指示後の合成枚数CNUMに基づき、合成対象期間の開始時刻及び終了時刻の修正量は決定される。
【0093】
第2増減方法では、サンプリング間隔は変更されない。但し、第1及び第2増減方法を組み合わせることも可能である。即ち例えば、ユーザにより合成枚数CNUMの増大指示が成されたとき、第1増減方法に係るサンプリング間隔の減少と第2増減方法に係る合成対象期間の増大とを同時に実行するようにしても良いし、ユーザにより合成枚数CNUMの減少指示が成されたとき、第1増減方法に係るサンプリング間隔の増大と第2増減方法に係る合成対象期間の減少とを同時に実行するようにしても良い。
【0094】
上述の如く、本実施形態では、動物体についての切り出し画像を水平又は垂直方向に並べて結合することで出力合成画像を生成している。このため、動物体がゴルフクラブをスイングする人物である場合など、動画像上において動物体の位置が殆ど変化しない場合においても、異なる時刻の動物体が出力合成画像上で重なり合わない。結果、図26に示すようなストロボ画像よりも、動物体の運動の様子を確認し易くなる。加えて、動画像を形成するフレームそのものではなく、動物体部分の切り出し画像を用いて出力合成画像を生成しているため、出力合成画像上において動物体が比較的大きく映し出される。結果、図27に示すような方法よりも、動物体の運動の様子を確認し易くなる。
【0095】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2及び後述の第3実施形態は、第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2及び第3実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾なき限り、第1実施形態の記載が第2及び第3実施形態にも適用される。第1実施形態で述べた複数の合成モードに、シンクロ合成モードとも呼ぶことができる第2合成モードを含めることができる。第2実施形態では、以下、第2合成モードにおける撮像装置1の動作を説明する。
【0096】
第2合成モードでは、出力合成画像の生成に複数の入力画像列が利用される。ここでは、説明の具体化のため、2つの入力画像列を利用する方法を説明する。図18は、第2合成モードにおいて出力合成画像が生成されるときの処理の流れを示している。ユーザは、外部メモリ18に記録されている動画像の中から任意の2つの動画像を選択することができ、選択された2つの動画像が第1及び第2の入力画像列551及び552として画像処理部50に供給される。通常、入力画像列551及び552は互いに異なる。
【0097】
画像処理部50において、入力画像列551及び552に対し個別に図4のステップS12〜S17の処理が実行される。入力画像列551に対するステップS12〜S17の処理内容は第1実施形態で述べたものと同様であり、入力画像列552に対するステップS12〜S17の処理内容も第1実施形態で述べたものと同様である。入力画像列551に対するステップ12〜S17の処理により生成される出力合成画像を中間合成画像(合成結果画像)561と呼び、入力画像列552に対するステップ12〜S17の処理により生成される出力合成画像を中間合成画像(合成結果画像)562と呼ぶ。
【0098】
中間合成画像561及び562の夫々において、HNUM(水平方向に並べられる切り出し画像の枚数)は2以上とされ、VNUM(垂直方向に並べられる切り出し画像の枚数)は1とされる。即ち、中間合成画像561は、入力画像列551に基づく複数の切り出し画像を水平方向に並べて結合することにより生成され、中間合成画像562は、入力画像列552に基づく複数の切り出し画像を水平方向に並べて結合することにより生成される。基本的に、サンプリング間隔及び合成枚数CNUMは、入力画像列551及び552間で同じとされるが、それらを入力画像列551及び552間で異ならせることも可能である。図18に示す例では、中間合成画像561及び562の夫々において、HNUM=10且つVNUM=1に設定されている。尚、各入力画像に設定される切り出し領域の大きさを、入力画像列551及び552間で同じにしておくことが望ましい。切り出し領域の大きさが入力画像列551及び552間で異なる場合には、切り出し領域内の画像データから切り出し画像を生成する際に解像度変換を実行することにより、入力画像列551に基づく切り出し画像の画像サイズと入力画像列552に基づく切り出し画像の画像サイズとを一致させることもできる。
【0099】
図3の画像合成部53は、中間合成画像(合成結果画像)561及び562を垂直方向に並べて結合することにより、最終的な出力合成画像570を生成する。出力合成画像570の全体画像領域を水平方向に沿って2分割することにより第1及び第2画像領域が設定され、出力合成画像570の第1及び第2画像領域に夫々中間合成画像561及び562が配置される。尚、中間合成画像561及び562を生成することなく、入力画像列551及び552に基づく複数の切り出し画像から出力合成画像570を直接生成するようにしても良い。
【0100】
出力合成画像570を表示部27の表示画面上に表示することができ、これによって表示画面の鑑賞者は、入力画像列551上の動物体の運動の様子と入力画像列552上の動物体の運動の様子とを容易に比較することが可能となる。例えば、前者及び後者の動物体間のゴルフスイングフォームを詳細に比較することが可能となる。
【0101】
出力合成画像570を表示する際、必要に応じて解像度変換などを利用し、出力合成画像570の全体を一度に表示させることも可能であるが、以下のようなスクロール表示を成すこともできる。例えば、図1の表示処理部20がスクロール表示の実行を担う。スクロール表示では、図19に示す如く、出力合成画像570内に抽出枠580を設定し、出力合成画像570から抽出枠580内の画像をスクロール用画像として抽出する。水平方向において抽出枠580は出力合成画像570よりも小さいため、スクロール用画像は出力合成画像570の一部である。垂直方向における抽出枠580の大きさを出力合成画像570のそれと同じにしておくことができる。
【0102】
抽出枠580の左端を出力合成画像570の左端に一致させた状態を起点として、抽出枠580の右端が出力合成画像570の右端と一致するまで、抽出枠580の位置を一定間隔で順次移動させ、移動の度にスクロール用画像を抽出する。スクロール表示では、これによって得られる複数のスクロール用画像を時系列順に並べて動画像585として表示部27に表示させる(図20参照)。切り出し画像の枚数にも依存するが、出力合成画像570の全体を一度に表示しようとすると、動物体の表示サイズが小さくなりすぎることがある。上述のようなスクロール表示を利用すれば、切り出し画像の枚数が多くても、動物体の表示サイズが小さくなりすぎることが回避される。また、時系列上に並べられた複数のスクロール用画像を動画像585として外部メモリ18に記録することも可能である。
【0103】
尚、上述の例では、入力画像列551に基づく中間合成画像と入力画像列552に基づく中間合成画像を垂直方向に並べて結合しているが、入力画像列551に基づく中間合成画像と入力画像列552に基づく中間合成画像を水平方向に並べて結合しても良い。この場合、入力画像列551に基づく複数の切り出し画像を垂直方向に並べて結合することにより得た中間合成画像と、入力画像列552に基づく複数の切り出し画像を垂直方向に並べて結合することにより得た中間合成画像とを水平方向に並べて結合し、この結合によって最終的な出力合成画像を得ると良い。
【0104】
また、3以上の入力画像列を用いて出力合成画像を得ても良い。即ち、3以上の入力画像列を画像処理部50に供給し、入力画像列ごとに得た中間合成画像を水平又は垂直方向に並べて結合することで最終的な出力合成画像を得ても良い。
【0105】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。上述の第1又は第2実施形態における入力画像を撮影によって得る際、いわゆる光学式手ぶれ補正又は電子式手ぶれ補正を撮像装置1において実行しても良い。第3実施形態では、入力画像を撮影によって得る際、電子式手ぶれ補正が撮像装置1において実行されることを想定し、電子式手ぶれ補正と連動した切り出し領域の設定方法を説明する。
【0106】
まず、図21(a)及び(b)を参照して、撮像装置1において実行される電子式手ぶれ補正について説明する。図21(a)等において、符号600が付された実線矩形枠内の領域は撮像素子33の有効画素領域を表している。尚、領域600は、撮像素子33の有効画素領域における各画素信号が配列された、内部メモリ17上のメモリ空間であると考えても良い。以下では、領域600が撮像素子33の有効画素領域であると考える。
【0107】
有効画素領域600には、有効画素領域600よりも小さな矩形の抽出枠601が設定され、抽出枠601内に属する各画素信号を読み出すことで入力画像が生成される。即ち、抽出枠601内の画像が入力画像である。以下の説明において、抽出枠601の位置及び移動とは、有効画素領域600上における抽出枠601の中心位置及び移動を指す。
【0108】
図22には、撮像装置1に設けておくことのできる装置動き検出部61及びぶれ補正部62が示されている。装置動き検出部61は、公知の方法によって、撮像素子33の出力信号から撮像装置1の動きを検出する。或いは、撮像装置1の筐体の角加速度又は加速度を検出するセンサを用いて撮像装置1の動きを検出しても良い。撮像装置1の動きは、例えば、撮像装置1の筐体を保持する人間の手のぶれによって生じる。撮像装置1の動きは、撮像素子33の動きでもある。
【0109】
時刻tn及びtn+1間において撮像装置1が動くと実空間上において注目被写体が静止していても、注目被写体は撮像素子33及び有効画素領域600上において移動する。即ち、撮像素子33及び有効画素領域600上における注目被写体の位置は、時刻tn及びtn+1間において移動する。この場合において仮に抽出枠601の位置が固定されていたならば、入力画像F[n+1]上における注目被写体の位置が入力画像F[n]上における注目被写体の位置から変化し、入力画像F[n]及びF[n+1]から成る入力画像列上で注目被写体が移動したように見える。このような移動、即ち、撮像装置1の動きによって生じる、入力画像間における注目被写体の位置変化を、フレーム間ぶれと呼ぶ。
【0110】
装置動き検出部61による撮像装置1の動きの検出結果を、装置動き検出結果とも呼ぶ。図22のぶれ補正部62は、装置動き検出結果に基づきフレーム間ぶれを低減する。フレーム間ぶれの低減には、フレーム間ぶれの完全なる消失も含まれる。撮像装置1の動きの検出によって、撮像装置1の動きの向き及び大きさを表す装置動きベクトルが求められる。ぶれ補正部62は、装置動きベクトルに基づき、フレーム間ぶれが低減するように抽出枠601を移動させる。図21(b)におけるベクトル605は、時刻tn及びtn+1間における装置動きベクトルの逆ベクトルであり、入力画像F[n]及びF[n+1]についてのフレーム間ぶれを低減するべく、抽出枠601がベクトル605に従って移動せしめられる。
【0111】
抽出枠601内の領域をぶれ補正用領域と呼ぶこともできる。撮像素子33の有効画素領域600上に結像する全体像(全体の光学像)の内、抽出枠601内の画像(即ち、ぶれ補正用領域内の画像)が入力画像に相当する。ぶれ補正部62は、装置動きベクトルに基づいて入力画像F[n]及びF[n+1]を得る際の抽出枠601の位置を設定することにより、入力画像F[n]及びF[n+1]についてのフレーム間ぶれを低減する。他の入力画像間についてのフレーム間ぶれも同様である。
【0112】
上述のようなフレーム間ぶれの低減が成された上で入力画像列320(図5)が生成されたことを想定し、図3の画像処理部50の動作を説明する。入力画像列320のフレーム間ぶれを低減するために利用された、入力画像列320の撮影期間中における装置動き検出結果を、入力画像列320の画像データに関連付けて外部メモリ18に記録しておくと良い。例えば、入力画像列320の画像データを画像ファイルに格納した上で外部メモリ18に記録する際、その画像ファイルのヘッダ領域に、入力画像列320の撮影期間中における装置動き検出結果を格納しておくと良い。
【0113】
図3の領域設定部51は、外部メモリ18から読み出した装置動き検出結果に基づき、切り出し領域を設定することができる。今、図23(a)〜(d)及び図24を参照しつつ、入力画像F[n]〜F[n+m]から抽出された複数の対象入力画像が画像621〜623であることを想定して、切り出し領域の設定方法を説明する。図23(a)〜(c)において、斜線で満たされた矩形領域631、632及び633は、夫々、対象入力画像621、622及び623の画像データを取得する際に設定された抽出枠601内の領域(ぶれ補正用領域)である。図23(d)の斜線領域640は、有効画素領域600において矩形領域631〜633が互いに重なり合う重なり領域を表している。領域設定部51は、外部メモリ18から読み出した装置動き検出結果に基づき、有効画素領域600上における矩形領域631、632及び633の位置関係を認識することができると共に重なり領域640の位置及び大きさを検出することもできる。
【0114】
領域設定部51は、矩形領域631、632及び633内における重なり領域640の位置に、夫々、入力画像621、622及び623内の切り出し領域を設定する。即ち、図24に示す如く、入力画像621上における重なり領域(斜線領域)640を入力画像621上における切り出し領域に設定し、入力画像622上における重なり領域(斜線領域)640を入力画像622上における切り出し領域に設定し、入力画像623上における重なり領域(斜線領域)640を入力画像623上における切り出し領域に設定する。切り出し処理部52は、入力画像621における切り出し領域内の画像を入力画像621に基づく切り出し画像として抽出し、入力画像622における切り出し領域内の画像を入力画像622に基づく切り出し画像として抽出し、入力画像623における切り出し領域内の画像を入力画像623に基づく切り出し画像として抽出する。これによって得られた複数の切り出し画像から出力合成画像を生成する方法は、第1又は第2実施形態で述べたものと同様である。
【0115】
撮影者は、切り出し画像内に収められるべき注目動物体に注意を払いながら撮影方向の調整などを行うため、手ぶれ等によって撮影範囲が変動したとしても、少なくとも注目動物体は撮影範囲内に収め続けられることが通常であり、結果、各対象入力画像の重なり領域640には注目動物体の画像データが存在している可能性が高い。そこで、第3実施形態では、重なり領域640を切り出し領域に設定し、各対象入力画像の切り出し領域から得た切り出し画像を水平又は垂直方向に並べて結合することで出力合成画像を生成している。このため、第1実施形態と同様の効果が得られる。即ち、異なる時刻の動物体が出力合成画像上で重なり合わないため、図26に示すようなストロボ画像よりも、動物体の運動の様子を確認し易くなる。加えて、出力合成画像上において動物体が比較的大きく映し出されるため、動画像の各フレームをそのままマルチ表示する図27の方法よりも、動物体の運動の様子を確認し易くなる。
【0116】
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
【0117】
[注釈1]
第1及び第2実施形態に係る第1及び第2合成モード以外の合成モードを実現できるように画像処理部50を形成しておいても良い。
【0118】
[注釈2]
図3の画像処理部50は撮像装置1以外の電子機器(不図示)に設けられていても良く、その電子機器上において第1又は第2実施形態にて説明した各動作を実現させても良い。電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機である。尚、撮像装置1も、電子機器の一種である。
【0119】
[注釈3]
図1の撮像装置1及び上記電子機器を、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。ソフトウェアを用いて撮像装置1及び電子機器を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すことになる。特に、画像処理部50にて実現される機能の全部又は一部をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能の全部又は一部を実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 撮像装置
33 撮像素子
51 領域設定部
52 切り出し処理部
53 画像合成部
61 装置動き検出部
62 ぶれ補正部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力画像から成る入力画像列の画像データに基づいて各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定部と、
前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理部と、
抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成部と、を備えた
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像合成部は、前記複数の切り出し画像を結合する際、前記複数の切り出し画像が互いに重なり合わないように前記複数の切り出し画像を並べる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の対象入力画像は第1及び第2の対象入力画像を含み、
前記第1の対象入力画像上における前記切り出し領域と前記第2の対象入力画像上における前記切り出し領域とは互いに重なり合い、
前記画像合成部は、前記複数の切り出し画像を結合する際、前記第1の対象入力画像に基づく切り出し画像と前記第2の対象入力画像に基づく切り出し画像とが互いに重なり合わないように前記複数の切り出し画像を並べる
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記領域設定部は、前記入力画像列の画像データに基づいて動物体又は特定種類の物体が存在する画像領域を検出し、検出した画像領域に基づいて前記切り出し領域を設定する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の切り出し画像を並べて結合することにより合成結果画像が生成され、
前記画像合成部は、前記合成結果画像に対して定められたアスペクト比又は画像サイズに基づき、前記複数の切り出し画像の並べ方を決定する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記入力画像列として互いに異なる複数の入力画像列が当該画像処理装置に与えられ、
前記領域設定部は、前記入力画像列ごとに前記切り出し領域を設定し、
前記切り出し処理部は、前記入力画像列ごとに前記切り出し画像を抽出し、
前記画像合成部は、前記入力画像列ごとに前記結合を行うことで得られる前記複数の入力画像列に対する複数の合成結果画像を、更に所定方向に並べて結合する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
撮像素子を用いた順次撮影の結果から複数の入力画像から成る入力画像列を取得する撮像装置において、
当該撮像装置の動きの検出結果に基づき、前記動きに基づく前記入力画像間における被写体のぶれを低減するぶれ補正部と、
前記動きの検出結果に基づき、各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定部と、
前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理部と、
抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成部と、を備えた
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子上に結像する全体像の内、ぶれ補正用領域内の画像が前記入力画像に相当し、
前記ぶれ補正部は、前記動きの検出結果に基づき各入力画像に対する前記ぶれ補正用領域の位置を設定することにより前記ぶれを低減し、
前記領域設定部は、前記複数の対象入力画像に対する複数のぶれ補正用領域の重なり領域を前記動きの検出結果に基づいて検出し、前記重なり領域から前記切り出し領域を設定する
ことを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
複数の入力画像から成る入力画像列の画像データに基づいて各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定ステップと、
前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理ステップと、
抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成ステップと、を実行する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の領域設定ステップ、切り出し処理ステップ及び画像合成ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
複数の入力画像から成る入力画像列の画像データに基づいて各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定部と、
前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理部と、
抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成部と、を備えた
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像合成部は、前記複数の切り出し画像を結合する際、前記複数の切り出し画像が互いに重なり合わないように前記複数の切り出し画像を並べる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の対象入力画像は第1及び第2の対象入力画像を含み、
前記第1の対象入力画像上における前記切り出し領域と前記第2の対象入力画像上における前記切り出し領域とは互いに重なり合い、
前記画像合成部は、前記複数の切り出し画像を結合する際、前記第1の対象入力画像に基づく切り出し画像と前記第2の対象入力画像に基づく切り出し画像とが互いに重なり合わないように前記複数の切り出し画像を並べる
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記領域設定部は、前記入力画像列の画像データに基づいて動物体又は特定種類の物体が存在する画像領域を検出し、検出した画像領域に基づいて前記切り出し領域を設定する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の切り出し画像を並べて結合することにより合成結果画像が生成され、
前記画像合成部は、前記合成結果画像に対して定められたアスペクト比又は画像サイズに基づき、前記複数の切り出し画像の並べ方を決定する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記入力画像列として互いに異なる複数の入力画像列が当該画像処理装置に与えられ、
前記領域設定部は、前記入力画像列ごとに前記切り出し領域を設定し、
前記切り出し処理部は、前記入力画像列ごとに前記切り出し画像を抽出し、
前記画像合成部は、前記入力画像列ごとに前記結合を行うことで得られる前記複数の入力画像列に対する複数の合成結果画像を、更に所定方向に並べて結合する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
撮像素子を用いた順次撮影の結果から複数の入力画像から成る入力画像列を取得する撮像装置において、
当該撮像装置の動きの検出結果に基づき、前記動きに基づく前記入力画像間における被写体のぶれを低減するぶれ補正部と、
前記動きの検出結果に基づき、各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定部と、
前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理部と、
抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成部と、を備えた
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子上に結像する全体像の内、ぶれ補正用領域内の画像が前記入力画像に相当し、
前記ぶれ補正部は、前記動きの検出結果に基づき各入力画像に対する前記ぶれ補正用領域の位置を設定することにより前記ぶれを低減し、
前記領域設定部は、前記複数の対象入力画像に対する複数のぶれ補正用領域の重なり領域を前記動きの検出結果に基づいて検出し、前記重なり領域から前記切り出し領域を設定する
ことを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
複数の入力画像から成る入力画像列の画像データに基づいて各入力画像上の画像領域である切り出し領域を設定する領域設定ステップと、
前記複数の入力画像に含まれる複数の対象入力画像の夫々から、前記切り出し領域内の画像を切り出し画像として抽出する切り出し処理ステップと、
抽出された複数の切り出し画像を並べて結合する画像合成ステップと、を実行する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の領域設定ステップ、切り出し処理ステップ及び画像合成ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−99876(P2012−99876A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243196(P2010−243196)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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