画像処理装置、画像処理方法、および、コンピュータプログラム
【課題】顔画像を含む装飾画像と対象画像とを用いて合成される出力画像において、新たな楽しみをユーザに提供する。
【解決手段】画像処理装置は、第1の顔画像を含む対象画像を取得する第1の取得部と、第2の顔画像を含む装飾画像を取得する第2の取得部と、装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように対象画像の第1の顔画像に対して画質調整処理を行う画質調整部と、画質調整処理後の対象画像と装飾画像とを合成して、出力画像を生成する合成部と、を備える。
【解決手段】画像処理装置は、第1の顔画像を含む対象画像を取得する第1の取得部と、第2の顔画像を含む装飾画像を取得する第2の取得部と、装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように対象画像の第1の顔画像に対して画質調整処理を行う画質調整部と、画質調整処理後の対象画像と装飾画像とを合成して、出力画像を生成する合成部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
装飾画像、例えば、画像のフレーム枠を表すフレーム画像と、対象画像、例えば、デジタルカメラによる撮像画像とを合成して、出力画像を生成する技術が実用化されている(例えば、特許文献1)。これらの出力画像は、ディスプレイ上に表示、紙媒体上に印刷されることにより、ユーザに提供される。
【0003】
【特許文献1】WO2003/085510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、装飾画像には、漫画の登場人物や、著名人、動物などのキャラクタの顔画像が含まれる場合がある。上記従来技術では、このような装飾画像を用いる場合に、装飾画像の顔画像と、対象画像の顔画像との関係について、なんら考慮されていない。
【0005】
本発明は、顔画像を含む装飾画像と対象画像とを用いて合成される出力画像において、新たな楽しみをユーザに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]画像処理装置であって、第1の顔画像を含む対象画像を取得する第1の取得部と、第2の顔画像を含む装飾画像を取得する第2の取得部と、前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行う画質調整部と、前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する合成部と、を備える、画像処理装置。
【0008】
適用例1に係る画像処理装置によれば、対象画像に含まれる顔画像が装飾画像に含まれる顔画像の特徴を有するように調整された合成画像が生成されるので、ユーザに新たな楽しみを提供することができる。
【0009】
適用例1に係る画像処理装置において、前記装飾画像の第2の顔画像の特徴は、顔の外形または構成要素の形態の特徴を含み、前記画質調整処理は、前記第1の顔画像の前記外形または構成要素の形態を、前記第2の顔画像の前記外形または構成要素の形態に近付けるように、前記第1の顔画像を変形する処理を含んでも良い。こうすれば、第1の顔画像の形態が第2の顔画像の形態に近づくように、第1の顔画像を変形するので、ユーザに新たな楽しみを提供することができる。
【0010】
適用例1に係る画像処理装置において、前記画質調整処理の処理内容を、前記装飾画像と関連づけて記憶する記憶部を備え、前記画質調整処理部は、前記記憶部を参照して、前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行っても良い。こうすれば、容易に第1の顔画像に対する画質調整処理を行うことができる。
【0011】
適用例1に係る画像処理装置において、画質調整処理は、前記第1の顔画像に前記第2の顔画像を合成する処理を含んでも良い。こうすれば、第1の顔画像と第2の顔画像の合成により、新たに創作された顔を含む、出力画像が生成されるので、ユーザに新たな楽しみを提供することができる。
【0012】
[適用例2]画像処理方法であって、第1の顔画像を含む対象画像を取得し、第2の顔画像を含む装飾画像を取得し、前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行い、前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する、画像処理方法。
【0013】
[適用例3]画像処理のためのコンピュータプログラムであって、第1の顔画像を含む対象画像を取得する第1の取得機能と、第2の顔画像を含む装飾画像を取得する第2の取得機能と、前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行う画質調整機能と、前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する合成機能と、をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【0014】
上記適用例2に係る画像処理方法、および、適用例3に係るコンピュータプログラムは、適用例1に係る画像処理装置と同様の作用効果を得ることができる。また、上記適用例2に係る画像処理方法、および、適用例3に係るコンピュータプログラムは、適用例1に係る画像処理装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
【0015】
さらに、本発明は、上記適用例3に係るコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施態様について図面を参照しながら実施例に基づいて説明する。
A.実施例:
・プリンタ100の構成:
図1は、本発明の実施例における画像処理装置としてのプリンタ100の構成を示すブロック図である。本実施例のプリンタ100は、メモリカードMC等から取得した画像データに基づき画像を印刷する、いわゆるダイレクトプリントに対応したカラーインクジェットプリンタである。プリンタ100は、プリンタ100の各部を制御するCPU110と、例えばリードオンリメモリ(ROM)やランダムアクセスメモリ(RAM)によって構成された内部メモリ120と、ボタンやタッチパネルにより構成された操作部140と、液晶ディスプレイにより構成された表示部150と、プリンタエンジン160と、カードインターフェース(カードI/F)170と、を備えている。プリンタ100は、さらに、他の機器(例えばデジタルスチルカメラ)とのデータ通信を行うためのインターフェースを備えていてもよい。プリンタ100の各構成要素は、バスを介して互いに接続されている。
【0017】
プリンタエンジン160は、印刷データに基づき印刷を行う印刷機構である。カードインターフェース170は、カードスロット172に挿入されたメモリカードMCとの間でデータのやり取りを行うためのインターフェースである。なお、本実施例において、メモリカードMCには、画像データとしてRGBデータが格納されている。
【0018】
内部メモリ120には、機能部として、画像データ取得部210と、装飾画像データ取得部220と、画質調整部230と、適用処理決定部240と、合成処理部250と、表示処理部260と、印刷処理部270とが格納されている。各機能部210〜270は、CPU110により内部メモリ120から読み出され、実行されることにより、所定の機能を実現するコンピュータプログラムである。画質調整部230は、サブモジュールとして、変形処理部232と、画素値処理部234とを備える。機能部210〜250は、後述する画像処理を実行する。表示処理部260は、表示部150を制御して、表示部150上に処理メニューやメッセージを表示させるディスプレイドライバである。印刷処理部270は、画像データから印刷データを生成し、プリンタエンジン160を制御して、印刷データに基づく画像の印刷を実行するためのコンピュータプログラムである。
【0019】
内部メモリ120には、さらに、複数のフレーム画像データ400が格納されている。フレーム画像データは、ユーザが撮像した撮像画像などの対象画像の周囲に付加されるフレーム画像を表すデータである。フレーム画像は、対象画像を装飾するための装飾画像の1つの態様である。フレーム画像には、それぞれ、識別子(フレームID)が付与されており、本実施例では、フレームIDとして「#n」(nは自然数)を用いる。
【0020】
内部メモリ120には、さらに、キャラクタデータベース310と、処理内容データベース320を備えている。
【0021】
図2は、キャラクタデータベース310の内容を概念的に示す図である。キャラクタデータベース310には、フレーム画像ごとに、フレーム画像に含まれるキャラクタの名前が、そのフレーム画像のフレームIDと関連付けて、記述されている。
【0022】
図3は、フレーム画像を例示する図である。図3に示すフレーム画像400a〜400dは、フレームIDが#1〜#4のフレーム画像をそれぞれ示している。フレーム画像400a〜400dは、それぞれ、キャラクタデータベース310(図2)に記述されているキャラクタの顔画像CFを含んでいる。
【0023】
図4は、処理内容データベース320の内容を概念的に示す図である。処理内容データベース320には、キャラクタごとに、キャラクタの顔画像の特徴が記述されている。本実施例では、後述するように、キャラクタの顔画像の特徴を対象画像の顔画像に付与するように顔画像に画質調整処理を行うので、処理内容データベース320に記述されているキャラクタの顔画像の特徴は、後述する画質調整処理の処理内容を規定するものである。
【0024】
キャラクタの顔画像の特徴は、キャラクタの顔画像の外形、および、構成要素の形態に関する特徴を含んでいる。図4に示す例では、処理内容データベース320には、顔画像の外形に関する特徴として「輪郭」の特徴が、構成要素に関する特徴として「目」「口」の特徴が記述されている。ここで、形態とは、形状、相対的な位置、大きさ、色を始めとする外見上の性質を全て含む概念である。
【0025】
例えば、図4に示すように、キャラクタ「子供」の目の特徴として、目の形状は「均等」、目尻角度「平坦」、目高さ「低」、両目間隔「高」、目形状「丸」、黒目の形状「大」が記述されている。また、キャラクタ「子供」の口の特徴として、口の縦横比「横長」、口高さ「低」、輪郭の特徴として、輪郭の縦横比「均等」、上下の差「均等」、輪郭の形状「丸」が記述されている。
【0026】
・プリンタ100の動作:
図5は、対象画像の選択を受け付けるためのユーザインターフェースの一例を示す図である。図6は、フレーム画像の選択を受け付けるためのユーザインターフェースの一例を示す図である。プリンタ100は、メモリカードMCに格納された画像データに基づき、画像の印刷を行う。カードスロット172にメモリカードMCが挿入されると、表示処理部260により、図5に示すユーザインターフェースが表示部150に表示される。図5に示すユーザインターフェースは、対象画像(例えば、メモリカードMCに格納された画像)の一覧表示を含む。対象画像には、顔画像Fを含む画像と、含まない画像がある。なお、本実施例では、対象画像の一覧表示は、メモリカードMCに格納された画像データ(画像ファイル)に含まれるサムネイル画像を用いて実現される。
【0027】
本実施例のプリンタ100は、図5に示すユーザインターフェースにおいて、ユーザにより、1つ(または複数)の対象画像が選択されると共に印刷ボタンが選択されると、選択された対象画像をそのまま印刷する通常印刷処理を実行する。他方、当該ユーザインターフェースにおいて、ユーザにより、1つ(または複数)の画像が選択されると共にフレーム印刷ボタンが選択されると、図6に示すユーザインターフェースが表示部150に表示される。図6に示すユーザインターフェースは、内部メモリ120に格納された複数のフレーム画像データ400が表す複数のフレーム画像の一覧表示を含む。ユーザにより、フレーム画像が選択されると共に決定ボタンが選択されると、プリンタ100は、選択された対象画像と、選択されたフレーム画像とを合成した出力画像を生成し、生成された出力画像を印刷・保存する処理(フレーム合成処理)を実行する。出力画像を保存する場合、保存先は所定の記憶領域となる。記憶領域は、例えば、メモリカードなどの外部メモリであっても良いし、内部メモリであっても良い。また、出力画像は、新規の画像ファイルとして保存されても良いし、既存の画像ファイル(例えば、フレーム合成処理前の対象画像の画像ファイル)に上書きされても良い。
【0028】
図7は、実施例のプリンタ100によるフレーム合成処理の流れを示すフローチャートである。フレーム合成処理が開始されると、選択された対象画像と、選択されたフレーム画像とを合成した出力画像を生成する画像処理を実行する(ステップS100)。
【0029】
図8は、実施例における画像処理の流れを示すフローチャートである。画像処理が開始されると、画像データ取得部210は、選択された対象画像の画像データをカードスロット172から読み出して取得する(ステップS110)。装飾画像データ取得部220は、選択されたフレーム画像のフレーム画像データ400を内部メモリ120から取得する(ステップS120)。
【0030】
適用処理決定部240は、キャラクタデータベース310を参照して、選択されたフレーム画像のキャラクタを認識する(ステップS130)。以下では、フレームID「#1」のフレーム画像が選択されているものとして説明する。図2に示すように、キャラクタデータベース310において、フレームID「#1」のフレーム画像に関連付けられているキャラクタは、「子供」であるので、適用処理決定部240は、選択されたフレーム画像のキャラクタは、「子供」であると認識する。
【0031】
適用処理決定部240は、認識したキャラクタの特徴を、処理内容データベース320から取得する。(ステップS140)。例えば、認識したキャラクタが「子供」である場合には、適用処理決定部240は、上述したキャラクタ「子供」の「目」「口」「輪郭」の特徴(図4)を全て取得する。
【0032】
適用処理が決定されると、対象画像に対する画質調整処理が実行される(ステップS150)。図9は、画質調整処理の流れを示すフローチャートである。画質調整処理が開始されると、適用処理決定部240は、対象画像における顔領域FAを検出する(ステップS151)。ここで、顔領域FAとは対象画像上の人物の顔に対応する領域を意味している。顔領域FAの検出は、例えばテンプレートを利用したパターンマッチングによる方法(特開2004−318204参照)といった公知の顔検出方法を用いて実行される。
【0033】
顔領域FAが検出されなかった場合には(ステップS152:NO)、画像処理は終了される。顔領域FAが検出された場合には(ステップS152:YES)、適用処理決定部240は、顔領域FAに対応する顔画像の構成要素である「目」「口」をそれぞれ検出する(ステップS153)。「目」「口」の検出は、顔領域FAの検出と同様にテンプレートを利用したパターンマッチングや、顔領域FA内部における相対的な位置関係、構成要素の色相の特徴などを用いた方法で行われる。例えば、検出された顔領域FAの内部の相対的な位置関係から、「目」が存在する領域を規定する。そして、「目」が存在する領域において、黒色の画素の分布を算出し、左右対称に分布する黒色画素領域を検出することにより、「目」を検出することができる。
【0034】
「目」「口」が検出されると、適用処理決定部240は、対象画像に対して実行する顔変形処理の具体的な内容を決定する(ステップS154)。具体的には、適用処理決定部240は、ステップS140(図8)において取得されたキャラクタの特徴と、対象画像において検出された「顔領域FA」「目」「口」の特徴を比較して、対象画像において検出された「顔領域FA」「目」「口」の特徴を、キャラクタの特徴に近付けるように、具体的な処理内容を決定する。例えば、キャラクタ「子供」の輪郭の縦横比の特徴は「均等」であるが、対象画像において検出された「顔領域FA」が縦長である場合、適用処理決定部240は、顔領域FAに対応する顔画像を「縦に小さく」「横に大きく」する顔変形処理を行うことを決定する。この結果、画質調整処理により、顔領域FAに対応する顔画像の輪郭の縦横比を「均等」に近付けることができる。また、キャラクタ「子供」の輪郭の上下差の特徴は「均等」であるが、対象画像において検出された「顔領域FA」の上下差が均等である場合、適用処理決定部240は、顔領域FAに対応する顔画像に対して、輪郭の上下差を変更する処理(例えば、顔画像の下側を広げる変形処理)は、行わないと決定する。このようにして、適用処理決定部240は、処理内容データベース320に記述されたキャラクタの特徴に関する各項目について比較し、具体的な顔変形処理の内容を決定する。
【0035】
顔変形処理が決定されると、画質調整部230の変形処理部232は、顔変形処理を行う(ステップS155〜S157)。変形処理部232は、顔変形処理を開始すると、顔画像の一部または全部を含む変形領域TAを設定する(ステップS155)。
【0036】
図10は、変形領域の設定について説明する図である。図10に示すように、本実施例では、顔領域FAは、対象画像上の顔画像の目と鼻と口の画像を含む矩形の領域が顔領域FAとして検出される。なお、図10に示した基準線RLは、顔領域FAの高さ方向(上下方向)を定義すると共に、顔領域FAの幅方向(左右方向)の中心を示す線である。すなわち、基準線RLは、矩形の顔領域FAの重心を通り、顔領域FAの高さ方向(上下方向)に沿った境界線に平行な直線である。変形領域TAは、対象画像上の領域であって顔形状補正のための画像変形処理の対象となる領域である。図10に示すように、本実施例では、変形領域TAは、顔領域FAを基準線RLと平行な方向(高さ方向)および基準線RLに直行する方向(幅方向)に伸張(または短縮)した領域として設定される。具体的には、顔領域FAの高さ方向の大きさをHf、幅方向の大きさをWfとすると、顔領域FAを、上方向にm1・Hf、下方向にm2・Hfだけ伸ばすと共に、左右にそれぞれm3・Wfだけ伸ばした領域が、変形領域TAとして設定される。なお、m1,m2,m3は、所定の係数である。
【0037】
このように変形領域TAが設定されると、顔領域FAの高さ方向の輪郭線に平行な直線である基準線RLは、変形領域TAの高さ方向の輪郭線にも平行な直線となる。また、基準線RLは、変形領域TAの幅を半分に分割する直線となる。
【0038】
図13に示すように、変形領域TAは、高さ方向に関しては、概ね顎から額までの画像を含み、幅方向に関しては、左右の頬の画像を含むような領域として設定される。すなわち、本実施例では、変形領域TAが概ねそのような範囲の画像を含む領域となるように、顔領域FAの大きさとの関係に基づき、上述の係数m1,m2,m3が予め設定されている。
【0039】
変形領域TAが設定されると、変形処理部232は、変形領域TAを複数の小領域に分割する(ステップS156)。図11〜図13は、変形領域TAの小領域への分割方法の一例を示す説明図である。変形処理部232は、変形領域TAに複数の分割点Dを配置し、分割点Dを結ぶ直線を用いて変形領域TAを複数の小領域に分割する。
【0040】
分割点Dの配置(分割点Dの個数および位置)は、顔画像の変形の態様に応じて予め定められたパターンで行われる。例えば、顔画像の変形の態様と対応付けて配置パターンが記録されたパターンテーブル(図示省略)を予め容易しておき、変形処理部232は、かかるパターンテーブルを参照して変形の態様に応じて分割点Dを配置する。図11は、顔画像の態様が、顔画像の「輪郭」を変形する場合の一例を示している。図12は、顔画像の「口」を変形する場合の一例を示している。図13は、顔画像の「目」を変形する場合の一例を示している。
【0041】
図11〜図13に示すように、分割点Dは、水平分割線Lhと垂直分割線Lvとの交点、あるいは、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvと変形領域TAの外枠との交点とに配置される。ここで、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvは、変形領域TA内に分割点Dを配置するための基準となる線である。
【0042】
「輪郭」変形する場合には、図11に示すように、基準線RLと直行する3本の水平分割線Lhと、基準線RLに平行な4本の垂直分割線Lvとが設定される。3本の水平分割線Lhを、変形領域TAの下方から順に、Lh1,Lh2,Lh3と呼ぶ。また、4本の垂直分割線Lvを、変形領域TAの左から順に、Lv1,Lv2,Lv3,Lv4と呼ぶ。水平分割線Lh1は、変形領域TAにおいて、顎の画像より下方に配置され、水平分割線Lh2は、目の画像のすぐ下付近に配置される。水平分割線Lh3は、目の画像のすぐ上付近に配置されている。また、垂直分割線Lv1およびLv4は、頬のラインの画像の外側に配置され、垂直分割線Lv2およびLv3は、目尻の画像の外側に配置される。なお、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvの配置は、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvと画像との位置関係が結果的に上述の位置関係となるように予め設定された変形領域TAの大きさとの対応関係に従い実行される。あるいは、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvの配置は、さらに、「目」「口」などの検出結果を用いて実行される。
【0043】
「口」変形する場合には、図12に示すように、4本の水平分割線Lhと、4本の垂直分割線Lvとが設定される。4本の水平分割線Lhは、変形領域TAの下方から順に、Lh1,Lh5,Lh6,Lh2である。水平分割線Lh1、Lh2は、図11に示す「輪郭」を変形する場合に用いる同符号の水平分割線と同一である。水平分割線Lh5は、口の画像のすぐ下付近に配置され、水平分割線Lh6は、口の画像のすぐ上付近に配置されている。また、4本の垂直分割線Lvは、変形領域TAの左から順に、Lv2,Lv6,Lv7,Lv3である。垂直分割線Lv2、Lv3は、図11に示す「輪郭」を変形する場合に用いる同符号の垂直分割線と同一である。垂直分割線Lv6は、口の画像のすぐ左付近に配置され、垂直分割線Lv7は、口の画像のすぐ右付近に配置されている。
【0044】
「目」変形する場合には、図13に示すように、4本の水平分割線Lhと、平行な4本の垂直分割線Lvとが設定される。4本の水平分割線Lhは、変形領域TAの下方から順に、Lh6,Lh2,Lh3,Lh7である。水平分割線Lh6、Lh2、Lh3は、図11または図12に示す「輪郭」または「口」を変形する場合に用いる同符号の水平分割線と同一である。水平分割線Lh7は、眉毛の画像のすぐ下付近に配置されている。また、4本の垂直分割線Lvは、変形領域TAの左から順に、Lv2,Lv8,Lv9,Lv3である。垂直分割線Lv2、Lv3は、図11または図12に示す「輪郭」または「口」を変形する場合に用いる同符号の垂直分割線と同一である。垂直分割線Lv8は、左目の画像のすぐ右付近に配置され、垂直分割線Lv9は、右目の画像のすぐ左付近に配置されている。
【0045】
上述した水平分割線Lhと垂直分割線Lvとの配置に従い、水平分割線Lhと垂直分割線Lvとの交点と、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvと変形領域TAの外枠との交点とに、分割点Dが配置される。図11〜図13に示すように、水平分割線Lhi(i=1または2)上に位置する分割点Dを、左から順に、D0i,D1i,D2i,D3i,D4i,D5iと呼ぶものとする。例えば、水平分割線Lh1上に位置する分割点Dは、D01,D11,D21,D31,D41,D51と呼ばれる。同様に、垂直分割線Lvj(j=1,2,3,4のいずれか)上に位置する分割点Dを、下から順に、Dj0,Dj1,Dj2,Dj3と呼ぶものとする。例えば、垂直分割線Lv1上に位置する分割点Dは、D10,D11,D12,D13と呼ばれる。
【0046】
なお、図11〜図13に示すように、本実施例における分割点Dの配置は、基準線RLに対して対称の配置となっている。
【0047】
変形処理部232は、配置された分割点Dを結ぶ直線(すなわち水平分割線Lhおよび垂直分割線Lv)により、変形領域TAを複数の小領域に分割する。本実施例では、例えば、「輪郭」を変形する場合には、図11に示すように、変形領域TAが20個の矩形の小領域に分割される。
【0048】
変形処理部232は、対象画像の変形領域TAを対象とした画像の変形を行う(ステップS157)。画像の変形は、変形領域TA内に配置された分割点Dの位置を移動して、小領域を変形することにより行われる。
【0049】
変形のための各分割点Dの位置の移動態様(移動方向および移動距離)は、変形の態様に応じて、予め定められている。変形処理部232は、予め定められた移動方向および移動距離で、分割点Dの位置を移動する。
【0050】
図14は、分割点Dの位置の移動の一例を示す説明図である。図15は、予め定められた移動方向および移動距離の一例を示す説明図である。図14および図15は、顔画像における「輪郭」を「縦に小さく」「横に大きく」変形する場合の一例を示している。図15には、各分割点Dについて、基準線RLと直行する方向(H方向)および基準線RLと平行な方向(V方向)に沿った移動量が示されている。かかるデータを、例えば、テーブルの形式で予め内部メモリ120上に記憶しておけば、変形処理部232は、容易に様々な態様の変形を行うことができる。なお、図15に示す移動量の単位は、対象画像の画素ピッチPPである。また、H方向については、向かって右側への移動量が正の値として表され、向かって左側への移動量が負の値として表され、V方向については、上方への移動量が正の値として表され、下方への移動量が負の値として表される。例えば、分割点D11は、V方向に沿って右側に画素ピッチPPの20倍の距離だけ移動され、H方向に沿っては移動されない(画素ピッチPPの0倍)。また、例えば分割点D22は、H方向およびV方向共に移動量がゼロであるため、移動されない。
【0051】
なお、図15に示す例では、変形しようとする領域の変形領域TAの内外の画像間の境界が不自然とならないように、変形領域TAの外枠上に位置する分割点D(例えば図11に示す分割点D10等)の位置は移動されないものとしている。従って、図15には、変形領域TAの外枠上に位置する分割点Dについての移動態様は定義されていない。
【0052】
図14では、移動前の分割点Dは白抜きの丸で、移動後の分割点Dや位置の移動の無い分割点Dは黒丸で示されている。また、移動後の分割点Dは分割点D’と呼ばれるものとする。例えば分割点D11の位置は、図14において右方向に移動され、分割点D’11となる。
【0053】
なお、本実施例では、基準線RLに対して対称な位置関係にある2つの分割点Dの組み合わせ(例えば分割点D11とD41との組み合わせ)のすべてが、分割点Dの移動後も、基準線RLに対して対称な位置関係を維持するように、移動態様が定められている。
【0054】
変形処理部232は、変形領域TAを構成する各小領域について、分割点Dの位置移動前の状態における小領域の画像が、分割点Dの位置移動により新たに定義された小領域の画像となるように、画像の変形処理を行う。例えば、図14において、分割点D11,D21,D22,D12を頂点とする小領域(ハッチングを付して示す小領域)の画像は、分割点D’11,D’21,D22,D’12を頂点とする小領域の画像に変形される。
【0055】
図16は、画像の変形方法の概念を示す説明図である。図16では、分割点Dを黒丸で示している。図16では、説明を簡略化するために、4つの小領域について、左側に分割点Dの位置移動前の状態を、右側に分割点Dの位置移動後の状態を、それぞれ示している。図16の例では、中央の分割点Daが分割点Da’の位置に移動され、その他の分割点Dの位置は移動されない。これにより、例えば、分割点Dの移動前の分割点Da,Db,Dc,Ddを頂点とする矩形の小領域(以下「変形前注目小領域BSA」とも呼ぶ)の画像は、分割点Da’,Db,Dc,Ddを頂点とする矩形の小領域(以下「変形後注目小領域ASA」とも呼ぶ)の画像に変形される。
【0056】
本実施例では、矩形の小領域を小領域の重心CGを用いて4つの三角形領域に分割し、三角形領域単位で画像の変形処理を行っている。図の例では、変形前注目小領域BSAが、変形前注目小領域BSAの重心CGを頂点の1つとする4つの三角形領域に分割される。同様に、変形後注目小領域ASAが、変形後注目小領域ASAの重心CG’を頂点の1つとする4つの三角形領域に分割される。そして、分割点Daの移動前後のそれぞれの状態において対応する三角形領域毎に、画像の変形処理が行われる。例えば、変形前注目小領域BSA中の分割点Da,Ddおよび重心CGを頂点とする三角形領域の画像が、変形後注目小領域ASA中の分割点Da’,Ddおよび重心CG’を頂点とする三角形領域の画像に変形される。
【0057】
図17は、三角形領域における画像の変形処理方法の概念を示す説明図である。図17の例では、点s,t,uを頂点とする三角形領域stuの画像が、点s’,t’,u’を頂点とする三角形領域s’t’u’の画像に変形される。画像の変形は、変形後の三角形領域s’t’u’の画像中のある画素の位置が、変形前の三角形領域stuの画像中のどの位置に相当するかを算出し、算出された位置における変形前の画像における画素値を変形後の画像の画素値とすることにより行う。
【0058】
例えば、図17において、変形後の三角形領域s’t’u’の画像中の注目画素p’の位置は、変形前の三角形領域stuの画像中の位置pに相当するものとする。位置pの算出は、以下のように行う。まず、注目画素p’の位置を、下記の式(1)のようにベクトルs’t’とベクトルs’u’との和で表現するための係数m1およびm2を算出する。
【0059】
【数1】
【0060】
次に、算出された係数m1およびm2を用いて、下記の式(2)により、変形前の三角形領域stuにおけるベクトルstとベクトルsuとの和を算出することにより、位置pが求まる。
【0061】
【数2】
【0062】
変形前の三角形領域stuにおける位置pが、変形前の画像の画素中心位置に一致した場合には、当該画素の画素値が変形後の画像の画素値とされる。一方、変形前の三角形領域stuにおける位置pが、変形前の画像の画素中心位置からはずれた位置となった場合には、位置pの周囲の画素の画素値を用いたバイキュービック等の補間演算により、位置pにおける画素値を算出し、算出された画素値が変形後の画像の画素値とされる。
【0063】
変形後の三角形領域s’t’u’の画像中の各画素について上述のように画素値を算出することにより、三角形領域stuの画像から三角形領域s’t’u’の画像への画像変形処理を行うことができる。変形処理部232は、図11に示した変形領域TA内に構成された各小領域について、上述したように三角形領域を定義して変形処理を行い、変形領域TA内の画像を変形する。
【0064】
以上、顔画像における輪郭「縦に小さく」「横に大きく」変形する場合を具体例として、分割点の移動による顔変形を説明したが、他の変形の態様については、図16に示すような分割点Dの移動方向および移動距離を、変形の態様に応じて設定することにより、容易に実行することができる。例えば、「口」を変形する場合には、図12に示す分割点Dのうち、口の画像を囲む4つの分割点D66、D76、D65、D75を移動させ、他の分割点は移動させないこととして、同様の処理を行えば良い。また、「目」を変形する場合には、図13に示す分割点Dのうち、左目の画像を囲む4つの分割点D23、D83、D22、D82と、右目の画像を囲む4つの分割点D93、D33、D92、D32を移動させ、他の分割点は移動させないこととして、同様の処理を行えば良い。
【0065】
また、複数の部分の変形、例えば、「輪郭」と「口」の変形を行う場合には、順番に1つの部分ずつ変形させて行けば良い。例えば、顔画像の「輪郭」を変形した後、さらに、「口」を変形する場合には、図12に示す各分割点Dについて、輪郭を変形した後の顔画像における位置(座標)を算出する。係る変形後の分割点Dの位置は、上述した式(1)(2)において、輪郭の変形前における口の変形のための分割点Dの位置をp、輪郭の変形後における口の変形のための分割点Dの位置をp’と置き、輪郭を変形した時に算出された係数m1およびm2を用いて算出することができる。そして、輪郭の変形後における口の変形のための分割点Dを用いて、「口」を変形する処理を行えば良い。
【0066】
図8に戻って説明を続ける。画質調整処理が終了すると、合成処理部250は、画質調整後の対象画像と、ステップS120において取得されたフレーム画像とを合成して、出力画像を生成する(ステップS160)。出力画像が生成されると、表示処理部260は、生成された出力画像を、表示部150に表示する(ステップS170)。
【0067】
図18は、出力画像が表示された表示部150の一例を示す説明図である。出力画像が表示された表示部150により、ユーザは、出力画像果を確認することができる。ユーザが出力画像に満足し、「保存」ボタンを選択した場合には(図7:ステップS200)、これに応じて、画質調整後の対象画像を表す画像データの保存処理が行われる(ステップS400)。例えば、画質調整後の対象画像(ビットマップデータ)を、JPEGなどの所定の形式に圧縮し、EXIFなどの所定のファイル形式に従って、画像ファイルとして保存する。かかる画像ファイルは、所定の記憶領域、例えば、挿入されているメモリカードMCに保存されても良い。かかる場合、画質調整後の対象画像の画像ファイルは、画質調整前の対象画像の画像ファイルに上書きされても良いし、異なる新規の画像ファイルとして保存されても良い。
【0068】
ユーザが画質調整結果に満足し、「印刷」ボタンを選択した場合には(図7:ステップS200)、印刷処理部270は、画質調整後の対象画像の印刷処理(ステップS300)を実行する。図19は、印刷処理の流れを示すフローチャートである。印刷処理部270は、画質調整後の対象画像の画像データの解像度を、プリンタエンジン160による印刷処理に適した解像度に変換し(ステップS310)、解像度変換後の画像データを、プリンタエンジン160における印刷に用いられる複数のインク色で階調表現されたインク色画像データに変換する(ステップS320)。なお、本実施例では、プリンタエンジン160における印刷に用いられる複数のインク色は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色であるものとする。さらに、印刷処理部270は、インク色画像データにおける各インク色の階調値に基づいてハーフトーン処理を実行することによって、印刷画素毎のインクドットの形成状態を示すドットデータを生成し(ステップS330)、ドットデータを配列して印刷データを生成する(ステップS340)。印刷処理部270は、生成された印刷データをプリンタエンジン160に供給し、プリンタエンジン160に対象画像の印刷を行わせる(ステップS350)。これにより、画質調整後の対象画像の印刷が完了する。
【0069】
以上説明した実施例によれば、フレーム画像に含まれるキャラクタの顔画像の特徴に応じて、対象画像の顔画像Fが、そのキャラクタの顔画像の特徴を有するように、対象画像に対する画質調整処理を行う。この結果、フレーム画像と対象画像とを合成した生成された出力画像において、ユーザに新たな楽しみを提供することができる。
【0070】
また、対象画像に対する画質調整処理では、対象画像の顔画像の外形または構成要素の形態を、キャラクタの顔画像の外形または構成要素の形態に近付けるように、対象画像の顔画像を変形する。この結果、対象画像の顔画像の形態が、キャラクタの顔画像の形態が、キャラクタの顔画像風にデフォルメされるので、ユーザに新たな楽しみを提供することができる。
【0071】
B.変形例:
・第1変形例:
上記実施例では、処理内容データベース320にキャラクタの特徴を記述し、適用処理決定部240が、処理内容データベース320を参照して、対象画像の顔画像に適用する画質調整処理の内容を決定しているが、これに代えて、対象画像の顔画像に、キャラクタの顔画像を合成する処理を、対象画像の顔画像に対する画質調整処理として実行しても良い。具体的には、画質調整部230は、フレーム画像においてキャラクタの顔画像の領域を検出して、キャラクタの顔画像の画像データを取得する。画質調整部230は、取得された顔画像の画像データを、対象画像における顔画像の画像データと合成して、合成顔画像を生成すれば良い。
【0072】
対象画像の顔画像の画像データと、キャラクタの顔画像の画像データを構成する処理としては、例えば、公知のモーフィング技術を用いることができる。モーフィング技術では、合成の程度を自由に設定することができる。例えば、第1の顔画像20%、第2の顔画像80%で合成したり、第1の顔画像60%、第2の顔画像40%で合成したりすることができる。このような合成の程度をユーザから受け付けて、合成の程度を変化させても良い。
【0073】
また、フレーム画像において、キャラクタの顔画像の画像データを解析して、キャラクタの顔画像の特徴を認識することにより、対象画像の顔画像に適用する画質調整処理の内容を決定しても良い。例えば、適用処理決定部240は、キャラクタの顔画像において、顔の輪郭、目、口を検出し、検出結果を用いて、キャラクタの顔画像の形態を認識する。適用処理決定部240は、認識したキャラクタの顔画像の形態における特徴を、対象画像の顔画像に付与するように、対象画像の顔画像に適用する画質調整処理(例えば、顔変形処理)の具体的な処理内容を決定すれば良い。
【0074】
・第2変形例:
上記実施例では、フレーム画像データのキャラクタに関する情報は、キャラクタデータベース310に記録されているが、これに代えて、フレーム画像データの画像ファイルの中に係る情報を記録しても良い。
【0075】
図20は、画像データと共に、画像データと関連付けられた付属情報を含む画像ファイルの一例を概念的に示す説明図である。画像ファイル500は、画像データを格納する画像データ格納領域501と、付属情報を格納する付属情報格納領域502を備えている。付属情報は、例えば、TIFF(Tagged Image File Format)形式に従って、タグを用いて、付属情報としての各種パラメータを特定できるように格納されている。フレーム画像データ400を画像ファイル500の付属情報格納領域502に格納し、図20に示すように付属情報格納領域502に、フレーム画像に顔画像が含まれるキャラクタを特定するための情報を格納しても良い。こうすれば、適用処理決定部240は、選択されたフレーム画像のフレーム画像データを格納している画像ファイル500の付属情報格納領域502を参照して、フレーム画像上のキャラクタを認識することができる。
【0076】
E.その他の変形例:
上記実施例およびその変形例において、その処理内容をフローチャートで示しているが、あくまで一例であり、各ステップの順番を変更したり、一部のステップの実行を省略したりしてもよい。例えば、実施例の画像処理の前に、印刷処理の内の解像度変換や色変換(図19のステップS310やS320)が実行されるとしても良い。
【0077】
また上記実施例における画像処理では、顔領域FAの検出が実行されるが、顔領域FAの検出の代わりに、例えばユーザ指定を介した顔領域FAの情報の取得が行われるとしてもよい。
【0078】
上記実施例では、対象画像に合成される装飾画像として、対象画像の周囲を囲むように配置されるフレーム画像が用いられているが、装飾画像は、これに限らず、様々な態様の画像が用いられる。例えば、対象画像に含まれる人物の画像と、キャラクタとのツーショット画像を合成するためのキャラクタ画像が、装飾画像として用いられても良い。
【0079】
上記実施例およびその変形例では、画像処理装置としてのプリンタ100によるフレーム合成処理を説明したが、フレーム合成処理の一部または全部は、例えば、印刷処理を除き、デジタルカメラなどの画像データ生成機器の制御コンピュータあるいは画像処理チップにより実行されても良いし、パーソナルコンピュータにより実行されても良い。また、プリンタ100はインクジェットプリンタに限らず、他の方式のプリンタ、例えばレーザプリンタや昇華型プリンタであるとしてもよい。
【0080】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしても良い。
【0081】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの実施例および変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施例における画像処理装置としてのプリンタの構成を示すブロック図。
【図2】キャラクタデータベースの内容を概念的に示す図。
【図3】フレーム画像を例示する図。
【図4】処理内容データベースの内容を概念的に示す図。
【図5】対象画像の選択を受け付けるためのユーザインターフェースの一例を示す図。
【図6】フレーム画像の選択を受け付けるためのユーザインターフェースの一例を示す図。
【図7】実施例のプリンタによるフレーム合成処理の流れを示すフローチャート。
【図8】実施例における画像処理の流れを示すフローチャート。
【図9】画質調整処理の流れを示すフローチャート。
【図10】変形領域の設定について説明する図。
【図11】変形領域の小領域への分割方法の一例を示す第1の図である。
【図12】変形領域の小領域への分割方法の一例を示す第2の図である。
【図13】変形領域の小領域への分割方法の一例を示す第3の図である。
【図14】分割点の位置の移動の一例を示す説明図。
【図15】予め定められた移動方向および移動距離の一例を示す説明図である。
【図16】画像の変形方法の概念を示す説明図。
【図17】三角形領域における画像の変形処理方法の概念を示す説明図。
【図18】出力画像が表示された表示部の一例を示す説明図。
【図19】印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図20】画像データと共に画像データと関連付けられた付属情報を含む画像ファイルの一例を概念的に示す説明図。
【符号の説明】
【0083】
100…プリンタ
110…CPU
120…内部メモリ
140…操作部
150…表示部
160…プリンタエンジン
170…カードインターフェース
172…カードスロット
210…画像データ取得部
220…装飾画像データ取得部
230…画質調整部
232…変形処理部
234…画素値処理部
240…適用処理決定部
250…合成処理部
260…表示処理部
270…印刷処理部
310…キャラクタデータベース
320…処理内容データベース
400…フレーム画像データ
500…画像ファイル
501…画像データ格納領域
502…付属情報格納領域
MC…メモリカード
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
装飾画像、例えば、画像のフレーム枠を表すフレーム画像と、対象画像、例えば、デジタルカメラによる撮像画像とを合成して、出力画像を生成する技術が実用化されている(例えば、特許文献1)。これらの出力画像は、ディスプレイ上に表示、紙媒体上に印刷されることにより、ユーザに提供される。
【0003】
【特許文献1】WO2003/085510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、装飾画像には、漫画の登場人物や、著名人、動物などのキャラクタの顔画像が含まれる場合がある。上記従来技術では、このような装飾画像を用いる場合に、装飾画像の顔画像と、対象画像の顔画像との関係について、なんら考慮されていない。
【0005】
本発明は、顔画像を含む装飾画像と対象画像とを用いて合成される出力画像において、新たな楽しみをユーザに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]画像処理装置であって、第1の顔画像を含む対象画像を取得する第1の取得部と、第2の顔画像を含む装飾画像を取得する第2の取得部と、前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行う画質調整部と、前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する合成部と、を備える、画像処理装置。
【0008】
適用例1に係る画像処理装置によれば、対象画像に含まれる顔画像が装飾画像に含まれる顔画像の特徴を有するように調整された合成画像が生成されるので、ユーザに新たな楽しみを提供することができる。
【0009】
適用例1に係る画像処理装置において、前記装飾画像の第2の顔画像の特徴は、顔の外形または構成要素の形態の特徴を含み、前記画質調整処理は、前記第1の顔画像の前記外形または構成要素の形態を、前記第2の顔画像の前記外形または構成要素の形態に近付けるように、前記第1の顔画像を変形する処理を含んでも良い。こうすれば、第1の顔画像の形態が第2の顔画像の形態に近づくように、第1の顔画像を変形するので、ユーザに新たな楽しみを提供することができる。
【0010】
適用例1に係る画像処理装置において、前記画質調整処理の処理内容を、前記装飾画像と関連づけて記憶する記憶部を備え、前記画質調整処理部は、前記記憶部を参照して、前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行っても良い。こうすれば、容易に第1の顔画像に対する画質調整処理を行うことができる。
【0011】
適用例1に係る画像処理装置において、画質調整処理は、前記第1の顔画像に前記第2の顔画像を合成する処理を含んでも良い。こうすれば、第1の顔画像と第2の顔画像の合成により、新たに創作された顔を含む、出力画像が生成されるので、ユーザに新たな楽しみを提供することができる。
【0012】
[適用例2]画像処理方法であって、第1の顔画像を含む対象画像を取得し、第2の顔画像を含む装飾画像を取得し、前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行い、前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する、画像処理方法。
【0013】
[適用例3]画像処理のためのコンピュータプログラムであって、第1の顔画像を含む対象画像を取得する第1の取得機能と、第2の顔画像を含む装飾画像を取得する第2の取得機能と、前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行う画質調整機能と、前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する合成機能と、をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【0014】
上記適用例2に係る画像処理方法、および、適用例3に係るコンピュータプログラムは、適用例1に係る画像処理装置と同様の作用効果を得ることができる。また、上記適用例2に係る画像処理方法、および、適用例3に係るコンピュータプログラムは、適用例1に係る画像処理装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
【0015】
さらに、本発明は、上記適用例3に係るコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施態様について図面を参照しながら実施例に基づいて説明する。
A.実施例:
・プリンタ100の構成:
図1は、本発明の実施例における画像処理装置としてのプリンタ100の構成を示すブロック図である。本実施例のプリンタ100は、メモリカードMC等から取得した画像データに基づき画像を印刷する、いわゆるダイレクトプリントに対応したカラーインクジェットプリンタである。プリンタ100は、プリンタ100の各部を制御するCPU110と、例えばリードオンリメモリ(ROM)やランダムアクセスメモリ(RAM)によって構成された内部メモリ120と、ボタンやタッチパネルにより構成された操作部140と、液晶ディスプレイにより構成された表示部150と、プリンタエンジン160と、カードインターフェース(カードI/F)170と、を備えている。プリンタ100は、さらに、他の機器(例えばデジタルスチルカメラ)とのデータ通信を行うためのインターフェースを備えていてもよい。プリンタ100の各構成要素は、バスを介して互いに接続されている。
【0017】
プリンタエンジン160は、印刷データに基づき印刷を行う印刷機構である。カードインターフェース170は、カードスロット172に挿入されたメモリカードMCとの間でデータのやり取りを行うためのインターフェースである。なお、本実施例において、メモリカードMCには、画像データとしてRGBデータが格納されている。
【0018】
内部メモリ120には、機能部として、画像データ取得部210と、装飾画像データ取得部220と、画質調整部230と、適用処理決定部240と、合成処理部250と、表示処理部260と、印刷処理部270とが格納されている。各機能部210〜270は、CPU110により内部メモリ120から読み出され、実行されることにより、所定の機能を実現するコンピュータプログラムである。画質調整部230は、サブモジュールとして、変形処理部232と、画素値処理部234とを備える。機能部210〜250は、後述する画像処理を実行する。表示処理部260は、表示部150を制御して、表示部150上に処理メニューやメッセージを表示させるディスプレイドライバである。印刷処理部270は、画像データから印刷データを生成し、プリンタエンジン160を制御して、印刷データに基づく画像の印刷を実行するためのコンピュータプログラムである。
【0019】
内部メモリ120には、さらに、複数のフレーム画像データ400が格納されている。フレーム画像データは、ユーザが撮像した撮像画像などの対象画像の周囲に付加されるフレーム画像を表すデータである。フレーム画像は、対象画像を装飾するための装飾画像の1つの態様である。フレーム画像には、それぞれ、識別子(フレームID)が付与されており、本実施例では、フレームIDとして「#n」(nは自然数)を用いる。
【0020】
内部メモリ120には、さらに、キャラクタデータベース310と、処理内容データベース320を備えている。
【0021】
図2は、キャラクタデータベース310の内容を概念的に示す図である。キャラクタデータベース310には、フレーム画像ごとに、フレーム画像に含まれるキャラクタの名前が、そのフレーム画像のフレームIDと関連付けて、記述されている。
【0022】
図3は、フレーム画像を例示する図である。図3に示すフレーム画像400a〜400dは、フレームIDが#1〜#4のフレーム画像をそれぞれ示している。フレーム画像400a〜400dは、それぞれ、キャラクタデータベース310(図2)に記述されているキャラクタの顔画像CFを含んでいる。
【0023】
図4は、処理内容データベース320の内容を概念的に示す図である。処理内容データベース320には、キャラクタごとに、キャラクタの顔画像の特徴が記述されている。本実施例では、後述するように、キャラクタの顔画像の特徴を対象画像の顔画像に付与するように顔画像に画質調整処理を行うので、処理内容データベース320に記述されているキャラクタの顔画像の特徴は、後述する画質調整処理の処理内容を規定するものである。
【0024】
キャラクタの顔画像の特徴は、キャラクタの顔画像の外形、および、構成要素の形態に関する特徴を含んでいる。図4に示す例では、処理内容データベース320には、顔画像の外形に関する特徴として「輪郭」の特徴が、構成要素に関する特徴として「目」「口」の特徴が記述されている。ここで、形態とは、形状、相対的な位置、大きさ、色を始めとする外見上の性質を全て含む概念である。
【0025】
例えば、図4に示すように、キャラクタ「子供」の目の特徴として、目の形状は「均等」、目尻角度「平坦」、目高さ「低」、両目間隔「高」、目形状「丸」、黒目の形状「大」が記述されている。また、キャラクタ「子供」の口の特徴として、口の縦横比「横長」、口高さ「低」、輪郭の特徴として、輪郭の縦横比「均等」、上下の差「均等」、輪郭の形状「丸」が記述されている。
【0026】
・プリンタ100の動作:
図5は、対象画像の選択を受け付けるためのユーザインターフェースの一例を示す図である。図6は、フレーム画像の選択を受け付けるためのユーザインターフェースの一例を示す図である。プリンタ100は、メモリカードMCに格納された画像データに基づき、画像の印刷を行う。カードスロット172にメモリカードMCが挿入されると、表示処理部260により、図5に示すユーザインターフェースが表示部150に表示される。図5に示すユーザインターフェースは、対象画像(例えば、メモリカードMCに格納された画像)の一覧表示を含む。対象画像には、顔画像Fを含む画像と、含まない画像がある。なお、本実施例では、対象画像の一覧表示は、メモリカードMCに格納された画像データ(画像ファイル)に含まれるサムネイル画像を用いて実現される。
【0027】
本実施例のプリンタ100は、図5に示すユーザインターフェースにおいて、ユーザにより、1つ(または複数)の対象画像が選択されると共に印刷ボタンが選択されると、選択された対象画像をそのまま印刷する通常印刷処理を実行する。他方、当該ユーザインターフェースにおいて、ユーザにより、1つ(または複数)の画像が選択されると共にフレーム印刷ボタンが選択されると、図6に示すユーザインターフェースが表示部150に表示される。図6に示すユーザインターフェースは、内部メモリ120に格納された複数のフレーム画像データ400が表す複数のフレーム画像の一覧表示を含む。ユーザにより、フレーム画像が選択されると共に決定ボタンが選択されると、プリンタ100は、選択された対象画像と、選択されたフレーム画像とを合成した出力画像を生成し、生成された出力画像を印刷・保存する処理(フレーム合成処理)を実行する。出力画像を保存する場合、保存先は所定の記憶領域となる。記憶領域は、例えば、メモリカードなどの外部メモリであっても良いし、内部メモリであっても良い。また、出力画像は、新規の画像ファイルとして保存されても良いし、既存の画像ファイル(例えば、フレーム合成処理前の対象画像の画像ファイル)に上書きされても良い。
【0028】
図7は、実施例のプリンタ100によるフレーム合成処理の流れを示すフローチャートである。フレーム合成処理が開始されると、選択された対象画像と、選択されたフレーム画像とを合成した出力画像を生成する画像処理を実行する(ステップS100)。
【0029】
図8は、実施例における画像処理の流れを示すフローチャートである。画像処理が開始されると、画像データ取得部210は、選択された対象画像の画像データをカードスロット172から読み出して取得する(ステップS110)。装飾画像データ取得部220は、選択されたフレーム画像のフレーム画像データ400を内部メモリ120から取得する(ステップS120)。
【0030】
適用処理決定部240は、キャラクタデータベース310を参照して、選択されたフレーム画像のキャラクタを認識する(ステップS130)。以下では、フレームID「#1」のフレーム画像が選択されているものとして説明する。図2に示すように、キャラクタデータベース310において、フレームID「#1」のフレーム画像に関連付けられているキャラクタは、「子供」であるので、適用処理決定部240は、選択されたフレーム画像のキャラクタは、「子供」であると認識する。
【0031】
適用処理決定部240は、認識したキャラクタの特徴を、処理内容データベース320から取得する。(ステップS140)。例えば、認識したキャラクタが「子供」である場合には、適用処理決定部240は、上述したキャラクタ「子供」の「目」「口」「輪郭」の特徴(図4)を全て取得する。
【0032】
適用処理が決定されると、対象画像に対する画質調整処理が実行される(ステップS150)。図9は、画質調整処理の流れを示すフローチャートである。画質調整処理が開始されると、適用処理決定部240は、対象画像における顔領域FAを検出する(ステップS151)。ここで、顔領域FAとは対象画像上の人物の顔に対応する領域を意味している。顔領域FAの検出は、例えばテンプレートを利用したパターンマッチングによる方法(特開2004−318204参照)といった公知の顔検出方法を用いて実行される。
【0033】
顔領域FAが検出されなかった場合には(ステップS152:NO)、画像処理は終了される。顔領域FAが検出された場合には(ステップS152:YES)、適用処理決定部240は、顔領域FAに対応する顔画像の構成要素である「目」「口」をそれぞれ検出する(ステップS153)。「目」「口」の検出は、顔領域FAの検出と同様にテンプレートを利用したパターンマッチングや、顔領域FA内部における相対的な位置関係、構成要素の色相の特徴などを用いた方法で行われる。例えば、検出された顔領域FAの内部の相対的な位置関係から、「目」が存在する領域を規定する。そして、「目」が存在する領域において、黒色の画素の分布を算出し、左右対称に分布する黒色画素領域を検出することにより、「目」を検出することができる。
【0034】
「目」「口」が検出されると、適用処理決定部240は、対象画像に対して実行する顔変形処理の具体的な内容を決定する(ステップS154)。具体的には、適用処理決定部240は、ステップS140(図8)において取得されたキャラクタの特徴と、対象画像において検出された「顔領域FA」「目」「口」の特徴を比較して、対象画像において検出された「顔領域FA」「目」「口」の特徴を、キャラクタの特徴に近付けるように、具体的な処理内容を決定する。例えば、キャラクタ「子供」の輪郭の縦横比の特徴は「均等」であるが、対象画像において検出された「顔領域FA」が縦長である場合、適用処理決定部240は、顔領域FAに対応する顔画像を「縦に小さく」「横に大きく」する顔変形処理を行うことを決定する。この結果、画質調整処理により、顔領域FAに対応する顔画像の輪郭の縦横比を「均等」に近付けることができる。また、キャラクタ「子供」の輪郭の上下差の特徴は「均等」であるが、対象画像において検出された「顔領域FA」の上下差が均等である場合、適用処理決定部240は、顔領域FAに対応する顔画像に対して、輪郭の上下差を変更する処理(例えば、顔画像の下側を広げる変形処理)は、行わないと決定する。このようにして、適用処理決定部240は、処理内容データベース320に記述されたキャラクタの特徴に関する各項目について比較し、具体的な顔変形処理の内容を決定する。
【0035】
顔変形処理が決定されると、画質調整部230の変形処理部232は、顔変形処理を行う(ステップS155〜S157)。変形処理部232は、顔変形処理を開始すると、顔画像の一部または全部を含む変形領域TAを設定する(ステップS155)。
【0036】
図10は、変形領域の設定について説明する図である。図10に示すように、本実施例では、顔領域FAは、対象画像上の顔画像の目と鼻と口の画像を含む矩形の領域が顔領域FAとして検出される。なお、図10に示した基準線RLは、顔領域FAの高さ方向(上下方向)を定義すると共に、顔領域FAの幅方向(左右方向)の中心を示す線である。すなわち、基準線RLは、矩形の顔領域FAの重心を通り、顔領域FAの高さ方向(上下方向)に沿った境界線に平行な直線である。変形領域TAは、対象画像上の領域であって顔形状補正のための画像変形処理の対象となる領域である。図10に示すように、本実施例では、変形領域TAは、顔領域FAを基準線RLと平行な方向(高さ方向)および基準線RLに直行する方向(幅方向)に伸張(または短縮)した領域として設定される。具体的には、顔領域FAの高さ方向の大きさをHf、幅方向の大きさをWfとすると、顔領域FAを、上方向にm1・Hf、下方向にm2・Hfだけ伸ばすと共に、左右にそれぞれm3・Wfだけ伸ばした領域が、変形領域TAとして設定される。なお、m1,m2,m3は、所定の係数である。
【0037】
このように変形領域TAが設定されると、顔領域FAの高さ方向の輪郭線に平行な直線である基準線RLは、変形領域TAの高さ方向の輪郭線にも平行な直線となる。また、基準線RLは、変形領域TAの幅を半分に分割する直線となる。
【0038】
図13に示すように、変形領域TAは、高さ方向に関しては、概ね顎から額までの画像を含み、幅方向に関しては、左右の頬の画像を含むような領域として設定される。すなわち、本実施例では、変形領域TAが概ねそのような範囲の画像を含む領域となるように、顔領域FAの大きさとの関係に基づき、上述の係数m1,m2,m3が予め設定されている。
【0039】
変形領域TAが設定されると、変形処理部232は、変形領域TAを複数の小領域に分割する(ステップS156)。図11〜図13は、変形領域TAの小領域への分割方法の一例を示す説明図である。変形処理部232は、変形領域TAに複数の分割点Dを配置し、分割点Dを結ぶ直線を用いて変形領域TAを複数の小領域に分割する。
【0040】
分割点Dの配置(分割点Dの個数および位置)は、顔画像の変形の態様に応じて予め定められたパターンで行われる。例えば、顔画像の変形の態様と対応付けて配置パターンが記録されたパターンテーブル(図示省略)を予め容易しておき、変形処理部232は、かかるパターンテーブルを参照して変形の態様に応じて分割点Dを配置する。図11は、顔画像の態様が、顔画像の「輪郭」を変形する場合の一例を示している。図12は、顔画像の「口」を変形する場合の一例を示している。図13は、顔画像の「目」を変形する場合の一例を示している。
【0041】
図11〜図13に示すように、分割点Dは、水平分割線Lhと垂直分割線Lvとの交点、あるいは、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvと変形領域TAの外枠との交点とに配置される。ここで、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvは、変形領域TA内に分割点Dを配置するための基準となる線である。
【0042】
「輪郭」変形する場合には、図11に示すように、基準線RLと直行する3本の水平分割線Lhと、基準線RLに平行な4本の垂直分割線Lvとが設定される。3本の水平分割線Lhを、変形領域TAの下方から順に、Lh1,Lh2,Lh3と呼ぶ。また、4本の垂直分割線Lvを、変形領域TAの左から順に、Lv1,Lv2,Lv3,Lv4と呼ぶ。水平分割線Lh1は、変形領域TAにおいて、顎の画像より下方に配置され、水平分割線Lh2は、目の画像のすぐ下付近に配置される。水平分割線Lh3は、目の画像のすぐ上付近に配置されている。また、垂直分割線Lv1およびLv4は、頬のラインの画像の外側に配置され、垂直分割線Lv2およびLv3は、目尻の画像の外側に配置される。なお、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvの配置は、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvと画像との位置関係が結果的に上述の位置関係となるように予め設定された変形領域TAの大きさとの対応関係に従い実行される。あるいは、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvの配置は、さらに、「目」「口」などの検出結果を用いて実行される。
【0043】
「口」変形する場合には、図12に示すように、4本の水平分割線Lhと、4本の垂直分割線Lvとが設定される。4本の水平分割線Lhは、変形領域TAの下方から順に、Lh1,Lh5,Lh6,Lh2である。水平分割線Lh1、Lh2は、図11に示す「輪郭」を変形する場合に用いる同符号の水平分割線と同一である。水平分割線Lh5は、口の画像のすぐ下付近に配置され、水平分割線Lh6は、口の画像のすぐ上付近に配置されている。また、4本の垂直分割線Lvは、変形領域TAの左から順に、Lv2,Lv6,Lv7,Lv3である。垂直分割線Lv2、Lv3は、図11に示す「輪郭」を変形する場合に用いる同符号の垂直分割線と同一である。垂直分割線Lv6は、口の画像のすぐ左付近に配置され、垂直分割線Lv7は、口の画像のすぐ右付近に配置されている。
【0044】
「目」変形する場合には、図13に示すように、4本の水平分割線Lhと、平行な4本の垂直分割線Lvとが設定される。4本の水平分割線Lhは、変形領域TAの下方から順に、Lh6,Lh2,Lh3,Lh7である。水平分割線Lh6、Lh2、Lh3は、図11または図12に示す「輪郭」または「口」を変形する場合に用いる同符号の水平分割線と同一である。水平分割線Lh7は、眉毛の画像のすぐ下付近に配置されている。また、4本の垂直分割線Lvは、変形領域TAの左から順に、Lv2,Lv8,Lv9,Lv3である。垂直分割線Lv2、Lv3は、図11または図12に示す「輪郭」または「口」を変形する場合に用いる同符号の垂直分割線と同一である。垂直分割線Lv8は、左目の画像のすぐ右付近に配置され、垂直分割線Lv9は、右目の画像のすぐ左付近に配置されている。
【0045】
上述した水平分割線Lhと垂直分割線Lvとの配置に従い、水平分割線Lhと垂直分割線Lvとの交点と、水平分割線Lhおよび垂直分割線Lvと変形領域TAの外枠との交点とに、分割点Dが配置される。図11〜図13に示すように、水平分割線Lhi(i=1または2)上に位置する分割点Dを、左から順に、D0i,D1i,D2i,D3i,D4i,D5iと呼ぶものとする。例えば、水平分割線Lh1上に位置する分割点Dは、D01,D11,D21,D31,D41,D51と呼ばれる。同様に、垂直分割線Lvj(j=1,2,3,4のいずれか)上に位置する分割点Dを、下から順に、Dj0,Dj1,Dj2,Dj3と呼ぶものとする。例えば、垂直分割線Lv1上に位置する分割点Dは、D10,D11,D12,D13と呼ばれる。
【0046】
なお、図11〜図13に示すように、本実施例における分割点Dの配置は、基準線RLに対して対称の配置となっている。
【0047】
変形処理部232は、配置された分割点Dを結ぶ直線(すなわち水平分割線Lhおよび垂直分割線Lv)により、変形領域TAを複数の小領域に分割する。本実施例では、例えば、「輪郭」を変形する場合には、図11に示すように、変形領域TAが20個の矩形の小領域に分割される。
【0048】
変形処理部232は、対象画像の変形領域TAを対象とした画像の変形を行う(ステップS157)。画像の変形は、変形領域TA内に配置された分割点Dの位置を移動して、小領域を変形することにより行われる。
【0049】
変形のための各分割点Dの位置の移動態様(移動方向および移動距離)は、変形の態様に応じて、予め定められている。変形処理部232は、予め定められた移動方向および移動距離で、分割点Dの位置を移動する。
【0050】
図14は、分割点Dの位置の移動の一例を示す説明図である。図15は、予め定められた移動方向および移動距離の一例を示す説明図である。図14および図15は、顔画像における「輪郭」を「縦に小さく」「横に大きく」変形する場合の一例を示している。図15には、各分割点Dについて、基準線RLと直行する方向(H方向)および基準線RLと平行な方向(V方向)に沿った移動量が示されている。かかるデータを、例えば、テーブルの形式で予め内部メモリ120上に記憶しておけば、変形処理部232は、容易に様々な態様の変形を行うことができる。なお、図15に示す移動量の単位は、対象画像の画素ピッチPPである。また、H方向については、向かって右側への移動量が正の値として表され、向かって左側への移動量が負の値として表され、V方向については、上方への移動量が正の値として表され、下方への移動量が負の値として表される。例えば、分割点D11は、V方向に沿って右側に画素ピッチPPの20倍の距離だけ移動され、H方向に沿っては移動されない(画素ピッチPPの0倍)。また、例えば分割点D22は、H方向およびV方向共に移動量がゼロであるため、移動されない。
【0051】
なお、図15に示す例では、変形しようとする領域の変形領域TAの内外の画像間の境界が不自然とならないように、変形領域TAの外枠上に位置する分割点D(例えば図11に示す分割点D10等)の位置は移動されないものとしている。従って、図15には、変形領域TAの外枠上に位置する分割点Dについての移動態様は定義されていない。
【0052】
図14では、移動前の分割点Dは白抜きの丸で、移動後の分割点Dや位置の移動の無い分割点Dは黒丸で示されている。また、移動後の分割点Dは分割点D’と呼ばれるものとする。例えば分割点D11の位置は、図14において右方向に移動され、分割点D’11となる。
【0053】
なお、本実施例では、基準線RLに対して対称な位置関係にある2つの分割点Dの組み合わせ(例えば分割点D11とD41との組み合わせ)のすべてが、分割点Dの移動後も、基準線RLに対して対称な位置関係を維持するように、移動態様が定められている。
【0054】
変形処理部232は、変形領域TAを構成する各小領域について、分割点Dの位置移動前の状態における小領域の画像が、分割点Dの位置移動により新たに定義された小領域の画像となるように、画像の変形処理を行う。例えば、図14において、分割点D11,D21,D22,D12を頂点とする小領域(ハッチングを付して示す小領域)の画像は、分割点D’11,D’21,D22,D’12を頂点とする小領域の画像に変形される。
【0055】
図16は、画像の変形方法の概念を示す説明図である。図16では、分割点Dを黒丸で示している。図16では、説明を簡略化するために、4つの小領域について、左側に分割点Dの位置移動前の状態を、右側に分割点Dの位置移動後の状態を、それぞれ示している。図16の例では、中央の分割点Daが分割点Da’の位置に移動され、その他の分割点Dの位置は移動されない。これにより、例えば、分割点Dの移動前の分割点Da,Db,Dc,Ddを頂点とする矩形の小領域(以下「変形前注目小領域BSA」とも呼ぶ)の画像は、分割点Da’,Db,Dc,Ddを頂点とする矩形の小領域(以下「変形後注目小領域ASA」とも呼ぶ)の画像に変形される。
【0056】
本実施例では、矩形の小領域を小領域の重心CGを用いて4つの三角形領域に分割し、三角形領域単位で画像の変形処理を行っている。図の例では、変形前注目小領域BSAが、変形前注目小領域BSAの重心CGを頂点の1つとする4つの三角形領域に分割される。同様に、変形後注目小領域ASAが、変形後注目小領域ASAの重心CG’を頂点の1つとする4つの三角形領域に分割される。そして、分割点Daの移動前後のそれぞれの状態において対応する三角形領域毎に、画像の変形処理が行われる。例えば、変形前注目小領域BSA中の分割点Da,Ddおよび重心CGを頂点とする三角形領域の画像が、変形後注目小領域ASA中の分割点Da’,Ddおよび重心CG’を頂点とする三角形領域の画像に変形される。
【0057】
図17は、三角形領域における画像の変形処理方法の概念を示す説明図である。図17の例では、点s,t,uを頂点とする三角形領域stuの画像が、点s’,t’,u’を頂点とする三角形領域s’t’u’の画像に変形される。画像の変形は、変形後の三角形領域s’t’u’の画像中のある画素の位置が、変形前の三角形領域stuの画像中のどの位置に相当するかを算出し、算出された位置における変形前の画像における画素値を変形後の画像の画素値とすることにより行う。
【0058】
例えば、図17において、変形後の三角形領域s’t’u’の画像中の注目画素p’の位置は、変形前の三角形領域stuの画像中の位置pに相当するものとする。位置pの算出は、以下のように行う。まず、注目画素p’の位置を、下記の式(1)のようにベクトルs’t’とベクトルs’u’との和で表現するための係数m1およびm2を算出する。
【0059】
【数1】
【0060】
次に、算出された係数m1およびm2を用いて、下記の式(2)により、変形前の三角形領域stuにおけるベクトルstとベクトルsuとの和を算出することにより、位置pが求まる。
【0061】
【数2】
【0062】
変形前の三角形領域stuにおける位置pが、変形前の画像の画素中心位置に一致した場合には、当該画素の画素値が変形後の画像の画素値とされる。一方、変形前の三角形領域stuにおける位置pが、変形前の画像の画素中心位置からはずれた位置となった場合には、位置pの周囲の画素の画素値を用いたバイキュービック等の補間演算により、位置pにおける画素値を算出し、算出された画素値が変形後の画像の画素値とされる。
【0063】
変形後の三角形領域s’t’u’の画像中の各画素について上述のように画素値を算出することにより、三角形領域stuの画像から三角形領域s’t’u’の画像への画像変形処理を行うことができる。変形処理部232は、図11に示した変形領域TA内に構成された各小領域について、上述したように三角形領域を定義して変形処理を行い、変形領域TA内の画像を変形する。
【0064】
以上、顔画像における輪郭「縦に小さく」「横に大きく」変形する場合を具体例として、分割点の移動による顔変形を説明したが、他の変形の態様については、図16に示すような分割点Dの移動方向および移動距離を、変形の態様に応じて設定することにより、容易に実行することができる。例えば、「口」を変形する場合には、図12に示す分割点Dのうち、口の画像を囲む4つの分割点D66、D76、D65、D75を移動させ、他の分割点は移動させないこととして、同様の処理を行えば良い。また、「目」を変形する場合には、図13に示す分割点Dのうち、左目の画像を囲む4つの分割点D23、D83、D22、D82と、右目の画像を囲む4つの分割点D93、D33、D92、D32を移動させ、他の分割点は移動させないこととして、同様の処理を行えば良い。
【0065】
また、複数の部分の変形、例えば、「輪郭」と「口」の変形を行う場合には、順番に1つの部分ずつ変形させて行けば良い。例えば、顔画像の「輪郭」を変形した後、さらに、「口」を変形する場合には、図12に示す各分割点Dについて、輪郭を変形した後の顔画像における位置(座標)を算出する。係る変形後の分割点Dの位置は、上述した式(1)(2)において、輪郭の変形前における口の変形のための分割点Dの位置をp、輪郭の変形後における口の変形のための分割点Dの位置をp’と置き、輪郭を変形した時に算出された係数m1およびm2を用いて算出することができる。そして、輪郭の変形後における口の変形のための分割点Dを用いて、「口」を変形する処理を行えば良い。
【0066】
図8に戻って説明を続ける。画質調整処理が終了すると、合成処理部250は、画質調整後の対象画像と、ステップS120において取得されたフレーム画像とを合成して、出力画像を生成する(ステップS160)。出力画像が生成されると、表示処理部260は、生成された出力画像を、表示部150に表示する(ステップS170)。
【0067】
図18は、出力画像が表示された表示部150の一例を示す説明図である。出力画像が表示された表示部150により、ユーザは、出力画像果を確認することができる。ユーザが出力画像に満足し、「保存」ボタンを選択した場合には(図7:ステップS200)、これに応じて、画質調整後の対象画像を表す画像データの保存処理が行われる(ステップS400)。例えば、画質調整後の対象画像(ビットマップデータ)を、JPEGなどの所定の形式に圧縮し、EXIFなどの所定のファイル形式に従って、画像ファイルとして保存する。かかる画像ファイルは、所定の記憶領域、例えば、挿入されているメモリカードMCに保存されても良い。かかる場合、画質調整後の対象画像の画像ファイルは、画質調整前の対象画像の画像ファイルに上書きされても良いし、異なる新規の画像ファイルとして保存されても良い。
【0068】
ユーザが画質調整結果に満足し、「印刷」ボタンを選択した場合には(図7:ステップS200)、印刷処理部270は、画質調整後の対象画像の印刷処理(ステップS300)を実行する。図19は、印刷処理の流れを示すフローチャートである。印刷処理部270は、画質調整後の対象画像の画像データの解像度を、プリンタエンジン160による印刷処理に適した解像度に変換し(ステップS310)、解像度変換後の画像データを、プリンタエンジン160における印刷に用いられる複数のインク色で階調表現されたインク色画像データに変換する(ステップS320)。なお、本実施例では、プリンタエンジン160における印刷に用いられる複数のインク色は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色であるものとする。さらに、印刷処理部270は、インク色画像データにおける各インク色の階調値に基づいてハーフトーン処理を実行することによって、印刷画素毎のインクドットの形成状態を示すドットデータを生成し(ステップS330)、ドットデータを配列して印刷データを生成する(ステップS340)。印刷処理部270は、生成された印刷データをプリンタエンジン160に供給し、プリンタエンジン160に対象画像の印刷を行わせる(ステップS350)。これにより、画質調整後の対象画像の印刷が完了する。
【0069】
以上説明した実施例によれば、フレーム画像に含まれるキャラクタの顔画像の特徴に応じて、対象画像の顔画像Fが、そのキャラクタの顔画像の特徴を有するように、対象画像に対する画質調整処理を行う。この結果、フレーム画像と対象画像とを合成した生成された出力画像において、ユーザに新たな楽しみを提供することができる。
【0070】
また、対象画像に対する画質調整処理では、対象画像の顔画像の外形または構成要素の形態を、キャラクタの顔画像の外形または構成要素の形態に近付けるように、対象画像の顔画像を変形する。この結果、対象画像の顔画像の形態が、キャラクタの顔画像の形態が、キャラクタの顔画像風にデフォルメされるので、ユーザに新たな楽しみを提供することができる。
【0071】
B.変形例:
・第1変形例:
上記実施例では、処理内容データベース320にキャラクタの特徴を記述し、適用処理決定部240が、処理内容データベース320を参照して、対象画像の顔画像に適用する画質調整処理の内容を決定しているが、これに代えて、対象画像の顔画像に、キャラクタの顔画像を合成する処理を、対象画像の顔画像に対する画質調整処理として実行しても良い。具体的には、画質調整部230は、フレーム画像においてキャラクタの顔画像の領域を検出して、キャラクタの顔画像の画像データを取得する。画質調整部230は、取得された顔画像の画像データを、対象画像における顔画像の画像データと合成して、合成顔画像を生成すれば良い。
【0072】
対象画像の顔画像の画像データと、キャラクタの顔画像の画像データを構成する処理としては、例えば、公知のモーフィング技術を用いることができる。モーフィング技術では、合成の程度を自由に設定することができる。例えば、第1の顔画像20%、第2の顔画像80%で合成したり、第1の顔画像60%、第2の顔画像40%で合成したりすることができる。このような合成の程度をユーザから受け付けて、合成の程度を変化させても良い。
【0073】
また、フレーム画像において、キャラクタの顔画像の画像データを解析して、キャラクタの顔画像の特徴を認識することにより、対象画像の顔画像に適用する画質調整処理の内容を決定しても良い。例えば、適用処理決定部240は、キャラクタの顔画像において、顔の輪郭、目、口を検出し、検出結果を用いて、キャラクタの顔画像の形態を認識する。適用処理決定部240は、認識したキャラクタの顔画像の形態における特徴を、対象画像の顔画像に付与するように、対象画像の顔画像に適用する画質調整処理(例えば、顔変形処理)の具体的な処理内容を決定すれば良い。
【0074】
・第2変形例:
上記実施例では、フレーム画像データのキャラクタに関する情報は、キャラクタデータベース310に記録されているが、これに代えて、フレーム画像データの画像ファイルの中に係る情報を記録しても良い。
【0075】
図20は、画像データと共に、画像データと関連付けられた付属情報を含む画像ファイルの一例を概念的に示す説明図である。画像ファイル500は、画像データを格納する画像データ格納領域501と、付属情報を格納する付属情報格納領域502を備えている。付属情報は、例えば、TIFF(Tagged Image File Format)形式に従って、タグを用いて、付属情報としての各種パラメータを特定できるように格納されている。フレーム画像データ400を画像ファイル500の付属情報格納領域502に格納し、図20に示すように付属情報格納領域502に、フレーム画像に顔画像が含まれるキャラクタを特定するための情報を格納しても良い。こうすれば、適用処理決定部240は、選択されたフレーム画像のフレーム画像データを格納している画像ファイル500の付属情報格納領域502を参照して、フレーム画像上のキャラクタを認識することができる。
【0076】
E.その他の変形例:
上記実施例およびその変形例において、その処理内容をフローチャートで示しているが、あくまで一例であり、各ステップの順番を変更したり、一部のステップの実行を省略したりしてもよい。例えば、実施例の画像処理の前に、印刷処理の内の解像度変換や色変換(図19のステップS310やS320)が実行されるとしても良い。
【0077】
また上記実施例における画像処理では、顔領域FAの検出が実行されるが、顔領域FAの検出の代わりに、例えばユーザ指定を介した顔領域FAの情報の取得が行われるとしてもよい。
【0078】
上記実施例では、対象画像に合成される装飾画像として、対象画像の周囲を囲むように配置されるフレーム画像が用いられているが、装飾画像は、これに限らず、様々な態様の画像が用いられる。例えば、対象画像に含まれる人物の画像と、キャラクタとのツーショット画像を合成するためのキャラクタ画像が、装飾画像として用いられても良い。
【0079】
上記実施例およびその変形例では、画像処理装置としてのプリンタ100によるフレーム合成処理を説明したが、フレーム合成処理の一部または全部は、例えば、印刷処理を除き、デジタルカメラなどの画像データ生成機器の制御コンピュータあるいは画像処理チップにより実行されても良いし、パーソナルコンピュータにより実行されても良い。また、プリンタ100はインクジェットプリンタに限らず、他の方式のプリンタ、例えばレーザプリンタや昇華型プリンタであるとしてもよい。
【0080】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしても良い。
【0081】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの実施例および変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施例における画像処理装置としてのプリンタの構成を示すブロック図。
【図2】キャラクタデータベースの内容を概念的に示す図。
【図3】フレーム画像を例示する図。
【図4】処理内容データベースの内容を概念的に示す図。
【図5】対象画像の選択を受け付けるためのユーザインターフェースの一例を示す図。
【図6】フレーム画像の選択を受け付けるためのユーザインターフェースの一例を示す図。
【図7】実施例のプリンタによるフレーム合成処理の流れを示すフローチャート。
【図8】実施例における画像処理の流れを示すフローチャート。
【図9】画質調整処理の流れを示すフローチャート。
【図10】変形領域の設定について説明する図。
【図11】変形領域の小領域への分割方法の一例を示す第1の図である。
【図12】変形領域の小領域への分割方法の一例を示す第2の図である。
【図13】変形領域の小領域への分割方法の一例を示す第3の図である。
【図14】分割点の位置の移動の一例を示す説明図。
【図15】予め定められた移動方向および移動距離の一例を示す説明図である。
【図16】画像の変形方法の概念を示す説明図。
【図17】三角形領域における画像の変形処理方法の概念を示す説明図。
【図18】出力画像が表示された表示部の一例を示す説明図。
【図19】印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図20】画像データと共に画像データと関連付けられた付属情報を含む画像ファイルの一例を概念的に示す説明図。
【符号の説明】
【0083】
100…プリンタ
110…CPU
120…内部メモリ
140…操作部
150…表示部
160…プリンタエンジン
170…カードインターフェース
172…カードスロット
210…画像データ取得部
220…装飾画像データ取得部
230…画質調整部
232…変形処理部
234…画素値処理部
240…適用処理決定部
250…合成処理部
260…表示処理部
270…印刷処理部
310…キャラクタデータベース
320…処理内容データベース
400…フレーム画像データ
500…画像ファイル
501…画像データ格納領域
502…付属情報格納領域
MC…メモリカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
第1の顔画像を含む対象画像を取得する第1の取得部と、
第2の顔画像を含む装飾画像を取得する第2の取得部と、
前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行う画質調整部と、
前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する合成部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記装飾画像の第2の顔画像の特徴は、顔の外形または構成要素の形態の特徴を含み、
前記画質調整処理は、前記第1の顔画像の前記外形または構成要素の形態を、前記第2の顔画像の前記外形または構成要素の形態に近付けるように、前記第1の顔画像を変形する処理を含む、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置は、さらに、
前記画質調整処理の処理内容を、前記装飾画像と関連づけて記憶する記憶部を備え、
前記画質調整処理部は、前記記憶部を参照して、前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行う、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
前記画質調整処理は、前記第1の顔画像に前記第2の顔画像を合成する処理を含む、画像処理装置。
【請求項5】
画像処理方法であって、
第1の顔画像を含む対象画像を取得し、
第2の顔画像を含む装飾画像を取得し、
前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行い、
前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する、画像処理方法。
【請求項6】
画像処理のためのコンピュータプログラムであって、
第1の顔画像を含む対象画像を取得する第1の取得機能と、
第2の顔画像を含む装飾画像を取得する第2の取得機能と、
前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行う画質調整機能と、
前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する合成機能と、
をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【請求項1】
画像処理装置であって、
第1の顔画像を含む対象画像を取得する第1の取得部と、
第2の顔画像を含む装飾画像を取得する第2の取得部と、
前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行う画質調整部と、
前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する合成部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記装飾画像の第2の顔画像の特徴は、顔の外形または構成要素の形態の特徴を含み、
前記画質調整処理は、前記第1の顔画像の前記外形または構成要素の形態を、前記第2の顔画像の前記外形または構成要素の形態に近付けるように、前記第1の顔画像を変形する処理を含む、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置は、さらに、
前記画質調整処理の処理内容を、前記装飾画像と関連づけて記憶する記憶部を備え、
前記画質調整処理部は、前記記憶部を参照して、前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行う、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
前記画質調整処理は、前記第1の顔画像に前記第2の顔画像を合成する処理を含む、画像処理装置。
【請求項5】
画像処理方法であって、
第1の顔画像を含む対象画像を取得し、
第2の顔画像を含む装飾画像を取得し、
前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行い、
前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する、画像処理方法。
【請求項6】
画像処理のためのコンピュータプログラムであって、
第1の顔画像を含む対象画像を取得する第1の取得機能と、
第2の顔画像を含む装飾画像を取得する第2の取得機能と、
前記装飾画像の第2の顔画像の特徴を付与するように前記対象画像の前記第1の顔画像に対して画質調整処理を行う画質調整機能と、
前記画質調整処理後の前記対象画像と前記装飾画像とを合成して、出力画像を生成する合成機能と、
をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−33249(P2009−33249A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192327(P2007−192327)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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