説明

画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム

【課題】 複数の画像データから解像度がより高い画像データを生成する際に、画質を向上させる効果を高める。
【解決手段】 CPU31では、画像データ取得部M310が、所定の画像生成装置により時系列に連続して生成された複数の画像データを取得すると共に、動き情報取得部M320が、上記取得した画像データと関連付けられており、取得した画像データの各々の生成時における画像生成装置の動きに関する情報である画像生成時動き情報を、取得する。また、第1の画像データ判定部M330が、画像データに対応する画像生成時動き情報に基づいて、各々の画像データが、高解像度画像データを生成するために適しているか否かを判定する。高解像度画像生成部M350は、第1の画像データ判定部が高解像度画像データを生成するために適していないと判定した画像データを、複数の画像データから除外して、高解像度画像データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、取得した画像データから、より解像度が高い画像データを生成するための画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮影した所定の画像を利用して、より解像度の高い画像を生成する技術が提案されている。例えば、デジタルビデオカメラ等で撮影した動画を構成する複数のフレーム画像の画像データから、より解像度の高い静止画の画像データを合成する方法が知られている。このような高解像度画像を生成する際には、複数のフレーム画像間の対応関係の推定を行なうと共に、推定された対応関係に基づいて、解像度を高める(画像を構成する画素数を増加させる)ための補間演算を行なう(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−88616号公報
【特許文献2】特開2000−244851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような高解像度画像の生成においては、上記補間演算などの処理を行なっても、実行した処理量に見合った充分な効果が得られない場合があった。例えば、撮影された動画を構成する複数のフレーム画像の中に、ぶれが生じている画像が含まれる場合には、このような画像を用いて解像度を高めるための補間演算を行なっても、生成した新たな画像において、増加させた画素数に見合った充分な高画質化が実現できない場合があった。
【0005】
このような問題は、デジタルビデオカメラ等で生成した動画の画像データを用いる場合に限らず、デジタルスチルカメラで連続撮影された複数の画像データを用いる場合など、時系列に連続して撮影された複数の画像のデータから、より解像度が高い画像を生成する際に共通する問題であった。
【0006】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、複数の画像データから解像度がより高い画像データを生成する際に、画質を向上させる効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、所定の画像生成装置によって時系列に連続して生成された複数の画像データを用いて、より解像度の高い高解像度画像データを生成する画像処理装置であって、
前記複数の画像データを取得する画像データ取得部と、
前記取得した画像データと関連付けられており、該取得した画像データの各々の生成時における前記画像生成装置の動きに関する情報である画像生成時動き情報を、取得する動き情報取得部と、
前記複数の画像データの各々に対応する前記画像生成時動き情報に基づいて、各々の前記画像データが、前記高解像度画像データを生成するために適しているか否かを判定する第1の画像データ判定部と、
前記複数の画像データから、前記第1の画像データ判定部により前記高解像度画像データを生成するために適していないと判定された画像データを除外して、前記高解像度画像データを生成する高解像度画像生成部と
を備えることを要旨とする。
【0008】
以上のように構成された本発明の画像処理装置によれば、複数の画像データから高解像度画像データを生成する際に、画像生成時動き情報に基づいて、各々の画像データが高解像度画像データを生成するために適しているか否かを判定し、適していないと判定された画像データは、高解像度画像データを生成する処理から除外している。これにより、生成した高解像度画像データが表わす画像の画質を向上させる効果を高めることができる。
【0009】
本発明の画像処理装置において、前記画像生成時動き情報は、前記画像生成装置に備えられたセンサが検出した情報、または、前記センサが検出した情報に基づいて算出される情報であることとしても良い。このような構成とすれば、画像生成時動き情報を、容易に生成することができる。また、このように、画像生成時動き情報としてセンサが検出した情報を利用することで、高解像度画像データを生成するために適していない画像データを効率良く除外できると共に、高解像度画像データを生成する処理を高速化することが可能となる。
【0010】
本発明の画像処理装置において、
前記画像生成時動き情報は、前記画像生成装置の向きの変化を示す角変位量、角速度、角加速度のうちの、少なくともいずれかを含むこととしても良い。
【0011】
生成された画像データが表わす画像に対して、画像生成装置の動きが影響する程度は、画像生成装置が平行移動する場合よりも、画像生成装置が回転移動する場合の方が大きい。そのため、画像生成装置の回転運動に関わる角変位量、角速度、角加速度のうちの少なくともいずれかを、画像生成時動き情報として取得すれば、画像生成装置の動きに起因して高解像度画像生成に適さなくなった画像データを、効率よく排除することができる。ここで、前記画像生成装置の向きの変化は、前記画像生成装置におけるピッチ方向の角度変化と、前記画像生成装置におけるヨー方向の角度変化と、前記画像生成装置におけるロール方向の角度変化とのうちの、少なくとも一つを含むこととしても良い。
【0012】
本発明の画像処理装置において、
前記第1の画像データ判定部は、所定の画像データの生成時に対応する前記画像生成時動き情報に基づく前記画像生成装置の動き量が、前記所定の画像データが表わす画像と、時系列で1つ前または後の画像データが表わす画像との間で、対応する画素間のずれ量が許容できるずれ量に基づいて定められる所定値を超えるときに、前記所定の画像データは前記高解像度画像データを生成するために適していないと判定することとしても良い。
【0013】
これにより、ずれ量が大きく高解像度画像生成に適さない画像データを、一定の基準に基づいて排除することができる。
【0014】
本発明の画像処理装置において、さらに、
前記第1の画像データ判定部が前記高解像度画像データを生成するために適していると判定した画像データについて、該画像データを解析することによって、前記高解像度画像データを生成するために適しているか否かをさらに判定する第2の画像データ判定部を備え、
前記高解像度画像生成部は、第2の画像データ判定部によって前記高解像度画像データを生成するために適していないと判定された画像データを、前記複数の画像データからさらに除外して、前記高解像度画像データを生成することとしても良い。
【0015】
このような構成とすれば、画像データが表わす画像において、画像生成時動き情報に基づいて検出できないずれが生じている場合にも、このずれを検出し、高解像度画像の生成に適していない画像データをより適切に排除することが可能となる。あるいは、画像生成時動き情報に基づくずれ検出では精度が充分ではない場合に、高解像度画像を生成する精度を向上させることが可能となる。
【0016】
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、画像処理方法やコンピュータプログラム、あるいは記録媒体などの形態で実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の全体構成:
B.高解像度画像生成処理の概要:
C.角速度に基づくフレーム画像選択処理:
D.画像解析によるフレーム画像選択処理:
E.合成処理:
F.変形例:
【0018】
A.装置の全体構成:
A−1.システムの概要:
図1は、本発明の実施例である画像処理装置を含む画像処理システム10の構成を表わす説明図である。図1に示すように、画像処理システム10は、画像データを生成する画像生成装置であるデジタルスチルカメラ20と、画像生成装置が生成した画像データから高解像度の画像データを生成する画像処理装置として機能するパーソナルコンピュータ30と、画像処理に関する指示をユーザが入力するための操作部40と、画像データに基づいて画像を出力する出力装置であるカラープリンタ50と、を備えている。
【0019】
パーソナルコンピュータ30は、画像処理プログラムを実行するCPU31、ROM32、CPU31による演算結果や画像処理に供する画像データを一時的に格納するRAM33、画像処理プログラムを格納するハードディスクドライブ(HDD)34、および、操作部40やカラープリンタ50等の外部機器と情報をやり取りするためのI/F回路35を備えている。
【0020】
操作部40は、ユーザが画像処理に関する指示を入力するためのキーボード41およびマウス42を備えている。なお、図1では、ディスプレイ43を操作部40として記載しているが、このディスプレイ43は、さらに、画像処理に関わる画像を表示する出力装置でもある。
【0021】
A−2.デジタルスチルカメラ20の構成:
図2は、デジタルスチルカメラ20の概略構成を表わす説明図である。デジタルスチルカメラ20は、CCDやCMOS等の撮像デバイスを備え、レンズを通った光の量をこの撮像デバイスによって電気信号に変換して、画像をデジタル信号として取得するカメラである。デジタルスチルカメラ20は、撮影モードとして静止画撮影モードと動画撮影モードとを有し、静止画像データに加えて、時系列に連続する複数の画像データから成る動画像データを生成する機能を備えている。また、デジタルスチルカメラ20は、静止画撮影モードとして、さらに連写モードを備え、この連写モードによっても、時系列に連続する複数の画像データを生成することができる。本実施例では、動画撮影モードが選択され、動画像データが生成される場合について説明する。なお、以下の説明では、動画像を構成し、時系列に連続する個々の画像をフレーム画像と呼び、フレーム画像を表わす画像データをフレーム画像データと呼ぶ。
【0022】
図2に示すように、デジタルスチルカメラ20は、撮影部140、信号変換部130、画像処理部120、および、3つの角速度センサ161,162,163を備えている。さらにデジタルスチルカメラ20は、上記各部を制御する制御部100と、制御部100に対して画像データの生成に関わるユーザからの指示を入力するためのコントローラ110と、画像データを画像ファイルとしてメモリカードMCに保存するメモリカードドライブ150と、を備えている。なお、本実施例では、画像処理部120と制御部100との機能は、コンピュータプログラムによって実現されている。
【0023】
撮影部140は、複数の受光素子を有し、収集した光情報を受光素子単位で電気信号に変換して出力する撮像デバイス144と、撮像デバイス144の受光部に光情報を集めるレンズ142と、撮像デバイス144の受光量を調節する絞り146と、を備えている。撮像デバイス144が備える受光素子は、縦横等間隔に配置されており、RGBカラーフィルタを備えている。隣接する受光素子間の中心距離(以下、画素ピッチという)は、図2に示すように、縦方向(図2のY方向)、横方向(図2のX方向)共に、sである。
【0024】
信号変換部130は、撮像デバイス144から出力された電気信号であるアナログ画像信号を、デジタル画像信号に変換する。画像処理部120は、変換後のデジタル画像信号を用いて、保存用の画像データを生成する。具体的には、デジタル画像信号からRGB各色の電気信号のみを取り出して1画素ごとに不足の色成分を生成してRGBデータを生成して、保存用の画像データとする。画像データの形式としては、上記以外の形式を用いることとしても良い。このようにして画像処理部120では、時系列に並ぶ複数のフレーム画像データが生成される。
【0025】
3つの角速度センサ161,162,163は、それぞれ、デジタルスチルカメラ20のX軸回り、Y軸回り、Z軸回りの向きの変化を角速度として検出する装置である。図3は、デジタルスチルカメラ20におけるX軸、Y軸、Z軸のそれぞれについての向きの変化を説明する概略図である。X軸は、撮像デバイス144の受光面に平行であってデジタルスチルカメラ20の左右方向に延びる軸をいい、Y軸は、撮像デバイス144の受光面に平行であってデジタルスチルカメラ20の上下方向に延びる軸をいう。そして、Z軸は、撮像デバイス144の受光面に対して垂直な軸をいう。ここで、XYZの3軸が交わる原点は、撮像デバイス144の受光面の中心Ccに位置している。
【0026】
以下の説明では、角速度センサ161,162,163が検出するXYZ軸回りの角速度をそれぞれ角速度VX、VY、VZと表わす。また、後述するように角速度VX、VY、VZから求められるデジタルスチルカメラ20のXYZ軸回りの変位量を、それぞれ、角変位量θX、θY、θZと表わす。θXおよびVXは、デジタルスチルカメラ20で撮影された画像における被写体の上下方向の位置ずれ(いわゆる、ピッチ方向のぶれ)に対応している。また、θZおよびVZは、デジタルスチルカメラ20で撮影された画像における被写体の左右方向の位置ずれ(いわゆる、ヨー方向のぶれ)に対応している。また、θYおよびVYは、デジタルスチルカメラ20で撮影された画像における画像に対して垂直な直線を軸とした被写体の回転方向のずれ(いわゆる、ロール方向のぶれ)に対応している。角速度センサ161,162,163としては、種々のジャイロスコープを用いることができる。例えば、機械式(回転式)ジャイロ、音片・音叉の振動を用いる振動式ジャイロ 、光ファイバ等を利用した光学式ジャイロなどを用いることができる。
【0027】
制御部100は、デジタルスチルカメラ20の各部の制御を行なうが、ここでは画像データの保存に関わる機能について説明する。制御部100は、メモリカードドライブ150を制御して、画像処理部120が生成した画像データをメモリカードMCに保存させる。画像データの保存の際には、制御部100は、角速度センサ161,162,163が検出した電気信号から求められる角速度情報(角速度VX、VY、VZ)を含む付属情報を取得して、画像データに付加する。これによって、互いに関連付けられた画像データと付属情報とを含む画像ファイルが生成される。メモリカードMCにおいては、このような画像ファイルの形で保存が行なわれる。保存用に生成された画像ファイルは、上記メモリカードMCを介して、あるいは、デジタルスチルカメラ20が備える所定のインターフェース部およびケーブル(図示せず)を介して、外部の機器(本実施例ではパーソナルコンピュータ30)に対して供給可能となる。
【0028】
図4は、デジタルスチルカメラ20で生成される画像ファイルGFの構成を模式的に示す説明図である。画像ファイルGFは、動画像データMDおよび音声データADを格納する主情報格納領域R100と、動画像データMDと関連付けられた付属情報を格納する付属情報格納領域R110を備えている。
【0029】
動画像データMDは、時系列に並ぶn個のフレーム画像データGD1〜GDnから構成されている。この動画像データMDは、既述した画像処理部120によって生成された保存用の画像データである。
【0030】
付属情報に含まれる角速度VX、VY、VZとしては、フレーム画像データGD1〜GDnのそれぞれの生成時に対応する角速度VX(1)〜VX(n)、VY(1)〜VY(n)、VZ(1)〜VZ(n)が、付属情報格納領域R110に格納されている。なお、角速度VX、VY、VZは、上記のように、動画像を構成する各フレーム画像の撮影のタイミングと同時に取得する代わりに、各フレーム画像を撮影する時間間隔よりも短い間隔で取得して、各フレーム画像毎に角速度情報を複数記憶することとしても良い。この場合には、取得された角速度VX、VY、VZは、角速度の取得時の直後に生成されたフレーム画像データに対応することになる。さらに、付属情報格納領域R110には、付属情報として、上述した角速度VX、VY、VZに加えて、画素ピッチsと焦点距離fと角速度検出周期(角速度センサ161,162,163から角速度情報が取得される時間間隔)Tと、が格納されている。あるいは、付属情報として、図4に示した付属情報に加えてさらに、撮影日時やシャッタ速度、あるいは絞り値等の種々の撮影情報を記憶しても良い。
【0031】
制御部100は、このように、画像データと付属情報とを関連付けて画像ファイルを作成する。ここで、複数のフレーム画像データと付属情報とが関連付けられているとは、各々のフレーム画像データの生成タイミングと、角速度VX、VY、VZ等の付属情報の検出タイミングとの、時間軸上における対応関係が認識可能となっていることをいう。
【0032】
B.高解像度画像生成処理の概要:
図5は、本実施例に係るパーソナルコンピュータ30が備えるCPU31において実行される高解像度画像生成処理に関する機能ブロック図である。また、図6は、CPU31で実行される高解像度画像生成処理の概要を表わすフローチャートである。これら図5および図6に基づいて、高解像度画像生成処理の概要について説明する。
【0033】
図5に示すように、CPU31は、画像データ取得部M310と、動き情報取得部M320と、第1の画像データ判定部M330と、第2の画像データ判定部M340と、高解像度画像生成部M350と、を備えている。
【0034】
本実施例では、デジタルスチルカメラ20で生成された画像ファイルGFは、メモリカードMCを介してパーソナルコンピュータ30のHDD34内に記憶され、CPU31で実行される処理において利用可能となる。なお、デジタルスチルカメラ20で生成された画像ファイルGFを、一旦HDD34によって記憶する構成に代えて、パーソナルコンピュータ30とデジタルスチルカメラ20とを接続してデジタルスチルカメラ20から逐次データを取得することとしても良い。図6の高解像度画像生成処理は、例えば、操作部40からユーザの指示が入力されることにより開始されることとしても良く、パーソナルコンピュータ30が備えるスロットにメモリカードMCが差し込まれることで自動的に開始されることとしても良い。
【0035】
図6の高解像度画像生成処理を実行する際には、CPU31は、まず、HDD34に記憶した画像ファイルGFを読み出し、画像ファイルGFに記録された動画像データMDを再生する。動画像データMDの再生中に、ユーザによってフレーム画像データの取得指示が入力されると、CPU31の画像データ取得部M310は、動画像データMDを構成するフレーム画像データGD1〜GDnの中から、時系列に連続する複数のフレーム画像データを取得する(ステップS100)。本実施例では、画像データ取得部M310は、再生中の動画像データMDの内、ユーザーに指示されたタイミングの前後から時系列に連続する4フレーム分のフレーム画像データを、高解像度画像データの生成に利用するために取得している。
【0036】
図7は、ステップS100において動画像データMDから4つのフレーム画像データが取得された様子を表わす説明図である。本実施例では、動画像データMDの再生中にユーザが指示を入力したタイミングに相当するフレーム画像データ、すなわちユーザにより選択されたフレーム画像データを、基準フレーム画像データとして取得している。また、基準フレーム画像データと時系列順に連続する2つの画像データ、および、基準フレーム画像データから時系列をさかのぼって1つ前のフレーム画像データ、という3つのフレーム画像データを、調査対象フレーム画像データとして取得している。
【0037】
以下の説明では、取得した4つのフレーム画像データに対して、時系列順を表わすフレーム番号aを付すこととし、各フレーム画像データをフレーム画像データFaと呼び、フレーム画像データFaが表わす画像を画像faと呼ぶこととする。ここで、フレーム番号aは、基準フレーム画像データが0となるように設定している。すなわち、基準フレーム画像データはフレーム画像データF0であり、調査対象フレーム画像データは、フレーム画像データF-1、F1、F2である。ステップS100で上記4つのフレーム画像データが取得される際には、CPU31は、これら4つのフレーム画像データをRAM33に一時的に格納する。
【0038】
ステップS100でフレーム画像データが取得されると、CPU31の動き情報取得部M320は、画像ファイルGFから、ステップS100で取得されたフレーム画像データF-1〜F2と関連付けられた付属情報を取得する(ステップS110)。取得される付属情報には、角速度VX、VY、VZと、画素ピッチsと焦点距離fおよび角速度検出周期Tが含まれる(図4参照)。以下、フレーム画像データFaと関連付けられた角速度、すなわち、フレーム画像データFaの生成時におけるXYZ軸回り角速度を、それぞれVXa、VYa、VZa(a=-1,0,1,2)と呼ぶこととする。なお、本実施例のステップS100およびS110では、フレーム画像データF-1〜F2に加えて、フレーム画像データF-1よりも時系列をさかのぼってさらに1つ前のフレーム画像データF-2についても、同様に、フレーム画像データおよび角速度情報がRAM33に格納される。フレーム画像データF-2については後述する。
【0039】
その後、第1の画像データ判定部M330は、ステップS110で取得された付属情報である角速度VX、VY、VZに基づいて、ステップS100で取得された3つの調査対象フレーム画像データの各々が、高解像度画像データを生成するために適しているか否かを判定すると共に、適していると判定された調査対象フレーム画像データを、高解像度画像の生成に用いる候補として選択する(ステップS120)。すなわち、ステップS120の処理では、角速度VX、VY、VZに基づいて、各フレーム画像データの生成時(撮影時)におけるデジタルスチルカメラ20の動きの大きさを求める。より具体的には、時系列で1つ前のフレーム画像の生成時から、あるフレーム画像データの生成時までの間の、デジタルスチルカメラ20の動きを表わす動き量を求める。そして、デジタルスチルカメラ20の動き量が大きいときには、新たに生成されたそのフレーム画像データが表わすフレーム画像にぶれが生じているものと推定して、このフレーム画像データを高解像度画像データを生成するための処理から除外する。ステップS120の角速度VX、VY、VZに基づくフレーム画像選択処理については、後に詳述する。
【0040】
ステップS120の次には、第2の画像データ判定部M340が、ステップS120で選択された各調査対象フレーム画像データについて、高解像度画像データを生成するために適しているか否かを、画像データを解析すること(画像解析)によってさらに判定する。このような判定は、各調査対象フレーム画像について、時系列で1つ前のフレーム画像との間の位置ずれを画像解析により求めて、位置ずれが所定値よりも大きいときには、高解像度画像データを生成するために適しない程度に調査対象フレーム画像においてぶれが生じていると推定することにより行なう。そして、1つ前のフレーム画像との間の位置ずれ量が小さいフレーム画像データは、高解像度画像データを生成するために適していると判定して、適していると判定された調査対象フレーム画像データを、高解像度画像の生成に用いる画像データとして選択する(ステップS130)。なお、ステップS120のフレーム画像選択処理で用いている角速度VX、VY、VZを検出した角速度センサは、デジタルスチルカメラ20の動きの内、回転移動は検知できるが、平行移動を検知することはできない。ステップS130では、画像データを解析することによって、角速度センサでは検知できないデジタルスチルカメラ20の動きに起因するフレーム画像のずれを検知することが可能となる。
【0041】
その後、高解像度画像生成部M350が、ステップS130で選択された調査対象フレーム画像データおよび基準フレーム画像データを合成して、より解像度が高い画像データを新たに生成する(ステップS140)。なお、ステップS130の画像解析によるフレーム画像選択処理と、ステップS140の高解像度画像合成処理については、さらに後に説明する。
【0042】
C.角速度に基づくフレーム画像選択処理:
以下、図6のステップS120である角速度に基づく画像選択処理について説明する。図8は、角速度に基づく画像選択処理の概要を表わすフローチャートである。まず、CPU31は、3つの調査対象フレーム画像f-1、f1、f2から、注目フレーム画像を一つ設定する(ステップS200)。本実施例では、フレーム番号aが小さい順に注目フレーム画像に設定しており、最初は調査対象フレーム画像f-1を注目フレーム画像とする。
【0043】
次に、CPU31は、設定した注目フレーム画像faの画像データFaを取得した際のデジタルスチルカメラ20におけるXYZ軸周りの角変位量θXa、θYa、θZaを算出する(ステップS210)。既述したように、図8のフレーム画像選択処理は、注目フレーム画像データFa生成時におけるデジタルスチルカメラ20の動きの大きさが大きいときに、注目フレーム画像faにぶれが生じていると推定して、そのフレーム画像データFaを高解像度画像生成処理から除外するための処理である。そのため本実施例では、上記注目フレーム画像データFa生成時におけるデジタルスチルカメラ20の動きの大きさとして、1つ前のフレーム画像データFa-1の生成時から注目フレーム画像データFaの生成時までの間の、デジタルスチルカメラ20の動きの大きさを表わす角変位量θXa、θYa、θZaを用いている。注目フレーム画像データFaの生成時を時刻taとすると、注目フレーム画像データFaの生成時における角変位量θXa、θYa、θZaは、それぞれ、XYZ軸周りの角速度VX、VY、VZを、時刻ta-1から時刻taまで積分した値として与えられる。フレーム画像データFaの生成時における角変位量θXa、θYa、θZaを表わす式を以下に式(1)、(2)、(3)として示す。
【0044】
【数1】

【0045】
なお、角速度検出周期Tが、各フレーム画像間の撮影間隔よりも短い場合には、角速度検出周期Tごとに角速度を積分した値を、時刻ta-1から時刻taまでの間で足し合わせることによって、各角変位量を求めることができる。このように、角速度検出周期Tが短いほど、角変位量θXa、θYa、θZaを、より正確に算出することが可能となる。
【0046】
角変位量θXa、θYa、θZaを求めると、CPU31は、算出した角変位量が、予め設定した所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS220)。以下に、ステップS220で判断基準とする閾値について説明する。
【0047】
上記閾値は、1つ前のフレーム画像データ生成時から注目フレーム画像データFa生成時までの間のデジタルスチルカメラ20の動きの大きさが、注目フレーム画像faに許容できない程度のぶれを生じ得るものであるか否かを判断するための値である。本実施例では、この閾値を、デジタルスチルカメラ20が動くことによって1つ前のフレーム画像と注目フレーム画像faとの間に生じる位置ずれ(以下、フレーム間位置ずれともいう)に基づいて設定している。
【0048】
ここで、フレーム画像間に生じる位置ずれは、並進ずれと、画像の中心を軸とした回転方向のずれ(回転ずれ)との組み合わせとして表わすことができる。図9は、注目フレーム画像faにおけるフレーム間位置ずれを示す説明図である。図9では、図3に示したデジタルスチルカメラ20におけるXY軸に対応するフレーム画像上でのXY軸を、仮想的に示している。図9に示すように、フレーム間位置ずれは、X軸方向の並進ずれuaとY軸方向の並進ずれvaと回転ずれδaとによって表わすことができる。
【0049】
図10は、デジタルスチルカメラ20のX軸周りの動きと、撮像デバイス144上における被写体の位置ずれとの関係を示す説明図である。図10は、デジタルスチルカメラ20がX軸周りに角変位量θXだけ動く(ぶれる)ことによって、撮像デバイス144およびレンズ142に対する被写体の位置が、記号Hで示す位置から記号H’で示す位置へと変化した様子を模式的に示している。このようなデジタルスチルカメラ20に対する被写体の相対的なずれは、撮像デバイス144で生成されるフレーム画像間の位置ずれ(図10では、Y軸方向のずれv)に対応している。したがって、撮像デバイス144で生成されるフレーム画像間に生じるフレーム間位置ずれ(v)と、角変位量θXとの間には、一定の関係が成立する。同様に、フレーム間位置ずれ(u)と角変位量θYとの間、および、フレーム間位置ずれ(δ)と角変位量θZとの間にも、一定の関係が成立する。図10に示すように、撮像デバイス144上における1画素分(画素ピッチs分)のずれに相当するX軸あるいはY軸周りの角変位量をθpixとし、並進ずれua、vaは画素単位でのずれを表わすこととすると、フレーム間位置ずれua、va、δaは、以下の式(4)〜(6)で表わされる。
【0050】
ua=θYa/θpix …(4)
va=−θXa/θpix …(5)
δa=−θZa …(6)
【0051】
式(4)〜(6)を変形すると、以下の式(7)〜(9)が得られる。
θXa=−va×θpix …(7)
θYa=ua×θpix …(8)
θZa=−δa …(9)
【0052】
式(7)〜(9)より、高解像度画像を生成するために用いるフレーム画像データFaの画像faとして許容できるフレーム間位置ずれ(ua、va、δa)を適宜設定することで、ステップS220の判断で用いる閾値の値(θtXa、θtYa、θtZa)を設定することができる。なお、θpixは、デジタルスチルカメラ20の焦点距離fと、撮像デバイス144の画素ピッチsとを用いて、以下の式(10)で表わされる。
θpix=tan-1(s/f)≒s/f …(10)
【0053】
以下に、具体的な数値を挙げて、閾値の算出を例示する。許容できるフレーム間位置ずれは、要求する画質などに応じて任意の値に設定可能であるが、例えば16pixel以内とすることができる。すなわち、
|ua|≦16 …(11)
|va|≦16 …(12)
とすることができる。また、焦点距離f=5.1mm、画素ピッチs=7.2μmの場合には、θpixは以下の値となる。
θpix≒s/f=7.2×10-3/5.1=0.0014(rad) …(13)
したがって、式(7)、(8)、(10)〜(13)より、並進ずれの閾値θtXa,θtYaは、以下のように設定される。
θtXa:|θtXa|≦16×0.0014=0.0224(rad)=1.28°…(7')
θtYa:|θtYa|≦16×0.0014=0.0224(rad)=1.28°…(8')
【0054】
また、回転ずれは、640(pixel)×480(pixel)のフレーム画像である場合に、中心から横方向に最も遠く(320pixel)離れた位置で、16(pixel)までのずれを許容するならば、
|δa|≦16/320=0.05(rad)=2.9° …(14)
となる。したがって、式(9)および(14)より、回転ずれの閾値θtZaは、
θtZa:|θtZa|≦2.9° …(9')
となる。ステップS220では、式(7')、(8')、(9')のように求めた閾値(θtXa,θtYa,θtZa)を用いて、ステップS210で算出した角変位量θXa、θYa、θZaが閾値以下であるか否かを判断する。
【0055】
図8に戻り、ステップS220で角変位量θXa、θYa、θZaが閾値以下と判断されると、CPU31は、現在の注目フレーム画像データFaを、後の画像合成のための処理対象候補として選択し(ステップS230)、引き続き、すべての調査対象フレーム画像について角変位量に基づく選択処理を行なったか否かを判断する。なお、ステップS220において、角変位量θXa、θYa、θZaが閾値を超えていると判断されると、CPU31は、現在の注目フレーム画像データFaを、後の画像合成のための処理対象候補として選択することなく、ステップS230の判断を行なう。
【0056】
既述したように、本実施例では、調査対象フレーム画像f-1、f1、f2から、フレーム番号aが小さい順に注目フレーム画像に設定している。したがって、調査対象フレーム画像f-1を注目フレーム画像としたときには、ステップS240において、CPU31はすべての調査対象フレーム画像については選択処理を終えていないと判断し、ステップS200に戻って調査対象フレーム画像f1を新たな注目フレーム画像に設定し、ステップS210以下の処理を行なう。引き続き、調査対象フレーム画像f2を注目フレーム画像とする処理を行なうと、ステップS240において、CPU31は、すべての調査対象フレーム画像について処理対象候補として選択するか否かの調査を行なったと判断し、図8のフレーム画像選択処理を終了する。
【0057】
図11は、図8のフレーム画像選択処理において、各調査対象フレーム画像f-1、f1、f2について角変位量θX、θY、θZを算出した様子を表わす説明図である。角変位量θX、θY、θZの内、1つでも上記閾値を超える値となる場合には、その調査対象フレーム画像は、処理対象候補とはならない。例示した上記条件下では、図11に示す調査対象フレーム画像の内、調査対象フレーム画像f1が、処理対象候補から除外されることになる。
【0058】
D.画像解析によるフレーム画像選択処理:
以下、図6のステップS130である画像解析に基づく画像選択処理について説明する。ステップS130の処理は、既述したように、デジタルスチルカメラ20の動きに起因するフレーム画像のずれを、画像解析によって検知し、フレーム間位置ずれが小さく、高解像度画像の生成に適したフレーム画像データを選択する処理である。ここでは、ステップS120で選択された各調査対象フレーム画像データFaについて、時系列で1つ前のフレーム画像データFa-1との間の位置ずれを、画像解析により求める。
【0059】
ステップS130における位置ずれ検出の様子を、図12に模式的に示す。例えば、図11に示したように、調査対象フレーム画像データの内、フレーム画像データF-1およびF2が、ステップS120において処理対象候補として選択された場合には、ステップS130では、フレーム画像データF-1およびF2を、順次、注目フレーム画像データFaに設定する。これによって、フレーム画像データF-1とF-2、および、フレーム画像データF2とF1との間の位置ずれが順次求められる。図12では、ずれ量算出が行なわれるフレーム画像間を、実線矢印で示している。
【0060】
ステップS130で行なう画像解析の方法は、例えば、フレーム画像データ間の各画素の輝度を用いて1画素よりも細かい単位で画素の位置を推定する勾配法を用いることができる。以下に、勾配法の概要について説明する。
【0061】
図9に示したように、2つのフレーム画像間の位置ずれは、X軸方向の並進ずれuaとY軸方向の並進ずれvaと回転ずれδaとによって表わすことができる。以下の説明では、表記の簡素化のため、フレーム番号aに対するフレーム番号a-1を、フレーム番号bと表記することとする。図13は、勾配法によるフレーム間位置ずれの算出方法を示す説明図である。図13(a)は、フレーム画像fa、fb上の所定の画素における輝度を示しており、図13(b)は、勾配法の原理を示している。ここで、注目フレーム画像faは、画像中心を原点とし、横方向をXa軸、縦方向をYa軸とする直交座標系を有しており、(xai,yai)は、注目フレーム画像fa上の一の画素の座標を表わす。ここで、Ba(xai,yai)は、その画素の輝度を表わしている。また、フレーム画像fbは、画像中心を原点とし、横方向をXb軸、縦方向をYb軸とする直交座標系を有しており、フレーム画像fbにおいても同様に画素の座標およびその輝度を表記している。なお、ここでは、注目フレーム画像fa上の座標(xai,yai)の画素に対応する画素が、フレーム画像fb上の座標(xbi〜xbi+1,ybi〜ybi+1)の範囲に存在するものとし、その座標を、(xbi+Δxi,ybi+Δyi)とする。ここで、iは、各画素を区別する番号である。
【0062】
図13(b)に示すように、注目フレーム画像faにおける座標(xai,yai)の画素に対応する画素が、フレーム画像fb上の座標(xbi+Δxi,ybi+Δyi)にあるものとし、
ΔBxi=Bb(xbi+1,ybi)−Bb(xbi,ybi) …(15)
とすると、
ΔBxi・Δxi=Ba(xai,yai)−Bb(xbi,ybi) …(16)
が成り立つ。ここで、Ba(xai,yai)およびBb(xbi,ybi)を単にBa,Bbと表わすと、
ΔBxi・Δxi−(Ba−Bb)=0 …(17)
を満たすΔxiを求めれば、注目フレーム画像faのX軸方向の並進ずれ量を求めることができる。
【0063】
同様にして、
ΔByi=Bb(xbi,ybi+1)−Bb(xbi,ybi) …(18)
とすると、
ΔByi・Δyi=Ba(xai,yai)−Bb(xbi,ybi) …(19)
が成り立つ。ここで、Ba(xai,yai)およびBb(xbi,ybi)を単にBa,Bbと表わすと、
ΔByi・Δyi−(Ba−Bb)=0 …(20)
を満たすΔyiを求めれば、注目フレーム画像faのY軸方向の並進ずれ量を求めることができる。
【0064】
ここで、式(17)および式(20)を満たすΔxi,Δyiを求めれば、注目フレーム画像faにおける座標(xai,yai)の画素に対応する画素の、フレーム画像fb上における位置が分かることになる。この考え方を拡張して、注目フレーム画像faを構成する全ての画素について共通するフレーム間位置ずれ(ua,va,δa)を求めるには、最小自乗法を用いて以下のS2を最小にすればよい。
2=Σ{ΔBxi・Δxi+ΔByi・Δyi−(Ba−Bb)}2 …(21)
【0065】
ここで、フレーム間位置ずれ(ua,va,δa)と、各画素についてのΔxi、Δyiとの関係を以下に説明する。図14は、画素の回転ずれ量を模式的に示す説明図である。フレーム画像fbの座標(xb,yb)の原点Oからの距離をrとし、Xb軸からの回転角度をθとすると、r,θは、以下の式で表わされる。
r=(xb2+yb21/2 …(22)
θ=tan-1(yb/xb) …(23)
【0066】
ここで、注目フレーム画像faとフレーム画像fbとの間に並進ずれはなく、回転ずれのみが発生しているものとし、注目フレーム画像faにおける座標(xa,ya)の画素が、フレーム画像fb上の座標(xb,yb)の位置から回転ずれ量δaだけ回転した座標(xb’,yb’)にあるとする。この回転ずれ量δaによるXb軸方向の移動量Δxと、Yb軸方向の移動量Δyとは、以下の式により求められる。なお、回転ずれ量δaは微少量であるとして、cosδa≒1、sinδa≒δの近似式を用いている。
Δx=xb’−xb≒−r・δa・sinθ=−δa・yb …(24)
Δy=yb’−yb≒r・δa・cosθ=δa・xb …(25)
【0067】
したがって、式(21)における各画素についてのΔxi、Δyiは、フレーム間位置ずれ(ua、va、δa)を用いて、以下の式のように表わすことができる。
Δxi=ua−δa・ybi …(26)
Δyi=va+δa・xbi …(27)
【0068】
上記式(26),(27)を、上記式(21)に代入すると、以下の式が得られる。
2=Σ{ΔBxi・(ua−δa・ybi)+ΔByi・(va+δa・xbi)−(Ba−Bb)}2 …(28)
【0069】
すなわち、式(28)のS2を最小にするua、va、δaを最小自乗法によって求めることで、フレーム間位置ずれを、精度良く検出することができる。なお、実施例では、図6のステップS130において、上記した勾配法によりフレーム間位置ずれを算出することとしたが、画素解析によりずれ量を求めることができれば他の手法を用いても良い。
【0070】
図6のステップS130では、ステップS120で選択された各調査対象フレーム画像データFaについて、フレーム間位置ずれを画像解析により上記のようにして求め、求めたフレーム間位置ずれに基づいて、位置ずれが小さく高解像度画像を生成するために適したフレーム画像を選択する。このような選択処理は、ステップS120における選択処理と同様に、算出したフレーム間位置ずれ(ua,va,δa)と、所定の閾値とを比較して、閾値を超える値を示すフレーム画像を除外することにより行なえばよい。用いる閾値は、ステップS120と同じ(式(7')、(8')、(9')参照)であっても良く、異なる値としても良い。
【0071】
E.合成処理:
ステップS140では、ステップS120およびS130を経て、最終的にステップS130で選択された調査対象フレーム画像データ(以下、合成用フレーム画像データと呼ぶ)を用いて、高解像度画像データの生成を行なう。高解像度画像を生成する際には、まず、基準フレーム画像f0と、各合成用フレーム画像データが表わす画像(合成用フレーム画像)との間の位置ずれ量を求める。すなわち、ステップS130では、ステップS120で選択された調査対象フレーム画像の各々について、時系列で1つ前のフレーム画像との間のずれ量を算出したが、ステップS140では、改めて、各合成用フレーム画像と基準フレーム画像とのずれ量を算出するのである。ステップS140で行なわれるずれ量算出の様子を、既述した図12に併せて示している。図12では、ステップS120で調査対象フレーム画像データF1が除外され、ステップS130では、残りのいずれの調査対象フレーム画像データも除外されなかった場合を例示している。この場合には、ステップS140では、基準フレーム画像f0と調査対象フレーム画像f-1との間のずれ量、および、基準フレーム画像f0と調査対象フレーム画像f2との間のずれ量が算出される。基準フレーム画像f0との間のずれ量は、ステップS130におけるフレーム間位置ずれの計算と同様にして、画素解析により行なえばよい。
【0072】
なお、ステップS140では、ステップS130において算出したフレーム間位置ずれを利用して、基準フレーム画像f1との間のずれ量を算出可能となる場合がある。例えば、調査対象フレーム画像f1がステップS120で除外されておらず、ステップS130では、調査対象フレーム画像f1と基準フレーム画像f0との間のフレーム間位置ずれが算出されたとする。この場合には、ステップS140で基準フレーム画像f0と調査対象フレーム画像f2との間のずれ量を算出する際には、ステップS130で算出した調査対象フレーム画像f1におけるフレーム間位置ずれ(画像f0−f1間)と、調査対象フレーム画像f2におけるフレーム間位置ずれ(画像f1−f2間)とを積算すればよい。
【0073】
図15,16は、ずれ量算出に引き続き実行される高解像度画像生成のための処理の様子を示す図である。図15は、基準フレーム画像f0と、合成用フレーム画像f-1,f2とを、ずれ量を補正して配置した様子を拡大して示している。図15では、画像合成処理によって生成される高解像度画像データが表わす画像(以下、高解像度画像とよぶ)の各画素が、黒丸で示されていると共に、基準フレーム画像f0の各画素が白抜きの四辺形で示され、合成用フレーム画像f-1,f2の各画素が、ハッチングを付した四辺形で示されている。なお、高解像度画像の画素密度は、基準フレーム画像f0に対して、縦横1.5倍密に設定されるものとする。また、高解像度画像の各画素は、2画素おきに基準フレーム画像f0の各画素に重なる位置にあるものとする。ただし、高解像度画像の画素が、必ずしも基準フレーム画像f0の各画素に重なる位置にある必要はない。例えば、高解像度画像の各画素のすべてが、上記のように基準フレーム画像f0の画素と重なる代わりに、基準フレーム画像f0の画素の中間に位置するなど、重なり具合を任意に変更することが可能である。また、高解像度画像の画素密度も、縦横1.5倍密に限られるものではなく、任意の値に設定可能である。
【0074】
高解像度画像が有する一の画素である画素G(j)に注目して説明する。以下、画素(j)を、注目画素と呼ぶ。ここで、変数jは、高解像度画像の全画素を区別する番号を示している。CPU31は、各フレーム画像f-1,f0,f2において、注目画素G(j)に対して最も近い画素(それぞれ、画素P(-1),P(0),P(2))と、注目画素G(j)との距離L-1,L0,L2とを算出する。そして、CPU31は、注目画素G(j)に最も近い距離にある画素(以下、「最近傍画素」と呼ぶ)を決定する。図15の例では、L2<L0<L-1であるので、フレーム画像f2の画素P(2)が、注目画素G(j)の最近傍画素として決定される。なお、このように決定された最近傍画素が、合成用フレーム画像f2のi番目の画素であるとして、以下、最近傍画素P(2,i)と表記する。
【0075】
CPU31は、高解像度画像を構成するすべての画素を、順次注目画素に設定して、上記した処理を繰り返し実行し、それぞれの画素について最近傍画素を決定する。
【0076】
CPU31は、注目画素G(j)の画素値を、決定された最近傍画素を含む画像(図15に示す例では、フレーム画像f2)において注目画素G(j)を囲む画素の画素値を用いて、バイ・リニア法などの補間処理によって生成する。図16は、バイ・リニア法による補間処理について示す説明図である。注目画素G(j)は、フレーム画像f-1,f0,f2のいずれにも存在しない画素であるので、画素値が存在していない。そこで、CPU31は、最近傍画素P(2,i)の他、注目画素G(j)を囲む3つの画素P(2,i+1)、P(2,k)、P(2,k+1)で区画される領域を、上記最近傍画素を含む4つの画素と注目画素G(j)との位置関係に基づいて4つの区画に分割し、その面積比で対角位置の画素の画素値をそれぞれ重み付けして加算することにより、注目画素G(j)の画素値を生成する。ただし、kは、i番目の画素にフレーム画像f2の横方向の画素数を加えた画素の番号を示している。
【0077】
CPU31は、高解像度画像を構成するすべての画素について、上述した処理によって画素値を生成し、高解像度画像を合成する。なお、画素補間処理の方法については、バイ・リニア法の他、バイ・キュービック法やニアレストネイバ法等の種々の補間方法を用いることができる。
【0078】
以上のように構成された本実施例の画像処理装置によれば、高解像度画像合成処理に先立って、撮影時にデジタルスチルカメラ20の動きが所定の閾値以上であったフレーム画像データを予め除外し、上記動きが小さかったフレーム画像データだけを選択して用いるため、高画質化に充分に寄与しない画像を用いて合成を行なってしまうことがなく、生成した画像において、充分な高画質化が実現可能となる。その際、角速度センサの検出値から比較的単純な積分計算により算出される角変位量に基づいて上記選択を行なうため、高画質化に充分に寄与しないと判断されるべき画像データに対して、複雑な画素解析を行なう必要がない。このように、高画質化に寄与する可能性の高い画像データに対してだけ画素解析を行なえばよいため、効率よく高解像度画像を生成することができ、高解像度画像を生成する処理を高速化することができる。さらに、本実施例では、デジタルスチルカメラ20の動き情報に基づいて、高画質化に充分に寄与しないフレーム画像データを処理対象から排除することで、画素解析を伴う処理の対象となるフレーム画像データの数が減るため、画質向上の性能を維持しつつ、さらなる処理の高速化が可能となる。
【0079】
なお、角速度センサは、一般に、回転移動を検知することはできるが、平行移動を検知することはできない。本実施例では、ステップS120の角速度に基づくフレーム画像選択処理に引き続き、画素解析によるフレーム画像選択処理を行なっているため、デジタルスチルカメラ20における角速度センサでは検出できない動きに起因して画像にぶれが生じた場合にも、このような画像を、合成処理の対象から除外すことができる。これにより、高画質化に充分に寄与しないフレーム画像を、精度良く処理対象から排除することができる。
【0080】
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0081】
F1.変形例1(動き情報に関する変形例):
実施例では、画像データの生成時におけるデジタルスチルカメラ(画像生成装置)の動きに関する情報(画像生成時動き情報)を、デジタルスチルカメラ20に搭載した角速度センサによって検出しているが、異なる種類のセンサを用いることとしても良い。例えば、角加速度を検出するセンサや、角変位量を検出するセンサ、あるいは、平行移動を検知する加速度センサを、角速度センサに代えて、あるいはさらに加えて用いることとしても良い。ここで、画像生成装置の動きが撮影された画像に影響する程度は、通常は、画像生成装置が平行移動するときよりも、回転移動するときの方がはるかに大きい。したがって、回転移動を検出可能なセンサ(角速度センサ、角加速度センサ、角変位量センサ等)を少なくとも備えることが望ましい。CPU31は、角加速度が与えられる場合には、角加速度を積分して角速度を算出し、さらにこれを積分して角変位量を求めれば良く、角変位量が与えられる場合には、そのまま閾値と比較して、フレーム画像の選択に用いることが可能となる。なお、等速の回転運動を検出するためには、回転移動を検出可能な上記センサの中でも、角速度センサまたは角変位量センサを用いることとすればよい。いずれのセンサを用いる場合にも、さらにステップS130に示したような画像解析によるフレーム画像選択処理を行なうならば、センサにより検出できないフレーム画像のずれを検出して、フレーム画像の選択をより適切に行なうことが可能となる。
【0082】
また、ステップS120の角速度に基づくフレーム画像選択処理における角変位量の算出に先だって、検出値である角速度だけに基づいて、予めさらなるフレーム選択を行なうこととしても良い。すなわち、角速度の閾値として、角変位量を計算すると閾値を超える可能性が高いと考えられる所定の基準値を定めておき、あるフレーム画像データの生成時に対応する角速度の値が、この基準値を超える値を有するときには、角変位量を算出することなくそのフレーム画像データを処理対象から排除することとしても良い。
【0083】
F2.変形例2(フレーム画像選択に関する変形例):
実施例では、ステップS100でフレーム画像データを取得する際に、基準フレーム画像データと共に、基準フレーム画像データに対して時系列で前1フレームと後2フレームとを調査対象フレーム画像データとして取得したが、後3フレームを取得、あるいは、前2フレームと後1フレームとを取得するなど、異なる取得法としても良い。また、3フレーム以外の複数のフレーム数に相当するフレーム画像データを取得しても良い。
【0084】
実施例では、処理対象から排除されたフレーム画像データがある場合には、そのまま処理対象のフレーム画像データ数を減らして、全体の処理速度を高速化しているが、処理対象のフレーム画像データ数を一定数確保して、さらなる高画質化を図ることとしても良い。例えば、ステップS100において、調査対象フレーム画像データを、基準フレーム画像データに対して前後5フレーム、計10フレーム取得して、ステップS120で算出したフレーム間位置ずれがより小さいフレーム画像データを、時系列で基準フレーム画像データに近い順に所定数選択して処理対象とすることとしても良い。このような処理の具体例を図17に示す。図17の例では、角変位量の値が既述した閾値以下である調査対象フレーム画像データの内、時系列で基準フレーム画像データに近い順に、フレーム画像データF-2,F-1,F1が選択されている。この場合にも、高画質化に充分に寄与しない可能性の高い画像データを用いて画素解析を行なうことがないため、処理の高速化の効果が得られる。
【0085】
実施例では、ユーザによる指示のタイミングに応じて基準フレーム画像データを設定しているが、異なる方法で基準フレーム画像データを設定しても良い。例えば、ユーザによる指示のタイミングに対応するフレーム画像データの近傍から、画像生成時動き情報に基づいて、フレーム間位置ずれの一番小さいフレーム画像データを、基準フレーム画像データとして設定することとしても良い。これにより、ユーザが指示入力した際の意図に沿いつつ、さらなる高画質化が可能となる。
【0086】
F3.変形例3(処理の工程における変形例):
実施例では、ステップS120の画像選択処理に加えて、さらにステップS130の画像解析による画像選択処理を行なうことで、センサでは検知できない画像生成装置の動きがあった場合にも、高画質化を確保可能としているが、画像解析による画像選択処理を行なわないこととしても良い。たとえば、画像生成装置の平行移動はフレーム画像のずれへの影響が少ないため、平行移動を検出できない角速度センサ等のセンサを用いる場合に、ステップS130の画像解析による画像選択処理を行なわないこととしても良い。この場合には、角速度情報からずれ量を算出し(式(4),(5),(6)参照)、算出したずれ量を用いて合成処理を行なうことで、処理の高速化を図っても良い。この場合にも、画像生成時動き情報に基づいて予め画像選択することで、処理時間を短縮すると共に高画質を確保する効果を得ることができる。
【0087】
実施例では、焦点距離fは一定としたが、ズーム機能を利用して焦点距離を変化させても良い。この場合には、焦点距離の情報も各フレーム画像データと関連づけて記憶されるため、フレーム画像データ毎に対応する焦点距離を用いて、既述した計算を行なえばよい。
【0088】
F4.変形例4(装置構成における変形例):
実施例では、高解像度画像データを生成するために、デジタルスチルカメラ20の動画撮影モードで生成された動画像データから複数のフレーム画像データを取得しているが、時系列に連続して生成された複数のフレーム画像データを、異なる態様により取得しても良い。例えば、デジタルスチルカメラにおける静止画像撮影モードの連写モードで撮影された複数の画像データを取得しても良く、あるいは、デジタルビデオカメラで撮影された動画像データを取得しても良い。
【0089】
また、実施例のデジタルスチルカメラ20では、角速度センサが検出した角速度VX,VY,VZを、そのまま画像ファイルGFに記憶して、画像処理装置として機能するパーソナルコンピュータ30に供しているが、デジタルスチルカメラ20内の制御部100内で積分処理を実行し、算出した角変位量を出力することとしても良い。このような場合には、角変位量θX、θY、θZと画像データとを関連付けて、画像ファイルGFを作成すればよい。この場合には、パーソナルコンピュータ30のCPU31は、入力した角変位量θX、θY、θZと既述した所定の閾値とを比較することで、直ちにフレーム画像の選択を行なうことができる。
【0090】
あるいは、実施例では画像処理装置としての機能をパーソナルコンピュータ30が備えることとしたが、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の画像生成装置や、プリンタ等の出力装置に、画像処理装置としての機能を備えさせてもよい。
【0091】
また、実施例では、画像生成装置の動き情報を生成するセンサを、画像生成装置であるデジタルスチルカメラ自身が備えることとしたが、センサと画像生成装置とを別体とする構成も可能である。例えば、デジタルスチルカメラ20を三脚に固定する際に用いる雲台に角速度センサを設けても良い。このような場合には、例えば、デジタルスチルカメラ20のメモリカードMCとは別の記録媒体に、角速度センサの検出値を、画像データの生成のタイミングと関連付けて記憶しておけばよい。そして、画像処理時に、経時的に連続して生成された複数のフレーム画像データの各々の生成タイミングと、角速度の検出タイミングとの時間軸上での対応関係が認識できればよい。これによって、実施例と同様の処理を行ない、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】画像処理システム10の構成を表わす説明図である。
【図2】デジタルスチルカメラ20の概略構成を表わす説明図である。
【図3】デジタルスチルカメラ20の向きの変化を説明する概略図である。
【図4】画像ファイルGFの構成を模式的に示す説明図である。
【図5】CPU31における高解像度画像生成処理に関する機能ブロック図である。
【図6】高解像度画像生成処理の概要を表わすフローチャートである。
【図7】動画像データMDから4つのフレーム画像データが取得された様子を表わす説明図である。
【図8】角速度に基づく画像選択処理の概要を表わすフローチャートである。
【図9】注目フレーム画像faにおけるフレーム間位置ずれを示す説明図である。
【図10】デジタルスチルカメラ20のX軸周りの動きと、撮像デバイス144上における被写体の位置ずれとの関係を示す説明図である。
【図11】調査対象フレーム画像f-1、f1、f2について角変位量θX、θY、θZを求めた様子を表わす説明図である。
【図12】位置ずれ量を求める様子を模式的に表わす説明図である。
【図13】勾配法によるフレーム間位置ずれの算出方法を示す説明図である。
【図14】画素の回転ずれ量を模式的に示す説明図である。
【図15】高解像度画像生成のための処理の様子を示す図である。
【図16】高解像度画像生成のための処理の様子を示す図である。
【図17】フレーム画像選択に関する変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0093】
10…画像処理システム
20…デジタルスチルカメラ
30…パーソナルコンピュータ
31…CPU
32…ROM
33…RAM
34…HDD
35…I/F回路
40…操作部
41…キーボード
42…マウス
43…ディスプレイ
50…カラープリンタ
100…制御部
110…コントローラ
120…画像処理部
130…信号変換部
140…撮影部
142…レンズ
144…撮像デバイス
150…メモリカードドライブ
161,162,163…角速度センサ
M310…画像データ取得部
M320…情報取得部
M330…第1の画像データ判定部
M340…第2の画像データ判定部
M350…高解像度画像生成部
R100…主情報格納領域
R110…付属情報格納領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の画像生成装置によって時系列に連続して生成された複数の画像データを用いて、より解像度の高い高解像度画像データを生成する画像処理装置であって、
前記複数の画像データを取得する画像データ取得部と、
前記取得した画像データと関連付けられており、該取得した画像データの各々の生成時における前記画像生成装置の動きに関する情報である画像生成時動き情報を、取得する動き情報取得部と、
前記複数の画像データの各々に対応する前記画像生成時動き情報に基づいて、各々の前記画像データが、前記高解像度画像データを生成するために適しているか否かを判定する第1の画像データ判定部と、
前記複数の画像データから、前記第1の画像データ判定部により前記高解像度画像データを生成するために適していないと判定された画像データを除外して、前記高解像度画像データを生成する高解像度画像生成部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記画像生成時動き情報は、前記画像生成装置に備えられたセンサが検出した情報、または、前記センサが検出した情報に基づいて算出される情報である
画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像処理装置であって、
前記画像生成時動き情報は、前記画像生成装置の向きの変化を示す角変位量、角速度、角加速度のうちの、少なくともいずれかを含む
画像処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像処理装置であって、
前記画像生成装置の向きの変化は、前記画像生成装置におけるピッチ方向の角度変化と、前記画像生成装置におけるヨー方向の角度変化と、前記画像生成装置におけるロール方向の角度変化とのうちの、少なくとも一つを含む
画像処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載の画像処理装置であって、
前記第1の画像データ判定部は、所定の画像データの生成時に対応する前記画像生成時動き情報に基づく前記画像生成装置の動き量が、前記所定の画像データが表わす画像と時系列で1つ前の画像データが表わす画像との間の対応する画素間のずれ量として許容できるずれ量に基づいて定められる所定値を超えるときに、前記所定の画像データは前記高解像度画像データを生成するために適していないと判定する
画像処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか記載の画像処理装置であって、さらに、
前記第1の画像データ判定部が前記高解像度画像データを生成するために適していると判定した画像データについて、該画像データを解析することによって、前記高解像度画像データを生成するために適しているか否かをさらに判定する第2の画像データ判定部を備え、
前記高解像度画像生成部は、第2の画像データ判定部によって前記高解像度画像データを生成するために適していないと判定された画像データを、前記複数の画像データからさらに除外して、前記高解像度画像データを生成する
画像処理装置。
【請求項7】
所定の画像生成装置によって時系列に連続して生成された複数の画像データを用いて、より解像度の高い高解像度画像データを生成する画像処理方法であって、
(a)前記複数の画像データを取得する工程と、
(b)前記取得した画像データと関連付けられており、該取得した画像データの各々の生成時における前記画像生成装置の動きに関する情報である画像生成時動き情報を、取得する工程と、
(c)各々の前記画像データと、該画像データに対応する前記画像生成時動き情報とに基づいて、各々の前記画像データが、前記高解像度画像データを生成するために適しているか否かを判定する工程と、
(d)前記複数の画像データから、前記(c)工程において前記高解像度画像データを生成するために適していないと判定された画像データを除外して、前記高解像度画像データを生成する工程と
を備える画像処理方法。
【請求項8】
所定の画像生成装置によって時系列に連続して生成された複数の画像データを用いて、より解像度の高い高解像度画像データを生成する画像処理を実行するコンピュータプログラムであって、
前記複数の画像データを取得する画像データ取得機能と、
前記取得した画像データと関連付けられており、該取得した画像データの各々の生成時における前記画像生成装置の動きに関する情報である画像生成時動き情報を、取得する動き情報取得機能と、
各々の前記画像データと、該画像データに対応する前記画像生成時動き情報とに基づいて、各々の前記画像データが、前記高解像度画像データを生成するために適しているか否かを判定する第1の画像データ判定機能と、
前記複数の画像データから、前記第1の画像データ判定機能により前記高解像度画像データを生成するために適していないと判定された画像データを除外して、前記高解像度画像データを生成する高解像度画像生成機能と
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムを記載したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−41603(P2006−41603A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214297(P2004−214297)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】