説明

画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】所望タイミングでの静止画データが、高精細な状態として、且つ容易に生成され得る画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】複数の連続したフレームが含まれる動画データと、前記フレームに対応し、かつ、当該フレームよりも高い空間解像度を有する一又は複数の画像データとを取得する取得部と、前記動画データを用いて前記フレーム間の動きベクトルを検出する動き予測部と、所定の前記フレームと前記画像データに対応する前記フレームとの間の差分量を算出する差分量算出部と、前記画像データに対応する前記フレームと前記動きベクトルとに基づいて、前記所定のフレームに対応する動き補償された画像データを生成することが可能な画像生成部とを備える画像処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、デジタル映像データ(以下、映像データ)の配信に関する技術が大きく発展してきている。とりわけ、高画質な映像データの配信や記録に関する技術の発展には目を見張るものがある。その中でも、映像データの符号化及び復号に関する技術に注目が集まっている。高い空間解像度及び時間解像度を有する映像データは、そのデータサイズが非常に大きいため、その映像データを符号化した上で効率良く圧縮して配信又は記録される必要がある。そのため、高画質の映像データをより高い圧縮率で圧縮できるようにする符号化技術や、より高い空間解像度で再生できるように復号技術が求められている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1及び2には、空間解像度は低いが時間解像度の高い第1の映像データ(例えば、動画データ等)と、空間解像度は高いが時間解像度が低い第2の映像データ(例えば、静止画データの系列等)とを組み合わせて、高い空間解像度及び時間解像度を有する映像データを生成するための基礎となる技術が開示されている。この技術は、第1の映像データからフレーム間の動きベクトルを予測し、その動きベクトルと第2の映像データとを用いて、第1の映像データの高周波成分を補償するというものである。当該技術は、第2の映像データにフレームが含まれない任意時点のフレームを第1の映像データから検出された動きベクトルと、その任意時点に近い時点における第2の映像データのフレームとを用いて生成するというものである。また、下記の特許文献1及び2には、前記の技術を用いて高い空間解像度及び時間解像度を有する映像データを生成するための画像データ記録再生装置に関する記載がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−312276号公報
【特許文献2】特開2004−312277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記の画像データ記録再生装置は、動き予測と動き補償とをそれぞれ異なる空間解像度の映像データを用いて行っているため、前記の動き予測が外れると、動き補償により得られる映像データの高周波成分にノイズが付加されてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、低い空間解像度の画像データ系列で動き予測し、かつ、高い空間解像度の画像データを用いて動き補償して高い空間解像度の画像データを生成しようとした場合に、その画像データの高周波成分にノイズが付加されることを予防することが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の連続したフレームが含まれる動画データと、前記フレームに対応し、かつ、当該フレームよりも高い空間解像度を有する一又は複数の画像データとを取得する取得部と、前記動画データを用いて前記フレーム間の動きベクトルを検出する動き予測部と、任意の前記フレームと前記画像データに対応する前記フレームとの間の差分量を算出する差分量算出部と、前記画像データに対応する前記フレームと前記動きベクトルとに基づいて、前記任意のフレームに対応する動き補償された画像データを生成することが可能な画像生成部と、を備えることを特徴とする、画像処理装置が提供される。
特に、前記画像生成部は、前記差分量が所定値より小さい場合に前記画像データと同じ空間解像度を有する前記動き補償された画像データを生成し、前記差分量が所定値より大きい場合に前記任意のフレームを前記画像データと同じ空間解像度に拡大した画像データを生成することを特徴とする。
【0008】
また、前記の画像処理装置は、前記動画データと前記一又は複数の画像データとを記録する記憶部をさらに備えていてもよい。そして、前記取得部は、前記記憶部に記録された前記動画データと前記一又は複数の画像データとを取得する機能を有していてもよい。
【0009】
また、前記記憶部には、前記動画データとして、低い空間解像度及び高い時間解像度を有する第1の画像データ系列が記録され、前記一又は複数の画像データとして、前記第1の画像データ系列に含まれる前記フレームに対応するように、前記第1の画像データ系列よりも高い空間解像度及び低い時間解像度を有する第2の画像データ系列が記録されていてもよい。
【0010】
また、前記画像生成部は、前記第1の画像データ系列に含まれ、かつ、前記第2の画像データ系列に含まれないフレームを前記任意のフレームとし、当該任意のフレームに対応する前記画像データを生成して前記第2の画像データ系列の時間解像度を向上させる機能を有していてもよい。
【0011】
また、前記記憶部には、前記動画データとして、撮像された画像信号をダウンサンプリング処理して得られた画像データ系列が記録されていてもよい。
【0012】
また、前記画像生成部は、前記差分量が所定値より大きい場合、前記動き補償に際し、前記動きベクトルの参照元である前記任意のフレームと前記動きベクトルの参照先である前記画像データとが合成される比率を前記差分量に応じて変更する機能を有していてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の連続したフレームが含まれる動画データと、前記フレームに対応し、かつ、当該フレームよりも高い空間解像度を有する一又は複数の画像データとを取得する取得ステップと、前記動画データを用いて前記フレーム間の動きベクトルを検出する動き検出ステップと、所定の前記フレームと前記画像データに対応する前記フレームとの間の差分量を算出する差分量算出ステップと、前記画像データに対応する前記フレームと前記動きベクトルとに基づいて、前記所定のフレームに対応する動き補償された画像データを生成することが可能な画像生成ステップと、を含む画像処理方法が提供される。
そして、前記画像生成ステップでは、前記差分量が所定値より小さい場合に前記画像データと同じ空間解像度を有する前記動き補償された画像データが生成され、前記差分量が所定値より大きい場合に前記所定のフレームを前記画像データと同じ空間解像度に拡大した画像データが生成される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記の画像処理装置が有する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。また、そのプログラムが記録された記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、低い空間解像度の画像データ系列で動き予測し、かつ、高い空間解像度の画像データを用いて動き補償して高い空間解像度の画像データを生成しようとした場合に、その画像データの高周波成分にノイズが付加されることを予防することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。但し、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0017】
(高解像度画像の生成方法)
まず、本発明の実施形態に係る画像処理装置、及び画像処理方法について説明するに先立ち、図1を参照しながら、低い空間解像度で連続する映像が記録された画像データ系列(以下、動画データ)と、その動画データに含まれる適当なフレーム(以下、低解像度記録画像(LRP;Low Resolution Picture))に対応して離散的に記録された高空間解像度の画像データ(以下、静止画データ、又は高解像度記録画像(HRP;High Resolution Picture))とを用いて、前記動画データに含まれる任意のフレームに対応する高空間解像度の画像データ(以下、生成画像(CP;Created Picture)、又は高解像度生成画像)を生成するアイデアについて簡単に説明する。図1は、高解像度画像の生成方法の一例を示す説明図である。
【0018】
図1には、高解像度記録画像HRP(t)と、低解像度記録画像LRP(t)、LRP(t+h)と、拡大スケーリング画像(MP;Magnified Picture)MP(t)、MP(t+h)、生成画像CP(t+h)とが描画されている。以下、カッコ内の文字は、撮影時刻を表すものとする。例えば、生成画像CP(t+h)は、時刻t+hに撮影された低解像度記録画像LRP(t+h)に対応する生成画像を表す。
【0019】
生成画像CPは、低解像度記録画像LRPを用いて検出された動きベクトルと高解像度記録画像HRPとを用いて動き補償することによって生成された画像データである。例えば、図1に示すように、低解像度記録画像LRP(t)を拡大スケーリングして生成された拡大スケーリング画像MP(t)と、低解像度記録画像LRP(t+h)を拡大スケーリングして生成された拡大スケーリング画像MP(t+h)とを用いて、時刻tと時刻t+hとの間の動きベクトル(MV;Motion Vector)が検出される(S1)。次いで、動きベクトルMVに基づき、低解像度記録画像LRP(t)の参照ブロック(BLK)に対応する高解像度記録画像HRP(t)の参照ブロックが抽出される。次いで、その参照ブロックの画素と拡大スケーリング画像MP(t+h)の画素とが所定の比率で合成されて、生成画像CP(t+h)が生成される(S2)。
【0020】
上記の例では、動き予測と動き補償とが実質的に異なる画像を用いて実行される。低解像度記録画像LRPを拡大スケーリングして生成された拡大スケーリング画像MPは、高解像度記録画像HRPと同じ空間解像度に拡大してはいるものの、高解像度記録画像HRPに比べて高周波成分が欠落している。そのため、拡大スケーリング画像MPを用いて検出された動きベクトルと高解像度記録画像HRPが本来有すべき動きベクトルとにズレが生じる可能性がある。動き予測の精度が低い場合、高解像度記録画像HRPの中の参照ブロックの位置がズレてしまうため、動き補償して生成された生成画像CPの高周波成分にノイズが付加されてしまう。そこで、互いに異なる空間解像度を有する複数の画像データに基づいて動き補償を実行する場合に、動き補償に起因してノイズが付加されることを抑制する技術が求められている。
【0021】
以下で説明するように、本発明の一実施形態に係る画像処理装置は、互いに異なる空間解像度を有する複数の画像データに基づいて動き補償を実行する場合に、動きベクトルに基づいて高解像度記録画像HRPの参照ブロックと、動き補償に際して合成される拡大スケーリング画像MPの参照ブロックとを比較し、その比較結果に応じて適応的に動き補償に係る処理を切り替える機能を有する。その機能により、動き補償に起因してノイズが付加されることを予め防止することが可能になるという効果を奏する。
【0022】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係る画像処理装置100について詳細に説明する。
【0023】
[画像処理装置100の装置構成]
まず、図2を参照しながら、本実施形態に係る画像処理装置100の装置構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像処理装置100の装置構成の一例を示す説明図である。
【0024】
図2に示すように、画像処理装置100は、主に、撮像レンズ102と、撮像素子104と、カメラ信号処理ブロック110と、動画像記録再生ブロック120と、動画像記録再生ブロック120と、画像生成ブロック140と、画像生成タイミングコントローラ106と、表示回路108とを有する。
【0025】
撮像レンズ102は、光を集光させて被写体の像(以下、集光画像)を形成するための光学レンズである。撮像素子104は、撮像レンズ102が集光した光を電気信号に変換する光電素子である。撮像素子104には、例えば、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等の半導体素子が用いられる。また、撮像素子104は、動画データが持つ空間解像度の有効画素数よりも多い画素を有している。表示回路108は、画像データを記録又は再生する際、或いは、その画像データを確認する際に、図示しない表示装置に対して前記の画像データを表示させる。画像生成タイミングコントローラ106は、動画データを再生している途中でオペレータが静止画データを取得するように指示する装置である。
【0026】
(カメラ信号処理ブロック110)
カメラ信号処理ブロック110は、図2に示すように、A/D変換器112と、デジタル信号処理回路114とを含む。
【0027】
A/D変換器112は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するアナログ・デジタル変換器(Analog−to−Digital Converter)である。A/D変換器112は、撮像素子104から入力された集光画像のアナログ信号をデジタル信号に変換してデジタル信号処理回路114に出力する。デジタル信号処理回路114は、A/D変換器112から入力された集光画像のデジタル信号(以下、画像データ)に対し、ホワイトバランスの調整やガンマ補正等の処理を行う。
【0028】
(動画像記録再生ブロック120)
動画像記録再生ブロック120は、図2に示すように、画像密度変換回路126と、動画像圧縮/伸長回路124と、記憶部122とを含む。
【0029】
画像密度変換回路126は、動画データの記録に際し、デジタル信号処理回路114から入力された画像データの系列(動画データ)に対して間引き処理(例えば、フレーム間差分符号化等)を施す。画像密度変換回路126は、その間引き処理後の動画データを動画像圧縮/伸長回路124に出力する。動画像圧縮/伸長回路124は、画像密度変換回路126から入力された前記間引き後の動画データを圧縮処理し、その圧縮された動画データを記憶部122に記録する。
【0030】
一方、動画データの再生に際し、動画像圧縮/伸長回路124は、記憶部122に記録された前記の動画データを読出して伸長処理を施す。そして、動画像圧縮/伸長回路124は、その伸長された動画データを画像密度変換回路126に対して出力する。画像密度変換回路126は、動画像圧縮/伸長回路124から入力された動画データに対して補間処理(例えば、差分化されたデータの復元等)を施す。
【0031】
(動画像記録再生ブロック120)
静止画像記録再生ブロック130は、図2に示すように、静止画像圧縮/伸長回路134と、記憶部132とを含む。但し、記憶部132は、前記の記憶部122と共通の記憶装置を用いて、その機能を実現することもできる。
【0032】
静止画像圧縮/伸長回路134は、静止画データの記録に際し、デジタル信号処理回路114から入力された画像データに圧縮処理を施して記憶部132に出力する。一方、静止画データの再生に際し、静止画像圧縮/伸長回路134は、記憶部122に記録された画像データを読出して伸長処理を施す。
【0033】
(画像生成ブロック140)
図2に示すように、画像生成ブロック140は、主に、動き予測回路142と、動き補償回路144と、差分画像判定回路146とを含む。なお、動き予測回路142は、上記の動き予測部の一例である。また、動き補償回路144は、上記の画像生成部の一例である。
【0034】
動き予測回路142は、動画像記録再生ブロック120から伝送された動画データについて、フレーム間の動き予測を実行して動きベクトルを検出する。例えば、動き予測回路142は、所定時刻に記録されたフレームに最も近い時点で記録された静止画データを選択する。そして、動き予測回路142は、その静止画データに対応するフレームと所定時刻に記録されたフレームとの間で動き予測を実行してフレーム間の動きベクトルを検出する。このとき、動き予測回路142は、参照する各フレーム(LRP)を拡大スケーリングして拡大スケーリング画像(MP)に変換し、該当する拡大スケーリング画像間で動きベクトルを検出する。
【0035】
他の例として、動き予測回路142は、所定時刻に記録されたフレームに近い時点で記録された複数の静止画データを抽出した上で、前記の所定時刻に記録されたフレームに最も近似した静止画データに対応するフレームを選択することもできる。そして、動き予測回路142は、その選択された静止画データに対応するフレームと所定時刻に記録されたフレームとの間で動き予測を実行してフレーム間の動きベクトルを検出してもよい。また、動き予測回路142は、各フレーム(LRP)を拡大スケーリングせずに、該当するフレーム間で動きベクトルを検出し、生成画像(CP)の空間解像度に適合するように前記動きベクトルを拡大することも可能である。
【0036】
動き補償回路144は、動き予測回路142から入力された動きベクトルの情報と、動画像記録再生ブロック120から入力された静止画データとに基づいて動き補償を実行する。例えば、動き補償回路144は、所定時刻に記録されたフレームの参照ブロックに対応する静止画データの参照ブロックを前記の動きベクトルに基づいて特定する。動き補償回路144は、その特定された静止画データの参照ブロックと、所定時刻に記録されたフレームの参照ブロックとを所定の比率で合成して画像データ(生成画像CP’)を生成する。そして、動き補償回路144は、その生成画像CP’を差分画像判定回路146に出力する。
【0037】
差分画像判定回路146は、動き補償回路144により入力された前記の生成画像CP’と、その時刻に記録されたフレームの拡大スケーリング画像MPとを比較する。差分画像判定回路146は、前記の拡大スケーリング画像MPと生成画像CP’との差分画像を生成するか、或いは、その両画像(MP、CP’)の差分を表す差分値を算出する。なお、差分画像判定回路146は、上記の差分量算出部の一例である。
【0038】
前記の両画像(MP、CP’)の差が許容範囲内の場合、差分画像判定回路146は、動き補償により生成された生成画像CP’を出力するように前記の動き補償回路144を制御する。一方、前記の両画像(MP、CP’)の差が許容範囲を超える場合、差分画像判定回路146は、前記の拡大スケーリング画像MPをそのまま出力するように動き補償回路144を制御する。このとき、差分画像判定回路146は、例えば、前記の差分値と所定の設定値との間の大小関係に応じて動き補償回路144の制御方法を切り替える。
【0039】
以上、本実施形態に係る画像処理装置100の装置構成について説明した。上記の装置構成を適用すると、画像処理装置100は、動きベクトルの予測精度に起因してノイズが発生することを予め防止することができる。
【0040】
[画像データの記録動作]
次に、本実施形態に係る画像処理装置100による画像データの記録動作について簡単に説明する。
【0041】
まず、オペレータが画像処理装置100に記録動作の開始を指示する(S10)。その指示を受け、画像処理装置100は、動画データを構成するフレームの連続記録を開始する(S12)。画像処理装置100は、撮像レンズ102を介して集光画像を取得する(S14)。次いで、画像処理装置100は、その集光画像を撮像素子104により光電変換してアナログ信号を生成する(S16)。次いで、画像処理装置100は、そのアナログ信号をA/D変換器112に入力してデジタル信号に変換する(S18)。次いで、画像処理装置100は、そのデジタル信号をデジタル信号処理回路114に入力して、そのデジタル信号に対応する画像データのホワイトバランスの調整やガンマ補正等の処理を実行する(S20)。画像処理装置100は、前記の画像データを蓄積して動画データを形成することができる。
【0042】
次いで、画像処理装置100は、画像密度変換回路126により、上記の動画データに間引き処理を施す(S22)。ステップS22を実行する際、NTSC(National Television Standard Committee)方式、PAL(Phase Alternation by Line)方式、又はISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)方式等の各ビデオ信号フォーマットにおける有効画素数が得られる。次いで、画像処理装置100は、動画像圧縮/伸長回路124により、前記の間引き処理が施された動画データを圧縮処理し(S24)、記憶部122に記録する(S25)。また、画像処理装置100は、静止画像圧縮/伸長回路134により、所定の時間間隔で間歇的に前記の画像データ(静止画データ)を取得して圧縮処理し(S32)、記憶部132に記録する(S34)。
【0043】
[画像データの再生動作]
次に、本実施形態に係る画像処理装置100による画像データの再生動作について簡単に説明する。
【0044】
画像処理装置100に対し、オペレータが画像生成タイミングコントローラ106を用いて再生動作の開始を指示する(S50)。その指示を受け、画像処理装置100は、前記の動画データよりも空間解像度が高く、かつ、前記の静止画データが記録されていない記録時点における高画質画像データの生成を開始する(S52)。画像処理装置100は、記憶部122に記録された圧縮処理後の動画データを読み出し(S54)、動画像圧縮/伸長回路124により伸長処理を実行する(S56)。次いで、画像処理装置100は、画像密度変換回路126により、伸長処理された動画データの補間処理を実行する(S58)。ステップS58により、前記の動画データの各フレームは、静止画データと同一画素数を有する画像データに変換される。そして、その動画データは、画像生成ブロック140に伝送される(S60)。
【0045】
また、画像処理装置100は、静止画像圧縮/伸長回路134により、記憶部132に記録された静止画データを読み出して伸長し(S72)、画像生成ブロック140に伝送する(S74)。
【0046】
(画像生成ブロック140の動作)
ここで、図3を参照しながら、画像生成ブロック140の処理動作について説明する。図3は、画像生成ブロック140の処理動作を説明するための説明図である。
【0047】
図3には、撮影時刻に対応するように、高解像度記録画像HRP(t)と、複数の低解像度記録画像LRP(t)、LRP(t+h)と、生成画像CP(t+h)とが描画されている。尚、図3は、時刻t+hに記録された低解像度記録画像LRP(t+h)に対応する生成画像CP(t+h)を生成する処理動作を具体的に説明するものである。
【0048】
但し、高解像度記録画像HRPは、水平画素数がN、垂直画素数がM、フレームレートが1/ΔT[fps]であるものと仮定する。また、低解像度記録画像LRPは、水平画素数がn、垂直画素数がm、フレームレートが1/Δt[fps]であるものと仮定する。そして、各変数は、N≧n、M≧m、ΔT≧tの関係を満たすものと仮定する。さらに、変数hは、0≦h≦ΔTの関係を満たすものと仮定する。
【0049】
以下、図3の例を参照しながら、時刻tの高解像度記録画像HRP(t)と、時刻t+hの低解像度記録画像LRP(t+h)とを用いて、時刻t+hの高解像度生成画像CP(t+h)を生成する方法について説明する。但し、本実施形態に係る画像処理装置100の処理方法は、これに限定されるものではない。例えば、図示しない他の時刻t+ΔTの高解像度記録画像HRP(t+ΔT)を併せて参照しながら、生成画像CP(t+h)を生成することもできる。その際、画像処理装置100は、被写体の動きの大きさや速度等に応じて参照すべき高解像度記録画像HRPを選択するといった処理を行ってもよい。
【0050】
(S1)
まず、画像処理装置100は、動き予測回路142により、低解像度記録画像LRP(t)及びLRP(t+h)を用いて動き予測を実行する。このとき、動き予測回路142は、低解像度記録画像LRP(t)及びLRP(t+h)を拡大スケーリングして拡大スケーリング画像MP(t)及びMP(t+h)を生成する。次いで、動き予測回路142は、拡大スケーリング画像MP(t)とMP(t+h)とを比較してMP(t)とMP(t+h)との間の動きベクトルMVを検出する。尚、動き予測の方法として、例えば、ブロックマッチング法、位相相関法、又はオプティカルフロー法等を本実施形態に適用することができる。
【0051】
(S2)
次いで、画像処理装置100は、動き補償回路144により、前記の動きベクトルMVと高解像度記録画像HRP(t)とを用いて動き補償を実行する。動き補償回路144は、前記の動きベクトルMVを利用して、拡大スケーリング画像MP(t+h)の参照ブロックに対応する高解像度記録画像HRP(t)の参照ブロックを特定する。そして、動き補償回路144は、その参照ブロックと前記の拡大スケーリング画像MP(t+h)の参照ブロックとを所定の比率で合成して、暫定的に生成画像CP’(t+h)を生成する。
【0052】
もし、動き予測と動き補償とが同一の画像間で行われているならば、前記の生成画像CP’(t+h)が生成画像CP(t+h)として出力されても前記の動き予測精度に起因して生成画像CP(t+h)にノイズが発生することは少ない。しかし、本実施形態に係る画像処理装置100は、低解像度記録画像LRPを用いて動き予測を行うため、高解像度記録画像HRPを用いて動き補償をする際に、その高解像度記録画像HRPに含まれる高周波成分の情報にノイズが発生する可能性がある。つまり、動き予測の精度に依存して動き補償に用いる高解像度記録画像HRPの参照ブロックと、それに対応する拡大スケーリング画像MPの参照ブロックとの間の相関が低くなる可能性が懸念されるのである。
【0053】
例えば、高解像度記録画像HRPと低解像度記録画像LRPとが同一の時刻に記録されたとしても、低解像度記録画像LRPは、高解像度記録画像HRPに含まれる高周波成分を含んでいない。そのため、低解像度記録画像LRPを高解像度記録画像HRPと同じ空間解像度に拡大して動き予測を実行したとしても、高解像度記録画像HRPを比較して得られる動きベクトルを精度良く予測することは難しい。また、低解像度記録画像LRPを伸長せずに比較して検出された動きベクトルを拡大しても、低解像度記録画像LRPに高周波成分に相当する情報が含まれていない点において同じであるため、動きベクトルを精度良く予測することは難しい。
【0054】
そこで、本実施形態に係る画像処理装置100は、動き補償に用いる高解像度記録画像HRPの参照ブロックと、それに対応する拡大スケーリング画像MPとの間の相関が低い場合に、そのフレームに関しては動き補償が施された画像を用いないように制御する差分画像判定回路146を有しているのである。
【0055】
差分画像判定回路146は、例えば、暫定的に生成された生成画像CP’(t+h)と拡大スケーリング画像MP(t+h)とを比較して差分量を算出する。その差分量が所定値よりも大きい場合、差分画像判定回路146は、両画像(CP’、MP)の相関が低いものと判断し、生成画像CP(t+h)として、拡大スケーリング画像MP(t+h)をそのまま出力する。一方、前記の差分量が所定値よりも小さい場合、差分画像判定回路146は、両画像(CP’、MP)の相関が高いものと判断し、生成画像CP’(t+h)を生成画像CP(t+h)として出力する。その結果、差分画像判定回路146は、動きベクトルの予測精度に起因して高周波成分に発生するノイズを低減させることができる。
【0056】
(差分画像判定回路146の動作フロー)
ここで、図4を参照しながら、本実施形態に係る差分画像判定回路146の動作フローについて説明する。図4は、本実施形態に係る差分画像判定回路146の動作フローを示す説明図である。
【0057】
まず、差分画像判定回路146は、動き予測回路142により検出された動きベクトル(参照ブロックO → 参照ブロックC)に基づき、拡大スケーリング画像MP(t+h)の参照ブロックO(参照値O[i,j])と、高解像度記録画像HRP(t)の参照ブロックC(参照値C[i,j])との間の差分量Dを算出する(S102)。差分画像判定回路146は、例えば、MSE法(Mean Square Error method)やSAD法(Sum of Absolute Difference method)等の方法を用いて差分量D[i,j]を算出することができる。SAD法を用いる場合、差分画像判定回路146は、下式(1)に従って差分量Dを算出する。
【0058】

【数1】

【0059】
但し、i及びjは、それぞれ、動き予測の際に参照する単位ブロック内に含まれる水平及び垂直方向の画素位置を表す指標である。また、上式(1)の和は、単位ブロックに含まれる全ての画素の位置i,jに関するものである。
【0060】
次いで、差分画像判定回路146は、所定の設定パラメータTh(以下、閾値)と前記の差分量Dとを比較して、その大小関係を判定する(S104)。但し、閾値Thは、必要に応じて変更されうる。例えば、閾値Thは、画像データに動きの速い被写体が含まれる状況や、複雑な模様が含まれる状況等が想定される場合に、比較的大きな値に設定される。これらの状況は、動き予測の精度が低下しやすい状況であり、前記の差分値Dが比較的大きな値になりやすい。そのため、こうした状況下では、本実施形態に係る画像処理方法の適用範囲を広げるため、前記の閾値Thを比較的大きめに設定する方が好ましい。
【0061】
判定結果がD>Thの場合、この結果は、前記の参照ブロックCと参照ブロックOとが大きく相違していることを示している。また、この相違は、例えば、動き予測の精度が低いために誤った動き補償が行われたためか、或いは、時刻tに存在しなかった被写体が時刻t+hに出現したために生じる。結果として、画像処理装置100は、拡大スケーリング画像MP(t+h)に対して高解像度記録画像HRP(t)に含まれる高周波成分を補償することができない。そこで、差分画像判定回路146は、前記の参照ブロックOを生成画像CP(t+h)(参照値OUT[i,j]=O[i,j])に設定してノイズの発生を防止する(S106)。
【0062】
判定結果がD≦Thの場合、この結果は、前記の参照ブロックCと参照ブロックOとが高い相関を有することを示している。そのため、画像処理装置100は、拡大スケーリング画像MP(t+h)に対し、動き補償を用いて、高解像度記録画像HRP(t)に含まれる高周波成分を補償することができる。そこで、差分画像判定回路146は、前記の参照ブロックCを用いて拡大スケーリング画像MP(t+h)の参照ブロックOを補償し、その補償された画像を生成画像CP(t+h)(参照値OUT[i,j]=C[i,j])に設定する(S108)。
【0063】
上記のように、差分画像判定回路146は、動きベクトルの参照元と参照先とに該当する参照ブロックを予め比較評価することにより、動き予測の精度が低いことに起因してノイズが発生することを防止することができる。その結果、本実施形態に係る画像処理装置100は、ノイズが発生するような動き予測精度の低い場面では動き補償を行わずにノイズを防止し、その他の場面では動き補償を行って高画質の画像データを生成することができる。その結果、異なる空間解像度を有する画像データ系列を用いて動き補償をする場合において、より高画質の画像データ系列を生成することができる。
【0064】
(画像処理方法)
ここで、図5を参照しながら、本実施形態に係る画像処理方法について説明する。図5は、本実施形態に係る画像生成処理の流れを説明するための説明図である。
【0065】
まず、動き予測回路142は、低解像度記録画像LRPを拡大スケーリングして高解像度記録画像HRPと同じ空間解像度を有する拡大スケーリング画像MPを生成する(S202)。次いで、参照ブロックの位置を示すパラメータbが初期化される(S204)。次いで、パラメータbがパラメータbの最大値b_maxを超えているか否かが判定される(S206)。但し、b_maxは、フレームに含まれるブロック数である。
【0066】
b≧b_maxの場合、画像生成ブロック140は、画像生成処理を終了する。b<b_maxの場合、動き予測回路142は、カレントフレーム(MP(t))からキーフレーム(MP(t+h))への動き予測を実行する(S208)。次いで、画像生成ブロック140は、予測残差信号の大きさに基づいて動き補償を実行可能か否かを判定する(S210)。
【0067】
ステップS210において、動き補償の実行が不可であると判定された場合、動き補償回路144は、ステップS202で拡大スケーリング画像MP(t+h)を生成画像CP(t+h)として出力する(S216)。一方、ステップS210において、動き補償の実行が可能であると判定された場合、動き補償回路144は、キーフレームに対応する高解像度記録画像HRP(t)と拡大スケーリング画像MP(t+h)とを用いて差分画像判定(前記の「D>Th」or「D≦Th」判定)を実行し、動き補償が可能か否かを判定する(S212)。
【0068】
ステップS212において、動き補償が可能であると判定された場合、動き補償回路144は、高解像度記録画像HRP(t)を用いて動き補償を実行する(S214)。このとき、動き補償回路144は、ステップS208で得られたカレントフレームからキーフレームへの動きベクトル、単位ブロックサイズ、又は参照フレーム情報等を利用する。一方、ステップS212において、動き補償の実行が不可であると判定された場合、動き補償回路144は、拡大スケーリング画像MP(t+h)を生成画像CP(t+h)として出力する(S216)。
【0069】
次いで、画像生成ブロック140は、パラメータbをインクリメントし(S218)、再びステップS206から始まる処理を実行する。このように、画像生成ブロック140は、動き補償する際に前記の差分画像判定を実行しながら、動き補償が可能か否かを判定する。そのため、画像生成ブロック140は、動き補償に起因して生成画像CP(t+h)にノイズが発生することを抑制できる。
【0070】
以上、本実施形態に係る画像処理装置100について説明した。上記の通り、本実施形態に係る画像処理装置100は、差分画像判定回路146を有し、動き予測の精度に応じて生成画像CPとして出力する画像データを切り替えることができる。その結果、画像処理装置100は、異なる空間解像度を有する画像データ系列を用いて動き予測と動き補償とを実行する場合において、動き予測精度に関わらず、高画質な生成画像CPを生成することができる。また、差分画像判定回路146は、動き予測精度に起因して生成画像CPにノイズが発生するか否かを検出する際にも利用することができる。
【0071】
尚、画像処理装置100の各構成要素が実現する機能は、例えば、以下に例示する情報処理装置を用いて所定のプログラムにより実現することも可能である。
【0072】
[ハードウェア構成]
上記の画像処理装置100が有する機能は、例えば、図6に示すハードウェア構成を有する情報処理装置によっても実現することが可能である。図6は、上記の画像処理装置100の各構成要素が有する機能を実現することが可能な情報処理装置のハードウェア構成例を示す説明図である。
【0073】
図6に示すように、前記の情報処理装置は、主に、CPU(Central Processing Unit)902と、ROM(Read Only Memory)904と、RAM(Random Access Memory)906と、ホストバス908と、ブリッジ910と、外部バス912と、インターフェース914と、入力部916と、出力部918と、記憶部920と、ドライブ922と、接続ポート924と、通信部926とにより構成される。
【0074】
CPU902は、例えば、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM904、RAM906、記憶部920、又はリムーバブル記録媒体928に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。ROM904は、例えば、CPU902に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する。RAM906は、例えば、CPU902に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等を一時的又は永続的に格納する。これらの構成要素は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス908によって相互に接続されている。また、ホストバス908は、例えば、ブリッジ910を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス912に接続されている。
【0075】
入力部916は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びレバー等の操作手段である。また、入力部916は、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントロール手段(所謂、リモコン)であってもよい。なお、入力部916は、上記の操作手段を用いて入力された情報を入力信号としてCPU902に伝送するための入力制御回路等により構成されている。
【0076】
出力部918は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma DisplayPanel)、又はELD(Electro−Luminescence Display)等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、又はファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。
【0077】
記憶部920は、各種のデータを格納するための装置であり、例えば、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等により構成される。
【0078】
ドライブ922は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体928に記録された情報を読み出し、又はリムーバブル記録媒体928に情報を書き込む装置である。リムーバブル記録媒体928は、例えば、DVDメディア、Blu−rayメディア、HD−DVDメディア、コンパクトフラッシュ(CF;CompactFlash)(登録商標)、メモリースティック、又はSDメモリカード(Secure Digital memory card)等である。もちろん、リムーバブル記録媒体928は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit Card)、又は電子機器等であってもよい。
【0079】
接続ポート924は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS−232Cポート、又は光オーディオ端子等のような外部接続機器930を接続するためのポートである。外部接続機器930は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又はICレコーダ等である。
【0080】
通信部926は、ネットワーク932に接続するための通信デバイスであり、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は各種通信用のモデム等である。また、通信部926に接続されるネットワーク932は、有線又は無線により接続されたネットワークにより構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、放送、又は衛星通信等である。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0082】
例えば、上記の実施形態の説明においては、後方のフレームを参照して動き予測、及び動き補償を実行する方法について述べたが、本発明の技術的範囲はこれに限定されず、前方のフレーム、或いは、前後のフレームを参照して動き予測、及び動き補償を実行することも可能である。
【0083】
[変形例]
ここで、図7を参照しながら、前後のフレームに基づき、動き予測/動き補償の処理を実行して高画質の画像を生成する方法について説明する。図7は、前後のフレームに基づき、動き予測/動き補償の処理を逐次実行して高画質の画像を生成する方法を説明するための説明図である。図7に示すように、所望の撮影時刻の前後に高解像度記録画像HRPが記録されている場合、拡大スケーリング画像MP(t+h)と、高解像度記録画像HRP(t)及びHRP(t+h)とを用いて動き補償を施すことができる。
【0084】
しかし、どちらかの高解像度記録画像HRPから生成された暫定的な生成画像CP’(t+h)にノイズが発生すると、最終的に生成された生成画像CP(t+h)にもノイズが発生してしまう。そのため、拡大スケーリング画像MP(t+h)との相関が高い暫定的な生成画像CP’(t+h)のみを用いて生成画像CP(t+h)を生成することも可能である。その結果、動き補償を適用可能なケースが増すため、より高画質な画像データ系列を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】高解像度生成画像の生成方法を説明するための説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の装置構成を示す説明図である。
【図3】本実施形態に係る画像生成ブロックの動作を説明するための説明図である。
【図4】本実施形態に係る差分画像判定回路の動作フローを示す説明図である。
【図5】本実施形態に係る画像生成ブロックの動作を説明するための説明図である。
【図6】本実施形態に係る画像処理装置の機能を実現することが可能な情報処理装置のハードウェア構成を示す説明図である。
【図7】本実施形態の一変形例に係る高解像度画像の生成方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0086】
100 画像処理装置
102 撮像レンズ
104 撮像素子
106 画像生成タイミングコントローラ
108 表示回路
110 カメラ信号処理ブロック
112 A/D変換器
114 デジタル信号処理回路
120 動画像記録再生ブロック
122、132 記憶部
124 動画像圧縮/伸長回路
126 画像密度変換回路
130 静止画像記録再生ブロック
134 静止画像圧縮/伸長回路
140 画像生成ブロック
142 動き予測回路
144 動き補償回路
146 差分画像判定回路
HRP 高解像度記録画像
LRP 低解像度記録画像
MP 拡大スケーリング画像
CP、CP’ 生成画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の連続したフレームが含まれる動画データと、前記フレームに対応し、かつ、当該フレームよりも高い空間解像度を有する一又は複数の画像データとを取得する取得部と、
前記動画データを用いて前記フレーム間の動きベクトルを検出する動き予測部と、
任意の前記フレームと前記画像データに対応する前記フレームとの間の差分量を算出する差分量算出部と、
前記画像データに対応する前記フレームと前記動きベクトルとに基づいて、前記任意のフレームに対応する動き補償された画像データを生成することが可能な画像生成部と、
を備え、
前記画像生成部は、前記差分量が所定値より小さい場合に前記画像データと同じ空間解像度を有する前記動き補償された画像データを生成し、前記差分量が所定値より大きい場合に前記任意のフレームを前記画像データと同じ空間解像度に拡大した画像データを生成することを特徴とする、画像処理装置。
【請求項2】
前記動画データと前記一又は複数の画像データとを記録する記憶部をさらに備え、
前記取得部は、前記記憶部に記録された前記動画データと前記一又は複数の画像データとを取得することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記憶部には、前記動画データとして、低い空間解像度及び高い時間解像度を有する第1の画像データ系列が記録され、前記一又は複数の画像データとして、前記第1の画像データ系列に含まれる前記フレームに対応するように、前記第1の画像データ系列よりも高い空間解像度及び低い時間解像度を有する第2の画像データ系列が記録されていることを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像生成部は、前記第1の画像データ系列に含まれ、かつ、前記第2の画像データ系列に含まれないフレームを前記任意のフレームとし、当該任意のフレームに対応する前記画像データを生成して前記第2の画像データ系列の時間解像度を向上させることを特徴とする、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記記憶部には、前記動画データとして、撮像された画像信号をダウンサンプリング処理して得られた画像データ系列が記録されていることを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像生成部は、前記差分量が所定値より大きい場合、前記動き補償に際し、前記動きベクトルの参照元である前記任意のフレームと前記動きベクトルの参照先である前記画像データとを合成する比率を前記差分量に応じて変更することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
複数の連続したフレームが含まれる動画データと、前記フレームに対応し、かつ、当該フレームよりも高い空間解像度を有する一又は複数の画像データとを取得する取得ステップと、
前記動画データを用いて前記フレーム間の動きベクトルを検出する動き予測ステップと、
所定の前記フレームと前記画像データに対応する前記フレームとの間の差分量を算出する差分量算出ステップと、
前記画像データに対応する前記フレームと前記動きベクトルとに基づいて、前記任意のフレームに対応する動き補償された画像データを生成することが可能な画像生成ステップと、
を含み、
前記画像生成ステップでは、前記差分量が所定値より小さい場合に前記画像データと同じ空間解像度を有する前記動き補償された画像データが生成され、前記差分量が所定値より大きい場合に前記任意のフレームを前記画像データと同じ空間解像度に拡大した画像データが生成されることを特徴とする、画像処理方法。
【請求項8】
請求項1〜6に記載の画像処理装置が有する機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−312161(P2008−312161A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160589(P2007−160589)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】