説明

画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム

【課題】検出対象となる異常部の大きさによらず、異常部を安定的に検出することができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置は、画像内の各画素の特徴量を算出する特徴量算出部110と、特徴量を成分とする特徴空間において該特徴量が分布する分布領域の形状を近似する近似形状を算出する近似形状算出部120、近似形状及び上記分布領域の形状をもとに、画像内の異常部を検出する異常部検出部130とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像から特定の領域を検出する画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像から特定の領域を検出する技術として、例えば特許文献1には、生体内を撮像した体腔内画像(管腔内画像)に対して、注目画素とその周囲に位置する複数の周囲画素との画素値変化量をもとに異常部(病変部候補領域)を検出する画像処理装置の構成が開示されている。より詳細には、特許文献1においては、注目画素を中心に予め定められた方向(縦、横、斜め等)毎に、注目画素から所定の距離だけ離間し、相対して設定される周囲画素の平均画素値と、注目画素の画素値との差分値を算出し、これら差分値をもとに周囲に対して所定の画素値変化が生じる領域を異常部として検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−93172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように注目画素と周囲画素との画素値変化から異常部を検出する手法においては、検出対象とする異常部の大きさに応じて、注目画素と周囲画素との距離を設定する必要がある。このため、小さな異常部を検出するために距離を短く設定した場合、異常部が大きいと、注目画素と周囲画素との間で境界を表す画素値変化を十分に検出できないことがあり、検出感度が低下してしまうおそれがある。一方、大きな異常部を検出するために距離を長く設定した場合、異常部が小さいと、異常部の周囲よりも離れた画素の画素値変化を検出することになり、正常な画素値変化を異常部として誤検出してしまう等の問題が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑み為されたものであって、検出対象となる異常部の大きさによらず、異常部を安定的に検出することができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、画像内の各画素、又は前記画像を複数の領域に分割した各領域の特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量を成分とする特徴空間において前記特徴量が分布する分布領域の形状を近似する近似形状を算出する近似形状算出手段と、前記近似形状及び前記分布領域の形状をもとに、前記画像内の異常部を検出する異常部検出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る画像処理方法は、画像内の各画素、又は前記画像を複数の領域に分割した各領域の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、前記特徴量を成分とする特徴空間において前記特徴量が分布する分布領域の形状を近似する近似形状を算出する近似形状算出ステップと、前記近似形状及び前記分布領域の形状をもとに、前記画像内の異常部を検出する異常部検出ステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る画像処理プログラムは、画像内の各画素、又は前記画像を複数の領域に分割した各領域の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、前記特徴量を成分とする特徴空間において前記特徴量が分布する分布領域の形状を近似する近似形状を算出する近似形状算出ステップと、前記近似形状及び前記分布領域の形状をもとに、前記画像内の異常部を検出する異常部検出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像内の各画素又は各領域の特徴量を成分とする特徴空間における特徴量の分布領域の形状を近似する近似形状をもとに異常部を検出するので、画像内に含まれる異常部の大きさによらず、異常部を安定的に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図3は、R−G特徴空間における特徴量の分布及び該分布に直線を当て嵌めた結果の例を示すグラフである。
【図4】図4は、変形例1−1に係る画像処理装置の図形当て嵌め部の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、変形例1−1に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、R−G特徴空間における特徴量の分布及び該分布に曲線を当て嵌めた結果の例を示すグラフである。
【図7】図7は、変形例1−2に係る画像処理装置の図形当て嵌め部の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、変形例1−2に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、変形例1−3に係る画像処理装置の異常部検出部の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、変形例1−3に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、変形例1−4に係る画像処理装置の異常部検出部の構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、変形例1−4に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置の演算部の構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、実施の形態2に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は、図14のステップS200における詳細な動作を示すフローチャートである。
【図16】図16は、変形例2−1に係る画像処理装置のロバスト推定部の構成を示すブロック図である。
【図17】図17は、変形例2−1に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図18】図18は、本発明の実施の形態3に係る画像処理装置の演算部の構成を示すブロック図である。
【図19】図19は、実施の形態3に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図20】図20は、図19のステップS301における詳細な動作を示すフローチャートである。
【図21】図21は、画像内の画素の特徴量が2つのクラスタにクラスタリングされた例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る画像処理装置について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0012】
以下においては、一例として、内視鏡等の医用観察装置によって被検体の管腔内を撮像した管腔内画像(以下、単に画像ともいう)に対する画像処理を説明する。このような管腔内画像は、例えば、各画素位置においてR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に対する画素レベル(画素値)を持つカラー画像である。また、一般に、管腔内画像には消化管内壁の粘膜が映り、時として食物残渣や泡などが映る。管腔内画像における検査領域は、基本的に粘膜領域であり、病変部は粘膜領域内において通常粘膜とは異なる色調として映ることが多い。
なお、本発明は、管腔内画像に限定されることなく、他の一般的な画像内から特定の領域を検出する画像処理装置に広く適用することが可能である。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像処理装置1は、当該画像処理装置1全体の動作を制御する制御部10と、医用観察装置によって撮像された管腔内画像の画像データを取得する画像取得部11と、外部から入力された入力信号を受け付ける入力部12と、管腔内画像や各種情報を含む画面を表示する表示部13と、記録部14と、管腔内画像から異常部を検出する演算処理を行う演算部100とを備える。
【0014】
制御部10は、CPU等のハードウェアによって実現され、記録部14に格納された各種プログラムを読み込むことにより、画像取得部11から入力される画像データや入力部12から入力される操作信号等に従って、画像処理装置1を構成する各部への指示やデータの転送等を行い、画像処理装置1全体の動作を統括的に制御する。
【0015】
画像取得部11は、医用観察装置を含むシステムの態様に応じて適宜構成される。例えば、医用観察装置がカプセル型内視鏡であり、医用観察装置との間における管腔内画像の画像データの受け渡しに可搬型の記録媒体が使用される場合、画像取得部11は、この記録媒体を着脱自在に装着し、記録媒体に格納された画像データを読み出すリーダ装置で構成される。また、医用観察装置によって取得された管腔内画像の画像データを保存しておくサーバを設置する場合、画像取得部11は、サーバと接続される通信装置等で構成され、サーバとデータ通信を行って画像データを取得する。或いは、画像取得部11を、内視鏡等の医用観察装置から、ケーブルを介して画像信号を入力するインターフェース装置等で構成しても良い。
【0016】
入力部12は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等によって実現され、外部から受け付けた入力信号を制御部10に出力する。
表示部13は、LCDやELディスプレイ等の表示装置によって実現される。
【0017】
記録部14は、更新記録可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵若しくは外付けハードディスク、又は、CD−ROM等の情報記録媒体及びその読取装置等によって実現される。記録部14は、画像取得部11によって取得された管腔内画像の画像データの他、画像処理装置1を動作させると共に、種々の機能を画像処理装置1に実行させるためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等を格納する。例えば、記録部14は、管腔内画像から異常部を検出する画像処理プログラム14aを格納する。
【0018】
演算部100は、CPU等のハードウェアによって実現され、画像処理プログラム14aを読み込むことにより、管腔内画像の画像データを処理し、管腔内画像から病変部の候補領域である異常部を検出するための種々の演算処理を行う。演算部100は、画像内の各画素の特徴量を算出する特徴量算出部110と、特徴量を成分とする特徴空間において該特徴量が分布する分布領域の形状(以下、分布形状ともいう)を近似する近似形状(以下、モデルともいう)を算出する近似形状算出部120と、近似形状と分布形状との相関に基づいて、画像内の異常部を検出する異常部検出部130とを備える。
【0019】
この内、特徴量算出部110は、好ましくは2種類以上の特徴量を算出する。それにより、後の処理において、これらの2種類以上の特徴量に対応する軸により張られた2次元以上の特徴空間が生成される。
【0020】
近似形状算出部120は、特徴量の分布形状に対して幾何学図形を当て嵌める図形当て嵌め部121を有し、図形当て嵌め121部が当て嵌めた図形を、特徴量の分布形状の近似形状とする。図形当て嵌め部121は、具体的には、特徴量の分布形状に対して直線を当て嵌める直線当て嵌め部121aを含む。
【0021】
異常部検出部130は、画像内の各画素の特徴量と上記モデルとの特徴空間内距離を算出する特徴空間内距離算出部131を有し、特徴空間内距離をもとに異常部を検出することを特徴とする。
【0022】
次に、画像処理装置1の動作について説明する。図2は、画像処理装置1の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS101において、演算部100は、記録部14から処理対象の画像を取得する。
【0023】
続くステップS102において、特徴量算出部110は、各画素の特徴量としてR成分の値及びG成分の値を取得する。ここで、R成分及びG成分の値を取得するのは、これら2つの成分が生体内における吸収・散乱の度合いが異なる成分であり、2つの成分の差をもとに病変部を精度良く検出できるためである。なお、当然ながら、他の色成分の組み合わせ、或いは公知の変換処理により2次的に算出される値を特徴量として用いても良い。具体的には、YCbCr変換により算出される輝度、色差、HSI変換により算出される色相、彩度、明度等を用いることができる。
【0024】
ステップS103において、直線当て嵌め部121aは、R成分及びG成分の値を軸とする2次元の特徴空間(R−G特徴空間)において、ステップS102において算出された特徴量の分布に対して直線(図形)を当て嵌めることにより、特徴量の分布形状を近似するモデルを算出する。具体的には、直線を表す次式(1)を、最小二乗法により特徴量の分布に当て嵌め、係数a及びbを求める。
G=a×R+b …(1)
【0025】
式(1)において、係数a及びbは、特徴量の分布を構成する各画素のR成分の値Ri及びG成分の値Gi(i=1〜n、ただし、nはデータ数)を用いて、最小二乗法により得られる次式(2)によって与えられる。
【数1】

【0026】
図3は、R−G特徴空間における特徴量(Ri,Gi)の分布、及び、この分布に直線を当て嵌めた結果の例を示すグラフである。なお、図3においては、R成分及びG成分の値を、上限が1となるように規格化している。図3に示す直線L1は、特徴量の分布形状を近似するモデル(直線モデル)であり、式G=a0×R+b0(a0、b0は定数)により表される。
なお、本実施の形態1においては上式(1)を当て嵌めに用いたが、それ以外の直線の式(aR+bG+c=0)を用いても良い。
【0027】
ステップS104において、特徴空間内距離算出部131は、各画素の特徴量とモデルとの特徴空間内距離を算出する。具体的には、各画素のR成分の値Riを、直線モデルの式G=a0×R+b0の右辺のRに代入して直線上のG成分の値Gimodelを求め、この値Gimodelと実際のG成分の値Giとの差の絶対値d=|Gi−Gimodel|を算出する。この値dが、直線モデルと各画素の特徴量を示す点(Ri,Gi)との間のG成分軸に平行な特徴空間内距離である。
なお、特徴空間内距離としては、点(Ri,Gi)と直線モデルとの距離、即ち、点(Ri,Gi)から直線aR+bG+c=0に下ろした垂線の長さを用いても良い。
【0028】
ステップS105において、異常部検出部130は、特徴空間内距離dを閾値処理することにより、病変部の候補領域である異常部に相当する画素(異常部画素)を検出する。具体的には、特徴空間内距離dが所定の閾値以上となる画素を求め、該画素を異常部画素として検出する。例えば、図3においては、閾値Th1及び閾値Th2を超える領域(代表的には、領域S1、領域S2等)に含まれる画素が異常部画素として検出される。
【0029】
さらに、ステップS106において、演算部100は、異常部画素の検出結果を出力する。具体的には、ステップS105において検出された異常部画素を画像上でマークして表示部13に表示するなどする。併せて、演算部100は、異常部画素の検出結果を記録部14に記録する。これにより、画像処理装置1における処理は終了する。
【0030】
以上説明したように、実施の形態1によれば、画像内の画素の特徴量の分布形状を近似するモデルに対し、特徴空間内距離が所定の閾値以上となる画素を病変部として検出するので、画像内における病変部の大きさによらず、病変部を安定的に検出することが可能となる。
【0031】
なお、図3において、領域S1に含まれる画素は、モデルに対してG成分が大きいという特徴を有する。このような異常部は、G成分の吸収が小さい退色系(白色系)の病変部である可能性がある。一方、領域S2に含まれる画素は、モデルに対してG成分が小さいという特徴を有する。このような異常部は、G成分の吸収が大きい赤色系の病変部である可能性がある。従って、特徴空間内距離dを符号を含めて評価して、病変部の種類を識別するようにしても良い。
【0032】
(変形例1−1)
次に、実施の形態1の変形例1−1について説明する。
変形例1−1に係る画像処理装置は、図1に示す図形当て嵌め部121の代わりに、図4に示す図形当て嵌め部122を有する。図形当て嵌め部122は、特徴量の分布形状に対して曲線を当て嵌める曲線当て嵌め部122aを含む。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0033】
図5は、変形例1−1に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS101、102、及びS104〜S106の動作は、実施の形態1と同様である。
【0034】
ステップS102に続くステップS113において、曲線当て嵌め部122aは、R−G特徴空間において、ステップS102において算出された特徴量の分布に対して曲線(図形)を当て嵌めることにより、特徴量の分布形状を近似するモデルを算出する。具体的には、曲線を表す次式(3)を、最小二乗法により特徴量の分布に当て嵌め、係数a、b、cを求める。
G=a×R2+b×R+c …(3)
【0035】
式(3)において、係数a、b、及びcは、特徴量の分布を構成する各画素のR成分の値Ri及びG成分の値Gi(i=1〜n、ただし、nはデータ数)を用いて、最小二乗法により得られる次式(4)によって与えられる。
【数2】

【0036】
図6は、R−G特徴空間における特徴量(Ri,Gi)の分布、及び、この分布に2次曲線を当て嵌めた結果の例を示すグラフである。図6に示す2次曲線L2は、特徴量の分布形状を近似するモデル(曲線モデル)であり、式G=a1×R2+b1×R+c1(a1、b1、c1は定数)により表される。
その後、画像処理装置の動作はステップS104に移行する。
【0037】
なお、変形例1−1においては、2次曲線を当て嵌めに用いたが、それ以外の曲線を用いても良い。例えば、べき乗(G=a×Rb)、対数(G=a×logR+b)、指数(G=a×bR)等の曲線を当て嵌めに用いることができる。
【0038】
以上説明したように、変形例1−1によれば、直線よりも自由度の高い曲線(図形)によって特徴量の分布形状を近似するので、病変部をより安定的に検出することが可能となる。
【0039】
(変形例1−2)
次に、実施の形態1の変形例1−2について説明する。
変形例1−2に係る画像処理装置は、図1に示す図形当て嵌め部121の代わりに、図7に示す図形当て嵌め部123を有する。図形当て嵌め部123は、特徴量の分布形状に対して、複数の曲線(図形)を当て嵌める曲線当て嵌め部123aと、複数の曲線を当て嵌めた結果の内から、最も当て嵌め精度の高い結果を選択する当て嵌め結果選択部123bとを含む。
【0040】
図8は、変形例1−2に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS101、S102、及びS104〜S106の動作は、実施の形態1と同様である。
【0041】
ステップS102に続くステップS123において、曲線当て嵌め部123aは、R−G特徴空間において、ステップS102において算出された特徴量の分布に対して複数の曲線(図形)を当て嵌めることにより、特徴量の分布形状を近似する複数のモデルを算出する。具体的には、変形例1−1と同様に、曲線の式を特徴量の分布に当て嵌めて係数を算出する処理を、互いに異なる複数種類の曲線(2次曲線、3次曲線、べき乗、指数、対数等)の式に対して行う。なお、このとき、直線(1次曲線)の式を当て嵌め処理に含めても良い。
【0042】
ステップS124において、当て嵌め結果選択部123bは、最も当て嵌め精度の高い曲線を選択し、選択した曲線を当該分布形状のモデルとする。具体的には、ステップS123において算出したモデルの式G=f(R)の各々に対し、次式(5)に示す最小二乗法における誤差評価関数を用いて評価値Eを算出し、この評価値Eが最小となる曲線の当て嵌め結果を選択する。
【数3】

【0043】
例えば、当て嵌めた曲線が式(3)に示す2次曲線である場合、評価値は次式(6)によって与えられる。
【数4】

その後、画像処理装置の動作はステップS104に移行する。
【0044】
以上説明したように、変形例1−2によれば、最も当て嵌め精度の高い曲線(図形)により特徴量の分布形状を近似するので、病変部をより安定的に検出することが可能となる。
【0045】
なお、上記変形例1−2においては、R−G特徴空間における特徴量を示す点(Ri,Gi)と曲線モデル(G=f(R))とのG成分軸における誤差を用いて評価値Eを算出しているが、特徴量を示す点と曲線モデルとの間の距離の総和を取ることによって評価値を算出しても良い。
【0046】
(変形例1−3)
次に、実施の形態1の変形例1−3について説明する。
変形例1−3に係る画像処理装置は、図1に示す異常部検出部130の代わりに、図9に示す異常部検出部140を備える。異常部検出部140は、特徴空間内距離算出部131に加えて、特徴空間内距離の分布の外れ値を検出する外れ値検出部141を有し、外れ値検出部141による検出結果をもとに異常部を検出する。
【0047】
図10は、変形例1−3に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS101〜S104及びS106の動作は、実施の形態1と同様である。
ステップS104に続くステップS115において、外れ値検出部141は、特徴空間内距離dの分布の外れ値を検出することにより異常部画素を検出する。具体的には、ステップS104において算出された全ての特徴空間内距離dの分散値及び標準偏差を求め、この標準偏差の所定倍以上となる特徴空間内距離dを有する画素を異常部画素として検出する。
【0048】
以上説明したように、変形例1−3によれば、特徴空間内距離の分布に応じて適応的に設定される閾値をもとに特徴空間内距離の外れ値を検出するので、安定的に病変部を検出することができる。
【0049】
(変形例1−4)
次に、実施の形態1の変形例1−4について説明する。
変形例1−4に係る画像処理装置は、図1に示す異常部検出部130の代わりに、図11に示す異常部検出部150を備える。異常部検出部150は、特徴空間内距離算出部131に加えて、特徴空間内距離dをもとに所定の画素を検出し、検出した画素画像内において連結する領域連結部151を有し、領域連結部151によって連結された連結領域の特徴量をもとに異常部を検出する。
【0050】
図12は、変形例1−4に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS101〜S104及びS106の動作は、実施の形態1と同様である。
ステップS104に続くステップS125において、領域連結部151は、特徴空間内距離が所定の閾値以上である画素を画像内で連結する。具体的には、ステップS104において算出された特徴空間内距離dが所定の閾値以上となる画素を抽出し、これらの画素の座標をもとに画素を画像化する。その後、公知のラベリング処理(参考:CG−ARTS協会、「ディジタル画像処理」、第181頁)により、互いに隣接する閾値以上の画素を連結した連結領域を求める。
【0051】
続くステップS126において、異常部検出部150は、連結領域の面積(即ち、画素数)を算出し、面積が閾値以上となる連結領域内の画素を異常部画素として検出する。
その後、動作はステップS106に移行する。
【0052】
以上説明したように、変形例1−4によれば、特徴空間内距離dが閾値以上となる画素のうち、画像内で所定の大きさの領域を形成する画素のみを異常部画素として検出するので、微小なノイズ等の誤検出を抑制して、病変部をより安定的に検出することが可能となる。
【0053】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
実施の形態2に係る画像処理装置は、図1に示す演算部100の代わりに、図13に示す演算部200を備える。演算部200は、特徴量算出部110と、近似形状算出部210と、異常部検出部130とを備える。この内、特徴量算出部110及び異常部検出部130の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。
【0054】
近似形状算出部210は、特徴量の分布の外れ値を除いてモデルを推定するロバスト推定部211を有し、ロバスト推定部211による推定結果をもとに、特徴量の分布形状を近似する。より詳細には、ロバスト推定部211は、モデルの推定と推定結果に基づく外れ値除去とを再帰的に繰返す繰返し推定部211aを含む。
【0055】
図14は、実施の形態2に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS101、S102、及びS104〜S106の動作は、実施の形態1と同様である。
【0056】
ステップS102に続くステップS200において、ロバスト推定部211は、R−G特徴空間において、ステップS102において算出された特徴量の分布に対し、ロバスト推定を用いてモデルを当て嵌めることにより特徴量の分布形状を近似する。
【0057】
このステップS200における詳細な動作を、図15を参照しながら説明する。
ステップS201において、繰返し推定部211aは、R−G特徴空間における特徴量の分布に対して直線を当て嵌めることにより、直線モデルを算出する(図3参照)。なお、このステップS201における詳細な動作は、図2のステップS103において説明したものと同様である。
【0058】
続くステップS202において、繰返し推定部211aは、各画素の特徴量と直線モデルとの特徴空間内距離d(図3参照)を算出する。なお、このステップS202における詳細な動作は、図2のステップS104において説明したものと同様である。
【0059】
ステップS203において、繰返し推定部211aは、特徴空間内距離の分布に対して外れ値となる画素を除外する。より詳細には、ステップS202において算出された全ての特徴空間内距離dの分散値及び標準偏差を求め、この標準偏差の所定倍以上となる特徴空間内距離dを有する画素を外れ値として除外する。
【0060】
ステップS204において、繰返し推定部211aは、外れ値を除外した後のR−G特徴空間における特徴量の分布に対して再度直線を当て嵌めることにより、直線モデルを算出する。なお、このステップS204における詳細な動作は、外れ値を除外したことにより使用するデータ(画素値)数が減少したことを除いて、ステップS201と同様である。
【0061】
ステップS205において、繰返し推定部211aは、当て嵌め回数が所定値以上となったか否かを判定する。当て嵌め回数が所定値未満である場合(ステップS205:No)、繰返し推定部211aは、ステップS202〜S204を繰り返す。一方、当て嵌め回数が所定値以上となった場合(ステップS205:Yes)、この時点でのステップS204における当て嵌め結果を、特徴量の分布形状のモデルとする(ステップS206)。
その後、動作はメインルーチンに戻る。
【0062】
以上説明したように、実施の形態2によれば、特徴量の分布から外れ値を除外することにより、特徴量の分布形状に対してより精度の高い近似を行うことができるので、病変部をさらに安定的に検出することが可能となる。
【0063】
(変形例2−1)
次に、実施の形態2の変形例2−1について説明する。
変形例2−1に係る画像処理装置は、図13に示すロバスト推定部211の代わりに、図16に示すロバスト推定部212を有する。ロバスト推定部212は、特徴量の分布の内から抽出した複数の異なるサンプリングデータをもとに推定した複数の推定結果から、最も推定精度の高い推定結果を探索する最良推定探索部212aを含む。
【0064】
次に、変形例2−1に係る画像処理装置の動作について説明する。変形例2−1に係る画像処理装置全体の動作については図14に示すものと同様であり、ステップS200における詳細な動作が異なっている。
図17は、図14のステップS200における詳細な動作を示すフローチャートである。
【0065】
まず、ステップS211において、最良推定探索部212aは、R−G特徴空間における特徴量の分布から、複数の特徴量データを抽出する。なお、抽出する特徴量データは、ランダムであって良い。
【0066】
続くステップS212において、最良推定探索部212aは、抽出した特徴量データに対して直線を当て嵌めることにより、直線モデルを算出する。なお、このステップS212における詳細な動作は、使用するデータ(画素値)が異なる点を除いて、図2のステップS103において説明したものと同様である。
【0067】
ステップS213において、最良推定探索部212aは、各画素の特徴量と直線モデルとの特徴空間内距離d(図3参照)を算出する。なお、このステップS213における詳細な動作は、図2のステップS104において説明したものと同様である。
【0068】
ステップS214において、最良推定探索部212aは、特徴空間内距離dが所定の閾値以下になる画素の個数Nを算出する。
【0069】
ステップS215において、最良推定探索部212aは、当て嵌め回数が所定以上となったか否かを判定する。当て嵌め回数が所定値未満である場合(ステップS205:No)、最良推定探索部212aは、ステップS211〜S214の処理を繰り返す。一方、当て嵌め回数が所定値以上となった場合(ステップS215:Yes)、特徴空間内距離dが閾値以下になる画素の個数Nが最大となるモデルを選択し、このモデルを、特徴量の分布形状のモデルとする(ステップS216)。
その後、画像処理装置の動作はメインルーチンに戻る。
【0070】
以上説明したように、変形例2−1によれば、複数回推定を行うことにより得られた互いに異なる推定結果の中から、最良の推定結果を探索することにより、特徴量の分布形状に対して、より精度の高い近似を行うことができるので、病変部をさらに安定的に検出することが可能となる。
【0071】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
実施の形態3に係る画像処理装置は、図1に示す演算部100の代わりに、図18に示す演算部300を備える。演算部300は、特徴量算出部110と、画像内の検査領域を特定する検査領域特定部310と、検査領域特定部310によって特定された検査領域に対し、R−G特徴空間における特徴量の分布形状を近似する近似形状を算出する近似形状算出部320と、分布形状及びその近似形状をもとに検査領域から異常部を検出する異常部検出部330とを備える。この内、特徴量算出部110の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。また、近似形状算出部320及び異常部検出部330の構成及び動作は、処理対象が画像全体ではなく検査領域内に限定されるという点を除いて、図1に示す近似形状算出部120及び異常部検出部130とそれぞれ同様である。
【0072】
検査領域特定部310は、画像内の各画素の特徴量の分布をクラスタ分けするクラスタリング部311と、検査領域内の各画素の特徴量が含まれるクラスタを特定するクラスタ特定部312とを有し、クラスタ特定部312によるクラスタの特定結果をもとに、検査領域を特定する。
【0073】
図19は、実施の形態3に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS101、S102、及びS106の動作は、実施の形態1と同様である。
ステップS102に続くステップS301において、検査領域特定部310は、各画素の特徴量をもとに検査領域を特定する。
【0074】
このステップS301における詳細な動作を、図20及び図21を参照しながら説明する。
図20のステップS311において、クラスタリング部311は、画像内の各画素の特徴量の分布をクラスタ分け(クラスタリング)する。クラスタリング法としては、階層法、k-means法(参考:CG−ARTS協会、「ディジタル画像処理」、第231頁)、期待値最大化アルゴリズム(EMアルゴリズム)、自己組織化マップ等の公知の手法を用いて実現することができる。図21は、画像内の画素の特徴量(Ri,Gi)が2つのクラスタCL1、CL2にクラスタリングされた例を示す。
【0075】
続くステップS312において、クラスタ特定部312は、検査領域である粘膜領域に対応するクラスタを特定する。クラスタの特定方法としてはいくつかの手法を用いることができる。以下においては、事前に作成した教師データ(画素毎の特徴量と検査領域の判定結果とが対になったデータ)の特徴量分布を確率モデルで近似し、これをもとに粘膜領域を特定する方法を説明する。
【0076】
まず、クラスタ特定部312は、教師データにおける粘膜領域に属する画素の数を、教師データにおける全画素の数で割ることにより、粘膜領域の発生確率Pcを推定する。
次に、クラスタ特定部312は、教師データのR−G特徴空間における粘膜領域の特徴量分布、及び非粘膜領域(粘膜領域以外の部分)の特徴量分布の各々に対して、公知の期待値最大化アルゴリズム(EMアルゴリズム)を用いた混合正規分布の当て嵌めを行うことにより、粘膜領域及び非粘膜双方の特徴量分布の確率密度関数を推定する。この場合、確率密度関数は、正規分布f(Ci)の線形和の式である次式(7)によって与えられる。
【数5】

式(7)において、特徴ベクトルCiは、画像内の画素の特徴量(Ri,Gi)を表すベクトルである。また、f(Ci)は、j番目(j=1、2、…、j)の正規分布を表す式であり、aは所定の係数(定数)である。
【0077】
また、クラスタ特定部312は、クラスタリング部311によりクラスタ分けされた各クラスタCL1、CL2の重心座標Cg1(Rg1,Gg1)、Cg2(Rg2,Gg2)をそれぞれ算出する。なお、重心座標は、当該クラスタに含まれる画素の特徴量の平均値である。
【0078】
そして、クラスタ特定部312は、これらの重心座標Cg1(Rg1,Gg1)、Cg2(Rg2,Gg2)と、前述の粘膜領域の発生確率Pc及び確率密度関数f1、並びに、非粘膜領域の発生確率(=1−Pc)及び確率密度関数f2を用いて公知の最大事後確率推定を行うことにより、重心座標Cg1、Cg2の粘膜領域への帰属確率を推定する。具体的には、粘膜領域への帰属確率Pは、次式(8)によって与えられる。
【数6】

【0079】
クラスタ特定部312は、重心座標Cg1、Cg2の帰属確率が所定の閾値(例えば、0.5等)以上であるクラスタを、粘膜領域を示すクラスタと特定する。
この後、動作はメインルーチンに戻る。
【0080】
ステップS302において、近似形状算出部320は、R−G特徴空間における検査領域に対応する画素の特徴量の分布に対し、例えば直線等の図形を当て嵌めることにより、特徴量の分布形状を近似するモデルを算出する。なお、当て嵌める図形は、直線の他、実施の形態2において説明した曲線等の図形であって良い。
【0081】
ステップS303において、異常部検出部330は、検査領域に対応する各画素の特徴量と、当て嵌めによって得られたモデルとの特徴空間内距離を算出する。
ステップS304において、異常部検出部330は、特徴空間内距離を閾値処理することにより、異常部画素を検出する。
【0082】
以上説明したように、実施の形態3によれば、画像内の検査領域(粘膜領域)を特定し、検査領域内の画素のみの特徴量の分布形状を近似するので、食物残渣や泡等の不要な領域の特徴量の分布に影響されない、精度の高いモデルを生成することができ、安定的に病変部を検出することが可能となる。
【0083】
(変形例3−1)
実施の形態3においては、確率モデルをもとに粘膜領域のクラスタを特定する方法を説明したが、それ以外の方法を用いても良い。例えば、画像内の画素の特徴量をクラスタリング(ステップS301)した後、各クラスタの重心座標(RC1,GC1)、(RC2,GC2)を算出し、これらの重心座標を閾値処理することにより、粘膜領域のクラスタを特定しても良い。この際に用いられる閾値は、例えば教師データから取得しても良い。或いは、各クラスタに含まれる各画素に対し、特徴量を閾値処理することにより粘膜領域であるか否かを判別し、粘膜領域と判別された画素の割合が所定の閾値以上となるクラスタを、粘膜領域のクラスタと判定しても良い。なお、各画素の判別に用いられる閾値についても、例えば教師データから取得すれば良い。
【0084】
(実施の形態4)
以上説明した実施の形態1〜3においては、画像内の各画素の特徴量の分布に基づいて異常部の検出処理を行ったが、画素単位ではなく、画像を複数の領域に分割した各領域の特徴量の分布に基づいて同様の処理を行っても良い。
【0085】
画像の複数領域への分割は、例えば以下のようにして行う。まず、処理対象の画像に含まれる各画素のエッジ強度を算出する。エッジ強度の算出に際しては、ソーベルフィルタ等の微分フィルタ処理など、公知の手法を用いれば良い。続いて、画像をエッジ強度の尾根を境界とする複数のエッジ領域に分割する。より詳細には、各画素のエッジ強度を画素値とするエッジ強度画像を作成し、エッジ強度画像内の画素におけるエッジ強度の勾配方向を取得する。このときの勾配方向は、エッジ強度の値が小さくなる方向とする。そして、各画素から出発して勾配方向に沿って移動した際に到達する極小値の画素を探索し、互いに隣接する極小値の画素に到達した出発点の画素が同一の領域に含まれるように画像を分割する(参考:国際公開第2006/080239号)。
【0086】
この他、画像の分割方法としては、分水嶺(watershed)アルゴリズム(参考:Luc Vincent and Pierre Soille,“Watersheds in Digital Spaces: An Efficient Algorithm Based on Immersion Simulations”,IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, Vol.13,No.6, pp.583−598,June 1991)等の公知の手法を利用することもできる。
【0087】
実施の形態4によれば、複数の画素がまとまった領域単位の特徴量に基づく特徴量の分布形状が得られるので、領域ごとの特徴が反映された信頼性の判定及び判別基準の作成を行うことができると共に、演算速度を向上させることが可能となる。
【0088】
(実施の形態5)
実施の形態1〜3においては、直線又は曲線を特徴量の分布形状に当て嵌めることにより、分布形状を近似する直線モデル又は曲線モデルを算出したが、それ以外の種々の図形を用いて当て嵌めを行っても良い。例えば、2種類の特徴量を成分とする2次元特徴空間における特徴量の分布形状を近似する場合、円、楕円、三角形、四角形等の図形を当て嵌めても良い。なお、特徴量の分布形状をこれらの図形により近似する場合、特徴空間内距離としては、例えば、特徴量を表す点とモデルの周との間の距離を算出すれば良い。
【0089】
(実施の形態6)
実施の形態1〜3においては、具体例として、2種類の特徴量(R成分及びG成分の値)を用いて演算処理を行ったが、3種類以上の特徴量を用いても良い。この場合、当て嵌めに用いる図形としては、直線及び曲線の他、2次元図形や3次元図形(例えば、球、円柱等)を用いることもできる。
【0090】
以上説明した実施の形態1〜6及び変形例に係る画像処理装置は、記録媒体に記録された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータシステムで実行することにより実現することができる。また、このようなコンピュータシステムを、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域エリアネットワーク(WAN)、又は、インターネット等の公衆回線を介して、他のコンピュータシステムやサーバ等の機器に接続して使用しても良い。この場合、実施の形態1〜6及び変形例に係る画像処理装置は、これらのネットワークを介して管腔内画像の画像データを取得したり、これらのネットワークを介して接続された種々の出力機器(ビュアーやプリンタ等)に画像処理結果を出力したり、これらのネットワークを介して接続された記憶装置(記録媒体及びその読取装置等)に画像処理結果を格納するようにしても良い。
【0091】
なお、本発明は、実施の形態1〜6及び変形例に限定されるものではなく、各実施の形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。例えば、各実施の形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成しても良いし、異なる実施の形態や変形例に示した構成要素を適宜組み合わせて形成しても良い。
【符号の説明】
【0092】
1 画像処理装置
10 制御部
11 画像取得部
12 入力部
13 表示部
14 記録部
14a 画像処理プログラム
100、200、300 演算部
110 特徴量算出部
120、210、320 近似形状算出部
121、122、123 図形当て嵌め部
121a 直線当て嵌め部
122a、123a 曲線当て嵌め部
123b 当て嵌め結果選択部
130、140、150 異常部検出部
131 特徴空間内距離算出部
141 外れ値検出部
151 領域連結部
211、212 ロバスト推定部
211a 繰返し推定部
212a 最良推定探索部
310 検査領域特定部
311 クラスタリング部
312 クラスタ特定部
330 異常部検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像内の各画素、又は前記画像を複数の領域に分割した各領域の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量を成分とする特徴空間において前記特徴量が分布する分布領域の形状を近似する近似形状を算出する近似形状算出手段と、
前記近似形状及び前記分布領域の形状をもとに、前記画像内の異常部を検出する異常部検出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記特徴量算出手段は、2種類以上の特徴量を算出し、
前記特徴空間は、前記2種類以上の特徴量を成分とする2次元以上の空間であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像は管腔内画像であり、
前記特徴量算出手段は、生体内における吸収・散乱の度合いが異なる2つ以上の波長成分を特徴量として算出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記近似形状算出手段は、
前記分布領域の形状に対して幾何学図形を当て嵌める図形当て嵌め手段を備え、
前記図形当て嵌め手段が当て嵌めた図形を、前記近似形状とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記図形当て嵌め手段は、前記分布領域の形状に対して直線を当て嵌める直線当て嵌め手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記図形当て嵌め手段は、前記分布領域の形状に対して曲線を当て嵌める曲線当て嵌め手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記図形当て嵌め手段は、複数の前記幾何学図形を当て嵌めた結果の内から、最も当て嵌め精度の高い結果を選択する当て嵌め結果選択手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記近似形状算出手段は、
前記特徴量の分布の外れ値を除いて前記近似形状を推定するロバスト推定手段を備え、
前記ロバスト推定手段による推定結果をもとに、前記近似形状を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記ロバスト推定手段は、前記近似形状の推定と該推定の結果に基づく外れ値除去とを再帰的に繰返す繰返し推定手段を備えることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記ロバスト推定手段は、前記特徴量の分布の内から互いに異なる複数のサンプリングデータを抽出し、該複数のサンプリングデータをもとに推定した複数の推定結果から、最も推定精度の高い推定結果を探索する最良推定探索手段を備えることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記異常部検出手段は、
前記画像内の各画素又は前記各領域の特徴量と前記近似形状との特徴空間内距離を算出する特徴空間内距離算出手段を備え、
前記特徴空間内距離をもとに異常部を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記異常部検出手段は、
前記特徴空間内距離の分布の外れ値を検出する外れ値検出手段をさらに備え、
前記外れ値検出手段による検出結果をもとに異常部を検出することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記異常部検出手段は、
前記特徴空間内距離をもとに所定の画素又は領域を検出し、検出した該画素又は該領域を前記画像内において連結する領域連結手段をさらに備え、
前記領域連結手段によって連結された連結領域内の前記特徴量をもとに異常部を検出することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記画像内の検査領域を特定する検査領域特定手段をさらに備え、
前記近似形状算出手段は、前記検査領域内の前記特徴量を用いて前記近似形状を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記検査領域特定手段は、
前記画像内の特徴量の分布をクラスタ分けするクラスタリング手段と、
前記検査領域内の特徴量が含まれるクラスタを特定するクラスタ特定手段と、
を備え、
前記クラスタ特定手段による前記クラスタの特定結果をもとに、前記検査領域を特定することを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
画像内の各画素、又は前記画像を複数の領域に分割した各領域の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、
前記特徴量を成分とする特徴空間において前記特徴量が分布する分布領域の形状を近似する近似形状を算出する近似形状算出ステップと、
前記近似形状及び前記分布領域の形状をもとに、前記画像内の異常部を検出する異常部検出ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項17】
画像内の各画素、又は前記画像を複数の領域に分割した各領域の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、
前記特徴量を成分とする特徴空間において前記特徴量が分布する分布領域の形状を近似する近似形状を算出する近似形状算出ステップと、
前記近似形状及び前記分布領域の形状をもとに、前記画像内の異常部を検出する異常部検出ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2013−51988(P2013−51988A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190073(P2011−190073)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】