画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
【課題】マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することのできる画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを得る。
【解決手段】主制御部20により、各々異なる2つの視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得し、取得した複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する一方、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、合成した前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する。
【解決手段】主制御部20により、各々異なる2つの視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得し、取得した複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する一方、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、合成した前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに係り、特に、立体撮影によって得られた画像に対して画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮影装置の進歩は著しく、立体撮影を行うことのできるものも実用化されている。
【0003】
従来、この種の撮影装置に関する技術として、特許文献1には、同一の対象物を撮像する複数の撮像光学系で生じる視差を算出する複眼撮像装置であって、前記対象物を撮像することによって、基準画像を含む画像を生成する基準撮像光学系と、前記基準撮像光学系の光学中心に対してそれぞれの光学中心が略点対称に配置され、前記対象物を撮像することによって、参照画像を含む画像を生成する2以上の偶数の参照撮像光学系と、前記2以上の偶数の参照撮像光学系のそれぞれについて、前記基準画像に類似する前記参照画像の画像位置を探索するために前記参照撮像光学系により生成された画像中の前記参照画像の探索位置を、前記基準撮像光学系の光学中心と前記参照撮像光学系の光学中心とを結ぶ直線である基線と平行な方向に沿ってずらしていった場合のずらし量ごとに、前記基準画像と前記参照画像との類似度を表す相関値を算出する相関値算出手段と、前記2以上の偶数の参照撮像光学系のそれぞれについて算出された相関値を、対応するずらし量ごとに加算することにより合成相関値を算出する相関値加算手段と、前記合成相関値に基づき、前記基準画像と前記参照画像との類似度が最大となるずらし量である視差をサブピクセルのレベルで算出する視差算出手段と、を少なくとも備えることを特徴とする複眼撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4382156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、立体撮影を行うことのできる撮影装置に関する技術として、ノイズの低減、撮影感度の向上、撮影画像のダイナミックレンジの拡大等により画質を向上させることを目的として、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像のうちの視点毎に予め定められた基準画像をそれぞれ基準として、各々の視点から撮影された複数の画像をそれぞれ視点毎に合成する技術(以下、「マルチフレーム合成」という。)がある。
【0006】
しかしながら、従来のマルチフレーム合成では、視点毎に異なる時間に撮影された複数の画像を合成しているため、同一被写体の少なくとも一部が複数箇所に重複して写り込んだり、各被写体の輪郭にぼけが生じてしまったりする場合があり、この場合には、マルチフレーム合成を行うことによって逆に画質が低下してしまう、という問題点があった。
【0007】
なお、上記特許文献1に開示されている技術では、マルチフレーム合成については考慮されていないため、この問題点に関しては無力である。また、この問題点は、立体撮影を行うことのできる撮影装置に限らず、当該撮影装置によって得られた画像情報を入力して当該画像情報に対してマルチフレーム合成を行うパーソナル・コンピュータ等の画像処理装置にも生じ得る問題点である。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することのできる画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像処理装置は、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成手段と、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成手段により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録手段と、を備えている。
【0010】
請求項1に記載の画像処理装置によれば、取得手段により、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像が取得され、合成手段により、前記取得手段によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像が決定され、当該基準画像を基準として前記複数の画像が当該視点毎に合成(マルチフレーム合成)される。
【0011】
ここで、本発明では、記録手段により、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成手段により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像が前記視点毎に記録され、前記条件を満足しない場合に前記合成画像が前記視点毎に記録される。
【0012】
このように、請求項1に記載の画像処理装置によれば、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得し、取得した複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する一方、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成した前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0013】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記第1立体画像関連情報が、前記視点毎の基準画像間の対応点の数を示す第1対応点数であり、前記第2立体画像関連情報が、前記視点毎の合成画像間の対応点の数を示す第2対応点数であり、前記記録手段が、前記第1対応点数が前記第2対応点数以上の場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1対応点数が前記第2対応点数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録してもよい。これにより、対応点数の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明のように、前記第1対応点数が、前記視点毎の基準画像における主要被写体間の対応点の数であり、前記第2対応点数が、前記視点毎の合成画像における主要被写体間の対応点の数であるものとしてもよい。これにより、より高精度でマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項4に記載の発明のように、前記第1対応点数が、前記視点毎の基準画像における同一の動体間の対応点の数であり、前記第2対応点数が、前記視点毎の合成画像における同一の動体間の対応点の数であるものとしてもよい。これにより、より高精度でマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0016】
また、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記第1立体画像関連情報が、前記視点毎の基準画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第1面積であり、前記第2立体画像関連情報が、前記視点毎の合成画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第2面積であり、前記記録手段が、前記第1面積が前記第2面積以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1面積が前記第2面積より小さい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録してもよい。これにより、オクルージョン領域の面積の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0017】
また、本発明は、請求項6に記載の発明のように、前記第1立体画像関連情報が、前記視点毎のクロスポイント調整された後の基準画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第1画素数であり、前記第2立体画像関連情報が、前記視点毎のクロスポイント調整された後の合成画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第2画素数であり、前記記録手段が、前記第1画素数が前記第2画素数以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1画素数が前記第2画素数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録してもよい。これにより、上記画素数の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0018】
また、本発明は、請求項7に記載の発明のように、前記第1立体画像関連情報が、前記視点毎の基準画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第1距離であり、前記第2立体画像関連情報が、前記視点毎の合成画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第2距離であり、前記記録手段が、前記第1距離が前記第2距離以下である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1距離が前記第2距離より大きい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録してもよい。これにより、上記対応点間の垂直方向の距離の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。なお、ここでいう「垂直方向」とは、画像平面上において、各視点間における視差が生じる方向である視差方向に対して垂直方向、という意味である。
【0019】
さらに、本発明は、請求項8に記載の発明のように、前記第1立体画像関連情報が、前記視点毎の基準画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第1割合であり、前記第2立体画像関連情報が、前記視点毎の合成画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第2割合であり、前記記録手段が、前記第1割合が前記第2割合以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1割合が前記第2割合より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録してもよい。これにより、上記対応点数の割合の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0020】
一方、上記目的を達成するために、請求項9に記載の画像処理方法は、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成工程と、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成工程により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録工程と、を有する。
【0021】
従って、請求項9に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様に、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0022】
一方、上記目的を達成するために、請求項10に記載のプログラムは、コンピュータを、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成手段と、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成手段により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録手段と、として機能させるためのものである。
【0023】
従って、請求項10に記載の発明によれば、コンピュータを請求項1に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1に記載の発明と同様に、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得し、取得した複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する一方、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成した前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態に係る複眼デジタルカメラを示す斜視図であり、(A)は正面斜視図であり、(B)は背面斜視図である。
【図2】実施の形態に係る複眼デジタルカメラの電気系の要部構成を示す概略ブロック図である。
【図3】実施の形態に係るマルチフレーム合成機能の説明に供する概略図である。
【図4】第1の実施の形態に係る第1撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係る第1撮影処理プログラムの処理内容の説明に供する概略図である。
【図6】第2の実施の形態に係る第2撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る視差マップの説明に供する概略図である。
【図8】第2の実施の形態に係る第2撮影処理プログラムの処理内容の説明に供する概略図である。
【図9】第3の実施の形態に係る第3撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態に係る第3撮影処理プログラムの処理内容の説明に供する概略図である。
【図11】第4の実施の形態に係る第4撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第4の実施の形態に係る第4撮影処理プログラムの処理内容の説明に供する概略図である。
【図13】第5の実施の形態に係る第5撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第5の実施の形態に係る被写体に動体を含む場合の問題点の説明に供する概略図である。
【図15】第6の実施の形態に係る第6撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】第6の実施の形態に係る第6撮影処理プログラムの処理内容の説明に供するヒストグラムである。
【図17】第7の実施の形態に係るぼかしコントロール処理機能の説明に供する概略図である。
【図18】第7の実施の形態に係る第7撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】第7の実施の形態の変形例の説明に供する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、2つの撮像系を有する複眼デジタルカメラに適用した場合の形態例について説明する。
【0027】
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成について説明する。
【0028】
同図に示すように、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1は筐体10を備えており、筐体10の内部にCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)などの各種電子部品が収納されている。筐体10の上面にはレリーズボタン11が備えられており、ユーザがこのレリーズボタン11を押下することにより複眼デジタルカメラ1に撮影等の指示を入力することができる。また、筐体10の上面には電源ボタン12が備えられており、ユーザがこの電源ボタン12を押下することにより、複眼デジタルカメラ1の電源のオン/オフ状態を切り替える指示を入力することができる。さらに、筐体10の上面にはズームレバー13が備えられており、ユーザがこのズームレバー13を操作することにより、撮影時にズーム機能の画角や倍率の変更の指示を入力することができる。
【0029】
一方、図1(A)に示すように、筐体10の正面にはフラッシュ14が備えられており、撮影時に周囲を照明することができる。また、筐体10の正面には複数のレンズ15A、15Bが備えられており、これらのレンズ15A、15Bに入射した光が当該レンズ15A、15Bを通過して内部に入力される。
【0030】
また、図1(B)に示すように、筐体10の背面には、液晶ディスプレイ16が備えられており、撮影画像や設定事項等が表示される。また、筐体10の背面には、各種操作ボタン17が備えられており、ユーザが各種操作ボタン17を操作することにより各種設定事項の設定の指示を入力することができる。
【0031】
図2は、複眼デジタルカメラ1の電気系の要部構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、複眼デジタルカメラ1は、主制御部20、左用撮影部21A、右用撮影部21B、撮影制御部22、画像処理部23、圧縮/伸張処理部24、フレームメモリ25、メディア制御部26、内部メモリ27、表示制御部28、三次元処理部30、および視差マップ生成部31を備えている。
【0032】
主制御部20は、CPUやRAM等を備えており、電源ボタン12や各種操作ボタン17等の入力部を介したユーザ操作に従って、複眼デジタルカメラ1を総括的に制御する。
【0033】
左用撮影部21Aは、レンズ15Aに入射した光を受光して電気信号に変換することにより画像を再構成する。同様に、右用撮影部21Bは、レンズ15Bに入射した光を受光して電気信号に変換することにより画像を再構成する。ここで、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bは、被写体を見込む輻輳角を持って予め定められた基線長となるように配置されている。なお、輻輳角、基線長の情報は内部メモリ27に記憶されている。
【0034】
一方、撮影制御部22は、AF(Automatic Focusing)処理部(図示せず)およびAE(Automatic Exposure)処理部(図示せず)を備えている。AF処理部は、ユーザによるレリーズボタン11の半押し操作等により左用撮影部21A、右用撮影部21Bによって取得されたプレ画像(撮影前にレンズ15A、15Bに入力している画像)に基づいて合焦領域を決定すると共に、レンズの焦点位置を決定し、左用撮影部21A、右用撮影部21Bに出力する。AE処理部は、プレ画像に基づいて絞り値とシャッタ速度とを決定し、左用撮影部21A、右用撮影部21Bに出力する。
【0035】
また、撮影制御部22は、ユーザによるレリーズボタン11の全押し操作により左用撮影部21Aに対して左画像、右用撮影部21Bに対して右画像の各々の本画像を取得する本撮影を行うように指示を行う。なお、レリーズボタン11が操作される前は、撮影制御部22は、撮影範囲を確認するための本画像よりも画素数が少ない画像であるスルー画像を、所定時間間隔(例えば、1/30秒間隔)にて順次取得させる指示を左用撮影部21A、右用撮影部21Bに対して行っている。
【0036】
画像処理部23は、左用撮影部21A、右用撮影部21Bがそれぞれ取得した各々の画像のデジタル画像データに対して、ホワイトバランスを調整する処理、階調補正、シャープネス補正、および色補正等の様々な画像処理を施す。
【0037】
圧縮/伸張処理部24は、画像処理部23によって処理が施された画像を表す画像データに対して、例えばJPEGなどの圧縮形式で圧縮処理を行い、左用撮影部21Aが取得した画像のデジタル画像データを左画像とし、右用撮影部21Bが取得した画像のデジタル画像データを右画像とした立体視用の立体画像ファイルを生成する。この立体視用の立体画像ファイルは、左画像および右画像の画像データを含んでいるとともに、Exifフォーマット等に基づいて、基線長、輻輳角、および撮影日時などの付帯情報、並びに視点位置を表す視点情報などが格納される。
【0038】
フレームメモリ25は、左用撮影部21A、右用撮影部21Bがそれぞれ取得した画像の画像データに対して、前述の画像処理部23が行う処理を含む各種処理を行う際に使用される作業用メモリである。
【0039】
メディア制御部26は、複眼デジタルカメラ1に記録メディア26A等の各種記録メディアが電気接続された際に、この記録メディア26Aの記憶領域に対して画像ファイル等のデータの読み書きの制御を行う。
【0040】
内部メモリ27は、複眼デジタルカメラ1において設定される各種設定事項、および主制御部20が実行するプログラムやプログラムの処理に使用されるデータを記憶する。
【0041】
表示制御部28は、主制御部20または撮影制御部22による制御に基づいて、撮影時においてフレームメモリ25に格納された画像から立体視用画像を生成して液晶ディスプレイ16に表示させたり、記録メディア26Aに記憶されている立体画像ファイルから立体視用画像を生成して液晶ディスプレイ16に表示させたりする。
【0042】
三次元処理部30は、主制御部20または撮影制御部22による制御に基づいて、表示制御部28が画像の立体視表示を行う際に、立体画像ファイルに含まれる左画像および右画像に三次元処理を行って立体視用画像を生成する。
【0043】
視差マップ生成部31は、主制御部20または撮影制御部22による制御に基づいて、左画像と右画像との相互の視差マップを生成する。ここで、視差は、左画像および右画像の双方に含まれる被写体の左画像と右画像との水平方向における画素位置の相違として算出することができる。視差マップを適切に生成することにより、立体視用画像に含まれる被写体の立体感を適切なものとすることができる。
【0044】
ところで、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1には、ノイズの低減、撮影感度の向上、撮影画像のダイナミックレンジの拡大といった撮影画像の画質を向上させることを目的として、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像のうちの視点毎に予め定められた基準画像をそれぞれ基準として、各々の視点から撮影された複数の画像をそれぞれ視点毎に合成するマルチフレーム合成機能が搭載されている。
【0045】
以下、本実施の形態に係るマルチフレーム合成機能について説明する。
【0046】
一例として図3に示すように、本実施の形態に係るマルチフレーム合成機能は、左用撮影部21Aによって連続的に撮影された5つの左画像L1〜L5により構成される左画像群40Lについて、予め定められた左画像L3を基準画像として、基準画像L3に対し、当該基準画像L3を除く左画像群40Lに含まれる左画像L1,L2,L4,L5を多重合成する。また、本実施の形態に係るマルチフレーム合成機能は、右用撮影部21Bによって連続的に撮影された5つの右画像R1〜R5により構成される右画像群40Rについて、予め定められた右画像R3を基準画像として、基準画像R3に対して当該基準画像R3を除く右画像群40Rに含まれる右画像R1,R2,R4,R5を多重合成する。
【0047】
なお、以上のように視点毎に多重合成を行う際には、基準画像に合成する画像に含まれる被写体の状態を、基準画像に含まれる、対応する被写体の状態に近づけるための画像処理を施す。この際の画像処理としては、基準画像に合成する画像全体の平行移動、回転、拡大といった画像全体に対する画像処理の他、基準画像に合成する画像を予め定められた複数の領域に分割し、各分割領域毎に、基準画像とのステレオ・マッチングを行うことによって得られる同一対応点同士の位置を一致させるように画像を変形する画像処理が含まれる。
【0048】
ここで、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、ユーザによって各種操作ボタン17を介してマルチフレーム合成機能を働かせることが設定された場合のみ、以上のような左画像および右画像の多重合成が行われて、各画像が立体画像を示す画像として記録メディア26Aに記録される。
【0049】
なお、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、基準画像として、多重合成する画像との変化量が最も小さい可能性が高い画像である、上記連続的な撮影によって得られた画像群(左画像群40Lおよび右画像群40R)の時間的に中央に位置する画像を適用しているが、これに限らず、他の画像を基準画像として適用することもできる。また、以上のマルチフレーム合成機能の説明では、合成する画像の数を、基準画像を含めて5つとした場合について説明したが、合成する画像の数は複数であれば如何なる数も取り得る。以下では、マルチフレーム合成機能により連続的に撮影する左画像として左画像L1,L2,L3の3つを取得し、右画像として右画像R1,R2,R3の3つを取得して、視点毎に合成する画像の数を各々3つとすると共に、左画像群の基準画像として左画像L2を適用し、右画像群の基準画像として右画像R2を適用する場合について説明する。
【0050】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図4は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第1撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0051】
同図のステップ100では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ102では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して合成画像(以下、「左合成画像」という。)を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して合成画像(以下、「右合成画像」という。)を生成する。
【0052】
次のステップ104では、左画像群における基準画像(以下、「左基準画像」という。)と右画像群における基準画像(以下、「右基準画像」という。)との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の対応点数T1を導出し、次のステップ106では、上記ステップ102の処理によって得られた左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の対応点数T2を導出する。
【0053】
次のステップ108では、以上の処理によって得られた対応点数T1が対応点数T2より少ないか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ110に移行して、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第1撮影処理プログラムを終了する。
【0054】
一方、上記ステップ108において否定判定となった場合にはステップ112に移行し、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第1撮影処理プログラムを終了する。
【0055】
以上の第1撮影処理プログラムの実行により、一例として図5(A)に示すように、左基準画像L2と右基準画像R2との間の対応点数T1が、左合成画像LCと右合成画像RCとの間の対応点数T2より少ない場合は、マルチフレーム合成が成功してクリアな画像が生成できたものと見なして、左合成画像LCおよび右合成画像RCの各画像データが記録メディア26Aに記録される一方、一例として図5(B)に示すように、対応点数T1が対応点数T2以上である場合は、マルチフレーム合成によってブレやボケが発生したものと見なして、左基準画像L2および右基準画像R2の各画像データが記録メディア26Aに記録される。
【0056】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、各々異なる複数の視点(本実施の形態では、2つの視点)からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像(本実施の形態では、3つの画像)を取得し、取得した複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する一方、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成した前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0057】
特に、本実施の形態によれば、前記第1立体画像関連情報を、前記視点毎の基準画像間の対応点の数を示す第1対応点数(本実施の形態では、対応点数T1)とし、前記第2立体画像関連情報を、前記視点毎の合成画像間の対応点の数を示す第2対応点数(本実施の形態では、対応点数T2)として、前記第1対応点数が前記第2対応点数以上の場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1対応点数が前記第2対応点数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、対応点数の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0058】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第2の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0059】
以下、図6を参照して、本第2の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図6は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第2の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第2撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0060】
同図のステップ200では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ202では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0061】
次のステップ204では、左画像群における基準画像(左基準画像)と右画像群における基準画像(右基準画像)との間で視差マップを作成するように視差マップ生成部31を制御する。以下、本実施の形態に係る視差マップの作成手順について説明する。
【0062】
一例として図7に示すように、まず、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、例えば左基準画像を基準として、左基準画像上の画素(x1,y1)に対応する右基準画像上の対応点の画素(x2,y2)を抽出する。なお、ここでは、視差が画像の横方向(水平方向)に発生しており、縦方向(垂直方向)にずれは生じていないものとして説明する。
【0063】
次に、左基準画像上の画素(x1,y1)と右基準画像上の対応点の画素(x2,y2)との視差dを、d=x2−x1により算出し、この視差dを、基準とした左基準画像の画素位置(x1,y1)に格納する。そして、左基準画像の各画素について計算した視差dを左基準画像の画素位置に対応させて格納して画像化する。この画像化したものを「視差マップ」と呼ぶ。
【0064】
なお、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、ステレオ・マッチングにより対応点が見つからない画素については、直近に見つかった対応点の画素を代用するものとしている。また、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、視差マップとして、左基準画像を基準としたもの(以下、「左基準画像視差マップ」という。)と、右基準画像を基準としたもの(以下、「右基準画像視差マップ」という。)の2種類を作成する。
【0065】
次のステップ206では、以上の処理によって作成した左基準画像視差マップおよび右基準画像視差マップを用いて、左基準画像には含まれており、右基準画像には含まれていない領域と、右基準画像には含まれており、左基準画像には含まれていない領域であるオクルージョン領域の面積S1を導出する。なお、本実施の形態に係る視差マップは、前述したように、ステレオ・マッチングにより対応点が見つからない画素については、直近に見つかった対応点の画素を代用しているので、左基準画像視差マップおよび右基準画像視差マップにおいて、同一の視差dが連続的に記憶されている対応点の数を計数することにより面積S1を導出する。
【0066】
次のステップ208では、左合成画像と右合成画像との間で、上記ステップ204の処理と同様に視差マップを作成する。これにより、左合成画像を基準としたもの(以下、「左合成画像視差マップ」という。)と、右合成画像を基準としたもの(以下、「右合成画像視差マップ」という。)の2種類の視差マップが作成される。
【0067】
次のステップ210では、作成した左合成画像視差マップおよび右合成画像視差マップを用いて、上記ステップ206の処理と同様に左合成画像と右合成画像とのオクルージョン領域の面積S2を導出する。
【0068】
次のステップ212では、以上の処理によって得られた面積S1が面積S2より小さいか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ214に移行して、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第2撮影処理プログラムを終了する。
【0069】
一方、上記ステップ212において否定判定となった場合にはステップ216に移行し、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第2撮影処理プログラムを終了する。
【0070】
以上の第2撮影処理プログラムの実行により、一例として図8(A)に示すように、左基準画像L2と右基準画像R2との間のオクルージョン領域の面積S1が、左合成画像LCと右合成画像RCとの間のオクルージョン領域の面積S2より小さい場合は、マルチフレーム合成が成功して正しく対応点が検出できる立体感のある画像が生成できたものと見なして、左合成画像LCおよび右合成画像RCの各画像データが記録メディア26Aに記録される一方、一例として図8(B)に示すように、面積S1が面積S2以上である場合は、マルチフレーム合成によってブレやボケが発生して左右間の対応点が誤対応していると見なして、左基準画像L2および右基準画像R2の各画像データが記録メディア26Aに記録される。
【0071】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記第1立体画像関連情報を、前記視点毎の基準画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第1面積(本実施の形態では、面積S1)とし、前記第2立体画像関連情報を、前記視点毎の合成画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第2面積(本実施の形態では、面積S2)として、前記第1面積が前記第2面積以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1面積が前記第2面積より小さい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、オクルージョン領域の面積の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0072】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第3の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0073】
以下、図9を参照して、本第3の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図9は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第3の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第3撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0074】
同図のステップ300では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ302では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0075】
次のステップ304では、左基準画像と右基準画像との間でクロスポイント調整(主要被写体の視差が極力0(零)となるように画像の位置を調整)を行い、次のステップ306にて、上記第2の実施の形態に係る第2撮影処理プログラムのステップ204の処理と同様に、左画像群における基準画像(左基準画像)と右画像群における基準画像(右基準画像)との間で視差マップを作成する。これにより、左基準画像視差マップと、右基準画像視差マップの2種類の視差マップが作成される。
【0076】
次のステップ308では、以上の処理によって得られた左基準画像視差マップおよび右基準画像視差マップにおいて、視差が予め定められた画素数(本実施の形態では、3画素)以内である画素数P1を導出する。
【0077】
次のステップ310では、左合成画像と右合成画像との間でクロスポイント調整を行い、次のステップ312にて、左合成画像と右合成画像との間で、上記第2の実施の形態に係る第2撮影処理プログラムのステップ208の処理と同様に、左合成画像と右合成画像との間で視差マップを作成する。これにより、左合成画像視差マップと、右合成画像視差マップの2種類の視差マップが作成される。
【0078】
次のステップ314では、以上の処理によって得られた左合成画像視差マップおよび右合成画像視差マップにおいて、視差が上記予め定められた画素数(本実施の形態では、3画素)以内である画素数P2を導出する。
【0079】
次のステップ316では、以上の処理によって得られた画素数P1が画素数P2より少ないか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ318に移行して、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第3撮影処理プログラムを終了する。
【0080】
一方、上記ステップ316において否定判定となった場合にはステップ320に移行し、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第3撮影処理プログラムを終了する。
【0081】
以上の第3撮影処理プログラムの実行により、一例として図10(A)に示すように、左基準画像L2と右基準画像R2との間の画素数P1が、左合成画像LCと右合成画像RCとの間の画素数P2より少ない場合は、マルチフレーム合成が成功して主要被写体に3次元焦点が合っていると見なして、左合成画像LCおよび右合成画像RCの各画像データが記録メディア26Aに記録される一方、一例として図10(B)に示すように、画素数P1が画素数P2以上である場合は、マルチフレーム合成によってブレやボケが発生してクロスポイント調整が失敗していると見なして、左基準画像L2および右基準画像R2の各画像データが記録メディア26Aに記録される。
【0082】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、前記第1立体画像関連情報を、前記視点毎のクロスポイント調整された後の基準画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第1画素数(本実施の形態では、画素数P1)とし、前記第2立体画像関連情報を、前記視点毎のクロスポイント調整された後の合成画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第2画素数(本実施の形態では、画素数P2)として、前記第1画素数が前記第2画素数以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1画素数が前記第2画素数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、上記画素数の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0083】
[第4の実施の形態]
以下、本発明の第4の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第4の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0084】
以下、図11を参照して、本第4の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図11は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第4の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第4撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0085】
同図のステップ400では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ402では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0086】
次のステップ404では、左基準画像、右基準画像、左合成画像、および右合成画像の各画像に対して主要被写体の検出を行う。なお、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、当該主要被写体の検出を、対象とする画像の中央部を含む領域であると共に、輝度値が中央部の輝度値を中心とした予め定められた範囲(本実施の形態では、最大輝度値の10%に相当する範囲)内の領域で、かつ予め定められた面積(本実施の形態では、対象とする画像の全面積の10%に相当する面積)以上の領域を抽出することにより行っているが、これに限らず、従来既知の他の主要被写体検出法を適用することができることは言うまでもない。
【0087】
次のステップ406では、左基準画像、右基準画像、左合成画像、および右合成画像の全ての画像について主要被写体が検出されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ408に移行する。
【0088】
ステップ408では、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の主要被写体の領域における対応点数TS1を導出し、次のステップ410では、左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の主要被写体の領域における対応点数TS2を導出する。
【0089】
次のステップ412では、以上の処理によって得られた対応点数TS1が対応点数TS2より少ないか否かを判定し、否定判定となった場合は後述するステップ422に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ414に移行して、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第4撮影処理プログラムを終了する。
【0090】
一方、上記ステップ406において否定判定となった場合はステップ416に移行し、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の全ての領域における対応点数TA1を導出し、次のステップ418では、左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の全ての領域における対応点数TA2を導出する。
【0091】
次のステップ420では、以上の処理によって得られた対応点数TA1が対応点数TA2より少ないか否かを判定し、肯定判定となった場合は前述したステップ414に移行する一方、否定判定となった場合はステップ422に移行して、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第4撮影処理プログラムを終了する。
【0092】
以上の第4撮影処理プログラムの実行により、一例として図12(A)に示すように、左基準画像L2と右基準画像R2との間の主要被写体の領域における対応点数TS1が、左合成画像LCと右合成画像RCとの間の主要被写体の領域における対応点数TS2より少ない場合は、左合成画像LCおよび右合成画像RCの各画像データが記録メディア26Aに記録される一方、一例として図12(B)に示すように、対応点数TS1が対応点数TS2以上である場合は、左基準画像L2および右基準画像R2の各画像データが記録メディア26Aに記録される。
【0093】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記第1対応点数を、前記視点毎の基準画像における主要被写体間の対応点の数(本実施の形態では、対応点数TS1)とし、前記第2対応点数を、前記視点毎の合成画像における主要被写体間の対応点の数(本実施の形態では、対応点数TS2)としているので、より高精度でマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0094】
[第5の実施の形態]
以下、本発明の第5の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第5の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0095】
以下、図13を参照して、本第5の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図13は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第5の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第5撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0096】
同図のステップ500では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ502では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0097】
次のステップ504では、左基準画像、右基準画像、左合成画像、および右合成画像における共通の動体(以下、「共通動体」という。)の検出を行う。なお、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、当該共通動体の検出を、対象とする画像における空間周波数の高周波成分が予め定められたレベルより低くなっている領域で、かつ左基準画像、右基準画像、左合成画像、および右合成画像の各々で略同一の位置に存在する領域を検出することにより行っているが、これに限らず、従来既知の他の動体検出法を適用することができることは言うまでもない。
【0098】
次のステップ506では、上記共通動体が検出されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ508に移行する。
【0099】
ステップ508では、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の上記共通動体の領域における対応点数TD1を導出し、次のステップ410では、左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の上記共通動体の領域における対応点数TD2を導出する。
【0100】
次のステップ512では、以上の処理によって得られた対応点数TD1が対応点数TD2より少ないか否かを判定し、否定判定となった場合は後述するステップ522に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ514に移行して、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第5撮影処理プログラムを終了する。
【0101】
一方、上記ステップ506において否定判定となった場合はステップ516に移行し、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の全ての領域における対応点数TA1を導出し、次のステップ518では、左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の全ての領域における対応点数TA2を導出する。
【0102】
次のステップ520では、以上の処理によって得られた対応点数TA1が対応点数TA2より少ないか否かを判定し、肯定判定となった場合は前述したステップ514に移行する一方、否定判定となった場合はステップ522に移行して、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第5撮影処理プログラムを終了する。
【0103】
被写体に動体が含まれる画像を用いてマルチフレーム合成を行う場合、一例として図14に示すように、連続撮影した複数の画像の中で動体部分(同図では車)の位置が変化するため、結果的に左合成画像や右合成画像に動体ぶれが生じてしまう場合がある。
【0104】
そこで、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、左基準画像L2と右基準画像R2との間の動体の領域における対応点数TD1が、左合成画像LCと右合成画像RCとの間の動体の領域における対応点数TD2より少ない場合は、左合成画像LCおよび右合成画像RCの上記動体ぶれによる画質の劣化が左基準画像L2および右基準画像R2に比較して少ないものと見なして、左合成画像LCおよび右合成画像RCの各画像データが記録メディア26Aに記録される一方、対応点数TD1が対応点数TD2以上である場合は、左合成画像LCおよび右合成画像RCの上記動体ぶれによる画質の劣化が左基準画像L2および右基準画像R2に比較して大きいものと見なして、左基準画像L2および右基準画像R2の各画像データが記録メディア26Aに記録される。
【0105】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記第1対応点数を、前記視点毎の基準画像における同一の動体間の対応点の数(本実施の形態では、対応点数TD1)とし、前記第2対応点数を、前記視点毎の合成画像における同一の動体間の対応点の数(本実施の形態では、対応点数TD2)としているので、より高精度でマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0106】
[第6の実施の形態]
以下、本発明の第6の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第6の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0107】
以下、図15を参照して、本第6の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図15は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第6の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第6撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0108】
同図のステップ600では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ602では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0109】
次のステップ604では、左画像群における左基準画像と右画像群における右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の対応点を導出し、次のステップ606では、導出した基準画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量(距離)の平均値dYを導出する。
【0110】
次のステップ608では、上記ステップ602の処理によって得られた左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の対応点を導出し、次のステップ610では、導出した合成画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量(距離)の平均値dYCを導出する。なお、図16(A)には、基準画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量のヒストグラムの一例が示されており、図16(B)には、合成画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量のヒストグラムの一例が示されている。
【0111】
次のステップ612では、以上の処理によって得られた平均値dYが平均値dYCより大きいか否かを判定し、肯定判定となった場合はマルチフレーム合成によって垂直方向の位置ずれが補正されたと見なしてステップ614に移行し、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第6撮影処理プログラムを終了する。
【0112】
一方、上記ステップ612において否定判定となった場合にはマルチフレーム合成により垂直方向の位置がずれてしまったと見なしてステップ616に移行し、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第6撮影処理プログラムを終了する。
【0113】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記第1立体画像関連情報を、前記視点毎の基準画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第1距離(本実施の形態では、平均値dY)とし、前記第2立体画像関連情報を、前記視点毎の合成画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第2距離(本実施の形態では、平均値dYC)として、前記第1距離が前記第2距離以下である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1距離が前記第2距離より大きい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、上記対応点間の垂直方向の距離のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0114】
なお、本実施の形態では、本発明の第1距離として、基準画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の平均値dYを適用し、本発明の第2距離として、合成画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の平均値dYCを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明の第1距離として、基準画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の最大値を適用すると共に、本発明の第2距離として、合成画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の最大値を適用してもよく、本発明の第1距離として、基準画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の最頻値を適用すると共に、本発明の第2距離として、合成画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の最頻値を適用してもよい。
【0115】
[第7の実施の形態]
以下、本発明の第7の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第7の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0116】
ところで、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1には、一例として図17に示すように、マルチフレーム合成機能における連続的な撮影によって視点毎に得られた複数の画像(本実施の形態では3つの画像であり、図17では左画像L1〜L3)に対し、背景領域と主要被写体領域とを分離して背景領域のみを予め定められた程度だけぼかした後に各画像を多重合成することにより背景領域のぼかし量を制御する、ぼかしコントロール処理機能が搭載されている。
【0117】
次に、図18を参照して、本第7の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図18は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第7の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第7撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってぼかしコントロール処理機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0118】
同図のステップ700では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって、各々焦点位置を予め定められた量だけずらしながら、予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御する。
【0119】
次のステップ702では、以上の処理によって得られた左画像群および右画像群の各々について、焦点位置の差分に基づいて背景領域を特定し、次のステップ704にて、上記左画像群に対し、上記ぼかしコントロール処理機能による多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記右画像群に対し、上記ぼかしコントロール処理機能による多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0120】
次のステップ706では、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の背景領域を除く主要被写体の領域における対応点数TSKと、背景領域における対応点数THKとを導出し、次のステップ708にて、対応点数比NPを次の(1)式により算出する。
【0121】
【数1】
【0122】
次のステップ710では、左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の背景領域を除く主要被写体の領域における対応点数TSGと、背景領域における対応点数THGとを導出し、次のステップ712にて、対応点数比NPCを次の(2)式により算出する。
【0123】
【数2】
【0124】
次のステップ714では、以上の処理によって得られた対応点数比NPが対応点数比NPCより少ないか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ぼかしコントロール処理機能が成功して主要被写体がくっきりとし、かつ背景領域がぼけていると見なしてステップ716に移行し、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第7撮影処理プログラムを終了する。
【0125】
一方、上記ステップ714において否定判定となった場合には、ぼかしコントロール処理機能が失敗して主要被写体がぼけているか、または背景領域がぼけていないと見なしてステップ718に移行し、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第7撮影処理プログラムを終了する。
【0126】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記第1立体画像関連情報を、前記視点毎の基準画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第1割合(本実施の形態では、対応点数比NP)とし、前記第2立体画像関連情報を、前記視点毎の合成画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第2割合(本実施の形態では、対応点数比NPC)として、前記第1割合が前記第2割合以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1割合が前記第2割合より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、上記対応点数の割合のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0127】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0128】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0129】
例えば、上記各実施の形態では、本発明の画像処理装置を複眼デジタルカメラ1に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明の画像処理装置を複眼デジタルカメラ1の連続的な撮影によって得られた左画像群および右画像群を、記録メディア26Aを介して取得するパーソナル・コンピュータ等の情報処理装置に適用する形態としてもよい。この場合、当該情報処理装置によって本発明の取得手段、合成手段、および記録手段の各手段による処理を実行する。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0130】
また、上記各実施の形態では、マルチフレーム合成機能の実行が設定されているにもかかわらず、合成画像が記録できなかった場合に何ら報知しない場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、この場合に、音の発生や振動の発生等によって報知する形態としてもよい。
【0131】
なお、上記音の発生による報知を適用する場合の形態例としては、複眼デジタルカメラ1にブザーを内蔵しておき、当該ブザーを鳴動させることにより報知する形態、複眼デジタルカメラ1にスピーカを内蔵しておき、当該スピーカにより音声を発生させることにより報知する形態等を例示することができる。また、上記振動の発生による報知を適用する場合の形態例としては、複眼デジタルカメラ1にバイブレータを内蔵しておき、当該バイブレータを振動させることにより報知する形態等を例示することができる。
【0132】
また、上記各実施の形態では言及しなかったが、基準画像を記録したのか、合成画像を記録したのかを示す情報を記録した画像と関連付けて記録する形態としてもよい。
【0133】
また、上記各実施の形態では、本発明を2眼のデジタルカメラに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、3眼以上のデジタルカメラに適用する形態としてもよい。
【0134】
また、上記各実施の形態では、検出対象とする領域内の全ての対応点を適用対象とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、相関値が一定値以上の確度の高い対応点のみを適用対象とする形態、輝度の高周波成分が所定量より多い合焦領域の対応点のみを適用対象とする形態、画像の縮小等によって解像度を荒くすることで誤認識し難くした状態で検出された対応点を適用対象とする形態等としてもよい。
【0135】
また、上記各実施の形態では、本発明を、静止画像を撮影するデジタルカメラに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、動画撮影を行うデジタルカメラに本発明を適用する形態としてもよい。この場合、例えば、5フレームで合成処理を行う場合にはフレームレートが1/5(5分の1)になるだけで、特に問題が生じることはない。
【0136】
また、上記第7の実施の形態では、焦点位置の差分に基づいて背景領域と、主要被写体の領域とを特定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として図19に示すように、上記第2の実施の形態において導出したオクルージョン領域が背景領域と主要被写体の領域との境界領域に位置することを利用して、背景領域と主要被写体の領域とを特定する形態としてもよい。
【0137】
その他、上記各実施の形態で説明した複眼デジタルカメラ1の構成(図1,図2参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
【0138】
さらに、上記各実施の形態で説明した各種処理プログラムの処理の流れ(図4,図6,図9,図11,図13,図15,図18参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ換えたりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0139】
1 複眼デジタルカメラ
10 筐体
11 レリーズボタン
16 液晶ディスプレイ
20 主制御部(取得手段、合成手段、記録手段)
21A 左用撮影部
21B 右用撮影部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに係り、特に、立体撮影によって得られた画像に対して画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮影装置の進歩は著しく、立体撮影を行うことのできるものも実用化されている。
【0003】
従来、この種の撮影装置に関する技術として、特許文献1には、同一の対象物を撮像する複数の撮像光学系で生じる視差を算出する複眼撮像装置であって、前記対象物を撮像することによって、基準画像を含む画像を生成する基準撮像光学系と、前記基準撮像光学系の光学中心に対してそれぞれの光学中心が略点対称に配置され、前記対象物を撮像することによって、参照画像を含む画像を生成する2以上の偶数の参照撮像光学系と、前記2以上の偶数の参照撮像光学系のそれぞれについて、前記基準画像に類似する前記参照画像の画像位置を探索するために前記参照撮像光学系により生成された画像中の前記参照画像の探索位置を、前記基準撮像光学系の光学中心と前記参照撮像光学系の光学中心とを結ぶ直線である基線と平行な方向に沿ってずらしていった場合のずらし量ごとに、前記基準画像と前記参照画像との類似度を表す相関値を算出する相関値算出手段と、前記2以上の偶数の参照撮像光学系のそれぞれについて算出された相関値を、対応するずらし量ごとに加算することにより合成相関値を算出する相関値加算手段と、前記合成相関値に基づき、前記基準画像と前記参照画像との類似度が最大となるずらし量である視差をサブピクセルのレベルで算出する視差算出手段と、を少なくとも備えることを特徴とする複眼撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4382156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、立体撮影を行うことのできる撮影装置に関する技術として、ノイズの低減、撮影感度の向上、撮影画像のダイナミックレンジの拡大等により画質を向上させることを目的として、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像のうちの視点毎に予め定められた基準画像をそれぞれ基準として、各々の視点から撮影された複数の画像をそれぞれ視点毎に合成する技術(以下、「マルチフレーム合成」という。)がある。
【0006】
しかしながら、従来のマルチフレーム合成では、視点毎に異なる時間に撮影された複数の画像を合成しているため、同一被写体の少なくとも一部が複数箇所に重複して写り込んだり、各被写体の輪郭にぼけが生じてしまったりする場合があり、この場合には、マルチフレーム合成を行うことによって逆に画質が低下してしまう、という問題点があった。
【0007】
なお、上記特許文献1に開示されている技術では、マルチフレーム合成については考慮されていないため、この問題点に関しては無力である。また、この問題点は、立体撮影を行うことのできる撮影装置に限らず、当該撮影装置によって得られた画像情報を入力して当該画像情報に対してマルチフレーム合成を行うパーソナル・コンピュータ等の画像処理装置にも生じ得る問題点である。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することのできる画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像処理装置は、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成手段と、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成手段により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録手段と、を備えている。
【0010】
請求項1に記載の画像処理装置によれば、取得手段により、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像が取得され、合成手段により、前記取得手段によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像が決定され、当該基準画像を基準として前記複数の画像が当該視点毎に合成(マルチフレーム合成)される。
【0011】
ここで、本発明では、記録手段により、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成手段により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像が前記視点毎に記録され、前記条件を満足しない場合に前記合成画像が前記視点毎に記録される。
【0012】
このように、請求項1に記載の画像処理装置によれば、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得し、取得した複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する一方、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成した前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0013】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記第1立体画像関連情報が、前記視点毎の基準画像間の対応点の数を示す第1対応点数であり、前記第2立体画像関連情報が、前記視点毎の合成画像間の対応点の数を示す第2対応点数であり、前記記録手段が、前記第1対応点数が前記第2対応点数以上の場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1対応点数が前記第2対応点数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録してもよい。これにより、対応点数の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明のように、前記第1対応点数が、前記視点毎の基準画像における主要被写体間の対応点の数であり、前記第2対応点数が、前記視点毎の合成画像における主要被写体間の対応点の数であるものとしてもよい。これにより、より高精度でマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項4に記載の発明のように、前記第1対応点数が、前記視点毎の基準画像における同一の動体間の対応点の数であり、前記第2対応点数が、前記視点毎の合成画像における同一の動体間の対応点の数であるものとしてもよい。これにより、より高精度でマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0016】
また、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記第1立体画像関連情報が、前記視点毎の基準画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第1面積であり、前記第2立体画像関連情報が、前記視点毎の合成画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第2面積であり、前記記録手段が、前記第1面積が前記第2面積以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1面積が前記第2面積より小さい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録してもよい。これにより、オクルージョン領域の面積の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0017】
また、本発明は、請求項6に記載の発明のように、前記第1立体画像関連情報が、前記視点毎のクロスポイント調整された後の基準画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第1画素数であり、前記第2立体画像関連情報が、前記視点毎のクロスポイント調整された後の合成画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第2画素数であり、前記記録手段が、前記第1画素数が前記第2画素数以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1画素数が前記第2画素数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録してもよい。これにより、上記画素数の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0018】
また、本発明は、請求項7に記載の発明のように、前記第1立体画像関連情報が、前記視点毎の基準画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第1距離であり、前記第2立体画像関連情報が、前記視点毎の合成画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第2距離であり、前記記録手段が、前記第1距離が前記第2距離以下である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1距離が前記第2距離より大きい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録してもよい。これにより、上記対応点間の垂直方向の距離の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。なお、ここでいう「垂直方向」とは、画像平面上において、各視点間における視差が生じる方向である視差方向に対して垂直方向、という意味である。
【0019】
さらに、本発明は、請求項8に記載の発明のように、前記第1立体画像関連情報が、前記視点毎の基準画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第1割合であり、前記第2立体画像関連情報が、前記視点毎の合成画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第2割合であり、前記記録手段が、前記第1割合が前記第2割合以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1割合が前記第2割合より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録してもよい。これにより、上記対応点数の割合の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0020】
一方、上記目的を達成するために、請求項9に記載の画像処理方法は、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成工程と、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成工程により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録工程と、を有する。
【0021】
従って、請求項9に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様に、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0022】
一方、上記目的を達成するために、請求項10に記載のプログラムは、コンピュータを、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成手段と、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成手段により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録手段と、として機能させるためのものである。
【0023】
従って、請求項10に記載の発明によれば、コンピュータを請求項1に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1に記載の発明と同様に、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得し、取得した複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する一方、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成した前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態に係る複眼デジタルカメラを示す斜視図であり、(A)は正面斜視図であり、(B)は背面斜視図である。
【図2】実施の形態に係る複眼デジタルカメラの電気系の要部構成を示す概略ブロック図である。
【図3】実施の形態に係るマルチフレーム合成機能の説明に供する概略図である。
【図4】第1の実施の形態に係る第1撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係る第1撮影処理プログラムの処理内容の説明に供する概略図である。
【図6】第2の実施の形態に係る第2撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る視差マップの説明に供する概略図である。
【図8】第2の実施の形態に係る第2撮影処理プログラムの処理内容の説明に供する概略図である。
【図9】第3の実施の形態に係る第3撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態に係る第3撮影処理プログラムの処理内容の説明に供する概略図である。
【図11】第4の実施の形態に係る第4撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第4の実施の形態に係る第4撮影処理プログラムの処理内容の説明に供する概略図である。
【図13】第5の実施の形態に係る第5撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第5の実施の形態に係る被写体に動体を含む場合の問題点の説明に供する概略図である。
【図15】第6の実施の形態に係る第6撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】第6の実施の形態に係る第6撮影処理プログラムの処理内容の説明に供するヒストグラムである。
【図17】第7の実施の形態に係るぼかしコントロール処理機能の説明に供する概略図である。
【図18】第7の実施の形態に係る第7撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】第7の実施の形態の変形例の説明に供する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、2つの撮像系を有する複眼デジタルカメラに適用した場合の形態例について説明する。
【0027】
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成について説明する。
【0028】
同図に示すように、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1は筐体10を備えており、筐体10の内部にCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)などの各種電子部品が収納されている。筐体10の上面にはレリーズボタン11が備えられており、ユーザがこのレリーズボタン11を押下することにより複眼デジタルカメラ1に撮影等の指示を入力することができる。また、筐体10の上面には電源ボタン12が備えられており、ユーザがこの電源ボタン12を押下することにより、複眼デジタルカメラ1の電源のオン/オフ状態を切り替える指示を入力することができる。さらに、筐体10の上面にはズームレバー13が備えられており、ユーザがこのズームレバー13を操作することにより、撮影時にズーム機能の画角や倍率の変更の指示を入力することができる。
【0029】
一方、図1(A)に示すように、筐体10の正面にはフラッシュ14が備えられており、撮影時に周囲を照明することができる。また、筐体10の正面には複数のレンズ15A、15Bが備えられており、これらのレンズ15A、15Bに入射した光が当該レンズ15A、15Bを通過して内部に入力される。
【0030】
また、図1(B)に示すように、筐体10の背面には、液晶ディスプレイ16が備えられており、撮影画像や設定事項等が表示される。また、筐体10の背面には、各種操作ボタン17が備えられており、ユーザが各種操作ボタン17を操作することにより各種設定事項の設定の指示を入力することができる。
【0031】
図2は、複眼デジタルカメラ1の電気系の要部構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、複眼デジタルカメラ1は、主制御部20、左用撮影部21A、右用撮影部21B、撮影制御部22、画像処理部23、圧縮/伸張処理部24、フレームメモリ25、メディア制御部26、内部メモリ27、表示制御部28、三次元処理部30、および視差マップ生成部31を備えている。
【0032】
主制御部20は、CPUやRAM等を備えており、電源ボタン12や各種操作ボタン17等の入力部を介したユーザ操作に従って、複眼デジタルカメラ1を総括的に制御する。
【0033】
左用撮影部21Aは、レンズ15Aに入射した光を受光して電気信号に変換することにより画像を再構成する。同様に、右用撮影部21Bは、レンズ15Bに入射した光を受光して電気信号に変換することにより画像を再構成する。ここで、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bは、被写体を見込む輻輳角を持って予め定められた基線長となるように配置されている。なお、輻輳角、基線長の情報は内部メモリ27に記憶されている。
【0034】
一方、撮影制御部22は、AF(Automatic Focusing)処理部(図示せず)およびAE(Automatic Exposure)処理部(図示せず)を備えている。AF処理部は、ユーザによるレリーズボタン11の半押し操作等により左用撮影部21A、右用撮影部21Bによって取得されたプレ画像(撮影前にレンズ15A、15Bに入力している画像)に基づいて合焦領域を決定すると共に、レンズの焦点位置を決定し、左用撮影部21A、右用撮影部21Bに出力する。AE処理部は、プレ画像に基づいて絞り値とシャッタ速度とを決定し、左用撮影部21A、右用撮影部21Bに出力する。
【0035】
また、撮影制御部22は、ユーザによるレリーズボタン11の全押し操作により左用撮影部21Aに対して左画像、右用撮影部21Bに対して右画像の各々の本画像を取得する本撮影を行うように指示を行う。なお、レリーズボタン11が操作される前は、撮影制御部22は、撮影範囲を確認するための本画像よりも画素数が少ない画像であるスルー画像を、所定時間間隔(例えば、1/30秒間隔)にて順次取得させる指示を左用撮影部21A、右用撮影部21Bに対して行っている。
【0036】
画像処理部23は、左用撮影部21A、右用撮影部21Bがそれぞれ取得した各々の画像のデジタル画像データに対して、ホワイトバランスを調整する処理、階調補正、シャープネス補正、および色補正等の様々な画像処理を施す。
【0037】
圧縮/伸張処理部24は、画像処理部23によって処理が施された画像を表す画像データに対して、例えばJPEGなどの圧縮形式で圧縮処理を行い、左用撮影部21Aが取得した画像のデジタル画像データを左画像とし、右用撮影部21Bが取得した画像のデジタル画像データを右画像とした立体視用の立体画像ファイルを生成する。この立体視用の立体画像ファイルは、左画像および右画像の画像データを含んでいるとともに、Exifフォーマット等に基づいて、基線長、輻輳角、および撮影日時などの付帯情報、並びに視点位置を表す視点情報などが格納される。
【0038】
フレームメモリ25は、左用撮影部21A、右用撮影部21Bがそれぞれ取得した画像の画像データに対して、前述の画像処理部23が行う処理を含む各種処理を行う際に使用される作業用メモリである。
【0039】
メディア制御部26は、複眼デジタルカメラ1に記録メディア26A等の各種記録メディアが電気接続された際に、この記録メディア26Aの記憶領域に対して画像ファイル等のデータの読み書きの制御を行う。
【0040】
内部メモリ27は、複眼デジタルカメラ1において設定される各種設定事項、および主制御部20が実行するプログラムやプログラムの処理に使用されるデータを記憶する。
【0041】
表示制御部28は、主制御部20または撮影制御部22による制御に基づいて、撮影時においてフレームメモリ25に格納された画像から立体視用画像を生成して液晶ディスプレイ16に表示させたり、記録メディア26Aに記憶されている立体画像ファイルから立体視用画像を生成して液晶ディスプレイ16に表示させたりする。
【0042】
三次元処理部30は、主制御部20または撮影制御部22による制御に基づいて、表示制御部28が画像の立体視表示を行う際に、立体画像ファイルに含まれる左画像および右画像に三次元処理を行って立体視用画像を生成する。
【0043】
視差マップ生成部31は、主制御部20または撮影制御部22による制御に基づいて、左画像と右画像との相互の視差マップを生成する。ここで、視差は、左画像および右画像の双方に含まれる被写体の左画像と右画像との水平方向における画素位置の相違として算出することができる。視差マップを適切に生成することにより、立体視用画像に含まれる被写体の立体感を適切なものとすることができる。
【0044】
ところで、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1には、ノイズの低減、撮影感度の向上、撮影画像のダイナミックレンジの拡大といった撮影画像の画質を向上させることを目的として、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像のうちの視点毎に予め定められた基準画像をそれぞれ基準として、各々の視点から撮影された複数の画像をそれぞれ視点毎に合成するマルチフレーム合成機能が搭載されている。
【0045】
以下、本実施の形態に係るマルチフレーム合成機能について説明する。
【0046】
一例として図3に示すように、本実施の形態に係るマルチフレーム合成機能は、左用撮影部21Aによって連続的に撮影された5つの左画像L1〜L5により構成される左画像群40Lについて、予め定められた左画像L3を基準画像として、基準画像L3に対し、当該基準画像L3を除く左画像群40Lに含まれる左画像L1,L2,L4,L5を多重合成する。また、本実施の形態に係るマルチフレーム合成機能は、右用撮影部21Bによって連続的に撮影された5つの右画像R1〜R5により構成される右画像群40Rについて、予め定められた右画像R3を基準画像として、基準画像R3に対して当該基準画像R3を除く右画像群40Rに含まれる右画像R1,R2,R4,R5を多重合成する。
【0047】
なお、以上のように視点毎に多重合成を行う際には、基準画像に合成する画像に含まれる被写体の状態を、基準画像に含まれる、対応する被写体の状態に近づけるための画像処理を施す。この際の画像処理としては、基準画像に合成する画像全体の平行移動、回転、拡大といった画像全体に対する画像処理の他、基準画像に合成する画像を予め定められた複数の領域に分割し、各分割領域毎に、基準画像とのステレオ・マッチングを行うことによって得られる同一対応点同士の位置を一致させるように画像を変形する画像処理が含まれる。
【0048】
ここで、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、ユーザによって各種操作ボタン17を介してマルチフレーム合成機能を働かせることが設定された場合のみ、以上のような左画像および右画像の多重合成が行われて、各画像が立体画像を示す画像として記録メディア26Aに記録される。
【0049】
なお、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、基準画像として、多重合成する画像との変化量が最も小さい可能性が高い画像である、上記連続的な撮影によって得られた画像群(左画像群40Lおよび右画像群40R)の時間的に中央に位置する画像を適用しているが、これに限らず、他の画像を基準画像として適用することもできる。また、以上のマルチフレーム合成機能の説明では、合成する画像の数を、基準画像を含めて5つとした場合について説明したが、合成する画像の数は複数であれば如何なる数も取り得る。以下では、マルチフレーム合成機能により連続的に撮影する左画像として左画像L1,L2,L3の3つを取得し、右画像として右画像R1,R2,R3の3つを取得して、視点毎に合成する画像の数を各々3つとすると共に、左画像群の基準画像として左画像L2を適用し、右画像群の基準画像として右画像R2を適用する場合について説明する。
【0050】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図4は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第1撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0051】
同図のステップ100では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ102では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して合成画像(以下、「左合成画像」という。)を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して合成画像(以下、「右合成画像」という。)を生成する。
【0052】
次のステップ104では、左画像群における基準画像(以下、「左基準画像」という。)と右画像群における基準画像(以下、「右基準画像」という。)との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の対応点数T1を導出し、次のステップ106では、上記ステップ102の処理によって得られた左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の対応点数T2を導出する。
【0053】
次のステップ108では、以上の処理によって得られた対応点数T1が対応点数T2より少ないか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ110に移行して、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第1撮影処理プログラムを終了する。
【0054】
一方、上記ステップ108において否定判定となった場合にはステップ112に移行し、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第1撮影処理プログラムを終了する。
【0055】
以上の第1撮影処理プログラムの実行により、一例として図5(A)に示すように、左基準画像L2と右基準画像R2との間の対応点数T1が、左合成画像LCと右合成画像RCとの間の対応点数T2より少ない場合は、マルチフレーム合成が成功してクリアな画像が生成できたものと見なして、左合成画像LCおよび右合成画像RCの各画像データが記録メディア26Aに記録される一方、一例として図5(B)に示すように、対応点数T1が対応点数T2以上である場合は、マルチフレーム合成によってブレやボケが発生したものと見なして、左基準画像L2および右基準画像R2の各画像データが記録メディア26Aに記録される。
【0056】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、各々異なる複数の視点(本実施の形態では、2つの視点)からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像(本実施の形態では、3つの画像)を取得し、取得した複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する一方、前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成した前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、マルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0057】
特に、本実施の形態によれば、前記第1立体画像関連情報を、前記視点毎の基準画像間の対応点の数を示す第1対応点数(本実施の形態では、対応点数T1)とし、前記第2立体画像関連情報を、前記視点毎の合成画像間の対応点の数を示す第2対応点数(本実施の形態では、対応点数T2)として、前記第1対応点数が前記第2対応点数以上の場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1対応点数が前記第2対応点数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、対応点数の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0058】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第2の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0059】
以下、図6を参照して、本第2の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図6は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第2の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第2撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0060】
同図のステップ200では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ202では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0061】
次のステップ204では、左画像群における基準画像(左基準画像)と右画像群における基準画像(右基準画像)との間で視差マップを作成するように視差マップ生成部31を制御する。以下、本実施の形態に係る視差マップの作成手順について説明する。
【0062】
一例として図7に示すように、まず、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、例えば左基準画像を基準として、左基準画像上の画素(x1,y1)に対応する右基準画像上の対応点の画素(x2,y2)を抽出する。なお、ここでは、視差が画像の横方向(水平方向)に発生しており、縦方向(垂直方向)にずれは生じていないものとして説明する。
【0063】
次に、左基準画像上の画素(x1,y1)と右基準画像上の対応点の画素(x2,y2)との視差dを、d=x2−x1により算出し、この視差dを、基準とした左基準画像の画素位置(x1,y1)に格納する。そして、左基準画像の各画素について計算した視差dを左基準画像の画素位置に対応させて格納して画像化する。この画像化したものを「視差マップ」と呼ぶ。
【0064】
なお、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、ステレオ・マッチングにより対応点が見つからない画素については、直近に見つかった対応点の画素を代用するものとしている。また、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、視差マップとして、左基準画像を基準としたもの(以下、「左基準画像視差マップ」という。)と、右基準画像を基準としたもの(以下、「右基準画像視差マップ」という。)の2種類を作成する。
【0065】
次のステップ206では、以上の処理によって作成した左基準画像視差マップおよび右基準画像視差マップを用いて、左基準画像には含まれており、右基準画像には含まれていない領域と、右基準画像には含まれており、左基準画像には含まれていない領域であるオクルージョン領域の面積S1を導出する。なお、本実施の形態に係る視差マップは、前述したように、ステレオ・マッチングにより対応点が見つからない画素については、直近に見つかった対応点の画素を代用しているので、左基準画像視差マップおよび右基準画像視差マップにおいて、同一の視差dが連続的に記憶されている対応点の数を計数することにより面積S1を導出する。
【0066】
次のステップ208では、左合成画像と右合成画像との間で、上記ステップ204の処理と同様に視差マップを作成する。これにより、左合成画像を基準としたもの(以下、「左合成画像視差マップ」という。)と、右合成画像を基準としたもの(以下、「右合成画像視差マップ」という。)の2種類の視差マップが作成される。
【0067】
次のステップ210では、作成した左合成画像視差マップおよび右合成画像視差マップを用いて、上記ステップ206の処理と同様に左合成画像と右合成画像とのオクルージョン領域の面積S2を導出する。
【0068】
次のステップ212では、以上の処理によって得られた面積S1が面積S2より小さいか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ214に移行して、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第2撮影処理プログラムを終了する。
【0069】
一方、上記ステップ212において否定判定となった場合にはステップ216に移行し、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第2撮影処理プログラムを終了する。
【0070】
以上の第2撮影処理プログラムの実行により、一例として図8(A)に示すように、左基準画像L2と右基準画像R2との間のオクルージョン領域の面積S1が、左合成画像LCと右合成画像RCとの間のオクルージョン領域の面積S2より小さい場合は、マルチフレーム合成が成功して正しく対応点が検出できる立体感のある画像が生成できたものと見なして、左合成画像LCおよび右合成画像RCの各画像データが記録メディア26Aに記録される一方、一例として図8(B)に示すように、面積S1が面積S2以上である場合は、マルチフレーム合成によってブレやボケが発生して左右間の対応点が誤対応していると見なして、左基準画像L2および右基準画像R2の各画像データが記録メディア26Aに記録される。
【0071】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記第1立体画像関連情報を、前記視点毎の基準画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第1面積(本実施の形態では、面積S1)とし、前記第2立体画像関連情報を、前記視点毎の合成画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第2面積(本実施の形態では、面積S2)として、前記第1面積が前記第2面積以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1面積が前記第2面積より小さい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、オクルージョン領域の面積の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0072】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第3の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0073】
以下、図9を参照して、本第3の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図9は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第3の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第3撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0074】
同図のステップ300では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ302では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0075】
次のステップ304では、左基準画像と右基準画像との間でクロスポイント調整(主要被写体の視差が極力0(零)となるように画像の位置を調整)を行い、次のステップ306にて、上記第2の実施の形態に係る第2撮影処理プログラムのステップ204の処理と同様に、左画像群における基準画像(左基準画像)と右画像群における基準画像(右基準画像)との間で視差マップを作成する。これにより、左基準画像視差マップと、右基準画像視差マップの2種類の視差マップが作成される。
【0076】
次のステップ308では、以上の処理によって得られた左基準画像視差マップおよび右基準画像視差マップにおいて、視差が予め定められた画素数(本実施の形態では、3画素)以内である画素数P1を導出する。
【0077】
次のステップ310では、左合成画像と右合成画像との間でクロスポイント調整を行い、次のステップ312にて、左合成画像と右合成画像との間で、上記第2の実施の形態に係る第2撮影処理プログラムのステップ208の処理と同様に、左合成画像と右合成画像との間で視差マップを作成する。これにより、左合成画像視差マップと、右合成画像視差マップの2種類の視差マップが作成される。
【0078】
次のステップ314では、以上の処理によって得られた左合成画像視差マップおよび右合成画像視差マップにおいて、視差が上記予め定められた画素数(本実施の形態では、3画素)以内である画素数P2を導出する。
【0079】
次のステップ316では、以上の処理によって得られた画素数P1が画素数P2より少ないか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ318に移行して、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第3撮影処理プログラムを終了する。
【0080】
一方、上記ステップ316において否定判定となった場合にはステップ320に移行し、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第3撮影処理プログラムを終了する。
【0081】
以上の第3撮影処理プログラムの実行により、一例として図10(A)に示すように、左基準画像L2と右基準画像R2との間の画素数P1が、左合成画像LCと右合成画像RCとの間の画素数P2より少ない場合は、マルチフレーム合成が成功して主要被写体に3次元焦点が合っていると見なして、左合成画像LCおよび右合成画像RCの各画像データが記録メディア26Aに記録される一方、一例として図10(B)に示すように、画素数P1が画素数P2以上である場合は、マルチフレーム合成によってブレやボケが発生してクロスポイント調整が失敗していると見なして、左基準画像L2および右基準画像R2の各画像データが記録メディア26Aに記録される。
【0082】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、前記第1立体画像関連情報を、前記視点毎のクロスポイント調整された後の基準画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第1画素数(本実施の形態では、画素数P1)とし、前記第2立体画像関連情報を、前記視点毎のクロスポイント調整された後の合成画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第2画素数(本実施の形態では、画素数P2)として、前記第1画素数が前記第2画素数以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1画素数が前記第2画素数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、上記画素数の関係のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0083】
[第4の実施の形態]
以下、本発明の第4の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第4の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0084】
以下、図11を参照して、本第4の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図11は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第4の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第4撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0085】
同図のステップ400では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ402では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0086】
次のステップ404では、左基準画像、右基準画像、左合成画像、および右合成画像の各画像に対して主要被写体の検出を行う。なお、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、当該主要被写体の検出を、対象とする画像の中央部を含む領域であると共に、輝度値が中央部の輝度値を中心とした予め定められた範囲(本実施の形態では、最大輝度値の10%に相当する範囲)内の領域で、かつ予め定められた面積(本実施の形態では、対象とする画像の全面積の10%に相当する面積)以上の領域を抽出することにより行っているが、これに限らず、従来既知の他の主要被写体検出法を適用することができることは言うまでもない。
【0087】
次のステップ406では、左基準画像、右基準画像、左合成画像、および右合成画像の全ての画像について主要被写体が検出されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ408に移行する。
【0088】
ステップ408では、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の主要被写体の領域における対応点数TS1を導出し、次のステップ410では、左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の主要被写体の領域における対応点数TS2を導出する。
【0089】
次のステップ412では、以上の処理によって得られた対応点数TS1が対応点数TS2より少ないか否かを判定し、否定判定となった場合は後述するステップ422に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ414に移行して、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第4撮影処理プログラムを終了する。
【0090】
一方、上記ステップ406において否定判定となった場合はステップ416に移行し、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の全ての領域における対応点数TA1を導出し、次のステップ418では、左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の全ての領域における対応点数TA2を導出する。
【0091】
次のステップ420では、以上の処理によって得られた対応点数TA1が対応点数TA2より少ないか否かを判定し、肯定判定となった場合は前述したステップ414に移行する一方、否定判定となった場合はステップ422に移行して、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第4撮影処理プログラムを終了する。
【0092】
以上の第4撮影処理プログラムの実行により、一例として図12(A)に示すように、左基準画像L2と右基準画像R2との間の主要被写体の領域における対応点数TS1が、左合成画像LCと右合成画像RCとの間の主要被写体の領域における対応点数TS2より少ない場合は、左合成画像LCおよび右合成画像RCの各画像データが記録メディア26Aに記録される一方、一例として図12(B)に示すように、対応点数TS1が対応点数TS2以上である場合は、左基準画像L2および右基準画像R2の各画像データが記録メディア26Aに記録される。
【0093】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記第1対応点数を、前記視点毎の基準画像における主要被写体間の対応点の数(本実施の形態では、対応点数TS1)とし、前記第2対応点数を、前記視点毎の合成画像における主要被写体間の対応点の数(本実施の形態では、対応点数TS2)としているので、より高精度でマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0094】
[第5の実施の形態]
以下、本発明の第5の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第5の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0095】
以下、図13を参照して、本第5の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図13は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第5の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第5撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0096】
同図のステップ500では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ502では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0097】
次のステップ504では、左基準画像、右基準画像、左合成画像、および右合成画像における共通の動体(以下、「共通動体」という。)の検出を行う。なお、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、当該共通動体の検出を、対象とする画像における空間周波数の高周波成分が予め定められたレベルより低くなっている領域で、かつ左基準画像、右基準画像、左合成画像、および右合成画像の各々で略同一の位置に存在する領域を検出することにより行っているが、これに限らず、従来既知の他の動体検出法を適用することができることは言うまでもない。
【0098】
次のステップ506では、上記共通動体が検出されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ508に移行する。
【0099】
ステップ508では、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の上記共通動体の領域における対応点数TD1を導出し、次のステップ410では、左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の上記共通動体の領域における対応点数TD2を導出する。
【0100】
次のステップ512では、以上の処理によって得られた対応点数TD1が対応点数TD2より少ないか否かを判定し、否定判定となった場合は後述するステップ522に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ514に移行して、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第5撮影処理プログラムを終了する。
【0101】
一方、上記ステップ506において否定判定となった場合はステップ516に移行し、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の全ての領域における対応点数TA1を導出し、次のステップ518では、左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の全ての領域における対応点数TA2を導出する。
【0102】
次のステップ520では、以上の処理によって得られた対応点数TA1が対応点数TA2より少ないか否かを判定し、肯定判定となった場合は前述したステップ514に移行する一方、否定判定となった場合はステップ522に移行して、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第5撮影処理プログラムを終了する。
【0103】
被写体に動体が含まれる画像を用いてマルチフレーム合成を行う場合、一例として図14に示すように、連続撮影した複数の画像の中で動体部分(同図では車)の位置が変化するため、結果的に左合成画像や右合成画像に動体ぶれが生じてしまう場合がある。
【0104】
そこで、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1では、左基準画像L2と右基準画像R2との間の動体の領域における対応点数TD1が、左合成画像LCと右合成画像RCとの間の動体の領域における対応点数TD2より少ない場合は、左合成画像LCおよび右合成画像RCの上記動体ぶれによる画質の劣化が左基準画像L2および右基準画像R2に比較して少ないものと見なして、左合成画像LCおよび右合成画像RCの各画像データが記録メディア26Aに記録される一方、対応点数TD1が対応点数TD2以上である場合は、左合成画像LCおよび右合成画像RCの上記動体ぶれによる画質の劣化が左基準画像L2および右基準画像R2に比較して大きいものと見なして、左基準画像L2および右基準画像R2の各画像データが記録メディア26Aに記録される。
【0105】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記第1対応点数を、前記視点毎の基準画像における同一の動体間の対応点の数(本実施の形態では、対応点数TD1)とし、前記第2対応点数を、前記視点毎の合成画像における同一の動体間の対応点の数(本実施の形態では、対応点数TD2)としているので、より高精度でマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0106】
[第6の実施の形態]
以下、本発明の第6の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第6の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0107】
以下、図15を参照して、本第6の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図15は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第6の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第6撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってマルチフレーム合成機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0108】
同図のステップ600では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御し、次のステップ602では、当該連続的な撮影によって得られた左画像群に対し、前述した多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記連続的な撮影によって得られた右画像群に対し、前述した多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0109】
次のステップ604では、左画像群における左基準画像と右画像群における右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の対応点を導出し、次のステップ606では、導出した基準画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量(距離)の平均値dYを導出する。
【0110】
次のステップ608では、上記ステップ602の処理によって得られた左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の対応点を導出し、次のステップ610では、導出した合成画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量(距離)の平均値dYCを導出する。なお、図16(A)には、基準画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量のヒストグラムの一例が示されており、図16(B)には、合成画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量のヒストグラムの一例が示されている。
【0111】
次のステップ612では、以上の処理によって得られた平均値dYが平均値dYCより大きいか否かを判定し、肯定判定となった場合はマルチフレーム合成によって垂直方向の位置ずれが補正されたと見なしてステップ614に移行し、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第6撮影処理プログラムを終了する。
【0112】
一方、上記ステップ612において否定判定となった場合にはマルチフレーム合成により垂直方向の位置がずれてしまったと見なしてステップ616に移行し、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第6撮影処理プログラムを終了する。
【0113】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記第1立体画像関連情報を、前記視点毎の基準画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第1距離(本実施の形態では、平均値dY)とし、前記第2立体画像関連情報を、前記視点毎の合成画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第2距離(本実施の形態では、平均値dYC)として、前記第1距離が前記第2距離以下である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1距離が前記第2距離より大きい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、上記対応点間の垂直方向の距離のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0114】
なお、本実施の形態では、本発明の第1距離として、基準画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の平均値dYを適用し、本発明の第2距離として、合成画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の平均値dYCを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明の第1距離として、基準画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の最大値を適用すると共に、本発明の第2距離として、合成画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の最大値を適用してもよく、本発明の第1距離として、基準画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の最頻値を適用すると共に、本発明の第2距離として、合成画像間の各対応点間の垂直方向に対するずれ量の最頻値を適用してもよい。
【0115】
[第7の実施の形態]
以下、本発明の第7の実施の形態について詳細に説明する。なお、本第7の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の構成は、図1および図2に示される上記第1の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0116】
ところで、本実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1には、一例として図17に示すように、マルチフレーム合成機能における連続的な撮影によって視点毎に得られた複数の画像(本実施の形態では3つの画像であり、図17では左画像L1〜L3)に対し、背景領域と主要被写体領域とを分離して背景領域のみを予め定められた程度だけぼかした後に各画像を多重合成することにより背景領域のぼかし量を制御する、ぼかしコントロール処理機能が搭載されている。
【0117】
次に、図18を参照して、本第7の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の作用を説明する。なお、図18は、レリーズボタン11が半押し操作を経て全押し操作に移行した際に、本第7の実施の形態に係る複眼デジタルカメラ1の主制御部20によって実行される第7撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは内部メモリ27の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、ユーザによってぼかしコントロール処理機能を働かせることが設定されている場合について説明する。
【0118】
同図のステップ700では、左用撮影部21Aおよび右用撮影部21Bの各々によって、各々焦点位置を予め定められた量だけずらしながら、予め定められた回数(本実施の形態では、3回)の撮影を連続的に行うように制御する。
【0119】
次のステップ702では、以上の処理によって得られた左画像群および右画像群の各々について、焦点位置の差分に基づいて背景領域を特定し、次のステップ704にて、上記左画像群に対し、上記ぼかしコントロール処理機能による多重合成を実行して左合成画像を生成すると共に、上記右画像群に対し、上記ぼかしコントロール処理機能による多重合成を実行して右合成画像を生成する。
【0120】
次のステップ706では、左基準画像と右基準画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの基準画像間の背景領域を除く主要被写体の領域における対応点数TSKと、背景領域における対応点数THKとを導出し、次のステップ708にて、対応点数比NPを次の(1)式により算出する。
【0121】
【数1】
【0122】
次のステップ710では、左合成画像と右合成画像との間でステレオ・マッチングを行うことにより、これらの合成画像間の背景領域を除く主要被写体の領域における対応点数TSGと、背景領域における対応点数THGとを導出し、次のステップ712にて、対応点数比NPCを次の(2)式により算出する。
【0123】
【数2】
【0124】
次のステップ714では、以上の処理によって得られた対応点数比NPが対応点数比NPCより少ないか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ぼかしコントロール処理機能が成功して主要被写体がくっきりとし、かつ背景領域がぼけていると見なしてステップ716に移行し、左合成画像および右合成画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第7撮影処理プログラムを終了する。
【0125】
一方、上記ステップ714において否定判定となった場合には、ぼかしコントロール処理機能が失敗して主要被写体がぼけているか、または背景領域がぼけていないと見なしてステップ718に移行し、左基準画像および右基準画像の各画像データを記録メディア26Aに立体画像ファイルとして記憶した後、本第7撮影処理プログラムを終了する。
【0126】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記第1立体画像関連情報を、前記視点毎の基準画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第1割合(本実施の形態では、対応点数比NP)とし、前記第2立体画像関連情報を、前記視点毎の合成画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第2割合(本実施の形態では、対応点数比NPC)として、前記第1割合が前記第2割合以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1割合が前記第2割合より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録しているので、上記対応点数の割合のみを用いて簡易にマルチフレーム合成による画質の低下の発生を未然に防止することができる。
【0127】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0128】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0129】
例えば、上記各実施の形態では、本発明の画像処理装置を複眼デジタルカメラ1に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明の画像処理装置を複眼デジタルカメラ1の連続的な撮影によって得られた左画像群および右画像群を、記録メディア26Aを介して取得するパーソナル・コンピュータ等の情報処理装置に適用する形態としてもよい。この場合、当該情報処理装置によって本発明の取得手段、合成手段、および記録手段の各手段による処理を実行する。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0130】
また、上記各実施の形態では、マルチフレーム合成機能の実行が設定されているにもかかわらず、合成画像が記録できなかった場合に何ら報知しない場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、この場合に、音の発生や振動の発生等によって報知する形態としてもよい。
【0131】
なお、上記音の発生による報知を適用する場合の形態例としては、複眼デジタルカメラ1にブザーを内蔵しておき、当該ブザーを鳴動させることにより報知する形態、複眼デジタルカメラ1にスピーカを内蔵しておき、当該スピーカにより音声を発生させることにより報知する形態等を例示することができる。また、上記振動の発生による報知を適用する場合の形態例としては、複眼デジタルカメラ1にバイブレータを内蔵しておき、当該バイブレータを振動させることにより報知する形態等を例示することができる。
【0132】
また、上記各実施の形態では言及しなかったが、基準画像を記録したのか、合成画像を記録したのかを示す情報を記録した画像と関連付けて記録する形態としてもよい。
【0133】
また、上記各実施の形態では、本発明を2眼のデジタルカメラに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、3眼以上のデジタルカメラに適用する形態としてもよい。
【0134】
また、上記各実施の形態では、検出対象とする領域内の全ての対応点を適用対象とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、相関値が一定値以上の確度の高い対応点のみを適用対象とする形態、輝度の高周波成分が所定量より多い合焦領域の対応点のみを適用対象とする形態、画像の縮小等によって解像度を荒くすることで誤認識し難くした状態で検出された対応点を適用対象とする形態等としてもよい。
【0135】
また、上記各実施の形態では、本発明を、静止画像を撮影するデジタルカメラに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、動画撮影を行うデジタルカメラに本発明を適用する形態としてもよい。この場合、例えば、5フレームで合成処理を行う場合にはフレームレートが1/5(5分の1)になるだけで、特に問題が生じることはない。
【0136】
また、上記第7の実施の形態では、焦点位置の差分に基づいて背景領域と、主要被写体の領域とを特定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として図19に示すように、上記第2の実施の形態において導出したオクルージョン領域が背景領域と主要被写体の領域との境界領域に位置することを利用して、背景領域と主要被写体の領域とを特定する形態としてもよい。
【0137】
その他、上記各実施の形態で説明した複眼デジタルカメラ1の構成(図1,図2参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
【0138】
さらに、上記各実施の形態で説明した各種処理プログラムの処理の流れ(図4,図6,図9,図11,図13,図15,図18参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ換えたりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0139】
1 複眼デジタルカメラ
10 筐体
11 レリーズボタン
16 液晶ディスプレイ
20 主制御部(取得手段、合成手段、記録手段)
21A 左用撮影部
21B 右用撮影部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成手段と、
前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成手段により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記第1立体画像関連情報は、前記視点毎の基準画像間の対応点の数を示す第1対応点数であり、
前記第2立体画像関連情報は、前記視点毎の合成画像間の対応点の数を示す第2対応点数であり、
前記記録手段は、前記第1対応点数が前記第2対応点数以上の場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1対応点数が前記第2対応点数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1対応点数は、前記視点毎の基準画像における主要被写体間の対応点の数であり、
前記第2対応点数は、前記視点毎の合成画像における主要被写体間の対応点の数である
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1対応点数は、前記視点毎の基準画像における同一の動体間の対応点の数であり、
前記第2対応点数は、前記視点毎の合成画像における同一の動体間の対応点の数である
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1立体画像関連情報は、前記視点毎の基準画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第1面積であり、
前記第2立体画像関連情報は、前記視点毎の合成画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第2面積であり、
前記記録手段は、前記第1面積が前記第2面積以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1面積が前記第2面積より小さい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1立体画像関連情報は、前記視点毎のクロスポイント調整された後の基準画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第1画素数であり、
前記第2立体画像関連情報は、前記視点毎のクロスポイント調整された後の合成画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第2画素数であり、
前記記録手段は、前記第1画素数が前記第2画素数以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1画素数が前記第2画素数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1立体画像関連情報は、前記視点毎の基準画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第1距離であり、
前記第2立体画像関連情報は、前記視点毎の合成画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第2距離であり、
前記記録手段は、前記第1距離が前記第2距離以下である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1距離が前記第2距離より大きい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1立体画像関連情報は、前記視点毎の基準画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第1割合であり、
前記第2立体画像関連情報は、前記視点毎の合成画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第2割合であり、
前記記録手段は、前記第1割合が前記第2割合以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1割合が前記第2割合より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成工程と、
前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成工程により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録工程と、
を有する画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成手段と、
前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成手段により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成手段と、
前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成手段により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記第1立体画像関連情報は、前記視点毎の基準画像間の対応点の数を示す第1対応点数であり、
前記第2立体画像関連情報は、前記視点毎の合成画像間の対応点の数を示す第2対応点数であり、
前記記録手段は、前記第1対応点数が前記第2対応点数以上の場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1対応点数が前記第2対応点数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1対応点数は、前記視点毎の基準画像における主要被写体間の対応点の数であり、
前記第2対応点数は、前記視点毎の合成画像における主要被写体間の対応点の数である
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1対応点数は、前記視点毎の基準画像における同一の動体間の対応点の数であり、
前記第2対応点数は、前記視点毎の合成画像における同一の動体間の対応点の数である
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1立体画像関連情報は、前記視点毎の基準画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第1面積であり、
前記第2立体画像関連情報は、前記視点毎の合成画像におけるオクルージョン領域の面積を示す第2面積であり、
前記記録手段は、前記第1面積が前記第2面積以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1面積が前記第2面積より小さい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1立体画像関連情報は、前記視点毎のクロスポイント調整された後の基準画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第1画素数であり、
前記第2立体画像関連情報は、前記視点毎のクロスポイント調整された後の合成画像における視差が零を含む予め定められた範囲内の画素数を示す第2画素数であり、
前記記録手段は、前記第1画素数が前記第2画素数以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1画素数が前記第2画素数より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1立体画像関連情報は、前記視点毎の基準画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第1距離であり、
前記第2立体画像関連情報は、前記視点毎の合成画像間における対応点間の垂直方向の距離を示す第2距離であり、
前記記録手段は、前記第1距離が前記第2距離以下である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1距離が前記第2距離より大きい場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1立体画像関連情報は、前記視点毎の基準画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第1割合であり、
前記第2立体画像関連情報は、前記視点毎の合成画像間の背景画像の対応点数に対する主要被写体の対応点数の割合を示す第2割合であり、
前記記録手段は、前記第1割合が前記第2割合以上である場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記第1割合が前記第2割合より少ない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成工程と、
前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成工程により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録工程と、
を有する画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
各々異なる複数の視点からそれぞれ連続的に撮影された複数の画像を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された複数の画像から前記視点毎に基準画像を決定し、当該基準画像を基準として前記複数の画像を当該視点毎に合成する合成手段と、
前記視点毎の基準画像間の対応点に関する第1立体画像関連情報と、前記合成手段により合成された前記視点毎の合成画像間の対応点に関する第2立体画像関連情報との関係が、前記基準画像のほうが前記合成画像より立体視に適していることを示すものとして予め定められた条件を満足する場合に前記基準画像を前記視点毎に記録し、前記条件を満足しない場合に前記合成画像を前記視点毎に記録する記録手段と、
として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図16】
【図18】
【図5】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図17】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図16】
【図18】
【図5】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図17】
【図19】
【公開番号】特開2012−215980(P2012−215980A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79585(P2011−79585)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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