説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】複数の光源が混在する場合であっても、適正な色味とする画像を生成できるようにする。
【解決手段】まず、メモリ102に記憶された画像信号に対して、第1の光源に対応した第1のWB補正値を決定し、次に、第2の光源に対応した第2のWB補正値を決定する。そして、第1のWB補正値を用いて現像し、現像画像信号Yuv1を生成するとともに、第2のWB補正値を用いて現像し、現像画像信号Yuv2を生成する。次に、メモリ102に記憶された画像信号の各ブロックの色評価値を算出して、前記各ブロックの色評価値と前記第2の光源の白の色評価値との差分に基づいて合成比率を算出する。そして、合成比率に基づいて現像画像信号Yuv1と現像画像信号Yuv2とを合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホワイトバランス補正を行うために用いて好適な画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなど、撮像素子を用いる撮像装置は、撮像によって得られた画像の色調を調整するホワイトバランス制御機能を備えている。このホワイトバランス制御には、予め白色被写体を撮像してホワイトバランス係数を求めておき、算出したホワイトバランス係数を画面全体に適用するマニュアルホワイトバランス制御がある。また、撮像した画像から白色と思われる部分を自動検出し、画面全体の各色成分の平均値からホワイトバランス係数を求め、算出したホワイトバランス係数を画面全体に適用するオートホワイトバランス制御もある。
【0003】
ここで、従来のオートホワイトバランス制御について説明する。撮像素子から出力されたアナログ信号はA/D変換によってデジタル信号に変換され、図3に示すように複数のブロックに分割される。各ブロックはR、G、Bの色画素で構成されており、ブロック毎に、例えば以下の式(1)により、色評価値(Cx[i],Cy[i])を求める。
【0004】
【数1】

【0005】
そして、算出した色評価値(Cx[i],Cy[i])が予め設定した白検出範囲に含まれる場合は、そのブロックが白であると判定する。そして、そのブロックに含まれる色画素の積分値(SumR,SumG,SumB)を算出して、以下の式(2)によりホワイトバランス係数(WBCo_R,WBCo_G,WBCo_B)を算出する。
【0006】
【数2】

【0007】
しかしながら、このようなオートホワイトバランス制御の場合、画像内に異なる複数の光源が存在するシーンであっても、上記算出したホワイトバランス係数を画面全体に適用してホワイトバランス制御を行う。このため、各光源を共に適正な色味とするホワイトバランス制御を行うことが困難であった。例えば、高色温度光源であるストロボ光を発光しているシーンで、環境光に電球色光源のような低色温度光源が存在する場合、ストロボ光にホワイトバランスを合わせると、環境光の低色温度光源にホワイトバランスが合わなくなってしまう。一方、環境光の低色温度光源にホワイトバランスを合わせると、ストロボ光にホワイトバランスが合わなくなってしまう。また、両方の光源の中間にホワイトバランスを合わせてホワイトバランス制御を行ったとしても、両方の光源にホワイトバランスが合わず、ストロボ光で照射されている領域は青みを帯び、低色温度光源で照射されている領域は赤味を帯びてしまう。
【0008】
そこで、このような課題に対して、例えば特許文献1に記載の技術では、ストロボ発光画像とストロボ非発光画像とを、任意の被写体領域ごとに比較してデータの比を求め、求めた比の値によりストロボ光の寄与度を判定する。そして、寄与度に応じてストロボ発光して露光させたときの映像データに対して領域ごとにホワイトバランス制御値を選択して、ホワイトバランス制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3540485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、ストロボ光を発光した時のホワイトバランス制御であり、ストロボ光を発光していない場合には適用することができない。また、ホワイトバランス制御値を各領域で可変させた後に現像処理を行うため、色の再現などその他の制御がホワイトバランス制御値に対して適正にならなくなってしまう場合がある。このため、適正な色味を十分に再現できない。
【0011】
本発明は前述の問題点に鑑み、複数の光源が混在する場合であっても、適正な色味とする画像を生成できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像処理装置は、画像データにおける第1の光源に対応した第1のホワイトバランス補正値を決定する第1の決定手段と、前記画像データにおける第2の光源に対応した第2のホワイトバランス補正値を決定する第2の決定手段と、前記第1の決定手段により決定された第1のホワイトバランス補正値を用いて前記画像データを補正して第1の現像画像データを生成するとともに、前記第2の決定手段により決定された第2のホワイトバランス補正値を用いて前記画像データを補正して第2の現像画像データを生成する補正手段と、前記画像データを複数のブロックに分割する分割手段と、前記画像データの各画素の色評価値を前記分割手段によって分割された各ブロックで加算平均して、前記各ブロックの色評価値を算出する色評価値算出手段と、前記色評価値算出手段により算出された各ブロックの色評価値と前記第2の光源の白の色評価値との差分に基づいて合成比率を算出する合成比率算出手段と、前記合成比率算出手段により算出された合成比率により、前記補正手段により生成された第1の現像画像データと第2の現像画像データとを合成する合成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の光源が混在する場合であっても、適正な色味とする画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係るデジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
【図2】画像を合成する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】R、G、Bの色画素で構成されているブロックを示す図である。
【図4】白検出を行うための色評価値の関係の一例を示す特性図である。
【図5】第1のWB補正値を決定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】合成比率の算出に用いられる色評価値の関係の一例を示す図である。
【図7】合成比率の算出に用いられる色評価値の関係の他の一例を示す図である。
【図8】低色温度光源を用いた場合の色評価値の関係の一例を示す図である。
【図9】低色温度光源の場合の入力と出力との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。
図1において、固体撮像素子101はCCDやCMOS等からなる撮像素子であり、その表面は例えばベイヤー配列のようなRGBカラーフィルタにより覆われ、カラー撮影が可能な構成となっている。被写体像が固体撮像素子101上で結像されると、画像データ(画像信号)を生成して、メモリ102に記憶される。
【0016】
制御部114は、画像全体が明るくなるようなシャッター速度、絞り値を計算するとともに、合焦領域内にある被写体に合焦するようにフォーカスレンズの駆動量を計算する。そして、制御部114により計算された露出値(シャッター速度、絞り値)及びフォーカスレンズの駆動量の情報が撮像制御回路113に送られ、各値に基づいてそれぞれ制御される。ホワイトバランス(WB)制御部103は、メモリ102に記憶された画像信号に基づいてWB補正値を算出し、算出したWB補正値を用いて、メモリ102に記憶された画像信号に対してWB補正を行う。なお、このWB制御部103の詳細な構成及びWB補正値の算出方法については、後述する。
【0017】
色マトリックス回路104は、WB制御部103によりWB補正された画像信号が最適な色で再現されるように色ゲインをかけて色差信号R−Y、B−Yに変換する。ローパスフィルタ(LPF)回路105は、色差信号R−Y、B−Yの帯域を制限するための回路である。CSUP(Chroma Supress)回路106は、LPF回路105で帯域制限された画像信号のうち、飽和部分の偽色信号を抑圧するための回路である。
【0018】
一方、WB制御部103によりWB補正された画像信号は、輝度信号生成回路111にも出力される。輝度信号生成回路111は、入力された画像信号から輝度信号Yを生成する。エッジ強調回路112は、生成された輝度信号Yに対してエッジ強調処理を施す。
【0019】
RGB変換回路107は、CSUP回路106から出力される色差信号R−Y、B−Yと、エッジ強調回路112から出力される輝度信号YとをRGB信号に変換する。ガンマ補正回路108は、変換されたRGB信号に対して階調補正を施す。その後、色輝度変換回路109は、階調補正されたRGB信号をYUV信号に変換し、さらに圧縮回路110は、JPEG方式などにより圧縮して、外部または内部の記録媒体115に画像信号として記録する。
【0020】
次に、WB制御部103によるWB補正値の算出方法について詳細に述べる。図5は、第1の決定手段として機能するWB制御部103による第1のホワイトバランス補正値(第1のWB補正値)を決定する処理手順の一例を示すフローチャートである。ここで、第1のWB補正値とは、第1の光源に対する通常のホワイトバランス制御により算出される補正値である。
【0021】
まず、ステップS501において、メモリ102に記憶された画像信号を読み出し、その画面を任意のm個のブロックに分割する。そして、ステップS502において、m個のブロック毎に、画素値を各色に加算平均して色平均値(R[i],G[i],B[i])を算出する。そして、以下の式(3)を用いてさらに色評価値(Cx[i],Cy[i])を算出する。
【0022】
【数3】

【0023】
次に、ステップS503において、白検出を行い、白検出範囲内であるか否かを判断する。ここで、白検出する方法について説明する。
【0024】
図4は、白検出を行うための色評価値の関係を示す特性図である。
図4(a)において、x座標(Cx)の負方向は、高色温度被写体の白を撮影したときの色評価値を表し、正方向が低色温度被写体の白を撮影したときの色評価値を表す。また、y座標(Cy)は光源の緑成分の度合いを示しており、負方向になるにつれGreen成分が大きくなり、つまり蛍光灯であることを示している。ステップS503では、ステップS502で算出したi番目のブロックの色評価値(Cx[i],Cy[i])が、図4(a)に示す、予め設定した白検出範囲401に含まれるかどうかを判断する。
【0025】
図4(a)に示す白検出範囲401は、予め異なる光源下で白を撮影し、算出した色評価値を黒体放射軸に沿ってプロットしたものである。なお、この白検出範囲401は撮影モードによって異なるように設定できるものとする。算出した色評価値(Cx[i],Cy[i])がこの白検出範囲401に含まれる場合には(ステップS503/YES)、そのブロックが白色であると判断する。そこで、ステップS504において、そのブロックの色平均値(R[i],G[i],B[i])を積算する。一方、白検出範囲401に含まれない場合には(ステップS503/NO)、そのブロックの色平均値を加算せずにステップS505に進む。このステップS504の処理では、以下の式(4)を用いて色平均値(R[i],G[i],B[i])を積算する。
【0026】
【数4】

【0027】
ここで、式(4)において、色評価値(Cx[i],Cy[i])が白検出範囲401に含まれる場合はSw[i]を1に設定し、含まれない場合にはSw[i]を0に設定する。これにより、色評価値(R[i],G[i],B[i])加算を行うか、行わないかの処理を行っている。
【0028】
次に、ステップS505において、すべてのブロックについて色検出範囲内か否かを判断する処理を行ったかどうかを判断する。この判断の結果、未処理のブロックがある場合はステップS502に戻り、すべてのブロックの処理が終了している場合は次のステップS506に進む。このように、すべてのブロックの処理が終了した段階で、式(4)に示す積分値(SumR1,SumG1,SumB1)が決定される。
【0029】
次に、ステップS506において、得られた色評価値の積分値(SumR1,SumG1,SumB1)から、以下の式(5)を用いて、第1のWB補正値(WBCol_R1,WBCol_G1,WBCol_B1)を算出する。
【0030】
【数5】

【0031】
また、ストロボ光を発光する時には、図4(b)に示すようなストロボ光用の白検出範囲402を用いて、上記のWB補正値算出方法と同様に第1のWB補正値を算出する。これはストロボ光という既知の光源であることから、白検出範囲を限定できるためである。ここで、ストロボ光を発光する時には、第1のWB補正値としてストロボ光のWB補正値を既知のものとして予め設定してもよい。
【0032】
次に、第2の光源に対する第2のホワイトバランス補正値(第2のWB補正値)の決定方法について説明する。第2のWB補正値については、第2の決定手段として機能するWB制御部103が光源ごとに予め決められた値を用いて決定する。この値には、予め各光源下で白を撮影し、算出した値を用いる。まず、光源を推定するためにシーン判別を行い、例えば、シーン判別の結果、光源を水銀灯と判別した場合には、水銀灯用に予め決められているWB補正値を第2のWB補正値として用いる。ここで、光源に複数の種類がある場合、光源の種類に応じて第2のWB補正値を可変にしてもよい。例えば、水銀灯に2つの種類がある場合には、それぞれの水銀灯に応じてWB補正値を可変にする。
【0033】
また、ストロボ光を発光するシーンで背景が電球色光源のような低色温度光源の場合に、シーンの雰囲気を考慮し、色味を残すように第2のWB補正値を算出してもよい。例えば、図9に示すような関係により、入力される画像と出力する画像とで色温度が異なるようにする。このように、第2のWB補正値の色温度が低い場合に色味を残すように制御することにより、例えば、電球色光源の赤味を残すような画像を生成することができる。
【0034】
続いて、画像合成処理について図2のフローチャートを参照しながら説明する。図2は、WB制御部103により画像を合成する処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、メモリ102に記憶された画像信号からシーン判別を行い、光源を判別可能か否か判断する。この判断の結果、光源を判別できない場合には、ステップS208において、画像合成処理を行わず、図5に示した手順により算出された第1のWB補正値を用いて通常のホワイトバランス制御を行う。一方、ステップS201の判断の結果、光源が判別可能である場合には画像合成処理を行うために、次のステップS202に進む。
【0035】
次に、ステップS202において、メモリ102に記憶されている画像信号に対し、上記第1のWB補正値を用いてホワイトバランス補正を行い、第1の現像画像データとして現像画像信号Yuv1を生成する。そして、ステップS203において、同様に上記第2のWB補正値を用いてホワイトバランス補正を行い、第2の現像画像データとして現像画像信号Yuv2を生成する。次に、ステップS204において、メモリ102に記憶されている画像信号、現像画像信号Yuv1、及び現像画像信号Yuv2をそれぞれn個のブロックに分割する。
【0036】
次に、ステップS205において、メモリ102に記憶されている画像信号から、ブロックごとに画素値を各色に加算平均して色平均値(R[i],G[i],B[i])を算出する。そして、WB制御部103は色評価値算出手段として機能し、前述した式(3)を用いてさらに色評価値(Cx[i],Cy[i])を算出する。なお、ステップS501で算出した色評価値(Cx[i],Cy[i])をそのまま用いてもよい。このとき、飽和画素が存在する場合にはその飽和画素の画素値とその画素に対応する別色の画素の画素値とを加算処理に含めなくてもよい。例えば、あるR画素が飽和画素である場合には、R画素の画素値とそのR画素に対応するG画素の画素値及びB画素の画素値とを加算処理に含めないようにする。
【0037】
次に、ステップS206において、WB制御部103は合成比率算出手段として機能し、各光源に応じて評価枠を設定して、上記の第2のWB補正値と各ブロックの色評価値との差分を基にブロックごとの合成比率を算出する。例えば、光源に水銀灯を用いたシーンでは、図6に示すように、第2のWB補正値として予め決められた水銀灯下の白の色評価値を重心とした水銀灯用の評価枠601を設定する。そして、予め決められた水銀灯下の白の色評価値と各ブロックの色評価値との距離を基に各ブロックの合成比率を算出する。なお、評価枠601は予め水銀灯下で白の被写体を撮影し算出された色評価値を基に設定したものである。
【0038】
まず、色評価値と水銀灯下の白の色評価値との差分が小さく、図6に示す内枠602の内部に色評価値が存在するブロックに対しては、当該ブロックの合成比率α[i]を1とする。次に、図6に示す内枠602と評価枠601との間の領域に色評価値が存在するブロックに対しては、以下のように合成比率α[i]を算出する。すなわち、内枠602を合成比率α[i]=1、評価枠601を合成比率α[i]=0とするように、内枠602から評価枠601に向かって合成比率を線形的に減少させ、当該ブロックの合成比率α[i]を算出する。そして、評価枠601の外部に色評価値が存在するブロックに対しては、合成比率α[i]を0とする。
【0039】
ここで、評価枠601や内枠602の設定は四角形ではなく任意の形にしてもよい。例えば、図7に示すように評価枠601を楕円形(円形)にしてもよい。また、例えば、電球色光源のような低色温度光源を用いたシーンの場合においても、図8に示すような評価枠601及び内枠602を設定すればよい。そして、水銀灯を光源としたシーンにおける合成比率算出方法と同様の処理により合成比率を算出することができる。
【0040】
次に、ステップS207において、ブロックごとの合成比率α[i]を用いて現像画像信号Yuv1と現像画像信号Yuv2とを合成し、合成画像信号Yuv3を生成する。合成画像信号Yuv3の色評価値(Y3[i],u3[i],v3[i])を算出する際に、現像画像信号Yuv1の色評価値(Y1[i],u1[i],v1[i])と現像画像信号Yuv2の色評価値(Y2[i],u2[i],v2[i])とを用いる。すなわち、以下の式(6)により合成画像信号Yuv3の色評価値(Y3[i],u3[i],v3[i])を算出する。
【0041】
【数6】

【0042】
ここで、ブロックの境界部分に生じる色味ずれを緩和するために、ステップS207でさらに画素補間処理を行うことにより、ブロックごとの合成比率α[i]から画素ごとの合成比率α'[j]を算出してもよい。例えば、画素補間処理としてバイリニア補間を用い、ブロックごとの合成比率α[i]から画素ごとの合成比率α'[j]を算出する。このとき、ステップS207では、画素ごとの合成比率α'[j]を用いて現像画像信号Yuv1と現像画像信号Yuv2とを合成し、合成画像信号Yuv3を生成する。合成画像信号Yuv3の色評価値(Y3[j],u3[j],v3[j])を算出する際に、現像画像信号Yuv1における色評価値(Y1[j],u1[j],v1[j])と現像画像信号Yuv2の色評価値(Y2[j],u2[j],v2[j])とを用いる。すなわち、以下の式(7)により合成画像信号Yuv3の色評価値(Y3[j],u3[j],v3[j])を算出する。
【0043】
【数7】

【0044】
また、回路における計算量を低減するために、色成分であるu成分及びv成分のみを合成してもよい。例えば、画像合成処理において合成画像信号Yuv3の色評価値(Y3[i],u3[i],v3[i])を以下の式(8)により算出する。
【0045】
【数8】

【0046】
また、前述した画像合成処理において現像画像信号はYuv形式を用いたが、例えば、画像形式としてRGB形式を用いた場合、ステップS207において用いた式(6)の代わりに、以下の式(9)を用いる。つまり、まず、第1のWB補正値を用いて現像した現像画像信号RGB1の色評価値(R1[i],G1[i],B1[i])と、第2のWB補正値を用いて現像した現像画像信号RGB2の色評価値(R2[i],G2[i],B2[i])とを算出する。そして、合成画像信号RGB3の色評価値(R3[i],G3[i],B3[i])を式(9)により算出する。
【0047】
【数9】

【0048】
また、前述した画像合成処理では、光源が2種類以上存在する場合に、現像画像を2枚以上にして合成してもよい。例えば、水銀灯を用いたシーンにおいてストロボ光を発光した時には、上記第1のWB補正値、第2のWB補正値に加えて、上記第2のWB補正値を決定する方法と同様にストロボ光に対応した第3のWB補正値を決定する。そして、3つのWB補正値をそれぞれ用いて3枚の画像を現像して画像合成処理を行う。
【0049】
以上のように本実施形態の画像処理によれば、異なる複数の光源が混在するシーンにおいて、主被写体と背景とを共に適正な色味とする画像を生成し、ユーザーにとって好ましい画像を提供することができる。
【0050】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0051】
103 WB制御部、104 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データにおける第1の光源に対応した第1のホワイトバランス補正値を決定する第1の決定手段と、
前記画像データにおける第2の光源に対応した第2のホワイトバランス補正値を決定する第2の決定手段と、
前記第1の決定手段により決定された第1のホワイトバランス補正値を用いて前記画像データを補正して第1の現像画像データを生成するとともに、前記第2の決定手段により決定された第2のホワイトバランス補正値を用いて前記画像データを補正して第2の現像画像データを生成する補正手段と、
前記画像データを複数のブロックに分割する分割手段と、
前記画像データの各画素の色評価値を前記分割手段によって分割された各ブロックで加算平均して、前記各ブロックの色評価値を算出する色評価値算出手段と、
前記色評価値算出手段により算出された各ブロックの色評価値と前記第2の光源の白の色評価値との差分に基づいて合成比率を算出する合成比率算出手段と、
前記合成比率算出手段により算出された合成比率により、前記補正手段により生成された第1の現像画像データと第2の現像画像データとを合成する合成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の決定手段は、黒体放射軸を用いたホワイトバランス制御に基づいて前記第1のホワイトバランス補正値を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2の決定手段は、光源ごとに予め決められた値を用いて第2のホワイトバランス補正値を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記合成手段は、前記画像データの光源を判別できない場合は、前記合成手段による合成を行わないようにすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記合成比率算出手段は、補間処理により画素ごとの合成比率を算出することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記色評価値算出手段は、飽和画素が存在する場合には、前記飽和画素の画素値とその画素に対応する別色の画素の画素値とを色平均値の算出に含めないようにすることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第2の決定手段は、光源に対して色味を残すように前記第2のホワイトバランス補正値を決定することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記合成手段は、前記第1の現像画像データ及び前記第2の現像画像データの色成分を合成することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像データにおける第1の光源に対応した第1のホワイトバランス補正値を決定する第1の決定工程と、
前記画像データにおける第2の光源に対応した第2のホワイトバランス補正値を決定する第2の決定工程と、
前記第1の決定工程において決定された第1のホワイトバランス補正値を用いて前記画像データを補正して第1の現像画像データを生成するとともに、前記第2の決定工程において決定された第2のホワイトバランス補正値を用いて前記画像データを補正して第2の現像画像データを生成する補正工程と、
前記画像データを複数のブロックに分割する分割工程と、
前記画像データの各画素の色評価値を前記分割工程において分割された各ブロックで加算平均して、前記各ブロックの色評価値を算出する色評価値算出工程と、
前記色評価値算出工程において算出された各ブロックの色評価値と前記第2の光源の白の色評価値との差分に基づいて合成比率を算出する合成比率算出工程と、
前記合成比率算出工程において算出された合成比率により、前記補正工程において生成された第1の現像画像データと第2の現像画像データとを合成する合成工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
画像データにおける第1の光源に対応した第1のホワイトバランス補正値を決定する第1の決定工程と、
前記画像データにおける第2の光源に対応した第2のホワイトバランス補正値を決定する第2の決定工程と、
前記第1の決定工程において決定された第1のホワイトバランス補正値を用いて前記画像データを補正して第1の現像画像データを生成するとともに、前記第2の決定工程において決定された第2のホワイトバランス補正値を用いて前記画像データを補正して第2の現像画像データを生成する補正工程と、
前記画像データを複数のブロックに分割する分割工程と、
前記画像データの各画素の色評価値を前記分割工程において分割された各ブロックで加算平均して、前記各ブロックの色評価値を算出する色評価値算出工程と、
前記色評価値算出工程において算出された各ブロックの色評価値と前記第2の光源の白の色評価値との差分に基づいて合成比率を算出する合成比率算出工程と、
前記合成比率算出工程において算出された合成比率により、前記補正工程において生成された第1の現像画像データと第2の現像画像データとを合成する合成工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−54827(P2012−54827A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196827(P2010−196827)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】