説明

画像処理装置、画像処理方法及び画像処理行程を実行させるプログラム、並びにそのプログラムを記憶する記憶媒体

【課題】移動体の走行を操作するにあたり、基準となるコースレイアウトの途中に少なくとも分岐点が存在し、操作者がリアルタイムに分岐方向を任意に選択しても、当該選択した分岐方向に追従して、常に、同一の表示画面上に架空移動体を併走させる。
【解決手段】分岐点20において、予め分岐点移行のコース種に応じて、それぞれのコースに対応する走行履歴データを予め準備しておき、分岐点20のエリア内において、操作者が選択したコースをリアルタイムで判別し、何れかの走行履歴データを読み出して、いままでの走行履歴データに継続させて、ゴーストカー画像12Gを表示するようにしたため、操作者が任意に選択したコースに追従させて、常に、ゴーストカー画像を併走させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理技術に係り、特に、ビデオゲーム装置における車両レースゲームに適用される画像処理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用ゲーム装置のアプリケーションプログラムとして、車両(四輪車や二輪車等)を用いてレースを行うゲームがある。
【0003】
この種のレースゲームでは、対戦相手が存在し、複数台の車両のそれぞれを、異なる走者者が速度、操舵を操作して、スタート地点からゴール地点までのタイムを競い合うものである。
【0004】
ここで、コースレイアウトとして、周回コースが設定され、ゲームプログラム上の車両がコースを複数周回するときの総時間でゲームの達成状態の評価を行う際、各周のラップタイムが過去の履歴に基づく最速のラップタイムに対してどのくらい差があるかを判断する目安として、履歴に基づいてトレイルイメージ(ゴーストカー)を車両とともにコース上を併走させることが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、特許文献1では、実際に移動する移動体と、ゴーストカーとの時間差により、同一画面内で併走させることができない場合があることを問題点として挙げ、これを解決するために、例えば、周単位でトレイルイメージを更新して、再生表示することで、実際の移動体とゴーストカーとの間隔が拡がりすぎることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−153069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、基本的にコースレイアウトが周回コースであるため、過去の履歴を選択する場合に、例えば、最速のデータ等、一義的に設定することができるが、コースレイアウトの途中に分岐点があった場合、実際に操作者がリアルタイムに操作して移動するコースと、選択した履歴の移動コースが異なった場合、分岐点以降で、ゴーストカーを併走させることができない。
【0008】
特許文献1には、競争区間として、周単位での分割、直線区間、曲線区間による分割等の記載があるが、コースレイアウト自体が周回コースであり、それぞれの競争区間で選択パラメータ(最速の履歴等)が決まれば、トレイルイメージ(ゴーストカー)は一義的に定まるため、実際の操作者の操作による移動コースを考慮しておらず、その概念すらない。
【0009】
本発明は上記事実を考慮し、移動体の移動を操作するにあたり、基準となるコースレイアウトの途中に少なくとも分岐点が存在し、操作者がリアルタイムに分岐方向を任意に選択しても、当該選択した分岐方向に追従して、常に、同一の表示画面上に架空移動体を併走させることができる画像処理装置及び画像処理方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、分岐路を有するコースを仮想空間内に生成し、このコース上に、遊戯者によって操作される遊戯者用移動体と、この遊戯者用移動体に対する架空移動体とを併走させるプログラムを実行する画像処理装置において、操作手段からの操作信号に基づいて前記プログラムを実行する処理ユニットと、前記プログラムを記憶するメモリと、を備え、前記処理ユニットは、前記遊戯者用移動体が移動している現コースの次の分岐路を検出する手段と、前記分岐路数に応じた数の前記架空移動体を設定する手段と、この設定された架空移動体と前記遊戯者用移動体とを前記現コースにて併走させる手段と、を実行するように構成されてなることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、遊戯者用移動体が分岐路に到達した際、各分岐路に架空移動体を移動させることにより、遊戯者用移動体がどの分岐路を移動しようと、遊戯者用移動体に架空移動体を併走させることができる。
【0012】
本発明において、前記処理ユニットは、前記分岐路数に相当する数の前記架空移動体を設定する。前記架空移動体は、前記処理ユニットによって、前記操作手段からの操作データに依らずに制御される。前記処理ユニットは、前記コース中のある分岐路から次の分岐路に至るまでの各分岐路間における、前記遊戯者用移動体の過去の履歴データを前記メモリに記憶させ、この履歴データに基づいて前記仮想移動体の移動特性を設定する。
【0013】
本発明はさらに、分岐路を有するコースを仮想空間内に生成し、このコース上に、遊戯者によって操作される遊戯者用移動体と、この遊戯者用移動体に対する架空移動体とを併走させるプログラムを処理ユニットに実行させる画像処理方法において、前記処理ユニットは、操作手段からの操作信号に基づいて前記プログラムを実行する処理工程を実行するものであり、この処理工程は、前記遊戯者用移動体が移動している現コースの先の次の分岐路を検出する工程と、前記分岐路数に応じた数の前記架空移動体を設定する工程と、この設定された架空移動体と前記遊戯者用移動体とを前記現コースにて併走させる工程と、を備えてなることを特徴とするものである。さらに、本発明は、既述の各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム及びこのプログラムが記憶された記憶媒体でもある。
【0014】
本発明の他の形態は、ゲーム空間内に設定され所定の分岐点で複数の経路に分岐するように構成された競争区間を有する移動経路に、遊戯者の操作により前記競争区間を移動する遊戯者移動体と、前記競争区間内において前記遊戯者移動体の競争相手となる再現移動体とを出現させ、前記遊戯者移動体と前記再現移動体とが前記競争区間内を移動する画像をゲーム画面として表示するゲームシステムとしてコンピュータを動作させるゲームプログラムであって、前記再現移動体を出現させるための再現データが、前記競争区間の開始点から前記分岐点を経て前記複数の経路のそれぞれに設定された前記競走区間の終点に至るまでのそれぞれに対応して記憶手段に記憶されてなり、前記遊戯者移動体が前記競争区間の開始点に到達したか否かを判定する処理と、前記遊戯者移動体が前記競争区間の開始点に到達したとき、当該競争区間内に設定されている複数の経路に対応して記憶された複数の再現データを前記記憶手段から読み出す処理と、前記再現データに基づく複数の再現移動体を前記競争区間の開始点に出現させる処理と、前記再現データに基づいて前記再現移動体を前記競争区間内で移動させる処理と、前記再現移動体が前記競争区間の終点に達したとき、前記再現移動体の移動処理を終了する処理と、を含むことを特徴とするゲームプログラムである。
【0015】
さらに、他の形態は、前記再現データは、前記競争区間内における前記再現移動体のゲーム成績データを含み、前記遊戯者移動体が前記競争区間内を移動している間、その移動履歴データ(位置、速度)と、前記競争区間内における前記遊戯者移動体のゲーム成績データとを逐次記憶する処理と、前記遊戯者移動体が前記競争区間内の終点に到達した後、前記競争区間における前記再現データのゲーム成績データと、前記遊戯者移動体のゲーム成績データとを比較し、前記遊戯者移動体のゲーム成績データが前記再現データのゲーム成績データより勝っていた場合、前記遊戯者移動体の移動履歴データとゲーム成績データとを前記再現データと置き換えて記憶する処理と、を更に含むことを特徴とするゲームプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した如く本発明では、移動体の移動を操作するにあたり、基準となるコースレイアウトの途中に少なくとも分岐点が存在し、操作者がリアルタイムに分岐方向を任意に選択しても、当該選択した分岐方向に追従して、常に、同一の表示画面上に架空移動体を併走させることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用されるゲーム装置のブロック図である。
【図2】本実施の形態に係るディスプレイモニタに表示される車両走行シミュレーションゲーム画像の一部を示す正面図である。
【図3】本実施の形態に係る車両走行シミュレーションゲームに設定したコースレイアウト図である。
【図4】ゲームの流れを制御するCPUにおける走行履歴データ選択制御のための制御を機能的に分類して作成した機能ブロック図である。
【図5】分岐点における走行履歴データの選択を模式的に示した分岐点の平面図である。
【図6】本実施の形態に係るタイムトライアルゲーム実行制御メインルーチンを示すフローチャートである。
【図7】図6のゴーストカー画像表示制御サブルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図8】コースの分岐状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る画像処理装置の一例としてのゲーム装置のブロック図を示す。
【0019】
ゲーム装置100は、ゲームプログラムやデータ(映像、音楽データも含む)が格納されたプログラムデータ記憶装置又は記憶媒体(光ディスク及び光ディスクドライブ等も含む)101と、ゲームプログラムの実行や全体システムの制御及び画像表示のための座標計算等を行う、処理ユニットの一例としてのCPU102と、CPU102が処理を行うのに必要なプログラムやデータが格納されるシステムメモリ103と、ゲーム装置100を起動するときに必要なプログラムやデータが格納されているBOOTROM104と、ゲーム装置100の各ブロックや外部に接続される機器とのプログラムやデータの流れを制御するバスアービタ105とを備え、これらはバスにそれぞれ接続されている。
【0020】
バスにはレンダリングプロセッサ106が接続され、プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体101から読み出した映像(ムービー)データや、操作者の操作やゲーム進行に応じて生成すべき画像は、レンダリングプロセッサ106によってディスプレイモニタ110に表示される。
【0021】
レンダリングプロセッサ106が画像生成を行うのに必要なグラフィックデータ等はグラフィックメモリ(フレームバッファ)107に格納されている。
【0022】
バスには、サウンドプロセッサ108が接続され、プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体101から読み出した音楽データは、操作者の操作やゲームの進行に応じて生成すべき効果音や音声は、サウンドプロセッサ108によってスピーカ111から出力される。
【0023】
サウンドプロセッサ108が効果音や音声を生成するために必要なサウンドデータ等はサウンドメモリ109に格納される。
【0024】
ゲーム装置100には、モデム112が接続され、電話回線(図示省略)を通じて、他のゲーム装置100やネットワークサーバと通信を行い得る。
【0025】
さらに、ゲーム装置100には、ゲームの途中経過の情報やモデムを通じて入出力されるプログラムデータを記憶しておくバックアップメモリ113(ディスク記憶媒体や記憶装置も含まれる)と、操作者の操作に従ってゲーム装置100及び外部に接続される機器を制御するための情報をゲーム装置100に入力するコントローラ114が接続されている。CPU102とレンダリングプロセッサ106によって画像演算処理ユニットが構成される。
【0026】
本実施の形態では、プログラムデータとして、車両移動シミュレーションゲームプログラムが記憶されており、上記ゲーム装置100は、この車両移動シミュレーションゲームを実行するべく、レンダリングブロセッサ106及びサウンドプロセッサ108等が起動する。この車両移動シミュレーションゲームにおける車両が、本発明の移動体に相当する。
【0027】
ディスプレイモニタ110には、上記車両移動シミュレーションゲームプログラムに基づいて、図2に示すような背景画像10と、当該背景画像10に重なるように移動体としての車両画像12が表示される。この背景画像10及び車両画像12は、3次元仮想空間に設定された仮想視点からの画像、好適には、所謂鳥瞰図形式の遠近感のある表示となっており、例えば、図3に示すコースレイアウト14に沿って移動体が互いに競争して移動する様が背景画像10とともに、表示される。
【0028】
ここで、図3に示される如く、コースレイアウトには、スタート地点16とゴール地点18とがあり、この間に複数の分岐点(本実施の形態では、3カ所の分岐点20A、20B、20Cであり、以下総称する場合は、「分岐点20」という)が存在している。
【0029】
各分岐点20では、操作者が操舵操作によって、何れかが選択され、この選択されたコースに沿って、遊戯者が操作する車両(図3の600)が移動する。遊戯者は、スタート地点16からゴール地点18までの移動時間を競い合う。ディスプレイモニタ110には、遊戯者が操作する車両画像12を見下ろす仮想視点からの映像が表示される(図2)。
【0030】
また、他のゲーム仕様として、1台の車両画像12を表示させ、1人の操作者が速度及び操舵等を操作して、スタート地点16からゴール地点18までのタイムトライアルを行うことが可能となっている(タイムトライアルゲーム)。
コースレイアウトには、遊戯者によって操作される遊戯者用移動体(実移動体)600の他に、コンピュータによって操作される架空移動体としてのゴーストカー602,604が出現される。ゴーストカーは、図2の12Gとして表示され、多くの場合は、遊戯者用移動体12の前方を、遊戯者用移動体を誘導するかのごとく、コース上を移動する。ゴーストカーは周知の技術であり、今までにタ実行された遊戯者用移動体の走行履歴データの中から、最速のデータをゴーストカーの走行特性として選択される。ゴーストカーである事を図2では、実際の車両画像12と、ゴーストカー画像12Gとを識別するため、ゴーストカー画像12Gの透過度を約50%としている(斜線表示)。この結果、ゴーストカー画像12Gは、半透明となり背景画像10が透過して見えるようになり、遊戯者はこれを架空走行車として視認することができる。
【0031】
ところで、図3に示されるように、本実施の形態のコースレイアウトには、複数の分岐点20が存在している。この分岐点20では、その直前まで操作している操作者の操作によって、その後(分岐点20よりも後)のコースが定まることになるため、前記周知技術のゴーストカー画像12Gが走行するコースと、実際に操作者が分岐点20で選択したコースとが、異なる場合がある。
【0032】
そこで、分岐後の次の分岐までの区間に遊戯者用移動体が到達した場合、次の分岐点の数分ゴーストカーを遊戯者用移動体とともに走行させることとした。図3に即して説明すると、分岐点20Bと分岐点20Cとの間のコース上に遊戯者用移動体600がある時に、分岐点20Cにおけるコースの分岐数はLとRの2分岐でることから、2台のゴーストカー602と604が分岐点20Bと20Cとの間を遊戯者用移動体600とともに走行している。ゴーストカー602は分岐路Lに沿って走行し、ゴーストカー604は分岐路Rに沿って走行する。したがって、遊戯者用移動体600がLとRのどちらを走行しても、必ずゴーストカーが遊戯者用移動体に併走するようになっている。
【0033】
ゴーストカーの特性は、分岐間のコース毎に決定される。分岐間のコース毎に遊戯者用移動体の過去の走行データから最速のものがゴーストカーのパラメータとして選択される。分岐間のコースに複数のゴーストカーが出現される場合には、各ゴーストカーに対してこのパラメータが設定される。ゴーストカー間には所定の距離差を設定して、複数のゴーストカーが重ならないようにする。
【0034】
コース上の座標と次の分岐路における分岐路数の関係がテーブルの形で記憶されており、処理ユニットは、遊戯者用移動体の走行位置に基づいてこのテーブルを参照して、コース上を走行するゴースカーの台数が決定される。図3に基づいて説明すると、分岐点20Bと分岐点20Cとの間では、テーブルの設定値を参照して、2台のゴーストカー602,604が設定される。分岐路前のルートで出現されるゴーストカーの台数は分岐数に応じて決定されるものであり、分岐数以上の台数にセットされる。
【0035】
図4は、ゲームの流れを制御するCPU102における走行履歴データ選択のための制御を機能的に分類して作成した機能ブロック図を示している。なお、この機能ブロック図の各ブロックは、CPU102における制御形態を模式的に示したものである。
【0036】
バスアービタ105にはゲーム実行制御部50が接続されている。ゲーム実行制御部50では、コントローラ114の操作に基づいて、レースゲームの実行が制御される。
【0037】
このレースゲーム実行制御部50の実行制御中、分岐点通過判定部52では、車両画像12が分岐点20(図2、図3及び図5のサークル参照)に到達したか否かが判定されるようになっている。また、ゲーム実行制御部50は、走行データ蓄積部54に接続されている。この走行データ蓄積部54では、ゲーム実行制御部50による実行制御の下での実際の走行データを受信し、蓄積する。
【0038】
この走行データ蓄積部54には、前記分岐点通過判定部52が接続されており、前記ゲーム実行制御部50から受けた走行データを分岐点毎に区分することができるようになっている。
【0039】
走行データ蓄積部54は、走行履歴データ解析部56に接続されている。走行履歴データ解析部56では、前記走行データ蓄積部54に1回のゲーム毎に蓄積された走行データを、走行履歴選択パラメータ指定部58で指定したパラメータに基づいて解析する。
【0040】
本実施の形態では、選択パラメータを「最速」としており、走行履歴データ解析部56に入力される分岐点で区分された範囲毎の走行データから、それぞれ最速走行データが抽出され、走行区間別走行履歴データ生成部60において、走行区間毎の走行履歴データが生成される。
【0041】
走行区間別走行履歴データ生成部60は、走行履歴データ記憶部62に接続されている。走行履歴データ記憶部62では、前記生成された走行区間別走行履歴データが更新記憶されるようになっている。
【0042】
ここで、コントローラ114の操作により、タイムトライアルゲーム(コースを走行する時間を競う競技)を実行する際に、ゴーストカー画像12Gの併走を指定すると、この指定信号は、バスアービタ105を介して、ゴーストカー表示有無判別部64へ送出されるようになっている。
【0043】
ゴーストカー表示有無判別部64では、併走指示(ゴーストカー画像表示有り)と判別すると、ゴーストカー表示制御部66を起動させる。ここで、ゴーストカー表示制御部66には、同期制御部68を介してタイムトライアルゲーム実行制御部50と接続されている。
【0044】
一方、前記分岐点通過判定部52は、選択コース判別部70と接続され、前記タイムトライアルゲーム実行制御部50におけるゲーム進行中での、操作者のコントローラ114の操作に基づく、分岐点20での選択コースを判別し、判別した選択コース情報を走行履歴データ読出部72へ送出する。走行履歴データ読出部72では、分岐点20毎に走行履歴データ記憶部62から走行履歴データを読み出し、前記ゴーストカー走行制御部66へ送出する。
【0045】
すなわち、ゴーストカー走行制御部66では、走行履歴データ読出部72で読み出した走行履歴データに基づいて、ゴーストカー画像12Gを表示するが、このとき、分岐点20以降に分岐する各コースL(又はR)の走行履歴データは、走行履歴データ記憶部62に記憶されているため、選択コース判別部70で判別した選択コースに基づいて選択していけば、操作者の任意のコース選択に追従して、リアルタイムにゴーストカー画像12Gを表示させることが可能となる。
【0046】
以下に、図6及び図7のフローチャートに従い、本実施の形態の作用を説明する。
【0047】
図6は、タイムトライアルゲームの実行制御のメインルーチンを示しており、コントローラ114でタイムトライアルゲームが選択されると、ステップ200において、コントローラ114の操作に基づく車両画像12の走行制御が実行され、次いでステップ202では、ゴーストカー画像表示制御が実行される。上記メインルーチンが数msecで処理されることで、ゴーストカー画像表示を選択した場合には、車両画像走行制御と、ゴースト画像走行制御とが時分割で制御され、見掛け上、同時進行するように表示される。
【0048】
図7は、図6のステップ202における、ゴーストカー画像表示制御の詳細を示している。
【0049】
まず、ステップ204では、ゴーストカー画像12Gの表示指示があるか否かが判断され、否定判定の場合は、以後のルーチンは実行されず、終了する。
【0050】
また、ステップ204で肯定判定されると、ステップ206へ移行してスタート済みか否かが判断される。このステップ206で肯定判定された場合は、これからスタートすると判断され、ステップ208へ移行してスタート地点16における走行履歴データを読み出し、次いでステップ210へ移行して走行がスタートしたか否かが判断され、走行がスタートするまで待機する。このステップ210で肯定判定されると、ステップ212へ移行して、車両画像12の走行時間軸に同期したゴースト画像12Gの表示を実行し、ステップ214へ移行する。既述のように、コース上の次の分岐数が検出され、この分岐数に相当する(分岐数を超えても良い。)ゴースカーがコース上を走行すると設定される。
【0051】
また、前記ステップ206で否定判定、すなわち、既にスタート済みと判定された場合も、このステップ214へ移行する。
【0052】
ステップ214では、分岐点20(図2、図3及び図5に示すサークル)に到達したか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ216へ移行して分岐点20以後における操作者が選択した選択コースL(又はR)を判別し、ステップ218へ移行する。
【0053】
ステップ218では、選択コースが確定したか否かが判断され、確定するまで待機し、確定すると(肯定判定)、ステップ220へ移行して選択コースに対応する走行履歴データを読み出し、ステップ222へ移行する。
【0054】
ステップ222では、車両画像12の走行時間軸に同期したゴースト画像12Gの表示を実行し、ステップ224へ移行する。また、前記ステップ214で否定判定された場合も、このステップ224へ移行する。
【0055】
ステップ224では、ゴール地点18に到達したか否かが判断され、否定判定の場合はこのルーチンは終了する。また、ステップ224で肯定判定されると、ステップ226へ移行して、ゴーストカー画像12Gを消去し、処理は終了する。
【0056】
図5は、分岐点20を中心としたコースの平面図を基準とした、走行履歴データの選択の流れを示しており、車両画像12の走行軌跡を鎖線で示している。この場合、車両画像12は、分岐点20において、平面視で右のコースを選択したとする。
【0057】
このとき、ゴーストカー画像12Gは、分岐点20までは車両画像12と併走し(図5の太幅矢印参照)、分岐点20のエリアに設定されたコース判別ゾーンにおいて、予め準備されている(走行履歴データ記憶部62に記憶されている)2種類の走行履歴データから、選択コース判別部70で判別したコースに対応する走行履歴データを読み出し、ゴーストカー画像12Gの表示用として選択する(選択走行履歴データ)。一方、図5の平面視で左のコース用の走行履歴データは今回は適用しない(非選択走行履歴データ)。
【0058】
このように、分岐点20において、予め分岐点移行のコース種に応じて、それぞれのコースに対応する走行履歴データを予め準備しておき、分岐点20のエリア内において、操作者が選択したコースをリアルタイムで判別し、何れかの走行履歴データを読み出して、いままでの走行履歴データに継続させて、ゴーストカー画像12Gを表示するようにしたため、操作者が任意に選択したコースに追従させて、常に、ゴーストカー画像を併走させることができる。これにより、操作者は、視線をそらすことなく、自身が操作する車両画像12の走行状態をゴーストカー画像12Gと比較することができるため、速度及び操舵を含む操作に集中することができる。
【0059】
なお、コースレイアウトが単純であり、スタート地点16からゴール地点18までの間に、分岐点20が1カ所のような場合には、スタート地点16から分岐点20による2種類のコースのそれぞれに対応して、2台のゴーストカー画像12Gをスタート地点16からゴール地点18まで常時表示するようにしてもよい。
【0060】
車種や車の性能を選択・設定する機能があり、プレイヤーが選んだ車種や設定した性能に対応して、それと同じ性能・車種で記録されたゴーストカーを走行させることもできる。遊戯者が選択した車の特性を記録する記録領域がメモリに設けられている。処理ユニットはこのメモリ領域をチェックして、ゴーストカーの特性を設定する。例えば、最高速重視の車を選べば、ゴーストカーも同じ車種、または同じ性能に設定された(外観だけ違う)車種で表示される。つまり、全コースの各区間ごとに、更に車種・性能別にゴーストカーデータを記録することになる。例えば、コースがAからBとCに分岐、車種が1,2,3の三種類、性能が「aタイプ(速度重視)」「bタイプ(コーナリング重視)」「cタイプ(加速重視)」の三種類だとすると、コースAに対応して、
「AからBへ進んだ車種1・性能aタイプ」
「AからBへ進んだ車種1・性能bタイプ」
「AからBへ進んだ車種1・性能cタイプ」
「AからBへ進んだ車種2・性能aタイプ」
「AからBへ進んだ車種2・性能bタイプ」
「AからBへ進んだ車種2・性能cタイプ」
「AからBへ進んだ車種3・性能aタイプ」
「AからBへ進んだ車種3・性能bタイプ」
「AからBへ進んだ車種3・性能cタイプ」
「AからCへ進んだ車種1・性能aタイプ」
「AからCへ進んだ車種1・性能bタイプ」
「AからCへ進んだ車種1・性能cタイプ」
「AからCへ進んだ車種2・性能aタイプ」
「AからCへ進んだ車種2・性能bタイプ」
「AからCへ進んだ車種2・性能cタイプ」
「AからCへ進んだ車種3・性能aタイプ」
「AからCへ進んだ車種3・性能bタイプ」
「AからCへ進んだ車種3・性能cタイプ」
の18パターンの走行データが記録され、プレイヤーカーの車種と性能に応じてこの中から2つのゴーストカーデータが選択される。プレイヤーカーが「車種2・性能cタイプ」だったとすると、ゴーストカーは「AからBへ進んだ車種2・性能cタイプ」「AからCへ進んだ車種2・性能cタイプ」の2つが選択され、コースAでプレイヤーカーと同時走行することになる。
【0061】
ゴーストカーの車種(外観だけ)をプレイヤーカーと同じにする、あるいは逆にプレイヤーカー以外の外観にする(車種だけ変えて性能・走行データは元のゴーストカーのまま)ことができる。分岐の数に応じてゴーストカーを用意したとき、それが同じ車種・同じ色の車だったら、片方の色を変えるようにしても良い。開始前に車の性能や車種などを選択する機能があり、ゲームオーバー直後の次のプレイでプレイヤーが所定の操作をすると、前回プレイ時の選択をそのまま適用してゲーム開始することができる。
【0062】
図8は、図3とは別の実施形態に係るものであり、(1)はコースの分岐状態を模式的に示したものであり、(2)はその一部拡大図である。この実施形態では、分岐路の先に更に分岐されている場合における、ゴーストカーの出現処理について説明する。(2)に示す区間Aを走るのは、遊戯者用車(プレイヤーカー)、とA左ゴーストカーとB左ゴーストカーの合計3台である。A左ゴーストカーがチェックポイントBに到達した時点で、A左ゴーストカーを消去する。プレイヤーカーがチェックポイントBに到達したら、同時にB左ゴーストカーとB右ゴーストカーをスタートさせる。なお、プレイヤー間の区間タイムは、あるチェックポイントから次のチェックポイントまでの間で計測される。
【符号の説明】
【0063】
10 背景画像
12 車両画像(移動体画像)
12G ゴーストカー画像(架空移動体画像)
14 コースレイアウト
16 スタート地点
18 ゴール地点
20(20A、20B、20C) 分岐点
50 タイムトライアルゲーム実行制御部
52 分岐点通過判定部
54 走行データ蓄積部
56 走行履歴データ解析部
58 走行履歴選択パラメータ指定部
60 走行区間別走行履歴データ生成部
62 走行履歴データ記憶部(記憶手段)
64 ゴーストカー表示有無判別部Z(走行履歴データ進行制御手段)
66 ゴーストカー表示制御部(履歴走行状態表示手段)
68 同期制御部
70 選択コース判別部
72 走行履歴データ読出部
100 ゲーム装置
101 プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体
102 CPU
103 システムメモリ
104 BOOTROM
105 バスアービタ
106 レンダリングプロセッサ
107 グラフィックメモリ
108 サウンドプロセッサ
109 サウンドメモリ
110 ディスプレイモニタ
111 スピーカ
112 モデム
113 バックアップメモリ
114 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐路を有するコースを仮想空間内に生成し、このコース上に、遊戯者によって操作される遊戯者用移動体と、この遊戯者用移動体に対する、データ処理ユニットによって操作される、架空移動体とを併走させるプログラムを実行する画像処理装置において、
操作手段からの操作信号に基づいて前記プログラムを実行する処理ユニットと、前記プログラムを記憶するメモリと、を備え、
前記処理ユニットは、前記遊戯者用移動体が移動している現コースの次の分岐路を検出する手段と、前記分岐路数に応じた数の前記架空移動体を設定する手段と、この設定された架空移動体と前記遊戯者用移動体とを前記現コースにて併走させる手段と、を実行するように構成されてなる画像処理装置。
【請求項2】
前記処理ユニットは、前記分岐路数に相当する数の前記架空移動体を設定するように構成された請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記架空移動体は、前記処理ユニットによって、前記操作手段からの操作データに依らずに制御される請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記処理ユニットは、前記コース中のある分岐路から次の分岐路に至るまでの各分岐路間における、前記遊戯者用移動体の過去の履歴データを前記メモリに記憶させ、この履歴データに基づいて前記仮想移動体の移動特性を設定するようにした請求項1ないし3の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
分岐路を有するコースを仮想空間内に生成し、このコース上に、遊戯者によって操作される遊戯者用移動体と、この遊戯者用移動体に対する架空移動体とを併走させるプログラムを処理ユニットに実行させ、前記仮想移動体が当該処理ユニットによって制御される画像処理方法において、
前記処理ユニットは、操作手段からの操作信号に基づいて前記プログラムを実行する処理工程を実行するものであり、
この処理工程は、前記遊戯者用移動体が移動している現コースの先の次の分岐路を検出する工程と、前記分岐路数に応じた数の前記架空移動体を設定する工程と、この設定された架空移動体と前記遊戯者用移動体とを前記現コースにて併走させる工程と、を備えてなる画像処理方法。
【請求項6】
前記請求項1乃至4の何れか1項記載の各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
前記請求項6記載のプログラムが記憶された記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−247003(P2010−247003A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180836(P2010−180836)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【分割の表示】特願2004−342982(P2004−342982)の分割
【原出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】