画像処理装置、画像処理方法
【課題】赤外光下においては容易に識別可能で、かつ複製物生成が困難な印刷画像を生成する技術を提供すること。
【解決手段】閾値Th_cより大きい値を有する最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値Th_cより低い値を有する複数の配列要素と、から成る2次元配列を生成する。該2次元配列から潜像画像と同サイズの2次元形成配列を生成する。潜像画像において、第1の領域内の画素位置の画素の画素値を、2次元形成配列中の該画素位置における値に置き換えた画像を、構成画像として生成する。入力画像中の画素位置における画素を印刷するために用いる複数色の色材の使用量を印刷装置に出力する。この出力では、入力画像中の各画素位置について、構成画像中の該画素位置における画素値を、入力画像中の該画素位置における画素を印刷するために使用する高色材の使用量として出力する。
【解決手段】閾値Th_cより大きい値を有する最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値Th_cより低い値を有する複数の配列要素と、から成る2次元配列を生成する。該2次元配列から潜像画像と同サイズの2次元形成配列を生成する。潜像画像において、第1の領域内の画素位置の画素の画素値を、2次元形成配列中の該画素位置における値に置き換えた画像を、構成画像として生成する。入力画像中の画素位置における画素を印刷するために用いる複数色の色材の使用量を印刷装置に出力する。この出力では、入力画像中の各画素位置について、構成画像中の該画素位置における画素値を、入力画像中の該画素位置における画素を印刷するために使用する高色材の使用量として出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外光下において、印刷媒体上に、絵柄や文字を顕在化させる印刷画像を生成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷物の偽造防止技術または真偽判定技術に、通常光下では目視できず(又は目視し難い)、赤外光下において赤外線カメラ等の赤外領域に感度のある装置を用いると容易に認識可能にさせる印刷方法がある。
【0003】
代表的なものでは、一般の印刷で使用されるブラック(k)の色材は赤外吸収率が大きく、これを利用して画像を印刷する方法がある(特許文献1)。潜像領域を赤外吸収率が大きいブラック(k)で、背景領域を赤外吸収率が小さいシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)で印刷媒体上に画像を印刷する。そして、出力された印刷物に赤外光を照射して赤外線カメラで画像を識別させる。これにより、赤外光下で印刷物に画像が確認できれば本物、なければ偽物である、といった真偽判定が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特登録3544536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の方法で出力された印刷物の偽物である複製物を生成する場合、一般的にはスキャナとプリンタを使用することが考えられる。スキャナとプリンタを使用した場合の複製物は、画像の劣化は起こるものの、通常光下では目視できず、赤外光を照射して赤外線カメラで見ると画像が識別できることがある。つまり本物と同じ効果を持つ複製物が生成できてしまうという課題がある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、赤外光下においては容易に識別可能で、かつ複製物生成が困難な印刷画像を生成する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の情報処理装置は、印刷媒体上の情報を複写する機器が複写可能な最小画素数を保持する手段と、潜像領域、背景領域のうち一方を第1の領域、他方を第2の領域とした場合に、該第1の領域と該第2の領域とから成る潜像画像を取得する手段と、入力画像を取得する手段と、印刷装置で用いる複数色の色材のうち最も赤外線吸収率が高い色材を高色材とし、該高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値よりも大きい値を有する前記最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値よりも低い値を有する複数の配列要素と、から成る規定サイズの2次元配列を生成し、該生成した2次元配列から前記潜像画像と同サイズの2次元配列を2次元形成配列として生成する生成手段と、前記潜像画像において、前記第1の領域に属している画素位置における画素の画素値を、前記2次元形成配列中の該画素位置における値に置き換えた画像を、構成画像として生成する手段と、前記入力画像中の各画素位置について、該画素位置における画素を印刷するために用いる前記複数色の色材の使用量を前記印刷装置に出力する出力手段とを備え、前記出力手段は、前記入力画像中の各画素位置について、前記構成画像中の該画素位置における画素値を、前記入力画像中の該画素位置における画素を印刷するために使用する高色材の使用量として出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、赤外光下においては容易に識別可能で、かつ複製物生成が困難な印刷画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像処理装置の機能構成例を示すブロック図。
【図2】C,M,Y,Kのそれぞれの使用量を出力するために行う処理のフローチャート。
【図3】第1の実施形態の基本概念について説明する図。
【図4】複製物を生成する過程を示す図。
【図5】潜像画像の処理例を示す図。
【図6】画素ブロックについて示す図。
【図7】形成情報If、潜像画像、構成情報の例を示す図。
【図8】テーブル情報の構成例を示す図。
【図9】入力画像、潜像画像、構成情報、通常光下と赤外線光下の印刷物の例を示す図。
【図10】ステップS213における処理のフローチャート。
【図11】画素ブロックについて示す図。
【図12】画像処理装置に適用可能なコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図。
【図13】テーブル情報の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0011】
[第1の実施形態]
<基本概念>
はじめに、図3を用いて本実施形態の基本概念について簡単に説明する。図3(c)において、印刷媒体1001上に形成された第2の領域301は、赤外吸収特性(赤外線吸収率)が小さい色材を用いて印刷された領域であり、第1の領域302は、赤外線吸収率が大きい色材を用いて印刷された領域である。この印刷媒体1001に対して赤外光を照射すると、第2の領域301は赤外線吸収率が小さいために赤外光を反射し、第1の領域302は赤外線吸収率が大きいために赤外光を吸収する。従って、この印刷媒体1001に対して赤外光を照射している状態でこの印刷媒体1001を赤外線カメラを用いて観察すると、図3(d)に示す如く、第2の領域301は明るい明度で観察されるのに対し、第1の領域302は暗い明度で観察される。
【0012】
ここで、文字、絵柄、マークなどの領域(潜像領域)を上記の第1の領域302、第1の領域302以外の領域(背景領域)を上記の第2の領域301、としてそれぞれの領域から成る識別画像300を印刷媒体1001上に形成したとする。このとき、通常光下で印刷媒体1001を観察しても、図3(a)に示す如く、背景領域と潜像領域とが混在している領域303内では潜像領域は目視できない(又は目視し難い)。しかし、赤外光下においてこの印刷媒体1001を赤外線カメラ等の特殊な識別装置で観察すると、図3(b)に示す如く、識別画像300上において「Original」なる文字部分(第1の領域302)は顕在化する。ここで、通常光とは、例えば、CIE(国際照明委員会)によって相対分光分布が規定された測色用の光であるD50である。
【0013】
このような技術によれば、例えば、印刷媒体1001に赤外光を照射し、特定の潜像が印刷媒体1001上に確認された場合は、印刷媒体1001は正規のもの、確認されなかった場合は、印刷媒体1001は非正規のもの、という真偽判定が可能となる。
【0014】
一般の印刷で使用されているシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)の基本4色色材のうちのブラック(k)は、カーボンブラックを主体とした黒色色材で、赤外光の吸収率が大きい(赤外吸収特性が大きい)。これに対し、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)は赤外光の吸収率が小さい(赤外吸収特性が小さい)ことが知られている。
【0015】
然るに第1の領域302はブラック(k)を用いて印刷し、第2の領域301はシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)を用いて印刷すれば、上記の通り、赤外光下では、第2の領域301は明るい明度、第1の領域302は暗い明度で観察される。
【0016】
識別画像300において、潜像領域や背景領域を赤外光下で識別させるためには、結局のところ、背景領域または潜像領域のどちらか一方だけに赤外線吸収率が大きい色材が含まれていればよい。別の言い方をすれば、赤外線吸収率の異なる2つの領域を意図的に作ればよい。従って、背景領域をシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)で構成し、潜像領域をシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)で構成しても、上述した識別画像300は生成可能である。
【0017】
次に、スキャナとプリンタとを用いて識別画像300が印刷された印刷物の複製物を生成した場合に、この複製物が本物と同じ効果(通常光下では目視できず、赤外光を照射して赤外線カメラで見ると文字または絵柄が識別できる)を持つ原因について説明する。
【0018】
図3(c)に示した印刷物(第2の領域301及び第1の領域302が印刷された印刷媒体1001)の複製物を、スキャナ(センサ41)とプリンタ42とを用いて生成する場合の過程を図4(a)に示す。401で囲まれた部分は、図3(a)に示した領域303に相当する。この領域303をスキャナのセンサ41によって読み取ると、センサ41からは、センサ41の各撮像素子が読み取った画素(画素値)から成る画素列402が得られる。図4(a)では、センサ41から得られた画素を1ブロックで表している。
【0019】
画素列402は、画素値(Ra、Ga、Ba)を有する画素、画素値(Rb、Gb、Bb)を有する画素、画素値(Rc、Gc、Bc)を有する画素、から成る。この画素列402をプリンタ42に入力すると、プリンタ42は、自身が管理しているテーブル421を参照し、画素列402中のそれぞれの画素について、該画素の画素値に対応するc、m、y、kのそれぞれの色材の使用量を決定する。そしてプリンタ42は、それぞれの画素を、該画素について決定した色材の使用量だけ用いて印刷するので、プリンタ42からは、第2の領域301及び第1の領域302が印刷された印刷媒体1001の複製物403が出力される。
【0020】
ここでテーブル421に着目すると、画素値(Ra、Ga、Ba)、画素値(Rb、Gb、Bb)、画素値(Rc、Gc、Bc)のそれぞれに対応するc、m、yの使用量は比較的近い値となっている。しかし、kについては画素値(Rc、Gc、Bc)に対応するkの使用量が、画素値(Ra、Ga、Ba)、画素値(Rb、Gb、Bb)に対応するkの使用量と比べて大きく異なっている。kは上述したように、他の色材よりも赤外線吸収率が大きい色材であるため、その使用量が異なるということは、赤外線吸収率が異なる2つの領域が出来ることを意味している。従って、複製物403に赤外光を照射して赤外線カメラで観察すると、複製物404のように観察される。即ち、画素値(Rc、Gc、Bc)を有する画素を印刷した領域と、その他の画素値を有する画素を印刷した領域と、の間に比較的大きな明度差が生じ、文字が識別出来てしまう(図示の点線で示した境界線は分かりやすくするためで、実際には識別出来ない)。
【0021】
これは、人間の視覚では同色に見えるが、センサは小さな範囲ごとに読み取るため、赤外線吸収率が大きい色材が影響して赤外線吸収率が異なる領域が発生してしまう。このように、複製物上で赤外線吸収率が異なる要因となる画素を発生させないようにするには、センサの読み取り範囲内における「赤外線吸収率が大きい色材」が占める割合を減らせばよいことになる。減らす方法としては、1つは「赤外線吸収率が大きい色材」が含まれた領域のサイズを小さくすること、もう1つは、単位面積あたりの「赤外線吸収率が大きい色材」の使用量を少なくすることである。ただ、「赤外線吸収率が大きい色材」の割合が少なすぎると、原本確認時に原本の文字が識別できなくなってしまう。
【0022】
そこで、本実施形態では、図4(b)に示す方法で印刷媒体1001上に画像形成を行う。即ち、潜像領域としての第1の領域302の代わりに、第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bとを形成する。第1の潜像領域302aとは、赤外線吸収率が大きい色材を閾値よりも大きい使用量だけ使用して形成した領域であり、第2の潜像領域302bとは、赤外線吸収率が大きい色材を閾値よりも小さい使用量だけ使用して形成した領域である。これにより、原本の文字が識別できるようにしつつ、スキャナとプリンタとを用いた複製物生成が困難となるようにする。
【0023】
ここで、第1の潜像領域302aを、赤外線吸収率が大きい色材を閾値以上の使用量だけ使用して形成した領域とし、第2の潜像領域302bを、赤外線吸収率が大きい色材を閾値よりも小さい使用量だけ使用して形成した領域としてもよい。あるいは、第1の潜像領域302aを、赤外線吸収率が大きい色材を閾値よりも大きい使用量だけ使用して形成した領域とし、第2の潜像領域302bを、赤外線吸収率が大きい色材を閾値以下の使用量だけ使用して形成した領域としてもよい。
【0024】
本実施形態に係る画像形成により生成された識別画像300が印刷された印刷媒体1001の複製物を、スキャナ(センサ41)とプリンタ42とを用いて生成する場合の過程を図4(b)に示す。405で囲まれた部分は、図3(a)に示した領域303に相当する。
【0025】
図4(b)に示す如く、第1の潜像領域302aのサイズは、1つの撮像素子が一度に読み取るサイズよりも小さい。そのため、第1の潜像領域302aを読み取った撮像素子は同時に、その他の領域も読み取ることになり、結果としてこの撮像素子からは、第1の潜像領域302a及びその他の領域のそれぞれに含まれる画素の画素値を平均化した画素値が出力されることになる。これは、第1の潜像領域302aの画素値そのものは出力されないことを意味する。部分405をスキャナのセンサ41によって読み取ると、センサ41からは、センサ41の各撮像素子が読み取った画素(画素値)から成る画素列406が得られる。図4(b)でも、センサ41から得られた画素を1ブロックで表している。
【0026】
画素列406は、画素値(Ra、Ga、Ba)を有する画素、画素値(Rb、Gb、Bb)を有する画素、から成る。この画素列406をプリンタ42に入力すると、プリンタ42は、上記のテーブル421を参照し、画素列402中のそれぞれの画素について、該画素の画素値に対応するc、m、y、kのそれぞれの色材の使用量を決定する。そしてプリンタ42は、それぞれの画素を、該画素について決定した色材の使用量だけ用いて印刷するので、プリンタ42からは、部分405の複製物407が出力される。
【0027】
テーブル421に着目すると、画素値(Ra、Ga、Ba)、画素値(Rb、Gb、Bb)、のそれぞれに対応するc、m、y、kの使用量は比較的近い値となっている(kについては同じ)。然るに、複製物407に赤外光を照射して赤外線カメラで見ても、複製物404のようには観察されず、比較的大きな明度差が生じる領域が発生しない複製物408として観察され、文字は識別出来ない。
【0028】
このように、本実施形態では、潜像領域を第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bとで構成し、且つ第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bとで赤外線吸収率の高い色材の使用量を変更する。これにより、スキャナとプリンタとを用いた複製物生成が困難となるようにする。
【0029】
<画像処理装置(情報処理装置)の機能構成例について>
次に、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成例について、図1(a)のブロック図を用いて説明する。図1(a)に示す機能構成例を有する画像処理装置11は、入力画像上に潜像を合成した印刷画像の各画素について、該画素の色を印刷媒体上に印刷するために用いる複数色の色材のそれぞれの使用量を示す情報を出力する。
【0030】
画像入力部101は、入力画像を取得し、取得した入力画像を印刷画像データ生成部105に対して供給する。潜像画像生成部102は、潜像領域と背景領域とから成る潜像画像を生成若しくは取得し、生成若しくは取得した潜像画像を構成情報生成部103に対して供給する。
【0031】
構成情報生成部103は、印刷物の複製物に赤外光を照射して赤外線カメラで観察しても潜像領域や背景領域が目視し難いようにするために、構成情報を生成する。この構成情報について詳しくは後述するが、印刷画像上の背景領域、第1の潜像領域、第2の潜像領域、のそれぞれを印刷する際に「赤外線吸収率が大きい色材」をどれだけ使用するのかを表した情報である。
【0032】
閾値保持部104は、第1の潜像領域、第2の潜像領域を形成する際に用いる様々な閾値を保持している。閾値保持部104が保持している閾値について、詳しくは後述する。
【0033】
色情報保持部106は、各画素値(例えばR、G,Bのそれぞれについて0〜255)について、可視光下での色差が予め設定された閾値以下で、赤外線吸収率が異なるN種類(N≧2)の各色材の使用量を示す色情報C1、C2、…、CNを保持する。本実施形態では、色情報保持部106は、各画素値について、C,M,Y,Kのそれぞれの使用量が登録された色情報を保持している。例えば色情報保持部106は、図8に示すようなテーブル情報を色情報として保持している。
【0034】
色情報とは、各画素値(RGB値)に対し、この画素値が表す色を表現するために印刷媒体上にどの色材をどの程度の量(使用量)用いるのか、を示した情報である。図8に示すように、色情報には、画素値(RGB値)毎に、第1の色C1、第2の色C2、第3の色C3が登録されている。第1の色C1は、背景領域を印刷する際に用いる各色材の使用量である。第3の色C3は、第1の潜像領域を印刷する際に用いる各色材の使用量である。第2の色C2は、第2の潜像領域を印刷する際に用いる各色材の使用量である。
【0035】
例えば、入力画像中の着目画素の画素値が(R2,G2,B2)であり、この着目画素が背景領域内の画素である場合、この着目画素の印刷に用いる各色材の使用量(第1の色C1)は、c=20、m=5、y=20、k=0である。また、この着目画素が第1の潜像領域内の画素である場合、この着目画素の印刷に用いる各色材の使用量(第3の色C3)は、c=17、m=2、y=18、k=5である。また、この着目画素が第2の潜像領域内の画素である場合、この着目画素の印刷に用いる各色材の使用量(第2の色C2)は、c=18、m=3、y=19、k=2である。
【0036】
ここで、各RGB値に対して、印刷媒体上に単位面積当りの色材が付着する最大量を100とした各色材の割合を「使用量」とする。また、上記のことから、第1の色C1とは、各RGB値に対応する背景領域内の色であり、第2の色C2とは、各RGB値に対応する第2の潜像領域内の色であり、第3の色C3とは、各RGB値に対応する第1の潜像領域内の色である。
【0037】
印刷画像データ生成部105は、色情報保持部106が保持する色情報と、画像入力部101が取得した入力画像と、構成情報生成部103が生成した構成情報と、を用いて印刷画像を構成する各画素に対するC,M,Y,Kのそれぞれの使用量を出力する。
【0038】
出力部107は、印刷画像を構成する各画素に対するC,M,Y,Kのそれぞれの使用量を外部の不図示の印刷装置に対して出力する。なお、画像処理装置11がプリンタや複合機などの印刷機構を有する印刷装置である場合には、出力部107は、印刷画像を構成する各画素に対するC,M,Y,Kのそれぞれの使用量に基づいて、印刷画像を印刷媒体上に印刷する。
【0039】
本実施形態では、印刷装置が印刷に用いる色材をC,M,Y,Kとしているが、この色材に限るものではなく、様々な色材(色や材質)が考え得る。以下の説明では、印刷装置で用いる複数色の色材のうち最も赤外線吸収率が高い色材を「高色材」と呼称する。本実施形態の場合、印刷装置で用いる複数色の色材はC,M,Y,Kであり、そのうち最も赤外線吸収率が高い色材はkであるため、高色材はkとなる。
【0040】
設定部108は、ユーザが操作可能なボタンやタッチパネル形式の画面を有しており、ユーザからの様々な入力指示を受け付けることができる。例えば、ユーザが設定部108を用いて新たな閾値を設定し、この設定した閾値を閾値保持部104に登録するようにしてもよい。
【0041】
次に、画像処理装置11が印刷画像を構成する各画素に対するC,M,Y,Kのそれぞれの使用量を出力する為に行う処理について、同処理のフローチャートを示す図2を用いて説明する。
【0042】
ステップS201では、画像入力部101は、入力画像Iを取得(第2の取得)して印刷画像データ生成部105に供給する。入力画像Iの取得形態については様々な形態が考え得る。例えば、ネットワーク経由で外部装置から送信されてきた入力画像Iを取得してもよいし、画像処理装置11自身がアクセス可能なメモリに格納されている入力画像Iを取得してもよい。また、印刷媒体上に印刷されている画像を読み取り、読み取った画像を入力画像Iとして取得してもよい。
【0043】
ここで、入力画像Iとは、画素単位での扱いが可能な画像である。例えば画像入力部101が紙原稿を読み取って入力画像Iを取得する場合、画像入力部101は電荷結合素子CCD又は光学センサを有し、設定部108からの画像入力指示に応じて画像撮影、電気信号処理、デジタル信号処理等を行って入力画像Iを生成する。また、画像入力部101がページ記述言語で記述されたデータ、特有のデータ形式を扱うアプリケーションで作成されたデータを取得した場合、画像入力部101は、そのデータを一般的な画像の形式(ビットマップ形式等)のデータに変換する。そして、変換後のデータを入力画像Iとする。
【0044】
このように入力画像は如何なる方法で取得してもよい。以下では説明を簡単にするために、入力画像は、図9(a)に示す如く、画素値(R1,G1,B1)を有する画素から成る領域と、画素値(R2,G2,B2)を有する画素から成る領域と、から成る画像であるとして説明する。しかし、以下の説明は、このような特定の入力画像のみに適用されるものではなく、任意の画像に対して適用可能なものであることは、以下の説明から明らかとなるであろう。
【0045】
次に、ステップS202では、潜像画像生成部102は、赤外光下で顕在化させたい絵柄または文字の画像を潜像画像Icとして取得(第1の取得)し、取得した潜像画像Icを構成情報生成部103に対して供給する。
【0046】
ここで、潜像画像Icとは、画素単位での扱いが可能な2値画像であり、絵柄または文字の部分(潜像領域)を構成する画素の画素値は「1」、潜像領域以外の領域(背景領域)を構成する画素の画素値は「0」となっている。もちろん、潜像画像Icの各画素が潜像領域、背景領域の何れに属しているのかが分かるのであれば、それぞれの画素値は上記の画素値に限るものではない。
【0047】
例えば、潜像画像Icが図9(b)に示すような画像である場合、「Original」の文字部分が潜像領域に該当するため、「Original」の文字部分を構成する画素の画素値は「1」となる。一方、文字部分以外の領域は背景領域に該当するため、文字部分以外の領域を構成する画素の画素値は「0」となる。
【0048】
なお、潜像画像生成部102は、絵柄または文字を描画する描画情報を取得した場合には、この描画情報から2値画像を生成し、この生成した2値画像を潜像画像Icとして取得してもよい。
【0049】
このように、潜像画像Icの取得形態についても特定の取得形態に限るものではない。また、本実施形態では、入力画像Iの縦横サイズと潜像画像Icの縦横サイズとは同じ(同サイズ)であるものとする。しかし、例えば、潜像画像Icの縦横サイズが入力画像Iの縦横サイズよりも小さいとすると、潜像画像Icを例えば図5(a)のように入力画像Iの縦横サイズと同じになるように拡大する。もし潜像画像Icの縦横サイズが入力画像Iの縦横サイズよりも大きい場合は、潜像画像Icを図5(b)のように入力画像Iの縦横サイズと同じになるように縮小する。また、図5(c)に示す如く、入力画像Iと同じ縦横サイズを有する領域内(若しくは一部の領域内でも良い)に潜像画像Icを繰り返し張り付けたものを新たに潜像画像Icとして用いても良い。また、縮小や張り付けの際には適当な角度で潜像画像Icを回転させても良い。
【0050】
次に、ステップS203では、構成情報生成部103は、潜像画像生成部102から取得した潜像画像Icと、閾値保持部104が保持する閾値と、を用いて、構成情報Ictを生成(第2の生成)する。ステップS203における処理の詳細について、同処理のフローチャートを示す図2(b)を用いて説明する。
【0051】
先ず、ステップS212において構成情報生成部103は、潜像画像生成部102から潜像画像Icを取得する。
【0052】
次にステップS213では構成情報生成部103は、閾値保持部104から閾値を取得する。そして構成情報生成部103は閾値を用いて、図6(a)の上部に示す如く、縦横サイズがRsの画素ブロックであって、第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bとから成る画素ブロックを生成し、生成した画素ブロックから形成情報Ifを生成する。ステップS213における処理の詳細について、同処理のフローチャートを示す図2(c)を用いて説明する。
【0053】
ステップS220では、構成情報生成部103は先ず、閾値保持部104に保持されている閾値Th_sと、閾値Th_cと、を取得する。ここで、閾値Th_sと、閾値Th_cと、について説明する。
【0054】
閾値Th_sとは、印刷媒体上の情報を複写する機器(上記の場合、プリンタ及びスキャナ)が複写可能な最小画素数、換言すれば、複製物の生成が困難となる領域の大きさの上限値を示している。
【0055】
一方、閾値Th_cとは、次のような条件を満たす値を有する。即ち、kを用いて印刷した印刷領域とkを用いずに印刷した印刷領域とをスキャナとプリンタとを用いて複写したとする。このとき、該複写したそれぞれの印刷領域を赤外光下で赤外線カメラを用いて観察した場合に、該複写したそれぞれの印刷領域の明度差を目視し難くするような、高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め設定された値である。換言すれば、閾値Th_cとは、複製物の生成が困難となる高色材の使用量の上限値を示している。
【0056】
例えば、スキャナの解像度とプリンタの出力解像度が600[dpi]である場合、複製物の生成が困難となる領域の大きさは15[pix]以下となる。また、複製物の生成が困難となる高色材の使用量は3[%]以下が適用可能な数値である。従ってこの場合、閾値保持部104にはTh_s=16、Th_c=3のように値が保持されている。
【0057】
次に構成情報生成部103は、画素ブロックの縦横サイズRsを設定する。縦横サイズRsは、予めメモリに登録しておき、これを読み出して設定してもよいし、ユーザが設定部108を用いて設定した縦横サイズをRsに設定してもよい。このRsは任意の大きさを設定可能であるが、大きいと潜像領域が粗く見えるため、小さいことが望ましい。ここでは、例としてRs=20[pix]とする。
【0058】
次に、ステップS221では構成情報生成部103は、画素ブロック内にレイアウトする第1の潜像領域の縦横サイズRs_a、第2の潜像領域の幅Rs_bを設定する。上記の通り、第1の潜像領域は、高色材を閾値よりも大きい使用量だけ使用して印刷する領域であるため、複製物の生成が困難となるようにするためには、第1の潜像領域の縦横サイズRs_aは以下の条件を満たす必要がある。
【0059】
Rs_a<Th_s
ここでは、例としてRs_a=8[pix]とする。一方、第2の潜像領域は、画素ブロックから第1の潜像領域を省いた残りの領域であるため、第1の潜像領域の縦横サイズRs_aが決まれば、第2の潜像領域の幅Rs_bは一意に決まることになる。画素ブロック内の第1の潜像領域302a、第2の潜像領域302bのレイアウトが図6(a)の上部に示すようなものである場合、画素ブロックの一辺と、該一辺に最も近く該一辺と平行な第1の潜像領域302aの一辺と、の間の距離はRs_b/2となる。従って上記例では、第2の潜像領域の幅Rs_bはRs_b=Rs−Rs_a=20−8=12[pix]となる。このように、ステップS221における処理により、画素ブロック内における第1の潜像領域、第2の潜像領域のレイアウトが確定する。
【0060】
次にステップS222では構成情報生成部103は、第1の潜像領域、第2の潜像領域のそれぞれに対する高色材の使用量を設定する。第1の潜像領域に対する高色材の使用量をCa、第2の潜像領域に対する高色材の使用量をCbとすると、Ca、Cbは以下の式を満たす必要がある。
【0061】
Ca>Th_c
Cb≦Th_c
上記例では、複製物の生成が困難となる高色材の使用量の閾値はTh_c=3であるため、ここでは例として、Ca=5、Cb=2とする。本実施形態では、画素ブロック内における第1の潜像領域の画素値にCaを設定し、第2の潜像領域の画素値にCbを設定する。然るにこの場合、図6(a)に示す如く、画素ブロック内における第1の潜像領域の画素値(高色材の使用量)は5となっており、第2の潜像領域の画素値(高色材の使用量)は2となっている。
【0062】
このように、画素ブロック内における第1の潜像領域、第2の潜像領域のレイアウトと、第1の潜像領域及び第2の潜像領域のそれぞれの画素値とを確定することで、図6(a)に示すような画素ブロックが確定することになる。
【0063】
なお、上記の例ではCb=2としているが、Cb≦Th_cが満たされていればよいため、Th_c=3であれば、Cbは0,1,3の何れの値をとってもよい。Cb=0,Cb=1,Cb=3のそれぞれの場合における画素ブロック及び該画素ブロック内における第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bの画素値を図6(b)、(c)、(d)のそれぞれに示す。
【0064】
次に、ステップS223では構成情報生成部103は、ステップS222で生成した画素ブロックから、潜像画像Icの縦横サイズと同じサイズの画像を、形成情報(形成画像)Ifとして生成する。より詳しくは、図7(a)に示す如く、ステップS222で生成した画素ブロックをタイル状に配置して潜像画像Icの縦横サイズと同じサイズの画像を、形成情報Ifとして生成(第1の生成)する。
【0065】
このようにして、図2(c)のフローチャートに従った処理を行うことでステップS213における処理を実現するのであるが、図2(c)に示した処理は、形成情報Ifを生成するための一例であり、次のような処理の一例に過ぎない。
【0066】
(処理) 高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値Th_cより大きい値を画素値とする閾値Th_sより少ない数の画素と該閾値Th_cより小さい値を画素値とする複数の画素と、から成る規定サイズの画素ブロックを生成する。そして、該生成した画素ブロックから潜像画像と同サイズの画像を形成情報Ifとして生成する。
【0067】
然るに、この(処理)と同等の処理であれば、若しくは同等の処理結果を生ずる処理であれば、形成情報Ifを生成するための処理には、如何なる処理を適用してもかまわない。
【0068】
図2(b)のフローチャートに戻って次に構成情報生成部103は、潜像画像Icにおいて、潜像領域に属している画素位置における画素の画素値を形成情報If中の該画素位置における画素値に置き換えた画像を、構成情報Ict(構成画像)として生成する。
【0069】
より具体的には先ず、構成情報生成部103は、潜像画像Ic中の各画素位置における画素の画素値を参照する。ステップS214では構成情報生成部103は、現在参照している画素位置(x、y)における画素の画素値が「1」、「0」の何れであるのかを判断する。この判断の結果、「1」であれば(この参照している画素が潜像領域に属している場合)処理はステップS215に進み、「0」であれば(この参照している画素が背景領域に属している場合)処理はステップS216に進む。
【0070】
ステップS215では構成情報生成部103は、構成画像(構成情報Ict)中の画素位置(x、y)における画素値として、形成画像(形成情報If)中の画素位置(x、y)における画素値を設定する。
【0071】
一方、ステップS216では構成情報生成部103は、構成画像(構成情報Ict)中の画素位置(x、y)における画素値として、潜像画像Ic中の画素位置(x、y)における画素値、即ち0を設定する。
【0072】
ステップS217では、構成情報生成部103は、構成画像中の全ての画素に対して画素値を設定したか否かを判断する。この判断の結果、全ての画素について画素値を設定した場合には、処理はステップS219に進み、まだ画素値を設定していない画素が残っている場合には、処理はステップS218に進む。ステップS218では構成情報生成部103は、画素位置(x、y)を、まだ画素値を設定していない画素位置に更新し、ステップS214以降の処理を行う。
【0073】
一方、ステップS219では構成情報生成部103は、全ての画素について画素値が設定された構成画像(構成情報)を印刷画像データ生成部105に対して送出する。図2(b)のフローチャートに従った処理により、例えば図7(a)に例示した形成情報Ifと、図7(b)に例示した潜像画像Ic(黒い部分が潜像領域)とを用いる場合、図7(c)に示すような構成情報Ictが生成される。即ち、図7(c)にも示しているように、構成情報Ictは、背景領域としての第2の領域301、第1の潜像領域302a、第2の潜像領域302b、から構成されていることになる。
【0074】
例えば、潜像画像Icが図9(b)に示すような画像である場合、構成情報Ictは、図9(c)に示す如く、文字部分が第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bとから構成されることになる。
【0075】
図2(a)に戻って、次に、ステップS204では、印刷画像データ生成部105は色情報保持部106から、図8に例示したような色情報を取得する。印刷画像データ生成部105は、構成情報Ict中の各画素位置における画素の画素値を参照するのであるが、ステップS205で印刷画像データ生成部105は、現在参照している画素位置(x、y)の画素の画素値が0,2,5の何れであるのかを判断する。即ち、画素位置(x、y)における画素の画素値が背景領域を示している(即ち画素値=0)のか、第1の潜像領域を示している(即ち画素値=5)のか、第2の潜像領域を示している(即ち画素値=2)のか、を判断する。この判断の結果、画素位置(x、y)の画素の画素値=0であれば処理はステップS208に進み、画素位置(x、y)の画素の画素値=2であれば処理はステップS207に進み、画素位置(x、y)の画素の画素値=5であれば処理はステップS206に進む。
【0076】
ステップS208で印刷画像データ生成部105は、色情報に登録されている第1の色C1のうち、入力画像I中の画素位置(x、y)における画素の画素値に対応するc、m、y、kの使用量を特定する。そして印刷画像データ生成部105は、この特定したc、m、y、kの使用量を、印刷画像中の画素位置(x、y)における画素を印刷するために用いるc、m、y、kの使用量として出力する。図8の場合、色情報に登録されている第1の色C1ではkの使用量は何れも0となっており、構成情報Ict中の画素位置(x、y)における画素値と同じである。
【0077】
ステップS207で印刷画像データ生成部105は、色情報に登録されている第2の色C2のうち、入力画像I中の画素位置(x、y)における画素の画素値に対応するc、m、y、kの使用量を特定する。そして印刷画像データ生成部105は、この特定したc、m、y、kの使用量を、印刷画像中の画素位置(x、y)における画素を印刷するために用いるc、m、y、kの使用量として出力する。図8の場合、色情報に登録されている第2の色C2ではkの使用量は何れも2となっており、構成情報Ict中の画素位置(x、y)における画素値と同じである。
【0078】
ステップS206で印刷画像データ生成部105は、色情報に登録されている第3の色C3のうち、入力画像I中の画素位置(x、y)における画素の画素値に対応するc、m、y、kの使用量を特定する。そして印刷画像データ生成部105は、この特定したc、m、y、kの使用量を、印刷画像中の画素位置(x、y)における画素を印刷するために用いるc、m、y、kの使用量として出力する。図8の場合、色情報に登録されている第3の色C3ではkの使用量は何れも5となっており、構成情報Ict中の画素位置(x、y)における画素値と同じである。
【0079】
即ち、ステップS206〜S208の何れでも、結局は色情報を用いて印刷画像の各画素に対するc、m、y、kのそれぞれの使用量を決定しているが、上記の説明から、この処理は次のような処理でもあることが分かる。即ち、印刷画像中の画素位置(x、y)における画素を印刷するために用いるc、m、yの使用量は上記のように色情報から取得し、kの使用量については、構成画像上の画素位置(x、y)における画素値をkの使用量としている。然るに、色情報にはkの使用量は登録せず、c、m、yのそれぞれの使用量を登録するようにしてもよい。
【0080】
また、ステップS206〜S208の何れの処理を行っても、印刷画像データ生成部105が出力したc、m、y、kのそれぞれの使用量を示す情報は、出力部107によって印刷装置に送出される。然るに印刷装置は、印刷画像を構成する各画素の印刷を、該画素について画像処理装置11から受けたc、m、y、kのそれぞれの使用量だけ使用して行う。
【0081】
上記処理によれば、図9(a)の入力画像と図9(c)の構成情報とを用いて印刷した印刷物は、通常光下では図9(d)に示す如く、画素値(R1,G1,B1)を有する画素の領域と、画素値(R2,G2,B2)を有する画素の領域とは識別できる。そして、この印刷物に赤外線を照射した状態でこの印刷物を赤外線カメラを用いて観察すると、図9(e)に示す如く、潜像領域を識別することができる。しかもこの印刷物と同様の効果を奏する複製物は生成しがたい。
【0082】
ステップS209では、印刷画像データ生成部105は、構成情報Ictを構成する全ての画素位置における画素の画素値を参照したか否かを判断する。この判断の結果、全ての画素の画素値を参照したのであれば、図2(a)のフローチャートに従った処理は終了し、まだ画素値を参照していない画素が残っている場合には、処理はステップS210に進む。
【0083】
ステップS210では、印刷画像データ生成部105は、画素位置(x、y)を、まだ画素値を参照していない画素位置に更新する。そして、ステップS205以降の処理が行われる。
【0084】
本実施形態では、潜像領域に高色材を用い、背景領域には高色材を用いない例を説明した。しかし、背景領域に高色材を用い、潜像領域には高色材を用いないようにしてもよい。この場合、上記の説明を、潜像領域、背景領域をそれぞれ入れ替えた説明に変更すればよい。
【0085】
また、上記の説明で用いた画素ブロックは、次に説明するような2次元配列の一例である。すなわち、高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値よりも大きい値を有する上記最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値よりも低い値を有する複数の配列要素と、から成る規定サイズの2次元配列の一例である。
【0086】
いずれにせよ、本実施形態は、次に説明する構成の一例に過ぎない。先ず、印刷媒体上の情報を複写する機器が複写可能な最小画素数を保持しておく。そして、潜像領域、背景領域のうち一方を第1の領域、他方を第2の領域とした場合に、該第1の領域と該第2の領域とから成る潜像画像を取得すると共に、入力画像を取得する。そして、高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値よりも大きい値を有する上記最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値よりも低い値を有する複数の配列要素と、から成る規定サイズの2次元配列を生成する。そして、該生成した2次元配列から潜像画像と同サイズの2次元配列を2次元形成配列として生成する。また、潜像画像において、第1の領域に属している画素位置における画素の画素値を、2次元形成配列中の該画素位置における値に置き換えた画像を、構成画像として生成する。
【0087】
そして、入力画像中の各画素位置について、該画素位置における画素を印刷するために用いる複数色の色材の使用量を印刷装置に出力する。その際、構成画像中の該画素位置における画素値を、入力画像中の該画素位置における画素を印刷するために使用する高色材の使用量として出力する。
【0088】
[第2の実施形態]
本実施形態では、印刷物の真偽判定の際に、潜像領域の視認性がより高くなるようにする方法を示す。具体的には、第1の潜像領域と第2の潜像領域との境界部分で急にコントラストが変化して見えないように、第2の潜像領域の赤外線吸収率が大きい色材の使用量を段階的に変化させる。これにより、スキャナとプリンタとを用いた複製物生成を困難にさせつつ、潜像領域の視認性を向上させる。
【0089】
本実施形態と第1の実施形態との相違点は、第1の実施形態ではステップS213で図2(c)のフローチャートに従った処理を行うのに対し、本実施形態ではステップS213で図10のフローチャートに従った処理を行うことである。然るに、画像処理装置11の構成やステップS213における処理以外については第1の実施形態と同様である。また、図10において、図2(c)と同じ処理ステップには同じステップ番号を付しており、その説明は省略する。
【0090】
ステップS1002では、構成情報生成部103は、ステップS221でレイアウトが決定した第2の潜像領域を、それぞれ異なる画素値を有する複数の潜像領域を用いて再構成する。
【0091】
ここで、設定部108を用いて、第2の潜像領域を段階的に変化させる変化量Dcと最小量Cbsを設定する。この変化量Dcは小さければ小さいほど、領域内の隣接する画素間の境目で急にコントラストが変化して見えないようになる。また、最小量Cbsとは、第2の潜像領域に対する高色材の使用量の最小量を示している。この変化量Dcはあらかじめ閾値Th_Dcを定めておき、以下のように、閾値Th_Dc以下となるように設定してもよい。
【0092】
Dc≦Th_Dc
そして次に、設定部108より、変化の種類を設定する。変化の種類とは、第2の潜像領域を図11(a)に示すように、段階的に減少させるのか、図11(b)に示すように減少し増加させるのか、図11(c)に示すように増加させるのかを意味している。もちろん、変化の種類はこれに限るものではなく、様々な種類が考え得る。
【0093】
例えば、Dc=1、Cbs=1、Th_c=3、変化の種類を減少、と設定した場合、第2の潜像領域は図11(a)に示すように領域1101、1102、1103の3つの領域から成るように再構成される。また、この3つの領域のそれぞれに対する高色材の使用量は段階的に1ずつ減少していくため、3、2、1となる。ここで、図11(a)に示す領域1101、1102、1103のそれぞれの幅Rs_b1、Rs_b2、Rs_b3を全て等しくする場合、Rs_b/2を単純に3つに分割すればよい。Rs_b=12[pix]とすると、Rs_b1=(12/2)/3=2[pix]となる。
【0094】
なお、Rs_b1、Rs_b2、Rs_b3はそれぞれ異なっていてもよく、その場合は設定部108よりRs_b1、Rs_b2、Rs_b3のそれぞれを個別に指定するようにしてもよい。
【0095】
なお、図11(a)に示すように段階的に減少させるのか、図11(b)に示すように減少し増加させるのか、図11(c)に示すように増加させるのかは、いずれを設定してもよい。例えば、設定部108が有する画面に図11(a)〜(c)のそれぞれの変化パターンを表示させて、一番コントラストが急に変化していないものを選択し、それを設定するようにしてもよい。
【0096】
なお、第1の実施形態では、構成情報が3つの画素値を有するために、現在参照している画素値に応じてステップS206、S207、S208の何れかを実行するようにしている。しかし、本実施形態のように、構成情報に4つ以上の画素値が含まれるような場合には、それぞれの画素値に応じてc、m、y、kのそれぞれの使用量を色情報から決定することになる。
【0097】
このように、本実施形態では、第2の潜像領域における赤外線吸収率が高い色材の使用量を段階的に変化させることにより、複製物生成が困難であることに加えて、印刷物の真偽判定時に潜像領域の視認性を向上させることができる。
【0098】
なお、第2の実施形態では、第2の潜像領域における高色材の使用量を段階的に変化させたが、例えば図6(e)に示すように、第2の潜像領域に少しでも高色材が含まれていれば視認性が向上する。従って、第2の潜像領域内の各画素の高色材の使用量の総和が、あらかじめ定めた閾値以上となるように第2の潜像領域を構成してもよい。例えば、第2の潜像領域内の各画素の高色材の使用量の総和をTCbとし、あらかじめ定められた閾値をTh_tcbとすると、以下の条件を満たす必要がある。
【0099】
TCb≧Th_tcb
また、第1の実施形態および第2の実施形態で例示した、第1の潜像領域、第2の潜像領域のそれぞれにおける高色材の使用量の差分は少ないほうがコントラスト変化が少なくなるため、視認性が向上する。
【0100】
従って、差分の閾値Th_dcを予め設定して閾値保持部104に登録しておく。そして、第1の潜像領域の高色材の使用量Caの最大値Cam、第2の潜像領域の高色材の使用量Cbの最小値Cbmが、以下の条件を満たすようにCa,Cbを設定してもよい。
【0101】
Cam−Cbm≦Th_dc
例えば、Th_dc=3とした場合、Cam−Cbm≦3を満たすCam,Cbmに従ったCa,Cbである必要があり、第1の実施形態で示した例は、Ca=5、Cb=2であったため、上記の条件を満たしていることになる。
【0102】
また、第1の実施形態および第2の実施形態で、背景領域の高色材の使用量は「0」としたが、これに限るものではなく、背景領域に高色材を使用してもよい。ただし、背景領域と潜像領域との間で高色材の使用量の差がないと、赤外光下で赤外線カメラ等の識別装置で見た時に、潜像領域や背景領域を識別することができない。このため、背景領域と潜像領域とで高色材の使用量の差があるように調整する必要がある。
【0103】
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、構成情報を生成し、この構成情報から印刷画像の各画素についてc、m、y、kのそれぞれの使用量を決定した。しかし、これに限るものではなく、構成情報を生成せずに、入力画像I、潜像画像Ic、色情報、から直接、印刷画像の各画素についてc、m、y、kのそれぞれの使用量を決定するようにしてもよい。この場合、背景領域、高色材の使用量が閾値より大きい値を有する上記最小画素数より少ない数の画素で構成された第1の潜像領域、高色材の使用量が閾値以下の値を有する複数の画素で構成された第2の潜像領域、で印刷画像が構成されるように制御すればよい。
【0104】
[第3の実施形態]
第1の実施形態および第2の実施形態では、モードに関係なく同じ生成方法で画素ブロックを生成していた。これに対し、本実施形態では、設定されたモードに応じて画素ブロックの生成方法を切り替える。
【0105】
ここでモードとは、例えば、高色材を節約したい場合の「節約モード」、潜像画像をテキストにしたい場合の「テキストモード」、印刷画像を多彩にしたい場合の「写真モード」などが挙げられる。以下では、各種のモードに応じて画素ブロックの生成方法を切り替え、切り替えた生成方法で画素ブロックを生成する。
【0106】
先ず、本実施形態に係る画像処理装置12の機能構成例について、図1(b)のブロック図を用いて説明する。図1(b)に示した各構成要件のうち、図1(a)に示した構成要件と同じものについては同じ参照番号を付しており、この構成要件についての説明は省略する。図1(b)に示す構成は、図1(a)に示した構成にモード設定部109を追加した構成となっている。
【0107】
モード設定部109は、ここでは上記の「節約モード」、「テキストモード」、「写真モード」の何れかを選択する。この選択は設定部108を介したユーザ操作に応じて行われてもよいし、供給電力や入力画像、潜像画像に応じてモード設定部109が行ってもよい。
【0108】
「節約モード」とは、背景領域、第1の潜像領域、第2の潜像領域のそれぞれについて、高色材の使用量を極力少なくするよう画素ブロックを生成するためのモードである。例えば、図6(d)の画素ブロックよりも図6(b)や図6(c)の画素ブロックの方が高色材の使用量が少なくてすむ。モード設定部109より「節約モード」が選択されると、設定部108は、例えば図6(b)のような画素ブロックを生成するように構成情報生成部103に指示する。
【0109】
「テキストモード」とは、潜像画像をテキストにしたい場合にそのテキストの視認性を向上させるため、画素ブロックの全体の大きさと、高色材の使用量を調整するものである。例えば、フォント種類が明朝でフォントサイズが10ptの場合、フォントサイズが小さく、また線幅が比較的狭いため、画素ブロックの全体の大きさRsを小さく設定し、かつ高色材の使用量を多くすることで視認性を向上させる。
【0110】
モード設定部109より「テキストモード」が選択されると、設定部108は潜像画像生成部102より潜像画像Icを取得する。そして、モード設定部109は構成情報生成部103に対して、潜像画像Ic内のテキストのフォント種類やフォントサイズに対応する大きさRsと、例えば図6(d)のような高色材の使用量とを設定させる。
【0111】
「写真モード」とは、印刷画像を多彩にしたい場合に高色材の使用量を少なくするように設定するものである。これは、高色材の使用量を多くした場合、その色材の色に大きく影響され印刷画像に使用できる色が制限されるためである。例えば、高色材がカーボンブラックの場合は、使用量を多くすると黒系の色しか使用できない。このモードでは、高色材の使用量を少なくすることで、印刷画像に使用できる色が制限されず印刷画像を多彩にすることができる。
【0112】
モード設定部109より「写真モード」が選択されると、設定部108は、例えば、図6(c)のような画素ブロックを生成するように、構成情報生成部103に対して指示する。
【0113】
このように、各モードに応じた画素ブロックを生成した後は、第1の実施形態と同様の処理を行う。このように、設定されたモードに応じて画素ブロックに係る様々なパラメータを調整することにより、より状況に応じた印刷画像生成を行うことができる。然るに、設定可能なモードは上記のモードに限るものではなく、様々なモードが考え得るし、そのモードに応じて行う処理にも様々なものが考え得る。
【0114】
[第4の実施形態]
本実施形態では、使用する高色材の種類に応じて、上記の閾値Th_cを変更する。これは、高色材の種類によって吸収する成分の含有量が異なっており、この成分の含有量によって、複製物の生成が困難となる色材使用量の閾値が変わってくるためである。
【0115】
使用する高色材の種類に応じて閾値Th_cを変更する画像処理装置13の機能構成例について、図1(c)のブロック図を用いて説明する。図1(c)に示した各構成要件のうち、図1(a)に示した構成要件と同じものについては同じ参照番号を付しており、この構成要件についての説明は省略する。図1(c)に示す構成は、図1(a)に示した構成に色材保持部110を追加した構成となっている。この色材保持部110には、印刷装置で用いられている高色材の種類を示す情報が登録されている。
【0116】
また、第1の実施形態では、閾値保持部104が保持する閾値Th_cは、高色材の種類に関係なく1種類のみであった。これに対し、本実施形態では、図13に示す如く、高色材の種類ごとに、対応する閾値Th_cが登録されたテーブル情報を保持している。例えば、高色材が色材1である場合、対応する閾値としてTh_c1が登録されている。また、高色材が色材2である場合、対応する閾値としてTh_c2が登録されている。
【0117】
然るに構成情報生成部103は、印刷装置で用いられている高色材の種類を示す情報を色材保持部110から取得し、取得した情報が示す種類に対応する閾値Th_cを図13のテーブル情報から取得する。以降の処理は第1の実施形態と同様である。
【0118】
[第5の実施形態]
第1、第2の実施形態では、第1の潜像領域は高色材の使用量が閾値より大きい画素のみで構成されており、第2の潜像領域は高色材の使用量が閾値以下の画素のみで構成されているものとした。
【0119】
しかし、例えば、図6(f)に示すように、第1の潜像領域に高色材の使用量が閾値Th_c以下の画素が含まれていてもよい。また、第2の潜像領域に高色材の使用量が閾値Th_cより大きい画素が含まれていてもよい。なお、図6(f)は両方を実現した図であるが、もちろん一方だけを実現してもよい。
【0120】
結局のところ、第1の潜像領域は、高色材の使用量が閾値より大きい画素が、所定の割合より多ければよい。また、第2の潜像領域は、高色材の使用量が閾値以下の画素が、所定の割合より多ければよい。
【0121】
ここで、単位面積の1辺のサイズをUsとし、高色材の使用量が閾値Th_cより大きい画素数をN1、高色材の使用量が閾値Th_c以下の画素数をN2とする。また、第1の潜像領域における高色材の使用量が閾値より大きい画素の所定の割合をR1、第2の潜像領域における高色材の使用量が閾値以下の画素の所定の割合をR2とする。このとき、以下の条件を満たすように形成情報Ifを生成する。
【0122】
N1/(Us×Us)>R1
N2/(Us×Us)>R2
なお、以降の処理は第1の実施形態と同様である。また、上記の各実施形態は一部若しくは全部を適宜組み合わせて用いてもよいし、上記の実施形態の一部を削除して単独で若しくは他の実施形態と組み合わせて用いてもかまわない。
【0123】
[第6の実施形態]
図1(a)〜(c)に示した画像処理装置11〜13を構成する各部はハードウェアで構成しても良い。しかし、色情報保持部106、閾値保持部104、色材保持部110をメモリを用いて実装し、設定部108をボタンや表示画面で実装し、それ以外の各部をソフトウェアで実装しても良い。この場合、このメモリ及びボタンや表示画面を有し、且つこのソフトウェアを実行するコンピュータには、図12に示すような構成を有するコンピュータ199を適用することができる。
【0124】
なお、図12には、コンピュータ199のハードウェア構成例だけでなく、その周辺機器についても示している。しかし、その周辺機器は適宜コンピュータ199の構成に含めてもよいし、場合によっては省いてもよい。
【0125】
ディスプレイ1205は、CRTや液晶画面などにより構成されており、CPU1201による処理結果を画像や文字などでもって表示することができる。ディスプレイ1205の動作制御はディスプレイ制御装置1204により行われる。
【0126】
CPU1201はROM1203やRAM1202に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いてコンピュータ199全体の動作制御を行うと共に、画像処理装置11〜13が行うものとして上述した各処理を実行する。
【0127】
ROM1203にはコンピュータ199の設定データやブートプログラムなどが格納されている。ROM1203は色情報保持部106、閾値保持部104、色材保持部110、等として機能させても良い。
【0128】
RAM1202は、外部記憶装置1208からロードされたコンピュータプログラムやデータを一時的に記憶する為のエリア、I/O1213を介してスキャナ1212から入力された画像データを一時的に記憶するためのエリアを有する。更にRAM1202は、他のコンピュータシステム1214からI/F(インターフェース)1215を介して受信した様々なデータを一時的に記憶するためのエリア、CPU1201が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。即ちRAM1202は、各種のエリアを適宜提供することができる。
【0129】
外部記憶装置1208は、大容量情報記憶装置として機能するものであり、I/O1209を介してバス1216に接続されている。外部記憶装置1208には、OS(オペレーティングシステム)や、コンピュータ199を適用する装置が有する各部(ハードウェアで実装するものは除く)の機能をCPU1201に実行させるためのコンピュータプログラムやデータが保存されている。更に外部記憶装置1208には、上記の説明で予め設定された値として説明したデータも保存されている。外部記憶装置1208に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU1201による制御に従って適宜RAM1202にロードされ、CPU1201による処理対象となる。なお、外部記憶装置1208は、色情報保持部106、閾値保持部104、色材保持部110、等として機能させても良い。
【0130】
I/F1211には印刷装置としてのプリンタ1210が接続されており、コンピュータ199はこのI/F1211を介して、印刷画像の各画素についてc、m、y、kのそれぞれの使用量をプリンタ1210に送信する等、通信を行う。プリンタ1210は、例えばインクジェットプリンタ、レーザビームプリンタ、熱転写型プリンタ、ドットインパクトプリンタなどの印刷装置である。
【0131】
操作入力デバイス1206はキーボーやマウスなどの入力インターフェースにより構成されており、ユーザが操作することで、各種の指示をCPU1201に対して入力することができる。この操作入力デバイス1206は、I/O1207を介してバス1216に接続されている。
【0132】
なお、図12に示した構成は、画像処理装置11〜13に適用可能なコンピュータの構成の一例に過ぎず、図12に示した構成に適宜新たな構成を追加しても良いし、図12に示した構成のうち適当な構成用件を状況に応じて省いても良い。また、1つの構成用件が担っている作業のうち一部を他の構成用件に分担させても良い。
【0133】
なお、スキャンや印刷を除く処理をコンピュータにより行ってもよいし、スキャナやプリンタ内部の専用のハードウェア回路を用いて、コンピュータで行う処理を代行しても良い。
【0134】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外光下において、印刷媒体上に、絵柄や文字を顕在化させる印刷画像を生成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷物の偽造防止技術または真偽判定技術に、通常光下では目視できず(又は目視し難い)、赤外光下において赤外線カメラ等の赤外領域に感度のある装置を用いると容易に認識可能にさせる印刷方法がある。
【0003】
代表的なものでは、一般の印刷で使用されるブラック(k)の色材は赤外吸収率が大きく、これを利用して画像を印刷する方法がある(特許文献1)。潜像領域を赤外吸収率が大きいブラック(k)で、背景領域を赤外吸収率が小さいシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)で印刷媒体上に画像を印刷する。そして、出力された印刷物に赤外光を照射して赤外線カメラで画像を識別させる。これにより、赤外光下で印刷物に画像が確認できれば本物、なければ偽物である、といった真偽判定が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特登録3544536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の方法で出力された印刷物の偽物である複製物を生成する場合、一般的にはスキャナとプリンタを使用することが考えられる。スキャナとプリンタを使用した場合の複製物は、画像の劣化は起こるものの、通常光下では目視できず、赤外光を照射して赤外線カメラで見ると画像が識別できることがある。つまり本物と同じ効果を持つ複製物が生成できてしまうという課題がある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、赤外光下においては容易に識別可能で、かつ複製物生成が困難な印刷画像を生成する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の情報処理装置は、印刷媒体上の情報を複写する機器が複写可能な最小画素数を保持する手段と、潜像領域、背景領域のうち一方を第1の領域、他方を第2の領域とした場合に、該第1の領域と該第2の領域とから成る潜像画像を取得する手段と、入力画像を取得する手段と、印刷装置で用いる複数色の色材のうち最も赤外線吸収率が高い色材を高色材とし、該高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値よりも大きい値を有する前記最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値よりも低い値を有する複数の配列要素と、から成る規定サイズの2次元配列を生成し、該生成した2次元配列から前記潜像画像と同サイズの2次元配列を2次元形成配列として生成する生成手段と、前記潜像画像において、前記第1の領域に属している画素位置における画素の画素値を、前記2次元形成配列中の該画素位置における値に置き換えた画像を、構成画像として生成する手段と、前記入力画像中の各画素位置について、該画素位置における画素を印刷するために用いる前記複数色の色材の使用量を前記印刷装置に出力する出力手段とを備え、前記出力手段は、前記入力画像中の各画素位置について、前記構成画像中の該画素位置における画素値を、前記入力画像中の該画素位置における画素を印刷するために使用する高色材の使用量として出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、赤外光下においては容易に識別可能で、かつ複製物生成が困難な印刷画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像処理装置の機能構成例を示すブロック図。
【図2】C,M,Y,Kのそれぞれの使用量を出力するために行う処理のフローチャート。
【図3】第1の実施形態の基本概念について説明する図。
【図4】複製物を生成する過程を示す図。
【図5】潜像画像の処理例を示す図。
【図6】画素ブロックについて示す図。
【図7】形成情報If、潜像画像、構成情報の例を示す図。
【図8】テーブル情報の構成例を示す図。
【図9】入力画像、潜像画像、構成情報、通常光下と赤外線光下の印刷物の例を示す図。
【図10】ステップS213における処理のフローチャート。
【図11】画素ブロックについて示す図。
【図12】画像処理装置に適用可能なコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図。
【図13】テーブル情報の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0011】
[第1の実施形態]
<基本概念>
はじめに、図3を用いて本実施形態の基本概念について簡単に説明する。図3(c)において、印刷媒体1001上に形成された第2の領域301は、赤外吸収特性(赤外線吸収率)が小さい色材を用いて印刷された領域であり、第1の領域302は、赤外線吸収率が大きい色材を用いて印刷された領域である。この印刷媒体1001に対して赤外光を照射すると、第2の領域301は赤外線吸収率が小さいために赤外光を反射し、第1の領域302は赤外線吸収率が大きいために赤外光を吸収する。従って、この印刷媒体1001に対して赤外光を照射している状態でこの印刷媒体1001を赤外線カメラを用いて観察すると、図3(d)に示す如く、第2の領域301は明るい明度で観察されるのに対し、第1の領域302は暗い明度で観察される。
【0012】
ここで、文字、絵柄、マークなどの領域(潜像領域)を上記の第1の領域302、第1の領域302以外の領域(背景領域)を上記の第2の領域301、としてそれぞれの領域から成る識別画像300を印刷媒体1001上に形成したとする。このとき、通常光下で印刷媒体1001を観察しても、図3(a)に示す如く、背景領域と潜像領域とが混在している領域303内では潜像領域は目視できない(又は目視し難い)。しかし、赤外光下においてこの印刷媒体1001を赤外線カメラ等の特殊な識別装置で観察すると、図3(b)に示す如く、識別画像300上において「Original」なる文字部分(第1の領域302)は顕在化する。ここで、通常光とは、例えば、CIE(国際照明委員会)によって相対分光分布が規定された測色用の光であるD50である。
【0013】
このような技術によれば、例えば、印刷媒体1001に赤外光を照射し、特定の潜像が印刷媒体1001上に確認された場合は、印刷媒体1001は正規のもの、確認されなかった場合は、印刷媒体1001は非正規のもの、という真偽判定が可能となる。
【0014】
一般の印刷で使用されているシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)の基本4色色材のうちのブラック(k)は、カーボンブラックを主体とした黒色色材で、赤外光の吸収率が大きい(赤外吸収特性が大きい)。これに対し、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)は赤外光の吸収率が小さい(赤外吸収特性が小さい)ことが知られている。
【0015】
然るに第1の領域302はブラック(k)を用いて印刷し、第2の領域301はシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)を用いて印刷すれば、上記の通り、赤外光下では、第2の領域301は明るい明度、第1の領域302は暗い明度で観察される。
【0016】
識別画像300において、潜像領域や背景領域を赤外光下で識別させるためには、結局のところ、背景領域または潜像領域のどちらか一方だけに赤外線吸収率が大きい色材が含まれていればよい。別の言い方をすれば、赤外線吸収率の異なる2つの領域を意図的に作ればよい。従って、背景領域をシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)で構成し、潜像領域をシアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)で構成しても、上述した識別画像300は生成可能である。
【0017】
次に、スキャナとプリンタとを用いて識別画像300が印刷された印刷物の複製物を生成した場合に、この複製物が本物と同じ効果(通常光下では目視できず、赤外光を照射して赤外線カメラで見ると文字または絵柄が識別できる)を持つ原因について説明する。
【0018】
図3(c)に示した印刷物(第2の領域301及び第1の領域302が印刷された印刷媒体1001)の複製物を、スキャナ(センサ41)とプリンタ42とを用いて生成する場合の過程を図4(a)に示す。401で囲まれた部分は、図3(a)に示した領域303に相当する。この領域303をスキャナのセンサ41によって読み取ると、センサ41からは、センサ41の各撮像素子が読み取った画素(画素値)から成る画素列402が得られる。図4(a)では、センサ41から得られた画素を1ブロックで表している。
【0019】
画素列402は、画素値(Ra、Ga、Ba)を有する画素、画素値(Rb、Gb、Bb)を有する画素、画素値(Rc、Gc、Bc)を有する画素、から成る。この画素列402をプリンタ42に入力すると、プリンタ42は、自身が管理しているテーブル421を参照し、画素列402中のそれぞれの画素について、該画素の画素値に対応するc、m、y、kのそれぞれの色材の使用量を決定する。そしてプリンタ42は、それぞれの画素を、該画素について決定した色材の使用量だけ用いて印刷するので、プリンタ42からは、第2の領域301及び第1の領域302が印刷された印刷媒体1001の複製物403が出力される。
【0020】
ここでテーブル421に着目すると、画素値(Ra、Ga、Ba)、画素値(Rb、Gb、Bb)、画素値(Rc、Gc、Bc)のそれぞれに対応するc、m、yの使用量は比較的近い値となっている。しかし、kについては画素値(Rc、Gc、Bc)に対応するkの使用量が、画素値(Ra、Ga、Ba)、画素値(Rb、Gb、Bb)に対応するkの使用量と比べて大きく異なっている。kは上述したように、他の色材よりも赤外線吸収率が大きい色材であるため、その使用量が異なるということは、赤外線吸収率が異なる2つの領域が出来ることを意味している。従って、複製物403に赤外光を照射して赤外線カメラで観察すると、複製物404のように観察される。即ち、画素値(Rc、Gc、Bc)を有する画素を印刷した領域と、その他の画素値を有する画素を印刷した領域と、の間に比較的大きな明度差が生じ、文字が識別出来てしまう(図示の点線で示した境界線は分かりやすくするためで、実際には識別出来ない)。
【0021】
これは、人間の視覚では同色に見えるが、センサは小さな範囲ごとに読み取るため、赤外線吸収率が大きい色材が影響して赤外線吸収率が異なる領域が発生してしまう。このように、複製物上で赤外線吸収率が異なる要因となる画素を発生させないようにするには、センサの読み取り範囲内における「赤外線吸収率が大きい色材」が占める割合を減らせばよいことになる。減らす方法としては、1つは「赤外線吸収率が大きい色材」が含まれた領域のサイズを小さくすること、もう1つは、単位面積あたりの「赤外線吸収率が大きい色材」の使用量を少なくすることである。ただ、「赤外線吸収率が大きい色材」の割合が少なすぎると、原本確認時に原本の文字が識別できなくなってしまう。
【0022】
そこで、本実施形態では、図4(b)に示す方法で印刷媒体1001上に画像形成を行う。即ち、潜像領域としての第1の領域302の代わりに、第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bとを形成する。第1の潜像領域302aとは、赤外線吸収率が大きい色材を閾値よりも大きい使用量だけ使用して形成した領域であり、第2の潜像領域302bとは、赤外線吸収率が大きい色材を閾値よりも小さい使用量だけ使用して形成した領域である。これにより、原本の文字が識別できるようにしつつ、スキャナとプリンタとを用いた複製物生成が困難となるようにする。
【0023】
ここで、第1の潜像領域302aを、赤外線吸収率が大きい色材を閾値以上の使用量だけ使用して形成した領域とし、第2の潜像領域302bを、赤外線吸収率が大きい色材を閾値よりも小さい使用量だけ使用して形成した領域としてもよい。あるいは、第1の潜像領域302aを、赤外線吸収率が大きい色材を閾値よりも大きい使用量だけ使用して形成した領域とし、第2の潜像領域302bを、赤外線吸収率が大きい色材を閾値以下の使用量だけ使用して形成した領域としてもよい。
【0024】
本実施形態に係る画像形成により生成された識別画像300が印刷された印刷媒体1001の複製物を、スキャナ(センサ41)とプリンタ42とを用いて生成する場合の過程を図4(b)に示す。405で囲まれた部分は、図3(a)に示した領域303に相当する。
【0025】
図4(b)に示す如く、第1の潜像領域302aのサイズは、1つの撮像素子が一度に読み取るサイズよりも小さい。そのため、第1の潜像領域302aを読み取った撮像素子は同時に、その他の領域も読み取ることになり、結果としてこの撮像素子からは、第1の潜像領域302a及びその他の領域のそれぞれに含まれる画素の画素値を平均化した画素値が出力されることになる。これは、第1の潜像領域302aの画素値そのものは出力されないことを意味する。部分405をスキャナのセンサ41によって読み取ると、センサ41からは、センサ41の各撮像素子が読み取った画素(画素値)から成る画素列406が得られる。図4(b)でも、センサ41から得られた画素を1ブロックで表している。
【0026】
画素列406は、画素値(Ra、Ga、Ba)を有する画素、画素値(Rb、Gb、Bb)を有する画素、から成る。この画素列406をプリンタ42に入力すると、プリンタ42は、上記のテーブル421を参照し、画素列402中のそれぞれの画素について、該画素の画素値に対応するc、m、y、kのそれぞれの色材の使用量を決定する。そしてプリンタ42は、それぞれの画素を、該画素について決定した色材の使用量だけ用いて印刷するので、プリンタ42からは、部分405の複製物407が出力される。
【0027】
テーブル421に着目すると、画素値(Ra、Ga、Ba)、画素値(Rb、Gb、Bb)、のそれぞれに対応するc、m、y、kの使用量は比較的近い値となっている(kについては同じ)。然るに、複製物407に赤外光を照射して赤外線カメラで見ても、複製物404のようには観察されず、比較的大きな明度差が生じる領域が発生しない複製物408として観察され、文字は識別出来ない。
【0028】
このように、本実施形態では、潜像領域を第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bとで構成し、且つ第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bとで赤外線吸収率の高い色材の使用量を変更する。これにより、スキャナとプリンタとを用いた複製物生成が困難となるようにする。
【0029】
<画像処理装置(情報処理装置)の機能構成例について>
次に、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成例について、図1(a)のブロック図を用いて説明する。図1(a)に示す機能構成例を有する画像処理装置11は、入力画像上に潜像を合成した印刷画像の各画素について、該画素の色を印刷媒体上に印刷するために用いる複数色の色材のそれぞれの使用量を示す情報を出力する。
【0030】
画像入力部101は、入力画像を取得し、取得した入力画像を印刷画像データ生成部105に対して供給する。潜像画像生成部102は、潜像領域と背景領域とから成る潜像画像を生成若しくは取得し、生成若しくは取得した潜像画像を構成情報生成部103に対して供給する。
【0031】
構成情報生成部103は、印刷物の複製物に赤外光を照射して赤外線カメラで観察しても潜像領域や背景領域が目視し難いようにするために、構成情報を生成する。この構成情報について詳しくは後述するが、印刷画像上の背景領域、第1の潜像領域、第2の潜像領域、のそれぞれを印刷する際に「赤外線吸収率が大きい色材」をどれだけ使用するのかを表した情報である。
【0032】
閾値保持部104は、第1の潜像領域、第2の潜像領域を形成する際に用いる様々な閾値を保持している。閾値保持部104が保持している閾値について、詳しくは後述する。
【0033】
色情報保持部106は、各画素値(例えばR、G,Bのそれぞれについて0〜255)について、可視光下での色差が予め設定された閾値以下で、赤外線吸収率が異なるN種類(N≧2)の各色材の使用量を示す色情報C1、C2、…、CNを保持する。本実施形態では、色情報保持部106は、各画素値について、C,M,Y,Kのそれぞれの使用量が登録された色情報を保持している。例えば色情報保持部106は、図8に示すようなテーブル情報を色情報として保持している。
【0034】
色情報とは、各画素値(RGB値)に対し、この画素値が表す色を表現するために印刷媒体上にどの色材をどの程度の量(使用量)用いるのか、を示した情報である。図8に示すように、色情報には、画素値(RGB値)毎に、第1の色C1、第2の色C2、第3の色C3が登録されている。第1の色C1は、背景領域を印刷する際に用いる各色材の使用量である。第3の色C3は、第1の潜像領域を印刷する際に用いる各色材の使用量である。第2の色C2は、第2の潜像領域を印刷する際に用いる各色材の使用量である。
【0035】
例えば、入力画像中の着目画素の画素値が(R2,G2,B2)であり、この着目画素が背景領域内の画素である場合、この着目画素の印刷に用いる各色材の使用量(第1の色C1)は、c=20、m=5、y=20、k=0である。また、この着目画素が第1の潜像領域内の画素である場合、この着目画素の印刷に用いる各色材の使用量(第3の色C3)は、c=17、m=2、y=18、k=5である。また、この着目画素が第2の潜像領域内の画素である場合、この着目画素の印刷に用いる各色材の使用量(第2の色C2)は、c=18、m=3、y=19、k=2である。
【0036】
ここで、各RGB値に対して、印刷媒体上に単位面積当りの色材が付着する最大量を100とした各色材の割合を「使用量」とする。また、上記のことから、第1の色C1とは、各RGB値に対応する背景領域内の色であり、第2の色C2とは、各RGB値に対応する第2の潜像領域内の色であり、第3の色C3とは、各RGB値に対応する第1の潜像領域内の色である。
【0037】
印刷画像データ生成部105は、色情報保持部106が保持する色情報と、画像入力部101が取得した入力画像と、構成情報生成部103が生成した構成情報と、を用いて印刷画像を構成する各画素に対するC,M,Y,Kのそれぞれの使用量を出力する。
【0038】
出力部107は、印刷画像を構成する各画素に対するC,M,Y,Kのそれぞれの使用量を外部の不図示の印刷装置に対して出力する。なお、画像処理装置11がプリンタや複合機などの印刷機構を有する印刷装置である場合には、出力部107は、印刷画像を構成する各画素に対するC,M,Y,Kのそれぞれの使用量に基づいて、印刷画像を印刷媒体上に印刷する。
【0039】
本実施形態では、印刷装置が印刷に用いる色材をC,M,Y,Kとしているが、この色材に限るものではなく、様々な色材(色や材質)が考え得る。以下の説明では、印刷装置で用いる複数色の色材のうち最も赤外線吸収率が高い色材を「高色材」と呼称する。本実施形態の場合、印刷装置で用いる複数色の色材はC,M,Y,Kであり、そのうち最も赤外線吸収率が高い色材はkであるため、高色材はkとなる。
【0040】
設定部108は、ユーザが操作可能なボタンやタッチパネル形式の画面を有しており、ユーザからの様々な入力指示を受け付けることができる。例えば、ユーザが設定部108を用いて新たな閾値を設定し、この設定した閾値を閾値保持部104に登録するようにしてもよい。
【0041】
次に、画像処理装置11が印刷画像を構成する各画素に対するC,M,Y,Kのそれぞれの使用量を出力する為に行う処理について、同処理のフローチャートを示す図2を用いて説明する。
【0042】
ステップS201では、画像入力部101は、入力画像Iを取得(第2の取得)して印刷画像データ生成部105に供給する。入力画像Iの取得形態については様々な形態が考え得る。例えば、ネットワーク経由で外部装置から送信されてきた入力画像Iを取得してもよいし、画像処理装置11自身がアクセス可能なメモリに格納されている入力画像Iを取得してもよい。また、印刷媒体上に印刷されている画像を読み取り、読み取った画像を入力画像Iとして取得してもよい。
【0043】
ここで、入力画像Iとは、画素単位での扱いが可能な画像である。例えば画像入力部101が紙原稿を読み取って入力画像Iを取得する場合、画像入力部101は電荷結合素子CCD又は光学センサを有し、設定部108からの画像入力指示に応じて画像撮影、電気信号処理、デジタル信号処理等を行って入力画像Iを生成する。また、画像入力部101がページ記述言語で記述されたデータ、特有のデータ形式を扱うアプリケーションで作成されたデータを取得した場合、画像入力部101は、そのデータを一般的な画像の形式(ビットマップ形式等)のデータに変換する。そして、変換後のデータを入力画像Iとする。
【0044】
このように入力画像は如何なる方法で取得してもよい。以下では説明を簡単にするために、入力画像は、図9(a)に示す如く、画素値(R1,G1,B1)を有する画素から成る領域と、画素値(R2,G2,B2)を有する画素から成る領域と、から成る画像であるとして説明する。しかし、以下の説明は、このような特定の入力画像のみに適用されるものではなく、任意の画像に対して適用可能なものであることは、以下の説明から明らかとなるであろう。
【0045】
次に、ステップS202では、潜像画像生成部102は、赤外光下で顕在化させたい絵柄または文字の画像を潜像画像Icとして取得(第1の取得)し、取得した潜像画像Icを構成情報生成部103に対して供給する。
【0046】
ここで、潜像画像Icとは、画素単位での扱いが可能な2値画像であり、絵柄または文字の部分(潜像領域)を構成する画素の画素値は「1」、潜像領域以外の領域(背景領域)を構成する画素の画素値は「0」となっている。もちろん、潜像画像Icの各画素が潜像領域、背景領域の何れに属しているのかが分かるのであれば、それぞれの画素値は上記の画素値に限るものではない。
【0047】
例えば、潜像画像Icが図9(b)に示すような画像である場合、「Original」の文字部分が潜像領域に該当するため、「Original」の文字部分を構成する画素の画素値は「1」となる。一方、文字部分以外の領域は背景領域に該当するため、文字部分以外の領域を構成する画素の画素値は「0」となる。
【0048】
なお、潜像画像生成部102は、絵柄または文字を描画する描画情報を取得した場合には、この描画情報から2値画像を生成し、この生成した2値画像を潜像画像Icとして取得してもよい。
【0049】
このように、潜像画像Icの取得形態についても特定の取得形態に限るものではない。また、本実施形態では、入力画像Iの縦横サイズと潜像画像Icの縦横サイズとは同じ(同サイズ)であるものとする。しかし、例えば、潜像画像Icの縦横サイズが入力画像Iの縦横サイズよりも小さいとすると、潜像画像Icを例えば図5(a)のように入力画像Iの縦横サイズと同じになるように拡大する。もし潜像画像Icの縦横サイズが入力画像Iの縦横サイズよりも大きい場合は、潜像画像Icを図5(b)のように入力画像Iの縦横サイズと同じになるように縮小する。また、図5(c)に示す如く、入力画像Iと同じ縦横サイズを有する領域内(若しくは一部の領域内でも良い)に潜像画像Icを繰り返し張り付けたものを新たに潜像画像Icとして用いても良い。また、縮小や張り付けの際には適当な角度で潜像画像Icを回転させても良い。
【0050】
次に、ステップS203では、構成情報生成部103は、潜像画像生成部102から取得した潜像画像Icと、閾値保持部104が保持する閾値と、を用いて、構成情報Ictを生成(第2の生成)する。ステップS203における処理の詳細について、同処理のフローチャートを示す図2(b)を用いて説明する。
【0051】
先ず、ステップS212において構成情報生成部103は、潜像画像生成部102から潜像画像Icを取得する。
【0052】
次にステップS213では構成情報生成部103は、閾値保持部104から閾値を取得する。そして構成情報生成部103は閾値を用いて、図6(a)の上部に示す如く、縦横サイズがRsの画素ブロックであって、第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bとから成る画素ブロックを生成し、生成した画素ブロックから形成情報Ifを生成する。ステップS213における処理の詳細について、同処理のフローチャートを示す図2(c)を用いて説明する。
【0053】
ステップS220では、構成情報生成部103は先ず、閾値保持部104に保持されている閾値Th_sと、閾値Th_cと、を取得する。ここで、閾値Th_sと、閾値Th_cと、について説明する。
【0054】
閾値Th_sとは、印刷媒体上の情報を複写する機器(上記の場合、プリンタ及びスキャナ)が複写可能な最小画素数、換言すれば、複製物の生成が困難となる領域の大きさの上限値を示している。
【0055】
一方、閾値Th_cとは、次のような条件を満たす値を有する。即ち、kを用いて印刷した印刷領域とkを用いずに印刷した印刷領域とをスキャナとプリンタとを用いて複写したとする。このとき、該複写したそれぞれの印刷領域を赤外光下で赤外線カメラを用いて観察した場合に、該複写したそれぞれの印刷領域の明度差を目視し難くするような、高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め設定された値である。換言すれば、閾値Th_cとは、複製物の生成が困難となる高色材の使用量の上限値を示している。
【0056】
例えば、スキャナの解像度とプリンタの出力解像度が600[dpi]である場合、複製物の生成が困難となる領域の大きさは15[pix]以下となる。また、複製物の生成が困難となる高色材の使用量は3[%]以下が適用可能な数値である。従ってこの場合、閾値保持部104にはTh_s=16、Th_c=3のように値が保持されている。
【0057】
次に構成情報生成部103は、画素ブロックの縦横サイズRsを設定する。縦横サイズRsは、予めメモリに登録しておき、これを読み出して設定してもよいし、ユーザが設定部108を用いて設定した縦横サイズをRsに設定してもよい。このRsは任意の大きさを設定可能であるが、大きいと潜像領域が粗く見えるため、小さいことが望ましい。ここでは、例としてRs=20[pix]とする。
【0058】
次に、ステップS221では構成情報生成部103は、画素ブロック内にレイアウトする第1の潜像領域の縦横サイズRs_a、第2の潜像領域の幅Rs_bを設定する。上記の通り、第1の潜像領域は、高色材を閾値よりも大きい使用量だけ使用して印刷する領域であるため、複製物の生成が困難となるようにするためには、第1の潜像領域の縦横サイズRs_aは以下の条件を満たす必要がある。
【0059】
Rs_a<Th_s
ここでは、例としてRs_a=8[pix]とする。一方、第2の潜像領域は、画素ブロックから第1の潜像領域を省いた残りの領域であるため、第1の潜像領域の縦横サイズRs_aが決まれば、第2の潜像領域の幅Rs_bは一意に決まることになる。画素ブロック内の第1の潜像領域302a、第2の潜像領域302bのレイアウトが図6(a)の上部に示すようなものである場合、画素ブロックの一辺と、該一辺に最も近く該一辺と平行な第1の潜像領域302aの一辺と、の間の距離はRs_b/2となる。従って上記例では、第2の潜像領域の幅Rs_bはRs_b=Rs−Rs_a=20−8=12[pix]となる。このように、ステップS221における処理により、画素ブロック内における第1の潜像領域、第2の潜像領域のレイアウトが確定する。
【0060】
次にステップS222では構成情報生成部103は、第1の潜像領域、第2の潜像領域のそれぞれに対する高色材の使用量を設定する。第1の潜像領域に対する高色材の使用量をCa、第2の潜像領域に対する高色材の使用量をCbとすると、Ca、Cbは以下の式を満たす必要がある。
【0061】
Ca>Th_c
Cb≦Th_c
上記例では、複製物の生成が困難となる高色材の使用量の閾値はTh_c=3であるため、ここでは例として、Ca=5、Cb=2とする。本実施形態では、画素ブロック内における第1の潜像領域の画素値にCaを設定し、第2の潜像領域の画素値にCbを設定する。然るにこの場合、図6(a)に示す如く、画素ブロック内における第1の潜像領域の画素値(高色材の使用量)は5となっており、第2の潜像領域の画素値(高色材の使用量)は2となっている。
【0062】
このように、画素ブロック内における第1の潜像領域、第2の潜像領域のレイアウトと、第1の潜像領域及び第2の潜像領域のそれぞれの画素値とを確定することで、図6(a)に示すような画素ブロックが確定することになる。
【0063】
なお、上記の例ではCb=2としているが、Cb≦Th_cが満たされていればよいため、Th_c=3であれば、Cbは0,1,3の何れの値をとってもよい。Cb=0,Cb=1,Cb=3のそれぞれの場合における画素ブロック及び該画素ブロック内における第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bの画素値を図6(b)、(c)、(d)のそれぞれに示す。
【0064】
次に、ステップS223では構成情報生成部103は、ステップS222で生成した画素ブロックから、潜像画像Icの縦横サイズと同じサイズの画像を、形成情報(形成画像)Ifとして生成する。より詳しくは、図7(a)に示す如く、ステップS222で生成した画素ブロックをタイル状に配置して潜像画像Icの縦横サイズと同じサイズの画像を、形成情報Ifとして生成(第1の生成)する。
【0065】
このようにして、図2(c)のフローチャートに従った処理を行うことでステップS213における処理を実現するのであるが、図2(c)に示した処理は、形成情報Ifを生成するための一例であり、次のような処理の一例に過ぎない。
【0066】
(処理) 高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値Th_cより大きい値を画素値とする閾値Th_sより少ない数の画素と該閾値Th_cより小さい値を画素値とする複数の画素と、から成る規定サイズの画素ブロックを生成する。そして、該生成した画素ブロックから潜像画像と同サイズの画像を形成情報Ifとして生成する。
【0067】
然るに、この(処理)と同等の処理であれば、若しくは同等の処理結果を生ずる処理であれば、形成情報Ifを生成するための処理には、如何なる処理を適用してもかまわない。
【0068】
図2(b)のフローチャートに戻って次に構成情報生成部103は、潜像画像Icにおいて、潜像領域に属している画素位置における画素の画素値を形成情報If中の該画素位置における画素値に置き換えた画像を、構成情報Ict(構成画像)として生成する。
【0069】
より具体的には先ず、構成情報生成部103は、潜像画像Ic中の各画素位置における画素の画素値を参照する。ステップS214では構成情報生成部103は、現在参照している画素位置(x、y)における画素の画素値が「1」、「0」の何れであるのかを判断する。この判断の結果、「1」であれば(この参照している画素が潜像領域に属している場合)処理はステップS215に進み、「0」であれば(この参照している画素が背景領域に属している場合)処理はステップS216に進む。
【0070】
ステップS215では構成情報生成部103は、構成画像(構成情報Ict)中の画素位置(x、y)における画素値として、形成画像(形成情報If)中の画素位置(x、y)における画素値を設定する。
【0071】
一方、ステップS216では構成情報生成部103は、構成画像(構成情報Ict)中の画素位置(x、y)における画素値として、潜像画像Ic中の画素位置(x、y)における画素値、即ち0を設定する。
【0072】
ステップS217では、構成情報生成部103は、構成画像中の全ての画素に対して画素値を設定したか否かを判断する。この判断の結果、全ての画素について画素値を設定した場合には、処理はステップS219に進み、まだ画素値を設定していない画素が残っている場合には、処理はステップS218に進む。ステップS218では構成情報生成部103は、画素位置(x、y)を、まだ画素値を設定していない画素位置に更新し、ステップS214以降の処理を行う。
【0073】
一方、ステップS219では構成情報生成部103は、全ての画素について画素値が設定された構成画像(構成情報)を印刷画像データ生成部105に対して送出する。図2(b)のフローチャートに従った処理により、例えば図7(a)に例示した形成情報Ifと、図7(b)に例示した潜像画像Ic(黒い部分が潜像領域)とを用いる場合、図7(c)に示すような構成情報Ictが生成される。即ち、図7(c)にも示しているように、構成情報Ictは、背景領域としての第2の領域301、第1の潜像領域302a、第2の潜像領域302b、から構成されていることになる。
【0074】
例えば、潜像画像Icが図9(b)に示すような画像である場合、構成情報Ictは、図9(c)に示す如く、文字部分が第1の潜像領域302aと第2の潜像領域302bとから構成されることになる。
【0075】
図2(a)に戻って、次に、ステップS204では、印刷画像データ生成部105は色情報保持部106から、図8に例示したような色情報を取得する。印刷画像データ生成部105は、構成情報Ict中の各画素位置における画素の画素値を参照するのであるが、ステップS205で印刷画像データ生成部105は、現在参照している画素位置(x、y)の画素の画素値が0,2,5の何れであるのかを判断する。即ち、画素位置(x、y)における画素の画素値が背景領域を示している(即ち画素値=0)のか、第1の潜像領域を示している(即ち画素値=5)のか、第2の潜像領域を示している(即ち画素値=2)のか、を判断する。この判断の結果、画素位置(x、y)の画素の画素値=0であれば処理はステップS208に進み、画素位置(x、y)の画素の画素値=2であれば処理はステップS207に進み、画素位置(x、y)の画素の画素値=5であれば処理はステップS206に進む。
【0076】
ステップS208で印刷画像データ生成部105は、色情報に登録されている第1の色C1のうち、入力画像I中の画素位置(x、y)における画素の画素値に対応するc、m、y、kの使用量を特定する。そして印刷画像データ生成部105は、この特定したc、m、y、kの使用量を、印刷画像中の画素位置(x、y)における画素を印刷するために用いるc、m、y、kの使用量として出力する。図8の場合、色情報に登録されている第1の色C1ではkの使用量は何れも0となっており、構成情報Ict中の画素位置(x、y)における画素値と同じである。
【0077】
ステップS207で印刷画像データ生成部105は、色情報に登録されている第2の色C2のうち、入力画像I中の画素位置(x、y)における画素の画素値に対応するc、m、y、kの使用量を特定する。そして印刷画像データ生成部105は、この特定したc、m、y、kの使用量を、印刷画像中の画素位置(x、y)における画素を印刷するために用いるc、m、y、kの使用量として出力する。図8の場合、色情報に登録されている第2の色C2ではkの使用量は何れも2となっており、構成情報Ict中の画素位置(x、y)における画素値と同じである。
【0078】
ステップS206で印刷画像データ生成部105は、色情報に登録されている第3の色C3のうち、入力画像I中の画素位置(x、y)における画素の画素値に対応するc、m、y、kの使用量を特定する。そして印刷画像データ生成部105は、この特定したc、m、y、kの使用量を、印刷画像中の画素位置(x、y)における画素を印刷するために用いるc、m、y、kの使用量として出力する。図8の場合、色情報に登録されている第3の色C3ではkの使用量は何れも5となっており、構成情報Ict中の画素位置(x、y)における画素値と同じである。
【0079】
即ち、ステップS206〜S208の何れでも、結局は色情報を用いて印刷画像の各画素に対するc、m、y、kのそれぞれの使用量を決定しているが、上記の説明から、この処理は次のような処理でもあることが分かる。即ち、印刷画像中の画素位置(x、y)における画素を印刷するために用いるc、m、yの使用量は上記のように色情報から取得し、kの使用量については、構成画像上の画素位置(x、y)における画素値をkの使用量としている。然るに、色情報にはkの使用量は登録せず、c、m、yのそれぞれの使用量を登録するようにしてもよい。
【0080】
また、ステップS206〜S208の何れの処理を行っても、印刷画像データ生成部105が出力したc、m、y、kのそれぞれの使用量を示す情報は、出力部107によって印刷装置に送出される。然るに印刷装置は、印刷画像を構成する各画素の印刷を、該画素について画像処理装置11から受けたc、m、y、kのそれぞれの使用量だけ使用して行う。
【0081】
上記処理によれば、図9(a)の入力画像と図9(c)の構成情報とを用いて印刷した印刷物は、通常光下では図9(d)に示す如く、画素値(R1,G1,B1)を有する画素の領域と、画素値(R2,G2,B2)を有する画素の領域とは識別できる。そして、この印刷物に赤外線を照射した状態でこの印刷物を赤外線カメラを用いて観察すると、図9(e)に示す如く、潜像領域を識別することができる。しかもこの印刷物と同様の効果を奏する複製物は生成しがたい。
【0082】
ステップS209では、印刷画像データ生成部105は、構成情報Ictを構成する全ての画素位置における画素の画素値を参照したか否かを判断する。この判断の結果、全ての画素の画素値を参照したのであれば、図2(a)のフローチャートに従った処理は終了し、まだ画素値を参照していない画素が残っている場合には、処理はステップS210に進む。
【0083】
ステップS210では、印刷画像データ生成部105は、画素位置(x、y)を、まだ画素値を参照していない画素位置に更新する。そして、ステップS205以降の処理が行われる。
【0084】
本実施形態では、潜像領域に高色材を用い、背景領域には高色材を用いない例を説明した。しかし、背景領域に高色材を用い、潜像領域には高色材を用いないようにしてもよい。この場合、上記の説明を、潜像領域、背景領域をそれぞれ入れ替えた説明に変更すればよい。
【0085】
また、上記の説明で用いた画素ブロックは、次に説明するような2次元配列の一例である。すなわち、高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値よりも大きい値を有する上記最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値よりも低い値を有する複数の配列要素と、から成る規定サイズの2次元配列の一例である。
【0086】
いずれにせよ、本実施形態は、次に説明する構成の一例に過ぎない。先ず、印刷媒体上の情報を複写する機器が複写可能な最小画素数を保持しておく。そして、潜像領域、背景領域のうち一方を第1の領域、他方を第2の領域とした場合に、該第1の領域と該第2の領域とから成る潜像画像を取得すると共に、入力画像を取得する。そして、高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値よりも大きい値を有する上記最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値よりも低い値を有する複数の配列要素と、から成る規定サイズの2次元配列を生成する。そして、該生成した2次元配列から潜像画像と同サイズの2次元配列を2次元形成配列として生成する。また、潜像画像において、第1の領域に属している画素位置における画素の画素値を、2次元形成配列中の該画素位置における値に置き換えた画像を、構成画像として生成する。
【0087】
そして、入力画像中の各画素位置について、該画素位置における画素を印刷するために用いる複数色の色材の使用量を印刷装置に出力する。その際、構成画像中の該画素位置における画素値を、入力画像中の該画素位置における画素を印刷するために使用する高色材の使用量として出力する。
【0088】
[第2の実施形態]
本実施形態では、印刷物の真偽判定の際に、潜像領域の視認性がより高くなるようにする方法を示す。具体的には、第1の潜像領域と第2の潜像領域との境界部分で急にコントラストが変化して見えないように、第2の潜像領域の赤外線吸収率が大きい色材の使用量を段階的に変化させる。これにより、スキャナとプリンタとを用いた複製物生成を困難にさせつつ、潜像領域の視認性を向上させる。
【0089】
本実施形態と第1の実施形態との相違点は、第1の実施形態ではステップS213で図2(c)のフローチャートに従った処理を行うのに対し、本実施形態ではステップS213で図10のフローチャートに従った処理を行うことである。然るに、画像処理装置11の構成やステップS213における処理以外については第1の実施形態と同様である。また、図10において、図2(c)と同じ処理ステップには同じステップ番号を付しており、その説明は省略する。
【0090】
ステップS1002では、構成情報生成部103は、ステップS221でレイアウトが決定した第2の潜像領域を、それぞれ異なる画素値を有する複数の潜像領域を用いて再構成する。
【0091】
ここで、設定部108を用いて、第2の潜像領域を段階的に変化させる変化量Dcと最小量Cbsを設定する。この変化量Dcは小さければ小さいほど、領域内の隣接する画素間の境目で急にコントラストが変化して見えないようになる。また、最小量Cbsとは、第2の潜像領域に対する高色材の使用量の最小量を示している。この変化量Dcはあらかじめ閾値Th_Dcを定めておき、以下のように、閾値Th_Dc以下となるように設定してもよい。
【0092】
Dc≦Th_Dc
そして次に、設定部108より、変化の種類を設定する。変化の種類とは、第2の潜像領域を図11(a)に示すように、段階的に減少させるのか、図11(b)に示すように減少し増加させるのか、図11(c)に示すように増加させるのかを意味している。もちろん、変化の種類はこれに限るものではなく、様々な種類が考え得る。
【0093】
例えば、Dc=1、Cbs=1、Th_c=3、変化の種類を減少、と設定した場合、第2の潜像領域は図11(a)に示すように領域1101、1102、1103の3つの領域から成るように再構成される。また、この3つの領域のそれぞれに対する高色材の使用量は段階的に1ずつ減少していくため、3、2、1となる。ここで、図11(a)に示す領域1101、1102、1103のそれぞれの幅Rs_b1、Rs_b2、Rs_b3を全て等しくする場合、Rs_b/2を単純に3つに分割すればよい。Rs_b=12[pix]とすると、Rs_b1=(12/2)/3=2[pix]となる。
【0094】
なお、Rs_b1、Rs_b2、Rs_b3はそれぞれ異なっていてもよく、その場合は設定部108よりRs_b1、Rs_b2、Rs_b3のそれぞれを個別に指定するようにしてもよい。
【0095】
なお、図11(a)に示すように段階的に減少させるのか、図11(b)に示すように減少し増加させるのか、図11(c)に示すように増加させるのかは、いずれを設定してもよい。例えば、設定部108が有する画面に図11(a)〜(c)のそれぞれの変化パターンを表示させて、一番コントラストが急に変化していないものを選択し、それを設定するようにしてもよい。
【0096】
なお、第1の実施形態では、構成情報が3つの画素値を有するために、現在参照している画素値に応じてステップS206、S207、S208の何れかを実行するようにしている。しかし、本実施形態のように、構成情報に4つ以上の画素値が含まれるような場合には、それぞれの画素値に応じてc、m、y、kのそれぞれの使用量を色情報から決定することになる。
【0097】
このように、本実施形態では、第2の潜像領域における赤外線吸収率が高い色材の使用量を段階的に変化させることにより、複製物生成が困難であることに加えて、印刷物の真偽判定時に潜像領域の視認性を向上させることができる。
【0098】
なお、第2の実施形態では、第2の潜像領域における高色材の使用量を段階的に変化させたが、例えば図6(e)に示すように、第2の潜像領域に少しでも高色材が含まれていれば視認性が向上する。従って、第2の潜像領域内の各画素の高色材の使用量の総和が、あらかじめ定めた閾値以上となるように第2の潜像領域を構成してもよい。例えば、第2の潜像領域内の各画素の高色材の使用量の総和をTCbとし、あらかじめ定められた閾値をTh_tcbとすると、以下の条件を満たす必要がある。
【0099】
TCb≧Th_tcb
また、第1の実施形態および第2の実施形態で例示した、第1の潜像領域、第2の潜像領域のそれぞれにおける高色材の使用量の差分は少ないほうがコントラスト変化が少なくなるため、視認性が向上する。
【0100】
従って、差分の閾値Th_dcを予め設定して閾値保持部104に登録しておく。そして、第1の潜像領域の高色材の使用量Caの最大値Cam、第2の潜像領域の高色材の使用量Cbの最小値Cbmが、以下の条件を満たすようにCa,Cbを設定してもよい。
【0101】
Cam−Cbm≦Th_dc
例えば、Th_dc=3とした場合、Cam−Cbm≦3を満たすCam,Cbmに従ったCa,Cbである必要があり、第1の実施形態で示した例は、Ca=5、Cb=2であったため、上記の条件を満たしていることになる。
【0102】
また、第1の実施形態および第2の実施形態で、背景領域の高色材の使用量は「0」としたが、これに限るものではなく、背景領域に高色材を使用してもよい。ただし、背景領域と潜像領域との間で高色材の使用量の差がないと、赤外光下で赤外線カメラ等の識別装置で見た時に、潜像領域や背景領域を識別することができない。このため、背景領域と潜像領域とで高色材の使用量の差があるように調整する必要がある。
【0103】
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、構成情報を生成し、この構成情報から印刷画像の各画素についてc、m、y、kのそれぞれの使用量を決定した。しかし、これに限るものではなく、構成情報を生成せずに、入力画像I、潜像画像Ic、色情報、から直接、印刷画像の各画素についてc、m、y、kのそれぞれの使用量を決定するようにしてもよい。この場合、背景領域、高色材の使用量が閾値より大きい値を有する上記最小画素数より少ない数の画素で構成された第1の潜像領域、高色材の使用量が閾値以下の値を有する複数の画素で構成された第2の潜像領域、で印刷画像が構成されるように制御すればよい。
【0104】
[第3の実施形態]
第1の実施形態および第2の実施形態では、モードに関係なく同じ生成方法で画素ブロックを生成していた。これに対し、本実施形態では、設定されたモードに応じて画素ブロックの生成方法を切り替える。
【0105】
ここでモードとは、例えば、高色材を節約したい場合の「節約モード」、潜像画像をテキストにしたい場合の「テキストモード」、印刷画像を多彩にしたい場合の「写真モード」などが挙げられる。以下では、各種のモードに応じて画素ブロックの生成方法を切り替え、切り替えた生成方法で画素ブロックを生成する。
【0106】
先ず、本実施形態に係る画像処理装置12の機能構成例について、図1(b)のブロック図を用いて説明する。図1(b)に示した各構成要件のうち、図1(a)に示した構成要件と同じものについては同じ参照番号を付しており、この構成要件についての説明は省略する。図1(b)に示す構成は、図1(a)に示した構成にモード設定部109を追加した構成となっている。
【0107】
モード設定部109は、ここでは上記の「節約モード」、「テキストモード」、「写真モード」の何れかを選択する。この選択は設定部108を介したユーザ操作に応じて行われてもよいし、供給電力や入力画像、潜像画像に応じてモード設定部109が行ってもよい。
【0108】
「節約モード」とは、背景領域、第1の潜像領域、第2の潜像領域のそれぞれについて、高色材の使用量を極力少なくするよう画素ブロックを生成するためのモードである。例えば、図6(d)の画素ブロックよりも図6(b)や図6(c)の画素ブロックの方が高色材の使用量が少なくてすむ。モード設定部109より「節約モード」が選択されると、設定部108は、例えば図6(b)のような画素ブロックを生成するように構成情報生成部103に指示する。
【0109】
「テキストモード」とは、潜像画像をテキストにしたい場合にそのテキストの視認性を向上させるため、画素ブロックの全体の大きさと、高色材の使用量を調整するものである。例えば、フォント種類が明朝でフォントサイズが10ptの場合、フォントサイズが小さく、また線幅が比較的狭いため、画素ブロックの全体の大きさRsを小さく設定し、かつ高色材の使用量を多くすることで視認性を向上させる。
【0110】
モード設定部109より「テキストモード」が選択されると、設定部108は潜像画像生成部102より潜像画像Icを取得する。そして、モード設定部109は構成情報生成部103に対して、潜像画像Ic内のテキストのフォント種類やフォントサイズに対応する大きさRsと、例えば図6(d)のような高色材の使用量とを設定させる。
【0111】
「写真モード」とは、印刷画像を多彩にしたい場合に高色材の使用量を少なくするように設定するものである。これは、高色材の使用量を多くした場合、その色材の色に大きく影響され印刷画像に使用できる色が制限されるためである。例えば、高色材がカーボンブラックの場合は、使用量を多くすると黒系の色しか使用できない。このモードでは、高色材の使用量を少なくすることで、印刷画像に使用できる色が制限されず印刷画像を多彩にすることができる。
【0112】
モード設定部109より「写真モード」が選択されると、設定部108は、例えば、図6(c)のような画素ブロックを生成するように、構成情報生成部103に対して指示する。
【0113】
このように、各モードに応じた画素ブロックを生成した後は、第1の実施形態と同様の処理を行う。このように、設定されたモードに応じて画素ブロックに係る様々なパラメータを調整することにより、より状況に応じた印刷画像生成を行うことができる。然るに、設定可能なモードは上記のモードに限るものではなく、様々なモードが考え得るし、そのモードに応じて行う処理にも様々なものが考え得る。
【0114】
[第4の実施形態]
本実施形態では、使用する高色材の種類に応じて、上記の閾値Th_cを変更する。これは、高色材の種類によって吸収する成分の含有量が異なっており、この成分の含有量によって、複製物の生成が困難となる色材使用量の閾値が変わってくるためである。
【0115】
使用する高色材の種類に応じて閾値Th_cを変更する画像処理装置13の機能構成例について、図1(c)のブロック図を用いて説明する。図1(c)に示した各構成要件のうち、図1(a)に示した構成要件と同じものについては同じ参照番号を付しており、この構成要件についての説明は省略する。図1(c)に示す構成は、図1(a)に示した構成に色材保持部110を追加した構成となっている。この色材保持部110には、印刷装置で用いられている高色材の種類を示す情報が登録されている。
【0116】
また、第1の実施形態では、閾値保持部104が保持する閾値Th_cは、高色材の種類に関係なく1種類のみであった。これに対し、本実施形態では、図13に示す如く、高色材の種類ごとに、対応する閾値Th_cが登録されたテーブル情報を保持している。例えば、高色材が色材1である場合、対応する閾値としてTh_c1が登録されている。また、高色材が色材2である場合、対応する閾値としてTh_c2が登録されている。
【0117】
然るに構成情報生成部103は、印刷装置で用いられている高色材の種類を示す情報を色材保持部110から取得し、取得した情報が示す種類に対応する閾値Th_cを図13のテーブル情報から取得する。以降の処理は第1の実施形態と同様である。
【0118】
[第5の実施形態]
第1、第2の実施形態では、第1の潜像領域は高色材の使用量が閾値より大きい画素のみで構成されており、第2の潜像領域は高色材の使用量が閾値以下の画素のみで構成されているものとした。
【0119】
しかし、例えば、図6(f)に示すように、第1の潜像領域に高色材の使用量が閾値Th_c以下の画素が含まれていてもよい。また、第2の潜像領域に高色材の使用量が閾値Th_cより大きい画素が含まれていてもよい。なお、図6(f)は両方を実現した図であるが、もちろん一方だけを実現してもよい。
【0120】
結局のところ、第1の潜像領域は、高色材の使用量が閾値より大きい画素が、所定の割合より多ければよい。また、第2の潜像領域は、高色材の使用量が閾値以下の画素が、所定の割合より多ければよい。
【0121】
ここで、単位面積の1辺のサイズをUsとし、高色材の使用量が閾値Th_cより大きい画素数をN1、高色材の使用量が閾値Th_c以下の画素数をN2とする。また、第1の潜像領域における高色材の使用量が閾値より大きい画素の所定の割合をR1、第2の潜像領域における高色材の使用量が閾値以下の画素の所定の割合をR2とする。このとき、以下の条件を満たすように形成情報Ifを生成する。
【0122】
N1/(Us×Us)>R1
N2/(Us×Us)>R2
なお、以降の処理は第1の実施形態と同様である。また、上記の各実施形態は一部若しくは全部を適宜組み合わせて用いてもよいし、上記の実施形態の一部を削除して単独で若しくは他の実施形態と組み合わせて用いてもかまわない。
【0123】
[第6の実施形態]
図1(a)〜(c)に示した画像処理装置11〜13を構成する各部はハードウェアで構成しても良い。しかし、色情報保持部106、閾値保持部104、色材保持部110をメモリを用いて実装し、設定部108をボタンや表示画面で実装し、それ以外の各部をソフトウェアで実装しても良い。この場合、このメモリ及びボタンや表示画面を有し、且つこのソフトウェアを実行するコンピュータには、図12に示すような構成を有するコンピュータ199を適用することができる。
【0124】
なお、図12には、コンピュータ199のハードウェア構成例だけでなく、その周辺機器についても示している。しかし、その周辺機器は適宜コンピュータ199の構成に含めてもよいし、場合によっては省いてもよい。
【0125】
ディスプレイ1205は、CRTや液晶画面などにより構成されており、CPU1201による処理結果を画像や文字などでもって表示することができる。ディスプレイ1205の動作制御はディスプレイ制御装置1204により行われる。
【0126】
CPU1201はROM1203やRAM1202に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いてコンピュータ199全体の動作制御を行うと共に、画像処理装置11〜13が行うものとして上述した各処理を実行する。
【0127】
ROM1203にはコンピュータ199の設定データやブートプログラムなどが格納されている。ROM1203は色情報保持部106、閾値保持部104、色材保持部110、等として機能させても良い。
【0128】
RAM1202は、外部記憶装置1208からロードされたコンピュータプログラムやデータを一時的に記憶する為のエリア、I/O1213を介してスキャナ1212から入力された画像データを一時的に記憶するためのエリアを有する。更にRAM1202は、他のコンピュータシステム1214からI/F(インターフェース)1215を介して受信した様々なデータを一時的に記憶するためのエリア、CPU1201が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。即ちRAM1202は、各種のエリアを適宜提供することができる。
【0129】
外部記憶装置1208は、大容量情報記憶装置として機能するものであり、I/O1209を介してバス1216に接続されている。外部記憶装置1208には、OS(オペレーティングシステム)や、コンピュータ199を適用する装置が有する各部(ハードウェアで実装するものは除く)の機能をCPU1201に実行させるためのコンピュータプログラムやデータが保存されている。更に外部記憶装置1208には、上記の説明で予め設定された値として説明したデータも保存されている。外部記憶装置1208に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU1201による制御に従って適宜RAM1202にロードされ、CPU1201による処理対象となる。なお、外部記憶装置1208は、色情報保持部106、閾値保持部104、色材保持部110、等として機能させても良い。
【0130】
I/F1211には印刷装置としてのプリンタ1210が接続されており、コンピュータ199はこのI/F1211を介して、印刷画像の各画素についてc、m、y、kのそれぞれの使用量をプリンタ1210に送信する等、通信を行う。プリンタ1210は、例えばインクジェットプリンタ、レーザビームプリンタ、熱転写型プリンタ、ドットインパクトプリンタなどの印刷装置である。
【0131】
操作入力デバイス1206はキーボーやマウスなどの入力インターフェースにより構成されており、ユーザが操作することで、各種の指示をCPU1201に対して入力することができる。この操作入力デバイス1206は、I/O1207を介してバス1216に接続されている。
【0132】
なお、図12に示した構成は、画像処理装置11〜13に適用可能なコンピュータの構成の一例に過ぎず、図12に示した構成に適宜新たな構成を追加しても良いし、図12に示した構成のうち適当な構成用件を状況に応じて省いても良い。また、1つの構成用件が担っている作業のうち一部を他の構成用件に分担させても良い。
【0133】
なお、スキャンや印刷を除く処理をコンピュータにより行ってもよいし、スキャナやプリンタ内部の専用のハードウェア回路を用いて、コンピュータで行う処理を代行しても良い。
【0134】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体上の情報を複写する機器が複写可能な最小画素数を保持する手段と、
潜像領域、背景領域のうち一方を第1の領域、他方を第2の領域とした場合に、該第1の領域と該第2の領域とから成る潜像画像を取得する手段と、
入力画像を取得する手段と、
印刷装置で用いる複数色の色材のうち最も赤外線吸収率が高い色材を高色材とし、該高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値よりも大きい値を有する前記最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値よりも低い値を有する複数の配列要素と、から成る規定サイズの2次元配列を生成し、該生成した2次元配列から前記潜像画像と同サイズの2次元配列を2次元形成配列として生成する生成手段と、
前記潜像画像において、前記第1の領域に属している画素位置における画素の画素値を、前記2次元形成配列中の該画素位置における値に置き換えた画像を、構成画像として生成する手段と、
前記入力画像中の各画素位置について、該画素位置における画素を印刷するために用いる前記複数色の色材の使用量を前記印刷装置に出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、前記入力画像中の各画素位置について、前記構成画像中の該画素位置における画素値を、前記入力画像中の該画素位置における画素を印刷するために使用する高色材の使用量として出力する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記閾値は予め設定された値であり、前記高色材を用いて印刷した印刷領域と前記高色材を用いずに印刷した印刷領域とを前記機器を用いて複写し、該複写したそれぞれの印刷領域を赤外光下で赤外線カメラを用いて観察した場合に該複写したそれぞれの印刷領域の明度差を目視し難くするような、前記高色材の単位面積あたりの使用量の上限値であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記閾値よりも低い値を有する複数の配列要素のそれぞれの値の総和は予め定められた閾値以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記閾値よりも低い値を有する複数の配列要素は、それぞれ同じ値を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記閾値よりも低い値を有する複数の配列要素は、それぞれ異なる値を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記閾値よりも低い値を有する複数の配列要素において、隣接するそれぞれの配列要素の値の差は閾値以下であることを特徴とする請求項3又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記閾値よりも大きい値を有する前記最小画素数よりも少ない数の配列要素が有する値のうちの最大値と、前記閾値よりも低い値を有する複数の配列要素が有する値のうちの最小値と、の差は閾値以下であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
印刷媒体上の情報を複写する機器が複写可能な最小画素数を保持する情報処理装置が行う情報処理方法であって、
前記情報処理装置の第1の取得手段が、潜像領域、背景領域のうち一方を第1の領域、他方を第2の領域とした場合に、該第1の領域と該第2の領域とから成る潜像画像を取得する工程と、
前記情報処理装置の第2の取得手段が、入力画像を取得する工程と、
前記情報処理装置の第1の生成手段が、印刷装置で用いる複数色の色材のうち最も赤外線吸収率が高い色材を高色材とし、該高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値よりも大きい値を有する前記最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値よりも低い値を有する複数の配列要素と、から成る規定サイズの2次元配列を生成し、該生成した2次元配列から前記潜像画像と同サイズの2次元配列を2次元形成配列として生成する生成工程と、
前記情報処理装置の第2の生成手段が、前記潜像画像において、前記第1の領域に属している画素位置における画素の画素値を、前記2次元形成配列中の該画素位置における値に置き換えた画像を、構成画像として生成する工程と、
前記情報処理装置の出力手段が、前記入力画像中の各画素位置について、該画素位置における画素を印刷するために用いる前記複数色の色材の使用量を前記印刷装置に出力する出力工程とを備え、
前記出力工程では、前記入力画像中の各画素位置について、前記構成画像中の該画素位置における画素値を、前記入力画像中の該画素位置における画素を印刷するために使用する高色材の使用量として出力する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
印刷媒体上の情報を複写する機器が複写可能な最小画素数を保持する手段と、
潜像領域、背景領域のうち一方を第1の領域、他方を第2の領域とした場合に、該第1の領域と該第2の領域とから成る潜像画像を取得する手段と、
入力画像を取得する手段と、
印刷装置で用いる複数色の色材のうち最も赤外線吸収率が高い色材を高色材とし、該高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値よりも大きい値を有する前記最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値よりも低い値を有する複数の配列要素と、から成る規定サイズの2次元配列を生成し、該生成した2次元配列から前記潜像画像と同サイズの2次元配列を2次元形成配列として生成する生成手段と、
前記潜像画像において、前記第1の領域に属している画素位置における画素の画素値を、前記2次元形成配列中の該画素位置における値に置き換えた画像を、構成画像として生成する手段と、
前記入力画像中の各画素位置について、該画素位置における画素を印刷するために用いる前記複数色の色材の使用量を前記印刷装置に出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、前記入力画像中の各画素位置について、前記構成画像中の該画素位置における画素値を、前記入力画像中の該画素位置における画素を印刷するために使用する高色材の使用量として出力する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記閾値は予め設定された値であり、前記高色材を用いて印刷した印刷領域と前記高色材を用いずに印刷した印刷領域とを前記機器を用いて複写し、該複写したそれぞれの印刷領域を赤外光下で赤外線カメラを用いて観察した場合に該複写したそれぞれの印刷領域の明度差を目視し難くするような、前記高色材の単位面積あたりの使用量の上限値であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記閾値よりも低い値を有する複数の配列要素のそれぞれの値の総和は予め定められた閾値以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記閾値よりも低い値を有する複数の配列要素は、それぞれ同じ値を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記閾値よりも低い値を有する複数の配列要素は、それぞれ異なる値を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記閾値よりも低い値を有する複数の配列要素において、隣接するそれぞれの配列要素の値の差は閾値以下であることを特徴とする請求項3又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記閾値よりも大きい値を有する前記最小画素数よりも少ない数の配列要素が有する値のうちの最大値と、前記閾値よりも低い値を有する複数の配列要素が有する値のうちの最小値と、の差は閾値以下であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
印刷媒体上の情報を複写する機器が複写可能な最小画素数を保持する情報処理装置が行う情報処理方法であって、
前記情報処理装置の第1の取得手段が、潜像領域、背景領域のうち一方を第1の領域、他方を第2の領域とした場合に、該第1の領域と該第2の領域とから成る潜像画像を取得する工程と、
前記情報処理装置の第2の取得手段が、入力画像を取得する工程と、
前記情報処理装置の第1の生成手段が、印刷装置で用いる複数色の色材のうち最も赤外線吸収率が高い色材を高色材とし、該高色材の単位面積あたりの使用量の上限値として予め定められた閾値よりも大きい値を有する前記最小画素数よりも少ない数の配列要素と、該閾値よりも低い値を有する複数の配列要素と、から成る規定サイズの2次元配列を生成し、該生成した2次元配列から前記潜像画像と同サイズの2次元配列を2次元形成配列として生成する生成工程と、
前記情報処理装置の第2の生成手段が、前記潜像画像において、前記第1の領域に属している画素位置における画素の画素値を、前記2次元形成配列中の該画素位置における値に置き換えた画像を、構成画像として生成する工程と、
前記情報処理装置の出力手段が、前記入力画像中の各画素位置について、該画素位置における画素を印刷するために用いる前記複数色の色材の使用量を前記印刷装置に出力する出力工程とを備え、
前記出力工程では、前記入力画像中の各画素位置について、前記構成画像中の該画素位置における画素値を、前記入力画像中の該画素位置における画素を印刷するために使用する高色材の使用量として出力する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図9】
【公開番号】特開2013−58866(P2013−58866A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195346(P2011−195346)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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