説明

画像処理装置、画像処理装置制御方法、及び画像処理システム

【課題】医用画像の画像処理アプリケーションが異なっても、統一した画面及び入出力を用いて各画像処理アプリケーションを表示させる画像処理装置を提供する。
【解決手段】複数の画像処理アプリケーション100を実行する実行処理部002と、複数の画像処理アプリケーション100が有する固有の入力画面を構成する固有構成要素、共通の入力画面における構成要素、及び固有構成要素の処理内容に対応する変換後の処理方法と、が記載された変換テーブルを予め記憶している変換テーブル記憶部001と、特定の前記画像処理アプリケーション100からの固有の入力画面の表示要求を受けて共通の入力画面を生成する入力画面生成部003と、入力部007からの共通の入力画面の構成要素に対する入力を受けて、変換テーブルを参照し、対応する変換後の処理方法に基づいて処理を行い実行処理部002へ出力する入力情報管理部008とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なる種類の画像処理アプリケーションの入出力画面を統一的な画面に変換して情報端末に表示させる画像処理装置並びにその制御方法、及び画像処理システムに関する。特に、医用画像の解析処理などを行う医用画像の画像処理アプリケーションの入出力画面を表示させる画像処理装置並びにその制御方法、及び画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、超音波診断装置、X線CT装置、及びMRI装置などの医用画像診断装置から出力された画像について、医用画像の画像処理アプリケーション(医用画像解析プログラム)を使用して医用画像を解析することによる診断行為が行われている。このような医用画像の解析などを行う画像処理アプリケーションの分野においては、各専門分野においてそれぞれ異なる業界標準の画像処理アプリケーションが存在している。
【0003】
各画像処理アプリケーションにおいて、それぞれ独自のアルゴリズムを用いた検証や臨床評価がなされ、それぞれの画像処理アプリケーション毎に操作性や視認性(入力画面など)に対する操作者の慣れに基づく評判や信頼性が確立されていることが多い。
【0004】
また、各画像処理アプリケーションは他の画像処理アプリケーションとの共存が考慮されていない場合であって、一つの画像処理アプリケーションに対して1台の医用情報端末(PCやワークステーションなど)を要求することがある。すなわち、既に画像処理アプリケーションがインストールされている医用情報端末には他の画像処理アプリケーションをインストールできないことがある。
【0005】
さらに、それぞれの画像処理アプリケーションは医用情報端末の画面を占有することが多く、他の画像処理アプリケーションとの同時操作を行うことが困難である。
【0006】
以上のような背景から、医用画像の画像処理アプリケーションの医用画像診断装置との連携を考えると以下のような問題が考えられる。
【0007】
第1の問題として、新たなオリジナルの医用画像の画像処理アプリケーションは操作性や視認性に対する操作者の慣れがなく評判や信頼性が確立されていないため、そのような画像処理アプリケーションを新規導入することは困難である。
【0008】
第2の問題として、医用画像の画像処理アプリケーションはそれぞれ必要環境、動作における制約、アーキテクチャが異なるため、購入したそのままの形で医用画像診断装置に複数導入することは困難である。また、複数導入するとしても各画像処理アプリケーションにおいて改造が必要になるなどコストや時間がかかる。
【0009】
第3の問題として、各医用画像の画像処理アプリケーションは、それぞれ独自に開発されているため操作性が統一されていない。
【0010】
第4の問題として、医用画像の画像処理アプリケーションへの入出力形態がそれぞれ異なるため、操作が重複し煩雑となる。例えば、複数の医用画像の画像処理アプリケーションを操作する場合、それぞれの画像処理アプリケーション毎に患者情報を入力しなければならなくなってしまう。
【0011】
第5の問題として、医用画像の画像処理アプリケーション毎に医用情報端末を設置しなければならず、それぞれの画像処理アプリケーションを使用する場所や機会が制限されてしまう。
【0012】
従来、グラフィックハードウェアに仮想マシンを適用するシステム(例えば、特許文献1参照。)などといった、アプリケーションの実行を一元的に管理するためのサーバを設け、該サーバに複数の仮想のOSを立ち上げて、そのOS上で各アプリケーションの環境を切り離して実行する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−190281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記特許文献1に記載された技術などによれば、画像処理アプリケーションは医用画像診断装置上でなくサーバである医用情報管理装置上で動作するため、医用画像診断装置上での動作検証などが必要なくなり上述した第1の問題の信頼性の問題は軽減できる。また、画像処理アプリケーションが医用情報管理装置上の仮想OS上で動作するため、複数の画像処理アプリケーションを同時に操作することができる。また、画像処理アプリケーションを各医用画像診断装置用に改造する必要もなくなる。これにより、第2の問題も解決できる。さらに、それぞれの画像処理アプリケーションは1台のサーバで動作することになり、その医用情報管理装置に接続することで各画像処理アプリケーションを使用できるため、場所及び機会の制限が緩和される。これにより、第5の問題も解決できる。
【0015】
しかし、特許文献1に記載されたような技術を使用しても、単に同じユーザインタフェースを用いるだけであり、入力などの操作イベントを適切にアプリケーションに入力することができないため、画像処理アプリケーション毎の操作性を統一することは困難であり、また、操作の重複などの煩雑性を軽減することも困難である。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、画像処理アプリケーションが異なっても操作者が使用するユーザインタフェース上において統一した画面及び入出力を用いて各画像処理アプリケーションを表示させる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、外部から組み込まれた複数の画像処理アプリケーションを実行する実行処理手段と、前記複数の画像処理アプリケーションが有する固有の入力画面を構成する少なくとも1つ以上の入力欄を含む固有構成要素、前記複数の画像処理アプリケーションに対応する共通の入力画面における前記各固有構成要素に対応する共通構成要素、及び前記各固有構成要素の種類に応じて行われる処理内容に対応する前記共通の入力画面における処理方法と、が記載された変換テーブルを予め記憶している変換テーブル記憶手段と、前記実行処理手段が実行している特定の前記画像処理アプリケーションからの前記固有の入力画面の表示要求を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記共通の入力画面を生成する入力画面生成手段と、表示手段と、操作手段と、前記共通の構成要素を含む前記共通の入力画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、前記操作手段からの特定の前記共通の入力画面の共通構成要素に対する入力を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記特定の共通の入力画面の共通構成要素に対応する前記変換後の処理方法に基づいて処理を行い前記特定の画像処理アプリケーションを実行している前記実行処理手段へ出力する入力情報管理手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項2に記載の画像処理装置は、外部から組み込まれた複数の画像処理アプリケーションを実行する実行処理手段と、前記複数の画像処理アプリケーションが有する固有の入力画面を構成する少なくとも1つ以上の入力欄を含む固有構成要素、前記複数の画像処理アプリケーションに対応し、かつ少なくとも2つのアプリケーション分の入力が行える1つの共通の入力画面における前記各固有構成要素に対応する共通構成要素、及び前記各固有構成要素の種類に応じて行われる処理内容に対応する前記共通の入力画面における処理方法と、が記載された変換テーブルを予め記憶している変換テーブル記憶手段と、前記実行処理手段が実行している少なくとも2つの前記画像処理アプリケーションからの前記固有の入力画面の表示要求を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記共通の入力画面を生成する入力画面生成手段と、表示手段と、操作手段と、前記共通の入力画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、前記共通の入力画面を用いた操作者からの特定の共通構成要素に対する入力を受けて、該入力がいずれの前記画像処理アプリケーションに対する入力かを判定する判定手段と、前記操作手段からの入力を基に、前記前記変換テーブルを参照し、前記特定の共通構成要素に対応する前記処理方法に基づいて処理を行い前記実行処理手段に出力し前記判定した画像処理アプリケーションを用いて処理させる入力情報管理手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
請求項4に記載の画像処理装置制御方法は、外部から組み込まれた複数の画像処理アプリケーションが有する固有の入力画面を構成する少なくとも1つ以上の入力欄を含む固有構成要素、前記複数の画像処理アプリケーションに対応する共通の入力画面における前記各固有構成要素に対応する共通構成要素、及び前記各固有構成要素の種類に応じて行われる処理内容に対応する前記共通の入力画面における処理方法と、が記載された変換テーブルを予め記憶する変換テーブル記憶段階と、特定の前記画像処理アプリケーションを実行する実行処理段階と、前記特定の画像処理アプリケーションからの前記固有の入力画面の表示要求を受けて前記変換テーブルを参照し、前記共通の入力画面を生成する入力画面生成段階と、前記共通の入力画面を表示させる表示制御段階と、操作者からの特定の前記共通の入力画面の共通構成要素に対する入力を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記特定の共通の入力画面の共通構成要素に対応する前記変換後の処理方法に基づいて処理を行い前記特定の画像処理アプリケーションに処理後のデータを送信する入力情報管理段階と、前記処理後のデータを前記特定の画像処理アプリケーションで処理させる段階と、を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項5に記載の画像処理システムは、情報端末と画像処理装置がネットワークを介して接続されている画像処理システムであって、前記情報端末は、表示手段及び操作手段を含むユーザインタフェースを備え、前記画像処理装置は、外部から組み込まれた複数の画像処理アプリケーションを実行する実行処理手段と、前記複数の画像処理アプリケーションが有する固有の入力画面を構成する少なくとも1つ以上の入力欄を含む固有構成要素、前記複数の画像処理アプリケーションに対応する共通の入力画面における前記各固有構成要素に対応する共通構成要素、及び前記各固有構成要素の種類に応じて行われる処理内容に対応する前記共通の入力画面における処理方法と、が記載された変換テーブルを予め記憶している変換テーブル記憶手段と、前記実行処理手段が実行している特定の前記画像処理アプリケーションからの前記固有の入力画面の表示要求を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記共通の入力画面を生成する入力画面生成手段と、前記共通の構成要素を含む前記共通の入力画面を前記情報端末の前記表示手段に表示させる表示制御手段と、前記情報端末の前記操作手段からの特定の前記共通の入力画面の共通構成要素に対する入力を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記特定の共通の入力画面の共通構成要素に対応する前記変換後の処理方法に基づいて処理を行い前記特定の画像処理アプリケーションを実行している前記実行処理手段へ出力する入力情報管理手段と、を備えている、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の画像処理装置、請求項4に記載の画像処理装置制御方法、及び請求項5に記載の画像処理システムによると、様々な画像処理アプリケーションの入力画面を変換し同じ形式の入力画面として表示する構成である。これにより、統一した入力画面を用いて画像処理アプリケーションの操作を行うことが可能となる。したがって、どのようなアプリケーションを使用しても操作者は慣れた操作性及び視認性を有する入力画面で操作を行うことができ、迅速で適確な画像処理に寄与することが可能となる。
【0022】
請求項2に記載の画像処理装置によると、2つ以上の画像処理アプリケーション分の入力を1つの共通した入力画面で操作することができる構成である。これにより、1つの統一された共通の入力画面で2つ以上の画像処理アプリケーションを同時に操作することが可能となり、より、画像処理の操作性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る画像処理装置のブロック図
【図2】変換テーブルの一例の図
【図3】ボタンの一例の図
【図4】ラジオボタンの一例の図
【図5】第1の実施形態に係る画像処理装置における共通の入力画面の生成及び情報の入力のフローチャートの図
【図6】第2の実施形態における共通の入力画面の生成を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1の実施形態〕
以下、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置について説明する。図1は本実施形態に係る画像処理装置の機能を表すブロック図である。ただし、点線で囲われた機能部については第2の実施形態で説明する。
【0025】
変換テーブル記憶部001は、ハードディスクやメモリなどの記憶媒体で構成されている。そして、変換テーブル記憶部001には、本実施形態に係る画像処理装置で動作する複数の画像処理アプリケーション100が有する固有の入力画面を統一した共通の入力画面に変換するために必要な情報が記載された変換テーブルを記憶している。そこで、次にこの変換テーブルを詳細に説明する。ここで、アプリケーションとは複数のプログラムで構成されている特定の作業を行うためのソフトウェアである。図2は、本実施形態に係る変換テーブルの一例を示す図である。この変換テーブル記憶部001が本発明における「
変換テーブル記憶手段」にあたる。
【0026】
各医用画像の画像処理アプリケーション100はそのアプリケーションによって規定されているそのアプリケーション用の固有の入力画面を有している。そして、個々の固有の入力画面には、入力欄や画像表示欄といった固有の入力画面に含まれる構成要素で構成されている。言い換えれば構成要素の組み合わせによって入力画面は形成されている。この、固有の入力画面に含まれる個々の構成要素は、プログラムで規定されている。そして、プログラムで規定される内容としては、まず固有の入力画面に含まれる各構成要素は固有の入力画面における表示場所を規定する座標がある。また、その座標に表示する表示物の形状がある。さらに、各構成要素において実行される処理内容がある。例えば、上述した構成要素の一例である入力欄には、(1)ボタンを押すことにより特定の命令を入力する入力欄、(2)直接文字列を入力する入力欄、又は(3)表示されたリストから入力する文字列を指定することで入力を行う入力欄といった様々な種類の入力欄が存在する。(1)の場合には表示物の形状はボタンであり、処理内容はボタンをクリックされたときに特定の命令を送信する処理である。(2)の場合には表示物の形状は四角い枠で囲まれた入力欄であり、処理内容は入力された文字列を確定命令を受けたときに出力する処理である。(3)の場合には表示物の形状はリスト(例えば、ドロップダウンによって表示されるリスト)であり、処理内容はリストをクリックされたときにドロップダウンで選択項目を表示する処理、及び表示した選択項目のうち特定の項目が選択された時に選択項目を出力する処理である。変換テーブルには、ここで説明した固有の入力画面における各構成要素(以下では、「固有構成要素」という。)と、それに対応する変換後の共通の入力画面における各構成要素(以下では、「共通構成要素」という。)とが記載されている。
【0027】
ここで、まず変換テーブルに記載されている固有の入力画面側の情報(固有の入力画面を構成する構成要素の情報など)を説明する。変換テーブルには、まず各画像処理アプリケーション100がいずれのアプリケーションであるかを表す識別情報であるアプリケーションID201が記載されている。そして、変換テーブルには、各アプリケーションの固有の入力画面を構成する構成要素毎に行が設けられている。そして、変換テーブルには、固有の入力画面における各構成要素の識別情報である固有構成要素ID202が構成要素毎に記載されている。さらに、変換テーブルには、固有構成要素毎に該固有構成要素を固有の入力画面に表示する場合の座陽情報である固有の入力画面の座標情報203が記載されている。さらに、変換テーブルには、固有構成要素毎に該固有構成要素の処理の種類を含む表示物の形状を表す変換前コントロール種204が記載されている。この変換前コントロール種204が本発明における「処理内容」にあたる。
【0028】
次に、変換テーブルに記載されている共通の入力画面側の情報(前述した固有構成要素に対応する共通構成要素の情報)を説明する。変換テーブルには、固有の入力画面の構成要素を変換した変換後の共通の入力画面の共通構成要素の識別情報である共通構成要素IDが記載されている。さらに、変換テーブルには、共通構成要素毎に該共通構成要素の処理の種類を含む表示物の形状をあらわす変換後コントロール種207が記載されている。さらに、変換テーブルには、共通構成要素における処理から固有構成要素における処理への変換方法である変換アルゴリズム208が記載されている。この変換後コントロール種207及び変換アルゴリズム208を合わせたものが本発明における「変換後の処理方法」にあたる。ここで、変換アルゴリズム208の具体例を説明する。図2に記載されている「単純移動」は、表示画像などを大きさの変更を伴わずに画面上の位置を移動させるアルゴリズムである。また、「拡大、移動」は表示画像などの大きさを拡大するとともに画面上の位置を移動させるアルゴリズムである。また、「API」は、その画像処理アプリケーション100がアプリケーション機能を外部から操作するためのAPI(Application Program Interface)を有している場合の特定の処理をユーザインタフェース005と画像処理アプリケーション100との間で通信するためのアルゴリズムである。すなわち、「API」では、共通の入力画面で行われる操作者の操作を後述する入力情報管理部008で画像処理アプリケーション100が使用可能な情報に変換し、その情報によりAPIを使用して直接画像処理アプリケーション100を動作させる。また、APIを有する画像処理アプリケーション100の情報をAPIで取得し、その状態を共通の入力画面に変換又は再構成されたコントロールの状態として反映する。反対に、「画像認識」は、その画像処理アプリケーション100がアプリケーション機能を外部から操作するためのAPIを有していない場合の特定の処理をユーザインタフェース005と画像処理アプリケーション100との間で通信するためのアルゴリズムである。「画像認識」では、画像処理アプリケーション100から得られる固有の入力画面における画像情報(これは実際には画像として表示はされないが、画像処理アプリケーション100からこの様に表示するという命令を受けたときの情報を指す。)と共通の入力画面での操作者による操作を用いてデータのやり取りを行う。すなわち、「画像認識」では、画像処理アプリケーション100の固有の入力画面における対象としている構成要素の状態(例えば、ボタンが押されているか、チェックが付いているか等)を画像認識により判断し、その状態を共通の入力画面上に再構成又は変換して表示する。この画像認識は画像処理アプリケーション100の構成要素毎に画像パターン認識などの技術を使用して行う。たとえば、図3はボタンの一例の図であり、図3(A)の画像はボタンが「OFF」の状態、図3(B)の画像はボタンが「ON」の状態を示す図である。この状態の画像を予めその画像が示す内容と対応させて記憶しておき、画像処理アプリケーション100の固有の入力画面の画像情報を取得した際に、記憶している画像と比較して、画像処理アプリケーション100が現在どのような状態にあるかを判断し、それを基に共通画面の画像を表示する。また、ユーザインタフェース005を用いた操作者による入力を入力情報管理部008で画像処理アプリケーション100の固有の入力画面上でキーボードやマウスを使って行われる操作に変換されて送信される。これは、OS上で操作者が画像処理アプリケーション100を直接操作することと等価となる。そして、共通の入力画面ではどのような画像処理アプリケーション100においても、入力領域のおおよその場所が統一されて配置される。例えば、階調の調整の入力を行う領域は入力画面の左下、画像の大きさの変更や回転の入力を行う領域は入力画面の右端といったように、特定の入力領域が画像処理アプリケーション100の種類に依存せずに常に入力画面のほぼ同じ場所に表示されることとなる。
【0029】
実行処理部002は、CPUなどの演算処理部およびハードディスクやメモリなどの記憶部(いずれも不図示。)を有している。実行処理部002は、その記憶部に医用画像を処理する画像処理アプリケーション100を1つ又は複数種類記憶している。本実施形態に係る画像処理アプリケーション100は、医用画像の解析などを行うアプリケーションである。医師などの操作者(以下では、単に「操作者」という。)は入力部007を使用して、実行処理部002に記憶されている画像処理アプリケーション100のうち使用する画像処理アプリケーション100を指定し、該画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201(図2参照)及び実行命令を統括制御部009に入力する。実行処理部002は、特定の画像処理アプリケーション100の実行命令を受けた統括制御部009から該画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201及び実行命令の入力を受ける。実行処理部002は、実行命令を受けた画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201を取得する。ここで、以下の説明ではアプリケーションID201としてAを受けたものとして説明する。実行処理部002は、取得したアプリケーションID201に基づいて自己が記憶している画像処理アプリケーション100を実行する。そして、実行処理部002は、実行している画像処理アプリケーション100の処理中に、該画像処理アプリケーション100が操作者からの入力を要求した場合、実行処理部002は、入力画面生成部003に入力画面の生成要求を出力するとともに、入力の要求をした画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201である「A」を出力する。さらに、実行処理部002は、後述する入力情報管理部008が画像処理アプリケーション100への入力用に変換した操作者が共通の入力画面を用いて入力部007から入力した文字列などの入力情報を、入力情報管理部008から受信する。そして、実行処理部002は、取得した入力情報を基に、入力を要求した画像処理アプリケーション100に画像処理を行わせる。この実行処理部002が本発明における「実行処理手段」にあたる。
【0030】
入力画面生成部003は、実行処理部002から入力画面の生成要求とアプリケーションID201である「A」の入力を受ける。そして、入力画面生成部003は、取得したアプリケーションID201である「A」を基に、変換テーブル記憶部001に記憶されている変換テーブルを参照する。入力画面生成部003は、アプリケーションID201が「A」における入力画面の固有構成要素ID202を取得する。ここでは、図2に示すようにアプリケーションID201が「A」に対応する固有構成要素ID202はCID1及びCID2であるので、入力画面生成部003はCID1及びCID2を取得する。更に、入力画面生成部003は、アプリケーションID201が「A」でのCID1及びCID2に対応する固有の入力画面の座標情報203及び変換前コントロール種204を取得する。本実施形態では、入力画面生成部003は、CID1の固有の入力画面の座標情報203として(Xa1,Ya1)−(Xa2,Ya2)、CID1の変換前コントロール種204として画像表示領域、CID2の固有の入力画面の座標情報203として(Xa3,Ya3)−(Xa3,Ya3)、CID2の変換前コントロール種204としてボタン、という情報を取得する。この入力画面生成部003が本発明における「入力画面生成手段」にあたる。
【0031】
さらに、入力画面生成部003は、アプリケーションID201が「A」である入力画面のCID1という固有構成要素ID202を有する構成要素に対応する、共通構成要素205であるCCID1を取得する。そして、入力画面生成部003はCCID1の共通の入力画面の座標情報206として(Xa1,Ya1)−(Xa2,Ya2)を、CCID1の変換後コントロール種207として変更なしを、変換アルゴリズム208として単純移動を取得する。また、入力画面生成部003はCCID2の共通の入力画面の座標情報206として(Xa3,Ya3)−(Xa4,Ya4)を、CCID2の変換後コントロール種207としてラジオボタンを、変換アルゴリズム208として画像認識を取得する。ここで、一例として挙げたラジオボタンとは図4に示すような複数の選択肢を表示しておきその中から一つを選択させるボタンである。
【0032】
入力画面生成部003は、取得した変換アルゴリズム208に基づいて実行されている画像処理アプリケーション100がAPIを有しているか否かを判断する。この判断は、取得した変換アルゴリズム208の中に「API」が含まれていればその画像処理アプリケーション100はAPIを有しており、「API」が含まれていなければその画像処理アプリケーション100はAPIを有していないと判断できる。そして、入力画面生成部003は、実行されている画像処理アプリケーション100がAPIを有している場合には、入力を受け付ける固有構成要素に対してAPIにより固有の入力画面における固有構成要素の状態を取得する。実行されている画像処理アプリケーション100がAPIを有していない場合には、入力を受け付ける固有構成要素に対して固有の入力画面の座標情報206に基づいて画像認識を行い、固有の入力画面における固有構成要素の状態を取得する。
【0033】
そして、入力画面生成部003は、CID1に対して、固有の入力画面の座標(Xa1,Ya1)−(Xa2,Ya2)の位置に表示するとされている画像を、共通の入力画面の座標(Xa1,Ya1)−(Xa2,Ya2)の位置に表示するとする。また、CID2に対して、固有の入力画面に表示されている画像情報を取得し、状態を読み取り、その状態に対応したラジオボタンを共通の入力画面の座標(Xa3,Ya3)−(Xa4,Ya24)の位置に表示するよう共通の入力画面のデータを生成する。入力画面生成部003は、生成した共通の入力画面のデータを表示制御部004へ出力する。
【0034】
ここで、画像処理アプリケーション100が処理を開始して始めて入力画面の表示要求をした場合には新たな固有の入力画面が画像アプリケーションにより生成され、操作者により入力部007から入力された情報が統括制御部009を介して実行処理部002に入力された場合など入力画面の表示に変更があった場合には変更された固有の入力画面が画像アプリケーションにより生成される。そして、この様な画像処理アプリケーション100による固有の入力画面の生成が行われた場合に、その都度以上で説明した入力画面生成部003による共通の入力画面のデータの生成が行われる。
【0035】
表示制御部004は、入力画面生成部003から共通の入力画面のデータの入力を受ける。表示制御部004は、入力された共通の入力画面のデータを基にユーザインタフェース005に設けられた表示部006に共通の入力画面を表示させる。この表示制御部004が本発明における「表示制御手段」にあたる。
【0036】
ユーザインタフェース005は、医用画像や入力欄を表示するためのモニタ等の表示部006を有している。さらに、ユーザインタフェース005は、入力欄への入力や実行命令などの入力を行うためのキーボードやマウスといった入力部007を有している。操作者は、ユーザインタフェース005を用いて表示部006に表示されている画像を参照し、入力部007を用いて入力欄への入力や命令の入力を行う。この表示部006が本発明における「表示手段」にあたり、入力部007が本発明における「操作手段」にあたる。
【0037】
入力情報管理部008は、ハードディスクやメモリなどの記憶領域(不図示)を有している。そして、入力情報管理部008は、自己の記憶領域に変換アルゴリズム208毎に必要な情報の種類を記憶している。たとえば、変換アルゴリズム208が「画像認識」であれば、画像処理アプリケーション100にデータを入力するために必要な情報として、入力された共通構成要素の共通構成要素ID、及び入力された情報に対応する固有の入力画面における画像の状態の情報、変換前コントロール種204、入力された共通構成要素に対応する固有構成要素の固有構成要素ID202が入力情報管理部008に記憶されている。ここで、入力された情報に対応する固有の入力画面における画像の状態の情報を得るために、入力情報管理部008には、共通構成要素において入力された情報とそれに対応する固有の入力画面における画像の状態とが対応させて記憶されている。具体的には、例えば、図4(A)のようにラジオボタンでOFFを選択した場合に入力されるOFFの情報に対応する図3(A)のような状態のボタンが記憶されている。逆に、図4(B)のようなラジオボタンでONを選択し入力した場合に入力されるONの情報に対応する図3(B)のような状態のボタンが記憶されている。変換アルゴリズム208が「API」の場合には、画像処理アプリケーション100にデータを入力するために必要な情報として、入力を受けた共通構成要素に対応する固有構成要素の固有構成要素ID202及び入力された情報が、入力情報管理部008に記憶されている。この入力情報管理部008が本発明における「入力情報管理手段」にあたる。
【0038】
入力情報管理部008は、入力部007から入力された入力情報を受信する。入力情報管理部008は、入力された情報を受信すると統括制御部009から入力が行われた画像処理アプリケーション100の識別情報「A」及び共通構成要素ID205の入力を受ける。そして入力情報管理部008は、実行されている画像処理アプリケーション100がAPIを有しているか否かを判断する。この判断も変換アルゴリズム208が「API」であるか否かで行える。ここでは、操作者によってラジオボタンによる入力が行われているので共通構成要素ID205としてはCCID2が入力される。そして、入力情報管理部008は、アプリケーションID201が「A」で且つ共通構成要素ID205が「CCID2」に対応する変換アルゴリズム208として「画像認識」を取得する。そして、入力情報管理部008は、アプリケーションID201が「A」の画像処理アプリケーション100がAPIを有していないと判断する。
【0039】
そして、入力情報管理部008は、自己が記憶している変換アルゴリズム208毎の必要な情報の種類を基に、変換テーブルから必要な情報を取得する。具体的には、「画像認識」の場合は上述したように、入力された情報に対応する固有の入力画面における画像の状態の情報、変換前コントロール種204、入力された共通構成要素に対応する固有構成要素の固有構成要素ID202が必要である。そこで、入力情報管理部008は、入力されたアプリケーションID201である「A」及び共通構成要素ID205である「CCID2」を基に、変換テーブル記憶部001に記憶されている変換テーブルを参照し、アプリケーションID201が「A」で且つ共通構成要素ID205が「CCID2」に対応する固有構成要素ID202を取得する。ここでは、図2に示すようにアプリケーションID201が「A」で且つ共通構成要素ID205が「CCID2」に対応する固有構成要素ID202はCID2であるので、入力情報管理部008はCID2を取得する。更に、入力情報管理部008は、アプリケーションID201が「A」で且つ固有構成要素ID202が「CID2」に対応する変換前コントロール種204を取得する。本実施形態では、CID2の変換前コントロール種204として「ボタン」、という情報を取得する。
【0040】
そして、入力情報管理部008は、入力された入力情報に対応する固有構成要素の状態の情報を取得する。具体的には、操作者がCCID2の共通構成要素のラジオボタンを図4(B)のようにONを選択して入力を行った場合、入力情報管理部008は、ONの入力情報を受けるため、CID2のボタンが図3(B)に示すようなONになった状態の画像を取得する。そして、入力情報管理部008は、固有構成要素の状態の情報、ここではCID2のボタンがONになった状態の情報、を実行処理部002へ出力する。
【0041】
以上では変換アルゴリズム208が「画像認識」の場合を説明したが、次に、変換アルゴリズム208が「API」の場合を説明する。「API」の場合は上述したように、入力を受けた共通構成要素に対応する固有構成要素の固有構成要素ID202及び入力された情報が必要である。そこで、入力情報管理部008は、入力された共通構成要素の共通構成要素ID205を基に、変換テーブル記憶部001に記憶されている変換テーブルを参照し、対応する固有構成要素の固有構成要素ID202を取得する。そして、入力情報管理部008は、固有構成要素ID202及び入力された情報を実行処理部002へ出力する。
【0042】
統括制御部009は、CPUを有する。統括制御部009は、各機能部間の情報の受け渡し、及び動作のタイミングなどの制御を統括して行う。
【0043】
次に、図5を参照して本実施形態に係る画像処理装置における共通の入力画面の生成及び情報の入力の流れを説明する。ここで、図5は本実施形態に係る画像処理装置における共通の入力画面の生成及び情報の入力のフローチャートの図である。
【0044】
ステップS001:操作者により、入力部007から特定の医用画像の画像処理アプリケーション100の実行命令が入力され、実行処理部002は、該実行命令を受けて指定された医用画像の画像処理アプリケーション100を開始する。
【0045】
ステップS002:指定された医用画像の画像処理アプリケーション100を実行している実行処理部002から、入力画面の表示又は更新要求が実行されている画像処理アプリケーション100の識別情報であるアプリケーションID201と共に入力画面生成部003へ出力される。
【0046】
ステップS003:入力画面生成部003は、実行処理部002から入力された入力画面の表示又は更新要求を受けて、実行処理部002から入力されたアプリケーションID201を基に、変換テーブル記憶部001に記憶されている変換テーブルを参照する。そして、入力画面生成部003は、対応する固有の入力画面を構成する各構成要素の固有構成要素ID202、固有の入力画面の座標情報203、並びに変換前コントロール種204、及び対応する共通構成要素ID、共通の入力画面の座標情報206、変換後コントロール種207、並びに変換アルゴリズム208を取得する。
【0047】
ステップS004:入力画面生成部003は、取得した変換アルゴリズム208を検索し、「API」が含まれているか否かを判断する。ここで、実行処理部002からの表示要求は入力画面であるため必ず、入力欄が存在し、それに対応する固有構成要素及び共通構成要素では変換アルゴリズム208として「API」又は「画像認識」のいずれかである。そこで、「API」が変換アルゴリズム208に含まれている場合にはその画像処理アプリケーション100がAPIを有していることとなり、「API」が含まれていない場合にはその画像処理アプリケーション100がAPIを有さず画像認識を行わなければならないことがわかる。そこで、取得した変換アルゴリズム208の中に「API」が含まれている場合には、ステップS005に進み、取得した変換アルゴリズム208の中に「API」が含まれていない場合にはステップS006へ進む。また、本実施形態では変換アルゴリズム208を基に、実行されている医用画像の画像処理アプリケーション100がAPIを有しているか否かを判断したが、これは他の方法でもよく、例えば、入力画面生成部003が直接画像処理アプリケーション100からAPIを有しているか否かの情報を取得する構成でもよい。
【0048】
ステップS005:入力画面生成部003は、APIによりその変換アルゴリズム208が「API」である固有の構成要素の状態を取得する。
【0049】
ステップS006:入力画面生成部003は、変換アルゴリズム208が「画像認識」である固有の構成要素に対し、対応する固有の入力画面の座標情報203に対して変換前コントロール種204に基づいて画像認識を行い、該固有の構成要素の状態を取得する。
【0050】
ステップS007:入力画面生成部003は、固有構成要素ID202、固有の入力画面の座標情報203、対応する共通構成要素ID、共通の入力画面の座標情報206、変換後コントロール種207、及び取得した固有の構成要素の状態を基に、共通の入力画面のデータを生成する。入力画面生成部003は、生成した共通の入力画面のデータを表示制御部004へ出力する。
【0051】
ステップS008:表示制御部004は、入力画面生成部003から入力された共通の入力画面のデータを基に、表示部006に共通の入力画面を表示させる。
【0052】
ステップS009:統括制御部009は、操作者により、入力部007から医用画像の画像処理アプリケーション100への情報の入力が行われたか否かを判断する。入力部007から医用画像の画像処理アプリケーション100への情報の入力が行われた場合にはステップS010に進む。入力部007から医用画像の画像処理アプリケーション100の情報の入力が行われていない場合にはステップS013に進む。
【0053】
ステップS010:入力情報管理部008は、入力の対象となっている共通構成要素の共通構成要素ID205を統括制御部009から取得する。そして、入力情報管理部008は、取得した共通構成要素ID205を基に、変換テーブル記憶部001に記憶されている変換テーブルを参照し、該共通構成要素IDに対応する変換アルゴリズム208が「API」か否かを確認し、実行されている医用画像の画像処理アプリケーション100がAPIを有するか否かを判断する。該画像処理アプリケーション100がAPIを有する場合、すなわち、変換アルゴリズム208が「API」の場合には、ステップS011に進む。該画像処理アプリケーション100がAPIを有しない場合、すなわち、変換アルゴリズム208が「画像認識」の場合にはステップS012に進む。
【0054】
ステップS011:入力情報管理部008は、入力された情報を医用画像の画像処理アプリケーション100のAPIにおいて使用可能な入力情報に変更し、実行処理部002へ送信することで、APIによって医用画像の画像処理アプリケーション100を操作する。
【0055】
ステップS012:入力情報管理部008は、入力された情報をもとに、医用画像の画像処理アプリケーション100における固有構成要素の状態(例えばボタンをONにした状態など)に変更し、実行処理部002へ送信し、医用画像の画像処理アプリケーション100を操作する。
【0056】
ステップS013:統括制御部009は、医用画像の画像処理アプリケーション100を実行している実行処理部002からの画像処理アプリケーション100の終了情報を受けたか否かを判断する。終了情報を受けた場合には入力画面の表示を終了する。終了情報を受けていない場合にはステップS003へ戻る。
【0057】
以上で説明したように、本実施形態に係る画像処理装置は実行されている画像処理アプリケーションの固有の入力画面を共通の入力画面に変換して表示し、共通の入力画面を用いた操作者の入力を画像処理アプリケーションに対応する形式に変換し該画像処理アプリケーションを操作し、その結果を受けて共通の入力画面に反映させる構成である。これにより、どのような画像処理アプリケーションに対してもボタンや画像の配置などが統一された入力画面および統一された操作性を有するユーザインタフェースを操作者に提供することができ、操作者の画像処理アプリケーションの操作性を向上させることが可能となる。これにより、操作者は慣れた操作性及び視認性を有するユーザインタフェースで操作を行うことができ、迅速で適確な画像処理に寄与することが可能となる。
【0058】
以上の説明では、画像処理アプリケーション100を実行する実行処理部002と他の機能部とが同一の装置内に設けられていたが、実行処理部002を他の装置(例えば、サーバ等の医用情報管理装置)に設けて画像処理アプリケーション100を実行させ、その装置と情報の送受信を行うことで共通の入力画面の生成及び該共通の入力画面を用いた情報の入力を実行する構成にしてもよい。また、共通の入力画面を表示させ該共通の入力画面を用いた情報の入力を行うユーザインタフェース005を他の装置(例えば、クライアントPCなどの医用情報端末)等に配置した画像処理システムでもよい。さらには、シンクライアント環境下における画像処理システムにおいても本実施形態の画像処理装置と同様に動作可能である。
【0059】
〔第2の実施形態〕
以下、この発明の第2の実施形態に係る画像処理装置について説明する。本実施形態に係る画像処理装置は複数の医用画像の画像処理アプリケーションのユーザインタフェースとして複数のアプリケーション分の入力が行える1つの共通の入力画面を用いる構成であることが第1の実施形態と異なるものである。そこで、以下の説明では、複数のアプリケーション分の入力が行える1つの共通の入力画面の生成及びその共通の入力画面を用いた情報の入力について主に説明する。本実施形態に係る画像処理装置についても、その機能を表すブロック図は図1で表わされる。以下の説明では、第1の実施形態と同一の符号を付された機能部は特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。
【0060】
本実施形態では実行処理部002で2つの画像処理アプリケーション100が実行されている。以下では、2つの画像処理アプリケーション100をそれぞれアプリケーションA及びアプリケーションBという。実行処理部002は、アプリケーションA及びアプリケーションBのそれぞれの固有の入力画面の表示要求を、各アプリケーションのアプリケーションID201(図2参照)と共に入力画面生成部003へ出力する。
【0061】
医用画像の画像処理アプリケーション100を用いて画像解析などを行う場合、操作者は複数の画像処理アプリケーション100を同時に操作する必要がある場合がある。そのような同時に操作する必要のある医用画像の画像処理アプリケーション100の組み合わせは予め決まっている。以下では、アプリケーションAとアプリケーションBとは同時に操作すると予め決められている医用画像の画像処理アプリケーション100であるとする。そこで、本実施形態では、同時に操作する必要のあると予め分かっている医用画像の複数の画像処理アプリケーション100を一つの入力画面で操作できるように表示する。そのため、本実施形態における変換テーブルは、複数のアプリケーションに入力を行える1つの入力画面を生成できるように構成されている。具体的には、アプリケーションA及びアプリケーションBが同時に操作する必要のある医用画像の画像処理アプリケーション100だと分かっている場合には、アプリケーションAとアプリケーションBとで異なる表示や入力を行う領域は重ならないように配置し、アプリケーションAとアプリケーションBとで同じ入力を要求する固有の構成要素をそれぞれ有する場合には、それらの固有の構成要素を一つの共通の構成要素として表示するように変換テーブルが構成されている。より具体的には、アプリケーションAの固有の入力画面に、固有構成要素ID202が「CID1」及び「CID2」という固有の構成要素があり、アプリケーションBの固有の入力画面に固有構成要素ID202が「CID3」及び「CID4」があり、アプリケーションAの「CID2」の構成要素とアプリケーションBの「CID4」の構成要素とがいずれも患者情報を表示するか否かを入力するための入力欄である場合は、変換テーブルには、「CID1」「CID3」は、それぞれ異なる、共通の入力画面の座標情報206、変換後コントロール種207、及び変換アルゴリズム208が設定されるが、「CID2」及び「CID4」は、同じ共通構成要素ID205、共通の入力画面の座標情報206、変換後コントロール種207、及び変換アルゴリズム208が設定されている。このように構成された変換テーブルを使用することで、図6に示すようにアプリケーションBの固有の入力画面及びアプリケーションBの固有の入力画面を合成して1つの共通の入力画面を生成することができる。ここで、図6は本実施形態における共通の入力画面の生成を説明するための図。そして、本実施形態における共通の入力画面でも、どのような画像処理アプリケーション100の組み合わせにおいても、入力領域のおおよその場所が統一されて配置される。例えば、階調の調整の入力を行う領域は入力画面の左下、画像の大きさの変更や回転の入力を行う領域は入力画面の右端といったように、特定の入力領域が画像処理アプリケーション100の種類に依存せずに常に入力画面のほぼ同じ場所に表示されることとなる。
【0062】
入力画面生成部003は、実行処理部002からアプリケーションA及びアプリケーションBの入力画面の表示要求を受けて、各画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201を基に変換テーブル記憶部001に記憶されている変換テーブルを参照する。入力画面生成部003は、各アプリケーションIDに対応する、固有構成要素ID202、固有の入力画面の座標情報203、変換前コントロール種204、共通構成要素ID205、共通の入力画面の座標情報206、変換後コントロール種207、及び変換アルゴリズム208を取得する。入力画面生成部003は、取得した変換アルゴリズム208に基づいて実行されている画像処理アプリケーション100がAPIを有しているか否かを判断する。そして、入力画面生成部003は、実行されている画像処理アプリケーション100がAPIを有している場合には、入力を受け付ける固有構成要素に対してAPIにより固有の入力画面における固有構成要素の状態を取得する。実行されている画像処理アプリケーション100がAPIを有していない場合には、入力を受け付ける固有構成要素に対して固有の入力画面の座標情報206に基づいて画像認識を行い、固有の入力画面における固有構成要素の状態を取得する。
【0063】
入力画面生成部003は、取得した、固有構成要素ID202、固有の入力画面の座標情報203、変換前コントロール種204、共通構成要素ID205、共通の入力画面の座標情報206、変換後コントロール種207、及び固有構成要素の状態をもとに、図6に示すようなアプリケーションA及びアプリケーションBの固有の入力画面を合成した共通の入力画面のデータを生成する。
【0064】
入力画面生成部003は、生成した共通の入力画面のデータを表示制御部004へ出力する。
【0065】
配布先AP決定部010は、操作者による入力部007からの入力を受けて、実行されている医用画像の画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201及び入力された共通構成要素の共通構成要素ID205を統括制御部009から取得する。
【0066】
配布先AP決定部010は、共通構成要素ID205を参照し、取得したアプリケーションID201のうち取得した共通構成要素ID205を有する画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201を抽出する。この抽出された画像処理アプリケーション100が入力された情報の配布先となる画像処理アプリケーション100となる。前述したように、複数の画像処理アプリケーション100の固有の構成要素をまとめて一つの共通構成要素とした場合には、同じ共通構成要素ID205を有しているので、そのような共通構成要素の場合には、配布先AP決定部010は、変換テーブルを参照することで共通構成要素ID205から対応する複数の画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201を抽出することができる。
【0067】
配布先AP決定部010は、抽出した配布先の画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201を入力情報管理部008へ出力する。この配布先AP決定部010が本発明における「判定手段」にあたる。
【0068】
入力情報管理部008は、操作者により入力部007から入力された情報を取得する。また、入力情報管理部008は、実行されている医用画像の画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201及び入力された共通構成要素の共通構成要素ID205を統括制御部009から取得する。さらに、入力情報管理部008は、配布先AP決定部010から、配布先の画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201の入力を受ける。
【0069】
入力情報管理部008は、変換テーブルを参照し配布先AP決定部010が決定した入力情報の配布先の画像処理アプリケーション100がAPIを有しているか否かを判断する。配布先の画像処理アプリケーション100がAPIを有している場合には、入力された情報を配布先の画像処理アプリケーション100が処理可能な形式に変更し、配布先の画像処理アプリケーション100のアプリケーションID201と共に、実行処理部002へ出力する。この場合、実行処理部002は、入力された情報を画像処理アプリケーション100のAPIへ入力し処理を行わせる。これに対し、配布先の画像処理アプリケーション100がAPIを有していない場合には、入力された共通構成要素に対応する固有構成要素の操作に変換することで擬似的なイベントを作成して、該擬似的なイベントを実行処理部002へ出力する。この場合、実行処理部002は、入力された擬似的なイベントを画像処理アプリケーション100に入力し処理を行わせる。
【0070】
以上で説明したように、本実施形態に係る画像処理装置では、医用画像の画像処理を行う複数の画像処理アプリケーションの固有の入力画面を合成して1つの共通の入力画面を作製することで、複数の画像処理アプリケーションを統一された1つの共通の入力画面で操作可能にする。とくに、複数の画像処理アプリケーションにおいて同じ情報の入力が必要な場合には1回の操作で複数の画像処理アプリケーションへの入力を行うことができる構成である。これにより、操作者は同時に複数のアプリケーションの操作を行う必要がある場合に、一つの入力画面で行うことができ、視認性や操作性を向上させることが可能である。また、1回の操作で複数のアプリケーションへの入力が行えるため、操作の煩雑さを軽減することが可能となる。したがって、本実施形態に係る画像処理装置は、操作者の迅速で適確な画像処理に寄与することが可能となる。
【0071】
また、以上の説明では、画像処理アプリケーション100を実行する実行処理部002と他の機能部とが同一の装置内に設けられていたが、実行処理部002を他の装置(例えば、サーバ等の医用情報管理装置)に設けて画像処理アプリケーション100を実行させ、その装置と情報の送受信を行うことで共通の入力画面の生成及び該共通の入力画面を用いた情報の入力を実行する構成にしてもよい。また、共通の入力画面を表示させ該共通の入力画面を用いた情報の入力を行うユーザインタフェース005を他の装置(例えば、クライアントPCなどの医用情報端末)等に配置した画像処理システムでもよい。さらには、シンクライアント環境下における画像処理システムにおいても本実施形態の画像処理装置と同様に動作可能である。
【0072】
さらに、本実施形態で動作している画像処理アプリケーション100は同一のOS上で動作する必要はなく、例えば異なる仮想のOS上で動作している画像処理アプリケーション100であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
001 変換テーブル記憶部
002 実行処理部
003 入力画面生成部
004 表示制御部
005 ユーザインタフェース
006 表示部
007 入力部
008 入力情報管理部
009 統括制御部
010 配布先AP決定部
100 画像処理アプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から組み込まれた複数の画像処理アプリケーションを実行する実行処理手段と、
前記複数の画像処理アプリケーションが有する固有の入力画面を構成する少なくとも1つ以上の入力欄を含む固有構成要素、前記複数の画像処理アプリケーションに対応する共通の入力画面における前記各固有構成要素に対応する共通構成要素、及び前記各固有構成要素の種類に応じて行われる処理内容に対応する前記共通の入力画面における処理方法と、が記載された変換テーブルを予め記憶している変換テーブル記憶手段と、
前記実行処理手段が実行している特定の前記画像処理アプリケーションからの前記固有の入力画面の表示要求を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記共通の入力画面を生成する入力画面生成手段と、
表示手段と、操作手段と、
前記共通の構成要素を含む前記共通の入力画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記操作手段からの特定の前記共通の入力画面の共通構成要素に対する入力を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記特定の共通の入力画面の共通構成要素に対応する前記変換後の処理方法に基づいて処理を行い前記特定の画像処理アプリケーションを実行している前記実行処理手段へ出力する入力情報管理手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
外部から組み込まれた複数の画像処理アプリケーションを実行する実行処理手段と、
前記複数の画像処理アプリケーションが有する固有の入力画面を構成する少なくとも1つ以上の入力欄を含む固有構成要素、前記複数の画像処理アプリケーションに対応し、かつ少なくとも2つのアプリケーション分の入力が行える1つの共通の入力画面における前記各固有構成要素に対応する共通構成要素、及び前記各固有構成要素の種類に応じて行われる処理内容に対応する前記共通の入力画面における処理方法と、が記載された変換テーブルを予め記憶している変換テーブル記憶手段と、
前記実行処理手段が実行している少なくとも2つの前記画像処理アプリケーションからの前記固有の入力画面の表示要求を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記共通の入力画面を生成する入力画面生成手段と、
表示手段と、操作手段と、
前記共通の入力画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記共通の入力画面を用いた操作者からの特定の共通構成要素に対する入力を受けて、該入力がいずれの前記画像処理アプリケーションに対する入力かを判定する判定手段と、
前記操作手段からの入力を基に、前記前記変換テーブルを参照し、前記特定の共通構成要素に対応する前記処理方法に基づいて処理を行い前記実行処理手段に出力し前記判定した画像処理アプリケーションを用いて処理させる入力情報管理手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記変換テーブルは、異なる画像処理アプリケーションにおける特定の固有構成要素が同じ情報の入力を要求する場合、該それぞれの特定の固有構成要素に対応する前記共通構成要素を同一の前記共通構成要素とすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
外部から組み込まれた複数の画像処理アプリケーションが有する固有の入力画面を構成する少なくとも1つ以上の入力欄を含む固有構成要素、前記複数の画像処理アプリケーションに対応する共通の入力画面における前記各固有構成要素に対応する共通構成要素、及び前記各固有構成要素の種類に応じて行われる処理内容に対応する前記共通の入力画面における処理方法と、が記載された変換テーブルを予め記憶する変換テーブル記憶段階と、
特定の前記画像処理アプリケーションを実行する実行処理段階と、
前記特定の画像処理アプリケーションからの前記固有の入力画面の表示要求を受けて前記変換テーブルを参照し、前記共通の入力画面を生成する入力画面生成段階と、
前記共通の入力画面を表示させる表示制御段階と、
操作者からの特定の前記共通の入力画面の共通構成要素に対する入力を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記特定の共通の入力画面の共通構成要素に対応する前記変換後の処理方法に基づいて処理を行い前記特定の画像処理アプリケーションに処理後のデータを送信する入力情報管理段階と、
前記処理後のデータを前記特定の画像処理アプリケーションで処理させる段階と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置制御方法。
【請求項5】
情報端末と画像処理装置がネットワークを介して接続されている画像処理システムであって、
前記情報端末は、表示手段及び操作手段を含むユーザインタフェースを備え、
前記画像処理装置は、
外部から組み込まれた複数の画像処理アプリケーションを実行する実行処理手段と、
前記複数の画像処理アプリケーションが有する固有の入力画面を構成する少なくとも1つ以上の入力欄を含む固有構成要素、前記複数の画像処理アプリケーションに対応する共通の入力画面における前記各固有構成要素に対応する共通構成要素、及び前記各固有構成要素の種類に応じて行われる処理内容に対応する前記共通の入力画面における処理方法と、が記載された変換テーブルを予め記憶している変換テーブル記憶手段と、
前記実行処理手段が実行している特定の前記画像処理アプリケーションからの前記固有の入力画面の表示要求を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記共通の入力画面を生成する入力画面生成手段と、
前記共通の構成要素を含む前記共通の入力画面を前記情報端末の前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記情報端末の前記操作手段からの特定の前記共通の入力画面の共通構成要素に対する入力を受けて、前記変換テーブルを参照し、前記特定の共通の入力画面の共通構成要素に対応する前記変換後の処理方法に基づいて処理を行い前記特定の画像処理アプリケーションを実行している前記実行処理手段へ出力する入力情報管理手段と、
を備えている、
ことを特徴とする画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−165089(P2010−165089A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5435(P2009−5435)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】