説明

画像処理装置、画像出力制御システム、画像形成システムおよびプログラム

【課題】複数の描画プロセッサを用いて画像処理を行う際の消費電力を低減する。
【解決手段】描画プロセッサ61〜63は、それぞれ指定された画像処理機能を短時間で実現することができる。描画制御CPU32は、システム制御CPU31から受け付けた画像処理コマンドの内容に応じて、3つの描画プロセッサ61〜63のうち、この画像処理コマンドの要求を満たすために必要な最小限の描画プロセッサを決定する。そして、描画制御CPU32は、この画像処理コマンドの要求を満たすために必要であると決定した描画プロセッサ以外の描画プロセッサへの電源をオフする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像出力制御システム、画像形成システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の描画処理手段を有し、各描画処理手段に割り当てられた画像処理が変更されることなく、パイプライン処理を行うものが知られている。
【0003】
ここで、パイプライン処理とは、各段階の処理を独立して動作させることにより、流れ作業的に、前の命令の一連の処理が終わる前に次の命令を処理し始めるものを言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−179767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、複数の描画処理手段で画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定することにより、要求される画像処理時間を確保しつつ、複数の画像処理手段の消費電力を低減することができる画像処理装置、画像出力制御システム、画像形成システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[画像処理装置]
請求項1に係る本発明は、複数種類の画像処理を指示する画像処理命令に基づいて、前記複数種類の画像処理を実行する複数の描画処理手段と、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定する決定手段と、
前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減する電源制御手段とを有する画像処理装置である。
【0007】
請求項2に係る本発明は、前記電源制御手段が、前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行すると決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段への電源を遮断することにより消費電力を削減する請求項1記載の画像処理装置である。
【0008】
請求項3に係る本発明は、前記電源制御手段が、前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行すると決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段を省電力状態に移行させることにより消費電力を削減する請求項1記載の画像処理装置である。
【0009】
請求項4に係る本発明は、前記画像処理命令には、画像処理の実行を終了することが要求される時間である要求処理時間が含まれ、
前記決定手段は、前記画像処理命令に含まれる各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間を算出し、この算出値と前記要求処理時間とに基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定する請求項1から3のいずれか1項記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項5に係る本発明は、前記複数の描画処理手段が、
複数の演算器と、
前記複数の演算器を組み合わせることにより画像処理機能を実現するための結線情報を格納する格納手段と、
外部からの要求に応じて、前記格納手段に格納されている結線情報に基づいて前記複数の演算器を組み合わせることにより要求された画像処理機能を実現する機能実現手段とを備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項6に係る本発明は、複数種類の画像処理を指示する画像処理命令に基づいて、前記複数種類の画像処理を実行する複数の描画処理手段と、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定する決定手段と、
前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減する電源制御手段と、
接続されている画像出力装置の出力速度情報に基づいて、画像処理の実行を終了することが要求される時間である要求処理時間を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された要求処理時間を含めた画像処理命令を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された画像処理命令を前記画像処理装置に出力する出力手段とを備えた画像出力制御システムである。
【0012】
請求項7に係る本発明は、前記算出手段が、前記画像処理装置による処理が必要となる画像の出現頻度に応じて前記要求処理時間を算出する請求項6記載の画像出力制御システムである。
【0013】
[画像形成システム]
請求項8に係る本発明は、複数種類の画像処理を指示する画像処理命令に基づいて、前記複数種類の画像処理を実行する複数の描画処理手段と、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定する決定手段と、
前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減する電源制御手段と、
を有する画像処理装置と、
前記画像処理装置により画像処理された画像情報に基づいて画像を出力する画像出力装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成システムである。
【0014】
請求項9に係る本発明は、複数種類の画像処理を指示する画像処理命令に基づいて、前記複数種類の画像処理を実行する複数の描画処理手段と、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定する決定手段と、
前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減する電源制御手段と、
を有する画像処理装置と、
前記画像処理装置により画像処理された画像情報に基づいて画像を出力する画像出力装置と、
接続されている前記画像出力装置の出力速度情報に基づいて、画像処理の実行を終了することが要求される時間である要求処理時間を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された要求処理時間を含めた画像処理命令を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された画像処理命令を前記画像処理装置に出力する出力手段と、を有する制御装置とを備えた画像形成システムである。
【0015】
[プログラム]
請求項10に係る本発明は、入力される複数種類の画像処理を画像処理命令により指示するステップと、
前記画像処理命令の指示に基づいて複数の描画処理手段により実行するステップと、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定するステップと、
前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0016】
請求項11に係る本発明は、接続されている画像出力装置の出力速度情報に基づいて、画像処理の実行を終了することが要求される時間である要求処理時間を算出するステップと、
入力される複数種類の画像処理を、算出された要求処理時間を含めて画像処理命令により指示するステップと、
前記画像処理命令の指示に基づいて複数の描画処理手段により実行するステップと、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定するステップと、
前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る本発明によれば、画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、複数の描画処理手段で画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定することにより、要求される画像処理時間を確保しつつ、複数の画像処理手段の消費電力を低減することができる画像処理装置を提供することができる。
【0018】
請求項2に係る本発明によれば、不必要と判定された描画処理手段への電源を遮断することにより、複数の描画処理手段を用いて画像処理を行う際の消費電力を、本構成を有していない場合と比較して、低減することができる画像処理装置を提供することができる。
【0019】
請求項3に係る本発明によれば、不必要と判定された描画処理手段を省電力状態に移行することにより、複数の描画処理手段を用いて画像処理を行う際の消費電力を、本構成を有していない場合と比較して、低減することができる画像処理装置を提供することができる。
【0020】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1から3のいずれか1項に係る本発明により得られる効果に加えて、要求処理時間内に要求された画像処理を実行するために必要な描画処理手段を、当該画像処理要求を満たすために必要な描画処理手段として判定することができる画像処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に係る本発明により得られる効果に加えて、複数の演算器を結線情報に基づいて組み合わせることにより要求された画像処理機能を実現することが可能な複数の描画処理手段を用いて画像処理を行う際の消費電力を、本構成を有していない場合と比較して、低減することができる画像処理装置を提供することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によれば、接続される画像出力装置の出力速度に応じて、複数の画像処理手段の消費電力を低減することができる画像出力制御システムを提供することができる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、請求項6に係る発明により得られる効果に加えて、画像処理による処理が必要となる画像の出現頻度に応じた画像処理時間を算出することができる画像出力制御システムを提供することができる。
【0024】
請求項8に係る本発明によれば、画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、複数の描画処理手段で画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定することにより、要求される画像処理時間を確保しつつ、複数の画像処理手段の消費電力を低減することができる画像形成システムを提供することができる。
【0025】
請求項9に係る本発明によれば、接続される画像出力装置の出力速度に応じて、複数の画像処理手段の消費電力を低減することができる画像形成システムを提供することができる。
【0026】
請求項10に係る本発明によれば、画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、複数の描画処理手段で画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定することにより、要求される画像処理時間を確保しつつ、複数の画像処理手段の消費電力を低減することができるプログラムを提供することができる。
【0027】
請求項11に係る本発明によれば、接続される画像出力装置の出力速度に応じて、複数の画像処理手段の消費電力を低減することができるプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態の画像処理システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態の画像形成システムにおけるコントローラ10の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態の画像形成システムにおける画像処理装置12のハードウェア構成を示す図である。
【図4】印刷装置速度テーブル格納部90に格納される印刷装置速度テーブルの一例を示す図である。
【図5】システム制御CPU31の機能構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態の画像形成システムにおける描画プロセッサ61の構成を示す図である。
【図7】コントローラ10におけるRIP処理全体の流れを説明するための図である。
【図8】コントローラ10のシステム制御CPU31が、画像処理コマンドを生成する際の画像処理要求時間の設定方法について説明するための図である。
【図9】システム制御CPU31から描画制御CPU32に対して送信される画像処理コマンドの一例を示す図である。
【図10】システム制御部41が各画像処理を実行するために必要な時間を計算するために使用する処理時間テーブルの一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態の画像処理システムにおける画像処理装置12の動作を示すフローチャートである。
【図12】図9に示した画像処理コマンドについて図10に示した処理時間テーブルを参照して処理時間を計算した場合の例を示す図である。
【図13】図11のフローチャートにおいて示した必要な描画プロセッサの数の決定処理(ステップS102)の詳細について示すフローチャートである。
【図14】画像処理要求時間に応じて必要な描画プロセッサの数が変化する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムの構成の一例を示す図である。この画像形成システムは、図1に示されるように、前処理装置3と、バッファ装置4と、連続紙に対して印刷を行う印刷装置1と、バッファ装置5と、後処理装置6と、コントローラ(画像出力制御システム)10と、端末装置20とから構成されている。
【0031】
前処理装置3は、印刷されていない連続紙がロール状に巻かれている状態となっており、この連続紙を印刷装置1に対して送り出すといった前処理を行う。後処理装置6は、印刷装置1により送られる印刷が行われた連続紙を受け取り、この連続紙をロール状に巻き取るといった後処理を行う。バッファ装置4、5は、前処理装置3、又は、後処理装置6における連続紙の搬送速度と、印刷装置1における連続紙の搬送速度の差を吸収するために設けられ、この間の連続紙のテンションが一定となるように保持されている。
【0032】
端末装置20は、印刷装置1で連続紙に印刷させるための印刷ジョブの印刷指示を生成して、印刷ジョブ及び印刷指示をネットワーク経由にてコントローラ10に対して送信する。コントローラ10は、端末装置20から送信されてきた印刷ジョブ及び印刷指示により印刷ジョブを印刷装置1で印刷可能な形式のラスター形式の画像データに変換するとともに、このラスター形式の画像データを印刷装置1によって連続紙に印刷されるように印刷装置1の印刷動作を制御する印刷制御装置として機能する。尚、ラスター形式のデータとは、画像を格子状に多くの細密な点(ピクセル、pixel)に分割し、その点の HYPERLINK "http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%89%B2" \o "色" 色や濃度をRGBやYMCK等の HYPERLINK "http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A8%E8%89%B2%E7%B3%BB" \o "表色系" 表色系を用いて数値として表現したものを言う。印刷装置1は、コントローラ10による制御に基づいて印刷指示に応じた画像データを連続紙上に印刷する。
【0033】
この図1に示したコントローラ10の機能構成を図2のブロック図に示す。
【0034】
コントローラ10は、図2に示されるように、印刷ジョブ受信部11と、画像処理装置12と、画像データ転送部13と、画像データ格納部14とを備えている。
【0035】
印刷ジョブ受信部11は、端末装置20から送信されてきた印刷ジョブを受信する。画像処理装置12は、印刷ジョブ11により受信された印刷ジョブに対して、指定された各種画像処理を行って印刷装置1で印刷可能な形式のラスター形式の画像データに変換し、画像データ格納部14に格納する。画像データ転送部13は、画像データ格納部14に格納された画像処理後の印刷データを印刷装置1に対して転送する。
【0036】
次に、この画像処理装置12のハードウェア構成を図3に示す。画像処理装置12は、図3に示されるように、描画制御CPU32と、外部インタフェース33と、電源回路51〜53と、描画プロセッサ61〜63と、メモリ71〜73とを備えている。描画制御CPU32は、決定手段の一例として用いられ、描画プロセッサ61〜63は、描画処理手段の一例として用いられる。
【0037】
なお、本実施形態では、説明を簡単にするために3つの描画プロセッサ61〜63により描画処理を行う場合を用いて説明するが、本発明は描画プロセッサの数に限定されるものではなく、4つ以上の描画プロセッサにより描画処理を行う場合でも同様に適用可能である。
【0038】
さらに、描画制御CPU32の処理を描画プロセッサ61で実施させ、描画制御CPU32を省略して構成してもよい。すなわち、描画プロセッサ61が62、63のマスタとして動作させる構成も可能である。
【0039】
システム制御CPU31は、制御装置として機能し、コントローラ10の動作を制御しているCPUであり、画像処理コマンドを送信することにより画像処理装置12に対して各種画像処理を実行させている。また、このシステム制御CPU31には、印刷装置速度テーブル格納部90が接続されている。
【0040】
この印刷装置速度テーブル格納部90には、図4に示されるように、認識コードと印刷速度との関係を示す印刷装置速度テーブルが格納されている。システム制御CPU31は、電源投入後の初期化処理時に印刷装置1との間で通信を実行することにより、接続された印刷装置1の認識コードや、インク残量等の各種情報を得る。そして、システム制御CPU31は、この時に得た認識コードに基づいて、印刷装置速度テーブル格納部90内の印刷装置速度テーブルを参照することにより、接続された印刷装置1の印刷速度情報を知ることができる。
【0041】
例えば、システム制御CPU31が印刷装置1から受信した認識コードが“400236”だった場合、システム制御CPU31は、接続された印刷装置1の印刷速度は1分間にA4サイズを120ページ印刷することができる速度である判定する。
【0042】
なお、ここでは、システム制御CPU31は、印刷装置1から認識コードを得て、この認識コードに基づいて印刷速度情報を把握するものとして説明しているが、システム制御CPU31が直接印刷装置1から印刷速度情報を得るようにしてもよい。この場合には、印刷装置速度テーブル格納部90は不要となる。
【0043】
次に、このシステム制御CPU31の機能構成を図5に示す。システム制御CPU31は、図5に示されるように、印刷速度情報取得部311と、画像処理要求時間算出部312と、画像処理コマンド生成部313と、画像処理コマンド出力部314とを備えている。
【0044】
印刷速度情報取得部311は、印刷装置1より受信した認識コードに基づいて、印刷装置速度テーブル格納部90に格納されている印刷装置速度テーブルを参照することにより、接続されている印刷装置1の印刷速度情報(出力速度情報)を取得する。
【0045】
画像処理要求時間算出部312は、印刷速度情報取得部311により取得された印刷速度情報に基づいて、画像処理の実行を終了することが要求される時間である画像処理要求時間(要求処理時間)を算出する。また、画像処理要求時間算出部312は、印刷速度情報取得部311により取得された印刷速度情報および画像処理装置12による処理が必要となる画像の出現頻度に応じて画像処理要求時間を算出するようにしてもよい。
【0046】
画像処理コマンド生成部313は、画像処理要求時間算出部312により算出された画像処理要求時間を含めた画像処理コマンドを生成する。
【0047】
画像処理コマンド出力部314は、画像処理コマンド生成部313により生成された画像処理コマンドを画像処理装置12の描画制御CPU32に出力する。
【0048】
ここで、図3に戻ると、外部インタフェース33は、システム制御CPU31や画像データ格納部14との間でデータの送信及び受信を行うための通信インタフェースである。
【0049】
描画制御CPU32は、システム制御CPU31から画像処理コマンド(画像処理要求)を受けると、その画像処理コマンドにより要求された画像処理を実行するよう描画プロセッサ61〜63を制御する。
【0050】
なお、描画制御CPU32は、図示されないメモリまたは記憶装置に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行することにより、画像処理装置12の動作を制御する。なお、この制御プログラムをCD−ROM等の搬送可能な記憶媒体に格納して描画制御CPU32に提供することも可能である。
【0051】
描画プロセッサ(描画処理手段)61〜63は、描画制御CPU32により指示された画像処理を実行するためのプロセッサである。
【0052】
メモリ71〜73は、それぞれ、描画プロセッサ61〜63に対応して設けられており、描画プロセッサ61〜63により処理された画像データを一時的に格納する。
【0053】
描画プロセッサ61〜63は、画像処理を行った画像データを他の描画プロセッサに対してパイプライン処理により直接転送することができるようになっている。このパイプライン処理により、描画プロセッサの処理を独立して動作され、流れ作業的に、前の命令の一連の処理が終わる前に次の命令を処理し始めるように構成されている。
【0054】
電源回路51〜53は、描画制御CPU32による制御に基づいて、描画プロセッサ61〜63やメモリ71〜73に対してそれぞれ電源を供給する。描画制御CPU32は、電源回路51〜53を制御することにより描画プロセッサ61〜63、メモリ71〜73の電源をそれぞれ独立してオン/オフすることが可能となっている。
【0055】
描画制御CPU32は、システム制御CPU31から受け付けた画像処理コマンドの内容に応じて、3つの描画プロセッサ61〜63のうち、この画像処理コマンドの要求を満たすために必要な最小限の描画プロセッサを決定する。この画像処理コマンドは、画像処理命令の一例として用いられている。
【0056】
そして、描画制御CPU32は、この画像処理コマンドの要求を満たすために必要であると決定した描画プロセッサ以外の描画プロセッサの消費電力を削減するような電源制御を行う。具体的には、描画制御CPU32は、電源回路51〜53を制御することにより、画像処理コマンドの要求を満たすために必要と判定した描画プロセッサ以外の描画プロセッサへの電源をオフ(電源を遮断)することにより消費電力を削減する。電源回路51〜53は、電源制御手段の一例として用いられている。
【0057】
なお、描画プロセッサ61〜63が省電力モードのような消費電力を低減することが可能なモード(省電力状態)を備えている場合には、描画制御CPU32は、画像処理コマンドの要求を満たすために不必要と判定した描画プロセッサへの電源をオフするのではなく、不必要と判定した描画プロセッサを省電力モードに移行させることにより消費電力を削減するようにしてもよい。
【0058】
次に、描画制御CPU32が画像処理コマンドの要求を満たすために必要である描画プロセッサの数を決定する具体的な方法について説明する。
【0059】
システム制御CPU31から送信されてくる画像処理コマンドには、画像処理の実行を終了することが要求される時間である画像処理要求時間が含まれている。描画制御CPU32は、この画像処理コマンドに含まれる各画像処理内容毎に必要となる画像処理時間を算出することにより、3つの描画プロセッサ61〜63の中から画像処理要求時間内に要求された画像処理を実行するために必要な描画プロセッサを決定する。
【0060】
次に、描画プロセッサ61の構成を図6を参照して説明する。ここでは、描画プロセッサ61についてのみ説明するが、描画プロセッサ62、63も同様な構成となっている。
【0061】
描画プロセッサ61は、動的にチップ内部の回路構成を切り替えることが可能なプロセッサ(ダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサ)が用いられている。
【0062】
描画プロセッサ61は、図6に示されるように、システム制御部41と、演算器群42と、結線情報格納部43と、高速バススイッチ44と、メモリインタフェース45と、バスインタフェース46と、ダイレクトI/Oインタフェース47とから構成されている。
【0063】
演算器群42は、加算器、乗算器等の各種演算器により構成されている。結線情報格納部43は、演算器群42を構成する各種演算器を組み合わせることにより画像処理機能を実現するための結線情報を格納する。
【0064】
システム制御部41は、描画制御CPU32からの要求に応じて、結線情報格納部43に格納されている結線情報に基づいて演算器群42の各種演算器を組み合わせることにより要求された画像処理機能を実現する機能実現手段として動作する。
【0065】
メモリインタフェース45は、メモリ71との間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。バスインタフェース46は、外部に接続された他の回路等の間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。ダイレクトI/Oインタフェース47は、描画プロセッサ62に対してパイプラン処理により直接画像データを転送するためのインタフェースである。
【0066】
高速バススイッチ44は、システム制御部41、演算器群42、メモリインタフェース45、バスインタフェース46との間のデータ経路を高速に切り替えるためのバススイッチである。
【0067】
描画プロセッサ61〜63は、このような構成となっていることにより、それぞれ指定された画像処理機能を短時間で実現することができる。
【0068】
次に、本実施形態の画像形成システムの動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0069】
先ず、図7を参照して、コントローラ10におけるRIP(Raster Image processing)処理全体の流れについて説明する。
システム制御CPU31は、端末装置20から受信した印刷ジョブデータを、画像処理装置12に処理させるべき画像データと、ソフトウェアでRIP処理するテキストデータに分割する(ステップS301)。
【0070】
そして、システム制御CPU31は、画像処理要求時間を指定した画像処理コマンドとともに画像データを画像処理装置12に送信する(ステップS302)。なお、この画像処理要求時間の設定方法の詳細については後述する。
【0071】
すると、画像処理装置12では、受信した画像処理コマンドに基づいて、受信した画像データに対して、JPEG(Joint Photographic Experts Group)伸張処理、拡大・縮小処理、色空間変換処理等の各種画像処理を行った後にRIP処理を行ってRIP済みのYMCK形式のRAW画像を生成する。
【0072】
なお、ステップS301において分離されたテキストデータについては、システム制御CPU31内でソフトウェアによりRIP処理が行われる。
【0073】
そして、画像処理装置12からRIP済みの画像データを受け取ったシステム制御CPU31では、このRIP済みの画像データと、ソフトウェアによりRIP処理を行ったテキストデータとを合成して、YMCK各色毎の2値画像を生成する(ステップS303)。
【0074】
最後に、システム制御CPU31は、2値画像となった画像データを再度画像処理装置12に送信して圧縮、回転処理等を実行させる(ステップS304)。
【0075】
次に、図8を参照して、コントローラ10のシステム制御CPU31が、画像処理コマンドを生成する際の画像処理要求時間の設定方法について説明する。
【0076】
この図8に示した画像処理要求時間の設定方法では、120ページ分の印刷ジョブにおける画像の出現頻度(1ページあたりの平均画像数)を用いて画像処理要求時間を算出する場合の例を用いて説明する。
【0077】
まず、120ページ分の印刷ジョブを受信すると(ステップS401においてYes)、この120ページ分の印刷ジョブ中の処理対象画像数をカウントし、1ページあたりの平均画像数(画像の出現頻度)を算出する(ステップS402)。
【0078】
そして、処理すべき画像サイズの総量を算出し(ステップS403)、例えば1Mピクセル毎の処理時間のように単位サイズあたりの処理時間Tを算出する(ステップS404)。
【0079】
最後に、画像処理装置12に対して処理を指示しようとする画像の画像サイズに、ステップS404において算出された処理時間Tを乗算して、画像処理要求時間を求める(ステップS405)。そして、処理がされていない印刷ジョブの有無を判定し(ステップS406)、未処理の印刷ジョブが残っている場合にはステップS401の処理に戻り、未処理の印刷ジョブが無い場合には処理を終了する。
【0080】
次に、この画像処理要求時間の設定方法を具体例を用いて説明する。
【0081】
例えば、印刷装置1から得た印刷速度情報が30PPM(Page Per Minute)だった場合、1ページあたりの印刷速度は、1(分)/30=2000msとなる。
【0082】
そして、120ページ分の印刷ジョブ中の画像数が60だとし、1画像が5000×7000ピクセルのデータ量であったする。すると、120ページ分の印刷ジョブに含まれる画像サイズの総量は下記の式により算出される。
5000×7000×60/(1024×1024)≒2002.7(Mピクセル)
【0083】
ここで、1ページあたりの印刷速度が2000msであるため、印刷120ページを印刷する印刷時間は、240(秒)である。そのため、1Mピクセルを単位サイズとした場合、この単位サイズあたりの処理時間Tは下記の式により算出される。
T=240/2002.7≒120ms
【0084】
従って、1つの画像の処理に対する画像処理要求時間は、下記の式により算出される。
5000×7000/(1024×1024)×120(ms)≒4000ms
【0085】
よって、システム制御CPU31は、画像処理装置12に画像処理コマンドを送信して1つの画像の画像処理を指示する場合、この4000msを画像処理要求時間として画像処理コマンドに設定すればよいことになる。
【0086】
なお、印刷ジョブ中の画像の画像サイズが全て同一である場合には、下記のような計算により1画像あたりの画像処理要求時間を算出するようにしてもよい。
120ページの印刷時間/120ページ中の画像数=120×2000(ms)/60=4000(ms)
【0087】
次に、システム制御CPU31から画像処理装置12に対して画像処理コマンドが送信された際の画像処理装置12の動作について図9のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
以下の説明では、図9に示すような画像処理コマンドがシステム制御CPU31から描画制御CPU32に対して送信された場合を用いて説明する。
【0089】
この図9に示された画像処理コマンドでは、入力画像サイズが横方向3500ドット、縦方向2500ドットであり、JPEG伸張の際の伸張形式が4−2−2であり、拡大縮小処理により元の画像を横方向7000ドット、縦方向5000ドットに変換することが要求されている。さらに、この画像処理コマンドでは、色変換処理において使用される色変換テーブルを指定するためのポインタ、スクリーン処理に使用するスクリーンLUT(Look Up Table)を指定するポインタが示されている。そして、この画像処理コマンドには、この画像処理を開始してから終了するまでの制限時間であり画像処理要求時間81として、2500msが設定されている。
【0090】
なお、システム制御部41が、各画像処理を実行するために必要な時間を計算するために使用する処理時間テーブルを図10に示す。この図10では、JPEG伸張処理には1Mピクセル当たり10msの処理時間が必要であり、拡大縮小処理には1Mピクセル当たり30msの処理時間が必要であり、回転処理には1Mピクセル当たり30msの処理時間が必要であることが示されている。また、メモリに格納されている画像データにアクセスして色変換処理する場合には1Mピクセル当たり20msの処理時間が必要であり、スクリーン処理する場合には1Mピクセル当たり20msの処理時間が必要であることが示されている。なお、他の描画プロセッサから転送されてきた画像データに対して直接処理を行うパイプライン処理が行われる場合には、色変換処理、スクリーン処理にかかる処理時間を考慮する必要はない。
【0091】
図9に示したような画像処理コマンドを描画制御CPU32が受信した場合の画像処理装置12の動作を図11のフローチャートに示す。
【0092】
システム制御CPU31から画像処理コマンドを受信した描画制御CPU32は、まず画像処理コマンドにより要求された各画像処理を実行するために必要となる処理時間を、図10に示したような処理時間テーブルを参照して計算する(ステップS101)。
【0093】
図9に示した画像処理コマンドについて図10に示した処理時間テーブルを参照して処理時間を計算した場合の例を図12に示す。図12では、例えば、JPEG伸張処理として、83.34msの処理時間が必要となることが算出されている。この83.34msの処理時間は、画像処理命令に含まれる画像処理を実行するために必要となる画像処理時間を算出した算出値の一例として用いられている。なお、図9に示した画像処理コマンドには、回転処理が含まれていないため、図12では回転処理を実行するための時間は算出されていない。
【0094】
次に、描画制御CPU32は、算出された処理時間に基づいて、画像処理コマンドに含まれる処理要求時間内に全ての画像処理を実行するために必要となる描画プロセッサの数およびどの描画プロセッサにどの画像処理を担当させるかを決定する(ステップS102)。この必要な描画プロセッサ数の決定処理の詳細については後述する。
【0095】
そして、描画制御CPU32は、画像処理コマンドの要求を実現するために必要な描画プロセッサが決定されると、電源回路51〜53のうち不必要な描画プロセッサに対して設けられている電源回路に対して電源の供給を停止するような指示を行う(ステップS103)。このことにより、画像処理コマンドの要求を実現するために不必要な描画プロセッサへの電源は遮断されることとなる。
【0096】
そして、描画制御CPU32は、画像処理コマンドの要求を実現するため使用すると決定した描画プロセッサに対して、担当すべき画像処理機能を実現するための初期化処理を行う(ステップS104)。
【0097】
描画制御CPU32により初期化が行われた描画プロセッサでは、指定された画像処理を実現するための結線情報が結線情報格納部43から読み出されて演算器群42に対して実行されることにより要求された画像処理機能が実現される。そして、各描画プロセッサでは、入力された画像データに対して指示された画像処理が開始される(ステップS105)。
【0098】
そして、各描画プロセッサでは、指示された全ての画像処理が全て実行されると処理を終了する(ステップS106)。
【0099】
次に、図11のフローチャートにおいて示した必要な描画プロセッサの数の決定処理(ステップS102)の詳細について、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0100】
描画制御CPU32では、図12に示したような方法により画像処理コマンドに含まれる各画像処理の処理時間が計算されると、全ての画像処理時間の合計値を算出する(ステップS201)。そして、描画制御CPU32では、この画像処理時間の合計値が画像処理要求時間よりも長いか否かが判定される(ステップS202)。
【0101】
このステップS202は、画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、複数の描画処理手段で画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定することの一例として、用いられている。
【0102】
ステップS202において、画像処理時間の合計値が画像処理要求時間以下であると判定された場合(ステップS202においてNo)、1つの描画プロセッサにより全ての画像処理を実行しても画像処理要求時間内に処理を終了することが可能であるため、描画制御CPU32は、描画プロセッサ61の担当処理を全ての画像処理として決定する(ステップS203)。
【0103】
なお描画プロセッサ61のみが全ての画像処理担当すると決定された場合、描画プロセッサ62、63の電源はオフされることとなる。
【0104】
ステップS202において、画像処理時間の合計値が画像処理要求時間より長いと判定された場合(ステップS202においてYes)、1つの描画プロセッサにより全ての画像処理を実行すると画像処理要求時間内に処理を終了することは不可能である。そのため、描画制御CPU32では、JPEG伸張処理と拡大縮小処理(拡縮処理)の処理時間の合計値が、画像処理要求時間よりも長いか否かが判定される(ステップS204)。
【0105】
ステップS204において、JPEG伸張処理と拡大縮小処理の処理時間の合計値が、画像処理要求時間以下であると判定された場合(ステップS204においてNo)、1つの描画プロセッサによりJPEG伸張処理と拡大縮小処理を実行しても画像処理要求時間内に処理を終了することが可能であるため、描画制御CPU32は、描画プロセッサ61の担当処理をJPEG伸張処理と拡大縮小処理として決定する(ステップS205)。そして、描画制御CPU32は、それ以外の処理である色変換処理とスクリーン処理を描画プロセッサ62の担当処理として決定する(ステップS206)。
【0106】
なお描画プロセッサ61、62が画像処理を実行する描画プロセッサであると決定された場合、描画プロセッサ63の電源はオフされることとなる。
【0107】
ステップS204において、JPEG伸張処理と拡大縮小処理の処理時間の合計値が、画像処理要求時間よりも長いと判定された場合(ステップS204においてYes)、1つの描画プロセッサによりJPEG伸張処理と拡大縮小処理を実行すると画像処理要求時間内に処理を終了することが不可能である。そのため、描画制御CPU32は、描画プロセッサ61の担当処理をJPEG伸張処理のみに決定する(ステップS207)。そして、描画制御CPU32は、描画プロセッサ62の担当処理を拡縮処理のみに決定する(ステップS208)。最後に、描画制御CPU32は、それ以外の処理である色変換処理とスクリーン処理を描画プロセッサ63の担当処理として決定する(ステップS209)。
【0108】
なお、図13のフローチャートにより示した描画プロセッサの選択アルゴリズムは一例であり、どのようなアルゴリズムにより必要な描画プロセッサの数や各描画プロセッサが担当すべき画像処理を決定するようにしてもよい。
【0109】
上記のような判定が行われることにより、画像処理コマンドにより要求される画像処理内容が同じであっても、画像処理要求時間に応じて必要な描画プロセッサの数が変化する。このように画像処理要求時間に応じて必要な描画プロセッサの数が変化する様子を図14に示す。
【0110】
例えば図9に示した画像処理コマンドでは画像処理要求時間が2500msであるため、描画プロセッサ61が全ての画像処理を担当するような決定がされるが、図9に示した画像処理コマンドにおいて画像処理要求時間を1200msとすると、3つの描画プロセッサ61〜63によりそれぞれ画像処理を担当するような決定がなされる。
【0111】
[変形例]
上記実施形態では、連続紙に対して印刷を行う画像形成システムに対して本発明を適用した場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カット紙に対して印刷を行う画像形成システムに対しても同様に適用することができるものである。
【0112】
また、上記実施形態では、画像処理装置12内の描画制御CPU32が電源回路51〜53の制御等の処理を行っている場合を用いて説明しているが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。コントローラ10内のシステム制御CPU31が描画制御CPU32の機能を実行するようにすれば、画像処理装置12内に描画制御CPU32を搭載しないような構成とすることも可能である。
【0113】
さらに、上記実施形態では、システム制御CPU31から画像処理装置12の描画CPU32に対して送信する画像処理コマンドに含まれる画像処理要求時間を、接続された印刷装置1の印刷速度や印刷ジョブ中の画像の出現頻度等に基づいて算出しているが、この画像処理要求時間をユーザが任意の値に設定することができるようにしてもよい。この場合、コントローラ10には、画像処理要求時間を設定するための設定手段としてユーザインタフェースを設けるようにする。
【符号の説明】
【0114】
1 印刷装置
2 定着器
3 前処理装置
4、5 バッファ装置
6 後処理装置
10 コントローラ
11 印刷ジョブ受信部
12 画像処理装置
13 画像データ転送部
14 画像データ格納部
20 端末装置
31 システム制御CPU
32 描画制御CPU
33 外部インタフェース
41 システム制御部
42 演算器群
43 結線情報格納部
44 高速バススイッチ
45 メモリインタフェース
46 バスインタフェース
47 ダイレクトI/Oインタフェース
51〜53 電源回路
61〜63 描画プロセッサ
71〜73 メモリ
81 画像処理要求時間
90 印刷装置速度テーブル
311 印刷速度情報取得部
312 画像処理要求時間算出部
313 画像処理コマンド生成部
314 画像処理コマンド出力部
S101〜S106 ステップ
S201〜S209 ステップ
S301〜S304 ステップ
S401〜S406 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の画像処理を指示する画像処理命令に基づいて、前記複数種類の画像処理を実行する複数の描画処理手段と、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定する決定手段と、
前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減する電源制御手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行すると決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段への電源を遮断することにより消費電力を削減する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記電源制御手段は、前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行すると決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段を省電力状態に移行させることにより消費電力を削減する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理命令には、画像処理の実行を終了することが要求される時間である要求処理時間が含まれ、
前記決定手段は、前記画像処理命令に含まれる各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間を算出し、この算出値と前記要求処理時間とに基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定する請求項1から3のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の描画処理手段は、
複数の演算器と、
前記複数の演算器を組み合わせることにより画像処理機能を実現するための結線情報を格納する格納手段と、
外部からの要求に応じて、前記格納手段に格納されている結線情報に基づいて前記複数の演算器を組み合わせることにより要求された画像処理機能を実現する機能実現手段と、
を備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
複数種類の画像処理を指示する画像処理命令に基づいて、前記複数種類の画像処理を実行する複数の描画処理手段と、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定する決定手段と、
前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減する電源制御手段と、
接続されている画像出力装置の出力速度情報に基づいて、画像処理の実行を終了することが要求される時間である要求処理時間を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された要求処理時間を含めた画像処理命令を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された画像処理命令を前記画像処理装置に出力する出力手段と、
を備えた画像出力制御システム。
【請求項7】
前記算出手段は、前記画像処理装置による処理が必要となる画像の出現頻度に応じて前記要求処理時間を算出する請求項6記載の画像出力制御システム。
【請求項8】
複数種類の画像処理を指示する画像処理命令に基づいて、前記複数種類の画像処理を実行する複数の描画処理手段と、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定する決定手段と、
前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減する電源制御手段と、
を有する画像処理装置と、
前記画像処理装置により画像処理された画像情報に基づいて画像を出力する画像出力装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
複数種類の画像処理を指示する画像処理命令に基づいて、前記複数種類の画像処理を実行する複数の描画処理手段と、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定する決定手段と、
前記決定手段により前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減する電源制御手段と、
を有する画像処理装置と、
前記画像処理装置により画像処理された画像情報に基づいて画像を出力する画像出力装置と、
接続されている前記画像出力装置の出力速度情報に基づいて、画像処理の実行を終了することが要求される時間である要求処理時間を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された要求処理時間を含めた画像処理命令を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された画像処理命令を前記画像処理装置に出力する出力手段と、を有する制御装置と、
を備えた画像形成システム。
【請求項10】
入力される複数種類の画像処理を画像処理命令により指示するステップと、
前記画像処理命令の指示に基づいて複数の描画処理手段により実行するステップと、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定するステップと、
前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
接続されている画像出力装置の出力速度情報に基づいて、画像処理の実行を終了することが要求される時間である要求処理時間を算出するステップと、
入力される複数種類の画像処理を、算出された要求処理時間を含めて画像処理命令により指示するステップと、
前記画像処理命令の指示に基づいて複数の描画処理手段により実行するステップと、
前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するために必要となる画像処理時間に基づいて、前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を実行するか、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行するか、を決定するステップと、
前記複数の描画処理手段のうち1つの描画処理手段で処理を行うと決定された場合に、前記1つの描画処理手段以外の描画処理手段の消費電力を、前記複数の描画処理手段で前記画像処理命令により指示された各画像処理を分担して実行する場合に比べて、削減するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−268082(P2009−268082A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71241(P2009−71241)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】