説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、プログラム

【課題】画像形成装置特有のドットの太りによる影響を排除し、即ち制度の高いバーコードを印刷可能な画像処理装置等を提供する。
【解決手段】入力されたバーコードデータについて、補正対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別とに基づいて、補正値記憶手段より注目モジュールに対する補正値を取得する補正値取得手段と、入力されたバーコードデータと補正値取得手段が取得した補正値とに基づいて当該バーコードデータを構成する各モジュールを補正する補正手段と、補正手段により補正されたバーコードデータを表示データに変換する表示変換手段と、表示変換手段により変換された表示データを出力する出力手段とを備える画像処理装置等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、プリンタ、複合機などの画像形成装置、当該画像形成装置に備えられる画像処理装置、及びこれらに適応しうる画像処理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるバーコード印刷は、バーコードリーダによる読み取りミスを防止するために、凸版印刷やオフセット印刷などのバーコード専用プリンタを利用し、高解像度の印刷を行っていた。そして近年では、バーコードリーダ及び汎用プリンタ等の性能が向上するにつれて、低解像度のバーコードでも正確な読取りが可能となってきている。他方で、機器の性能の向上と利用形態の多様化に基づいて、バーコードにさらに大量の情報を付加しようとする試みがなされている。
【0003】
ところで、バーコードは、構成する黒バー(黒モジュールともいう、いわゆるトナーが載せられる印刷部位)及び白バー(スペース又は白モジュールともいう、いわゆるトナーが載せられない非印刷部位)の幅(太さ)によって分類される。なお、モジュールはエレメントと言い換えられることもある。
【0004】
バーコードの規格は多数あるが、例えば図8に示すCODE128に代表されるこの種のバーコードは、図9に示すように、所定の幅の基本モジュール1B、1Sである黒モジュール901及び白モジュール902として構成され、該基本モジュールを複数個隣接させて各種の幅の黒モジュール903及び白モジュール904を形成するようになっている。そして、例えばレーザープリンタを使用してバーコードを印刷する場合、同じ幅の黒モジュール及び白モジュールを形成する際に、従来は黒モジュール及び白モジュールに同じ数のドットを割り当てていた。
【0005】
しかしながら、上記レーザープリンタによる印刷では、トナー残量や印刷媒体の表面の状態、ポリゴンミラーによる影響等によって定着されたトナーが形成する各ドットの径が変化し、即ちドットの太りが発生する。このためバーコードは、黒モジュールの幅が白モジュールの幅に比して太くなる傾向があり、すなわち黒/白比率が適正でなくなることがある。
【0006】
具体的に、図10に示すように、印刷時における1ライン分の4つのドット1001〜1004より構成され幅が169μmである基本黒モジュール1005(ただし1ライン分のみ図示)を印刷しようとした場合を考える。1つのドット1006は図示するような楕円となるため、4つのドットを印刷した場合にはその楕円形状の影響により、理論値にて169μmとなるべきモジュールの幅が実測値にて例えば245μmとなってしまうのである。つまり黒モジュールの幅が広くなり、隣接する白モジュールの幅が狭くなるという問題が発生する。なお、これらはプリンタ固有の問題であり、同一のモジュール条件であっても、例えば基本黒モジュールを3つのドットにより印刷するプリンタの場合では、黒モジュールの幅が狭くなる場合等も発生する。
【0007】
このような問題を解決するため特開平9-99590号公報では、バーコードの基本黒モジュールの和に対して各キャラクタのバーパターンモジュール構成をドットの個数で置き換えた仮バーパターン置き換えテーブルを作成し、バーコードの基本規約に定める許容誤差範囲内に入るようにドット数を変更する技術が記載されている。
【0008】
また、特開平5-54165号公報では、黒モジュールのドットを削り白モジュールのドットを増やす制御を行うことで、にじみが発生しても読み取り性が悪化しない技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9-99590号公報
【特許文献2】特開平5-54165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特開平9-99590号公報に記載の技術では各キャラクタ単位で補正を行っているため、キャラクタとキャラクタ間の補正や各黒モジュール、白モジュールの影響を考慮できないといった問題がある。
【0010】
また特開平5-54165号公報に記載の技術では、一律に黒モジュールや白モジュールのドット数を決定するため、各モジュールの設定ができない。その結果、各バーコード種類別に決められている許容寸法規格から外れてしまい、実際に使用した場合には印刷したバーコードの読取り率を低下させ、あるいは誤ったデータとなってしまう。
【0011】
さらに、発明者が測定した、所定のプリンタにおける誤差の実測値を図11に示す。図11によると、基本黒モジュール1Bに注目した場合、隣接する白モジュールの和によって、基本黒モジュール1Bにおける幅の誤差が異なることがわかる。この誤差は白モジュールに着目した場合にも確認でき、また、隣接するモジュールの和が同じであっても、白モジュールと黒モジュールにおける誤差が異なることも確認できている。上記従来技術では、これら問題を解決するには至っていない。
【0012】
バーコードに付与される情報が多くなるにつれて上記ドットの太りによる黒/白比率の誤差問題は顕著に現れる。よって誤差の少ない、高精度なバーコードの印刷が求められているのである。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、ドットの太りが発生する画像形成装置の利用時においても制度の高いバーコードを印刷可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために以下の手段を採用している。すなわち本発明における画像処理装置においては、バーコードを構成する複数のモジュールについて補正の対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別と注目モジュールに対する補正値とを関連付けて記憶する補正値記憶手段と、入力された複数のモジュールより成るバーコードデータについて補正対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別とに基づいて補正値記憶手段より注目モジュールに対する補正値を取得する補正値取得手段と、入力されたバーコードデータと補正値とに基づいてバーコードデータを構成する各モジュールを補正する補正手段と、補正されたバーコードデータを表示データに変換する表示変換手段と、変換された表示データを出力する出力手段とを備える。
【0015】
当該画像処理装置によると、補正対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別とに基づいて、各モジュールに対する補正値を取得し、当該補正値に基づいて各モジュールのドット数を割り当てる。これにより、画像形成装置特有のドットの太りによる影響を排除し、即ち制度の高いバーコードを印刷可能となる。精度の高いバーコードの印刷が可能となることによって、バーコードの高密度化を実現し、さらに読み取りミスを減少させることができる。
【0016】
なお、モジュールの種別はモジュールの幅であるとともに、補正値記憶手段は、注目モジュールの幅と隣接する2つのモジュールの幅の和と補正値とを関連付けて記憶し、補正値取得手段は、注目モジュールの幅と当該注目モジュールに隣接する2つの隣接モジュールの幅の和とに基づいて注目モジュールに対する補正値を取得する構成としてもよい。
【0017】
さらに、表示データを印刷する際の、印刷方向を示す印刷方向データを入力する印刷方向受信手段を備え、補正値記憶手段は、印刷方向に対してバーコードを垂直方向に印刷する際の垂直補正値を記憶する垂直補正値記憶手段と、印刷方向に対してバーコードを水平方向に印刷する際の水平補正値を記憶する水平補正値記憶手段とから成り、補正値取得手段は入力された上記印刷方向データとバーコードデータの印刷方向とに基づいて補正値記憶手段より垂直補正値又は水平補正値を選択的に取得する構成がある。
【0018】
この構成によれば、印刷方向に対するバーコードの配置方向を原因とする誤差をも解消した、制度の高いバーコードが印刷可能となる。
【0019】
なお、バーコードの種別によっては、補正値記憶手段は、バーコードの読取開始位置に位置する開始モジュールと読取終了位置に位置する終了モジュールに対する補正値をさらに記憶し、補正値取得手段は、上記注目モジュールが開始モジュール又は終了モジュールに該当する場合には、補正値記憶手段よりそれぞれ開始モジュール又は終了モジュールに該当する補正値を取得する構成としてもよい。
【0020】
この構成では、隣接するモジュールが存在しない開始モジュール又は終了モジュールに対しても正確な補正が可能となる。
【0021】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記画像処理装置を備えることで、画像形成装置特有のドットの太りによる影響を排除し、即ち制度の高いバーコードを印刷可能となる。さらに、上記各手段による処理を、画像処理方法、あるいはプログラムとして提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
補正対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別とに基づいて、各モジュールに対する補正値を取得し、当該補正値に基づいて各モジュールのドット数を割り当てる。これにより、画像形成装置特有のドットの太りによる影響を排除し、即ち制度の高いバーコードを印刷可能となる。精度の高いバーコードの印刷が可能となることによって、バーコードの高密度化を実現し、さらに読み取りミスを減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、フローチャートにおける数値の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0024】
まず、本発明に係る画像処理装置101について説明する。
【0025】
図1は、画像形成装置110を構成する画像処理装置101の概略機能ブロック図である。画像形成装置110は、具体的には、デジタル複写機、プリンタ、複合機などが該当し、画像処理装置は、当該画像形成装置内で、入力された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部などが該当する。なお、図1に示す各手段の処理等については後述する
また、図2は、画像形成装置110、及び画像処理装置101の概略構成図であり、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、HDD(Hard Disk Drive)204が内部バス206を介して接続されている。上記CPU201は、例えばRAM202を作業領域として利用し、ROM203やHDD204等に記憶されているプログラムを実行することで上記図1に示した各手段として動作する。また、画像形成装置110においては、上記プログラムを実行することにより、画像形成装置にて印刷を行う際に駆動される各種駆動部205の動作を制御する。なお、駆動部205の例として、自動原稿給紙装置、搬送ローラ、原稿読取部(イメージスキャナ)、光源、ミラー、撮像素子、感光ドラム、転写ローラ、加熱ローラ、加圧ローラなどが挙げられる。
【0026】
続いて、以下に、画像形成装置110及び画像処理装置101の処理の詳細を説明する。
【0027】
まず、画像形成装置110に、デジタル化された画像データが入力される(図4:S401)。上記デジタル化された画像データは、例えば紙原稿をイメージスキャナにより読み取り、或いはネットワークにて接続された他の機器より受信すること等により取得されたものである。当該画像データにバーコードが印刷されている場合、画像形成装置110又は画像処理装置101を構成する認識手段108が当該バーコードの位置を検知し、バーコードが示すバーコードデータを取得する。ここでいうバーコードデータとは、例えば図3Aに示す“A1N3X”などで示される一又は複数のキャラクターコードを示し、バーコードを例えばバーコードリーダにて読み込んだ際に得られるデータである。また、図3Bに示す各モジュール種別及びその順序を示すモジュールデータもバーコードデータと定義される。ここでいうモジュールデータとは、バーコードを構成する複数の黒モジュール及び白モジュール(図3A)の種別をそれぞれ示すコードであり、例えば基本となる基本黒モジュールは、ここでは“1B”で示される。
【0028】
なお、当該画像データに、バーコードが付されていない場合もある。通常、単にバーコードを付された画像をイメージスキャナで読み取った場合、当該バーコードは単なる画像として処理されてしまう。単なる画像として処理されてしまうと、バーコードに対する後述の補正処理を行うことができない。このため、当該バーコードを印刷する際には、バーコードに対応する例えばキャラクタデータが別途入力されることもある。また、もとよりバーコードが付されていない画像データにバーコードを追加する場合にも、バーコードに対応する例えばキャラクターコードが別途入力される。
【0029】
上記いずれかにより入力されたバーコードデータ(モジュールデータ)は、補正値取得手段102及び補正手段103にて取得される(図4:S402)。
【0030】
次に補正値取得手段102では、入力されたバーコードデータを受信すると、まず、当該バーコードデータに対するドットパターンに変換することでドットパターンを得る(図4:S403、図3C)。ドットパターンとは、1つのモジュールの幅に該当するドット数であり、例えば“1B”、“1S”の場合には4ドット、“2B”、“2S”の場合には8ドットとなる。なお、この値は画像形成装置の解像度などによって異なる。
【0031】
次に、補正値取得手段102は、バーコードデータの先頭より、順次バーコードを構成するモジュールを参照することで補正値を得る(図4:S404、図3D)。ここで補正値の取得は以下のように行われる。即ち、まず、取得したモジュールが開始モジュールか否かを判定する(図4:S411)。ここでは、最初に読み込んだモジュールであるため、1つ目のモジュールが開始モジュールと判定される(図4:S411Yes→S412)。ここでは開始モジュールは例えば“2B”となる。ここで、補正値取得手段102は、最初に注目するモジュールであり開始モジュールと判定するため、開始モジュールに対応する補正値を、補正値記憶手段104を参照し取得する(図4:S412)。
【0032】
ここで、補正値記憶手段104に格納される補正テーブルの一例を図5に示す。当該補正テーブルには、バーコードを構成する複数のモジュールすべてについて、補正の対象となる注目モジュールの種別(黒モジュール種別の4種501及び白モジュール種別の4種類502)と、注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別(黒モジュールに隣接する白モジュール7パターン503及び白モジュールに隣接する黒モジュール7パターン504)と、注目モジュールに対する補正値505、506が記憶されている。なお、隣接モジュールとは、注目モジュールの両側に存在する、当該注目モジュールとは異なる色(種別)のモジュールを指す。また、隣接モジュール種別とは、両側に存在するモジュールの和をその幅の大きさ(基本モジュールの何倍の幅を有するか)によって場合分けした際の種別である。さらに補正テーブルには、開始モジュールに対する補正値507、508と終了モジュールに対する補正値509、510が記憶されている。
【0033】
つまり、補正値記憶手段104は、まず、開始モジュール及びその種別(色)“B”である旨に基づいて、黒モジュールの補正テーブルより、開始モジュールに対する補正値“−1”を取得する。
【0034】
取得された補正値は、随時補正手段103に送信される。
【0035】
続いて、補正値取得手段102は、上記開始モジュールの次に位置するモジュールに注目する。当該注目モジュールには、隣接する2つのモジュールが存在するため、開始モジュールでも終了モジュールでもないと判断される(図4:S411No→S413No→S415)。続いて、補正値取得手段102は、注目モジュールの前後のモジュールを参照する。図3に示す例では、注目モジュールは“1S”である。また、当該注目モジュールの前後のモジュールの和を算出する。ここでは、前のモジュール(開始モジュール)が“2B”、後ろのモジュールが“1B”であるため、隣接モジュール(の和)は“3”となる。そこで、補正値取得手段102は、“1S”より、白モジュールの補正テーブルの白モジュール種別“1S”の欄を参照し、さらに、隣接モジュールの和“3”より、黒モジュール隣接和“3B”の欄を参照する。当該位置の値は“0”であり、即ち補正値は“0”と判定される。よって、2つ目の注目モジュール“1S”に対応する補正値は、“0”となる(図4:S415)。当該補正値は、補正手段103に送信される。
【0036】
注目モジュールを順次後方にずらすことにより、上記のような補正値取得処理(S404)をすべてのモジュールについて繰り返す。これにより、開始モジュールから終了モジュールまでのすべてのモジュールについて補正値を得ることができる。なお、終了モジュールは、例えば図3における終了モジュール“2B”に連続する後方のモジュールが存在しないことにより、判定可能である(図4:S413)。終了モジュールと判定された場合には、上記開始モジュールと同様の処理により、黒モジュールの補正テーブルにおける終了モジュール509を参照することにより、補正値“−1”を取得することができる。
【0037】
さて、バーコードデータ(ドットパターン)と、当該バーコードデータに対する補正値とを順次補正値取得手段102より取得した補正手段103は、各モジュールについて、ドットパターンと補正値との和により、図3Eに示す補正後ドットパターンを算出する(図4:S405)。
【0038】
続いて、補正後ドットパターンは、表示変換手段105に送信され、当該表示変換手段105は、補正後ドットパターンより成るバーコードの表示データを作成し出力する(図4:S406)。これにより、ドットの太りを補正した表示データが出力される。
【0039】
次に、画像形成装置110を構成する合成手段106は、入力された画像データに対して、上記画像処理装置101より出力された表示データを合成し、ドット列で構成されるバーコード付画像データとして画像形成手段107に送信する。
【0040】
画像形成手段107では、バーコード付画像データに基づいて、各ドットへの出力のON−OFFを行うことにより、バーコード付画像が出力される。
【0041】
以上のように、補正対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別とに基づいて、各モジュールに対する補正値を取得し、当該補正値に基づいて各モジュールのドット数を割り当てる。これにより、画像形成装置特有のドットの太りによる影響を排除し、即ち制度の高いバーコードを印刷可能となる。精度の高いバーコードの印刷が可能となることによって、バーコードの高密度化を実現し、さらに読み取りミスを減少させることができる。
【0042】
ところで、画像形成装置が形成する各ドットの形状は例えば図10に示したように楕円形である点は上述したとおりである。通常、図6に示すように印刷方向(印刷媒体が移動、排出される方向)601、602に対して、走査方向(印刷方向に対して垂直方向)603、604にドットが形成される。ドットの形状はこのような場合には、走査方向に平行に長軸が形成される。楕円形に限らないが、印刷方向と走査方向とでドットの太りが異なるのである。したがって、図6Aに示すように、走査方向に対して各モジュールが平行に配列される(印刷方向に対してバーコード(の読み取りライン)が垂直方向に印刷される)場合と、図6Bに示すように、走査方向に対して各モジュールが垂直に配列される(印刷方向に対してバーコード(の読み取りライン)が平行方向に印刷される)場合とで、各モジュールの幅が異なるのである。
【0043】
図7は、図6Bにおける円領域605近傍の拡大図である。図7に示すように、走査方向604に対して各モジュールが垂直方向に配列される場合には、モジュールの幅を構成する複数のドット701〜704は、その短軸が各モジュールの誤差を形成する。したがって、図5に示した2つの補正テーブルの値を用いて補正した場合であっても、誤差が解消されない場合が生じる。
【0044】
したがって、本願に係る画像処理装置101においては、このような場合に対応するためにさらに、表示データを印刷する際の印刷方向を示す印刷方向データを入力する印刷方向受信手段109を備えている。当該印刷方向受信手段109は、例えば画像形成装置110から、印刷方向(走査方向でもよい)を示す印刷方向データを受信する。そして、当該印刷方向データと、当該印刷方向に対するバーコードの配置とを考慮して、上記補正テーブルとは異なる補正テーブルを参照するのである。バーコードの配置は、バーコード配置データとしてバーコードデータに含まれている場合や、上記印刷方向データと同じく、印刷方向受信手段109が別途画像形成装置110より受信する場合がある。
【0045】
このような構成で、上記印刷方向データとバーコード配置データとを受信した補正値取得手段102は、当該2つのデータより、印刷方向に対してバーコードが垂直方向に印刷されるのか、印刷方向に対してバーコードが平行方向に印刷されるのかを判定する。そして、印刷方向に対してバーコードが垂直方向に印刷されると判定した場合(図6A)には、上述したように、図5に示した2つの補正テーブル(ここでは垂直補正テーブルと称する)を利用するのである。ここで、印刷方向に対してバーコードが平行方向に印刷されると判定した場合(図6B)、上記異なる補正テーブル、即ち水平補正テーブルを参照する。
【0046】
水平補正テーブルは、図5に示した2つの垂直補正テーブルと同様、補正値記憶手段104に格納されている。なお、補正値以外の構成は垂直補正テーブルと同様であるため図示しない。
【0047】
補正値取得手段102が水平補正テーブルより補正値を取得する以外は、補正値取得処理(S404)及び補正処理(S405)と同様である。そして、水平補正テーブルにより補正された場合には、表示変換手段105は、バーコードの表示データを生成する際に当該表示データを90度回転させた後、表示データとして出力するのである。
【0048】
上記により、印刷方向に対するバーコードの配置方向を原因とする誤差をも解消した、制度の高いバーコードが印刷可能となる。
【0049】
なお、本願における補正値は、2つ又は4つの補正値テーブルとしてもうけられているが、補正値をある一定のルールに基づいて関数として与えることができる場合には、所定の補正値算出関数として記憶手段に記憶させてもよい。
【0050】
また、上記画像処理装置102による補正処理は、例えばパーソナルコンピュータにインストールされるプリンタドライバプログラムとして提供することもできる。この場合には、プリンタドライバが上記補正値を備えることにより、プリンタ特有の補正が可能となる。さらに、プリンタドライバの構成により、補正値取得手段、補正値記憶手段(補正値テーブル)を具備する構成や、これにくわえて表示変換手段、合成手段、印刷方向受信手段までも具備する構成などがある。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る画像処理装置等は、画像形成装置特有のドットの太りによる影響を排除し、即ち制度の高いバーコードを印刷可能な画像処理装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る画像処理装置の概略機能ブロック図。
【図2】本発明に係る画像処理装置の概略構成図。
【図3】処理手順を示すイメージ図。
【図4】画像処理装置の処理を示すフローチャート。
【図5】補正テーブルの一例を示す図。
【図6】印刷方向とバーコードの配置関係を示す図。
【図7】印刷方向に対してバーコードが平行方向に印刷される際のドットを示す図。
【図8】バーコード種別を示す図。
【図9】バーコードを構成する各モジュールを示す図。
【図10】ドットの太りがモジュールに与える影響を示す第一図。
【図11】ドットの太りがモジュールに与える影響を示す第二図。
【符号の説明】
【0053】
101 画像処理装置
102 補正値取得手段
103 補正手段
104 補正値記憶手段
105 表示変換手段
106 合成手段
107 画像形成手段
108 バーコード認識手段
109 印刷方向入力手段
110 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードを構成する複数のモジュールについて、補正の対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別と注目モジュールに対する補正値とを関連付けて記憶する補正値記憶手段と、
入力された、複数のモジュールより成るバーコードデータについて、補正対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別とに基づいて、上記補正値記憶手段より注目モジュールに対する補正値を取得する補正値取得手段と、
上記入力されたバーコードデータと上記補正値取得手段が取得した補正値とに基づいて当該バーコードデータを構成する各モジュールを補正する補正手段と、
上記補正手段により補正されたバーコードデータを表示データに変換する表示変換手段と、
上記表示変換手段により変換された表示データを出力する出力手段と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
上記モジュールの種別はモジュールの幅であるとともに、
上記補正値記憶手段は、注目モジュールの幅と、隣接する2つのモジュールの幅の和と、補正値とを関連付けて記憶し、
上記補正値取得手段は、注目モジュールの幅と、当該注目モジュールに隣接する2つの隣接モジュールの幅の和とに基づいて、注目モジュールに対する補正値を取得する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
さらに、上記表示データを印刷する際の、印刷方向を示す印刷方向データを入力する印刷方向受信手段を備え、
上記補正値記憶手段は、上記印刷方向に対してバーコードを垂直方向に印刷する際の垂直補正値を記憶する垂直補正値記憶手段と、上記印刷方向に対してバーコードを水平方向に印刷する際の水平補正値を記憶する水平補正値記憶手段とから成り、
上記補正値取得手段は、入力された上記印刷方向データとバーコードデータの印刷方向とに基づいて、上記補正値記憶手段より垂直補正値又は水平補正値を選択的に取得する請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記補正値記憶手段は、バーコードの読取開始位置に位置する開始モジュールと読取終了位置に位置する終了モジュールに対する補正値をさらに記憶し、
上記補正値取得手段は、上記注目モジュールが開始モジュール又は終了モジュールに該当する場合には、上記補正値記憶手段よりそれぞれ開始モジュール又は終了モジュールに該当する補正値を取得する請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置を備えた画像形成装置。
【請求項6】
入力された、複数のモジュールより成るバーコードデータについて、補正対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別とに基づいて、補正の対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別と注目モジュールに対する補正値とを関連付けて記憶する補正値記憶手段より注目モジュールに対する補正値を取得する補正値取得ステップと、
上記入力されたバーコードデータと上記取得した補正値とに基づいてバーコードデータを構成する各モジュールを補正する補正ステップと、
上記補正されたバーコードデータを表示データに変換する表示変換ステップと、
上記変換された表示データを出力する出力ステップと
を備える画像処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
入力された、複数のモジュールより成るバーコードデータについて、補正対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別とに基づいて、補正の対象となる注目モジュールの種別と当該注目モジュールに隣接する隣接モジュールの種別と注目モジュールに対する補正値とを関連付けて記憶する補正値記憶手段より注目モジュールに対する補正値を取得する補正値取得ステップと、
上記入力されたバーコードデータと上記取得した補正値とに基づいてバーコードデータを構成する各モジュールを補正する補正ステップと、
上記補正されたバーコードデータを表示データに変換する表示変換ステップと、
上記変換された表示データを出力する出力ステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−112338(P2008−112338A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295381(P2006−295381)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】