説明

画像処理装置、画像形成装置、画像形成システム、および画像処理プログラム

【課題】印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、当該印刷物の画像形成面に形成され指定される所定の記号については秘匿の状態とすることのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、画像形成対象のデータを取得するデータ取得手段と、指定される処理対象とする広義の記号(文字、狭義の記号など)を取得する指定情報取得手段と、データ取得手段によって取得されたデータから指定情報取得手段によって取得された記号と同じ記号を特定する記号特定手段と、記号特定手段によって特定された記号について当該特定された記号とは異なる記号と比較して線幅が細くなる所定の修飾を施す記号処理手段と、記号処理手段によって所定の修飾が施された後の前記画像形成対象のデータを出力するデータ出力手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像形成システム、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指定された文字列を強調書体に変換する方法、あるいは指定された文字列に対し網掛けや反転など文字修飾処理を実施する方法などにより、指定された文字列を強調して出力するものがある。前者の方法による装置としては例えば特許文献1に記載されたものが知られており、また後者の方法によるシステムとしては例えば特許文献2に記載されたものが知られている。
【0003】
また、従来、指定された文字列に対し塗りつぶしが施された印刷データを生成し、この印刷データを基に印刷を行うシステムがある。このようなシステムとしては例えば特許文献3に記載されたものが知られている。
【特許文献1】特開平04−195518号公報
【特許文献2】特開2000−235465号公報
【特許文献3】特開2003−025684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、当該印刷物の画像形成面に形成され指定される所定の記号については秘匿の状態とすることのできる画像処理装置、画像形成装置、画像形成システム、および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の画像処理装置は、画像形成対象のデータを取得するデータ取得手段と、指定される処理対象とする記号を取得する指定情報取得手段と、前記データ取得手段によって取得されたデータから前記指定情報取得手段によって取得された記号と同じ記号を特定する記号特定手段と、前記記号特定手段によって特定された記号について当該特定された記号とは異なる記号と比較して線幅が細くなる所定の修飾を施す記号処理手段と、前記記号処理手段によって所定の修飾が施された後の前記画像形成対象のデータを出力するデータ出力手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記記号処理手段は、前記特定された記号に対する前記所定の修飾として、当該特定された記号の反転と、当該特定された記号にかかわる背景と当該記号の輪郭線とについて網点面積率が40%以上の網掛けとを施す、ことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、前記記号処理手段は、前記特定された記号のサイズを、当該特定された記号とは異なる記号のサイズと比較して小さくする、ことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1〜3のいいずれか一項に記載の発明において、前記画像形成対象のデータにかかわる記号に含まれる文字に注目し、前記特定された記号が文字の場合、前記記号処理手段は、当該特定された文字を当該特定された文字とは異なる文字の字体の線幅よりも細い字体の文字に変換する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1〜4のいいずれか一項に記載の発明において、前記指定情報取得手段は、前記処理対象とする個人情報に対応する記号列を取得し、前記記号特定手段は、前記データ取得手段によって取得されたデータから前記指定情報取得手段によって取得された記号列と同じ記号列または対応する記号列を特定し、前記記号処理手段は、前記特定された記号列について当該特定された記号列とは異なる記号または記号列と比較して線幅が細くなる所定の修飾を施す、ことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、上記請求項1〜5のいいずれか一項に記載の発明において、アプリケーションソフトウェアにより作成されたデータを基に印刷データを生成する印刷データ生成手段、を更に備え、前記データ取得手段は、前記印刷データ生成手段によって生成された印刷データを画像形成対象のデータとして取得する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、上記請求項1〜5のいいずれか一項に記載の発明において、原稿を光学的に読み取るとともに該読み取り結果を画像データに変換する画像読取装置とデータの授受を行うインタフェース手段と、前記インタフェース手段が受け取った画像データを基に印刷データを生成する印刷データ生成手段と、を更に備え、前記データ取得手段は、前記印刷データ生成手段によって生成された印刷データを画像形成対象のデータとして取得する、ことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため、請求項8に記載の本発明の画像形成装置は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置から出力される画像形成対象のデータを受け取るとともに、該受け取ったデータを基に画像形成処理を実施する、ことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため、請求項9に記載の本発明の画像形成システムは、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置と、前記画像処理装置から出力された画像形成対象のデータを受け取るとともに、該受け取ったデータを基に画像形成処理を実施する画像形成装置と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、請求項10に記載の本発明の画像処理プログラムは、画像形成対象のデータを取得するデータ取得処理過程と、指定される処理対象とする記号を取得する指定情報取得処理過程と、前記データ取得処理過程により取得されたデータから前記指定情報取得処理過程により取得された記号と同じ記号を特定する記号特定処理過程と、前記記号特定処理過程により特定された記号について当該特定された記号とは異なる記号と比較して線幅が細くなる所定の修飾を施す記号処理過程と、前記記号処理過程により所定の修飾が施された後の前記画像形成対象のデータを出力するデータ出力処理過程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、当該印刷物の画像形成面に形成され指定される所定の記号については秘匿の状態とすることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、印刷物の画像形成面に形成され反転および網掛けの修飾が施された所定の記号については、隠匿性を高めた状態とすることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、印刷物の画像形成面に形成され、反転および網掛けの修飾が施されかつ他の記号と比較してサイズの小さい所定の記号については、他の記号とサイズが同じ場合と比較して隠匿性を高めた状態とすることができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、印刷物の画像形成面に形成され、反転および網掛けの修飾が施されかつ他の文字の字体と比較して線幅の細い字体の所定の文字については、秘匿の状態とすることができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、印刷物の画像形成面に形成され指定される個人情報については、秘匿の状態とすることができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、アプリケーションソフトウェアにより作成されたデータに基づき画像形成された印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、当該印刷物の画像形成面に形成され指定される所定の記号については秘匿の状態とすることができる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、画像読取装置によって読み取られた画像データに基づき画像形成された印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、当該印刷物の画像形成面に形成され指定される所定の記号については秘匿の状態とすることができる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、当該印刷物の画像形成面に形成され指定される所定の記号については秘匿の状態とすることができる。
【0023】
請求項9記載の発明によれば、印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、当該印刷物の画像形成面に形成され指定される所定の記号については秘匿の状態とすることができる。
【0024】
請求項10記載の発明によれば、印刷物の画像形成面が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視された場合に、当該印刷物の画像形成面に形成され指定される所定の記号については秘匿の状態にさせるソフトウェアを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
(実施の形態1)
【0027】
図1は、実施の形態1に係る画像処理装置の機能構成を示している。
【0028】
この実施の形態1の画像処理装置は、画像形成対象のデータから、指定される隠匿処理対象の記号と同じ記号を特定するとともに、この特定した記号については当該特定された記号とは異なる記号と比較して線幅が細くなる所定の修飾を施すようになっている。
【0029】
本願明細書において、「隠匿処理対象の記号」における「記号」とは、広義の「記号」を意味し、文字(例えば、ひらかな、カタカタ、漢字、英数字、ギリシャ文字など)、符号(文字以外のもの、例えば狭義の記号(例えば、学術記号、@、$、¥など)や図形)などである。
【0030】
さて、画像処理装置10は、例えばコンピュータで構成され、図1に示すように、画像処理部100、表示部101、入力部102、印刷データ生成部103、およびアプリケーションソフトウェア104を有している。
【0031】
表示部101は、画像形成対象(印刷対象)のデータ(のファイル名)を指定するための設定画面(以下「ファイル設定画面」という)、画像形成対象(印刷対象)のデータに対する隠匿処理を実施するに際し、隠匿処理対象の記号の指定や、隠匿処理方法の指定などを行うための設定画面(以下「隠匿処理設定画面」という。)など、所定の表示情報を表示するものである。
【0032】
入力部102は、ファイル設定画面に対し印刷対象のデータのファイル名の指定、隠匿処理設定画面に対し隠匿処理対象の記号の指定や、隠匿処理方法の指定など、所定の入力情報を入力するものである。
【0033】
実施の形態1では、指定される隠匿処理対象の記号は、文字および文字列の両方または一方とする。もちろん、隠匿処理対象の記号はそれに限定されることなく、上述したように文字(文字列)、文字以外のもの例えば狭義の記号(例えば、学術記号、@、$、¥など)や図形などであってもよい。
【0034】
印刷データ生成部103は、上記印刷データ生成手段の機能を有し、アプリケーションソフトウェア104により作成されたデータを基に印刷データ、例えばページ記述言語で記述されるデータ(以下「PDLデータ」という。)を生成し、これをデータ取得部110に与える。
【0035】
画像処理部100は、データ取得部110、指定情報取得部120、記号特定部130、記号処理部140、データ出力部150およびデータ記憶部160を有している。
【0036】
データ取得部110は、上記データ取得手段の機能を有し、印刷データ生成部103から与えられた印刷データ(プリケーションソフトウェア104により作成されたデータに基づき生成された印刷データ)を画像形成対象のデータとして取得し、これをデータ記憶部160に格納する。
【0037】
指定情報取得部120は、上記指定情報取得手段の機能を有し、指定される処理対象とする記号を取得する。
【0038】
また、指定情報取得部120は、指定される処理対象とする個人情報に対応する記号列を取得する。
【0039】
記号特定部130は、上記記号特定手段の機能を有し、データ取得部(データ取得手段)110が取得したデータから指定情報取得部(指定情報取得手段)120が取得した記号と同じ記号を特定する。この場合、記号特定部130は、データ記憶部160に記憶されている印刷データから、指定情報取得部120が取得した記号と同じ記号を特定することになる。
【0040】
また、記号特定部130は、データ記憶部160に記憶されている印刷データから、指定情報取得部120が取得した記号列(個人情報に対応する記号列)と同じ記号列または対応する記号列を特定する。
【0041】
なお、個人情報に対応する記号列と同じ記号列とは、指定情報取得部120によって例えば具体的な個人名(例えば富士太郎)が指定された場合に、その個人名と同じ個人名(例えば富士太郎)を意味する。また、個人情報に対応する記号列に対応する記号列とは、指定情報取得部120によって例えば属性としての個人名が指定された場合に、その個人名(属性)に対応する具体的な個人名(例えば個人名と思われる富士太郎、富士花子など)を意味する。このようなことは、個人情報としての例えば、住所、電話番号、メールアドレスなどにも言える。
【0042】
上述したようにして記号特定部130が記号または記号列を特定した結果は、例えば特定した記号または記号列が存在する位置を示す位置情報などであり、記号処理部140に与えられる。
【0043】
記号処理部140は、上記記号処理手段の機能を有し、記号特定部(記号特定手段)130によって特定された記号について当該特定された記号とは異なる記号と比較して線幅が細くなる所定の修飾(例えば反転と網掛け)を施す。
【0044】
この場合、記号処理部140は、データ記憶部160に記憶されている印刷データに含まれ、記号特定部(記号特定手段)130によって特定された記号に対して所定の修飾を実施し、その修飾を実施した後の印刷データをデータ出力部150に渡す。
【0045】
また、記号処理部140は、特定された個人情報に対応する記号列に関しては、この特定された記号列について当該特定された記号列とは異なる記号または記号列と比較して線幅が細くなる所定の修飾(例えば反転と網掛け)を施すことになる。
【0046】
この記号処理部140は、修飾処理部141、文字サイズ変更処理部142、および字体変更処理部143を有している。
【0047】
修飾処理部141は、上記特定された記号に対する上記所定の修飾として、当該特定された記号の反転と、当該特定された記号にかかわる背景と当該記号の輪郭線とについて網点面積率(網掛け率)が40%以上の網掛けとを施す。
【0048】
なお、網掛けに関しては、より好ましくは、40%以上、50%以下の範囲で所望の網掛け率の網掛けとする。
【0049】
文字サイズ変更処理部142は、特定された記号のサイズを、当該特定された記号とは異なる記号のサイズと比較して小さくする(文字を縮小する)。
【0050】
字体変更処理部143は、特定された記号が文字の場合、特定された文字を、特定された文字とは異なる文字の字体の線幅よりも細い字体の文字に変換する。例えば、字体変更処理部143は、印刷データに含まれる文字が例えばゴシック体の字体で記述されている場合においては、特定された文字を明朝体の字体の文字に変換する。
【0051】
データ出力部150は、上記データ出力手段の機能を有し、記号処理部(記号処理手段)140によって所定の修飾が施された後の画像形成対象のデータ(印刷データ)を出力する。
【0052】
画像形成装置20は、例えばプリンタであり、画像処理装置20から出力された画像形成対象のデータ(印刷データ)を受け取るとともに該受け取った印刷データを基に画像形成処理を実施する。
【0053】
なお、実施の形態1において、データ記憶部160を除く画像処理部100(構成要素110〜150)は、ソフトウェア、ファームウェア、またはドライバで構成することができる。
【0054】
また、実施の形態1においては、画像処理装置10と画像形成装置20とで画像形成システム1を形成している。
【0055】
図2は表示部101に表示される隠匿処理設定画面の一例を示しており、図2(a)は、印刷対象のデータに対する隠匿処理を実施するに際し、隠匿処理対象の文字および文字列の両方または一方の指定を行うための隠匿処理設定画面101Aを示し、図2(b)は、印刷対象のデータに対する隠匿処理を実施するに際し、隠匿処理方法の指定を行うための隠匿処理設定画面101Bを示している。
【0056】
隠匿処理設定画面101Aには、隠匿処理対象として「任意の文字および文字列の両方または一方」を指定するための指定欄(「任意の文字・文字列」指定欄)1011と、隠匿処理対象として「個人情報」を指定するための指定欄(「個人情報」指定欄)1012とが設けられている。
【0057】
ユーザが入力部102を操作して「任意の文字・文字列」指定欄1011および「個人情報」指定欄1012の両方または一方を選択する(チェックする)ことができるようになっている。
【0058】
「任意の文字・文字列」指定欄1011に対応して、実際に文字および文字列の両方または一方を記述するための記述欄1011Aが設けられている。ユーザは、入力部102を操作して記述欄1011Aに、漢字、ひらがな、カタカナ、内容を表すキーワード(例えば所定の分野にかかわるキーワード)などの文字列を記述することができる。
【0059】
すなわち、ユーザが、「任意の文字・文字列」指定欄1011を選択し、記述欄1011Aに文字および文字列の両方または一方を記述し、さらに「確定」ボタン1018Aを選択することにより、記述された文字および文字列の両方または一方が隠匿処理対象として確定される。
【0060】
なお、複数の文字または文字列を隠匿処理対象としたいときは、記述欄1011Aに複数の文字または文字列を記述するに際し、文字と文字との間、文字列と文字列との間、または文字と文字列との間に「空白」または「,」(カンマ)を挿入する。あるいは、上述した隠匿処理対象の指定操作を繰り返し行う。
【0061】
「個人情報」指定欄1012に対応して、「デフォルト」を指定するための指定欄(「デフォルト」指定欄)1013と、個人情報としての各選択肢を指定するための指定欄(「個人情報選択肢」指定欄)1014とが設けられている。
【0062】
ユーザが入力部102を操作して「デフォルト」指定欄1013または「個人情報選択肢」指定欄1014を選択する(チェックする)ようになっている。
【0063】
ユーザが入力部102を操作して「デフォルト」指定欄1013を選択した場合は、例えば「電話番号」、「住所」、「名前」など予め設定される個人情報が秘匿処理対象として設定されることになる。
【0064】
ユーザが入力部102を操作して「個人情報選択肢」指定欄1014を選択した場合は、この「個人情報選択肢」指定欄1014に対応して設けられている例えば「電話番号」、「住所」、「名前」の各選択肢を指定するための選択肢指定欄1014A,1014B,1014Cの中から、少なくとも1つの選択肢指定欄つまり個人情報を選択する(チャックする)ようになっている。
【0065】
すなわち、ユーザが、「個人情報」指定欄1012を選択し、次に「デフォルト」指定欄1013を選択し、さらに「確定」ボタン1018Bを選択することにより、デフォルトに対応する個人情報が隠匿処理対象として確定される。
【0066】
一方、ユーザが、「個人情報」指定欄1012を選択し、次に「個人情報選択肢」指定欄1014を選択し、続いて選択肢指定欄1014A,1014B,1014Cの中から所望の選択肢(選択肢指定欄)を選択し、さらに「確定」ボタン1018Bを選択することにより、指定された選択肢の個人情報が隠匿処理対象として確定される。
【0067】
隠匿処理設定画面101Bには、必須の隠匿処理方法としての所定の修飾処理としての反転処理および網掛け処理に対応する「所定の修飾:反転・網掛け(網掛け率40%〜50%)」の処理項目1015と、「文字縮小」の処理方法を指定するための指定欄(「文字縮小」指定欄)1016と、「字体変更」の処理方法を指定するための指定欄(「字体変更」指定欄)1017とが設けられている。
【0068】
実施の形態1では、「文字縮小」指定欄1016および「字体変更」指定欄1017のいずれか一方のみを選択し、両方を選択することができないようになっている。また実施の形態1では、前記2つの指定欄1016,1017のいずれも選択しないこともできる。この場合、「所定の修飾:反転・網掛け(網掛け率40%〜50%)」処理項目1015に対応する必須の隠匿処理方法としての所定の修飾処理(反転処理および網掛け処理)のみが、修飾処理部141によって実施されることとなる。
【0069】
「文字縮小」指定欄1016が選択された場合は、修飾処理部141による所定の修飾処理(反転処理および網掛け処理)に加えて、文字サイズ変更処理部142によって、指定された隠匿処理対象の文字または文字列に対する「文字の縮小処理」が実施されるようになっている。
【0070】
「字体変更」指定欄1017が選択された場合は、修飾処理部141による所定の修飾処理(反転処理および網掛け処理)に加えて、字体変更処理部143によって、指定された隠匿処理対象の文字または文字列に対する「字体の変更処理」が実施されるようになっている。
【0071】
すなわち、ユーザが、「文字縮小」指定欄1016または「字体変更」指定欄1017を選択し、さらに「確定」ボタン1018Cを選択することにより、選択された指定欄に対応する隠匿処理方法と、必須の隠匿処理方法としての所定の修飾処理(反転処理および網掛け処理)とが、今回の隠匿処理方法として確定される。
【0072】
次に、画像処理装置の画像処理部による隠匿処理について、図3を参照して説明する。
【0073】
なお、図3は、その隠匿処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0074】
ここでは、「隠匿処理対象の文字および文字列の両方または一方」を総称して「隠匿処理対象の文字(文字列)」と表記する。また、アプリケーションソフトウェア104により作成されたデータに対応する文章は、字体が「ゴシック体」の文字で記述されているものとする。
【0075】
ユーザは、入力部102を操作して、表示部101にファイル設定画面を表示させるとともに、該ファイル設定画面に対して画像形成対象(印刷対象)のデータのファイル名を指定する。
【0076】
また、ユーザは、入力部102を操作して、表示部101に隠匿処理設定画面101A(図2(a)参照)および隠匿処理設定画面101B(図2(b)参照)を表示させるとともに、これらの設定画面に対して所望の指定欄を選択し、あるいは記述欄に隠匿処理対象の文字(文字列)を記述し、隠匿処理対象の文字(文字列)および隠匿処理方法を指定する。これら設定画面に設定(指定)された隠匿処理対象の文字(文字列)および隠匿処理方法に関する情報は指定情報取得部120に入力される。
【0077】
上述したようにして指定されたファイル名に対応するデータつまりアプリケーションソフトウェア104により作成されたデータが印刷データ生成部103に与えられると、印刷データ生成部103は、受け取ったデータを印刷データ(PDLデータ)に変換してデータ取得部110に向けて出力する。
【0078】
データ取得部110は、印刷データ生成部103からの印刷データを画像形成対象のデータとして取得し、これをデータ記憶部160に格納する(ステップS110)。
【0079】
指定情報取得部120は、上述したようにして隠匿処理設定画面101Aおよび隠匿処理設定画面101Bに対して設定された隠匿処理対象の文字(文字列)および隠匿処理方法の情報を取得し(ステップS120)、取得した隠匿処理対象の文字(文字列)を記号特定部130へ出力するとともに、取得した隠匿処理方法の情報を記号処理部140へ出力する(ステップS130)。
【0080】
記号特定部130は、データ記憶部160に記憶されている印刷データの中から、隠匿処理対象の文字(文字列)と同じものを特定し、この特定した結果(文字列の存在する位置に関する位置情報など)を記号処理部140へ出力する(ステップS140)。
【0081】
記号処理部140は、指定情報取得部120からの隠匿処理方法の情報を基に、指定された隠匿処理方法による隠匿処理は、「必須の隠匿処理」、「必須の隠匿処理と文字サイズ変更処理」、「必須の隠匿処理と字体変更処理」のいずれであるかを判断する(ステップS150)。
【0082】
ここで、図2(b)の隠匿処理設定画面101Bにおいて、「文字縮小」指定欄1016が選択され、さらに「確定」ボタン1018Cが選択された場合には、「必須の隠匿処理と文字サイズ変更処理」であると判断される。また、「字体変更」指定欄1017が選択され、さらに「確定」ボタン1018Cが選択された場合には、「必須の隠匿処理と字体変更処理」であると判断される。さらに、文字縮小」指定欄1016および「字体変更」指定欄1017のいずれも選択されずに、「確定」ボタン1018Cが選択された場合は、「必須の隠匿処理」であると判断される。
【0083】
ステップS150において隠匿処理は「必須の隠匿処理」であると判断された場合には、記号処理部140では、修飾処理部141による隠匿処理が実施される(ステップS160)。この隠匿処理の詳細については後述する。
【0084】
またステップS150において隠匿処理は「必須の隠匿処理と文字サイズ変更処理」であると判断された場合には、記号処理部140では、修飾処理部141と文字サイズ変更処理部142とによる隠匿処理が実施される(ステップS170)。この隠匿処理の詳細については後述する。
【0085】
さらにステップS150において隠匿処理は「必須の隠匿処理と字体変更処理」であると判断された場合は、記号処理部140では、修飾処理部141と字体変更処理部143とによる隠匿処理が実施される(ステップS180)。この隠匿処理の詳細については後述する。
【0086】
そして、上記ステップS160、上記ステップS170、またはステップS180を終了した記号処理部140が、データ記憶部160に記憶されている隠匿処理済みの印刷データを読み出して、データ出力部150へ出力すると(ステップS190)、データ出力部150は、受け取った印刷データ(隠匿処理済みの印刷データ)を画像形成装置20としてのプリンタに向けて出力する(ステップS200)。
【0087】
次に、上記ステップS160、上記ステップS170、および上記ステップS180での各隠匿処理について説明する。
【0088】
すなわち、ステップS160での隠匿処理においては、記号処理部140では、図4に示すように、修飾処理部141は、記号特定部130からの特定した結果に基づき、隠匿処理対象の文字(文字列)に対して必須の隠匿処理方法としての反転処理および網掛け処理を実施する。つまり修飾処理部141は、隠匿処理対象の文字(文字列)に対する上記所定の修飾として、当該特定された文字(文字列)の反転と、当該特定された文字(文字列)にかかわる背景と当該文字(文字列)の輪郭線(または文字列の文字の輪郭線)とについて網掛け率が40%以上の網掛けとを実施する(ステップS161)。
【0089】
ここで具体的に説明する。文字(アウトラインフォント)は線部分(オフセット部分)と中塗り部分とで構成されるので、隠匿処理対象の文字(文字列)が、図5(a)に示すように、例えば、線部分(オフセット部分)1411と中塗り部分1412とで構成される文字「大」であるとする。また、この文字「大」に関して、線部分(オフセット部分)1411と中塗り部分1412とが黒色(黒の塗り潰し)で該文字「大」にかかわる背景1413が白色であるとする。
【0090】
この場合、修飾処理部141は、線部分(オフセット部分)1411と中塗り部分1412とで構成される文字「大」を反転処理するとともに、当該文字「大」の輪郭線つまり線部分(オフセット部分)1411と当該文字「大」にかかわる背景1413とについて例えば網掛け率40%で網掛け処理を実施する。
【0091】
これにより、図5(a)に示す文字「大」は、図5(b)に示す文字「大」に遷移することになる。
【0092】
ちなみに、反転および網掛けの単なる組み合わせの場合では線部分1411と中塗り部分1412とで構成される文字「大」の反転となるのに対し、修飾処理部141による反転処理および網掛け処理を実施する場合では、中塗り部分1412のみで構成される文字「大」の反転となるので、後者の文字「大」は、前者の文字「大」と比較して、線部分1411だけ線幅が細くなっている。
【0093】
このように、隠匿処理対象の文字(文字列)に対する上記所定の修飾として、当該特定された文字(文字列)の反転と、当該特定された文字(文字列)にかかわる背景と当該文字(文字列)の輪郭線(線部分=オフセット部分)とについて網掛け率が40%以上の網掛けとを実施するということは、印刷データが画像形成(印刷)された印刷物(用紙)の画像形成面を、第三者が当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視した場合(斜め読みした場合)であっても、隠匿処理対象の文字(文字列)の判読を困難にさせることを意味する。
【0094】
ところで、ステップS170での隠匿処理においては、記号処理部140では、図6に示すように、修飾処理部141が、記号特定部130からの特定した結果に基づき、隠匿処理対象の文字(文字列)に対して必須の隠匿処理方法としての反転処理および網掛け処理を実施するとともに、文字サイズ変更処理部142が、隠匿処理対象の文字(文字列)を、当該文字(文字列)以外の文字(文字列)の文字サイズよりも小さい文字サイズに変更(規定の文字サイズに縮小)する(ステップS171)。
【0095】
具体的には、必須の隠匿処理方法としての反転処理および網掛け処理では、ステップS161の場合と同様の処理が実施される。
【0096】
また、文字の縮小処理では、印刷データにかかわる文章が、文字のサイズを示す文字ポイントが例えば11ポイント(11P)の文字で記述されている場合、隠匿処理対象の文字(文字列)は、11ポイントよりも小さいサイズを示す文字ポイント例えば10ポイント(10P)の文字に書き換えられる(縮小される)。
【0097】
このように隠匿処理対象の文字(文字列)の文字ポイントを小さくするということは、隠匿処理対象の文字(文字列)の線幅を、その文字以外の文字の線幅よりも細くすることを意味する。
【0098】
さらに、ステップS180での隠匿処理においては、記号処理部140では、図7に示すように、修飾処理部141が、記号特定部130からの特定した結果に基づき、隠匿処理対象の文字(文字列)に対して必須の隠匿処理方法としての反転処理および網掛け処理を実施するとともに、字体変更処理部143が、隠匿処理対象の文字(文字列)を、当該文字(文字列)以外の文字(文字列)の字体の線幅よりも細い字体の文字に変換する(ステップS181)。
【0099】
具体的には、必須の隠匿処理方法としての反転処理および網掛け処理では、ステップS161の場合と同様の処理が実施される。
【0100】
また、文字の字体の変更処理では、印刷データにかかわる文章が「ゴシック体」の字体の文字で記述されている場合、隠匿処理対象の文字(文字列)は、ゴシック体での文字の線幅よりも細い字体例えば「明朝体」の文字に変換される。この場合、隠匿処理対象の文字(文字列)の文字ポイントはそのままとなっている(字体の変更前の文字ポイントと同じである)。
【0101】
このように隠匿処理対象の文字(文字列)例えばゴシック体の文字を、その文字(文字列)以外の文字(文字列)の字体(例えばゴシック体)の線幅よりも細い字体(例えば明朝体)の文字に変換するということは、隠匿処理対象の文字(文字列)の線幅を、その文字以外の文字の線幅よりも細くすることを意味する。
【0102】
ここで、画像処理部100(の記号処理部140)による隠匿処理の具体例について説明する。
【0103】
ユーザが、入力部102を操作して、図8(a)に示すように隠匿処理設定画面101Aに対し、「任意の文字・文字列」指定欄1011を選択し、また記述欄1011Aに隠匿処理対象として「曲げ部,本体側板,カシメ」の複数の文字列を記述し、「確定」ボタン1018Aを選択したとする。
【0104】
また、ユーザが、入力部102を操作して、図8(a)に示すように隠匿処理設定画面101Bに対し、「文字縮小」指定欄1016を選択し、「確定」ボタン1018Cを選択したとする。必須の隠匿処理方法での網掛け処理の網掛け率は40%に設定されているとする。
【0105】
さらに、画像形成対象のデータは、図9(a)に示す内容(文字ポイントが11Pの文字で記述された文章)を含むデータであるとする。ちなみに、図9(a)に示す内容は、反転処理および網掛け処理が実施されていない状態の印刷結果、印刷物の画像形成面での画像形成結果である。
【0106】
上述したような前提条件の下、画像処理部100(の記号処理部140)が上述したような隠匿処理を実施した場合、図9(a)に示す内容は、図9(b)に示す内容に遷移する。この図9(b)に示す例では、隠匿処理対象の文字列(曲げ部、本体側板、カシメ)については、上述した必須の隠匿処理方法の隠匿処理としての反転と網掛け率40%の網掛けとが施され、かつ文字列の文字の文字ポイントが11Pから10Pに変更されている。
【0107】
また、上述したような前提条件において、必須の隠匿処理方法での網掛け処理の網掛け率を50%に変更した条件で、画像処理部100(の記号処理部140)が上述したような隠匿処理を実施した場合、図9(a)に示す内容は、図9(c)に示す内容に遷移する。この図9(c)に示す例では、隠匿処理対象の文字列(曲げ部、本体側板、カシメ)については、上述した必須の隠匿処理方法の隠匿処理としての反転と網掛け率50%の網掛けとが施され、かつ文字列の文字の文字ポイントが11Pから10Pに変更されている。
【0108】
さらに、上述したような前提条件において、必須の隠匿処理方法での網掛け処理の網掛け率を100%に変更した条件で、画像処理部100(の記号処理部140)が上述したような隠匿処理を実施した場合、図9(a)に示す内容は、図9(d)に示す内容に遷移する。この図9(d)に示す例では、隠匿処理対象の文字列(曲げ部、本体側板、カシメ)については、上述した必須の隠匿処理方法の隠匿処理としての反転と網掛け率100%の網掛けとが施され、かつ文字列の文字の文字ポイントが11Pから10Pに変更されている。
【0109】
以上説明したように、実施の形態1によれば、隠匿処理対象の文字(文字列)に対する所定の修飾として、当該特定された文字(文字列)の反転と、当該特定された文字(文字列)にかかわる背景と当該文字(文字列)の輪郭線(線部分=オフセット部分)とについて網掛け率40%以上(好ましくは網掛け率40%以上、50%以下の範囲の中の所望の網掛け率)の網掛けとを実施することにより、印刷データが印刷された印刷物(用紙)の画像形成面(印刷面)を正面から目視した場合には隠匿処理対象の文字(文字列)の判読が可能であるものの、印刷物の画像形成面を当該画像形成面に対し鋭角な方向から目視した場合(斜め読みした場合)は、隠匿処理対象の文字(文字列)の判読は困難となる。
【0110】
また、実施の形態1によれば、上述したような所定の修飾処理に加えて、隠匿処理対象の文字(文字列)を、隠匿処理対象の文字(文字列)以外の文字(文字列)の文字ポイントと比較して小さい文字ポイントの文字(文字列)に変更することにより、隠匿処理対象の文字(文字列)については、文字ポイントが同じ場合(文字のサイズが同じ場合)と比較して、さらに隠匿性を高めた状態とすることができる。
【0111】
さらに、実施の形態1によれば、上述したような所定の修飾処理に加えて、印刷データにかかわる文章が「ゴシック体」の字体の文字で記述されている場合、隠匿処理対象の文字(文字列)を、「明朝体」の字体の文字に変換することにより、隠匿処理対象の文字(文字列)の線幅を細くするのと同じ効果が得られ、結果的に、隠匿処理対象の文字(文字列)については、字体が同じ場合と比較して、さらに隠匿性を高めた状態とすることができる。
【0112】
(実施の形態2)
【0113】
図10は、実施の形態2に係る画像処理装置の機能構成を示している。
【0114】
図10に示す画像処理装置10は、図1に示した実施の形態1の画像処理装置10の機能構成において、インタフェース210を追加した構成になっている。
【0115】
インタフェース210は、上記インタフェース手段の機能を有し、原稿を光学的に読み取るとともに該読み取り結果を画像データに変換する画像読取装置200とデータの授受を行う。
【0116】
このインタフェース210が画像読取装置200からの画像データ(スキャンデータ)を印刷データ生成部103に与えると、印刷データ生成部103は、与えられた画像データ(スキャンデータ)を基に印刷データ(PDLデータ)を生成し、これをデータ取得部110に与える。
【0117】
データ取得部110は、印刷データ生成部103から与えられた印刷データ(画像データ(スキャンデータ)に基づき生成された印刷データ)を画像形成対象のデータとして取得し、これをデータ記憶部160に格納する。
【0118】
これ以降の処理は、上述した実施の形態1の場合と同様であるので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0119】
なお、実施の形態2においては、画像読取装置200と画像処理装置10と画像形成装置20とで画像形成システム2を形成している。
【0120】
この実施の形態2においても、実施の形態1の場合と同様の作用効果を期待することができる。
【0121】
(実施の形態3)
【0122】
図11は、実施の形態3に係る画像処理装置の要部の機能構成を示している。
【0123】
図11(a)に示す記号処理部140Aは、図1に示した実施の形態1の画像処理装置10の画像処理部100における記号処理部140の機能構成において、字体変更処理部143を削除した構成になっている。なお、この画像処理部100において、記号処理部以外の構成要素の変更はない。
【0124】
また、図11(b)に示す記号処理部140Bは、図1に示した画像処理装置10の画像処理部100における記号処理部140の機能構成において、文字サイズ変更処理部142を削除した構成になっている。なお、この画像処理部100において、記号処理部以外の構成要素の変更はない。
【0125】
この実施の形態3では、画像処理部100は、図1に示したデータ取得部110、指定情報取得部120、記号特定部130、記号処理部140Aおよび記号処理部140Bのいずれか一方の記号処理部、データ出力部150、およびデータ記憶部160を有するようにする。
【0126】
また、表示部101に表示される隠匿処理設定画面は、隠匿処理対象の文字および文字列の両方または一方の指定を行うための図2(a)に示した隠匿処理設定画面101Aのみとする。
【0127】
実施の形態3では、隠匿処理方法を指定することはできず、また必須の隠匿処理方法による隠匿処理(反転処理および網掛け処理)のみの実施は行わないようになっている。
【0128】
そして、画像処理部100では、記号処理部が図11(a)の記号処理部140Aの場合には、隠匿処理設定画面101Aに対してユーザによって設定(選択)された内容に基づく隠匿処理対象の文字(文字列)について、修飾処理部141と文字サイズ変更処理部142とによる隠匿処理を実施する。修飾処理部141と文字サイズ変更処理部142とによる隠匿処理は、図6に示した隠匿処理と同様である。
【0129】
これに対し、記号処理部が図11(b)の記号処理部140Bの場合は、上記隠匿処理対象の文字(文字列)について、修飾処理部141と字体変更処理部143とによる隠匿処理を実施する。修飾処理部141と字体変更処理部143とによる隠匿処理は、図7に示した隠匿処理と同様である。
【0130】
実施の形態3の応用例について説明する。画像処理部100の記号処理部は、修飾処理部141のみを有する構成とする。
【0131】
そして、画像処理部100では、記号処理部の修飾処理部141は、上記隠匿処理対象の文字(文字列)について、必須の隠匿処理方法としての反転処理および網掛け処理を実施する。この修飾処理部141による隠匿処理(反転処理および網掛け処理)は、図4に示した隠匿処理と同様である。
【0132】
この実施の形態3においても、実施の形態1の場合と同様の作用効果を期待することができる。
【0133】
次に、上述した実施の形態1から実施の形態3の画像処理装置10のハードウェア構成について、図12を参照して説明する。
【0134】
画像処理装置10は、図12に示すように、CPU11、ハードディスクなどの記憶装置12、ROM13、RAM14、表示装置15、入力装置16、通信インタフェース(通信I/F)17、およびインタフェース18を有している。
【0135】
記憶装置12は、上述したデータ記憶部160を除く画像処理部100(図1、図10参照)の機能を実現するためのプログラム、上述した処理手順(図3、図4、図6、図7参照)に対応するプログラム、印刷データ生成部103(図1、図10参照)の機能を実現するためのプログラム、アプリケーソンソフトウェア104(図1参照)など所定のプログラムを記憶している。
【0136】
ここで、上述したデータ記憶部160を除く画像処理部100(図1、図10参照)の機能を実現するためのプログラム、および上述した処理手順(図3、図4、図6、図7参照)に対応するプログラムを、画像処理プログラム12Aと定義する。
【0137】
なお、画像処理プログラム12Aには、少なくとも次の(1)〜(5)の処理過程が含まれている。
【0138】
(1)画像形成対象のデータを取得するデータ取得処理過程。
【0139】
(2)指定される処理対象とする記号を取得する指定情報取得処理過程。
【0140】
(3)上記データ取得処理過程により取得されたデータから上記指定情報取得処理過程により取得された記号と同じ記号を特定する記号特定処理過程。
【0141】
(4)上記記号特定処理過程により特定された記号に対して所定の修飾を施すとともに、当該特定された記号については当該特定された記号とは異なる記号と比較して線幅を細くする記号処理過程。
【0142】
(5)上記記号処理過程により所定の修飾が施された後の前記画像形成対象のデータを出力するデータ出力処理過程。
【0143】
ROM13は、読み出し専用メモリであり、例えば図2に示した隠匿処理設定画面101A、101Bに対応する画面情報など、画像処理部100(CPU101)による隠匿処理を実施するのに必要なデータ、情報などを記憶している。
【0144】
RAM14は、随時書き込み読み出しメモリであり、記憶装置12から読み込まれた画像処理プログラム12Aなど所定のプログラムを記憶するとともに、ROM13から読み込まれた情報やデータを記憶する。
【0145】
また、RAM14は、上述したデータ記憶部160(図1、図10参照)の機能を果たし、データ取得部110(CPU101)が取得したデータ(画像形成対象のデータ)を記憶する。
【0146】
さらに、RAM104には、上述した印刷データ生成部103(CPU101)が印刷データ(PDLデータ)を生成するときに必要となるワークエリア(作業領域)が割り当てられている。
【0147】
表示装置15は、例えばディスプレイで構成され、上述した表示部101(図1、図10参照)の機能を果たすものである。
【0148】
入力装置16は、例えばキーボードおよびマウスで構成され、上述した入力部102(図1、図10参照)の機能を果たすものである。
【0149】
通信I/F17は、画像形成装置(プリンタ)20との通信を行うものであり、例えば画像処理部100のデータ出力部150から送信された印刷データ(PDLデータ)を、画像形成装置(プリンタ)20に向けて送信する。
【0150】
インタフェース18は、上述したインタフェース210(図10参照)の機能を果たし、画像読取装置200からの画像データ(スキャンデータ)を受け付ける。このインタフェース108は、例えばシリアルインタフェース、あるいはパラレルインタフェースなどで実現することができる。
【0151】
CPU11は、中央演算処理装置であり、記憶装置12からRAM14へ上記所定のプログラムを読み込んで実行することにより、画像処理部100の機能、印刷データ生成部103の機能を実現する。
【0152】
また、CPU11は、RAM14に読み込んだ所定のプログラムのうち画像処理プログラム12Aを実行することにより、画像処理部100による隠匿処理を実施する。
【0153】
本願明細書において、画像処理プログラム12Aを含む上記所定のプログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する実施形態として説明したが、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
【0154】
すなわち、上記所定のプログラムをROMに格納しておき、CPUが、この所定のプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0155】
また、上記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。この場合、その記録媒体に記録された所定のプログラムを画像処理装置がインストールした後、この所定のプログラムをCPUが実行するようにする。この所定のプログラムのインストール先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置がある。そして、画像処理装置は、必要に応じてこの記憶装置に記憶した所定のプログラムを主記憶装置にローディングして実行する。
【0156】
さらには、画像処理装置を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータ等のコンピュータと接続するようにし、当該画像処理装置が、サーバ装置あるいはコンピュータから上記所定のプログラムをダウンロードした後、この所定のプログラムを実行するようにしてもよい。この場合、この所定のプログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)がある。そして、当該画像処理装置が、必要に応じてこの記憶装置に記憶された上記所定のプログラムを主記憶装置にローディングして実行するようにする。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、モノクロ画像あるいはカラー画像の少なくとも一方の画像に対応する印刷データを画像形成装置に提供する画像処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】実施の形態1に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る隠匿処理設定画面の一例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る画像処理装置の画像処理部による隠匿処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1に係る記号処理部における修飾処理部による隠匿処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係る記号処理部における修飾処理部による隠匿処理を説明する図である。
【図6】実施の形態1に係る記号処理部における修飾処理部および文字サイズ変更処理部による隠匿処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1に係る記号処理部における修飾処理部および字体変更処理部による隠匿処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1に係る隠匿処理設定画面に対する設定例を示す図である。
【図9】実施の形態1に係る記号処理部における修飾処理部および文字サイズ変更処理部による隠匿処理が施された印刷結果の一例を示す図である。
【図10】実施の形態2に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態3に係る画像処理装置の画像処理部における記号処理部の要部の機能構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態1から実施の形態3に係る画像処理装置のハードウェア構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0159】
1,2 画像形成システム
10 画像処理装置
11 CPU
12 記憶装置
12A 画像処理プログラム
13 ROM
14 RAM
15 表示装置
16 入力装置
17 通信インタフェース
18 インタフェース
20 画像形成装置
100 画像処理部
101 表示部
102 入力部
103 印刷データ生成部
110 データ取得部
120 指定情報取得部
130 記号特定部
140 記号処理部
150 データ出力部
160 データ記憶部
200 画像読取装置
210 インタフェース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成対象のデータを取得するデータ取得手段と、
指定される処理対象とする記号を取得する指定情報取得手段と、
前記データ取得手段によって取得されたデータから前記指定情報取得手段によって取得された記号と同じ記号を特定する記号特定手段と、
前記記号特定手段によって特定された記号について当該特定された記号とは異なる記号と比較して線幅が細くなる所定の修飾を施す記号処理手段と、
前記記号処理手段によって所定の修飾が施された後の前記画像形成対象のデータを出力するデータ出力手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記記号処理手段は、
前記特定された記号に対する前記所定の修飾として、当該特定された記号の反転と、当該特定された記号にかかわる背景と当該記号の輪郭線とについて網点面積率が40%以上の網掛けとを施す、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記号処理手段は、
前記特定された記号のサイズを、当該特定された記号とは異なる記号のサイズと比較して小さくする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像形成対象のデータにかかわる記号に含まれる文字に注目し、前記特定された記号が文字の場合、
前記記号処理手段は、
当該特定された文字を当該特定された文字とは異なる文字の字体の線幅よりも細い字体の文字に変換する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記指定情報取得手段は、
前記処理対象とする個人情報に対応する記号列を取得し、
前記記号特定手段は、
前記データ取得手段によって取得されたデータから前記指定情報取得手段によって取得された記号列と同じ記号列または対応する記号列を特定し、
前記記号処理手段は、
前記特定された記号列について当該特定された記号列とは異なる記号または記号列と比較して線幅が細くなる所定の修飾を施す、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
アプリケーションソフトウェアにより作成されたデータを基に印刷データを生成する印刷データ生成手段、を更に備え、
前記データ取得手段は、
前記印刷データ生成手段によって生成された印刷データを画像形成対象のデータとして取得する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿を光学的に読み取るとともに該読み取り結果を画像データに変換する画像読取装置とデータの授受を行うインタフェース手段と、
前記インタフェース手段が受け取った画像データを基に印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
を更に備え、
前記データ取得手段は、
前記印刷データ生成手段によって生成された印刷データを画像形成対象のデータとして取得する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置から出力される画像形成対象のデータを受け取るとともに、該受け取ったデータを基に画像形成処理を実施する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置から出力された画像形成対象のデータを受け取るとともに、該受け取ったデータを基に画像形成処理を実施する画像形成装置と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
画像形成対象のデータを取得するデータ取得処理過程と、
指定される処理対象とする記号を取得する指定情報取得処理過程と、
前記データ取得処理過程により取得されたデータから前記指定情報取得処理過程により取得された記号と同じ記号を特定する記号特定処理過程と、
前記記号特定処理過程により特定された記号について当該特定された記号とは異なる記号と比較して線幅が細くなる所定の修飾を施す記号処理過程と、
前記記号処理過程により所定の修飾が施された後の前記画像形成対象のデータを出力するデータ出力処理過程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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