説明

画像処理装置、画像形成装置およびプログラム

【課題】コード画像を印刷媒体上に実際に出力することなく、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定する。
【解決手段】コード画像検出部33は、印刷データ格納部32に格納されている出力を指示された印刷データ中から、明モジュールおよび暗モジュールにより構成されたQRコード(登録商標)の画像を検出する。可読性判定部35は、プリントジョブにより指定された用紙トレイの情報に基づいて用紙情報記憶部34から、QRコードが含まれた印刷データを出力しようとする印刷用紙の色情報を取得し、検出されたQRコードの画像を構成する明モジュールと暗モジュールの色情報およびQRコードを含む印刷データを出力しようとする印刷用紙の色情報に基づいて、QRコードを印刷用紙上に出力した場合の可読性を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙上の可読情報に重なるようにコードイメージを設ける場合に、コードイメージと用紙の間に中間層を設けて光の透過の所定の割合に制限して、コードイメージの可読性を向上させるようにした方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、コード画像を用紙上に印刷し、印刷されたコード画像を読み取って照合することにより、印刷されたコード画像の可読性を判定するようにした画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−268120号公報
【特許文献2】特開2008−204081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コード画像を印刷媒体上に実際に出力することなく、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定することが可能な画像処理装置、画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[画像処理装置]
請求項1に係る本発明は、出力を指示された印刷データ中から、明領域および暗領域により構成されたコード画像を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたコード画像を構成する明領域と暗領域の色情報およびコード画像を含む印刷データを出力しようとする印刷媒体の色情報に基づいて、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定する判定手段とを備えた画像処理装置である。
【0007】
請求項2に係る本発明は、前記判定手段が、印刷媒体の色情報に基づいて印刷後の明領域の輝度および暗領域の輝度を算出し、算出された印刷後の明領域の輝度と暗領域の輝度により明領域と暗領域とのコントラスト差を算出し、算出されたコントラスト差を予め設定されたしきい値と比較することによりコード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定する請求項1記載の画像処理装置である。
【0008】
請求項3に係る本発明は、前記判定手段が、コード画像を構成する明領域と暗領域の色情報および印刷媒体の色情報に基づいて印刷後のコード画像を合成し、合成されたコード画像を復号して復号可能であるか否かによりコード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定する請求項1記載の画像処理装置である。
【0009】
請求項4に係る本発明は、印刷媒体の収納容器と収納されている印刷媒体の色情報とを対応させて記憶する記憶手段をさらに備え、
前記判定手段は、指定された収納容器の情報に基づいて前記記憶手段からコード画像を含む印刷データを出力しようとする印刷媒体の色情報を取得する請求項1から3のいずれか1項記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項5に係る本発明は、前記判定手段により指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると判定された場合、コード画像の明領域の色情報および暗領域の色情報の少なくともいずれかを変更する変更手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項6に係る本発明は、指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると前記判定手段により判定された場合、コード画像の明領域の色情報および暗領域の色情報の少なくともいずれか、および画形材の出力濃度を変更する変更手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項7に係る本発明は、指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると前記判定手段により判定された場合、コード画像を含む印刷データを出力する印刷媒体を変更する変更手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置である。
【0013】
請求項8に係る本発明は、指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると前記判定手段により判定された場合、コード画像のみを指定された印刷媒体とは異なる色を有する印刷媒体に出力するように変更する変更手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置である。
【0014】
請求項9に係る本発明は、指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると前記判定手段により判定された場合、指示された印刷データの出力を中止するよう制御する制御手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置である。
【0015】
請求項10に係る本発明は、指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると前記判定手段により判定された場合、指定された印刷媒体上に印刷データを出力するとコード画像が読み取り不可能になる旨を通知する通知手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置である。
【0016】
[画像形成装置]
請求項11に係る本発明は、出力を指示された印刷データ中から、明領域および暗領域により構成されたコード画像を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたコード画像を構成する明領域と暗領域の色情報およびコード画像を含む印刷データを出力しようとする印刷媒体の色情報に基づいて、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定する判定手段と、
前記判定手段により印刷媒体上に印刷されたコード画像の読み取りが可能であると判定された場合、コード画像を含む印刷データを指定された印刷媒体上に出力する画像出力手段とを備えた画像形成装置である。
【0017】
[プログラム]
請求項12に係る本発明は、出力を指示された印刷データ中から、明領域および暗領域により構成されたコード画像を検出するステップと、
検出されたコード画像を構成する明領域と暗領域の色情報およびコード画像を含む印刷データを出力しようとする印刷媒体の色情報に基づいて、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る本発明によれば、コード画像を印刷媒体上に実際に出力することなく、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0019】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明により得られる効果に加えて、暗領域と明領域のコントラスト差を算出だけで容易にコード画像の可読性を判定することができる画像処理装置を提供することができる。
【0020】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明により得られる効果に加えて、実際にコード画像を読み取って復号した場合における可読性と近似する可読性の判定を行うことができる画像処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1から3のいずれか1項に係る本発明により得られる効果に加えて、印刷媒体の色情報を読み取る処理を必要とすることなく、印刷媒体の色情報を取得することができる画像処理装置を提供することができる。
【0022】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に係る本発明により得られる効果に加えて、コード画像を指定された印刷媒体にそのまま出力した場合と比較して、コード画像の可読性を向上させることができる画像処理装置を提供することができる。
【0023】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に係る本発明により得られる効果に加えて、コード画像を指定された印刷媒体にそのまま出力した場合と比較して、コード画像の可読性を向上させることができる画像処理装置を提供することができる。
【0024】
請求項7に係る本発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に係る本発明により得られる効果に加えて、コード画像を指定された印刷媒体にそのまま出力した場合と比較して、コード画像の可読性を向上させることができる画像処理装置を提供することができる。
【0025】
請求項8に係る本発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に係る本発明により得られる効果に加えて、印刷媒体上に出力されたコード画像が読み取り不可能になる事態の発生を防いで、コード画像の読み取りを可能にすることができる画像処理装置を提供することができる。
【0026】
請求項9に係る本発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に係る本発明により得られる効果に加えて、印刷媒体上に出力されたコード画像が読み取り不可能になる事態の発生を防ぐことができる画像処理装置を提供することができる。
【0027】
請求項10に係る本発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に係る本発明により得られる効果に加えて、印刷媒体上に出力されたコード画像が読み取り不可能になることを事前に使用者に通知することができる画像処理装置を提供することができる。
【0028】
請求項11に係る本発明によれば、コード画像を印刷媒体上に実際に出力することなく、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0029】
請求項12に係る本発明によれば、コード画像を印刷媒体上に実際に出力することなく、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定することが可能なプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図4】QRコードを含む印刷データの一例を示す図である。
【図5】QRコードの画像と印刷用紙の色情報に基づいて、印刷後のQRコードの画像を合成した場合の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態の画像形成装置10における用紙トレイの用紙色設定モードの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態の画像形成装置10におけるQRコードのコントラストが不十分な場合の対処方法の設定モードの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態の画像形成装置10においてプリントジョブを実行する場合の動作を示すフローチャートである。
【図9】図8に示したQRコードの可読性判定処理(ステップS307)の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図8に示した設定された対処方法を実行する処理(ステップS310)の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態の画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【0032】
本発明の一実施形態の画像形成システムは、図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成装置10、および端末装置20により構成される。端末装置20は、プリントジョブ(印刷指示)を生成して、ネットワーク30経由にて生成したプリントジョブを画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、端末装置20から送信されたプリントジョブを受け付けて、プリントジョブに応じた画像を用紙上に出力する。なお、画像形成装置10は、印刷(プリント)機能、スキャン機能、複写(コピー)機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0033】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を図2に示す。
【0034】
画像形成装置10は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、ネットワーク30を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置15、スキャナ16、プリントエンジン17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0035】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御する。
【0036】
なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0037】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0038】
本実施形態の画像形成装置10は、図3に示されるように、画像処理装置40と、画像出力部50とを備えている。なお、本実施形態では、説明を簡単にするために、印刷処理の制御に関する構成についての説明については省略する。
【0039】
また、画像処理装置40は、図3に示されるように、展開処理部31と、印刷データ格納部32と、コード画像検出部33と、用紙情報格納部34と、可読性判定部35と、通知部36と、変更部37を備えている。
【0040】
展開処理部31は、端末装置20等からネットワーク30を介して受け付けた印刷指示(印刷ジョブ)に対して展開処理(デコンポーズ処理)を行うことにより印刷データを生成する。印刷データ格納部32は、展開処理部31により生成された印刷データを格納する。
【0041】
コード画像検出部33は、印刷データ格納部32に格納されている出力を指示された印刷データ中から、明モジュール(明領域)および暗モジュール(暗領域)により構成されたQR(Quick Response)コード(登録商標)のコード画像を検出する。
【0042】
例えば、コード画像検出部33は、図4に示すような印刷データがある場合、この印刷データの画像からQRコード60の画像を検出する。このQRコード60の画像は、明モジュール61と、暗モジュール62という2種類のモジュールにより構成され、この明モジュール61と暗モジュール62の配列に基づいて様々な情報を埋め込むことが可能なようになっている。
【0043】
用紙情報格納部34は、印刷用紙(印刷媒体)の用紙トレイ(収納容器)と収納されている印刷用紙の色情報とを対応させて記憶する。
【0044】
可読性判定部35は、プリントジョブにより指定された用紙トレイの情報に基づいて用紙情報記憶部34から、QRコードが含まれた印刷データを出力しようとする印刷用紙の色情報を取得する。
【0045】
そして、可読性判定部35は、コード画像検出部33により検出されたQRコードの画像を構成する明モジュールと暗モジュールの色情報およびQRコードを含む印刷データを出力しようとする印刷用紙の色情報に基づいて、QRコードを印刷用紙上に出力した場合の可読性を判定する。
【0046】
例えば、図4に示したようなQRコードが白色以外の印刷用紙上に出力されるような場合、印刷用紙の色情報を考慮すると印刷後のQRコードの画像は図5に示すような画像となる。つまり、明モジュール61には色の指定がされていないため、印刷用紙の色がそのまま印刷後の明モジュール61の色となるが、暗モジュール62にはもともの黒色の指定がされているため、暗モジュール62に指定されていた色が印刷用紙の色の影響をほとんど受けずに印刷後の暗モジュール62の色となる。
【0047】
具体的には、可読性判定部35は、印刷用紙の色情報に基づいて印刷後の明モジュールの輝度および暗モジュールの輝度を算出し、算出された印刷後の明モジュールの輝度と暗モジュールの輝度により明モジュールと暗モジュールとのコントラスト差を算出し、算出されたコントラスト差を予め設定されたしきい値と比較することによりQRコードを印刷用紙上に出力した場合の可読性を判定する。
【0048】
例えば、明モジュールおよび暗モジュールの色情報がRGBの3色の色成分により表現されている場合、各モジュールの輝度は以下の式により算出される。
輝度=(R×299+G×587+B×144)/1000
【0049】
そして、明モジュールと暗モジュール間のコントラスト差は、下記の式により算出される。
コントラスト差=明モジュールの輝度−暗モジュールの輝度
【0050】
例えば、明モジュールのRGBの値が(125、200、100)で、暗モジュールのRGBの値が(20、15、10)の場合について説明する。
【0051】
この場合、明モジュールの輝度および暗モジュールの輝度は下記の式により算出される。
明モジュールの輝度=(125×299+200×587+100×144)1000≒169
暗モジュールの輝度=( 20×299+ 15×587+ 10×144)1000≒16
【0052】
そのためこの場合の明モジュールと暗モジュール間のコントラスト差は、153(169−16)となるそして、このコントラスト差の値153を予め設定されたしきい値と比較して、このしきい値よりも大きい場合には、可読性判定部35は、印刷後のQRコードが読み取り可能であると判定する。
【0053】
または、可読性判定部35は、QRコードを構成する明モジュールと暗モジュールの色情報および印刷用紙の色情報に基づいて印刷後のQRコードの画像を合成し、合成されたQRコードの画像をシミュレーションにより模擬的に復号して復号可能であるか否かを判定することによって、QRコードを印刷用紙上に出力した場合の可読性を判定するようにしてもよい。
【0054】
通知部36は、指定された印刷用紙上にQRコードの画像が出力されると読み取り不可能になると可読性判定部35により判定された場合、指定された印刷用紙上に印刷データを出力するとQRコードが読み取り不可能になる旨をユーザに通知する。
【0055】
変更部37は、可読性判定部35により指定された印刷用紙上にQRコードが出力されると読み取り不可能になると判定された場合、複数の対処方法の中から予め選択された1つの対処方法により印刷データ中のQRコードの画像に対して何等かの変更を行う。
【0056】
例えば、変更部37は、「QRコード画像の色を変更」という対処方法が選択されている場合、QRコードを構成する明モジュールの色情報および暗モジュールの色情報の少なくともいずれかを変更する。この場合、例えば、色の指定がCMYK4色においてそれぞれ256階調で指定されている場合、明モジュールの色の指定が全ての色成分が0ではなく、いくつかの色成分において0以外の値が設定されていると、変更部37は、明モジュールの色の指定をCMYK=(0、0、0、0)という指定に変更する。また、暗モジュールの色の指定がK=200という指定だった場合、変更部37は、暗モジュールの色の指定をK=255という最高値に変更する。
【0057】
また、例えば、変更部37は、「QRコード画像の色およびトナー濃度を変更」という対処方法が選択されている場合、QRコードの明モジュールの色情報および暗モジュールの色情報の少なくともいずれか、およびトナー(画形材)の出力濃度を変更する。例えば、印刷用紙の色が濃い灰色であるような場合、明モジュールの色もこの濃い灰色となってしまうので、変更部37は、明モジュールの色を黄色に変更し、印刷用紙の濃い灰色が隠れるようにトナー濃度を最高値に変更する。
【0058】
また、例えば、変更部37は、「出力用紙を変更」という対処方法が選択されている場合、QRコードを含む印刷データを出力する印刷用紙自体を変更する。例えば、プリントジョブにおいて灰色の印刷用紙が指定されていた場合において、可読性判定部35により指定された印刷用紙上にQRコードが出力されると読み取り不可能になると判定された場合、変更部37は、使用する用紙トレイを切り替えることにより、印刷データを出力する印刷用紙として白色の印刷用紙が使用されるようにする。
【0059】
さらに、変更部37は、「QRコード画像を別用紙に出力」という対処方法が選択されている場合、QRコードの画像のみを指定された印刷用紙とは異なる色、例えば白色の印刷用紙に出力するように変更する
【0060】
なお、変更部37は、指定された印刷用紙上にQRコードが出力されると読み取り不可能になると可読性判定部35により判定された場合、指示された印刷データの出力を中止するよう画像出力部50を制御するようにしても良い。
【0061】
なお、指定された印刷用紙上にQRコードが出力されると読み取り不可能になると可読性判定部35により判定された場合、変更部37により上記のような対処方法が自動的に実行されるようにしてもよいし、プリントジョブを一時的に停止してユーザに対処方法を選択させて選択された対処方法を実行するようにしてもよい。
【0062】
画像出力部50は、可読性判定部35により印刷用紙上に印刷されたQRコードの読み取りが可能であると判定された場合、QRコードを含む印刷データを指定された印刷用紙上に出力する。
【0063】
次に、本実施形態の画像形成装置10の動作を図面を参照して詳細に説明する。
【0064】
先ず、用紙トレイの用紙色を設定する場合の動作を図6のフローチャートを参照して説明する。
この場合には、画像形成装置10では、ユーザに対して、印刷用紙をセットする用紙トレイを指定させる(ステップS101)。次に、画像形成装置10では、用紙トレイにセットする印刷用紙を1枚スキャンさせる指示をユーザに対して行う(ステップS102)。
【0065】
すると、ユーザが用紙トレイにセットする印刷用紙を1枚スキャンさせることにより、画像形成装置10では、スキャンした印刷用紙の色情報が取得される(ステップS103)。
【0066】
最後に、スキャンした印刷用紙の色情報は、ステップS101において指定された用紙トレイと対応付けられて、用紙情報格納部34に記憶される(ステップS104)。このようにして、各用紙トレイと対応付けられた色情報が用紙情報格納部34に格納されることとなる。
【0067】
次に、QRコードのコントラストが不十分な場合の対処方法を設定する際の動作を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
先ず最初に、ユーザに対して自動対処のオン/オフの選択を入力させる(ステップS201)。このステップS201において自動対処をオンにする設定が選択された場合(ステップS202においてYes)、ユーザに対して、予め用意されている複数の対処方法の中から1つの対処方法を選択させる(ステップS203)。
【0069】
具体的には、「QRコード画像の色を変更」、「QRコード画像の色およびトナー濃度を変更」、「出力用紙を変更」、「QRコード画像を別用紙に出力」、「印刷データの出力を中止」というような複数に対処方法の中からどの対処方法を行うのかをユーザに対して選択させる。
【0070】
そして、ユーザにより実行すべき対処方法が選択されると、自動対処を行う設定および選択された対処方法は変更部37に記憶される(ステップS204)。
【0071】
なお、ステップS201において自動対処をオフとする設定が選択された場合(ステップS202においてNo)、自動対処を行わない設定が変更部37に記憶される(ステップS205)。
【0072】
次に、画像形成装置10において実際にプリントジョブが実行される場合の動作を図8のフローチャートを参照して説明する。
【0073】
先ず、端末装置20等により入力されたプリントジョブは、展開処理部31においてデコンポーズ処理が実行されラスタ形式の印刷データが生成される(ステップS301)。そして、この生成された印刷データは印刷データ格納部32に格納される。
【0074】
すると、コード画像検出部33により、生成された印刷データ中にQRコードの画像が含まれているか否か、また含まれている場合にはそのQRコード画像を検出する処理が実行される(ステップS302)。
【0075】
このステップS302において印刷データ中にQRコードが含まれていないと判定された場合、画像出力部50では生成された印刷データに基づく印刷処理が実行される(ステップS309)
【0076】
ステップS302において印刷データ中にQRコードが含まれていると判定された場合、コード画像検出部33により含まれているQRコードの画像が取得される(ステップS304)。
【0077】
なお、実行しようとするプリントジョブには使用する用紙トレイが指定されているため、この指定に基づいて出力先の用紙トレイが決定される(ステップS305)。
【0078】
すると、可読性判定部35は、決定された用紙トレイの情報に基づいて、用紙情報格納部34から出力先トレイの印刷用紙の色情報を取得する(ステップS306)。
【0079】
そして、可読性判定部35は、コード画像検出部33により検出されたQRコードの画像を構成する明モジュールと暗モジュールの色情報およびQRコードを含む印刷データを出力しようとする印刷用紙の色情報に基づいて、QRコードを印刷用紙上に出力した場合の可読性を判定する(ステップS307)。なお、この可読性判定処理の詳細については後述する。
【0080】
このステップS307において可読性に問題がない、つまり指定されている印刷用紙上に印刷データを出力してもQRコードが読み取り可能であると判定されて場合(ステップS308においてYes)、画像出力部50では、印刷データが指定された印刷用紙上に出力される(ステップS309)。
【0081】
このステップS307において可読性に問題がある、つまり指定されている印刷用紙上に印刷データを出力するとQRコードが読み取れなくなる可能性が大きいと判定されて場合(ステップS308においてNo)、画像変更部37において、予め設定されている対処方法が実行されることとなる(ステップS310)。この対処方法の実行処理の詳細についても後述する。
【0082】
次に、図8のステップS307において説明した、QRコードを印刷用紙上に出力した場合の可読性判定処理の詳細を図9のフローチャートを参照して説明する。
【0083】
まず、可読性判定部35は、可読性の判定方法としてどの判定方法を使用するかの設定を取得する(ステップS401)。そして、可読性判定部35は、設定されている判定方法がコントラストによる判定方法であるのか、シミュレーションによる判定方法であるのかを判定する(ステップS402)。
【0084】
ステップS402において、設定されている判定方法がコントラストによる判定方法の場合(ステップS402においてYes)、可読性判定部35は、コード画像検出部33により検出されたQRコードの画像から、明モジュールの色と暗モジュールの色を取得する(ステップS403)。
【0085】
そして、可読性判定部35は、用紙トレイ情報により出力先トレイを把握し、この出力先トレイに設定されている用紙の用紙情報を用紙情報記憶部34から取得する。そして、可読性判定部35は、取得した用紙情報に基づいて、プリント後の明モジュールの色と暗モジュールの色を算出する(ステップS404)。そして、可読性判定部35は、明モジュールと暗モジュールとの間のコントラスト差(コントラスト比)を算出する(ステップS405)。
【0086】
最後に、可読性判定部35は、算出されたコントラスト差に基づいて、QRコードの可読性を判定する(ステップS406)。具体的には、例えば、可読性判定部35は、コントラスト差がある一定のしきい値以上の場合には、QRコードが読み取り可能であると判定し、コントラスト差がある一定のしきい値未満の場合には、QRコードは読み取り不可能であると判定する。
【0087】
なお、ステップS402において設定されている判定方法がシミュレーションによる判定方法の場合(ステップS402においてNo)、可読性判定部35は、出力先トレイの用紙情報に基づいて、印刷後のQRコード画像を合成する(ステップS407)。
【0088】
そして、可読性判定部35は、合成されたQRコード画像がデコード可能であるか否かをシミュレーションにより判定する(ステップS408)。具体的には、可読性判定部35は、合成されたQRコード画像が、実際に読み取られた画像から抽出されたQRコード画像であるものとしてデコード処理を行い、元の情報がデコードされればデコード可能である判定する。
【0089】
そして、最後に可読性判定部35は、合成されたQRコード画像がデコード可能である場合には、印刷後のQRコードは読み取り可能であると判定し、合成されたQRコード画像がデコードできない場合には、印刷後のQRコードは読み取り不可能であると判定する(ステップS409)。
【0090】
次に、図8のステップS310において説明した、設定され対処方法の実行処理の詳細を図10のフローチャートを参照して説明する。
【0091】
この処理では、先ず設定されている対処方法が「QRコード画像の色を変更」、「QRコード画像を別用紙に出力」、「出力用紙を変更」、「QRコード画像の色およびトナー濃度を変更」のいずれかに該当するか否かが判定される(ステップS501、S504、S507、S510)。
【0092】
そして、設定されている対処方法が「QRコード画像の色を変更」の場合(ステップS501においてYes)、変更部37は、QRコード画像の明モジュールを白に、暗モジュールは黒に変更する(ステップS502)。
【0093】
そして、変更部37によりQRコード画像の色の変更が行われた後の印刷データに基づいて、画像出力部50において印刷処理が実行される(ステップS503)。
【0094】
また、設定されている対処方法が「QRコード画像を別用紙に出力」の場合(ステップS504においてYes)、先ず、白色用紙が設定された用紙トレイがあるか否かが判定され(ステップS505)、白色用紙の用紙トレイがある場合には、実行中のジョブの後に白色用紙にQRコード画像のみを出力するプリントジョブが追加される(ステップS506)。
【0095】
その結果、印刷処理では、元のプリントジョブの実行が終了した後に、白色用紙上にQRコード画像のみが出力されるような印刷処理が実行されることとなる(ステップS503)。なお、ステップS505において、白色用紙が設定された用紙トレイが無いと判定された場合、そのプリントジョブは中断される(ステップS513)。
【0096】
また、設定されている対処方法が「出力用紙を変更」の場合(ステップS507においてYes)、先ず、白色用紙が設定された用紙トレイがあるか否かが判定され(ステップS508)、白色用紙の用紙トレイがある場合には、使用する用紙トレイを白色用紙が設定された用紙トレイに変更される(ステップS509)。
【0097】
その結果、印刷処理では、プリントジョブにおいて指定された用紙とは異なる白色用紙上に印刷データに基づく画像が出力されることとなる(ステップS503)。なお、ステップS508において、白色用紙が設定された用紙トレイが無いと判定された場合、そのプリントジョブは中断される(ステップS513)。
【0098】
また、設定されている対処方法が「QRコード画像の色およびトナー濃度を変更」の場合(ステップS510においてYes)、変更部37は、例えば、QRコード画像の明モジュールを黄色に、暗モジュールを黒色に変更する(ステップS511)。そして、変更部37は、QRコード画像の画像部分のトナー濃度を例えば最高値になるように設定する(ステップS512)。
【0099】
そして、変更部37によりQRコード画像の色の変更が行われた後の印刷データに基づいて、画像出力部50において印刷処理が実行される(ステップS503)。
【0100】
なお、ステップS501、S504、S507、S510のいずれにおいても該当する対処方法が設定されていない場合、プリントジョブの処理全体が中断される(ステップS513)。
【0101】
[変形例]
上記実施形態では、2次元コードの1つのであるQRコードが印刷データ中に含まれ、このQRコードの可読性の判定を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、QRコード以外の2次元コード、例えば、MaxiCode、Data Matrix等のコード画像の可読性判定を行う場合でも同様に適用することができるものである。さらに、本発明は2次元コードの画像の可読性判定に限定されるものではなく、バーコードのような1次元コード等の他のコード画像の可読性判定にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0102】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース(IF)
15 ユーザインタフェース(UI)装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 端末装置
30 ネットワーク
31 展開処理部
32 印刷データ格納部
33 コード画像検出部
34 用紙情報格納部
35 可読性判定部
36 通知部
37 変更部
60 QRコード
61 明モジュール
62 暗モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力を指示された印刷データ中から、明領域および暗領域により構成されたコード画像を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたコード画像を構成する明領域と暗領域の色情報およびコード画像を含む印刷データを出力しようとする印刷媒体の色情報に基づいて、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定する判定手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、印刷媒体の色情報に基づいて印刷後の明領域の輝度および暗領域の輝度を算出し、算出された印刷後の明領域の輝度と暗領域の輝度により明領域と暗領域とのコントラスト差を算出し、算出されたコントラスト差を予め設定されたしきい値と比較することによりコード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、コード画像を構成する明領域と暗領域の色情報および印刷媒体の色情報に基づいて印刷後のコード画像を合成し、合成されたコード画像を復号して復号可能であるか否かによりコード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
印刷媒体の収納容器と収納されている印刷媒体の色情報とを対応させて記憶する記憶手段をさらに備え、
前記判定手段は、指定された収納容器の情報に基づいて前記記憶手段からコード画像を含む印刷データを出力しようとする印刷媒体の色情報を取得する請求項1から3のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記判定手段により指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると判定された場合、コード画像の明領域の色情報および暗領域の色情報の少なくともいずれかを変更する変更手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると前記判定手段により判定された場合、コード画像の明領域の色情報および暗領域の色情報の少なくともいずれか、および画形材の出力濃度を変更する変更手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると前記判定手段により判定された場合、コード画像を含む印刷データを出力する印刷媒体を変更する変更手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると前記判定手段により判定された場合、コード画像のみを指定された印刷媒体とは異なる色を有する印刷媒体に出力するように変更する変更手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項9】
指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると前記判定手段により判定された場合、指示された印刷データの出力を中止するよう制御する制御手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
指定された印刷媒体上にコード画像が出力されると読み取り不可能になると前記判定手段により判定された場合、指定された印刷媒体上に印刷データを出力するとコード画像が読み取り不可能になる旨を通知する通知手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項11】
出力を指示された印刷データ中から、明領域および暗領域により構成されたコード画像を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたコード画像を構成する明領域と暗領域の色情報およびコード画像を含む印刷データを出力しようとする印刷媒体の色情報に基づいて、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定する判定手段と、
前記判定手段により印刷媒体上に印刷されたコード画像の読み取りが可能であると判定された場合、コード画像を含む印刷データを指定された印刷媒体上に出力する画像出力手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項12】
出力を指示された印刷データ中から、明領域および暗領域により構成されたコード画像を検出するステップと、
検出されたコード画像を構成する明領域と暗領域の色情報およびコード画像を含む印刷データを出力しようとする印刷媒体の色情報に基づいて、コード画像を印刷媒体上に出力した場合の可読性を判定するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−183796(P2012−183796A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50084(P2011−50084)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】