説明

画像処理装置およびプログラム

【課題】原稿の両面読み取りが可能な画像処理装置のデータ伝送手段のデータ伝送容量を効率よく利用し、読み取り画像データの両面同時伝送を行う。
【解決手段】原稿の表面の画像を読み取るCCD21を備えた第1の画像読み取り手段から出力される画像データと、原稿の裏面の画像を読み取るCCD23を備えた第2の画像読み取り手段から出力される第2の画像データとを共通のクロックタイミングを利用して多重化し、データバスを介して両面同時伝送を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿の両面を2つの撮像手段で読み取り、それらの画像データに適当な画像処理を施し、それを出力(例えば印刷や画像データとして通信回線や電子記録媒体に出力)する機能を有している画像処理装置が知られている。このような画像処理装置は、原稿の両面を2つの撮像手段で読み取り、それらの画像データを保持する画像保持装置に伝送している。これらの技術については、例えば特許文献1〜5に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−242917
【特許文献2】特開2005−260844
【特許文献3】特開2005−260845
【特許文献4】特開2005−260846
【特許文献5】特開平8−65454
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、データ伝送手段の伝送可能なデータ伝送容量を効率良く利用することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、原稿の一方の面の画像を読み取り、その画像情報を生成する第1の画像読み取り手段と、原稿の他方の面の画像を読み取り、その画像情報を生成する第2の画像読み取り手段と、前記第1の画像読み取り手段から出力される第1の画像情報と、前記第2の画像読み取り手段から出力される第2の画像情報とを共通の基準信号を利用して多重化する回線多重化手段とを備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第1の画像情報の解像度および第2の画像情報の解像度を設定する解像度設定手段と、第1の画像情報または第2の画像情報を伝送可能な、情報伝送容量を有する情報伝送手段と、を備え、第1の画像情報の伝送に必要な情報伝送容量と第2の画像情報の伝送に必要な情報伝送容量との和が情報伝送手段の情報伝送容量に達しない値に解像度が設定されている場合に多重化が行われることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、情報伝送手段の情報伝送容量は、第1の画像情報の解像度および第2の画像情報の解像度が最大値に設定された場合に、第1の画像情報または第2の画像情報のいずれかを伝送可能な値を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、多重化が可能であるのか否かを判定する判定手段を備え、この判定手段が、多重化が可能でないと判定した場合に、判定手段が、画像読み取り手段に撮像した画像の画像情報を保持する保持手段を備えているか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、多重化が可能であるのか否かを判定する判定手段と、画像読み取り手段に撮像した画像の画像情報を保持する保持手段とを備え、判定手段が、多重化が可能でないと判定した場合に、判定手段が、保持手段に画像情報を保持できる記憶容量があるか否かを判定することを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、コンピュータに、原稿の一方の面の画像を読み取らせて第1の画像情報を生成させ、原稿の他方の面の画像を読み取らせて第2の画像情報を生成させ、第1の画像情報と、第2の画像情報とを共通の基準信号を利用して多重化させることを特徴とするプログラムである。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、第1の画像情報および第2の画像情報は、所定の解像度に設定されており、第1の画像情報の伝送に必要な情報伝送容量と第2の画像情報の伝送に必要な情報伝送容量との和が情報伝送手段の情報伝送容量に達しない値に解像度が設定されている場合に多重化が行われることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の発明において、多重化が可能であるのか否かを判定させ、多重化が可能でないと判定された場合に、第1の画像情報または第2の画像情報を保持させることを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項6または7に記載の発明において、多重化が可能であるのか否かを判定させ、多重化が可能でないと判定された場合に、第1の画像情報または第2の画像情報を保持できる記憶容量があるか否かを判定させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、画像データを多重化し同時伝送を行うことができるので、データ伝送手段の伝送可能なデータ伝送容量を効率良く利用することができる。また、画像データの同時伝送を行うことができるので、伝送スピードをあげて生産性を上げることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、画像データの解像度の設定により画像データの多重化が行われるため、データ伝送手段の伝送可能なデータ伝送容量を効率良く利用することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、解像度が最大に設定されていた場合であっても、伝送手段は原稿の一方の面の画像データを伝送することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、両面画像データの多重化ができない場合に、画像データの順次伝送が可能であるのか否か、を判定することでそれに対応することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、両面画像データの多重化ができない場合に、画像データの順次伝送が可能であるのか否か、を判定することでそれに対応することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、コンピュータに画像データを多重化し同時伝送を行わせることができるので、データ伝送手段の伝送可能なデータ伝送容量を最大限利用することができる。また、画像データの同時伝送を行うことができるので、伝送スピードをあげて生産性を上げることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、コンピュータに画像データの解像度の設定により画像データの多重化を行わせるため、データ伝送手段の伝送可能なデータ伝送容量を効率良く利用することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、両面画像データの多重化ができない場合に、画像データの順次伝送が可能であるのか否か、を判定することでそれに対応することができる。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、両面画像データの多重化ができない場合に、画像データの順次伝送が可能であるのか否か、を判定することでそれに対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(1)第1の実施形態
(構成)
図1は、発明を利用した画像処理装置の一例を示すブロック図である。図1には、画像処理装置10が示されている。画像処理装置10は、原稿の両面を2つの撮像手段で読み取り、それらの画像データに適当な画像処理を施し、それを出力(例えば印刷や画像データとして通信回線や電子記録媒体に出力)する機能を有している。
【0024】
画像処理装置10は、画像読み取り部20、画像データ伝送部30、画像処理部40および画像出力部50を備えている。画像読み取り部20は、原稿の画像を光学的に読み取り、その画像データを生成する。この例において、画像読み取り部20は、原稿の表面および裏面の画像を一動作で読み取り、両面の画像データを生成する機能を有している。画像データ伝送部30は、画像読み取り部20から出力される画像データを次段の画像処理部40に伝送する。装置の構造上、画像読み取り部20と画像処理部40とは離れているので、画像データ伝送部30は、パラレル伝送ケーブル、シリアル伝送ケーブルあるいは光ケーブル等により構成される。
【0025】
画像処理部40は、受け取った画像データに対する画像処理を行う。画像出力部50は、印刷物として画像を出力する機能、画像データを通信回線に出力する機能、画像データを記憶サーバや適当な記憶装置(例えばハードディスク装置)に出力する機能、あるいはこれら機能の複数を備えた機能を有する。画像読み取り部20は、CCD21、CCDコントローラ22、CCD23、CCDコントローラ24、ビデオクロック信号生成装置25、バッファメモリ26、回線多重化装置(Multiplexer)27および解像度設定装置28を備えている。
【0026】
CCD21は、原稿の表面の画像を読み取る撮像装置である。CCDコントローラ22は、CCD21の動作を制御すると共に、CCD21の出力に基づいて画像データを生成する。CCD23は、原稿の裏面の画像を読み取る撮像装置である。CCDコントローラ24は、CCD23の動作を制御すると共に、CCD23の出力に基づいて画像データを生成する。ビデオクロック信号生成装置25は、画像データの伝送の基準信号となるビデオクロック信号(VCLK)を生成し、それをCCDコントローラ22と24に出力する。
【0027】
CCDコントローラ22と24は、所定単位のデータ量(例えばライン単位のデータ)をバッファリングできる図示省略したバッファメモリを備えている。ビデオクロック信号生成装置25から出力されるビデオクロック信号(VCLK)に基づいて、これらバッファメモリでの画像データのバッファリングを行うことで、CCDコントローラ22および24から出力される画像データの出力タイミングを合わせることができる。バッファメモリ26は、CCD23で撮像した画像の画像データを一時的に保持する。
【0028】
回線多重化装置27は、原稿の表面画像の画像データと原稿の裏面画像の画像データとを多重化する機能を有する。多重化の仕組みについては後述する。回線多重化装置27で多重化された画像データは、後述する32bitデータバス31を利用して後段の画像処理系に伝送される。解像度設定装置28は、画像処理装置10の画像調整機能に基づいてカラー画像の解像度(階調表示の度合い)を設定すると共に、その設定された解像度設定データをCCDコントローラ22と24に出力する。
【0029】
画像データ伝送部30は、32bitのデータを伝送可能なデータ伝送容量を有する32bitデータバス31を備えている。32bitデータバス31は、YMCKの各基本色で構成されるカラー画像を伝送するためのデータ伝送路であり、各基本色として8bit(256階調)の階調データを伝送可能な容量を有している。また、32bitデータバス31には、32bitの容量の他にビデオクロック信号(VCLK)、ラインシンク信号(LS)およびページシンク信号(PS)を伝送する伝送経路が併設している。
【0030】
ここで、ビデオクロック信号(VCLK)は、画像データの伝送の基準信号となるクロック信号であり、ラインシンク信号(LS)は、画像データにおけるラインの位置に関する情報を伝える信号であり、ページシンク信号(PS)は、画像データのページの位置に関する情報を伝える信号である。なお、ラインシンク信号(LS)およびページシンク信号(PS)は、ビデオクロック信号(VCLK)に基づいて生成される。
【0031】
画像処理部40は、回線分離装置(Diplexer)41および画像処理回路42を備えている。回線分離装置(Diplexer)41は、多重化された両面の画像データを各面の画像データに分離する。なお、32bitデータバス31を利用して原稿片面の画像データのみを送る際には、多重化は行われない。この場合、32bitデータバス31を利用した片面毎の画像データの伝送となる。画像処理回路42は、回線分離装置41から出力された読み取り原稿片面の画像データに対して、各種の画像処理を行う機能を有する。この画像処理には、色変換処理、解像度変換処理、拡大縮小処理、フィルタリング処理等が含まれる。
【0032】
(両面の画像データを順次伝送する場合の動作)
以下、原稿の両面同時読み取りにおいて、読み取った画像データを片面ずつ順次画像処理部40に伝送する場合の一例を説明する。図2は、図1に示す画像処理装置10において、画像読み取り部20で読み取った原稿両面の画像データを、片面ずつ画像データ伝送部30を介して画像処理部40に送る場合の動作形態を示す概念図である。
【0033】
まず、原稿の両面がCCD21とCCD23によって同時(勿論、少しタイミングがずれていても構わない)に走査しつつ撮像される。そして、原稿表面の画像データがCCDコントローラ22によって生成され、原稿裏面の画像データがCCDコントローラ24によって生成される。
【0034】
ここでは、画像伝送部30を利用してまず表面の画像データを伝送し、その後に裏面の画像データを伝送する。そのために、まずCCDコントローラ22から32bitデータバス31を介して画像データ(表面側の画像データ)を画像処理回路42に送る。なお、当該画像データのビデオクロック信号(VCLK)、ラインシンク信号(LS)およびページシンク信号(PS)は、32bitデータバス31に併設された伝送経路を介して伝送される。またこの際、回線多重化装置27の多重化機能と回線分離装置41の分離機能は機能しない。
【0035】
一方、CCDコントローラ24から出力される画像データ(裏面側の画像データ)は、バッファメモリ26に一時記憶させ、上記CCDコントローラ22からの画像データ(表面側の画像データ)の伝送が終了するまで待機する。画像データ(表面側の画像データ)の伝送が終了したら、バッファメモリ26にバッファリングされていたCCDコントローラ23からの画像データ(裏面側の画像データ)が、32bitデータバス31を介して画像処理回路42に送られる。この際、当該画像データのビデオクロック信号(VCLK)、ラインシンク信号(LS)およびページシンク信号(PS)は、32bitデータバス31に併設された伝送経路を介して伝送される。
【0036】
こうして原稿の表裏面の画像データが画像読み取り部20から画像処理部40に順次伝送される。この表裏面の画像データの伝送においては、YMCK各基本色を8bit(256通り)の階調データとして伝送することができる。つまり、32bitデータバス31の回線容量を最大限発揮した画像データの伝送を行うことができる。
【0037】
(両面の画像データを同時に伝送する場合の動作)
以下、原稿の両面同時読み取りにおいて、読み取った画像データを両面同時に画像処理部40に伝送する場合の一例を説明する。この場合、表裏面の各画像は、YMCKの各基本色が3bit程度以下の階調により表現される画像となる。つまり、解像度を低くして伝送する画像の画像情報のbit数を落とし、それにより生じる、32bitデータバス31の空き容量を利用して他方の面の画像(この画像の画像情報のビット数も落とす必要がある)を伝送する。これにより、8bitを全て利用した場合に比較して、解像度は低下するが、両面の画像データを同時に伝送することができる。
【0038】
以下、具体的な一例を説明する。ここでは、一例としては表裏面の画像データにおけるYMCKの各基本色が1bitのデータである場合を説明する。つまり、解像度が1bitに設定されている場合の例を説明する。図3は、図1に示す画像処理装置10において、画像読み取り部20で読み取った原稿両面の画像データを、同時に画像データ伝送部30を介して画像処理部40に送る場合の動作形態を示す概念図である。
【0039】
この場合、図示しない原稿の両面がCCD21および23によって読み取られる。この読み取った表裏面における画像の画像データは、CCDコントローラ22および24から出力される。この際、ビデオクロック信号生成装置25から生成されるビデオクロック信号(VCLK) を利用して、両画像データの出力タイミングの同期が確保される。
【0040】
CCDコントローラ22および24から出力される画像データは、画像多重化装置(Multiplexer)27において多重化される。この多重化は以下のようにして行なわれる。この場合、CCDコントローラ22から出力される表面の画像データのYMCKのデータは、1bitであるので、32bitデータバス31には空がある。この空部分を利用して、CCDコントローラ24から出力される裏面の画像データのYMCKのデータと、そのラインシンク信号(LS)およびページシンク信号(PS)を伝送する。この際、CCDコントローラ22および24から出力される画像データは、共通のビデオクロック信号(VCLK) により同期しているので、32bitデータバス31上で同時に伝送することができる。
【0041】
32bitデータバス31を介して伝送された両面の画像データは、回線分離装置(Diplexer)41で表面側の画像データと裏面側の画像データとに分離される。分離された画像データは、画像処理回路42内の図示しないバッファメモリに取り込まれ、次いで画像処理が施される。
【0042】
図3に示す例では、表裏面の画像データにおける各基本色画像のbit数が1bitであるので、各基本色を8bit伝送できる32bitデータバス31には、容量の空がある。なお、この例でいうと、片面のラインシンク信号(LS)およびページシンク信号(PS)を、32bitデータバス31の一部を用いて伝送するので、32bit全てをYMCKに割り振ることはできない。なお、表裏面の画像に割り振るbit数は、均等でなくてもよい。
【0043】
(2)第2の実施形態
(構成)
図4は、発明を利用した画像処理装置の一例を示すブロック図である。図4に示す画像処理装置は、図1に示す画像処理装置10に制御装置29を加えた構成を有している。なお、制御装置29以外の構成は、図1に示す画像処理装置10と同じである。制御装置29は、CCDコントローラ22と24、画像多重化装置(Multiplexer)27および回線分離装置41を制御する。
【0044】
図5は、制御装置29の概要を示すブロック図である。制御装置29は、CPU(central processing unit)61、ROM(read only memory)62、RAM(random access memory)63およびインターフェース部64を備えている。CPU61は、後述する動作手順を実行する機能を有する。ROM62は、後述する動作手順を実行するための動作プログラムおよびその動作に必要なデータが記憶されている。このデータの中には、後述する動作手順において利用される選択条件も含まれる。
【0045】
RAM63は、後述する動作手順の実行時において、プログラムデータや各種のデータを一時的に記憶するワーキングエリア、および後述する動作手順において得られる各種のデータを記憶する記憶手段として機能する。RAM63には、不揮発性メモリも含まれており、必要なデータは、電源をOFFにしても保持される。インターフェース部64は、CPU61において実行された処理の結果を図4のCCDコントローラ22と24、画像多重化装置(Multiplexer)27および回線分離装置41に出力し、また必要なデータを制御装置29内に取り込む。
【0046】
(動作例)
図6は、図4に示す構成を備えた画像処理装置のモード選択処理手順の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートに示す処理の手順を実行するための動作プログラムは、図5のROM62に記憶されている。
【0047】
この例においては、モード選択の処理が開始されると(ステップS601)、解像度設定装置28で設定された解像度レベルが取得される(ステップS602)。ステップS602の後、画像データの多重化が可能であるのか否か、を判定する処理が実行される(ステップS603)。この判定の基準は、所定の解像度とその解像度を実現するために必要なデータ量とに基づいて予め求め、それをROM62内に記憶させておいたものを利用する。
【0048】
この判定では、表面の画像データの伝送に必要なデータ伝送容量と裏面の画像データの伝送に必要なデータ伝送容量との和が、32bitデータバス31のデータ伝送容量に達しない値か否か、が判定される。一例としてCCDコントローラ22および24から出力される画像データの解像度が、YMCKの各基本色の階調として4bitのデータが必要な解像度に設定されている場合を考える。この場合、表面の画像データの伝送に必要なデータ伝送容量と裏面の画像データの伝送に必要なデータ伝送容量との和は、(4bit×4)×2となるので、その値は32bitデータバス31のデータ伝送容量(32bit)に達しており(以上であり)、ステップS603の判定はNOとなる。
【0049】
また他の一例として、CCDコントローラ22および24から出力される画像データの解像度が、YMCKの各基本色の階調として3bitのデータが必要な解像度に設定されている場合を考える。この場合、表面の画像データの伝送に必要なデータ伝送容量と裏面の画像データの伝送に必要なデータ伝送容量との和は、(3bit×4)×2となるので、その値は32bitデータバス31のデータ伝送容量(32bit)に達しておらず(未満であり)、ステップS603の判定はYESとなる。
【0050】
なお、表面の画像データの伝送に必要なデータ伝送容量と裏面の画像データの伝送に必要なデータ伝送容量との和が、32bitデータバス31のデータ伝送容量と等しい場合に、多重化が不可であると判定されるのは、多重化に際して、片面の画像データのラインシンク信号(LS)とページシンクシング(PS)とを32bitデータバス31の空き回線を利用して伝送するので、YMCKのデータだけで32bitデータバス31の回線を全て占有することができないからである。
【0051】
画像データの多重化が可能であれば、両面伝送モードにする設定を行い(ステップS604)、モード選択の処理が終了する(ステップS609)。ここで、両面伝送モードというのは、図3に示す画像データの伝送モードのことである。ステップS603の判定がNOである場合、ステップS605に進む。ステップS605においては、撮像した画像の画像データを一時的に保持する図4に示すバッファメモリ26が有るか否か、を判定する処理が実行される。バッファメモリ26があれば、さらにステップS606に進み、画像データを保持できるメモリ容量があるか否か、を判定する処理が実行される。
【0052】
バッファメモリ26の容量が足りれば、片面伝送モードにする設定を行い(ステップS607)、モード選択の処理が終了する(ステップS609)。ここで、片面伝送モードというのは、図2に示す原稿の表裏面の画像データが画像読み取り部20から画像処理部40に順次伝送されるモードのことである。ステップS606の判定がNOである場合、片面読み取りモードにする設定を行い(ステップS608)、モード選択の処理が終了する(ステップS609)。片面読み取りモードでは、原稿の両面同時読み取りは行わず片面ずつ読み取りを行う。まず、画像読み取り部20で読み取った片面の画像データを、画像データ伝送部30を介して画像処理部40に伝送し、その後、残りの面の読み取りを行う。
【0053】
一方、図4に示すバッファメモリ26を備えていない画像処理装置の場合には、ステップS605の判定がNOとなり、片面読み取りモードにする設定を行い(ステップS608)、モード選択の処理が終了する(ステップS609)。
【0054】
(3)第3の実施形態
図4に示すバッファメモリ26を備えている、またはバッファメモリ26を備えていない画像処理装置の場合に、図6のステップS608で設定される片面読み取りモードにする処理を、画像データの多重化が可能であると図6のステップS603で判定され両面伝送モードの選択となるように解像度レベルを下げる処理とし、再度モード選択の処理を開始するモード選択処理手順としてもよい。つまり、両面伝送が行えるレベルにまで、解像度を落とす処理を実行し、解像度は犠牲になるが、両面伝送を行えるようにしてもよい。
【0055】
また、図4に示すバッファメモリ26を備えている画像処理装置10の場合に、図6のステップS608で設定される片面読み取りモードにする処理を、画像データを保持できるメモリ容量があると図6のステップS606で判定され片面伝送モードの選択となるように解像度レベルを下げる処理とし、再度モード選択の処理を開始するモード選択処理手順としてもよい。つまり、片面毎の画像データを順次伝送するためのバッファリングが可能な解像度にまで、解像度を落とする処理を実行し、解像度は犠牲になるが、確実に画像の伝送が行えるようにしてもよい。
【0056】
以上の例示に説明において、図6に示すフローチャートを実行するためのプログラムやその他明細書中で説明した動作を実行するためのプログラムは、装置内のROMに記憶させておくだけではなく、その他の半導体メモリ、光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、光磁気ディスク記憶装置等の適当な記憶媒体に記憶させて提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、カラープリンタ、FAX、カラー複写機、これらの複合機といった画像処理装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】発明を利用した画像処理装置の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す画像処理装置で両面の画像データを順次伝送する場合の動作形態を示す概念図である。
【図3】図1に示す画像処理装置で両面の画像データを同時に伝送する場合の動作形態を示す概念図である。
【図4】発明を利用した画像処理装置の一例を示すブロック図である。
【図5】制御装置の概要を示すブロック図である。
【図6】モード選択処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
10…画像処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の一方の面の画像を読み取り、その画像情報を生成する第1の画像読み取り手段と、
原稿の他方の面の画像を読み取り、その画像情報を生成する第2の画像読み取り手段と、
前記第1の画像読み取り手段から出力される第1の画像情報と、前記第2の画像読み取り手段から出力される第2の画像情報とを共通の基準信号を利用して多重化する回線多重化手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の画像情報の解像度および前記第2の画像情報の解像度を設定する解像度設定手段と、
前記第1の画像情報または前記第2の画像情報を伝送可能な、情報伝送容量を有する情報伝送手段と、
を備え、
前記第1の画像情報の伝送に必要な情報伝送容量と前記第2の画像情報の伝送に必要な情報伝送容量との和が前記情報伝送手段の情報伝送容量に達しない値に前記解像度が設定されている場合に前記多重化が行われること
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記情報伝送手段の情報伝送容量は、前記第1の画像情報の解像度および前記第2の画像情報の解像度が最大値に設定された場合に、前記第1の画像情報または前記第2の画像情報のいずれかを伝送可能な値を有していること
を特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記多重化が可能であるのか否かを判定する判定手段を備え、
前記判定手段が、前記多重化が可能でないと判定した場合に、
前記判定手段が、前記画像読み取り手段に撮像した画像の画像情報を保持する保持手段を備えているか否かを判定すること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記多重化が可能であるのか否かを判定する判定手段と、
前記画像読み取り手段に撮像した画像の画像情報を保持する保持手段と
を備え、
前記判定手段が、前記多重化が可能でないと判定した場合に、
前記判定手段が、前記保持手段に画像情報を保持できる記憶容量があるか否かを判定すること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、
原稿の一方の面の画像を読み取らせて第1の画像情報を生成させ、
原稿の他方の面の画像を読み取らせて第2の画像情報を生成させ、
前記第1の画像情報と、前記第2の画像情報とを共通の基準信号を利用して多重化させること
を特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記第1の画像情報および前記第2の画像情報は、所定の解像度に設定されており、
前記第1の画像情報の伝送に必要な情報伝送容量と前記第2の画像情報の伝送に必要な情報伝送容量との和が前記情報伝送手段の情報伝送容量に達しない値に前記解像度が設定されている場合に前記多重化が行われること
を特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記多重化が可能であるのか否かを判定させ、
前記多重化が可能でないと判定された場合に、前記第1の画像情報または前記第2の画像情報を保持させること
を特徴とする請求項6または7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記多重化が可能であるのか否かを判定させ、
前記多重化が可能でないと判定された場合に、
前記第1の画像情報または前記第2の画像情報を保持できる記憶容量があるか否かを判定させること
を特徴とする請求項6または7に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−118426(P2008−118426A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300141(P2006−300141)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】