説明

画像処理装置及びカバーの取付構造

【課題】搬送路中で詰まった処理媒体を容易に取出可能で、かつ、画像処理部を外部から保護することのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】処理媒体を所定の搬送方向に搬送するための搬送路3と、搬送路3に臨むように配置された処理面41を有する画像処理部40と、搬送路3に沿って配置されるとともに、搬送路3を覆う第一のカバー11及び第二のカバー12とを備え、第一及び第二のカバー11,12は、それぞれ、搬送方向と交差する方向の第一及び第二の回転軸14,15周りに開閉可能に構成され、第一及び第二の回転軸14,15は、処理面41近傍に配置されていることを特徴とする画像処理装置1により上記課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小切手や記録用紙等の処理媒体に印刷処理や読取処理などの画像処理を施す画像処理装置及び画像処理装置のカバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行の口座窓口などで、処理内容に応じて小切手の情報を読み取ったり、小切手に印刷することのできる小切手処理装置が特許文献1等として知られている。特許文献1に記載の小切手処理装置は、小切手などの処理媒体を搬送するU字状の搬送路に沿って、複数のローラー対が配置され、小切手を各ローラー対に順次に引き渡しながら搬送する。このような搬送路に沿ってイメージスキャナーおよび磁気ヘッドや印刷ユニットが配置されており、小切手類の画像および磁気情報の読取処理や小切手への印刷処理が施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−207927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような小切手処理装置において、搬送路内に小切手が詰まった場合には搬送路から小切手を取り除く必要がある。このため、特許文献1に記載の小切手処理装置はU字状の搬送路の中間点に設けられた支軸を中心に回転可能な一対のカバーを備えており、小切手が搬送路内に詰まった場合にはカバーを開けることができる。カバーを開き搬送路を外部に露出させることで、搬送路内に詰まった小切手を取り出し易くするためである。
【0005】
ところが、特許文献1に記載の画像処理装置では、搬送路中に詰まった小切手を容易に取り除くことはできるが、カバーの開放時には印刷ユニットも外部に露出されてしまうので、印刷ユニットにも外部から容易にアクセスできてしまう。したがって、不用意にユーザーが印刷ユニットに接触してしまい印刷ユニットが損傷したりするという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は搬送路中で詰まった処理媒体を容易に取出可能で、かつ、印刷ユニット等の画像処理部を外部から保護することのできる画像処理装置、およびこれを実現するカバーの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明によれば、
処理媒体を所定の搬送方向に搬送するための搬送路と、
前記搬送路に臨むように配置された処理面を有する画像処理部と、
前記搬送路に沿って配置されるとともに、前記搬送路を覆う第一のカバー及び第二のカバーとを備え、
前記第一及び第二のカバーは、それぞれ、前記搬送方向と交差する方向の第一及び第二の回転軸周りに開閉可能に構成され、
前記第一及び第二の回転軸は、前記処理面近傍に配置されていることを特徴とする画像処理装置が提供される。
【0008】
本発明に係る画像処理装置によれば、第一及び第二の回転軸が処理面近傍に配置されることにより、カバーの開放時にも第一のカバー及び第二のカバーが処理面近傍に位置する。これにより、これらのカバーを開いて搬送路中に詰まった処理媒体を取り出す時でも、画像処理部を外部から保護することができる。
【0009】
上記の画像処理装置において、
前記第一の回転軸及び第二の回転軸は、前記処理面に対して前記搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配置されていてもよい。
本発明に係る画像処理装置によれば、第一の回転軸及び第二の回転軸はカバーの回動時にも位置が変化しないため、搬送路の上流側及び下流側からの画像処理部へのアクセスを阻止し、画像処理部を外部から保護することができる。
【0010】
上記の画像処理装置において、
前記第一及び第二のカバーは、開放時に前記搬送路を挟んで前記処理面と対向する位置に回動可能とされていてもよい。
本発明に係る画像処理装置によれば、第一及び第二のカバーが搬送路を挟んで処理面と対向する位置まで回動するので、処理面が第一及び第二カバーで閉塞され、画像処理部をより確実に外部から保護することができる。
【0011】
上記の画像処理装置において、前記第一のカバー及び第二のカバーは、水平方向に回動可能としてもよい。
本発明に係る画像処理装置によれば、第一のカバー及び第二のカバーを垂直方向に回動させた場合と比べて、これらのカバーの開放後に自重によりこれらカバーが閉塞状態に戻らないので、より確実に画像処理部を外部から保護することができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために本発明によれば、
処理媒体を搬送するための搬送路と、
前記搬送路に沿って前記搬送路を覆うように設けられた一対のカバーと、
前記搬送路の前記中間部に設けられた画像処理部とを備え、
前記一対のカバーは、前記搬送路の中間部に設けられた一対の回転軸周りに開閉可能に支持され、
前記画像処理部は、前記搬送路を隔てて前記一対の回転軸と対向するように設けられていることを特徴とする画像処理装置が提供される。
【0013】
本発明に係る画像処理装置によれば、画像処理部が一対のカバーの回転軸に対向する位置に配置されているので、カバーを開閉しても画像処理部周辺のカバーは搬送路から大きく離間しない。したがって、カバー開閉時に画像処理部の近傍には大きな空間が形成されないので、画像処理部を外部から保護することができる。
【0014】
上記の画像処理装置において、
前記一対の回転軸は、前記搬送路における前記処理媒体の搬送方向と交差する方向にそれぞれ配置されるとともに、前記搬送方向に互いに離間して配置され、
前記画像処理部は、前記搬送路に臨むように設けられた処理面を有し、
前記処理面は、前記一対の回転軸の間に位置するように配置されていてもよい。
本発明に係る画像処理装置によれば、処理面に対向する位置に空間を確保することができるので、例えばインクジェットヘッドのキャップ機構等をこの空間に配置することができる。
【0015】
上記の画像処理装置において、
前記一対のカバーは、それぞれ前記一対の回転軸を中心に回転して、前記搬送路を挟んで前記処理面に対向する位置に回動可能とされていてもよい。
本発明に係る画像処理装置によれば、一対のカバーが搬送路を挟んで処理面と対向する位置まで回動するので、画像処理部に対向する空間がカバーで閉塞され、処理面に対向する方向から画像処理部へのアクセスを防止することができる。したがって画像処理部を確実に外部から保護することができる。
【0016】
上記の画像処理装置において、
前記一対の回転軸の間に前記画像処理部に対向する空間を閉塞する閉塞部材が設けられていてもよい。
本発明に係る画像処理装置によれば、処理面と対向する空間を閉塞する閉塞部材により処理面に対向する方向からのアクセスを防止することができる。したがって画像処理部を確実に外部から保護することができる。
【0017】
上記の画像処理装置において、
前記画像処理部は液体を吐出する吐出孔を備えた液体吐出ヘッドであり、
前記搬送路を挟んで前記画像処理部と対向する位置に、前記吐出孔を閉塞可能なキャップ機構が設けられていてよい。
本発明に係る画像処理装置によれば、一対のカバーの開放時にも外部から保護される画像処理部の搬送路を挟んで反対側にキャップ機構を配置したので、キャップ機構もカバーの開放時に保護することができる。更に、吐出孔と対向する空間をキャップ機構で閉塞することにより、より確実に吐出孔を保護することができる。
【0018】
また、上記目的を達成するために本発明によれば、
処理媒体が搬送される搬送路と、
処理面が前記搬送路に臨むように配置された画像処理部と、
前記搬送路の搬送方向と交差する回転軸周りに回動して前記搬送路を閉塞及び開放し、前記回転軸から延びるように形成された一対のカバーとを備え、
前記一対のカバーは、前記回転軸が前記画像処理部を挟むように前記搬送路の上流側及び下流側に配置され、
前記一対のカバーは、前記搬送路の閉塞時に前記搬送路を覆うとともに、前記搬送路の開放時に前記処理面に対向する位置まで回動することを特徴とする画像処理装置が提供される。
【0019】
本発明に係る画像処理装置によれば、搬送路の開放時には、一対のカバーが処理面に対向する位置に回動するので、処理面がカバーによって閉塞される。したがって、搬送路の開放時に処理面を外部から保護することができる。
【0020】
上記の画像処理装置において、前記一対のカバーは水平方向に回動可能としてもよい。
本発明に係る画像処理装置によれば、一対のカバーを垂直方向に回動させた場合と比べて、開放後に自重により一対のカバーが閉塞状態に戻らないので、より確実に処理部を外部から保護することができる。
【0021】
また、上記目的を達成するために本発明によれば、
搬送路に沿って搬送される処理媒体に関して画像処理を行う画像処理装置において、前記搬送路を開閉可能に覆うカバーの取付構造であって、
前記カバーは、前記搬送路の上流側を覆う上流側カバーと、前記搬送路の下流側を覆う下流側カバーとを備え、
前記上流側カバー及び前記下流側カバーは、それぞれ、上流側回転軸及び下流側回転軸により回動可能に支持されて、開閉可能に取り付けられ、
前記上流側回転軸及び下流側回転軸は、前記画像処理を行う前記搬送路の被保護部に対して、前記搬送路を挟んで対向するように設けられていることを特徴とするカバーの取付構造が提供される。
【0022】
本発明に係るカバーの取付構造によれば、上流側回転軸及び下流側回転軸が、被保護部に対して搬送路を挟んで対向するように設けられている。したがって、被保護部を搬送路の上流側及び下流側から遮蔽することができ、被保護部に配置した部材を外部から保護することができる。
【0023】
上記のカバーの取付構造において、前記被保護部には、前記処理媒体に印刷を行うための印刷ヘッドが設けられていてもよい。
本発明に係る画像処理装置によれば、カバーの開放時にも、特にユーザーの接触により汚損しやすい印刷ヘッドを保護することができる。
【0024】
上記のカバーの取付構造において、
前記印刷ヘッドはインクジェットヘッドであり、前記上流側回転軸と前記下流側回転軸との間には、前記インクジェットヘッドのキャップを配置するためのキャップ配置空間が設けられていてもよい。
本発明に係るカバーの取付構造によれば、ユーザーの接触により汚損されやすいインクジェットヘッド及びこれを保護するキャップを外部から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る小切手処理装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る小切手処理装置の上面図である。
【図3】図2に示す小切手処理装置の開閉カバーを開放した状態を示す図である。
【図4】本発明の変形例に係る小切手処理装置の開閉カバーを開放した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を適用した小切手処理装置の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0027】
<基本構造>
図1は、本実施形態に係る小切手処理装置1の斜視図である。小切手処理装置1は、本体ケース2と、本体ケース2に固定された中央カバー13と、中央カバー13にヒンジ(回転軸)14,15を介して回転可能に連結された一対の開閉カバー11,12とを備えている。
【0028】
本体ケース2の外周には、処理媒体である小切手を上流側から下流側に搬送するための搬送路3が上面視でU字状に形成されている。さらに搬送路3の外周には一対の開閉カバー11,12がそれぞれ搬送路3の上流側及び下流側を覆うように搬送路3に沿って形成されている。また、開閉カバー11,12の間には、搬送路3の中間部を覆う中央カバー13が配置されている。ヒンジ14,15はその回転軸が搬送路3の搬送方向と交差するように設けられており、開閉カバー14,15はヒンジ14,15を介して中央カバー13に回動可能に取り付けられている。
【0029】
搬送路3の上流側には、小切手を搬送路3の上流端に送り出す図示せぬ送り出しローラーや駆動モーターからなる送り出し機構と、分離パット又はリタードローラー等の分離機構から構成される給紙ユニット20が設けられている。給紙ユニット20には、処理される小切手が投入される投入口21が小切手処理装置1の上面及び側面に開口しており、小切手を上面及び側面の二方向から小切手処理装置1に給紙することができる。なお、小切手の表面には印刷面が設けられており、小切手は搬送路3の外周に表面が向いた姿勢で投入口21に配置され、鉛直方向に起立した姿勢で搬送路3を搬送される。
【0030】
一方、搬送路3の下流側には、小切手が排出される排紙ユニット30が設けられている。この排紙ユニット30は、回動可能に本体ケース2に取り付けられた経路切り替え機構31と、経路切り替え機構31の下流側に設けられた第1取出口32及び第2取出口33とを備えている。搬送路3から排出されてきた小切手は、経路切り替え機構31によって、仕切壁34で区分けされた第1取出口32及び第2取出口33のいずれか一方に振り分けられる。
【0031】
図2を参照して小切手処理装置の内部構造を説明する。図2は小切手処理装置1の上面図であり、その内部に配置される部材を破線で示している。
【0032】
搬送路3の上流側端部と下流側端部の中間にあたる中間位置(U字状の搬送路3の底の位置)には、印刷ヘッド(画像処理部)40が本体ケース2に設けられている。この印刷ヘッド40は、吐出孔が設けられた吐出面(処理面)41が搬送路3に臨むように、一対のヒンジ14,15の間に対向するように配置されている。このように、U字状の搬送路3の内側である本体ケース2の中に印刷ヘッド40を設けることにより、小切手処理装置1をコンパクトにすることができる。
【0033】
印刷ヘッド40には、インクを吐出して小切手に印刷可能なインクジェット式の印刷ヘッドを用いることができる。また、小切手の幅寸法(搬送方向に直交する方向の寸法)にヘッドを延在させたラインヘッド型の印刷ヘッド40を用いてもよい。
【0034】
搬送路3を挟んで吐出面41と対向するヒンジ14,15の間には、印刷ヘッド40の非印刷時に吐出面41の吐出孔を閉塞可能なキャップ機構42が設けられており、このキャップ機構42は中央カバー13によって覆われている。
【0035】
キャップ機構42は、吐出孔を閉塞するように吐出面41を覆うキャップ部を備え、非印刷時に吐出孔からのインクの蒸発を防ぎ、インクの目詰まりを防止する。また、キャップ機構42は、印刷ヘッド40の非印刷時には吐出面41に密着させるようにキャップ部を移動させ、印刷ヘッド40の印刷時には吐出面41からキャップ部を離間させて小切手の搬送を妨げない位置に退避させる駆動部を備えている。
【0036】
給紙ユニット20の下流側には、小切手に印刷されている磁気インクを着磁可能な磁石51が開閉カバー11に設けられている。また、この磁石51の下流側で印刷ヘッド40の上流側には、磁気情報を読み取り可能な磁気スキャナー52が、スキャン面が搬送路3を臨むように開閉カバー11に設けられている。また、搬送路3を挟んで磁気スキャナー52と対向する位置には、小切手を磁気スキャナー52のスキャン面に押し付ける押圧パッド53が設けられている。磁気スキャナー52としてはMICRヘッドを採用することができる。
【0037】
印刷ヘッド40の下流側には、小切手の裏面及び表面を読み取り可能な光学スキャナー54,55が搬送路3を介して対向するように、それぞれ本体カバー2及び開閉カバー12に設けられており、小切手の表面及び裏面の画像を取得することができる。光学スキャナー54,55としてはコンタクトイメージスキャナーを採用することができる。
【0038】
小切手処理装置1は、搬送路3に沿って小切手を上流側から下流側に搬送する複数の搬送ローラー対61a〜64bを備えている。これら複数の搬送ローラー対61a〜64bは、本体ケース2に設けられた搬送ローラー61a,62a,63a,64aが、搬送路3を挟んで開閉カバー11,12に設けられた搬送ローラー61b,62b,63b,64bと対向するように配置されている。本体ケース2に設けられた搬送ローラー61a,62a,63a,64aは共通の無端ベルトで図示せぬ搬送モーターと連結され、同期して回転駆動される。
【0039】
<基本動作>
このような小切手処理装置1において、投入口21に投入された小切手は、給紙ユニット20の図示せぬ繰り出しローラー等によって繰り出され、分離ローラー等の分離機構により一枚ずつに分離されて、搬送路3の上流側に搬送される。
【0040】
給紙ユニット20から搬送路3に搬送されてきた小切手は、第1ローラー対61a,61bに支持されて搬送され、磁石51により小切手の磁気インクが着磁される。小切手は押圧パッド53により磁気スキャナー52に押し付けられ、着磁された磁気インクが磁気スキャナー52により読み取られる。読み取られた磁気情報は外部のホストコンピュータ等に送信される。小切手は更に、第2ローラー対62a,62bに支持され、開閉カバー11の屈曲部に沿って搬送方向が約90度曲げられながら印刷ヘッド40に送られる。
【0041】
小切手が第2ローラー対62a,62bにより印刷ヘッド40に対向する位置まで送られると、印刷ヘッド40は外部のホストコンピュータ等からの入力に基づき小切手の印刷面に印刷する。印刷された小切手は第3ローラー対63a,63bに支持されながら搬送され、また開閉カバー12の屈曲部により搬送方向が約90度曲げられながら光学スキャナー54,55に搬送される。光学スキャナー54,55は小切手の裏面及び表面の画像を読み取り、ホストコンピュータに画像情報を送信する。光学スキャナー54,55を通過した小切手は第4ローラー対64a,4bに支持されながら搬送され、排出ユニット30に排出される。
【0042】
なお、磁気スキャナー52あるいは光学スキャナー54,55により小切手の情報が読み取れなかった場合は、印刷ヘッド40により印刷されることなく小切手を搬送し、経路切り替え機構31を回動して小切手を第2取出口33に排出してもよい。正常に処理が行われた小切手を第1取出口32に排出し、正常に処理が行えなかった小切手を第2取出口33に排出することで、容易に正常に処理された小切手と正常に処理されなかった小切手を区別して取り出すことができる。
【0043】
このように、本実施形態に係る小切手処理装置1によれば、小切手の読み取り及び書き込みが一括してできるので、小切手を処理する銀行員等ユーザーの作業負担を軽減することができる。
【0044】
<紙詰まり解消動作>
このような小切手処理装置1において、それぞれロック機構16,17によって開閉カバー11,12のヒンジ14,15とは反対側の端部が給紙ユニット20及び排紙ユニット30に係止され、図1,2に示すカバー閉鎖状態に維持されている。なお、ロック機構16,17には、スライドロック機構等の公知のロック機構を適用できる。
【0045】
開閉カバー11,12のヒンジ14,15は、搬送方向と交差する方向(図示の例では紙面垂直方向)となるように設けられている。よって、ロック機構16,17のロックを解除すると、図3に示すように開閉カバー11,12はヒンジ14,15周りに回動し、開閉カバー11,12のヒンジ14,15から遠い側が搬送路3から遠ざかる方向に移動し、開閉カバー11,12同士が互いに干渉することなく、搬送路3が小切手処理装置1の側方に露出される。
【0046】
また、上述の如く本体ケース2に押圧パッド53と光学スキャナー54及び搬送ローラー61a,62a,63a,64aが搭載され、開閉カバー11,12に、磁石51と磁気スキャナー52と光学スキャナー55及び搬送ローラー61b,62b,63b,64bが搭載されている。したがって、開閉カバー11,12が回動されると、複数のローラー対61a〜64b及び磁気スキャナー52及び光学スキャナー54,55の読み取り面が外部に露出されるように搬送路3が開放される。
【0047】
したがって、搬送路3の経路中に小切手が詰まった場合には、開閉カバー11,12を開放することで搬送路3が側方に露出するので、磁気スキャナー52等に邪魔されることなく搬送路3内に詰まった小切手を小切手処理装置1の側方から容易に取り除くことができる。
【0048】
<開閉カバー開放時の印刷ヘッドの保護>
本実施形態の小切手処理装置1において、開閉カバー11,12のヒンジ14,15は、印刷ヘッド40の吐出面41近傍に配置されている。したがって搬送路3に詰まった小切手を取り出すために開閉カバー11,12を回動させても、ヒンジ14,15付近の開閉カバー11,12は大きく移動せず、開閉カバー11,12の開放時にも処理面11近傍に位置することになる。すなわち、印刷ヘッド40近傍に大きな空間が形成されないので、開閉カバー11,12によって外部からのアクセスを阻止し、開閉カバー11,12の開放時にも印刷ヘッド40を外部から保護することができる。
【0049】
また、開閉カバー11,12の回動中心であるヒンジ14,15は、開閉カバー11,12が回動しても位置が変化しない。上述の如くこれらのヒンジ14,15は処理面11の近傍に配置され、かつ、吐出面41に対して搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配置されている。したがって、開閉カバー11,12の開放時にも、印刷ヘッド40の吐出面41はヒンジ14,15により搬送路3の上流側及び下流側から遮蔽されている。つまり、ユーザーは搬送路3の上流側及び下流側から印刷ヘッド40にアクセスすることができないので、印刷ヘッド40を確実に保護することができる。
【0050】
また、印刷ヘッド40の吐出面41に対向する空間には、キャップ機構42及びこのキャップ機構42を覆う中央カバー13が閉塞部材として配置されており、吐出面41に対向する空間が閉塞されている。したがって、開閉カバー11,12を開放しても、吐出面41はキャップ機構42及び中央カバー13に遮蔽されて外部に露出されないので印刷ヘッド40を外部から確実に保護することができる。
【0051】
さらに、図3に示すように、開閉カバー11,12は開放時に搬送路3を挟んで吐出面41と対向する位置に回動される。したがって、回動した開閉カバー11,12が吐出面41に対向する方向からの印刷ヘッド40へのアクセスを制限するので、印刷ヘッド40をより確実に保護することができる。
【0052】
また、これら開閉カバー11,12のヒンジ14,15を鉛直方向に伸びるように配置し、開閉カバー11,12が水平方向に回動させてもよい。開閉カバー11,12を鉛直方向に回動させる場合と比べて、開閉カバー11,12自身の重さによって回動することがないので、安定的に開閉カバー11,12を開放した状態のまま維持することができる。したがって、詰まった小切手を容易に取り出すことができるとともに、開閉カバー11,12を印刷ヘッド40へのアクセスを制限する位置に維持することができ、印刷ヘッド40を保護することができる。
【0053】
以上、本発明をその実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
【0054】
なお、上述の実施形態では、印刷ヘッド40をインクジェットヘッドとして説明したが、読み取り面の汚損が読み取り精度の低下につながる光学スキャナー等、外部から保護したい画像処理部をヒンジ14,15との間の被保護部に配置してもよいことはもちろんである。また、上述の実施形態では印刷ヘッド40のみをヒンジ14,15の間の被保護部に配置した例を説明したが、必要に応じて印刷ヘッド,光学スキャナー等複数のユニットを開閉カバー11,12の上流側及び下流側の間の被保護部に配置し、これらをまとめて外部から保護するように構成してもよい。
【0055】
なお、上記の説明では開閉カバー11,12は開閉カバー11,12の外側に設けたヒンジ14,15により回転可能に取り付けられる例を説明したが、図4に示すように、開閉カバー11,12の印刷ヘッド40側に回転軸14a,15aを備えた構成としてもよい。
【0056】
また、図3に示すように、開閉カバー11,12が印刷ヘッド40に完全に対向する位置まで回動しなくとも、図4に示すように印刷ヘッド40に対向する方向からのアクセスを中央カバー13が阻止し、印刷ヘッド40の上流側及び下流側からのアクセスを開閉カバー11,12の回転軸14a,15aが阻止する構成としてもよい。
【0057】
また、上述の例では磁気スキャナー52や光学スキャナー55を開閉カバー11,12に設け、開閉カバー11,12の開放時には印刷ヘッド40近傍を除く搬送路3が完全に外部に露出した例を挙げて説明したが、小切手を取り除くことができれば、磁気スキャナー等の一部の部材を本体ケース2に固定してもよい。
【0058】
また、本発明を小切手処理装置1に適用した例を挙げて説明したが、レシート印刷用のプリンターやページスキャナー等の光学スキャナー等の画像処理装置にも本発明を適用できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0059】
1:小切手処理装置、2:本体ケース、3:搬送路、11,12:開閉カバー、13:中央カバー、14,15:ヒンジ(回転軸)、20:給紙ユニット、21:投入口、30:排出ユニット、31:経路切り替え機構、32:第1取出口、33:第2取出口、34:仕切壁、40:印刷ヘッド(画像処理部)、41:吐出面(処理面)、42:キャップ機構、51:磁石、52:磁気スキャナー、53:押圧パッド、54,55:光学スキャナー、61a〜64b:搬送ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理媒体を所定の搬送方向に搬送するための搬送路と、
前記搬送路に臨むように配置された処理面を有する画像処理部と、
前記搬送路に沿って配置されるとともに、前記搬送路を覆う第一のカバー及び第二のカバーとを備え、
前記第一及び第二のカバーは、それぞれ、前記搬送方向と交差する方向の第一及び第二の回転軸周りに開閉可能に構成され、
前記第一及び第二の回転軸は、前記処理面近傍に配置されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第一の回転軸及び第二の回転軸は、前記処理面に対して前記搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第一及び第二のカバーは、開放時に前記搬送路を挟んで前記処理面と対向する位置に回動可能とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第一のカバー及び第二のカバーは、水平方向に回動することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
処理媒体を搬送するための搬送路と、
前記搬送路に沿って前記搬送路を覆うように設けられた一対のカバーと、
前記搬送路の前記中間部に設けられた画像処理部とを備え、
前記一対のカバーは、前記搬送路の中間部に設けられた一対の回転軸周りに開閉可能に支持され、
前記画像処理部は、前記搬送路を隔てて前記一対の回転軸と対向するように設けられていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
前記一対の回転軸は、前記搬送路における前記処理媒体の搬送方向と交差する方向にそれぞれ配置されるとともに、前記搬送方向に互いに離間して配置され、
前記画像処理部は、前記搬送路に臨むように設けられた処理面を有し、
前記処理面は、前記一対の回転軸の間に位置するように配置されている請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記一対のカバーは、それぞれ前記一対の回転軸を中心に回転して、前記搬送路を挟んで前記処理面に対向する位置に回動可能とされていることを特徴とする請求項5または6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記一対の回転軸の間に前記画像処理部に対向する空間を閉塞する閉塞部材が設けられていることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像処理部は液体を吐出する吐出孔を備えた液体吐出ヘッドであり、
前記搬送路を挟んで前記画像処理部と対向する位置に、前記吐出孔を閉塞可能なキャップ機構が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
処理媒体が搬送される搬送路と、
処理面が前記搬送路に臨むように配置された画像処理部と、
前記搬送路の搬送方向と交差する回転軸周りに回動して前記搬送路を閉塞及び開放し、前記回転軸から延びるように形成された一対のカバーとを備え、
前記一対のカバーは、前記回転軸が前記画像処理部を挟むように前記搬送路の上流側及び下流側に配置され、
前記一対のカバーは、前記搬送路の閉塞時に前記搬送路を覆うとともに、前記搬送路の開放時に前記処理面に対向する位置まで回動することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
前記一対のカバーは水平方向に回動することを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
搬送路に沿って搬送される処理媒体に関して画像処理を行う画像処理装置において、前記搬送路を開閉可能に覆うカバーの取付構造であって、
前記カバーは、前記搬送路の上流側を覆う上流側カバーと、前記搬送路の下流側を覆う下流側カバーとを備え、
前記上流側カバー及び前記下流側カバーは、それぞれ、上流側回転軸及び下流側回転軸により回動可能に支持されて、開閉可能に取り付けられ、
前記上流側回転軸及び下流側回転軸は、前記画像処理を行う前記搬送路の被保護部に対して、前記搬送路を挟んで対向するように設けられていることを特徴とするカバーの取付構造。
【請求項13】
前記被保護部には、前記処理媒体に印刷を行うための印刷ヘッドが設けられていることを特徴とする請求項12に記載のカバーの取付構造。
【請求項14】
前記印刷ヘッドはインクジェットヘッドであり、前記上流側回転軸と前記下流側回転軸との間には、前記インクジェットヘッドのキャップを配置するためのキャップ配置空間が設けられていることを特徴とする請求項13に記載のカバーの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−171715(P2012−171715A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32927(P2011−32927)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】