説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】コントラストの低下を防ぎながら、トーン補正処理を行う。
【解決手段】画像処理装置10は、入力画素信号IINに基づいて、入力画素の特徴量Fを算出する特徴量算出部16と、特徴量算出部16によって算出された特徴量Fに基づいて、入力画素の周辺に位置する周辺画素の輝度に対応する補正パラメータkを用いて、複数の入力画素毎に異なるトーン補正処理を行うトーン補正処理部18と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関し、特に、画像データに対して輝度補正を実行するための画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像処理装置には、画像データの輝度分布を補正するためのトーン補正処理を行うものがある(特許文献1参照)。このような画像処理装置は、デジタルカメラなどに用いられる撮像素子の現像システムやビデオ信号処理システム等に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−81037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像処理装置は、デジタルカメラなどによって生成された画像データに対して、撮影シーンに応じて適切なトーン補正処理を行うように構成されている。その結果、図1に示すように、光の届き難い影のような部分(低輝度の画素)が明るくなるようにトーン補正処理を行った場合には、低輝度の画素の階調伸張の影響で強い光源の光が当たる部分(高輝度の画素)の階調が圧縮されるので、高輝度の画素のコントラストが低下する。一方、高輝度の画素が暗くなるようにトーン補正処理を行った場合には、高輝度の画素の階調伸張の影響で低輝度の画素の階調が圧縮されるので、低輝度の画素のコントラストが低下する。
【0005】
具体的には、高輝度の画素又は低輝度の画素に輝度を合わせるようにトーン補正処理を行うと、トーンを合わせた輝度レベル以外の輝度部にてコントラストが低下する。特に、逆光シーンのように低輝度分布及び高輝度分布が顕著に現れる場合には、コントラストが著しく低下する。
【0006】
本発明の目的は、コントラストの低下を防ぎながら、トーン補正処理を行うための画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
入力画素信号に基づいて、入力画素の特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記特徴量算出部によって算出された特徴量に基づいて、前記入力画素の周辺に位置する周辺画素の輝度に対応する補正パラメータを用いて、複数の入力画素毎に異なるトーン補正処理を行うトーン補正処理部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置が提供される。
【0008】
本発明において、
前記特徴量算出部は、
前記入力画素信号の第1高周波成分を除去して第1画素信号を生成する第1ローパスフィルタと、
前記入力画素信号の第2高周波成分を除去して第2画素信号を生成する第2ローパスフィルタと、
前記第1画素信号と前記第2画素信号との差をエッジ量として算出する減算器と、を備える
ことが好ましい。
【0009】
本発明において、
前記第2ローパスフィルタは、前記入力画素のエッジ量を保持するように前記第2高周波成分を除去する
ことが好ましい。
【0010】
本発明において、
前記特徴量算出部は、前記減算器によって算出されたエッジ量に対してクリップ制御を行って、コントラスト量に変換する変換部をさらに備える
ことが好ましい。
【0011】
本発明において、
外部からパラメータの設定を受け付ける受付部をさらに有し、
前記トーン補正処理部は、前記受付部によって受け付けられたパラメータの設定、前記変換部によって変換されたコントラスト量、及び前記入力画素信号に基づいて、前記トーン補正処理を行う
ことが好ましい。
【0012】
本発明において、
前記トーン補正処理部は、前記補正パラメータにシグモイド関数を適用してトーンカーブを生成し、前記生成したトーンカーブを用いて前記トーン補正処理を行う
ことが好ましい。
【0013】
本発明によれば、
入力画素信号に基づいて、入力画素の特徴量を算出する特徴量算出命令と、
前記特徴量算出命令を実行することによって算出された特徴量に基づいて、前記入力画素の周辺に位置する周辺画素の輝度に対応する補正パラメータを用いて、複数の入力画素毎に異なるトーン補正処理を行うトーン補正処理命令と、
を備えることを特徴とする画像処理プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コントラストの低下を防ぎながら、トーン補正処理を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来のトーン補正における入力画素と出力画素の関係を示すグラフである。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像処理装置10の図2に示す特徴量算出部16の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像処理装置10の図2に示すトーン補正処理部18の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像処理装置10の図2に示すトーン補正処理部18のトーン補正処理に用いるために、一般的なシグモイド関数から切り出されるカーブ特性の概略を示すグラフである。
【図6】標準的なシグモイド関数を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態に係る画像処理装置10の図2に示すトーン補正処理部18のトーン補正処理に用いられるトーンカーブを示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態に係る画像処理装置10の図2に示すトーン補正処理部18のトーン補正処理に用いられるトーンカーブを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成について図面を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。図3は、本発明の実施形態に係る画像処理装置10の図2に示す特徴量算出部16の構成を示すブロック図である。図4は、本発明の実施形態に係る画像処理装置10の図2に示すトーン補正処理部18の構成を示すブロック図である。図5は、本発明の実施形態に係る画像処理装置10の図2に示すトーン補正処理部18のトーン補正処理に用いるために、一般的なシグモイド関数から切り出されるカーブ特性の概略を示すグラフである。図6は、標準的なシグモイド関数を示すグラフである。図7及び図8は、本発明の実施形態に係る画像処理装置10の図2に示すトーン補正処理部18のトーン補正処理に用いられるトーンカーブを示すグラフである。
【0018】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る画像処理装置10は、量子化された画像データ(例えば、YUVデータ、RGBデータ等)を記憶可能に構成されたメモリ(図示せず)に接続されている。本発明の実施形態に係る画像処理装置10は、受付部11と、ラインメモリ12と、マトリクス生成部14と、特徴量算出部16と、トーン補正処理部18と、を備えている。
【0019】
受付部11は、画像処理装置10の外部から画像処理に関する様々なパラメータの設定を受け付けるように構成されている。例えば、ユーザがキーボード等の入力装置からパラメータを入力すると、受付部11は、入力装置からパラメータを受け付ける。
【0020】
図2に示すラインメモリ12は、入力画素を示す画像データ(以下、「入力画素信号」という)IINを所定のライン毎に保持するように構成されている。例えば、入力画素信号IINは、画像処理装置10に接続されたメモリに記憶されている画像データ、又は、画像ストリーム上に流れる画像データである。例えば、画像データのフォーマットは、Y信号、RGB信号、CMY信号などである。但し、画像データのフォーマットがRGB信号又はCMY信号である場合には、色成分(以下、「チャンネル」という)毎に画像処理が行われる。また、RGBベイヤ配列やCMYモザイク配列は、チャンネル毎に画像処理が行われる。
【0021】
図2に示すマトリクス生成部14は、ラインメモリ12に記憶された入力画素信号IINに基づいてn×nのデータ配列を生成するように構成されている。nの値が大きいほど、第1ローパスフィルタ(LPF)16a(後述する)及び第2ローパスフィルタ16b(後述する)の特性の可変幅が増える。本発明の実施形態では、第1ローパスフィルタ16a及び第2ローパスフィルタ16bの処理に起因する負荷、及び、メモリの容量を考慮すると、nの値は3乃至7が好ましい。
【0022】
図2に示す特徴量算出部16は、マトリクス生成部14によって生成されたデータ配列から、入力画素の周辺に位置する周辺画素と入力画素との相関(以下、「特徴量」という)を算出するように構成されている。すなわち、特徴量は、入力画素と周辺画素の違いを示している。
【0023】
図3に示すように、特徴量算出部16は、第1ローパスフィルタ16aと、第2ローパスフィルタ16bと、減算器16cと、変換部16dと、を備えている。
【0024】
図3に示す第1ローパスフィルタ16aは、入力画素信号IINから所定の高周波成分(以下、「第1高周波成分」という)を除去して、第1画素信号Iを生成するように構成されている。第1ローパスフィルタ16aのカーネルは、ユーザが入力したパラメータに含まれるノイズ量や解像度に応じて可変である。
【0025】
図3に示す第2ローパスフィルタ16bは、入力画素信号IINから第1高周波成分とは異なる高周波成分(以下、「第2高周波成分」という)を除去して、第2画素信号Iを生成するように構成されている。第2ローパスフィルタ16bのカーネルは、ユーザが入力したパラメータに含まれるノイズ量や解像度に応じて可変である。第2ローパスフィルタ16bは、入力画素のエッジ量を保持するように構成されたバイラテラルフィルタのようなエッジ保持型フィルタであることが好ましい。エッジ保持型フィルタは、エッジ保持型関数(式1を参照)のような指数演算であっても、距離と画素の差分に対する重みを示すテーブルを用いて高速な演算を実行することができ、且つ、高周波ノイズが除去された第2画素信号Iを生成することができる。
【数1】

【0026】
図3に示す減算器16cは、第1ローパスフィルタ16aによって生成された第1画素信号Iと、第2ローパスフィルタ16bによって生成された第2画素信号Iと、の差を入力画素の特徴量F(エッジ量F)として算出するように構成されている。エッジ量Fは、ノイズが除去された特徴量Fである。
【0027】
図3に示す変換部16dは、閾値Thdr及びThbrを用いて、減算器16cによって算出されたエッジ量Fに対してクリップ制御を行って、入力画素の特徴量F(コントラスト量F)に変換するように構成されている。閾値Thdr及びThbrは、極めて大きい値であるエッジ量Fを適切な値に制限するための閾値である。具体的には、変換部16dは、式2に示すアルゴリズムに従って、閾値Thdr及びThbrを用いてエッジ量Fをコントラスト量Fに変換する。なお、Thdr及びThbrは、受付部11によって受け付けられても良いし、画像処理装置10に接続されるプロセッサ等をインタフェースとする可変信号、又は、画像全体のヒストグラム等から算出されても良い。
【数2】

【0028】
図2に示すトーン補正処理部18は、入力画素の特徴量(図3に示す変換部16dによって変換されたコントラスト量F)に基づいて、周辺画素の輝度に対応する補正パラメータk(kbr,kdr)を用いて、複数の入力画素信号毎に異なるトーン補正処理を行って、出力画素信号IOUTを生成するように構成されている。すなわち、トーン補正処理部18は、周辺画素の輝度に基づいて輝度補正曲線(以下、「トーンカーブ」という)を動的に生成することによって、低輝度領域では低輝度のコントラストを高め、高輝度領域では高輝度のコントラストを高めるように、トーン補正処理を行う。
【0029】
トーン補正処理部18は、シグモイド関数(式3を参照)のパラメータaを補正パラメータkに置換した関数f(x)(式4.1乃至式4.3を参照)を用いて、コントラスト量Fに応じて入力画素毎に異なるトーン補正処理を行って、出力画素信号IOUTを生成する(式5を参照)。図5は、一般的なシグモイド関数から、どの領域のカーブと同じカーブ特性を有するトーンカーブを用いてトーン補正処理を行うのかについて図示している。具体的には、トーン補正処理部18は、ダイナミックレンジを圧縮するときのコントラストの低下を防ぐために、周辺画素の平均が0となる領域に対しては、シグモイド関数から図5の領域aのカーブと同じカーブ特性を有するトーンカーブ(図7(A)を参照)を用いてトーン補正処理を行い、周辺画素の平均が128(中間値)となる領域に対しては、シグモイド関数から図5の領域bのカーブと同じカーブ特性を有するトーンカーブ(図7(B)を参照)を用いてトーン補正処理を行い、周辺画素の平均が255(最大値)となる領域に対しては、シグモイド関数から図5の領域cのカーブと同じカーブ特性を有するトーンカーブ(図7(C)を参照)を用いてトーン補正処理を行う。その結果、周辺画素に対する入力画素のコントラストが高くなる。
【数3】

【数4】

【数5】

【0030】
トーン補正処理部18は、コントラスト量Fが0以上のときは、明部補正パラメータkbrを用いてトーン補正処理を行い(式4.2を参照)、コントラスト量Fが0未満のときは、暗部補正パラメータkdrを用いてトーン補正処理を行う(式4.3を参照)。すなわち、補正パラメータkbrを小さくすることによって、高輝度部のレベルを下げると共にコントラストを強調することができ、補正パラメータkdrを小さくすることによって、低輝度部のレベルを上げると共にコントラストを強調することができる。総合すると、補正パラメータ(kbr:kdr)を共に小さくすることによって、ダイナミックレンジの圧縮及びコントラスト強調の効果を強くすることができ、補正パラメータ(kbr:kdr)の比率を変えることによって、全体的な明度を調整することができる。
【0031】
図2に示す補正パラメータkは、入力画像の任意の領域における輝度分布の変化に応じて動的に変化する値(例えば、動画像データのように輝度分布が動的に変化する入力画素に対して動的に変化する値)である。補正パラメータkは、周辺画素の平均を基準として明部となる関数f(x)に対応する明部補正パラメータkbrと、周辺画素の平均を基準として暗部となる関数f(x)に対応する暗部補正パラメータkdrと、を含んでいる。補正パラメータkが大きくなるほどトーンカーブの傾きは小さくなり、補正パラメータkが小さくなるほどトーンカーブの傾きは大きくなる。補正パラメータkは、受付部11によって受け付けられても良いし、画像処理装置10に接続されるプロセッサ等をインタフェースとする可変信号、又は、画像全体のヒストグラム等から算出されても良い。
【0032】
図4に示すように、トーン補正処理部18は、式5に示す演算を行うための構成として、減算器18a、18f、及び18gと、加算器18bと、テーブル18c乃至18eと、除算器18hと、乗算器18iと、を備えている。
【0033】
図4に示す減算器18aは、入力画素信号IIN及びコントラスト量Fの減算処理を行って、F−IINを算出するように構成されている。
【0034】
図4に示す加算器18bは、減算器18aの出力及びビット深度Nの加算処理を行って、N+F−IINを算出するように構成されている。例えば、ビット深度Nは、入力画素信号IINが8ビットである場合には255であり、入力画素信号IINが10ビットである場合には1023である。
【0035】
図4に示すテーブル18c乃至18eは、シグモイド関数の演算を行うためのテーブルである。テーブル18c乃至18eは、−x乃至+xの範囲の関数f(x)を有している。テーブル18c乃至18eのテーブル精度は、入力画像信号IINの解像度に応じて変更される。テーブル18cは、補正パラメータk(kbr,kdr)を用いて、コントラスト量Fに対して関数f(F)を演算するように構成されている(式4.1を参照)。テーブル18dは、暗部補正パラメータkdrを用いて、減算器18aの出力に対して関数fkdr(F−IIN)を演算するように構成されている(式4.2を参照)。テーブル18eは、明部補正パラメータkbrを用いて、加算器18bの出力に対して関数fkbr(N+F−IIN)を演算するように構成されている(式4.3を参照)。
【0036】
図4に示す減算器18fは、テーブル18cの出力及びテーブル18dの出力の減算処理を行って、f(F)−fkdr(F−IIN)を算出するように構成されている。
【0037】
図4に示す減算器18gは、テーブル18dの出力及びテーブル18eの出力の減算処理を行って、fkdr(F−IIN)−fkbr(N+F−IIN)を算出するように構成されている。
【0038】
図4に示す除算器18hは、減算器18fの出力を分子とし、減算器18gの出力を分母として、除算処理を行うように構成されている。すなわち、除算器18hは、テーブル18c乃至18eの出力を正規化する。
【0039】
図4に示す乗算器18iは、除算器18hの出力及びビット深度Nの乗算処理を行って、出力画素信号IOUTを生成するように構成されている。すなわち、乗算器18iは、除算器18hによって正規化されたテーブル18c乃至18eの出力に対してビット深度調整を行う。
【0040】
換言すると、トーン補正処理部18は、入力画素毎に異なるトーンカーブを用いてトーン補正処理を行う。図6に示すように、シグモイド関数から得られるトーンカーブは0を中心とするS字特性を有しているが、トーン補正処理部18は、図6に示すトーンカーブから任意の範囲を抽出し、周辺画素の輝度に応じて入力画素毎に異なるトーンカーブを生成する(図7(A)乃至(C)を参照)。これは、画像全体の輝度バランスのトーン補正の度合いは、低輝度部と高輝度部とで異なっていることを考慮して、画像全体のヒストグラムの分布から画質を改善するために最適なトーン補正を行うためである。例えば、図7(A)に示すトーンカーブは、全体的に画素値を持ち上げ、低輝度領域のコントラストを強調する特性を示すため、低輝度領域のトーンカーブとして選択される。図7(B)に示すトーンカーブは、低輝度領域及び高輝度領域のコントラストを圧縮し、中間輝度領域のコントラストを強調する特性を示すため、中間輝度領域のトーンカーブとして選択される。図7(C)に示すトーンカーブは、全体的に画素値を引き下げ、高輝度領域のコントラストを強調する特性を示すため、高輝度領域のトーンカーブとして選択される。その結果、出力画素は、周辺画素が低輝度である場合には入力画素に対して輝度が増加され、周辺画素が中間輝度である場合にはほぼ変化がなく、周辺画素が高輝度である場合には入力画素に対して輝度が減少する。従って、補正された画像(出力画素)は、入力画素に対してエッジ部のコントラストが保持された画像となる。
【0041】
全ての入力画素に対して共通のトーンカーブを用いてトーン補正処理を行った場合には、出力画素のエッジ部のコントラストが低下するが、トーン補正処理部18は、周辺輝度に応じて異なるトーンカーブを用いてトーン補正処理を行うので(図8を参照)、トーン補正処理において階調が圧縮された領域においてコントラストが局所的に増加し、出力画素のエッジ部のコントラストの低下を防ぐことができる。
【0042】
なお、本発明の実施形態では、変換部16dは省略されても良い。この場合には、トーン補正処理部18は、エッジ量Fを特徴量Fとしてトーン補正処理を行う。
【0043】
本発明の実施形態によれば、画像撮像素子やメモリに蓄積された入力画素に対して、ダイナミックレンジを圧縮し、且つ、コントラストを保持して、出力画素を生成する。その結果、画像の局所的な輝度に対して視覚感度を変更する人間の網膜のように、広い輝度範囲において適正な輝度を有し、且つ、鮮明な画像が得られる。
【0044】
また、本発明の実施形態によれば、第1ローパスフィルタ16a及び第2ローパスフィルタ16bは、入力画素信号IINに対して異なる高周波成分を除去するように構成されている。特に、第2ローパスフィルタ16bは、エッジ保持型フィルタである。従って、入力画素信号IINの高周波ノイズが除去される。その結果、エッジに対する不自然なコントラストの増大を防ぐことができ、より自然なコントラストを有する画像が得られる。
【0045】
また、本発明の実施形態によれば、変換部16dは、エッジ量Fをコントラスト量Fに変換し、トーン補正処理部18は、コントラスト量Fを特徴量Fとして使用するように構成されている。従って、トーン補正処理部18がエッジ量Fを特徴量Fとして使用した場合に比べて、入力画素と周辺画素との乖離を防ぐことができる。
【0046】
また、本発明の実施形態によれば、受付部11は、ユーザが入力したパラメータの設定を受け付け、トーン補正処理部18は、そのパラメータを用いてトーン補正処理を行う。従って、ユーザが所望するトーン補正処理を行うことができる。例えば、ユーザが撮影シーンを設定した場合には、撮影シーン毎に適切なトーン補正処理が行われる。
【0047】
また、本発明の実施形態によれば、トーン補正処理部18は、シグモイド関数を用いてトーンカーブを生成するので、より適切なトーンカーブを用いたトーン補正処理が行われる。
【0048】
例えば、本発明の実施形態に係る画像処理装置10をデジタルカメラ等の既存のカメラシステムに搭載することによって、ダイナミックレンジが向上する。本発明の実施形態に係る画像処理装置10は、監視カメラや車載カメラなどの広いダイナミックレンジを必要とするカメラシステムに対しても同様の効果を得ることができる。
【0049】
また、本発明の実施形態に係る画像処理装置10をウェブカメラやテレビ電話用カメラ等のコンピュータに接続されるカメラシステムに搭載することによって、逆光時でも顔に対して適正な補正を行うことができる。すなわち、画像が鮮明になるような補正を行うことができる。
【0050】
本発明の実施形態に係る画像処理装置10の少なくとも一部は、ハードウェアで構成しても良いし、ソフトウェアで構成しても良い。ソフトウェアで構成する場合には、画像処理装置の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させても良い。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でも良い。
【0051】
特に、本発明の実施形態に係る画像処理装置10の特徴量算出部16及びトーン補正処理部18をソフトウェアで構成した場合には、メモリに記憶された画像を広いダイナミックレンジの画像に変換する機能をレタッチソフトや現像ソフト等のアプリケーションに実装することができる。
【0052】
また、本発明の実施形態に係る画像処理装置10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布しても良い。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布しても良い。
【0053】
上述した実施形態は、いずれも一例であって限定的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
10 画像処理装置
11 受付部
12 ラインメモリ
14 マトリクス生成部
16 特徴量算出部
16a 第1ローパスフィルタ
16b 第2ローパスフィルタ
16c 減算器
16d 変換部
18 トーン補正処理部
18a,18f,18g 減算器
18b 加算器
18c〜18e テーブル
18h 除算器
18i 乗算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画素信号に基づいて、入力画素の特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記特徴量算出部によって算出された特徴量に基づいて、前記入力画素の周辺に位置する周辺画素の輝度に対応する補正パラメータを用いて、複数の入力画素毎に異なるトーン補正処理を行うトーン補正処理部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記特徴量算出部は、
前記入力画素信号の第1高周波成分を除去して第1画素信号を生成する第1ローパスフィルタと、
前記入力画素信号の第2高周波成分を除去して第2画素信号を生成する第2ローパスフィルタと、
前記第1画素信号と前記第2画素信号との差をエッジ量として算出する減算器と、を備える
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2ローパスフィルタは、前記入力画素のエッジ量を保持するように前記第2高周波成分を除去する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特徴量算出部は、前記減算器によって算出されたエッジ量に対してクリップ制御を行って、コントラスト量に変換する変換部をさらに備える
請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
外部からパラメータの設定を受け付ける受付部をさらに有し、
前記トーン補正処理部は、前記受付部によって受け付けられたパラメータの設定、前記変換部によって変換されたコントラスト量、及び前記入力画素信号に基づいて、前記トーン補正処理を行う
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記トーン補正処理部は、前記補正パラメータにシグモイド関数を適用してトーンカーブを生成し、前記生成したトーンカーブを用いて前記トーン補正処理を行う
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
入力画素信号に基づいて、入力画素の特徴量を算出する特徴量算出命令と、
前記特徴量算出命令を実行することによって算出された特徴量に基づいて、前記入力画素の周辺に位置する周辺画素の輝度に対応する補正パラメータを用いて、複数の入力画素毎に異なるトーン補正処理を行うトーン補正処理命令と、
を備えることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−257404(P2010−257404A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109652(P2009−109652)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(509122887)株式会社レグラス (2)
【Fターム(参考)】