説明

画像処理装置

【課題】画像処理装置を設置する壁が曲面の場合など、視聴者と画像処理装置画面とが成す観視角度が大きい状態に設置される場合であっても、良好な画像表示を可能とする画像処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】信号が入力される信号入力部104と、視聴者から画像処理装置までの観視距離、および画像処理装置の垂線と観視距離とが成す角度である観視角度の制御部である観視距離・観視角度制御部101と、各々の画像処理装置の相対位置情報を制御する画像処理装置相対位置情報制御部102と、視聴者の実際の視聴可能領域を制御する視聴可能領域演算部と103、入力信号を、視聴可能領域演算部により演算された視聴可能領域に対応づけ、各々の画像処理装置に表示させる画像を制御する画像処理部105と、その画像を出力し表示させる画像出力部106と、を備える画像処理装置100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置を複数並べて、全体の画像の制御を行う画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像処理方法は、表示画面の大型化という要望に応えるため、複数の画像表示装置を組み合わせて、壁などに据え付け、全体の画像表示画面を制御しようとしていた。その際、設置する壁が円柱などの曲面である場合があった。また近年、曲面状に曲がる画像表示装置などが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−164060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記の従来の構成では、画像処理装置を貼り付ける(設置する)壁が曲面の場合など、視聴者と画像処理装置画面の観視角度が大きい場合には、幾何的歪みが生じてしまい、その結果、文字などの情報が認識しづらくなったり、画像作成者の意図とは異なる画像となってしまうといった課題が生じる場合があった。
【0004】
本発明はこのような現状に鑑みなされたもので、画像処理装置が、視聴者と画像処理装置画面の観視角度が大きい状態に設置される場合であっても、良好な画像表示を可能とする画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために本発明の画像処理装置は、信号が入力される信号入力部と、視聴者から画像処理装置までの観視距離、および画像処理装置の垂線と観視距離とが成す角度である観視角度の制御部である観視距離・観視角度制御部と、各々の画像処理装置の相対位置情報を制御する画像処理装置相対位置情報制御部と、視聴者の実際の視聴可能領域を制御する視聴可能領域演算部と、入力信号を、視聴可能領域演算部により演算された視聴可能領域に対応づけ、各々の画像処理装置に表示させる画像を制御する画像処理部と、その画像を出力し表示させる画像出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表示領域が大型化するとか表示領域が平面でなく曲面であるとか等、視聴者と画像処理装置画面の観視角度が大きい状態に設置される場合であっても、幾何的歪みがなく、違和感のない、良好な画像表示を可能とする画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施の形態による画像処理装置について、図を参照しながら説明するが、本発明の実施の態様はこれに限定されるものではない。
【0008】
図1は、本発明の一実施の形態による画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0009】
画像処理装置100は、観視距離・観視角度制御部101、画像処理装置相対位置情報制御部102、視聴可能領域演算部103、信号入力部104、画像処理部105、画像出力部106、を備える。
【0010】
観視距離・観視角度制御部101は、視聴者から画像処理装置までの観視距離、および画像処理装置の垂線と観視距離とが成す角度である観視角度、の情報の制御部である。これらは、センサーにより自動取得、もしくはユーザーGUIにより入力される。
【0011】
画像処理装置相対位置情報制御部102は、各々の画像処理装置の相対位置情報制御部であり、センサーによる自動取得、もしくはユーザーGUIにより入力される。この情報により、複数画像処理装置を組み合わせた場合の、全体に対する、自装置の位置づけが判別できる。
【0012】
視聴可能領域演算部103は、複数の画像処理装置100が組み合わさった時に、視聴者の実際の見え方を示すもので、視聴者の実際の視聴可能領域を制御するものである。
【0013】
信号入力部104には、信号が入力される。
【0014】
画像処理部105は、信号入力部104から入力された信号を、視聴可能領域演算部103により演算された視聴可能領域に対応づけ、さらに各々の画像処理装置の表示画像を制御するもので、複数の画像処理装置を並べて、全体の画像を制御するため、画像を拡大・縮小、回転などの線形変換、分割などの機能を持ち、また、画像の他、テキストデータなどの情報を制御し、また全体の画像表示領域を分割し、管理する制御機能を持つものである。
【0015】
画像出力部106は、画像処理部105により処理された画像を出力し、表示させるものである。
【0016】
図2は、上述した画像処理装置100を曲面の壁である円柱201に設置した際の状態を、概略的に真上から見た図として示すものである。図2においては、画像処理装置100が3台設置されている。
【0017】
202は、視聴者である。
【0018】
203は、視聴者202の実際の視聴可能領域である。
【0019】
204は、視聴者202から画像処理装置100の中央までの視聴距離で、観視距離が最小になる点である。
【0020】
205は、視聴者202から各々の画像処理装置100の中央までの視聴距離である。
【0021】
206は、画像処理装置100の垂線である。
【0022】
207は、視聴者202から各々の画像処理装置100の中央までの観視距離205と画像処理装置100の垂線とが成す観視角度である。
【0023】
本発明の一実施の形態による画像処理装置100は、図2に示す状態において、信号入力部104(図1)より入力された入力信号を、実際の視聴可能領域203に表示させることにより、複数の画像表示装置100を組み合わせて、曲面の壁である円柱201に設置した場合であっても、もとの入力信号の幾何的歪みをなくし、画像作成者の意図を損なわない、また情報欠如が発生しない画像が得られるというものである。以下、詳細を説明する。
【0024】
はじめに、視聴距離204と視聴者202から画像処理装置100の垂線の成す観視角度207より、視聴者202の実際の視聴可能領域203を求める。
【0025】
視聴者202の実際の視聴可能領域203は、視聴者202の位置から画像処理装置100に向かって、視聴者202との観視距離204が最小になる点を含み、視聴者202の位置から、画像処理装置100に引くことが可能な接線のうち、もっとも観視角度207が大きくなるものを求め、その接線と実際の視聴可能領域203との交点208を視聴者202の実際の視聴可能領域203の最大幅とすることで、視聴者202の実際の視聴可能領域203を求める。
【0026】
次に、視聴者202から視聴者202の実際の視聴可能領域203を通って、各々の画像処理装置100へ線を引き、視聴者202の実際の視聴可能領域203と各々の画像処理装置100と画像の画素と対応づける。このことによって、各々の画像処理装置100の各画素に表示すべき画素が定まる。この際に画像のアスペクトなどが異なる場合は、視聴者202の実際の視聴可能領域203のサイズに応じて線形変換を施す。
【0027】
以上により、入力信号を視聴者202の実際の視聴可能領域203に表示することが可能となる。
【0028】
図3は、本発明の一実施の形態による画像処理装置100を曲面201に張り付けた際の画像の見え方を模式的に示す図であり、図4は、同じく、従来の画像処理装置300での見え方を模式的に示す図である。
【0029】
図4に示すように、観視角度が大きくなるほど、画像の横方向が圧縮されたように見えるが、本発明の一実施の形態による画像処理装置によれば、図3に示すように、視聴者から画像処理装置までの観視角度が大きくなった場合でも、各々の画像処理装置に、予め補正した図を表示させることにより、正面から見た際にもとの画像の見え方を損なわないように視聴することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように本発明は、表示領域の大型化、表示領域が平面でない場合などに、複数の表示装置を組み合わせて表示する場合であっても、また観視角度が大きい表示箇所でも、幾何的歪みからくる違和感がなくなった表示画像が得られる画像処理装置を提供する上で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1による構成図
【図2】本発明の実施の形態1の上視図
【図3】本発明の実施の形態1による実際の画像の表示図
【図4】従来例による実際の画像の表示図
【符号の説明】
【0032】
100 画像処理装置
101 観視距離・観視角度制御部
102 画像処理装置相対位置情報制御部
103 視聴可能領域演算部
104 信号入力部
105 画像処理部
106 画像出力部
201 曲面の壁(円柱)
202 視聴者
203 視聴者の実際の視聴可能領域
204 視聴者から画像処理装置の中央までの視聴距離
205 視聴者から画像処理装置の中央までの視聴距離
206 画像処理装置の垂線
207 視聴者から各々の画像処理装置の中央までの観視距離と画像処理装置の垂線とが成す観視角度
208 視聴可能領域の最大幅を決める交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号が入力される信号入力部と、
視聴者から画像処理装置までの観視距離、および画像処理装置の垂線と観視距離とが成す角度である観視角度の制御部である観視距離・観視角度制御部と、
各々の画像処理装置の相対位置情報を制御する画像処理装置相対位置情報制御部と、
視聴者の実際の視聴可能領域を制御する視聴可能領域演算部と、
入力信号を、視聴可能領域演算部により演算された視聴可能領域に対応づけ、各々の画像処理装置に表示させる画像を制御する画像処理部と、
その画像を出力し表示させる画像出力部と、
を備える画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−145442(P2010−145442A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319231(P2008−319231)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】