画像処理装置
【課題】特殊効果処理を施された画像の再生に要する負荷を低減できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】取り込み手段1は、複数の画像を取り込む。第1作成手段2は、第1イントラ符号化画像とインター符号化画像とが混在したデータストリームを取り込み手段1によって取り込まれた複数の画像に基づいて作成する。処理手段3は、取り込み手段1によって取り込まれた画像に特殊効果処理を施す。第2作成手段4は、処理手段3によって処理された画像のうち第1作成手段2によって作成された第1イントラ符号化画像に対応する一部の画像に基づいて第2イントラ符号化画像を作成する。代替手段5は、第2作成手段4によって作成された第2イントラ符号化画像を第1作成手段2によって作成されたデータストリームを形成する第1イントラ符号化画像に代替させる。
【解決手段】取り込み手段1は、複数の画像を取り込む。第1作成手段2は、第1イントラ符号化画像とインター符号化画像とが混在したデータストリームを取り込み手段1によって取り込まれた複数の画像に基づいて作成する。処理手段3は、取り込み手段1によって取り込まれた画像に特殊効果処理を施す。第2作成手段4は、処理手段3によって処理された画像のうち第1作成手段2によって作成された第1イントラ符号化画像に対応する一部の画像に基づいて第2イントラ符号化画像を作成する。代替手段5は、第2作成手段4によって作成された第2イントラ符号化画像を第1作成手段2によって作成されたデータストリームを形成する第1イントラ符号化画像に代替させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置に関し、特に監視カメラシステムを構成する符号化装置に適用され、外部から取り込まれた画像に特殊効果処理を施す、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、カメラ部で撮影する範囲内にプライバシに関係する画像部分Pが存在する場合、画像部分Pの位置情報が映像信号と共に画像受信装置に伝送される。伝送された画像部分Pの位置情報はエリア位置データ記憶部に記憶され、伝送された映像信号は記録部に記録される。記録部から再生された映像信号は、エリア位置データ記憶部に記憶された位置情報を参照したマスク処理を施される。この結果、映像は、画像部分Pがマスクされた状態でモニタに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−80669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、画像部分Pを継続的にマスクしようとすると、再生された映像信号に共通のマスク処理を継続的に施す必要があり、これによって負荷が増大するおそれがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、特殊効果処理を施された画像の再生に要する負荷を低減できる、画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う画像処理装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、複数の画像を取り込む取り込み手段(12, 14)、第1イントラ符号化画像とインター符号化画像とが混在したデータストリームを取り込み手段によって取り込まれた複数の画像に基づいて作成する第1作成手段(24)、取り込み手段によって取り込まれた画像に特殊効果処理を施す処理手段(16)、処理手段によって処理された画像のうち第1作成手段によって作成された第1イントラ符号化画像に対応する一部の画像に基づいて第2イントラ符号化画像を作成する第2作成手段(28)、および第2作成手段によって作成された第2イントラ符号化画像を第1作成手段によって作成されたデータストリームを形成する第1イントラ符号化画像に代替させる代替手段(S11, S13)を備える。
【0007】
好ましくは、代替手段によって挿入された第2イントラ符号化画像を含むデータストリームを外部装置(40)に送信する第1送信手段(S25)、および代替手段によって抜き取られた第1イントラ符号化画像を第1送信手段の送信処理に関連して外部装置に送信する第2送信手段(S27)がさらに備えられる。
【0008】
好ましくは、第1作成手段は第1イントラ符号化画像に現在時刻を示す第1時刻情報を割り当てる第1時刻情報割り当て手段(24t)を含み、第2作成手段は第2イントラ符号化画像に現在時刻を示す第2時刻情報を割り当てる第2時刻情報割り当て手段(28t)を含む。
【0009】
好ましくは、取り込み手段によって取り込まれる複数の画像は共通の被写界を表し、特殊効果処理はマスク処理に相当する。
【0010】
好ましくは、取り込み手段によって取り込まれる画像は監視カメラから出力された画像に相当する。
【0011】
好ましくは、第2作成手段はJPEG方式に従って符号化処理を実行する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、データストリームを復号すると、第2イントラ符号化画像に対応する復号画像に加えて、インター符号化画像に対応する復号画像も、特殊効果処理の影響を受ける。特殊効果は、復号された複数の画像に継続的に現れる。これによって、特殊効果処理を施された画像の再生に要する負荷を低減できる。
【0013】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】監視ゾーンの一例を示す図解図である。
【図4】図2実施例に適用されるSDRAMのマッピング状態の一例を示す図解図である。
【図5】(A)はマスク処理を施されていない入力画像の一例を示す図解図であり、(B)はマスク処理を施された入力画像の一例を示す図解図であり、
【図6】(A)はデータストリームの一例を示す図解図であり、(B)はデータストリームと並列して作成されるJPEGデータの一例を示す図解図であり、(C)は修正データストリームの一例を示す図解図であり、(D)は修正データストリームと並列して作成されるマスク解除データの一例を示す図解図である。
【図7】図2実施例から送信された符号化データを復号する復号装置の一例を示すブロック図である。
【図8】図7実施例に適用されるSDRAMのマッピング状態の一例を示す図解図である。
【図9】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図10】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図11】図7実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0016】
図1を参照して、この発明の画像処理装置は、基本的に次のように構成される。取り込み手段1は、複数の画像を取り込む。第1作成手段2は、第1イントラ符号化画像とインター符号化画像とが混在したデータストリームを取り込み手段1によって取り込まれた複数の画像に基づいて作成する。処理手段3は、取り込み手段1によって取り込まれた画像に特殊効果処理を施す。第2作成手段4は、処理手段3によって処理された画像のうち第1作成手段2によって作成された第1イントラ符号化画像に対応する一部の画像に基づいて第2イントラ符号化画像を作成する。代替手段5は、第2作成手段4によって作成された第2イントラ符号化画像を第1作成手段2によって作成されたデータストリームを形成する第1イントラ符号化画像に代替させる。
【0017】
したがって、データストリームを復号すると、第2イントラ符号化画像に対応する復号画像に加えて、インター符号化画像に対応する復号画像も、特殊効果処理の影響を受ける。特殊効果は、復号された複数の画像に継続的に現れる。これによって、特殊効果処理を施された画像の再生に要する負荷を低減できる。
[実施例]
【0018】
図2を参照して、この実施例の符号化装置10は、監視カメラ(図示せず)から周期的に出力されたコンポジット画像データを入力する入力端子T1と、マイクロフォン(図示せず)から連続的に出力された音声データを入力する入力端子T2とを含む。監視カメラは図3に示す監視ゾーンの天井に設けられ、マイクロフォンは監視カメラの近傍に設けられる。
【0019】
監視カメラの撮像面は壁面に掛けられた絵画PICを捉え、監視カメラから出力されるコンポジット画像データは図3に示す撮像枠FP内の物体(具体的には壁面の一部と絵画PIC)を表す。コンポジット画像データはまた、同期信号が重畳された状態で、かつ飛び越し走査態様で監視カメラから出力される。
【0020】
画像入力回路12は、入力端子T1からコンポジット画像データを取り込み、コンポジット画像データから画像データを抽出するとともに、コンポジット画像データに重畳された同期信号に基づいて垂直同期信号Vsync1を生成する。垂直同期信号Vsync1は、1フレームに1回の割合で生成され、H264エンコーダ24およびCPU32に与えられる。
【0021】
I/P変換回路14は、画像入力回路12から抽出された画像データの走査態様を飛び越し走査態様から順次走査態様に変換する。変換された走査態様を有する画像データは、メモリ制御回路20によってSDRAM22の入力画像エリア22a(図4参照)に書き込まれるとともに、マスク処理回路16によるマスク処理を経た後、メモリ制御回路20によってSDRAM22の入力画像エリア22b(図4参照)に書き込まれる。
【0022】
マスク処理は、絵画PICを表す一部の画像をマスクするために実行される。この結果、入力画像エリア22aに格納された画像データは図5(A)に示す画像を表す一方、入力画像エリア22bに格納された画像データは図5(B)に示す画像を表す。
【0023】
入力端子T2から入力された音声データは、音声入力回路18による既定の音声処理を経た後、メモリ制御回路20によってSDRAM22の音声入力エリア22c(図4参照)に書き込まれる。
【0024】
CPU32は、符号化制御タスクの下でH264エンコーダ24を継続的に起動する。起動されたH264エンコーダ24は、垂直同期信号Vsync1が与えられる毎にメモリ制御回路20を通して入力画像エリア22aから画像データを読み出し、読み出された画像データをH264方式で符号化する。符号化画像データつまりH264データは、イントラ符号化ピクチャ(=Iピクチャ)およびインター符号化ピクチャ(=PピクチャまたはBピクチャ)が混在したデータストリームである。また、データストリームは複数のGOP(Group Of Pictures)によって形成され、各GOPは先頭のIピクチャとこれに続く複数のPピクチャおよび/またはBピクチャによって形成される。
【0025】
時計回路26は、現在時刻を示すタイムコードをH264エンコーダ24に与える。H264エンコーダ24に設けられたタイムスタンプ回路24tは、与えられたタイムコードに対応するタイムスタンプを生成し、生成されたタイムスタンプを上述したIピクチャ,PピクチャおよびBピクチャの各々に割り当てる。
【0026】
CPU32は、現フレームがGOPの先頭フレームに相当するとき、つまり現フレームのH264データがIピクチャに相当するとき、SDRAM22の退避エリア22e(図4参照)を現フレームのH264データの書き込み先として指定する。CPU32はまた、現フレームがGOPの先頭フレームと異なるフレームに相当するとき、つまり現フレームのH264データがPピクチャまたはBピクチャに相当するとき、SDRAM22のH264エリア22d(図4参照)を現フレームのH264データの書き込み先として指定する。
【0027】
したがって、H264エンコーダ24から出力されたデータストリームのうち、Iピクチャはメモリ制御回路20を経て退避エリア22eに書き込まれ、PピクチャおよびBピクチャはメモリ制御回路20を経てH264エリア22dに書き込まれる。
【0028】
CPU32はまた、H264エンコーダ24によるIピクチャの生成処理に対応して、JPEGエンコーダ28を一時的に起動する。起動されたJPEGエンコーダ28は、メモリ制御回路20を通して入力画像エリア22bから画像データを読み出し、読み出された画像データをJPEG方式で符号化する。符号化画像データつまりJPEGデータは、イントラ符号化ピクチャ(=Iピクチャ)に相当する。
【0029】
時計回路26によって生成されたタイムコードは、JPEGエンコーダ28にも与えられる。タイムコードに対応するタイムスタンプは、JPEGエンコーダ28に設けられたタイムスタンプ回路28tによって生成され、JPEGデータ(=Iピクチャ)に割り当てられる。
【0030】
JPEGエンコーダ28はH264エンコーダ24によるIピクチャの生成処理に対応してIピクチャを作成するため、タイムスタンプの値はH264エンコーダ24によって作成されたIピクチャとJPEGエンコーダ28によって作成されたIピクチャとの間で一致する。
【0031】
CPU32は、こうして生成されたJPEGデータの書き込み先としてH264エリア22dを指定する。したがって、JPEGエンコーダ28から出力されたJPEGデータは、メモリ制御回路20によってH264エリア22dに書き込まれる。
【0032】
データストリームが図6(A)に示すタイミングでH264エンコーダ24から出力されるとき、JPEGデータは図6(B)に示すタイミングでJPEGエンコーダ28から出力される。データストリームおよびJPEGデータの書き込み先は、CPU32によって上述の要領で指定される。このため、H264エリア22dには、JPEGエンコーダ28によって生成されたIピクチャが代替的に挿入された修正データストリームが、図6(C)に示す要領で書き込まれる。また、退避エリア22eには、データストリームから図6(D)に示す要領で抜き取られたIピクチャが、マスク解除データとして書き込まれる。
【0033】
符号化制御タスクと並列する通信制御タスクの下で、CPU32は、H264エリア22dの空き容量が閾値THを下回る毎に、既定GOP数に相当する修正データストリームとこれに対応するマスク解除データおよび音声データの送信を通信I/F30に要求する。
【0034】
通信I/F30は、指定された修正データストリーム,マスク解除データおよび音声データをメモリ制御回路20を通してH264エリア22d,退避エリア22eおよび入力音声エリア22cから読み出し、読み出された修正データストリーム,マスク解除データおよび音声データを通信ネットワークに接続された出力端子T3から送出する。
【0035】
送出された修正データストリーム,マスク解除データおよび音声データは、図7に示す復号装置40の入力端子T4を経て通信I/F42に与えられる。通信I/F42は、与えられた修正データストリーム,マスク解除データおよび音声データを、メモリ制御回路44を通してSDRAM46に書き込む。図8を参照して、修正データストリームはH264エリア46aに書き込まれ、マスク解除データは拡張エリア46bに書き込まれ、そして音声データは入力音声エリア46cに書き込まれる。
【0036】
音声出力回路54は、入力音声エリア46cに格納された音声データをメモリ制御回路を通して読み出し、読み出された音声データに基づいてスピーカ56を駆動する。この結果、監視ゾーンで発生した音声がスピーカ56から出力される。
【0037】
CPU58は、復号制御タスクの下でH264デコーダ48を継続的に起動し、図示しないSG(Signal Generator)から垂直同期信号Vsync2が発生される毎に今回の復号対象がIピクチャ,PピクチャおよびBピクチャのいずれであるかを判別する。
【0038】
復号対象がIピクチャであれば、マスク設定が有効であるか否かが判別される。キー入力装置60の操作によってマスク設定が有効化されていれば、CPU58は、H264エリア46aを復号対象の読み出し先として指定する。一方、キー入力装置54の操作によってマスク設定が無効化されていれば、CPU58は、拡張エリア46bを復号対象の読み出し先として指定する。
【0039】
H264デコーダ48は、修正データストリームまたはマスク解除データに割り当てられたタイムスタンプを参照して復号対象であるIピクチャを特定し、特定されたIピクチャをメモリ制御回路44を通してH264エリア46aまたは拡張エリア46bから読み出す。H264デコーダ48はさらに、読み出されたIピクチャを復号し、復号画像データをメモリ制御回路44を通してSDRAM46の復号画像エリア46d(図8参照)に書き込む。
【0040】
復号対象がPピクチャまたはBピクチャであれば、CPU58は、H264エリア46aを復号対象の読み出し先として指定する。H264デコーダ48は、修正データストリームに割り当てられたタイムスタンプを参照して復号対象であるPピクチャまたはBピクチャを特定し、特定されたPピクチャまたはBピクチャをメモリ制御回路44を通してH264エリア46aから読み出す。H264デコーダ48はさらに、読み出されたPピクチャまたはBピクチャを復号し、復号画像データをメモリ制御回路44を通して復号画像エリア46dに書き込む。
【0041】
マスク設定が有効であれば、修正データストリームを形成するIピクチャ,PピクチャおよびBピクチャがH264デコーダ48によって復号される。図6(A)〜図6(C)から分かるように、修正データストリームを形成するIピクチャはマスク処理を施された画像データに対応し、PピクチャおよびBピクチャはこのようなIピクチャを参照しつつ復号される。このため、Iピクチャに基づく復号画像データだけでなく、Pピクチャに基づく復号画像データおよびBピクチャに基づく復号画像データもまた、マスク処理の影響を受ける。
【0042】
これに対して、マスク設定が無効であれば、H264デコーダ48は、修正データストリームを形成するIピクチャをマスク解除データに代替させ、これによって復旧されたデータストリームを復号する。図6(A)から分かるように、復旧されたデータストリームを形成するIピクチャ,PピクチャおよびBピクチャはマスク処理を施されていない画像データに対応する。このため、復旧されたデータストリームに基づく復号画像データはマスク処理の影響を免れる。
【0043】
LCDドライバ50は、このような復号画像データをメモリ制御回路44を通して復号画像エリア46dから読み出し、読み出された復号画像データに基づいてLCDモニタ52を駆動する。この結果、マスク設定が有効であれば絵画PICがマスクされた監視画像がモニタ画面に表示され、マスク設定が無効であれば絵画PICが現れた監視画像がモニタ画面に表示される。
【0044】
符号化装置10に設けられたCPU32によって実行される符号化制御タスクおよび通信制御タスクは、具体的には図9および図10に示すように構成される。また、これらのタスクに対応する制御プログラムは、図2に示すフラッシュメモリ34に記憶される。
【0045】
図9を参照して、ステップS1ではH264エンコーダ24を継続的に起動し、ステップS3では画像入力回路12から垂直同期信号Vsync1が与えられたか否かを判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS5に進み、現フレームがGOPの先頭フレームであるか否かを判別する。
【0046】
現フレームがGOPの先頭フレームと異なるフレームであればステップS5からステップS7に進み、現フレームのH264データの書き込み先としてH264エリア22dを指定する。指定処理が完了すると、ステップS3に戻る。
【0047】
H264エンコーダ24は、メモリ制御回路20を通して入力画像エリア22aから1フレームの画像データを読み出し、読み出された画像データをH264方式で符号化し、そしてH264データ(=PピクチャまたはBピクチャ)をメモリ制御回路20を通してH264エリア22dに書き込む。
【0048】
現フレームがGOPの先頭フレームであればステップS5からステップS9に進み、JPEGエンコーダ28を一時的に起動する。ステップS11では現フレームのJPEGデータの書き込み先としてH264エリア22dを指定し、ステップS13では現フレームのH264データの書き込み先として退避エリア22eを指定する。ステップS13の処理が完了すると、ステップS3に戻る。
【0049】
JPEGエンコーダ28は、メモリ制御回路20を通して入力画像エリア22bから1フレームの画像データを読み出し、読み出された画像データをJPEG方式で符号化し、そしてJPEGデータ(=Iピクチャ)をメモリ制御回路20を通してH264エリア22dに書き込む。H264エンコーダ24は、メモリ制御回路20を通して入力画像エリア22aから1フレームの画像データを読み出し、読み出された画像データをH264方式で符号化し、そしてH264データ(=Iピクチャ)をメモリ制御回路20を通して退避エリア22eに書き込む。
【0050】
図10を参照して、ステップS21ではH264エリア22dの空き容量を検出し、ステップS23では検出された空き容量が閾値THを下回るか否かを判別する。判別結果がNOであればそのままステップS21に戻り、判別結果がYESであればステップS25〜S29の処理を経てステップS21に戻る。
【0051】
ステップS25では、既定GOP数に相当する修正H264データの送信を通信I/F30に要求する。ステップS27では、ステップS25で指定された修正H264データに対応するマスク解除データの送信を通信I/F30に要求する。ステップS29では、ステップS25で指定された修正H264データに対応する音声データの送信を通信I/F30に要求する。
【0052】
通信I/F30は、ステップS25〜S29で指定された修正H264データ,マスク解除データおよび音声データをメモリ制御回路20を通してH264エリア22d,退避エリア22eおよび入力音声エリア22cから読み出し、読み出された修正H264データ,マスク解除データおよび音声データを出力端子T3から送出する。
【0053】
復号装置40に設けられたCPU58によって実行される復号制御タスクは、具体的には図11に示すように構成される。このタスクに対応する制御プログラムは、図7に示すフラッシュメモリ62に記憶される。
【0054】
図11を参照して、ステップS31ではH264デコーダ48を継続的に起動し、ステップS33では垂直同期信号Vsync2が図示しないSG(Signal Generator)から発生されたか否かを判別する。垂直同期信号Vsync2が発生するとステップS35に進み、今回の復号対象がIピクチャであるか否かを判別する。判別結果がNOであれば、つまり復号対象がPピクチャまたはBピクチャであれば、ステップS35からステップS37に進み、H264エリア46aを復号対象の読み出し先として指定する。指定処理が完了すると、ステップS33に戻る。
【0055】
H264デコーダ48は、復号対象であるPピクチャまたはBピクチャをメモリ制御回路44を通してH264エリア46aから読み出し、読み出されたPピクチャまたはBピクチャを復号し、そして復号画像データをメモリ制御回路44を通して復号画像エリア46dに書き込む。
【0056】
ステップS35の判別結果がYESであれば、つまり復号対象がIピクチャであれば、ステップS35からステップS39に進み、マスク設定が有効であるか否かを判別する。キー入力装置54の操作によってマスク設定が有効化されていればステップS41に進み、キー入力装置54の操作によってマスク設定が無効化されていればステップS43に進む。ステップS41ではH264エリア46aを復号対象の読み出し先として指定し、ステップS43では拡張エリア46bを復号対象の読み出し先として指定する。このような指定処理が完了すると、ステップS33に戻る。
【0057】
H264デコーダ48は、復号対象であるIピクチャをメモリ制御回路44を通してH264エリア46aまたは拡張エリア46bから読み出し、読み出されたIピクチャを復号し、復号された画像データをメモリ制御回路44を通して復号画像エリア46dに書き込む。
【0058】
以上の説明から分かるように、I/P変換回路14は、画像入力回路12によって周期的に入力された画像データの走査態様をと飛び越し走査態様から順次走査態様に変換する。H264エンコーダ24は、イントラ符号化ピクチャとインター符号化ピクチャとが混在したデータストリームをI/P変換回路14から出力された画像データに基づいて作成する。マスク処理回路16は、I/P変換回路14から出力された画像データにマスク処理を施す。JPEGエンコーダ28は、マスク処理を施された画像データのうちH264エンコーダ24によって作成されたイントラ符号化ピクチャに対応する一部の画像データに基づいてイントラ符号化ピクチャを作成する。CPU32は、JPEGエンコーダ28によって作成されたイントラ符号化ピクチャをH264エンコーダ24によって作成されたデータストリームを形成するイントラ符号化ピクチャに代替させる。
【0059】
したがって、H264エンコーダ24によって作成されたデータストリームを復号すると、イントラ符号化ピクチャに対応する復号画像に加えて、インター符号化ピクチャに対応する復号画像も、マスク処理の影響を受ける。マスク効果は、複数フレームの復号画像に継続的に現れる。これによって、マスク処理を施された画像の再生に要する負荷を低減できる。また、マスク効果は、CPU32によってデータストリームから抜き取られたイントラ符号化ピクチャを元に戻すことで解除される。これによって、マスク効果の設定/解除に関する柔軟性が向上する。
【0060】
なお、この実施例では、H264エンコーダ24およびJPEGエンコーダ28を符号化装置10に設け、マスク処理を施された画像データをJPEGエンコーダ28によって符号化するようにしている。しかし、JPEGエンコーダ28に代えて別のH264エンコーダを設け、マスク処理を施された画像データをこのH264エンコーダによって符号化し、これによって生成されたIピクチャを利用して修正データストリームを作成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 …符号化装置
14 …画像入力回路
18 …マスク処理回路
24 …H264エンコーダ
28 …JPEGエンコーダ
32 …CPU
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置に関し、特に監視カメラシステムを構成する符号化装置に適用され、外部から取り込まれた画像に特殊効果処理を施す、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、カメラ部で撮影する範囲内にプライバシに関係する画像部分Pが存在する場合、画像部分Pの位置情報が映像信号と共に画像受信装置に伝送される。伝送された画像部分Pの位置情報はエリア位置データ記憶部に記憶され、伝送された映像信号は記録部に記録される。記録部から再生された映像信号は、エリア位置データ記憶部に記憶された位置情報を参照したマスク処理を施される。この結果、映像は、画像部分Pがマスクされた状態でモニタに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−80669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、画像部分Pを継続的にマスクしようとすると、再生された映像信号に共通のマスク処理を継続的に施す必要があり、これによって負荷が増大するおそれがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、特殊効果処理を施された画像の再生に要する負荷を低減できる、画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う画像処理装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、複数の画像を取り込む取り込み手段(12, 14)、第1イントラ符号化画像とインター符号化画像とが混在したデータストリームを取り込み手段によって取り込まれた複数の画像に基づいて作成する第1作成手段(24)、取り込み手段によって取り込まれた画像に特殊効果処理を施す処理手段(16)、処理手段によって処理された画像のうち第1作成手段によって作成された第1イントラ符号化画像に対応する一部の画像に基づいて第2イントラ符号化画像を作成する第2作成手段(28)、および第2作成手段によって作成された第2イントラ符号化画像を第1作成手段によって作成されたデータストリームを形成する第1イントラ符号化画像に代替させる代替手段(S11, S13)を備える。
【0007】
好ましくは、代替手段によって挿入された第2イントラ符号化画像を含むデータストリームを外部装置(40)に送信する第1送信手段(S25)、および代替手段によって抜き取られた第1イントラ符号化画像を第1送信手段の送信処理に関連して外部装置に送信する第2送信手段(S27)がさらに備えられる。
【0008】
好ましくは、第1作成手段は第1イントラ符号化画像に現在時刻を示す第1時刻情報を割り当てる第1時刻情報割り当て手段(24t)を含み、第2作成手段は第2イントラ符号化画像に現在時刻を示す第2時刻情報を割り当てる第2時刻情報割り当て手段(28t)を含む。
【0009】
好ましくは、取り込み手段によって取り込まれる複数の画像は共通の被写界を表し、特殊効果処理はマスク処理に相当する。
【0010】
好ましくは、取り込み手段によって取り込まれる画像は監視カメラから出力された画像に相当する。
【0011】
好ましくは、第2作成手段はJPEG方式に従って符号化処理を実行する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、データストリームを復号すると、第2イントラ符号化画像に対応する復号画像に加えて、インター符号化画像に対応する復号画像も、特殊効果処理の影響を受ける。特殊効果は、復号された複数の画像に継続的に現れる。これによって、特殊効果処理を施された画像の再生に要する負荷を低減できる。
【0013】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】監視ゾーンの一例を示す図解図である。
【図4】図2実施例に適用されるSDRAMのマッピング状態の一例を示す図解図である。
【図5】(A)はマスク処理を施されていない入力画像の一例を示す図解図であり、(B)はマスク処理を施された入力画像の一例を示す図解図であり、
【図6】(A)はデータストリームの一例を示す図解図であり、(B)はデータストリームと並列して作成されるJPEGデータの一例を示す図解図であり、(C)は修正データストリームの一例を示す図解図であり、(D)は修正データストリームと並列して作成されるマスク解除データの一例を示す図解図である。
【図7】図2実施例から送信された符号化データを復号する復号装置の一例を示すブロック図である。
【図8】図7実施例に適用されるSDRAMのマッピング状態の一例を示す図解図である。
【図9】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図10】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図11】図7実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0016】
図1を参照して、この発明の画像処理装置は、基本的に次のように構成される。取り込み手段1は、複数の画像を取り込む。第1作成手段2は、第1イントラ符号化画像とインター符号化画像とが混在したデータストリームを取り込み手段1によって取り込まれた複数の画像に基づいて作成する。処理手段3は、取り込み手段1によって取り込まれた画像に特殊効果処理を施す。第2作成手段4は、処理手段3によって処理された画像のうち第1作成手段2によって作成された第1イントラ符号化画像に対応する一部の画像に基づいて第2イントラ符号化画像を作成する。代替手段5は、第2作成手段4によって作成された第2イントラ符号化画像を第1作成手段2によって作成されたデータストリームを形成する第1イントラ符号化画像に代替させる。
【0017】
したがって、データストリームを復号すると、第2イントラ符号化画像に対応する復号画像に加えて、インター符号化画像に対応する復号画像も、特殊効果処理の影響を受ける。特殊効果は、復号された複数の画像に継続的に現れる。これによって、特殊効果処理を施された画像の再生に要する負荷を低減できる。
[実施例]
【0018】
図2を参照して、この実施例の符号化装置10は、監視カメラ(図示せず)から周期的に出力されたコンポジット画像データを入力する入力端子T1と、マイクロフォン(図示せず)から連続的に出力された音声データを入力する入力端子T2とを含む。監視カメラは図3に示す監視ゾーンの天井に設けられ、マイクロフォンは監視カメラの近傍に設けられる。
【0019】
監視カメラの撮像面は壁面に掛けられた絵画PICを捉え、監視カメラから出力されるコンポジット画像データは図3に示す撮像枠FP内の物体(具体的には壁面の一部と絵画PIC)を表す。コンポジット画像データはまた、同期信号が重畳された状態で、かつ飛び越し走査態様で監視カメラから出力される。
【0020】
画像入力回路12は、入力端子T1からコンポジット画像データを取り込み、コンポジット画像データから画像データを抽出するとともに、コンポジット画像データに重畳された同期信号に基づいて垂直同期信号Vsync1を生成する。垂直同期信号Vsync1は、1フレームに1回の割合で生成され、H264エンコーダ24およびCPU32に与えられる。
【0021】
I/P変換回路14は、画像入力回路12から抽出された画像データの走査態様を飛び越し走査態様から順次走査態様に変換する。変換された走査態様を有する画像データは、メモリ制御回路20によってSDRAM22の入力画像エリア22a(図4参照)に書き込まれるとともに、マスク処理回路16によるマスク処理を経た後、メモリ制御回路20によってSDRAM22の入力画像エリア22b(図4参照)に書き込まれる。
【0022】
マスク処理は、絵画PICを表す一部の画像をマスクするために実行される。この結果、入力画像エリア22aに格納された画像データは図5(A)に示す画像を表す一方、入力画像エリア22bに格納された画像データは図5(B)に示す画像を表す。
【0023】
入力端子T2から入力された音声データは、音声入力回路18による既定の音声処理を経た後、メモリ制御回路20によってSDRAM22の音声入力エリア22c(図4参照)に書き込まれる。
【0024】
CPU32は、符号化制御タスクの下でH264エンコーダ24を継続的に起動する。起動されたH264エンコーダ24は、垂直同期信号Vsync1が与えられる毎にメモリ制御回路20を通して入力画像エリア22aから画像データを読み出し、読み出された画像データをH264方式で符号化する。符号化画像データつまりH264データは、イントラ符号化ピクチャ(=Iピクチャ)およびインター符号化ピクチャ(=PピクチャまたはBピクチャ)が混在したデータストリームである。また、データストリームは複数のGOP(Group Of Pictures)によって形成され、各GOPは先頭のIピクチャとこれに続く複数のPピクチャおよび/またはBピクチャによって形成される。
【0025】
時計回路26は、現在時刻を示すタイムコードをH264エンコーダ24に与える。H264エンコーダ24に設けられたタイムスタンプ回路24tは、与えられたタイムコードに対応するタイムスタンプを生成し、生成されたタイムスタンプを上述したIピクチャ,PピクチャおよびBピクチャの各々に割り当てる。
【0026】
CPU32は、現フレームがGOPの先頭フレームに相当するとき、つまり現フレームのH264データがIピクチャに相当するとき、SDRAM22の退避エリア22e(図4参照)を現フレームのH264データの書き込み先として指定する。CPU32はまた、現フレームがGOPの先頭フレームと異なるフレームに相当するとき、つまり現フレームのH264データがPピクチャまたはBピクチャに相当するとき、SDRAM22のH264エリア22d(図4参照)を現フレームのH264データの書き込み先として指定する。
【0027】
したがって、H264エンコーダ24から出力されたデータストリームのうち、Iピクチャはメモリ制御回路20を経て退避エリア22eに書き込まれ、PピクチャおよびBピクチャはメモリ制御回路20を経てH264エリア22dに書き込まれる。
【0028】
CPU32はまた、H264エンコーダ24によるIピクチャの生成処理に対応して、JPEGエンコーダ28を一時的に起動する。起動されたJPEGエンコーダ28は、メモリ制御回路20を通して入力画像エリア22bから画像データを読み出し、読み出された画像データをJPEG方式で符号化する。符号化画像データつまりJPEGデータは、イントラ符号化ピクチャ(=Iピクチャ)に相当する。
【0029】
時計回路26によって生成されたタイムコードは、JPEGエンコーダ28にも与えられる。タイムコードに対応するタイムスタンプは、JPEGエンコーダ28に設けられたタイムスタンプ回路28tによって生成され、JPEGデータ(=Iピクチャ)に割り当てられる。
【0030】
JPEGエンコーダ28はH264エンコーダ24によるIピクチャの生成処理に対応してIピクチャを作成するため、タイムスタンプの値はH264エンコーダ24によって作成されたIピクチャとJPEGエンコーダ28によって作成されたIピクチャとの間で一致する。
【0031】
CPU32は、こうして生成されたJPEGデータの書き込み先としてH264エリア22dを指定する。したがって、JPEGエンコーダ28から出力されたJPEGデータは、メモリ制御回路20によってH264エリア22dに書き込まれる。
【0032】
データストリームが図6(A)に示すタイミングでH264エンコーダ24から出力されるとき、JPEGデータは図6(B)に示すタイミングでJPEGエンコーダ28から出力される。データストリームおよびJPEGデータの書き込み先は、CPU32によって上述の要領で指定される。このため、H264エリア22dには、JPEGエンコーダ28によって生成されたIピクチャが代替的に挿入された修正データストリームが、図6(C)に示す要領で書き込まれる。また、退避エリア22eには、データストリームから図6(D)に示す要領で抜き取られたIピクチャが、マスク解除データとして書き込まれる。
【0033】
符号化制御タスクと並列する通信制御タスクの下で、CPU32は、H264エリア22dの空き容量が閾値THを下回る毎に、既定GOP数に相当する修正データストリームとこれに対応するマスク解除データおよび音声データの送信を通信I/F30に要求する。
【0034】
通信I/F30は、指定された修正データストリーム,マスク解除データおよび音声データをメモリ制御回路20を通してH264エリア22d,退避エリア22eおよび入力音声エリア22cから読み出し、読み出された修正データストリーム,マスク解除データおよび音声データを通信ネットワークに接続された出力端子T3から送出する。
【0035】
送出された修正データストリーム,マスク解除データおよび音声データは、図7に示す復号装置40の入力端子T4を経て通信I/F42に与えられる。通信I/F42は、与えられた修正データストリーム,マスク解除データおよび音声データを、メモリ制御回路44を通してSDRAM46に書き込む。図8を参照して、修正データストリームはH264エリア46aに書き込まれ、マスク解除データは拡張エリア46bに書き込まれ、そして音声データは入力音声エリア46cに書き込まれる。
【0036】
音声出力回路54は、入力音声エリア46cに格納された音声データをメモリ制御回路を通して読み出し、読み出された音声データに基づいてスピーカ56を駆動する。この結果、監視ゾーンで発生した音声がスピーカ56から出力される。
【0037】
CPU58は、復号制御タスクの下でH264デコーダ48を継続的に起動し、図示しないSG(Signal Generator)から垂直同期信号Vsync2が発生される毎に今回の復号対象がIピクチャ,PピクチャおよびBピクチャのいずれであるかを判別する。
【0038】
復号対象がIピクチャであれば、マスク設定が有効であるか否かが判別される。キー入力装置60の操作によってマスク設定が有効化されていれば、CPU58は、H264エリア46aを復号対象の読み出し先として指定する。一方、キー入力装置54の操作によってマスク設定が無効化されていれば、CPU58は、拡張エリア46bを復号対象の読み出し先として指定する。
【0039】
H264デコーダ48は、修正データストリームまたはマスク解除データに割り当てられたタイムスタンプを参照して復号対象であるIピクチャを特定し、特定されたIピクチャをメモリ制御回路44を通してH264エリア46aまたは拡張エリア46bから読み出す。H264デコーダ48はさらに、読み出されたIピクチャを復号し、復号画像データをメモリ制御回路44を通してSDRAM46の復号画像エリア46d(図8参照)に書き込む。
【0040】
復号対象がPピクチャまたはBピクチャであれば、CPU58は、H264エリア46aを復号対象の読み出し先として指定する。H264デコーダ48は、修正データストリームに割り当てられたタイムスタンプを参照して復号対象であるPピクチャまたはBピクチャを特定し、特定されたPピクチャまたはBピクチャをメモリ制御回路44を通してH264エリア46aから読み出す。H264デコーダ48はさらに、読み出されたPピクチャまたはBピクチャを復号し、復号画像データをメモリ制御回路44を通して復号画像エリア46dに書き込む。
【0041】
マスク設定が有効であれば、修正データストリームを形成するIピクチャ,PピクチャおよびBピクチャがH264デコーダ48によって復号される。図6(A)〜図6(C)から分かるように、修正データストリームを形成するIピクチャはマスク処理を施された画像データに対応し、PピクチャおよびBピクチャはこのようなIピクチャを参照しつつ復号される。このため、Iピクチャに基づく復号画像データだけでなく、Pピクチャに基づく復号画像データおよびBピクチャに基づく復号画像データもまた、マスク処理の影響を受ける。
【0042】
これに対して、マスク設定が無効であれば、H264デコーダ48は、修正データストリームを形成するIピクチャをマスク解除データに代替させ、これによって復旧されたデータストリームを復号する。図6(A)から分かるように、復旧されたデータストリームを形成するIピクチャ,PピクチャおよびBピクチャはマスク処理を施されていない画像データに対応する。このため、復旧されたデータストリームに基づく復号画像データはマスク処理の影響を免れる。
【0043】
LCDドライバ50は、このような復号画像データをメモリ制御回路44を通して復号画像エリア46dから読み出し、読み出された復号画像データに基づいてLCDモニタ52を駆動する。この結果、マスク設定が有効であれば絵画PICがマスクされた監視画像がモニタ画面に表示され、マスク設定が無効であれば絵画PICが現れた監視画像がモニタ画面に表示される。
【0044】
符号化装置10に設けられたCPU32によって実行される符号化制御タスクおよび通信制御タスクは、具体的には図9および図10に示すように構成される。また、これらのタスクに対応する制御プログラムは、図2に示すフラッシュメモリ34に記憶される。
【0045】
図9を参照して、ステップS1ではH264エンコーダ24を継続的に起動し、ステップS3では画像入力回路12から垂直同期信号Vsync1が与えられたか否かを判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS5に進み、現フレームがGOPの先頭フレームであるか否かを判別する。
【0046】
現フレームがGOPの先頭フレームと異なるフレームであればステップS5からステップS7に進み、現フレームのH264データの書き込み先としてH264エリア22dを指定する。指定処理が完了すると、ステップS3に戻る。
【0047】
H264エンコーダ24は、メモリ制御回路20を通して入力画像エリア22aから1フレームの画像データを読み出し、読み出された画像データをH264方式で符号化し、そしてH264データ(=PピクチャまたはBピクチャ)をメモリ制御回路20を通してH264エリア22dに書き込む。
【0048】
現フレームがGOPの先頭フレームであればステップS5からステップS9に進み、JPEGエンコーダ28を一時的に起動する。ステップS11では現フレームのJPEGデータの書き込み先としてH264エリア22dを指定し、ステップS13では現フレームのH264データの書き込み先として退避エリア22eを指定する。ステップS13の処理が完了すると、ステップS3に戻る。
【0049】
JPEGエンコーダ28は、メモリ制御回路20を通して入力画像エリア22bから1フレームの画像データを読み出し、読み出された画像データをJPEG方式で符号化し、そしてJPEGデータ(=Iピクチャ)をメモリ制御回路20を通してH264エリア22dに書き込む。H264エンコーダ24は、メモリ制御回路20を通して入力画像エリア22aから1フレームの画像データを読み出し、読み出された画像データをH264方式で符号化し、そしてH264データ(=Iピクチャ)をメモリ制御回路20を通して退避エリア22eに書き込む。
【0050】
図10を参照して、ステップS21ではH264エリア22dの空き容量を検出し、ステップS23では検出された空き容量が閾値THを下回るか否かを判別する。判別結果がNOであればそのままステップS21に戻り、判別結果がYESであればステップS25〜S29の処理を経てステップS21に戻る。
【0051】
ステップS25では、既定GOP数に相当する修正H264データの送信を通信I/F30に要求する。ステップS27では、ステップS25で指定された修正H264データに対応するマスク解除データの送信を通信I/F30に要求する。ステップS29では、ステップS25で指定された修正H264データに対応する音声データの送信を通信I/F30に要求する。
【0052】
通信I/F30は、ステップS25〜S29で指定された修正H264データ,マスク解除データおよび音声データをメモリ制御回路20を通してH264エリア22d,退避エリア22eおよび入力音声エリア22cから読み出し、読み出された修正H264データ,マスク解除データおよび音声データを出力端子T3から送出する。
【0053】
復号装置40に設けられたCPU58によって実行される復号制御タスクは、具体的には図11に示すように構成される。このタスクに対応する制御プログラムは、図7に示すフラッシュメモリ62に記憶される。
【0054】
図11を参照して、ステップS31ではH264デコーダ48を継続的に起動し、ステップS33では垂直同期信号Vsync2が図示しないSG(Signal Generator)から発生されたか否かを判別する。垂直同期信号Vsync2が発生するとステップS35に進み、今回の復号対象がIピクチャであるか否かを判別する。判別結果がNOであれば、つまり復号対象がPピクチャまたはBピクチャであれば、ステップS35からステップS37に進み、H264エリア46aを復号対象の読み出し先として指定する。指定処理が完了すると、ステップS33に戻る。
【0055】
H264デコーダ48は、復号対象であるPピクチャまたはBピクチャをメモリ制御回路44を通してH264エリア46aから読み出し、読み出されたPピクチャまたはBピクチャを復号し、そして復号画像データをメモリ制御回路44を通して復号画像エリア46dに書き込む。
【0056】
ステップS35の判別結果がYESであれば、つまり復号対象がIピクチャであれば、ステップS35からステップS39に進み、マスク設定が有効であるか否かを判別する。キー入力装置54の操作によってマスク設定が有効化されていればステップS41に進み、キー入力装置54の操作によってマスク設定が無効化されていればステップS43に進む。ステップS41ではH264エリア46aを復号対象の読み出し先として指定し、ステップS43では拡張エリア46bを復号対象の読み出し先として指定する。このような指定処理が完了すると、ステップS33に戻る。
【0057】
H264デコーダ48は、復号対象であるIピクチャをメモリ制御回路44を通してH264エリア46aまたは拡張エリア46bから読み出し、読み出されたIピクチャを復号し、復号された画像データをメモリ制御回路44を通して復号画像エリア46dに書き込む。
【0058】
以上の説明から分かるように、I/P変換回路14は、画像入力回路12によって周期的に入力された画像データの走査態様をと飛び越し走査態様から順次走査態様に変換する。H264エンコーダ24は、イントラ符号化ピクチャとインター符号化ピクチャとが混在したデータストリームをI/P変換回路14から出力された画像データに基づいて作成する。マスク処理回路16は、I/P変換回路14から出力された画像データにマスク処理を施す。JPEGエンコーダ28は、マスク処理を施された画像データのうちH264エンコーダ24によって作成されたイントラ符号化ピクチャに対応する一部の画像データに基づいてイントラ符号化ピクチャを作成する。CPU32は、JPEGエンコーダ28によって作成されたイントラ符号化ピクチャをH264エンコーダ24によって作成されたデータストリームを形成するイントラ符号化ピクチャに代替させる。
【0059】
したがって、H264エンコーダ24によって作成されたデータストリームを復号すると、イントラ符号化ピクチャに対応する復号画像に加えて、インター符号化ピクチャに対応する復号画像も、マスク処理の影響を受ける。マスク効果は、複数フレームの復号画像に継続的に現れる。これによって、マスク処理を施された画像の再生に要する負荷を低減できる。また、マスク効果は、CPU32によってデータストリームから抜き取られたイントラ符号化ピクチャを元に戻すことで解除される。これによって、マスク効果の設定/解除に関する柔軟性が向上する。
【0060】
なお、この実施例では、H264エンコーダ24およびJPEGエンコーダ28を符号化装置10に設け、マスク処理を施された画像データをJPEGエンコーダ28によって符号化するようにしている。しかし、JPEGエンコーダ28に代えて別のH264エンコーダを設け、マスク処理を施された画像データをこのH264エンコーダによって符号化し、これによって生成されたIピクチャを利用して修正データストリームを作成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 …符号化装置
14 …画像入力回路
18 …マスク処理回路
24 …H264エンコーダ
28 …JPEGエンコーダ
32 …CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像を取り込む取り込み手段、
第1イントラ符号化画像とインター符号化画像とが混在したデータストリームを前記取り込み手段によって取り込まれた複数の画像に基づいて作成する第1作成手段、
前記取り込み手段によって取り込まれた画像に特殊効果処理を施す処理手段、
前記処理手段によって処理された画像のうち前記第1作成手段によって作成された第1イントラ符号化画像に対応する一部の画像に基づいて第2イントラ符号化画像を作成する第2作成手段、および
前記第2作成手段によって作成された第2イントラ符号化画像を前記第1作成手段によって作成されたデータストリームを形成する第1イントラ符号化画像に代替させる代替手段を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記代替手段によって挿入された第2イントラ符号化画像を含むデータストリームを外部装置に送信する第1送信手段、および
前記代替手段によって抜き取られた第1イントラ符号化画像を前記第1送信手段の送信処理に関連して前記外部装置に送信する第2送信手段をさらに備える、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1作成手段は前記第1イントラ符号化画像に現在時刻を示す第1時刻情報を割り当てる第1時刻情報割り当て手段を含み、
前記第2作成手段は前記第2イントラ符号化画像に前記現在時刻を示す第2時刻情報を割り当てる第2時刻情報割り当て手段を含む、請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記取り込み手段によって取り込まれる複数の画像は共通の被写界を表し、
前記特殊効果処理はマスク処理に相当する、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記取り込み手段によって取り込まれる画像は監視カメラから出力された画像に相当する、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第2作成手段はJPEG方式に従って符号化処理を実行する、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項1】
複数の画像を取り込む取り込み手段、
第1イントラ符号化画像とインター符号化画像とが混在したデータストリームを前記取り込み手段によって取り込まれた複数の画像に基づいて作成する第1作成手段、
前記取り込み手段によって取り込まれた画像に特殊効果処理を施す処理手段、
前記処理手段によって処理された画像のうち前記第1作成手段によって作成された第1イントラ符号化画像に対応する一部の画像に基づいて第2イントラ符号化画像を作成する第2作成手段、および
前記第2作成手段によって作成された第2イントラ符号化画像を前記第1作成手段によって作成されたデータストリームを形成する第1イントラ符号化画像に代替させる代替手段を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記代替手段によって挿入された第2イントラ符号化画像を含むデータストリームを外部装置に送信する第1送信手段、および
前記代替手段によって抜き取られた第1イントラ符号化画像を前記第1送信手段の送信処理に関連して前記外部装置に送信する第2送信手段をさらに備える、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1作成手段は前記第1イントラ符号化画像に現在時刻を示す第1時刻情報を割り当てる第1時刻情報割り当て手段を含み、
前記第2作成手段は前記第2イントラ符号化画像に前記現在時刻を示す第2時刻情報を割り当てる第2時刻情報割り当て手段を含む、請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記取り込み手段によって取り込まれる複数の画像は共通の被写界を表し、
前記特殊効果処理はマスク処理に相当する、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記取り込み手段によって取り込まれる画像は監視カメラから出力された画像に相当する、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第2作成手段はJPEG方式に従って符号化処理を実行する、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−151692(P2011−151692A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12688(P2010−12688)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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