説明

画像処理装置

【課題】無駄な処理を行うことなく、画像処理装置に行わせる一連の動作が完了するまでの時間を短縮化することのできる技術を提供する。
【解決手段】表示制御部は、画像形成装置のコピー動作に係る設定項目の設定値を入力するための操作画面を表示部に表示し(♯1)、受付部により該操作画面に対して設定項目の設定値の設定入力を受け付けられ(♯2でYES)、原稿の読取動作に必要な設定入力が全て受け付けられると(♯3でYES)、読取制御部は、その原稿の読取動作がユーザの作業と連携して行うものではなく、受付部により原稿の読取動作を先行開始してもよい旨の指示を受け付けられ、原稿載置部に原稿がセットされているとき(♯5でNO、♯6,♯7でYES)、その時点で原稿の読取動作を原稿読取部に先行開始させ、表示制御部は、次の操作画面(画像形成動作に係る操作画面)を表示部に表示する(♯9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機や複合機等の画像処理装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機や複合機等の画像処理装置には、多数の機能が搭載されており、その機能の設定を操作パネルなどの入力操作装置で行うための操作が複雑になっていることから、通常、ユーザに対して現時点の操作状況に応じたガイダンスを表示する機能が付加されている。
【0003】
一方、下記特許文献1には、「読み取りモードが確定する前に、基本モードで画像の読み取りを行う。そして、読み取り開始後に、設定される読み取りモードにおいて、基本モードではない応用モードが指定され、最終的な読み取りモードとして確定した場合には、基本モードで読み取った画像データを応用モードで読み取った画像データに変換する。([0055])」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−324275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1は、基本モードが使用される場合には特段問題は生じない。しかしながら、前記特許文献1の技術においては、ユーザがアレンジした応用モードが使用される場合であっても、予め記憶しておいた初期値(基本モードの設定値)で原稿読込を行うため、この基本モードで読み込んだ原稿データが不要になったり、基本モードで読み取った画像データを応用モードで読み取った画像データに変換する処理を余分に行うなどの無駄が生じたりして、余計な処理時間がかかるという事態が起こりうる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、無駄な処理を行うことなく、画像処理装置に行わせる一連の動作が完了するまでの時間を短縮化することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、原稿の画像を読み取る原稿読取部と、当該画像処理装置における前記各処理項目についての設定値を設定するための操作画面をウィザード形式で表示部に表示させる表示制御部と、前記操作画面を用いた設定値の設定入力が行われるとその設定値の設定入力を受け付ける受付部と、前記表示制御部により前記ウィザード形式で表示される各操作画面において前記各設定項目についての設定値を設定入力する操作を行うための設定値入力操作部と、前記原稿読取部の読取動作を制御する読取制御部とを備え、前記表示制御部は、前記原稿読取部による原稿の読取動作に関連する設定項目についての設定値を設定入力するための第1種操作画面と、前記原稿読取部による原稿の読取動作に関連しない設定項目についての設定値を設定入力するための第2種操作画面とを前記表示部に前記ウィザード形式で表示させる場合に、前記第1種操作画面を前記第2種操作画面より先に前記表示部に表示させ、前記読取制御部は、前記受付部による前記第1種操作画面を用いた設定値の設定入力の受け付けが完了した時点で、前記原稿の読取動作を前記原稿読取部に先行開始させる画像処理装置である。
【0008】
この発明によれば、前記表示制御部は、前記原稿読取部による原稿の読取動作に関連する設定項目についての設定値を設定入力するための第1種操作画面と、前記読取動作に関連しない設定項目についての設定値を設定入力するための第2種操作画面とを前記ウィザード形式で表示部に表示させる場合に、前記第1種操作画面を前記第2種操作画面より先に表示させ、前記読取制御部は、前記受付部による前記第1種操作画面を用いた設定値の設定入力の受け付けが完了した時点で、前記原稿の読取動作を前記原稿読取部に先行開始させるようにしたので、第1種操作画面を用いた設定値の設定入力に引き続いてユーザにより行われる、前記第2種操作画面を用いた設定値の設定入力と並行して前記原稿の読取動作を前記原稿読取部に行わせることができる。
【0009】
これにより、前記第1種操作画面を用いた設定値の設定入力の受け付けと、第2種操作画面を用いた設定値の設定入力の受け付けとの両方が完了してから前記原稿の読取動作を開始する場合に比して、画像処理装置がユーザにより設定された設定値に基づいて一連の動作をし終えるまでに要する時間を短縮化することができる。また、従来のように無駄なデータや処理が発生することもない。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記読取制御部は、前記第1種操作画面を用いて設定入力された設定値に基づく前記原稿の読取動作が、ユーザの所定の作業と連携して行うものである場合には、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせないものである。
【0011】
仮に、前記第1種操作画面を用いて設定入力された設定値に基づく前記原稿の読取動作が、ユーザの所定の作業と連携して行うものである場合でも、前記原稿の読取動作の先行開始を実施するものとすると、その読取動作中に前記所定の作業が必要になったときに、前記原稿読取部による前記原稿の読取動作が途中で中断することとなるが、このとき、ユーザは、前記第2種操作画面を用いた設定値の設定入力作業を行っている場合があり、この場合、その設定入力作業を中断して前記所定の作業を行う必要がある。ユーザは、その所定の作業を行うに際し、前記第2種操作画面を用いた設定値の設定入力作業がどのステップまで進んだのかを記憶しておく必要があり、記憶していない場合には、ユーザは、設定入力作業を再開するにあたって混乱する可能性がある。
【0012】
そこで、請求項2に記載の発明のように、前記第1種操作画面を用いて設定入力された設定値に基づく前記原稿の読取動作が、ユーザによる所定の作業と連携して行うものである場合には、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせないようにすることで、前述のような事態が生じるのを回避することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像処理装置において、前記表示制御部は、前記受付部により前記第1種操作画面を用いた設定値の設定入力が受け付けられると、前記原稿の読取動作の先行開始を行ってもよいか否かの指示を入力するための操作画面を前記表示部に表示させ、前記読取制御部は、前記受付部により前記原稿の読取動作を先行開始してもよい旨の指示が受け付けられた場合に、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせるものである。
【0014】
仮に前記原稿の読取動作の先行開始をユーザに無断で実施するように構成した場合には、前記設定値入力操作部を用いた一連の操作の途中で自動的に(勝手に)前記原稿の読取動作が開始されることとなり、前記第1種操作画面を用いた設定値の設定入力の受け付けが完了すると、前記第2種操作画面を用いた設定値の設定入力の受け付けが完了していなくても、前記原稿の読取動作が前記原稿読取部に先行開始されることを知らないユーザにとっては、不意に前記原稿の読取動作が開始されることとなり、このようなユーザは、何が原因で読取動作が開始されたのかを認識できず、残りの設定項目についての設定値の設定入力を中断してその読取動作が完了するまで待機したり、入力内容をリセットして設定値の設定入力をやり直したりする。
【0015】
そこで、本発明のように、前記表示制御部により前記原稿の読取動作の先行開始を行ってもよいか否かの指示を入力するための操作画面を前記表示部に表示させ、前記受付部により前記原稿の読取動作を先行開始してもよい旨の指示が受け付けられた場合、すなわち、前記原稿の読取動作の先行開始についてユーザに同意を求めてその同意が得られた場合に、前記原稿の読取動作の先行開始させるようにすることで、このような事態が生じるのを回避することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像処理装置において、前記原稿読取部の読取動作に供する原稿が載置される原稿載置部と、前記原稿載置部における原稿の有無を検出する原稿検出部とを更に備え、前記表示制御部は、前記読取制御部が前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせる場合に、前記原稿検出部により原稿が検出されていないとき、前記原稿載置部に原稿が載置されていない旨のメッセージを出力し、前記読取制御部は、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせる場合に、前記原稿検出部により原稿が検出されていないとき、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせるのを待機し、前記表示制御部による前記メッセージの出力後に、前記原稿検出部により原稿が検出されると、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせるものである。
【0017】
この発明によれば、前記読取制御部が前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせる場合に、前記原稿検出部により原稿が検出されていないときには、前記表示制御部は、前記原稿載置部に原稿が載置されていない旨のメッセージを出力し、また、前記読取制御部は、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせるのを待機する。そして、前記表示制御部による前記メッセージの出力後に、前記原稿検出部により原稿が検出されると、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせる。これにより、ユーザが原稿載置部に原稿を載置し忘れていた場合であっても、原稿載置部への原稿の載置をユーザに行わせて前記原稿の読取動作の先行開始を実施することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来のように無駄なデータや処理が発生するのを防止しつつ、前記第1種操作画面を用いた設定値の設定入力の受け付けと、第2種操作画面を用いた設定値の設定入力の受け付けとの両方が完了してから前記原稿の読取動作を開始する場合に比して、ユーザにより設定入力された設定値に基づく一連の動作が完了するまでに要する時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成を示す側面概略図である。
【図2】操作部の部分拡大図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の制御ブロック図である。
【図4】画像形成装置が用紙の複写(コピー)を実行する場合に、ユーザが設定値を入力すべき設定項目の設定画面(操作画面)を示す図である。
【図5】本実施形態における設定画面の表示順の一例を示す図である。
【図6】記憶部の記憶内容を示す図である。
【図7】制御部による一連の処理を示すフローチャートである。
【図8】制御部による一連の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る画像処理装置について説明する。図1は、本発明に係る画像処理装置の一例である画像形成装置の構成を示す側面概略図である。図2は、操作部400の部分拡大図である。
【0021】
図1に示す画像形成装置1は、スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能等を兼ね備えた複合機であり、本体部200と、本体部200の用紙搬出側、例えば左側に配設された用紙後処理部300と、操作者が種々の操作指令等を入力するための操作部400と、本体部200の上部に配設された原稿読取部500と、原稿読取部500の上部に配設された原稿給送部600とから構成される。
【0022】
図2に示すように、操作部400は、表示部410と、操作者から操作指示が入力される操作キー部430を備える。操作キー部430は、スタートキー432、テンキー433及び機能切換キー部434等を備える。
【0023】
スタートキー432は、コピー動作やスキャン動作等の各動作を開始させる指示を操作者から受け付ける。テンキー433は、コピー部数を指定する指示等を操作者から受け付けるキーである。機能切換キー部434は、スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能及びコピー機能を相互に切り替える機能切換指示を操作者から受け付けるキーであり、当該画像形成装置1がスキャナとして機能するスキャナモードに設定するスキャナキー434aと、当該画像形成装置1がファクシミリとして機能するファクシミリモードに設定するファクシミリキー434bと、当該画像形成装置1がプリンタとして機能するプリンタモードに設定するプリンタキー434cと、当該画像形成装置1がコピーとして機能するコピーモードに設定するコピーキー434dとを有する。
【0024】
表示部410は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等からなり、タッチパネル機能を組み合わせたタッチパネルユニットを備えている。表示部410は、種々の操作画面を表示すると共に、操作者が表示面(表示されている操作キー)をタッチすることで種々の機能の実行指令を入力することが可能とされている。
【0025】
図1に戻り、原稿給送部600は、原稿載置部601、給紙ローラ602、原稿搬送部603及び原稿排出部604を備え、原稿読取部500は、スキャナ501を備える。給紙ローラ602は、原稿載置部601にセットされた所要枚数分の原稿を一枚ずつ繰り出し、原稿搬送部603は、繰り出される原稿を順次スキャナ501の読み取り位置に搬送する。スキャナ501は、搬送される原稿の画像を順次読み取り、読み取られた原稿は原稿排出部604に排出される。
【0026】
本体部200は、複数の給紙カセット201、複数の給紙ローラ202、画像形成部33、排出口209及び排出トレイ210等を備える。画像形成部33は、転写ローラ203、感光体ドラム204、露光装置206、現像装置207及び定着ローラ208を有する。
【0027】
感光体ドラム204は、矢印方向に回転しながら帯電装置(図示省略)によって一様に帯電される。露光装置206は、原稿読取部500において読み取られた原稿の画像に応じて変調されたレーザ光を感光体ドラム204の表面に走査し、該表面に色毎の静電潜像を形成する。現像装置207は、黒色の現像剤を感光体ドラム204に供給してトナー画像を形成する。
【0028】
一方、給紙ローラ202は、印刷用紙が収納された給紙カセット201から印刷用紙を引き出し、転写ローラ203まで給送する。転写ローラ203は、搬送された印刷用紙に感光体ドラム204の表面に形成されたトナー像を転写させ、定着ローラ208は、転写されたトナー像を加熱して印刷用紙に定着させる。その後、印刷用紙は、本体部200の排出口209から用紙後処理部300に搬入される。また、印刷用紙は、必要に応じて排出トレイ210へも排出される。
【0029】
用紙後処理部300は、搬入口301、印刷用紙搬送部302、搬出口303及びスタックトレイ304等を備える。印刷用紙搬送部302は、排出口209から搬入口301に搬入された印刷用紙を順次搬送し、最終的に搬出口303からスタックトレイ304へ印刷用紙を排出する。スタックトレイ304は、搬出口303から搬出された印刷用紙の集積枚数に応じて矢印方向に上下動可能に構成されている。
【0030】
図3は、図1に示す画像形成装置1の制御ブロック図である。画像形成装置1は、原稿読取部500、画像処理部21、プリンタ部31、操作部400、制御部51、ネットワークI/F(インターフェース)部71、HDD(ハードディスクドライブ)74、ファクシミリ通信部75及び原稿センサ部76を備える。
【0031】
原稿読取部500は、図1に示すスキャナ501を構成する露光ランプ12及びCCD(電荷結合素子)13を含む。原稿読取部500は、露光ランプ12により原稿を照射し、その反射光をCCD13で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像を画像処理部21へ出力する。
【0032】
画像処理部21は、読み取られた画像を必要に応じて、読み取られた画像に対してレベル補正、γ補正等の所定の補正処理や、画像の圧縮又は伸張処理、及び、拡大又は縮小処理等の種々の加工処理等を行うものである。画像処理部21によって処理された画像は図略の画像メモリに記憶されたりプリンタ部31に出力されたりする。
【0033】
プリンタ部31は、図1に示す給紙カセット201及び給紙ローラ202等から構成される用紙搬送部32、図1に示す感光体ドラム204、露光装置206、現像装置207転写ローラ203、定着ローラ208等から構成される画像形成部33を含み、用紙搬送部32により記録紙を画像形成部33へ搬送し、原稿読取部500により読み取られた原稿データに基づいて画像形成部33により上記の画像に対応するトナー像を感光体ドラム204に形成し、感光体ドラム204に形成されたトナー像を転写ローラ203により記録紙に転写し、定着ローラ208によりトナー像を記録紙に定着させて画像を形成する。
【0034】
ネットワークI/F部71は、ネットワークインタフェース(10/100Base-TX)等を用い、LANを介して外部装置との間での種々のデータの送受信を制御する。HDD74は、原稿読取部500によって読み取られた画像及び当該画像に設定されている出力形式等を記憶する。
【0035】
操作部400は、図1及び図2に示したように表示部410及び操作キー部430を備える。表示部410は、タッチパネル機能により各種指示の入力を受け付ける複数のキーを制御部51による制御の下で表示する。操作キー部430には、図2に示したスタートキー432、テンキー433、機能切換キー部434等が設けられている。制御部51は、前記表示部410及び操作キー部430の各キーから、操作者によって入力された指示を受け付ける。
【0036】
ファクシミリ通信部75は、符号化/復号化部(図示省略)、変復調部(図示省略)及びNCU(Network Control Unit;図示省略)を含む。ファクシミリ通信部75は、原稿読取部500によって読み取られた原稿の画像データを、電話回線を介してファクシミリ装置等へ送信したり、ファクシミリ装置等から送信された画像データを受信したりする。符号化/復号化部は、送信する画像データを圧縮・符号化し、受信した画像データを伸長・復号化する。変復調部は、圧縮・符号化された画像データを音声信号に変調し、受信した信号(音声信号)を画像データに復調する。NCUは、送受信先となるファクシミリ装置等との電話回線による接続を制御する。
【0037】
原稿センサ部76は、原稿載置部601に原稿がセットされているか否かを検出するためのものである。原稿センサ部76は、例えば一対の投受光器からなり、原稿載置部601に原稿がセットされているとき、前記投光器から出力された光が該原稿により反射され、この反射光が受光器により受光される。原稿センサ部76は、反射光が受光器により受光されたときにはH(ハイ)信号を制御部51に出力し、それ以外のときにはL(ロー)信号を出力する。
【0038】
制御部51は、画像形成装置1の動作制御を司るCPUと、データを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)、プログラムを予め記憶するROM、及び、前記プログラム等をROMから読み出して実行するCPUを備えて構成されており、CPUとRAM及びROMとはデータバスを介してデータの授受を行うように構成されている。
【0039】
制御部51は、CPUがROM等に格納されている本実施形態特有の画像処理プログラムを実行することで、表示制御部511と、受付部512と、原稿検出部513と、記憶部514と、読取制御部515としての機能を有する。
【0040】
表示制御部511は、当該画像形成装置1における各処理項目についての設定値を設定するための操作画面を表示部410にウィザード形式で表示させるものである。
【0041】
受付部512は、前記操作画面を用いた設定値の設定入力が行われるとその設定値の設定入力を受け付ける処理を行うものである。
【0042】
ここで、本実施形態では、表示制御部511は、原稿の読取動作とそれ以外の動作とを含む一連の動作を実施する場合に、原稿の読取動作に関連する設定項目の設定値を設定入力するための操作画面(以下、第1種操作画面という)を、原稿の読取動作に関連の無い設定項目の設定値を設定入力するための操作画面(以下、第2種操作画面という)よりも先に表示部410に表示させ、原稿の読取動作に関連する設定項目の設定値を、該読取動作に関連の無い設定項目の設定値よりも先に設定入力させるようにしている。
【0043】
例えば、コピーモードの場合、原稿の読取動作と用紙への画像形成動作とが一連の動作として実行されることとなる。このとき、原稿の読取動作に関連する設定項目としては、例えば原稿読取部500による読み込み濃度や読み込み解像度があり、一方、画像形成動作に関連する設定項目としては、例えば用紙サイズや用紙種別がある。
【0044】
今、画像形成装置1が用紙の複写(コピー)を実行する場合に、ユーザが設定値を入力すべき設定項目として、前述の「読み込み濃度」,「読み込み解像度」,「用紙サイズ」及び「用紙種別」の4つの設定項目が定められているものとする。また、図4に示すように、前記用紙サイズの設定項目については設定画面(第2種操作画面の一例)G1が、前記読み込み解像度については設定画面(第1種操作画面の一例)G2が、前記用紙種別については設定画面(第2種操作画面の一例)G3が、前記読み込み濃度については設定画面(第1種操作画面の一例)G4がそれぞれ設けられているものとする。
【0045】
このとき、表示制御部511は、図5に示すように、原稿の読取動作に関連する読み込み濃度や読み込み解像度についての設定画面G2,G4を、画像形成動作に関連する用紙サイズや用紙種別についての設定画面G1,G3より先に表示部410に表示させる。
【0046】
なお、図5(a)は、表示制御部511は、前記読み込み解像度についての設定画面(操作画面)G2、前記読み込み濃度についての設定画面(操作画面)G4、前記用紙サイズの設定項目につき設定画面(操作画面)G1、前記用紙種別についての設定画面(操作画面)G3を、この順に表示部410に表示させることを示している。
【0047】
また、図5(b)は、表示制御部511は、前記読み込み濃度についての設定画面(操作画面)G4、前記読み込み解像度についての設定画面(操作画面)G2、前記用紙種別についての設定画面(操作画面)G3、前記用紙サイズの設定項目につき設定画面(操作画面)G1を、この順に表示部410に表示させることを示している。
【0048】
図3に戻り、原稿検出部513は、原稿センサ76の出力信号に基づき、原稿載置部601に原稿がセットされているか否かを検出するものである。原稿検出部513は、原稿センサ部76からH(ハイ)信号を受信すると、原稿載置部601に原稿がセットされているものと判断し、原稿センサ部76からL(ロー)信号を受信すると、原稿載置部601に原稿がセットされていないものと判断する。
【0049】
記憶部514は、前述の読み込み濃度や用紙サイズなどのような画像形成装置1における各設定項目につき、原稿の読取動作との関連の有無と、原稿の読取動作の先行開始の可否とを予め記憶するものである。図6(a)は、コピーモードの場合の各設定項目と、それらの設定項目についての原稿の読取動作との関連の有無と、原稿の読取動作の先行開始の可否との対応関係を示すテーブルを示し、図6(b)は、スキャナモードで且つ読み取った画像を外部機器にメールで送信する場合の各設定項目と、それらの設定項目についての原稿の読取動作との関連の有無と、原稿の読取動作の先行開始の可否との対応関係を示すテーブルを示している。なお、図6(a),(b)では、当該設定項目についての原稿の読取動作と関連がある場合を「必要」と表し、関連が無い場合を「不要」と表している。
【0050】
読取制御部515は、原稿読取部500による読取動作を制御するものであり、特に本実施形態では、原稿の読取動作とそれ以外の動作とを含む一連の動作を実施する場合に、前記受付部512により原稿の読取動作に関連する設定項目に係る設定値の入力が受け付けられた時点で、後述する所定の条件を満たすか否かを判断して、前記所定の条件を満たす場合には、画像形成装置1で今回実施予定の動作に係る全ての設定項目の設定値の入力が完了していなくても、原稿読取部500に読取動作を先行開始させる。
【0051】
例えば、図5(a)に示す例では、前記読み込み解像度についての設定画面G4において、前記読み込み解像度の設定値の入力が、また、図5(b)に示す例では、前記読み込み濃度についての設定画面G2において前記読み込み濃度の設定値の入力がそれぞれ前記受付部512により受け付けられると、読取制御部515は、前記所定の条件を満たすか否かを判断し、前記所定の条件を満たす場合には、原稿読取部500に読取動作を先行開始させる。
【0052】
前記所定の条件とは、本実施形態では、以下の3つの条件である。1つは、原稿検出部513により原稿載置部601に原稿がセットされていると判断されていることである。また、1つは、今回画像形成装置1で実施予定の動作がユーザの作業と連携して行うもの、例えば、読取対象が本であり、原稿の読取動作に係る処理項目につき前記第1種操作画面を用いて設定入力された設定値に基づく画像形成装置1の動作が、ユーザに本のページをめくらせつつ各ページの画像を複写する動作などのように、ユーザの所定の作業と連携しながら行う動作ではないことである。また、1つは、原稿の読取動作を先行開始することについてユーザの同意が得られたことである。
【0053】
なお、原稿読取動作を先行開始する条件として、本実施形態では、前述の3つの条件を満たすこととしたが、本件は、原稿読取動作を先行開始する条件として、この3つの条件を全て満たした場合に限定されるものでは無いし、条件の内容が前述の条件に限定されるものでもなく、適宜設定可能である。
【0054】
表示制御部511は、前記同意を得るために、原稿の読取動作を先行開始してもよいか否かの指示を入力させるための操作画面を表示部410に表示させる。
【0055】
読取制御部515は、原稿の読取動作に関連する設定項目の設定値が入力された時点で、原稿検出部513により原稿載置部601に原稿がセットされていないと判断されているとき、原稿載置部601に原稿がセットされていない旨を報知する処理を表示制御部511に行わせ、原稿検出部513により原稿載置部601に原稿がセットされたと判断されるまで待機する。
【0056】
また、読取制御部515は、前記第1種操作画面で入力された設定値が、ユーザの作業と連携して行う動作を示すものである場合には、原稿の読取動作の先行開始を中止し、全ての設定項目について設定値の設定入力が完了した上で原稿の読取動作を原稿読取部500に開始させる。
【0057】
図7、図8は、制御部51による一連の処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、ユーザはコピー(複写)動作を画像形成装置1に行わせる状況を想定するものとする。
【0058】
図7に示すように、表示制御部511は、画像形成装置1のコピー(複写)動作に係る設定項目の設定値を設定入力するための操作画面を表示部410に表示すると(ステップ♯1)、前記受付部512は、該操作画面に対して設定項目の設定値の設定入力を受け付けたか否かを判断し(ステップ♯2)、前記設定値の設定入力を受け付けると(ステップ♯2でYES)、原稿の読取動作に必要な設定入力を全て受け付けたか否かを判断する(ステップ♯3)。
【0059】
受付部512は、原稿の読取動作に必要な設定入力を全て受け付けていないと判断すると(ステップ♯3でNO)、表示制御部511は、次の操作画面を表示部410に表示させ(ステップ♯4)、受付部512は、原稿の読取動作に必要な設定入力を全て受け付けたと判断すると(ステップ♯3でYES)、読取制御部515は、その原稿の読取動作がユーザの作業と連携して行うもの(ユーザの作業が必要なもの)であるか否かを判断する(ステップ♯5)。
【0060】
読取制御部515は、前記原稿の読取動作がユーザの作業と連携して行うものではないと判断すると(ステップ♯5でNO)、表示制御部511は、原稿の読取動作を先行開始してもよいか否かの指示を入力するための操作画面を表示部410に表示させ(ステップ♯6)、受付部512が、原稿の読取動作を先行開始してもよい旨の指示を受け付けると(ステップ♯6でYES)、読取制御部515は、原稿検出部513により原稿載置部601に原稿がセットされていると判断されているか否かの判断結果を参照する(ステップ♯7)。
【0061】
その結果、読取制御部515は、原稿検出部513により原稿載置部601に原稿がセットされていないと判断されているときには(ステップ♯7でNO)、表示制御部511は、その旨を示すメッセージを表示部410に出力させる一方(ステップ♯8)、原稿検出部513により原稿載置部601に原稿がセットされていると判断されているときには(ステップ♯7でYES)、読取制御部515は、原稿の読取動作を原稿読取部500に開始させ、表示制御部511は、次の操作画面(第2種操作画面)を表示部410に表示させる(ステップ♯9)。
【0062】
その後、図10に示すように、表示制御部511は、表示部410に表示された操作画面に対して設定項目の設定値を設定入力する操作が行われたか否かを判断し(ステップ♯10)、操作が行われると(ステップ♯10でYES)、受付部512は、複写動作に必要な設定入力を全て受け付けたか否かを判断する(ステップ♯11)。
【0063】
前記受付部512は、複写動作に必要な設定入力を全て受け付けていないと判断すると(ステップ♯11でNO)、表示制御部511は、次の操作画面を表示部410に表示させて(ステップ♯12)、ステップ♯10の処理に戻る一方、前記受付部512は、原稿の読取動作に必要な設定入力を全て受け付けると(ステップ♯11でYES)、制御部51は、画像形成部33に画像形成動作を行わせる(ステップ♯13)。
【0064】
なお、ステップ♯5において、読取制御部515は、前記原稿の読取動作がユーザの作業と連携して行うものであると判断した場合(ステップ♯5でYES)、及び、ステップ♯6において、受付部512が原稿の読取動作の先行開始を禁止する旨の指示を受け付けた場合には(ステップ♯6でNO)、受付部512は、原稿の読取動作に必要な設定入力を全て受け付けたか否かを判断する(ステップ♯14)。
【0065】
受付部512は、原稿の読取動作に必要な設定入力を全て受け付けていないと判断すると(ステップ♯14でNO)、表示制御部511は、次の操作画面を表示部410に表示させ(ステップ♯15)、該操作画面に対して設定項目の設定値の設定入力を受け付けると(ステップ♯16でYES)、ステップ♯14に戻る。
【0066】
受付部512は、複写動作に必要な設定入力を全て受け付けたものと判断すると(ステップ♯14でYES)、制御部51は、複写動作を画像形成装置1の各部に実施させる(ステップ♯17)。
【0067】
このように、本実施形態では、原稿の読取動作とそれ以外の動作(例えば画像形成動作)とを含む一連の動作を実施する場合に、原稿の読取動作に関連する設定項目の設定値を設定入力するための第1種操作画面を、原稿の読取動作に関連の無い設定項目の設定値を設定入力するための第2種操作画面よりも先に表示部410に表示させ原稿の読取動作に関連する設定項目の設定値を、該読取動作に関連の無い設定項目の設定値よりも先に設定入力させるようにした。
【0068】
また、所定の条件を満たした場合には、原稿の読取動作に係る設定項目の設定値が入力された時点で、原稿の読取動作以外の動作に係る設定項目の設定値が入力されていなくても、原稿読取部500に原稿の読取動作を先行開始させるようにした。
【0069】
これにより、画像形成動作に係る設定項目の設定値の入力と並行して、原稿の読取動作を行うことができ、全ての設定項目の設定値が入力されてから、原稿の読取動作と画像形成動作とを行う場合に比して、画像形成装置1による一連の処理が完了するまでの時間を短縮化することができる。
【0070】
また、仮に、前記原稿の読取動作が、ユーザの作業と連携して行うものである場合であっても前記原稿の読取動作の先行開始を実施するものとすると、その読取動作中に前記所定の作業が必要になったときに、前記原稿読取部500による前記原稿の読取動作が途中で中断することとなるが、このとき、ユーザは、引き続き残りの設定項目(前記第2種操作画面で設定すべき設定項目)の設定値の入力作業を行っている場合があり、この場合、その入力作業を中断して前記所定の作業を行う必要がある。ユーザは、その所定の作業を行うに際し、設定値の入力作業がどのステップまで進んだのかを記憶しておく必要があり、記憶していない場合には、ユーザは、設定値の入力作業を再開するにあたって混乱する可能性がある。
【0071】
これに対し、本実施形態では、画像形成装置1に行わせる動作が、原稿の読取動作とそれ以外の動作を含む場合であっても、前記原稿の読取動作がユーザの作業と連携して行うものである場合には、前述のような原稿の読取動作を先行開始しないようにしたので、前述のような事態が生じるのを回避することができる。ただし、本件は、前記原稿の読取動作がユーザの作業と連携して行うものである場合に原稿の読取動作を先行開始しない構成を必須の構成とするものではない。
【0072】
また、仮に、ユーザに無断で前記原稿の読取動作の先行開始を行う構成とすると、一連の操作の途中で自動的に(勝手に)前記原稿の読取動作が開始されることとなり、前記原稿の読取動作の先行開始機能が働くことを知らないユーザにとっては、不意に前記原稿の読取動作が開始されることとなり、このようなユーザは、何が原因で読取動作が開始されたのかを認識できず、残りの設定項目についての設定値の入力を中断してその読取動作が完了するまで待機したり、入力内容をリセットして設定値の入力をし直したりする。
【0073】
これに対し、本実施形態では、前記原稿の読取動作を先行開始についてユーザに同意を求め、同意が得られた場合に、前記原稿の読取動作を先行開始するようにしたので、このような事態が生じるのを回避することができる。ただし、本件は、前記原稿の読取動作を先行開始についてユーザに同意を求める構成を必須の構成とするものではなく、ユーザに同意を求めないで前記原稿の読取動作を先行開始する実施形態も含むものである。
【0074】
また、原稿の読取動作を先行開始する際に、原稿載置部601に原稿がセットされていない場合にはその旨を報知し、その後、原稿載置部601に原稿がセットされると、原稿の読取動作を先行開始するようにしたので、ユーザが原稿載置部601に原稿を載置し忘れていた場合であっても、原稿載置部601への原稿の載置をユーザに行わせて前記原稿の読取動作の先行開始を実施することができる。ただし、原稿載置部601に原稿がセットされていない場合にその旨を報知し、その後、原稿載置部601に原稿がセットされると、原稿の読取動作を先行開始する構成を含まない実施形態も本件の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
400 操作部
500 原稿読取部
410 表示部
51 制御部
76 原稿センサ部
511 表示制御部
512 受付部
513 原稿検出部
514 記憶部
515 読取制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る原稿読取部と、
当該画像処理装置における前記各処理項目についての設定値を設定するための操作画面をウィザード形式で表示部に表示させる表示制御部と、
前記操作画面を用いた設定値の設定入力が行われるとその設定値の設定入力を受け付ける受付部と、
前記表示制御部により前記ウィザード形式で表示される各操作画面において前記各設定項目についての設定値を設定入力する操作を行うための設定値入力操作部と、
前記原稿読取部の読取動作を制御する読取制御部と
を備え、
前記表示制御部は、前記原稿読取部による原稿の読取動作に関連する設定項目についての設定値を設定入力するための第1種操作画面と、前記原稿読取部による原稿の読取動作に関連しない設定項目についての設定値を設定入力するための第2種操作画面とを前記表示部に前記ウィザード形式で表示させる場合に、前記第1種操作画面を前記第2種操作画面より先に前記表示部に表示させ、
前記読取制御部は、前記受付部による前記第1種操作画面を用いた設定値の設定入力の受け付けが完了した時点で、前記原稿の読取動作を前記原稿読取部に先行開始させる画像処理装置。
【請求項2】
前記読取制御部は、前記第1種操作画面を用いて設定入力された設定値に基づく前記原稿の読取動作が、ユーザの所定の作業と連携して行うものである場合には、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせない請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記受付部により前記第1種操作画面を用いた設定値の設定入力が受け付けられると、前記原稿の読取動作の先行開始を行ってもよいか否かの指示を入力するための操作画面を前記表示部に表示させ、
前記読取制御部は、前記受付部により前記原稿の読取動作を先行開始してもよい旨の指示が受け付けられた場合に、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせる請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記原稿読取部の読取動作に供する原稿が載置される原稿載置部と、
前記原稿載置部における原稿の有無を検出する原稿検出部と
を更に備え、
前記表示制御部は、前記読取制御部が前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせる場合に、前記原稿検出部により原稿が検出されていないとき、前記原稿載置部に原稿が載置されていない旨のメッセージを出力し、
前記読取制御部は、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせる場合に、前記原稿検出部により原稿が検出されていないとき、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせるのを待機し、前記表示制御部による前記メッセージの出力後に、前記原稿検出部により原稿が検出されると、前記原稿の読取動作の先行開始を前記原稿読取部に行わせる請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−155466(P2011−155466A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15356(P2010−15356)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】