説明

画像処理装置

【課題】主観的に劣化の少ない補間フレームを生成して、動画像の品質を改善することが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】補間フレームを生成する場合に、予測ベクトル候補設定部121および動きベクトル検出部122は、時間的に連続する2つのフレームに基づいて、補間フレームを構成する各ブロックの動きベクトルを予測する。この時点で、動きベクトルのバラツキを求め、そのバラツキ具合により、処理を切り替える。動きベクトルのバラツキが小さい場合には、動きベクトル平滑化部124へ移行し、動きベクトルを、上記2つのフレームや隣接するブロックの動きベクトルに基づいて平滑化して、それら平滑化動きベクトルに基づいて、補間フレームを生成する。一方、動きベクトルのバラツキが大きい場合には、動きベクトルによる補間処理は行わず、空間的に同位置にある画像をそのまま流用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動画像の品質を改善する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイなどで発生するフレームのボケ感を低減させるフレーム倍速技術が盛んに開発されている。このフレーム倍速技術は、主に動きベクトル検出、動きベクトル平滑化、補間画像作成で構成されている。携帯電話機など、モバイル向けの低演算能力機器でフレーム補間技術を実現するためには、処理量コストの大きい動きベクトル検出の簡略化が不可欠であるが、簡略化によって、動きベクトルの誤検出が発生するといった二律背反の課題が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1では、フレーム全体の動き(以下、グローバル動きベクトルと称する)を平滑化の候補に追加して平滑化を行っている。しかしながら、単にグローバル動きベクトルを平滑化候補に加えるだけではノイズを除去できない可能性がある。特に、特許文献1のように、候補動きベクトルの中間値を選択するだけでは効果があまり期待できない。
【0004】
一方、例えば、特許文献2のように、動きベクトルの信頼性に応じた内挿フレームを選択する技術もある。しかしながら、信頼性判定の結果、信頼度の高い動きベクトルが既定数以下の場合には、過去フレームを参照することになるため、メモリアクセスの面で効率が悪くなっている。また、実際には、予測誤差や動きベクトルの大きさから動きベクトルの信頼度を正確に把握することは難しいため、必ずしも画質劣化を感じない補間フレームを生成できるとは限らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−30411号公報
【特許文献2】特開2001−24988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低処理能力のモバイル機器においてフレーム補間技術を実現するためには処理簡略化が必須となっている。処理簡略化は、主に動き検出部や動きの平滑化・補正部で行われているが、簡略化に伴い動きベクトルの信頼性が低下してしまうため、生成した画像の品質が低下してしまう。
【0007】
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、簡易な処理で、動きに周囲との均一性を持たせ、主観的に劣化の少ないフレーム補間を行う画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による画像処理装置は、時間的に連続する2つのフレームの間に挿入する補間フレームを生成する画像処理装置であって、前記補間フレームを構成する各ブロックの動きベクトルを取得する動きベクトル検出手段と、処理対象ブロックと処理対象ブロックに隣接するブロックの動きベクトルに対して前記動きベクトル検出手段によって取得された動きベクトル群のバラツキを算出し、このバラツキが所定の閾値以上である場合に、複数の動きベクトルを用いて動きベクトル平滑化を行い、平滑化された動きベクトルを用いて前記補間フレームを構成するブロックの動きベクトルを得るフレーム補間手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な処理で、動きに周囲との均一性を持たせ、主観的に劣化の少ないフレーム補間を行う画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に係わる画像処理装置を備えた移動無線端末装置の実施形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した画像処理装置のフレーム補間に関わる構成を示す回路ブロック図。
【図3】図2に示したフレーム補間部の動作を説明するためのフローチャート。
【図4】図2に示した動きベクトル検出部の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】図2に示した動きベクトル平滑化部の動作を説明するためのフローチャート。
【図6】図2に示したブロックサイズ再設定部の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】図6に示したブロックサイズ再設定部において処理ブロックサイズを大きくする場合の一例を説明するための図。
【図8】図6に示したブロックサイズ再設定部において処理ブロックサイズを小さくする場合の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、この発明の一実施形態に係わる画像処理装置を適用した移動無線端末装置の構成を示すブロック図である。この移動無線端末装置は、携帯電話機などのモバイル機器であって、図1に示すように、主な構成要素として、制御部100と、無線通信部10と、表示部20と、通話部30と、操作部40と、記憶部50と、放送受信部60とを備え、基地局装置BSおよび移動通信網NWを介して通信する通信機能と、放送局BCから送信される地上デジタル放送信号を受信する放送受信機能とを備える。
【0013】
無線通信部10は、制御部100の指示にしたがって、移動通信網NWに収容された基地局装置BSと無線通信を行うものであって、音声データや電子メールデータなどの送受信、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
【0014】
表示部20は、制御部100の制御により、画像(静止画像および動画像)や文字情報などを表示して、視覚的にユーザに情報を伝達するものである。
【0015】
通話部30は、スピーカ31やマイクロホン32を備え、マイクロホン32を通じて入力されたユーザの音声を制御部100にて処理可能な音声データに変換して制御部100に出力したり、無線通信部10を介して通話相手などから受信した音声データを復号してスピーカ31から出力するものである。
【0016】
操作部40は、複数のキースイッチなどを備え、これを通じてユーザから指示を受け付けるものである。
【0017】
記憶部50は、制御部100の制御プログラムや制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたコンテンツデータを記憶し、またストリーミングデータなどを一時的に記憶するものである。なお、記憶部50は、HDD、RAM、ROM、ICメモリなどの1つ又は複数の記憶手段を含むものである。
【0018】
放送受信部60は、放送局BCから送信される地上デジタル放送信号のうち、ワンセグメントを受信し、映像信号が、例えばH.264などの形式で符号化された放送データ(符号化ストリーム)を得る。なお、ここでは、低フレームレートのワンセグメントを例に挙げるが、これに限らず、より高いフレームレートのフルセグメントを受信するディジタルチューナであってもよい。
【0019】
制御部100は、マイクロプロセッサを備え、記憶部50が記憶する制御プログラムや制御dcsデータにしたがって動作し、当該移動無線端末装置の各部を統括して制御し、例えば音声通信やデータ通信(電子メールの送受信や、Webブラウジング、ストリーミングデータのダウンロードなど)の通信機能を実現するものである。
【0020】
さらに制御部100は、放送受信部60で得られた上記放送データを復号し、この復号結果に画像処理を施して、放送される映像を表示部20に表示する放送受信制御を行う。
【0021】
この放送受信制御は、上記放送受信機能を実現するためのものであって、制御部100は、図2に示すように、動画像復号部110と、フレーム補間部120と、表示ドライバ130とを備える。この他に、図示しないが、放送受信部60で受信されたオーディオデータを復号するオーディオ復号部も備える。
【0022】
動画像復号部110は、動画像の符号化データ(Video Elementary Stream)を復号し
、これによって複数の動画像フレームFtで構成される動画像と符号化情報を得る。なお、この時点で得られる動画像のフレームレートは、15Hzと仮定する。
【0023】
そして動画像復号部110は、動画像の符号化データを復号し、動画像フレームおよび符号化情報を出力する。動画像フレームは、フレーム補間部120と表示ドライバ130に入力される。
【0024】
フレーム補間部120は、時間的に連続する2つの動画像フレームFt−1とFと、それぞれに対応する符号化情報とに基づいて、これらの動画像フレーム間を補間する補間フレームFt−0.5を生成するもので、予測ベクトル候補設定部121と、動きベクトル検出部122と、大域動きベクトル検出部123と、動きベクトル平滑化部124と、αブレンディング部125と、動きベクトルバッファ126と、ブロックサイズ再設定部127とを備える。
【0025】
図3を参照して、フレーム補間部120の動作について説明する。動画像フレーム1枚
は、複数のブロックによって形成されたものとして扱われ、各ブロックには、動画像フレーム上の位置に応じた所定のブロックインデックスが与えられる。そして、ステップ3a〜3dでは、ブロックインデックスがラスタスキャン順に1つずつ選択されて、選択されたブロックインデックスに対応するブロック(以下、処理対象ブロックと称する)ごとに、ステップ3bおよび3cが実施される。
【0026】
ステップ3bでは、予測ベクトル候補設定部121が、処理対象ブロックに対して、時間的に隣接するブロック(前補間フレームFt−1.5のブロック)の動きベクトルと、空間的に隣接する同時刻(同一フレームFt-0.5)のブロックの動きベクトルを、それぞれ
予測ベクトル候補として設定する。なお、空間的に隣接するブロックの動きベクトルについては、ラスタスキャンされたブロックが対象となり、その動きベクトルだけが予測ベクトル候補として設定される。また、Ft-0.5のブロックに最終的に割り当てられた動きベ
クトル(最終的には平滑化動きベクトル)は、後述する動きベクトルバッファ126が記憶する。またデコーダからの情報が得られる場合は、Fを復号した際に用いた動きベクトルも使用して良い。
【0027】
ステップ3cでは、動きベクトル検出部122にて、処理対象ブロックの動きベクトルを決定する。図4にステップ3cの処理の詳細を示す。
【0028】
動きベクトル検出部122は、ステップ4a〜4fにおいて、ステップ3bで設定された予測ベクトル候補を順次選択し、各予測ベクトル候補にステップ4bから4eの処理を実行する。
【0029】
ステップ4bにおいて動きベクトル検出部122は、選択した予測ベクトル候補の予測誤差を算出する。
【0030】
ステップ4cにおいて動きベクトル検出部122は、選択した予測ベクトル候補の評価値を算出する。ここで評価値は、ステップ4bで求めた予測誤差に、所定の係数λと動きベクトルコストを乗算した値を加算した値でも良いし、予測誤差そのものでも良い。
【0031】
ステップ4dにおいて動きベクトル検出部122は、ステップ4cで求めた評価値の大小判定を行う。ここで、ステップ4cで求めた評価値がその時点での最小評価値未満の場合には、ステップ4eに移行する。一方、最小評価値以上の場合には、ステップ4aに戻り、次の予測ベクトル候補を選択する。ただし、処理対象ブロックの全ての予測ベクトル候補に対して4bから4eの処理を実行済みである場合には、当該処理を終了する。なお、最小評価値は、処理対照ブロックに対するステップ4aから4eの処理を開始する前に初期値が設定されており、処理対象ブロックごとにリセットされるものとする。
【0032】
ステップ4eにおいて動きベクトル検出部122は、ステップ4cで求めた評価値で最小評価値を更新する。また動きベクトル検出部122は、最小評価値に対応する予測ベクトル候補を動きベクトルとして決定する。
【0033】
再び、図3を参照して説明する。
ステップ3e〜3kでは、ブロックインデックスがラスタスキャン順に1つずつ選択されて、選択されたブロックインデックスに対応するブロック(以下、処理対象ブロックと称する)ごとに、ステップ3fおよび3jが実施される。
【0034】
ステップ3fでは、動きベクトルバラツキ判定部123が、処理対象ブロックの動きベクトルと処理対象ブロックに隣接するブロックの動きベクトルとのバラツキ”VAR”を算出する。動きベクトルのバラツキ”VAR”は、上記動きベクトル群の分散とする。次にVARと予め定めておいた閾値”VARth”との比較を行う。VARが小さいとき、つまりVAR<VARthのときは、補間処理を行った際に周囲のブロックとのズレが発生しにくいのでステップ3gとステップ3hに移行する。一方、動きベクトルのバラツキが大きいとき、つまりVAR>=VARthのときは、補間処理を行った際に周囲のブロックとのズレが発生しやすいのでステップ3iに移行する。以降、ステップ3g、3h、3iについて説明する。
【0035】
ステップ3gでは、動きベクトル平滑化部124が、処理対象ブロックの動きベクトルと、処理対象ブロックに隣接するブロックの動きベクトルとの乖離度を式(1)のベクトルメディアン、または式(2)の重み付きベクトルメディアンによって算出し、局所動きベクトルを平滑化する。具体的には、動きベクトル平滑化部124は、処理対象ブロック毎に、図5に示すような処理を実行して、ブロックごとに平滑化した動きベクトルを検出する。以下、図5を参照して説明する。
【数1】


ステップ5a〜5fでは、処理対象ブロックの動きベクトルを平滑化する。まず、ステップ5aにて、平滑化対象となる動きベクトルのインデックスj(j=0〜J)を走査す
る。インデックスJは、たとえば処理対象ブロックと隣接するブロックの計9ブロックと
し、これらの動きベクトルについて、それぞれステップ5b〜5eの処理を実行する。なお、動きベクトルの平滑化に用いるのは、処理対象ブロックと隣接するブロックの動きベクトルだけでなく、時間的に連続する2つの動画像フレームFt−1とFを構成するブロックの動きベクトルを用いても良い。
【0036】
ステップ5bにおいて動きベクトル平滑化部124は、処理対象の動きベクトルMVを基準動きベクトルとして設定し、ステップ5cに移行する。
【0037】
ステップ5cにおいて動きベクトル平滑化部124は、基準動きベクトルMVと他の動きベクトルMV(i=0〜9)とに基づいて評価値を算出し、ステップ5dに移行する。ステップ5cで算出する評価値は、式(1)、または式(2)を用いて求める。例えば
、他の動きベクトルMVと基準動きベクトルMVとの差の絶対値和に、処理対象ブロックの予測誤差(ステップ4bで算出)を乗算して評価値を求める。
【0038】
ステップ5dにおいて動きベクトル平滑化部124は、最小評価値Aと、ステップ5cで求めた評価値を比較し、最小評価値Aがステップ5cで求めた評価値より大きい場合には、ステップ5eに移行し、一方、最小評価値Aがステップ5cで求めた評価値以下の場合には、ステップ5fに移行して、次のインデックスの動きベクトルについて、ステップ5bから処理を実行する。なお、最小評価値Aは、新たな処理対象ブロックについて図5に示す処理を開始する際に、予め設定した初期値にリセットされる。
【0039】
ステップ5eにおいて動きベクトル平滑化部124は、最小評価値Aをステップ5cで求めた評価値で更新するとともに、この評価値を得るのに用いた動きベクトル(インデックスi)を平滑化動きベクトルとして更新・保持し、ステップ5fに移行して、次のインデックスの動きベクトルについて、ステップ5bから処理を実行する。
【0040】
全てのインデックスiについて処理を完了すると、当該処理を終了し、ステップ3hに移行する。
【0041】
ステップ3hでは、αブレンディング部125が、動きベクトル平滑化部124から出力された平滑化動きベクトルと復号フレームFt、t−1を用いて、補間フレームを生成する。
【0042】
まず、平滑化動きベクトルを復号フレームFt、t−1に割り当て処理対象ブロックの動きを考慮した補間画像を作成する。次に復号フレームFt、t−1に動きベクトル0を割り当てたとき(静止状態)の補間画像を作成する。この動と静の性質を有する補間画像を対象となるブロックの動きベクトルの信頼度(周辺動きベクトルとの乖離度)と動いた場合の予測誤差/動かなかった場合の予測誤差の比に基づくパラメータαを用いて、α:(1−α)の比率で合成することで最終的な補間画像を生成する。
【0043】
ステップ3iでは、処理対象ブロックと隣接ブロックとの動きベクトルのバラツキが大きく補間画像境界で歪が発生する可能性があるため、復号画像コピー部128は、復号画像F、またはFt−1をコピーしたものを出力する。つまり、ステップ3iでの補間処理は、復号画像F、またはFt−1をコピーするだけの処理とする。
【0044】
ステップ3jでは、処理ブロックサイズ再設定部127が、ステップ3fの結果を用いて処理ブロックサイズの再設定を行う。処理ブロックサイズ再設定部127の処理を図6に示す。
【0045】
動きベクトルのバラツキVARと閾値VARthとの比較の結果、動きベクトルのバラツキがVAR<VARthのときは(ステップ6aのYes)、物体の動きを大まかには捉えているため、ブロックサイズを小さめに設定し、詳細な動きに対応できるよう変更する(ステップ6b)。一方、VAR>=VARthのときは(ステップ6aのNo)、物体の動きが把握できていない可能性があるため、ブロックサイズを大きめに設定し、大域的な動きに追従できるようブロックサイズを変更する(ステップ6c)。
【0046】
ステップ3kでは、フレーム補間部120が、全てのブロックインデックスについて処理を完了したか否かを判断し、完了した場合には、当該処理を終了する。また、完了していない場合には、処理対象ブロックとして、次のインデックスのブロックについて、ステップ3eから処理を実行する。
【0047】
ここまでの処理で、補間フレームを構成する各ブロックの動きベクトルが生成され、これらの動きベクトルは、動きベクトルバッファ126に記憶される。動きベクトルバッファ126に記憶された動きベクトルは、次の補間フレームを生成するために、予測ベクトル候補設定部121で用いられる。
【0048】
なお、図7に示すように処理ブロックサイズを大きくした場合、次の補間フレームを生成するために予測ベクトル候補設定部121で用いられる動きベクトルは、例えば処理ブロックサイズ変更前の動きベクトルの平均値または中央値とする。また、図8に示すように処理ブロックサイズを小さくした場合には、次の補間フレームを生成するために予測ベクトル候補設定部121で用いられる動きベクトルは、例えば処理ブロックサイズ変更前の動きベクトルと同じ動きベクトルとする。
【0049】
以上のようにして、補間フレームFt−0.5が生成されると、表示ドライバ130は、動画像復号部110で得た動画像フレームFと、フレーム補間部120から与えられる補間フレームFt−0.5とをバッファメモリに記憶し、これらのフレームを交互に表示部20に出力する。動画像フレームFおよび補間フレームFt−0.5は、それぞれフレームレートが15Hzであるが、これらを表示ドライバ130が交互に出力することで30Hzのフレームレートの動画像を出力することができる。そして、表示部130は、30Hzのフレームレートの動画像を表示する。
【0050】
以上のように、上記構成の画像処理装置では、補間フレームを生成する場合に、時間的に連続する2つのフレームに基づいて、補間フレームを構成する各ブロックの動きベクトルを予測・検出し、この動きベクトルのバラツキ具合から、補間を行うかを決定する。補間するブロックに関しては、上記2つのフレームや隣接するブロックの動きベクトルに基づいて平滑化して、平滑化動きベクトルを求める。それら平滑化動きベクトルに基づいて、補間フレームを生成するようにしている。
【0051】
したがって、上記構成の画像処理装置によれば、処理対象ブロックとその隣接ブロックの動きベクトルのバラツキを把握することで補間ミスが発生しやすいブロックを早期に検出し、主観的に劣化の少ない補間フレームを生成して、動画像の品質を改善することができる。
【0052】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0053】
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0054】
10…無線通信部、20…表示部、30…通話部、31…スピーカ、32…マイクロホン、40…操作部、50…記憶部、60…放送受信部、100…制御部、110…動画像復号部、120…フレーム補間部、121…予測ベクトル候補設定部、122…動きベクトル検出部、123…動きベクトルバラツキ判定部、124…動きベクトル平滑化部、125
…αブレンディング部、126…動きベクトルバッファ、127…ブロックサイズ再設定部、128…復号画像コピー部、130…表示ドライバ、BC…放送局、BS…基地局装置、NW…移動通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間的に連続する2つのフレームの間に挿入する補間フレームを生成する画像処理装置であって、
前記補間フレームを構成する各ブロックの動きベクトルを取得する動きベクトル検出手段と、
処理対象ブロックと処理対象ブロックに隣接するブロックの動きベクトルに対して前記動きベクトル検出手段によって取得された動きベクトル群のバラツキを算出し、このバラツキが所定の閾値以上である場合に、複数の動きベクトルを用いて動きベクトル平滑化を行い、平滑化された動きベクトルを用いて前記補間フレームを構成するブロックの動きベクトルを得るフレーム補間手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記フレーム補間手段は、処理対象ブロックに隣接するブロックの動きベクトルまたは前記2つのフレームを構成するブロックの動きベクトルの少なくともいずれか一方を用いて動きベクトル平滑化を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記フレーム補間手段は、処理対象ブロックと処理対象ブロックに隣接するブロックの動きベクトルに対して前記動きベクトル検出手段によって取得された動きベクトル群のバラツキを算出し、このバラツキが所定の閾値以上である場合には、前記時間的に連続する2つのフレームのいずれか一方のフレームを構成するブロックを補間フレームのブロックとして用いることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記フレーム補間手段によって算出した動きベクトル群のバラツキが所定の閾値以上か所定の閾値未満であるかに応じて、補間処理を行う処理ブロックサイズを再設定するブロックサイズ再設定手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−77948(P2011−77948A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228909(P2009−228909)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】