説明

画像処理装置

【構成】複数の評価エリアは、隣り合う2つの評価エリアが部分的に重複する態様で指定画像上に割り当てられる。複数の評価エリアにそれぞれ対応する複数部分のYデータは、抽出回路74によって指定画像から抽出される。隣り合う2つの評価エリアについて、掛け算器76は一方の評価エリアに属する各画素のYデータを重み付け量に従って補正し、掛け算器78は他方の評価エリアに属する各画素のYデータを重み付け量に従って補正する。重み付け量は、補正対象の画素が補正対象の評価エリアの端部に近づくほど低減される。積分器84は掛け算器76から出力されたYデータを評価エリア毎に積分し、積分器86は掛け算器78から出力されたYデータを評価エリア毎に積分する。指定画像のコントラストは、こうして算出された複数の積分値に基づいて調整される。
【効果】画質調整性能の向上が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置に関し、特にディジタルカメラに適用され、画像の品質を調整する、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、電荷蓄積時間算出部は、1画面分のR,G,B画素単位の画像データに基づいて、電荷蓄積時間を算出する。領域別平均輝度算出部は、1画面を所定数領域に分割し、R,G,B画素単位の画像データに基づいて各領域における平均輝度値を算出する。特徴値算出部は、算出された各領域の平均輝度値に基づいて特徴値を算出する。γ係数選定部は、算出された特徴値および電荷蓄積時間に基づいてγ係数を選定する。γ補正部は選定されたγ係数に基づいて画像データにγ補正を施し、露出制御部は選定されたγ係数に応じて露出を制御する。これによって、被写体のダイナミックレンジが高精度で検出され、最適なγ補正を通じてコントラストの改善が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−135601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、特徴値の算出の基礎となるパラメータ値は各領域における平均輝度値であるため、画質の調整性能に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、画質の調整性能を向上させることができる、画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う画像処理装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、複数のエリアを指定画像に割り当てる割り当て手段(68)、複数のエリアにそれぞれ対応する複数の部分画像を指定画像から抽出する抽出手段(74)、抽出手段によって抽出された複数の部分画像の各々を形成する複数の画素のパラメータ値を補正する補正手段(76, 78)、補正対象の部分画像における補正対象の画素の位置に応じて異なるように補正手段の補正量を定義する定義手段(80, 82)、補正手段によって補正されたパラメータ値を複数のエリアの各々に対応して積分する積分手段(84, 86)、および指定画像の品質を積分手段によって算出された複数の積分値に基づいて調整する調整手段(56~60)を備える。
【0007】
好ましくは、割り当て手段は水平方向および垂直方向の少なくとも一方において隣り合う2つのエリアが部分的に重複する態様で複数のエリアをマトリクス状に指定画像に割り当て、定義手段は補正対象の画素が補正対象の部分画像の端部に近づくほど補正手段の補正量を低減する。
【0008】
好ましくは、補正手段によって注目されるパラメータは輝度を含む。
【0009】
好ましくは、調整手段は、積分手段によって生成された2以上の積分値に補間演算を施す演算手段(58)、および演算手段によって算出された数値を参照して画素毎に品質を調整する調整処理手段(56)を含む。
【0010】
好ましくは、調整手段によって注目される品質はコントラストを含む。
【0011】
好ましくは、被写界を捉える撮像手段(18)がさらに備えられ、指定画像は被写界を表す画像に相当する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、複数のエリアにそれぞれ属する複数の部分画像は、指定画像から抽出される。抽出された複数の部分画像の各々を形成する複数の画素のパラメータ値は、補正対象の部分画像における補正対象の画素の位置に応じて異なるように定義された補正量で補正される。これによって、画質調整性能の向上が図られる。
【0013】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例に適用される後処理回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】撮像面に割り当てられた複数の評価エリアの分布状態の一例を示す図解図である。
【図5】図4に示す分布状態の詳細を示す図解図である。
【図6】図3実施例に適用される評価値算出回路の構成の一例を示すグラフである。
【図7】(A)は図6実施例に適用される重み付け量算出回路の動作の一部を示す図解図であり、(B)は図6実施例に適用される重み付け量算出回路の動作の他の一部を示す図解図である。
【図8】図3実施例に適用される線形補間回路の動作の一例を示す図解図である。
【図9】他の実施例に適用される後処理回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】(A)はその他の実施例に適用される重み付け量算出回路の動作の一部を示す図解図であり、(B)はその他の実施例に適用される重み付け量算出回路の動作の他の一部を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0016】
図1を参照して、この発明の実施例である画像処理装置は、基本的に次のように構成される。割り当て手段1は、複数のエリアを指定画像に割り当てる。抽出手段2は、複数のエリアにそれぞれ対応する複数の部分画像を指定画像から抽出する。補正手段3は、抽出手段2によって抽出された複数の部分画像の各々を形成する複数の画素のパラメータ値を補正する。定義手段4は、補正対象の部分画像における補正対象の画素の位置に応じて異なるように補正手段3の補正量を定義する。積分手段5は、補正手段3によって補正されたパラメータ値を複数のエリアの各々に対応して積分する。調整手段6は、指定画像の品質を積分手段5によって算出された複数の積分値に基づいて調整する。
【0017】
複数のエリアにそれぞれ属する複数の部分画像は、指定画像から抽出される。抽出された複数の部分画像の各々を形成する複数の画素のパラメータ値は、補正対象の部分画像における補正対象の画素の位置に応じて異なるように定義された補正量で補正される。これによって、画質調整性能の向上が図られる。
[実施例]
【0018】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、ドライバ20aおよび20bによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ12および絞り機構14を含む。フォーカスレンズ12および絞り機構14を経た被写界の光学像は、撮像装置18の撮像面に照射される。
【0019】
撮像面には複数の受光素子(=画素)が2次元状に配置され、撮像面は図3に示す原色ベイヤ配列の色フィルタ16によって覆われる。撮像面に配置された受光素子は色フィルタ16を構成するフィルタ要素と1対1で対応し、各受光素子で生成される電荷の量はR,GまたはBの色に対応する光の強度を反映する。
【0020】
電源が投入されると、CPU34は、動画取り込み処理を実行するべく、ドライバ20cに露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しを命令する。ドライバ20cは、図示しないSG(Signal Generator)から周期的に出力された垂直同期信号Vsyncに応答して、撮像面を露光し、かつこれによって生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。撮像装置18からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。出力される生画像データは、各画素がR,GおよびBのいずれか1つの色情報を有する画像データに相当する。
【0021】
前処理回路22は、撮像装置18から出力された生画像データにディジタルクランプ,画素欠陥補正,ゲイン制御などの処理を施す。これらの処理を施された生画像データは、メモリ制御回路24を通してSDRAM26の生画像エリア26aに書き込まれる。
【0022】
後処理回路28は、生画像エリア26aに格納された生画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された生画像データに色分離,白バランス調整,YUV変換,コントラスト調整などの処理を施す。コントラスト調整にあたっては、前処理回路22から出力された生画像データに基づく補間評価値(後述)が参照される。これによって得られたYUV形式の画像データは、メモリ制御回路24を通してSDRAM26のYUV画像エリア26bに書き込まれる。
【0023】
LCDドライバ30は、YUV画像エリア26bに格納された画像データをメモリ制御回路24を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、被写界を表す動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0024】
キー入力装置36に設けられたシャッタボタン36shが非操作状態のとき、CPU34は、前処理回路22から出力された生画像データに基づいて適正EV値を算出するべく簡易AE処理を繰り返し実行する。算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間は、ドライバ20bおよび20cにそれぞれ設定される。この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。
【0025】
シャッタボタン36shが半押しされると、CPU34は、前処理回路22から出力された生画像データに基づいて最適EV値を算出するべく厳格AE処理を実行する。上述と同様、厳格AE処理によって算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間は、ドライバ20bおよび20cにそれぞれ設定される。この結果、スルー画像の明るさが最適値に調整される。
【0026】
CPU34は続いて、AF処理を実行する。フォーカスレンズ12はドライバ20aによって光軸方向に移動され、合焦点はレンズ移動処理と並列して前処理回路22から出力された生画像データの高周波成分に基づいて探索される。合焦点が発見されるとレンズ移動処理が終了され、フォーカスレンズ12は発見された合焦点に配置される。これによって、スルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0027】
シャッタボタン36shが全押しされると、CPU34は、静止画取り込み処理を実行する。シャッタボタン36shが全押しされた時点の被写界を表す1フレームの画像データは、YUV画像エリア26bからワークエリア26cに退避される。静止画取り込み処理が完了すると、CPU34は記録処理のためにI/F38を起動する。I/F38は、ワークエリア26cに退避された画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された画像データをファイル形式で記録媒体40に記録する。
【0028】
後処理回路28は、図3に示すように構成される。簡易Y変換回路72は、前処理回路22から出力された生画像データを簡易的にYデータに変換し、変換されたYデータをγ補正回路70に与える。γ補正回路70は、既定のγ補正曲線に沿ってYデータ値を画素毎に補正する。補正されたYデータ値は、評価値算出回路62_01〜62_64に与えられる。
【0029】
図4を参照して、撮像面の有効画像エリアには、共通のサイズを有する水平64個×垂直64個の評価エリアBLK(1,1)〜BLK(64,64)が割り当てられる。評価エリアBLK(1,1)〜BLK(64,64)の位置およびサイズは、エリアレジスタ68(図3参照)に登録される。なお、括弧内の2つの数値のうち、左側の数値が評価エリアの水平位置を示し、右側の数値が評価エリアの垂直位置を示す。
【0030】
左端において垂直方向に並ぶ64個の評価エリアBLK(1,1)〜BLK(1,64)の左端は有効画像エリアの左端に接し、右端において垂直方向に並ぶ64個の評価エリアBLK(64,1)〜BLK(64,64)の右端は有効画像エリアの右端に接する。同様に、上端において水平方向に並ぶ64個の評価エリアBLK(1,1)〜BLK(64,1)の上端は有効画像エリアの上端に接し、下端において垂直方向に並ぶ64個の評価エリアBLK(1,64)〜BLK(64,64)の下端は有効画像エリアの下端に接する。
【0031】
評価値算出回路62_M(M:01〜64)は、評価エリアBLK(M,1)〜BLK(M,64)の各々に属するYデータに基づいて評価値を算出する。生画像データはラスタ走査態様で撮像装置18から出力されるため、γ補正処理を施されたYデータもまたラスタ走査態様でγ補正回路70から出力される。したがって、評価値算出回路62_01〜62_64は、垂直方向のN番目(N:1〜64)に並ぶ64個の評価値を並列的に算出し、このような算出処理をラスタ走査に同期して64回繰り返す。これによって、評価エリアBLK(1,1)〜BLK(64,64)にそれぞれ対応する水平64個×垂直64個の評価値がフレーム毎に算出され、こうして得られた合計4096個の評価値が評価値レジスタ60に設定される。
【0032】
水平方向および垂直方向において隣り合う4つの評価エリアBLK(m,n),BLK(m+1,n),BLK(m,n+1)およびBLK(m+1,n+1)は、詳しくは図5に示すように分布する。
【0033】
評価エリアBLK(m,n)およびBLK(m+1,n)は水平方向において部分的に重複し、評価エリアBLK(m,n+1)およびBLK(m+1,n+1)も水平方向において部分的に重複する。さらに、評価エリアBLK(m,n)およびBLK(m,n+1)は垂直方向において部分的に重複し、評価エリアBLK(m+1,n)およびBLK(m+1,n+1)も垂直方向において部分的に重複する。隣り合う2つの評価エリアの重複量は、評価エリアのサイズの1/2に相当する。
【0034】
なお、図示とは異なり、評価エリアBLK(m,n)およびBLK(m+1,n)の垂直位置は互いに一致し、評価エリアBLK(m,n+1)およびBLK(m+1,n+1)の垂直位置も互いに一致する。同様に、評価エリアBLK(m,n)およびBLK(m,n+1)の水平位置は互いに一致し、評価エリアBLK(m+1,n)およびBLK(m+1,n+1)の水平位置も互いに一致する。
【0035】
このような重複的な分布を考慮して、評価値算出回路62_01〜62_64の各々は図6に示すように構成される。評価値算出回路62_Mに設けられた抽出回路74は、γ補正回路70から出力されたYデータのうち、評価エリアBLK(M,1)〜BLK(M,64)に属する一部のYデータを抽出する。現画素のYデータが抽出対象であるか否かの判別にあたっては、エリアレジスタ68の記述と現画素の位置を示す画素位置情報とが参照される。こうして抽出されたYデータは、掛け算器76および78の一方入力端に与えられる。
【0036】
重み付け量算出回路80は、抽出された現画素のYデータが属する評価エリアをエリアレジスタ68に登録された奇数番目の評価エリアBLK(M,1),BLK(M,3),…の中から特定し、特定された評価エリアの中心位置から現画素の位置までの水平オフセットおよび垂直オフセットを画素位置情報に基づいて算出し、そして算出された水平オフセットおよび垂直オフセットを数1に適用して重み付け量を算出する。
【0037】
同様に、重み付け量算出回路82は、抽出された現画素のYデータが属する評価エリアをエリアレジスタ68に登録された偶数番目の評価エリアBLK(M,2),BLK(M,4),…の中から特定し、特定された評価エリアの中心位置から現画素の位置までの水平オフセットおよび垂直オフセットを画素位置情報に基づいて算出し、そして算出された水平オフセットおよび垂直オフセットを数1に適用して重み付け量を算出する。
[数1]
【0038】
W=(1−OFST_H*K1)*(1−OFST_V*K2)
【0039】
W:重み付け量
【0040】
K1,K2:正極を有する定数
【0041】
OFST_H:水平オフセット
【0042】
OFST_V:垂直オフセット
【0043】
数1によれば、水平オフセットおよび/または垂直オフセットの増大に伴って重み付け量が低減される。したがって、重み付け量は、水平オフセットに対して図7(A)に示す要領で変化し、垂直オフセットに対して図7(B)に示す要領で変化する。つまり、重み付け量は、評価エリアの中心において最大となり、評価エリアの端部において最小となる。
【0044】
ただし、互いに隣り合う2つの評価エリアは部分的に重複するため、一方の評価エリアの端部近傍に存在する画素に注目したとき、この注目画素は、他方の評価エリアにおいては端部よりも中心寄りに存在する。この結果、注目画素に対する重み付け量は、一方の評価エリアに対応して小さい値を示す一方、他方評価エリアに対応して大きい値を示す。
【0045】
重み付け量算出回路80によって算出された重み付け量は掛け算器76の他方入力端に与えられ、重み付け量算出回路82によって算出された重み付け量は掛け算器78の他方入力端に与えられる。
【0046】
掛け算器76は、一方入力端に与えられたYデータの値を他方入力端に与えられた重み付け量Wによって掛け算し、掛け算値を有するYデータを積分器84に与える。同様に、掛け算器78は、一方入力端に与えられたYデータの値を他方入力端に与えられた重み付け量Wによって掛け算し、掛け算値を有するYデータを積分器86に与える。
【0047】
積分器84は、エリアレジスタ68の記述と画素位置情報とを参照してYデータが属する評価エリアを奇数番目の評価エリアBLK(M,1),BLK(M,3),…の中から特定し、評価エリア毎にYデータを積分する。同様に、積分器86は、エリアレジスタ68の記述と画素位置情報とを参照してYデータが属する評価エリアを偶数番目の評価エリアBLK(M,2),BLK(M,4),…の中から特定し、評価エリア毎にYデータを積分する。この結果、奇数番目の評価エリアBLK(M,1),BLK(M,3),…にそれぞれ対応する32個の評価値が積分器84から出力され、偶数番目の評価エリアBLK(M,2),BLK(M,4),…にそれぞれ対応する32個の評価値が積分器86から出力される。
【0048】
図3に戻って、色分離回路50は、メモリ制御回路24から与えられた生画像データに色分離処理を施して、各画素がR,GおよびBの全ての色情報を有するRGB形式の画像データを作成する。作成された画像データの白バランスは白バランス調整回路52によって調整され、調整された白バランスを有する画像データの形式はYUV変換回路54によってYUV形式に変換される。
【0049】
YUV形式の画像データもまた、ラスタ走査態様で1画素ずつYUV変換回路54から出力される。線形補間回路58は、現画素(現時点でYUV変換回路54から出力されている画素)が属する1または2以上の評価エリアを特定し、特定された1または2以上の評価エリアにそれぞれ対応する1または2以上の評価値を評価値レジスタ60から読み出し、そして読み出された1または2以上の評価値に線形補間を施す。これによって、現画素に対応する補間評価値が算出される。
【0050】
評価値が図8において矢印で示す大きさを有する場合、補間評価値の大きさは、同じ図8に太線で示す要領で変化する。コントラスト調整回路56は、こうして算出された補間評価値を参照して、YUV変換回路56から与えられた画像データのコントラストを1画素ずつ調整する。調整されたコントラストを有する画像データはその後、メモリ制御回路24に向けて出力される。
【0051】
以上の説明から分かるように、エリアレジスタ68は、隣り合う2つの評価エリアが部分的に重複する態様で複数の評価エリアBLK(1,1)〜BLK(64,64)を指定画像に割り当てる。評価値算出回路62_Mに設けられた抽出回路74は、評価エリアBLK(M,1)〜BLK(M,64)にそれぞれ対応する複数部分のYデータを指定画像から抽出する。
【0052】
評価値算出回路62_Mに設けられた掛け算器76および78は、評価エリアBLK(M,1)〜BLK(M,64)の各々に属する複数の画素のYデータ値を重み付け量に従って補正する。評価値算出回路62_Mに設けられた重み付け量算出回路80および82は、補正対象の評価エリアにおける補正対象の画素の位置に応じて異なるように、重み付け量を定義する。より詳しくは、重み付け量は、補正対象の画素が補正対象の評価エリアの端部に近づくほど低減される。
【0053】
評価値算出回路62_Mに設けられた積分器84および86は、このような重み付け量に従って補正されたYデータ値を評価エリアBLK(M,1)〜BLK(M,64)の各々に対応して積分する。コントラスト調整回路56は、このような積分処理によって算出された複数の評価値に基づいて指定画像のコントラストを調整する。
【0054】
このように、複数の評価エリアBLK(1,1)〜(64,64)にそれぞれ属する複数部分のYデータは、指定画像から抽出される。抽出された複数部分の各々を形成する複数の画素のYデータ値は、補正対象の画素が補正対象の部分の端部に近づくほど低減される補正量で補正される。ここで、評価エリアBLK(1,1)〜(64,64)は、隣り合う2つの評価エリアが部分的に重複する態様で指定画像に割り当てられる。
【0055】
このため、或る評価エリアの端部近傍に存在する特徴画素は、隣接する他の評価エリアにおいては端部よりも中央寄りに存在し、特徴画素のYデータ値の重み付け量は、或る評価エリアに対応して減少する一方、隣接する他の評価エリアにおいて増大する。これによって、指定画像の品質の調整性能が特徴画素の位置によって低下する事態が抑制され、画質調整性能の向上が図られる。
【0056】
なお、この実施例では、γ補正を施されたYデータに基づく補間積分値を参照して調整すべきパラメータとして、コントラストを想定している。しかし、コントラストに代えて、或いはコントラストとともに、輪郭強調度を調整したり、さらにはフォーカスや露光量などを調整したりするようにしてもよい。
【0057】
また、この実施例では、前処理回路22から出力された生画像データに基づく複数の積分値を評価値レジスタ60に設定し、同じフレームの生画像データに基づくYUV画像データのコントラストを評価値レジスタ60に設定された複数の積分値に基づいて調整するようにしている。しかし、積分値の算出のために参照された生画像データとコントラスト調整を施すYUV画像データとの間での1フレームのずれを許容するのであれば、YUV変換回路54から出力されたYデータを分配器66に入力するようにしてもよい。この場合、後処理回路28は図9に示すように構成される。
【0058】
さらに、この実施例では、スルー画像および記録画像のコントラストをγ補正処理を施されたYデータに基づいてリアルタイムで調整するようにしている。しかし、このような調整処理の対象を記録画像に限定するのであれば、静止画取り込み処理が完了した後に動画取り込み処理を中断し、ワークエリア26cに退避された1フレームの画像データを繰り返し後処理回路28に入力することで、コントラストが高精度で調整された記録画像を作成することができる。
【0059】
また、この実施例では、図7(A)および図7(B)に示すように、重み付け量は評価エリアの端部に近づくにつれて線形に低減する特性を示す。しかし、評価エリアの端部に近づくにつれて低減する限り、重み付け量は図10(A)および図10(B)に示すように非線形に(ガウス関数に沿って)変化する特性を示してもよい。
【0060】
さらに、この実施例では、評価エリアは水平方向および垂直方向の両方において部分的に重複し、かつ重複量は評価エリアのサイズの1/2に相当する。しかし、評価エリアは水平方向および垂直方向の少なくとも一方において重複するようにしてもよく、さらに重複量は評価エリアのサイズの1/2と異なってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 …ディジタルカメラ
18 …撮像装置
22 …前処理回路
28 …後処理回路
34 …CPU
56 …コントラスト調整回路
58 …線形補間回路
62_01〜62_64 …評価値算出回路
68 …エリアレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアを指定画像に割り当てる割り当て手段、
前記複数のエリアにそれぞれ対応する複数の部分画像を前記指定画像から抽出する抽出手段、
前記抽出手段によって抽出された複数の部分画像の各々を形成する複数の画素のパラメータ値を補正する補正手段、
補正対象の部分画像における補正対象の画素の位置に応じて異なるように前記補正手段の補正量を定義する定義手段、
前記補正手段によって補正されたパラメータ値を前記複数のエリアの各々に対応して積分する積分手段、および
前記指定画像の品質を前記積分手段によって算出された複数の積分値に基づいて調整する調整手段を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記割り当て手段は水平方向および垂直方向の少なくとも一方において隣り合う2つのエリアが部分的に重複する態様で前記複数のエリアをマトリクス状に前記指定画像に割り当て、
前記定義手段は前記補正対象の画素が前記補正対象の部分画像の端部に近づくほど前記補正手段の補正量を低減する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記補正手段によって注目されるパラメータは輝度を含む、請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記調整手段は、前記積分手段によって生成された2以上の積分値に補間演算を施す演算手段、および前記演算手段によって算出された数値を参照して画素毎に前記品質を調整する調整処理手段を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記調整手段によって注目される品質はコントラストを含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
被写界を捉える撮像手段をさらに備え、
前記指定画像は前記被写界を表す画像に相当する、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−60426(P2012−60426A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201802(P2010−201802)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】