説明

画像処理装置

【課題】 小さな回路規模で、高速な超解像処理を行う画像処理装置等を提供する。
【解決手段】 画像処理装置10は、高解像度画像における注目画素を含む画素群の画素値を観測画像における対応する画素群の画素値200に基づいて推定し、第1のデータ202を生成する第1の画像処理部と、第1のデータに基づいて平滑化処理を行い、第2のデータ204を生成する第2の画像処理部と、観測画像の注目画素に対応する画素の画素値、第1および第2のデータに基づき評価関数による評価をし、注目画素の画素値206を出力する第3の画像処理部とを含み、第1の画像処理部は、第3の画像処理部から修正値が入力された場合に、第1のデータにおける注目画素の画素値を修正値で置き換え、第3の画像処理部は、前記評価の結果に基づき2分探索により修正値を更新し、収束した修正値を注目画素の画素値として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の映像表示機器の中には、低解像度画像に基づいて推定した画像情報を用いて、より精細な高解像度画像を生成する超解像処理を行うものがある。超解像処理の手法として、推定された高解像度画像を評価関数によって評価し、評価結果に基づいて高解像度画像を再構成する再構成型超解像処理がある。
【0003】
特許文献1の超解像処理では、2ノルムを含む評価式(評価関数)を用いている。そのため、特許文献1の超解像処理では演算に時間がかかり、リアルタイム性を要求される用途で問題となり得る。その対処として超解像処理を行う装置の演算処理能力を向上させる場合には、回路規模やコストが増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−309649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、小さな回路規模で、高速な超解像処理を行う画像処理装置等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、1フレームの観測画像から、前記観測画像よりも解像度の高い高解像度画像を生成する超解像処理を行う画像処理装置であって、前記高解像度画像における1つの画素である注目画素を含む画素群の画素値を、前記観測画像における対応する画素群の画素値に基づいて推定し、第1のデータを生成する第1の画像処理部と、前記第1のデータに基づいて平滑化処理を行い、第2のデータを生成する第2の画像処理部と、前記観測画像の前記注目画素に対応する画素の画素値、前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて評価関数による評価を行い、前記評価の結果に基づいて前記注目画素の画素値を決定して出力する第3の画像処理部とを含み、前記第1の画像処理部は、前記第1のデータを生成する高解像度画像推定部を含み、前記高解像度画像推定部は、前記観測画像における対応する画素群の画素値に基づいて最初の前記第1のデータを推定した後に、前記第3の画像処理部から修正値が入力された場合には、前記第1のデータにおける前記注目画素の画素値を前記修正値で置き換え、前記第3の画像処理部は、前記評価の結果に基づいて2分探索を行うことで前記修正値を更新し、前記2分探索によって収束した前記修正値を前記注目画素の画素値として出力し、前記評価関数として、前記修正値の1次式であって、前記第2のデータにおける前記注目画素に対応する画素の画素値と、前記観測画像の前記注目画素に対応する画素の画素値との乖離度を判定する第1の関数と、前記修正値と前記第1のデータにおける前記注目画素の周囲の画素の画素値との乖離度を判定する第2の関数と、を含む関数を用いる。
【0007】
本発明の画像処理装置は、観測画像から推定された高解像度画像(推定高解像度画像)の注目画素の画素値を修正値で置き換えて、評価関数で評価しながら収束させる再構成型の超解像処理を行う。ここで、注目画素とは、推定高解像度画像の1つの画素であって、その画素値を修正する対象となっている画素を指す。また、修正値とは注目画素の画素値を修正する値である。
【0008】
本発明によれば、高速な超解像処理を行うことができる。まず、2次式ではなく1次式の評価関数を用いるため、演算時間が短くて済み、高速処理が可能になる。このとき、演算を行う回路の規模も小さくて済む。また、評価結果に基づいて修正値を収束させていく過程においても、2分探索(バイナリサーチ)を用いるために決まった時間内に結果を得ることができ、高速処理が可能になる。
【0009】
ここで、本発明の超解像処理で使用する画像について説明する。超解像処理前の観測画像と超解像処理後の高解像度画像とでは画素数は変わらない。しかし、高解像度画像は超解像処理により再現された高域成分を含むため、解像度が高く細部の精細感が増している。画像の拡大処理を超解像処理の過程では行わないことで、超解像処理で要するバッファー領域の増大や、拡大処理の前後における画素の対応を考慮することで生じる演算量の増加を回避する。なお、拡大処理は超解像処理の前処理として行われてもよい。
【0010】
超解像処理の過程では中間データとして第1のデータと第2のデータとを生成する。第1のデータとは、推定高解像度画像の注目画素を含む画素群の画素値である。第2のデータとは第1のデータに対して例えばガウシアンフィルターによる平滑化処理を施した画素値である。超解像処理では、推定高解像度画像の注目画素の画素値を修正値に置き換えて評価関数で評価し、その結果に基づいて修正値を収束させて、収束した修正値を最終的な注目画素の画素値とする。第1のデータと第2のデータは評価関数による評価で用いられる。
【0011】
ここで、画像のデータは走査方式で入力され、注目画素は例えばシステムクロックに同期して順次変化する。そして、所定時間の経過後には1フレームの全ての画素について所定の処理が行われ、最終的に1フレームの高解像度画像を生成する。
【0012】
本発明の評価関数は2つの関数を含む。第1の関数は、観測画像における注目画素に対応する画素の画素値から、修正値がどれだけ乖離しているかを数値化する関数である。第2の関数は、注目画素の周囲の画素の画素値から、修正値がどれだけ乖離しているかを数値化する関数である。第1の関数では低解像度の条件下で観測画像の対応する画素と比較することで画像の正しさを評価でき、第2の関数では画像の滑らかさを評価できる。
【0013】
本発明によれば、2分探索を行うことで、第1の関数を最小化する値と第2の関数を最小化する値との間の値に修正値を収束させることができる。そのため、正しく、かつ滑らかな高解像度画像を生成することができる。
【0014】
なお、画素値とは例えば輝度値のことであってもよいし、RGB各成分を含む値であってもよいし、画素を表す他の表現形式の値であってもよい。
【0015】
(2)この画像処理装置において、前記第1の画像処理部は、前記観測画像の前記注目画素に対応する画素とその周囲の画素との輝度値の差分についての分散値を求め、その分散値に基づいて輝度値が連続的に変化するグラデーション領域に前記注目画素に対応する画素が含まれるか否かを判断するグラデーション検出部を含み、前記第3の画像処理部は、前記グラデーション検出部が、前記注目画素に対応する画素が前記グラデーション領域に含まれると判断した場合には、前記観測画像の前記注目画素に対応する画素の画素値を前記注目画素の画素値としてもよい。
【0016】
本発明によれば、グラデーション領域に含まれる注目画素については修正値による置き換えを行わないことで、グラデーション領域がつぶれること、すなわち階調の連続的な変化の崩れやノイズの発生を回避することができる。注目画素がグラデーション領域に含まれる場合には、観測画像の注目画素に対応する画素の画素値をそのまま注目画素の画素値として出力してもよい。
【0017】
(3)この画像処理装置において、前記第1の画像処理部は、前記観測画像の前記注目画素に対応する画素とその周囲の画素との輝度値の差分を比較して、輝度値が急峻に変化するエッジ領域に前記注目画素に対応する画素が含まれるか否かを判断するエッジ検出部を含み、前記高解像度画像推定部は、前記エッジ検出部が、前記注目画素に対応する画素が前記エッジ領域に含まれると判断した場合には、その画素の輝度値の変化を強調することで最初の前記第1のデータを推定してもよい。
【0018】
本発明によれば、第1の画像処理部は観測画像から最初に高解像度画像を推定する際にエッジ強調処理を行う。エッジ領域とは画像に表示されるオブジェクトの輪郭を含む領域を指す。エッジ領域ではエッジを強調することにより、観測画像よりもシャープな画像である最初の推定高解像度画像を生成することができる。なお、推定高解像度画像の生成は、注目画素に対応する画素とその周囲の画素を含む画素群(ブロック)単位で行われる。
【0019】
(4)この画像処理装置において、前記第3の画像処理部は、前記エッジ検出部が、前記注目画素に対応する画素が前記エッジ領域に含まれると判断した場合には、前記第2の関数全体の重みを示す束縛パラメーターの値を変更してもよい。
【0020】
本発明によれば、エッジ領域に含まれる注目画素については滑らかさを向上させるように評価関数を調整することができる。エッジ領域ではエッジを強調しすぎると画像の鑑賞者がノイズと認識する可能性がある。そこで、注目画素がエッジ領域に含まれる場合には、評価関数において第2の関数全体の重みを示す束縛パラメーターの値を変更する。具体的には束縛パラメーターの値を大きくし、評価関数の値(評価値)に対して周囲の画素の画素値との乖離度の影響が大きくなるように設定して、修正値がなるべく周囲の画素の画素値に近い値に収束するようにする。本発明では、束縛パラメーターのみを調整するため制御が簡単である。
【0021】
(5)前記第3の画像処理部は、前記エッジ検出部が、前記注目画素に対応する画素が前記エッジ領域に含まれると判断した場合には、前記第2の関数において、前記修正値と前記第1のデータにおける前記注目画素の周囲の画素の画素値それぞれとの乖離度の重みを示す重み係数の値を、それぞれ変更してもよい。
【0022】
本発明によれば、エッジ領域に含まれる注目画素については滑らかさを向上させるように評価関数を調整することができる。具体的には、周囲の画素のそれぞれとの乖離度について重みを個別に設定する重み係数をそれぞれ変更する。本発明では、束縛パラメーターのみを調整する場合に比べて細かな設定が可能になるため、よりノイズの少ない画像を生成することが可能になる。
【0023】
(6)この画像処理装置において、前記観測画像よりも画素数の少ない原画像の画像データについて、各画素の輝度値とその隣接画素の輝度値との差を増大させるシャープネス処理を行い、強調画像データとして出力するシャープネス処理部と、前記強調画像データを入力して、画素補間を行うことで画素数を増加させて前記観測画像の画像データを生成する拡大処理部と、を含んでもよい。
【0024】
本発明によれば、拡大処理の前に原画像に対してシャープネス処理を行う。そのため、拡大処理後の観測画像に高域成分が含まれることになり、最終的に良好な高解像度画像が得られる。そして、拡大処理部を含むことで画素数の少ない原画像から高解像度画像と同じ画素数を持つ観測画像を生成することができる。本発明の画像処理装置は、超解像処理を含む一連の処理を一体的に行うことができる。
【0025】
(7)本発明は、1フレームの原画像から、前記原画像よりも画素数が多く解像度の高い高解像度画像を生成する超解像処理を行う画像処理装置であって、前記原画像の画像データについて、各画素の輝度値とその隣接画素の輝度値との差を増大させるシャープネス処理を行い、強調画像データとして出力するシャープネス処理部と、前記強調画像データを入力して、画素補間を行うことで画素数を増加させて観測画像の画像データを生成する拡大処理部と、前記観測画像から、前記観測画像よりも解像度の高い高解像度画像を生成する超解像処理部と、を含む。
【0026】
本発明によれば、超解像処理を含む一連の処理を小さな回路規模で高速に行い、原画像から高解像度画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態における画像処理装置の超解像処理部のブロック図。
【図2】第1実施形態における画像処理装置の全体ブロック図。
【図3】第1実施形態における第1の画像処理部のブロック図。
【図4】図4(A)は観測画像の例を示す図。図4(B)〜図4(D)は画像処理による注目画素の変化の例を示す図。
【図5】第1実施形態における第3の画像処理部のブロック図。
【図6】図6(A)〜図6(D)はある条件下での評価関数を用いて2分探索を行う例を示す図。
【図7】図7(A)〜図7(B)は別の条件下での評価関数を用いて2分探索を行う例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
1.第1実施形態
本発明の第1実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
【0030】
1.1.超解像処理のアルゴリズム
超解像処理では、低解像度画像が得られる場合に、その理想的な高域成分を再現(正しく推定)することで高解像度画像を生成する。Xを高解像度画像のベクトル表現、Yを低解像度画像である観測画像のベクトル表現とすると、ベイズ推定に基づく事後確率は数1の関係を満たす。
【0031】
【数1】

【0032】
つまり、Y(観測画像のベクトル表現)が得られた場合のX(高解像度画像のベクトル表現)の事後確率P(X|Y)は、Xの事前確率P(X)と、Xが分かっている前提でのYの尤度P(Y|X)との積に比例する。ここで、事後確率P(X|Y)を最大化することは、高い確率でYからXを発生させていること、すなわち観測画像から高解像度画像を正しく推定していることに対応する。
【0033】
なお、X、Yはそれぞれ観測画像、高解像度画像の全画素から成るベクトルであってもよいが、小さな領域に含まれる画素から成るベクトルであってもよい。後述する本実施形態の1つの例では、注目画素を変化(シフト)させながら、注目画素とその周囲の画素を含む3×3の領域を対象とした画像処理を行う。この場合にはX、Yはそれぞれ観測画像、高解像度画像における3×3の画素ブロックから成るベクトルに対応する(図4(A)〜図4(D)参照)。注目画素とは、高解像度画像の1つの画素であって、その画素値を修正する対象となっている画素を指す。
【0034】
ここで、尤度P(Y|X)は数2のように仮定できる。
【0035】
【数2】

【0036】
Gは低解像度化(平滑化)処理を行うガウシアンフィルターのベクトル表現を表す。このとき、数3のガウス関数をPSF(Point Spread Function)モデルとして用いている。
【0037】
【数3】

【0038】
は画素間の距離であり、σはガウス分布の分散である。なお、式(1)の1ノルムおよび式(3)の2ノルムはa=(a1, a2, … ,an)として数4で定義される。
【0039】
【数4】

【0040】
事前確率P(X)は、高解像度画像における画素の画素値は、周囲の画素の画素値と相関があることから数5のように仮定できる。
【0041】
【数5】

【0042】
、XはベクトルXの各成分であり、Wi,jは成分の各組合せに対応した重み係数であり、λは全体に係る束縛パラメーターである。
【0043】
本実施形態では、注目画素に対して行われる実際の画像処理に対応させて、前記の尤度P(Y|X)と事前確率P(X)とを、それぞれ数6、数7のように簡略化する。
【0044】
【数6】

【0045】
はY(観測画像のベクトル表現)における注目画素に対応する成分であり、(GX)はガウシアンフィルターによる平滑化処理が施されたXの注目画素に対応する成分である。
【0046】
【数7】

【0047】
はベクトルXにおける注目画素に対応する成分であり、XはベクトルXの各成分である。Wは各成分に対応した重み係数であり、λは全体に係る束縛パラメーターである。
【0048】
本実施形態においては、式(1)、式(7)、式(8)から数8が成り立つ。
【0049】
【数8】

【0050】
すると、本実施形態における評価関数E(X)を数9のように定めることができる。
【0051】
【数9】

【0052】
本実施形態では、注目画素の画素値を修正する修正値Xを、式(10)の評価関数E(X)で評価する。評価関数E(X)は、尤度P(Y|X)に関係する第1の関数E(X)と、事前確率P(X)に関係する第2の関数E(X)とを含む。第1の関数E(X)は、平滑化処理後の修正値Xが観測画像における注目画素に対応する画素の画素値Yからどれだけ乖離しているかを評価する関数である。第2の関数E(X)は、修正値Xが注目画素の周囲の画素の画素値Xからどれだけ乖離しているかを評価する関数である。なお、式(11)のベクトルXはXを成分として含むため、式(11)はXについての関数である。
【0053】
ここで、事後確率P(X|Y)を最大にする修正値Xは評価関数E(X)を最小にする。よって、評価関数E(X)を最小にするXが求めるべき修正値XCIであり、数10で与えられる。
【0054】
【数10】

【0055】
本実施形態の画像処理装置は式(13)を実施する際に、すなわちXCIを求める際に2分探索を用いることができる。従って、後述するように一定時間内に良好な結果(収束した修正値)を得ることが可能である。
【0056】
1.2.超解像処理部の構成
図1は、第1実施形態における画像処理装置10の超解像処理部100のブロック図を示す。超解像処理部100は、第1の画像処理部20、第2の画像処理部30、第3の画像処理部40を含む。
【0057】
第1の画像処理部20は、観測画像の画素群の画素値200に基づいて推定高解像度画像を生成する。第1の画像処理部20は、まず画素群の画素値200のみに基づいて、最初の推定高解像度画像を生成する。ここで、推定高解像度画像の画素のうち修正の対象となっている画素を注目画素とする。第1の画像処理部20は、最初の推定高解像度画像における注目画素とその周囲の画素の画素値を第1のデータ202として出力する。そして、注目画素の区分を表す信号(区分信号)210も出力する。なお、観測画像の画素群も注目画素に対応する画素とその周囲の画素とを含む。
【0058】
ここで、注目画素の区分とは、注目画素がグラデーション領域、エッジ領域、テクスチャ領域のいずれに含まれているかをいう。グラデーション領域とは輝度値が滑らかに連続して変化している領域をいう。エッジ領域とは輝度値が急峻に変化する領域をいう。テクスチャ領域とはグラデーション領域でもエッジ領域でもない領域をいう。区分信号210を受け取る第3の画像処理部40は、区分信号210に基づいて評価関数による評価の実施・不実施の判断や評価関数における重み係数等の変更を行ってもよい。
【0059】
また、第1の画像処理部20は、第3の画像処理部40から修正値212が入力された場合には、第1のデータ202のうち注目画素に対応する画素値を修正値212で置き換える。第1のデータ202は、最初の推定高解像度画像又は修正値による置き換えが行われた推定高解像度画像における注目画素を含む画素群の画素値である。本実施形態の超解像処理部100では画素値は輝度値を意味するが、例えば画素値がYUV形式であって適宜輝度値が選択されるとしてもよい。
【0060】
ここで、第1の画像処理部20の入出力信号等と前記の式(1)〜(13)との対応を説明する。入力される観測画像の画素群の画素値200はベクトルYに対応する。第1のデータ202はベクトルXに対応する。ここで、修正値212が入力された場合には、注目画素の画素値を修正値Xに更新した新たなベクトルXが生成される。
【0061】
第2の画像処理部30は、第1のデータ202に基づいて平滑化処理を行い第2のデータ204として出力する。具体的には、注目画素とその周囲の画素の画素値を含む第1のデータ202を入力し、ガウシアンフィルターによる平滑化処理を行い、注目画素に対応する画素の画素値である第2のデータ204を出力する。なお、第2のデータ204は、注目画素に対応する画素を含む画素群の画素値であってもよい。
【0062】
ここで、第2の画像処理部30の入出力信号等と前記の式(1)〜(13)との対応を説明する。平滑化処理に用いるガウシアンフィルターはベクトルGに対応する。第2の画像処理部30ではGXが求められ、出力される第2のデータ204は注目画素に対応する成分である(GX)が対応する。
【0063】
第3の画像処理部40は、評価関数による評価を行い、評価結果に基づいて修正値を収束させていき、注目画素の画素値206を出力する。具体的には、最初に推定された注目画素の画素値を修正値で置き換えて評価関数で評価し、評価結果に基づいて修正値Xを更新していき、収束した修正値を高解像度画像における注目画素の画素値として出力する。第3の画像処理部40は、区分信号210により注目画素がグラデーション領域に含まれると判断する場合には、観測画像の注目画素に対応する画素の画素値200Aを、注目画素の画素値として出力する例外処理を行ってもよい。また、第3の画像処理部40は、区分信号210により注目画素がエッジ領域に含まれると判断する場合には、評価関数の重み係数や束縛パラメーターを変更してもよい。
【0064】
ここで、第3の画像処理部40の入出力信号等と前記の式(1)〜(13)との対応を説明する。画素値200AはYに対応する。前記のように第1のデータ202はベクトルXに対応し、第2のデータ204は(GX)に対応する。従って、第3の画像処理部40は、画素値200Aと第2のデータ204によって式(11)の第1の関数による評価ができる。また、第3の画像処理部40は、第1のデータ202がベクトルXの全ての成分を含むので式(12)の第2の関数による評価ができる。
【0065】
1.3.画像処理装置の構成
図2は第1実施形態における画像処理装置10の全体ブロック図である。なお、図1と同じ要素には同じ番号を付しており説明を省略する。画像処理装置10は、超解像処理部100の他に、シャープネス処理部80、拡大処理部90、色空間を変更するRGB−YUV変換部(図外)等を含んでいてもよい。
【0066】
シャープネス処理部80は、拡大処理部90による画素数を増加させる拡大処理の前に、原画像の画像データ214に対してシャープネス処理を行う。シャープネス処理により拡大処理後の観測画像の画像データ218が高域成分を含むようになり最終的に良好な高解像度画像が得られる。シャープネス処理はエッジ領域だけでなく、画像全体に行うことが好ましい。また、適応型のシャープネス処理であってもよい。
【0067】
拡大処理部90は、シャープネス処理後の原画像の画像データ216(強調画像データ)に対して拡大処理を行い超解像処理部100が入力する観測画像の画像データ218を生成する。拡大処理部90を含むことで、超解像処理部100が求める画素数の観測画像を原画像から作成でき、画像処理装置10の処理効率が向上する。
【0068】
以下において、超解像処理部100の画像処理について具体的な例を用いて詳細に説明する。本実施形態の超解像処理部100では画素群単位で処理を行うため、観測画像の画像データ218は、観測画像の画素群の画素値200として入力されることになる。また、超解像処理部100からの画像データ226についても、注目画素の画素値206として出力されることになる。
【0069】
1.4.第1の画像処理部
図3は第1実施形態における第1の画像処理部20のブロック図である。なお図1、図2と同じ要素には同じ番号を付しており、説明は省略する。第1の画像処理部20は、グラデーション検出部50、エッジ検出部52、高解像度画像推定部54、制御パラメーター生成部58を含む。
【0070】
グラデーション検出部50は、注目画素がグラデーション領域に含まれるか否かを判断する。具体的な処理では、観測画像の注目画素に対応する画素で判断する。ここで、図4(A)は観測画像の画素群の画素値200の具体例であり、ベクトルYに対応する。以下、この具体例を用いて説明する。Y(i=0〜8)は3×3の画素ブロックから成るベクトルYの各成分である。Yは注目画素に対応する画素である。なお、Yは数字を用いた標記ではYとなるが、他の画素と区別するためにセンター(Center)の頭文字Cを用いて表現している。図4(B)〜(D)についても同様である。
【0071】
グラデーション検出部50は、観測画像の画素群の画素値200について、例えば数11で表されるYと周囲の画素との輝度値の差分を求めて分散値を計算する。
【0072】
【数11】

【0073】
そして、分散値が例えば統計的に定められた閾値より小さければ、注目画素はグラデーション領域に含まれると判断する。このとき、グラデーション検出部50は、制御パラメーター生成部58に対して注目画素がグラデーション領域に含まれるか否かを示す内部信号404出力する。内部信号404に基づいて区分信号210が出力されることになる。
【0074】
なお、グラデーション領域に含まれる注目画素については、修正値による置き換えが行われないようにしてもよい。修正値に置き換えることで、グラデーション領域における緩やかな輝度の変化が保たれず、かえってノイズとして認識されることを回避するためである。また、この場合にはグラデーション検出部50は後段に画素群の画素値400を伝えなくてもよい。
【0075】
エッジ検出部52は、注目画素がグラデーション領域に含まれていない場合には、画素群の画素値200と同じ内容の画素群の画素値400を受け取る。エッジ検出部52は、注目画素がエッジ領域に含まれるか否かを判断する。具体的な処理では、観測画像の注目画素に対応する画素で判断する。例えば、画素群の画素値400が図4(A)である場合、3×3のソーベルフィルターやラプラシアンフィルターを用いてエッジ領域を判断してもよい。ラプラシアンフィルターの一例として、数12を用いて8方向に対してエッジ検出を行ってもよい。
【0076】
【数12】

【0077】
エッジ検出部52は、制御パラメーター生成部58に対して注目画素がエッジ領域に含まれるか否かを示す内部信号406出力する。内部信号406に基づいて区分信号210が出力されることになる。
【0078】
なお、エッジ領域に含まれる注目画素については、第3の画像処理部によって評価関数の束縛パラメーター、重み係数の調整が行われるようにしてもよい。例えば、束縛パラメーターを大きくすることで周囲の画素との輝度値の差が小さくなるようにして、得られる高解像度画像がより滑らかであるようにすることができる。
【0079】
高解像度画像推定部54は、注目画素がグラデーション領域に含まれていない場合には、画素群の画素値200と同じ内容の画素群の画素値402を受け取る。高解像度画像推定部54は、低解像度の観測画像の画素群の画素値402に基づいて例えばエッジ強調処理で高域成分を推定し、最初の推定高解像度画像を生成する。このとき、高解像度画像推定部54は、エッジ検出部52の一部の回路を利用してエッジ強調処理を行うことで回路規模を抑えてもよい。ここで、画素群の画素値402が図4(A)の場合、最初の推定高解像度画像(第1のデータ202)は図4(B)のようになる。図4(B)のXinitは最初に推定されたベクトルX(高解像度画像)の注目画素に対応する成分である。
【0080】
ここで、高解像度画像推定部54は画像記憶部56を含み、そこから第1のデータ202を出力してもよい。そして、高解像度画像推定部54は、修正値212が入力された場合に画像記憶部56を用いて注目画素の画素値を修正値212で置き換えてもよい。このとき、高解像度画像推定部54は修正値で置き換えた第1のデータ202を出力するが、このことはベクトルXの成分Xを修正することに対応する。具体例として、推定初期高解像度画像の第1のデータ202が図4(B)の場合、修正値212が入力されると第1のデータ202は図4(C)のように変化する。高解像度画像推定部54は、さらに新たな修正値212が入力された場合には、図4(B)のXを新たな修正値で置き換える。
【0081】
以上のように、第1のデータ202は、最初の推定高解像度画像の画素群の画素値、又は修正後の推定高解像度画像の画素群の画素値になる。
【0082】
1.5.第2の画像処理部
第2の画像処理部30は図1のように、第1のデータ202を受け取り、平滑化処理を施した第2のデータ204を出力する。前記のように、第1のデータ202はベクトルXに相当し、第2のデータ204は平滑化処理が施されたXの注目画素に対応する成分である(GX)に相当する。具体例として、第1のデータ202が図4(C)の場合、第2の画像処理部30は平滑化処理を施して図4(D)の(GX)を第2のデータ204として出力する。なお、第2のデータ204は周囲の画素の情報も含めたGXに相当する信号であって、後段の第3の画像処理部40で注目画素に対応する成分(GX)を選択してもよい。
【0083】
ここで、第2の画像処理部30は、例えば数13のようなガウシアンフィルターを用いて平滑化処理を行ってもよい。
【0084】
【数13】

【0085】
第2の画像処理部30は、推定高解像度画像に平滑化処理を施して高域成分を除去した画像を生成する。第2のデータ204は、高域成分を除去した画像の注目画素に対応する画素の画素値を含み、観測画像の注目画素に対応する画素の画素値と比較して乖離度を評価することに用いられる。
【0086】
1.6.第3の画像処理部
図5は第1実施形態における第3の画像処理部40のブロック図である。なお図1〜図3と同じ要素には同じ番号を付しており説明は省略する。第3の画像処理部40は、評価値演算部60、2分探索部62を含む。第3の画像処理部40は、収束した修正値を注目画素の画素値206として出力する。
【0087】
評価値演算部60は、評価関数の演算に必要な画素値等を受け取り、現在の修正値を評価関数に代入した結果(評価値)を評価結果220として出力する。画素値200Aは式(11)のYに対応する。第1のデータ202は式(12)の演算に必要なベクトルXの各成分を含む。第2のデータ204は式(11)の(GX)に対応する。区分信号210によって、注目画素がグラデーション領域に含まれると判断した場合には、修正値による置き換えを行う必要がないため評価値を求めなくてもよい。区分信号210によって、注目画素がエッジ領域に含まれると判断した場合には、周囲の画素の画素値から乖離しないように評価式の係数を変更してもよい。具体的には、式(12)の束縛パラメーターλや重み係数Wを大きくして、画像の滑らかさを向上させてもよい。
【0088】
2分探索部62は、注目画素を修正する新たな修正値212を出力する。そして、評価結果220に基づいて2分探索によって収束した修正値222を出力する。ここで、2分探索とは探索したい値が現在探索している範囲の中央の値より小さいか、大きいかを判断して、探索範囲を狭めることで探索したい値を求める手法である。N個のデータがある場合、2分探索の時間計算量はlogNである。本実施形態では、修正値は8ビット(0〜255)の輝度値であり、8回の探索によって収束した修正値を求めることができる。
【0089】
以下に2分探索部62の処理の詳細を説明する。ここでは、説明のために評価関数を数14のように変形する。
【0090】
【数14】

【0091】
式(4)から1ノルムを絶対値で表現し、式(7)と式(8)において全体を適当な定数で割ると、式(10)〜式(12)を式(17)のように表現できる。式(17)における第1の関数|X−a|も修正値Xが観測画像における注目画素に対応する画素の画素値からどれだけ乖離しているかを表す。また、式(17)における第2の関数Λ|X−b|も修正値Xが注目画素の周囲の画素の画素値からどれだけ乖離しているかを表す。
【0092】
まず、Λ=0であると仮定して、本実施形態の2分探索の方法について図6(A)〜図6(D)を用いて説明する。この場合、評価関数E(X)を最小にするaが求めるべき修正値である。評価関数E(X)はXについての1次式であるから、aを境にした評価関数Eの傾きの絶対値は同じである。つまり、図6(A)で修正値が0〜aの区間における評価関数E(X)の傾きと、a〜255の区間における評価関数E(X)と傾きの絶対値は同じである。したがって探索対象の区間の中央の修正値(例えば128)がaより小さいか大きいかを比較することは、探索対象の区間の両端の評価値(例えばE(0)とE(255))を比較することに等しい。
【0093】
図6(A)に示す最初の探索では、探索範囲は0〜255である。そして、探索範囲の両端の評価値であるE(0)とE(255)を比較すると、E(0)はE(255)よりも小さい。よって、評価関数E(X)を最小にするaは、0〜127の範囲に含まれることが分かる。
【0094】
この場合の2分探索部62の処理を説明する。2分探索部62は、修正値212として0を出力して評価値演算部60から評価結果220であるE(0)をまず取得する。次に、修正値212として255を出力して評価値演算部60からE(255)を取得する。そしてE(0)とE(255)の比較を行い、E(0)の方が小さいとの結果を得る。
【0095】
図6(B)に示す2回目の探索では、最初の探索の比較結果により探索範囲は0〜127である。そして、E(0)とE(127)を比較すると、E(127)はE(0)よりも小さい。よって、評価関数E(X)を最小にするaは、64〜127の範囲に含まれることが分かる。
【0096】
この場合の2分探索部62の処理を説明する。2分探索部62は、修正値212として127を出力して評価値演算部60から評価結果220であるE(127)を取得する。そして、既知のE(0)とE(127)の比較を行い、E(127)の方が小さいとの結果を得る。
【0097】
図6(C)に示す3回目の探索では、探索範囲は64〜127である。そして、E(64)とE(127)を比較して、aは、96〜127の範囲に含まれることが分かる。
【0098】
この場合において、2分探索部62は、修正値212として64を出力して評価値演算部60から評価結果220であるE(64)を取得する。そして、E(64)と既知のE(127)の比較を行い、E(127)の方が小さいとの結果を得る。
【0099】
図6(D)に示す4回目の探索では、探索範囲は96〜127である。そして、E(96)とE(127)を比較して、aは、96〜111の範囲に含まれることが分かる。この場合において、2分探索部62は、修正値212として96を出力してE(96)の方がE(127)よりも小さいとの結果を得る。
【0100】
このように、2分探索を8回繰り返すとaが得られ、2分探索部62はaを収束した修正値222として出力する。
【0101】
次にΛが0でない場合について、2分探索の方法について図7(A)〜図7(B)を用いて説明する。この場合、周囲の画素の画素値からの乖離度を評価する第2の関数も考慮する必要がある。よって、修正値が式(17)のaとbとの間の値に収束することが必要となる。図7(A)と図7(B)はE(a)とE(b)の大小関係が異なる2つの例を示しているが、いずれの場合にも図6(A)〜図6(D)で示した手法で適切に収束した修正値が得られる。
【0102】
まず、図7(A)の区間Aと区間AにおけるE(X)を比較すると傾きの絶対値は同じである。よって、探索対象の区間の両端の評価値を比較する手法を用いることができる。そして、図7(A)は3回目の探索を示しているが、E(64)とE(127)を比較するとE(127)の方が小さく、次の探索範囲は96〜127である。よって、aとbとの間の値に収束することがわかる。
【0103】
次に、図7(B)の例では4回目の探索を示しているが、E(96)とE(127)を比較するとE(96)の方が小さく、次の探索範囲は96〜111である。よって、この場合にもaとbとの間の値に収束することがわかる。
【0104】
このように、2分探索部62は2分探索を所定の回数繰り返すことにより、収束した修正値を決まった時間内に出力するので、本実施形態の画像処理装置10は高速な超解像処理を行うことができる。
【0105】
第3の画像処理部40は、最終出力段において2分探索部62で得られた収束した修正値222、又は観測画像の注目画素に対応する画素の画素値200Aを、高解像度画像の注目画素の画素値206として出力する。区分信号210によって、注目画素がグラデーション領域に含まれると判断した場合には、選択回路64によって画素値200Aが選択され、それ以外の場合には収束した修正値222が選択される。
【0106】
2.変形例、適用例
第1の画像処理部はグラデーション検出およびエッジ検出の少なくとも一方を省略してもよい。このとき、回路規模を小さくして、さらに高速な処理を行うことができる。
【0107】
また、画像処理装置10は例えば集積回路装置の一部であってもよいし、電子機器の一部に使用されていてもよい。電子機器としては、例えば動画を扱うテレビなどの映像表示機器でもよいし、静止画を扱うフォトビューワーなどの映像表示機器であってもよい。フレーム内処理として高解像処理を行うために、動画にも静止画にも適用が可能である。また、回路規模が小さいため携帯型電子機器への適用にも向いている。
【0108】
さらに、上記の超解像処理をプログラムとして実現し、例えばPCで用いられる画像処理ソフトの一部として機能させてもよい。
【0109】
これらの例示に限らず、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0110】
10…画像処理装置、20…第1の画像処理部、30…第2の画像処理部、40…第3の画像処理部、50…グラデーション検出部、52…エッジ検出部、54…高解像度画像推定部、56…画像記憶部、58…制御パラメーター生成部、60…評価値演算部、62…2分探索部、64…選択回路、80…シャープネス処理部、90…拡大処理部、100…超解像処理部、200…画素群の画素値、200A…画素値、202…第1のデータ、204…第2のデータ、206…注目画素の画素値、210…区分信号、212…修正値、214…画像データ、216…画像データ、218…画像データ、220…評価結果、222…収束した修正値、226…画像データ、400…画素群の画素値、402…画素群の画素値、404…内部信号、406…内部信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1フレームの観測画像から、前記観測画像よりも解像度の高い高解像度画像を生成する超解像処理を行う画像処理装置であって、
前記高解像度画像における1つの画素である注目画素を含む画素群の画素値を、前記観測画像における対応する画素群の画素値に基づいて推定し、第1のデータを生成する第1の画像処理部と、
前記第1のデータに基づいて平滑化処理を行い、第2のデータを生成する第2の画像処理部と、
前記観測画像の前記注目画素に対応する画素の画素値、前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて評価関数による評価を行い、前記評価の結果に基づいて前記注目画素の画素値を決定して出力する第3の画像処理部とを含み、
前記第1の画像処理部は、
前記第1のデータを生成する高解像度画像推定部を含み、
前記高解像度画像推定部は、
前記観測画像における対応する画素群の画素値に基づいて最初の前記第1のデータを推定した後に、前記第3の画像処理部から修正値が入力された場合には、前記第1のデータにおける前記注目画素の画素値を前記修正値で置き換え、
前記第3の画像処理部は、
前記評価の結果に基づいて2分探索を行うことで前記修正値を更新し、
前記2分探索によって収束した前記修正値を前記注目画素の画素値として出力し、
前記評価関数として、
前記修正値の1次式であって、
前記第2のデータにおける前記注目画素に対応する画素の画素値と、前記観測画像の前記注目画素に対応する画素の画素値との乖離度を判定する第1の関数と、
前記修正値と前記第1のデータにおける前記注目画素の周囲の画素の画素値との乖離度を判定する第2の関数と、を含む関数を用いる画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記第1の画像処理部は、
前記観測画像の前記注目画素に対応する画素とその周囲の画素との輝度値の差分についての分散値を求め、その分散値に基づいて輝度値が連続的に変化するグラデーション領域に前記注目画素に対応する画素が含まれるか否かを判断するグラデーション検出部を含み、
前記第3の画像処理部は、
前記グラデーション検出部が、前記注目画素に対応する画素が前記グラデーション領域に含まれると判断した場合には、前記観測画像の前記注目画素に対応する画素の画素値を前記注目画素の画素値とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記第1の画像処理部は、
前記観測画像の前記注目画素に対応する画素とその周囲の画素との輝度値の差分を比較して、輝度値が急峻に変化するエッジ領域に前記注目画素に対応する画素が含まれるか否かを判断するエッジ検出部を含み、
前記高解像度画像推定部は、
前記エッジ検出部が、前記注目画素に対応する画素が前記エッジ領域に含まれると判断した場合には、
その画素の輝度値の変化を強調することで最初の前記第1のデータを推定する画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記第3の画像処理部は、
前記エッジ検出部が、前記注目画素に対応する画素が前記エッジ領域に含まれると判断した場合には、
前記第2の関数全体の重みを示す束縛パラメーターの値を変更する画像処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記第3の画像処理部は、
前記エッジ検出部が、前記注目画素に対応する画素が前記エッジ領域に含まれると判断した場合には、
前記第2の関数において、前記修正値と前記第1のデータにおける前記注目画素の周囲の画素の画素値それぞれとの乖離度の重みを示す重み係数の値を、それぞれ変更する画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記観測画像よりも画素数の少ない原画像の画像データについて、各画素の輝度値とその隣接画素の輝度値との差を増大させるシャープネス処理を行い、強調画像データとして出力するシャープネス処理部と、
前記強調画像データを入力して、画素補間を行うことで画素数を増加させて前記観測画像の画像データを生成する拡大処理部と、を含む画像処理装置。
【請求項7】
1フレームの原画像から、前記原画像よりも画素数が多く解像度の高い高解像度画像を生成する超解像処理を行う画像処理装置であって、
前記原画像の画像データについて、各画素の輝度値とその隣接画素の輝度値との差を増大させるシャープネス処理を行い、強調画像データとして出力するシャープネス処理部と、
前記強調画像データを入力して、画素補間を行うことで画素数を増加させて観測画像の画像データを生成する拡大処理部と、
前記観測画像から、前記観測画像よりも解像度の高い高解像度画像を生成する超解像処理部と、を含む画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−83830(P2012−83830A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227282(P2010−227282)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】