画像印刷のための画像処理装置、画像処理方法およびコンピュータプログラム
【課題】マルチサイズドット印刷を行うプリンタにおいて印刷画像の画質の低下を抑制する。
【解決手段】印刷媒体上に大きさの異なる複数種類のインクドットを記録して画像を印刷するための画像処理装置300bは、印刷画像の印刷媒体上における配置を取得する印刷画像配置取得部331と、印刷媒体上に記録されるインク量を表すインク量データIADから、複数種類のドットの記録状態を表す印刷データPDを生成する印刷データ生成部と、を備えている。この印刷データ生成部は、同一のインク量データIADに対して、複数種類のインクドットのうちの特定種類のドットについて記録数が印刷画像の配置に応じて互いに異なる値となるように、印刷データPDを生成する。
【解決手段】印刷媒体上に大きさの異なる複数種類のインクドットを記録して画像を印刷するための画像処理装置300bは、印刷画像の印刷媒体上における配置を取得する印刷画像配置取得部331と、印刷媒体上に記録されるインク量を表すインク量データIADから、複数種類のドットの記録状態を表す印刷データPDを生成する印刷データ生成部と、を備えている。この印刷データ生成部は、同一のインク量データIADに対して、複数種類のインクドットのうちの特定種類のドットについて記録数が印刷画像の配置に応じて互いに異なる値となるように、印刷データPDを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像を印刷するための画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用紙などの印刷媒体上に印刷された画像(印刷画像)において階調をより的確に再現するため、大きさの異なる複数のインクドットを印刷媒体上に形成(記録)するマルチサイズドット印刷が行われる。このようなマルチサイズドット印刷を行う場合、印刷解像度で規定される画素サイズ(以下、単に「印刷解像度」とも呼ぶ)に近い大きさのインクドットが記録される位置(着弾位置)がずれると、印刷画像にバンディング等が発生し、印刷画像の画質が低下するおそれがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−160913号公報
【特許文献2】特開2003−118088号公報
【特許文献3】特開2003−266700号公報
【特許文献4】特開2005−001202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像を印刷する場合において、印刷媒体の搬送状態やインクドットを吐出するインクヘッドの駆動状態によっては、インクドットが記録される位置によってインクドットの着弾位置の精度が低下し、印刷画像の印刷画像の画質が低下する場合がある。この問題は、インクジェットプリンタに限らず、マルチサイズドット印刷を行う種々のプリンタに共通する問題である。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、マルチサイズドット印刷を行うプリンタにおいて印刷画像の画質の低下を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
印刷媒体上に大きさの異なる複数種類のインクドットを記録して画像を印刷するための画像処理装置であって、
前記印刷媒体に印刷される印刷画像の前記印刷媒体上における配置を取得する印刷画像配置取得部と、
前記印刷媒体上に記録されるインク量を表すインク量データから、前記複数種類のドットの記録状態を表す印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記印刷データ生成部は、同一のインク量データに対して、前記複数種類のインクドットのうちの特定種類のドットについて記録数が前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値となるように、前記印刷データを生成する、
画像処理装置。
【0008】
適用例1の画像処理装置では、同一のインク量データに対して、印刷画像の配置に応じて特定種類のドットの記録数が異なる印刷データが生成される。そのため、特定種類のドットの記録率をインクドットの記録位置の精度に応じてより適したものにすることができるので、印刷画像の低下を抑制することが可能となる。
【0009】
[適用例2]
適用例1記載の画像処理装置であって、
前記特定種類のインクドットは、前記複数種類のインクドットのうちの前記特定種類のインクドット以外のインクドットの大きさよりも印刷解像度で規定される画素サイズに近い大きさのインクドットであり、
前記印刷データ生成部は、前記印刷画像が前記印刷媒体の中心部に配置されていない場合、前記特定種類のインクドットの記録数が、前記印刷画像が前記印刷媒体の中心部に配置されている場合よりも少なくなるように前記印刷データを生成する、
画像処理装置。
【0010】
通常、印刷媒体の周辺部では、印刷媒体の中心部よりもインクドットの記録位置の精度が低くなる。そのため、印刷媒体の中心部に印刷画像が配置されていない場合に、印刷解像度に近い大きさのインクドットの記録数を低減することにより、記録位置の精度の低下による印刷画像の画質の低下をより抑制することができる。
【0011】
[適用例3]
適用例1または2記載の画像処理装置であって、
前記印刷データ生成部は、
前記インク量データから記録率データを生成する記録率データ生成部と、
前記記録率データを前記印刷データに変換するデータ変換部と、
を備えており、
前記記録率データ生成部は、前記特定種類のインクドットの最大記録率を前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値に設定する、
画像処理装置。
【0012】
適用例3では、特定種類のインクドットの最大記録率が印刷画像の配置に応じて互いに異なる値に設定される。そのため、印刷画像の配置に応じて特定種類のドットの記録数を異なるものにすることがより容易となる。
【0013】
[適用例4]
適用例3記載の画像処理装置であって、
前記記録率データ生成部は、
前記インク量と、前記複数種類のインクドットのそれぞれの記録率と、の関係を示す第1の記録率テーブルと、
前記特定種類のインクドットの最大記録率が、前記第1の記録率テーブルと異なる第2の記録率テーブルと、
前記印刷画像の配置に基づいて、前記記録率データの生成に用いる記録率テーブルを前記第1と第2の記録率テーブルのうちから選択する記録率テーブル選択部と、
を有している、
画像処理装置。
【0014】
この適用例では、記録率テーブル選択部が、印刷画像の配置に基づいて、特定種類のインクドットの最大記録率が互いに異なる第1と第2の記録率テーブルを選択することにより、特定種類のインクドットの最大記録率を印刷画像の配置に応じて互いに異なる値に設定することができる。そのため、特定種類のインクドットの最大記録率を印刷画像の配置に応じて互いに異なる値に設定することがより容易となる。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、画像処理装置および画像処理方法、その画像処理装置および方法を用いた画像印刷装置、画像印刷方法および画像印刷システム、それらの装置、方法およびシステムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.記録率テーブルの変形例:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.変形例:
【0017】
A.第1実施例:
図1は、第1実施例を適用する画像印刷システムの概略構成を示す説明図である。画像印刷システムは、プリンタ100と、コンピュータ200とを備えている。プリンタ100は、インク滴を印刷用紙PTS上に吐出することにより、印刷用紙PTS上に画像を形成するインクジェットプリンタである。プリンタ100とコンピュータ200とは、ケーブルCVにより接続されている。プリンタ100は、コンピュータ200から、ケーブルCVを介して供給される印刷データPDに基づいて、インク滴を印刷用紙PTS上に吐出する。
【0018】
コンピュータ200には、プリンタドライバ300がインストールされている。プリンタドライバ300は、画像データに基づいて印刷データPDを生成するモジュールである。プリンタドライバ300で生成される印刷データPDは、印刷解像度を有する主走査ライン上の各画素について、小・中・大の3つの大きさのインクドット(以下、単に「ドット」という)の記録状態を表すラスタデータを含んでいる。なお、ドットの種類は、必ずしもこの3種類に限定されない。一般に、ドットの種類は、2以上の任意の数とすることができる。
【0019】
プリンタドライバ300の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態、あるいは、搬送波内に具現化されたデータ信号に含まれた形態で、コンピュータ200に供給することができる。
【0020】
なお、第1実施例では、画像出力装置としてのプリンタ100と、画像処理装置としてのコンピュータ200とを別個のものとしているが、画像処理装置としての機能をプリンタに組み込むことも可能である。
【0021】
図2は、プリンタドライバ300の機能的な構成を示すブロック図である。プリンタドライバ300は、インク量データ生成部310と、印刷条件入力部320と、記録率データ生成部330と、ハーフトーン処理部340と、ラスタライズ処理部350と、を備えている。
【0022】
インク量データ生成部310は、プリンタドライバ300に供給される画像データIMDに色変換処理を施して、インク量データIADを生成する。インク量データIADの生成は、例えば、図示しない色変換ルックアップテーブル(LUT)を参照して、画像データIMDのRGBの各色成分値をインク量に対応するCMYKの各色成分値に変換することにより行われる。インク量データ生成部310で生成されたインク量データIADは、記録率データ生成部330に供給される。
【0023】
印刷条件入力部320は、プリンタドライバ300に設定される種々の印刷条件STGの設定入力を受け付ける。設定された印刷条件STGは、記録率データ生成部330に供給される。なお、第1実施例では、印刷条件入力部320に入力される印刷条件STGのうち、印刷用紙の大きさ(用紙サイズ)が記録率データ生成部330に供給される。
【0024】
記録率データ生成部330は、記録率テーブル選択部332と、変換処理実行部334と、2つの記録率テーブル336,338と、を有している。記録率テーブル選択部332は、印刷条件入力部320に入力される印刷条件STGに基づいて、2つの記録率テーブル336,338から記録率テーブルを選択する。変換処理実行部334は、選択された記録率テーブルを参照して、インク量データ生成部310から供給されるインク量データIADを、小・中・大の各ドットの記録率を表す記録率データRRDに変換する。ここで、記録率とは、ある領域内の画素にドットを記録する割合をいう。なお、2つの記録率テーブル336,338の内容と、記録率テーブル選択部332による記録率テーブルの選択と、については後述する。生成された記録率データRRDは、ハーフトーン処理部340に供給される。
【0025】
ハーフトーン処理部340は、ディザ等のハーフトーン処理を行うことにより、記録率データRRDからドットの配置状態を表すドット配置データDPDを生成する。そして、生成されたドット配置データDPDは、ラスタライズ処理部350により、主走査方向に並べ替えられ、主走査方向のドットの形成状態を表すラスタデータが生成される。生成されたラスタデータからは、ラスタデータを含む印刷データPDが生成される。
【0026】
なお、上述のように、インク量データIADからの印刷データPDの生成は、記録率データ生成部330と、ハーフトーン処理部340と、ラスタライズ処理部350と、の機能により行われる。そのため、インク量データIADから印刷データPDを生成する「印刷データ生成部」の機能は、記録率データ生成部330と、ハーフトーン処理部340と、ラスタライズ処理部350との3つにより実現されている。また、記録率データRRDから印刷データPDへの変換は、ハーフトーン処理部340と、ラスタライズ処理部350により行われる。そのため、記録率データRRDから印刷データPDへの変換を行う「データ変換部」としての機能は、ハーフトーン処理部340と、ラスタライズ処理部350との2つにより実現されている。
【0027】
このように生成された印刷データPDは、コンピュータ200(図1)が備えるインタフェース(図示しない)と、ケーブルCVとを介して、プリンタドライバ300からプリンタ100に供給される。プリンタ100が供給された印刷データPDに応じて印刷用紙PTS上にインクを吐出することにより、印刷用紙PTS上には、画像データIMDにより表される画像が形成される。
【0028】
図3は、2つの記録率テーブル336,338のそれぞれにおけるインク量と小・中・大の各ドットの記録率との関係を示す説明図である。図3(a)は、第1の記録率テーブル336におけるインク量と記録率との関係を示し、図3(b)は、第2の記録率テーブル338におけるインク量と記録率との関係を示している。図3(a)および図3(b)において、実線は、インク量に対する小ドットの記録率を表している。また、破線はインク量に対する中ドットの記録率を表し、一点鎖線は大ドットの記録率を表している。
【0029】
図3(a)に示すように、第1の記録率テーブル336では、小ドットと中ドットの記録率の最大値(最大記録率)は、60%に設定されている。一方、図3(b)に示すように、第2の記録率テーブル338では、小ドットと中ドットの最大記録率は、第1の記録率テーブル336よりも低い30%に設定されている。そのため、第2の記録率テーブル338を用いた場合に印刷用紙PTS上に形成される小ドットと中ドットの数は、通常、第1の記録率テーブル336を用いた場合よりも少なくなる。
【0030】
図4は、プリンタドライバ300による印刷データの生成処理の流れを示すフローチャートである。この印刷データの生成処理は、コンピュータ200が有するCPU(図示しない)が、プリンタドライバ300の機能を実現するプログラムを実行することにより行われる。
【0031】
ステップS110において、記録率データ生成部330は、印刷条件入力部320に設定された印刷条件STGを取得する。上述のように、第1実施例では、記録率データ生成部330は、種々の印刷条件STGのうち、用紙サイズを取得する。
【0032】
ステップS120において、インク量データ生成部310は、RGBの色成分値を有する画像データ(RGB画像データ)IMDを取得する。次いで、ステップS130において、インク量データ生成部310は、ステップS120で取得されたRGB画像データIMDに対して、RGBの各色成分値をCMYKの色成分値に変換する。
【0033】
ステップS140において、記録率データ生成部330の記録率テーブル選択部332は、用紙サイズがA3以下であるか否かを判断する。用紙サイズがA3以下である場合、制御はステップS150に移される。ステップS150では、記録率テーブル選択部332により、小・中ドットの最大記録率が高い第1の記録率テーブル336が選択される。一方、用紙サイズがA3よりも大きい場合、制御はステップS160に移される。ステップS160では、記録率テーブル選択部332により、小・中ドットの最大記録率が低い第2の記録率テーブル338が選択される。
【0034】
ステップS170において、変換処理実行部334は、2つの記録率テーブル336,338のうちから選択された記録率テーブルを用いて、インク量を小・中・大の各ドットの記録率を表す記録率データRRDを生成する。具体的には、インク量に対応する小・中・大の各ドットの記録率を特定する。そして、特定された記録率を表す記録率データRRDを生成する。
【0035】
ステップS180において、ハーフトーン処理部340は、記録率データRRDからドット配置データDPDを生成する。ステップS190では、ラスタライズ処理部350が、ステップS180において生成されたドット配置データDPDから印刷データPDを生成する。生成された印刷データPDは、上述の通り、プリンタ100(図1)に供給され、印刷用紙PTS上に画像が形成される。
【0036】
ところで、プリンタ100により画像を形成する際に、画像が形成される印刷用紙PTSの配置が副走査方向(すなわち、印刷用紙PTSの搬送方向)に対して斜めになっていると、印刷用紙PTS上に形成される画像(以下、「印刷画像」とも呼ぶ)に対して好ましくない影響を与える可能性がある。
【0037】
図5は、このような印刷用紙PTSのずれ(スキュー)が印刷画像に及ぼす影響を示す説明図である。図5(a)および図5(b)は、プラテン110を駆動して印刷用紙PTSの搬送方向(紙送り方向)に順次搬送することにより、主走査により形成される画像(バンド)が印刷用紙PTS上に順次形成されていく様子を示している。
【0038】
図5(a)の例では、印刷用紙PTSが、紙送り方向に対して斜めに給紙されている。そのため、図5(a)に示すように印刷用紙PTSの主走査方向の両端の辺と、紙送り方向とは平行とならない。なお、以下では、印刷用紙PTSの左右両側の辺と、紙送り方向とのなす角度を、スキュー角度θsと呼ぶ。
【0039】
バンドを形成する主走査の方向は、プラテン110の軸方向、すなわち、紙送り方向と直角の方向となっている。そのため、スキュー角度θsがθ1(>0)となっている図5(a)の例では、ハッチングで示すバンドBD1は、印刷用紙PTSの辺に対して斜めに形成される。
【0040】
印刷用紙PTS上にバンドBD1が形成されると、次いで、印刷用紙PTSが紙送り方向に搬送される。通常、印刷用紙PTSの搬送機構は、印刷用紙PTSの向きを紙送り方向に規制する紙送りガイド(図示しない)を有している。そのため、図5(a)に示すように傾いた印刷用紙PTSが搬送されると、印刷用紙PTSは紙送りガイドに突き当たりその方向が変化する。
【0041】
図5(b)は、このように印刷用紙PTSの方向が変わった状態を示している。図5(b)の例では、印刷用紙PTSは、図5(a)の場合と反対方向に傾いている。そのため、スキュー角度θsは、図5(a)におけるθ1からθ2(<0)に変わっている。
【0042】
このように、バンドBD1が形成された印刷用紙PTSが搬送され、搬送された印刷用紙PTS上にバンドBD2が形成されると、印刷用紙PTS上に形成された2つのバンドBD1,BD2は、一方で重なり合い、他方で離れることになる。
【0043】
このとき、2つのバンドBD1,BD2が主走査方向の両端部において重複および離間する幅dは、バンド幅Lと、2つのバンドBD1,BD2を形成した際のスキュー角度θsの差Δθs(=θ2−θ1)を用いて、次の式(1)で表される。
【0044】
d=L/2×sin(Δθs)≒L/2×Δθs …(1)
【0045】
通常、角度差Δθsは1より十分小さい。そのため、上記の式(1)において、幅dは、バンド幅Lの1/2に角度差Δθsを乗じた値として扱うことができる。
【0046】
式(1)に示すように、2つのバンドBD1,BD2が離間する幅dは、これらのバンドBD1,BD2の幅Lが広くなるにしたがって、広くなる。そのため、印刷用紙PTSの大きさが大きくなるほど、バンドBD1,BD2の形成位置の精度が低下する。なお、図5の例では、印刷用紙PTSが斜めに給紙されるスキューによりバンドBD1,BD2の形成位置精度が低下する様子を示しているが、一般に、印刷用紙PTSのサイズが大きくなるにしたがって、主走査ラインに沿ったドットの列(ドット列)のピッチが印刷解像度からずれる可能性が高くなる。
【0047】
図6は、印刷用紙上に小・中・大の各ドットが形成された状態を示す説明図である。図6(a)は、ドット列のピッチが印刷解像度Pに保たれている状態を示している。一方、図6(b)は、図5に示すように、2つのバンドBD1,BD2の形成位置の精度が低下し、ドット列間の一部で印刷解像度Pよりもピッチが広くなっている状態を示している。図6(a)および図6(b)において、黒丸は、形成された小・中・大の各ドットを示している。一点鎖線は、これらのドットが形成される主走査の方向、すなわち、ドット列の方向を示している。点線は、ドット列の中間線を示している。
【0048】
図6(a)の例では、ドット列のピッチは印刷解像度Pに保たれている。そのため、小・中・大の各ドットは、印刷解像度Pで副走査方向に配列されている。このように小・中・大の各ドットが副走査方向に等間隔に形成されることにより、これらのドットにより形成された画像は、バンディング等のない良好な画像となる。
【0049】
一方、図6(b)の例では、上側の2つのドット列のピッチが印刷解像度Pとなっているのに対し、下側の2つのドット列のピッチは印刷解像度Pよりも広いピッチP’となっている。このように、ドット列のピッチが印刷解像度Pよりも広くなると、ドットの径(大きさ)が印刷解像度Pに近い小ドットと中ドットとで形成される画像においては、ピッチの広がりによる空白が視認されやすくなり、バンディングが発生しやすくなる。一方、大ドットで形成される画像では、ドットの径が印刷解像度Pよりも大きいため、ドット列のピッチの広がりによる空白があまり視認されず、バンディングの発生が抑制される。
【0050】
第1実施例では、用紙サイズがA3よりも大きい場合、すなわち、ドット列のピッチが印刷解像度Pからずれる可能性が高い場合に、小ドットと中ドットの記録率が低くなる第2の記録率テーブル338を用いて記録率データRRDが生成される。そのため、生成された記録率データRRDを用いて印刷データPDを生成し、生成した印刷データPDを用いて画像を形成した場合、ドット列のピッチのずれによるバンディングの発生を抑制することができる。
【0051】
一方、用紙サイズがA3以下である場合、ドット列のピッチのずれがあまり大きくならない。さらに、用紙サイズが小さい場合、印刷された画像は、通常、大きな印刷用紙に印刷された場合よりも近い距離で観察される。そこで、このような場合に、第1の記録率テーブル336を用いて小・中ドットが形成される割合を高くすることにより、印刷画像の粒状性の低下を抑制することが可能となる。
【0052】
なお、第1実施例では、用紙サイズがA3より大きいか否かの判断結果に基づいて、記録率テーブルを選択しているが、記録率テーブルを選択する際の判断基準となる用紙サイズは、プリンタ100(図1)の特性等に応じて、適宜変更される。たとえば、プリンタ100がスキューの発生しにくいプリンタである場合には、用紙サイズがA2より大きいか否かの判断結果に基づいて記録率テーブルを選択するものとしてもよい。これに対し、プリンタ100がスキューの発生しやすいプリンタである場合には、用紙サイズがA4より大きいか否かの判断結果に基づいて記録率テーブルを選択するものとしてもよい。
【0053】
また、第1実施例では、用紙サイズに基づいて記録率テーブルを選択しているが、記録率テーブルの選択は、一般に、印刷用紙PTSの大きさを表すパラメータに基づいて行うことができる。このようなパラメータとしては、例えば、印刷用紙PTSの幅や長さを用いることが可能である。
【0054】
B.記録率テーブルの変形例:
第1実施例では、用紙サイズがA3よりも大きい場合には、図3(b)に示すように小ドットの最大記録率と中ドットの最大記録率とのいずれもが低く設定された第2の記録率テーブル338が選択されている。しかしながら、小・中・大の各ドットの径と印刷解像度Pとの関係によっては、第2の記録率テーブル338とは異なる記録率テーブルを使用することにより、バンディングの発生を抑制することができる。
【0055】
図7は、このような記録率テーブルの変形例を示す説明図である。図7(a)および図7(b)は、それぞれ変形例における記録率テーブルにおけるインク量と小・中・大の各ドットの記録率との関係を示している。これらの記録率テーブルは、小ドットの最大記録率と中ドットの最大記録率とのいずれか一方のみが低く設定されている点で、図3(b)の第2の記録率テーブル338と異なっている。
【0056】
図7(a)の記録率テーブルでは、小ドットの最大記録率が30%に設定され、中ドットの最大記録率が60%に設定されている。そして、第1実施例と同様に、用紙サイズがA3よりも大きい場合には、小ドットの最大記録率が低く設定された記録率テーブルが選択され、用紙サイズがA3以下である場合には、小ドットの最大記録率が高く設定された第1の記録率テーブル336が選択される。
【0057】
このように、図7(a)に示す記録率テーブルを使用することにより、印刷用紙PTS上に形成される小ドットの数が、第1の記録率テーブル336を用いた場合よりも少なくなる。このように、小ドットの形成数のみを少なくすることによっても、例えば、小ドットの径が印刷解像度Pに近く、かつ、中ドットの径が印刷解像度Pよりも十分大きい場合には、ドット列のピッチの印刷解像度Pからのずれによるバンディングの発生を抑制することができる。
【0058】
図7(b)の例では、小ドットの最大記録率が60%に設定され、中ドットの最大記録率が30%に設定されている。そして、印刷用紙のサイズがA3よりも大きい場合には、中ドットの最大記録率が低く設定された記録率テーブルが選択され、印刷用紙のサイズがA3以下である場合には、中ドットの最大記録率が高く設定された第1の記録率テーブル336が選択される。
【0059】
このように、図7(b)に示す記録率テーブルを使用することにより、印刷用紙上に形成される中ドットの数が、第1の記録率テーブル336を用いた場合よりも少なくなる。このように、中ドットの形成数のみを少なくすることによっても、例えば、小ドットの径が印刷解像度Pよりも十分小さく、かつ、中ドットの径が印刷解像度Pに近い場合には、ドット列のピッチの印刷解像度Pからのずれによるバンディングの発生を抑制することができる。
【0060】
さらに、例えば、大ドットの径が印刷解像度Pに近い場合には、大ドットの形成数を少なくするような記録率テーブルを用いることもできる。この場合、小ドットと中ドットとのうちの少なくとも一方の最大記録率をより高くすることにより、大ドットの形成数を低減するものとしてもよい。また、小ドットと中ドットの最大記録率を変えることなく、インク量が多い領域における小ドットと中ドットの記録率の低減の度合いを変更することにより、大ドットの形成数を低減するものとしても良い。
【0061】
C.第2実施例:
図8は、第2実施例における印刷データの生成処理の流れを示すフローチャートである。第2実施例の印刷データ生成処理は、ステップS130の次にステップS132aが付加されている点と、2つのステップS110,S140がそれぞれステップS110a,S140aに置き換えられている点とで、図4に示す第1実施例の印刷データ生成処理と異なっている。他の点は、第1実施例と同じである。
【0062】
ステップS110aにおいて、記録率データ生成部330は、種々の印刷条件STGのうち、用紙サイズと印刷用紙の種類(用紙種類)とを取得する。
【0063】
ステップS132において、記録率テーブル選択部332は、ステップS110aにおいて取得した用紙種類に基づいて基準サイズを設定する。基準サイズとしては、スキューの発生しやすい用紙に対しては、より小さい基準サイズが設定され、スキューの発生しにくい用紙に対しては、より大きい基準サイズが設定される。基準サイズは、例えば、次の表1に示すように設定される。
【表1】
【0064】
ステップS140aにおいて、記録率テーブル選択部332は、用紙サイズがステップS132において設定された基準サイズ以下か否かを判断する。用紙サイズが基準サイズ以下である場合、制御はステップS150に移される。一方、用紙サイズが基準サイズよりも大きい場合、制御はステップS160に移される。
【0065】
このように第2実施例においては、用紙サイズと、印刷用紙の種類に基づいて設定された基準サイズとの比較が行われる。そして、用紙サイズが基準サイズよりも大きい場合には、小・中ドットが形成される割合を低くすることにより、バンディングの発生を抑制することができる。一方、用紙サイズが基準サイズよりも小さい場合には、小・中ドットが形成される割合を高くすることにより、印刷画像の粒状性の低下を抑制することができる。
【0066】
なお、第2実施例は、記録率テーブルの選択が、用紙種類と用紙サイズとに基づいて行われる。そのため、より適切な記録率テーブルを選択することができる点で、第1実施例よりも好ましい。一方、第1実施例は、記録率テーブル選択部332における処理をより簡単にできる点で、第2実施例よりも好ましい。
【0067】
D.第3実施例:
図9は、第3実施例のプリンタドライバ300bの機能的な構成を示すブロック図である。第3実施例のプリンタドライバ300bは、印刷条件入力部320から記録率データ生成部330bに印刷条件STGが供給されていない点と、記録率データ生成部330bが画像配置取得部331を有している点で、図2に示す第1実施例のプリンタドライバ300と異なっている。他の点は、第1実施例と同様である。
【0068】
図10は、第3実施例における印刷データの生成処理の流れを示すフローチャートである。第3実施例の印刷データ生成処理は、ステップS110が省略されている点と、ステップS130の次にステップS134が付加されている点と、ステップS140がステップS140bに置き換えられている点とで、図4に示す第1実施例の印刷データ生成処理と異なっている。他の点は、第1実施例と同様である。
【0069】
ステップS134において、画像配置取得部331は、印刷用紙PTS上における画像の印刷位置(配置)を取得する。印刷画像の配置は、例えば、インク量データIADを解析して、インク量が0でない(白色でない)領域を検出することにより取得することができる。但し、印刷画像の配置は、画像データIMDを解析して取得するものとしてもよい。また、画像データIMDが画像の印刷位置を指定する配置データを含んでいる場合には、配置データに基づいて取得することも可能である。
【0070】
ステップS140bにおいて、記録率テーブル選択部332は、印刷画像が印刷用紙PTSの主走査方向における中心部に配置されているか否かを判断する。具体的には、印刷画像が、副走査方向に沿った印刷用紙PTSの中心線の近くに配置されているか否かを判断する。なお、以下では、特に断らない限り、「中心部」とは主走査方向における中心部のことをいい、「中心線」とは副走査方向に沿った印刷用紙PTSの中心線のことをいう。印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されている場合、制御はステップS150に移される。一方、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合、制御はステップS160に移される。
【0071】
印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されているか否かは、例えば、印刷画像が中心線にかかるか否かに基づいて判断することができる。但し、中心部に配置されているか否かの判断は、他の方法によっても行うことができる。例えば、印刷画像が中心線を含む所定の領域内に懸かるか否かに基づいて判断するものとしてもよく、また、主走査方向における印刷画像の端と印刷用紙PTSの辺との距離に基づいて判断することも可能である。
【0072】
図11は、印刷用紙PTS上の印刷画像の配置例を示す説明図である。図11(a)は、印刷画像IPT1が印刷用紙PTSの中心部に配置されている状態を示している。図11(b)は、印刷画像IPT2が印刷用紙PTSの右よりの位置に配置されている様子を示している。図11(a)および図11(b)において、中心線CLは、印刷用紙PTSの搬送方向に沿った印刷用紙PTSの中心線を示している。
【0073】
第3実施例においては、印刷画像が印刷用紙PTSの中心線にかかるか否かに基づいて、印刷画像が中心部に配置されているか否かが判断される。図11(a)の例では、印刷画像IPT1が中心線CLにかかっている。そのため、図10のステップS140において、印刷画像IPT1は、印刷用紙PTSの中心部に配置されていると判断される。一方、図11(b)の例では、印刷画像IPT2が中心線CLにかかっていない。そのため、図10のステップS140において、印刷画像IPT2は、印刷用紙PTSの中心部に配置されていないと判断される。
【0074】
図5に示すように、印刷用紙PTSのずれがある場合、印刷用紙PTSは、搬送されるにしたがってスキュー角度θsが変化する。しかしながら、搬送によってスキュー角度θsが変化する場合においても、印刷用紙PTSの中心部ではドット列のピッチのずれが印刷用紙PTSの両端よりも小さくなる。そのため、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されている場合、ドット列のピッチのずれは大きくならない。一方、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合、上述のように、ドット列のピッチのずれが大きくなる。
【0075】
第3実施例では、印刷用紙PTS上における印刷画像の配置が取得される。そして、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合には、小・中ドットの最大記録率がより低い記録率テーブル338が選択され、小・中ドットの形成される割合が低くされる。そのため、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合に、ドット列のピッチずれによるバンディングの発生が抑制される。一方、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されている場合には、小・中ドットが形成される割合を高くすることにより、印刷画像の粒状性の低下が抑制される。
【0076】
また、第3実施例では、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合に、小・中ドットの最大記録率がより低い記録率テーブル338が選択される。そのため、ドットを形成する加速・減速中にドットを形成して主走査方向に着弾位置がずれる場合においても、着弾位置のずれによる印刷画像の画質の低下を抑制することができる。
【0077】
このように、第3実施例では、印刷用紙PTS上における印刷画像の配置に基づいて、小・中ドットの最大記録率が異なる2つの記録率テーブル336,338から、記録率データの生成に用いる記録率テーブルが選択される。そのため、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合におけるバンディングの発生を抑制することができるとともに、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されている場合における印刷画像の画質をより良好なものにすることができる。
【0078】
なお、第3実施例では、主走査方向における印刷画像の配置に基づいて記録率テーブルの選択が行われているが、印刷用紙PTSの搬送方向における印刷画像の配置に基づいて記録率テーブルの選択を行うものとしても良い。通常、印刷用紙PTSのスキューは、搬送方向の端部において、搬送方向の中心部よりも大きくなる傾向がある。そのため、印刷画像が搬送方向(副走査方向)における中心部に配置されている場合に第1の記録率テーブル336を選択し、印刷画像が搬送方向における中心部に配置されていない場合に第2の記録率テーブル338を選択するのが好ましい。
【0079】
また、記録率テーブルの選択を、主走査方向における印刷画像の配置と、搬送方向における印刷画像の配置と、の双方に基づいて行うものとしても良い。一般に、記録率テーブルの選択は、印刷用紙PTS上の印刷画像の配置に基づいて行うことが可能である。この場合、印刷画像の配置と選択される記録率テーブルとの関係は、プリンタ100の紙送りの特性に応じて適宜変更される。
【0080】
E.変形例:
なお、この発明は上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0081】
E1.変形例1:
上記第1および第2実施例においては、用紙サイズが所定の大きさよりも大きい場合に、小・中ドットの最大記録率がより低い記録率テーブル338を用いているが、一般には、用紙サイズに応じて小・中ドットの最大記録率がより低い記録率テーブル338を用いるものとしてもよい。例えば、用紙サイズが所定の大きさよりも小さい場合に、小・中ドットの最大記録率がより低い記録率テーブル338を用いるものとしてもよい。このようにすれば、用紙サイズが小さくなることにより、プラテン110と印刷用紙PTSとの接触領域が小さくなり紙送りの精度が低下するような場合に、印刷画像の画質の低下を抑制することができる。
【0082】
E2.変形例2:
上記各実施例においては、第3実施例を、第1および第2実施例と別個のプリンタドライバ300bに適用しているが、第3実施例を第1および第2実施例のいずれかと組み合わせることも可能である。具体的には、用紙サイズが所定の大きさよりも大きい場合に、印刷用紙PTS上の印刷画像の配置に応じて選択された記録率テーブルを使用し、用紙サイズが所定の大きさよりも小さい場合には、小・中ドットの最大記録率がより高い記録率テーブル336を用いるものとしても良い。
【0083】
E3.変形例3:
上記各実施例においては、記録率データRRD(図2、図9)の生成に用いる記録率テーブルを第1と第2の記録率テーブル336,338とから選択することにより、小・中ドットの最大記録率を変更しているが、他の方法により小・中ドットの最大記録率を設定するものとしても良い。例えば、設定すべき最大記録率に基づいて、記録率テーブルを生成し、生成した記録率テーブルを用いてインク量データIADから記録率データRRDを生成するものとしても良い。
【0084】
E4.変形例4:
上記各実施例においては、用紙サイズや印刷画像の配置に応じて、印刷解像度に近いドットの最大記録率を変えているが、最大記録率の変更対象となるドットは、必ずしも印刷解像度に近いドットでなくとも良い。例えば、最大記録率の変更対象となるドットとしては、所定の大きさより小さいドットとしてもよい。一般に、最大記録率の変更対象となるドットは、用紙サイズや印刷画像の配置を変更した場合の印刷画像の画質に基づいて、実験的に決定される。
【0085】
E5.変形例5:
上記各実施例では、インク量データIAD(図2)は、プリンタ100(図1)で使用されるCMYKの4種類のインクに対応して、CMYKの4つの色成分値を有しているものとして説明したが、一般に、インク量データIADは、プリンタ100において使用されるインクの種類に対応した数の色成分値を有するデータとして生成される。
【0086】
E6.変形例6:
上記各実施例では、本発明をインクジェットプリンタ100(図1)のための印刷データPDを生成するプリンタドライバ300に適用しているが、本発明は、インクジェットプリンタのほか、マルチサイズドット印刷を行うプリンタであれば、例えば、レーザプリンタなどの他の種類のプリンタのための印刷データを生成するプリンタドライバにも適用することができる。また、本発明は、プリンタドライバ300に相当する画像処理装置を備える装置であれば、プリンタのほか、ファクシミリ装置やコピー機に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施例を適用する画像印刷システムの概略構成を示す説明図。
【図2】プリンタドライバ300の機能的な構成を示すブロック図。
【図3】2つの記録率テーブル336,338のそれぞれにおけるインク量と小・中・大の各ドットの記録率との関係を示す説明図。
【図4】プリンタドライバ300による印刷データの生成処理の流れを示すフローチャート。
【図5】スキューが印刷画像に及ぼす影響を示す説明図。
【図6】印刷用紙上に小・中・大の各ドットが形成された状態を示す説明図。
【図7】記録率テーブルの変形例を示す説明図。
【図8】第2実施例における印刷データの生成処理の流れを示すフローチャート。
【図9】第3実施例のプリンタドライバ300bの機能的な構成を示すブロック図。
【図10】第3実施例における印刷データの生成処理の流れを示すフローチャート。
【図11】印刷用紙PTS上の印刷画像の配置例を示す説明図。
【符号の説明】
【0088】
100…プリンタ
110…プラテン
200…コンピュータ
300,300b…プリンタドライバ
310…インク量データ生成部
320…印刷条件入力部
330,330b…記録率データ生成部
331…画像配置取得部
332…記録率テーブル選択部
334…変換処理実行部
336,338…記録率テーブル
340…ハーフトーン処理部
350…ラスタライズ処理部
CV…ケーブル
PTS…印刷用紙
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像を印刷するための画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用紙などの印刷媒体上に印刷された画像(印刷画像)において階調をより的確に再現するため、大きさの異なる複数のインクドットを印刷媒体上に形成(記録)するマルチサイズドット印刷が行われる。このようなマルチサイズドット印刷を行う場合、印刷解像度で規定される画素サイズ(以下、単に「印刷解像度」とも呼ぶ)に近い大きさのインクドットが記録される位置(着弾位置)がずれると、印刷画像にバンディング等が発生し、印刷画像の画質が低下するおそれがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−160913号公報
【特許文献2】特開2003−118088号公報
【特許文献3】特開2003−266700号公報
【特許文献4】特開2005−001202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像を印刷する場合において、印刷媒体の搬送状態やインクドットを吐出するインクヘッドの駆動状態によっては、インクドットが記録される位置によってインクドットの着弾位置の精度が低下し、印刷画像の印刷画像の画質が低下する場合がある。この問題は、インクジェットプリンタに限らず、マルチサイズドット印刷を行う種々のプリンタに共通する問題である。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、マルチサイズドット印刷を行うプリンタにおいて印刷画像の画質の低下を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
印刷媒体上に大きさの異なる複数種類のインクドットを記録して画像を印刷するための画像処理装置であって、
前記印刷媒体に印刷される印刷画像の前記印刷媒体上における配置を取得する印刷画像配置取得部と、
前記印刷媒体上に記録されるインク量を表すインク量データから、前記複数種類のドットの記録状態を表す印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記印刷データ生成部は、同一のインク量データに対して、前記複数種類のインクドットのうちの特定種類のドットについて記録数が前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値となるように、前記印刷データを生成する、
画像処理装置。
【0008】
適用例1の画像処理装置では、同一のインク量データに対して、印刷画像の配置に応じて特定種類のドットの記録数が異なる印刷データが生成される。そのため、特定種類のドットの記録率をインクドットの記録位置の精度に応じてより適したものにすることができるので、印刷画像の低下を抑制することが可能となる。
【0009】
[適用例2]
適用例1記載の画像処理装置であって、
前記特定種類のインクドットは、前記複数種類のインクドットのうちの前記特定種類のインクドット以外のインクドットの大きさよりも印刷解像度で規定される画素サイズに近い大きさのインクドットであり、
前記印刷データ生成部は、前記印刷画像が前記印刷媒体の中心部に配置されていない場合、前記特定種類のインクドットの記録数が、前記印刷画像が前記印刷媒体の中心部に配置されている場合よりも少なくなるように前記印刷データを生成する、
画像処理装置。
【0010】
通常、印刷媒体の周辺部では、印刷媒体の中心部よりもインクドットの記録位置の精度が低くなる。そのため、印刷媒体の中心部に印刷画像が配置されていない場合に、印刷解像度に近い大きさのインクドットの記録数を低減することにより、記録位置の精度の低下による印刷画像の画質の低下をより抑制することができる。
【0011】
[適用例3]
適用例1または2記載の画像処理装置であって、
前記印刷データ生成部は、
前記インク量データから記録率データを生成する記録率データ生成部と、
前記記録率データを前記印刷データに変換するデータ変換部と、
を備えており、
前記記録率データ生成部は、前記特定種類のインクドットの最大記録率を前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値に設定する、
画像処理装置。
【0012】
適用例3では、特定種類のインクドットの最大記録率が印刷画像の配置に応じて互いに異なる値に設定される。そのため、印刷画像の配置に応じて特定種類のドットの記録数を異なるものにすることがより容易となる。
【0013】
[適用例4]
適用例3記載の画像処理装置であって、
前記記録率データ生成部は、
前記インク量と、前記複数種類のインクドットのそれぞれの記録率と、の関係を示す第1の記録率テーブルと、
前記特定種類のインクドットの最大記録率が、前記第1の記録率テーブルと異なる第2の記録率テーブルと、
前記印刷画像の配置に基づいて、前記記録率データの生成に用いる記録率テーブルを前記第1と第2の記録率テーブルのうちから選択する記録率テーブル選択部と、
を有している、
画像処理装置。
【0014】
この適用例では、記録率テーブル選択部が、印刷画像の配置に基づいて、特定種類のインクドットの最大記録率が互いに異なる第1と第2の記録率テーブルを選択することにより、特定種類のインクドットの最大記録率を印刷画像の配置に応じて互いに異なる値に設定することができる。そのため、特定種類のインクドットの最大記録率を印刷画像の配置に応じて互いに異なる値に設定することがより容易となる。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、画像処理装置および画像処理方法、その画像処理装置および方法を用いた画像印刷装置、画像印刷方法および画像印刷システム、それらの装置、方法およびシステムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.記録率テーブルの変形例:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.変形例:
【0017】
A.第1実施例:
図1は、第1実施例を適用する画像印刷システムの概略構成を示す説明図である。画像印刷システムは、プリンタ100と、コンピュータ200とを備えている。プリンタ100は、インク滴を印刷用紙PTS上に吐出することにより、印刷用紙PTS上に画像を形成するインクジェットプリンタである。プリンタ100とコンピュータ200とは、ケーブルCVにより接続されている。プリンタ100は、コンピュータ200から、ケーブルCVを介して供給される印刷データPDに基づいて、インク滴を印刷用紙PTS上に吐出する。
【0018】
コンピュータ200には、プリンタドライバ300がインストールされている。プリンタドライバ300は、画像データに基づいて印刷データPDを生成するモジュールである。プリンタドライバ300で生成される印刷データPDは、印刷解像度を有する主走査ライン上の各画素について、小・中・大の3つの大きさのインクドット(以下、単に「ドット」という)の記録状態を表すラスタデータを含んでいる。なお、ドットの種類は、必ずしもこの3種類に限定されない。一般に、ドットの種類は、2以上の任意の数とすることができる。
【0019】
プリンタドライバ300の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態、あるいは、搬送波内に具現化されたデータ信号に含まれた形態で、コンピュータ200に供給することができる。
【0020】
なお、第1実施例では、画像出力装置としてのプリンタ100と、画像処理装置としてのコンピュータ200とを別個のものとしているが、画像処理装置としての機能をプリンタに組み込むことも可能である。
【0021】
図2は、プリンタドライバ300の機能的な構成を示すブロック図である。プリンタドライバ300は、インク量データ生成部310と、印刷条件入力部320と、記録率データ生成部330と、ハーフトーン処理部340と、ラスタライズ処理部350と、を備えている。
【0022】
インク量データ生成部310は、プリンタドライバ300に供給される画像データIMDに色変換処理を施して、インク量データIADを生成する。インク量データIADの生成は、例えば、図示しない色変換ルックアップテーブル(LUT)を参照して、画像データIMDのRGBの各色成分値をインク量に対応するCMYKの各色成分値に変換することにより行われる。インク量データ生成部310で生成されたインク量データIADは、記録率データ生成部330に供給される。
【0023】
印刷条件入力部320は、プリンタドライバ300に設定される種々の印刷条件STGの設定入力を受け付ける。設定された印刷条件STGは、記録率データ生成部330に供給される。なお、第1実施例では、印刷条件入力部320に入力される印刷条件STGのうち、印刷用紙の大きさ(用紙サイズ)が記録率データ生成部330に供給される。
【0024】
記録率データ生成部330は、記録率テーブル選択部332と、変換処理実行部334と、2つの記録率テーブル336,338と、を有している。記録率テーブル選択部332は、印刷条件入力部320に入力される印刷条件STGに基づいて、2つの記録率テーブル336,338から記録率テーブルを選択する。変換処理実行部334は、選択された記録率テーブルを参照して、インク量データ生成部310から供給されるインク量データIADを、小・中・大の各ドットの記録率を表す記録率データRRDに変換する。ここで、記録率とは、ある領域内の画素にドットを記録する割合をいう。なお、2つの記録率テーブル336,338の内容と、記録率テーブル選択部332による記録率テーブルの選択と、については後述する。生成された記録率データRRDは、ハーフトーン処理部340に供給される。
【0025】
ハーフトーン処理部340は、ディザ等のハーフトーン処理を行うことにより、記録率データRRDからドットの配置状態を表すドット配置データDPDを生成する。そして、生成されたドット配置データDPDは、ラスタライズ処理部350により、主走査方向に並べ替えられ、主走査方向のドットの形成状態を表すラスタデータが生成される。生成されたラスタデータからは、ラスタデータを含む印刷データPDが生成される。
【0026】
なお、上述のように、インク量データIADからの印刷データPDの生成は、記録率データ生成部330と、ハーフトーン処理部340と、ラスタライズ処理部350と、の機能により行われる。そのため、インク量データIADから印刷データPDを生成する「印刷データ生成部」の機能は、記録率データ生成部330と、ハーフトーン処理部340と、ラスタライズ処理部350との3つにより実現されている。また、記録率データRRDから印刷データPDへの変換は、ハーフトーン処理部340と、ラスタライズ処理部350により行われる。そのため、記録率データRRDから印刷データPDへの変換を行う「データ変換部」としての機能は、ハーフトーン処理部340と、ラスタライズ処理部350との2つにより実現されている。
【0027】
このように生成された印刷データPDは、コンピュータ200(図1)が備えるインタフェース(図示しない)と、ケーブルCVとを介して、プリンタドライバ300からプリンタ100に供給される。プリンタ100が供給された印刷データPDに応じて印刷用紙PTS上にインクを吐出することにより、印刷用紙PTS上には、画像データIMDにより表される画像が形成される。
【0028】
図3は、2つの記録率テーブル336,338のそれぞれにおけるインク量と小・中・大の各ドットの記録率との関係を示す説明図である。図3(a)は、第1の記録率テーブル336におけるインク量と記録率との関係を示し、図3(b)は、第2の記録率テーブル338におけるインク量と記録率との関係を示している。図3(a)および図3(b)において、実線は、インク量に対する小ドットの記録率を表している。また、破線はインク量に対する中ドットの記録率を表し、一点鎖線は大ドットの記録率を表している。
【0029】
図3(a)に示すように、第1の記録率テーブル336では、小ドットと中ドットの記録率の最大値(最大記録率)は、60%に設定されている。一方、図3(b)に示すように、第2の記録率テーブル338では、小ドットと中ドットの最大記録率は、第1の記録率テーブル336よりも低い30%に設定されている。そのため、第2の記録率テーブル338を用いた場合に印刷用紙PTS上に形成される小ドットと中ドットの数は、通常、第1の記録率テーブル336を用いた場合よりも少なくなる。
【0030】
図4は、プリンタドライバ300による印刷データの生成処理の流れを示すフローチャートである。この印刷データの生成処理は、コンピュータ200が有するCPU(図示しない)が、プリンタドライバ300の機能を実現するプログラムを実行することにより行われる。
【0031】
ステップS110において、記録率データ生成部330は、印刷条件入力部320に設定された印刷条件STGを取得する。上述のように、第1実施例では、記録率データ生成部330は、種々の印刷条件STGのうち、用紙サイズを取得する。
【0032】
ステップS120において、インク量データ生成部310は、RGBの色成分値を有する画像データ(RGB画像データ)IMDを取得する。次いで、ステップS130において、インク量データ生成部310は、ステップS120で取得されたRGB画像データIMDに対して、RGBの各色成分値をCMYKの色成分値に変換する。
【0033】
ステップS140において、記録率データ生成部330の記録率テーブル選択部332は、用紙サイズがA3以下であるか否かを判断する。用紙サイズがA3以下である場合、制御はステップS150に移される。ステップS150では、記録率テーブル選択部332により、小・中ドットの最大記録率が高い第1の記録率テーブル336が選択される。一方、用紙サイズがA3よりも大きい場合、制御はステップS160に移される。ステップS160では、記録率テーブル選択部332により、小・中ドットの最大記録率が低い第2の記録率テーブル338が選択される。
【0034】
ステップS170において、変換処理実行部334は、2つの記録率テーブル336,338のうちから選択された記録率テーブルを用いて、インク量を小・中・大の各ドットの記録率を表す記録率データRRDを生成する。具体的には、インク量に対応する小・中・大の各ドットの記録率を特定する。そして、特定された記録率を表す記録率データRRDを生成する。
【0035】
ステップS180において、ハーフトーン処理部340は、記録率データRRDからドット配置データDPDを生成する。ステップS190では、ラスタライズ処理部350が、ステップS180において生成されたドット配置データDPDから印刷データPDを生成する。生成された印刷データPDは、上述の通り、プリンタ100(図1)に供給され、印刷用紙PTS上に画像が形成される。
【0036】
ところで、プリンタ100により画像を形成する際に、画像が形成される印刷用紙PTSの配置が副走査方向(すなわち、印刷用紙PTSの搬送方向)に対して斜めになっていると、印刷用紙PTS上に形成される画像(以下、「印刷画像」とも呼ぶ)に対して好ましくない影響を与える可能性がある。
【0037】
図5は、このような印刷用紙PTSのずれ(スキュー)が印刷画像に及ぼす影響を示す説明図である。図5(a)および図5(b)は、プラテン110を駆動して印刷用紙PTSの搬送方向(紙送り方向)に順次搬送することにより、主走査により形成される画像(バンド)が印刷用紙PTS上に順次形成されていく様子を示している。
【0038】
図5(a)の例では、印刷用紙PTSが、紙送り方向に対して斜めに給紙されている。そのため、図5(a)に示すように印刷用紙PTSの主走査方向の両端の辺と、紙送り方向とは平行とならない。なお、以下では、印刷用紙PTSの左右両側の辺と、紙送り方向とのなす角度を、スキュー角度θsと呼ぶ。
【0039】
バンドを形成する主走査の方向は、プラテン110の軸方向、すなわち、紙送り方向と直角の方向となっている。そのため、スキュー角度θsがθ1(>0)となっている図5(a)の例では、ハッチングで示すバンドBD1は、印刷用紙PTSの辺に対して斜めに形成される。
【0040】
印刷用紙PTS上にバンドBD1が形成されると、次いで、印刷用紙PTSが紙送り方向に搬送される。通常、印刷用紙PTSの搬送機構は、印刷用紙PTSの向きを紙送り方向に規制する紙送りガイド(図示しない)を有している。そのため、図5(a)に示すように傾いた印刷用紙PTSが搬送されると、印刷用紙PTSは紙送りガイドに突き当たりその方向が変化する。
【0041】
図5(b)は、このように印刷用紙PTSの方向が変わった状態を示している。図5(b)の例では、印刷用紙PTSは、図5(a)の場合と反対方向に傾いている。そのため、スキュー角度θsは、図5(a)におけるθ1からθ2(<0)に変わっている。
【0042】
このように、バンドBD1が形成された印刷用紙PTSが搬送され、搬送された印刷用紙PTS上にバンドBD2が形成されると、印刷用紙PTS上に形成された2つのバンドBD1,BD2は、一方で重なり合い、他方で離れることになる。
【0043】
このとき、2つのバンドBD1,BD2が主走査方向の両端部において重複および離間する幅dは、バンド幅Lと、2つのバンドBD1,BD2を形成した際のスキュー角度θsの差Δθs(=θ2−θ1)を用いて、次の式(1)で表される。
【0044】
d=L/2×sin(Δθs)≒L/2×Δθs …(1)
【0045】
通常、角度差Δθsは1より十分小さい。そのため、上記の式(1)において、幅dは、バンド幅Lの1/2に角度差Δθsを乗じた値として扱うことができる。
【0046】
式(1)に示すように、2つのバンドBD1,BD2が離間する幅dは、これらのバンドBD1,BD2の幅Lが広くなるにしたがって、広くなる。そのため、印刷用紙PTSの大きさが大きくなるほど、バンドBD1,BD2の形成位置の精度が低下する。なお、図5の例では、印刷用紙PTSが斜めに給紙されるスキューによりバンドBD1,BD2の形成位置精度が低下する様子を示しているが、一般に、印刷用紙PTSのサイズが大きくなるにしたがって、主走査ラインに沿ったドットの列(ドット列)のピッチが印刷解像度からずれる可能性が高くなる。
【0047】
図6は、印刷用紙上に小・中・大の各ドットが形成された状態を示す説明図である。図6(a)は、ドット列のピッチが印刷解像度Pに保たれている状態を示している。一方、図6(b)は、図5に示すように、2つのバンドBD1,BD2の形成位置の精度が低下し、ドット列間の一部で印刷解像度Pよりもピッチが広くなっている状態を示している。図6(a)および図6(b)において、黒丸は、形成された小・中・大の各ドットを示している。一点鎖線は、これらのドットが形成される主走査の方向、すなわち、ドット列の方向を示している。点線は、ドット列の中間線を示している。
【0048】
図6(a)の例では、ドット列のピッチは印刷解像度Pに保たれている。そのため、小・中・大の各ドットは、印刷解像度Pで副走査方向に配列されている。このように小・中・大の各ドットが副走査方向に等間隔に形成されることにより、これらのドットにより形成された画像は、バンディング等のない良好な画像となる。
【0049】
一方、図6(b)の例では、上側の2つのドット列のピッチが印刷解像度Pとなっているのに対し、下側の2つのドット列のピッチは印刷解像度Pよりも広いピッチP’となっている。このように、ドット列のピッチが印刷解像度Pよりも広くなると、ドットの径(大きさ)が印刷解像度Pに近い小ドットと中ドットとで形成される画像においては、ピッチの広がりによる空白が視認されやすくなり、バンディングが発生しやすくなる。一方、大ドットで形成される画像では、ドットの径が印刷解像度Pよりも大きいため、ドット列のピッチの広がりによる空白があまり視認されず、バンディングの発生が抑制される。
【0050】
第1実施例では、用紙サイズがA3よりも大きい場合、すなわち、ドット列のピッチが印刷解像度Pからずれる可能性が高い場合に、小ドットと中ドットの記録率が低くなる第2の記録率テーブル338を用いて記録率データRRDが生成される。そのため、生成された記録率データRRDを用いて印刷データPDを生成し、生成した印刷データPDを用いて画像を形成した場合、ドット列のピッチのずれによるバンディングの発生を抑制することができる。
【0051】
一方、用紙サイズがA3以下である場合、ドット列のピッチのずれがあまり大きくならない。さらに、用紙サイズが小さい場合、印刷された画像は、通常、大きな印刷用紙に印刷された場合よりも近い距離で観察される。そこで、このような場合に、第1の記録率テーブル336を用いて小・中ドットが形成される割合を高くすることにより、印刷画像の粒状性の低下を抑制することが可能となる。
【0052】
なお、第1実施例では、用紙サイズがA3より大きいか否かの判断結果に基づいて、記録率テーブルを選択しているが、記録率テーブルを選択する際の判断基準となる用紙サイズは、プリンタ100(図1)の特性等に応じて、適宜変更される。たとえば、プリンタ100がスキューの発生しにくいプリンタである場合には、用紙サイズがA2より大きいか否かの判断結果に基づいて記録率テーブルを選択するものとしてもよい。これに対し、プリンタ100がスキューの発生しやすいプリンタである場合には、用紙サイズがA4より大きいか否かの判断結果に基づいて記録率テーブルを選択するものとしてもよい。
【0053】
また、第1実施例では、用紙サイズに基づいて記録率テーブルを選択しているが、記録率テーブルの選択は、一般に、印刷用紙PTSの大きさを表すパラメータに基づいて行うことができる。このようなパラメータとしては、例えば、印刷用紙PTSの幅や長さを用いることが可能である。
【0054】
B.記録率テーブルの変形例:
第1実施例では、用紙サイズがA3よりも大きい場合には、図3(b)に示すように小ドットの最大記録率と中ドットの最大記録率とのいずれもが低く設定された第2の記録率テーブル338が選択されている。しかしながら、小・中・大の各ドットの径と印刷解像度Pとの関係によっては、第2の記録率テーブル338とは異なる記録率テーブルを使用することにより、バンディングの発生を抑制することができる。
【0055】
図7は、このような記録率テーブルの変形例を示す説明図である。図7(a)および図7(b)は、それぞれ変形例における記録率テーブルにおけるインク量と小・中・大の各ドットの記録率との関係を示している。これらの記録率テーブルは、小ドットの最大記録率と中ドットの最大記録率とのいずれか一方のみが低く設定されている点で、図3(b)の第2の記録率テーブル338と異なっている。
【0056】
図7(a)の記録率テーブルでは、小ドットの最大記録率が30%に設定され、中ドットの最大記録率が60%に設定されている。そして、第1実施例と同様に、用紙サイズがA3よりも大きい場合には、小ドットの最大記録率が低く設定された記録率テーブルが選択され、用紙サイズがA3以下である場合には、小ドットの最大記録率が高く設定された第1の記録率テーブル336が選択される。
【0057】
このように、図7(a)に示す記録率テーブルを使用することにより、印刷用紙PTS上に形成される小ドットの数が、第1の記録率テーブル336を用いた場合よりも少なくなる。このように、小ドットの形成数のみを少なくすることによっても、例えば、小ドットの径が印刷解像度Pに近く、かつ、中ドットの径が印刷解像度Pよりも十分大きい場合には、ドット列のピッチの印刷解像度Pからのずれによるバンディングの発生を抑制することができる。
【0058】
図7(b)の例では、小ドットの最大記録率が60%に設定され、中ドットの最大記録率が30%に設定されている。そして、印刷用紙のサイズがA3よりも大きい場合には、中ドットの最大記録率が低く設定された記録率テーブルが選択され、印刷用紙のサイズがA3以下である場合には、中ドットの最大記録率が高く設定された第1の記録率テーブル336が選択される。
【0059】
このように、図7(b)に示す記録率テーブルを使用することにより、印刷用紙上に形成される中ドットの数が、第1の記録率テーブル336を用いた場合よりも少なくなる。このように、中ドットの形成数のみを少なくすることによっても、例えば、小ドットの径が印刷解像度Pよりも十分小さく、かつ、中ドットの径が印刷解像度Pに近い場合には、ドット列のピッチの印刷解像度Pからのずれによるバンディングの発生を抑制することができる。
【0060】
さらに、例えば、大ドットの径が印刷解像度Pに近い場合には、大ドットの形成数を少なくするような記録率テーブルを用いることもできる。この場合、小ドットと中ドットとのうちの少なくとも一方の最大記録率をより高くすることにより、大ドットの形成数を低減するものとしてもよい。また、小ドットと中ドットの最大記録率を変えることなく、インク量が多い領域における小ドットと中ドットの記録率の低減の度合いを変更することにより、大ドットの形成数を低減するものとしても良い。
【0061】
C.第2実施例:
図8は、第2実施例における印刷データの生成処理の流れを示すフローチャートである。第2実施例の印刷データ生成処理は、ステップS130の次にステップS132aが付加されている点と、2つのステップS110,S140がそれぞれステップS110a,S140aに置き換えられている点とで、図4に示す第1実施例の印刷データ生成処理と異なっている。他の点は、第1実施例と同じである。
【0062】
ステップS110aにおいて、記録率データ生成部330は、種々の印刷条件STGのうち、用紙サイズと印刷用紙の種類(用紙種類)とを取得する。
【0063】
ステップS132において、記録率テーブル選択部332は、ステップS110aにおいて取得した用紙種類に基づいて基準サイズを設定する。基準サイズとしては、スキューの発生しやすい用紙に対しては、より小さい基準サイズが設定され、スキューの発生しにくい用紙に対しては、より大きい基準サイズが設定される。基準サイズは、例えば、次の表1に示すように設定される。
【表1】
【0064】
ステップS140aにおいて、記録率テーブル選択部332は、用紙サイズがステップS132において設定された基準サイズ以下か否かを判断する。用紙サイズが基準サイズ以下である場合、制御はステップS150に移される。一方、用紙サイズが基準サイズよりも大きい場合、制御はステップS160に移される。
【0065】
このように第2実施例においては、用紙サイズと、印刷用紙の種類に基づいて設定された基準サイズとの比較が行われる。そして、用紙サイズが基準サイズよりも大きい場合には、小・中ドットが形成される割合を低くすることにより、バンディングの発生を抑制することができる。一方、用紙サイズが基準サイズよりも小さい場合には、小・中ドットが形成される割合を高くすることにより、印刷画像の粒状性の低下を抑制することができる。
【0066】
なお、第2実施例は、記録率テーブルの選択が、用紙種類と用紙サイズとに基づいて行われる。そのため、より適切な記録率テーブルを選択することができる点で、第1実施例よりも好ましい。一方、第1実施例は、記録率テーブル選択部332における処理をより簡単にできる点で、第2実施例よりも好ましい。
【0067】
D.第3実施例:
図9は、第3実施例のプリンタドライバ300bの機能的な構成を示すブロック図である。第3実施例のプリンタドライバ300bは、印刷条件入力部320から記録率データ生成部330bに印刷条件STGが供給されていない点と、記録率データ生成部330bが画像配置取得部331を有している点で、図2に示す第1実施例のプリンタドライバ300と異なっている。他の点は、第1実施例と同様である。
【0068】
図10は、第3実施例における印刷データの生成処理の流れを示すフローチャートである。第3実施例の印刷データ生成処理は、ステップS110が省略されている点と、ステップS130の次にステップS134が付加されている点と、ステップS140がステップS140bに置き換えられている点とで、図4に示す第1実施例の印刷データ生成処理と異なっている。他の点は、第1実施例と同様である。
【0069】
ステップS134において、画像配置取得部331は、印刷用紙PTS上における画像の印刷位置(配置)を取得する。印刷画像の配置は、例えば、インク量データIADを解析して、インク量が0でない(白色でない)領域を検出することにより取得することができる。但し、印刷画像の配置は、画像データIMDを解析して取得するものとしてもよい。また、画像データIMDが画像の印刷位置を指定する配置データを含んでいる場合には、配置データに基づいて取得することも可能である。
【0070】
ステップS140bにおいて、記録率テーブル選択部332は、印刷画像が印刷用紙PTSの主走査方向における中心部に配置されているか否かを判断する。具体的には、印刷画像が、副走査方向に沿った印刷用紙PTSの中心線の近くに配置されているか否かを判断する。なお、以下では、特に断らない限り、「中心部」とは主走査方向における中心部のことをいい、「中心線」とは副走査方向に沿った印刷用紙PTSの中心線のことをいう。印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されている場合、制御はステップS150に移される。一方、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合、制御はステップS160に移される。
【0071】
印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されているか否かは、例えば、印刷画像が中心線にかかるか否かに基づいて判断することができる。但し、中心部に配置されているか否かの判断は、他の方法によっても行うことができる。例えば、印刷画像が中心線を含む所定の領域内に懸かるか否かに基づいて判断するものとしてもよく、また、主走査方向における印刷画像の端と印刷用紙PTSの辺との距離に基づいて判断することも可能である。
【0072】
図11は、印刷用紙PTS上の印刷画像の配置例を示す説明図である。図11(a)は、印刷画像IPT1が印刷用紙PTSの中心部に配置されている状態を示している。図11(b)は、印刷画像IPT2が印刷用紙PTSの右よりの位置に配置されている様子を示している。図11(a)および図11(b)において、中心線CLは、印刷用紙PTSの搬送方向に沿った印刷用紙PTSの中心線を示している。
【0073】
第3実施例においては、印刷画像が印刷用紙PTSの中心線にかかるか否かに基づいて、印刷画像が中心部に配置されているか否かが判断される。図11(a)の例では、印刷画像IPT1が中心線CLにかかっている。そのため、図10のステップS140において、印刷画像IPT1は、印刷用紙PTSの中心部に配置されていると判断される。一方、図11(b)の例では、印刷画像IPT2が中心線CLにかかっていない。そのため、図10のステップS140において、印刷画像IPT2は、印刷用紙PTSの中心部に配置されていないと判断される。
【0074】
図5に示すように、印刷用紙PTSのずれがある場合、印刷用紙PTSは、搬送されるにしたがってスキュー角度θsが変化する。しかしながら、搬送によってスキュー角度θsが変化する場合においても、印刷用紙PTSの中心部ではドット列のピッチのずれが印刷用紙PTSの両端よりも小さくなる。そのため、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されている場合、ドット列のピッチのずれは大きくならない。一方、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合、上述のように、ドット列のピッチのずれが大きくなる。
【0075】
第3実施例では、印刷用紙PTS上における印刷画像の配置が取得される。そして、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合には、小・中ドットの最大記録率がより低い記録率テーブル338が選択され、小・中ドットの形成される割合が低くされる。そのため、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合に、ドット列のピッチずれによるバンディングの発生が抑制される。一方、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されている場合には、小・中ドットが形成される割合を高くすることにより、印刷画像の粒状性の低下が抑制される。
【0076】
また、第3実施例では、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合に、小・中ドットの最大記録率がより低い記録率テーブル338が選択される。そのため、ドットを形成する加速・減速中にドットを形成して主走査方向に着弾位置がずれる場合においても、着弾位置のずれによる印刷画像の画質の低下を抑制することができる。
【0077】
このように、第3実施例では、印刷用紙PTS上における印刷画像の配置に基づいて、小・中ドットの最大記録率が異なる2つの記録率テーブル336,338から、記録率データの生成に用いる記録率テーブルが選択される。そのため、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されていない場合におけるバンディングの発生を抑制することができるとともに、印刷画像が印刷用紙PTSの中心部に配置されている場合における印刷画像の画質をより良好なものにすることができる。
【0078】
なお、第3実施例では、主走査方向における印刷画像の配置に基づいて記録率テーブルの選択が行われているが、印刷用紙PTSの搬送方向における印刷画像の配置に基づいて記録率テーブルの選択を行うものとしても良い。通常、印刷用紙PTSのスキューは、搬送方向の端部において、搬送方向の中心部よりも大きくなる傾向がある。そのため、印刷画像が搬送方向(副走査方向)における中心部に配置されている場合に第1の記録率テーブル336を選択し、印刷画像が搬送方向における中心部に配置されていない場合に第2の記録率テーブル338を選択するのが好ましい。
【0079】
また、記録率テーブルの選択を、主走査方向における印刷画像の配置と、搬送方向における印刷画像の配置と、の双方に基づいて行うものとしても良い。一般に、記録率テーブルの選択は、印刷用紙PTS上の印刷画像の配置に基づいて行うことが可能である。この場合、印刷画像の配置と選択される記録率テーブルとの関係は、プリンタ100の紙送りの特性に応じて適宜変更される。
【0080】
E.変形例:
なお、この発明は上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0081】
E1.変形例1:
上記第1および第2実施例においては、用紙サイズが所定の大きさよりも大きい場合に、小・中ドットの最大記録率がより低い記録率テーブル338を用いているが、一般には、用紙サイズに応じて小・中ドットの最大記録率がより低い記録率テーブル338を用いるものとしてもよい。例えば、用紙サイズが所定の大きさよりも小さい場合に、小・中ドットの最大記録率がより低い記録率テーブル338を用いるものとしてもよい。このようにすれば、用紙サイズが小さくなることにより、プラテン110と印刷用紙PTSとの接触領域が小さくなり紙送りの精度が低下するような場合に、印刷画像の画質の低下を抑制することができる。
【0082】
E2.変形例2:
上記各実施例においては、第3実施例を、第1および第2実施例と別個のプリンタドライバ300bに適用しているが、第3実施例を第1および第2実施例のいずれかと組み合わせることも可能である。具体的には、用紙サイズが所定の大きさよりも大きい場合に、印刷用紙PTS上の印刷画像の配置に応じて選択された記録率テーブルを使用し、用紙サイズが所定の大きさよりも小さい場合には、小・中ドットの最大記録率がより高い記録率テーブル336を用いるものとしても良い。
【0083】
E3.変形例3:
上記各実施例においては、記録率データRRD(図2、図9)の生成に用いる記録率テーブルを第1と第2の記録率テーブル336,338とから選択することにより、小・中ドットの最大記録率を変更しているが、他の方法により小・中ドットの最大記録率を設定するものとしても良い。例えば、設定すべき最大記録率に基づいて、記録率テーブルを生成し、生成した記録率テーブルを用いてインク量データIADから記録率データRRDを生成するものとしても良い。
【0084】
E4.変形例4:
上記各実施例においては、用紙サイズや印刷画像の配置に応じて、印刷解像度に近いドットの最大記録率を変えているが、最大記録率の変更対象となるドットは、必ずしも印刷解像度に近いドットでなくとも良い。例えば、最大記録率の変更対象となるドットとしては、所定の大きさより小さいドットとしてもよい。一般に、最大記録率の変更対象となるドットは、用紙サイズや印刷画像の配置を変更した場合の印刷画像の画質に基づいて、実験的に決定される。
【0085】
E5.変形例5:
上記各実施例では、インク量データIAD(図2)は、プリンタ100(図1)で使用されるCMYKの4種類のインクに対応して、CMYKの4つの色成分値を有しているものとして説明したが、一般に、インク量データIADは、プリンタ100において使用されるインクの種類に対応した数の色成分値を有するデータとして生成される。
【0086】
E6.変形例6:
上記各実施例では、本発明をインクジェットプリンタ100(図1)のための印刷データPDを生成するプリンタドライバ300に適用しているが、本発明は、インクジェットプリンタのほか、マルチサイズドット印刷を行うプリンタであれば、例えば、レーザプリンタなどの他の種類のプリンタのための印刷データを生成するプリンタドライバにも適用することができる。また、本発明は、プリンタドライバ300に相当する画像処理装置を備える装置であれば、プリンタのほか、ファクシミリ装置やコピー機に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施例を適用する画像印刷システムの概略構成を示す説明図。
【図2】プリンタドライバ300の機能的な構成を示すブロック図。
【図3】2つの記録率テーブル336,338のそれぞれにおけるインク量と小・中・大の各ドットの記録率との関係を示す説明図。
【図4】プリンタドライバ300による印刷データの生成処理の流れを示すフローチャート。
【図5】スキューが印刷画像に及ぼす影響を示す説明図。
【図6】印刷用紙上に小・中・大の各ドットが形成された状態を示す説明図。
【図7】記録率テーブルの変形例を示す説明図。
【図8】第2実施例における印刷データの生成処理の流れを示すフローチャート。
【図9】第3実施例のプリンタドライバ300bの機能的な構成を示すブロック図。
【図10】第3実施例における印刷データの生成処理の流れを示すフローチャート。
【図11】印刷用紙PTS上の印刷画像の配置例を示す説明図。
【符号の説明】
【0088】
100…プリンタ
110…プラテン
200…コンピュータ
300,300b…プリンタドライバ
310…インク量データ生成部
320…印刷条件入力部
330,330b…記録率データ生成部
331…画像配置取得部
332…記録率テーブル選択部
334…変換処理実行部
336,338…記録率テーブル
340…ハーフトーン処理部
350…ラスタライズ処理部
CV…ケーブル
PTS…印刷用紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体上に大きさの異なる複数種類のインクドットを記録して画像を印刷するための画像処理装置であって、
前記印刷媒体に印刷される印刷画像の前記印刷媒体上における配置を取得する印刷画像配置取得部と、
前記印刷媒体上に記録されるインク量を表すインク量データから、前記複数種類のドットの記録状態を表す印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記印刷データ生成部は、同一のインク量データに対して、前記複数種類のインクドットのうちの特定種類のドットについて記録数が前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値となるように、前記印刷データを生成する、
画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記特定種類のインクドットは、前記複数種類のインクドットのうちの前記特定種類のインクドット以外のインクドットの大きさよりも印刷解像度で規定される画素サイズに近い大きさのインクドットであり、
前記印刷データ生成部は、前記印刷画像が前記印刷媒体の中心部に配置されていない場合、前記特定種類のインクドットの記録数が、前記印刷画像が前記印刷媒体の中心部に配置されている場合よりも少なくなるように前記印刷データを生成する、
画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像処理装置であって、
前記印刷データ生成部は、
前記インク量データから記録率データを生成する記録率データ生成部と、
前記記録率データを前記印刷データに変換するデータ変換部と、
を備えており、
前記記録率データ生成部は、前記特定種類のインクドットの最大記録率を前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値に設定する、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像処理装置であって、
前記記録率データ生成部は、
前記インク量と、前記複数種類のインクドットのそれぞれの記録率と、の関係を示す第1の記録率テーブルと、
前記特定種類のインクドットの最大記録率が、前記第1の記録率テーブルと異なる第2の記録率テーブルと、
前記印刷画像の配置に基づいて、前記記録率データの生成に用いる記録率テーブルを前記第1と第2の記録率テーブルのうちから選択する記録率テーブル選択部と、
を有している、
画像処理装置。
【請求項5】
印刷媒体上に大きさの異なる複数種類のインクドットを記録して画像を印刷するための画像処理方法であって、
(a)前記印刷媒体に印刷される印刷画像の前記印刷媒体上における配置を取得する工程と、
(b)前記印刷媒体上に記録されるインク量を表すインク量データから、前記複数種類のドットの記録状態を表す印刷データを生成する工程と、
を備え、
前記工程(b)は、同一のインク量データに対して、前記複数種類のインクドットのうちの特定種類のドットについて記録数が前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値となるように、前記印刷データを生成する工程を含む、
画像処理方法。
【請求項6】
印刷媒体上に大きさの異なる複数種類のインクドットを記録して画像を印刷するための画像処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
(a)前記印刷媒体に印刷される印刷画像の前記印刷媒体上における配置を取得する機能と、
(b)前記印刷媒体上に記録されるインク量を表すインク量データから、前記複数種類のドットの記録状態を表す印刷データを生成する機能と、
を前記コンピュータに実行させ、
前記機能(b)は、同一のインク量データに対して、前記複数種類のインクドットのうちの特定種類のドットについて記録数が前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値となるように、前記印刷データを生成する機能を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項1】
印刷媒体上に大きさの異なる複数種類のインクドットを記録して画像を印刷するための画像処理装置であって、
前記印刷媒体に印刷される印刷画像の前記印刷媒体上における配置を取得する印刷画像配置取得部と、
前記印刷媒体上に記録されるインク量を表すインク量データから、前記複数種類のドットの記録状態を表す印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記印刷データ生成部は、同一のインク量データに対して、前記複数種類のインクドットのうちの特定種類のドットについて記録数が前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値となるように、前記印刷データを生成する、
画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記特定種類のインクドットは、前記複数種類のインクドットのうちの前記特定種類のインクドット以外のインクドットの大きさよりも印刷解像度で規定される画素サイズに近い大きさのインクドットであり、
前記印刷データ生成部は、前記印刷画像が前記印刷媒体の中心部に配置されていない場合、前記特定種類のインクドットの記録数が、前記印刷画像が前記印刷媒体の中心部に配置されている場合よりも少なくなるように前記印刷データを生成する、
画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像処理装置であって、
前記印刷データ生成部は、
前記インク量データから記録率データを生成する記録率データ生成部と、
前記記録率データを前記印刷データに変換するデータ変換部と、
を備えており、
前記記録率データ生成部は、前記特定種類のインクドットの最大記録率を前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値に設定する、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像処理装置であって、
前記記録率データ生成部は、
前記インク量と、前記複数種類のインクドットのそれぞれの記録率と、の関係を示す第1の記録率テーブルと、
前記特定種類のインクドットの最大記録率が、前記第1の記録率テーブルと異なる第2の記録率テーブルと、
前記印刷画像の配置に基づいて、前記記録率データの生成に用いる記録率テーブルを前記第1と第2の記録率テーブルのうちから選択する記録率テーブル選択部と、
を有している、
画像処理装置。
【請求項5】
印刷媒体上に大きさの異なる複数種類のインクドットを記録して画像を印刷するための画像処理方法であって、
(a)前記印刷媒体に印刷される印刷画像の前記印刷媒体上における配置を取得する工程と、
(b)前記印刷媒体上に記録されるインク量を表すインク量データから、前記複数種類のドットの記録状態を表す印刷データを生成する工程と、
を備え、
前記工程(b)は、同一のインク量データに対して、前記複数種類のインクドットのうちの特定種類のドットについて記録数が前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値となるように、前記印刷データを生成する工程を含む、
画像処理方法。
【請求項6】
印刷媒体上に大きさの異なる複数種類のインクドットを記録して画像を印刷するための画像処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
(a)前記印刷媒体に印刷される印刷画像の前記印刷媒体上における配置を取得する機能と、
(b)前記印刷媒体上に記録されるインク量を表すインク量データから、前記複数種類のドットの記録状態を表す印刷データを生成する機能と、
を前記コンピュータに実行させ、
前記機能(b)は、同一のインク量データに対して、前記複数種類のインクドットのうちの特定種類のドットについて記録数が前記印刷画像の配置に応じて互いに異なる値となるように、前記印刷データを生成する機能を含む、
コンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−110354(P2009−110354A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282962(P2007−282962)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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