説明

画像取得装置

【課題】 被検物の移動および調節に伴う振動を低減することができ、かつ振動低減の際に装置の質量分布の変化を低減することができる画像取得装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 被検物の位置および姿勢の少なくとも一方を調節可能な調節機構102と、被検物の撮像における撮像条件を取得する予備計測部と、撮像条件に基づいて被検物を撮像する撮像部と、撮像部と予備計測部との間で被検物を移動させる回転テーブル101と、を有する画像取得装置であって、回転テーブル101の回転中心回りに、回転テーブル101とは逆方向に回転可能な回転カウンタ103と、調節機構102の駆動に応じて回転可能な調節カウンタ104と、を備え、回転カウンタ103および調節カウンタ104は、夫々の回転中心に対して回転対称形状であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験物を移動させる回転テーブルを有する画像取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病理診断において、画像取得装置を用いて検体(細胞や組織)を含む被検物(プレパラート)を撮像し、取得した画像データによって検体の観察が行なわれることがある。特許文献1で提案されている画像取得システムによれば、受光素子と被検物の相対位置を変化させて複数枚の画像を取得し、その画像を合成することで、画角よりも大きな検体を観察することができる。また、特許文献2における画像取得装置では、高解像度の画像データを取得する前に、低解像度で画像取得を行うことで、予め観察に必要な撮像条件を計測している。この際、夫々の撮像を行うための各位置間で被検物を移動させている。
【0003】
ここで、被検物が移動する際に生じる機械振動や、床振動が原因となって被検物が振動してしまい、画像の取得時に像がぼやけて画質が劣化してしまうことや、正常な撮像条件が得られないという問題がある。また、画像取得の際に被検物の位置や姿勢を調節するための調節機構を備えた場合にも、その調節機構の動作によって生じる被検物の振動を低減する必要がある。
【0004】
このような振動を低減するものとして、ステージの移動に伴って発生する反力を軽減する質量体(カウンタマス)駆動機構が設けられた位置決め装置が挙げられる(特許文献3)。この装置では、振動を低減させたい物体(ステージ)の周囲にカウンタマスを設けて、そのカウンタマスを移動させることで反力を生じさせ、振動の原因となる力を反力で相殺している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−3016号公報
【特許文献2】特開2007−310231号公報
【特許文献3】特開2000−206279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献3の構成では、カウンタマスを動かすことで装置に対するカウンタマスの場所が変わるため、装置の質量分布が変化してしまう。質量分布が変化すると、装置内部で構造物の形状が局所的に変形してしまい、装置全体として性能の劣化をもたらすことになる。
【0007】
そこで、本発明は、被検物の移動および調節に伴う振動を低減することができ、かつ振動低減の際に装置の質量分布の変化を低減することができる画像取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための、本発明の一側面としての画像取得装置は、被検物の位置および姿勢の少なくとも一方を調節可能な調節機構と、前記被検物の撮像における撮像条件を取得する予備計測部と、前記撮像条件に基づいて前記被検物を撮像する撮像部と、前記撮像部と前記予備計測部との間で前記被検物を移動させる回転テーブルと、を有しており、前記回転テーブルの回転中心回りに、前記回転テーブルとは逆方向に回転可能な回転カウンタと、前記調節機構の駆動に応じて回転可能な調節カウンタと、を備え、前記回転カウンタおよび前記調節カウンタは、夫々の回転中心に対して回転対称形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る画像取得装置によれば、被検物の移動および調節に伴う振動を低減することができ、かつ振動低減の際に装置の質量分布の変化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像取得装置を示した全体図および断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る回転機構を示した拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係る位置調節機構を示した図である。
【図4】本発明の実施形態に係るθx・θy駆動調節機構を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係るθz駆動調節機構を示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る微動反力駆動力算出シーケンスを示した図である。
【図7】本発明の実施形態に係る制御系の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下に限られるものではない。
【0012】
図1は、本実施形態における画像取得装置100の全体を示したものであり、図1(a)は横(x方向)から見た全体図、図1(b)は図1(a)の断面Aを上(z方向)から見た断面図を示している。画像取得装置100は、撮像部200と予備計測部300との間で被検物105を移動する回転テーブル101と、被検物105の位置や姿勢を調節する調節機構102とを有している。さらに、回転テーブル101および調節機構102の駆動によって生じる振動を低減するための、回転カウンタ103および調節カウンタ104を備えている。
【0013】
この画像取得装置100における画像取得の具体的な手順を説明する。まず、予備計測部300における調節機構102の上に被検物105を設置し、そのフォーカス位置や撮像範囲などの撮像条件を、予備計測機器107によって取得する。次に、回転テーブル101を回転させて、予備計測部300にある調節機構102と撮像部200にある調節機構115とを入れ替える。そして、撮像光学系108によって被検物105を拡大投影し、予備計測で取得した撮像情報に基づいて撮像素子109で撮像することで、デジタルデータとして被検物105の画像を取得できる。なお、本実施形態においては、調節機構102と調節機構115とが回転テーブル101の回転中心に対して対称的に配置されているが、本発明はこれに限ったものではない。
【0014】
図1(a)において、予備計測部300にある調節機構102および撮像部200にある調節機構115は、同一仕様の構成であり、調節機構115の上には被検物105とは別の被検物を設置することができる。このような回転テーブル101を備えることで、予備計測部300と撮像部200との間で各調節機構を同時に移動し、かつ予備計測と撮像を同時に行うことができるので、簡単な構成で画像取得のトータルスループットを向上させることができる。ここで、この回転テーブル101の回転中心は、回転軸106の中心と一致しているとする。回転軸106としては、剛性の高い部材を用いることが望ましい。撮像した被検物105は、アーム機構台111の上に設置された搬入出アーム110によって、他の被検物と交換することができる。なお、図1では予備計測機器107近傍に搬入出アーム110が設置されているが、別の場所に設置してもよい。また、画像取得装置100は、外部からの風や温度の影響を低減するために、本体フレーム112の中に収納されていることが好ましい。もし床113からの振動が大きい場合には、床113と本体フレーム112との間にあるマウント116において、除振機能を持ったアクティブ除振装置やパッシブ除振装置を設置してもよい。
【0015】
図1のような構成において、よりスループットを向上させるためには、回転テーブル101を高速に回転させる必要があるが、その回転速度の増加にともなって、回転テーブル101の駆動反力も増加してしまう。そのため、回転軸106や本体フレーム112に大きなトルクが掛かり、装置全体の振動や、構造物の変形などの問題が生じてしまう。そこで、本実施形態における画像取得装置100では、回転テーブル101の駆動反力を相殺するように、回転カウンタ103を駆動させる。また、被検物の画像を取得する際に、調節機構102および115を駆動させることにより、撮像光学系108に対する被検物の位置や姿勢を調節する場合、この調節機構の駆動によっても振動が生じてしまう。そこで、本実施形態における画像取得装置100では、調節機構102および115の駆動反力を相殺するように、調節カウンタ104を駆動させる。なお、回転テーブル101と同様に、回転カウンタ103の回転中心を回転軸106の中心と一致するように設計する。そしてさらに、回転カウンタ103および調節カウンタ104は、回転中心に対して回転対称形状となるように(例えば断面が軸対称形状となるように)設計する。このような構成とすることで、回転カウンタ103および調節カウンタ104の回転による、装置の質量分布の変化を低減し、装置の変形を抑制することができる。なお、本実施形態においては、調節カウンタ104の回転中心が回転軸106と一致するように設計されているが、本発明はこれに限らず、調節機構の駆動反力を相殺することができれば、調節カウンタ104の回転中心の場所を問わない。
【0016】
次に、図2の回転機構の拡大図を用いて、回転テーブル101、回転カウンタ103および調節カウンタ104の回転機構について説明する。なお、図2は図1における領域Bを拡大したものを示している。本実施形態の画像取得装置100における回転機構は、第1の駆動系および第2の駆動系を備えている。第1の駆動系は、回転テーブル101および回転カウンタ103を回転させる粗動用回転モータ204であり、第2の駆動系は、調節カウンタ104を回転させる微動用回転モータ207である。この粗動用回転モータ204および微動用回転モータ207は、磁場(磁界)と電流の相互作用を利用した電気モータでも、振動を利用した超音波モータでもよい。また、図2においては、回転軸106として、回転テーブル101および回転カウンタ103に接続する粗動用回転軸206と、調節カウンタ104に接続する微動用回転軸208と、を有している。
【0017】
まず、回転テーブル101を回転させる際は、粗動用回転モータ204を駆動することで、粗動用かさ歯車205を介して粗動用回転軸206を回転させる。そして、回転テーブル101および粗動用回転軸206に接する回転テーブル用ギアボックス201を介して、回転テーブル101を回転させる。ここで、粗動用回転モータ204の動力を粗動用回転軸206に伝える機械要素として、粗動用かさ歯車205以外にベルトやプーリなどを用いてもよい。同様に、粗動用回転軸206の回転により、回転カウンタ用ギアボックス202を介して回転カウンタ103を回転させる。また、微動用回転モータ207を駆動して微動用回転軸208を回転させることで、それに接する調節カウンタ用ギアボックス203を介して、調節カウンタ104を回転させることができる。
【0018】
なお、回転テーブル用ギアボックス201、回転カウンタ用ギアボックス202、および調節カウンタ用ギアボックス203は、内部に1つ以上の歯車を持ち、所望の回転比で、各回転軸と同じ方向にも逆方向にも回転することができる構成であることが好ましい。また、上記の各部材を設置する際に軸受け等(不図示)を用いることで、他の部材に対して摩擦などによる反力を与えにくい構成とすることが好ましい。また、図2においては、第1の駆動系として1つの粗動用回転モータ204を用いて、回転テーブル101および回転カウンタ103を回転させているが、例えば第3の駆動系としてもう1つの粗動用回転モータを備えることで、夫々を個別に駆動してもよい。
【0019】
以上、本発明に係る画像取得装置は、上述したような回転機構を構成することで、回転テーブル101と調節機構102および115との駆動反力を、夫々回転カウンタ103および調節カウンタ104によって容易に相殺し、被検物の振動を低減することができる。さらに、回転カウンタ103と回転テーブル101との回転中心を一致させ、回転カウンタ103および調節カウンタ104を、夫々の回転中心に対して回転対称形状とすることによって、振動低減に伴う装置の質量分布の変化を低減することができる。
【0020】
次に、調節機構の例について、図3〜図5を用いて説明する。
【0021】
図3は位置調節機構を示している。ここでは、調節機構ベース301の上にx調節機構302、y調節機構303、およびz調節機構304を備えており、z調節機構304の上に、被検物105が保持具(不図示)によって接続されているとする。例えば、x駆動((a)から(b))、y駆動((b)から(c))、z駆動((c)から(d))を行うことで、最終的に図3(d)となるようにステージを駆動することができる。すなわち、このような機構を調節機構102および115に具備することで、被検物105を所望の位置に調節することができる。
【0022】
また、図4はθx・θy駆動調節機構の例を示している。図4(a)と図4(b)はゴニオステージを示す図であり、回転ベース401に対して被回転体402を動かすことにより、被検物105をθxおよびθy方向に回転((a)から(b))させることができる。また、図4(c)と図4(d)はパラレルリンクステージを示す図である。ベースプレート403に接続された3本以上のパラレルリンク機構軸404(その内2本のみ図示)の夫々の長さを調節することで、パラレルリンクステージ405の姿勢を変化(例えば(c)から(d))させることができる。以上のような機構を調節機構102および115に具備することで、被検物105を所望の姿勢に調節することができる。
【0023】
ここで、被検物105をθz方向に回転したい場合は、図5に示すようなθz駆動調節機構を用いることができる。すなわち、θz回転ベース501の上のθz被回転体502を回転させ、被検物105を回転((a)から(b))させることにより、のθz方向の調節を行うことができる。なお、調節機構102および115は、図3〜図5で示したような機構の夫々を組み合わせて、各方向の位置や姿勢を調節できる機構としてもよい。
【0024】
次に、回転モータの駆動力について説明する。本実施形態では、回転テーブル101の回転による反力を打ち消すために、回転カウンタ103を回転させて反力を生じさせている。ここで、粗動用回転モータ204の駆動によっては、回転テーブル101の回転中心回りの反力しか生じないため、回転カウンタ103においてもその反力と同じ大きさの反力が生じるように、回転カウンタ用ギアボックス202のギア比を調節すればよいことになる。図6は、微動反力駆動力算出シーケンスを示す図である。微動用回転モータの駆動に際しては、まず調節機構の駆動に対する調節機構駆動力601の入力値を取得する。そして、調節機構駆動力601の径・周方向分解602を行い、調節機構が生じさせる駆動力の分解を行う。まず、径方向においては、径方向駆動力積算603を行って積算値を取得する。ここで、本実施形態においては、調節機構による径方向の反力に関しては、剛性の高い回転軸で受けさせることで、装置に対する影響を抑えるようにしている。よって、取得した径方向駆動力の複数の積算値から誤差を算出して、回転軸106のメンテナンス等に用いることができる。一方、周方向においては、調節機構の反力のうち周方向の成分を打ち消すように、調節カウンタ駆動力算出604を行い、その駆動力を微動用回転モータ駆動量605として制御系に返している。この微動用回転モータ駆動量605に基づいて調節カウンタ104を駆動することで、調節機構の周方向の反力を相殺することができる。
【0025】
次に、調節機構102および115の駆動方向および配置について説明する。図1(b)に示したように、回転テーブル101の上には調節機構102および115が配置されており、回転軸106の中心を回転中心として回転テーブル101を回転させることで、夫々の調節機構の位置を入れ替えることができる。ここで、調節機構102によって被検物105の位置・姿勢を調節する必要がある場合を考える。まず、調節機構102を1軸方向にのみ駆動する場合は、調節カウンタ104を用いて駆動の反力を相殺できるように、調節機構102の駆動軸の方向を、調節カウンタ104の周方向(図1(b)のx方向)に設置することが望ましい。また、調節機構102を2軸以上の方向に駆動する場合は、その駆動の反力が一番大きいと思われる軸を周方向(図1(b)のx方向)に設置し、その次に駆動の反力が大きいと思われる軸を径方向(図のy方向)に設置することが望ましい。調節機構102をこのように配置することで、調節カウンタ104の周方向において駆動の反力をできるだけ相殺し、径方向においては剛性の高い部材からなる回転軸106で駆動の反力を受けることができる。調節機構115に対しても同様の方法で配置を行うことで、調節カウンタ104によって、調節機構102および115の駆動の反力による装置の振動を低減することができる。
【0026】
図2の回転機構拡大図に戻り、回転テーブル101および回転カウンタ103の接続機構について説明する。画像取得装置100において、被検物(不図示)を撮像する際は、回転テーブル101を動かないようにする必要がある。そこで、回転テーブル用ギアボックス201を介して回転テーブル101を支持するだけでなく、例えばキネマチックジョイントなどの位置決め機構(不図示)を用いることにより、回転テーブル101の剛性を上げることが好ましい。しかし、回転テーブル101を停止させている際にも、他の部材(調節カウンタ104など)により、回転テーブル101に振動が伝わってしまう場合がある。
【0027】
そこで、回転テーブル用ギアボックス201および回転カウンタ用ギアボックス202の内部で、夫々が粗動用回転軸206との接続を切ることができる機構を備えてもよい。この機構によれば、被検物の撮像時に、回転テーブル101に接続されている部材を減らし、他の部材から伝わる振動を低減することができる。なお、この機構において再び回転テーブル101を回転させる際には、回転テーブル用ギアボックス201および回転カウンタ用ギアボックス202と、粗動用回転軸206とを再び接続できるようにする。また、第3の駆動系としてもう1つの粗動用回転モータを備えて、回転テーブル101および回転カウンタ103の夫々を個別に駆動可能な構成とすることでも、撮像時の回転テーブル101に対する振動伝達を抑制することができる。なお、上記のような構成において、回転テーブル用ギアボックス201および回転カウンタ用ギアボックス202の内部で、夫々のギア同士の接続の有無を切り替えることができるようにしてもよい。
【0028】
最後に、図7に示す制御系構成図について説明する。図7(a)は回転テーブルおよび回転カウンタの駆動系(粗動用回転モータ)が一つの場合の制御系構成図、図7(b)は回転テーブルと回転カウンタとにおいて夫々別に駆動系を備える場合の制御系構成図である。また、図7(c)は調節機構と調節カウンタの制御系構成図を示している。
【0029】
図7(a)について説明する。まず、回転テーブル駆動指令821の入力により、回転テーブル駆動力生成器801において駆動系(回転モータなど)の駆動力が生成され、回転テーブル駆動機構802(ギヤなど)に力が伝えられる。そして、その駆動力により回転テーブル駆動器803を介して回転テーブルが回転させられるが、その際に回転テーブル反力831が発生する。この回転テーブル反力831をキャンセルするために、回転テーブル駆動力生成器801で生成した駆動力を、回転カウンタ駆動機構805(ギヤなど)に出力する。そして、回転カウンタ駆動器806を介して回転カウンタが回転させられ、回転カウンタ反力832が発生する。すなわち、この回転カウンタの駆動力は、回転テーブル駆動力生成器801で生成した駆動力とは反対の駆動力となる。そして、回転テーブル反力831と、それとは反対の力である回転カウンタ反力832が足されることで、回転系残差(駆動系一体時)822が算出される。この残差が小さくなるほど、装置の振動が低減されて装置全体の性能が向上するため、回転系残差(駆動系一体時)822が小さくなるように回転カウンタ駆動機構805および回転カウンタ駆動器806を調節する。具体的には、回転カウンタ駆動機構805においてはそのギア比などを、回転カウンタ駆動器806においては入力する制御値を、夫々変えることで調節できる。なお、本実施形態においては、装置自身の振動などの外乱因子がほぼ推定できるため、制御系はフィードフォワード制御を行うものとしているが、床振動などの推定できない外乱が大きい場合は、フィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0030】
ここで、回転テーブルと回転カウンタの駆動を同じ駆動系により行う際には、回転カウンタ駆動機構805や回転カウンタ駆動器806の調節だけでは回転系残差(駆動系一体時)822を十分に小さくできない場合がある。そこで、図7(b)に示すように、回転テーブルと回転カウンタの駆動を夫々別の駆動系で行う場合について説明する。図7(b)は図7(a)に対して回転カウンタ駆動力生成器804が加わっている。このように、回転テーブル駆動力生成器801とは別に駆動系を設けることで、夫々において個別に駆動力を生成できる。そのため、回転カウンタ駆動機構805および回転カウンタ駆動器806を自由に調節することができるため、回転系残差(駆動系一体時)822よりも回転系残差(駆動系別体時)823を小さくすることができる。
【0031】
次に、図7(c)について説明する。まず、調節機構駆動指令824の入力により、調節機構駆動力生成器807において駆動力を発生させる。この駆動力を、調節機構駆動機構808を介して調節機構駆動器809に伝達し、調節機構を回転させることで、調節機構反力833(周方向)が発生する。そして、調節カウンタ駆動力生成器810において、その調節機構反力833をキャンセルするための駆動力を算出し、調節カウンタ駆動機構811を介して調節カウンタ駆動器812にこの駆動力を伝達する。すなわち、この調節カウンタの駆動力は、調節機構駆動力生成器807で発生させた駆動力とは反対の駆動力である。このようにして、調節カウンタを回転させることで、調節カウンタ反力834が発生し、調節機構反力833と、それとは反対の力である調節カウンタ反力834が足されることで、調節系残差825が算出される。ここでも図7(b)と同様に、調節カウンタ駆動力生成器810の駆動力を調節することで、調節系残差825を小さくすることができる。
【0032】
以上のように、回転系残差および調節系残差を小さくして装置の振動を低減させることで、装置全体の性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0033】
100 画像取得装置
200 撮像部
300 予備計測部
101 回転テーブル
102、115 調節機構
103 回転カウンタ
104 調節カウンタ
105 被検物
106 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物の位置および姿勢の少なくとも一方を調節可能な調節機構と、
前記被検物の撮像における撮像条件を取得する予備計測部と、
前記撮像条件に基づいて前記被検物を撮像する撮像部と、
前記撮像部と前記予備計測部との間で前記被検物を移動させる回転テーブルと、
を有する画像取得装置であって、
前記回転テーブルの回転中心回りに、前記回転テーブルとは逆方向に回転可能な回転カウンタと、
前記調節機構の駆動に応じて回転可能な調節カウンタと、を備え、
前記回転カウンタおよび前記調節カウンタは、夫々の回転中心に対して回転対称形状であることを特徴とする画像取得装置。
【請求項2】
前記回転テーブルを駆動する第1の駆動系と、
前記調節機構の駆動力のうち前記調節カウンタの周方向に対応する方向の成分の和と反対の駆動力で前記調節カウンタを駆動する第2の駆動系と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像取得装置。
【請求項3】
前記回転テーブルおよび前記回転カウンタの回転中心において回転軸を備えており、
前記回転テーブルは、該回転軸を介して伝達される前記第1の駆動系からの駆動力で回転し、
前記回転カウンタは、該回転軸を介して伝達される前記回転テーブルの駆動力と反対の駆動力で回転することを特徴とする請求項2に記載の画像取得装置。
【請求項4】
前記回転テーブルおよび前記回転カウンタと前記回転軸との接続の有無を切り替え可能であることを特徴とする請求項3に記載の画像取得装置。
【請求項5】
前記回転テーブルの駆動力と反対の駆動力で前記回転カウンタを駆動する第3の駆動系を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像取得装置。
【請求項6】
前記調節機構は1軸方向に駆動可能であり、前記調節機構の駆動方向は前記調節カウンタの周方向であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像取得装置。
【請求項7】
前記調節機構は2軸以上の方向に駆動可能であり、
前記調節機構の複数の駆動方向は、前記調節カウンタの周方向および径方向の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像取得装置。
【請求項8】
前記調節カウンタは、前記回転テーブルの回転中心回りに回転可能に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像取得装置。
【請求項9】
前記調節機構を2つ有しており、
該2つの調節機構は、前記回転テーブルの回転中心に対して対称的に配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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