説明

画像形成システム及び方法

中間転写部材(34)(ITM)が、トナー画像を画像保持表面から基材へと転写する。ITMは、約300オングストローム二乗平均平方根(RMS)以下の粗さを有する最外表面を有する。画像形成液体現像システム(22)が、連続的に、異なる色の顔料含有材料の層を前記最外表面上に堆積させ、前記層の少なくとも1つが、100パーセント被覆率で1μm以下の最終フィルム厚みを有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
画像形成システム(イメージングシステム)には、画像形成材料を担持する液体トナー又はインクを使用して画像を形成するものがある。画像を形成するために消費されるそのような画像形成材料の量若しくはそのための額は、上記画像形成システムによる印刷のコストを押し上げる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【図1】例示的な態様による画像形成システムの概略的な例示である。
【図2】光沢と光学濃度との関係を示すグラフである。
【図3】図1の画像形成システムの一例によって容易になる顔料消費の低減を示すグラフである。
【図4】例示的な態様による図1の画像形成システムの中間転写部材の一部の拡大された部分断面図である。
【図5】例示的な態様による図1の画像形成システムび別の態様の概略的な例示である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
図1に、例示的な態様による画像形成システム又は印刷機20を概略的に示す。印刷機20は、画像形成材料を担持する静電帯電した画像形成液体、例えば液体トナー又はインクを使用して印刷媒体21上に画像を形成する。後述するように、印刷機20は、最外表面50を有する中間転写部材34を備えており、当該最外表面50は、画像形成液体現像システムから顔料含有材料の異なる色の層を受容し、顔料含有材料の層を基材又は印刷媒体21に転写する。最外表面50は、約300オングストローム二乗平均平方根以下の粗さを有する。表面50が滑らかであることによって、より少ない顔料での印刷が容易になる一方で、認識される程度の光学濃度又は画像品質は維持される。その結果、顔料消費を低減することができる。
【0004】
印刷機20は、画像形成液体現像機24を含む画像形成液体現像システム22、画像形成部材26、並びに中間転写部材34、媒体輸送体38及びコントローラ39を備えている。画像形成液体現像機24は、マーキング材料、単色の又は着色の粒子又はトナーのような画像形成材料を含む画像形成液体を表面28に選択的に被着させることによって、画像形成部材26の画像形成表面28上にグラフィック、テキスト若しくは画像の少なくとも一部を形成又は現像するように構成されている機構を備えている。示された例では、現像機24は、画像形成液体の異なる層を連続的に被着させる。言い換えれば、現像機24は、画像形成材料を担持する画像形成液体の第1の層を画像形成表面28にまず被着させ、画像形成表面28は、画像形成液体の第1の層を中間転写部材34へ転写し、その後、現像機24は、異なる画像形成材料を担持する画像形成液体の第2の異なる層を画像形成表面28に被着させる。
【0005】
1つの例示態様によれば、現像機24は複数のローラを備えており、各ローラは、異なる画像形成材料を担持する異なる画像形成液体を選択的に被着させ、表面28上に画像形成液体の異なる層を形成する専用のローラである。一態様では、現像機24の各ローラは、静電帯電した画像形成液体を画像形成表面28へ転写し被着させる。画像形成液体は、キャリア液体及びインク(着色剤粒子又はトナー粒子としても知られる)を含む。キャリア液体は、インクキャリア油、例えばExxonから市販されているイソパラフィンであるIsopar L、又は他の低分子量又は中間分子量の炭化水素油を含む。キャリア液体は、他の追加的な成分、例えば高分子量油、例えば鉱物油、潤滑油及び消泡剤を含んでいてよい。一態様では、液体キャリア液体及び着色剤粒子又は画像形成材料は、Hewlett-Packardから市販されているHEWLETT-PACKARD ELECTRO INKを含む。別の態様では、画像形成液体は他の画像形成液体を含んでいてよい。
【0006】
画像形成部材26は、画像形成表面28を支持する部材を備えていてよい。画像形成表面28(画像形成プレートと呼ばれることがある)は、その上に形成される1つ以上の静電気的パターン又は画像を有するように、且つそこに被着される静電帯電した画像形成材料、つまり画像形成液体の一部を有するように構成されている表面である。画像形成材料は、表面28上の静電画像に基づいて画像形成表面28の選択的部分に付着し、表面28に画像形成材料画像を形成する。そして、画像形成材料画像は、続いて、中間転写部材34へと転写される。
【0007】
示された例では、画像形成部材26は、軸37を中心に回転するように構成されているドラムを備えている。別の態様では、画像形成部材26は、ベルト又は他の支持構造を備えていてよい。示された例では、表面28は光導電体(photoconductor)又は光受容体(photoreceptor)を有し、当該光導電体又は光受容体は、帯電されるように且つ光照射に応答して選択的に放電される部分を有するように構成されており、それにより、この帯電及び放電された領域が静電画像を形成するようになっている。別の態様では、表面28は、別の手段で、選択的に帯電又は選択的に放電される。例えば、イオンビーム又はトランジスタを用いた表面28に沿った個々の画素の活性化を利用して、表面28上に静電画像を形成することができる。
【0008】
図示の態様では、画像形成表面28は、光導電性ポリマーを含んでいてよい。一態様では、画像形成表面28は、電荷移動分子(光酸としても知られる)を含むポリマーマトリクスの組成を有する最外層を有する。一態様では、このマトリクスは、電荷移動分子を含むポリカーボネートマトリクスを含んでいてよく、当該電荷移動分子は、光による衝突に応答して、表面へと移動せしめられる静電電荷を発生させる。別の態様では、画像形成表面28は、他の光導電性ポリマー組成物を含んでいてよい。
【0009】
中間転写部材34は、画像形成液体40を画像形成表面28から需要して、画像形成液体中に含有される画像形成材料を印刷媒体21上へ転写するように構成されている部材を備えている。中間画像転写部材34は、顔料含有材料の異なった色の層を画像形成液体現像システムから受容して、顔料含有材料の層を基材又は印刷媒体21に転写する最外表面50を有する。最外表面50は、約300オングストローム二乗平均平方根以下の粗さを有する。表面50の滑らかさが、より少ない顔料での印刷を容易にするが、認識される程度の光学濃度又は画像品質が維持されることが見出された。その結果、顔料消費量が低減し得る。
【0010】
図2及び3に、いかに表面50の滑らかさが、より少ない顔料での印刷を容易にするかの例を示す。図2に示されているように、光学濃度は、画像光沢の関数であることが見出された。画像光沢が増大すると、光学濃度も増大する。この光学濃度の増大によって、十分な光学濃度を提供して/認識される程度の画像品質を維持しつつ印刷を行う場合、使用する顔料をより少量にすることが容易となる。
【0011】
図3は、表面50の滑らかさによって容易となる、顔料含有材料の消費の低減を示すグラフである。図3は、同じ光学濃度を達成しているが、滑らかさの異なる度合いを有する2つの異なる中間転写部材によって堆積させた画像形成材料の層の異なる最終フィルム厚をグラフで比較している。各色のより薄い層(左側の棒)は、300オングストロームRMS未満の、公称で約100オングストローム二乗平均平方根以下の粗さを有する表面50によって堆積されたもので、一方、各色のより厚い層(右側の棒)は、300オングストローム二乗平均平方根以上の粗さを有する最外表面を有する中間転写部材によって堆積されたものである。
【0012】
滑らかさのレベルが大きくなるほど、より少量の顔料での印刷が容易となるという認識の下、画像形成液体現像機24は、異なる色のより薄い顔料含有材料の層を表面28上に連続的に堆積させるように構築又は制御され、この顔料含有材料の層は、中間転写部材34の最外表面50上に続けて堆積される。示された例では、外表面50によって堆積されたイエロー(Y)、シアン(C)及び顔料ブラック(K)の層のそれぞれが、1μm以下の最終フィルム厚みを有しており、その一方、より粗い表面を有する中間転写部材によって印刷された同じ色の層は、同じ光学濃度を達成するにはずっと厚い最終フィルム厚みを有する。図3のグラフによってさらに示されているように、全ての層は集合的に、1μm以下の平均最終フィルム厚みを有し、一方、より粗い中間転写部材によって堆積された全ての層は、同じ光学濃度を達成するために、1μmガラスよりずっと大きな集合的な平均最終フィルム厚みを有する。この開示のために、顔料含有材料の層の最終フィルム厚みの測定は、各個々の層が中間転写部材から印刷媒体21へと転写される直前の瞬間にフィルムの100パーセントの被覆率が得られている時に、全てではなくともほとんどの溶剤又は他の顔料キャリアが吸収され又は蒸発された後、或いは個々の層が印刷媒体21上に転写せしめられた後に、なされている。
【0013】
図4は、印刷媒体21上へ層を解放する前の、画像形成材料42の複数の層を支持する中間転写部材34の例の一部の拡大部分図である。示された例では、中間転写部材34は、支持体42、接着剤層44、及びブランケット体48を含むブランケット46、並びに最外表面50を提供する画像転写部分49を備えている。支持体42は、ブランケット46の基礎として機能する構成を備えている。画像形成部分46が、支持体42、例えば内部ハロゲンランプヒータ又は他のヒータによって加熱される一態様では、支持体42は、高い程度の熱伝導性を有する1つ以上の材料から形成されていてよい。別の態様では、ブランケット46は、例えば、高温空気又はIRヒータを使用して外部から加熱することもできる。示された例では、支持体42はドラムを含む。別の態様では、支持体42は、ベルト又は他の支持構造を備えていてよい。
【0014】
接着剤層44は、ブランケット46を支持体42へと固定する。接着剤層44は、ブランケット46の最内表面及び支持体42の外表面と適合する様々な組成を有していてよい。別の態様では、ブランケット46は、他の様式で、支持体42に固定されていてよい。
【0015】
ブランケット46のブランケット体48は、支持体42とブランケット46の画像転写部分49との間に延びている。ブランケット体48は、ブランケット46に対して圧縮性を提供するよう構成されている材料の1つ以上の層を備えている。示されている例では、ブランケット体48は、布地層54、圧縮性層56及び最上層58を備えている。布地層54は、ブランケット体48の支持体42への接合を助成する布地の層を含む。一態様では、布地層54は、約200μmの厚みを有する織物のNOMEX材料からなる。中間画像転写部材34が、外部加熱され、内部加熱を省略した態様では、布地層54は、他の熱抵抗の小さい布地又は材料から形成されていてよい。
【0016】
圧縮性層56は、比較的大きな度合いの圧縮性を有する1つ以上の材料の1つ以上の層を備えている。一態様では、圧縮性層56は、400μmの、カーボンブラックで充填され、その熱伝導性を増大させた飽和ニトリルゴムを含む。一態様では、層56は、小さな空隙(ボイド)(約40〜約60体積%)を含む。
【0017】
最上層58は、圧縮性層56とブランケット46の画像転写部分49との間の中間の層として機能する。一態様によれば、最上層58は、空隙のない、圧縮性層56と同じ材料からなっている。別の態様では、最上層58は、圧縮性層56とは異なるもっと別の材料であるものからなっていてもよい。
【0018】
一態様によれば、ブランケット体48は、イタリア、ミラノ、Lodi VecchioのReeves SpAにより製造販売されているMCC-1129-02からなる。さらに別の態様では、ブランケット体48は、より少ない又はより多くのそのような層又は異なる材料の層からなっていてよい。
【0019】
ブランケット46の画像形成部分49は、ブランケット46の層の最外の組であり、画像形成液体及び印刷媒体21(図1に図示)と最大の相互作用を有する。一態様では、画像形成部分49は、ブランケット体48に固定されている。別の態様では、ブランケット46の画像形成部分49は、部分49及び本体48が別々に取り付け及び取り外し可能であるように、本体48から分離させることができる。
【0020】
画像形成部分49は、導電性層60、コンフォーミング層62及びプライミング層64を含む。導電性の層60は、ブランケット体48上に配置され、コンフォーミング層62の下に配置されている。導電性層60は、導電部分60へ電流を伝達するための導電されていることになっているバーと電気的に接触する1つ以上の導電性の材料の層である。導電層60に供給された電荷により、画像形成部分49の最外表面に近接して転写電圧がもたらされ、静電帯電した画像形成材料の転写が可能となる。
【0021】
別の態様では、導電性層60は省略することができ、それは、導電性層60の下の層が部分的に導電性であるか又はコンフォーミング層62又はリリース層50がいくらか導電性である態様でのような場合である。例えば、コンフォーミング層56は、導電性のカーボンブラック又は金属ファイバの追加によって、部分的に導電性にしてもよい。接着剤層44は、電流が支持体42から直接的に流れるように導電性に形成してもよい。コンフォーミング層62及び/又はリリース層50は、カーボンブラックの添加又はWitcoにより販売されているCC42のような制電性の化合物を1%〜10%添加することによって、いくらか導電性に(10〜1011オームcm及び公称で10〜1011オームcm)形成してもよい。
【0022】
コンフォーミング層62は、柔軟な適合するエラストマー層からなる。コンフォーミング層62は、画像形成液体の画像のブランケット46への転写の際に使用される低い圧力で、画像形成表面28(図1に図示)へのブランケット46の適合を提供する。一態様では、コンフォーミング層62は、約65未満のショアA硬度を有するポリウレタン又はアクリルを含む。一態様では、コンフォーミング層62は、約55より小さく且つ約35より大きい硬度を有する。別の態様では、コンフォーミング層62は、約42〜約45の値の適切な硬度を有していてよい。
【0023】
プライミング層64は、リリース層50のコンフォーミング層62への結合又は接合を容易にするように構成された層を含む。一態様によれば、第1の層は、プライマー、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン98%(ABCR、ドイツ)、シランベースのプライマー又は接着促進剤、スズオクトエート(Sigma)のような触媒、及びキシレン(J T Baker)のような溶剤を含む。一態様によれば、プライミング層64を形成する触媒溶液又は混合物は、超音波発生器を使用してキシレン中にヒュームドシリカ(R972、Degussa)を分散させることにより形成される。続いてこの溶液は、プライマー及び触媒と混合される。この触媒混合物は、数時間にわたる可使時間を有する。プライマー層64は、1μmより大きな粒径を有する充填剤を含まない。一態様では、プライマー層64は充填剤を全く含まない。その結果、ブランケット46が晒される摩耗はより少なくなる。別の態様では、第1の層64は、他の材料又は組成物を含んでいてよい。
【0024】
最外表面50は、画像形成部分49の最外表面である。最外表面50は、300オングストロームRMS未満で、公称で約100オングストローム二乗平均平方根以下の粗さを有する。示された態様の例では、表面50は、プライミング層64上に提供されたリリース層68の最外表面である。リリース層68は、中間転写部材34から印刷媒体21上への画像形成材料のリリース(引き離し)を容易にする。別の態様では、最外表面50は、他の層又は中間転写部材34の表面によって提供されていてよい。
【0025】
媒体輸送体38(図1に図示)は、画像形成材料を部材34から媒体21へ転写することができるように、中間画像転写部材34に対向し、基材又は印刷媒体21を輸送し位置決めするように構成された機構を備えている。一態様では、媒体輸送体38は、一連の1つ以上のベルト、ローラ及び媒体ガイドを備えていてよい。別の態様では、媒体輸送体38はドラムを備えていてよい。示された例では、媒体輸送体38は、印刷媒体21を複数回、中間転写部材34を横切って通過させるよう構成されており、画像形成材料の別個の個々の層は、印刷媒体21を部材34を横切って連続して通過させる都度、印刷媒体21に転写される。一態様では、印刷媒体21は、転写部材34を横切って複数回印刷媒体21を通過させるように複数回回転するドラムによって支持されたシートを含む。
【0026】
コントローラ39は、画像形成液体現像機24、画像形成部材26、中間転写部材34及び媒体輸送体38の操作を指示する制御信号を発生させるように構成された1つ以上の処理ユニットを備えている。本出願のために、「処理ユニット」という用語は、現在構築し又は将来的に構築される、メモリ中に含まれる指示のシークエンスを実行する処理ユニットを意味する。シークエンスの指示の実行によって、処理ユニットが、制御信号を発生させるようなステップを行うようにさせる。指示は、実行のためのランダムアクセスメモリ(RAM)に、処理ユニットによって、読み取り専用メモリ(ROM)、大容量記憶装置、又はいくつかの他の永続記憶装置からロードされ得る。別の態様では、ハード有線回路を、ソフトウェアの命令の代わりに又はそれと組合せられて使用し、上述の機能を付与してもよい。例えば、コントローラ39は、1つ以上のアプリケーションに特有の集積回路(ASIC)の一部として具現化されていてよい。別途具体的に記載しなければ、コントローラは、ハードウェア回路及びソフトウェアの任意の特定の組合せにも、処理ユニットによって実行される命令のための任意の特定のソースに限定されることはない。
【0027】
操作においては、コントローラ39は、画像形成材料(着色剤粒子)を含む画像形成液体の第1の層を被着するよう画像形成液体現像機24に指示する制御信号を発生させる。上述のように、画像形成表面28上に形成された静電画像又はパターンによって、画像形成材料の画像が表面28上に形成される。この画像形成材料の層は、続いて、中間画像転写部材34に転写される。中間画像転写部材34は、続いて、媒体輸送体38による印刷媒体21の1回の通過の際に、画像形成材料の層を印刷媒体21に転写する。このプロセスは、複数回繰り返され、これにより、印刷媒体21上に異なる画像形成材料の層上に層が積層され、印刷媒体21上に最終的な画像が形成される。
【0028】
最終的な画像が、印刷媒体21上に独立して堆積された複数の個々の層から形成されるので、そのような層は極めて薄い。図3で上記のように示されているように、中間転写部材34の最外表面50が滑らかであることによって、そのような層をより少ない顔料でますます薄くすることができる。
【0029】
図5に、概略的に、図1で示す印刷機20の別の態様である印刷機120を図示する。印刷機20と同様に、印刷機120は、最外表面50を含む中間転写部材34を使用する。印刷機120は、液体電子写真(LEP)印刷機を含む。印刷機120(場合によって、オフセットカラー機の部分として具現化されている)は、ドラム122を備えている。光導電体124、帯電装置126、画像形成体128、インクキャリア油リザーバ130、インクサプライ131、現像機132、内部から且つ/又は外部から加熱される中間転写部材34、加熱システム136、刻印部材138及びクリーニングステーション140を備えている。
【0030】
ドラム122は、光導電体124を支持する可動の支持構造を備えている。ドラム122は、軸線123を中心に矢印125で示された方向に、モータ及び変速装置(図示せず)によって回転駆動されるように構成されている。その結果、光導電体124の別個の表面部分が、帯電装置126、画像形成体128、インク現像機132、転写部材34及び帯電装置134を含む印刷機120の各ステーション間で輸送せしめられる。別の態様では、光導電体124は、別の様式で、サブステーション間で駆動され得る。例えば、光導電体124は、複数のローラによって支持されたエンドレスベルトの一部として提供することができる。
【0031】
光受容体とも呼ばれる光導電体124は、帯電され、且つ光の照射に応答して選択的に放電する部分を有するように構成された複数の層の構造を有しており、これにより、帯電及び放電される領域により放電画像が形成され、そこに帯電した印刷材料が付着する。
【0032】
帯電装置126は、光導電体124の表面147を帯電させるように構成された装置である。一態様では、帯電装置126は、電荷ローラを備えており、このローラは、光導電体124の表面147に負の静電電荷を移動させるように、光導電体124の十分近くで回転駆動される。別の態様では、帯電装置126は、別態様では、1つ以上のコロトロン又はスコロトロンを備えている。さらに別の態様では、光導電体124の表面147を帯電させる他の装置を利用してよい。
【0033】
画像形成体128は、選択的に表面147を静電放電して、画像を形成するように構成された装置を有する。図示の例では、画像形成体128は、走査レーザを備えており、このレーザは、ドラム122及び光導電体124が軸線123を中心に回転する際に表面147を横切って移動する。光又はレーザ150によって作用された表面147の部分は、静電放電されて、表面147上に画像(又は潜像)を形成する。別の態様では、画像形成体128は、上記態様に代えて、選択的に光を放出し、選択的に光が表面147上に作用するように構築された他の装置を有する。例えば、別の態様では、画像形成体128は、上記態様に代えて、選択的に光をブロックし、選択的に光を表面147へと通すことができるような液晶材料を利用する1つ以上のシャッタ装置を有する。さらに別の態様では、画像形成体128は、上記態様に代えて、光ブロック状態と光伝達状態との間で旋回、スライド又は物理的移動するマイクロ又はナノ光ブロックシャッタを含むシャッタを有する。
【0034】
インクキャリアリザーバ130は、印刷機120の1つ以上の構成要素による使用のためのインクキャリア油を保持するように構成された容器又はチャンバを含む。示された例では、インクキャリアリザーバ130は、クリーニングステーション140及びインクサプライ131による使用のためのインクキャリア油を保持するよに構成されている。一態様では、矢印151で示すように、インクキャリアリザーバ130は、インクキャリア油を、インクキャリア油を光導電体124に対して適用し、光導電体124を清浄化するクリーニングステーション140に供給することによってクリーニングステーションリザーバとして機能する。一態様では、クリーニングステーション140は、さらに、インクキャリア油を冷却し、インクキャリア油を光導電体124に塗布し、光導電体124の表面147を冷却する。例えば、一態様では、クリーニングステーション140は、インクキャリアリザーバ130内に、インクキャリア油を冷却するための熱交換器又は冷却コイルを備えていてよい。一態様では、クリーニングステーション140へのインクキャリア油の供給は、さらに、清浄化中に光導電体124から回復された粒子のような他の材料の濃度を希釈することを助成する。
【0035】
インクキャリア油が表面147に塗布された後、表面147を清浄及び/又は冷却するために、表面147は、吸収ローラ及び/又はスクレイパーで拭き取られる。除去されたキャリア油は、矢印153によって示されるように、インクキャリアリザーバ130へと戻される。一態様では、インクキャリアリザーバ130へと戻されるインクキャリア油は、1つ以上のフィルタ157(概略的に例示する)を通過する。矢印155で示されるように、リザーバ130内のインクキャリア油は、さらに、インクサプライ131に供給されてよい。別の態様では、インクキャリアリザーバ130は、別態様では、クリーニングステーション140から独立して操作され、その場合、インクキャリアリザーバ130は、インクキャリア油をインクサプライ131へ供給するにすぎない。
【0036】
インクサプライ131は、インク現像機132のための印刷材料の源でもあある。インクサプライ131は、インクキャリア油を、キャリアリザーバ130から受容する。上述のように、インクキャリアリザーバ130によって供給されたインクキャリア油は、ユーザによって供給される新たなインクキャリア油、リサイクルされたインクキャリア油、又は新たな及びリサイクルキャリア油の混合物を含んでいてよい。インクサプライ131は、インクキャリアリザーバ130から受容されたキャリア油を顔料又は他の着色剤粒子と混合する。混合物は、インク現像機132によって、必要に応じて、1つ以上のセンサ及びソレノイド作動弁(solenoid actuated valves)(図示せず)を使用して、インク現像機132に被着される。
【0037】
示されている特定の例では、生の、未処理の若しくは未使用の前記印刷材料は、液体キャリア及び着色剤粒子を含む液体又は流体インクを含んでいていよい。着色剤粒子は、2μm未満のサイズを有する。異なる態様では、粒径は、異なっていてよい。示された例では、印刷材料は、一般に、表面147に被着される着色剤粒子又は固体成分を約3重量%含む。一態様では、着色剤粒子は、ホットメルト接着剤を含むトナーバインダ樹脂を含む。
【0038】
一態様では、液体キャリアは、インクキャリア油、例えばIsopar、及び1つ以上の追加的な成分、例えば高分子量油、例えば鉱物油、潤滑油油及び消泡剤を含む。一態様では、液体キャリア及び着色剤粒子を含む印刷材料は、Hewlett-Packardから市販のHEWLETT-PACKARD ELECTRO INKを含む。
【0039】
インク現像機132は、表面147上の静電電荷に基づき表面147に印刷材料を被着し、表面147上に画像を現像するよう構成されている装置を備えている。一態様によれば、インク現像機132は、ドラム122及び光導電体124付近で周囲を囲むように配置されているバイナリーインク現像機(BID)である。そのようなインク現像機は、表面147に転写される約20%固体を含む、実質的に均一な6μm厚の静電帯電した層を形成するように構成されている。さらに別の態様では、インク現像機132は、静電帯電した液体印刷材料又はトナーを表面147に転写するように構成されている他の装置を備えていてよい。
【0040】
中間画像転写部材34は、表面147上の印刷材料を印刷媒体152(概略的に示す)に転写するように構成されている部材を備えている。中間転写部材34は外側表面154を備え、当該外側表面154は、弾性的に圧縮可能であり、また静電帯電されるよう構成されてもいる。表面154が弾性的に圧縮可能であるので、表面154は、印刷媒体152における不規則さに同調及び適合する。表面154が静電帯電されるように構成されているので、表面154は、表面147から表面154への印刷材料の転写が容易となるように帯電され得る。
【0041】
画像形成システム20に関連して上述したように、中間画像転写部材34の最外表面50(図2に示す)は、300オングストロームRMS未満及び公称上約100オングストローム二乗平均平方根以下の粗さを有する。
【0042】
加熱システム136は、表面154によって光導電体124から媒体152へと運ばれる印刷材料に熱を加えるように構成されている1つ以上の装置を備えている。示された例では、加熱システム136は、内部ヒータ160、外部ヒータ162及び蒸気収集プレナム163を含む。内部ヒータ160は、ドラム156内に配置され、熱を放出し又は誘導的に熱を発生するように構成されている加熱装置を含み、熱は表面154へと伝達され、表面154で担持された印刷材料を加熱及び乾燥させる。外部ヒータ162は、転写部材34辺りに配置された1つ以上の加熱ユニットを備えている。一態様によれば、ヒータ160及び162は、赤外線ヒータを備えていてよい。
【0043】
ヒータ160及び162は、印刷材料を、少なくとも85℃で且つ約110℃以下の温度に加熱するように構成されている。さらに別の態様では、ヒータ160及び162は、別の構成を有し、別の温度に転写部材34上の印刷材料を加熱するものであってよい。特定の態様では、加熱システム136は、上記態様に代えて、内部ヒータ160又は外部ヒータ162の1つを備えている。
【0044】
蒸気収集プレナム163は、ハウジング、チャンバ、ダクト、ベント、プレナム又は中間転写部材34を少なくとも部分的に外接させる他の構造を備えており、それにより、転写部材34上の印刷材料の加熱によって生じるインク又は印刷材料の蒸気はコンデンサに(図示せず)収集され又は方向付けられる。
【0045】
刻印部材138は、中間転写部材34に隣接するシリンダを備えており、これにより、部材34と部材138との間にニップ164が形成される。媒体152は、一般に、転写部材34と刻印部材138との間に供給され、その場合、印刷材料は、ニップ164において、転写部材34から媒体152へと転写される。刻印部材138はシリンダ又はローラとして図示されているが、刻印部材138は、別態様では、中間転写部材34を動かすエンドレスベルト又は固定の表面を備えている。
【0046】
クリーニングステーション140は、光導電体124の表面領域が帯電装置126で再び帯電される前に、任意の残された印刷材料を光導電体124から除去するように構成された1つ以上の装置を備えている。一態様では、クリーニングステーション140は、表面147に清浄化流体を施与するように構成されている1つ以上の装置を備えていてよく、残りのトナー粒子は、1つ以上の吸収ローラによって除去される。一態様では、クリーニングステーション140は、さらに、1つ以上のスクレイパーブレードを含む。さらに別の態様では、残りのトナー及び静電電荷を表面147から除去するための別の装置を使用することもできる。
【0047】
操作においては、インク現像機132は、負電荷を有する静電帯電したインクを被着することによって、表面147上の画像を現像する。表面147上の画像が現像されると、1つ以上の発光ダイオードを備えている電荷除去装置135が、表面147のそのような部分上の任意の残った電荷を放電させ、インク画像が、中間転写部材34の表面154へと転写される。示された例では、外表面50によって堆積されたイエロー(Y)、シアン(C)及び顔料ブラック(K)の層のそれぞれは、1μm以下の最終フィルム厚みを有し、一方で、中間転写部材によって印刷された同じ色の層は、より粗い表面を有するものであっても、同じ光学濃度が達成するためには、より大きな厚みを有する。全ての層は、集合的に、1μm以下の平均最終フィルム厚みを有し、一方、粗さがずっと大きい中間転写部材によって堆積された全ての層は、同じ光学濃度を達成するためには、1μmより大きな集合的な平均最終フィルム厚みを有する。
【0048】
加熱システム136は、熱を、そのような表面154上の印刷材料に加え、それにより、印刷材料のキャリア液体が蒸発し、その色のトナーバインダ樹脂及び印刷材料の粒子若しくは固体が溶融し、ホットメルト接着剤が形成される。その後、表面154上に画像を形成する高温の着色剤粒子の層は、媒体152に転写され、転写部材34と刻印部材138との間を通過する。示された態様では、高温の着色剤粒子は、約90℃で印刷媒体152へと転写される。高温の着色剤粒子の層は、ニップ164と接触して、接触している媒体152上で冷却される。
【0049】
これらの操作は、媒体152上に生成されるべき最終画像の準備のために様々な色について繰り返される。その結果、一時に1つの色分解が表面154上に形成される。このプロセスは、「マルチショット(multi-shot)」プロセスと呼ばれる場合もある。
【0050】
本開示は、例示の態様について参照して記述されているが、当業者は、特許請求の範囲に記載された事項の思想及び範囲から逸脱することがなければ、形式及び詳細の変更を行うことができることを認識するであろう。例えば、異なる例示的態様が、1つ以上の利点を提供する1つ以上の特徴を含むものとして記述されてはいるが、記述されたそれらの特徴が互いに入れ替え可能であるか、或いは記述されたその例示的態様で又は他の態様で互いに組合せ可能であること考えられる。本開示の技術は比較的複合的であるので、技術における全ての変更は予測可能ではない。例示的態様を参照して記述され、以下の特許請求の範囲に記載された本開示は、できるだけ広い範囲をとることが明白に意図されている。例えば、具体的に記載されていなければ、単一の特定の要素を引用する特許請求の範囲は、そのような特定の要素の複数形も包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像を画像保持表面から転写し、その後、基材へ転写するために操作される中間の転写部材(34)(ITM)であって、約300オングストローム二乗平均平方根(RMS)以下の粗さを有する最外表面を有するもの、及び
顔料含有材料の異なる色の層を最外表面上に連続的に堆積するように操作される画像形成液体現像システム(22)
を備えており、前記層の少なくとも1つが、100%被覆率で1μm以下の最終フィルム厚みを有する、画像形成システム(20、120)。
【請求項2】
前記層の1つがシアン色の層であり、当該シアン色の層が、100%被覆率で1μm以下の最終フィルム厚みを有する、請求項1に記載の画像形成システム(20、120)
【請求項3】
前記シアン色の層が、100%被覆率で0.8μm以下の最終フィルム厚みを有する、請求項2に記載の画像形成システム(20、120)。
【請求項4】
前記層の1つがブラックの層であり、当該ブラックの層が、100%被覆率で1マイクロメートル以下の最終フィルム厚みを有する、請求項1に記載の画像形成システム(20、120)。
【請求項5】
前記層の全てが、集合的に、100%被覆率で1μm以下の平均最終フィルム厚みを有する、請求項1に記載の画像形成システム(20、120)。
【請求項6】
前記層が、イエローの層、シアンの層及びブラックの層を含み、前記イエローの層、前記シアンの層及び前記ブラックの層のそれぞれが、100%被覆率で1μm以下の最終フィルム厚みを有する、請求項1に記載の画像形成システム(20、120)。
【請求項7】
前記層が前記印刷媒体に転写される前に、画像形成液体現像機が、前記層の全てを前記中間転写部材(34)上に現像するように操作される、請求項1に記載の画像形成システム(20、120)。
【請求項8】
前記画像形成液体現像機が、前記層の1つが前記中間転写部材(34)から前記印刷媒体へ転写された後に、前記層の別の1つを前記中間の転写部材(34)上に現像するように操作される、請求項1に記載の画像形成システム(20、120)。
【請求項9】
前記最外表面が、約100オングストロームRMS以下の粗さを有する、請求項1に記載の画像形成システム(20、120)。
【請求項10】
画像形成液体の複数の層を、約300オングストローム二乗平均平方根(RMS)以下の粗さを有する最外表面を有する中間の転写部材(34)(ITM)上に現像し、前記層の少なくとも1つのが、100%被覆率で1μm以下の最終フィルム厚みを有し、
前記層を、前記ITMから印刷媒体上へと転写する、方法。
【請求項11】
前記層の1つがシアン色の層であり、当該シアン色の層が、100%被覆率で1μm以下の最終フィルム厚みを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記層の1つがブラックの層であり、前記ブラックの層が、100%被覆率で1μm以下の最終フィルム厚みを有する、請求項10に記載の前記方法。
【請求項13】
前記層の全てが、集合的に、100%被覆率で1μm以下の平均最終フィルム厚みを有する、請求項10に記載の前記方法。
【請求項14】
前記層が、イエローの層、シアンの層及びブラックの層を含み、前記イエローの層、前記シアンの層及び前記ブラックの層のそれぞれが、100%被覆率で1μm以下の最終フィルム厚みを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記最外表面が、約100オングストロームRMS以下の粗さを有する、請求項10に記載の前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−513820(P2013−513820A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543072(P2012−543072)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/067407
【国際公開番号】WO2011/071494
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(511076424)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (155)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
【Fターム(参考)】