説明

画像形成システム,画像形成装置および情報処理装置

【課題】エラー発生時における生産性の低下の抑制が期待できる画像形成システム,画像形成装置および情報処理装置を提供すること。
【解決手段】画像形成システム900では,PC100からプリンタ200に対して印刷データを送信する。プリンタ200では,印刷データを受信した際,エラー情報の報知が可能な所定の装置(例えばPC100,サーバ400,携帯情報端末500)にてエラー情報を報知できる状態か否かを判断する。プリンタ200は,エラー情報を報知できる状態と判断した場合には,受信した印刷データの印刷を開始し,エラー情報を報知できない状態と判断した場合には,受信した印刷データの印刷を開始しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,印刷データを印刷する画像形成システム,画像形成装置および情報処理装置に関する。さらに詳細には,エラーの発生やその対処の仕方等のエラー情報を報知する画像形成システム,画像形成装置および情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置では,紙詰まり,用紙切れ,着色剤不足等,画像形成動作を継続できない各種のエラーが発生する。エラー発生時の対処としては,例えば画像形成装置自身が具備する液晶画面等の表示部に,エラーの発生やその対処の仕方を報知することが知られている。
【0003】
また,液晶画面等のテキスト表示機能を有しない画像形成装置においては,LEDの点灯パターンによってエラーの種類を通知する技術が知られている。例えば,特許文献1に開示されている画像形成システムでは,エラー発生時に,LEDがそのエラーに対応する点灯パターンで点灯を開始する。ユーザが利用するローカルコンピュータには,プリンタのLEDの点灯パターンを入力できるソフトウェアが組み込まれており,ユーザ操作によってローカルコンピュータ上でLEDの点灯パターンを再現する。そして,ローカルコンピュータでは,ユーザが入力した点灯パターンに対応する情報を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−039963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,液晶画面やLED等,画像形成装置上でエラー情報を報知したとしても,ユーザがその画像形成装置から離れた場所にいると,そのエラー情報が伝わり難い。仮に,画像形成装置がローカルコンピュータに対してエラー情報を送信したとしても,そのローカルコンピュータでエラー情報を受信ないし表示可能な状態でなければそのエラー情報が即時に伝わらない。このような状況で印刷エラーが発生すると,ユーザがエラーを認識し,そのエラーを解消するまでに時間がかかる。その結果,画像形成装置の生産性を悪化させてしまう。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,エラー発生時における生産性の低下の抑制が期待できる画像形成システム,画像形成装置および情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成システムは,画像形成装置と,前記画像形成装置に印刷データを送信する情報処理装置と,前記画像形成装置から送信されるエラー情報を受信する報知先装置とを有する画像形成システムであって,前記報知先装置がエラー情報を報知できる状態か否かを判断する判断部と,前記判断部にてエラー情報を報知できる状態と判断した場合には,前記情報処理装置から受信した印刷データの印刷を開始し,前記判断部にてエラー情報を報知できない状態と判断した場合には,前記印刷データの印刷を開始しないようにする印刷開始制御を行う印刷開始制御部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像形成システムでは,情報処理装置から画像形成装置に対して印刷データを送信する。画像形成装置では,報知先装置にてエラー情報を報知できる状態か否かを判断する。ここでいうエラー情報には,エラーの内容とその解除方法との少なくとも一方が含まれる。印刷データを送信する装置である情報処理装置と,エラー情報を受信する装置である報知先装置とは,別体でもよいし,同体でもよい。画像形成装置は,印刷開始制御によって,受信した印刷データの印刷を開始するか否かを決定する。具体的には,エラー情報を報知できる状態と判断した場合には,情報処理装置から受信した印刷データの印刷を開始し,エラー情報を報知できない状態と判断した場合には,情報処理装置から受信した印刷データの印刷を開始しない。
【0009】
すなわち,本発明の画像形成システムでは,報知先装置でのエラー情報の報知ができることを条件として,受信した印刷データの印刷を開始する。そのため,エラーが発生した際には,そのエラー情報の報知を確実に行うことができる。つまり,エラーが発生したとしても,ユーザがそのエラーに気付かないままとなる不適切な状態を回避できる可能性が高まる。その結果として,早期のエラー解消が期待でき,生産性の低下を抑制できる。
【0010】
また,前記情報処理装置は,エラー情報の送信先となる前記報知先装置を兼ねるとよい。すなわち,印刷を依頼したユーザが最もその印刷物を早期に取得したいユーザである可能性が高い。そのため,印刷データを送信した情報処理装置にてエラー情報を通知することで,そのユーザによる早期解決が期待できる。
【0011】
また,前記画像形成装置で発生するエラーには,前記報知先装置での報知が不可欠と定めているエラーである特定エラーと,前記特定エラー以外のエラーとがあり,前記画像形成装置が前記印刷データを印刷する過程で,前記特定エラーを発生しうるか否かを識別する識別部を備え,前記印刷開始制御部は,前記識別部が前記特定エラーが発生しうると識別した場合には,前記印刷開始制御を実行し,前記特定エラーが発生しないと識別した場合,前記印刷開始制御の実行を禁止し,前記印刷データの印刷を開始するとよい。この構成の画像形成装置は,あらかじめ報知先装置での報知が不可欠なエラーを定めている。そして,報知が不可欠と定めているエラーである特定エラーが発生しうるか否かを判断し,特定エラーが発生しうる場合に印刷開始制御を行う。この構成のように特定エラーが発生する可能性がある場合に限り印刷開始制御を行う方が好ましい。
【0012】
また,前記識別部は,前記印刷データの内容に基づいて,前記特定エラーが発生しうるか否かを識別するとよい。印刷データの内容に従って識別することで,より適切な識別が期待できる。
【0013】
また,前記特定エラーは,エラー情報について,前記画像形成装置では報知されず,前記報知先装置では報知されるエラーであるとよい。前記画像形成装置では報知されないエラー情報としては,例えばエラーの解除方法がある。画像形成装置は,文字列表示が不可である,あるいは文字列表示が可能であっても字数に制限がある等,エラー情報の表示が困難なケースも考えられる。一方,報知先装置は,画像形成装置と比較して,表示の自由度が高く,エラー情報の表示が容易でありその内容をユーザに伝達し易い傾向にある。そのため,画像形成装置では報知されず,報知先装置では報知されるエラーに該当するエラーついては,印刷開始制御を行うことが望ましい。
【0014】
また,前記印刷開始制御部は,前記判断部にてエラー情報を報知できない状態と判断した場合,前記印刷データの印刷を保留状態にすることで前記印刷データの印刷開始を禁止するとよい。印刷データを破棄しても印刷データの印刷を開始しないようにできるが,この場合,印刷データを印刷するには,その印刷データの再送信が必要となる。印刷データを保留する構成にすることで,ユーザの手間を軽減できる。
【0015】
また,前記印刷開始制御部は,前記判断部による再判断の結果,エラー情報を報知できる状態と判断した場合には,保留状態にある前記印刷データの印刷を開始するとよい。自動的に保留を解除することで,ユーザの手間を軽減できる。
【0016】
また,本発明の画像形成システムは,前記印刷開始制御部によって保留状態になった印刷データを印刷する印刷指示を,ユーザ入力によって受け付ける受付部を備えるとよい。保留中の印刷データをユーザ入力によって強制的に印刷開始することができることで,より利便性が向上する。
【0017】
また,上記の画像形成システムは,前記受付部が受け付けた印刷指示によって前記印刷データの印刷を開始した後,前記印刷データの印刷過程でエラーが発生した場合に,当該エラーに対応するエラー情報を用紙に印刷するエラー情報印刷部を備えるとよい。エラー情報の報知が困難な状況でエラーが発生してしまった場合には,用紙への印刷によってエラー情報を報知する方が望ましい。
【0018】
また,前記報知先装置には,エラー情報の報知を行うプログラムである報知アプリケーションが組み込まれており,前記判断部は,前記報知先装置にて前記報知アプリケーションが起動していると判断した場合にはエラー情報を報知できる状態と判断し,前記報知アプリケーションが起動していないと判断した場合にはエラー情報を報知できない状態と判断するとよい。
【0019】
また,前記情報処理装置は,前記報知アプリケーションの起動状態を示す起動情報を付加した印刷データを作成する作成部を有し,前記判断部は,前記起動情報に基づいて,前記報知アプリケーションが起動しているか否かを判断するとよい。この構成では,報知先装置への問合せが不要であり,印刷を早期に開始できる。
【0020】
また,前記判断部は,前記報知先装置に前記報知アプリケーションが起動しているか否かを問い合わせ,その応答結果に基づいて,前記報知アプリケーションが起動しているか否かを判断するとしてもよい。この構成では,報知先装置からの応答に基づいて判断しているため,判断の精度が高い。
【0021】
また,前記報知アプリケーションは,当該報知アプリケーション自身を終了する際に,前記画像形成装置での印刷が制限される可能性があることを警告するとよい。印刷ができなくなる可能性が生じる前に,ユーザに対して警告する方が好ましいためである。
【0022】
また,本発明は,印刷データを受信する受信部と,エラー情報を報知先装置に送信する送信部と,前記報知先装置がエラー情報を報知できる状態か否かを判断する判断部と,前記判断部にてエラー情報を報知できる状態と判断した場合には,前記受信部が受信した印刷データの印刷を開始し,前記判断部にてエラー情報を報知できない状態と判断した場合には,前記受信部が受信した印刷データの印刷を開始しないようにする印刷開始制御を行う印刷開始制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置を含んでいる。
【0023】
また,本発明の情報処理装置は,画像形成装置から送信されるエラー情報を受信する受信部と,前記受信部が受信した前記エラー情報に基づいて,エラーの報知を行うプログラムである報知アプリケーションとを備え,前記報知アプリケーションは,前記画像形成装置からの起動状態の問合せに応じ,前記画像形成装置に起動中である旨の信号を応答することを特徴とする情報処理装置を含んでいる。
【0024】
また,本発明の情報処理装置は,画像形成装置から送信されるエラー情報を受信する受信部と,前記受信部が受信した前記エラー情報に基づいて,エラーの報知を行うプログラムである報知アプリケーションと,前記報知アプリケーションの起動状態を示す起動情報を付加した印刷データを作成する作成部と,前記作成部が作成した前記印刷データを前記画像形成装置に送信する送信部とを備えることを特徴とする情報処理装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば,エラー発生時における生産性の低下の抑制が期待できる画像形成システム,画像形成装置および情報処理装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態にかかる画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成システムに含まれるPCおよびプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】画像形成システムの動作概略を示すブロック図である。
【図4】プリンタにおける印刷開始決定処理の,第1の形態の手順を示すフローチャートである。
【図5】報知可能チェック処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】PCから送られる印刷データの構成を示す図である。
【図7】プリンタにおける印刷開始決定処理の,第2の形態の手順を示すフローチャートである。
【図8】PCのステータスモニタにおける監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】ステータスモニタを終了する際の,警告画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下,本発明にかかる画像形成システムを具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,画像形成装置であるプリンタと,プリンタに印刷データを送信するパーソナルコンピュータ(PC)とを備えた画像形成システムに本発明を適用したものである。
【0028】
[画像形成システムの全体構成]
本形態の画像形成システム900は,図1に示すように,印刷データを作成して出力するPC100と,印刷機能を有するプリンタ200と,サーバ400とを備えている。画像形成システム900では,PC100とプリンタ200とサーバ400とがイーサネット(登録商標)等のネットワーク300を介して接続されている。
【0029】
PC100(情報処理装置,報知先装置の一例)には,プリンタ200に対応する印刷データを作成するプリンタドライバ110と,プリンタ200の稼働状況を表示するステータスモニタ120と,印刷指示機能を有する各種のアプリケーションプログラムとが組み込まれている。プリンタドライバ110は,アプリケーションプログラムから受け付けた画像データに基づいて印刷データを作成し,その印刷データをプリンタ200に送信する。
【0030】
また,ステータスモニタ120(報知アプリケーションの一例)は,プリンタ200から送信されたエラー情報を受信し,そのエラー情報に基づいて,そのエラー情報に対応する詳細情報をPC100の画面に表示する。例えば,エラーの内容と,そのエラーの解除方法との少なくとも一方を表示する。ステータスモニタ120は,PC100の起動を契機に起動し,PC100の起動中は常駐する。なお,ステータスモニタ120は,ユーザ操作によって強制的に終了させることも可能である。
【0031】
プリンタ200(画像形成装置の一例)には,プリンタ200を構成する各種の構成要素を制御するファームウェア210が組み込まれている。ファームウェア210は,プリンタ200にエラーが発生した際,エラーの内容に応じて自身の操作パネルにエラー情報を表示したり,PC100にエラー情報を送信したりする機能を有している。
【0032】
また,プリンタ200は,携帯情報端末500との無線通信が可能である。携帯情報端末500としては,例えば携帯電話やタブレット型コンピュータが該当する。ファームウェア210は,プリンタ200にエラーが発生した際,必要に応じて携帯情報端末500もエラー情報を送信することができる。
【0033】
なお,画像形成システム900を構成するプリンタ,PCはそれぞれ何台接続されていてもよい。また,画像形成システム900には,その他の情報処理装置や画像処理装置を接続してもよい。
【0034】
[PCの構成]
続いて,PC100の概略構成について説明する。PC100は,図2に示すように,CPU51と,ROM52と,RAM53と,HDD54と,キーボードやマウス等からなる操作部55と,液晶ディスプレイ等からなる表示部56と,ネットワークインターフェース57と,USBインターフェース58とを有している。
【0035】
PC100のHDD54には,オペレーティングシステム(OS)や,各種のデバイスを制御するデバイスドライバや,ワープロ,表計算ソフト等の印刷指示機能を有するアプリケーションプログラム等が組み込まれている。上述したプリンタドライバ110やステータスモニタ120もHDD54に組み込まれている。
【0036】
CPU51(作成部の一例)は,ROM52から読み出した制御プログラムやHDD54から読み出したアプリケーションプログラム等に従って,その演算結果をRAM53またはHDD54に記憶させながら各種の処理を行う。上述したプリンタドライバ110やステータスモニタ120の動作もCPU51によって処理される。
【0037】
ネットワークインターフェース57(受信部,送信部の一例)やUSBインターフェース58は,外部装置との通信を可能にするインターフェースである。本形態では,ネットワークインターフェース57を介してプリンタ200やサーバ400とのデータ通信を行う。
【0038】
[プリンタの構成]
続いて,プリンタ200の概略構成について説明する。プリンタ200は,図2に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34と,ASIC35と,ネットワークインターフェース37と,USBインターフェース38と,無線通信インターフェース39とを備えた制御部30を備えている。また,制御部30は,用紙に画像を印刷する画像形成部10と,動作状況の表示やユーザによる入力操作の受付を行う操作パネル40とに電気的に接続されている。
【0039】
ROM32には,プリンタ200を制御するための制御プログラムであるファームウェア210や各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0040】
CPU31(判断部,印刷開始制御部,識別部の一例)は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ200の各構成要素をASIC35を介して制御する。上述したファームウェア210の動作もCPU31によって処理される。
【0041】
ネットワークインターフェース37(受信部,送信部の一例),USBインターフェース38および無線通信インターフェース39は,外部装置との通信を可能にするインターフェースである。本形態では,ネットワークインターフェース37を介してPC100およびサーバ400とのデータ通信を行う。また,無線通信インターフェース39を介して携帯情報端末500とのデータ通信を行う。
【0042】
また,画像形成部10(エラー情報印刷部の一例)は,用紙に画像を印刷することができればよく,画像形成方式については電子写真方式であってもインクジェット方式であってもよい。
【0043】
また,操作パネル40(受付部)は,ユーザ入力を受け付ける各種のボタンと,文字情報を表示する液晶画面とを有している。このうち,液晶画面については,取り外しが可能になっている。液晶画面は,画像形成部10との無線通信が可能であり,取り外された状態であっても無線通信が可能な範囲内でエラー表示を行うことができる。また,各種のボタンとしては,例えば,印刷の実行を指示するボタンや,印刷動作のキャンセルを指示するキャンセルボタンがある。特に本形態の操作パネル40には,印刷保留状態の印刷データに対する印刷の実行を指示する強制印刷実行ボタンがある。
【0044】
[画像形成システムの動作概要]
続いて,画像形成システム900の動作概要について,図3を参照しつつ説明する。
【0045】
本形態の画像形成システム900では,先ず,PC100のプリンタドライバ110からプリンタ200に印刷データを送信する。印刷データを受信したプリンタ200は,画像形成部10によって印刷データの印刷を開始し,印刷物を出力する。
【0046】
また,プリンタ200は,印刷動作を継続できないエラーが発生したことを契機に,エラー情報を報知する。プリンタ200は,エラーの内容,プリンタの状態,印刷データの内容等によって,エラー情報の報知先を選択する。本形態では,エラー情報の報知先として,操作パネル40と外部装置とがある。操作パネル40では,液晶画面への文字表示やLEDランプの点灯によってエラー情報を報知する。外部装置では,その装置に組み込まれているアプリケーションプログラムによってエラー情報を報知する。
【0047】
外部装置としては,印刷データの送信元であるPC100が好ましい。すなわち,印刷データの送信元とエラー情報の報知先とは同じであることが好ましい。印刷を依頼したユーザが最もその印刷物を早期に取得したいユーザである可能性が高く,エラーの詳細を把握したいユーザと考えられるためである。
【0048】
なお,印刷データを送信したユーザ以外のユーザ(例えば管理者)がエラー情報を確認する必要がある場合には,サーバ400やそのユーザが所有する携帯情報端末500にエラー情報を送信してもよい。本形態では,印刷データの送信元であるPC100にエラー情報を送信するものとし,ステータスモニタ120によってエラー情報を報知する。
【0049】
また,プリンタ200は,印刷データを受信した際,その印刷データの印刷を開始する前に,エラー情報の報知が可能か否かを調査する。そして,エラー情報を報知できる状態であることを条件として,その印刷データの印刷を開始する。
【0050】
[印刷開始決定処理]
[第1の形態]
続いて,プリンタ200の印刷開始制御を行う印刷開始決定処理(判断部,印刷開始制御部,識別部,エラー情報印刷部の一例)の手順について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。印刷開始決定処理は,印刷データを受信したことを契機に,プリンタ200のCPU31によって実行される。なお,以下の説明では,印刷データの送信元もエラー情報の報知先もPC100であるものとする。
【0051】
第1の形態の印刷開始決定処理では,先ず,外部装置(本形態ではPC100。以下,外部装置をPC100として説明する。)への報知が必要か否かを判断する(S100:識別部の一例)。
【0052】
S100では,印刷データの内容,装置固有の情報,装置の状態等に基づいて,幾つかの判断項目に分けてPC100での報知が必要なエラー(以下,「特定エラー」とする)が発生しうるか否か判断する。判断項目については,あらかじめROM32に記憶されており,各判断項目についてPC100へのエラー情報の報知の必要性について判断する。なお,特定エラーが発生しうるケースには,特定エラーが確実に発生するケースの他,特定エラーの発生が予想される,すなわち特定エラーが発生する可能性があるケースも含まれる。
【0053】
具体的なS100での判断項目としては,例えば,両面印刷やステープラ等,特定の印刷データに該当するか否かがある。例えば,両面印刷では,両面印刷を行っている最中にエラーが発生した場合,用紙搬送路中のエラーの発生位置,印刷の再開手順等,エラーの解除方法を簡潔に表示することは困難である。そのため,印刷データとして両面印刷が設定されている場合には,特定エラーが発生する可能性がある。このように印刷データの内容によって特定エラーの発生有無を判断できる。
【0054】
他の判断項目としては,例えば,ユーザ制限や印刷枚数制限等の制限機能が有効になっているか否かがある。ユーザ別に印刷許可を与えている,印刷枚数を制限している等,装置固有のエラーについても,エラー情報を簡潔に表示することは困難である。そのため,装置固有の機能が有効になっている場合には,特定エラーが発生する可能性がある。このように装置固有の機能の設定によっても特定エラーの発生有無を判断できる。
【0055】
他の判断項目としては,例えば,エラーログの送信機能が有効になっているか否かがある。所定のエラーについてPC100にエラーログを記録する場合についても,PC100との通信状態,PC100へのアクセスの復旧作業等,エラー情報を簡潔に表示することは困難である。そのため,エラーログを送信する機能が有効になっている場合には,特定エラーが発生する可能性がある。このようにエラー発生時の処理の設定によっても特定エラーの発生有無を判断できる。
【0056】
他の判断項目としては,例えば,操作パネル40への液晶画面の装着状態がある。プリンタ200は,操作パネル40の液晶画面を取り外すことができ,液晶画面は操作パネル40から取り外された状態では無線通信によってエラー情報を受信する。そのため,液晶画面が装着されていない場合には,通信エラー等によってエラー情報を表示できない可能性があり,エラー情報を報知する手当が必要となる。このことから,液晶画面が装着されていない場合には,特定エラーが発生する可能性がある。このように装置自体の状態によっても特定エラーの発生有無を判断できる。この他,例えば,トナーのニアエンプティが検出されている場合には,トナーカートリッジの交換等の複雑な作業が必要となる可能性がある。そのため,トナーのニアエンプティが検出されている場合にも特定エラーが発生すると判断してもよい。
【0057】
つまり,S100では,操作パネル40への液晶画面の装着有無,トナーのニアエンプティの検出有無,ユーザ制限や印刷枚数制限等の制限機能の設定有無,両面印刷やステープラ等,エラー解除方法が複雑な特定の印刷データか否か等,少なくとも1つの判断項目について特定エラーの発生の可能性を判断する。そして,特定エラーが発生しうると判断された判断項目が1つでもあれば,PC100での報知が必要と判断する。
【0058】
PC100でのエラー情報の報知が必要と判断された判断項目が1つもなく,PC100へのエラー情報の報知を不要と判断した場合には(S100:NO),S103に移行し,印刷を開始する。
【0059】
一方,PC100へのエラー情報の報知が必要と判断した場合には(S100:YES),エラー情報の報知が可能であるか否かをチェックする報知可能チェック処理を実行する(S101:判断部の一例)。図5は,報知可能チェック処理の手順を示している。
【0060】
報知可能チェック処理では,先ず,PC100でステータスモニタ120が動作中であるか否かを判断する(S162)。S162では,例えば,プリンタ200からPC100に対してステータスモニタ120が起動しているか否かを直接問い合わせる。PC100にてステータスモニタ120が起動している場合には,その問合せをステータスモニタ120が受け取り,プリンタ200に対して起動中である旨の信号を応答する。プリンタ200は,この応答信号を受け取ることで,ステータスモニタ120が動作中であると判断できる。一方,ステータスモニタ120が起動していない場合には,ステータスモニタ120からの応答は無い。そのため,問合せを開始してから所定時間が経過するまでにステータスモニタ120からの応答が無ければ,ステータスモニタ120が動作中でないと判断できる。
【0061】
なお,S162では,ステータスモニタ120に直接問い合わせない形態でもよい。例えば,PC100のプリンタドライバ110が,ステータスモニタ120の起動状態の情報を付加した印刷データを作成する。例えば,図6に示すように,印刷データ113が,解像度やアドレス情報等のジョブ情報を記憶するヘッダ領域111と,画像データを記憶する画像データ領域112とで構成されている場合,ヘッダ領域111にステータスモニタ120の起動状態に関する情報を記憶する(作成部の一例)。プリンタ200では,印刷データ113を受信した際,印刷データ113のヘッダ領域111を参照することで,ステータスモニタ120が動作中であるか否かを判断できる。
【0062】
ステータスモニタ120が動作中であると判断した場合には(S162:YES),エラー発生時に,PC100のステータスモニタ120によってエラー情報の報知ができる。そこで,PC100にて報知可能と判定し(S163),報知可能チェック処理を終了する。
【0063】
ステータスモニタ120が動作中でないと判断した場合には(S162:NO),エラー発生時にエラー情報の報知ができない可能性が生じる。そこで,PC100にて報知不可と判定し(S171),報知可能チェック処理を終了する。
【0064】
図4の印刷開始決定処理の説明に戻り,S101の報知可能チェック処理の結果に基づいて,報知可能と判定されたか否かを判断する(S102:印刷開始制御部の一例)。報知可能と判定された場合には(S102:YES),受信した印刷データの印刷動作を開始する(S103)。
【0065】
その後,印刷動作中に,印刷動作を継続できないエラーが発生したか否かを判断する(S104)。エラーが発生しなかった場合には(S104:NO),印刷開始決定処理を終了する。エラーが発生した場合には(S104:YES),エラーの種類に応じて,そのエラー情報を操作パネル40あるいはPC100あるいはその両方に報知する(S141)。S141の後は,印刷開始決定処理を終了する。
【0066】
一方,報知不可と判定された場合には(S102:NO),操作パネル40のエラーランプを点灯する(S121)。これにより,プリンタ200は,ユーザに対して印刷不能になったことを報知する。このエラーランプの点灯は,特定エラーが発生した際にPC100へそのエラー情報を報知できないために,印刷を禁止することを意味するものであり,その旨をマニュアル等に記載しておく。なお,操作パネル40の液晶画面に表示可能であれば,その旨を表示してもよい。
【0067】
次に,再度,報知可能チェック処理を実行する(S122)。S122の報知可能チェック処理は,S101の報知可能チェック処理と同じ処理である。その後,S122の報知可能チェック処理の結果に基づいて,報知可能と判定されたか否かを判断する(S123)。あらためて報知可能と判定された場合には(S123:YES),S103に移行して印刷動作を開始する。
【0068】
報知不能と判定された場合には(S123:NO),ユーザからの強制印刷指示があったか否かを判断する(S124:受付部の一例)。具体的には,操作パネル40に設けられた強制印刷実行ボタンが押下されたか否かを判断する。強制印刷指示がなかった場合には(S124:NO),S122に移行して再び報知可能チェック処理を行う。
【0069】
強制印刷指示があった場合には(S124:YES),受信した印刷データの印刷動作を開始する(S125)。その後,印刷動作中に,印刷動作自体は継続可能な特定エラーが発生したか否かを判断する(S126)。そのようなエラーが発生しなかった場合には(S126:NO),印刷開始決定処理を終了する。そのようなエラーが発生した場合には(S126:YES),印刷データの印刷を中止し,そのエラー情報の内容を印刷する(S131)。すなわち,プリンタ200は,上述の強制印刷指示のような印刷すべきでない状態で印刷指令を受けた場合に限り,エラー報知のために用紙を消耗させる構成になっている,つまり,本来なら用紙を消耗させずにエラーを報知するが,ユーザの自己責任で印刷指示を行った場合には,用紙を消耗してエラーを報知する構成になっている。これにより,エラー内容がユーザに伝わらないままの,印刷開始決定処理の終了を回避する。S131の後は,印刷開始決定処理を終了する。
【0070】
なお,本形態では,S102で報知不可と判断された後,報知可能となるか強制印刷指示があるまでS122〜S124の処理を繰り返すことになるが,S121でのエラーランプ点灯と同時に起動するタイマーを用意し,そのタイマーが所定時間経過した後は,印刷動作を開始することなく強制的に印刷制御処理を終了してもよい。すなわち,印刷データを破棄してもよい。
【0071】
[第2の形態]
続いて,印刷開始決定処理の第2の形態の手順について,図7のフローチャートを参照しつつ説明する。第2の形態の印刷開始決定処理は,報知不可と判断された後,次の印刷データを受信した場合には,報知不可と判断された印刷データを先送りし,次の印刷データの処理に移行する。この点,報知不可と判断された場合,報知可能となるか強制印刷指示があるまで次の印刷データの処理は行わない第1の形態と異なる。なお,第2の形態の説明で,第1の形態と同様の処理については同じ符号を付し説明を省略する。
【0072】
第2の形態の印刷開始決定処理では,先ず,PC100への報知が必要か否かを判断する(S100)。PC100への報知が必要であれば(S100:YES),エラー情報の報知が可能であるか否かをチェックする報知可能チェック処理を実行する(S101)。次に,S101の報知可能チェック処理の結果に基づいて,報知可能と判定されたか否かを判断する(S102)。
【0073】
報知不可と判定された場合には(S102:NO),操作パネル40のエラーランプを点灯する(S121)。そして,印刷データを保留状態にする(S221)。ここでいう保留状態は,印刷開始指示があるまで印刷待機となる状態である。プリンタ200は,RAM33あるいはNVRAM34に,保留状態の印刷データを記憶するバッファ領域を確保しており,保留状態となった印刷データはそのバッファ領域に記憶される。そして,印刷用のメモリ領域は,次の印刷データの印刷に利用される。
【0074】
その後,次の印刷データを受信しているか否かを判断する(S222)。次の印刷データがある場合には(S222:YES),S100に移行する。その後,受信した次の印刷データに基づいて,PC100への報知の必要がない,あるいは,PC100への報知の必要がありかつ報知可能であれば,前の印刷データを保留状態にしたまま,次の印刷データの印刷を開始する。
【0075】
次の印刷データがなければ(S222:NO),再度,報知可能チェック処理を実行する(S122)。このS122の報知可能チェック処理では,他に保留状態の印刷データがある場合には,その印刷データについても報知可能か否かを判断する。その後,S122の報知可能チェック処理の結果に基づいて,報知可能と判定されたか否かを判断する(S123)。あらためて報知可能と判定された印刷データがあれば(S123:YES),その印刷データについては印刷動作を開始する。
【0076】
報知不能と判定された場合には(S123:NO),S124に移行する。S124以降の処理,およびS102にて報知可能と判定された後の処理,およびS100にてPC100への報知不要と判断された場合については,第1の形態と同様である。
【0077】
なお,本形態では,次の印刷データに印刷順序を追い越された保留中の印刷データは,強制印刷指示を受け付けたことを契機に印刷が開始される。あるいは,次の印刷データを受け付けた際に報知可能か否かが判断され,報知可能と判断されれば印刷が開始される。
【0078】
[ステータスモニタの動作]
続いて,PC100のステータスモニタ120の動作である監視処理の手順について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。監視処理は,ステータスモニタ120が起動されたことを契機に,PC100のCPU51によって実行される。
【0079】
監視処理では,先ず,プリンタ200から起動状態の問合せがあったか否かを判断する(S301)。プリンタ200からの問合せは,前述した制御開始制御処理のS101あるいはS122の報知可能チェック処理の中で行われる。プリンタ200から起動状態の問合せがあった場合には(S301:YES),プリンタ200にステータスモニタ120が動作中である旨の信号を応答する(S311)。S311後は,S301に移行する。
【0080】
プリンタ200から起動状態の問合せがなかった場合には(S301:NO),プリンタ200から送信されたエラー情報を受信しているか否かを判断する(S302)。プリンタ200からのエラー情報を受信している場合には(S302:YES),受信したエラー情報をステータスモニタ120に登録する(S321)。エラー情報が登録されると,ステータスモニタ120は自動的に表示中の情報を更新する。また,ステータスモニタ120自身が非表示状態で動作中の場合には,エラー情報の登録を契機に表示状態に切り換わる。これにより,新しいエラー情報が追加されたことを,ユーザが把握できる可能性が高まる。S321後は,S301に移行する。
【0081】
プリンタ200からのエラー情報を受信していない場合には(S302:NO),ステータスモニタ120の終了が指示されたか否かを判断する(S303)。ステータスモニタ120の終了が指示されていない場合には(S303:NO),S301に移行する。
【0082】
ステータスモニタ120の終了が指示された場合には(S303:YES),図9に示すような警告画面121を表示する(S331)。すなわち,ユーザ操作によってステータスモニタ120を強制終了すると,エラーの詳細が不明になる,印刷の実行が禁止される等,ユーザが不利益を受ける可能性がある。そこで,ステータスモニタ120は,強制終了の指示を受け付けると,ステータスモニタ120を終了させることによって不利益を被る可能性がある旨の警告画面121を表示する。
【0083】
S331の後,警告画面121で終了が選択されたか否かを判断する(S332)。「キャンセル」が選択された場合には(S332:NO),S301に移行する。「OK」が選択された場合には(S332:YES),ステータスモニタ処理を終了する。
【0084】
以上詳細に説明したように実施の形態のプリンタ200では,エラー情報を報知できる状態か否かを判断する。そして,エラー情報を報知できる状態と判断した場合には,受信した印刷データの印刷を開始する。一方,エラー情報を報知できない状態と判断した場合には,報知可能になるまであるいは強制印刷指示があるまで,受信した印刷データの印刷を開始しない。すなわち,画像形成システム900では,エラー情報を報知できることを条件として印刷を開始する。これにより,エラーが発生した際にはエラー情報の報知を確実に行うことができる。つまり,エラーが発生したとしても,ユーザがそのエラーに気付かないままとなる不適切な状態を回避できる可能性が高まる。その結果として,早期のエラー解消が期待でき,生産性の低下を抑制できる。
【0085】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタは,印刷機能を備えるものであればよく,複合機や複写機であっても適用可能である。また,印刷データをプリンタに送信する情報処理装置についても,PCに限るものではない。例えば携帯情報端末やワークステーションであってもよい。
【0086】
また,実施の形態では,印刷データの送信元とエラー情報の報知先とが同じ装置(PC100)であったが,別の装置であってもよい。例えば,図1に示した画像形成システム900では,印刷データの送信元をPC100として,エラー情報の報知先をサーバ400や携帯情報端末500としてもよい。
【0087】
また,実施の形態では,報知先装置に直接問い合わせることや,印刷データに付加された情報を読み取ることによって,報知先装置でのエラー情報の報知が可能であるか否かを判断しているが,判断方法はこれらに限るものではない。例えば,報知先装置が電子メールの受信が可能な構成であり,プリンタ200は報知先装置の起動状態を確認する際,その報知先装置に対して起動確認メールを送信する構成であってもよい。この構成の場合,その起動確認メールの送信に成功した場合には報知先装置でのエラー情報の報知が可能と判断し,その起動確認メールの送信に失敗した場合には報知先装置でのエラー情報の報知が不可と判断してもよい。
【0088】
また,この他,例えば,報知先装置および印刷データを送信する情報処理装置を,Wi−Fi通信が可能な携帯情報端末が兼ねる構成であってもよい。この構成の場合,印刷データを受信するまでの一定期間内にその携帯情報端末からプリンタ200に対してプリンタ能力の問い合わせがあったか否かを判断する。そして,問い合わせがあった場合には報知先装置でのエラー情報の報知が可能と判断し,問い合わせがなかった場合には報知先装置でのエラー情報の報知が不可と判断する。
【0089】
また,実施の形態では,報知が不可の場合,印刷データを保留し,印刷開始待ちとなっているが,印刷データの印刷を開始しない態様としては,これに限るものではない。例えば,報知が不可の場合,印刷データをメモリから消去し,印刷開始決定処理を終了してもよい。
【0090】
また,実施の形態では,報知可能チェック処理の際,S100にてPC100への報知の必要性を判断し,必要がなければ報知可能としているが,S100は必須ではない。すなわち,S100を行わず,S101のステータスモニタ120の動作判断のみで報知の可否を決定してもよい。
【0091】
また,実施の形態では,操作パネル40の液晶画面が取り外し可能になっているが,液晶画面が操作パネル40に固定されているものであってもよい。また,実施の形態では,プリンタ200が液晶画面を有しているが,液晶画面を有していない,すなわち文字表示機能を有していないものであってもよい。文字表示機能を有していないプリンタでは,複雑なエラー情報を表示することは困難である。そのため,文字表示機能を有していないプリンタでは,PC100へエラー情報を報知する必要性が高く,本発明に好適である。
【符号の説明】
【0092】
10 画像形成部
30 制御部
40 操作パネル
100 パーソナルコンピュータ(PC)
110 プリンタドライバ
120 ステータスモニタ
200 プリンタ
400 サーバ
500 携帯情報端末
900 画像形成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と,前記画像形成装置に印刷データを送信する情報処理装置と,前記画像形成装置から送信されるエラー情報を受信する報知先装置とを有する画像形成システムにおいて,
前記報知先装置がエラー情報を報知できる状態か否かを判断する判断部と,
前記判断部にてエラー情報を報知できる状態と判断した場合には,前記情報処理装置から受信した印刷データの印刷を開始し,前記判断部にてエラー情報を報知できない状態と判断した場合には,前記印刷データの印刷を開始しないようにする印刷開始制御を行う印刷開始制御部と,
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成システムにおいて,
前記情報処理装置は,エラー情報の送信先となる前記報知先装置を兼ねることを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成システムにおいて,
前記画像形成装置で発生するエラーには,前記報知先装置での報知が不可欠と定めているエラーである特定エラーと,前記特定エラー以外のエラーとがあり,
前記画像形成装置が前記印刷データを印刷する過程で,前記特定エラーを発生しうるか否かを識別する識別部を備え,
前記印刷開始制御部は,前記識別部が前記特定エラーが発生しうると識別した場合には,前記印刷開始制御を実行し,前記特定エラーが発生しないと識別した場合,前記印刷開始制御の実行を禁止し,前記印刷データの印刷を開始することを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項3に記載する画像形成システムにおいて,
前記識別部は,前記印刷データの内容に基づいて,前記特定エラーが発生しうるか否かを識別することを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載する画像形成システムにおいて,
前記特定エラーは,エラー情報について,前記画像形成装置では報知されず,前記報知先装置では報知されるエラーであることを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記印刷開始制御部は,前記判断部にてエラー情報を報知できない状態と判断した場合,前記印刷データの印刷を保留状態にすることで前記印刷データの印刷開始を禁止することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項6に記載する画像形成システムにおいて,
前記印刷開始制御部は,前記判断部による再判断の結果,エラー情報を報知できる状態と判断した場合には,保留状態にある前記印刷データの印刷を開始することを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載する画像形成システムにおいて,
前記印刷開始制御部によって保留状態になった印刷データを印刷する印刷指示を,ユーザ入力によって受け付ける受付部を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項8に記載する画像形成システムにおいて,
前記受付部が受け付けた印刷指示によって前記印刷データの印刷を開始した後,前記印刷データの印刷過程でエラーが発生した場合に,当該エラーに対応するエラー情報を用紙に印刷するエラー情報印刷部を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記報知先装置には,エラー情報の報知を行うプログラムである報知アプリケーションが組み込まれており,
前記判断部は,前記報知先装置にて前記報知アプリケーションが起動していると判断した場合にはエラー情報を報知できる状態と判断し,前記報知アプリケーションが起動していないと判断した場合にはエラー情報を報知できない状態と判断することを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
請求項10に記載する画像形成システムにおいて,
前記情報処理装置は,前記報知アプリケーションの起動状態を示す起動情報を付加した印刷データを作成する作成部を有し,
前記判断部は,前記起動情報に基づいて,前記報知アプリケーションが起動しているか否かを判断することを特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
請求項10に記載する画像形成システムにおいて,
前記判断部は,前記報知先装置に前記報知アプリケーションが起動しているか否かを問い合わせ,その応答結果に基づいて,前記報知アプリケーションが起動しているか否かを判断することを特徴とする画像形成システム。
【請求項13】
請求項10から請求項12のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記報知アプリケーションは,当該報知アプリケーション自身を終了する際に,前記画像形成装置での印刷が制限される可能性があることを警告することを特徴とする画像形成システム。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記画像形成装置は,文字表示機能を有していないことを特徴とする画像形成システム。
【請求項15】
印刷データを受信する受信部と,
エラー情報を報知先装置に送信する送信部と,
前記報知先装置がエラー情報を報知できる状態か否かを判断する判断部と,
前記判断部にてエラー情報を報知できる状態と判断した場合には,前記受信部が受信した印刷データの印刷を開始し,前記判断部にてエラー情報を報知できない状態と判断した場合には,前記受信部が受信した印刷データの印刷を開始しないようにする印刷開始制御を行う印刷開始制御部と,
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項15に記載する画像形成装置において,
前記画像形成装置で発生するエラーには,前記報知先装置での報知が不可欠と定めているエラーである特定エラーと,前記特定エラー以外のエラーとがあり,
前記印刷データを印刷する過程で,前記特定エラーを発生しうるか否かを識別する識別部を備え,
前記印刷開始制御部は,前記識別部が前記特定エラーが発生しうると識別した場合には,前記印刷開始制御を実行し,前記特定エラーが発生しないと識別した場合,前記印刷開始制御の実行を禁止し,前記印刷データの印刷を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載する画像形成装置において,
前記印刷開始制御部は,前記判断部にてエラー情報を報知できない状態と判断した場合,前記印刷データの印刷を保留状態にすることで前記印刷データの印刷開始を禁止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項17に記載する画像形成装置において,
前記印刷開始制御部は,前記判断部による再判断の結果,エラー情報を報知できる状態と判断した場合には,保留状態にある前記印刷データの印刷を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
請求項15から請求項18のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記判断部は,前記報知先装置に組み込まれ,エラー情報の報知を行うプログラムである報知アプリケーションが起動していると判断した場合にはエラー情報を報知できる状態と判断し,前記報知アプリケーションが起動していないと判断した場合にはエラー情報を報知できない状態と判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
請求項19に記載する画像形成装置において,
前記判断部は,前記報知先装置に前記報知アプリケーションが起動しているか否かを問い合わせ,その応答結果に基づいて,前記報知アプリケーションが起動しているか否かを判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項21】
画像形成装置から送信されるエラー情報を受信する受信部と,
前記受信部が受信した前記エラー情報に基づいて,エラーの報知を行うプログラムである報知アプリケーションと,
を備え,
前記報知アプリケーションは,前記画像形成装置からの起動状態の問合せに応じ,前記画像形成装置に起動中である旨の信号を応答することを特徴とする情報処理装置。
【請求項22】
画像形成装置から送信されるエラー情報を受信する受信部と,
前記受信部が受信した前記エラー情報に基づいて,エラーの報知を行うプログラムである報知アプリケーションと,
前記報知アプリケーションの起動状態を示す起動情報を付加した印刷データを作成する作成部と,
前記作成部が作成した前記印刷データを前記画像形成装置に送信する送信部と,
を備えることを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−206320(P2012−206320A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72487(P2011−72487)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】