説明

画像形成媒体、並びに、それを用いた画像表示装置及び画像形成方法

【課題】インク等が不要で水等の液体を用いて簡便に良好な画質の画像を形成でき、かつ形成した画像を十分な一定時間保持できる画像形成媒体、並びに、それを用いた画像表示装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】着色層と、白色粒子及び液体を保持可能なゲルを含む透明散乱可変層とを備え、前記透明散乱可変層は、前記ゲルが液体を保持することで、光散乱性が変化して、前記液体を保持する前と比較して透光性が向上することを特徴とする画像形成媒体である。前記画像形成媒体と、前記画像形成媒体に前記液体を供給することによる画像形成手段と、前記画像形成媒体に光を照射する光源とを備えた画像表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水等の液体を用いて簡便に画像を繰返し形成可能な画像形成媒体、並びに、それを用いた画像表示装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外や交通機関、店頭、公共施設などで、紙、プラスチックボードなどに、広告メッセージや、掲示内容を印刷し、手書きで表示する方式が取られている。しかしながら、これらの方法では、印刷物を人手によって貼り付けて設置する必要がある。また、手軽なサインボードなどがあるが、手書きで表示するにも、手間がかかったり、整ったフォントでないため、識別しづらかったり、写真などの画像を表示するには、一度、紙などに印刷しなおした後、貼り付けるなど煩雑な手間が要る。電子的に発光素子(ランプ、LED)などを使った発光掲示体、ディスプレイがあるが、画像表示をする間は、ランプ(LED、発光画素を含む)や、ディスプレイ画素を制御し続けなければならず、複雑なデバイス構成になり、コストが高くなったり、消費電力も大きくなる。
一方、画像形成媒体に、水を主体とした液体が付着させて、前記画像形成媒体における、前記液体が付着した部分の透光性を向上させて該部分における下地層を透視可能にすることにより画像を形成でき、前記液体が蒸発することで消色できる、繰返し使用が可能な水筆紙が提案されている(特許文献1〜3参照)。また、この水筆紙をインクジェット方式の画像表示装置と組み合わせて使用し、繰り返し画像形成が可能な画像形成方法、カラー画像を形成する方法も提案されている(特許文献4〜5参照)。
【0003】
しかしながら、これらの場合、前記水筆紙からの前記液体の蒸発が早く、記録した画像を十分な時間保持することができないという問題がある。このため、画像保持性を向上させる目的で、前記水筆紙に水溶性有機溶媒等を添加することが提案されている(特許文献6参照)。一方、本出願人においても、前記水筆紙と同様の原理で発色乃至消色するシートに、インクジェット方式の画像表示装置を組み合わせて使用する画像形成方法を提案している(特許文献7参照)。ところが、これらの場合においても、画像保持性は僅かに1〜2時間程度しか達成できず依然として十分とはいえず、画質も十分ではないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、インク等が不要で水等の液体を用いて簡便に良好な画質の画像を繰返し形成することができ、かつ形成した画像を十分な一定時間透過光の画像表示ができる画像形成媒体、並びに、それを用いた画像表示装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、以下の知見を得た。即ち、白色粒子及び液体を保持可能なゲルを含む透明散乱可変層を備えた画像形成媒体に、画像を形成するために用いる水等の液体を付与することにより、前記白色粒子及び前記ゲルを含む前記透明散乱可変層の透光性が向上し、十分な一定時間だけ光の透過を可能にし、着色層を容易に視認できる、という知見である。
【0006】
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 着色層と、白色粒子及び液体を保持可能なゲルを含む透明散乱可変層とを備え、前記透明散乱可変層は、前記ゲルが前記液体を保持することで、光散乱性が変化して、前記ゲルが液体を保持する前と比較して透光性が向上することを特徴とする画像形成媒体である。
前記<1>に記載の画像形成媒体においては、前記透明散乱可変層に含まれる前記液体を保持可能なゲルに液体が付与されると、前記液体が前記透明散乱可変層に保持される。すると、前記透明散乱可変層の透光性が向上する(前記透明散乱可変層の光透過性が向上する)。その結果、前記液体が付与される前においては、透視不能であった前記着色層が透視可能となり、前記透視可能となった前記着色層による画像が形成(現像)される。このとき、前記液体は、前記透明散乱可変層に十分な一定時間保持されるので、形成(現像)された前記画像も十分な一定時間視認可能となる。そして、十分な一定時間が経過して前記透明散乱可変層から前記液体が徐々に揮発することにより、前記形成した画像は消失される。このため、前記画像形成媒体は、繰返しの画像形成が可能であり、保存の必要がない画像を形成してミーティング等に好適に使用され、情報のセキュリティを向上させ得る。
<2> 透明散乱可変層は白色粒子がゲル内に分散されてなる前記<1>に記載の画像形成媒体である。
前記<2>に記載の前記画像形成媒体においては、前記透明散乱可変層に含まれる前記ゲルが前記白色粒子を含有する。前記透明散乱可変層が乾燥されている状態では、前記透明散乱可変層に分散された前記白色粒子で光の散乱が起こり、不透明(白色)となる。そして、液体が前記透明散乱可変層に吸収された後、前記白色粒子の周囲を液体が覆うことで粒子間が前記液体で埋められることにより、散乱光が減少し、透光性を増す。すると、透明になった前記透明散乱可変層の後方に位置する前記着色層が視認可能となり、画像が形成(現像)される。
<3> 透明散乱可変層は白色粒子を含む白色粒子含有層と、ゲルを含むゲル層とを有してなる前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成媒体である。
前記<3>に記載の画像形成媒体においては、前記液体が付与される前においては、前記透明散乱可変層に含まれる、前記白色粒子含有層と前記ゲル層との屈折率差が大きく、前記ゲル層に入射した光は、前記白色粒子含有層によって散乱される結果、前記ゲル層は白濁を呈している。ところが、前記液体が付与された後においては、前記液体を含有(保持)した前記ゲル層と前記白色粒子含有層との屈折率差が小さくなり、前記液体を含有(保持)する前に比し、前記ゲル層に入射した光は、前記白色粒子含有層によって散乱され難くなる結果、前記ゲル層の光透過率が向上し、透明になる。すると、透明になった前記ゲル層及び前記白色粒子含有層の後方に位置する前記着色層が視認可能となり、背景と画像形成部とのコントラストに優れた画像が形成(現像)される。
<4> 液体が水であり、ゲルがハイドロゲルである前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成媒体である。
前記<4>に記載の画像形成媒体においては、前記透明散乱可変層に含まれる前記ゲルが前記ハイドロゲルであって、前記透明散乱可変層に水が付与されると、前記液体は、前記透明散乱可変層内で水和(結合)し(前記透明散乱可変層を形成するポリマー分子と水和し)、前記透明散乱可変層に保持される。すると、前記透明散乱可変層の透光性が向上する(前記透明散乱可変層の光透過性が向上する)。その結果、前記液体が付与される前においては、透視不能であった前記着色層が透視可能となり、前記透視可能となった前記着色層による画像が形成(現像)される。このとき、前記液体は、前記透明散乱可変層内で水和(結合)し(前記ハイドロゲルを形成するポリマー分子と水和し)、前記透明散乱可変層に十分な一定時間保持されるので、形成(現像)された前記画像も十分な一定時間視認可能となる。そして、十分な一定時間が経過して前記透明散乱可変層から前記水が徐々に揮発することにより、前記形成した画像は消失される。このため、前記画像形成媒体は、繰返しの画像形成が可能であり、保存の必要がない画像を形成してミーティング等に好適に使用され、情報のセキュリティ(機密性、秘密管理性)を向上させ得る。また、画像形成に用いられる液体が水であるので、環境負荷が小さく、安全であり、取扱性に優れ、しかも低コストで画像が形成される。
<5> ゲルが、温度応答性ポリマーを有してなる前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成媒体である。
前記<5>に記載の画像形成媒体においては、前記透明散乱可変層に含まれる前記ゲルが温度応答性ポリマーを有してなるので、前記画像形成媒体に温度変化を付与する(温度変化に晒す)と、簡便かつ感度よく前記透明散乱可変層から前記液体が除去される。このため、形成した画像の消去が確実にかつ短時間で効率よく行われ、情報のセキュリティ(機密性、秘密管理性)の一層の向上が図られる。
<6> 最表面に撥水層を有してなる前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成媒体である。
前記<6>に記載の画像形成媒体においては、最表面に前記撥水層を有してなる。このため、前記透明散乱可変層の滲みが抑制される結果、画像の解像度が向上し、小さな文字等による画像も視認可能に形成(現像)される。
<7> ゲルが、保湿材を更に含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成媒体である。
前記<7>に記載の画像形成媒体においては、前記透明散乱可変層に含まれる前記ゲルが保湿材を含有するので、付与された前記液体が十分な一定時間確実に前記透明散乱可変層に保持され、より長い画像保持時間が実現される。
<8> 着色層が透光性を有してなる前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成媒体である。
前記<8>に記載の画像形成媒体においては、前記画像形成媒体の裏側から光を表示することにより、着色層が透光性を有してなるため、透過光での発光画像が形成される。
【0007】
<9> 前記<8>に記載の画像形成媒体と、前記画像形成媒体に対し、表側から液体により画像を形成する画像形成手段と、画像形成媒体に対し、裏側から光を照射する光源とを備えたことを特徴とする画像表示装置である。
前記<9>に記載の画像表示装置においては、前記画像形成媒体に、前記画像形成手段が液体を付与することで、形成したい画像様に前記液体が接触される。すると、前記液体が前記透明散乱可変層に含まれる前記ゲルに保持され、前記透明散乱可変層の前記ゲルに液体が保持される前と比較して透光性が向上する(前記透明散乱可変層の光透過性が向上する)。その結果、前記液体が付与される前においては、透視不能であった前記画像形成媒体における前記着色層が透視可能となる。前記透光性が向上した前記透明散乱可変層を含む前記画像形成媒体に、前記光源から前記画像形成媒体の裏側に光が照射されることにより、前記画像形成媒体に前記液体が接触して透視可能になった前記着色層に光が透過する。すると、前記透視可能となった着色層による画像が前記透過した光によって、前記画像形成媒体の表面に形成(現像)され、前記画像形成媒体の表面から視認可能になる。このとき、前記液体は、前記透明散乱可変層に十分な一定時間保持されるので、形成(現像)された前記画像も十分な一定時間、視認可能となる。前記画像形成媒体は液晶ディスプレイ、電光掲示板のような複雑なデバイスを必要とせず、取扱いが容易であり、低コストで製造できる。
<10> 前記画像形成媒体を加熱させて液体を揮発させる加熱部を有する画像消去手段を更に備えた前記<9>に記載の画像表示装置である。
前記<10>に記載の画像表示装置においては、前記画像消去手段において、画像が形成された前記画像形成媒体が前記加熱部によって加熱されて、前記画像形成媒体に保持されていた液体が揮発され、画像が消去される。このため、リライタブルに、繰返しの画像形成が効率よく実現される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、インク等が不要で水等の液体を用いて簡便に良好な画質の画像を繰返し形成することができ、かつ形成した画像を十分な一定時間保持できる画像形成媒体、並びに、それを用いた簡便かつリライタブルな画像表示装置及び画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の画像形成媒体を用いた画像表示装置の一実施例(インクジェット方式)を説明するための概略説明図である
【図2A】図2Aは、前記透明散乱可変層において白色粒子含有層とゲル層とを積層してなる積層構造を有する画像形成媒体の層構成の一例を説明するための概略断面図である。
【図2B】図2Bは、前記透明散乱可変層において前記白色粒子が前記ゲル内に分散されてなる単層構造を有する画像形成媒体の層構成の一例を説明するための概略断面図ある。
【図2C】図2Cは、前記着色層においてカラーフィルタを有する画像形成媒体の一例を説明するための概略断面図である。
【図2D】図2Dは、前記図2Cにおいてカラーフィルタの拡大図の一例を説明するための概略断面図である。
【図3】図3は、図1の画像表示装置において画像消去手段である熱源を有する画像表示装置の一例を説明するための概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(画像形成媒体)
本発明の画像形成媒体は、着色層と、白色粒子及び液体を保持可能なゲルを含む透明散乱可変層とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、撥水層などのその他の層を有していてもよい。
【0011】
−着色層−
前記着色層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、基材中に着色剤を含有しているものなどが好適に挙げられる。また、前記着色層は、非透光性であっても、あるいは透光性であってもよく、前記画像形成媒体を透過型にできる点で透光性であるのが好ましい。更に、前記着色層の前記透光性は、ヘイズメーターで測定したときに60%以上のヘイズ値であることが好ましい。
【0012】
−−基材−−
前記基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、紙、樹脂、ゴム、金属、などが挙げられる。これらの中でも、低コスト、成形性、取扱性等の観点からは、樹脂が好適に挙げられる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の硬化性樹脂のいずれであってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、塩化ビニル等のビニル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、などからなる透明プラスチックフィルムが好適に挙げられる。
【0013】
−−着色剤−−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料、染料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単独で前記基材中に均一に分散乃至拡散するものが好ましいが、分散剤等の使用により前記基材中に均一に分散乃至溶解するものであってもよい。
なお、前記着色剤は、前記基材を成形する際に、前記基材の材料中に混合し、分散乃至溶解・拡散させることにより、前記基材中に付与することができる。その結果、前記基材は、前記着色剤に起因する着色を有し、有色層(着色層)として形成される。
【0014】
−−着色剤の付与方法−−
前記基材となるプラスチックに着色剤として顔料、染料などが混練されるなどして、予め着色された基材も使用できるが、前記基材の表面に前記着色剤を付与する方法がある。
前記基材の表面に前記着色剤を付与する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、従来公知の凸版式印刷、平版式印刷、凹版印刷、孔版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、電子写真印刷、スクリーン印刷等の印刷方法、フォトレジスト、エッチング等によるパターニング方法等が挙げられる。これらの中でも、本出願人による特開2008−20559号公報に記載の方法を利用し、透明プラスチックフィルムの表面に着色パターンを形成して着色層を好適に形成することができる。
【0015】
−−−顔料−−−
前記顔料としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、親水性顔料、親油性顔料(疎水性顔料)などが挙げられる。
前記分散の状態としては二次粒子(凝集粒子)の状態での分散でもよいが、画質のムラを低減する観点からは可能な限り微粒子(一次粒子、又は粒径の小さな二次粒子)の状態での分散が好ましい。
【0016】
前記顔料の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、カラー顔料、黒色顔料、などが挙げられる。前記カラー顔料としては、例えば、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、その他の顔料、などが挙げられる。
【0017】
前記黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック類、金属酸化物、有機顔料、などが挙げられる。
前記カーボンブラック類としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7等)、などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11等)、酸化チタン、などが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)、などが挙げられる。
【0018】
前記イエロー顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG),2,3,12(ジスアゾイエローAAA),13,14,16,17,20,23,24,34,35,37,42(黄色酸化鉄),53,55,73,74,75,81,83(ジスアゾイエローHR),86,93,95,97,98,100,101,104,108,109,110,114,117,120,125,128,129,137,138,139,147,148,150,151,153,154,155,166,168,180,185、などが挙げられる。
前記マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,5,7,9,12,17,22(ブリリアントファーストスカーレット),23,31,38,48:1(パーマネントレッド2B(Ba)),48:2(パーマネントレッド2B(Ca)),48:3(パーマネントレッド2B(Sr)),48:4(パーマネントレッド2B(Mn)),49:1,52:2,53:1,57:1(ブリリアントカーミン6B),60:1,63:1,63:2,64:1,81(ローダミン6Gレーキ),83,88,92,97,101(べんがら),104,105,106,108(カドミウムレッド),112,114,122(ジメチルキナクリドン),123,146,149,166,168,170,172,175,176,178,179,180,184,185,190,192,193,202,209,215,216,217,219,220,223,226,227,228,238,240,254,255,272、などが挙げられる。
前記シアン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,2,3,15(銅フタロシアニンブルーR),15:1,15:2,15:3(フタロシアニンブルーG),15:4,15:6(フタロシアニンブルーE),16,17:1,22,56,60,63,64,バットブルー4,バットブルー60、などが挙げられる。
また、その他の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177,194,224、C.I.ピグメントオレンジ16,36,43,51,55,59,61,71、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,29,30,37,40,50、C.I.ピグメントグリーン7,36、などが挙げられる。
【0019】
−−−染料−−−
前記染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性染料、水分散性染料、油溶性染料、などが挙げられる。
【0020】
前記酸性染料及び前記食用染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,29,45,92,249、C.I.アシッドブラック1,2,7,24,26,94、C.I.フードイエロー3,4、C.I.フードレッド7,9,14、C.I.フードブラック1,2、などが挙げられる。
前記直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227、C.I.ダイレクトオレンジ26,29,62,102、C.I.ダイレクトブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202、C.I.ダイレクトブラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171、などが挙げられる。
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.べーシックイエロー1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91、C.I.ベーシックレッド2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112、C.I.べーシックブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155、C.I.ベーシックブラック2,8、などが挙げられる。
前記反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック3,4,7,11,12,17、C.I.リアクティブイエロー1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67、C.I.リアクティブレッド1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97、C.I.リアクティブブルー1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95、などが挙げられる。
【0021】
−−着色層の形状等−−
前記着色層の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シート状、フィルム状、などが挙げられる。
前記着色層の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造、積層構造、などが挙げられる。
前記着色層の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、汎用されている用紙等の小さなサイズであってもよいし、大判サイズであってもよい。
前記着色層の厚みとしては、特に制限はないが、用途、耐久性、視認性等を考慮して適宜選択することができる。
【0022】
−透明散乱可変層−
前記透明散乱可変層として、前記白色粒子及び前記液体を保持可能な前記ゲルを含む。
前記透明散乱可変層は、前記ゲルが乾燥されている状態では、前記白色粒子の界面で光の散乱が起こり、不透明(白色)となる。そして、前記液体が前記ゲルに吸収された後、前記白色粒子の周囲を液体が覆うことで粒子間を液体で埋まることにより、散乱光が減少し、透光性を増す。
前記透明散乱可変層は、前記着色層と直接的に接して位置していてもよいし、前記その他の層を介して前記着色層と間接的に接して位置していてもよい。
【0023】
−−透明散乱可変層の形状等−−
前記透明散乱可変層の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シート状、フィルム状、などが挙げられる。
前記透明散乱可変層の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記白色粒子が前記ゲル内に分散されてなる単層構造、前記白色粒子を含む白色粒子含有層と、前記ゲルを含むゲル層とを積層してなる積層構造が挙げられる。また前記透明散乱可変層の数としては一つでもよいし、二つ以上でもよい。
前記透明散乱可変層の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、汎用されている用紙等の小さなサイズであってもよいし、大判サイズであってもよい。本発明の画像形成媒体においては、前記透明散乱可変層が形成された部分が画像形成領域となる。
前記透明散乱可変層の総厚みとしては、特に制限はないが、用途、耐久性、視認性等を考慮して適宜選択することができる。
【0024】
−−透明散乱可変層の形成方法−−
前記透明散乱可変層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、具体的には、前記透明散乱可変層用液を塗工する方法などが挙げられる。
前記塗工の方法としては、例えば、スプレーコート法、ローラコート法、ブラシコート法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、などが挙げられる。
【0025】
−−ゲル−−
前記透明散乱可変層に含まれる前記液体を保持可能な前記ゲルとしては、画像形成の際に付与された液体を吸収して、一定時間保持し、前記透明散乱可変層の光透過率(透光性)を向上させ、後方に位置する前記着色層を視認可能にすることができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒(水性溶媒)、油系溶媒(疎水性有機溶媒)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境負荷が少なく、安全性が高く、取扱性、コスト等の観点からは、前記水系溶媒(水性溶媒)が好ましい。前記水系溶媒(水性溶媒)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒、などが挙げられる。前記親水性有機溶媒としては、例えば、エタノール等のアルコール、などが挙げられる。これらの中でも、水、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3ブタンジオールが好ましい。更に、この中でも、水が特に好ましい。
【0026】
前記ゲルは、前記ゲルを形成するポリマー鎖同士が互いに相互作用して三次元網目構造のマトリクス構造をとるものである。前記ポリマー鎖同士の相互作用としては、例えば、物理的相互作用、化学的相互作用、などが挙げられる。前記物理的相互作用としては、例えば、クーロン力、ファン・デル・ワールス力、分子間力、水素結合、イオン結合、などが挙げられる。前記化学的相互作用としては、例えば、共有結合、配位結合等の化学結合、などが挙げられる。
【0027】
前記ゲルの材料としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、画像を形成する際に付与される前記液体を単に吸収するだけでなく、使用時における十分な一定時間、前記液体を保持できる観点からは、網目構造形成性ポリマーが特に好ましい。
前記網目構造形成性ポリマーにより形成された前記ゲルは、画像を形成する際に付与される前記液体を単に吸収するだけでなく、使用時における十分な一定時間、前記液体を保持できる「ハイドロゲル」として機能する。本発明においては、前記ゲルが前記ハイドロゲルであることが特に好ましい。
【0028】
前記ハイドロゲルは、例えば、物理架橋、化学架橋等でポリマー鎖同士を架橋させることにより形成することができる。例えば、カルボキシル基を官能基として有するアクリル酸、メタクリル酸等の重合性モノマーからなるポリマー及び、それらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等)、スルホン酸基を官能基として有するt−ブチルアクリルアミドスルホン酸等の重合性モノマーからなるポリマー及び、それらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルギン酸、キサンタンガムなどに、例えば、架橋剤として水酸化アルミニウム、カリミョウバン、硫酸アルミニウム、アルミニウムグリシネート、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、塩化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等を添加し、必要に応じて加熱することで、架橋させて前記ハイドロゲルを形成することもでき、更に、架橋剤の作用に最適なpHに調整し、架橋をより確実にする目的で、酒石酸、乳酸、クエン酸、塩酸等の各種有機酸や無機酸をpH調整剤として使用して前記ハイドロゲルを形成してもよい。また、ポリビニルアルコールなどをホウ酸などで架橋させたり、寒天、ゼラチンなどの分子間力、水素結合などで架橋させることにより前記ハイドロゲルを形成することもできる。熱、光等で重合を行なうことにより、重合性モノマー、架橋剤、重合開始剤、その他の成分、などを重合反応させることにより、前記ハイドロゲルを形成することもできる。また、ポリマー水溶液に放射線や電子線などを照射して架橋させることにより、前記ハイドロゲルを形成することもできる。
【0029】
前記網目構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)異種の架橋ポリマー網目構造物が互いに侵入し合って形成された「IPN(interpenetrating polymer network(相互侵入高分子網目))」、(ii)直鎖状ポリマー鎖と架橋ポリマー網目構造物とが絡み合って形成された「セミIPN」、などが挙げられる。前記ゲル(前記ハイドロゲル)は、前記IPN構造又は前記セミIPNを単独で有していてもよいし、前記IPN構造と前記セミIPN構造とを併有していてもよい。
【0030】
前記網目構造の具体例としては、1)モノマーを重合して得られた架橋ポリマー及び/又は非架橋ポリマー同士で形成した前記IPN構造及び/又は前記セミIPN構造であってもよいし、2)モノマーを重合する際に、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等の非架橋水溶性高分子鎖を添加して得られた前記セミIPN構造であってもよい。
また、前記網目構造の具体例としては、特開2008−163055号公報に記載のように、剛直で脆いゲルと、柔軟で高い伸縮性を持つゲルとがIPN構造をとったダブルネットワークゲルや、特開2007−204527号公報に記載のように、水膨潤性粘土鉱物を架橋点として導入したゲル、更に、ポリロタキサンゲルのように架橋点に滑車効果を導入したゲル(国際公開WO2008/108411号パンフレット)や、Tetra−PEGゲル(国際公開WO2007/083522号パンフレット)のように均質な架橋構造を導入したゲルなども好適に挙げられる。
【0031】
<重合性モノマー>
前記重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記架橋ポリマー又は前記非架橋ポリマーを形成することができ、重合反応し得るモノマーが挙げられるが、前記温度応答性ポリマーを形成し得るモノマーが好ましい。
前記重合性モノマーとしては、例えば、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体、N,N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエーテル誘導体、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコール、炭素数1〜3のアルキル基でアルコキシ化された(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコール、その他のモノマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、などが挙げられる。
前記N,N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、などが挙げられる。
前記環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピぺリジン、4−(1−オキソ−2−プロペニル)−ホルモリン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピぺリジン、4−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ホルモリン、などが挙げられる。
前記ビニルエーテル誘導体としては、例えば、メチルビニルエーテル、などが挙げられる。
【0033】
これらの重合性モノマーの中でも、前記温度応答性ポリマーを形成可能であり、イオン化が可能であり、コスト、取扱性、安全性、実用性能に優れる等の点で、前記N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、前記N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体の中でも、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタアクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、などがより好ましく、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが特に好ましい。
【0034】
前記(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールとしては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ヒドロキシエチルアクリレート、酢酸ビニル、ジメチルシロキサン、スチレン、メチルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、スチレンスルホン酸、ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、ポリアルキレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、などが挙げられる。
前記炭素数1〜3のアルキル基でアルコキシ化された(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸エトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸エトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、などが挙げられる。
【0035】
前記その他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、などが挙げられる。また、ビニル基を有するカルボン酸類、リン酸類、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド化合物、塩類、などが挙げられる。
前記ビニル基を有するカルボン酸類としては、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸類、(メタ)アクリル酸、などが挙げられる。
前記リン酸類としては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジプロピルアミノエチル、などが挙げられる。
前記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
前記塩類としては、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチル硫酸塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルリン酸塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチルリン酸塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルジメチルアミノエチルエチル硫酸塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルメチルリン酸塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエチルリン酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドメチルクロライド塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチルクロライド塩又はジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチル硫酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドメチルリン酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチルリン酸塩、などが挙げられる。
更に、前記その他のモノマーとして、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3−(ペルフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン又はフッ化ビニリデンなどが挙げられ、また、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、スチレン、ビニルカルバゾール、塩化ビニル、アクリロニトリルなどが挙げられ、更に、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等の直鎖の水溶性高分子、ジェラン、ヒアルロン酸、カラギーナン、キチン又はアルギン酸等の多糖類、あるいはゼラチンやコラーゲン等のタンパク質、などが挙げられる。
【0036】
<架橋剤>
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子内に重合性を有する炭素間二重結合を2以上有する重合性モノマー、多官能架橋点として機能し得るナノクレイ、などが好適に挙げられる。
前記分子内に重合性を有する炭素間二重結合を2以上有する重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスメタクリルアミド、1,2−ジアクリルアミドエチレングリコール、ジ(トリポリ)アクリレート、ジ(トリポリ)メタクリレート、などが挙げられる。
前記多官能架橋点として機能し得るナノクレイとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゲル粒子の高強度化を図る観点からは、例えば、無機層状化合物などが好適に挙げられる。前記無機層状化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、水膨潤性粘土鉱物などが特に好適に挙げられる。前記水膨潤性粘土鉱物としては、例えば、ヘクトライト、スメクタイト、モンモリロライト、ペロブスカイト、などが挙げられる。これらの中でも、前記ゲルを容易に高強度化できる点で、ヘクトライトが好ましい。
【0037】
前記架橋剤の含有量乃至添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、該含有量乃至添加量により、ゲルの強度を所望の程度に調整することができる。
【0038】
<重合開始剤>
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス重合開始剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、アセトフェノン系開始剤、などが挙げられる。前記重合開始剤は、可視光線、紫外線、電子線、ガンマ線などの放射線を照射することにより開裂し、ラジカルを発生するものであれば特に限定されないが、例えば、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルメチルケタール、ビスアシルフォスフィンオキサイド、メタロセン、α−ケトグルタル酸、などが好適に挙げられる。これらの具体例としては、アゾイソブチロニトリル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、などが挙げられる。
前記熱重合開始剤としては、例えば、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスアミジノプロパン2塩酸塩等のアゾ重合開始剤、などが挙げられる。
前記レドックス重合開始剤としては、例えば、硫酸第1鉄、ピロ亜硫酸塩、テトラメチルエチレンジアミン等の還元剤と過酸化水素やペルオキソ2硫酸塩、過硫酸カリウム、ペルオキソ2硫酸カリウム、ペルオキソ過硫酸アンモニウム等の過酸化物、などが挙げられる。
【0039】
前記重合開始剤の含有量乃至添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、該含有量乃至添加量によりゲルの強度を所望の程度に調整することができる。
【0040】
なお、本発明において、前記透明散乱可変層としては、画像形成の際に付与された液体を吸収し得る機能に加えて、外部刺激を受けた際に前記液体を外部に漏出可能であり、形成した画像を所望のタイミングで消去可能とし得るものが、情報セキュリティ(機密性、秘密管理性)等の観点からはより好ましく、外部刺激を受けた際に前記液体を外部に漏出可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記外部刺激は、形成した画像を消去したい所望のタイミングで前記画像形成媒体に対して外部から付与される。
前記外部刺激としては、例えば、昇温又は降温による温度変化、昇圧又は降圧による圧力変化、紫外線等による光照射、電界印加、などが挙げられる。
【0041】
前記外部刺激を与えると、前記ゲルは形成するポリマーの状態に変化が生じる。この変化を利用し前記透明散乱可変層から前記液体を漏出させることができる。このような変化は、例えば、ポリマーが相転移して体積収縮することやその骨格や構造が崩壊、変形等することであり、外部刺激に応じて様々である。例えば、外部刺激が温度変化である場合には、コンフォメーションの変化、ポリマー同士の相互作用の変化、相転移などが挙げられ、外部刺激が光照射である場合には、構造変化、異性化、励起状態の変化、局所熱の発生、結合の形成・開裂、相転移などが挙げられ、外部刺激が圧力変化である場合には、結合の開裂、コンフォメーションの変化、相転移などが挙げられ、外部刺激が電場印加である場合には、中性・荷電物質の透過率変化、静電作用、帯電変化、相転移、などが挙げられる。
以下では、上記変化が“相転移(相変化)”である場合についてより詳細に説明する。つまり、前記透明散乱可変層は、温度変化、圧力変化、光照射及び電界印加の少なくともいずれかの前記外部刺激を受け、第一のゲル状態から第二のゲル状態への相転移(相変化)し、前記液体を漏出することになる。
前記第一のゲル状態から前記第二のゲル状態への相転移(相変化)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記透明散乱可変層を形成するポリマーが、ランダムコイル状の構造をとる状態(第一のゲル状態)からグロビュール状の構造をとる状態(前記第二のゲル状態)への相転移が挙げられる。
この場合、前記ゲルとして前記ハイドロゲルを好適に使用することができ、画像を形成する際に付与された前記水を吸収し、保持している前記画像形成媒体における前記透明散乱可変層に前記外部刺激を付与することにより、前記画像形成媒体に形成された画像を所望のタイミングで消去することができる点で好ましい。
このときの前記外部刺激としては、簡便に画像消去を行うことができる点で、昇温による温度変化が好ましく、前記温度変化を利用する場合には、前記ハイドロゲルが、前記温度応答性ポリマーを含有してなるのが好ましい。
この場合、前記透明散乱可変層に前記外部刺激として昇温又は降温による前記温度刺激を付与すると、前記透明散乱可変層に含有される前記温度応答性ポリマーが温度応答し、前記透明散乱可変層が第一のゲル状態(前記透明散乱可変層を形成するポリマーがランダムコイル状の構造をとる状態)から第二のゲル状態(前記透明散乱可変層を形成するポリマーがグロビュール状の構造をとる状態)へと相転移(相変化)を生ずる。
この場合、前記透明散乱可変層として、水を水和した状態で前記透明散乱可変層に内含乃至含有(保持)した状態(第一のゲル状態)であれば画像を形成し保持することができる。前記温度刺激により第二のゲル状態へ相転移し液体を漏出した後には、グロビュール状の前記透明散乱可変層から前記液体が漏出され、画像が消去される。また、前記液体を画像情報に基づき前記透明散乱可変層に滴下/書き込むことで、グロビュール状の前記透明散乱可変層を再度ランダムコイル状へ相転移させて画像を繰り返し形成することができる。
【0042】
−−−温度応答性ポリマー−−−
前記温度応答性ポリマーは、前記外部刺激である昇温又は降温による温度変化を受けると、それに応答して相転移(相変化)の現象を生ずるが、前記温度応答性ポリマーには、前記外部刺激としての温度変化に応答可能となる温度がある。前記温度を「下限臨界溶液温度(Lower Critical Solution temperature;LCST)」という。即ち、前記温度応答性ポリマーは、前記下限臨界溶液温度未満の温度から該下限臨界溶液温度以上の温度へと温度変化の外部刺激を受けると、相転移現象を生ずる。
【0043】
前記温度応答性ポリマーの前記下限臨界溶液温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、取扱性、運搬性等の観点からは、例えば、40℃〜150℃が好ましく、前記液体の外部への漏出時に付与する熱エネルギーを低減する観点からは、40℃〜80℃がより好ましく、50℃〜70℃が特に好ましい。
なお、前記下限臨界溶液温度を有する前記温度応答性ポリマーにおける温度挙動は、例えば、目視、体積収縮(率)、重量減少(率)、濁度測定、熱量測定、核磁気共鳴、蛍光、光散乱、中性子散乱、などの方法により分析乃至解析することができる。
【0044】
前記温度応答性ポリマーは、前記下限臨界溶液温度以上の温度となると、それに応答して相転移現象を生ずる。
前記相転移現象により、前記下限臨界溶液温度未満の温度において、前記温度応答性ポリマーにおけるポリマー鎖が前記透明散乱可変層内で前記液体と結合(例えば水和)して前記液体を保持していた状態が、前記下限臨界溶液温度以上の温度となると、該結合(水和)が解けて、前記温度応答性ポリマーにおけるポリマー鎖及び/又は前記透明散乱可変層を形成する各種ポリマーのポリマー鎖同士による疎水性結合(凝集)が多発し、その結果、結合(水和)していた前記液体が前記透明散乱可変層からの漏出(脱液乃至脱水)が起こる。換言すれば、前記下限臨界溶液温度未満の温度では、例えば、アミド基等の親水性基と水との強い相互作用(水和)により、前記ポリマー鎖は溶解してランダムコイル状のコンフォメーションをとる。ところが、水温の上昇により、前記アミド基等の親水性基と水との水素結合が不安定になるのに伴って疎水部において脱水和が起り、前記ポリマー鎖は収縮してグロビュール状となる。更に、疎水性相互作用により、前記グロビュール状をとる前記ポリマー鎖が会合して、巨視的な相分離が生ずる。つまり、前記下限臨界溶液温度を境に、不連続に前記ポリマー鎖がコイル状(水和状態)からグロビュール状態(凝集状態)へと相転移する。
【0045】
前記温度応答性ポリマーの具体例としては、(1)ポリN−イソプロピルアクリルアミド等のポリアルキル置換アクリルアミドの架橋物、(2)アルキル置換アクリルアミドと、アクリル酸やその金属塩、アクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物、(3)ポリビニルメチルエーテルの架橋物、(4)メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、イオン化が可能であり、温度応答性制御の自由度、コスト、取扱性、安全性、実用性能に優れる等の点で、ポリアルキル置換アクリルアミドの架橋物が好ましく、ポリN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)の架橋物がより好ましい。
【0046】
前記温度応答性ポリマーは、前記重合性モノマーをモノマー単位として含み、前記重合性モノマーの単独重合体や共重合体、などが挙げられる。前記温度応答性ポリマーにおける前記重合性モノマーの含有量としては、前記温度応答性ポリマーが所望の熱応答性を示し、前記相転移現象を発現することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記温度応答性ポリマーの存在の確認(分析)方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、GC、LC等のクロマトグラフィー法、GC−MS、LC−MS、MALDI−TOF−MS等の質量分析法、熱重量−示差熱同時測定(TG−DTA)、DSC、TG−TMA等の熱分析法、などが挙げられる。これらの方法により、前記温度応答性ポリマーは、定性分析乃至定量分析できる。
【0047】
前記温度応答性ポリマーの前記下限臨界溶液温度(LCST)の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(A)日本包装学会誌Vol.13 No.1(2004)に記載のようにアクリル酸ナトリウム等のイオン化剤を添加する方法、(B)Chen, Y.; Sone, M.; Fuchise, K.; Sakai, R.; Kakuchi, R.; Duan, Q.; Sun, J.; Narumi, A.; Satoh, T.; Kakuchi, T., Structural effect of a series of block copolymers consisting of poly(N−isopropylacrylamide) and poly(N−hydroxyethylacrylamide) on thermoresponsive behavior, React. Funct. Polym.,69(7),463−469,(2009)に記載のように分子末端に置換基を導入する方法、などが挙げられる。
【0048】
−−ゲル層−−
前記透明散乱可変層が、前記白色粒子を含む白色粒子含有層と、前記ゲルを含むゲル層とを積層してなる積層構造である場合における前記ゲル層の形状、構造、大きさ、厚み等にとしては、目的に応じて適宜選択することができる。前記ゲル層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、具体的には、前記ゲルの材料を溶解し、ゲル層用液を調製し、前記ゲル層用液を塗工した後、ゲル化する方法などが挙げられる。
前記塗工の方法としては、例えば、スプレーコート法、ローラコート法、ブラシコート法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、などが挙げられる。
【0049】
−−ゲル化の方法−−
前記ゲル化の方法としては、物理架橋、化学架橋等の公知の架橋方法により、ポリマー鎖同士を架橋させる方法が挙げられ、例えば、カルボキシル基を官能基として有するアクリル酸、メタクリル酸等の重合性モノマーからなるポリマー及び、それらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等)、スルホン酸基を官能基として有するt−ブチルアクリルアミドスルホン酸等の重合性モノマーからなるポリマー及び、それらの塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等)、アルギン酸、キサンタンガムなどに、例えば、架橋剤として水酸化アルミニウム、カリミョウバン、硫酸アルミニウム、アルミニウムグリシネート、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、塩化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等を添加し、必要に応じて加熱することで、架橋させてゲル化させることもでき、更に、架橋剤の作用に最適なpHに調整し、架橋をより確実にする目的で、酒石酸、乳酸、クエン酸、塩酸等の各種有機酸や無機酸をpH調整剤として使用してゲル化させてもよい。また、ポリビニルアルコールなどをホウ酸などで架橋させたり、寒天、ゼラチンなどの分子間力、水素結合などで架橋させることによりゲル化させることもできる。熱、光等で重合を行なうことにより、重合性モノマー、架橋剤、重合開始剤、その他の成分、などを重合反応させることにより、ゲル化させることもできる。また、ポリマー水溶液に放射線や電子線などを照射して架橋させることにより、ゲル化させることもできる。
【0050】
−−白色粒子−−
前記白色粒子は、前記ゲルが乾燥されている状態では、粒子の界面で光の散乱が起こり、不透明(白色)となる。そして、前記液体が前記ゲルに吸収された後、前記白色粒子の周囲を前記液体が覆うことで粒子間を前記液体で埋まることにより、散乱光が減少し、透光性を増す。
前記白色粒子の白色度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、コントラストを大きくして視認性を向上させる観点からは、前記白色度が高いことが好ましい。具体的には、ハンター白色度が70%以上であることが好ましい。
前記白色粒子の粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、300nm〜50μmが好ましい。
前記白色粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の白色粉体、白色粒子である、タルク、マイカ、カオリン、絹雲母(セリサイト)、シリカ、珪砂、炭酸カルシウム、第三燐酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、酸化チタン、セルロースパウダー、アクリル系やスチレン系等の樹脂粒子、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記白色粒子の前記透明散乱可変層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0051】
−−白色粒子含有層−−
前記透明散乱可変層が、前記白色粒子を含む白色粒子含有層と、前記ゲルを含むゲル層とを積層してなる積層構造である場合における前記白色粒子含有層としては、画像を形成する際に付与される前記液体の吸収前後における前記ゲル層の光透過性(透光性)の変化を大きくし、形成した画像の背景とのコントラストを大きくして視認性を向上させる目的で、前記着色層と前記ゲル層との間、あるいは前記ゲル層と前記撥水層との間に配置されるのが好ましく、前者の場合がより好ましい。
前記白色粒子含有層に含まれる白色粒子としては、上述したものが挙げられ、前記白色粒子含有層の形状、構造、大きさ、厚み等については、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
本発明においては、前記ゲルの前記液体の保持能力を向上させる観点からは、前記透明散乱可変層が保湿剤を含有しているのが好ましい。
前記保湿剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性ポリマー、多糖類、多価アルコール、タンパク質、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
前記多糖類としては、例えば、ジェラン、ヒアルロン酸、カラギーナン、グァーガム、キサンタンガム、キチン、アルギン酸、などが挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、などが挙げられる。
前記タンパク質としては、例えば、ゼラチン、コラーゲン、などが挙げられる。
なお、これらの保湿剤のうち、水溶性ポリマー、多糖類、タンパク質などの高分子化合物は、前記網目構造形成性ポリマーとして前記透明散乱可変層を形成するのに使用することもできる。
【0053】
−その他の層−
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、撥水層などが好適に挙げられる。
【0054】
−−撥水層−−
前記撥水層は、画像を形成する際に付与される前記液体の滲みを防止する目的で、前記画像形成媒体の最表面、即ち、画像形成時に使用される前記液体が付与される表面に配置されるのが好ましい。
前記撥水層の材料としては、撥水効果を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系樹脂、フッ素系界面活性剤、フッ素系単分子、フッ素カーボンシランカップリング剤、シリコーン系樹脂、シリコーン系単分子膜、シリコーン系界面活性剤、シリコーン系シランカップリング剤、アルキルシランカップリング剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記撥水層の形状、構造、大きさ、厚み等については、目的に応じて適宜選択することができる。前記撥水層は、前記材料を公知の溶剤に溶解させて塗布液とし、前記塗布液を公知の塗布方法により塗布し、乾燥することにより、形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、スプレーコート法、ローラコート法、ブラシコート法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、などが挙げられる。
【0055】
−層構成の態様−
本発明の画像形成媒体における層構成の態様としては、例えば、(1)前記着色層と前記透明散乱可変層とをこの順に有する態様、(2)前記着色層と前記透明散乱可変層と前記撥水層とをこの順に有する態様、などが好適に挙げられる。
【0056】
−製造法、使用法−
本発明の画像形成媒体は、前記各層を公知の方法に従って順次、積層形成することにより製造することができる。
本発明の画像形成媒体は、形成したい画像様(イメージワイズ)に前記液体を前記画像形成媒体における前記透明散乱可変層に含まれる前記ゲルに付与し、前記液体を前記透明散乱可変層に吸収させ、保持させることにより、前記画像形成媒体に画像を形成(現像)することができる。前記画像が形成された前記画像形成媒体においては、前記透明散乱可変層が前記液体を保持している間は、画像を保持できるが、前記透明散乱可変層から前記液体が揮発し、前記透明散乱可変層が前記液体を保持しなくなった後は、画像が消去される。前記画像が消去された後の前記画像形成媒体には、再度、形成したい画像様(イメージワイズ)に前記液体を前記画像形成媒体における前記透明散乱可変層に付与し、前記液体を前記透明散乱可変層に吸収させ、保持させることにより、前記画像形成媒体に画像を形成(現像)することができる。このため、本発明の画像形成媒体は、繰返しの画像形成が可能であり、リライタブルメディアとして使用し得る。本発明の画像形成媒体においては、前記液体を保持する透明散乱可変層に前記ハイドロゲルを含んでいるので、前記液体の保持能力が、従来における水印字による記録媒体で使用されている水溶性ポリマー等とは異なり、使用時における十分な時間に対応し得るものである。よって、使用中に漸次、形成した画像が消去されていってしまうなどの問題が生ずることがない。また、前記撥水層を設けることにより滲みを抑制できるので、小さな文字等の画像を形成しても視認性に優れ、容易に判読可能である。また、前記透明散乱可変層が、前記温度応答性ポリマーを有し、前記外部刺激としての昇温による温度変化に晒されると、この外部刺激にシャープに応答して脱水を生じ、画像形成媒体に形成されていた画像が所望のタイミングで消去可能とすることができるので、情報セキュリティ(機密性、秘密管理性)を一層向上させることができる。
なお、前記透明散乱可変層への前記液体の付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、手動(手書きなど)であってもよいし、装置等による自動であってもよい。前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、インクジェット装置などが好適に挙げられる。前記インクジェット装置を用いる場合、ノズルヘッドからインクではなく前記液体を吐出させることにより、文字等を印字することができ、画像を形成することができる。
本発明の画像形成媒体は、以下の本発明の画像表示装置に特に好適に使用することができる。
【0057】
(画像表示装置)
本発明の画像表示装置は、画像形成手段と、視認者側とは反対側(裏側)から光を照射する光源とを含み、更に画像消去手段等のその他の手段を有してなる。
【0058】
−画像形成手段−
前記画像形成手段は、本発明における前記画像形成媒体のうち着色層が透光性である前記画像形成媒体に、前記液体を接触させることにより画像を形成する手段である。
前記接触の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、手動(手書きなど)であってもよいし、装置等による自動であってもよい。前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、インクジェット装置などが好適に挙げられる。前記インクジェット装置を用いる場合、ノズルヘッドからインクではなく前記液体を吐出させることにより、文字等を印字することができ、画像を形成することができる。本発明においては、簡便かつ効率よく所望の画像を形成することができる点で、前記接触がノズルヘッドを用いた、液体の液滴吐出により行われる態様が好ましい。
【0059】
−−光源−−
前記光源は、前記画像形成媒体のうち着色層が透光性である前記画像形成媒体において視認者側とは反対側(裏側)から光を照射することによって、前記画像形成手段で形成された画像が透過光によって、視認者側(表側)で視認可能になる。
前記光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記光源と前記画像形成媒体における各層との位置関係は、前記光源側から前記着色層、前記透明散乱可変層、前記撥水層の順となる。
【0060】
−その他の手段−
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、画像消去手段、などが好適に挙げられる。
【0061】
−−画像消去手段−−
前記画像消去手段は、前記画像形成手段による画像形成の後、前記画像形成媒体を加熱することにより前記液体を揮発させる前記加熱部を備え、更に前記画像形成媒体の全面に前記液体を供給する前記液体供給部を備えていてもよい。
前記加熱部の前記加熱の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触方式、非接触方式、などが挙げられる。
前記加熱部の前記接触式の加熱方法としては、例えば、サーマルヘッド、加熱ローラ、加熱シート等の加熱されたあるいは加熱可能な部材を用いた方法などが好適に挙げられる。
前記加熱部の前記非接触式の加熱方法としては、例えば、ヒーター、ファン等の手段を用いた方法などが好適に挙げられる。
前記加熱部の前記加熱の温度、時間等の条件については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記液体供給部の前記供給の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレーコート法、ローラコート法、ブラシコート法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、などが挙げられる。前記ローラコート法としては、例えば、塗布ローラによる供給が好適に挙げられる。
なお、前記画像形成手段としてインクジェット装置を用いる場合は、前記ノズルヘッドを液体供給部として兼用してもよいし、あるいは別途ノズルヘッドを設けて、前記液体供給部として用いてもよい。
【0062】
−具体例−
ここで、本発明の画像形成方法の具体例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の画像形成媒体を用いた画像形成方法の一実施例(インクジェット方式)を説明するための概略説明図である。
図1に記載の画像表示装置11は、前記画像形成手段としての画像形成部(画像記録部)100と、画像形成媒体(画像形成シート)400と、前記画像形成媒体(画像形成シート)400を搬送するドラム200と、形成した画像を表示する透明な窓300と、形成した画像を視認可能にする光源800とを有する。
【0063】
前記画像形成部(画像記録部)100は、インクジェット記録方式により前記画像形成媒体(画像形成シート)400に画像を形成(記録)する。前記画像形成部(画像記録部)100においては、画像形成媒体(画像形成シート)400に対し、画像を形成する際に必要な前記液体としての水Wを供給するための液体供給手段として、吐出ヘッド110にそれぞれ接続された液体収容手段としてのタンク120と、液体供給量制御手段としての吐出量制御部130と、形成したい画像の情報を入力する画像情報入力装置140とを備えている。タンク120には、水Wが収容されている。吐出ヘッド110は、タンク120に収容された水Wを吐き出すための吐出口を1又は2以上備えている。また、吐出ヘッド110は、図示しない駆動源によって、前記画像形成媒体(画像形成シート)400の回転方向に対して直交方向(シート幅方向)に往復移動が可能になっている。
【0064】
一対のドラム200によりロール状に回転可能な前記画像形成媒体(画像形成シート)400が、画像形成面の前記視認者とは反対側(裏面側)を前記ドラム200によってガイドされながら、吐出ヘッド110と対向する前記画像形成部(液体吐出領域)へ搬送されてくると、前記吐出ヘッド110から水(水滴)Wが吐出されて画像形成処理が行われる。このとき、前記吐出ヘッド110は、シート幅方向へ移動され、前記吐出ヘッド110の吐出口から水Wが適宜、液滴状に吐出される。その結果、前記画像形成媒体(画像形成シート)400における画像形成面には、水が付着した部分における前記透明散乱可変層の光透過率(透光性)が変化して水が付着する前と比較して向上し、後方に位置する前記着色層が前記透明散乱可変層を介して視認可能となり、現像(形成)される。そして、前記光源800は、視認者側とは反対側(裏側)から光Lを照射することによって、前記画像形成媒体に形成された画像を発光表示することにより、視認可能にする。なお、図示しないが、別途通常のインクジェットインク各色を収容したタンクと、収容されたインクジェットインクを吐出する吐出ヘッドをさらに備えてもよく、前記画像形成媒体(画像形成シート)400上に半永久的な画像の形成もできる。
前記吐出量制御部130は、前記吐出ヘッド110から前記画像形成媒体(画像形成シート)400上の1ドットに打ち込む液滴数を制御して、前記吐出ヘッド110による水Wの付与量を変更する。
【0065】
図2A〜2Dは、本発明の画像形成媒体の層構成の一例を説明するための概略断面図である。
図2Aの画像形成媒体400Aにおいては、着色層411と、白色粒子含有層412aと、ゲル層412bと、撥水層413とをこの順に積層されている。なお、前記白色粒子含有層412aと前記ゲル層412bの積層構造は、透明散乱可変層412である。
また、図2Bの画像形成媒体400Bにおいては、基材421と、着色層422と、前記白色粒子が前記ゲル内に分散されてなる前記透明散乱可変層423と、撥水層424とをこの順に積層されている。
更に、図2Cの画像形成媒体400Cにおいては、基材431と、RGBパターン432と、前記白色粒子が前記ゲル内に分散されてなる前記透明散乱可変層433と、撥水層434とをこの順に積層されている。
なお、図2Dにおいては、図2Cに記載の前記RGBパターンの詳細を記載しており、前記RGBパターンは、光の三原色であるRパターン432aがレッド、Gパターン432bがグリーン及びBパターン432cがブルーからなる。本発明においては、一画素に前記RGBパターンを対応させるように、前記RGBパターンを前記画像形成媒体に配置させておくことが好ましい。
前記画像形成媒体(画像形成シート)400A、400B及び400Cに対し、インクジェット記録方式等の画像表示装置等から吐出された水Wは、前記撥水層413、424及び434に着弾すると、高い接触角を保ち、シート最上面で水平方向に広がることなく、シート垂直方向へと浸透する。水Wが浸透することにより、前記透明散乱可変層412、423及び433が透明になるため、着色層が視認できるようになり、画像が形成(現像)される。前記透明散乱可変層により、画像は、使用時における十分な一定時間保持される。
【0066】
図3は、前記画像形成媒体を用いた、画像の消去工程を含む前記画像表示装置の一実施例(インクジェット方式)を説明するための概略説明図である。
図3に記載の画像表示装置12は、前記画像表示装置11に画像消去用熱源600が組込まれている。
例えば、画像形成部(画像記録部)100に対して画像形成媒体(画像形成シート)400の搬送方向上流側に画像消去用熱源600が配置される。これにより、水Wにより画像が形成された画像形成媒体(画像形成シート)400に形成された画像を画像消去用熱源600において消去した後、続けて画像形成部(画像記録部)100において、次の新たな画像を形成するという連続的な画像形成が可能となる。よって、画像形成媒体(画像形成シート)400が再利用できるようになるまで待つ、即ち画像形成媒体(画像形成シート)400におけるゲル層に保持されている水が自然に揮発して画像が消去されるのを待つ、ということが不要となる。
ただし、画像消去用熱源600による画像消去処理では、画像形成媒体(画像形成シート)400が加熱されるため、画像消去処理の直後に新たに水で画像を形成しても、その余熱により画像を維持できる時間が通常の画像形成よりも短くなってしまうおそれがある。よって、この場合、例えば、画像消去後の発色シートの回転をロールで制御し、筐体にしばらくストックしておくなどして除熱してから、その画像形成媒体(画像形成シート)400に画像を形成(記録)するようにするのが好ましい。なお、ここでは、例えば、画像消去用熱源600として、加熱のみの手段を示したが、送風を用いたものでもよいし、加熱と送風の併用によって画像を消去するものであってもよい。
【0067】
本発明の画像形成媒体を用いた本発明の画像表示装置によると、画像形成に際して前記画像形成媒体に付与された水が、前記画像形成媒体における前記透明散乱可変層に保持される。前記透明散乱可変層は、三次元網目構造(三次元マトリックス構造)を有しているので、前記三次元網目構造の中に前記水が抱え込まれ、短時間での蒸発が効果的に抑制される。よって、単に保湿材として架橋していない多価アルコールや水溶性ポリマー、多糖類などを利用して形成した従来におけるような水による画像形成シートに比し、保水能力、膜(層)強度が高くなり、高性能が実現可能となる。
また、前記画像形成媒体に、白色度の高い白色粒子を分散した白色粒子含有層を設け、あるいは前記白色粒子を前記ゲル(前記ハイドロゲル)に分散させると形成される画像のコントラストを向上させることができる。その結果、従来における水による画像形成シートにおける視認性低下の問題を解消することができる。更に、通常の水筆紙のようなシートでは、付着した水は表面で横方向に拡散して画像が滲んでしまうという問題があるが、最表面に撥水層を設けることで、着弾した水の横方向への拡散が効果的に抑制され、厚み方向へと水が拡散する結果、横方向への滲みが防止され、高精細な画像が形成される。
【0068】
また、前記ゲル(前記ハイドロゲル)の組成(水溶性ポリマー、保湿材等)を適宜調整することにより、前記透明散乱可変層の保水力を所望に制御することができ、室温で数時間にわたって画像を保持させることも可能であり、その後は自然と消色して画像が消去される。場合によっては、画像を形成した前記画像形成媒体に対して、加熱を行うことにより、前記透明散乱可変層に保持された水の蒸発を促進し、短時間での消色を実現できる。また、前記画像を形成した前記画像形成媒体に対して、前記液体を全面に塗布することにより、短時間で画像形成媒体に形成されていた画像を視認不能にすることができる。
更に、前記透明散乱可変層に前記温度応答性ポリマー(N−イソプロピルアクリルアミドなど)を含有させることにより、相転移(層変化)での脱水和現象を利用して、消色温度、消色速度を所望に制御することができ、情報セキュリティ(機密性、秘密管理性)を向上させることができる。そして、上述のように、前記画像表示装置に、水用の収容手段を設け、この水を本発明の画像形成媒体に付与することにより、水のみで自動的に画像形成を行い、発光表示が可能であるので、低コストで環境負荷を大幅に低減することができる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0070】
(実施例1)
厚みが100μm、幅30cm、長さ100cmの透明PETフィルム上に、RGBパターンからなる画素を形成するためにレッド用着色インクと、グリーン用着色インクと、ブルー用着色インクとを本出願人の特開2008−20559号公報に記載の装置を用いて付与し、前記画素を前記透明PETフィルム上に形成した着色層(透明着色シート)1を得た。
下記表1に示す配合量で透明散乱可変層1用液を計量した後、ボールミルで溶解、分散した。酒石酸水溶液(30質量%)を調製し、透明散乱可変層1用液と酒石酸水溶液(30質量%)を9:1の質量比で混合した後、着色層(透明着色シート)1上に、アプリケーターを用いて厚みが250μmになるように塗工した。
【表1】

前記透明散乱可変層1は20℃、飽和水蒸気圧雰囲気で24時間静置し、ゲル化させ、その後、60℃の真空乾燥機内で12時間乾燥させた。
次に、前記透明散乱可変層1上にフッ素樹脂撥水剤(フロロテクノロジー社製;FS1010TH−2.0)をスプレーコートし、撥水層1を形成した。
以上により前記着色層(透明着色シート)1、前記透明散乱可変層1、及び撥水層1がこの順に積層されてなる、実施例1の画像形成媒体(画像媒体シート)を作製した。
【0071】
(実施例2)
実施例1において、透明散乱可変層1用液のグリセリン40gを2−ピロリドン50gに、湿式シリカをカオリンに、水の量を608gから598gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の透明散乱可変層2を作製した。
次に、前記透明散乱可変層2上にフッ素樹脂撥水剤(フロロテクノロジー社製;FS1010TH−2.0)をスプレーコートし、撥水層1を形成した。
以上により前記着色層(透明着色シート)1、前記透明散乱可変層2、及び撥水層1がこの順に積層されてなる、実施例2の画像形成媒体(画像媒体シート)を作製した。
【0072】
(実施例3)
実施例1において、透明散乱可変層1用液にグリセリンを入れずに、エタノールの量を100gから140gに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の透明散乱可変層3を作製した。
次に、前記透明散乱可変層3上にフッ素樹脂撥水剤(フロロテクノロジー社製;FS1010TH−2.0)をスプレーコートし、撥水層1を形成した。
以上により前記着色層(透明着色シート)1、前記透明散乱可変層3、及び撥水層1がこの順に積層されてなる、実施例3の画像形成媒体(画像媒体シート)を作製した。
【0073】
(実施例4)
下記表2に示す配合量で白色粒子分散溶液を混合攪拌した後、着色層(透明着色シート)1上に、アプリケーターを用いて厚みが150μmになるように塗工した。前記塗工したシートは130℃で5分間乾燥、硬化させて、乾燥状態で白色粒子含有層(白色粒子層シート)1を作製した。
【表2】

下記表3に示す配合量でゲル層1用液を作製した。ゲル層1用液と酒石酸水溶液30質量%)を9:1の重量比で混合した後、白色粒子含有層(白色粒子層シート)1上に、アプリケーターを用いて厚みが150μmになるように塗工した。
【表3】

前記ゲル層1は20℃、飽和水蒸気圧雰囲気で24時間静置し、ゲル化させ、その後、60℃の真空乾燥機内で12時間乾燥させて、前記白色粒子含有層(白色粒子層シート)1とゲル層1との積層構造からなる透明散乱可変層4を形成した。
次に、前記透明散乱可変層4上にフッ素樹脂撥水剤(フロロテクノロジー社製;FS1010TH−2.0)をスプレーコートし、撥水層1を形成した。
以上により前記着色層(透明着色シート)1、前記透明散乱可変層4、及び撥水層1がこの順に積層されてなる、実施例4の画像形成媒体(画像媒体シート)を作製した。
【0074】
(実施例5)
実施例4において、フッ素樹脂撥水剤をスプレーコートしなかった以外は、実施例4と同様にして、実施例5の画像形成媒体を作製した。
【0075】
(実施例6)
窒素雰囲気下で下記表4に示す配合量で、APS、TEMED以外の原料を計量した後、ボールミルで粒子を分散し、その後、分散液にAPS、TEMEDを表4に示す配合比で混合攪拌して、透明散乱可変層5用液を調製した。着色層(透明着色シート)1上に、アプリケーターを用いて厚みが250μmになるように塗工した。
【表4】

なお、表4の英数字の略号は以下の化合物を示す。
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド
MBAAm:N,N'−メチレンビスアクリルアミド
APS:過硫酸アンモニウム
TEMED:テトラメチルエチレンジアミン
前記透明散乱可変層5は20℃、飽和水蒸気圧の窒素雰囲気で24時間静置し、ゲル化させ、その後、60℃の真空乾燥機内で12時間乾燥させた。
次に、前記透明散乱可変層5上にフッ素樹脂撥水剤(フロロテクノロジー社製;FS1010TH−0.5)をスプレーコートし、撥水層2を形成した。
以上により前記着色層(透明着色シート)1、前記透明散乱可変層5、及び撥水層2がこの順に積層されてなる、実施例6の画像形成媒体(画像媒体シート)を作製した。
【0076】
(実施例7)
実施例6に記載の透明散乱可変層5用液にグリセリン(100質量%)50gを加え、TEMED(100質量%)12gをTEMED(10質量%)116gに変更した以外は、実施例6と同様にして、実施例7の透明散乱可変層6を作製した。
次に、前記透明散乱可変層6上にフッ素樹脂撥水剤(フロロテクノロジー社製;FS1010TH−0.5)をスプレーコートし、撥水層2を形成した。
以上により前記着色層(透明着色シート)1、前記透明散乱可変層6、及び撥水層2がこの順に積層されてなる、実施例7の画像形成媒体(画像媒体シート)を作製した。
【0077】
(実施例8)
窒素雰囲気下で下記表5に示す配合量でゲル層2用液を作製した。その後、白色粒子含有層(白色粒子層シート)1の上に、アプリケーターを用いて厚みが150μmになるように塗工した。
【表5】

前記ゲル層2は20℃、飽和水蒸気圧の窒素雰囲気で24時間静置し、ゲル化させ、その後、60℃の真空乾燥機内で12時間乾燥させた。
次に、フッ素樹脂撥水剤(フロロテクノロジー社製;FS1010TH−0.5)をスプレーコートし、撥水層2を形成した。
以上により前記着色層(透明着色シート)1、前記白色粒子含有層1、ゲル層2、及び撥水層2がこの順に積層されてなる、実施例8の画像形成媒体(画像媒体シート)を作製した。
【0078】
(比較例1)
実施例4における前記白色粒子含有層(白色粒子層シート)1を比較例1の画像形成媒体(画像媒体シート)とした。
【0079】
(比較例2)
比較例1で用いた前記白色粒子含有層(白色粒子層シート)1上に、フッ素樹脂撥水剤(フロロテクノロジー社製;FS1010TH−0.5)をスプレーコートし、撥水層3を形成した。
以上により前記白色粒子含有層(白色粒子層シート)1、及び撥水層2がこの順に積層されてなる、比較例2の画像形成媒体(画像媒体シート)を作製した。
【0080】
<評価>
図1に示す装置に各実施例、比較例の画像形成媒体を組み込み、画像情報として、RGBのMS明朝体「轟」の文字を、6ポイント10文字で三行、8ポイント10文字で三行、10ポイント10文字で三行を繰り返し入力し、画像形成媒体を搬送しながら、インクジェットヘッドから水を前記画像形成媒体に対して吐出させ、画像形成し、光源を点灯して発光表示をさせた。
以上により、得られた画像について、以下の基準に従って評価した。その結果を表6に示した。
【0081】
−記録保持性−
24時間経過に10ポイントの文字が判別できる・・・◎
12時間経過に10ポイントの文字が判別できる・・・○
6時間経過に10ポイントの文字が判別できる・・・△
10分間経過後に10ポイントの文字が判別できない・・・×
−コントラスト、解像度−
画像形成後5分間経過後に6ポイントの文字が判別できる・・・○
画像形成後5分間経過後に8ポイント以上の文字のみ判別できる・・・△
画像形成後5分間経過後に8ポイント以上の文字が判別できない・・・×
【0082】
−画像消去能−
画像形成後、前記画像形成媒体を、図3に示す前記画像消去用熱源を用いて加熱し、画像情報が消去されるまでの時間を計測した。
【0083】
【表6】

【0084】
なお、形成した画像が消色した後、再度、同じ画像を繰返し50回以上形成したが、実施例における発光表示媒体(画像形成媒体)においては、初回に形成した画像と遜色なく、良好かつ鮮明な画像を形成することができ、繰返しの画像形成における画質再現性が観られた。
表6より、本発明の画像形成媒体の場合、画像の記録保持性、コントラスト及び解像度が向上した。一方、比較例のように、白色粒子含有層(白色粒子層シート)のみでハイドロゲル層を設けなかったものについては、記録保持性がなく、また、白色粒子含有層(白色粒子層シート)上に撥水層を設けることにより、短時間でのコントラスト及び解像度は向上したものの、記録保持性は殆どなかった。なお、実施例4及び5のように、白色粒子層上にハイドロゲル層を設けたものでは記録保持性が改善されたものの、コントラスト及び解像度がやや十分ではなかった。また、実施例5では、実施例4に比し、撥水層を有していないため、文字の判別はややしにくい結果であった。
以上のように、本発明によれば、記録保持性、コントラスト、解像度等の画像品質を向上させ、低コスト化、環境負荷を削減可能な画像形成媒体、が提供される。
【符号の説明】
【0085】
100 画像形成部(画像記録部)
110 吐出ヘッド(吐出ノズル)
120 タンク
130 吐出量制御部
140 画像情報入力装置
200 ドラム
300 窓
400 画像形成媒体(画像形成シート)
411 着色層
412a 白色粒子含有層
412b ゲル層
412 透明散乱可変層
413 撥水層
421 基材
422 着色層
423 透明散乱可変層
424 撥水層
431 基材
432 RGBパターン
433 透明散乱可変層
434 撥水層
G 画像
W 水
432a Rパターン
432b Gパターン
432c Bパターン
600 画像消去用熱源
800 光源
L 光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特公昭50−5097号公報
【特許文献2】特許第4499269号公報
【特許文献3】特許第3801819号公報
【特許文献4】特開平9−16103号公報
【特許文献5】特開平9−15726号公報
【特許文献6】特開平9−40901号公報
【特許文献7】特開2009−96074号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色層と、白色粒子及び液体を保持可能なゲルを含む透明散乱可変層とを備え、前記透明散乱可変層は、前記ゲルが前記液体を保持することで、光散乱性が変化して、前記ゲルが液体を保持する前と比較して透光性が向上することを特徴とする画像形成媒体。
【請求項2】
前記透明散乱可変層は、前記白色粒子が前記ゲル内に分散されてなる請求項1に記載の画像形成媒体。
【請求項3】
前記透明散乱可変層は、前記白色粒子を含む白色粒子含有層と、前記ゲルを含むゲル層とを有してなる請求項1に記載の画像形成媒体。
【請求項4】
前記液体が水であり、前記ゲルがハイドロゲルである請求項1から3のいずれに記載の画像形成媒体。
【請求項5】
前記ゲルが、温度応答性ポリマーを有してなる請求項1から4のいずれかに記載の画像形成媒体。
【請求項6】
最表面に撥水層を備えた請求項1から5のいずれかに記載の画像形成媒体。
【請求項7】
前記透明散乱可変層が、保湿材を更に含む請求項1から6のいずれかに記載の画像形成媒体。
【請求項8】
前記着色層が透光性を有してなる請求項1から7のいずれかに記載の画像形成媒体。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成媒体と、前記画像形成媒体に対し、視認者側から液体により画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成媒体に対し、前記視認者側とは反対側から光を照射する光源とを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
前記画像形成媒体を加熱して液体を揮発させる加熱部を有する画像消去手段を更に備えた請求項9に記載の画像表示装置。












【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−247769(P2012−247769A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274555(P2011−274555)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】