説明

画像形成指令装置及び画像形成制御プログラム

【課題】複数の着色剤から択一的に選択された着色剤により被画像形成媒体に画像を形成するものにおいて、意図しない着色剤の切り替えをより抑制する。
【解決手段】PC40は、複数から択一的に選択された黒インクにより印刷媒体に画像を形成するプリンター20へ印刷指令を行う際に、印刷用に選択された用紙種類を取得し、プリンター20からこの装置で選択されている黒インクの種類の情報を取得し、取得した印刷用の用紙種類に対応する黒インクの種類を媒体インク色対応情報55に基づいて取得し、取得した黒インクの種類とプリンター20で選択されている黒インクの種類とが異なるときには警告情報として、警告アイコンおよび、警告メッセージをプリンター設定画面にを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成指令装置及び画像形成制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成指令装置としては、フォトブラックとマットブラックの2種類の黒インクのうち選択された一方で印刷を行うプリンターにおいて、選択されたインクと対応しない用紙が設定されているときは、用紙設定に合わせてインク切替を自動的に行って印刷するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、印刷設定画面を表示する際、選択されたインクと対応しない用紙が設定されていれば、用紙設定をインクと対応するものに切り替えてから印刷設定画面を表示することにより、意図しないインクの切り替えの発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−234313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1の装置では、選択されたインクに対応する用紙種類を上位に表示することにより、選択されたインクに対応する用紙を選択しやすくすることができるが、使用者は、その中から、任意に下位の用紙を選択することもあった。このような場合などには、着色剤の切替が生じてしまうこともあり得るため、意図しない着色剤の切り替えの抑制が更に求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、複数の着色剤から択一的に選択された着色剤により被画像形成媒体に画像を形成するものにおいて、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる画像形成指令装置及び画像形成制御プログラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像形成指令装置は、
複数の着色剤から択一的に選択された着色剤により被画像形成媒体に画像を形成する画像形成装置へ画像形成指令を行う画像形成指令装置であって、
前記被画像形成媒体の種類と該被画像形成媒体に画像を形成する前記着色剤の種類とを対応付けた対応情報を記憶する記憶手段と、
画像形成用に選択された前記被画像形成媒体の種類を取得する媒体取得手段と、
前記画像形成装置から該画像形成装置で選択されている着色剤の種類の情報を取得する情報取得手段と、
前記取得した前記画像形成用の被画像形成媒体の種類に対応する前記着色剤の種類を前記対応情報に基づいて取得し、該取得した着色剤の種類と前記画像形成装置で選択されている着色剤の種類とが異なるときには警告情報を報知する報知手段と、
を備えたものである。
【0008】
この画像形成指令装置では、複数の着色剤から択一的に選択された着色剤により被画像形成媒体に画像を形成する画像形成装置へ画像形成指令を行う際に、画像形成用に選択された被画像形成媒体の種類を取得し、画像形成装置からこの画像形成装置で選択されている着色剤の種類の情報を取得し、取得した画像形成用の被画像形成媒体の種類に対応する着色剤の種類を対応情報に基づいて取得し、取得した着色剤の種類と画像形成装置で選択されている着色剤の種類とが異なるときには警告情報を報知する。このように、被画像形成媒体の種類を変更したときに、着色剤の切り替えが生じる場合は、警告情報が報知される。したがって、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる。ここで、「画像形成装置で選択されている着色剤の種類」とは、前回の画像を形成する処理で用いられた着色剤の種類としてもよい。
【0009】
本発明の画像形成指令装置において、前記報知手段は、画像を表示する表示手段に前記警告情報を表示させることにより該警告情報を報知する表示制御手段を含むものとしてもよい。こうすれば、視覚的に、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる。このとき、前記表示制御手段は、文字、図形又は画像を前記警告情報として前記表示手段に表示させるものとしてもよい。なお、前記報知手段は、音により警告情報を報知する音出力手段を含むものとしてもよいし、印刷出力により前記警告情報を報知する印刷出力手段を含むものとしてもよい。
【0010】
本発明の画像形成指令装置において、前記表示制御手段は、前記被画像形成媒体の種類を選択する被画像形成媒体選択欄と前記着色剤の種類を選択する着色剤選択欄とを配置した設定画面を前記表示手段に表示させ、前記被画像形成媒体選択欄で前記被画像形成媒体の種類を選択したあと前記着色剤選択欄の隣に前記警告情報を表示させるものとしてもよい。こうすれば着色剤を選択する欄の隣に警告情報が表示されるから、意図しない着色剤の切り替えをより確実に抑制することができる。このとき、前記媒体取得手段は、前記被画像形成媒体選択欄で選択された前記被画像形成媒体の種類を前記画像形成用の前記被画像形成媒体の種類として取得するものとしてもよい。
【0011】
本発明の画像形成指令装置において、前記表示制御手段は、前記被画像形成媒体の選択の際に複数の前記被画像形成媒体の種類の一覧を表示する被画像形成媒体選択欄を配置した設定画面を前記表示手段に表示させ、該被画像形成媒体選択欄に前記一覧を表示する際には、選択されると前記画像形成装置で選択されている着色剤の種類と異なるものとなる前記被画像形成媒体を区別可能な態様で該一覧を表示させるものとしてもよい。こうすれば、着色剤の切り替えが起きることを、被画像形成媒体を選択する前に把握することができるため、意図しない着色剤の切り替えをより確実に抑制することができる。このとき、前記媒体取得手段は、前記被画像形成媒体選択欄で選択された前記被画像形成媒体の種類を前記画像形成用の前記被画像形成媒体の種類として取得するものとしてもよい。また、前記表示制御手段は、前記区別可能な態様として、文字色の変更、警告画像の配置のいずれかにより表示させるものとしてもよい。
【0012】
本発明の画像形成指令装置において、前記表示制御手段は、前記警告を表示する警告表示欄を配置した設定画面を前記表示手段に表示させ、該警告表示欄に前記警告情報を表示させるものとしてもよい。こうすれば、警告表示欄の表示によって、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる。
【0013】
本発明の画像形成指令装置は、画像形成用に選択された前記着色剤の種類を取得する着色剤取得手段、を備え、前記報知手段は、前記取得した前記画像形成用の着色剤の種類と前記画像形成装置で選択されている着色剤の種類とが異なるときには、前記警告情報を報知するものとしてもよい。こうすれば、着色剤の選択内容が変更された際に、着色剤が切り替わることが報知されるため、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる。
【0014】
本発明の画像形成指令装置において、前記画像形成装置は、前記複数の着色剤でノズル群を共用しており、前記着色剤の切り替えの際に着色剤流路に充填された着色剤を、切り替える着色剤で再充填する装置であるものとしてもよい。こうすれば、ノズル群を共用する画像形成装置で、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる。また、着色剤の切替時に生じる着色剤の廃棄量をより抑制することができる。
【0015】
本発明の画像形成指令装置において、前記画像形成装置は、前記着色剤を格納し、前記着色剤を吐出する印刷ヘッドへ該着色剤を供給するカートリッジが本体側に装着されている装置であるものとしてもよい。印刷ヘッドよりも離れた本体側にカートリッジがあると、着色剤の切替時に着色剤の廃棄量が大きくなることがあるため、本発明を適用する意義がより高い。
【0016】
本発明の画像形成指令装置において、前記複数の着色剤は、複数の種類の無彩色インクであるものとしてもよい。無彩色インクは、用途に応じて複数あることがあるため、本発明を適用する意義が高い。この無彩色インクは、例えば、黒インクとしてもよいし、白インクとしてもよいし、灰色インクとしてもよい。このとき、前記無彩色インクは、フォトブラックインク及びマットブラックインクを含むものとしてもよい。
【0017】
本発明の画像形成制御プログラムは、
複数の着色剤から択一的に選択された着色剤により被画像形成媒体に画像を形成する画像形成装置へ画像形成指令を行い、前記被画像形成媒体の種類と該被画像形成媒体に画像を形成する着色剤の種類とを対応付けた対応情報を用いて、コンピューターにより実行される画像形成制御プログラムであって、
(a)画像形成用に選択された前記被画像形成媒体の種類を取得するステップと、
(b)前記画像形成装置から該画像形成装置で選択されている着色剤の種類の情報を取得するステップと、
(c)前記取得した前記画像形成用の被画像形成媒体の種類に対応する前記着色剤の種類を前記対応情報に基づいて取得し、該取得した着色剤の種類と前記画像形成装置で選択されている着色剤の種類とが異なるときには、警告情報を報知するステップと、
を含むものである。
【0018】
この画像形成制御プログラムは、上述した画像形成指令装置と同様に、被画像形成媒体の種類を変更したときに、着色剤の切り替えが生じる場合は、警告情報が報知される。このプログラムを1つのコンピューターに実行させるか又は複数のコンピューターに各ステップを分担して実行させれば、この画像形成指令装置と同様の作用効果が得られる。即ち、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる。なお、この画像形成制御プログラムにおいて、上述した画像形成指令装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した画像形成指令装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0019】
本発明の画像形成指令方法は、
複数の着色剤から択一的に選択された着色剤により被画像形成媒体に画像を形成する画像形成装置へ画像形成指令を行い、前記被画像形成媒体の種類と該被画像形成媒体に画像を形成する着色剤の種類とを対応付けた対応情報を用いる画像形成制御方法であって、
(a)画像形成用に選択された前記被画像形成媒体の種類を取得するステップと、
(b)前記画像形成装置から該画像形成装置で選択されている着色剤の種類の情報を取得するステップと、
(c)前記取得した前記画像形成用の被画像形成媒体の種類に対応する前記着色剤の種類を前記対応情報に基づいて取得し、該取得した着色剤の種類と前記画像形成装置で選択されている着色剤の種類とが異なるときには、警告情報を報知するステップと、
を含むものである。
【0020】
この画像形成制御方法は、上述した画像形成指令装置と同様に、被画像形成媒体の種類を変更したときに、着色剤の切り替えが生じる場合は、警告情報が報知されるため、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる。なお、この画像形成制御方法において、上述した画像形成指令装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した画像形成指令装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】プリンターシステム10の構成の概略を示す構成図。
【図2】媒体インク色対応情報55の説明図。
【図3】ディスプレイ48に表示する画面の説明図。
【図4】印刷設定処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図5】設定変更処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図6】印刷実行指令入力画面70の説明図。
【図7】プリンター設定画面80の用紙種類変更時の説明図。
【図8】プリンター設定画面80のインク種類変更時の説明図。
【図9】プリンター設定画面80に表示する用紙一覧表示欄90の説明図。
【図10】プリンター設定画面80に表示する用紙一覧表示欄92の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態の一例を図面を用いて説明する。図1は本実施形態であるプリンターシステム10の構成の概略を示す構成図である。本実施形態のプリンターシステム10は、本発明の画像形成装置としてのプリンター20と、プリンター20に接続され印刷指令などを行うパソコン(PC)40とを備えている。プリンター20は、プリンター20の全体をコントロールするコントローラー21と、インク(着色剤)を用い印刷用紙などの印刷媒体(被画像形成媒体)に画像を形成する印刷機構25とを備えている。また、プリンター20は、外部機器との情報のやりとりを行う図示しないインターフェイス(I/F)と、各種情報の表示やユーザーからの入力を受け付ける操作パネルなどを備えている。このプリンター20において、コントローラー21や印刷機構25、I/F、操作パネルなどは、図示しないバスによって電気的に接続されている。
【0023】
コントローラー21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュメモリー23と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM24と、を備えている。このコントローラー21は、印刷処理を実行するよう印刷機構25を制御する。また、コントローラー21は、プリンター20に関する情報をPC40へ送信したり、PC40で設定された情報を受信したりする。
【0024】
印刷機構25は、キャリッジベルトとキャリッジモータとによりガイドに沿って主走査方向である左右方向に往復動するキャリッジ26と、本体に装着され各色のインクを個別に収容したカートリッジ28と、キャリッジ26の下面側に配設され各カートリッジ28から供給された各色のインクに圧力をかけインクを吐出する印刷ヘッド27と、印刷ヘッド27の封止及びクリーニングを行うキャッピング装置29とを備えている。印刷ヘッド27は、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式によりノズルから各色のインクを吐出する。なお、インクへ圧力をかける機構は、ヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。印刷ヘッド27には、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K:Mk,Pk)の各色のインクを吐出する複数のノズル32C,32M,32Y,32Kを配列したノズル群としてのノズル列33C,33M,33Y,33Kが設けられている。
【0025】
カートリッジ28は、溶媒としての水に着色剤としての染料又は顔料を含有したシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),マットブラック(Mk)及びフォトブラック(Pk)などの着色剤としてのインクを各々収納するカートリッジ28C,28M,28Y,28Mk,28Pkを含んでおり、装置本体に着脱可能に装着されている。このカートリッジ28と、印刷ヘッド27とがフレキシブルチューブ35により接続されており、このフレキシブルチューブ35を介して印刷ヘッド27に形成されたノズル32へ各色のインクを供給する。この印刷機構25では、カートリッジ28Mkに収容されたマットブラックインクと、カートリッジ28Pkに収容されたフォトブラックインクとをキャリッジ26に配設されたインク切替機構34により択一的に切り替え、ノズル列33Kから吐出する機構として構成されている。このように、印刷機構25では、マットブラックインクとフォトブラックインクとの複数のインクでノズル列33Kを共用している。そして、これら黒インクの切り替えの際には、印刷ヘッド27のインク流路に充填された黒インクを切り替える黒インクで再充填する処理を行うよう設定されている。また、印刷機構25は、キャリッジ26ではなく、本体側にカートリッジ28が装着される、いわゆるオフキャリッジ型の機構として構成されている。なお、総称して説明する場合は、ノズル32、ノズル列33、カートリッジ28と称するものとする。
【0026】
キャッピング装置29は、印刷休止中などにノズル32が乾燥するのを防止するためにノズル32を封止するときに利用されるものである。このキャッピング装置29は、印刷ヘッド27がキャリッジ26と共にホームポジションまで移動したときに印刷ヘッド27のノズル形成面を覆うように作動される。また、キャッピング装置29には、図示しない吸引ポンプが接続されている。そして、例えば、ノズル32のインク詰まりが検出されたときや、黒インクの切替時(再充填時)など必要に応じて、キャッピング装置29で封止された印刷ヘッド27のノズル形成面に吸引ポンプの負圧を作用させ、印刷ヘッド27からノズル32を介してインクを吸引排出させる。なお、吸引排出された廃インクは、図示しない廃液タンクに溜められる。
【0027】
PC40は、ユーザーが使用する画像形成指令装置として構成されたパソコンである。このPC40は、各種制御を実行するCPU42や各種制御プログラムを記憶するフラッシュメモリー43、データを一時記憶するRAM44などを備えたコントローラー41と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリーであるHDD45と、プリンター20などの外部機器と通信を行うインターフェイス(I/F)46とを備えている。HDD45には、印刷設定や印刷実行を行う印刷ドライバー50や、実行プログラムであるアプリケーションプログラム59(例えば文書編集プログラム)などが記憶されている。
【0028】
また、PC40は、ユーザーが各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力装置47や、各種情報を画面表示するディスプレイ48などを備えている。このPC40は、ディスプレイ48に表示されたカーソル等をユーザーが入力装置47を介して入力操作するとその入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。コントローラー41やHDD45、I/F46、入力装置47及びディスプレイ48は、バス49によって電気的に接続され、各種制御信号やデータのやり取りができるよう構成されている。このPC40は、インストールされたプログラムによりプリンター20に対して印刷処理を指令したりプリンター20の情報を取得して表示したりする。
【0029】
ここで、HDD35に記憶されている印刷ドライバー50について説明する。印刷ドライバー50は、プリンター20の印刷設定及び印刷実行に用いられる。この印刷ドライバー50は、媒体インク色取得モジュール51と、プリンター情報取得モジュール52と、表示制御モジュール53と、媒体インク色対応情報55と、UIリソース56などにより構成されている。媒体インク色取得モジュール51は、使用者が選択した印刷媒体及び黒インクの種類を取得する処理を実行する機能を有している。プリンター情報取得モジュール52は、インク残量の情報やプリンター20で設定されている印刷媒体の種類の情報、プリンター20で選択されている黒インクの種類の情報など、プリンター20に関する情報をプリンター20から通信により取得する処理を実行する機能を有している。表示制御モジュール53は、ディスプレイ48に表示する画面を作成し、ディスプレイ48に表示させる処理を実行する機能を有している。例えば、表示制御モジュール53は、黒インクの切替処理が生じる場合に、所定の警告情報を画面に表示する処理を実行する。媒体インク色対応情報55は、印刷媒体の種類と、この印刷媒体に画像形成可能なインクの種類とを対応付けた情報である。図2は、媒体インク色対応情報55の説明図である。媒体インク色対応情報55は、印刷媒体の特性と、黒インクの特性とにより、印刷画像の品質が一定以上保たれるように印刷媒体の種類と黒インクの種類とを経験的に対応付けた情報である。ここでは、例えば、マット紙ではマットブラックのみ利用可能、エンハンスドマット紙やスーパーファイン紙では両方利用可能、写真用紙ではフォトブラックのみ利用可能に設定されている。この印刷ドライバー50では、印刷媒体に利用可能に対応付けられている黒インクのみが選択可能に構成されている。UIリソース56は、例えば、文字列やアイコン、画面などの表示画像が格納されているデータベースとして構成されている。
【0030】
次に、こうして構成された本実施形態のPC40の動作、特に、アプリケーションプログラム59で作成した画像データを印刷条件を設定し、印刷処理する際の動作について説明する。ここでは、前回の印刷がフォトブラックを用いて行われ、印刷ヘッド27のインク流路には、フォトブラックインクが充填されている場合について主として説明する。図3は、ディスプレイ48に表示する画面の説明図である。このディスプレイ48には、画像編集を行うアプリケーション画面60と、印刷指令を入力する印刷実行指令入力画面70と、プリンター20の設定を行うプリンター設定画面80とが表示されている状態の画面を示している。まず、使用者は、アプリケーションプログラム59でデータ処理を行い、画像データ(例えば、写真画像など)を作成し、アプリケーション画面60に配置された印刷アイコン62をカーソル61によりクリックする。すると、CPU42は、HDD45に記憶された印刷設定処理ルーチンを実行する。図4は、コントローラー41のCPU42により実行される印刷設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。図5は、設定変更処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。印刷設定処理ルーチンや設定変更処理ルーチンでは、CPU42は、印刷ドライバー50の媒体インク色取得モジュール51、プリンター情報取得モジュール52、表示制御モジュール53、媒体インク色対応情報55及びUIリソース56の各機能やデータなどを用いて印刷条件の設定処理を行う。
【0031】
図4の印刷設定処理ルーチンを開始すると、CPU42は、まず、インク残量、プリンター20に設定されている印刷媒体の種類(設定用紙)、及び選択されている黒インクの種類(選択インク)の情報などプリンターの情報を通信によりプリンター20から取得する(ステップS100)。インク残量は、インク交換時からのインク吐出量を積算する処理によりフラッシュメモリー23に記憶されているものとする。また、設定用紙は、プリンター20に装着した印刷媒体の種類をプリンター20の操作パネルで使用者により入力された情報がフラッシュメモリー23に記憶されているものとする。なお、この設定用紙の入力は、任意の操作とされている。また、選択インクは、前回の印刷時に利用された黒インクのデータがフラッシュメモリー23に記憶されているものとし、黒インク切替の際に切替後の黒インク種類に更新されるものとする。ここでは、これらの情報をフラッシュメモリー23から取得する処理を行うものとする。
【0032】
次に、CPU42は、印刷ドライバー50での設定値を前回の設定内容から取得する(ステップS110)。ここでは、例えば、選択されているプリンター種類の情報や、選択されている印刷媒体の種類、選択されている印刷レイアウトの情報などを取得する。次に、CPU42は、ステップS100で取得した情報に基づき、インク残量が少ないか否かを判定し(ステップS120)、インク残量が少ないときには、インク残量警告処理を実行する(ステップS130)。ここでは、警告メッセージの選択や警告アイコンを選択する処理や、その配置位置を設定する処理を行う。ステップS130のあと、又はステップS120でインク残量が少なくないときには、プリンター20で設定されている設定用紙が印刷ドライバー50で選択されている印刷媒体と異なるか否かを判定する(ステップS140)。この判定は、印刷ドライバー50で選択されている印刷媒体の種類と、プリンター20で設定されている印刷媒体の種類とが一致するか否かによって行う。設定用紙が異なるときには、用紙警告処理を実行する(ステップS150)。ここでは、警告メッセージの選択や警告アイコンを選択する処理や、その配置位置を設定する処理を行う。ステップS150のあと、又はステップS140で設定用紙が一致するときには、設定変更入力がされたか否かを判定し(ステップS160)、設定変更入力がされてないときには、印刷実行指令入力画面70を作成し、ディスプレイ48へ表示させる(ステップS180)。
【0033】
図6は、印刷実行指令入力画面70の説明図である。図6に示すように、印刷実行指令入力画面70には、プリンターの設定内容を表示するプリンター設定表示部71、印刷レイアウトの情報を表示するレイアウト設定表示部75、ページ設定の情報を表示するページ設定表示部76、各種警告文字列などを表示する警告表示欄77及び印刷実行を指示するときに押下される印刷実行キー78が配置されている。プリンター設定表示部71には、選択されている用紙種類や黒インク種類を表示する選択済内容表示部72や、用紙種類や黒インク種類を変更する際に押下される設定変更キー73、印刷品質を入力する印刷品質入力欄74が配置されている。なお、上述したインク残量警告処理、用紙警告処理では、選択済内容表示部72の隣に、警告されていることを視認可能な(例えば「!」を含む)警告アイコン65を配置し、警告表示欄77に警告アイコン65を配置すると共に警告文を表示する設定を行うのである。そして、ステップS180では、設定された内容に基づいて印刷実行指令入力画面70を作成し、ディスプレイ48へ表示させる。
【0034】
さて、ステップS160で、設定変更入力がされたとき、例えば、設定変更キー73が押下されたときには、CPU42は、図5に示す設定変更処理を実行し(ステップS170)、ステップS180で、設定変更された内容に基づいて印刷実行指令入力画面70を作成し、ディスプレイ48へ表示させる。設定変更処理ルーチンは、HDD45に記憶されている。このルーチンを実行すると、CPU42は、まず、現在の設定情報を取得し(ステップS300)、プリンター設定画面80を表示する(ステップS310)。図7は、プリンター設定画面80の用紙種類変更時の説明図であり、図8は、プリンター設定画面80のインク種類変更時の説明図である。プリンター設定画面80には、用紙幅を入力する紙幅入力欄81と、印刷に用いる印刷媒体の種類を選択する用紙種類選択欄82と、印刷に用いる黒インクの種類を選択する黒インク種類選択欄83と、各種の警告内容が表示される警告表示欄84と、選択終了時に押下される実行キー88とが配置されている。この紙幅入力欄81、用紙種類選択欄82及び黒インク種類選択欄83は、選択肢が一覧でプルダウン表示されこの表示されたいずれかを選択可能であり、且つ入力装置47で直接文字入力可能な、いわゆるコンボボックスとして構成されている。媒体インク色取得モジュール51は、用紙種類選択欄82や黒インク種類選択欄83に入力された情報を、印刷用に選択された用紙種類及び印刷用に選択された黒インク種類として取得するものとする。また、このプリンター設定画面80では、警告を要する欄の隣に警告アイコン65が配置されるように設定されている。また、警告表示欄84には、警告アイコン65と共に、警告メッセージが表示されるように設定されている。
【0035】
ステップS310でプリンター設定画面80を表示すると、CPU42は、用紙幅が変更されたか否かを紙幅入力欄81への入力に基づいて判定し(ステップS320)、用紙幅が変更されたときには、変更内容を反映させる(ステップS330)。ステップS330のあと、又は、ステップS320で用紙幅が変更されていないときには、用紙種類が変更されたか否かを用紙種類選択欄82への入力に基づいて判定する(ステップS340)。ここで、用紙種類が変更されたときには、フローチャートでは省略したが、プリンター20で設定された用紙種類と、用紙種類選択欄82で選択された用紙種類とが一致するか否かを判定し、用紙種類が一致しないときには、警告表示欄84にその旨の警告を表示する処理を行う。また、用紙種類が変更されたときには、媒体インク色対応情報55に基づいて、選択された用紙種類に対応する黒インク種類を取得し(ステップS350)、黒インクの切替を要するか否かを判定する(ステップS360)。ここでは、プリンター設定画面80で選択されている用紙種類に対応する黒インクの種類を媒体インク色対応情報55に基づいて取得し、取得した黒インクの種類とプリンター20で選択されている黒インクの種類とが異なるときには黒インクの切替を要すると判定するものとする。例えば、図7のように、写真用紙からマット紙に変更された場合は、利用可能な黒インクがフォトブラックからマットブラックに変更されるため(図2参照)、黒インクの切替を要するものと判定される。一方、マット紙から、両方の黒インクを利用可能なスーパーファイン紙に変更された場合は、黒インクの切替を要しないものと判定される。
【0036】
ステップS360でインク切替を要しないとき、又は、ステップS340で用紙種類が変更されていないときには、CPU42は、黒インク種類が変更されたか否かを黒インク種類選択欄83への入力に基づいて判定する(ステップS370)。黒インク種類が変更されたときには、黒インクの切替を要するか否かを判定する(ステップS380)。ここでは、プリンター設定画面80で選択されている黒インクの種類とプリンター20で選択されている黒インクの種類とが異なるときには黒インクの切替を要すると判定するものとする。ステップ360又はステップS380で黒インクの切替を要するときには、インク切替警告処理を実行する(ステップS390)。インク切替警告処理では、警告メッセージの選択や警告アイコンを選択する処理や、その配置位置を設定する処理を行う。ここでは、黒インク種類選択欄83の先頭の隣に警告アイコン65を配置すると共に、警告アイコン65及び「印刷時に黒インクを切り替えます。」との警告メッセージを警告表示欄84に表示するよう設定するものとした。続いて、ステップS390のあと、又は、ステップS370でインク種類が変更されていないとき、又は、ステップS380でインク切替を要しないときには、変更された内容に基づいて、プリンター設定画面80を表示する(ステップS400)。
【0037】
例えば、図7に示すように、写真用紙からマット紙に変更された場合は、利用可能な黒インクがフォトブラックからマットブラックに変更されるため(図2参照)、黒インク種類選択欄83の先頭の隣に警告アイコン65が配置され、警告表示欄84に警告メッセージが表示される。なお、黒インク種類選択欄83には、マット紙に唯一対応するマットブラックが禁則処理として自動入力される。そして、例えば、この変更内容で確定すると、印刷実行指令入力画面70では、図6上段に示す、選択済内容表示部72に写真用紙及びフォトブラックが選択された状態から、図6下段に示す、選択済内容表示部72にマット紙及びマットブラックが選択された状態へ推移すると共に、選択済内容表示部72の黒インク表示欄の隣に警告アイコン65が配置され、且つ警告表示欄77に警告アイコン65が付された警告メッセージが表示される。また、図8に示すように、黒インク種類選択欄83において、黒インク種類がフォトブラックからマットブラックに変更された際にも、黒インク種類選択欄83の先頭の隣に警告アイコン65が配置され、警告表示欄84に警告メッセージが表示される。このような表示内容を見ることにより、使用者は、意図しない黒インクの切替が実行されることを知ることができる。
【0038】
ステップS400でプリンター設定画面80を表示したあと、CPU42は、設定変更が終了したか否かを実行キー88が押下されたか否かに基づいて判定し(ステップS410)、設定変更が終了していないときには、ステップS320以降の処理を繰り返し実行する。一方、ステップS410で設定変更が終了したときには、そのままこのルーチンを終了する。このようにして、警告の表示を伴いつつ、用紙種類の選択や、黒インクの選択を行うのである。
【0039】
さて、図4の印刷設定処理ルーチンの説明に戻る。ステップS180で印刷実行指令入力画面70を表示させたあと、CPU42は、印刷指示されたか否かを印刷実行キー78が押下されたか否かにより判定し(ステップS190)、印刷指示されていないときには、すべての処理が終了したか否かを印刷実行指令入力画面70が閉じられたか否かに基づいて判定する(ステップS200)。処理終了していないときには、ステップS100以降の処理を繰り返し実行する一方、処理終了したときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS190で印刷指示されたときには、選択されている印刷条件で印刷処理を実行し(ステップS200)、このルーチンを終了する。
【0040】
ここで、印刷処理において、黒インクの切替を要しないときは、CPU42は、画像データを変換し印刷データを作成すると共に、作成した印刷データを印刷ジョブとしてプリンター20へ送信する。これを受けたプリンター20が、選択されている印刷条件に基づいて印刷処理を実行する。なお、プリンター20では、使用者による設定内容を優先し、警告情報が表示されている状態であっても、印刷条件に設定されている内容で印刷処理を実行する。一方、印刷処理において、黒インクの切替を要する際には、CPU42は、プリンター20へ黒インク切替指令を送信する。これを受けたプリンター20のCPU22は、キャリッジ26をキャッピング装置29へ移動させ、インク切替機構34により供給する黒インクを切り替えたあと、キャッピング装置29を負圧にし、印刷ヘッド27のインク流路に充填されている黒インクを排出させると共に、切替後の黒インクをインク流路に再充填する処理を行う。この黒インクの切替処理が終了すると、CPU42は、作成した印刷データを印刷ジョブとしてプリンター20へ送信し、これを受けたプリンター20が、選択されている印刷条件に基づいて印刷処理を実行する。
【0041】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のHDD45が記憶手段に相当し、CPU42及び媒体インク色取得モジュール51が媒体取得手段及び着色剤取得手段に相当し、CPU42及びプリンター情報取得モジュール52が情報取得手段に相当し、CPU42及び表示制御モジュール53が報知手段及び表示制御手段に相当し、ディスプレイ48が表示手段に相当する。また、媒体インク色対応情報55が対応情報に相当し、用紙種類選択欄82が被画像形成媒体選択欄に相当し、黒インク種類選択欄83が着色剤選択欄に相当し、プリンター設定画面80が設定画面に相当する。なお、本実施形態では、印刷ドライバー50により本発明の画像形成制御プログラムを説明し、PC40の動作を説明することにより本発明の画像形成制御方法の一例も明らかにしている。
【0042】
以上詳述した本実施形態のプリンター20によれば、複数から択一的に選択された黒インクにより印刷媒体に画像を形成するプリンター20へ印刷指令を行う際に、印刷用に選択された用紙種類を取得し、プリンター20からこの装置で選択されている黒インクの種類の情報を取得し、取得した印刷用の用紙種類に対応する黒インクの種類を媒体インク色対応情報55に基づいて取得し、取得した黒インクの種類とプリンター20で選択されている黒インクの種類とが異なるときには警告情報を表示させる。このように、用紙種類を変更したときに、黒インクの切り替えが生じる場合は、警告情報が表示される。したがって、意図しない黒インクの切り替えをより抑制することができる。また、警告情報が、警告アイコン65やメッセージで表示されるから、視覚的に、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる。更に、用紙種類選択欄82と黒インク種類選択欄83とを配置したプリンター設定画面80を表示し、用紙種類選択欄82で用紙種類を選択したあと、黒インク種類選択欄83の隣に警告アイコン65が表示されるため、意図しない黒インクの切り替えをより確実に抑制することができる。更にまた、警告情報を表示する警告表示欄84を配置したプリンター設定画面80を表示するため、こうすれば、警告表示欄の表示によって、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる。そして、黒インク種類選択欄83で黒インクの選択内容が変更された際に、警告アイコン65や警告メッセージにより黒インクが切り替わることが報知されるため、意図しない着色剤の切り替えをより抑制することができる。そしてまた、プリンター20は複数の黒インクでノズル列33Kを共用しており、黒インクの切り替えの際にインク流路に充填された黒インクを、切り替える黒インクで再充填するため、ノズル列を共用する印刷装置で、意図しない黒インクの切り替えをより抑制することができる。また、黒インクの切替時に生じるインクの廃棄量をより抑制することができる。そして更に、カートリッジ28が、印刷ヘッド27よりも離れた本体側にカートリッジがあるため、黒インクの切替時に黒インクの廃棄量が大きくなることがあるが、この切替時の黒インクの排気量をより抑制することができる。また、廃液タンクの交換もより低減することができる。そして更にまた、無彩色インク(黒インク)は、用途に応じて複数あるため、本発明を適用する意義が高い。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、黒インク種類選択欄83の隣に警告アイコン65を配置するものとしたが、視認可能な画面上であれば、配置位置は特にこれに限定されない。また、警告情報として、警告アイコン65やインク切替警告文66,86を表示するものとしたが、インク切替がわかるものであれば、特にこれらに限定されない。また、警告アイコン65及びインク切替警告文66、86のうち少なくともいずれか1以上とし、いずれかを省略してもよい。あるいは、警告表示欄77を省略したり、警告表示欄84を省略してもよい。また、警告情報をポップアップ表示させてもよい。こうしても、表示される警告情報によって、意図しない黒インクの切り替えをより抑制することができる。
【0045】
上述した実施形態では、警告情報を警告アイコン65、インク切替警告文66、86としたが、インク切替が生じることを警告可能であれば特にこれに限定されず、文字、図形又は画像を警告情報として表示するものとすればよい。
【0046】
上述した実施形態では、用紙種類選択欄82と黒インク種類選択欄83とを配置したプリンター設定画面80を表示するものとしたが、特にこれに限定されない。また、用紙種類選択欄82や黒インク種類選択欄83はコンボボックスとしたが、用紙種類やインク種類を入力可能であれば、特にこれに限定されない。
【0047】
上述した実施形態では、プリンター設定画面80の黒インク種類選択欄83や警告表示欄84に警告情報を表示するものとしたが、図9、10に示すように、用紙種類を選択する前に、警告情報を表示するものとしてもよい。図9は、プリンター設定画面80に表示する用紙一覧表示欄90の説明図であり、図10は、プリンター設定画面80に表示する用紙一覧表示欄92の説明図である。例えば、用紙選択の際に複数の用紙種類の一覧を表示する用紙一覧表示欄を配置したプリンター設定画面80をディスプレイ48に表示させ、プリンター設定画面80で選択されると、プリンター20で選択されている黒インクの種類と異なるものとなる、即ち、インク切替が生じる用紙種類を区別可能な態様で用紙一覧表示欄を表示させるものとしてもよい。こうすれば、インク切替が起きることを、印刷媒体を選択する前に把握することができるため、意図しないインクの切り替えをより確実に抑制することができる。例えば、図9の用紙一覧表示欄90に示すように、用紙一覧表示欄90に一覧表示された用紙種類のうち、選択されるとインク切替が生じる用紙種類の隣に警告アイコン65を表示させるものとしてもよい。あるいは、図10の用紙一覧表示欄92に示すように、用紙一覧表示欄92に一覧表示された用紙種類のうち、選択されるとインク切替が生じる用紙種類に対して、文字のフォント変更、斜体化、文字色の変更のいすれか1以上の異態様表示67を行うものとしてもよい。このように、区別可能な態様として、文字飾りの変更、警告画像の配置のいずれかを採用するものとしてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、ディスプレイ48に表示出力するものとしたが、警告情報を報知するものとすれば、特にこれに限定されず、音により警告情報を報知する音出力装置を含むものとしてもよいし、印刷出力により警告情報を報知する印刷出力装置を含むものとしてもよい。また、警告情報を表示出力、音出力及び印刷出力のうち1以上の組み合わせで出力するものとしてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、択一的に選択するインクを、黒インクとしたが、特にこれに限定されず、無彩色インクとしてもよい。この無彩色インクとしては、例えば、黒インク、白インク及び灰色インクとしてもよい。また、上述した実施形態では、フォトブラックインクとマットブラックインクとを切り替えて利用するものとしたが、黒インクの種類についても、特にこれに限定されない。あるいは、択一的に選択するインクは、黒インクに限定されず、例えば、カラーインク、例えば、C,M,Yのいずれかとしてもよいし、赤(R)、緑(G)、青(B)、紫(P)、橙(O)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)などのいずれか1以上としてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、カートリッジ28は、本体側に装着されるいわゆるオフキャリッジ型の印刷機構25としたが、特にこれに限定されず、キャリッジ26にカートリッジが装着されるいわゆるオンキャリッジ型の印刷機構としてもよい。オフキャリッジ型の方がインク切替時のインク流路が長くなるが、オンキャリッジ型でも切り替えるインクの再充填が行われることから、インクの切替により生じるインクの廃棄量をより抑制することができる。
【0051】
上述した実施形態では、択一的に選択する黒インクを、共用するノズル列33Kで切り替えて使用するものとして説明したが、特にこれに限られず、例えば、ノズル列33Mk,33Pkを備えるものとして、一方のノズル列でインクを吐出する際には、他方のノズル列でインクを吐出しないという切替を行うことにより、択一的に黒インクを選択して使用するものとしてもよい。あるいは、カラーノズルと黒ノズルとで択一的に切り替えて印刷を行うものとしてもよい。こうしても、インクが切り替わる際には、警告情報が報知されるため、意図しない黒インクの切り替えをより抑制することができる。
【0052】
上述した実施形態では、印刷を実行可能なプリンター単体を本発明の画像形成装置として説明したが、印刷、スキャン及びコピーを実行可能なマルチファンクションプリンターとしてもよいし、FAXなどとしてもよい。また、印刷機構25は、インクジェット方式としたが、着色剤を択一的に切り替えて画像を形成するものとすれば特に限定されず、電子写真方式や、熱転写方式、ドットインパクト方式としてもよい。また、PC40が本発明の画像形成指令装置であるものとして説明したが、特にこれに限定されず、プリンター20に内蔵された画像形成指令装置などとしてもよい。また、PC40として本発明を説明したが、画像形成制御方法の態様としてもよいし、この方法のプログラムの態様としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 プリンターシステム、20 プリンター、21 コントローラー、22 CPU、23 フラッシュメモリー、24 RAM、25 印刷機構、26 キャリッジ、27 27印刷ヘッド、28,28C,28M,28Y,28Mk,28Pk カートリッジ、29 キャッピング装置、32,32C,32M,32Y,32K ノズル、33,33C,33M,33Y,33K ノズル列、34 インク切替機構、35 フレキシブルチューブ、40 パソコン(PC)、41 コントローラー、42 CPU、43 フラッシュメモリー、44 RAM、45 HDD、46 インターフェイス(I/F)、47 入力装置、48 ディスプレイ、49 バス、50 印刷ドライバー、51 媒体インク色取得モジュール、52 プリンター情報取得モジュール、53 表示制御モジュール、55 媒体インク色対応情報、56 UIリソース、59 アプリケーションプログラム、60 アプリケーション画面、61 カーソル、62 印刷アイコン、65 警告アイコン、66 インク切替警告文、67 異態様表示、70 印刷実行指令入力画面、71 プリンター設定表示部、72 選択済内容表示部、73 設定変更キー、74 印刷品質入力欄、75 レイアウト設定表示部、76 ページ設定表示部、77 警告表示部、78 印刷実行キー、80 プリンター設定画面、81 紙幅入力欄、82 用紙種類選択欄、83 黒インク種類選択欄、84 警告表示欄、86 インク切替警告文、88 実行キー、90,92 用紙一覧表示欄。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の着色剤から択一的に選択された着色剤により被画像形成媒体に画像を形成する画像形成装置へ画像形成指令を行う画像形成指令装置であって、
前記被画像形成媒体の種類と該被画像形成媒体に画像を形成する前記着色剤の種類とを対応付けた対応情報を記憶する記憶手段と、
画像形成用に選択された前記被画像形成媒体の種類を取得する媒体取得手段と、
前記画像形成装置から該画像形成装置で選択されている着色剤の種類の情報を取得する情報取得手段と、
前記取得した前記画像形成用の被画像形成媒体の種類に対応する前記着色剤の種類を前記対応情報に基づいて取得し、該取得した着色剤の種類と前記画像形成装置で選択されている着色剤の種類とが異なるときには警告情報を報知する報知手段と、
を備えた画像形成指令装置。
【請求項2】
前記報知手段は、画像を表示する表示手段に前記警告情報を表示させることにより該警告情報を報知する表示制御手段を含む、請求項1に記載の画像形成指令装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記被画像形成媒体の種類を選択する被画像形成媒体選択欄と前記着色剤の種類を選択する着色剤選択欄とを配置した設定画面を前記表示手段に表示させ、前記被画像形成媒体選択欄で前記被画像形成媒体の種類を選択したあと前記着色剤選択欄の隣に前記警告情報を表示させる、請求項2に記載の画像形成指令装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記被画像形成媒体の選択の際に複数の前記被画像形成媒体の種類の一覧を表示する被画像形成媒体選択欄を配置した設定画面を前記表示手段に表示させ、該被画像形成媒体選択欄に前記一覧を表示する際には、選択されると前記画像形成装置で選択されている着色剤の種類と異なるものとなる前記被画像形成媒体を区別可能な態様で該一覧を表示させる、請求項2又は3に記載の画像形成指令装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記区別可能な態様として、文字色の変更、警告画像の配置のいずれかにより区別可能な態様として表示させる、請求項4に記載の画像形成指令装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記警告を表示する警告表示欄を配置した設定画面を前記表示手段に表示させ、該警告表示欄に前記警告情報を表示させる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成指令装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成指令装置であって、
画像形成用に選択された前記着色剤の種類を取得する着色剤取得手段、を備え、
前記報知手段は、前記取得した前記画像形成用の着色剤の種類と前記画像形成装置で選択されている着色剤の種類とが異なるときには、前記警告情報を報知する、画像形成指令装置。
【請求項8】
前記画像形成装置は、前記複数の着色剤でノズル群を共用しており、前記着色剤の切り替えの際に着色剤流路に充填された着色剤を、切り替える着色剤で再充填する装置である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成指令装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、前記着色剤を格納し、前記着色剤を吐出する印刷ヘッドへ該着色剤を供給するカートリッジが本体側に装着されている装置である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成指令装置。
【請求項10】
前記複数の着色剤は、複数の種類の無彩色インクである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成指令装置。
【請求項11】
複数の着色剤から択一的に選択された着色剤により被画像形成媒体に画像を形成する画像形成装置へ画像形成指令を行い、前記被画像形成媒体の種類と該被画像形成媒体に画像を形成する着色剤の種類とを対応付けた対応情報を用いて、コンピューターにより実行される画像形成制御プログラムであって、
(a)画像形成用に選択された前記被画像形成媒体の種類を取得するステップと、
(b)前記画像形成装置から該画像形成装置で選択されている着色剤の種類の情報を取得するステップと、
(c)前記取得した前記画像形成用の被画像形成媒体の種類に対応する前記着色剤の種類を前記対応情報に基づいて取得し、該取得した着色剤の種類と前記画像形成装置で選択されている着色剤の種類とが異なるときには、警告情報を報知するステップと、
を含む画像形成制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−105236(P2013−105236A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247271(P2011−247271)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】