説明

画像形成方法および画像形成装置

【課題】高精細な画像の形成と、高精度の画像の重ね合わせとが実現される画像形成方法および画像形成装置、を提供する。
【解決手段】画像形成方法は、印刷版20に対して凸状に湾曲した転写板40を、印刷版20の表面上の一方端から他方端に順に押し当てることによって、転写板40に画像を形成する工程と、転写板40に画像を形成する工程の後、ガラス基板30に対して凸状に湾曲した転写板40を、ガラス基板30の表面上の一方端から他方端に順に押し当てることによって、転写板40からガラス基板30に画像を転写する工程とを備える。転写板40に画像を形成する工程における転写板40の曲率半径と、転写板40からガラス基板30に画像を転写する工程における転写板40の曲率半径とが異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、画像形成方法および画像形成装置に関し、より特定的には、印刷版を用いて転写板に画像を形成し、その画像を転写板から被印刷物に転写する画像形成方法と、そのような画像形成方法に用いられる画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成方法に関して、たとえば、特開平11−58921号公報には、メロンパターンを完全に無くすことによって、サラツキ感の解消、解像度および平坦度の向上、ならびにゴーストの解消を行なうことを目的とした画像形成法が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された画像形成法は、インキ供給装置からインキを滴下することにより、円筒状のシリコンシートの全面にインキの塗布面を形成する工程と、塗布面が樹脂凸版上を移動することにより、所定形状のインキのみを塗布面上に残す工程と、塗布面が基盤上を移動することにより、塗布面に残っているインキを基盤に転写する工程とを備える。
【0003】
また、特開2004−249696号公報には、印刷法において、インキの糸曳き現象をなくし、フォトリソに近い高品質の印刷物を得ることを目的とした画像形成法が開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示された画像形成法においては、樹脂に対して、撥樹脂層による画線部と、親樹脂層による非画線部とを形成し、その全面に樹脂を塗布する。その後、撥樹脂層上の樹脂のみを別の撥樹脂層を設けたシート上に転写し、さらに、この樹脂を基板上に転写することにより、画像形成を行なう。
【0004】
また、特開平5−69650号公報には、オフセット印刷において、印刷版の実寸法に対して転写寸法、特にその幅方向の寸法を微小範囲において拡大、縮小することができる印刷方法が開示されている(特許文献3)。特許文献3に開示された印刷方法においては、ブランケットから被印刷体にインキを転写する際の接触圧を、印刷版からブランケットにインキを供給する際の接触圧に対して小さく設定する。
【0005】
また、特開平5−69651号公報には、オフセット印刷において、印刷寸法、特にその長さ方向(印刷方向)の寸法を印刷版の実幅寸法に対して微小拡大、微小縮小することができる印刷方法が開示されている(特許文献4)。特許文献4に開示された印刷方法においては、ブランケットのニップ幅(印刷版や被印刷体に接触する幅)を、印刷版からブランケットにインキを供給する際に漸次減少させていき、または、ブランケットから被印刷体に転写する際に漸次増加させていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−58921号公報
【特許文献2】特開2004−249696号公報
【特許文献3】特開平5−69650号公報
【特許文献4】特開平5−69651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
表示部材、光学部材、配線板などの電子部品で用いられる微細パターン形成には、一般的に、フォトレジストを用いたフォトリソグラフィー法が適用される。たとえば、液晶パネル製造における配線パターンや素子形成は、フォトリソグラフィー法によるレジストの加工、エッチング等により実施される。しかしながら、フォトリソグラフィー法は、レジスト塗布、露光、現像といった複雑な工程を要するため、巨額の設備投資が必要となっており、より簡便なプロセスが求められている。
【0008】
簡便なプロセスとしては、従来から印刷法が提案されており、電子部品の分野では、代表的な手法としてオフセット印刷が提案されている。オフセット印刷法とは、印刷版に形成したパターンを転写板に転写したのち、基板に再度転写することにより、基板上に画像を形成する方法である。オフセット印刷法は、パターン精度に課題があったが、特許文献1または2に開示されるように、印刷版やインキ、転写方法の工夫によって、フォトリソグラフィー法に迫るパターン精度が得られるようになりつつある。
【0009】
また、多くの電子部品は、複数のパターンを重ね合わることによって所定の特性が得られる構造となっており、複数の膜を相関的な位置関係で高精度に積層することが要求されている。たとえば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの表示装置は、100インチを超えるまで大画面化が進んでいる。これに伴って、大面積に高い位置精度で画像を形成できるオフセット印刷装置が要求されている。
【0010】
また、液晶ディスプレイに用いられているTFT(Thin Film Transistor)アレイの作製プロセスなどでは、スパッタリングまたはCVD(Chemical Vapor Deposition)法による成膜や、ドライエッチングなどの多数の複雑な工程により成り立っている。このため、パターン形成を正確に行なっても、その後の工程における熱処理や成膜した膜の応力によって歪みが生じる。このような個体毎に個性をもった歪を有する被印刷物にも、高い相対的な位置精度で重ね合わせを行なうことが要求されている。
【0011】
また、オフセット印刷機においては、印刷版の画像をそのまま被印刷物に転写する工程が一般的である。その一方で、上述の特許文献3または4に開示されるように、印刷時の圧力や速度を変化させることによって、形成される画像を微小に拡大、縮小する方法が提案されている。
【0012】
このようにオフセット印刷の高精細化が進む一方で、これに伴って高い精度が要求される位置合わせについては充分な検討がなされていない。
【0013】
図10は、オフセット印刷装置の一例を示す側面図である。図10を参照して、図中のオフセット印刷装置を用いた画像形成方法においては、塗布装置108により印刷版103にインキを塗布し、印刷版103によってパターニングされたインキを転写板106に転写する。さらに、転写板106から被印刷物であるガラス基板104にインキを転写し、ガラス基板104上に画像を形成する。
【0014】
このとき、ガラス基板104上の画像と印刷する画像との重ね合わせは、ガラス基板104の基準像を撮像装置で確認し、その位置に基づいて、転写板106からガラス基板104への転写の開始位置と角度とを合わせ込み、その後、試し刷りにより機械の精度を調整するといった方法が取られている。このような手法では、基板毎に個性をもった歪みを有するガラス基板104に対して対応ができず、また、数μmといった精度の調整は難しい。
【0015】
また、印刷版103から転写板106への転写時と、転写板106からガラス基板104への転写時とでは、インキの乾燥や、基板と被印刷物との物性の違いなどにより、インキの密着力に差異が生じる。このため、上記2つの転写を完全に同条件で行なったとしても、印刷版103の画像とガラス基板104の画像との大きさは異なる。
【0016】
このような課題に対して、特許文献3または4に開示されるように、印刷時の圧力や速度を変化させる方法で対策がなされている。しかしながら、この方法では、印刷面への直角方向または平行方向に荷重が生じ、特に微細なパターンの形成時に、画像の線幅のばらつきや、画像のエッジの乱れが生じるという懸念がある。
【0017】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、高精度の画像の重ね合わせと、高精細な画像の形成とが実現される画像形成方法および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明に従った画像形成方法は、印刷版に対して凸状に湾曲した転写板を、印刷版の表面上の一方端から他方端に順に押し当てることによって、転写板に画像を形成する工程と、転写板に画像を形成する工程の後、被印刷物に対して凸状に湾曲した転写板を、被印刷物の表面上の一方端から他方端に順に押し当てることによって、転写板から被印刷物に画像を転写する工程とを備える。転写板に画像を形成する工程における転写板の曲率半径と、転写板から被印刷物に画像を転写する工程における転写板の曲率半径とが異なる。
【0019】
このように構成された画像形成方法によれば、転写板の曲率半径の調整を通じて画像を拡大もしくは縮小することにより、印刷版の画像と、被印刷物に形成される画像との間に生じる寸法のずれを抑制できる。これにより、被印刷物に対して高精度で画像の重ね合わせを行なうことができる。また、転写板の曲率半径の調整を通じて画像を拡大もしくは縮小するため、転写板に画像を形成する工程および転写板から被印刷物に画像を転写する工程の各工程において、転写板から印刷版および被印刷物に対する加圧力を一定に保つことが可能となる。これにより、画像の拡大もしくは縮小時に画像の形状精度が劣化することを抑制し、被印刷物に高精細な画像を形成することができる。
【0020】
また好ましくは、転写板から被印刷物に画像を転写する工程における転写板の曲率半径は、転写板に画像を形成する工程における転写板の曲率半径よりも小さい。このように構成された画像形成方法によれば、転写板から被印刷物に画像を転写する工程における転写板の曲率半径を小さく設定することにより、画像を拡大しつつ被印刷物に転写することができる。
【0021】
また好ましくは、転写板に画像を形成する工程は、インキに対して反撥性を有するインキ撥液部と、インキに対して親和性を有するインキ親液部とがパターニングされた印刷版の表面に、インキを塗布する工程と、転写板を印刷版に押し当てることによって、インキ親液部に塗布されたインキを印刷版の表面に残しつつ、インキ撥液部に塗布されたインキを転写板に転移する工程とを含む。このように構成された画像形成方法によれば、インキ撥液部およびインキ親液部がパターニングされた印刷版を用いることにより、転写板に印刷版のインキ撥液部の形状に即した画像を形成することができる。
【0022】
また好ましくは、転写板に画像を形成する工程は、転写板の表面に、インキを塗布する工程と、転写板を、表面に凸部と凹部とが形成された印刷版に押し当てることによって、転写板に塗布されたインキの一部を凸部に転移する工程とを含む。このように構成された画像形成方法によれば、表面に凸部と凹部とが形成された印刷版を用いることにより、転写板に印刷版の凹部の形状に即した画像を形成することができる。
【0023】
この発明に従った画像形成装置は、印刷版を用いて転写板に画像を形成し、その画像を転写板から被印刷物に転写するための画像形成装置である。画像形成装置は、転写板が設けられ、弾性変形可能な転写板保持部材と、圧力付与装置とを備える。圧力付与装置は、印刷版を用いて転写板に画像を形成する際に、転写板を、印刷版に対して凸状に湾曲させつつ、印刷版の表面上の一方端から他方端に順に押し当てるように、転写板保持部材に圧力を付与し、かつ、画像を転写板から被印刷物に転写する際に、転写板を、被印刷物に対して凸状に湾曲させつつ、被印刷物の表面上の一方端から他方端に順に押し当てるように、転写板保持部材に圧力を付与する。圧力付与装置は、印刷版および被印刷物に対する転写板の曲率半径を可変とする可変機構部を有する。
【0024】
このように構成された画像形成装置によれば、被印刷物に対して高精度で画像の重ね合わせを行なうとともに、被印刷物に高精細な画像を形成することができる。
【0025】
また好ましくは、転写板保持部材は、転写板が設けられる第1表面と、第1表面の裏側に配置される第2表面とを有する。圧力付与装置は、第1ローラと第2ローラとをさらに有する。第1ローラは、第2表面を押圧し、転写板を印刷版または被印刷物に押し当てる。第2ローラは、印刷版または被印刷物の表面上から距離を隔てた位置に配置される。第2ローラは、第1表面の側から転写板保持部材を支持し、転写板を湾曲形状に保持する。可変機構部は、第1ローラおよび第2ローラを接続し、第1ローラと第2ローラとの間の距離を変化させるように伸縮するシリンダ部材である。
【0026】
このように構成された画像形成装置によれば、シリンダ部材によって第1ローラと第2ローラとの間の距離を変化させることにより、印刷版および被印刷物に対する転写板の曲率半径を可変とできる。
【0027】
また好ましくは、転写板保持部材は、転写板が設けられる第1表面と、第1表面の裏側に配置される第2表面とを有する。圧力付与装置は、第3ローラと第4ローラと第5ローラとをさらに有する。第3ローラは、第2表面を押圧し、転写板を印刷版または被印刷物に押し当てる。第4ローラは、第2表面を押圧し、転写板を印刷版または被印刷物に押し当てる。第4ローラは、第3ローラとは異なる半径を有する。第5ローラは、印刷版または被印刷物の表面上から距離を隔てた位置に配置される。第5ローラは、第1表面の側から転写板保持部材を支持し、転写板を湾曲形状に保持する。可変機構部は、第3ローラおよび第4ローラのいずれか一方を選択的に第2表面を押圧する位置に位置決めし、第3ローラおよび第4ローラのいずれか他方を選択的に第2表面を押圧する位置から退避させるローラ移動機構である。
【0028】
このように構成された画像形成装置によれば、互いに異なる半径を有する第3ローラおよび第4ローラのいずれか一方を選択的に用いることにより、印刷版および被印刷物に対する転写板の曲率半径を可変とできる。
【発明の効果】
【0029】
以上に説明したように、この発明に従えば、高精細な画像の形成と、高精度の画像の重ね合わせとが実現される画像形成方法および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施の形態1における印刷装置を示す斜視図である。
【図2】印刷版を用いて転写板に画像を形成する工程時の印刷装置を示す側面図である。
【図3】画像を転写板からガラス基板に転写する工程時の印刷装置を示す側面図である。
【図4】図2中に示す工程において、転写板に画像が形成されるしくみを示した断面図である。
【図5】図2中に示す工程において、転写板に画像が形成されるしくみの変形例を示した断面図である。
【図6】本実施例における、実験条件および実験結果を示す表である。
【図7】この発明の実施の形態2における印刷装置において、印刷版を用いて転写板に画像を形成する工程時を示す側面図である。
【図8】図7中の印刷版を用いて転写板に画像を形成する工程時において、印刷装置の圧力付与装置の状態を示す側面図である。
【図9】画像を転写板からガラス基板に転写する工程時において、印刷装置の圧力付与装置の状態を示す側面図である。
【図10】オフセット印刷装置の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における印刷装置を示す斜視図である。図1を参照して、本実施の形態における印刷装置10は、オフセット印刷に用いられる装置である。印刷装置10は、印刷版20に対して転写板40を押し当てることによって、転写板40に画像を形成し、さらにガラス基板30に対して転写板40を押し当てることによって、転写板40からガラス基板30に画像を転写する装置である。
【0033】
まず、印刷装置10の構造について説明する。印刷装置10は、印刷版用ステージ22および基板用ステージ32と、転写板40および転写板保持板42と、圧力付与装置45とを有する。
【0034】
印刷版用ステージ22および基板用ステージ32は、互いに間隔を隔てて基台13上に設置されている。基台13は、レール12上にスライド移動可能に設けられている。基台13をスライド移動させることにより、印刷版用ステージ22および基板用ステージ32は、図1中の矢印201に示す方向に移動する。
【0035】
印刷版用ステージ22は、印刷版20が載置される主表面22aを有し、基板用ステージ32は、ガラス基板30が載置される主表面32aを有する。主表面22aおよび主表面32aは、平面状に形成されている。レール12、基台13、印刷版用ステージ22および基板用ステージ32は、印刷時に作用する圧力に対して十分な剛性を示すような構造を有する。
【0036】
印刷版用ステージ22に載置される印刷版20については、特に形状を問わない。印刷版20は、凹凸の無い平版を用いるオフセット印刷用版であってもよいし、凹版を用いるグラビアオフセット印刷用版であってもよい。また、転写板40上のインキを除去する凸版であってもよい。
【0037】
基板用ステージ32に載置される被印刷物については、ガラス基板30のほかに、目的に合わせて金属基板や樹脂フィルム等などから適宜選択されてもよい。
【0038】
図2は、印刷版を用いて転写板に画像を形成する工程時の印刷装置を示す側面図である。図3は、画像を転写板からガラス基板に転写する工程時の印刷装置を示す側面図である。
【0039】
図1から図3を参照して、基台13上には、転写板40が設けられる転写板保持板42が配置されている。基台13のスライド移動に伴って、印刷版用ステージ22に載置された印刷版20または基板用ステージ32に載置されたガラス基板30が転写板40に対向する位置に位置決めされる。
【0040】
転写板保持板42は、金属製の板材から形成されている。転写板保持板42は、可撓性を有する平板、たとえば板バネから形成されている。転写板保持板42は、印刷版20またはガラス基板30と対向して配置される第1表面としての表面42nと、表面42nの裏側に配置される第2表面としての表面42mとを有する。転写板40は、転写板保持板42の表面42nに貼り合わされている。
【0041】
転写板保持板42は、固定壁14に固定支持された固定支持端42pを有する。固定支持端42pは、印刷版用ステージ22に載置された印刷版20の表面もしくは基板用ステージ32に載置されたガラス基板30の表面とほぼ等しい高さで固定支持されている。固定支持端42pは、印刷版20またはガラス基板30の表面が延在する方向において、印刷版20またはガラス基板30のエッジよりもさらに外側に設けられている。
【0042】
転写板保持板42は、単純支持端42qをさらに有する。ここでいう単純支持とは、その支持点での曲げモーメントの作用しない支持方法全般を意味する。転写板保持板42は、単純支持端42q側において、後述の単純支持用ローラ48によって単純支持されている。単純支持端42qは、図2および図3中に示す各工程時に、印刷版20およびガラス基板30の表面上の高さ方向(垂直方向)に沿って往復移動する。固定支持端42pと単純支持端42qとは、表面42mおよび表面42nを挟んだ転写板保持板42の両端に設けられている。
【0043】
転写板40は、ゴム状のシートから形成されている。転写板40は、繰り返し印刷版20またはガラス基板30に押圧するため、弾性的に変形可能であることが求められる。また、ガラス基板30にインキパターンを転写するため、ガラス基板30よりもインキの撥水性が高いことが求められる。一般的には、転写板40として、表面がシリコーンゴムにより形成されたブランケットが使用される。
【0044】
代表的に、印刷版20を用いて転写板40に画像を形成する工程を示した図2を参照して、圧力付与装置45の構造について説明する。本実施の形態では、圧力付与装置45が、第1ローラとしての加圧用ローラ44と、第2ローラとしての単純支持用ローラ48と、可変機構部としてのエアシリンダ46とから構成されている。
【0045】
加圧用ローラ44は、印刷版20の表面に平行な平面内において固定支持端42pと単純支持端42qとを結ぶ方向の直交方向に軸状に延びて形成されている。加圧用ローラ44は、その軸中心において回転自在に支持されるとともに、印刷版20の表面に平行な平面内において固定支持端42pから遠ざかる方向(図2(A)中の矢印202に示す水平方向)にスライド移動可能なように支持されている。加圧用ローラ44は、さらに、高さ方向において一定の位置を維持するように支持されてもよい。加圧用ローラ44は、転写板保持板42の表面42mを印刷版20に向けて押圧するように設けられており、転写板保持板42による押圧によって、転写板40は印刷版20に押し当てられる。
【0046】
単純支持用ローラ48は、加圧用ローラ44と平行に軸状に延びて形成されている。単純支持用ローラ48は、加圧用ローラ44よりも小径を有する。単純支持用ローラ48は、転写板保持板42の表面42nの側から転写板保持板42を単純支持するように設けられている。加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48とは、互いに水平方向に間隔を隔てた位置に配置されている。加圧用ローラ44は、固定支持端42p側に設けられ、単純支持用ローラ48は、単純支持端42q側に設けられている。
【0047】
単純支持用ローラ48は、転写板40に接触して設けられている。転写板40に形成された画像が単純支持用ローラ48に移らないように、好ましくは、単純支持用ローラ48の表面に超撥液処理がなされる。
【0048】
エアシリンダ46は、加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48との間を接続するように設けられている。エアシリンダ46による接続により、単純支持用ローラ48は、加圧用ローラ44とともに水平方向にスライド移動可能に設けられている。
【0049】
本実施の形態における印刷装置10においては、転写板保持板42が、固定支持端42p側で加圧用ローラ44によって印刷版20に押圧されるとともに、単純支持端42q側で単純支持用ローラ48によって印刷版20の表面上の高さ方向に離れた位置で支持されている。このため、転写板保持板42は、固定支持端42pから遠ざかるに従って印刷版20と転写板40との間の距離Hが増大するように弓状に湾曲して設けられている。これにより、転写板保持板42の表面42nに貼り合わされた転写板40は、印刷版20に対して凸状に湾曲した形態となる。転写板40は、加圧用ローラ44によって印刷版20に押圧される位置と、単純支持用ローラ48に接触する位置との間で、円弧状に湾曲する。転写板40は、加圧用ローラ44が内周側に配置され、単純支持用ローラ48が外周側に配置されるように、円弧状に湾曲する。
【0050】
加圧用ローラ44および単純支持用ローラ48は、モータやピストン等の図示しない可動装置によって、水平方向に移動可能に設けられている。水平方向に移動する加圧用ローラ44は、転写板40を印刷版20の表面上の一方端から他方端に順に押し当てるように、転写板保持板42に圧力を付与する。
【0051】
エアシリンダ46は、その伸縮に伴って、加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48との間の距離を変化可能なように設けられている。加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48との間の距離が変化すると、印刷版20に対して凸状に湾曲する転写板40の曲率半径が変化する。より具体的には、加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48との間の距離が相対的に大きい場合、転写板40が加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48との間で緩やかに湾曲するため、転写板40の曲率半径が大きくなる(図2中に示す場合)。一方、加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48との間の距離が相対的に小さい場合、転写板40が加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48との間で急激に湾曲するため、転写板40の曲率半径が小さくなる(図3に示す場合)。
【0052】
続いて、印刷装置10を用いてガラス基板30に画像を形成する方法について説明する。
【0053】
図1および図2を参照して、まず、塗布コータ(図示せず)を用いて、印刷版20に厚さが均一になるようにインキを塗布する。インキの塗布には、スリットコータを用いてもよいし、インキの粘度に合わせてバーコータなどを用いてもよい。
【0054】
インキ材料は特に限定されず、用途により、主成分をたとえば配線材料、透明電極材料、レジスト、絶縁材料、着色材料等から選択した上で、一般に知られる表面張力や粘度の調整方法を適用したものを利用できる。また、沸点の異なる複数の溶媒を混合することにより、転写板40上におけるインキの粘性をコントロールし、伸縮時のパターン精度を維持することも可能である。
【0055】
タック性を持つ程度にインキを乾燥させた後、印刷版20を印刷版用ステージ22に載置し、印刷版用ステージ22を転写板40の下方にまで移動させる。このとき、エアシリンダ46の長さを、加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48との間の距離が後述の図3に示す工程時よりも長くなるように設定する。
【0056】
図2(A)に示すように、まず、加圧用ローラ44を押し下げて転写板保持板42p上に位置決めする。このとき、転写板40と、印刷版20の一方端側における一辺とが接触する。次に、加圧用ローラ44を図中の右方向に移動させていくと、図2(B)に示すように、転写板40と印刷版20との接触面積が増大していく。さらに、加圧用ローラ44を印刷版20の他方端側にまで移動させると、図2(C)に示すように、転写板40と、印刷版20の全面とが接触する。
【0057】
その後、加圧用ローラ44の移動方向を反転させ、加圧用ローラ44を図中の左方向に移動させていく。これにより、転写板40が印刷版20の表面上から徐々に剥離していき、最終的に、図2(A)に示す状態に至る。以上の工程により、印刷版20を用いて転写板40に画像を形成する。
【0058】
図4は、図2中に示す工程において、転写板に画像が形成されるしくみを示した断面図である。図4を参照して、印刷版20の表面には、インキに対して反撥性を有するインキ撥液部26と、インキに対して親和性を有するインキ親液部27とがパターニングされている。このような印刷版20に転写板40を一旦押し当て、そのあと転写板40を印刷版20から徐々に剥離させていくと、インキ親液部27に塗布されたインキ51が印刷版20の表面に残り、インキ撥液部26に塗布されたインキ51が転写板40に転移する。これにより、転写板40に、印刷版20のインキ撥液部26の形状に即した画像を形成することができる。
【0059】
図5は、図2中に示す工程において、転写板に画像が形成されるしくみの変形例を示した断面図である。図5を参照して、本変形例では、凹部29および凸部28がパターニングされた印刷版20を使用する。まず、転写板40にインキを塗布する。インキを塗布した印刷版20に転写板40を一旦押し当て、そのあと転写板40を印刷版20から剥離させていくと、転写板40に塗布されたインキ51の一部が凸部28に転移する。これにより、転写板40に、印刷版20の凹部29の形状に即した画像を形成することができる。
【0060】
図1および図3を参照して、次に、ガラス基板30を基板用ステージ32に載置し、基板用ステージ32を転写板40の下方にまで移動させる。このとき、エアシリンダ46の長さを、加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48との間の距離が前述の図2に示す工程時よりも短くなるように設定する。
【0061】
図2中に示す工程と同様に、加圧用ローラ44を図中の右方向および左方向に移動させることにより、転写板40に形成された画像をガラス基板30に転写する。以上の工程により、ガラス基板30に所望の画像を形成する。
【0062】
一般的に、印刷版20を用いて転写板40に画像を形成する工程時と、画像を転写板40からガラス基板30に転写する工程時とでは、インキの乾燥や、印刷版と基板との物性の違いなどにより、インキの密着力に差異が生じる。このため、印刷版20の画像の大きさとガラス基板30に形成される画像の大きさとが異なり、ガラス基板30に形成される画像が、ガラス基板30の下地パターンに対して位置ずれを起こすおそれがある。
【0063】
これに対して、本実施の形態では、ガラス基板30に形成される画像が印刷版20の画像よりも小さくなる場合を想定して、画像を転写板40からガラス基板30に転写する工程時における転写板40の曲率半径が、印刷版20を用いて転写板40に画像を形成する工程時における転写板40の曲率半径よりも小さくなるように設定されている。この場合、画像を転写板40からガラス基板30に転写する工程時に、インキ膜の内径側の寸法と外径側の寸法との差がより大きくなるため、転写板40に形成された画像を拡大してガラス基板30に転写することができる。これにより、印刷版20の画像とほぼ同寸法の画像をガラス基板30に形成し、ガラス基板30の下地パターンに対する画像の位置ずれを防ぐことができる。
【0064】
なお、印刷版や被印刷物の材料および形状によっては、ガラス基板30に形成される画像が印刷版20の画像よりも大きくなる場合もある。
【0065】
また、本実施の形態では、転写板40の曲率半径の調整を通じて画像の拡大、縮小を行なうため、印刷時の垂直方向および水平方向の荷重に変化を与えることなく、印刷版20および転写板40間ならびに転写板40およびガラス基板30間で画像の転写を行なうことができる。これにより、画像の拡大、縮小時における画像形状の劣化を抑制することができる。
【0066】
以上に説明した、この発明の実施の形態1における画像形成方法の工程についてまとめて説明すると、本実施の形態における画像形成方法は、印刷版20に対して凸状に湾曲した転写板40を、印刷版20の表面上の一方端から他方端に順に押し当てることによって、転写板40に画像を形成する工程(図2中に示す工程)と、転写板40に画像を形成する工程の後、被印刷物としてのガラス基板30に対して凸状に湾曲した転写板40を、ガラス基板30の表面上の一方端から他方端に順に押し当てることによって、転写板40からガラス基板30に画像を転写する工程(図3中に示す工程)とを備える。転写板40に画像を形成する工程における転写板40の曲率半径と、転写板40からガラス基板30に画像を転写する工程における転写板40の曲率半径とが異なる。
【0067】
また、この発明の実施の形態1における画像形成装置としての印刷装置10の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における印刷装置10は、転写板40が設けられ、弾性変形可能な転写板保持部材としての転写板保持板42と、圧力付与装置45とを備える。圧力付与装置45は、印刷版20を用いて転写板40に画像を形成する際に、転写板40を、印刷版20に対して凸状に湾曲させつつ、印刷版20の表面上の一方端から他方端に順に押し当てるように、転写板保持板42に圧力を付与し、かつ、画像を転写板40からガラス基板30に転写する際に、転写板40を、ガラス基板30に対して凸状に湾曲させつつ、ガラス基板30の表面上の一方端から他方端に順に押し当てるように、転写板保持板42に圧力を付与する。圧力付与装置45は、印刷版20およびガラス基板30に対する転写板40の曲率半径を可変とする可変機構部としてのエアシリンダ46を有する。
【0068】
なお、本実施の形態では、ガラス基板30に形成される画像が印刷版20の画像よりも小さくなる場合を想定して、画像を拡大して転写板40からガラス基板30に転写する場合について説明したが、本発明は、このような場合に限られない。たとえば、ガラス基板30に形成された下地パターンが拡大もしくは縮小されており、この下地パターンと画像との位置合わせを正確に行なうために、ガラス基板30に転写する画像を拡大もしくは縮小する場合などに本発明を適用してもよい。
【0069】
また、本発明における画像形成装置においては、印刷版20を用いて転写板40に画像を形成する工程の前に、エアシリンダ46の長さを調整して、転写板40の曲率半径を変更してもよい。転写板40の曲率半径が小さい方が印刷版20からの画像の位置ずれが小さくなる傾向があり、画像の重ね合わせを高精度に行なうことができる。
【0070】
続いて、図1中の印刷装置10を用いてガラス基板30に画像を形成した実施例について説明する。
【0071】
本実施例では、加圧用ローラ44として、半径50mmを有する円筒を用い、単純支持用ローラ48として、半径5mmの円筒を用いた。エアシリンダ46として、加圧用ローラ44と単純支持用ローラ48との間隔が50mm〜300mmまで調整可能とするものを用いた。転写板保持板42として、厚さ0.5mmを有するSUS製の板を用いた。
【0072】
印刷版20として、50mm間隔で、半径10μmの円の画像が形成された、東レ社製の水なし平版を用いた。転写板40として、シリコーン転写板を用い、ガラス基板30として、360mm×460mmのサイズを有するコーニング社製の無アルカリガラスを用いた。インキとして、ノボラック系レジスト樹脂を用いた。
【0073】
図6は、本実施例における、実験条件および実験結果を示す表である。図6を参照して、図2中に示す印刷版20を用いて転写板40に画像を形成する工程時のエアシリンダ46の長さを条件1に示し、画像を転写板40からガラス基板30に転写する工程時のエアシリンダ46の長さを条件2に示した。
【0074】
図2および図3中に示す各工程を経てガラス基板30に形成された画像に対して、ニコン社製の画像処理装置にて、半径10μmに設計された円パターンの線幅と、300mm間隔に配置された画像の距離とを測定した。測定結果を図6中に示した。
【0075】
測定の結果、条件によらず、円パターンの線幅はほぼ一定となった。また、条件1と条件2とを同条件にした場合、約17ppm画像が縮小した。条件1を250mm、条件2を200mmとした場合、印刷版20の画像とほぼ同寸法の画像をガラス基板30に形成することができた。
【0076】
このように構成された、この発明の実施の形態1における画像形成方法および印刷装置10によれば、印刷時の垂直方向および水平方向の荷重に変化を与えることなく画像を拡大もしくは縮小することが可能となり、画像の拡大、縮小時の印刷性や線幅精度の劣化を抑制することができる。これにより、高い形状精度と位置精度とを有し、再現性に優れた印刷を実現することができる。
【0077】
(実施の形態2)
図7は、この発明の実施の形態2における印刷装置において、印刷版を用いて転写板に画像を形成する工程時を示す側面図である。図8は、図7中の印刷版を用いて転写板に画像を形成する工程時において、印刷装置の圧力付与装置の状態を示す側面図である。図9は、画像を転写板からガラス基板に転写する工程時において、印刷装置の圧力付与装置の状態を示す側面図である。本実施の形態における印刷装置は、実施の形態1における印刷装置10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については説明を繰り返さない。
【0078】
図7から図9を参照して、本実施の形態では、圧力付与装置45が、第3ローラとしての加圧用大ローラ61と、第4ローラとしての加圧用小ローラ62と、第5ローラとしての単純支持用ローラ63と、可変機構部としてのシリンダ変更機64とから構成されている。
【0079】
加圧用大ローラ61および加圧用小ローラ62は、実施の形態1における加圧用ローラ44と同様の構造を有して形成されている。加圧用大ローラ61は、加圧用小ローラ62よりも大径を有する。シリンダ変更機64は、加圧用大ローラ61と加圧用小ローラ62との間を接続するように設けられている。シリンダ変更機64は、加圧用大ローラ61および加圧用小ローラ62を周方向に回転可能な駆動機構を備える。シリンダ変更機64の駆動に伴って、加圧用大ローラ61および加圧用小ローラ62のいずれか一方が転写板保持板42の表面42mを押圧する位置に位置決めされ、加圧用大ローラ61および加圧用小ローラ62のいずれか他方が転写板保持板42の表面42mを押圧する位置から退避される。
【0080】
単純支持用ローラ63は、加圧用大ローラ61および加圧用小ローラ62と平行に軸状に延びて形成されている。単純支持用ローラ63は、加圧用大ローラ61および加圧用小ローラ62よりも小径を有する。単純支持用ローラ63は、転写板保持板42の表面42nに接触して設けられている。単純支持用ローラ63は、コイルバネ72を介して固定板71に接続されている。単純支持端42qは、単純支持用ローラ63およびコイルバネ72によって、垂直方向に移動可能に支持されるとともに、固定板71に近接する方向のばね力を受けている。このような構成により、転写板保持板42は、単純支持用ローラ63によって転写板保持板42の表面42nの側から単純支持されている。
【0081】
本実施の形態における印刷装置10においては、転写板保持板42が、固定支持端42p側で加圧用大ローラ61または加圧用小ローラ62によって印刷版20に押圧されるとともに、単純支持端42q側で単純支持用ローラ63によって印刷版20の表面上の高さ方向に離れた位置で支持されている。このため、転写板保持板42は、固定支持端42pから遠ざかるに従って印刷版20またはガラス基板30と転写板40との間の距離が増大するように弓状に湾曲して設けられている。これにより、転写板保持板42の表面42nに貼り合わされた転写板40は、印刷版20またはガラス基板30に対して凸状に湾曲した形態となる。
【0082】
加圧用大ローラ61が転写板保持板42の表面42mを押圧する位置に位置決めされたとき、転写板40は、相対的に大きい直径を有する加圧用大ローラ61の外周に沿って湾曲するため、転写板40の曲率半径が大きくなる(図8に示す場合)。加圧用小ローラ62が転写板保持板42の表面42mを押圧する位置に位置決めされたとき、転写板40は、相対的に小さい直径を有する加圧用小ローラ62の外周に沿って湾曲するため、転写板40の曲率半径が小さくなる(図9に示す場合)。
【0083】
このような構成を備える本実施の形態における印刷装置においては、図8中に示すように、印刷版20を用いて転写板40に画像を形成する工程時には、加圧用大ローラ61を転写板保持板42の表面42mを押圧する位置に位置決めし、転写板40に形成された画像をガラス基板30に転写する工程時には、図9中に示すように、加圧用小ローラ62を転写板保持板42の表面42mを押圧する位置に位置決めする。これにより、実施の形態1と同様に、転写板40に形成された画像を拡大してガラス基板30に転写し、印刷版20の画像とほぼ同寸法の画像をガラス基板30に形成することができる。
【0084】
このように構成された、この発明の実施の形態2における印刷装置によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に得ることができる。
【0085】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
この発明は、主に、微細な画像を高い位置精度で形成することが要求される光学部材や配線板などの電子部品の製造に利用される。
【符号の説明】
【0087】
10 印刷装置、12 レール、13 基台、14 固定壁、20 印刷版、22a,32a 主表面、22 印刷版用ステージ、26 インキ撥液部、27 インキ親液部、28 凸部、29 凹部、30 ガラス基板、32 基板用ステージ、40 転写板、42 転写板保持板、42p 固定支持端、42q 単純支持端、42m,42n 表面、44 加圧用ローラ、45 圧力付与装置、46 エアシリンダ、48,63 単純支持用ローラ、51 インキ、61 加圧用大ローラ、62 加圧用小ローラ、64 シリンダ変更機、71 固定板、72 コイルバネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷版に対して凸状に湾曲した転写板を、印刷版の表面上の一方端から他方端に順に押し当てることによって、転写板に画像を形成する工程と、
前記転写板に画像を形成する工程の後、被印刷物に対して凸状に湾曲した転写板を、被印刷物の表面上の一方端から他方端に順に押し当てることによって、転写板から被印刷物に画像を転写する工程とを備え、
前記転写板に画像を形成する工程における転写板の曲率半径と、前記転写板から被印刷物に画像を転写する工程における転写板の曲率半径とが異なる、画像形成方法。
【請求項2】
前記転写板から被印刷物に画像を転写する工程における転写板の曲率半径は、前記転写板に画像を形成する工程における転写板の曲率半径よりも小さい、請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記転写板に画像を形成する工程は、
インキに対して反撥性を有するインキ撥液部と、インキに対して親和性を有するインキ親液部とがパターニングされた印刷版の表面に、インキを塗布する工程と、
転写板を印刷版に押し当てることによって、前記インキ親液部に塗布されたインキを印刷版の表面に残しつつ、前記インキ撥液部に塗布されたインキを転写板に転移する工程とを含む、請求項1または2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記転写板に画像を形成する工程は、
転写板の表面に、インキを塗布する工程と、
転写板を、表面に凸部と凹部とが形成された印刷版に押し当てることによって、前記転写板に塗布されたインキの一部を前記凸部に転移する工程とを含む、請求項1または2に記載の画像形成方法。
【請求項5】
印刷版を用いて転写板に画像を形成し、その画像を転写板から被印刷物に転写するための画像形成装置であって、
転写板が設けられ、弾性変形可能な転写板保持部材と、
印刷版を用いて転写板に画像を形成する際に、転写板を、印刷版に対して凸状に湾曲させつつ、印刷版の表面上の一方端から他方端に順に押し当てるように、前記転写板保持部材に圧力を付与し、かつ、画像を転写板から被印刷物に転写する際に、転写板を、被印刷物に対して凸状に湾曲させつつ、被印刷物の表面上の一方端から他方端に順に押し当てるように、前記転写板保持部材に圧力を付与する圧力付与装置とを備え、
前記圧力付与装置は、印刷版および被印刷物に対する転写板の曲率半径を可変とする可変機構部を有する、画像形成装置。
【請求項6】
前記転写板保持部材は、転写板が設けられる第1表面と、前記第1表面の裏側に配置される第2表面とを有し、
前記圧力付与装置は、前記第2表面を押圧し、転写板を印刷版または被印刷物に押し当てる第1ローラと、印刷版または被印刷物の表面上から距離を隔てた位置に配置され、前記第1表面の側から前記転写板保持部材を支持し、転写板を湾曲形状に保持する第2ローラとをさらに有し、
前記可変機構部は、前記第1ローラおよび前記第2ローラを接続し、前記第1ローラと前記第2ローラとの間の距離を変化させるように伸縮するシリンダ部材である、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写板保持部材は、転写板が設けられる第1表面と、前記第1表面の裏側に配置される第2表面とを有し、
前記圧力付与装置は、前記第2表面を押圧し、転写板を印刷版または被印刷物に押し当てる第3ローラと、前記第2表面を押圧し、転写板を印刷版または被印刷物に押し当て、前記第3ローラとは異なる半径を有する第4ローラと、印刷版または被印刷物の表面上から距離を隔てた位置に配置され、前記第1表面の側から前記転写板保持部材を支持し、転写板を湾曲形状に保持する第5ローラとをさらに有し、
前記可変機構部は、前記第3ローラおよび前記第4ローラのいずれか一方を選択的に前記第2表面を押圧する位置に位置決めし、前記第3ローラおよび前記第4ローラのいずれか他方を選択的に前記第2表面を押圧する位置から退避させるローラ移動機構である、請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−104859(P2011−104859A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261871(P2009−261871)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(507289379)有限会社印刷技研 (2)
【Fターム(参考)】